2016年11月16日水曜日

【中国という猛毒】中国から狙われたクリントン夫妻 人民解放軍系企業から違法献金か―【私の論評】トランプ大統領により日米で現代版レッド・パージがはじまる(゚д゚)!


疑惑だらけのクリントン夫妻 写真はブログ管理人挿入以下同じ
 中国はトウ小平時代に発足させた人民解放軍系企業が、兵器や麻薬の密輸など非合法ビジネスを含め、対外ビジネスに積極的に参入していった。米国にも、人民解放軍系のペーパーカンパニーが続々と増えていった。

並行して、世界の華僑華人財閥とのネットワーク強化に力を注ぐ政策を打ち出し、中国共産党幹部は、華僑華人の資金をどこへ避難させ、どこへ投下するか、情報力と機動力のある華人らと連携しながら管理運営をしていった。

こういった中国共産党の対外工作において、米政治家の中で早々にターゲットとなった1組が、民主党のクリントン夫妻だった。

その“物語”は1980年代初頭-アーカンソー州知事のビル・クリントン氏が脚光を浴び始めた時代にまで遡(さかのぼ)る。

ビル・クリントン氏がアーカンソー州知事だった時代にホワイトハウスの晩餐会に参加した夫妻
 インドネシアの華人財閥、リッポー・グループ(力宝集団)は、ヒラリー氏が当時、上級パートナーを務めていたアーカンソーの法律事務所を顧問とし、高額の報酬を支払う。

銀行の買収など、リッポーは米国で勢力を拡大させつつ、人民解放軍系企業からクリントン夫妻への資金提供や、民主党への政治献金などでのパイプ役を務めていったとされる。

米国の法律では、大統領選や知事選などの立候補者が、外国人や市民権を持たない人間から選挙資金の提供を受けることを禁じている。

だが、中国マネーとクリントン夫妻をめぐる疑惑は事実、つまり当事者が認めた事件を含め、度々報じられてきた。

今年6月にも、クリントン財団の元幹部で選対幹部も務めた「クリントン夫妻の側近中の側近」、バージニア州のテリー・マコーリフ知事が、FBI(連邦捜査局)と米司法省によって調べられていることが、米紙などに報じられた。

バージニア州のテリー・マコーリフ知事
 遼寧省丹東市にある「遼寧日林実業集団」と「丹東港集団」の王文良会長から、マコーリフ知事を介して、「クリントン財団」が200万ドル(約2億1260万円)の違法な選挙資金の提供を受けたとの疑惑だ。

遼寧日林実業集団は、ワシントンにある中国大使館の建設工事など国内外の重要な案件を請け負ってきた企業集団だ。そして、丹東港集団は、北朝鮮との国境に位置する丹東港の管轄権を持つ。つまり人民解放軍系で江沢民派(上海閥)に近い企業だと推測できる。
ヒラリー氏は国務長官の職権を“乱用”し、表看板が「慈善団体」であるクリントン財団に国内外から20億ドル(約2127億8000万円)以上集めた。ところが、そのうち約18億ドル(約1915億円)が事務所経費などの名目で消失しているという。

しかも既定に反して、「私用のメールアドレス」を使い続けていた。その数約6万3000通で、約3万3000通は消却し、証拠隠滅を図っていたというのだ。

大統領選挙の終盤に、この問題が再燃した。米国の有権者は、トランプ候補の暴言や迷言とは別次元の“紅くて黒い”候補者に未来を託せなかったのだろう。

河添恵子(かわそえ・けいこ)

【私の論評】トランプ大統領により日米で現代版レッド・パージがはじまる(゚д゚)! 

人民解放軍の戦闘機

上の記事、まずは人民解放軍系企業という言葉の意味を解説しないと、なかなか理解できないかもしれません。無論、このブログの読者であれば、何度か掲載したことがあるのでご存知でしょうが、そうではない方のために以下に若干説明します。

まずは、人民解放軍は普通の国の軍隊のように、国や国の財産、中国人民や、中国人民の生命や財産を守るものではありません。人民解放軍は中国共産党の私兵です。中国共産党や幹部を守った理、人民を弾圧するのが主な任務です。

さらに、理解しておかなければならないことがあります。人民解放軍は、日本でいえば、商社のように自らの意思で様々な事業を営むことができます。その存在は、日本でいえばまるで商社のようなものです。

人民解放軍は、まずは共産党の私兵でありながら、自ら様々な事業を展開し、なおかつ核武装までしている不可思議な組織です。日本の商社が、核兵器や、空母、戦車などを含む軍隊を持っているようなもので、一言でいえば、武装商社です。そもそも、他の先進国の人々の常識の範疇に収まるような組織ではありません。

この人民解放軍系のペーパーカンパニーが中国に続々と増えたというのですから、当然のことながら、現在も存在していて、それが非合法活動をしているのは当然のことです。そうして、それが、クリントン夫妻がチャイナマネーに塗れるような不正の温床となっていったのは明らかです。

クリントン夫妻のことに関しては、ブログ冒頭の記事でもコンパクトに詳細にまとめていますし、このブログでも何度か掲載してきたことです。そうして、そのことについては、無論トランプ氏も選挙戦の最中に指摘していました。

大統領選の期間中に、米共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏はライバルであるヒラリー・クリントン氏が刑務所に行くべきだと述べていました。

これは、 ペンシルベニア州マンハイムで土曜支持者に演説した際の発言でした。ニュースユニヴァースにその全文が掲載されました。

「彼女は膨大な数のスキャンダルに関与し、詐欺で何度も有罪判決を受けた。しかし米国市民として私の目撃した最悪の件は先週、FBI長官が彼女がどのように嫌疑を逃れたかの方法を説明したときにおこった。彼女は刑務所にいるべきなのだ」と国務長官時代に民間電子メールで通信を行っていたスキャンダルについてトランプ氏が述べていました。

演説の中でトランプ氏は、ニューヨークで開かれた2001年9月11日のテロ事件の犠牲者たちの追悼式で、クリントン氏の気分が悪くなったときのことを振り返り、「この女性は様々なものに立ち向かわなければならないと考えられているが、彼女は自分の車に15フィートさえも近づくことができない」と述べ、マイクから数歩離れて、気分が悪くなったような仕草をみせました。


 一連の大手メディアはクリントン氏のスキャンダルを隠蔽しており、たとえばニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、CNNテレビなどがクリントン氏に「仕え」ている、とトランプ氏は語りました。

さて、以上では、クリントン氏についてのみ掲載してきましたが、クリントン夫妻とそれに関わる人々の悪行は、ある程度明るみに出ていますが、問題はこのようなことが、現在明るみに出ていることだけかということです。

私は、このようなことはまだ他にもあるだろうし、当然のことながら政界だけではなく、教育会、マスコミ、テレビや映画などの業界などにも多く見られることではないかと思います。

そもそも、アメリカ中のメディアなどが、徹底的にトランプ氏を色物、際物に仕立てて、絶対に大統領にさせないようにしてきたのには、理由があると思います。

そうです。おそらく、クリントン夫妻以外にも、様々な分野で、中国という猛毒からカネなどを受け取っていた人物は大勢いるのだと思います。

これは、なんというか、既視感があります。このブログには以前ベノナ文書のことを述べたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
アメリカを巻き込んだコミンテルンの東アジア戦略―【私の論評】他の陰謀論など吹き飛ぶ! これこそ陰謀中の陰謀だ! 世界は、日本は、あなたはとうに滅亡したソビエトにまだ欺かれ続けるのか?

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下に引用します。
第二次世界大戦前後の時期に、アメリカ政府内に多数のソ連のスパイが潜入したことを暴いた「ヴェノナ文書」の公開以降、同国内では「ルーズヴェルト政権はソ連や中国共産党と通じていたのではないか」という古くからの疑念が、確信へと変わりつつある。当然、当時をめぐる歴史観の見直しも進んでいる。しかも、そのピッチは近年、急加速していると言っていい。 
ヴェノナ文書とは、第二次世界大戦前後の時期にアメリカ内のソ連のスパイたちがモスクワの諜報本部とやり取りした秘密通信を、アメリカ陸軍情報部が秘密裡に傍受し解読した記録である。1995年、アメリカ国家安全保障局(NSA)が公開した。 
これら機密文書が次々と公開され、その研究が進んできた結果、ルーズヴェルト大統領の側近であったアルジャー・ヒス(1)[以下、主要人物に通し番号を附し、共産党員または協力者と思われる人物は傍線を引く]を始めとする200人以上のスパイ(あるいは協力者)が政府官僚として働いていたことが立証されつつあるのだ(中西輝政監修『ヴェノナ』PHP研究所)。
アメリカ人なら多くの人が知っている今年なくなった女性保守活動家故フィリス・シェラーフリー氏は「いま、アメリカ政府は中国や北朝鮮の核に振り回されてる。その根源を辿れば東アジアをソ連の勢力圏と認めたヤルタ会談に行き着く。だから我々にとってヤルタ協定の見直しは、今の外交政策の見直しに繋がっている」と述べています。

第二次世界大戦でルーズベルトが共産主義の防波堤となって戦っていた日本と戦争したのは間違いであったとも語っていますそうしてヴェノナ文書は現在分析が継続中ですが、これを実証しつつあります。

これに関しては、以下の動画をご覧いただくとよくお分かりになると思います。



そうして、ソ連が崩壊した現在、過去のソ連の地位を引き継ごうとしているのが、中国です。そうして当然のことながら、現在の中国は軍事的には脆弱であり、過去のソ連のやり方を踏襲していることでしょう。

中国もありとあらゆる方法を駆使して、現在の米国の様々な中枢部に浸透しつつあるでしょう。そのいったんを表してるいるのが、クリントン夫妻の疑惑です。

トランプ大統領は、このあたりのことをないがしろにすることはないでしょう。トランプ大統領が就任した場合、当然のことながら、ヴェノナ文書の解析をさらに強力に推し進め、さらにね過去のソ連のアメリカ浸透と同じように浸透しつつある中国の行動を分析することでしょう。

そうして、当然のことながら、様々な分野に入り込んでいる、中国の影響下にある分子を一掃することでしょう。はやいはなしが、現代版レッドパージがはじまることでしょう。

アメリカのマスコミなどが恐れていたのは、これです。そのため、とにかくトランプだけは大統領にさせないように最大限の努力を傾注してきたのですが、トランプ氏が大統領になることが決まった現在では、戦々恐々としていることでしょう。

これについては、日本も無関係ではありません。おそらく、日本でも様々な分野に入り込んでいる中国の影響下にある分子も、トランプ氏によって炙りだされる可能性が大きいです。米国内で大物を特定し、それを調べれば、当然のことながら、中国の全体のスパイ活動などが明らかになります。その中には、日本のこともふく

私は、日本でも、そのことを恐れた人間が、やはり米国内でもこの手の人間がトランプをあの手この手で、トランプ氏を貶めたように、トランプ氏を徹底的に貶めていたのではないかと疑っています。

いずれにせよ、トランプ氏が大統領に就任すれば、この動きは一挙に加速され、アメリカ国内でも、アッと驚くような暴露がされることでしょう。日本でも、俄には信じがたいような暴露劇が起こる可能性があります。

しかし、中国に魂を売って、日本や米国を裏切ったような連中には、厳然たる処断をくださなければなりません。そうでなければ、本当はやるべきではなかった日米開戦などと似たようなことが起こる可能性があります。もう、日米とも、二度と同じ間違いを犯すべきではありません。

お隣の韓国では、朴槿恵大統領の疑惑が頂点に達しています。しかし、日米ともに朴槿恵大統領の事件を対岸の火事と笑ってなどいられない人々が大勢いると思います。

トランプ大統領の就任の日が待ち遠しいです。

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2016年11月15日火曜日

タイラー・コーエン 「ピーター・ナヴァロ ~経済方面における『トランプ大統領』の一番の指南役?~」―【私の論評】米国が軍事・金融制裁で本気を出した場合、現中国体制は瓦解する(゚д゚)!

