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2017年9月26日火曜日

民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党―【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!

民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党

安倍総理が衆院解散の表明をしたことを伝える街頭テレビ
 先日の本コラムで書いたように、衆議院解散の大義は北朝鮮情勢への対処である。年末から来年以降、暴走する北朝鮮を止めるために、米国の軍事オプションが視野に入る。そのときは選挙どころでなくなる。北朝鮮に対処するためにどのような政権が望ましいのかを選ぶのが今回の衆院選である。北朝鮮に対しては圧力なのか、対話なのかを問う、といってもいい。

 争点は国際情勢なので、消費増税は争点化しにくい。また、自民党と民進党は増税で一致している。もちろん平時であれば消費増税なしで国債を発行するのが望ましいが、争点にできないなら、法律どおり消費増税となる。民主党政権時代に消費増税が法律に盛り込まれたのをはね返すことができなかったわけだ。経済政策の視点からはデフレに逆戻りする恐れがあるが、これが政治というものだともいえる。

 北朝鮮への対処について、民進党はまだ「対話」と言い続けるのだろうか。対話はここ20年間行ってきたが、北朝鮮はウソをつき続けて、核・ミサイルを発射してきたという事実からみると、お花畑議論に思えて仕方がない。

 といっても、いまさらリアルな議論はできそうにもない。民進党内の保守系といわれる細野豪志氏や長島昭久氏は、こうした民進党の非現実的な議論に嫌気が差したとみえて離党した。

 前原誠司代表は、外交安保では比較的リアリストであるが、それでも党内の多くの意見は相変わらず「お花畑」なので、北朝鮮問題では「対話せよ」となって、共産党と比較的意見が合いそうである。

 となると、前原氏が忌み嫌っていた共産党との共闘が、各地の選挙区でみられるかもしれない。その際、野党は「森友学園と加計学園(モリ・カケ)疑惑隠しで国会解散」と言うだろう。本コラムの読者であれば、「モリカケ」問題に首相の疑惑はなく、単なる言いがかりであったことは明らかだろう。北朝鮮問題に比べると「モリカケ」は比較にならないが、国民にはどう映るのだろうか。

 日本維新の会は、外交安保では常識的な保守政党なので、国内政治でまともな意見を言ういい機会になる。自民も民進も言えない消費増税凍結や規制改革で両党との差別化を図りながら、存在感を増す好機だろう。憲法改正論議では、維新が先導してきた教育無償化を実現するチャンスでもある。

 「小池新党」は、ちょっと苦しい。風を吹かせるにはいい機会なのだが、なにしろ手勢が少なく準備不足だ。小池百合子氏が都知事から国政に復帰すると宣言すれば別の展開になるかもしれないが、今のままでは、北朝鮮問題への対処が争点になると苦しいだろう。

 安倍晋三首相は、最も得意とする外交安保で衆院解散を仕掛けるわけだが、はたしてどの政党がその論戦についてゆけるだろうか。各政党もここで勝てば、安倍政権打倒の道が開けてくるので、大いに選挙戦で争ってもらいたい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事て高橋洋一氏は「争点は、国際情勢なので、消費増税は争点化しにくい」と語っています。これは確かにそうだと思います。

毎日新聞には以下のような記事が掲載されています。
財政健全化先送り 消費税の使途変更方針表明へ

 安倍晋三首相は20日、2020年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化する政府の財政健全化目標を先送りする方針を固めた。25日にも開く予定の記者会見で表明する。首相は衆院解散にあわせ、消費税率10%への引き上げによる増収分のうち、国の借金返済に充てる分を教育無償化などに回す考えを示す方針。教育充実のための予算確保と財政再建のバランスをどうとるのかが衆院選の争点の一つになりそうだ。

19年10月に消費税率を予定通り8%から10%へ引き上げた場合、約5兆円の増収が見込まれている。政府は、そのうち約4兆円を国の借金の返済に、残り約1兆円を医療、介護、子育てなど社会保障の充実に充てる予定だった。増収分の多くを借金返済に充てるのは、財政の債務負担を減らし将来にわたり安定的に社会保障費を確保するのが目的だ。 
 首相は、借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討。借金返済分が減り歳出が拡大するため、「目標先送りは避けられない」(政府高官)と判断した模様だ。PB黒字化の新たな目標年次は、教育無償化などに割り当てる財源の規模を詰めたうえで検討する見通し。 
 PBは、政策経費を新たな借金に頼らずどれだけ賄えているかを示す指標。内閣府の試算では、予定通り消費税を増税し高い経済成長を果たしても、20年度は8・2兆円の赤字が残る見込み。すでに目標達成は厳しい状況で、政府・与党内には「教育無償化への使い道の変更は、目標先送りの格好の理由になる」(政府関係者)との声もある。だが、首相は経済政策「アベノミクス」で、経済成長と財政再建の両立を訴え国際的にも財政再建目標をアピールしてきただけに、財政再建を後回しにする政策の変更について説明が求められそうだ。
この記事を読んで、安倍総理は10%増税する予定だと大騒ぎしている人もいるかもしれませんが、私はそうだとは思えません。

あれだけ、渋々増税したくないにもかかわらず、財務省はもとより、大部分の政治家、マスコミのほとんど、そうして経済関係には識者といわれる人までが、こぞって「8%増税の影響が日本経済に与える影響は軽微」としたにも関わらず、実際に蓋を開けてみれば、とんでもないことになりました。安倍総理は、増税派に根強い不信感を抱いているのは間違いないです。

8%増税は誰がみても、大失敗でした。直近では、茂木経済再生相は昨日の記者会見で、足元の景気回復が、第2次安倍内閣が発足した12年12月に始まり、4年10か月(58か月)がたっていることから、「戦後2番目のいざなぎ景気(57か月)を超える長さになった可能性が高い」との認識を示しています。

しかしながら、現実にはこの景気の良さも上辺だけであって、現実は相当厳しい状況にあります。それに関しては以前このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本を完全雇用・適度なインフレに導く、極めて効果的な方法があった―【私の論評】数字を見ればわかる、未だ緊縮財政で脆弱なわが国経済(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事にも掲載した、上のグラフを見てもわかるように、消費増税以降、デフレータは下降し続け、今やマイナス領域を推移しています。

デフレーターとは、ある国(または地域)の名目GDPから実質GDPを算出するために用いられる物価指数です。名目GDPと実質GDPはそれぞれ物価変動の影響を排除していないGDPと排除したGDPであるため、その比にあたるGDPデフレーターは、物価変動の程度を表す物価指数であると解釈されます。従ってGDPデフレーターの増加率がプラスであればインフレーション、マイナスであればデフレーションとみなせます。

このデフレーター消費税増税後しばらくしてから下がり続け、2017年なってからはマイナスになっています。この状況では、とても経済がしっかり回復したとはいえません。

これほど、8%増税にはこれほどの悪影響があったのです。なぜこのようなことになるかといえば、財務省が緊縮財政を行ったからです。そもそも、8%増税そのものが緊縮財政であり、さらに財務省は緊縮を行っています。

茂木経済再生相が語るように、経済の回復がみられるわけですが、それにはそれなりの背景があります。

これについても、この記事に掲載しています。以下にその部分を引用します。
"
消費と投資の回復は一体なぜもたらされたのか──その根拠は、下記のグラフから読み取ることができます。


このグラフは、日本経済を構成する「四主体」の内の三つ、「民間」「政府」「海外」の「貯蓄態度」を示すもの(日銀資金循環統計から)。

この「貯蓄率」という数字は「貯蓄額の対GDP比」ですから、各主体が「ケチ」になって「金づかい」が悪くなって貯金ばかりするようになると「上がり」ます。一方、各主体が「豪気」になって「金づかい」が良く(=荒く)なると、は「下がり」ます。

