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2018年8月15日水曜日

米国、非核化の成果なければ「海上封鎖」断行か 日本に激震の危機―【私の論評】北の海上封鎖は十分あり得るシナリオ、その時日本はどうする(゚д゚)!

米国、非核化の成果なければ「海上封鎖」断行か 日本に激震の危機

日本を守る

世界最強の米原子力空母「ロナルド・レーガン」。
正恩氏率いる北朝鮮の「海上封鎖」に乗り出すのか

 米中間で“関税合戦”による死闘(貿易戦争)が始まった。その脇で、いま中東が爆発しそうだ。米中間のデスマッチの幕が上がる一方、北朝鮮危機がどこかへ行ってしまったように、見える。米朝両国はここ当分の間は、交渉を続けてゆくのだろうか。

 8月初めに、シンガポールで東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議が催された。

 北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は「米国が同時並行する措置を取らなければ、わが国だけが『非核化』を進めることはあり得ない」と演説した。にもかかわらず、マイク・ポンペオ米国務長官は「北朝鮮の非核化」について、「北朝鮮の決意は固く、実現を楽観している」と述べ、李氏と固い握手を交わした。

 日本は、6月にシンガポールで「歴史的な」米朝首脳会談が行われてから、しばらくは緊張が解けたものと判断した。北朝鮮からのミサイル攻撃に備えて、東京の防衛省、北海道、島根、広島、愛媛、高知の各駐屯地に展開していた、航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊が撤収した。

 北朝鮮は、米国から「南北平和協定」「制裁の緩和」など段階的な見返りを求めて、ドナルド・トランプ政権をじゃらしている。北朝鮮はワシントンを甘くみているのだ。

 だが、トランプ政権は北朝鮮をあやしながら、北朝鮮に鉈(なた)を振るう瞬間を待っている。

 もし、11月初頭の米中間選挙の前までに、北朝鮮が「非核化」へ向けて、米国の選挙民が納得できる成果を差し出さなければ、海軍艦艇を用いて、北朝鮮に対する海上封鎖を実施することになろう。米国民は何よりも力を好むから、喝采しよう。

 私は、前回の「日本を守る」連載(4月掲載)で、米国が北朝鮮に対して海上封鎖を断行する可能性が高いと予想した。

 海上封鎖という“トランプ砲”が発射されると、日本の政府と国会が激震によって襲われよう。米海軍が日本のすぐ隣の北朝鮮に対して、海上封鎖を実施しているのに、自衛隊が燃料や食糧の供給などの後方支援に役割を限定するわけにはいくまい。

 米国-イラン関係の険悪化など、中東情勢も不安定化している。中東は日本のエネルギーの80%以上を供給している。

 日本を揺るがしかねない危機が進行しているのに、日本の世論は目をそらしている。

 ■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『「美し国」日本の底力』(ビジネス社)、『新・東京裁判論』(産経新聞出版)など多数。

【私の論評】北の海上封鎖は十分あり得るシナリオ、その時日本はどうする(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、海上封鎖について定義も何もあげずに、使用していますが、平和ボケ日本では、海上封鎖について良く知らない人もいらっしゃると思いますので、以下に簡単な定義をあげておきます。

海上封鎖とは、ある国が海軍力を用いて、他国の港湾に船舶が出入港することを阻止することです。封鎖行動は宣言によって開始され、その前には中立国の船舶の退避時間が設けられます。