タイラー・コーエン 「ピーター・ナヴァロ ~経済方面における『トランプ大統領』の一番の指南役?~」

(2016年8月1日、9月27日)

タイラー・コーエン氏

●Tyler Cowen, “The economist whose ideas guide Trump the most”(Marginal Revolution, August 1, 2016)

「トランプの考えに最も強い影響を及ぼしている経済学者は誰か?」と尋ねられたら私なら「それはピーター・ナヴァロ(Peter Navarro)だ」と答えることだろう。ナヴァロはカリフォルニア大学アーバイン校に籍を置く経済学者だが、彼の経歴についてはブルームバーグに寄稿したコラムで詳述したばかりだ。その一部を引用しておこう。
ナヴァロは中国に批判的なドキュメンタリー映像を公けにしているが、いずれもトランプから賞賛されている。ナヴァロとトランプが直接会ったことはこれまでに(2016年8月の段階では)一度もないようだが、ナヴァロ自身の説明によると「トランプ陣営とは経済や貿易、中国、アジアにおける外交政策といったテーマについて密に協力」しているとのことだ。 
ナヴァロは今年の3月にトランプを支持する記事を書いており、その中で数々の批判からトランプを擁護している。アカデミズムの世界(大学をはじめとした研究機関に籍を置く経済学者の中)にはトランプを支持する経済学者はほとんどいないことを踏まえると、ナヴァロは「トランプ政権」で重要なポストに就く可能性のある有力候補の一人だと考えてもよさそうだ。 
・・・(略)・・・ナヴァロが中国について書いている他の記事にしてもやはり同じことが言える。理性的で冷静な分析が加えられているかと思うと感情的で過激なコメントが火を噴くといった具合に論調が極端にあちこちに振れて慌ただしいのだ。とは言え、その言わんとするところをまとめるとおおよそ次のようになるだろう。 
アメリカは中国との通商交渉でタフな(強硬な)姿勢を貫け。中国国内での知的財産権の侵害は厳しく取り締まれ。 
中国からの輸入品には高い関税を課せ。中国の重商主義に真っ向から立ち向かえ。アメリカに職を取り返せ。そして・・・「偉大なアメリカ」を取り戻せ。「中国に関するトランプの考えを知りたいのだけれど、そのためには誰の本を読めばいいだろう?」。そういう疑問をお持ちの方はナヴァロ(が書いたもの)を読むといい。
ブルームバーグのコラムではまだ他にも色んな話題を取り上げている。ナヴァロの学者としての経歴(シカゴ学派流のアプローチとして括れるような研究や「公共選択論」、「法と経済学」といった方面で優れた業績を数多く残している)や資産運用に関する彼独自のアドバイス(はっきり言って眉唾物で誇大広告なところがある)、それまでは親中派が優勢だった共和党を反中派(中国懐疑派)が優勢な党へと様変わりさせる上で彼が果たした重要な役割等々だ。

今のところ世間では「ナヴァロ? 誰それ?」状態だが、仮に「トランプ政権」が誕生した暁にはナヴァロが(閣僚(ないしは閣僚級高官)として)経済方面で主導的な役割を果たすであろうことは容易に想像できることだ。「トランプ政権」が誕生する未来ももしかしたらやってくるかもしれない(30%くらいの確率でそうなるかもしれない)のだからそれに備えて是非とも全文に目を通していただきたいところだ。

ピーター・ナヴァロ氏

●Tyler Cowen, “Peter Navarro outlines the Trump economic plan”(Marginal Revolution, September 27, 2016)
トランプ陣営が掲げる経済政策プランの輪郭が示された。執筆者の一人はピーター・ナヴァロだ。
貿易赤字の削減に伴う便益がどの程度になるかを見積もるためには複雑なコンピュータモデルに頼る必要はない。貿易赤字の削減に伴って税収がどれだけ増えるか、設備投資がどれだけ増えるか(その結果として税収がどれだけ増えるか)を単に足し合わせるだけでいいのだ。 
ただし、以下では貿易赤字の削減に伴う便益のすべてが考慮されているわけではない。貿易赤字の削減が(企業が手にする)利益と(労働者が手にする)賃金にどのような効果を及ぼすかだけが考慮されており、貿易赤字の削減に伴うその他のプラス効果(景気を刺激する効果)は無視されているからだ。 
輸出の増加と輸入の削減の組み合わせを通じて5000億ドルに上る貿易赤字を帳消しにするというのが我々トランプ陣営の提案である。これまでと同様に、賃金総所得が名目GDPに占める割合は44%だという仮定で話を進めると、貿易赤字が5000億ドルだけ削減されるとそれに伴って賃金所得は2200億ドルだけ増える計算になる。 
賃金所得に課せられる所得税の実効税率が28%だとすると、2200億ドル分の賃金所得の増加に伴って税収は616億ドルだけ増える計算になる。 
さらには、利益率が低めに見積もって15%だと仮定すると、5000億ドル分の貿易赤字の削減に伴って企業部門が手にする税引き前利益は750億ドルだけ増える計算になる。我々トランプ陣営は法人税率を(現行の35%から)15%へと引き下げることを提案しているが、法人税率がその提案通りに15%に引き下げられたとすると、750億ドル分の税引き前利益の増加に伴って法人税収は112億5千万ドルだけ増える計算になる。
太文字による強調は私によるものだ。

全文はこちら(pdf)。ピーター・ナヴァロの経歴については少し前にブルームバーグに寄稿したコラムで取り上げたばかりだ。この情報はニューヨーク・タイムズ紙の敏腕記者であるビンヤミン・アッペルバウム(Binyamin Appelbaum)に教えてもらったものだ。アッペルバウムに感謝。

(追記)スコット・サムナーが(トランプ陣営の経済政策プランに)批判を加えている。あわせて参照されたい。

【私の論評】米国が軍事・金融制裁で本気を出した場合、現中国体制は瓦解する(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、タイラー・コーエン氏が述べているように、今のところ世間では「ナヴァロ? 誰それ?」状態です。実際、日本版のウィキペディアにもその名称は見当たりません。

トランプ政権」が誕生した現在ではナヴァロ氏が(閣僚(ないしは閣僚級高官)として)経済方面で主導的な役割を果たすことになりそうです。これから、この名前は頻繁にでてきそうですから、覚えておくことにこしたこはないと思います。

370人の米国の経済学者が今月の1日、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏を次期大統領に選出すべきでない理由を列挙して他候補への投票を呼び掛ける連名の書簡を公表して。これに対し、トランプ氏の経済アドバイザーを務めるピーター・ナヴァロ氏は、誤った通商協定が失業を招いている実態を彼らは把握していないと直ちに反論していました。

同書簡については先に米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じていました。経済学者らはトランプ氏が「有権者を欺いて」おり、「実行可能な経済政策の選択肢を慎重に評価することよりも、魔術的思考や陰謀説に傾かせている」と指摘していました。

一方、トランプ氏の経済アドバイザーであるカリフォルニア大学アーバイン校のピーター・ナバロ教授はこの書簡は「経済学者の企業オフショアリング(自社業務の海外への委託・外注)賛成派の恥」だとした上で、トランプ氏の経済プランは成長加速や賃金上昇、新たな税収をもたらすと述べていました。

「反トランプ」の経済学者らは同書簡で、「トランプ氏は米国にとって破壊的かつ危険な選択だ」とした上で、「大統領に選ばれれば、民主制度や経済制度に加え、米国の繁栄を脅かす唯一無二の存在になる」と指摘した。これら経済学者のグループには数人のノーベル経済学賞受賞者も加わっている。

トランプ氏は成長支援に向け減税と北米自由貿易協定(NAFTA)脱退を公約している。一方、クリントン氏は経済プランとして、通商上の執行措置の強化や富裕層増税のほか、従業員への利益配分を容認する企業に見返りを与える案を打ちだしている。

何やらこの状況、デジャブーというか既視感がありませんか。そうです。昨年の、日本国内での集団的自衛権を含む安保法制の審議過程における反対派の動きです。

日本のリベラル・左翼が大騒ぎして、国会周辺でデモを行ったり、日本の主流派の憲法学者の憲法学者のほとんどが、安保法制は意見であると意見書を出してみたり、憲法学者ではないもののノーベル賞学者が安保法制反対の声明を出したりしていました。

日本国内での安保法制反対のデモ
そうして、「安倍が〜、安倍が~」と大騒ぎして、それだけではなく国会では民主党(現民進党)が大立ち回りを演じていました。そうして、憲法学者も、マスコミもリベラル・左翼も野党の多くも大反対をしていたにも、かかわらず、結局安保法案は成立しました。

その結果内閣支持率はどうなったかといえば、当初は下がっていましたが、最近では上がってきています。

結局、日本でもマスコミや、野党や、憲法学者やノーベル賞受賞学者が大反対しても、大きく声には出さないものの、それに同調しない多くの国民が存在していたということです。このことに、マスコミは今でも気づいてないようです。

アメリカのトランプ現象も同じことです。あれだけ、マスコミや政治家や、経済学者などがトランプ氏に反対しても、それに同調しない勢力が多数存在したということです。にもかかわらず、トランプ氏が大統領選に勝利した後でも、トランプ反対デモなどが行われています。


これから、アメリカでも日本の「アベノセイダーズ」のように、何でも「安倍のせいだ」とするような「トランプノセイダーズ」のような人々が出てくるのだと思います。

今回トランプ氏が大統領選に勝利したことで、民意を反映しないデモなど実行しても日米いずれでも、全く無意味であることが実証されたようです。

ブログ冒頭の記事では、タイラー・コーエン氏が「ナヴァロは中国に批判的な本とドキュメンタリー映像を公けにした」としていますが、それについて若干以下に触れておきます。



ドキュメンタリー映像を以下にあげておきます。


米大統領選でのトランプ氏勝利を受けて、中国政府系メディアは直後に、世界での米国の影響力は衰えていくとし、今後は中国共産党政権がアジア地域での覇権を握る可能性が高まったと示唆していました。しかし、この中国当局の認識は誤りで、トランプ氏は対中政策でタカ派路線を歩む可能性が高いです。

米紙ワシントン・ポストが11日に以下の様に伝えています。

中国政府系メディアはこれまで、トランプ氏に関して「アジア太平洋地域から撤退する孤立主義者」「中国の人権問題を批判しない現実主義者」と認識していました。

中国北京にあるシンクタンク、カーネギー清華グローバル政策センターのポール・ヘンリー(Paul Haenle)氏はワシントン・ポストに対して、現在入手した情報から見ると、中国当局の認識は誤りで、トランプ氏の対中政策はよりタカ派だと述べました。

トランプ氏の政治外交顧問、アレキサンダー・グレイ氏とピーター・ナヴァロ氏は外交・安全保障専門誌「フォーリン・ポリシー」に寄稿し、トランプ氏は冷戦時のレーガン元大統領が行った「力による平和」外交戦略を受け継いでいくと述べました。

両氏は同記事において、トランプ氏は今後、米海軍が保有する軍艦の数を現在の274隻から350隻に増やし、海軍規模を拡大する考えを示した。また「(トランプ政権の下で)米国はアジア太平洋地域における自由を守る役割を担い続けていく」との見解を示ししました。