ご覧のように「民間」の貯蓄率は、この1年ほど「下落」してきています。これは、民間企業が「ケチ」な態度から「豪気」な態度にシフトし始めた事を意味しています。

別の言い方をすると、「内部留保する傾向を弱めてきている」という事を意味します。つまり、民間企業が、儲けたオカネを貯金する(=内部留保する)のでなく、消費や投資に使うようになってきたということを示しているのです。これこそ、「今期の消費と投資の拡大」を意味する統計値です。

では、なぜ、民間が貯蓄率を減らし、投資や消費を拡大し始めたのでしょうか。それは、海外の貯蓄率が下がってきた」という点に求められます。

ご覧の様に、この3年ほど、海外の貯蓄率は下落し続けています。これはつまり、外国人が日本で使うカネの量が、過去三年の間、増えてきた事を意味します。これは要するに、(相対的に)「輸出が増えてきた」ということを反映したもの。実際、ここ最近景気の良い企業の多くが、「輸出企業」だったのです。

http://datazoo.jp/w/%E8%BC%B8%E5%87%BA/32830318

さて、これらのデータを全て踏まえると、我が国のここ最近の経済動向は、次のようなものだ、という「実態」が見えてきます。
①ここ2,3年間、外需が伸びてきた事を受けて、外需関連企業の収益が改善した、 
②その影響を受け、ここにきてようやく、民間企業がトータルとして「内部留保」を縮小させ、消費と投資を拡大しはじめる程に景気が改善してきた。 
③これを受けて、ようやく(物価の力強い上昇は達成されていないものの──)「名目GDP」も上向き始めた──。
つまり、今の「よい数字」を導いた基本的な原因は「外需」だったわけであり、それがここにきてようやく、民間企業の力強い成長に結びついてきた、と言う次第です。

さて、この実情を踏まえれば、確かに、(金融緩和→円安→外需拡大をもたらした)アベノミクスは着実に、一定成功していることが見て取れるのですが、それと同時に、未だ、我が国経済の「成長の兆し」はとても確実で安定的なものだとは言えない、という姿も同時にくっきりと見えてきます。なぜなら我が国の現時点の成長の兆しは、「外需頼み」のものに過ぎず、したがって、極めて不安定なものと言わざるを得ないからです。
"

今後、デフレーターからみて未だ日本経済がデフレから完全に脱却しきっていないことと、直近の消費と投資の回復が外需によるものであることを考えると、朝鮮半島情勢で何か世界経済が大きな影響を受けると、日本経済も悪化する懸念は拭いきれません。

そうして、このグラフで政府貯蓄率というところに注目して下さい。日本がこのような状況であれば、財務省としては、積極財政に踏み切るべきなのですが、財務省のやり方は、その反対です。

政府貯蓄率が、増税後も右肩上がりに上がっているではありませんか。これは、あり得ないことです。普通の国の財務省であれば、増税後積極財政を行うので、政府貯蓄率は減っていくはずです。8%増税した上、さらに緊縮財政をするのですから、GDPデフレータがマイナスに触れるのも当然のことです。

このような状況でも、財務省は様々な理由でせっせとお金をためこみ、日本経済の回復のための積極財政を行おうしません。

このような主張をすると国の借金返済は仕方ないではないかという人もいるかもしれません。

しかし、この国の借金というものがそもそもインチキと言わざるを得ません。

まずは、「日本国」と「日本政府」は違います。「日本国」と言えば、国民、企業、団体、政府などで、「日本国の借金」と言えば、これらの人たちが負っている借金の総額になります。また「日本政府」なら、これも当然ですが、政府の財政だけで、国民や企業は関係がありません。

また「政府」のなかには「地方自治体」も入っていますので、厳密に言えば「広義の政府」としてもよいと思います。

そうして、この「日本政府」の財産状態ですが、「持っているお金(資産)」が、直接的なお金などで500兆円、土地などの固定資産が580兆円で、およそ1080兆円の資産があります。森友学園報道のときに、繰り返しテレビで出てきた「国有地」などは政府が持っている資産のひとつです(「政府所有地」と言わずに伝統的に「国有地」と言っています)。

これに対して政府の借金は主として国債で1040兆円です。資産が1080兆円、借金が1040兆円ですから、わずかですが40兆円ほどのお金が余っていることになります。

政府の国債を持っているのはほとんどが銀行で、そのお金は国民の預金ですから、「国債を買ったのは国民」と言ってもよいでしょう。

現在の日本政府の財政状態は、家庭で言えば、銀行に預けている貯金や株が500万円、土地が580万円、合計すると家の資産は1080万円。借金は1040万円なので、「いざというときには土地でも売ればなんとかなる」という状態です。

それに日銀も政府の中に入れると、いわゆる政府の借金なるものはさらに減ることになります。これに関しては、説明していると長くなるので、【関連記事】のところに掲載しておきます。とにかく、国の借金1000兆円などと大騒ぎするレベルでないことだけは確かです。

財務省は、資産など無視して、負債の額のみを示して、これを「国の借金」としています。これは、明らかに虚偽です。

これについては、以下の動画をご覧いただけると、さらにご理解いただけるものと思います。


「税と社会保障の三党合意は財務省によるペテンだった」という驚くべき内容です。実際財務省は、税と社会保障の一体改革として、消費税を社会保障の財源とするということで、三党を騙して、ほとんど危機的とはいえない国の借金の返済のなどの名目で、資産を溜め込んでいるのです。無論溜め込んだ資産は、将来様々な天下り先を構築し、財務省退官後のゴージャスなハッピーライフを送るための準備資金ということでしょう。

このような事実を安倍総理は十分理解していて、借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討という形で、財務省の、この溜め込み姿勢を批判しているのです。

そうして、以上のようなことから、安倍総理が今回の選挙では、増税を争点としないということは、どういうことか、今一度考えてみると、以下のようなことがいえると思います。

来年生誕90周年を迎える池田大作氏
まずは、首相の今回の解散決断は、北朝鮮情勢の緊迫化、内閣支持率の好転、上の動画にも掲載されていたように、公明党の来年の池田大作氏生誕90周に対する配慮など様々な要因が重なったための急ごしらえのものであるということがあります。

そのため、政治的な駆け引きが必要な消費増税の凍結や再々々延期などは全く無理です。10%の消費増税は、2019年10月に実施されることはすでに法律で決まってることです。これを凍結ないし再々々延期するには法律を修正するか、新しい法律を国会で通す必要があります。

そのためには、国会で消費税増税に反対する議員が多数派になっていなければなりません。無論、その前に安倍総理は自民党内をまとめる必要があります。

そもそもそのための政治日程など、組まれていませんし、白紙の状態にあると見て間違いないです。ちなみに他の野党・新党に至っては、たとえ言ってみたとしてみても、それを争点にして自党に選挙戦を有利にするまでの準備も何もない状況です。

そうして、上の読売新聞の記事のプライマリーバランス2020年問題に関しては、安倍総理の単なる口約束のようなものであり、いつでも撤回できるものであり、これは安倍総理による消費税の分配という形を借りた財務省批判と見るのが妥当だと思います。一般の人はもとより、政治家ですらも気づかないでしょうが、財務省の高級官僚たちは気づいていると思います。

私達としては、政治家や一般の人々も含めて、いかに財務省が酷いことをしているのかを訴えていくことと、今回の選挙では、北朝鮮対応を第一に考えるにしても、その中でも経済に関してまともな認識を持っている議員を選ぶことに専念すべきと思います。

そうして、安倍総理は選挙が終われば、憲法改正は無論のこと、消費税増税阻止に向けて着々と準備を開始すると思います。これは、ポスト安倍の政権運営にも必須です。もし、増税されてしまえば、増税後にはまた日本はデフレスパイラルのどん底に沈み、そのときの政権がいずれの政権であれ、政権運営はかなり困難になるのは目に見えています。

【関連記事】

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↑この記事で、統合政府ベースでの政府の負債について掲載しました。統合政府ベースではすでに、政府の借金はマイナスになっている可能性すらあります。

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2016年7月10日日曜日

【参院選】「右翼勢力が改憲と軍事化画策」警戒強める中国メディア…背景に南シナ海で米との軍事行動恐れる?―【私の論評】選挙の争点は中国封じ込めの是非も大きい(゚д゚)!


