2016年8月21日日曜日

片山さつき議員が貧困女子高生問題に言及「パソコン買えるのでは」「NHKに説明を求める」―【私の論評】NHKが貧困を煽るのは馬鹿か常識知らずかその両方で、いずれにしても酷すぎ(゚д゚)!

片山さつき議員が貧困女子高生問題に言及「パソコン買えるのでは」「NHKに説明を求める」

貧困女子高生を取り上げたNHK ニュース、この女子高生は実は貧困ではないのではなかとされ様々な憶測を生んでいる

NHKの貧困女子高生問題を片山さつき・自民党参院議員が取り上げてNHKに説明を求めると話しています。

片山議員は8月20日夕方から数回に渡ってTwitterでこの問題に言及、貧困女子高生の外食やキャラクターグッズ購入を指摘して中古のパソコンを十分買えるのではないかとしてネットの不信感に理解を示し、経済的な理由で進学できないのであるのなら奨学金を始めとする各種の施策で支援可能ではないかと語っており、貧困女子高生のようなケースに返済義務のない奨学金が活用可能であるのか、NHKに説明を求めるとしています。

NHKニュースのキャプチャ画像
片山議員は問題の番組を見て経済的な理由で進学を断念したという貧困女子高生の夢を叶えてあげたいと思っていたところネットからの指摘で女子高生の散財を知り驚いたそうで、貧困女子高生がTwitterに載せていた外食について「一食千円以上。かなり大人的なオシャレなお店で普通の高校生のお弁当的な昼食とは全く違う」として疑問を抱いているようです。

この問題では貧困状態の定義が議論になっており女子高生の生活それ自体を批判するというスタンスに対しては否定的な意見も根強いものの、NHKの報道に対しては厳しい声が多く、YouTubeで公開されている動画への評価は8月21日朝の段階でBadが2,150回に対しGoodはわずか54回と、貧困女子高生を取り上げた報道それ自体が支持を得られていないのが鮮明となっています。

こうした背景の一つには貧困女子高生が2016年春の段階で既に神奈川県内の高校生による選挙啓発運動に参加していたことが判明しているなど政治的な取り組みにも積極的である点から報道に何らかの思惑があったのではないかとの憶測も影響しており、取材に至った理由やこの女子高生を取り上げた経緯についての説明を求める人が多いため片山議員の発言は期待感を持って受け止められているようです。

【私の論評】NHKが貧困を煽るのは馬鹿か常識知らずかその両方で、いずれにしても酷すぎ(゚д゚)!

さて、この件では、ネット上でかなり情報が乱れ飛んでいます。中には、この貧困女子高生(杉山麗)の自宅住所に赴いて、NHKニュースではエアコンがないとされていたにもかかわらず、この女子高生の自宅にはエアコンの室外機があることを示す写真をネットに掲載する人間もいるほどです。

このような動きに対して、不安を感じたのか、貧困女子高生の妹なる人物が以下のようにツイートしています。


ここまで、やるのは実際やり過ぎであるとは思います。結局、この問題は、貧困とされる女子高生にはあまり問題はないと思います。(全く問題がないというわけではない。)

問題はどうしてこのような事実と異なる放送がされてしまったかです。放送中には大量の漫画、アニメグッズ、高価なペン(2万程)があるのが映っており、明らかに貧困に苦しむ家庭という雰囲気ではありませんでした。本当に貧困で困っている人からすれば迷惑な話です。

この放送についてはNHKの戸田有紀記者が深く関与しているのではないかと囁かれているます。

その根拠として、以下のような事実があります。
(1)うららさんがスピーチをした「かながわ子どもの貧困対策会議」の出席者名簿に「戸田有紀(NHK報道局 遊軍プロジェクト 記者)」の名前がある。同会議では76億円規模の貧困対策予算の使い道を検討する。 
(2)「子どもの貧困対策センター設立準備委員会」に設立に賛同すると「NHK記者 戸田有紀」の名前で署名がある(2015年)。左翼リベラル系が多数散見される。
(3)安保法案に反対する署名「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会の声明」に参加している。※ただし、こちらについては同姓同名の可能性あり 
これらを受けてネット上では「以上を総合して考えると共産党系組織が政治のためにやっているとしか思えない」、「これは貧困ビジネス」、「同情されやすい女子高校生を意図的に使った」などと指摘され始めています。

おそらく、以前から貧困問題に対して強い問題意識を持っていた戸田有紀記者は貧困対策会議にて、うららさんと出会い、出演を依頼。撮影中に貧乏ではないと気づいたものの、番組をつくりあげるために事実を捻じ曲げて故意に感動的なストーリーを演出したと思われます。

それにしても、貧困率のデータは、2012年(平成24年)のものです。現在は、2016年(平成28 年)ですから、4年も前のデータです。NHKは、貧困率は4年前と、現在も同じと考えているのでしょうか。ただし、貧困率のデータは、最新の「こども白書」などをみても、最新のものでも平成24年のものしか掲載されていません。おそらく、数年に一度新しい統計を出すのだと思います。

この4年間で、日本もかなり変わっています。特に、平成13年からそれまで、金融引き締めばかりしていた、日銀が金融緩和に転じています。そうして、ここから、雇用が劇的に改善されています。相対的貧困率に関する直近のデータはありませんが、以下に最低賃金と完全失業率のグラフを掲載します。

最低賃金が上がってるのですから、この貧困女子高生の母親はバイトをしているそうなので、この人の賃金も上がっているはずです。さらに、高校生や、大学生の就職率も劇的に良くなっています。4年前とは天と地との差です。就職率に関しては、今年は数十年ぶりの良さだったそうですから、まさに天と地です。貧困率も、4年前と比較するとかなり良くなっていると思います。

しかし、野党やマスコミなどは、金融緩和の意義をほとんど認めません。そもそも、金融緩和と雇用の改善との間の相関関係を全く認めていません。彼は、貧困率とは構造的なものとでも思っているのかもしれません。

だから、4年前の古い数値を使って、ことさら貧困率を強調して、安倍政権を叩こうとしたのかもしれません。しかし、その試みは、ネット民によって頓挫させられたようです。

国会での説明資料
今回の出来事は、上記のような見方ができると思います。しかし、別の見方もできます。戸田有紀記者をはじめとして、NHKの職員の平均給与は、NHK の正職員の平均年収は、1780 万円、30歳で2000万円以上の人もいるとか、部長になると3000万もの人もいるとか、これに対して 契約アナは150~200万に過ぎないともされています。

そんなNHKが貧困を取り上げるというのも、不思議な感じがします。そもそも、このようなまるで、貴族様のような生活を送ってるNHKの正職員様からすると、この女子高生の生活は貧困そのものに見えるのかもしれません。そもそも、本当の貧困など想像もつかないのかもしれません。


NHKが貧困を煽るのは、とにかく安倍叩きをするためには、事実の歪曲でもなんでもするという馬鹿さ加減によるものか、現代の本当の貧困とはどのようなものなのかという常識もないためなのかいずれかか、あるいは両方で、いずれにしても酷すぎるということです。

日本を代表すNHKがこの有様なのですから、改めて、日本のテレビの低水準ぶりが露呈してしまったということです。

それと、この貧困問題の煽りですが、NHKは朝日新聞とコラボでこれを安倍政権叩きの柱にしようとしていた形跡があります。

朝日新聞は、今年の5月からシリーズ「子どもと貧困」という特集を組んでいます。一部ピックアップしておきます。

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この朝日新聞のシリーズでは、日本の貧困率は、2009年時点の15・7%が用いられています。2016年現在とは、比較にならないものと思います。おそらく、朝日新聞も、貧困問題と金融政策の間には何も関係はなく、貧困は構造問題だと思っているのでしょう。

メディアや左翼リベラルの貧困問題の捉え方は、著しく偏っています。というより、これは意図的に画策されたものとみなすべきかもしれません。

おそらく、「保育園落ちた、日本死ね」の二番目のどじょうにしようと画策したのでしょうが、最初からネタバレで、これでは他のメデアは乗ってこないでしょうから、頓挫してしまったようです。