また、トランプ氏は日本と韓国に対して米軍の駐留費用負担増加を求めていますが、「トランプ氏はアジア各同盟国との同盟関係を同地域における安定の礎と見なしている」「この同盟関係を保持していく」としました。

両顧問によると、トランプ氏は台湾に対して必要な武器を全面的に供給する意向を示しているといいます。

トランプ氏は当選した後、日本の安倍首相と電話会談し、両国の「特別な関係」を強化していきたいと述べました。

ロイター通信によると、トランプ氏の政治顧問は、トランプ氏は17日にニューヨークで安部首相と会見する際、日本政府のトランプ氏への誤解や不安を払拭し両国の信頼関係を高めていくとの意欲を示しました。「トランプ氏は、中国共産党政権のアジアでの影響力拡大をけん制するために日本政府の協力を必要としている」「トランプ氏はアジアにおいて、日本がより積極的な役割を担っていくよう願っている」といいます。

同顧問によると、トランプ氏が大統領就任後の最初の100日の計画では、国防費強制削減を廃止し、海軍の軍艦増加に新たな国防予算案を提出する。「米国が今後もアジアに駐在するとのシグナルを中国当局に送った」とコメントしました。

また、韓国の朴槿恵大統領との電話会談においても、朴大統領がトランプ氏に対して「両国の同盟関係は非常に重要である」と強調し、米国が北朝鮮に対して制裁を強めていく必要があるとしました。これに対して、「100%同意する。米国は韓国と最後まで共に歩む。(両国関係が)揺らぐことはない」とトランプ氏は述べました。

中国北京の政治経済シンクタンク「龍洲経訊」(Gavekal Dragonomics)の謝艶梅氏はワシントン・ポストに対して、「各国と如何に取引するかをよく知る中国当局は、トランプ氏が取引に長けているビジネスマンなので、トランプ氏を扱うのは簡単だと楽観視しているようだ。一方、トランプ氏周辺の政治外交顧問が親中的だとは全く思えない」と指摘しました。

トランプ政権成立によって追い詰められる習近平
以上のような事実を知ると、トランプ政権の対中国政策は経済的にも軍事的にも完璧にタカ派的な対応になるとみて間違いないようです。

このブログにも従来何度か掲載したように、オバマ現大統領の及び腰により、アメリカは世界各地で、存在感を失ってきましたが、今後は着実失地回復をしていくことになるでしょう。

中国は、過去においては日米に対して、少しずつ挑発をして、米国が何もしないことがわかると、自分たちの思い通りに、南シナ海や東シナ海で示威行動をし、覇権を拡大していきました。

しかし、トランプ氏が大統領になれば、過去のオバマ政権の時のようなことにはならないでしょう。多少の軍事衝突もいとわず、反撃することでしょう。中国は、自分の軍事力の本来の姿を思い知ることになります。

経済的にも、米国が中国に対して中国の金融資産凍結などの、金融制裁を行った場合、中国はとんでもないことになります。

なぜなら、中国の外貨資産の大半はドルであり、残りはドルと交換できる国際通貨のユーロや円などです。つまり元は事実上、ドルの裏付けがあるという意味での信用を獲得し、増発が可能になっていたのです。

アメリカが本格的に金融制裁に踏み切れば、中国経済は完璧に崩壊します。経済が崩壊した状態では、とてもじゃないですが、アメリカと事を構えることなどできません。世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

いわゆるバブルマネーによって、中国経済は本来の実力以上に大きく見られているのですが、バブルが崩壊し、同時にアメリカが前述のような金融制裁を強めたら、どうなるでしょうか。当然、一気にこれまでの体制が瓦解し、中国は奈落の底に落ちることになります。

そうした構造を中国共産党自身がよくわかっているため、中国はアメリカのドル支配から抜け出そうとしています。アジアインフラ投資銀行(AIIB)や新開発銀行(BRICS銀行)の創設を主導し、さまざまな二国間投資を推進することによって、アメリカに頼らない体制をつくりたがっています。

その動きを必死に封じているのが日米であり、同時にASEAN(東南アジア諸国連合)の各国も日米に連動するかたちで自国の権益を守ろうとしています。

いずれにせよ、最初から勝負ありきということで、軍事的にも経済的にも、中国は徹底的に追い詰められることになります。国際法的見地からしても、中国の身勝手な言い分は通りません。

アメリカが本気で習体制を揺さぶれば、習には勝ち目は全くありません。さて、習はこの危機をなんとか打開できるのか、あるいは崩壊するのか、今後の推移を見守っていく必要があります。

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2016年11月14日月曜日

どうなる日米同盟 「基地問題を見直す好機」「日本を自ら守る気概を」 軍事評論家が激白―【私の論評】トランプ氏は米軍駐留経費負担だけでは満足しない(゚д゚)!

どうなる日米同盟 「基地問題を見直す好機」「日本を自ら守る気概を」 軍事評論家が激白

火箱芳文(ひばこ・よしふみ)氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
ドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利したことで、危惧されているのが「日米同盟」の行方だ。トランプ氏は選挙戦で「日本ただ乗り論」を主張し、在日米軍の撤退もチラつかせていた。日本の安全保障の基軸はどうなるのか。元陸上自衛隊幕僚長の火箱芳文(ひばこ・よしふみ)氏と、元在沖縄海兵隊政務外交部次長のロバート・エルドリッヂ氏に聞いた。

火箱氏は、米軍に太いパイプを持つだけに「誰が米大統領に就任しても、日米同盟の根幹が揺らぐことはないが、日本人が目覚める良い好機になるのではないか」といい、こう分析した。

「トランプ氏は『日本は在日米軍の駐留経費の全額負担をすべきだ』『応じなければ在日米軍の撤収を検討する』と主張していた。それは、『自分の国は自分で守れ』とも解釈できる。自衛隊単独で日本を完全に防衛することは難しいが、筋論としては当然だ。日本人は自らの手で国を守る気概を持つことが大事だ」

トランプ氏は、日本に「負担増」とともに「役割増」も求めてくる可能性があるとみられる。

「自衛隊の役割が増えれば、これまで米軍に流れていた予算が国民の財産として自衛隊に積み上がることになる。むしろ歓迎すべきだ。日米の軍人レベルでのつながりは強固だ。米国と対等に渡り合うチャンスだ」

火箱氏は東日本大震災時の陸幕長として7万人の陸自隊員を指揮し、米軍との共同作戦でも陣頭に立った。2011年8月に退役するまで、日米同盟の最前線に立ち続けた。

エルドリッヂ氏
 一方、エルドリッヂ氏は東日本大震災の際、米軍の「トモダチ作戦」を発案した1人である。

今回のトランプ氏の当選について、「沖縄の基地問題を見直す好機だ。(次期政権での)駐日米国大使には安全保障の専門家が就任すべきだ」といい、続けた。

「今の基地問題の基本線は約20年前、クリントン大統領と橋本龍太郎首相が合意したことがベースだ。それから世界は大きく変わり、新しい時代になった。トランプ氏の日米同盟に対する認識はかなり古い。今後、その認識は改まるだろう」

日米同盟は単なる軍事同盟ではない。「民主主義」「法の支配」「人権尊重」という基本的価値観の共有が重要である。

エルドリッヂ氏は「日本に求められるのは、米国のカーボンコピーではない。日本は人道支援などソフトパワーでの国際貢献が得意だ。同盟は夫婦関係と同じ。日本と米国はお互いが努力して良い方向に持っていくしかない」と語った。

【私の論評】トランプ氏は米軍駐留経費負担だけでは満足しない(゚д゚)!

トランプ氏の大統領選のときの発言として、日本を含む同盟国との軍事関係を経済面から見直し、在日米軍の経済的負担を日本が担わなければ、米軍撤退、そして日本の核兵器保有を容認するという発言に不安を感じる人も多いと思います。

このこのトランプ氏の発言に、日本の左派と、右派の一部が、何も考えずに単純に賛意を表明していました。ただし、左派の人たちは、核兵器保有ではなく、憲法9条が在日米軍の代わりになると考えているのが、右派の人とは違います。

しかしながら、単純に経済的負担だけを理由に在日米軍が日本から去っていくことはあり得ないと考えられます。なぜかといえば、これは米国の東アジアや太平洋の安全保障政策を大幅に縮小し、対中国・対ロシアなどを含めて、これらの脅威をいたずらに高めることになるからです。米国が、東アジアと太平洋になんの緩衝地帯もなく、海洋進出政策を活発化させ、米国が隙をみれせば、すぐにも行動を起す中国に大きな隙を与えることになるからです。

それに、すでに日本は在日米軍の駐留経費の過半を負担しています。2016年予算でも防衛省関連だけで約5400億円の巨額であり、その負担率は70%を超えています。韓国、ドイツ、イタリア、イギリスなどに比べてもその何倍、何十倍の負担額であり、負担率も米国の同盟諸国のなかでも他をかなり引き離しての一位です。

トランプ氏にいわれるまでもなく、今までの日本は米国から軍事的に「見捨てられる」可能性が起きないように、自国で在日米軍のコストを大きく引き受けてきました。
さらに、この政府予算に現れないコストも存在します。たとえば、沖縄などでの在日米軍に関するコストも無視できません。武田康裕氏と武藤功氏(共に防衛大学校教授)の著作『コストを試算!日米同盟解体』(毎日新聞社)によると、沖縄の米軍基地が存在しないときに、跡地利用などで経済効果が1兆6000億円超も生まれるそうです。



これは、それだけの金額を日本は現時点で無駄にしているといえる。これを「機会費用」といいます。また、政治的・社会的な摩擦も当然に経済評価が可能な部分があり、実際にはさらに機会費用は膨らみます。

ただし、この書籍では、日本が自主防衛に転じた場合、どの程度のコストがかかるかの試算も掲載してあります。これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
トランプ氏、共和党の指名確実な情勢 クルーズ氏が撤退―【私の論評】元々自衛戦争はできる!護憲派も、改憲派も牛丼を食べるのは違憲とするのはもうやめよう(*_*)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より、日本が自主防衛に転じた場合のコストに関する部分のみを以下に掲載します。
自国の防衛を行う場合には、他国との共同防衛か自主防衛かという選択肢があります。前者は日米同盟を考えると現状に近いものです。後者は、対米追随ではなく完全自主防衛であれば、当然のことながら核兵器保有を考えなければなりません。
以下には、核兵器のコストは特に含まれていませんが、そのまま引用します。

同書には、日米同盟のコストは1・7兆円、自主防衛コストは24~25・5兆円であると掲載されています。
自主防衛コストについては、いろいろな見方があるとはいえ、日米同盟コストに今の防衛関係費を加えても6・7兆円ですが、自主防衛コスト24~25・5兆円より小さいというこの結論にはあまり変わりないでしょう。 
この現実を知れば、日米安保と自主防衛のどちらを選ぶべきかといえば、当然のことながらコストの問題から、現実問題としては日米安保にならざるを得ないです。自主防衛とすれば、トランプ氏が言うように核兵器配備は必須です。 
日本が集団的自衛権を認めれば、米国側も日米安保にメリットがありますから、日本側の負担は抑えられます。一方、集団的自衛権を認めず、日本が専守防衛に固執するなら、日本側の負担が際限なく大きくなり、米軍も撤退ということになります。 
集団的自衛権の否定論者は、トランプ氏の提案にどう答えるのでしょうか。
米軍が日本から撤退することは、米国からみれば軍事的な公共支出の削減につながり、経済面だけをみればメリットのほうが大きいことでしょう。ただし、米軍が日本から完全撤退しつつも、同等もしくはそれ以下の軍事力でも、新たなに東アジア、太平洋地域に展開することになれば、これもとてつもなくコストがかかります。