海上封鎖は戦時封鎖と平時封鎖に分類されます。戦時封鎖の場合は通商破壊や攻勢機雷戦を伴います。平時では非軍事的措置の一環とみなされ、海軍部隊による臨検が主となりますが、封鎖を突破しようとする船舶が現れた場合には攻撃が避けられないです。
米国によ海上封鎖に関しては、今年の3月に米国が、米国沿岸警備隊を朝鮮半島に派遣してより強化することも検討していることが報道されました。それに関してはこのブログでも、今年の3月に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米、北に新たな一手“海上封鎖” 沿岸警備隊のアジア派遣検討 「有事」見据えた措置か―【私の論評】沿岸警備隊派遣の次には、機雷戦?その時には海自が活躍することになる(゚д゚)!
米国沿岸警備隊の艦船と航空機
ブログ冒頭の記事では、米軍が海上封鎖と掲載しているだけですが、実際に海上封鎖するということになれば、最初は平時海上封鎖ということで、沿岸警備隊の艦船が臨検することになるでしょう。無論もしもの軍事衝突に備えて、空母や潜水艦なども当然派遣するでしょうが、これらは臨検などには向いていません。

軍艦を臨検することは滅多にはないでしょうが、もしそのようなことがあれば、当然イージス艦などの軍艦がこれにあたることになるでしょう。

しかし、それ以外の小さな艦船であれば、やはり沿岸警備隊の艦船が臨検などにあたるのか適当であると考えられます。

ただし、そこから一歩踏み込んで、戦時封鎖ということになれば、最初からフリゲート艦や、駆逐艦などが主に担当し、機雷敷設などのことも当然行うことになります。

機雷の敷設や、それを取り除く掃海に関しては、日本の能力は世界でもトップクラスというか、現実には他国を引き離し断トツで世界一といって良いでしょう。これについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本単独で「核武装国」中国を壊滅させる秘策は機雷―【私の論評】戦争になれぱ中国海軍は、日本の機雷戦に太刀打ち出来ず崩壊する(゚д゚)!
平成20年6月12日、海上自衛隊による機雷の爆破処理で
海面に噴き上がる水柱。後方は神戸市街=神戸市沖

この記事では、日本単独で「核武装国」中国を壊滅させる秘策は機雷であるという元記事について論評しましたが、論評の過程で日本の掃海の現状や、歴史について触れました。

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、日本の海上自衛隊による掃海能力は世界一です。もし、米軍が北朝鮮を海上封鎖するということにでもなれば、当然日本も、怪しい艦船の臨検などを米国側から求められるでしょう。

ただし、海上自衛隊はすでに戦後長い間踏み込まなかった黄海にまで、艦船を派遣して、監視活動にあたっています。

ただし、北朝鮮そのものを海上封鎖するということになれば、港を封鎖するのとでは規模が違います。これを機雷敷設なしで、行うということになれば、想像もつかないくらいの莫大な数の艦船が必要になることでしょう。

これは、現実的ではありません。現実的に北朝鮮を海上封鎖するとすれば、やはり機雷の敷設は避けられないでしょう。

ただし、機雷で封鎖ということになれば、かなり効果があげられるでしょう。北朝鮮のほとんどを機雷で封鎖してしまえば、艦船などで監視や臨検を行う部分はかなり限られてくるので、莫大な数の艦船は必要ありません。

空においても、日々哨戒活動にあたり、北や北に協力する航空機などが北と外国との間の行き来を完全に封鎖し、韓国も北との国境は完璧に封鎖し、さらに北と中国との間の橋梁や道路など破壊してしまえば、北を完璧に封鎖できます。

この状況にまで追い込めば、北には石炭や石油の供給が絶たれてしまいますから、軍隊をはじめほとんどの組織が、身動きの取れない状態になります。

その状態で、交渉に持ち込むか軍事攻撃をすれば、すぐにでも北朝鮮は音を上げることになります。

トランプ砲が炸裂して、北朝鮮を海上封鎖するというシナリオは十分にあり得る

それにしても、ブログ冒頭の記事では「米海軍が日本のすぐ隣の北朝鮮に対して、海上封鎖を実施しているのに、自衛隊が燃料や食糧の供給などの後方支援に役割を限定するわけにはいくまい」と掲載していますが、まさにその通りです。

北朝鮮付近の海域に機雷の敷設や除去など、憲法上や法律上の制約があるので、できないと専門家などは言っていますが、これは時限立法を成立させてでも、少なくとも除去くらいはできるようにしておくべきものと思います。

