2016年12月25日日曜日

中国東北部 急速な少子高齢化で「火薬庫」になる可能性―【私の論評】満州再独立の条件が揃った!後は、瀋陽軍区の出方次第(゚д゚)!


中国東北部(赤とピンクの部分)

中国の経済的躍進を支えてきた東北部において、人口危機の波が押し寄せている。拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

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ドナルド・トランプの大統領選勝利に大きく貢献したとされる米国・ラストベルトの没落した元中間層の人々。米国で顕著となった没落した労働者の激しい怒りは、そのまま中国の東北三省における伝統的産業の衰退に苦しむ国有企業の労働者の不満に結びつけて考えられる。

中間層の形成は、中国において国有企業に属する労働者が中心になったことはよく知られているが、概括すると彼らは2000年代に入ってからの約10年間、我が世の春を謳歌した。

現在の中国経済が直面する問題の一つが、無軌道に拡大された設備投資に反し、国内外の需要が急速に弱まったことを背景にした生産過剰であることは言うまでもない。その中心が炭坑と鉄鋼であり、ともに中心は東北三省にある。

すでに賃金の遅配などの問題が起きていることは、国内メディアの報道でも明らかになっているが、現地ではもはやそれどころでない問題が持ち上がってきているようなのだ。

その実態を明らかにしたのが2016年10月25日に放送された瀋陽テレビの報道番組である。

タイトルは、〈東北部で人口危機が逼迫 出生率は低下 人口流出が深刻化〉だ。

記事によれば東北部は元々出生率が低く、1982年の統計では遼寧省、吉林省、黒竜江省はそれぞれ1.773、1.842、2.062でいずれも全国平均の2.584に及ばなかった。それがいま、2010年の調査で3省の平均値が0.75まで落ちてしまったというから深刻である。

10月19日、中国国家衛生委員会が公表した「中国流動人口発展報告2016」によれば2006から2015年に至る東北部の年平均人口増加率は、わずかに0.21%で全国平均の0.5%にはるかに及ばなかった。

同時に進行した高齢化は深刻で、2015年の東北部の人口の年齢の中間値は43歳で、これは全国平均の38歳よりも5歳高く、全国の高齢化予測では2027年に相当する水準であるという。

こうした人口の減少と高齢化は、当然のことながら中国がいま進めている養老保険(年金)の整備に大きなマイナスの効果を与えている。国家開発銀行の元副行長の劉国によれば東北部の年金の負担率(年金を支払う労働者と年金受給者の比率)は、1.55であり、これも全国平均の2.88にはるかに及んでいない。これは「火薬庫」としての東北部の火種が将来的にもなかなか消えない可能性を示唆している。

【私の論評】満州再独立の条件が揃った!後は、瀋陽軍区の出方次第(゚д゚)!

上の記事では、中国東北部としか言及されていないですが、ここは元々は満州と呼ばれていた地域です。
大東亜戦争中の満州国の版図

この満州は大東亜戦争前にも、戦争の火種となっていた地域です。この満州について客観的に説明している動画をみつけましたので、それを以下に掲載します。この動画は米国人とみられる方が作成したものです。ハンドルネームは、MadMonarchistです。


