安倍首相 1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」支給中止へ
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8%増税の悪影響がまだ続いているのに、廃止された給付金もある |
安倍晋三・首相は、消費税率10%への再増税を2年先送りしたことを「国民への施し」とでも思っているようだ。だからこそ、“増税を延期してやったんだからいいだろう”とばかりに平然と別の負担を国民に押し付けてくる。
まず中学生以下の子供を持つ子育て世帯(1350万世帯)には、支給するはずだった1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」の支給中止を決めた。低所得者世帯(2400万人)に対しては、最高1万5000円だった「臨時福祉給付金」を6000円に減らす。そして低所得の年金生活者(790万人)への月5000円の「年金生活者支援給付金」は支給の先送りを決めた。
いずれも「増税による国民の負担」を減らす目的でつくられた制度だ。いまも国民は物価上昇で財布の紐を固く締め、消費税8%の痛みに耐えている。それなのに、“10%にはしなかったから、こっちはおあずけ”と取り上げた。
安倍氏は昨年4月に消費税率を3%引き上げた時、「社会保障にしか使わない」と語ったが、国民からカネだけ取って社会保障を真っ先に切ったわけである。3つの給付金の中止と減額で国民は懐に入るはずだった9000億円を奪われた。
※週刊ポスト2015年1月16・23日号
【私の論評】アベノミクスが、 増税で腰を折られた今こそ再配分的財政政策は民主党代表選の争点にしても良いくらいの重要なテーマであると心得よ!(◎_◎;)
上の週刊誌の記事最初から安倍政権に対して、敵愾心むき出してとてもまともに読めるものではありません。しかしながら、この記事書いた本人も、それを掲載したデスクもあまり意識していないながら、真実の一端を示してもいます。
それは、何かといえばまず、第一に以前からこのブログに掲載しているように、8%増税の悪影響を当初黒田日銀総裁が軽く見積もったため、当初は緩和しないというスタンスだったので、日銀による追加金融緩和が遅きに失しているため、本年は金融緩和による実体経済の回復はあまり期待できないということがあります。
これについては、以前このブログでも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
第3次安倍内閣は経済再生優先、アベノミクス進化―【私の論評】今年は金融緩和が効き目はまだない、財政政策がものを言う! 安倍総理は、積極財政に踏み切らざるをえない(゚д゚)!
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第三次安倍内閣は成立したが・・・・・・ |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に
すでに、15年以上も日本はデフレが続いており、今のままでは、良かれと思って何かを実行すると、他の何かが駄目になるというモグラ叩き状態にあり、閉塞状況にあります。おそらく、安倍政権が経済を軽んじて、戦後体制から脱却とか、改憲などのことばかり打ち出せば、支持率はかなり低下するものと思います。
だからこそ、安倍総理は、今回の解散総選挙の大義を「増税見送り」「アベノミクスの継続」を掲げて、勝利することができたのです。
だから、安倍政権としては、まずは経済対策を優先することになると思います。そうして、8%増税によって、経済が悪化することが明々白々であったにもかかわらず、日銀の黒田総裁は、追加の金融緩和策をしなくても、日本経済は落ち込むことはないと主張しましたが、実際に8%増税をしたところ、その主張は脆くも打ち砕かれ、過去二年間にわたる、アベノミクスの成果は水の泡と消え、アベノミクス実施直前の状況に戻ってしまったわけです。
この状況を打破するため、黒田日銀総裁は、今年の10月31日に追加金融緩和に踏み切ったわけです。しかし、これは遅きに失しました。本来は、8%増税が決まった直後に実施すべきでした。なぜなら、先に述べたように、そうして高橋洋一氏も語っているように、金融緩和政策は、実体経済に効き目があらわれるまでには、少なくとも一年くらいはかかるからです。
そうすると、来年の経済を良くするためには、財政政策が大きな鍵をにぎるわけです。そうして、先ほど述べたように、名目では年率換算で14兆円の需要不足が生じている現在、少なくても10兆円以上の政府による経済対策が必須となるわけです。
今後安倍政権が、安定して、長期政権になるためには、少なとくも10兆円規模の財政出動が必要不可欠となります。そうして、公共工事の供給制約のある現在では、できるなら、消費税を5%に戻すか、それができないというのなら、8%増税を帳消しにする程の規模の所得税減税と、給付金政策を行うべきです。
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安倍総理は、是が非でも日本をデフレから脱却させなければならない |
これを実行するための、方法としては、私自身は国債で賄っても良いと思うのですが、赤字国債を嫌う人も多いので、財源としては、それこそ、高橋洋一氏も主張しておられるように、いわゆる「埋蔵金」を活用すれば良いのです。今の段階なら、円安で含み益が10兆円以上あると思われる外国為替資金特別会計(外為特会)の活用が良いです。もちろん、外為資金百数十兆円すべてが埋蔵金ではなく、あくまで含み益の部分です。