そうして、海上封鎖をすることになれば、その後北の崩壊はかなり現実的になります。そのときに、拉致被害者や最近拉致された日本人の救出をするために、自衛隊を派遣できるように、これも憲法解釈の変更と、時限立法などでできるようにすべきです。

1962年のキューバ危機においては、米国はキューバ周囲を海と空から海上封鎖すると宣言し、実際にそうしました。

確かに、海上封鎖という“トランプ砲”が発射されると、日本の政府と国会が激震によって襲われることになるのです。日本の世論はこれから目をそらすべきではありません。

これを単に激震などとだけとらえるのでなく、日本が世界平和に大きく寄与するチャンスだと捉えて、必要な措置をとるべきです。

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2018年8月9日木曜日

“死神”ボルトン氏、北に重大警告「非核化に必要な措置を取っていない」 ―【私の論評】北軍事攻撃の前にイランの惨状を金正恩と習近平にみせつけるトランプ政権(゚д゚)!

“死神”ボルトン氏、北に重大警告「非核化に必要な措置を取っていない」 


非核化に消極的な正恩氏に、ボルトン氏(写真)が重大警告を発した

 北朝鮮に「死神」と恐れられているジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に“重大警告”を発した。6月の米朝首脳会談で約束した「非核化」について、北朝鮮が実行していないと批判したのだ。ボルトン氏は、正恩氏が4月の南北首脳会談で「1年以内の非核化」を言い出したことも暴露した。北朝鮮は確実に追い込まれつつある。

 「北朝鮮は非核化に向けた必要な措置を取っていない」

 ボルトン氏は7日、FOXニュースの番組に出演し、こう述べた。

 シンガポールで6月に行われた米朝首脳会談の共同声明で、正恩氏は「朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む」と、ドナルド・トランプ大統領に約束した。

 北朝鮮がその後、具体的に核廃棄を進めている気配はまったくない。それどころか、「米国が『制裁・圧迫』という旧石器時代の石斧を捨てて、信頼と尊重の姿勢にどれほど近づくかによって未来の全てが決定されるであろう」(6日付、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」)などと、逆に米国を批判している。

 制裁解除を哀願する北朝鮮に対し、ボルトン氏は番組で、「真に必要なのは言辞ではなく行動だ」と指摘し、現段階での制裁緩和は一切検討していないと強調した。

 ボルトン氏の強気姿勢の背景には、非核化の実行を言い出したのが正恩氏自身という事情がある。

 ボルトン氏は5日、4月の南北首脳会談で、正恩氏が韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、「(非核化を)1年以内に行う」と約束したことを明らかにした。

 そのうえで、ボルトン氏は「1年以内に(非核化を)終わらせるというアイデアがどこから来ているのかについて多くの議論があったが、正恩氏から来ている」と述べ、「彼らが核兵器を放棄するという戦略的決断をすれば、1年以内にできるはずだ」と語った。

 トランプ政権の「我慢の限界」は近づきつつある。

 ボルトン氏は7日の番組で、マイク・ポンペオ国務長官が正恩氏との会談のため再訪朝する用意があることも明かした。訪朝が実現すれば、正恩氏自身が約束した「1年以内の非核化」を実行するよう、ポンペオ氏が迫る可能性もありそうだ。

【私の論評】北軍事攻撃の前にイランの惨状を金正恩と習近平にみせつけるトランプ政権(゚д゚)!