こちらの試算は、ありませんが、空母打撃群や潜水艦など、定期的に米本土や他の地域から派遣して、中国やロシアに備えるということになれば、これもかなり莫大なものになることは容易に想像きがつきます。

それを考えると、やはり日米間で集団的自衛権を行使できるように、日米安保体制は、堅持したほうが、両方にとってかなりメリットがあります。それを考えると、米軍が日本から徹底することはあり得ないです。

ただし、米国は、今まで通り日本に駐留するものとして、駐留経費負担の増額や、全額負担を政治的に迫ってくる可能性は十分にあります。

ただし、政治的・社会的コストをあえて無視すれば、予算的な規模ではたかだか2000億円を超える程度であり、金額的には限定されたものです。ただし、そのような要求をトランプ次期政権が要求してくれば、日本国内で政治的・社会的な問題化は避けられないこことでしょう。

以上のことから、米軍が日本から撤退する可能性は低いですが、日本に対し駐留経費のよりいっそうの負担増を迫る可能性はあるでしょう。ところで、日本の核兵器保有許容ですが、日本から在日米軍がいなくなれば、トランプ氏にいわれるまでもなく、国論が二分するかたちで核兵器保有が争点化することは間違いないでしょう。

それにしても、あくまで、米国に日本の防衛を丸投げしようなどという考えは、たとえ日本が米軍の駐留費用など全部負担したとしても、トランプ氏には通用しない可能性は十分あります。

それについては、以下の動画をご覧いただけると十分にご理解いただけるものと思います。江崎道郎氏は、日本では唯一といっても良いほど、トランプ氏が大統領になる可能性とその根拠を指摘した人物であり、トランプ政権になってからの、アメリカの出方や、日本の進むべき道に関して誰よりも最初に参照すべき人物であると思います。



この動画でも指摘しているように、トランプ氏は7日の演説の中で以下のように語っています。

「私は今日、外交政策で常に中心に据えるべき重要な3語を伝えるためにここにいる。それは『peace through strength(強さを通じた平和)』だ」

トランプ氏は任務に就いている陸軍兵士の数を現在の49万人から54万人に増員し、海兵隊の大隊数を23から36に増やす(1万2480人の増員)ことを提案しました。海軍では水上艦と潜水艦を合わせて現在の275隻から350隻へ拡充し、空軍では戦闘機を約100機追加して総計1200機にすることも約束しました。

ただ、そのためにどれだけの予算が必要かについては明らかにしませんでした。保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマッケンジー・イーグレン研究員は、トランプ氏の計画を実行すれば、国防予算が年間で550億ドル(約5兆6000億円)から600億ドル上乗せされることになると試算しています。

例えば、現役の陸軍兵士を54万人に増員した場合、その費用は4年間で推定350億〜500億ドルに達するといいます。海軍の保有艦船を350隻に増やせば4年間で約130億ドル、海兵隊の大隊を36に拡充すれば4年間で約150億ドルが必要だとイーグレン氏は見込んでいます。

オバマ大統領により、ここしばらく削減され続けてきた軍事費をオバマ大統領以前の水準まではいかないものの、それでもかなり増強する意思を示したわけです。

この動画でも語っている通り、日本が米軍の駐留費をさらに負担するということだけでは、トランプ氏は満足しないでしょう。やはり、日本も太平洋が中国の海にならないように、一役買うこと表明しそれだけではなく、それを裏付ける予算措置も示さなければ、トランプ氏は納得しないでしょう。

それこそ、ブログ冒頭の記事で火箱芳文がかたるように、トランプ氏は、日本に「負担増」とともに「役割増」を求めることになるでしょう。そうして、エルドリッヂ氏がかるように、日本と米国はお互いが努力して良い方向に持っていくしかないのです。

日本としては、もう今年度は無理にしても来年度から防衛費を大幅に増大させなければならなくなると思います。これをどこに用いるのが、最も効果的なのか、日本政府の能力が問われることになると思います。

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2016年11月13日日曜日

コラム:トランプ円安はサプライズではない=村上尚己氏―【私の論評】米国経済に関しても、トランプショックに煽られるな(゚д゚)!


村上尚己氏
[東京 11日] - 米大統領選挙における共和党ドナルド・トランプ候補の勝利と、海外市場で始まった株高・金利上昇・ドル高の動き――。これらは、日本の市場関係者の多くには理解し難い出来事だろうが、筆者にとっては想定内の展開であり、違和感はない。株高・金利上昇・ドル高トレンドは継続する可能性が高い。

まずトランプ氏の勝利は、「とんでもない人物が米国の大統領になることはない」との論調が内外の大手メディアを支配していたため、「サプライズ」だと見なされた。特に日本のメディアは事前の想定が裏切られたことが驚きであるかのような論調に傾いており、例えば「トランプ氏勝利=米国社会の分裂・苦境」といったトーンが目立つ。

ただ、米国の金融市場では、もともと「トランプ大統領」は十分あり得ると認識されていた。「トランプ政権の誕生が深刻なリスクになる」といった議論を、筆者は米国人投資家の口からあまり聞いたことはない。米国メディアの報道や調査にもバイアスはあり、6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱を選んだ英国ショックのような事態が発生する可能性は当然ながら想定されていたためだ。

実際、同僚の運用者の大半は十分な備えを講じていた。つまり、米国市場にとってショックとは言い難いのである。

もう1つ、日本の市場参加者にとってサプライズだったのは、トランプ氏勝利を受けて、欧米市場は東京市場とは真逆の円安ドル高に動いたことだろう。トランプ大統領なら株安となり、安全資産の円が買われるという条件反射的な思惑は外れたわけだ。

振り返れば、日本の為替アナリストの大半は、「円は安全資産」あるいは「米次期政権はドル安志向」とのロジックを振りかざし、米大統領選は円高要因になると論じていた。それに対して、筆者は10月19日付のコラムで「トランプリスクは幻影」と書いたように、円高要因ではないと見ていた。

<「トランプ政権=ドル高」は教科書通りの動き>

さて、トランプ氏が表明している経済政策は多岐にわたり、矛盾しているものが多く、どの程度実現するかは不確実である。ただ、減税を中心に景気刺激的な財政政策が実施される可能性が高いとの見方は、多くの投資家の共通認識だ。

これは、米国の株高・景気押し上げ要因である。当社エコノミストは、米政府の拡張的な財政政策がドル高を後押しすると予想。2017年の米国内総生産(GDP)成長率は財政政策で0.5%程度押し上げられると見ている。

米国でインフレ率が高まり、名目長期金利が押し上げられ、米連邦準備理事会(FRB)が緩やかながらも利上げを続けるなら、理論的にはドル高である。多くのエコノミストにとって、トランプ政権でドル高円安となるのは教科書通りの自然な動きなのだ(トランプ政権がFRBへの介入を強めることは筆者が考える最大のリスクだが、他の政策メニュー同様に不確実で現時点では判断のしようがない)。

それでも日本の金融市場では相変わらず、トランプ氏が掲げる保護主義政策の採用やグローバリゼーション時代の終焉によってドル安がもたらされるとの見方がよく聞かれる。これは、1990年代半ばまで金融市場を支配していた「円高シンドローム」(特にビル・クリントン政権で顕著だった政治的な円高強要と日銀金融政策の機能不全がもたらした現象)が、トラウマとして為替市場参加者に影響している側面が大きいと考えられる。

ただ、現在は当時と異なり、まず黒田東彦総裁率いる日銀は強力なデフレファイターとして生まれ変わっている。また、米政府にとって貿易摩擦の最大相手国が日本だった当時の状況と今は違う。

さらに、そもそも日本のアナリストの多くが予想するドル安政策は米利上げ見通しと整合性がとれていない。実際には、金融政策は引き締め方向で、財政政策は拡張方向に進み、ドル高がもたらされる可能性が高いと筆者は考える。

ドル高の持続性の鍵を握るのは、米経済の成長やインフレ率である。そして、そうした点に変化があるようには見えないため、夏場から述べているように、行き過ぎた円高の修正は続く可能性が高いと筆者は予想しているのである。仮に円高に振れた際には、むしろ投資機会として捉えるのが正しいアプローチではないだろうか。

*村上尚己氏は、米大手運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB)のマーケット・ストラテジスト。1994年第一生命保険入社、BNPパリバ、ゴールドマン・サックス、マネックス証券などを経て、2014年5月より現職。

【私の論評】米国経済に関しても、トランプショックに煽られるな(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事での、村上氏の結論を以下に整理して掲載すると、
ドル高の持続性の鍵を握るのは、米経済の成長やインフレ率である。これに変化があるようには見えないため、行き過ぎた円高の修正は続く可能性が高い。仮に円高に振れた際には、むしろ投資機会として捉えるのが正しいアプローチである。
ということです。この見方は全く正しいものと思います。そもそも、昨日も述べたように米国の二大政党制には政治の継続性の原則というものがあります。

これは、今回のように大統領も共和党指名の大統領なり、連邦議会も共和党が多数派となり(前回の中間選挙のときにはすでに共和党が多数派)民主党から共和党に政権交代した場合に、前政権とあまりにも政策が異なった場合混乱を招くため、政権交代があったにしても、現政権は前政権の6〜7割は同じ政策を実行し、残りの4〜3割で、現政権らしさを出すといういう原則です。

オバマ大統領の経済政策に関しては、賛否両論はあるものの、ミクロ的には問題があるものの、マクロ的には大きな失敗はなかったと思います。であれば、経済政策に関してもトランプ政権がすぐに極端に変えるということはないでしょう。ただし、中長期では当然のことながら、トランプ氏らしい政策を打ち出すことになると思います。

そうして、実ははトランプ氏の経済政策は意外とまともなものです。それに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
実は意外とまとも!? 「トランプ大統領」の経済政策構想をよむ―【私の論評】米メデイアの超偏向ぶりと、公約の完全実行はあり得ない事を知らないと趨勢を見誤る(゚д゚)!
米共和党全国大会で大統領指名受諾演説をするドナルド・トランプ氏
この記事は、今年の9月22日のものです。この時期では、メディアはトランプ氏が圧倒的に優勢であり、トランプ氏は劣勢であることを伝えていました。