相対的貧困率は、所得ベースで計算しますから、年金生活者が多い少子高齢化社会では貧困率が高く出ます。所得と資産は全く異なり、所得が少ないから、貧困者というわけではないのです。日本の場合、少子高齢化で年金生活者など所得の少ない人が急増していますのでデータに多きな歪みが出ます。貧困を語る場合、資産を無視した議論は成立しません。

親の所得が少ないため貧しい子供も居ますが、親に所得があってもお金を持たない子供がいたりします。その理由は様々で 親の浪費もあれば、教育方針もあるるし、子供のお金の使い方にも依存します。また、心の豊かさと貧しさというものもあります。これは、簡単に一律に解決など出来る問題ではありません。

子供の貧困問題も保育園問題と同じように、政治的キャンペーンで煽る手法には、私は大反対です。こんなことをすると、かえって問題がこじれてしまい解決できなくなってしまうことも考えられます。問題を一度整理して、権利義務関係、行政と個人 の責任分担など出来ることを冷静に切り分ける必要があります。貧困問題の対策をすべて国や行政だけが、実行するというのは、共産主義的であり、個人の権利まで侵害することにもなりかねません。
【資料】

ブログ冒頭の記事の動画ですが、比較的短期間で削除されてしまう可能性もあるので、以下に音声を文書化したものを資料として掲載しておきます。

経済的な理由で進路の選択が難しい学生たちが、みずからの言葉で貧困の現状を訴えるイベントが18日横浜市で開かれ、学生たちは「子どもの貧困は日本にも存在していることを理解してほしい」と訴えました。 
厚生労働省によりますと、日本では平成24年の時点で6人に1人の子どもたちが貧困状態にあるとされ、国や自治体には将来に不安を抱える子どもたちへの対策が求められています。 
神奈川県はことし5月、経済的に厳しい状況にある高校生などを委員とした会議を設置し、当事者の声を生かした対策作りを進めていますが、18日は学生たちが企画したイベントが横浜市で開かれ、高校生や教職員などおよそ100人が参加しました。 
イベントでは、学生たちがみずからの体験を講演し、このうち委員の1人で経済的な理由で、希望する専門学校への進学を諦めた高校3年生のうららさんは「みんなが当たり前に持っているものが自分の家にはない。みんなが普通にできることが、自分の家ではとても困難。自分は貧困なのかもしれないと思った」と話しました。 
そのうえで、うららさんは「貧困の子どもが大人になり、同じような生活を強いられ、この状況が繰り返されることで未来の子どもも貧困になってしまうかもしれない。その子たちには、私のようにお金という現実を目の前にしても諦めさせないでほしいです。現実を変えるために、子どもの貧困は日本にも存在するのだと理解してほしい」と訴えました。 
神奈川県では、子どもたちの意見を取り入れて、今後公的な支援策などをまとめたホームページを作成するなどの対策を進めたいとしています。 
経済的な壁 夢を諦める高校生も 
みずからの体験を語った高校3年生のうららさんは、経済的な壁に直面し、進学を諦めざるをえない状況に追い込まれています。 
うららさんは、小学5年生のときに両親が離婚し、現在は一緒に暮らす母親が働きながら家計を支えていますが、経済的に厳しい状況です。自宅のアパートには冷房はなく、夏の時期はタオルに包んだ保冷剤を首に巻き、暑さをしのぐ毎日です。自分の家が経済的に厳しいことについて実感させられたのは、中学時代の授業だったといいます。パソコンを持っていなかったうららさんは、授業で先生に「ダブルクリックして」とか「画面をスクロールさせて」などと言われても、ついていくことができませんでした。母親からは千円ほどのキーボードだけを買ってもらい、一生懸命練習したことは忘れることができない出来事でした。 
うららさんは「みんなが当たり前にできることが自分だけできない。置いて行かれている。こんな自分が惨めだと思った」と当時を振り返ります。 
うららさんは塾にも行けませんでしたが、公立の高校に進学し、現在は、生徒会長を務めています。 
進路を選ぶ3年生の夏を迎えたうららさん。絵が好きで、アニメのキャラクターデザインの仕事に就きたいと、専門学校への進学を希望していましたが、入学金の50万円を工面することが難しく、進学は諦めました。 
うららさんは「私はいちばん不幸だなと思った。夢を持っているのになんで目指せないんだろう」と話し、経済的な理由で将来の選択肢が狭まっていくのを感じています。学校の担任から、夢を諦めずにさまざまな技術を学ぶことができる公的な職業技術校への進路を提案され、家計を助けるためには就職か技術校に進むのか今も迷い続けています。 
うららさんは「夢があって、強い気持ちがあるのに、お金という大きな壁にぶつかってかなえられないという人が減ってほしい。いろいろな人に知ってもらって、助けられていく人が増えてほしい」と話しています。 
「知らないこといっぱいあった」
講演を聞いた横浜市の高校2年生の生徒は「今振り返ると昔の友達で貧困の子がいたかもしれないと思いました。きょうの講演で気づかされたことが多かったです」と話していました。 
横浜市の高校2年の男子生徒は「自分の生きている世界と全然違って、苦しい生活をしている人がいると初めて知って驚いた。周りで大変そうな人がいたら力になりたい」と話していました。 
参加した高校の男性教諭は「知らないことがいっぱいあったので、子どもたちをもっと見るようにしなければと感じた」と話していました。
講演を終えたうららさんは「皆さんが貧困の問題を知りたいという気持ちが伝わってきたので必死でやりました。子どもの貧困の問題がもっと社会に認識され、対策も進み、将来子どもたちが未来を諦めずに済むような社会になればと思う」と話していました。 
子どもの貧困率 最悪に 
厚生労働省によりますと、貧困状態にある18歳未満の子どもの割合を示した「子どもの貧困率」は、平成24年時点の推計で子ども6人に1人の割合に上り、調査をはじめた昭和60年以降、最悪となっています。 
なかでも、母子家庭など「一人親世帯」では半数以上が貧困状態で、先進国の中でも最悪の水準です。こうした子どもの貧困は、進路にも深刻な影響を及ぼしています。厚生労働省が平成23年度に行った調査では、一人親世帯での大学や専門学校などへの進学率は40%余りで、ことし5月時点での全世帯の進学率と比べて、およそ30ポイント低くなっています。また、文部科学省がおととし行った調査では大学や短大を「経済的理由」で中退した若者は1万6181人に上り、全体の20.4%を占めて最も多くなっていて、前回5年前の調査より6.4ポイント増え、貧困が子どもたちの将来に大きな影を落としています。 
さらに子どもたちが経済的な理由で学習の機会を失うことで、将来十分な収入が得られず親の貧困が子どもにも引き継がれる「貧困の連鎖」が広がっています。

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2016年8月20日土曜日

【お金は知っている】日本人の規律を逆用する財務官僚と"御用メディア"―【私の論評】愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ!我が国の経済史を真摯に学べ(゚д゚)!

