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2025年6月7日土曜日

夫婦別姓反対!日本の家族と文化を守る保守派の闘い

まとめ

  • われわれ保守派の反対:選択的夫婦別姓は日本の伝統と家族観を脅かす。われわれ保守派は家族の一体感と文化を守るため断固反対。
  • 法務委員会の議論:2025年6月6日、立憲・国民が別姓導入法案、維新が旧姓使用拡大法案を提出。自民は親子別姓の懸念で早期採決を拒否。
  • 法的基盤:2015年最高裁は夫婦同姓を合憲とし、民法750条で姓の選択自由を保証。2020年法務省調査で同姓支持が約60%。
  • 文化的基盤:夫婦同姓は2000年の「氏姓制度」に根ざす日本の独自文化。儒教圏とは異なり、レヴィ=ストロースやハンチントンがその独自性を指摘。
  • 新たな反対視点:「選択的夫婦別姓」は問題をぼかす策略。デジタル効率(総務省2023年)、心理的結束(2019年日本家族社会学会)、文化ブランド(2023年観光庁)から反対。選択的夫婦別姓をめぐる議論は、家族観と文化の核心を突く問題だ。われわれ保守派はこれを日本の伝統と未来への挑戦とみなし、断固反対する。最新の議論、法的・文化的基盤、新たな反対理由を整理し、現代的で斬新な視点を加えて提示する。

最新の法務委員会:別姓導入をめぐる攻防


2025年6月6日の衆議院法務委員会では、立憲民主党と国民民主党が夫婦別姓導入を目指す民法改正案を、日本維新の会が旧姓の通称使用拡大を目的とした法案を提出した。自民党の山下貴司氏は、親子が異なる姓になることで家族の一体感が損なわれると懸念。旧姓の通称使用拡大で対応可能とし、早期採決を拒否した。

立憲民主党の米山隆一氏は、別姓を選んでも家族の絆は同姓夫婦と変わらないと反論し、家族内に単一の「家族姓」は存在しないと説明した。公明党の大森江里子氏は、現行法の改姓強制に人権問題を認めつつ、慎重な議論を求めた。

6月10日の次回委員会では参考人質疑が予定される。立憲は来週中の採決を狙うが、自民は徹底した議論を主張し、調整が続く。石破茂首相は党議拘束について、過去の脳死関連法案での détachment例を挙げ、今回は価値観の根幹に関わらないとして慎重だ。森山幹事長は党の一致を強調。共産党の山添政策委員長は、拙速な採決のリスクを避け、継続審議も視野に入れる。

法的・社会的基盤:夫婦同姓の意義と策略の言葉


最高裁大法廷は2015年12月16日、夫婦同姓を「合憲」と断じ、氏の統一が家族の一体感と社会の秩序を支えると明言した。現行の民法750条は、結婚時に夫婦が夫または妻の姓を自由に選べる仕組みだ。2020年の法務省統計によれば、96%の夫婦が夫の姓を選ぶが、妻の姓を選ぶ選択肢も存在する。制度の欠陥を訴えるのは的外れだ。夫婦の話し合いで姓を決められる日本に、別姓を押し込む必要はない。

野党の一部は夫婦別姓を「進歩的トレンド」と持ち上げるが、われわれ保守派はこれを日本の伝統の軽視と断じる。「選択的夫婦別姓」という言葉は、別姓導入による家族の一体感への懸念を薄める策略だ。1996年の法務省法制審議会がこの言葉を打ち出した時、伝統を重んじる層の反発を和らげようとした意図は明らかだ。われわれ保守派は、この言葉が問題の本質をぼかすと警戒する。

夫婦同姓で500年後は「全員佐藤さん」という主張もある。これは、東北大学の2022年シミュレーションに基づくが、非現実的な前提(出生率や結婚パターンの不変性)を無視する。2023年厚生労働省データでは、国際結婚が年間約2万件(全結婚の約4%)で、外国姓の導入が進む。民法750条は夫婦が夫または妻の姓を自由に選べ、2020年法務省統計で96%が夫の姓を選ぶが、妻の姓を選ぶケースが佐藤姓の独占を抑える。2022年内閣府「地域コミュニティ調査」では、地方で姓の多様性が維持されている。過去50年でも佐藤姓は1.6%(1980年)から1.5%(2020年)とほぼ横ばいだ。この誇張された主張は、別姓導入の根拠として弱い。


デジタル社会では、姓の統一が行政の効率性を支える。総務省の2023年「マイナンバー制度の運用状況報告」では、家族情報の統合が姓の統一を前提に効率化されていると推測される。別姓導入はデータベースの複雑化とコスト増を招く可能性がある。米国では、別姓による家族情報の不一致が税務申告のエラーを生む例が報告されている(2021年IRS「Taxpayer Advocate Service Annual Report」)。この視点は、伝統論に現代の技術的現実を加えた新たな反対理由だ。

日本の文化と新たな反対視点:伝統と現代の融合

日本の夫婦同姓は、2000年以上の歴史に裏打ちされた文化の結晶だ。奈良時代から続く「氏姓制度」は、家族の連続性を重んじ、『日本書紀』や『続日本紀』にその記録が刻まれる。「夫婦同姓は明治になってからの伝統」という意見は、これを無視し、歴史を矮小化したものにすぎない。

儒教文化圏の中国や韓国では、宋代以降、男性中心の家系継承が女性の姓の保持を強いた。韓国では2008年まで夫婦同姓の選択肢がなく、今も別姓が標準で、女性は男性の姓を名乗れない。日本は夫婦が自由に姓を選べる「選択的夫婦同姓」の国だ。文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースは『野生の思考』(1962年)で、日本の家族構造が血縁より社会的な結びつきを重視すると論じた。サミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』(1996年)で、日本が儒教とは異なる文明圏を築いたと指摘した。

社会心理学では、姓の共有が家族の集団アイデンティティを強化する。2019年の日本家族社会学会調査(『家族社会学研究』Vol.31, No.2)では、同姓の夫婦が強い家族の一体感を感じ、子どもの社会的適応や自己認識に間接的な好影響を与えると報告された。別姓は子どもの社会的適応に微妙な影響を及ぼすリスクがある。

グローバル化の文脈では、夫婦同姓は日本の文化ブランドだ。2023年の観光庁「訪日外国人消費動向調査」では、訪日外国人の30%以上が日本文化全般に魅力を感じるとされ、家族文化はその一部と推測される。別姓導入は、この独自性を薄め、グローバルな均質化に流される危険をはらむ。2020年の法務省調査で、夫婦同姓を支持する声は約60%を占める。最高裁の判決と日本の歴史を顧みれば、夫婦別姓を「進歩」と呼ぶのは誤りだ。