この記事では、トランプ候補が9月15日、ニューヨークのエコノミッククラブの講演会で、自身の経済政策の構想を明らかにしたことと、その内容について掲載しました。

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このときに発表されたトランプ氏の経済政策について以下に掲載します。
トランプ候補は、レーガン以来の大型減税と各種規制緩和、および貿易政策をテコに、10年間で2500万人の雇用を創出し、年平均で実質3.5%成長を実現させる政策を実施すると言及した。 
このうち、大型減税のメニューとしては、以下の3点を挙げている。 
①法人税の大幅減税(最高税率を現行の35%から15%へ) 
②所得税の税率適用区分の簡素化(現行の7段階から3段階へ)と税率の大幅引き下げ(12%、25%、33%の3段階へ)、および各種控除の拡充(子育て費用) 
③相続税の廃止 
一方、規制緩和に関しては、現在、オバマ大統領が推進している「パリ条約」にともなう環境政策の停止(クリーンパワープランを廃止し、石油、天然ガス、石炭の生産増をはかる)がその中心となっている。 
さらには、ニューヨークでの講演では言及しなかったものの、従来から老朽化が指摘されてきたインフラ(道路、橋、鉄道、港湾など)の整備拡充や防衛関連支出の増大も公約に掲げている。 
また、貿易政策では、TPPからの撤退と中国に対する圧力(中国を為替操作国に認定するともに、知的財産侵害や輸出補助金の廃止を中国政府に強く求める)を通じて、米国製造業の輸出を拡大させる政策を提案している。
そうして、このようなトランプ氏の政策に関するエコノミストの安達誠司氏の論評も掲載しました。それを以下に引用します。
このようなトランプ候補の経済政策は、最近のマクロ経済学の流れとほぼ軌を一にする点に注意する必要がある。 
最近のマクロ経済学では、「長期停滞」を脱する経済政策として、金融緩和よりも財政拡大を重視する動きが強まってきている(これは、金融緩和が必要ではないという意味ではない)。 
その意味で、インフラ投資の拡大を掲げるトランプ候補の主張は、「長期停滞」に対する処方箋として有効となる可能性がある(クリントン候補もインフラ整備のための公共投資拡大を政策の一つとしているため、来年以降の米国では、財政支出拡大による景気浮揚が実現する可能性が高まっている)。 
さらに、世界的な長期金利低下の一因として、緊縮財政路線による国債発行量の減少にともなう「安全資産」の相対的な不足を指摘する研究も出てきている(いわゆる「Safety Trap」の議論)。 
前述のように、トランプ候補は思い切った減税を実施する意向でもあるので、税収も大きく減少する見込みだ。そのため、インフラ整備等の公共投資拡大は国債発行増によって賄われる可能性が高い。 
トランプ氏の提唱する財政拡大政策によって米国経済の長期停滞を克服することができれば、米国債は世界随一の安全資産として世界中の投資家に選好されることにもなるだろう。
トランプの経済政策は、実際にはかなり緩和・拡大路線であるようです。勝利演説では、ケインズ的な機動的財政政策としてインフラ投資を中心に行うと発言していました。そして共和党候補としては異例なほど、雇用の創出に力点が置かれていました。まるでニューディール政策の表明のようでもありました。

金融政策については、トランプ氏のFRB(米連邦政制度理事会)の低金利政策批判が有名になっていますが、これはあまり深刻になるとは思えません。なぜなら、先の積極的な財政政策の財源を、トランプ氏は国債の借り換えに求めています。であれば、低金利維持、つまり金融緩和は必要条件です。むしろ急速な金利引き上げには、反対する可能性があります。

さらにいえば、トランプ氏は、現状のFRBの引き締めスタンスの転換を求めるかもしれません。トランプ政権は保護主義的志向という点を除けば、むしろ日本のアベノミクスと似た積極的な金融政策と財政政策の組み合わせを志向する、欧米の伝統的なリベラル政策に近い政策実行するのではないかと思います。

仮にトランプ政権がこのようなリフレ政策的なものを採用し、米国経済が好況になれば、それによって世界経済、ひいては日本経済にも益するところは大きくなることでしょう。

もちろん、これは今のところひとつの可能性にすぎません。
googleはヒラリーが有利になるようにオートコンプリートを操作していた可能性が?

このブログの購読者の方ならご理解いただけるものと思いますが、私はこのブログでは米大統領選に関して、一度もクリントン氏が圧倒的に優勢で、トランプ氏は不利などということは掲載しませんでした。最後の最後まで、両者は五分五分であると掲載してきました。 そうして、それは希望的観測というわけではなく、その根拠も掲載してきました。

しかし、日本のマスコミや、政府、多くの市場関係者等のほとんどは、トランプなど泡沫候補に過ぎず、ヒラリーが大統領になると考えていたことに代表されるように、彼らには先見の明が全くありません。彼らには、私のような一個人のブログよりもものが見えていないようです。

彼らの見方の反対が正しいかもしれないとすれば、現時点のトランプショックを煽る彼らの考え方はまた誤っているかもしれません。

とくに、トランプ氏の"②所得税の税率適用区分の簡素化(現行の7段階から3段階へ)と税率の大幅引き下げ(12%、25%、33%の3段階へ)、および各種控除の拡充(子育て費用)"の政策が実施され、大きな成果を収めた場合、8%増税をしても日本経済への影響は軽微などと語っていた人たちの信用は地に堕ちることでしょう。

いずれにせよ、経済面でも円高などのトランプショックをいたずらに煽るのは間違いであるとはいえると思います。そうして今のところは、トランプ大統領により米国経済が良くなるならないはまだ五分五分であると考えておくべきです。

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2016年11月12日土曜日

蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に―【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!

蓮舫氏「トランプ氏に失礼」でまたもブーメラン 本来の立場忘れ、本末転倒の攻撃材料に

蓮舫氏
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案などをめぐり、米大統領選でTPP脱退を明言するトランプ氏が勝利したことを受け、民進党執行部から承認案の即時撤回を求めるような発言が相次いでいる。そもそもTPP交渉参加に向けた協議入りを決断したのは、平成23年の旧民主党・野田佳彦内閣だ。自由貿易体制を重視する本来の立場を忘れ、トランプ氏を安倍晋三政権の攻撃材料にするのは本末転倒でないか。

蓮舫代表「新大統領に対して失礼にあたるのではないかとも思い、懸念している」

野田幹事長「新しい大統領にケンカを売るような話にもなりかねない」

 蓮舫、野田両氏はトランプ氏が勝利した9日、承認案などの衆院採決を急ぐ政府・与党を批判した。

民進党野田幹事長
 民進党は「今回の交渉で農産物重要5項目の聖域が守れなかった」ことなどを理由に承認案に反対しているが、TPPの理念は否定しない立場。7月の参院選で発表した「民進党政策集2016」にも「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現をめざし、その道筋となっているTPPなどの経済連携を推進します」と明記している。

トランプ氏はTPPを「米製造業の致命傷になる」と批判するなど保護主義的な姿勢を示してきた。民進党の考えるべき道は、TPPの理念まで消え去りかねない危機への対応であり、「トランプ氏に失礼」などと肩を持つことではないはずだ。(水内茂幸)

【私の論評】TPPは頓挫していない!政治家、マスコミ、官僚も米大統領選のように判断を誤る可能性が(゚д゚)!

そもそもTPP交渉参加に向けた協議入りを決断したのは、平成23年の旧民主党・野田佳彦内閣であることは間違いありません。その当時の新聞記事のリンクを以下に掲載します。これは朝日新聞のものです。
野田首相、TPP交渉参加の方針表明
2011年11月11日23時11分

 野田佳彦首相は11日、首相官邸で記者会見し、環太平洋経済連携協定(TPP)について「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と述べ、参加国との事前協議から始まる交渉プロセスに参加する方針を表明した。首相は12日からハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、オバマ米大統領らTPPの関係各国首脳と会談し、交渉参加の方針を伝える。 
 TPP交渉に正式参加するには、すでに交渉入りした米国など9カ国と事前協議を行い、それぞれ承認を得る必要がある。日本が各国と本格交渉を始めるのは、早くても来年春以降とみられる。首相が「交渉参加に向けた協議」と表現し、事前協議を強調したのは、民主党内の反対派に配慮した面もある。 
 首相は会見で、農業や医療などの分野でTPP参加に反対する声が強いことを念頭に「世界に誇る日本の医療制度、日本の伝統文化、美しい農村、そうしたものは断固として守り抜き、分厚い中間層によって支えられる安定した社会の再構築を実現する決意だ」と強調。こうした懸念に配慮する姿勢をみせた。 
 一方で「貿易立国として活力ある社会を発展させていくためには、アジア太平洋地域の成長力を取り入れていかねばならない」と述べ、交渉参加の意義を訴えた。その上で、首相は「関係各国との協議を開始し、さらなる情報収集に努め、十分な国民的な議論を経た上でTPPについての結論を得ていく」と強調した。 
 また、首相は農業対策について、10月に政権がまとめた農林漁業の再生に向けた基本方針・行動計画を踏まえて「規模の集約化や6次産業化などを5年間で集中的に行っていく。それに基づいて必要な予算を措置する」と述べ、交渉参加と農業再生の両立を図る考えを示した。 
 首相は関係国との協議について「国益を最大限実現するプロセスの第一歩だ」と主張。昨年11月に菅前政権が「情報収集のための協議」としたTPP参加国との交流について、首相は「さらに歩みを前に出す」と位置づけた。 
 一方、慎重派の鹿野道彦農林水産相は11日夜、記者団に「総理は『参加表明』とはおっしゃらなかった。交渉参加を前提とするものではないと理解している」と指摘。首相の表明が交渉参加にはつながらないとの認識を示した。
この当時の私は、TPPそのものについては自由貿易を推進するということで反対ではないものの、野田政権というより財務省に簡単に御せられてしまう、交渉力の弱い民主党政権のときにはTPP交渉に入るのは日本の国益を損ねる危険性もあると考えていたので、一応反対はしていました。そのため、ブログには以下の様な野田氏を揶揄するような画像も掲載しました。


この記事は、2011年11月11日のものであり、今から5年前の記事です。野田氏は5年前に、自らTPP交渉参加に向けた協議入りを決断しておきながら、「新しい大統領にケンカを売るような話にもなりかねない」と発言しているわけです。

これは、非常に奇異です。ケンカのきっかけは自分が作ったにもかかわらず、自分にはもう全く関係ないかのような発言です。このような発言をするのなら、まずはきっかけを作った自分が謝罪すべきではないでしょうか。

それに、蓮舫氏の「新大統領に対して失礼にあたる」というのも本当に奇異です。蓮舫氏は、自らの二重国政問題で自らの意見を何度も何度も翻し国民を愚弄したその挙句、今でも二重国籍であるかどうかさえはっきりさせていません。国民に対してあれだけ、失礼なことをしておきながら、それは全く顧みずに、筋違いの政府批判をしています。

これらの発言から読み取れるのは、政治を考える上で、二人ともせいぜい1〜2年期間で物事を考えて発言しているとしか思えないのと、とにかく筋が通ろうが通るまいが、論理的であろうが、なかろうが、現政権を批判することしか頭にないことです。

このような発言は、無責任と断定せざるを得ません。そうは言っても、この二人にはそのようなことは全く気にもかけないでしょう。だからこそ、このような発言ができるのです。

この二人が、民進党の代表と、幹事長というのですから、情けない限りです。

それにしても、トランプ氏が大統領選に勝ってからいろいろなことが明るみに出ました。

まずは、メディアは日米ともに、最後の最後まで、クリントン優勢と報道したことからもわかるように、米国の国民の声や、考えを全く反映していなかったことが明るみに出ました。

まずは、このブログで何度か掲載してきたように、アメリカのメディアはアメリカにおそらく、半分くらいは存在していると考えられる保守派や保守派に親和性のある人々を完全に無視してきたこと、そうして日本のメディアも米国メディアの論調を鵜呑みにして、アメリカの半分の声に対してノータッチであったことが明るみに出ました。

それに、TPPに関しても、「TPPで日本は亡国になる!」と語っていた連中も大勢いましたが、トランプ氏はTPPには反対しています。亡国論者たちはTPPはアメリカの日本支配の巨大な陰謀などと語っていました。しかし、大統領選挙前からアメリカが拒否し、さらにトランプ氏も反対しています。結局、自称「保守系」経済評論家と呼ばれる人たちは、根拠の薄弱な恐怖を煽ったということで無責任であったことがはっきりしてしまいました。


しかし、TPPについては、トランプ氏が反対であることから、頓挫するのではないかというのが、日本のマスコミなどのほとんどの反応ですが、私は今のところは、完璧に頓挫したとは思っていません。

なぜそのように思うかというと、三点ばかり根拠があります。一点目は、過去に大統領選においてFTAやEPAに関して、大統領選のときには反対の意思を表明しておきながら、大統領になったらこれを批准した大統領などいくらでも存在するからです。実際、アメリカの大統領選挙の公約は守られないことが、しばしばありますし。だからといって、大きな問題になったこともありません。