南シナ海に設置された新空港には中国南方航空の
エアバスA319型機が着陸した(新華社通信ウェブサイトより)
中国国営新華社通信は10日、参院選の投票開始後に「自民党と公明党をはじめとする改憲勢力が(憲法改正の国会発議の要件となる)3分の2以上の議席を獲得できるかが焦点となる」との記事を配信し、高い関心を示した。

新華社は、多くの日本メディアが、参院で改憲勢力が3分の2を確保できる可能性があると報じていることにも触れた。

中国の通信社、中国新聞社は10日、「安倍(晋三首相)をはじめとする日本の右翼勢力は“平和憲法”の9条改正を画策し、日本の軍事化を進めようとしてきた。自民党は民意の反発を恐れ、まず緊急事態条項を創設して改憲の先鞭(せんべん)をつけようとしている」と報じた。世論には改憲への反対意見も強いとして、「自民党は選挙期間中、改憲の議論を避けて経済や暮らしの問題を重点的に訴えた」とも指摘した。


北京の日本研究者は、中国が参院選に高い関心を示している理由について「日本で憲法が改正されれば、南シナ海などで米国と一緒に自由に軍事行動を取れるようになり、中国に対する軍事的脅威が一挙に高まると認識しているためだ」と分析した。

【私の論評】選挙の争点は中国封じ込めの是非も大きい(゚д゚)!

中国は相変わらず、頓珍漢で奇妙奇天烈な報道を繰り返すばかりです。改憲勢力が(憲法改正の国会発議の要件となる)3分の2以上なろうがなるまいが、これは日本の選挙であり、日本の選挙に関して嘴をはさむのは、単なる内政干渉に過ぎません。

しかし、それにしてもなぜこのような報道をするかといえば、やはり、選挙によって日本が変わって、中国にさらに強力に対峙することになるかもしれないことを極度に恐れているということです。

しかし、日本の選挙がどのような結果になろうと、中国には直接関係のないことです。それに、中国は日本のことを心配するよりも自国内の心配をするべきです。

本日も以下のようなニュースがありました。
中国 5年間で党政府幹部120人が自殺・異常死
7月2日に自殺した劉小華・広東省党委副書記
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国では習近平のいわゆる「腐敗撲滅運動」が始まってから、確かに自殺者が多いです。それについては、このブログでも以前から掲載していることです。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国、高官ら40人超不審死 事実上「粛清」との声も 汚職撲滅キャンペーンで―【私の論評】二種類の亡霊が示す、中国の政治権力闘争は命がけであることと出鱈目さ加減!こんな国に将来はない(゚д゚)!
当時自殺した遼寧省高級人民法院(高裁)の女性副裁判長、徐安生氏(55)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は2014年11月5日のものです。あれから、すでにもう二年目に入っているというのに、中国では未だ高官の不審死が相次いでいるということです。

最近の舛添元東京都知事の辞任をみるまでもなく、日本ではたとえ腐敗があったにしても、自殺したり、不審死に至ることは稀で、それなりの手続きを経て辞任ということになります。

それだけ中国の権力闘争は激烈だということです。そうして、なぜ激烈になるかといえば、そもそも習近平など中国の為政者の統治の正当性が低いからです。

そもそも、中国では建国以来選挙は一度も行われたことがありません。あくまで、指名で要職が決まります。その意味では、中国には国民の付託を得た、政治家は一人も存在しません。全部が、官僚です。

日本では、議会制民主主義という制度によって、正当な手続き経て、政治家が誕生します。選挙という手続きを経た議員による政府や国会によって、政治が行われるので、統治の正当性は中国などよりはるかに強固です。そんな制度が運用されているような国では、中国のような激烈な権力闘争など起こることはありません。

中国のような国では、どこのだれともわからない統治の正当性の低い、馬の骨が何らかの手段で権力を得て、より強い権力のものが要職についているので、その権力が揺らげば、激烈な権力闘争が始まるのです。

このような中国に、日本の選挙がどうのこうのと言う資格など全くありません。日本人としては、中国には、この件に関しては「おととい来やがれ」と言ってもさしつかえないと思います。

それにしても、中国が内政干渉まがいの批判さえするほど、改憲勢力が3分の2を確保できる可能性を恐れているということです。そうして、それは、上の記事にもあるように、南シナ海での日米による集団的自衛権の行使を脅威に感じているということです。

そうして、なぜそれを恐れるかといえば、昨日もこのブログに掲載したように、中国は南シナ海を戦略型原潜の聖地にし、ここに戦略原潜を潜ませ、ここから原潜のSLBM(潜水艦発射型核弾頭)の米国までの射程距離内に原潜を定期的に航行させ、常時米国をSLBMの標的にすることを狙っているからです。

このことによって、中国は将来米国と対等の核戦略を実現することを目論んでいます。そのためには、中国は南シナ海を実効支配し、自分たちの内海にする必要があります。

しかし、日本が南シナ海で、米国とともに集団的自衛権を行使すれば、この目論見は限りなく実現不可能になります。

実際、このブログでは以下の様な記事を掲載したことがあります。
海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
防衛省・自衛隊は、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処活動に参加したP3C哨戒機が日本に帰還する際の飛行ルートを見直し、フィリピンやベトナムなど南シナ海に面する国の基地を優先的に経由させる方針を固めた。
高度な監視能力を持つP3Cの飛行範囲が、中国が「領海」と主張する南シナ海で拡大する見通しだ。「上空飛行の自由」の保護にもつながり、米軍が中国の人工島周辺で実施している巡視活動を日本が独自に支援する活動といえる。
日本の憲法が改正されたりすれば、このような活動がさらに強化され、日本が南シナ海で常時対潜哨戒活動をすることになるかもしれません。

そうなることを中国は一番恐れているのです。なぜなら、日本の対潜哨戒能力は、世界一の水準だからです。なぜそうなったかといえば、日本は米ソ冷戦の最中で、ソ連の戦略型原潜の哨戒活動により、かなりの経験を積むことができたからです。

当時のソ連は、オホーツク海を原潜の聖域としました。この海域は比較的深いところが、多くそこに戦略型原潜を潜ませれば、米国などに発見されることなく、隠密裏に行動することができたからです。

そうなると、核戦争で、ソ連内のICBM基地がことごとく米国に破壊されたとしても、戦略原潜のSLBMは生き残り、米国に報復することができるからでした。

ロシアの戦略型原潜
しかし、こうしたソ連の原潜に対して、日本は独自で対潜哨戒活動を実施し、それでかなりの経験を積んだため日本の海上自衛隊の対潜哨戒能力は世界一の水準となったのです。

ちなみに、海軍戦略における聖域(せいいき、英語:bastion)とは、友軍の海軍部隊が安全に活動できるよう堅固に防備された海域のことです。典型的には、そうした海域は友好国の海岸線によって部分的に閉ざされ、機雷による防護、センサーによる監視、さらに水上艦艇、潜水艦、哨戒機によって厳重な哨戒が実施されています。