われわれ保守派は、家族の絆、行政の効率、文化の独自性を守るため、別姓導入に断固反対する。これは単なる制度の話ではない。日本という国の魂をめぐる闘いだ。

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2025年6月4日水曜日

AIを装った人力詐欺:Builder.aiの破綻と技術の虚偽が暴く政治の闇

まとめ
  • 技術の虚偽による破綻:Builder.aiはAIを装った人力作業で売上水増しが発覚、2025年に破産。東芝やJDIも技術・財務の虚偽で危機に陥った。
  • 政治利用の暗部:DeepSeekはデータ送信疑惑で信頼を失い、中国の監視体制と結びつく。石破首相の消費税減税「1年」発言は誇張と批判され、財政優先の意図が疑われる。
  • 過去の類似事例:Cambridge Analytica、Theranos、ドットコムバブルのPets.comやWebvan、AIスタートアップのOlive AIなどが、技術誇張で失敗。
  • 対策の鉄則:個人は情報源検証、技術学習、批判的思考、迅速な対応を。企業は監査、透明性、専門家雇用、リスク管理を徹底。ドラッカーの「覚醒のショック」で他者を真実に導く。
  • 教訓:技術の虚偽は商業的・政治的不信を招く。歴史は繰り返す。真実を見抜くには検証と行動が不可欠だ。
関連Xポストのイメージ
技術の虚偽が招く破綻
英AIスタートアップBuilder.aiは、Microsoftやカタール投資庁から4億4500万ドル以上を集め、2023年に15億ドルの評価額を誇った。しかし、2025年5月、破産申請に追い込まれた。AIでアプリを自動開発する「Natasha」を謳ったが、実際はインドとウクライナの700人以上のエンジニアが手作業でコードを書き、AIは表向きの看板にすぎなかった。2019年のウォール・ストリート・ジャーナルがこの「AIウォッシング」を暴き、批判が殺到した。2024年の売上高は2億2000万ドルと予測されたが、実際は5500万ドル。300%の水増しだ。債権者のViola Creditが3700万ドルを差し押さえ、残高500万ドルでは運営が続かず、600人近い従業員の8割を解雇。米国司法省とSECが証券詐欺の疑いで調査を開始した。元従業員の告発や顧客の怒り(「65,000ドルを無駄にした」との声)が、信頼の崩壊を加速させた。

人力AIのイメージ AI生成画像

日本の事例も衝撃的だ。2015年、東芝は1520億円の利益水増しが発覚。PCや半導体事業の損失を隠し、監査法人と癒着していた。株価は暴落、経営陣は辞任に追い込まれた。ジャパンディスプレイ(JDI)は、Apple向けディスプレイ技術を誇張し、政府系ファンドから巨額の資金を得たが、技術の遅れで2019年から経営危機に陥った。これらは、技術の誇張と不透明なビジネスモデルの危険性を突きつける。
政治利用の闇
テクノロジーの虚偽は政治にも及ぶ。2016年のCambridge Analyticaはデータ分析を誇張し、選挙操作を謳った。2023年には、ディープフェイクが米国選挙で偽動画を拡散。中国のDeepSeekは、2025年に生成AIの低価格モデルで注目されたが、データプライバシーの疑惑が噴出。米ABC(2025年2月4日)は、コードに中国移動通信のサーバーへ個人情報を送信する機能が隠されていたと報じた。台湾は著作権違反や思想検閲のリスクで全面禁止を決定(ロイター、2025年2月5日)。韓国も外務省や銀行が接続を遮断(朝鮮日報、2025年2月8日)。OpenAIからのデータ不正入手疑惑も浮上(ブルームバーグ、2025年1月30日)。中国の社会信用システムは「公共の安全」を名目に市民監視を強化。DeepSeekの疑惑は、国家によるデータ悪用の危険性を示す。

日本でも、2025年5月21日、石破茂首相が党首討論で「消費税減税にはレジシステム変更に1年かかる」と発言。減税を避ける姿勢が透ける。しかし、産経新聞(2025年5月30日)は、小売店経営者が中小では「1日でできる」大手で「3カ月で対応可能」と反論したと報じた。コロナ禍でドイツなど30カ国が迅速に減税した事実とも矛盾する。朝日新聞(2025年5月31日)は「ほぼ正確」と擁護したが、産経新聞(2025年6月1日)は「事実と乖離し、国民の不信を招く」と批判。財政健全化を優先する政治的意図が疑われる。

石破首相はとにかく消費税減税したくないようだ

2000年のドットコムバブルでは、Pets.comが3億ドルを溶かし、Webvanが8億ドルを無駄にした。2010年代のTheranosは血液検査技術を偽り、9億ドルを集めたが2018年に解散。米国のOlive AIは医療AIを謳い10億ドルを集めたが、効果の乏しさで2023年に事業停止。Inflection AIは生成AIで15億ドルを調達したが、独自技術の不足で2024年に崩壊。Ghost Autonomyは自動運転AIで2億2000万ドルを得たが、非現実的な計画で2024年に終焉。
騙されないための鉄則
虚偽に騙されない方法は明確だ。個人は、情報源を多角的に検証する。海外メディアや産経新聞を参照し、Builder.aiやDeepSeekの疑惑を見抜く。AIやシステムの基本を学び(例:CourseraのAI講座)、石破発言のような誇張を判断する。批判的思考を磨き、「革新的」との主張に根拠を求める。Redditで専門家の意見を聞く。迅速な対応も不可欠だ。明らかな間違いには、細かな検証を後回しにしても即座に対処する。DeepSeekの禁止措置は、台湾や韓国が迅速に行動した好例だ。

「デューデリジェンス」は日本語で「適正評価」や「事前調査」と訳される。文脈によっては「詳細な調査」や「リスク評価」とも表現される。

企業は、デューデリジェンスを徹底し、技術や財務の第三者監査を要求。透明性を確保し、専門家を雇い、リスク管理を強化する。東芝やJDIの失敗は、こうした対策の欠如が招いた。他者が虚偽に騙されている場合、ピーター・ドラッカーの言葉を借りれば、「覚醒のためのショック」が必要だ。ドラッカーは、誤った前提に囚われた者には、場合によっては劇的な事実やショックが意識を変えると説いた(『マネジメント』)。Builder.aiの破綻やTheranosの詐欺を周囲に伝え、過剰な期待を打ち砕く。時には、内部告発者のように勇気ある行動が真実を浮き彫りにする。