【お金は知っている】日本人の規律を逆用する財務官僚と“御用メディア”

山の日の人で賑わう富士山頂上

8月11日の「山の日」に富士登山を敢行した。登山者のラッシュの中、ゴミらしきものはほとんど見当たらず、全員が整然と歩み、休む。10人中3、4人は外国人だ。金剛づえに日の丸をくくり付け、誇らしげに登るのは台湾を含む東南アジア、米欧、中東、中南米の人たちだ。

 国際的にも称揚される日本人の規律。その国民性を逆手にとって自己利益を追求するのは、経済の緊縮を是とする財務官僚とそれに追従する御用メディアだ。

 朝日、毎日、日経新聞はこれでもか、これでもかと緊縮財政を求める。突出しているのは日経で、財務省が10日に「国の借金」が6月末で1053兆4676億円になったと発表するや、国民一人当たりで約830万円の借金を抱えていることになると騒いだ。経済に多少でも精通していれば、すぐわかる詭弁(きべん)である。

 国債の9割以上は金融機関経由で国内の預金者が保有しているのだから、国民一人当たり約800万円の資産なのである。借金の当事者は財務官僚なのだから、それほど問題だと言うなら官僚は給料を返上すべきなのだ。

 日経はこの大本営発表のタイミングに合わせて朝刊1面で「日本国債」と題した記事を5回にわたり連載した。米欧系投資ファンドが投機の口実に使う日本国債の暴落不安要因を並べ立て、消費税増税と緊縮財政強化をせきたてる。最終回は15日の終戦記念日付で、敗戦時には国債が悪性インフレのために紙くずと化したと断じた。このときばかりは国債を「国民の借金」ではなく「資産」とみなすご都合主義だ。

 8日には、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたお言葉の中で、「健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶ」と懸念されたくだりには、とりわけ胸を打たれた。

 日本経済は元号が改まるたびに、大不況に襲われる。大正天皇崩御の4カ月後、1927年3月の「昭和金融恐慌」、昭和天皇崩御(1989年1月)後の「平成恐慌」である。いずれも政官の指導者による緊縮政策が引き起こしたが、その政策転換までには多くの年月がかかっている。

 昭和恐慌の場合は1932年12月の高橋是清蔵相まで待たなければならなかった。バブル崩壊を伴った平成恐慌は慢性デフレへと停滞局面が続き、2012年12月の第2次安倍晋三政権が打ち出したアベノミクスでようやく政策転換がなされた、と思ったら、財務官僚が敷いた罠(わな)にはまった。14年4月からの消費税増税と財政支出削減であり、浮上しかけた景気はゼロ成長とデフレ局面に陥った。

 安倍首相はようやくこの失策に気付き、消費税率の10%引き上げを2度にわたって延期したうえに、総事業費28兆円超の大型経済対策に踏み切ることにしたが、要は秋だ。安倍政権は執拗(しつよう)きわまる財務官僚や御用メディアによる緊縮包囲網を突破するしかない。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ!我が国の経済史を真摯に学べ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にあるような、"「国の借金」が6月末で1053兆4676億円になったと発表するや、国民一人当たりで約830万円の借金を抱えている"などという見方は、全く一方的なものであり、間違いであることはこのブログでは何度か掲載してきたことです。その典型的なものの、リンクを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる国の借金などと言われている、正しくは政府の借金は、結論からいうと、百数十兆円に過ぎないことを、資料のでどころと、計算過程も含めて掲載しました。以下に、一部を引用します。
私の計算では、平成27年3月31日の日銀が含まれていないバランスシートに、平成27年3月31日の日銀の営業毎旬報告から推測したバランスシートを加えた(注:連列したという意味)もので、その結果は173兆円です。

これだと、日本のGDPを500兆円ということで計算すれば、政府の借金はGDP比では34%に過ぎません。これと同じような計算方式では、米国は80%、英国は60%であったと記憶しています。

ブログ冒頭の、高橋洋一氏の計算では、150兆円ということですが、大体似たようなものです。高橋洋一氏は別の方式でもっと正確に計算しているのかもしれません。しかし、考え方としては同じです。

いずれにせよ、政府の借金が1000兆円などということは、全くありえないことです。もしそうなら、国債金利がマイナスということなるはずもありえません。この程度の負債なら、10%増税はおろか、8%増税も全く必要なかったことになります。まさに、"国の借金」巡るホラー話"です。
そうして、ブログ冒頭の記事のように、マスコミが、これでもかと緊縮財政を求めるその理由については、現場主義とのいいながの不勉強であると結論づけました。以下にその部分を引用します。

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元毎日新聞記者でもある佐々木俊尚氏は25日の以下のようにツイートしています。
このような勉強をしない記者はやがて役所の忠犬「ポチ」になって、結局役所の伝令係として働くようになったのでしょう。鳥越氏をみると、このようなマスコミの体質をよく体現していると思います。

鳥越氏の女子大生への強姦未遂は、なぜか週刊誌では「淫行」としていますが、この未遂事件は、実は東京の私大関係者の中では、都市伝説として伝わっていて、私大関係者なら知らない者はないくらいだったそうです。

このような都市伝説なら楽しいが、鳥越氏や財務省起源の都市伝説は全くいただけない
都市伝説というと、私は「国の借金1000兆円」とするのは、完璧に都市伝説のようなものであると思います。いわゆる識者と目されているような人々でも、この都市伝説なみのホラー話を真に受けている人も大勢いますし、都市伝説と知りながら、財務省のキャンペーンに積極的に強力に後押しをする人間もいます。
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朝日、毎日、日経新聞などのメディアがこれでもか、これでもかと緊縮財政をすべきと、訴えるのは、結局のところ不勉強のなせる業です。私が、この記事で実際にやってみせたような計算や、同じような計算過程で算出された他国との比較などをすれば、すぐにわかることなのに、これらメディアの記者など、このような簡単な計算をすることもせずに、財務省のいうことをそのまま報道するか、それに輪をかけたような報道をしているだけです。

さて、メディアに関しては、これである程度彼らがなぜ、緊縮財政にこだわるのかある程度理解できます。

しかし、財務省やいわゆる日本の主流の経済学者までなぜ、あのように緊縮財政にこだわり続けるのか、合点がいきません。

しかし、少し参考になるようなことが、日経新聞に掲載されていましたので、その記事を以下に引用します。
かき消される進言 経済学界、安倍政権と溝  増税延期2度のトラウマ

 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
 アベノミクスを掲げる安倍晋三内閣と、日本の経済学界との間にすきま風が吹いている。学界の一部には安倍内閣との距離を縮めようとする動きがあるが、溝は埋まりそうもない。

 政府の規制改革会議は7月末で設置期限を迎え、鶴光太郎・慶応大学教授は雇用ワーキング・グループ座長を退任した。政府の成長戦略の本丸ともいえる労働市場改革に積極的に関与しようとしたが、徒労感が漂う。グループ内で議論を重ね、正社員改革の柱として労働時間規制の見直しなどを提案しても安倍官邸には聞き入れられず、「悔しい思いをする場面が何度もあった」。
結局のところ、政府の会に参加するいわゆる日本の主流の経済学者たちは、マクロ経済における景気循環的視点からではなく、ミクロ的な側面からばかり日本経済をみて提言をしているようです。

その背景として、この記事からザクっとまとめると以下のようなことがあります。
  • 現在はミクロ経済学を中心とする理論分析が研究の主流で、米国などの著名な学術雑誌への論文の掲載件数で学界での評価が決まる。 
  • 日本の経済学会は、ミクロ理論が研究の主流であり、経済学者が「エビデンスに基づく政策立案」という場合はマクロよりミクロ実証が念頭のことが多い。
このような視点から、平成14年4月からの8%増税は、日本経済に与える影響は軽微というのが、経済学者の大勢を占めた意見でした。

しかし、実際に14年4月からの消費税増税と財政支出削減をして蓋を開けてみると、浮上しかけた景気はゼロ成長とデフレ局面に陥ったのです。

これでは、安倍総理が、経済学者らの提言に疑念を持つのは当たり前のことです。

マクロ的な経済対策をしないうちに、ミクロ的な経済対策を打ったとしても、ほとんど効果は期待できません。そんなことは、当たり前ですね。金融引き締めと、緊縮財政で経済がヘタっているときに、ミクロ的な経済対策を打ったにしても、ほとんど効果は期待できません。実際、民主党政権のときはそうでした。

現状のデフレ局面に陥った状態をそのままにしておき、労働時間規制の見直しをしたら、長時間労働が常態であるような、ブラック的な企業が跋扈するだけの話しです。このような提言に安倍政権が耳を貸さないのは、当然のことです。

それにしても、どうして、日本の主流の経済学者や、財務省などが、このように緊縮財政にこだわり続けるのか、本当に理解に苦しみます。

これは、なぜなのか、その背景には何があるのか、それを考える上で参考になる記事があります。その記事のリンクを以下に掲載します。
REAL-JAPAN » 亡国経済学の系譜
詳細は、この記事をご覧いただくものとて、以下に一部を抜粋します。