冷戦期を通じて、ソビエト海軍の弾道ミサイル潜水艦隊にとって、聖域戦略は重要な戦略となっていました。北方艦隊によってバレンツ海が、太平洋艦隊によってオホーツク海がそれぞれ聖域化されました。両方の海域は今日のロシア海軍にとっても重要であり続けています。

中国の新型戦略原潜「晋級」(094 SSBN)
この日本の自衛隊が南シナ海で中国潜水艦の対潜哨戒活動にあたれば、中国にとっては非常に脅威です。中国の核戦略が水の泡のとなって消えてしまう可能性すらあります。

それを中国は、極度に恐れているのです。

それにして、日本の正しい進路は、中国を観察していると良くわかります。中国が本当に嫌がることこそ、日本の正しい道です。中国が大喜びして絶賛するような選挙結果であれば、日本にとっては良くないということです。今回の選挙の結果は、正しい進路を国民が選ぶことになって欲しいです。選挙の開票結果など、現在テレビで徐々に報道されつつありますが、なにやらそちらの方向性にいくような気配です。

そうなれば、日本国民は正しい選択をしたということになると思います。今回の選挙の争点は、中国封じ込めの是非を国民問うということでもあったといって過言ではないと思います。

【関連記事】

【7・10参院選 私はこれで投票する】国防に無知な政党・個人には投票しない KAZUYA氏―【私の論評】明日の選挙では、中国の顕な野望を無視する政党、個人には投票するな(゚д゚)!




2015年1月11日日曜日

安倍首相 1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」支給中止へ―【私の論評】アベノミクスが、 増税で腰を折られた今こそ再配分的財政政策は民主党代表選の争点にしても良いくらいの重要なテーマであると心得よ!(◎_◎;)

安倍首相 1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」支給中止へ

8%増税の悪影響がまだ続いているのに、廃止された給付金もある

安倍晋三・首相は、消費税率10%への再増税を2年先送りしたことを「国民への施し」とでも思っているようだ。だからこそ、“増税を延期してやったんだからいいだろう”とばかりに平然と別の負担を国民に押し付けてくる。

まず中学生以下の子供を持つ子育て世帯(1350万世帯)には、支給するはずだった1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」の支給中止を決めた。低所得者世帯(2400万人)に対しては、最高1万5000円だった「臨時福祉給付金」を6000円に減らす。そして低所得の年金生活者(790万人)への月5000円の「年金生活者支援給付金」は支給の先送りを決めた。

いずれも「増税による国民の負担」を減らす目的でつくられた制度だ。いまも国民は物価上昇で財布の紐を固く締め、消費税8%の痛みに耐えている。それなのに、“10%にはしなかったから、こっちはおあずけ”と取り上げた。

安倍氏は昨年4月に消費税率を3%引き上げた時、「社会保障にしか使わない」と語ったが、国民からカネだけ取って社会保障を真っ先に切ったわけである。3つの給付金の中止と減額で国民は懐に入るはずだった9000億円を奪われた。

※週刊ポスト2015年1月16・23日号

【私の論評】アベノミクスが、 増税で腰を折られた今こそ再配分的財政政策は民主党代表選の争点にしても良いくらいの重要なテーマであると心得よ!(◎_◎;)

上の週刊誌の記事最初から安倍政権に対して、敵愾心むき出してとてもまともに読めるものではありません。しかしながら、この記事書いた本人も、それを掲載したデスクもあまり意識していないながら、真実の一端を示してもいます。

それは、何かといえばまず、第一に以前からこのブログに掲載しているように、8%増税の悪影響を当初黒田日銀総裁が軽く見積もったため、当初は緩和しないというスタンスだったので、日銀による追加金融緩和が遅きに失しているため、本年は金融緩和による実体経済の回復はあまり期待できないということがあります。

これについては、以前このブログでも掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
第3次安倍内閣は経済再生優先、アベノミクス進化―【私の論評】今年は金融緩和が効き目はまだない、財政政策がものを言う! 安倍総理は、積極財政に踏み切らざるをえない(゚д゚)!
第三次安倍内閣は成立したが・・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に
すでに、15年以上も日本はデフレが続いており、今のままでは、良かれと思って何かを実行すると、他の何かが駄目になるというモグラ叩き状態にあり、閉塞状況にあります。おそらく、安倍政権が経済を軽んじて、戦後体制から脱却とか、改憲などのことばかり打ち出せば、支持率はかなり低下するものと思います。

だからこそ、安倍総理は、今回の解散総選挙の大義を「増税見送り」「アベノミクスの継続」を掲げて、勝利することができたのです。

だから、安倍政権としては、まずは経済対策を優先することになると思います。そうして、8%増税によって、経済が悪化することが明々白々であったにもかかわらず、日銀の黒田総裁は、追加の金融緩和策をしなくても、日本経済は落ち込むことはないと主張しましたが、実際に8%増税をしたところ、その主張は脆くも打ち砕かれ、過去二年間にわたる、アベノミクスの成果は水の泡と消え、アベノミクス実施直前の状況に戻ってしまったわけです。

この状況を打破するため、黒田日銀総裁は、今年の10月31日に追加金融緩和に踏み切ったわけです。しかし、これは遅きに失しました。本来は、8%増税が決まった直後に実施すべきでした。なぜなら、先に述べたように、そうして高橋洋一氏も語っているように、金融緩和政策は、実体経済に効き目があらわれるまでには、少なくとも一年くらいはかかるからです。

そうすると、来年の経済を良くするためには、財政政策が大きな鍵をにぎるわけです。そうして、先ほど述べたように、名目では年率換算で14兆円の需要不足が生じている現在、少なくても10兆円以上の政府による経済対策が必須となるわけです。

今後安倍政権が、安定して、長期政権になるためには、少なとくも10兆円規模の財政出動が必要不可欠となります。そうして、公共工事の供給制約のある現在では、できるなら、消費税を5%に戻すか、それができないというのなら、8%増税を帳消しにする程の規模の所得税減税と、給付金政策を行うべきです。
安倍総理は、是が非でも日本をデフレから脱却させなければならない
これを実行するための、方法としては、私自身は国債で賄っても良いと思うのですが、赤字国債を嫌う人も多いので、財源としては、それこそ、高橋洋一氏も主張しておられるように、いわゆる「埋蔵金」を活用すれば良いのです。今の段階なら、円安で含み益が10兆円以上あると思われる外国為替資金特別会計(外為特会)の活用が良いです。もちろん、外為資金百数十兆円すべてが埋蔵金ではなく、あくまで含み益の部分です。 
こういう含み益のことも言わず、円安のネガティブな面ばかり強調する辛坊氏の経済論は、どことなく、胡散臭く信用なりません。 
いずれにせよ、安倍政権がまともな積極財政にとりくまず、過去の政府のように焼け石に水のような、桁違いに小規模な経済対策に終始するならば、支持率は激減し、安倍長期政権の夢は水泡に帰することは、火を見るよりも明らかです。 
それにしても、異次元の包括的金融緩和で口火を切ったアベノミクスを実行に移したのは、安倍総理です。この安倍総理が、現在の状況から、積極財政に踏み切る、それもサプライズを伴う積極財政を実行に移すのは間違いないと思います。
上記で掲載したように、今年は、株価や為替は、別にして増税の影響もあり実体経済はあまり良くはならないと思います。

安倍政権がこれからも、持率を高め、長期政権を目指すのであれば、金融政策による実体経済への効果があまり期待できない現在では、やはり財政政策により、国民の目にもはっきりと見えるような経済対策を打たなければなりません。