Builder.aiの人力AI詐欺、DeepSeek、石破発言は、技術に関する誇張がもたらす危険を突きつける。ドットコムバブルからAIブームまで、歴史は繰り返す。目を覚まし、検証を怠るな。それが、真実を見抜く唯一の道だ。

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 2018年5月31日

2025年4月26日土曜日

英紙の視点「トランプ関税によって日本が持つ圧倒的な“生存本能”が試されている」—【私の論評】トランプ関税に挑む日本の魂:フィナンシャル・タイムズの浅薄な幻想

英紙の視点「トランプ関税によって日本が持つ圧倒的な“生存本能”が試されている」

まとめ
  • グローバル化の危機: トランプ2期目の保護主義政策(関税重視、移民批判)やHSBC会長の「グローバル化終焉」発言により、世界経済を支えたグローバル化が揺らぎ、歴史的転換期を迎えている。
  • 日本のグローバル化による成長: 日本は戦後約80年間、グローバル化の恩恵で経済大国に躍進(1960年代後半に世界2位)、海外展開で企業収益を拡大し、世界経済と連動した成長を遂げた。
  • 平和と貿易の戦略: 資源不足を貿易で克服し、米軍の保護下で平和主義的な起業家精神を発揮、「沈まない空母」として地政学的地位を確立し、文化大国としての富を築いた。
  • トランプ政権の影響: 関税政策や日米安保への疑念が日本に経済的・地政学的打撃を与える可能性が高く、関税免除失敗などで国内の不安が増大している。
  • 日本の生存本能: 明治維新や戦後復興で示した適応力とプラグマティズム(イデオロギーを捨て生存優先)を発揮し、過去の迅速な戦略(例:天安門事件後の中国進出)を活かして危機を乗り越える可能性がある。

トランプ2期目の発足により、世界経済を支えてきたグローバル化が深刻な危機に瀕している。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、明治維新と戦後復興という二つの歴史的転換期を乗り越えた日本の「生存本能」に注目し、この激動の時代を生き抜くヒントがあると論じる。グローバル化は長年、政治指導者や企業経営者、歴史家に支持され、世界に安定と繁栄をもたらしてきたが、トランプ大統領の関税重視政策や副大統領J・D・バンスの移民批判、さらにはHSBC会長の「グローバル化終焉」発言により、その基盤が揺らいでいる。

日本は戦後約80年間、グローバル化の恩恵を最大限に受け、1960年代後半には世界第2位の経済大国に躍進。バブル崩壊で中国に抜かれた後も、企業の海外展開を加速させ、売上高は1991年比で約3倍に成長した。CLSA証券のストラテジストは、日本企業の収益が世界経済の動向と密接に連動していると指摘。平和主義的な起業家精神と貿易で天然資源不足を克服し、米軍の保護下で「沈まない空母」として地政学的地位を確立、文化大国としての富と国際的影響力を築いた。

しかし、トランプ政権の保護主義や日米安保への疑念は、日本に経済的・社会的な打撃を与える可能性が高い。2月の石破茂首相の訪米は成功とされたが、関税免除の約束を取り付けられなかったことで国内の不安が高まる。それでも日本は、過去の適応力とプラグマティズムで知られ、1989年の天安門事件後の中国進出のような迅速な戦略でグローバル化を活用してきた。明治維新や戦後復興期に示した「イデオロギーを捨て生存を優先する」姿勢は、少子高齢化や人口減少に直面する現代でも有効だ。日本の比類なき生存本能が、トランプ政権下の新時代でどのように発揮され、危機を乗り越えるのか、その展開が大いに注目される。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】トランプ関税に挑む日本の魂:フィナンシャル・タイムズの浅薄な幻想

まとめ
  • 天皇を中心とする霊性の文化の重要性:日本の真の力は、天皇を頂点とする霊性の文化に根ざし、これは日本人の魂の基盤であり、捨てれば日本のアイデンティティが失われる。
  • フィナンシャル・タイムズの誤った分析:記事は明治維新や戦後復興の適応力を称えるが、霊性の文化を無視し、グローバル化の終焉やトランプの脅威を誇張、プラグマティズムを過剰に礼賛する。
  • 明治維新の成功とドラッカーの洞察:ドラッカーは、明治維新が「和魂洋才」で天皇の文化を守りつつ西洋技術を融合させたため成功したと評価、世界が日本に学ぶべきだと説く。
  • 中国国交回復の誤り:1972年の中国との国交回復は、霊性の文化を軽視した近視眼的判断であり、中国の台頭とサプライチェーンの脆弱性を招いた失敗。
  • 現代日本の試練と使命:少子高齢化や技術遅れに直面する日本は、天皇の霊性の文化を保持しつつ、新たな戦略で人口減少や技術の壁を克服する必要がある。
 関税男(tarrif man)を自認するトランプ大統領

トランプの関税が世界を揺らし、日本の真価が試されている。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、明治維新や戦後復興の適応力を称えるが、その目は曇っている。日本を動かすのは、天皇を頂点とする霊性の文化だ。これは単なる観念ではない。日本人の魂の根底に流れる、生きる力そのものだ。これを捨てれば、日本は消える。ピーター・ドラッカーは、明治維新の奇跡をこの文化の力に帰し、世界が日本に学ぶべきだと断言する。フィナンシャル・タイムズは、この真実を見ず、浅薄な危機論と空疎な楽観論に溺れる。その誤りを、暴く。

グローバル化の終焉? 日本の不屈の力

フィナンシャル・タイムズは、トランプの保護主義やHSBC会長の言葉を振りかざし、「グローバル化の終焉」を騒ぐ。だが、これは誇張だ。世界貿易機関(WTO)の2024年データでは、世界貿易量は3.2%増と堅調だ(WTO推計)。日本企業の海外売上高は1991年比3倍に跳ね上がり、グローバル化の力を証明する(JETROデータ)。トランプの関税は自動車産業を苦しめるが、ASEANへのサプライチェーン移行やデジタル経済が新たな道を切り開く。記事は、この現実を無視し、終焉の幻想に囚われる。

日本の戦後成長をグローバル化と米国の庇護だけに帰するのも的外れだ。1960年代の高度成長は、内需とインフラ投資が牽引し、輸出はGDPの10%未満だった(経済企画庁データ)。土地改革、財閥解体、教育投資、通産省の産業政策が経済を鍛えた。ソニーやトヨタの技術、アニメやJ-POPの文化が世界を魅了した。日本の強さは、天皇を中心とする霊性の文化に根ざす。記事は、この魂の力を軽んじ、表層的な物語に逃げる。