田中秀臣氏
「亡国」とは文字通りでいえば、日本という国が消滅することである。それを目的にした経済学はあるのだろうか? 答えはイエスである。その歴史はかなり古く、ルーツは戦前にまで遡る。また「亡国」の定義を、日本国民の生活水準をあえて意図的に低下させること、という意味に解すれば、その種の亡国経済学の論者は昔もいまも枚挙に暇がないほどだ。 
 亡国経済学の基本的な特徴は、日本が深刻な長期停滞に陥っていて、すでに通常の景気対策などでは根本的に立ち直ることができない、そのため日本の構造的な問題を一挙に解決するしか道はないと唱えるものである。 
日本は公式統計をみても、国内総生産(GDP)の物価であるGDPデフレーターでみると94年からすでに20年近くデフレが継続している。このときのデフレは経済規模の縮小が伴っているので、私たちの生活か苦しくなっていることに等しい。そのような国民を厳しい環境に置く状態がずっと継続している。 
 このような長期のデフレはなぜ起きたのか? その答えはふつうの経済学では明白だ。物価とは、モノと貨幣との相対価値を示すものである。デフレは、モノに対して貨幣の価値が上昇しているからだ。なぜ貨幣の価値が上昇するのか。それは貨幣の希少価値が高いからだ。つまりいまの日本は20年近く貨幣が不足する状態にある。そして日本でお金を供給することができるのは、日本銀行だけである。 
速水優総裁の時期(1998年から2003年)の日本銀行のデフレ政策を、米国の著名経済学者アダム・ポーゼンは、中央銀行の使命である不況時の金融緩和を忘却し、「創造的破壊」にまい進していると批判した。 
 最近の白川方明日本銀行総裁についても同様の指摘がされている。オレゴン大学準教授のテイム・デューイや『フィナンシャルタイムズ』の記者ロビン・ハーディングらは、今年の3月24日に米国で行った白川総裁の講演を「清算主義」だと批判した。  
 白川総裁はその講演で、金融緩和を継続することが、収益性のない投資案件やムダな企業を延命させ、財政危機を継続させていると発言したのである。デューイらは正しくも、そのような清算主義的な発言は、実は日本銀行の政策の失敗から注意をそらすためのカモフラージュである、とも指摘している。 
しかし本当に「政策の失敗」なのだろうか。白川氏の本音が、清算主義的なものにあるのだとすれば、デフレを意図的に継続させて、日本を亡国とすることこそ本旨ではないのか? いまや日本銀行の総裁はじめ幹部たち、そしてその支持者を含めて、改めて彼らが何者であるのかが、問われようとしている。 
(『正論』2012年6月号所収)
投稿者:田中 秀臣
この記事は、2012年のものです。まだ安倍政権が成立することも、予見できず、デフレが深刻化して日本経済はデフレスパイラルの底に沈んでいました。

上記では、白川体制であった、日銀のみを精算主義として批判していますが、それは、財務省も同じことです。財務省も、日銀が、金融引き締めを繰り返していたころ、緊縮財政を繰り返し、日本をデフレスパイラルのどん底に落とし込みました。

現在の日銀は黒田体制になって、2013年4月から異次元の包括的金融緩和を実施し、2014年の3月まで、日本の経済は回復基調にありました。しかし、2014年の4月からの8%増税により、この金融緩和も腰をおられた形となりました。とはいいながら、雇用情勢はその後も改善を続けました。

しかし、最近では、日銀はマッカラムルールなどからみても、明らかに追加金融緩和が必要であるにもかかわらず、実行せず 、株安・円高の状況にとなっています。




財務省や、日銀、日本の主流の経済学者の中には、このような「亡国経済学」あるい清算主義的な考えの人が多いのだと思います。

特に、日本の主流の経済学者の中には、日本の産業は生産性が低いので、これを伸ばさない限り、日本経済は何をやっても良くならないと考えている人が多いです。

確かに、そういう側面もあるかもしれません。しかし、過去20年間の日本は景気循環的な側面を無視して、長期間にわたって金融緩和も、積極財政も実施せず、政治家やマスコミや、経済学者などが、いろいろなことを行ったり、実行したにもかかわらず、景気は全く回復することなく経過していたものが、2013年から金融緩和に踏切ったところ、経済指標がどんどん上向きました。

しかし、2014年4月から、緊縮財政の一環である、8%増税を実行した途端に、経済は落ち込み、雇用は改善を続けるという状態がつづきました。

これは、明らかに景気循環的側面を無視できないことの証左であり、追加金融緩和、積極財政の必要性があることがはっきりしたはずです。

しかし、多くの経済学者は、ミクロ経済政策の提言を行うのみです。これでは、彼らは亡国経済学者の謗りを受けてもいたし方ないと思います。

亡国経済学というと、私は、数十年前に出版された、ある外国の書籍を思い出します。書籍の名前も、著者の名前もすっかり忘れてしまったのですが、あらすじだけは覚えています。著者は確か、外国の人だったと思います。

それは、ある小国が、米国に戦争を仕掛けるというものです。そうして、戦争を仕掛ける理由が、「日本のように戦争に負けてその後に、脅威の経済成長をするため」というものでした。

私は、実は、「亡国」経済学者や、「亡国経済学」を信奉する官僚などには、無意識のこの小説の前提を是認しているのではないかと思います。

そうです。日本は、米国と戦争をして、負けたので不合理な制度やシステムが改善され、さらに米国の援助も受けたから、経済成長したという思い込みです。

しかし、これは本当でしょうか。私は、そうではないと思っています。経営学のドラッカー氏は、第二次世界大戦で疲弊したヨーロツパも、後世の歴史家が統計数値だけをみたとしたら、第二次世界大戦があったことなど認識できないかもしれないと語っています。

確かにヨーロッバは戦災でとんでもないことになりましたが、それでも、国全体としては、国富はかなり大都市などを除いて、地方などにはかなり残っていて、それらが戦争中はもとより、戦後はかなり生産を拡大したので、数字だけみているとまるで大戦などなかったかのように見えるというのです。

そうして、それは日本も例外ではありません。それに関しては、このブログでも掲載したことがあります。

そもそも、「亡国経済学」を信奉する方々は、戦争に負けたことによって、日本の国富はほとんど亡くなったか、あったにしてもせいぜい数十パーセントに過ぎなかったとの思い込みがあるのではないでしょうか。

それは、全く違います。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
やさしいデータと数字で語る「フクシマ」の虚と実 雇用は激増 離婚は減少 出生率もV字で回復―【私の論評】行動するなら感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行え(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に該当部分のみ掲載させていただきます。

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さらに、日本を例をとり、後世の歴史家が経済指標だけ見ていたら、大東亜戦争があったことなど気づかないかもしれないことを実証してみせようと思います。

以下は、最近読んだ古谷経衡氏の『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』という書籍に掲載されていた、統計資料です。

クリックすると拡大します
この統計資料に関して、古谷氏は、以下のような説明をしています。
 これを見ると、日本は先の大戦で、すべての国富のうち、その4分の1を失ったことになるが、逆説的に言えば、4分の3は残存していると見なすことができ、その水準はおおむね1935年のそれであった。

簡単に言えば、日本は1935年から1944年までの拡大分が戦争最後の1年、つまり戦争末期の大空襲であらかた吹き飛び、日本の敗戦時の国富は終戦時点の10年前である1935年の水準に逆戻りしたと考えればわかりやすい。 
 よって、「日本は敗戦でゼロからのスタート」を余儀なくされたのではなく、「敗戦により、おおむね1935年の国富水準からスタート」と言い換えることができるのだ。
1935年のレベルといえば、言うまでもなくアジアの中ではトップクラスです。戦後の日本の復興は、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態です。

終戦直後にこの状況であり、温存された国富の源となった、爆撃されなかった町や村などは生産活動を継続し、さらに戦争遂行のための様々な経済活動なども加えれば、日本も経済指標だけみていれば、戦争のあったことなど後世の歴史家は気づかないかもしれません。
"

確かに、大東亜戦争で負けたことは、日本に深刻なダメージをもたらしました。しかし、そうは言っても、明らかに日本は全くのゼロから戦後をスタートしたのではなく、戦前7割からスタートしたのです。そうして、これは当時アジアではトッフクラスでした。