以下にこの動画の要旨をまとめておきます。
満州が自分たちのものだという中国の主張は馬鹿げている。それは独立革命後のアメリカがイギリスとアイルランドも自分たちの領土だと主張するようなものだ。 
誰もが、東アジアの戦争は日本が引き起こしたと考えている。それは本当だろうか? 
それを知るため、まずは過去の日本の行動パターンがどういったものだったかをみてみよう。 
最初はシベリア出兵だ。ロシア革命後、日本は他の列強とともにシベリアに出兵した。日本はソ連赤軍を追い払い、シベリアを事実上統治していた。にも関わらず日本軍は作戦完了後、荷物をまとめてさっさと引き上げてしまった。 
次は青島だ。中国山東省の青島はドイツの租借地だったが第一次世界大戦の際、日本が占領した。日本にはドイツの権益を受け継ぐ当然の権利があったがパリ講和会議の後、中国の返還要求を容れてただちに返還した(山東還付)。 
多くの国は一度占領した土地を手放すことはほとんどない。だが、日本はそうしなかった。ここからもわかるように日本はいわれるほど侵略的な国ではなかった。 
さて、問題は満州事変である。満州事変は関東軍が引きおこしたとされる。その背景には語るべきさまざまなことがあるが、それよりなによりここでもっとも重要なのは満州は中国の一部ではないということだ。 
満州はもともと満州族の土地である。その昔ヌルハチが国を建て、その孫たちが中国を占領した。それが清朝だ。 
清朝末期、孫文らの革命派は満州族支配からの独立をめざしてたちあがった。それは漢民族による民族独立革命だった。 
ところが革命後、孫文らはその領土を漢民族本来の版図に限定することなく清朝時代にそうであった満州、さらにはモンゴルやウイグル、チベットまでも自分たちの領土だと主張し占領した。 
これは馬鹿げている。これはアメリカが独立した際、イギリスとアイルランドもアメリカの領土だと主張するようなものだ。 
ここからもわかるように満州と中国の関係はすでに清算されたものであり、両者の間にはなんの関係もなかった。したがって日本がそこで何をしようと中国がそれに口出しする権利はなかったはずだ。 
満州事変で日本がやったことは、満州を満州族の地にもどしたことだ。日本は満州国を作り、満州族の正統な継承者である溥儀をその皇帝にすえただけだった。 
日本が満州国を作った裏にはもうひとつの理由もある。清朝時代、満州は封禁の地とされ、漢民族の入植は禁止されていた。しかし、清朝崩壊前後から漢民族の入植者が増加し、やがてそこから漢民族の軍閥が生まれてきた。 
辛亥革命後も彼らが満州を支配していた。しかも彼らは中華民国への服従を誓っていた。これは日本にとってやっかいなことだった。さらにそこにソ連の共産主義が浸透してきた。日本がそれに危機感を抱くのは当然だった。 
要するに日本が満州国をつくったのは、それを共産主義に対する防波堤とするためでもあったのだ。多くの人は1931年、日本が「中国」を侵略することで、あの戦争がはじまったのだという。 
しかし日本はその当時「中国」を侵略したわけではない。満州の地を満州族に返還してやっただけだ。そもそも中国には満州に口出しする権利はない。 
なのに中国はあたかも日本が「中国」を侵略したかのように世界中に嘘をまき散らしてきたのだ。
この動画でも主張しているように、元々、満州は支那の版図ではなかったのです。 そうして、満州族は無論のこと漢族ではありません。

満州族は、満洲(中国東北部、沿海州など)に発祥したツングース系民族。古くは女真族といいました。17世紀に現在の中国およびモンゴル国の全土を支配する清を興しました。清朝では、民族全体が八つのグサ(=八旗)に組織され(=満洲八旗)、モンゴル人や漢人の八旗のメンバーとともに旗人とも呼ばれました。

同系のツングース民族にオロチョン、ウィルタ、ナナイ、エヴェンキ、シベがあります。中華人民共和国による民族識別工作では、蒙古八旗や漢軍八旗も含む「旗人の末裔」全体が「満族(まんぞく, マンズゥ)」に「識別」(=区分)され、「55の少数民族」のひとつとされました。2010年の中国の国勢調査では1,038万人とされ、「少数民族」としてはチワン族・回族に次ぐ人口です。

下に著名な満州人の写真を掲載しておきます。


この地には数は減ったとはいえ、今でも満州族が1千万人以上も住んでいるのです。そもそも、元々満州人の土地であったこの地域に、支那人が多数入り、純粋な満州人は減少し、さらに今日上記のように、急速な少子高齢化に見舞われているということです。

昨日このブログに掲載したように、中国の経済は悪化する一方であり、行き着く先は重源安と、ハイパーインプです。

この満州も含めて、中国全土が酷い超元安と、ハイパーインフレに見まわれ、さらに人口減に見舞われた場合、満州が再び政治的真空地帯になることが考えられます。そうして、この政治的空白が、ひよっとすると満州独立につながるかもしれません。