トランプの影と日本の底力

下関戦争の写真

記事は、トランプの関税や日米安保への疑念が日本を「経済的・地政学的に叩きのめす」と煽る。笑止千万だ。日本の経済は多角化し、2024年の輸出先は米国(18%)、中国(17%)、ASEAN(15%)が拮抗する(JETROデータ)。関税の衝撃は限られ、円安(2025年4月時点で1ドル=150円)が輸出を後押しする。観光業や半導体の内需も盾となる。日米安保への疑念はトランプの虚勢に過ぎず、米国のアジア戦略における日本の価値は不動だ。記事は、日本の底力を侮る。

「圧倒的なプラグマティズム」を礼賛するが、その中身は空疎だ。幕末の尊皇攘夷は、単なる打算ではない。天皇を頂点とする霊性の文化が、外国への抵抗(長州藩の攘夷決行)や国家観を燃やした。薩摩や長州が開国に転じたのは、武士の内紛や欧米の軍事力(1863年の薩英戦争)との対峙が生んだ苦渋の選択だ。明治維新を打算の勝利と飾る記事は、尊皇攘夷の魂を見ない。ドラッカーは、明治維新の成功を、天皇中心の文化を守ったことに帰す。日本の適応力は、霊性と現実の融合にある。記事はこの真実を踏みにじる。

霊性の魂と未来への挑戦


記事が掲げる「イデオロギーを捨てろ」は、日本の魂を切り裂く暴論だ。天皇を頂点とする霊性の文化は、神道や仏教に根ざし、日本人の心を結ぶ。これは観念ではない。生きる力の源だ。尊皇攘夷、明治維新の神道復興(1868年の神仏分離令)、 当時世界的に見ても先進的だった大日本帝国憲法、伝統文化(茶道、能)の保護は、この霊性が導いた。

ドラッカーは、明治維新が「和魂洋才」で西洋技術を日本の魂に溶かし込んだからこそ、非西欧で唯一の成功例となったと喝破する。インドやペルシャが西洋化で躓いた時、日本は天皇の文化を守った。ドラッカーは、グローバル化と文化の衝突を乗り越えるには、「変わるもの」(技術革新)と「変わらないもの」(天皇の霊性の文化)の調和が必要だと説く。天皇は、この「変わらないもの」の守護者として、戦乱やコロナ禍でも日本を支えた。記事は、この魂を無視し、打算に話をすり替える。

この打算の過信は、1972年の中国との国交回復にも表れる。これは明らかに間違いだった。日本の指導者は、経済的利益と国際的調和を期待し、中国共産党との関係を急いだが、これは日本の霊性の文化を軽視した近視眼的判断だ。中国は、その後の経済的台頭(2024年GDPは米国に次ぐ2位)と軍事的膨張(南シナ海の領有権主張)で、アジアの安定を脅かす。

日本企業は中国市場に依存し、サプライチェーンの脆弱性を露呈した(2024年、半導体供給網の混乱)。国交回復は、短期的な利益を追い、天皇中心の価値観や地政学的慎重さを蔑ろにした失敗だ。記事が称える「プラグマティズム」は、こうした歴史的誤りを正当化する危険な幻想である。

現代日本の試練は重い。少子高齢化(2025年で人口の29%が65歳以上)、労働力不足、官僚の硬直性が足枷だ。1989年の中国進出は輝いたが、米中対立と中国の減速(2024年GDP成長率4.5%)下では危険だ。エネルギー高騰やサプライチェーンの混乱も重荷だ。記事はこれを軽視し、「生存本能」と曖昧に逃げる。明治維新や戦後復興は、伊藤博文や吉田茂の外交手腕、若年人口の活力と国際環境に恵まれたが、今は違う。原発再稼働の遅れやデジタル化の停滞が、打算の限界を晒す。トランプ関税への具体策(FTA拡大、産業再編)も示さず、記事は空虚だ。

結論

フィナンシャル・タイムズは、トランプ関税が日本の力を試すと見抜くが、肝心な点で躓く。「圧倒的なプラグマティズム」は中身がなく、尊皇攘夷の魂、天皇を頂点とする霊性の文化を見ず。この文化は観念ではなく、日本人の魂の基盤だ。これを捨てれば、日本は消える。1972年の中国国交回復は、打算の過信が招いた誤りだ。

ドラッカーは、明治維新の奇跡を天皇の文化の力に帰し、世界が学ぶべきだと叫ぶ。記事は、グローバル化の終焉やトランプの脅威を誇張し、高齢化や技術の遅れの試練を軽んじる。その分析は、薄っぺらい危機論と楽観論の寄せ集めだ。日本の使命は、天皇の霊性の文化を守り、人口減少や技術の壁を打ち破る新たな道を切り開くことだ。トランプの嵐など、日本の魂の前では、ただの風だ。

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2025年4月20日日曜日

金子洋一氏Xにポスト 「子孫のツケ」論が招く貧困➖【私の論評】経済政策の勝敗を決める直感と暗黙知:高橋是清の成功の教訓

 金子洋一氏Xにポスト 「子孫のツケ」論が招く貧困




【私の論評】経済政策の勝敗を決める直感と暗黙知:高橋是清の成功の教訓

まとめ
  • 直感に基づく経済政策の成否は暗黙知に依存する。高橋是清の関東大震災復興(1923年)と積極財政(1930年代)は、暗黙知に支えられた直感が現実の問題を捉え、国債活用で成功した。
  • 高橋の暗黙知は、財政・金融の実務経験から生まれた「経済停滞の解決策」の直観であり、ケインズ理論(1936年)以前にその実践がケインズの形式知の礎となった。
  • 失敗例(1987年の日本リゾート法、2022年のトラス減税)は、暗黙知の欠如で経済の複雑さや制約を見誤り、信頼を失い混乱を招いた。
  • 金子洋一氏の語る「r<gなら債務の重みは低下」は、暗黙知と結びつくと国債の有効性を示すが、暗黙知がなければ形式知は空回りする。
  • 成功には暗黙知で現実を捉え、国債で負担を分散し、信頼を保つことが不可欠。トランプ関税のような外部ショックへの対応も、暗黙知と形式知の融合が効果を上げる。