二点目としては、アメリカの政治は二大政党制であり、今回のように政権交代があったとき、前政権と現政権の政治があまりにも異なった場合、とてつもなく混乱することになります。そのような混乱を避けるため、アメリカの政治では継続性の原則が貫かれています。

継続性の原則とは、たとえ政権交代したとしても、現政権は前政権の政策を6割〜7割は引き継ぎ、後の4割から3割で、新政権の色を出すというような政治手法のことをいいます。

今回のTPPに関しては、これを推進しようとしたのは元々アメリカです。これを今から完全廃止するとなると、アメリカ国内だけではなく、日本を含めた他の多くの国々に混乱をもたらします。これがかなりのマイナスとなると判断すれば、政治の継続性の原則から、混乱を招かないために、従来通り現政権もTPPを推進する事になる可能性は十分あります。

三点目としては、TPPには中国は参加しません。その意味で、TPPは中国への経済的な対抗策でもあります。トランプ氏は対中国恐慌派と目されていますから、これを理解すれば、TPPを推進するほうに立ち位置を変える可能性は十分にあります。

日本のメディアは、もうTPPは頓挫したかのように報道しているところが多いです。しかし、もっと趨勢を見極めないと、政治家、マスコミ、官僚もまたアメリカ大統領選挙の時のように、判断をまったく誤ることになるかもしれません。

アメリカの大統領がトランプ氏と決まったことを契機これからも、いろいろなことが明るみに出てくると思います。そのようなことを発見した場合、またこのブログに掲載しようと思います。

【関連記事】



2016年11月11日金曜日

中田宏氏「生活保護でパチンコ」おかしい 自分のカネで遊べ―【私の論評】自由とは選択の責任、権利ではなく義務!何かからの自由は特権に過ぎない(゚д゚)!

中田宏氏「生活保護でパチンコ」おかしい 自分のカネで遊べ

前・横浜市長の中田宏氏

 “人権派”曰く、生活保護費でギャンブルに興じるのは「人として当然の権利」らしい。だが、前・横浜市長の中田宏氏は「自由と権利」が一人歩きする日本社会の風潮を疑問視する。

 * * *

 「生活保護費でパチンコ」を禁じる地方自治体の試みが潰されたことをご存じだろうか。

 大分県別府市は昨秋、市の職員らがパチンコ店などを巡回。生活保護の受給者を見つけたらまず口頭注意、複数回繰り返した場合は書面での警告を経て保護費の一部の支給を1~2か月間停止していた。大分県中津市も同様の手順を経て、パチンコなどで遊ぶ受給者の保護費の一部を1か月分、減額していた。

 この対応に「当然だ」「よくやった」との声がある一方、「パチンコは個人の自由だ」「人権侵害につながる」と猛反発したのがいわゆる“人権派”の面々だ。結局、厚労省が「受給の停廃止は不適切」との方針を示し、今年度から両市はこの施策を中止した。

 日本国憲法第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定める。生活保護制度は国民にとって最後の砦で、重要なセーフティネットであることは言うまでもない。

 だが、判例がないので私の価値観に基づいて言うが、パチンコが「文化的最低限度の生活」に必要とは思えない。私の基準では、金銭の増加によって精神的な満足を得る行為、つまりギャンブルは憲法第25条の範疇に入らない。ゆえに映画や演劇に保護費を使うのはOKだが、パチンコや競馬はダメであり、「馬の走る姿が美しい」などと訴えても、保護費で馬券を買った時点でアウトなのだ。

 生活保護法が定める制度の趣旨は、諸々の理由で生活が困窮した人を保護し、その自立を支援することだ。だが、困窮の度合いに応じて支給される生活費をパチンコに投入すれば、さらに生活が困窮する可能性が高い。これは元々の趣旨にもとる行為ゆえ、遊ぶなら公金ではなく自分のカネで遊ぶべきである。

 私は、「生活保護受給者にパチンコは必要ない」との考えは常識だと思っていたが、世の中には違う考えの人もいることを今回の件で痛感した。受給者のパチンコ禁止を「人権侵害」と難じる人々は、「権力=悪」という強い思想を持ち、権力による市民の行動抑制に徹底して反対する。個人の「自由」を最大限に尊重する立場の人々である。

 そもそも、「自由と責任」、「権利と義務」はワンセットであるはずだが、戦後の日本では、自由と権利がひとり歩きする。「国民の権利及び義務」を定めた日本国憲法第3章には「権利」が16回、「自由」が9回登場するが、「責任」と「義務」は各3回のみである。これ以上、人権派を跋扈させないためにも、この点が今後の憲法改正のポイントとなるだろう。

 この一件で腹立たしいのは、厚労省が「生活保護費でパチンコ」の是非について何の枠組みも提示せず、ただ「受給の停廃止は不適切」としたことだ。生活保護費の4分の1を負担する自治体がせっかく「けじめ」をつけさせようと頑張ったのに、国の事なかれ主義が自立支援の道を閉ざしたのである。

 本来、困った人を助けるはずの“人権派”と国が生活困窮者の自立を損ない、「生活保護依存症」を生み出しているとしたら、実に皮肉な話ではないか。

 【PROFILE】中田宏/なかだひろし。1964年生まれ。神奈川県横浜市出身。青山学院大学経済学部卒業後、松下政経塾に入塾。細川護煕氏、小池百合子氏の秘書を務めた後、衆議院議員に転身。2002年から2009年まで横浜市長を務めた。『改革者の真贋』(PHP研究所刊)、『失敗の整理術』(PHPビジネス新書)など著書多数。

【私の論評】自由とは選択の責任、権利ではなく義務!何かからの自由は特権に過ぎない(゚д゚)!

これとは、また一見別の話ですが、根底のところでは中田氏の主張と似たようなことを示唆するようなが、本日は別にもありました。その記事を以下に掲載します。
橋下氏主導の大阪市の入れ墨調査「適法」確定、拒否した職員敗訴
大阪市長を退任した橋本氏
 大阪市が実施した市職員への「入れ墨調査」の是非が争われた訴訟は、調査を適法とした二審判決が確定した。最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)が9日付で、調査拒否に対する懲戒処分の取り消しを求めた職員2人の上告を退ける決定をした。 
 確定判決などによると、市は平成24年5月、橋下徹市長(当時)の主導で、入れ墨が他人から見える部分にあるかを、職務命令として全職員を対象に調査。2人に入れ墨はなかったが、プライバシー侵害に当たるとして回答を拒み、同8月に戒告処分を受けた。 
 一審大阪地裁判決は「入れ墨の有無は、差別の原因となり市条例が収集を禁じた情報に当たる」と指摘、調査は違法として処分を取り消した。二審大阪高裁は「人種や犯罪歴と違って差別の原因にはならない」と判断し、職員側逆転敗訴を言い渡した。 
 2人のうち元市バス運転手の男性は、今回の訴訟の取り下げを上司に求められて拒否した後、運転業務を外された。この転任命令の取り消しを求めた別の訴訟では一、二審とも男性が勝訴し、市が上告している。
ブログ冒頭の記事で、「(生活保護)受給者のパチンコ禁止を「人権侵害」と難じる人々は、「権力=悪」という強い思想を持ち、権力による市民の行動抑制に徹底して反対する。個人の「自由」を最大限に尊重する立場の人々である」と述べています

一方、大阪市の職員の入れ墨に関する件では、他者に見ることのできる範囲(他者が見られない範囲ではない)での「入れ墨」の調査を差別にあたるとしたものです。そうして、そうして「入れ墨」のない男性二人がこの調査そのものを違法としていたのです。

これも、細かなことはわかりませんが、これらの二人の男性自身がこの調査を「人権侵害」と断じているのでしょう。あるいは、これらの男性のバックには「人権保護派」の市民団体がついているのかもしれません。このような考えは、やはり「権力=悪」という強い思想を持ち、権力による市民の行動抑制に徹底的に反対し、個人の「自由」を最大限に尊重するという立場を背景にしているのでしょう。

よって、この2つの出来事は、一見似て非なるもののようにも見えながら、根底では同じ思想を背景にするものと考えて良いと思います。

パチンコに関しては、生活保護を受けていてもどうしてもやりたいと考える人がいたとしたら、それは病気なのではないかと思います。法律がどうのこうのの前に、医療相談などをすべきものと思いますし、その観点からサポートをする仕組みを構築すべきかもしれません。そのようなことをせずに、パチンコを自由にさせるということになれば、ますます病気が悪化することを助長するかもしれません。

中田氏は、"そもそも、「自由と責任」、「権利と義務」はワンセットであるはず"とのべていますが、これは社会生活を営む上で基本中の基本です。

さて、自由についてはこのブログでもしばしば登場する経営学の大家であるドラッカー氏は以下のように述べています。
 自由とは楽しいものではない。幸福、安心、平和、進歩のいずれでもない。それは選択の責任である。権利ではなく義務である。真の自由は何かからの自由ではない。それでは特権にすぎない。 
 自由とは、行なうことと行なわないこと、ある方法で行なうことと他の方法で行なうこと、ある信条を持つことと逆の信条を持つことからの選択である。楽しいどころか重荷である。それは、自らの行動と社会の行動にかかわる選択の責任である。
 ドラッカーの数多い言葉の中で、私が最も好きなのが、この「自由とは責任ある選択である。(Freedom is a responsible choice.)」という言葉です。

私は、この言葉のおかげで、真の自由は自分との葛藤の末、勝ち取るものなのだということが明確に理解できました。自由とは何かから逃れて得る権利ではなく、自ら進んで”選択する”義務なのです。

もちろん、「責任ある選択」はイバラの道です。しかし、イバラの道を抜けた後には、全く新しい自由な世界が広がっているはずです。

責任ある選択ができる人は、委ねられ、自由となります。そして、自由な人はより多くの”自由な人”を育て始めます。

このようなことを考えれば、「権力からの自由」という考えは、全くの間違いです。なぜなら、自由とは選択の責任だからです。権利ではなく義務でだからです。真の自由は何かからの自由ではないからです、何かからの自由とは特権にすぎないからです。 

生活保護を受けつつパチンコをする、人に見える部分の入れ墨の調査を逃れるという行為は特権に過ぎないからです。

さて、この自由という観念、実はトランプ現象とも大きく関わっています。そもそも、なぜトランプ氏が大統領千に勝つことが出来たかといえば、アメリカでも「自由」と「権利」ばかりが、主張され「責任」と「義務」があまりに軽く扱われる風潮があり、これに対して反発した人々が、トランプ氏に投票したという側面もあることは否めません。

これについては、昨日のこのブログ記事で述べました。

詳細は、昨日のブログを読んでいただくものとして、以下に一部引用します。

まずは、ハーバード大学法科大学院の学生の事例をあげます。
「表現の自由」について学ぶクラスで、リベラルな教授は言う。 
「共和党の指名争いは、歴史上稀に見る恥ずべき状態になっている」 
トランプを「差別する人」、マイノリティを「差別される人」と表現した教授に対し、授業後の立ち話でケヴィンは不快感を隠そうとしなかった。 
その決めつけこそが、ステレオタイプな差別だというのだ。 
「すべての人がすべての人を差別していると言った偉人がいるけど、僕も同感だ。マイノリティだってある意味でトランプを“差別”しているんだと思う」 
と説く彼の言葉は、ハーバード生だけあって説得力がある。そこで私が、
「なぜ、授業中に教授に反論しなかったの?」 
と聞くと、 
「一度、授業で同性婚に反対したことがある。授業が終わるとLGBT団体が僕の机まで来て、泣きながら抗議した。“あなたは私たちのことを嫌いなのね。だから、差別するのね”って。もううんざりだよ」
このようなことは、現在アメリカでは日常茶飯事のことのようです。そうして、一度「差別主義者」のレッテルをはられてしまうと、とんでもないことになりかねません。ポリティカル・コレクトネスが何より重んじられるアメリカ。インテリ層がこれを間違うと大変なことになる。信用を失い、名誉を失い、将来を失うことになりかねないのです。