中国東北部(旧満州国)を管轄している瀋陽軍区は中国最大の精鋭部隊であり、共産中国の中で最強と言われています。そうして、無論核武装もしています。もし朝鮮戦争が再開されれば、北と一緒に戦うのはこの瀋陽軍区という事もあり、当然北の政府と一番緊密な関係にあります。


現実に北朝鮮をコントロールしているのは瀋陽軍区の軍事力であり、北京政府は常に瀋陽軍区の反乱に神経を尖らせているようです。

習近平主席は瀋陽軍区をコントロール出来ているのでしょうか。人民解放軍の成り立ちは、国共合作まで遡る軍閥が今でも力を持っているといわれいます。

そもそも、北朝鮮に核開発をさせていたのは瀋陽軍区で、北京に対するおどしの為という軍事専門家もいるくらいです。

瀋陽軍区は、元々満州族という清王朝で中国全土を征服した過去のある満州を担当しています。だからこそ、この中国東北地域は、現中国で一番独立する可能性が強いと考えられます。

民族意識、最強の軍隊、豊富な資源、満州国からのインフラ独立を支えるだけの条件はそろっています。なにより国境を接するロシアは中国の弱体化を喜ぶことでしょう。

中露国境の守りにつく瀋陽軍区の人民解放軍


満州が再独立しようとしたら万が一に備えて、国境に軍は展開しても、敗戦時に日本に侵攻したようには、満州に攻め込むというのではなく、静観を決め込む可能性が高いと思います。

もし満州に再びロシア侵攻したら、現在の弱体化したロシアは、逆に領土を切り取られる可能性も大きいです。さらに、現在の国際世論がロシアのそうした動きを抑止します。

北朝鮮も北京と関係の離れた満州国となら、北京主体の中国に対抗する連邦を満州と組んで、国として生き残れる可能性が有ります。ここで、満州には多数の朝鮮族が住んでいることも忘れるべきではありません。

また、北朝鮮が満州と連邦を組まないにしても、少なくとも北朝鮮が満州独立を妨害することはないと思います。

瀋陽軍区は、先にも述べたように、核武装しています。北京の近くの原発にミサイルを撃ち込むと脅すこともできます。そうなると、瀋陽軍区の地上軍による満州制圧を覆すために、泥沼の内戦に突入するだけの胆力が現代支那にあるとは思えません。
さらに、拉致問題が完全に解決できれば満州プラス北朝鮮の連邦が、日本と経済交流できる道が開けます。そうなると、満州プラス北朝鮮連邦は、中国との経済交流が断ち切られても独立を維持できます。日本と交流できれば、世界の他の国々とも交流できまます。

これだけ条件が揃うと、本当に満州独立はあり得る筋書きだと思います。

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2016年12月24日土曜日

【お金は知っている】中国 止まらぬ資金流出、人民元の下落 習政権の慢心が自滅招く―【私の論評】行き着く先は超元安とハイパーインフレしかない中国経済(゚д゚)!

【お金は知っている】中国 止まらぬ資金流出、人民元の下落 習政権の慢心が自滅招く

トランプ氏(左)と習近平(右)
 中国共産党は1972年2月のニクソン大統領(当時)以来、歴代米大統領に対して台湾を中国の一部とみなす原則を一貫して認めさせてきた。トランプ次期米大統領は「それに縛られない」と明言する。習近平国家主席・党総書記の面子(メンツ)はまるつぶれである。

 北京は何か報復行動をとるかとみていたら、19日にフィリピン沖の南シナ海で米軍の調査用無人潜水機を奪取した。20日には米軍に返還したが、時間をかけて潜水機のデータを調べ上げた。露骨な国際法違反である。粗野でぞんざいなふるいまいを見せつけることが、相手の面子をつぶすと考えるところは、魯迅の『阿Q正伝』そのものだ。