そうした場合、現状では、大規模な公共工事は、公共工事の提供制約がある現在 、公共工事そのものは、大規模な経済対策とはなりえません。

そうすると、ここ当面は、効果のある経済対策としては、減税、給付金の二つの柱になると思います。

私自身は、消費税減税をして消費税の税率を5%に戻するというのが一番効果があると思います。これと金融緩和を同時に行い、物価目標2%を確実に達成して間違いない状況になるまで実行すべきです。

そうして、日本経済がデフレから完璧に脱却してインフレが加速して、これ以上金融緩和や財政政策を続けていていてはハイパーインフレになることが懸念されたら、消費税率をあげれば良いのです。もし、一端税率をあげた、消費税を今更手を付けるわけにはいなかないというのであれば、所得税減税でも何でかまわないです。とにかく、何らかの減税政策によって、消費税増税の悪影響を取り除くのです。これに、給付金も加味すれば、さらに強力な財政政策を実行することができます。

そうして日本経済がデフレから脱却して、インフレ気味になれば、課税対象である国民所得も増え、税収も増えます。そうなれば、給付金はやめ、さらに増税ということになれば、財政再建もより確かなものになります。

いまの政治家の悪いところは、デフレから脱却してインフレが加速しないうちに、増税するなどというバカなことをしようとするところです。景気が悪すぎれば、減税し、景気が良すぎれば、増税するというのが当たり前の行き方です。

金融政策も同じことです。いつまでも、緩和を継続したり、いつまでも引き締めを続けていては、とんでもないことになります。景気が悪化すれば、緩和し、景気が良すぎれば引き締めをするのというのが、正しいありかたです。

こうした正しい経済を実行することを前提として、今年は金融政策のほか財政政策を実行すべきであり、その観点からすると、上記のようにもともとあった、給付金をカットするのは良いやり方とはいえません。

それと、廃止された子育て世帯臨時特例給付金は、中学生以下の子供がいる世帯が対象ということで、これではお金持ちの世帯でも、貧困世帯でも同じく給付するということで、再配分的な政策ではありません。

再配分的給付にするなら、お金持ちの世帯には給付せず、貧困世帯に厚く配布するということになります。再配分的な給付をしなければ、お金持ちは一万円をもらっても、特にそれをすぐに使うことはありません。貧困世帯では、もらった一万円をすぐに使うかもしれませんが、これでは総合的にいえば、あまり効果は期待できません。

しかし、再配分的給付にすれば、貧乏な世帯が数万円をもらい、これをすぐに遣うことになりまから、財政政策としても、かなり効果があります。

それにしても、ここ20年くらいは、再配分政策にはあまり熱心ではありません。それどころか、現在の保守論壇も再分配政策に極めて冷淡、および消極的です。

痩せた犬には、多くの餌を、太った犬には、少なめの餌を。再配分政策は人間にとっても、重要だ。
経済政策を考える際に、再分配政策が極めて重要であることは、片岡剛士氏も常々指摘しています。

http://synodos.jp/newbook/3504

これまでにない大胆な金融緩和によって幸先よくスタートしたアベノミクスは、デフレ下における消費税増税という悪手を選択してしまったことにより、現在絶体絶命の危機下にあります。

このアベノミクスを再び軌道に乗せるためにも、政府はより積極的な再分配な減税および給付金対策に取り組む必要があります。もし、そうしないのならば、「アベノミクス」はゼロ年代前半の中途半端な金融緩和と脆弱な再分配政策という「小泉・竹中路線」となんら変わりのない経済政策となってしまう可能性すらあります。

しかし、もともとの自民党は、再配分政策に冷淡な政党ではありませんでした。それは、池田総理大臣のときまでさかのぼれば、良くわかることです。

池田隼人氏

池田は高度経済成長を成功させました。戦後政治家の中で唯一、日本をどのような国家にするかという意味での国家観を描き、病気で退陣するまでほとんどすべてに成功していました。最も成功した池田の理念は、「日本は特別な金持ちなど居なくても良い。皆が真面目に働けば、皆が豊かになれる社会を実現するのだ」でした。

これは一時期「総中流意識」などと揶揄されたましが、「ごく一部だけが特権階級、ほとんどすべてが下る流」などという今と比べていかがでしょうか。もはやなつかしいを通り越して夢物語のようにも見えます。しかし確かに存在したのです。

とはいいながら、池田の前任首相の鳩山一郎や岸信介は既に高度経済成長路線を走っていましたし、そもそも下村治のようなブレーンの発案がなければ出てこない発想ですが、それでも高度経済成長により、極端な金持ちは居ない代わりに極端な貧乏人は出さないという社会を築いた功績は、誰よりも池田勇人に帰すべきす。その後の自民党は池田の遺産を食いつぶしていたと断言できます。

そもそも自民党とはどのような政党だったのでしらょうか。過去においては、社会党ではなくて自民党でなくてはならない理由はなんだったのでしょうか。

これは浜田幸一という政治評論家が言っていたのですが、自民党の存在意義は「富の公正配分をすることにある」だそうです。これと同時に、「自由主義陣営の一員として日米安保条約を守り云々」となるののですが、池田の死後の佐藤内閣では、主権国家としてまともな国防政策をやめていますから、それは如何なものでしょうか。

つまり、自民党は経済が元気で、利権を配れる以上は政権政党でいられたのです。一方で失われた90年代は竹下支配の時代であす。配るアメがどんどん縮小していく時代である。島根県の人間なら誰でも知っている話だが、別に竹下に政治献金をしても利権にありつける訳ではありませんでした。ただ支持しないと絶対に排除されるだけでした。

このような状況は民主党に政権交代をされるまで続くことになりました。

政権交代された後に自民党はまた、政権の座に戻ることができたのですが、再配分政策に対して冷淡であるということには今でも変りありません。

かつて自民党は、再配分政策で大成功したという池田の時代をすっかり忘れてしまったようです。自民党はもう一度、池田のように「日本は特別な金持ちなど居なくても良い。皆が真面目に働けば、皆が豊かになれる社会を実現するのだ」という理念を実現することにより、中国はじめとする他国にもおよびもつかないほどの、経済発展を成し遂げたことを思い起こすべぎてす。

安倍総理はまさに、このような考えから、EUなどでは左翼的政策と目される金融政策に踏み切ったわけですが、そこからさらに一歩の財政政策に踏み切ることができないどころか、結局増税してしまいました。無論、安倍総理自身は、増税などしたくなかったでしょうが、党内の増税圧力に阻まれ、増税せざるをえませんでした。しかし、さすがに、10%増税ともなれば、破滅的になるので、これは見送ったということです。

そうして、今のような自民党に対しては、野党が池田の時代を思い出させるような施策を提案するとか、これを対抗軸にするようなことをすべきだと思います。

本来は、これを民主党のような野党が実施すべきですが、マクロ経済音痴の民主党にはこれができないようです。民主党も政権交代のときには、再配分政策に近いことも言っていたのですが、なにしろ、彼らの政策はただ、ばらまくというだけで、まともな金融政策や、財政政策を前提としたものではなく、そのため大失敗して、敗退しました。

今回の民主党の代表選においはも、本来はこのような論点を争点としてあげれば、良かったのだと思いますが、なにしろ代表選候補者の3人ともがほとんどマクロ経済を理解していないようなので、全く駄目なようです。

民主党代表選の候補者ら
本来ならば、上で示した論点で3人の候補者が一致し、その上で、再配分的財政政策を三者三様の意見をあげて、それを争点とすれば、民主党も見込みがあったと思います。