こういう含み益のことも言わず、円安のネガティブな面ばかり強調する辛坊氏の経済論は、どことなく、胡散臭く信用なりません。
いずれにせよ、安倍政権がまともな積極財政にとりくまず、過去の政府のように焼け石に水のような、桁違いに小規模な経済対策に終始するならば、支持率は激減し、安倍長期政権の夢は水泡に帰することは、火を見るよりも明らかです。
それにしても、異次元の包括的金融緩和で口火を切ったアベノミクスを実行に移したのは、安倍総理です。この安倍総理が、現在の状況から、積極財政に踏み切る、それもサプライズを伴う積極財政を実行に移すのは間違いないと思います。
上記で掲載したように、今年は、株価や為替は、別にして増税の影響もあり実体経済はあまり良くはならないと思います。
安倍政権がこれからも、持率を高め、長期政権を目指すのであれば、金融政策による実体経済への効果があまり期待できない現在では、やはり財政政策により、国民の目にもはっきりと見えるような経済対策を打たなければなりません。
そうした場合、現状では、大規模な公共工事は、
公共工事の提供制約がある現在 、公共工事そのものは、大規模な経済対策とはなりえません。
そうすると、ここ当面は、効果のある経済対策としては、減税、給付金の二つの柱になると思います。
私自身は、消費税減税をして消費税の税率を5%に戻するというのが一番効果があると思います。これと金融緩和を同時に行い、物価目標2%を確実に達成して間違いない状況になるまで実行すべきです。
そうして、日本経済がデフレから完璧に脱却してインフレが加速して、これ以上金融緩和や財政政策を続けていていてはハイパーインフレになることが懸念されたら、消費税率をあげれば良いのです。もし、一端税率をあげた、消費税を今更手を付けるわけにはいなかないというのであれば、所得税減税でも何でかまわないです。とにかく、何らかの減税政策によって、消費税増税の悪影響を取り除くのです。これに、給付金も加味すれば、さらに強力な財政政策を実行することができます。
そうして日本経済がデフレから脱却して、インフレ気味になれば、課税対象である国民所得も増え、税収も増えます。そうなれば、給付金はやめ、さらに増税ということになれば、財政再建もより確かなものになります。
いまの政治家の悪いところは、デフレから脱却してインフレが加速しないうちに、増税するなどというバカなことをしようとするところです。景気が悪すぎれば、減税し、景気が良すぎれば、増税するというのが当たり前の行き方です。
金融政策も同じことです。いつまでも、緩和を継続したり、いつまでも引き締めを続けていては、とんでもないことになります。景気が悪化すれば、緩和し、景気が良すぎれば引き締めをするのというのが、正しいありかたです。
こうした正しい経済を実行することを前提として、今年は金融政策のほか財政政策を実行すべきであり、その観点からすると、上記のようにもともとあった、給付金をカットするのは良いやり方とはいえません。
それと、廃止された子育て世帯臨時特例給付金は、中学生以下の子供がいる世帯が対象ということで、これではお金持ちの世帯でも、貧困世帯でも同じく給付するということで、再配分的な政策ではありません。
再配分的給付にするなら、お金持ちの世帯には給付せず、貧困世帯に厚く配布するということになります。再配分的な給付をしなければ、お金持ちは一万円をもらっても、特にそれをすぐに使うことはありません。貧困世帯では、もらった一万円をすぐに使うかもしれませんが、これでは総合的にいえば、あまり効果は期待できません。
しかし、再配分的給付にすれば、貧乏な世帯が数万円をもらい、これをすぐに遣うことになりまから、財政政策としても、かなり効果があります。
それにしても、ここ20年くらいは、再配分政策にはあまり熱心ではありません。それどころか、現在の保守論壇も再分配政策に極めて冷淡、および消極的です。
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痩せた犬には、多くの餌を、太った犬には、少なめの餌を。再配分政策は人間にとっても、重要だ。 |
経済政策を考える際に、再分配政策が極めて重要であることは、片岡剛士氏も常々指摘しています。
http://synodos.jp/newbook/3504
これまでにない大胆な金融緩和によって幸先よくスタートしたアベノミクスは、デフレ下における消費税増税という悪手を選択してしまったことにより、現在絶体絶命の危機下にあります。
このアベノミクスを再び軌道に乗せるためにも、政府はより積極的な再分配な減税および給付金対策に取り組む必要があります。もし、そうしないのならば、「アベノミクス」はゼロ年代前半の中途半端な金融緩和と脆弱な再分配政策という「小泉・竹中路線」となんら変わりのない経済政策となってしまう可能性すらあります。
しかし、もともとの自民党は、再配分政策に冷淡な政党ではありませんでした。それは、池田総理大臣のときまでさかのぼれば、良くわかることです。
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池田隼人氏 |
池田は高度経済成長を成功させました。戦後政治家の中で唯一、日本をどのような国家にするかという意味での国家観を描き、病気で退陣するまでほとんどすべてに成功していました。最も成功した池田の理念は、「日本は特別な金持ちなど居なくても良い。皆が真面目に働けば、皆が豊かになれる社会を実現するのだ」でした。