 中国はみかけのうえでは国内総生産(GDP)や対外純資産規模で世界第2位の経済超大国でも、中身は悪弊にまみれている。慢心すれば必ず失敗する。人民元の国際化を例にとろう。

 昨年11月には習政権の執念が実り、国際通貨基金(IMF)が元をSDR(特別引き出し権)構成通貨として認定させた。限定的ながら金融市場の規制を緩和し、人民元の金融取引を部分自由化した。同時に中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)を創立し、国際通貨元を世界に誇示しようとした。

 ところが、昨年8月に人民元レートを切り下げると、資本が逃げ出した。当局が規制しようにもどうにも止まらない。

 この11月までの12カ月合計の資金純流出額は約1兆ドル(約118兆円)、このうち当局の監視の目を潜った資本逃避は約5000億ドルに上ると米欧系金融機関のアナリストたちは分析している。

 特徴は、11月8日の米大統領選後の11月9日を機に、資金流出が大幅に加速していることだ。当選したトランプ氏が減税とインフラ投資という財政出動を通じて、景気を大いに刺激すると期待されるために米国株が急上昇し、中国に限らず世界の資金がニューヨーク・ウォール街に吸引される。

 中国に対して強硬姿勢をとるトランプ氏にチャイナマネーがおびき寄せられ、トランプ政策に貢献するとは、習政権はここでも面目なしだが、もっと困ることがある。


 グラフを見よう。米大統領選後、元安と市場金利上昇にはずみがついた。いずれも資金流出による。中国人民銀行は元暴落を避けるために外貨準備を取り崩し、ドルを売って元を買い上げるが、それでも元売り圧力はものすごく、元の下落に歯止めをかけられない。商業銀行の手元には元資金が不足するので、短期市場金利である銀行間金利が高騰する。すると、金融引き締め効果となって、莫大(ばくだい)な過剰設備を抱える国有企業を苦しめる。地方政府も不動産の過剰在庫を減らせない。企業や地方政府の債務負担、裏返すと銀行の不良債権は膨らむ一方だ。

 トランプ政権発足を目前に、中国は経済で自滅の道に踏み出した。経済超大国としての要件を満たしていないのに、対外膨張を図ろうとしたからだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】行き着く先は超元安とハイパーインフレしかない中国経済(゚д゚)!

上の記事では、最近の中国の資金流出の状況を掲載しています。しかし、この資金流出がなぜおこるようになったのか、そうしてこの酷い資金の流出の行き着く果てはどうなるかについては掲載されていません。本日は、それに関して記そうと思います。

まずは、このような資金流出が発生するようになった背景を簡単に記します。

一言でいえば、中国政府はコントロールしてはならないものをコントロールしたことが、とめどもない資金流失の直接の原因ということです。

中国政府は、農民から収奪した土地を工業団地や商業地などに転換して不動産バブルを演出したにもかかわらず、供給が需要を大きく上回ってマンションやショッピングセンターが「鬼城(ゴーストタウン)」だらけになってしまいました。そこで習近平政権は投機の受け皿を不動産から株にシフトし、株投資を煽って株高に誘導しました。不動産の次は株の官製バブルを演出しました。


ところが、それは元々政府のやるべき仕事ではありません。株価は、将来得られるであろう企業収益の現在価値です。本来企業の業績が良くならない限り、株価は上がらないのです。その本質を中国政府は理解せず、株式市場にカネを突っ込んで、なりふり構わぬPKO(株価維持策)を続けました。しかし、中国企業の業績は伸びていないのですから、当然の結果として株価は2015年夏から下落し始めました。

すると今度は大量保有株主の株式売却を半年間禁止し、違法売買の摘発を強化しはじめました。しかし、株価が下がっている時に株を売れないことほど株主にとってストレスになることはありません。そのため、大量保有株主の株式売却解禁と同時に株価は大幅に下落しました。株価の急変時に取引を停止する「サーキットブレーカー」制度を新設後5日間で2回も発動したのですが、それがまた呼び水となって、さらに株価は下落するという悪循環に陥ってしまいました。