そうなれば、再度自民党の対抗馬として、実際に政権交代できるできないはどうなるかは、わかりませんが、野党としても立派につとめを果たせたかもしれません。

そうして、そのような野党が存在すれば、与党の自民・公明党ももっとまともに、現在もっとも経済対策として、効果のある再配分的財政政策に目を向けたかもしれません。

いまのままでは、民主党は、野党としてもまともな働きができないばかりか、自民党も存在基盤を失いまたまた、少し前のように総理の在任期間が極端に短くなる懸念もあります。

そうはならないためにも、自民党は過去の反省をして、池田時代にはなぜあのようにうまくいったのか、十分研究して、その研究の成果を生かす政権運営をしていただきたいものです。再配分的再生政策は本年こそ、積極的に実施されるべきものであると私は確信しています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

ちなみに、私はトマス・ピケティ氏の主張に賛成です。しかし、トマスピケティ氏が主張していたようなことは、すでに池田総理大臣の時代に日本において、それに近いようなことが実現されていたと思います。だからこそ、あの驚異的な高度成長が可能だったのだと思います。これについて、述べると長くなるので、いずれ機会をもうけてこのブログにも掲載しようと思います。

【追記】
子育て給付金、支給されることにはなりましたが、減額されてしまいました。これって、本当に意味があるんでしょうか。大して効果はないのに、事務手続きに時間がとられて、ほとんど何にもならないです。減額するなら、再配分的にすれば、もっと効果が期待でき、全体では減額になると思いますが。お金持ちの家庭で、たった3000円では意味がないので、申請手続きすらしないと思います。貧乏な家庭でも、これでは焼け石に水ですね。



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2014年11月23日日曜日

こども版国の借金は永遠に続けられるの?―【私の論評】政府の借金は永遠にできるわけもない!インフレターゲット政策の是非を問い、政治主導のための第一歩を実現するのが、今回の選挙の争点の本質であることを認識せよ(゚д゚)!

こども版国の借金は永遠に続けられるの?

池田 信夫

安倍首相は衆議院を解散して、12月14日に総選挙が行なわれることになりました。彼は8%の消費税を10%にふやすことを先送りし、それについて「国民に信を問う」というのですが、先送りに反対している党は一つもありません。増税は争点になっていないのに、何を問うんでしょうか。

まぁそれはいいとしましょう。こうして増税を先送りしていると、1000兆円を超えた国の借金はどんどん増えますが、安倍さんは「景気が回復したら税収もふえるので心配ない」といっています。これは本当でしょうか?

どんな会社でも、金を貸してくれる人がいるかぎり借金は続けられます。国の場合は倒産して金が返せなくなるということは考えられないので、国債を返すとき、あらたに国債を発行して返せばいいのです。これは浜田宏一さん(内閣官房参与)のいうようにネズミ講の一種です。

ネズミ講は、バーナード・マドフのように「元本保証でいい配当を出します」といってお金を集め、高い配当を出す代わりに元本を食いつぶすものです。景気のいいときはどんどん新しい人がお金を出すので、みんなに高い配当を出すことができます。

でもリーマンショックみたいな事件で抜ける人が増えると、資金ぐりがゆきづまります。清算すると、お金はほとんどなくなっています。お金を運用しないで利益として分配してしまったので、残った人の出資金は返ってきません。

このようなネズミ講は詐欺ですが、国がやると犯罪にはなりません。税金を負担する納税者がいなくなるとネズミ講は終わりますが、みなさんのような新しい納税者から税金を取れば、国の借金は回ります。問題は、それを負担する納税者が無限に出てくるかということです。

もちろん日本の人口は有限で、しかもこれから30年で働く人は30%以上へります。その結果、一人あたりの国民負担はふえます。このまま負担がふえつづけると、2050年には図のように国民負担率は7割になります。つまりよい子のみなさんが大人になったころは、給料の7割が税金や社会保険料にとられ、可処分所得(税引き後の所得)は今の半分になるのです。


国民負担の予想(左軸は兆円、右軸は%)


みなさんの世代は、今より絶対的に貧しくなります。みなさんのおじいさんの世代の借りたお金を、みなさんの世代が返すからです。わかりやすくいうと、おじいさんは孫のクレジットカードを使って買い物してるみたいなものです。おじいさんのもらうお金は払った税金などよりひとり5000万円ぐらい多く、みなさんは5000万円ぐらい少なくなります。

いま増税を先送りすると、将来のみなさんの税負担はもっとふえます。安倍さんは「景気がよくなったら借金を返す」といっていますが、ひとり1億円もある差を景気がよくなるだけで埋めることはできません。

でも所得の7割が国に食われるようになる前に、国債が売れなくなるでしょう。日本の貯蓄より国債のほうが多くなるからです。そうすると金利が上がり、国債が暴落します。その結果、ひどいインフレになると、実質債務(物価で割った借金)がへります。

どこの国も、そうやって借金を踏み倒してきたのです。インフレは困ったことですが、みなさんの負担は軽くなります。ネズミ講をつづけるよりはましかもしれません。

【私の論評】政府の借金は永遠にできるわけもない!インフレターゲット政策の是非を問い、政治主導のための第一歩を実現するのが、今回の選挙の争点の本質であることを認識せよ(゚д゚)!

まさしく、池田氏のおっしゃる通り、国というか(この言い方は間違い)、政府の借金は永遠には続けられません。それは、どう考えてもはっきりしすぎています。

もし、このまま増税をしてしまい、その増税により日本経済がさらに落ち込めば、税収が減ります。税収が減ってしまえば、政府がさらに大量に国債を発行して国民から借金をしなければならなくなります。だからといって、また増税すれば、ますます景気が落ち込み、さらに政府は借金を重ねるこになります。

そうして、上記で池田氏が語っているようなことが、現実になってしまいます。そのようなことは、どこかで断ち切る必要があります。

ここで、突然話題を変えます。少し、話が飛んだようにも思われるかもしれませんが、後で話はきちんとつながるので、我慢して読んで下さい。

ここで、「日銀は国債をいくら購入してもインフレにならない」と仮定します。これは物価・金利の動向を全く気にすることなく市中の国債や新発国債を全て日銀が買い取り、マネーサプライを増加させたとしてもインフレが生じないことを意味します。

この仮定が正しいとすれば政府は物価や金利の上昇を全く気にせずして無限に国債発行を続けることが可能となり、財政支出を全て国債発行で賄うことができるとともに、さらに巨額の財政赤字を解消することも可能になり、無税国家が成立することになります。

ただし、現実には無税国家は成立しないため「日銀は国債をいくら購入してもインフレにはならない」という命題は誤りです。つまり、「インフレターゲット政策を行えばインフレになる」のです。

インフレターゲット政策は、アメリカでも導入され、効果をあげた政策である

デフレや、過度のインフレは、正常な経済循環から逸脱した、経済の病です。これを放置しておくことはできません。

今の日本は、16年間もデフレです。これから脱却するためには、インフレターゲット政策を行う必要があります。これを実施して、そのまま放置しておれば、過度のインフレになります。しかし、そうなる前に、金融引締め、増税などの対策を行えば、過度のインフレ(ハイパー・インフレ)になることはありません。

最後に池田氏のこの記事の、最後の部分を補っておきます。

過度のインフレは困ったことですが、緩やかなインフレであれば、みなさんの負担はかなり軽くなります。ネズミ講をこれからも続けるよりははるかに良いことです。デフレにおいては、こうした負担が過度に重かったとも言い換えることもできます。

今回の選挙の争点は、池田氏が語るよにう、増税が争点ではありません。上記で述べたインフレターゲット政策をすべきか、すべきでないかを国民に信を問うというのが、本質です。増税するしないは、この本質論の以前の、目先のテクニカルな部分の争点に過ぎません。

だからこそ、安倍総理は、今回の解散を「アベノミクス解散」と命名しています。特に、与党の増税推進派の皆さんや、野党の皆さんは、この本質を見失わないようにしていただきたいものです。