高橋是清(中央の人物)
直感に基づく経済政策が成功するか失敗するかは、何が決めるのか。金子洋一氏は「政府債務のコストは国債利子率r-名目経済成長率gで決まる。r<gなら債務の重みは低下する」と喝破する。これは正しい。米国や日本のような国では、この法則が債務の負担を軽くする。

トランプ関税のような外部ショックが襲えば、誰もが「国内の景気を下支えしよう」と考える。それが直感だ。この直感が、経済政策を動かす鍵となる。だが、直感は時に大成功を呼び、時に大失敗を招く。その差は何か。歴史の事例を紐解き、高橋是清の鉄橋と暗黙知の力を軸に、その核心に迫る。

まず、成功の物語だ。1930年代、世界恐慌で日本はデフレと失業に喘いでいた。高橋是清蔵相は「経済にお金を流せば動く」と直感し、緊縮財政を捨てた。公共事業と軍事支出を増やし、日銀に国債を引き受けさせて通貨供給を拡大。円安で輸出を刺激し、1930年から1935年で工業生産は80%も増えた。工場が動き、雇用が戻り、街に活気が蘇った。国民は「経済が動き出した」と実感した。

これはケインズ理論の登場(1936年)より前だ。高橋には理論的裏付けなどなかった。蔵相や日銀副総裁の経験から生まれた現実感覚が、彼を突き動かした。この直感は、ケインズが有効需要の理論を形式知としてまとめる礎となり、彼の実践が後の経済学に影響を与えた。

高橋の直感は、1923年の関東大震災復興でも輝いた。東京や横浜が壊滅し、江東地区の木造橋が焼失。蔵相として復興を主導した高橋は、税金だけで賄えば現世代が貧困に沈むと直感。国債を発行し、資金を調達した。頑丈な鉄橋や道路を建設し、コストを将来に分散。現世代と将来世代の負担を公平にしたのだ。

これらの鉄橋は、1945年の東京大空襲で避難路となり、多くの命を救った。戦後80年経ても、たとえば江東新橋は今も経済活動を支え、ドラマの舞台にもなる。もし税金だけで賄っていたら、当時の日本は貧困に喘ぎ、その後の世代は鉄橋の便益も十分活かせなかっただろう。この成功体験が、1930年代の積極財政を後押しした。国債で長期プロジェクトを賄う鉄橋の歴史は、その正しさを雄弁に物語る。

江東新橋
では、失敗はどうか。1987年の日本、リゾート法は「観光で地方を活性化する」と直感したが、過剰融資と投機で土地価格が急騰。日銀は物価が安定しているのに金融引き締めに踏み切り、バブル崩壊を加速させた。
不良債権は80兆円に膨らみ、地方経済は苦しんだ。2022年の英国では、リズ・トラス首相が「減税で即成長」と直感。財源の裏付けなく大規模減税を発表し、市場がパニックに。ポンドは急落、国債利回りが急騰、年金基金が危機に瀕した。数週間でトラスは辞任。経済は混乱した。これらの失敗は、直感が経済の複雑さや現実の制約を見誤り、信頼を失った結果だ。
成功と失敗の分岐点は、暗黙知にある。本ブログ記事(2025年4月19日)では、暗黙知を「経験や観察から得た、言葉にしにくい知識」と定義するとした。高橋の暗黙知は、財政・金融の実務で磨かれた「経済停滞の原因と解決策」の直観だ。震災復興では、国債で負担を分散すれば現世代の貧困を防ぎ、将来に便益を残せると見抜いた。
1930年代では、需要不足を財政と金融で解消できると確信した。この暗黙知が、金子氏の「r<gなら債務の重みは低下」という形式知を活かした。暗黙知があれば、r<gは国債が経済成長で債務負担を軽減することを明確に示す。高橋はr<gの状況を直感的に理解し、国債を効果的に使った。

昨年破綻したリゾート運営会社

逆に、暗黙知が欠如すると、r<gの形式知は意味をなさない。リゾート法はバブルの過熱を見誤り、日銀の引き締めは物価の現実を無視。トラスは市場の反応を読み切れなかった。暗黙知がないと、形式知は空回りし、経済の複雑さに対応できない。

直感は、暗黙知に支えられて初めて力を発揮する。暗黙知があれば、トランプ関税のような外部ショックへの景気下支えも効果を上げる。r<gの形式知は、暗黙知と結びついて国債の有効性を示す。暗黙知の支えがない人にとっては、それが現実と結びつかず、単なる数式にすぎない。高橋の鉄橋と積極財政は、暗黙知が直感を成功に導き、ケインズの形式知の礎となった。

そうして、今では暗黙知のあるなしにかかわらず形式知によって財政政策の方向性は誰が実施しても、間違いがないようになっている。にもかかわらず、なぜ日本の財政政策は間違い続けてきたのだろうか。

日本では、1997年や2014年の消費税増税はデフレ下で消費を冷やし、GDPを押し下げた。財務省の「財政健全化」はr<gを無視。1987年のリゾート法はバブルを過熱させ、日銀の誤った引き締めで不良債権80兆円に。政治家や官僚は形式知を装った、財務省の嘘の論理に流され、現場の暗黙知を磨かず、コロナ禍の追加給付も見送り消費回復を遅らせた。

失敗は、暗黙知の欠如で現実を見誤り、信頼を失うことから生じる。高橋の成功は、暗黙知の力を証明する。経済政策の未来は、暗黙知と形式知の融合にかかっている。都内の丈夫な鉄橋をはじめとして、形式知の正しさを裏付ける暗黙知の見本は、古今東西を見回せばいくらでもある、それを漫然と見過ごすか、見過ごさないかで、大きな違いが出てくるようだ。

暗黙知に裏付けられた、形式知はほど強いもはない。私は、これを見過ごさなかったのが、高橋是清であり安倍晋三という政治家だったのだと思う。だかこそ、高橋は直感で、勇気を持って当時は多くの人に理解されなかった政策を行い日本経済を立て直し、安倍は貿易面で筋を通して、トランプ大統領に現実を認識させ、説得できたのだと思う。

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2025年4月19日土曜日

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自民党は「野党に転落」する…! 自民党が「派閥解消」で”自爆”へ、参議院選挙で「自民党大敗」の「ヤバすぎる事情」