突然の株価下落で唖然とする上海市民
これら一連の動きから、世界中から中国政府は資本主義経済を全く理解してないという事実が露呈ししてしまったので、現在世界中がある種のパニック状態に陥っています。中国政府は欧洲がやっているような感じのつもりで上へ下へと中国経済をコントロールしようとしてきたつもりなのですが、いまやヨーヨーの紐が伸びきったように何をもってしてもコントロール不能になってしまったのです。

元々、中国は資本主義の歴史もないのですが、工業化の歴史もありません。日本の場合は工業化の長い歴史があるため、生産性の向上や商品価値の向上を実現できたのですが、中国にはその素地がありません。そのため日本のようにイノベーションも期待することもできず、上がり続ける給料や通貨を支えることができません。

にもかかわらず、中国政府は人件費を市場に委ねることをせず、強制的・人為的に毎年15%ずつ引き上げてきました。そのため企業の競争力が著しく低下したのです。

しかし、人民の反発が怖くて賃下げはできないので、自ずと為替は元安に向かうことになりました。1ドル=6.5元ぐらいまで高くなった人民元は、今の人件費と生産性であれば、フロート制(変動相場制)に移行したら1ドル=12~14元ぐらいまで下がらざるを得ないでしょう。

人件費と為替の両方を「管理」することなどできるわけがありません。本来中国政府は、今の人件費で成り立つ労働料集約型の産業は中国には存在しないと心得るべきだったのです。

本来、市場にまかせるべきものを人為的にあれこれ、介入しすぎたため、もはや中国政府に経済政策の打ち手はありません。かつてのように有効需要を創出しようと思っても、すでに高速鉄道、高速道路、空港、港湾、ダムなどの大型インフラはあらかた整備済みで、乗数効果のあるインフラ投資の領域は中国にはありません。

しかも、一人っ子政策を続けてきたせいで今後は高齢化が急速に進展しているのですが、介護や年金などの社会保障を支える人材・予算が大幅に不足しています。

さらに、「理財商品」という隠れた“地雷”もあちこちに埋まっています。これは短期で高利回りを謳った資産運用商品で、株式ブームの前に人気となりました。集まった資金は主に地方政府の不動産開発やインフラ整備などの投資プロジェクトに流れたとされています。

中国のシャドーバンキングの仕組み 

ところが、今後はそれらのプロジェクトが行き詰まり、理財商品を発行した「影の銀行」が損失を受けてデフォルト(債務不履行)を起こす可能性があるのです。日本のバブル崩壊でノンバンクが次々に倒れたのと同じ現象です。

そして、中国国内で投資先を失った資金の流出が加速しているのです。人民元は個人では年間約120万円しか海外に持ち出せません。しかし、中国本土から人民元を香港などに違法に送金する「地下銀行」を運営していた300人余り、総額8兆円近くが摘発された例もあるように、現実には資金を流出する方法は存在しています。資金の海外流出は必然的に人民元安と株安につながります。

鳴り物入りでスタートした中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)も、中国にはプロジェクトを審査して遂行していく能力があるマネジメント経験者がいないからことごとく失敗しています。

中国はまるで、先進国がこの100年間に経験してきたことを10年間に凝縮したかのような状況にあります。しかもその規模は10倍に膨れ上がり、対する政府の能力は1/100ぐらいしかないといった状態です。

もはや中国経済は習近平政権に限らず、誰をもってしてもコントロール不能になりました。コントロールしてはいけないものをコントロールしたから、こうなったのです。行き着く先は超元安とハイパーインフレしかありません。

これを経験して、はじめて習近平政権は、資本主義経済においてはコントロールしてはならないものをコントロールすれば、とんでもないことになることを学ぶことになるのでしょうか。いや、そのときには習近平は失脚しているでしょう。

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2016年12月23日金曜日

【日本の解き方】デフレの危険性に鈍感な人たち 雇用悪化の副作用理解せず、消費税の影響も「不都合な事実」―【私の論評】経済常識が一般常識にならない困った日本(゚д゚)!