トランプ政権は、イランに対する制裁による窮状を北に見せつける腹であるのは明らかです。これにより、北を威嚇するだけではなく、その背後にいる中国にもかなりの脅威を与えることがトランプ政権の目論見であると考えられます。

イランの核合意離脱に伴いトランプ大統領は、「これまでで最も痛みを伴う制裁」を行うと表明しました。

トランプ大統領はかねてからイランと敵対関係にあることから、制裁は本格化し関係国にも大きな影響を与えるものと見られます。

これに対し、昨年の今頃は一触即発の危機にあった北朝鮮との関係は現在沈静化しています。それ自体は決してマイナス面ばかりとは言えないですが、では好ましい状況かと言えばそうも言えないです。

北朝鮮が本当に約束を守る国だと思っているのは、世界でも文在寅と日本の左翼くらいのものかもしれません。実際は現在でも北の軍拡が行われていると考えるのが自然です。

トランプ大統領もその辺りは百も承知でしょう。今度北朝鮮が約束を違反すれば、その時は中国もロシアも表面上は反対するかもしれませんが、それでも米国による北攻撃には反対できないでしょう。

米朝首脳会談でトランプ大統領がみせた融和的な態度

米朝会談のトランプ大統領の融和的な態度は、そのための「笑顔の」演出であったとみるべきでしょう。そうなると今回のイランへの制裁は北朝鮮と中国への見せしめでもあるみるのが妥当です。

トランプ政権は、核合意を離脱し、対イラン制裁を再開して、威勢よくイラン経済を追い詰めることにより、どれほどの損害と犠牲が出るかを北と中国に見せつけようとしているのです。

米国のドナルド・トランプ大統領は8月6日、対イラン制裁を再開する大統領令に署名しました。その前哨戦として米政府は今年5月、各国の反対を押し切って2015年に成立した核合意(包括的共同作業計画:JCPOA)から離脱しました。

米政府は声明で「アメリカ合衆国は、すべての経済制裁が実行されるよう全力を尽くし、イランと商取引のある国々とも密接に連携し、制裁を完全なものにするつもりである」と述べました。

CNNの報道によれば、今後イラン政府は、米ドルの購入ができなくなります。また、イランと金(ゴールド)や貴金属の取引のほか、黒鉛、アルミニウム、鉄鋼、石炭の直接的・間接的な供給も制裁対象です。

イラン通貨取引の大きな部分は禁じられ、イランの自動車産業も制裁対象となります。米国と欧州で製造された航空機をイランに販売することもできなくなります。

11月5日までには、米政府はイランのエネルギー部門に対する「核関連制裁」を完全実施し、イラン産原油の輸入禁止と、外国金融機関によるイラン中央銀行との取引禁止も始まる予定です。

トランプ大統領は8月6日、核合意は「一方的でひどい取引」だったと述べ、「イランの核兵器保有への道を完全に絶つという根本的な目的を達成することができないどころか、虐殺や暴力、混乱を拡大し続ける残忍な独裁政権に、現金という援助を差し伸べるものだ」と新ためて批判しました。

今回の大統領令を受けて、イランのジャバド・ザリフ外相は次のようにツイートました。「トランプ政権は、イラン国民のことを案じているふりをしている。それでいて、最初に科した制裁は、200機を超えるジェット旅客機の輸出を止めることだが、これこそイラン国民が生きるのに欠かせないインフラだ。アメリカの偽善には際限がない」

2015年Timeが選ぶ最も影響力がある100人のうちの一人に選ばれたムハマド・ジャバド・ザリフ氏

トランプの大統領令に先立ち、フランス、イギリス、ドイツの外相と、欧州連合(EU)の外交安全保障上級代表は8月6日に共同声明を発表し、アメリカ政府の決定について遺憾の意を表明しました。外相らはまた、ヨーロッパとイランの経済的な結びつきを守ることを約束しました。

実は、ルノーやプジョー、フォルクスワーゲンといったヨーロッパの自動車メーカーがイランに工場を持っていることから、イランの自動車生産台数は世界12位です。トランプ大統領は、イラン経済で最大かつ海外からの投資が最も多い部門に打撃を与えることになります。

イランの企業や政府と取引できなくなっても、米国企業はさほど困りません。イラン経済は米国に依存していないし、米国と強い結びつきを持っているわけでわもありません。影響が大きいのは、欧州の企業や政府のほうです。