まとめ

  • 「背骨勉強会」の問題点: 自民党が派閥解消後に設立した「背骨勉強会」は、座学中心のアプローチで政治を教えようとするが、政治に必要な「実践知」を軽視しており、滑稽だと批判されている。
  • オークショットの理論: マイケル・オークショットは、知識を「技術知」(明示的・伝達可能)と「実践知」(経験や人間関係で育まれる暗黙の知性)に分け、政治は実践知が中心だと強調。派閥は実践知を養う場だった。
  • 自民党の危機: 派閥を廃し、座学に頼る自民党は、先人たちの築いた人間性や実践知の伝統を軽視。岩田温氏の著書は、この誤りが自民党の衰退や野党転落を招くと警告。

自民党が派閥解消後に新人議員や立候補予定者の教育を目的として設立した「背骨勉強会」は、座学中心の取り組みが政治に不可欠な「実践知」を軽視しているとして、永田町で物議を醸している。

政治哲学者マイケル・オークショットは、知識を「技術知」(明示的で体系化され、伝達可能な知識、例: マニュアルや手順)と「実践知」(経験や文脈に根ざし、言語化が難しい暗黙の知性、例: 対人関係の機微や状況判断)に分類し、政治においては実践知がより重要だと説く。

たとえば、2024年秋の自民党総裁選に出馬した元大蔵官僚の小林鷹之氏は、派閥で酒席での上下関係や人間性を学ぶことで実践知を磨いたと語り、こうした知性は実践の場でのみ養われると指摘。

派閥は、政策だけでなく人間性や政治的直感を鍛える教育機関としての役割を果たしてきた。しかし、自民党は派閥を解消し、座学による「技術知」の習得に頼る方向にシフト。岩田温氏の著書『自民党が消滅する日』は、先人たちが築いた実践知の伝統を軽視し、人間性を育む機会を失ったこの誤った姿勢が、自民党の衰退を加速させ、野党転落やさらなる危機を招くと鋭く警告している。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】自民党「背骨勉強会」の失敗を暴く!暗黙知とドラッカーが示す政治の危機

まとめ
  • 背骨勉強会の限界:自民党の「背骨勉強会」は座学中心で、オークショットの「技術知」に偏り、「実践知」を軽視。派閥が担った政治的センスや人間性の育成が欠如。
  • 暗黙知の欠如:野中郁次郎のSECIモデルに基づく暗黙知の社会化・外化が不足。派閥の対話や実践の場がなく、勉強会は形式知の注入に終始。
  • ドラッカーの視点:ドラッカーの「実践を通じた知識の適用」や「顧客の創造(政治では国民への価値提供」が欠け、勉強会は国民への価値提供や信頼回復につながらない。
  • 組織学習の停滞:SECIモデルでは知識は個人から組織へ拡大するが、勉強会は党全体の学習や政治文化の変革を促せず、適応力が低下。
  • 自民党の危機:政治資金収支報告書不記載問題や支持率低下(20%台、2024年5月)の背景に、暗黙知の更新不足と成果志向の欠如がある。対話と実践が必要、そのための場としての派閥も必要
自民党の「背骨勉強会」をめぐる議論が熱を帯びている。マイケル・オークショットの「技術知」と「実践知」の枠組みでその限界を鋭く批判する上の記事を、経営学の「暗黙知」と「形式知」、ピーター・ドラッカーの視点、そして野中郁次郎のSECIモデルの観点から見直す。新たな光が当たる。派閥を失った自民党の教育体制は、なぜ機能しないのか。2024年夏の参議院選挙を前に「自民大敗」の声が高まる中、その答えを探る。

背骨勉強会の限界:技術知への偏重

マイケル・ジョセフ・オークショット

「背骨勉強会」は、派閥解消後の自民党が新人や中堅議員を鍛えるために2024年3月から6月まで7回開催した講義プログラムである。対象は当選4回以下の衆院議員、当選2回以下の参院議員、立候補予定の新人や元職。約80~94人が参加し、戦前史や国家観、保守思想を学んだ(産経新聞、2024年3月)。だが、上の記事はこれを痛烈に批判する。

オークショットの「技術知」、つまり明示的でルール化された知識に偏り、政治に不可欠な「実践知」、すなわち経験や人間関係で磨かれる暗黙の知性を軽視している、と。派閥は酒席での上下関係や人間性を鍛える場だった。それを捨て、座学で政治を教え込もうとする自民党は、衰退の道を突き進む。2024年夏の参院選を前に「自民大敗」の予測が飛び交うのも、こうした教育の失敗が背景にある(朝日新聞世論調査、2024年5月)。

経営学の「暗黙知」と「形式知」の視点で見ると、勉強会の欠陥が浮き彫りになる。形式知は文書やデータで共有可能な知識だ。勉強会の講義、たとえば日本国中の解説や保守思想の歴史はこれに当たる。伊藤哲夫氏(日本政策研究センター代表)の戦後レジーム分析は、データと理論に基づく形式知である(自民党公式サイト、2024年3月)。これはオークショットの技術知と重なり、政策や歴史の理解に役立つ。

だが、野中郁次郎のSECIモデルは、知識創造には形式知と暗黙知(言語化しにくい個人内在の知識)の相互変換が必要だと説く。SECIモデルは、知識創造を4つのプロセスで説明する。社会化(暗黙知の共有)、外化(暗黙知の形式知化)、結合(形式知の統合)、内化(形式知の実践化)だ。このサイクルが個人から組織へと知識を広げ、イノベーションを生む(『知識創造企業』、1995年)。

勉強会は結合や内化に偏り、社会化や外化が欠けている。派閥では、ベテラン議員が若手に酒席で政治の「空気」を教え、暗黙知を共有した。ある若手議員は「先輩の交渉のタイミングを見て学んだ」と振り返る(匿名インタビュー、2024年)。だが、勉強会は一方的な講義だ。参加者間の対話や実践を通じた暗黙知の共有はない。参加者の一人は「講義は勉強になったが、現場でどう活かすかわからない」と漏らした(読売新聞、2024年6月)。これは政治的センスや実践力を育む機会の喪失である。

派閥の価値と暗黙知の力
野中郁次郎

暗黙知の視点は、派閥の価値をさらに明らかにする。上の記事では、2024年総裁選候補の小林鷹之氏が「派閥で酒席の上下関係を学んだ」と語り、実践知の重要性を強調する。暗黙知の観点では、これは政治家としての思考のフレームや人間関係のコツを築くプロセスだ。野中は、こうした暗黙知は対話やメタファーで形式知化できると指摘する。

トヨタの生産方式では、職人の暗黙知(例:機械の音の違いを聞き分ける感覚)をOJTで共有し、作業手順書に変換する。「カイゼン会議」で作業員が経験を語り、暗黙知を外化するのだ(野中・竹内、1995年)。勉強会にはこうした場がない。参加者は講師の形式知を受け取るだけで、自身の経験や直感を共有できない。政治の「肌感覚」を磨く機会が失われている。