もう一つの例を以下にあげます。これは、日本では「テキサス親父」としてYouTubeの動画で、日本でも有名になったトニー・マラーノ氏によるアメリカの現状を吐露した内容です。トニー・マラーノ氏はいわゆる保守派であり、「自由と責任」、「権利と義務」という考え方に関しては当然のことと思っていることでしょう。

トニー・マラーノ氏
米国は「移民の国」だ。俺の先祖もイタリアから移住してきた。米国の「建国の理念」に賛同する移民たちが、わが国に活力を与え、発展させてきた。ただ、それは合法でなければならない。トランプ氏が「不法移民を強制送還させる」と主張していることは、ある意味当然といえる。 
 社会主義者の増長は、米国型リベラリズムが、民主党や教育機関、映画などの大衆娯楽を乗っ取った結果だ。彼らは幼稚園のころから「資本主義の邪悪さ」と「社会主義への同情」を刷り込まれた。洗脳だ。自由主義や資本主義の象徴であるトランプ氏は「叩きのめすべき敵」なのだろう。 
 彼らが、トランプ氏を政治的に貶めようとすればするほど、それが逆効果になっている。米国民の多くは「抗議団=米国を3等国に転落させたい連中」とみている。最近、テロリストを支持する集会が開催されたことが、トランプ氏への得票につながったことも、米国民は知っている。
 かつて、カリフォルニア州は米国全体の流れを決めていたが、今や、他の49州の「軽蔑の対象」でしかない。現在のトランプ旋風は「伝統的な米国を守れ」という国民的運動ともいえる。
この内容は、多少誇張はあるものの、アメリカの保守派の平均的な考え方だと思います。これは、不法移民に対して、オバマ大統領が、「移民法」の改悪によってある程度条件を満たせば、滞在を認めようとしたことへの反発でしょう。結局、この改悪は共和党が多数派の連邦議会で否決されて通りはしませんでしたが、それにしてもこのような法案を成立させようというオバマ大統領のリベラル・左派的にな思考には我慢ならないのでしょう。

不法移民を滞在させるるということは、明らかに「自由」ではなく、「特権」です。とにかく、米国においては、リベラル・左派による「責任」と「義務」を軽視するような発言が目立ちます。

しかも、 アメリカのメディアの9割はリベラル・左派に占められていて、保守派メディアは1割程度にすぎず、「責任」「義務」を主張する保守派の声はかき消されてしまいます。

しかも、保守派や保守派の考えに親和的な人々はアメリカでも半分くらいはいるはずなのに、それらの声はかき消されていしまうのです。そうして、保守派の人々は自分の真意を隠しながら、まわりにあわせてきたというのが実情でした。それでも、一部の保守派は声を大きくして主張してきたようですが、そうなると、社会から弾かれるという状況になります。

このような状況が長い間続いたアメリカでは、保守派の憤懣はマグマの頂点に達していたに違いありません。その憤懣を受け止めたのが、トランプ氏だったのです。

このブログでは過去に何度もこのことを指摘してきました。このことを理解しなければ、トランプ氏が大統領選に勝利した本当の背景は、無論のこと、アメリカの半分を占める保守派ならびにそれらに親和的な考えを持つ人々の考えを理解できません。

アメリカでは、無論民主党にも、リベラル・左派にもまともな人はいるのですが、いわゆる米国型のリベラル・左派の主張が幅を効かせすぎてとんでもないことになっていました。

米国のリベラルのアメリカ社会へのあらゆる面への、
浸透をリベラル・ファシズムと揶揄する人も存在する
しかし、トランプ大統領が現実のものとなった今、保守派の価値観が見直されることになるでしょう。そうして、リベラル・左派一辺倒だった米国メデイアも、これからは保守派を全く無視することはできないでしょう。

今までの、日本では、リベラル・左派一辺倒の米国メデイアの論調や、考え方が、アメリカそのものと考えてきた人がほとんどでした。

しかし、これからは、日本でもアメリカの保守に関して、ある程度は情報が伝わってくるようになることでしょう。そうなると、日本のリベラル・左派は自分たちの主張の正当性を主張しにくくなるか、場合によっては主張できなくなるでしょう。

私は、今回の大統領選挙によって、アメリカ国民はギリギリのところで、立ち直ったとみています。クリントンが大統領になっていたとすれば、リベラル・左派はなお一層勢力を拡大して、とんでもないことになっていたと思います。

日本では、アメリカほど酷くはないですが、「責任」と「義務」があまり顧みられることなく、個人の「自由」と「権利」に重きを置き、「特権」を追い求めるという風潮が酷くなりつつあります。

この風潮は、改めなければなりません。まずは、国の事なかれ主義を廃してまともな国にしていくべきです。そのためには、アメリカの大統領選のときのような、真の保守の積極的な行動が必要不可欠と思います。

自由とは選択の責任であり、権利ではなく義務、真の自由は何かからの自由ではありません。それでは特権にすぎないという当たり前の観念を日本社会も取り戻すべきです。

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2016年11月10日木曜日

トランプ旋風でわかった“インテリの苦悩” ハーバードの学生がトランプ支持を表明できない事情―【私の論評】従来の私たちは、実は半分のアメリカにはノータッチだったことを認識すべき(゚д゚)!


■「ハーバード大学」にも吹き荒れた「隠れトランプ旋風」

粗野で無教養、差別意識を隠そうともしない南部の白人男性たち――そんなイメージで語られがちな共和党候補ドナルド・トランプ(70)の支持層だが、世界中の英知が集うハーバード大学にも、隠れた支持者たちはいる。昨年の夏から1年間、同大学のロースクール(法科大学院)に留学していた山口真由氏が、“隠れトランプ旋風”の実状を明かす。

 ***

トランプ氏
さて、ここまでハーバードにおけるトランプ支持者の“思惑”に触れてきた。だが、トランプを支持していたのは彼らのような熱心な共和党支持者や、キリスト教徒だけなのだろうか。

私は思い出していた。ハーバード・ロースクールの友人であるケヴィンが、

「ヒラリーは信用できない。トランプの方がまだ信用できるよ」

と、酔った勢いで呟いていたことを。

「表現の自由」について学ぶクラスで、リベラルな教授は言う。

「共和党の指名争いは、歴史上稀に見る恥ずべき状態になっている」

トランプを「差別する人」、マイノリティを「差別される人」と表現した教授に対し、授業後の立ち話でケヴィンは不快感を隠そうとしなかった。

その決めつけこそが、ステレオタイプな差別だというのだ。

「すべての人がすべての人を差別していると言った偉人がいるけど、僕も同感だ。マイノリティだってある意味でトランプを“差別”しているんだと思う」

と説く彼の言葉は、ハーバード生だけあって説得力がある。そこで私が、

「なぜ、授業中に教授に反論しなかったの?」

と聞くと、

「一度、授業で同性婚に反対したことがある。授業が終わるとLGBT団体が僕の机まで来て、泣きながら抗議した。“あなたは私たちのことを嫌いなのね。だから、差別するのね”って。もううんざりだよ」

■「差別主義者」のレッテル

ハーバードを卒業した白人男性は、「僕らは自分の意見を自由に表明することができない」という。ポリティカル・コレクトネスが行き過ぎた現在のアメリカでは、白人男性であることはむしろ「原罪」なのだ。努力して好成績を修めても、「優遇されてるからでしょ」と批判されることもあるという。下手に反論すれば「差別主義者」のレッテルを貼られてしまう。

私の留学中に、人種差別に抗議した黒人学生がロースクールのロビーを何カ月も占拠する事件があった。学校側は黒人学生たちに「どきなさい」とは言わないし、彼らが大量に貼り付けたポスターもそのままだ。にもかかわらず、ロビー占拠に抗議した白人至上主義の学生が、トランプのポスターを貼ると学校側によって瞬時に撤去された。

親しくなったハーバードの学生たちも「ロビーを自由に使いたい。占拠はやり過ぎだ」と口を揃えていた。

だが、どうして学校側に抗議しないのか尋ねると、

「自分が矢面に立って“人種差別主義者”のレッテルを貼られたら、この国ではまともに就職できないよ」

とあきらめ顔。

ケヴィンも酔った席での戯言を除いてオフィシャルにトランプ支持を表明することはない。

ポリティカル・コレクトネスが何より重んじられるアメリカ。インテリ層がこれを間違うと大変なことになる。信用を失い、名誉を失い、将来を失う。

トランプ支持を堂々と表明できる、粗野で素朴な南部の白人男性たちはよい。それを公表できない白人インテリ層のなかにこそ、ふつふつと不満が堆積していたのかもしれない。そして、溜りに溜まった鬱憤が、トランプ旋風に一役買ったのではないか。

■アメリカが抱える闇

そう考えると、突然の大失速にも説明がつく。

皆さんはトランプが批判の集中砲火を浴びたビデオについて、少し疑問に思われなかっただろうか。

確かに、下品極まりない内容だ。放送禁止用語の連発である。しかし、11年前の「ロッカールーム・トーク」が、これまで散々、暴言を吐いてきたトランプをここまで追い込むものだろうか。「輪姦は元気な証拠」、「女性は産む機械」等々、日本の政治家だって失言を繰り返してきたではないか。

このトランプのロッカールーム・トークに関する、ハーバードの男子学生たちの見解は興味深い。

トランプが移民を差別し、中国人を敵視しようと、コアなトランプ支持層(主に白人男性)にとって、それは「他者」に対する攻撃だ。どこかの知らない誰かが、トランプの餌食にされているくらいのことだった。

だが、今回は違った。

既婚女性を誘惑したことを、実名を出して告げ、その直後、ブロンドの美しい白人女性にエスコートされる。彼女の肩に手を置くトランプの締まりのない顔を見た時、彼らは一様に生々しさを覚えたらしい。

ギラギラとしたトランプの視線の先にいる白人女性が、自分の恋人や妹、妻や娘と重なった。その瞬間、トランプのむき出しの欲望が自分の愛する家族に向けられたような気持ちになった。彼らはそれに生理的嫌悪感を禁じ得なかったと言うのである。

トランプの「他者」に対する攻撃は、ポリティカル・コレクトネスに疲れ切った人々にとって、ある意味で爽快だったのかもしれない。しかし、「自分の守るべき家族」がトランプの欲望の射程に入っていると知ったとき、共和党のインテリ層の知的な思惑は、「気持ち悪っ……」という感情的な反発の前に、脆くも崩れ去ったのである。

トランプ現象の爆発的な広がりと、あからさまな失速はこう説明できる。

アメリカの行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに反発したインテリ層は、自分たちが決して口にできない言葉を連発するトランプに喝采を送った。しかし、結局は、著しくポリティカル・コレクトネスに欠けるトランプの俗物性に耐えられなかった。

トランプを支持した、ハーバードのインテリ層の思惑は、彼らの人間としての感情に勝てなかったとも言える。

移民や女性への差別、格差問題に加え、インテリ層の抱える苦悩まで炙り出したトランプ旋風。

果たして、アメリカが抱える闇を余すところなく暴いたのだろうか。

 ***

特別読物「民主党の牙城『ハーバード大学』にも吹き荒れた『隠れトランプ』旋風――山口真由(弁護士)」より

山口真由(やまぐち・まゆ)

【私の論評】従来の私たちは、実は半分のアメリカにはノータッチだったことを認識すべき(゚д゚)!