トランプ大統領は、米国が彼らにとって最大の貿易相手国であることを盾に取り、イランとのつながりを断てと脅しているのです。

イランの通貨リアルは暴落しています。イランは外界に向けて完全に開放されていない最後の主要な新興市場です。8000万人の消費者を擁し、人々の教育水準は高く、貴金属など天然資源も豊富です。

米国による経済制裁は、少なくともトランプ大統領の任期が残っている間は、潜在力を発揮しようとするイランの取り組みにとって大きな打撃となることでしょう。

イランは自国に巨大な消費市場を持っており、3億人規模の消費者を擁する中東や北アフリカでは主要な工業国です。経済制裁は、原材料や主要部品へのアクセスを制限することで、イランの鋼鉄やアルミ、自動車といった産業に打撃を与えるよう計算されています。

過去数カ月の間に米国が経済制裁の再開に言及しただけで、2015年の核合意後に築き上げてきたあらゆる活気が勢いを失っています。

15年のリセッション(景気後退)後、イラン経済は16年に12.5%の成長を記録しました。今年も堅調な伸びを示すとみられています。国際通貨基金(IMF)の試算によれば、今年の経済成長率は4%です。しかし、これは、米国が核合意から離脱する前に計算されたものです。

核合意後は欧州の主要企業が数十億ドル単位の契約を次々と結んでいきました。しかし、資本調達と法人株主による投資の両方の観点から米金融街は重要であり、欧州企業は経済制裁第2弾のリスクに直面することはできません。

米国はイランの指導層と一般の人々との間に不和を引き起こし、最終的には政権交代を目指していると信じている人は多いです。米政府は政権交代について否定しています。

通過リアルの暴落は一般のイランの人々にとっては大きな打撃です。失業率は上昇し、特に若年層が厳しい状況に陥っています。輸入品のコストのせいでインフレも進んでいます。断続的な経済制裁が何年も続いていることでインフラへの投資が不十分なため水や電気が不足しています。

ハメネイ師を最高指導者とする政治体制は、穏健派とみられている政府と強硬派の軍とのバランスを取ろうとしています。人々からの圧力を受けるのは今後もロウハニ大統領ということになるでしょう。

ロウハニ大統領

米政府に対して強い不信感を抱いている強硬派が勢いづくのは間違いないです。強硬派はまた、国内のあらゆる場所に勢力を伸ばしていることから、イランが世界経済に対して完全に開かれた場合には失うものが最も多い存在でもあります。

テヘランなどの大都市では抗議デモが起きています。ところがその怒りは、トランプ大統領や米国ではなくハサン・ロウハニ大統領に向かっています。核開発より経済を優先してアメリカのオバマ前政権などと核合意にこぎつけたロウハニは今、イランの経済苦境の理由を国会で証言するよう、国会議員たちから迫られています。

イランの惨状はこれから、さらにエスカレートしていくことでしょう。ハメネイ師を最高指導者とする政治体制も崩壊するかもれしれません。そうなると、イランは混乱の巷になるはずです。

これは、北にとってはかなりの脅威となることでしょう。「核廃棄」をしなければ、北もイランと同じようなことになるということで、かなりの見せしめになるはずです。

このブログでは、米国の本命は米国を頂点する戦後秩序に挑戦しようとする、中国であると掲載してきました。また、米国と中国が直接軍事対決することは米国のドラゴンスレイヤー(対中国強硬派)ですら、現実的ではないとみなしていることを掲載しました。

しかし、北朝鮮を軍事攻撃することは、非現実的とはいえないかもしれません。米国は、北がイランの経済制裁の結果をみせつけてもなお、「核廃棄」をしなければ、北に軍事攻撃をするかもしれません。

そうして、それは中国に対して、最大級の脅威となることでしょう。これを米国が実行した場合、米国は中国本土は攻撃はしないものの、元々中国の領土ではない、南シナ海の環礁埋立地を米国が攻撃するかもしれないと危惧させるには十分であるといえます。

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