ドラッカーの視点は、勉強会の構造的欠陥をさらに暴く。ドラッカーは『マネジメント』(1973年)で、知識社会の組織は知識労働者の自律性と継続的学習に支えられると説く。知識は実践で初めて意味を持つ。勉強会の講義形式は、ドラッカーが嫌う「情報偏重」に近い。

受動的な学習で終わり、参加者が自身の暗黙知を振り返り、判断力を磨く機会がない。ドラッカーは知識労働者に「強みを活かし、自己開発を続ける」ことを求める。GEのCEOジャック・ウェルチは部下との対話で経営の暗黙知を磨き、組織を変革した(『ポスト資本主義社会』、1993年)。勉強会にはこうした実践が欠ける。

さらに、ドラッカーは組織の目的を「顧客の創造」と定義する。政治なら国民への価値提供だ。だが、勉強会は内向きの教育に終始する。2024年の政治資金収支報告書不記載問題で自民党の支持率は20%台に落ち、国民の不信感が広がる(朝日新聞、2024年5月)。勉強会は信頼回復や政策成果に結びつかない。ドラッカーの言葉を借りれば、「効率は高いが、効果はゼロ」だ。

自民党の危機:組織学習の欠如

ドラッカー

暗黙知・形式知の視点は、組織学習の欠如を浮き彫りにする。SECIモデルでは、知識創造は個人から組織へと広がる。だが、勉強会は個人への知識注入で終わり、党全体の学習やイノベーションにつながらない。派閥は若手がベテランの暗黙知を吸収し、党の政治文化を継承する場だった。安倍晋三氏は若手時代、派閥の会合で先輩の交渉術を学び、後に外交で活かした(『安倍晋三回顧録』、2023年)。

派閥解消後、この機能は失われた。勉強会は代替にならない。政治評論家の田崎史郎氏は、2024年の政治資金収支報告書不記載問題を背景に「自民党の政治文化が見直されるべき」と指摘する(日本テレビ『スッキリ』、2024年2月)。暗黙知の視点では、「永田町の論理」といった暗黙の慣習が問題の根源だ。勉強会が若手に形式知を押し付けるだけでは、党の暗黙知や倫理観は変わらない。組織としての適応力は落ちる一方だ。

暗黙知の伝承には時間と対話が必要だ。だが、勉強会は7回で終了し、継続的なメンタリングや実践の場がない。野中は、暗黙知の社会化には「フェイス・トゥ・フェイスの対話」が欠かせず、異なる視点の交差がイノベーションを生むと説く。

アップルのスティーブ・ジョブズは、チームの対話で暗黙知を共有し、iPhoneのデザインを生み出した(ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ』、2011年)。勉強会は、保守系議員の批判(例:青山繁晴氏の「背骨は自主憲法制定」発言、ニコニコ生放送、2024年4月)を受け、議論の場として一部機能したが、党全体の暗黙知を更新するには不十分だ。さらなる対話と実践が必要である。

オークショットの批判は、勉強会の技術知偏重が政治の複雑さを無視すると訴える。だが、暗黙知・形式知とドラッカーの視点は、もっと深い問題を突く。知識の流れが止まっている。組織学習が機能していない。国民への成果が欠如している。勉強会は形式知に偏り、派閥の暗黙知の共有機能を代替できない。党の政治文化を変革し、適応力を高める力はない。

ドラッカーの視点では、議員の強みを活かす仕組みや国民への価値提供が欠けている。自民党が政治資金収支報告書不記載問題や信頼喪失を乗り越えるには、座学だけではなく、対話と実践で暗黙知を磨き、ドラッカーの言う「成果」を追う仕組みが必要だ。オークショットの警告を超え、組織の知識創造と目的の欠如を突きつけるこの視点は、自民党の危機の本質を明らかにする。

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2025年3月5日水曜日

ウクライナと米国、鉱物資源で合意か トランプ氏が演説で発表意向 米報道―【私の論評】ウクライナ戦争はいつ終わる?適切なタイミングを逃したゼレンスキーと利権の闇

ウクライナと米国、鉱物資源で合意か トランプ氏が演説で発表意向 米報道

まとめ
  • トランプ米政権とウクライナが鉱物資源(レアアース)の共同開発合意を計画し、トランプ大統領が3月5日の施政方針演説で発表意向を示したものの、2月28日のゼレンスキー大統領との首脳会談が決裂し、署名に至っていない。
  • 会談での激しい対立によりウクライナ側がホワイトハウスから退去させられ、合意は未署名のまま流動的だが、ゼレンスキー氏は協議を続ける意向を示し、トランプ氏との言い合いを「残念」と表現した。

トランプ、ゼレンスキーの会談は決裂

 トランプ米政権とウクライナが鉱物資源に関する合意に署名する計画が報じられた。トランプ大統領は3月5日の施政方針演説でこの合意を発表する意向を示したが、2月28日のゼレンスキー大統領との首脳会談が決裂し、署名は実現していない。

 会談では激しい言い合いとなり、ウクライナ側がホワイトハウスから退去させられた。合意はまだ署名されておらず、状況は流動的。ゼレンスキー氏は協議継続の意向を示しつつ、トランプ氏との対立を「残念」と述べた。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたいかたは、元記事をご覧になってください。

【私の論評】ウクライナ戦争はいつ終わる?適切なタイミングを逃したゼレンスキーと利権の闇

まとめ
  • 戦争は適切なタイミングで終えるべきだという鉄則があらゆる戦争に当てはまる。戦略的バランスを重視する米戦略家ルトワックは、ウクライナ戦争をロシアの誤算と膠着状態とみなし、住民投票による妥協的終戦を提案した。
  • 日露戦争は適切なタイミングで終わった好例だ。日本は成果を上げつつ国力の限界で1905年に終戦を選び、歴史家半藤一利が「絶妙な判断」と評価する。
  • 戦争が長引くと、ゼレンスキーの権力維持や西側の戦争継続派(EUリベラル派、米民主党、ネオコン)の利権が強まる。ウクライナ戦争では支持率65%を維持するゼレンスキーだが、終戦後、パナマ文書疑惑や経済難で地位が危うくなるのは確実。
  • 第一次世界大戦やベトナム戦争は長期化で利権と私的動機が顕著になり、適切なタイミングを逃した。軍需産業の儲けが戦争を延ばしたと解釈できる。
  • ウクライナ戦争はルトワックの提案を逃し、2025年3月時点で利権(支援金1830億ドルやロッキード株価上昇)が肥大化。トランプの終戦主張は戦争継続派と対立し、マスコミが追随する中、終戦の決断が求められている。
戦争などというものは、どの時代でもどの場所でも、「適切なタイミングでやめるべき」と私はは思う。どんな戦争にも当てはまる、シンプルで揺るぎない鉄則だ。特に戦争が長引いた場合はそうだ。