【日本の解き方】デフレの危険性に鈍感な人たち 雇用悪化の副作用理解せず、消費税の影響も「不都合な事実」

 日本で「格差が拡大している」「生活保護受給者が増えている」「国内消費が低迷している」といった話題はしばしば報道される。その際、「デフレ」や「消費増税」の悪影響が指摘されることはあまりなく、逆に「値段が安いのは良いこと」「消費税は増税すべきだ」といった方向に議論が進むことがしばしばある。こうした風潮の背景にあるものは何なのか。

 まず、デフレについて、基本的な理解不足がある。これはしばしばテレビなどで「識者」とされる人でも混同するのだが、「個別価格」と「一般物価」の違いである。

 ほとんどの人は、ものの値段は安い方がいいという。たしかに、自分の給料を一定とすれば、個別の財やサービスは安いほうがいいに決まっている。これはいわゆる「主婦感覚」にもマッチするので、テレビなどでも受け入れられやすい。

 しかし、全体での物価水準を示す一般物価が下落することは一般的に失業率の上昇を伴う。その場合、「個人の給料が一定」という前提が危うくなる。一般物価の下落、つまりデフレにはこうした経済全体でみた「副作用」があるのだ。

グラフはブログ管理人挿入 以下同じ

 このため、デフレ脱却が政策課題になっているのであるが、デフレが雇用の喪失を伴う点については、いまだに理解されているとは言いがたい。

 これは、アベノミクス批判でよく見られる話だ。「いくら金融緩和しても経済は上向かない」「インフレ目標も達成していない」というものだ。

 しかし、この批判は失業率の低下を無視しており、論評に値しない。失業率が下がっていれば、物価が上がっていなくても、たいした問題ではない。

失業率の推移
 失業率低下の恩恵は、限界的な労働市場である大学生の就職率に現れている。大学の就職率は1年前の失業率と大きな逆相関関係がある。アベノミクスの金融緩和によって失業率が低下したので、大学の就職率も上昇したのだ。

今春卒業した大学生の就職率は97・3%で、前年同期から
0・6ポイント増え、調査を始めた1997年以来最高となった。

 論壇や大手メディアがデフレの危険に鈍感なのは、エスタブリッシュメント(既得権層)であるからだろう。大企業ではデフレでも雇用に影響は少ない。ただし、デフレも長引いているので、そろそろメディアへの悪影響も出始めている。

 一方、論壇やメディアで消費税の悪影響が軽視されているのは、さんざん財務省の口車に乗って、消費増税の影響が軽微だと間違ったことを言ってきたからだろう。いまさら悪影響があったと言うのはさすがにまずいということではないか。消費増税によって現実の景気は悪くなったが、論壇やマスコミにとっては「不都合な事実」なのだ。

 消費増税論者は、景気の悪化を無視して増税を主張するので、筆者には理解不可能だ。増税論者が根拠としているのは「日本の財政が危ない」という主張だ。しかし、政府と日銀を合算した統合政府のバランスシート(貸借対照表)をみれば、政府の借金1000兆円はほぼ解消して、事実上財政再建が達成できているという事実があり、おかしいと言わざるをえない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】経済常識が一般常識にならない困った日本(゚д゚)!

上の記事では、一般物価と、個別価格について掲載してあり、識者ですら混同する人がいるということが掲載されていました。

そのため本日は、まずは一般物価と個別価格の違いについて掲載します。それも、教科書的に書いても面白く無いので、それとは全く反対のスタイルで掲載しようと思いスマ

世の中にあるいろいろな財やサービスをバスケットの中に入れてぐちゃぐちゃにして、加重平均したものが一般物価です。この代表的な指数が消費者物価指数です。


一方、個別価格は読んで字のごとく、車とか住宅とかエネルギーなどの個別の価格のことです。

そんなのわかってるよ、バカにしてんのか?って声が聞こえてきそうですがでは、一般物価は何で決まるんでしょう?それは、ずばり金融政策によって決まるのです。

つまり、世の中に出回っている全体のおカネの量が一般物価を決めるのです。一般物価は人口も個別の需要や供給も、何にも関係ありません。

日本国の発行するおカネ全てが入る財布があるとします。財布に入っているおカネの量が一般物価を決めるんです。そうして、個別価格は、個別のモノの需要と供給で決まるのです。