インフレターゲット政策が功を奏して、日本がデフレから脱却できて、緩やかなインフレになれば、国民の消費も増え、国民所得も劇的に増えます。国民所得が劇的に増えるということは、税収の源が増えることであり、税収も増えます。



これで、政府は無限に国債を発行し続けて、国民が借金をし続ける必要もなくなります。ただし、政府の借金と、個人の借金は、性質が全く異なります。個人が借金すると、お金が消えてなくなるだけですが、政府の借金は、違います。

政府が10兆円の借金をしたとします。そのお金は、政府がいろいろな対策に使うわけです。そうすると、そのお金は、政府の機関や民間機企業にまわり、いろいろなことに遣われます。そうすると、れが、国民の賃金にもなります。そうしてそのお金は、また税収として政府に戻ってくるわけです。

企業も同じですが、全く借金をしない組織というのは、一見良いようにもみえますが、その実新しいことに挑戦もしていないということです。だから、健全な企業が何らかの借金をするのは、新たなことに挑戦していることの証であるということでもあります。

それと、同じく、政府も多少の借金をしているというのがあたり前であり、世界中のまともで健全な国の政府は借金があるのがあたり前です。その借金が多すぎかどうかが問題なのであり、全く借金がなく、真っ黒の政府というのは、何も新しいことに挑戦しない怠け者政府であるということもできます。

だから、日本政府も多少の借金があるくらいが良いです。全く借金のない国家というのは、怠慢政府か、政府と為政者の金か区別のつかないような、独裁国家であるというのが通り相場です。

いずれにしても、デフレをそのまま放置してね景気を良くせずに、単に増税と国債だけで国庫を賄おうとすれば、池田氏が語る最悪の状況が現実のものとなり、いずれハイパーインフレがおこり、国民が大きなつけを払わなければならなくなります。



しかし、今からインフレターゲット政策を行い、デフレを克服しておけば、そのようなことには絶対になりません。なぜそのようなことが言えるかといえば、日本はもともと豊な国であり、政府は借金をしていまいますが、日本国そのものは、対外金融純資産(要するに日本が外国に貸しつけているお金)は、過去20年以上にもわたって、世界一です。その額は、260兆円を超えます。

確かに貧乏国であれば、インフレターゲット政策をとっても、何をしていても限界があり、何をしても、池田氏の言っているような暗い未来しかないかもしれません。

しかし、日本はそんな国ではありません。もともと、相当豊な国です。そんな豊な国が、デフレで消費が落ち込みとんでもないことになっているだけです。それは、日本がもともと豊な国であることから、確実に立て直すことができます。

デフレは悪いことばかり、一人あたりのGDPも落ち込むばかり・・・・・

池田氏が、語っている未来を現実のものにしないためにも、日本では、直近では、インフレターゲット政策を確実に行い、デフレを脱却する必要があります。そうして、それに一番反対しているのが、財務省です。そうして、上の記事の池田氏も、インフレターゲット政策でインフレにはならないと主張しています。

財務省は、国民生活などは二の次で、何が何でも増税すべきという方針を貫いてきました。今回の選挙は、こうした財務省の方針に安倍総理が突きつけたということも意味しています。

増税するしないは目先のテクニカルな問題に過ぎず、その本質は、現状のインフレターゲット政策をどうするかが問題であり、さらに将来的には、このような方針は、財務省が決めるのではなく、国民に選ばれた国会や、政府が決めるべきという政治主導を実現するための第一歩でもあるのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年7月3日火曜日

【産経・FNN世論調査】増税法案成立後に解散を57%―【私の論評】これから選挙に打って出ようとする人へのアドバイス"次の選挙では、何を争点にすべきか?何を主張する政治グループに属するべきか!!"

【産経・FNN世論調査】増税法案成立後に解散を57%
前回の衆院解散を伝える新聞記事、このときは、デフレ脱却は争点にならかなった。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が6月30日、7月1日の両日に実施した合同世論調査で、消費税増税法案が参院で成立した場合について「できるだけ速やかに衆院解散・総選挙を行うべきだ」との回答が57・0%に上り、「解散・総選挙は必要ない」(38・6%)を大幅に上回った。

野田佳彦内閣の支持率は前回調査(6月9、10日)より0・3ポイント増の28・5%、不支持率も1・1ポイント増の61・9%となった。政党支持率は民主党が0・1ポイント減の13・0%で政権交代後の最低記録を更新。自民党も16・4%と3・5ポイント減らし、「支持政党なし」は過去最高の55・1%(5・3ポイント増)に達した。

民主、自民、公明3党による消費税増税法案の修正協議での合意について「評価できる」は53・8%。消費税率を2段階で10%に引き上げることについては「反対」が6・0ポイント減の50・1%、「賛成」が4・2ポイント増の45・2%でほぼ拮(きっ)抗(こう)した。

衆院の選挙制度改革については、民主党提出の法案に明記された連用制の一部導入に44・5%が反対、賛成は36・1%だった。


関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働では「反対」が50・5%で前回より7・1ポイント増。「賛成」は43・5%で5・7ポイント減った。今夏の限定稼働については「反対」(48・3%)と「賛成」(45・3%)が拮抗。電力不足を条件にした他の原発再稼働に関しては「賛成」(52・7%)が「反対」(42・1%)を上回った。

【私の論評】これから選挙に打って出ようとする人へのアドバイス"次の選挙では、何を争点にすべきか?何を主張する政治グループに属するべきか!!"

上のアンケートどの項目も、それなりに納得できるものと思います。特に増税に関してはもっともだと思いすます。現在増税法案は、衆院を通過していますが、参院もおそらく余程のことがない限り通過し、成立することでしょう。ただし、以前このブログで掲載したように、これをもって増税そのものが、決まってしまうわけではありません。 たとえ、法案が可決しても、来年の9月に実際に再来年の4月から実際に増税するかいなかを決定します。

参議院議員本会議場
だから、未だ再来年の4月に増税するかどうかは、決まってはいないわけです。であれば、まだ、増税しないという選択肢は、十分あるわけです。そうであれば、消費税法案が参院を通ったあかつきには、総選挙を行い、国民の信を問うべきです。選挙で勝つためには、既存政党であれ、他のどのような政治グループでふれ、おかしげな、いまの政府や新聞などの日本財政破綻キャンペーンや、国債暴落キャンペーンなどに惑わされることなく正しい情報を開示した上で、さらに、「増税」「反増税」という立場を明確にすることが肝要です。増税などすれば、税収はさらに減ること、結局デフレを克服しなければ、財政再建もできないことをはっきり名言すべきです。

そうして、当然のことながら、なぜ反増税なのかを明確にする政治グループに投票すべきと思います。そうして、デフレを克服するには、政府による財政出動と、日銀による金融緩和が不可欠であることを主張する政治グループに投票すべきです。さらに、日銀による金融緩和を担保するために、日銀法を改正することを明言するグループに投票すべきです。

政治家の中には、政府による財政出動だけで、景気が回復することを言う人もいますが、これだけでは、デフレから完全に脱却できるとは限りません。これだけやって、日銀を放置しておき、日銀が金融引締めをすれば、せっかくの財政出動も、くじかれてしまいます。


経済では、マンデル・フレミング効果ということがいわれています。開放経済の小国で変動相場制の下では、金融政策は有効ですが、財政政策は無効であるというものです。閉鎖経済のケインズ体系であるIS-LMモデルを開放経済に拡張した「マンデル=フレミング・モデル」によって導かれるものです。