仮に、日本がうまく戦争を回避していたとしたら、少なくとも戦前の最盛期の時期から経済成長することになります。

これだと、さらにはやく、高度成長を迎えたかもしれません。そんなことをいうと、日本は軍部が腐敗した上に専横していたので、戦前から不合理な構造をしていたので、やはり戦争に負けてゼロにならないと、戦後の急速な経済成長はありえなかったと主張するかもしれません。

しかし、これは甚だ疑わしいです。戦後と、戦前で大きく異るのは、いわゆる軍が消滅したことです。軍が消滅したので、軍の不合理は消えたといえるでしょうか。現在の日本の状況、時折腐敗が表に出てきて、それと昔の腐敗を比較すると本当に良く似た構造であることがわかります。

こんなことからも、ある程度は改善はされたものの日本は腐敗などの不合理な構造残したままで、高度成長時代を迎えたのです。

軍の専横で、戦前、戦中の日本は民主主義から程遠い、暗黒社会だったと主張する人もいるかもしれません。しかし、戦前に東条英機が、軍に予算をつけてもらうために、しょっちゅう大蔵官僚を揉み手で接待していたという話が残っています。

東條内閣の閣僚(1941年10月)
軍が専横していたとしたら、東条英機がこのようなことをする必要など全くなかったはずです。

また、ブログ冒頭の記事では、"昭和恐慌の場合は1932年12月の高橋是清蔵相まで待たなければならなかった"とありますが、昭和恐慌とは世界恐慌の日本における名称であり、その原因は1990年代の研究で「デフレ」であったことがわかっています。

高橋是清は、今でいう「リフレ政策」すなわち、金融緩和と積極財政で、昭和恐慌から日本をいち早く脱出させました。世界恐慌から抜け出たのは、当時日本がもつとも早かったのです。アメリカが、本格的に世界恐慌から立ち直ったのは、第二次世界大戦の半ば頃です。

高橋是清
このようなことから、日本はたとえ、戦争に負けなかったとしても、いわゆる戦後と同時期か、それより早く高度成長を迎えていた可能性が高いです。

元々日本は、高度成長をする可能性があり、国富7割からスタートできたので、他のどの国も及ばない、高度成長ができたのだと思います。そうして、日本は高度成長により、いわゆる発展途上国から先進国に仲間入りしました。

これとは対照的に中国は、このブログでも、取り上げたように中進国(中所得国)の罠にはまっているので、先進国の仲間入りをすることもなく、中進国のままで終わることでしょう。

やはり、日本は戦争に負けようが、負けまいが、戦前から発展する可能性があったということです。

以上のように、いわゆる「亡国経済」には全く根拠がありません。これを信奉する官僚や、経済学者らには、経済史的な見方ができないのか、あるいはそもそも経済史、それも特に我が国の経済史など眼中にないのかもしれません。自らの、経験にのみ頼っているのではないでしょうか。

昔から、「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます。マスコミは先にあげたように、単なる勉強不足なのでしょうが、官僚や日本の主流の経済学者たちは、経験にばかり学び、しかもマクロ経済は無視して、ミクロ経済にばかり執着するので、愚かな提言しかできないのだと思います。

彼らにも、ぜひとも過去の歴史を真摯に学んで欲しいです。しかし、当面そのようなことは考えられないので、ブログ冒頭の記事の結論にあるように、「安倍政権は執拗(しつよう)きわまる財務官僚や御用メディアによる緊縮包囲網を突破するしかない」のだと思います。

しかし、国民の大多数がこれを理解すれば、安倍政権は、緊縮包囲網を突破しやすくなるものと、思います。

多くの国民が、日本の経済の歴史を学び、安倍政権を後押ししていただきたいものです。歴史を学ぶとは言っても、そんなに大層なことではないと思います。経済も歴史も専門ではない、私が上で掲載したことなど知っていれば十分だと思います。ただし、単に受け売りではなく、自分で納得しした上で知ることが肝要だと思います。

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2016年8月19日金曜日

世界中で存在感失う「人民元」 名ばかり「国際通貨」 習氏の野望に暗雲 ―【私の論評】金の切れ目が縁の切れ目、尖閣海上民兵も五輪選手も?

世界中で存在感失う「人民元」 名ばかり「国際通貨」 習氏の野望に暗雲 

中国・江蘇省で人民元紙幣を数える銀行員
 中国当局が人民元を大幅に切り下げた「人民元ショック」から1年が過ぎたが、その後も人民元は下げ止まらない。ドル、ユーロに続く「第3の通貨」にのし上がるのが習近平国家主席の野望だったが、市場で人民元離れが加速し、決済シェアはカナダドルすら下回る6位に。「国際通貨」とは名ばかりの存在になっている。

人民元は2015年8月11日から13日の3日間で約4・6%も切り下げられた。中国経済失速との見方から世界の株価が大幅下落を招いたのも記憶に新しい。

その後、中国当局は断続的に市場に介入し、人民元を買い支えたとみられるが、人民元の下落基調は続いた。今年4~6月期の下げ幅は過去最大を記録している。

人民元は昨年11月、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成銘柄に採用が決まった。習政権にとっては、アジアインフラ投資銀行(AIIB)と並んで国際金融の世界で存在感を高める大きな成果だったはずが、実態はさびしい限りだ。

銀行間の決済インフラを手がける国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、今年6月時点で決済に使われた人民元のシェアは1・72%と14年10月以来の低水準となった。

習近平
  米ドル(40・97%)、ユーロ(30・82%)、英ポンド(8・73%)、日本円(3・46%)を下回るどころか、カナダドル(1・96%)を下回る6位に低迷している。

15年8月には決済シェアが2・79%と円を上回り、「第4の通貨」となった勢いは完全には失われた。今年10月にはSDRに正式採用される予定だが、「国際通貨」とはとても呼べない状況だ。

経済が減速するなかで、中国当局は人民元安をあえて容認してるフシもあるが、思惑通りに輸出は伸びていない。

7月の輸出は前年同期比4・4%減、内需も振るわず、輸入は12・5%減だった。

1~7月の累計でも輸出は7・4%減、輸入は10・5%減と大きく前年割れしている。一方で各国と貿易摩擦が激化している鋼材は金額ベースで15・5%減少したものの、数量は8・5%増加しており、中国の鋼材が安値で海外市場に流れ込む状況は変わっていない。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「中国経済は企業債務によってかろうじて維持されている。不良債権が拡大している金融機関に巨額の公的資金が注入される事態となれば、人民元のさらなる暴落は不可避だ」と指摘している。

【私の論評】金の切れ目が縁の切れ目、尖閣海上民兵も五輪選手も?

人民元の国際通貨化は、最初から絶望的であることは、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】人民元のSDR採用後の中国 一党独裁と社会主義体制で困難抱えて行き詰まる―【私の論評】中間層を創出しない中国の、人民元国際通貨化は絶望的(゚д゚)!
中国人民元のSDR構成通貨入りを発表する
IMFのラガルド専務理事=11月30日、ワシントン
この記事は、昨年12月5日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に元記事の高橋洋一氏による、人民元が国際通貨にはならないであろうとの見解の部分のみ引用します。
中国経済の今後には多くの困難が待っているとみている。まず、人民元の国際化であるが、通貨取引の背後には、貿易取引や資本取引があり、それらが大きく拡大しないと、国際化も限定的だ。 
中国には共産党一党独裁の社会主義体制という問題があるので、国有企業改革や知的所有権の解決は当面難しく、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加も当面難しい。ということは、貿易取引や資本取引にも一定の限界が出てくる可能性がある。 
特に資本取引の自由化は、一党独裁の社会主義体制のままでは基本的には無理である。となると、人民元もこれ以上の国際化はなかなか望めないというわけだ。