昨日のこのブログでは、トランプ勝利の背後に、保守派の鬱積があったことを掲載しました。そうして、その鬱積について私自身の経験を述べました。しかし、私個人の経験では非常に弱いし、そうしてあくまで間接的なものなので、なかなか理解されないのではないかと思い、何か良い記事はないかと探していたら、ブログ冒頭の記事を発見しました。

上の記事は、週刊新潮 2016年11月10日神帰月増大号(2016/11/2発売)の記事であり、おそらくこの記事が書かれたのは、先月あたりと思います。この時点では、トランプ旋風が吹き荒れていたものの、ほとんどの人がヒラリーの勝利、トランプの敗北を信じていました。

この記事も山口真由さんも、そう思っていたのでしょう。そうして、11年前の「ロッカールーム・トーク」の件で、トランプ氏の敗北は濃厚になったと考えていたのでしょう。しかし、今回の選挙結果を見てもわかるように、この「ロッカールーム・トーク」はトランプ氏にとってマイナスに働いたものの、大統領選挙を左右するほどのダメージにはなりませんでした。

山口真由さん
結局のところ、多くのトランプ支持者は、"「自分の守るべき家族」がトランプの欲望の射程に入っている"などとは思わなかったのでしょう。所詮ネガティブ・キャンペーンの一種であり、まさにトランプ氏の言うようにロッカールーム・トークにすぎないと、多くの人は受け取ったのでしょう。

結局のところ、行き過ぎたポリティカル・コレクトネスに反発するインテリ層も結構多かったのだと思います。

そうして、アメリカのリベラル・左派が主張するポリティカル・コレクトネスには確かに行き過ぎの面があることは否めません。

私は、ゲイの人々の性的嗜好はそれは個人の自由としては認めます。しかし、時折非常に疑問に思うことがあります。たとえば、AppleのCEOである、ティム・クック氏が、昨年自らがゲイであることを告白しました。

ティム・クック氏がゲイであろうとなかろうと、私はApple製品を使い続けるでしょうし、そんなことは私にとっては、どうでも良いことです。しかし、ティム・クック氏が告白したときに「自分がゲイであることを誇りに思う」と述べたことには、違和感を覚えました。なぜなら、ゲイでない人はわざわざ「自分がゲイでないことに誇りを持つ」などとは決して言わないからです。

AppleのCEOティム・クック氏
そうして、そうしてアメリカではゲイのカップルの合法化が進められています。私自身は、ゲイの人同士が同棲することなどは別段それで良いと想いますが、さすがにゲイのカップルが普通のカップルと全く同じような法的扱いになることに関しては、やはり抵抗があります。

確かにゲイのカップルには、現在の法体系では不都合なこともあるのでしょう。しかし、だからといって、ゲイのカップルが普通のカップルと法的に全く同じ扱いにするということには、抵抗があります。そこまでしなくても、既存の法を柔軟に運用したり、それでも足りないところは、普通のカップルと同じにするというのではなく、ゲイを前提として新たな立法措置をすることで良いのではと思ってしまいます。そうして、これは、差別ではなく、区別であると思うのです。

そうして、そのように考える保守派の人も米国には多いのではないかと思います。しかし、アメリカのリベラル・左派は、このように思うこと自体を差別だと主張します。これ以上この件について述べると、深みにはまってしまいそうなので、この話自体はここでおしまいにします。

これ以外にも、カメラマンをわざわざカメラパーソンと呼ぶなどの動きもあります。これは、日本にもその動きがあり、多くの人々の賛否両論があります。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事を以下に掲載します。
乙武洋匡氏 大島美幸の出産を放送することへの非難を一蹴―【私の論評】当たり前の営みを、できない人たちに配慮するなどという名目で排除したり、言葉狩りをしていてはまともなコミュニケーションが成り立たない(゚д゚)!
乙武洋匡氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では乙武氏の以下のようなツイートを掲載しました。


このツイートに関して、以下のような論評しました。
私たちは、言葉の本来の意味をよく知ってから遣うべきですし、言葉を政治利用したり、無理やり差別用語にしてしまうことや、普通の人々の当たり前の営み表わす言葉を、それをできない人たちに配慮するなどという名目で排除すべきでもありません。 
こんなことが、平然とまかり通っていては、人々がまともなコミュニケーションがとれなくなってしまいます。
確かにカメラパーソンくらいなら、なんとかなるでしょうが、何もかもポリティカル・コレクトネスなどを意識して、差別用語となるかもしれないような言葉をすべて廃止して、早急に違う言い回しにしてしまえば、コミュニケーション・ギャプが深刻になることでしよう。

実際、私はアメリカのFOXnewsなどの動画を視聴していると、大体のことはわかるのですが、特にリベラル・左派の急進派と目される人が話している動画など見ると、一体何を主張しているのかよく飲み込めません。本当に「この人は、一体何を言っているのだ」と思うことがしばしばです。無論、これは私の英語力に問題があるのかもしれませんが、どうもそれだけではないようです。

問題は、ポリティカル・コレクトネスだけではありません。アメリカのリベラル・左派による主張には行き過ぎた面があるのは間違いないようです。これに関しては、アメリカのテキサス州に在住のテキサス親父、ことトニー・マラーノ氏も語っていて、それをこのブログに掲載したことがあります。これは、特に急進的な考えではなく、米国の平均的なアメリカの保守派の考えを集約しているのではないかと思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
【痛快!テキサス親父】トランプ旋風には理由があるんだぜ 日本では伝えられない米国の危機的事情―【私の論評】たった1割しか保守系メディアが存在しない米国で国民は保守を見直し、覚醒しつつある(゚д゚)!
テキサス親父こと、トニー・マラーノ氏 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部のみ引用します。
米国は「移民の国」だ。俺の先祖もイタリアから移住してきた。米国の「建国の理念」に賛同する移民たちが、わが国に活力を与え、発展させてきた。ただ、それは合法でなければならない。トランプ氏が「不法移民を強制送還させる」と主張していることは、ある意味当然といえる。 
 社会主義者の増長は、米国型リベラリズムが、民主党や教育機関、映画などの大衆娯楽を乗っ取った結果だ。彼らは幼稚園のころから「資本主義の邪悪さ」と「社会主義への同情」を刷り込まれた。洗脳だ。自由主義や資本主義の象徴であるトランプ氏は「叩きのめすべき敵」なのだろう。 
 彼らが、トランプ氏を政治的に貶めようとすればするほど、それが逆効果になっている。米国民の多くは「抗議団=米国を3等国に転落させたい連中」とみている。最近、テロリストを支持する集会が開催されたことが、トランプ氏への得票につながったことも、米国民は知っている。 
 かつて、カリフォルニア州は米国全体の流れを決めていたが、今や、他の49州の「軽蔑の対象」でしかない。現在のトランプ旋風は「伝統的な米国を守れ」という国民的運動ともいえる。
この内容は、多少は誇張があるものの、インテリ、非インテリを問わず、アメリカの保守が日頃考えていることなのでしょう。

トニー・マラーノ氏は、「米国型リベラリズムが、民主党や教育機関、映画などの大衆娯楽を乗っ取った結果だ」とのべていますが、これは事実のようです。実際、アメリカのメディアは9割がリベラル・左派であり、アカデミズムの世界もそのような状況で、特に歴史学の分野においてはほとんど100%がリベラル・左派であり、ルーズベルトを礼賛しなければ、歴史学会では生き残れないということをチャンネル・クララで江崎道郎がいたくらいです。その動画を以下に掲載します。


この動画をご覧いただくと、いかにアメリカの歴史学会が偏向していて、日本の歴史を歪めていることがご理解いただけるものと思います。

このような背景があるからこそ、ブログ冒頭の記事のハーバード・ロースクールの学生のような苦悩も発生するのです。そうして、インテリの中にもトランプ支持は多数いたのです。だから、裾野の広い支持者がいたために、トランプは勝つことが出来たのです。

ブログ冒頭の記事で山口真由氏が「トランプ支持を堂々と表明できる、粗野で素朴な南部の白人男性たちはよい」と語っていますが、この言葉から私が想像したのは、「カリフォルニア」という映画に出てくるブラッド・ピットです。ブラッド・ピットは若いころは、このような役や、ジャンキーの役が結構多かったですし、かなりのはまり役でした。


アメリカのメディアは、ポリティカル・コレクトネスをはじめとしたリベラル・保守の考え方を批判したり、異議を唱えたり、今回の大統領選挙では、クリントン支持ではなく、トランプ支持をしたりするような人間は、この映画「カリフォルニア」でブラッド・ビットが扮した、粗野で野蛮な男であるかのように、徹底的にイメージを刷り込んできたのです。

だからこそ、ポリティカル・コレクトネス等が何より重んじられるアメリカで、インテリに限らずこれを間違うと大変なことになり、信用を失い、名誉を失い、将来を失うかもしれないという極端な事態を招いてしまったのです。

そうした、メディア界や教育界、映画などの娯楽界などでは実際そのようなことがあるのでしょう。だから、多くの人はそれを恐れて、「隠れトランプ支持派」となったのです。

だから、今回の選挙戦では、世論調査ではまともな結果が出ずに、最後までクリントン優勢といわれながら、トランプが勝利したのです。

このトランプの勝利に関して、以下のようなツイートを発見しました。
このように感じる人は、アメリカ人でも多いと思います。日々の情報を大手メディアで入手している人は、リベラル・左派であろうが、保守であろうが、このようになってしまいます。そうして、今回の大統領選のトランプ氏勝利の後にメディアが報道してはじめて、リベラル・左派とは考えの違う人がアメリカに半分も存在したことを認識した人も大勢いることでしょう。

意図して意識して、全米唯一の保守系大手メディアであるFOXnewsを視聴するとか、軍の研究機関や保守系シンクタンクのサイトや印刷物を見るようにしなければ、直接対話をするようなことでもなければ、保守系の考え方を支持したり、これに親和的な人がアメリカにも大勢いるということはアメリカ人ですらわかりません。ましてや、私たち日本人はほとんどわかりません。

そうして、今回の選挙でアメリカの保守系の人が大勢いるということが大勢の人にわかつたのですから、私たちも当然のことながら、これからはアメリカにはリベラル・左派ばかりではなく保守系の人が大勢いるということを前提にアメリカを見るべきです。

従来の私たちは、実は半分のアメリカにはノータッチだったことを認識すべきです。

そうして、外務省やマスコミなどもそれを強く認識すべきです。そうでなければ、今回の大統領選のように趨勢を見誤ることになります。

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トランプ氏、激勝! 米国は「分断の危機」、世界経済や安全保障にも衝撃―【私の論評】米保守派の今まで声にならなかった声が、大声となった(゚д゚)!




「河村たかし前市長の政策と理念を引き継ぐ」名古屋市長選で広沢一郎が当選 自・立・国・公推薦の大塚耕平さんら破る―【私の論評】名古屋市長選の勝因と敗因:広沢氏の戦略とメディアの責任を問う

「河村たかし前市長の政策と理念を引き継ぐ」名古屋市長選で広沢一郎が当選 自・立・国・公推薦の大塚耕平さんら破る  河村市政15年の評価などが争点となった名古屋市長選挙が11月24日、行われ、新人で元副市長の広沢一郎さんが当選を果たしました。 【動画で見る】「河村たかし前市長の政...