これは一時期「総中流意識」などと揶揄されたましが、「ごく一部だけが特権階級、ほとんどすべてが下る流」などという今と比べていかがでしょうか。もはやなつかしいを通り越して夢物語のようにも見えます。しかし確かに存在したのです。
とはいいながら、池田の前任首相の鳩山一郎や岸信介は既に高度経済成長路線を走っていましたし、そもそも下村治のようなブレーンの発案がなければ出てこない発想ですが、それでも高度経済成長により、極端な金持ちは居ない代わりに極端な貧乏人は出さないという社会を築いた功績は、誰よりも池田勇人に帰すべきす。その後の自民党は池田の遺産を食いつぶしていたと断言できます。
そもそも自民党とはどのような政党だったのでしらょうか。過去においては、社会党ではなくて自民党でなくてはならない理由はなんだったのでしょうか。
これは浜田幸一という政治評論家が言っていたのですが、自民党の存在意義は「富の公正配分をすることにある」だそうです。これと同時に、「自由主義陣営の一員として日米安保条約を守り云々」となるののですが、池田の死後の佐藤内閣では、主権国家としてまともな国防政策をやめていますから、それは如何なものでしょうか。
つまり、自民党は経済が元気で、利権を配れる以上は政権政党でいられたのです。一方で失われた90年代は竹下支配の時代であす。配るアメがどんどん縮小していく時代である。島根県の人間なら誰でも知っている話だが、別に竹下に政治献金をしても利権にありつける訳ではありませんでした。ただ支持しないと絶対に排除されるだけでした。
このような状況は民主党に政権交代をされるまで続くことになりました。
政権交代された後に自民党はまた、政権の座に戻ることができたのですが、再配分政策に対して冷淡であるということには今でも変りありません。
かつて自民党は、再配分政策で大成功したという池田の時代をすっかり忘れてしまったようです。自民党はもう一度、池田のように「日本は特別な金持ちなど居なくても良い。皆が真面目に働けば、皆が豊かになれる社会を実現するのだ」という理念を実現することにより、中国はじめとする他国にもおよびもつかないほどの、経済発展を成し遂げたことを思い起こすべぎてす。
安倍総理はまさに、このような考えから、EUなどでは左翼的政策と目される金融政策に踏み切ったわけですが、そこからさらに一歩の財政政策に踏み切ることができないどころか、結局増税してしまいました。無論、安倍総理自身は、増税などしたくなかったでしょうが、党内の増税圧力に阻まれ、増税せざるをえませんでした。しかし、さすがに、10%増税ともなれば、破滅的になるので、これは見送ったということです。
そうして、今のような自民党に対しては、野党が池田の時代を思い出させるような施策を提案するとか、これを対抗軸にするようなことをすべきだと思います。
本来は、これを民主党のような野党が実施すべきですが、マクロ経済音痴の民主党にはこれができないようです。民主党も政権交代のときには、再配分政策に近いことも言っていたのですが、なにしろ、彼らの政策はただ、ばらまくというだけで、まともな金融政策や、財政政策を前提としたものではなく、そのため大失敗して、敗退しました。
今回の民主党の代表選においはも、本来はこのような論点を争点としてあげれば、良かったのだと思いますが、なにしろ代表選候補者の3人ともがほとんどマクロ経済を理解していないようなので、全く駄目なようです。
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民主党代表選の候補者ら |
本来ならば、上で示した論点で3人の候補者が一致し、その上で、再配分的財政政策を三者三様の意見をあげて、それを争点とすれば、民主党も見込みがあったと思います。
そうなれば、再度自民党の対抗馬として、実際に政権交代できるできないはどうなるかは、わかりませんが、野党としても立派につとめを果たせたかもしれません。
そうして、そのような野党が存在すれば、与党の自民・公明党ももっとまともに、現在もっとも経済対策として、効果のある再配分的財政政策に目を向けたかもしれません。
いまのままでは、民主党は、野党としてもまともな働きができないばかりか、自民党も存在基盤を失いまたまた、少し前のように総理の在任期間が極端に短くなる懸念もあります。
そうはならないためにも、自民党は過去の反省をして、池田時代にはなぜあのようにうまくいったのか、十分研究して、その研究の成果を生かす政権運営をしていただきたいものです。再配分的再生政策は本年こそ、積極的に実施されるべきものであると私は確信しています。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
ちなみに、私はトマス・ピケティ氏の主張に賛成です。しかし、トマスピケティ氏が主張していたようなことは、すでに池田総理大臣の時代に日本において、それに近いようなことが実現されていたと思います。だからこそ、あの驚異的な高度成長が可能だったのだと思います。これについて、述べると長くなるので、いずれ機会をもうけてこのブログにも掲載しようと思います。
【追記】
子育て給付金、支給されることにはなりましたが、減額されてしまいました。これって、本当に意味があるんでしょうか。大して効果はないのに、事務手続きに時間がとられて、ほとんど何にもならないです。減額するなら、再配分的にすれば、もっと効果が期待でき、全体では減額になると思いますが。お金持ちの家庭で、たった3000円では意味がないので、申請手続きすらしないと思います。貧乏な家庭でも、これでは焼け石に水ですね。
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