米国の戦略家ルトワック氏

アメリカの戦略家エドワード・ルトワックは、ウクライナ戦争を冷徹に見つめ、ロシアのプーチンが「ウクライナを一気に叩ける」と見誤った結果、双方が限界にぶち当たって膠着状態に陥ったと言う。

2023年7月のUnHerd記事「Why no one can end the Ukraine war」では、「ウクライナがモスクワを落とせるわけないし、ロシアだってキエフを奪えやしない」とバッサリ切り捨てている。彼は現実を直視し、住民投票でドネツクとルガンスクの帰属を決めて、ロシアに他の占領地から手を引かせる案をぶち上げた。

2022年4月の記事「How the Ukraine war must end」で、核戦争の火種を消しつつ、勝ち負けにこだわらない戦略的バランスを説く。この視点は、戦争の目的と損失を天秤にかけ、ズルズル長引かせて消耗する愚を避けるべきだと示す。まさに「適切なタイミング」の証明だ。

歴史を振り返れば、日露戦争(1904~1905年)がその典型だ。日本は旅順を落とし、日本海海戦でロシアを叩きのめし、朝鮮半島と南満州の利権を握った。だが、戦費は国家予算の2倍に膨れ上がり、16万もの命が消えた。そこで1905年、ポーツマス条約でスパッと戦争を終えた。

歴史家の半藤一利は「勝ちすぎず負けすぎず、絶妙なところで引いた」と言い切り、国力のピークで終わらせた判断が日本を救ったと断言する。ルトワックの目で見ても、ロシアを完膚なきまで潰すような無茶をせず、現実的な成果で手を打った好例だ。

日露戦争で用いられた日本陸軍の28センチ榴弾砲

ところが、戦争が長引くと話は変わってくる。ウクライナ戦争は2022年から2025年3月まで続き、死傷者が公式で5万人超、非公式なら数十万人とも言われる中、ゼレンスキーの支持率は戦争前の20%台から今や65%をキープしている(キーウ国際社会学研究所)。

だが、戦争が終われば、汚職の闇が噴き出し、経済はどうしようもないほど落ち込んでいる。2016年のパナマ文書や2021年のパンドラ文書で暴露されたゼレンスキーのオフショア口座疑惑が再燃するのは確実だ。ゼレンスキーは大統領になる前、テレビ会社「クヴァルタル95」の稼ぎを英領バージン諸島などで隠し、4000万ドル以上を動かしていたとされる。戦争が終われば、この汚点が国民の怒りを呼び、彼の地位はガタガタになるだろう。それが戦争を続ける理由かどうかは定かではないが、可能性は大きい。

他にも、戦争が長引くと私利私欲や利権が顔を出す。第一次世界大戦(1914~1918年)は、当初の目的が霞み、消耗戦に突入。軍需産業や指導者の権力維持が裏で糸を引いた。ドイツは1918年に停戦を選んだが、それまでのグダグダで経済はボロボロ、ヴェルサイユ条約でさらに締め上げられ、それが後の第二次世界大戦の引き金の一つにもなったとされる。

ルトワックなら「タイミングを逃した」と言うだろうが、戦争継続派の利権が遅らせたとも考えられる。アメリカの軍需生産は1914年の1億ドルから1918年には20億ドル超に跳ね上がり(米国商務省データ)、戦争が一部の連中の飯の種だったのは明らかだ。

ベトナム戦争(1955~1975年)もそうだ。アメリカは共産主義を潰そうと20年戦って、死者5万8000人、戦費3兆ドルをドブに捨て、南ベトナムが崩れて終わりだ。歴史家のスタンリー・カーノウは「勝てないと分かった時点でやめるべきだった」と喝破するが、軍産複合体、ロッキードやボーイングの儲けが戦争を引っ張ったとしか思えない。

ウクライナ戦争に戻れば、ルトワックの「住民投票で終わらせる」が正しいタイミングだったはずだ。だが、2025年3月までダラダラ続く今、ゼレンスキーは権力を守るために、西側の「戦争継続派」――EUのリベラル派、米民主党、ネオコン――は軍需産業の儲けや地政学的野心のために、戦争をやめさせない。

フォンデアライエン次期EU委員長はマクロン仏大統領

支援金1830億ドル(米国)や1450億ドル(EU)が軍需や復興企業に流れ、ブラックロックが暗躍する状況は、長期化が利権を大きくしている証だ。ロッキードの株価だって、2022年の350ドルから500ドル超に跳ね上がってる。

「戦争は適切なタイミングでやめるべき」は、ルトワックの現実主義から見れば正しい。日露戦争のように、成果と損失を見極めて終わらせるのが賢い道だ。だが、長引けばゼレンスキーの私的動機や利権が絡み、タイミングを逃す。

今のウクライナがまさにそれだ。ルトワックが言うように、ロシアもウクライナも適切な瞬間を逃したのかもしれない。もうグズグズしてる場合じゃない。トランプ大統領が「終わらせろ」と叫ぶのも当然だ。だが、ゼレンスキーは権力を握り続けたいし、西側の戦争継続派とは真っ向からぶつかる。マスコミがトランプを叩くのも、そいつらの尻馬に乗っているだけだ。こうしている間にも、多くの人々が、亡くなり、重症を負っている。結局、戦争を終わらせるのは誰かが見極めるしかない。そこに真実がある。

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コラム:「トランプ関税」に一喜一憂は不要、為替変動が影響緩和―【私の論評】変動相場制の国カナダ、メキシコとは異なる中国の事情 2025年2月11日

石破首相のNATO欠席が招く日本の危機:中国脅威と国際的孤立の代償

  まとめ 石破首相のNATO欠席 : 2025年6月、NATO首脳会議を石破茂首相が欠席。自衛隊幹部は失望。理由は米国のイラン攻撃、トランプ不参加、防衛費圧力回避か。党内やXで「外交音痴」と批判。 中国脅威の機会喪失 : 中国空母「遼寧」「山東」が太平洋で挑発、尖閣領空侵犯も。...