中国が、一人当たり国内総生産(GDP)1万ドル前後で経済停滞に陥るという「中進国の罠」にはまりかけているのも懸念材料だ。一般論として、中進国の罠を超えるためには、大きな構造改革が必要であるが、そこでも中国の体制問題がネックになる。 
中国は、当面AIIBによって「人民元通貨圏」のような中国のための経済圏を作りつつ、国有企業改革などを行ってTPPなどの資本主義経済圏への段階的参加を模索するとみられる。しかし、一党独裁体制を捨てきれないことが最後までネックになり、行き詰まるだろう。 
この高橋洋一氏の見解に関して私は、以下のように論評しました。
元が国際通貨として本当に認められるには、人民元相場の柔軟性拡大に加えて、中国金融市場に対するアクセス制限の緩和、取引の自由化推進などが要求されますが、株価急落で金融市場に異例な介入を続ける中国政府は、一段と厳しい局面に立たされることになることでしょう。
中国が資本勘定を完全に自由化し、変動相場制に移行しない限り、投資家は人民元を国際通貨として使用することに引き続き慎重になることでしょう。

ただし、そのためには国内でそれなりの条件を整える必要があります。

中国が今の一党独裁を継続していては、高橋氏がブログ冒頭の記事で、指摘していた、「中所得国の罠」に陥る可能性が大というよりも、もうその罠に完璧に落ち込んでいます。
中所得国の罠の模式図
「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することをいいます。 
この「中所得国の罠 (中進国の罠と同じ)」を突破するのは結構難しいことです。アメリカを別格として、日本は60年代に、香港、シンガポールは70年代に、韓国は80年代にその罠を突破したといわれています。ただし、アジアでもマレーシアやタイは未だに、罠にはまっています。 
中南米でも、ブラジル、チリ、メキシコも罠に陥っていて、一人当たりGDPが1万ドルを突破してもその後は伸び悩んでいます。 
政治的自由と、経済的自由は、表裏一体であり、経済的自由がないと、IMFのような国際機関の提言は実行できません。経済的自由を保つには、政治的自由が不可欠です。
中国は、すでに中所得国の罠にはまっており、そこからぬけ出すのは至難のわざでしょう。中所得国の通貨が、国際通貨になったことはありません。よって、中国が中所得国の罠にはまっている現状では、人民元の国際通貨化は全く無理です。

それにしても、これに関しては前々から前兆がありました。たとえば、イギリス人の貿易商が中国国内のおもちゃ工場の代金を決済するときに、人民元を使おうにも、中国の工場がドルでないと受け取らないという実体がありました。それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
焦点:中国製おもちゃ調達もドル建て、人民元取引の実態―【私の論評】爆裂中国の元国際通貨化の妄想は潰えたとみるべき(゚д゚)!

欧米輸出向けの中国製ミニオンのぬいぐるみ
この記事は、今年の1月12日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このようなミニオンのぬいぐるみを製造する小さな町工場ですら、人民元決済をいやがり、ドルで決済することを望むというのですから、いかに人民元に信用がないかが良く理解できます。

このような通貨が国際通貨になるなどのことはありえないです。

さて、中国は従来は不況になると、金融緩和と財政出動を素早く実行して、すぐに景気を回復しました。しかし、もうその手は通用しないようです。

金融緩和をするとキャピタルフライト(通貨、特に外貨の国内から逃避)が始まることを恐れてなかなか出来ないようです。

もし人民元高要因が大きくなれば、韓国はデフレに陥り、かつての日本のような長期不況に陥るでしょう。

逆に人民元安要因が大きくなれば、韓国は通貨アタックを受けて、現状でもキャピタルフライトに見舞われているのに、さらに多くの外貨(ドル)が国外に流出することになり、金融危機に陥るでしょう。しかし、日本を含めて、中国を本気で助けようとする国はもうありません。

この状況は最近の韓国の状況と良く似ています。これについては、このブログにも掲載したので、興味のある方は、その記事をご覧になって下さい。

さて、最近でも、中国の異変が続いています。これらの異変ひよっとすると、国際通貨にもなれない弱い人民元とキャピタルフライトを恐れて金融緩和をしないことと関係あるかもしれません。特に、これらの背景ともなっている中国の経済の低迷と関係があるかもしれません。

まず第一に、リオ五輪の中国のメダルのあまりの少なさです。以下に17日現在のメダルの取得状況を掲載します。


リオデジャネイロ五輪の中国選手の金メダル獲得ペースに、ロンドン大会(2012年)や北京大会(08年)のような勢いがみられません。16日現在、首位の米国に大きく水をあけられ、英国にも及ばず、3位となっています。着実に獲得数を伸ばしてはいるものの、“ゴールドラッシュ”とはいかず、終盤に向けてどれだけペースが上がるかに注目が集まっていました。

金メダル獲得数は同日現在、米国が28個、英国が19個、中国は17個。米英は日程を消化するごとに、ロンドン大会とほぼ同じペースで獲得していますが、中国は約半分のペース。北京大会では参加国の中で最多の51個、ロンドン大会でも米国に次ぐ38個の「金」を獲得した中国にしては、あまりにスローペースといえます。

この変化、やはり中国が中進国の罠にはまっていることを示すものかもしれません。中心国でもスポーツの強い国もありますが、それは特定のいくつかのスポーツが強いのであって、オリンピックなどでのメダルの総数となると、やはり先進国等には及びません。

中国の場合は、経済的には先進国とはいえませんが、それでも、経済の伸び率が驚異的で、そのため将来は米国経済と肩をならべ、いずれは追い抜くのではという憶測が飛び交い、それに期待して、多くの資金が集まりました。その潤沢な資金を利用して、中国はあるゆる方面資金を投下し、経済を伸ばし、国威を発揚することができました。

そうして、経済が伸び国威を発揚することにより、さらにそれが期待を呼び多くの資金が集まるという状況がつくりだされ、それが中国に有利に働いていました。

しかし、その潤沢な資金も、キャピタルフライトによって、底をつきはじめています。そもそも、中国の高級官僚が裸官などになり、かなり前から盛んに海外に資金を逃避させていたのですから、いかにこの国の将来は絶望的なものか、理解できます。

現状がこのような状況ですから、ロンドンオリンピック後に、国威発揚の大きな目玉の一つでもある、スポーツ振興にも、あまり資金を投下できなかったのではないでしょうか。

尖閣諸島付近の中国漁船と中国公船
さらに、もう一つ気になることがあります。それは、尖閣周辺の中国漁船の動向です。以下はの表は、8月19日に外務省が公表した「尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について」(海上保安庁)という文書から引用したものです。このように、中国公船と、大量の漁船が尖閣付近の海域に侵入させるということは、示威行為なのですが、これも中国による国威発揚のやり方です。
(平成 28 年8月5日午後0時から 19 日午前8時現在)
                                                                                             ※上記隻数は延べ隻数


この表で、中国漁船に注目して下さい。この表によれば、海上保安庁は8月10日〜19日午前8時現在まで、中国漁船に対して退去警告を発していないということになります。

この公文書の冒頭には、以下のように記されています。
平成 28 年8月5日午後1時 30 分頃、中国漁船に続いて、中国公船(中国政府に所属する船舶)1隻が尖閣諸島周辺領海に侵入した。その後、19 日午前8時までに、最大 15 隻の中国公船が同時に接続水域に入域、延べ 32 隻が領海に侵入した。 
約 200~300 隻の漁船が尖閣諸島周辺の接続水域で操業するなかで、最大 15 隻という多数の中国公船も同じ海域に集結し、中国漁船に続いて領海侵入を繰り返すといった事象が確認されたのは今回が初めてである。 
なお、尖閣諸島周辺の接続水域に通常展開している中国公船(3隻程度)及び南シナ海のスカボロー礁周辺に通常展開している中国公船(4~5隻と言われる)に比しても、現在尖閣諸島周辺には、はるかに多くの中国公船が展開している。
いっときは、300隻もの中国漁船が尖閣諸島周辺領海に侵入したのです。この領域で漁をする事自体は、日中の業業協定で認められた行為ですが、それにしてもこのように多数の漁船が押し寄せ、その漁船には海上民兵が乗っていることは前から明らかにされていました。