このようなマンデル=フレミング効果があることによって、現在の経済学では、景気対策として、財政政策よりも金融政策の方がより強力であると考えられています。

財政悪化による長期的な経済への負担を考えると、財政縮小+金融緩和のポリシーミックスの有効性が考えられます。1990年代のアメリカは、このポリシーミックスを採用して、景気が拡大しました。

藤井教授
ただし、京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡は、マンデルフレミングモデルはインフレであることが前提となっており、デフレにおいては全く通用しないとの批判を述べ、デフレ下の日本では財政政策は無効にならないと主張しています(ただし、インフレが前提であるということの根拠は示されていません。また、上述のようにマンデルフレミングモデルはIS-LMの枠組みであることから、インフレやデフレとはそもそも無関係に成立します)。また、同研究科助教の中野剛志も、資金需要が不足しているデフレ下では金利の大幅な上昇はありえず、自国通貨高にはならないと主張しています(現実の実効為替レートも参照のこと)。もっとも、現実の実質実効為替レートのデータを見てみると、橋本、小泉政権の時期に円安が、小渕政権の時期に円高が進行していたことが読み取れます。



また、財政出動すると内需拡大により、輸入が増え、むしろ円安になる。マンデル・フレミング効果は小国を前提としたモデルであり、日本のような経済大国にはあてはまらないとする人もいます。

しかし、現状ではアメリカや日本は小国ではないですが、小国開放経済モデルは、貿易や為替レートに及ぼす政策効果については近似的に正しいとされています。


マンデル=フレミング・モデルでは、IS-LM分析に国際収支の均衡を表すBP曲線を加えて、「経済政策の有効性」を考えます。
クリックすると拡大します↑
私は、藤井聡氏や、中野剛氏の意見は、確かに当てはまる部分もあると思います。それに、上記のグラフと、表をご覧いただけれぱ、経済の様々な局面で、財政政策が有効であったり、金融政策が有効な場合もあります。非常にわかりやすい例をあげると、たとえば、都営銀行は「中小企業は、銀行からなかなか融資を受けにくい環境にあるから困っている、だから、融資を受けやすくすれば、うまくいくはず」という理念で、設立したものですが、ご存知のように現状ではうまくいっていません。


中小企業は、仕事がないから困っているのであり、そんなときに、銀行がお金を貸しますなどといっても、借りようもないわけです。仕事があってこそ、設備投資をしたり、人を雇用するわけですから、こんなデフレのひどい時期に、金融政策だけではうまくいかないことは、明らかです。まずは、政府が公共工事などをして、直接間接にでも、仕事そのものを増やしいく必要があります。ある一定程度仕事が増えれば、 中小企業もお金を借りるようになるでしょうし、そのときには、金利が低いなどの金融政策が、効果をあらわしてくると思います。

それに、日本には、特殊事情があります。日本の場合、輸出はGDPの16%にすぎないということがあります。であれば、デフレ下の現状ですぐに財政出動が無効果になるとは考えられません。というより、デフレ脱却の直前では多いに効果があると思います。ただし、いつまでも、これだけをやっていては、やがて効果も薄れると思います。だかこそ、金融政策も必要不可欠だと思います。おそらく、これほどまで、長期化した異常なデフレは、日本どころか、いままで人類が経験したことのない、未曾有なものだと思います。それも、このような豊なで世界に一番カネを貸している国が、10年以上も長期デフレに陥っているなどというのは、本当に世界初だと思います。

【日本の主な輸出品と輸出先】 クリックすると拡大します
人類が経験したことがないのですから、デフレ脱脚するにしても、様々な紆余曲折があると思います。であれば、効果があると考えられるものには、すべて挑戦すべきです。無論、政治家が大きな方向性を示すものの、実際には、専門家がバランスをとりながらやるべきです。そのために、日銀と、財務省があるのです。そうして、日本は、それができます。外貨建で、大きな借金をしているギリシャのような余裕のない国とは違います。

上記のようなことから、私は、デフレ脱却には、政府による財政出動と、日銀による金融緩和の両方が必要不可欠だと思います。だから、この両方をバランスを取りながに実行していくべきと、主張する政治グルーブが、最も信頼できます。

デフレ脱却等経済状況検討会議であいさつする野田総理デフレの解は、
会議をすることで実現されることではない!!ましてや、増税゛てもない!!
もし、選挙になれば、まずは、このような主張をする政治グループを最優先にするべきです。ちなみに、政治グループとしたのは、次の選挙では、既存の政党による、連合、連携、さらには、既存の政党とは異なるタイプの政治グルーブも出てくる可能性があると思ったからです。あとは、おまけ程度と考えて、まずは先の主張をしないようなグループには、目もくれるべきではありません。複数そのようなグルーブがでてきた場合は、そのオマケが決め手になるかもしれませんが、それにしても、先のことをより具体的に主張するグルーブが良いと思います。

以前このブログにも述べたように、現在デフレです。このデフレを克服しない限りは、何をやっても、あちらを立てれば、こちらが立たず、こちらを立てれば、あちらが立たなくなり、結局はもぐら叩きになるだけです。

政府は結局もぐらたたきをして、遊んできただけ
経済の前に安全保障や、その他の重要な問題もあるではないかと主張する方もいらっしゃるかもしれませんが、それは、それとして、何もやるなとは言いませんが、デフレ解消は、現在日本にとって、エネルギー問題や、安全保障なども含めて重要な問題が10あったとして、デフレが解消できれば、全部とはいえなくても、5つや、6つは解決できます。しかし、これが解消しなければ、何も解決できず、何かを解決すれば他にしわ寄せがいくだけです。ひらたくいうと、デフレ不況の中では、自衛隊員を増やすこともできなくなるし、高額な兵器も購入できなくなります。エネルギー問題だって何か新しいエネルギー源をみつけて、実用化するのだって、先立つものと、時間が必要です。余裕がなければ、何もできません。


税と社会保障の一体改革などを行っても、現状は以前にも述べたように、結局高齢者や、富裕層に所得移転が起こるだけです。だからといって、貧困層や若者に手厚い措置をするようにすれば、他者にしわ寄せがいくだけです。結局、何をやっても、しわ寄せが及ぶ対象が変わるだけです。

だからこそ、次の選挙は、「デフレ対策」が最大の争点にならなければならないはずです。私自身は、もし、デフレでなければ、やるべきことは多数あるとは思うのですが、そんなことは棚上げにして今は、デフレをなるべく早期に解消すべきと思うのです、他のことはすべて後回しにすべきと思います。

デフレ対策なしに、あれこれ、夢を語る政治グループは最低であり、結局何もできないと思います。そうして、それをやったのが民主党です。そうして、野田首相は、「増税に政治生命をかける」などと、馬鹿なことを言っています。しかし、これは、菅首相が、参議院議員選挙のときに、自民党と同じ主張をすることによって、あわよくば、連立政権を樹立して、自らの政治生命を延長させようと、画策したということであり、全く政治生命をかけるようなものではありません。

民主党鳩山内閣、この日の高揚は二度とやって来ない!!

民主党は、もう将来はないことを自覚して、いつまでも、ズルズルべったりで、政権をなるべく伸ばすというような姑息なことはやめて、さっさと選挙をして決着をつけるべきです。飛ぶ鳥あとを濁さずという言葉を思い起こすべきです。

そうして、日本を良くしようと、本気で考え次の選挙に打って出ようとする方、是非とも頑張ってください。現在、政局は混迷しています。だから、その渦中にいると、大事なことを見失がちです。かえって、素人の私などのほうが、先を見やすいかもしれません。私は、本当に日本が良くなって欲しいと思っています。だから、選挙に打って出ようとする方に私の見方でも、参考になるかもしれないと思い、本日は、不遜ながらこのような投稿をさせていただきました。



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