武装している中国の海上民兵 女性の海上民兵もいる
しかし、あれだけ周辺領海に侵入していたのですが、10日以降はパタリと海上保安庁は退去警告をしていません。これはどういうことなのか、この表だけからは正確にはうかがい知ることはできません。

類推すると、そもそも中国漁船がほんどいなくなったか、いたにしても少数で、通常の操業をしていたので、海上保安庁としては、退去警告をする必要もなかつたのだと思います。

そうして、退去警告をしたのは、いわゆる通常の操業ではない、いわゆる示威行動をした船であると考えられます。そうして、おそらく、これらの示威行動をした船には、海上民兵が搭乗していたのでしょう。

しかし、10日以降は、海上民兵が搭乗した漁船が姿を消したのでしょう。

これは、何を意味するのでしょう。これも、中国が今や海上民兵による示威行動に対しても、資金を十分に投下できないことを示しているのかもしれません。


さて、産経新聞の記事には、以下のようなことが掲載されていました。
 福建省の漁業関係者によれば、8月上旬に尖閣周辺に集まった漁船には少なくとも100人以上の海上民兵が乗り込み、大半が船長など船を指揮できる立場にいる。彼らの船には中国独自の衛星測位システムが設置され、海警局の公船などと連携を取りながら前進、停泊、撤退などの統一行動をとる。帰国後は政府から燃料の補助や、船の大きさと航行距離、貢献の度合いに応じて数万~十数万元(十数万~約300万円)の手当てがもらえるという。 
 地元の漁民によれば、福建省や浙江省の港から尖閣近くに向かうには約20時間かかり、大量の燃料を使う。また、日本の海上保安庁の船に「作業を妨害される」こともあるため、通常は敬遠する漁民が多いという。
さて、中国側としては、尖閣周辺で海上民兵などに対して、さらに派手に示威行動をさせたかったのかもしれません。しかし、尖閣で示威行動をしたり、あるいは、海上民兵を尖閣諸島に上陸させたとしても、確かに中国内外にかなりのインパクトを与え、ある意味ではかなりの国内外に対して国威発揚にもなります。

とはいいながら、海上民兵に示威行為を繰り返えさせたにしても、尖閣を奪取させたにせよ、これは国威発揚という象徴的な意味があるだけであり、そこから何か富が生まれるかといえば、そのようなことは全くありません。それどころか、海上民兵に多額の報奨金を支払わなければなりません。

南シナ海を埋め立て、軍事基地化したとしても、尖閣を奪取して、そこを軍事拠点にしたとしても、そのことによって富が発生するわけでも、外資が流れ込んでくるわけでもありません。

キャピタルフライトに悩まされ、金融緩和もできない中国にとつて、今や虎の子である資金をこのようなことに金を使うのはためらわれるのでしょう。

現在の中国では、拝金思想が幅を効かせています。海上民兵も金にならなければ、なかなか動かないのでしょう。

将来は官僚になって賄賂をもらいたいと作文に書く小学生の登場など、いわゆる拝金主義の横行を嘆く人が中国で増えている。写真は西安で「9割引きの女性求む」と書かれた横断幕を持つ青年たち。流行りの「拝金女」への反対を表明することが目的だという。2010年10月14日。

だからこそ、10日以降には、海上民兵が搭乗した漁船が尖閣から姿を消したのでしょう。

オリンピックでの中国の金メダル激減も、結局選手に十分な金が行き渡らずやる気をなくしたのでしょう。中国では国内では、金メダル至上主義が転換点をむかえているようです。

中国の「金メダル至上主義」を変えた!天然系の愛されキャラ、競泳女子の傅園慧選手。14日、リオデジャネイロ五輪で一躍「時の人」となったのが、女子競泳の傅園慧選手。彼女の自由で生き生きとした発言が、「多くの中国人の共感を呼んでいる」と米メディアが報じている。
結局、尖閣も五輪も、結局金の切れ目が縁の切れ目ということで、オリンピック選手も、海上民兵も金をくれない政府には従わないということなのでしょう。オリンピック選手などは、政府のための五輪ではなく自分のためということで、政府の干渉を嫌がるようになるでしょう。

キャピタルフライトがとめどなく続く、中国では、人民元が国際通貨にならないのは当然であり、それどころか、いずれ唯一と言っても良い、中国共産党中央政府の統治の正当性の根拠である金が尽きてしまうことでしょう。

そうなれば、人民解放軍も、公安警察も、城管も、人民も中国共産党中央政府のいうことを聴かなくなります。そのとき、中国の現体制は崩壊することでしょう。現中国では、金の切れ目は縁の切れ目なのです。

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2016年8月18日木曜日

小池都知事、改革へ着々「都政改革本部」新たに顧問5人選任…リオ五輪へ出発―【私の論評】巨悪を暴くだけでなく、おおさか維新と結びつき国政改革起爆剤にも?


リオ五輪閉会式出席のため出発する小池百合子東京都知事=
18日午前、東京都大田区・羽田空港国際線ターミナル

東京都の小池百合子知事(64)が18日、公約に掲げた都政の透明化を目指すために9月上旬に設置する「都政改革本部」顧問として、新たに中央大法学部の工藤裕子(ひろこ)教授(48)ら5人を選任した。すでに就任した5人に加え、顧問は10人となった。リオデジャネイロ五輪視察へ出発する前に、羽田空港で報道陣に発表した。

工藤氏は、中央大教授の他に、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員を務める「財政のスペシャリスト」。顧問には他に、一橋大学国際・公共政策研究部の佐藤主光(もとひろ)教授、経営コンサルタントの町田裕治氏、グレートジャーニー合同会社の安川新一郎代表、イオン株式会社特別顧問の山梨広一(ひろかず)氏が就任する。小池氏は「国内的には改革、リオでは東京のPRに務めて参りたい」と述べた。

都政改革本部は、小池氏が本部長を務め、情報公開のあり方を検討するほか、2020年東京五輪・パラリンピック関連予算などを調査する。12日の定例会見で、上山信一慶応大教授(58)ら5人が顧問に就任すると発表した。

【私の論評】巨悪を暴くだけでなく、おおさか維新と結びつき国政改革起爆剤にも?

都政改革のための、組織づくりをした小池百合子氏、ブログ冒頭の写真でも示したように、羽田空港に現れた小池知事は、リゾート感のあるスーツ姿でした。頭から足下まで全身オフホワイトの色調で統一しており、夏を意識した涼しげな装いです。

パナマ帽風のハットをかぶり、ショールを首にかけて空港を颯爽と歩く姿は、海外に行く際に見る麻生太郎副総理兼財務相の印象とも重なります。麻生氏がボルサリーノハットを深々とかぶり、ダンディーな雰囲気を醸しながら空港を歩くのはおなじみの光景。2人の歩く様子をとらえた写真を見比べるとそっくりです。

以下に、麻生財務大臣の海外に行く際の写真を掲載します。

ロシア・サンクトペテルブルクでのG20に出席するため、
安倍晋三首相と共に羽田を出発する麻生太郎財務相=2013年4月4日

小池知事は、2020年の東京五輪に向け競技場なども訪れ、運営状況やセキュリティー対策を視察するという。閉会式の「勝負服」も注目だが、現地でのおしゃれも気になるところだ。

さて、当面の改革の対象ともいえる、都議会ですが、そのドンと言われている"内田茂"氏に関して、また文春砲が炸裂しました。

詳細は、8月17日(水)発売の週刊文春をご覧いただくもとして、以下に一部を引用します。
“都議会のドン”が役員の会社 豊洲新市場の工事も受注
内田氏(写真一番右)が都議選に出馬した際応援した麻生太郎総理(当時)と、石原慎太郎都知事(当時)
“都議会のドン”といわれる内田茂都議(77)が役員を務める会社が、築地市場の移転先となる豊洲新市場の電気工事を受注していたことがわかった。8月17日(水)発売の週刊文春で詳しく報じる。

内田氏は、落選中だった2010年から地元・千代田区に本社を置く東光電気工事の監査役に就任。内田氏の所得等報告書、関連会社等報告書を総合すると毎年数百万円の役員報酬を受けているとみられる。 
 築地市場の移転を巡っては、自民党東京都連の幹事長だった内田氏が都議会対策を仕切り、2012年3月、移転に関する予算案が都議会特別委員会で可決され、大きく進展した。 
 予算成立を受け、都財務局は豊洲新市場関連工事の入札を実施。2013年12月、新市場の管理施設棟の電気工事を約37億9000万円で落札したのが、東光電気工事を中心とするJV(ジョイントベンチャー)だった。 
 東光電気工事は、複数の東京オリンピックの施設工事も受注しており、内田氏が復活当選する2013年までは700億円前後だった売上高は、2014年には約1000億円へと急成長している。
 地方自治法第92条の2では、地方議員が自治体の事業を請け負う企業の役員を兼ねることが禁じられている。さらに、同法127条では、前項に違反した場合、議員を失職することが定められている。 
「ただ、失職させるには、議会で出席議員の3分の2以上の同意が必要であると定められており事実上、空文化しています」(自民党都議) 
 内田氏、東光電気工事は以前、小誌の五輪施設受注に関する取材に対し、口利きを否定。今回、豊洲新市場の受注について確認を求めたが、回答はなかった。 
 東京都の小池百合子新知事は、築地市場の移転問題について、選挙戦の最中に「一歩立ち止まるべきだ」と述べていた。16日に築地市場、豊洲新市場を視察した上で、結論を出すとしており、決断が注目される。
ただし、これに対してはすでに、内田氏のバッシングは行き過ぎではないかという論評も出現しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
内田茂都議に対するバッシングは度を過ぎているのではないか?
この記事は、宇佐美典也氏がブロゴスに掲載しているものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分だけ掲載します。
まずすぐに思い浮かぶのは「東光電気工事の業績回復は内田茂氏の口利きの功績なのか?」という点だが、これは全く的外れだ。東光電気工事は再エネ業界ではそれなりに名が知れた存在で、2012年のいわゆる固定価格買取制度導入以降メガソーラーの開発工事を多数受注して売り上げを伸ばした。
つづいて「内田茂氏の監査役就任は地方自治法92条の2(議員の兼業禁止)違反なのか?」という点についてだが、こちらも限りなくシロに近い。同条項は短いので全文紹介すると以下の通りだ。 
===============

第九十二条の二 
普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。 
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この条文の解釈はこちらのリンクを参考にしていただきたいが、この場合内田氏をバッシングする立場の人たちは「内田氏は『主として普通地方公共団体に対し請負をする法人の監査役』だから法律違反だ」という主張をしているわけだが、その解釈はどう考えても無理がある。東光電気工事の売上は1000億円程度だが実績紹介を見る限りは、そのうち過半や主要な部分を東京都からの発注で占められるとは到底言いがたい。
なお私は内田茂氏の自民党都連のガバナンスに問題があるのだろうと思っているし、またそれを正すべきだとも思っている。ただそれは炎上商法やレッテル付けによるものではなく、正しい情報に基づいて適正な手続きを経て行われるべきだと思っている。なのでこの件に関しても情報公開請求なり、都議会での質問を通して丁寧に真相を調べていただければと思う。 
多分何も出てこないんだろうけど。
この記事は、週刊文春に掲載されてい「口利き問題」や、「一見違法と見られる監査役就任」などでは、内田茂氏を叩くことはできないことを主張しています。これは、おそらく事実なのでしょう。

そうして、この記事を書いた宇佐美氏は、自民党都連のガバナンスには問題があるだろうと思っているとしています。しかし、この件に関しても情報公開請求なり、都議会での質問をしてもおそらく何も出てこないだろうとしています。それは、そうですね。

ガバナンス(統治)等に問題があったとしても、今まで全くボロが出てこなかったわけですから、情報公開請求したり、都議会で質問する程度では何も出てこないでしょう。

しかし、このブロクでも指摘したような、舛添知事辞任の裏に潜む、都議会の巨悪や、猪瀬元東京都知事が激白した、都議会議員の自殺など、何やら巨悪が潜んでいそうです。

そうして、この巨悪をあぶり出すには、他にも十分やり方があります。そうして、この動きは、巨悪をあぶり出すどころか、もつと大きなものになる可能性を秘めています。

さて、内田氏の後ろには、森喜郎が控えています。森喜郎氏と小池百合子氏は犬猿の仲です。故に、内田茂と小池百合子が馴れ合う可能性は低いです。ポイントは来年の都議選になると思われます。来年の都議選に自身のシンパの有力候補者を千代田区で内田茂対抗馬として推薦することになるでしょう。

既に今回、小池氏は都議選補欠選挙に自身の元秘書を始め、シンパ議員を何人か推薦しています。これは、都議会で自身の影響力を拡大し、内田茂を筆頭とした自民党守旧派を一掃する作戦です。小池氏は新党結成も「選択肢」と述べています。

この発言を巡り、与野党で臆測が広がっています。自民党内では、来夏の都議会選挙をにらみ地域政党の設立に動くと警戒する見方が浮上しています。東京で勢力拡大を狙うおおさか維新の会は小池氏との連携に意欲をにじませています。憲法改正などで同党の協力に期待する首相官邸は神経をとがらせています。

「東京大改革という5文字をもとに、ぜひ、一緒に活動していただきたい」。10日夜、都庁舎にほど近いホテルで開いた会合で、小池氏は約70人の地方議員らを前にこう宣言。与野党に「新党準備」の観測が上がりました。

70人の地方議員らとの会合を開いた小池知事
小池氏周辺でささやかれる構想は、年内にも都議会新会派か地域政党をつくり、自民党への対立候補を擁立して都議会で主導権を握るというものです。

小池氏とおおさか維新が連携する可能性も取りざたされています。ブログ冒頭にもあるように、小池氏は、都政改革本部メンバーに大阪府・大阪市特別顧問の上山信一慶応大教授の起用を発表しています。上山氏は、地域政党「大阪維新の会」結党に深く関わり「大阪都構想」の理論的支柱の一人です。これに関して、小池氏はツイッターで「仕込み段階の第一歩」と書き込んでいます。

上山信一慶応大教授
おおさか維新は都知事選で候補擁立を見送っています。選挙後、馬場伸幸幹事長は「来年の都議選は改革勢力を大きくする方向で協力したい」と語りました。統治機構改革をめざす第三極の結集は、影響力の大きい橋下徹・前大阪市長、代表の松井一郎大阪府知事の悲願でもあります。党内には小池新党をきっかけに東京と大阪の改革勢力で連携し、党勢拡大につなげる期待もにじんでいます。

改憲などでの連携をにらみ橋下氏の政界復帰に期待する声がある官邸は複雑です。都知事選投票前日の7月30日、都内で安倍晋三首相らは橋下、松井両氏と会食。首相側が「小池さんは大阪の成功例を参考にしているんじゃないの」と探りを入れたのですが、橋下氏は「それは分かりませんね」とけむに巻いたといいます。

小池知事は、都知事就任をきっかけに、都議会の巨悪を暴き、改革するだけではなく、国政にも大きな影響を及ぼすことになるかもしれません。小池新党が、おおさか維新と結びついた場合、国政改革の大きな起爆剤となるかもしれません。

野党共闘などする、民主党などには、もう国政改革などの目は出ません。それにしても、小池氏、ここまで最初から視野にいれていたのだと思います。野党共闘の推薦した鳥越氏とは、かなりの違いです。野党連合は鳥越氏を推薦するあたりで、もう終わっています。小池新党には、期待できるかもしれません。あまりにもふがいない野党には、もうご退場願いたいです。

私自身は、自民党を支持しているのですが、それは積極的に支持しているわけではなく、他に支持すべき政党がないから、支持しているのです。小池新党ができたからといって、それを支持するかどうかはわかりませんが、それにしても、有権者に選択肢が広がるというのは良いことです。

いずれにせよ、現在はまだ、憶測の域を出ないわけですが、とはいいながら可能性は十分あります。今後しぱらくは小池知事の動向には目が離せないようです。

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