一般物価は金融政策による全体のおカネの量で決まり、個別価格は需給で決まるのです。でもこれだけでは、何のことやらまだ理解しがたいところがあります。

しかし、次のはこの一般物価と、個別価格の違いを知るためにすごく大事な論点です。

今、ある財の供給が過多になり、個別価格が下がりました。例えば、自動車の価格やパソコンの価格が需要減で下がりました。

そうなると、マスコミはデフレが深刻化する大変だと騒ぐかもしれません。しかし、少し、待って下さい。

一般物価は何で決まるんでしたっけ?そうです、金融政策です。金融政策が一定なら一般物価は変わらないはずです。そうです、たとえパソコンや自動車の価格だけが下がったとしても一般物価は変わらないのです。

たとえ、パソコンや自動車の価格が需要不足で下がったとしても、それ以外の価格が上るので一般物価は上がらないのです。

このあたりを良く理解しないがための誤解があまりに多いのです。これを誤解するマスコミなどは、個別価格の低下をデフレを招くと騒ぎたてることになるのです。

でも本当は違うのです。金融政策が一定で消費性向が変化しなければある個別価格の低下は他の製品の需要を押し上げることになるのです。例えば給与が30万円で貯蓄が10万円なら消費に回せるおカネは20万円です。金融政策が同じなら、個別の価格が下がろうが上がろうが、使うお金は20万円と考えるのです。

そうして、インフレやデフレは個別価格の上昇や低下によって引き起こされるものではなく、あくまで金融政策によって決定され、消費に回せるおカネの量で決まるのです。

そこが非常に大事な論点です。しかし、これを理解していない人が、識者の中にも存在すると、高橋洋一はいうのです。確かに、これを理解していなければ、デフレが何が悪いのかということになります。

しかし、これは単なる勉強不足というだけであって、デフレに関して無頓着な人は、このへんは上の文章でも参考にして勉強していただきたいです。識者で、これを知らないというのは、問題外でしょう。このような知識にに欠ける人が、日本経済に関して論評すべきではありません。

この違いが理解できいないと、雇用と金融政策の関係の理解も覚束ないと思います。雇用と金融政策に関しては、以下のフリップス曲線といわれるグラフをご覧いただければ、一発で理解可能です。


物価上昇率と失業率はトレードオフの関係にあります。一般物価が上昇すれば、失業率は低下し、一般物価が下落すれば失業率は上昇するということです。

これは、マクロ経済学では当たり前のど真ん中の理論です。要するに、金融緩和をすれば、失業率は低下、金融引き締めをすれば、失業率は上昇するということです。

高橋洋一氏は、ブログ冒頭の記事の結論で「政府と日銀を合算した統合政府のバランスシート(貸借対照表)をみれば、政府の借金1000兆円はほぼ解消して、事実上財政再建が達成できている」と述べていますが、これはまったくその通りです。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下にこの記事にも掲載した「統合性不ベース」での政府純債務残高の推移と予測のグラフを掲載しておきます。

 

これは、ある方の試算ですが、私も自分で計算して大体これと同じ推移をたどることを確かめましたし、高橋洋一氏も大体同じ予測をしています。

それにしても、一般物価と個別物価の区別、統合政府ベースで財政をみること、フリップス曲線の意味するものなど、これらは世界的には特に先進国では一般常識になっていて、詳細は別にして、その意味くらいは多くの人が知っています。日本でも、多くの人に一般常識として知っていただきたいものばかりです。

しかし、日本ではこれは一般常識になっていないようです。なぜ、このようなことになるのか、本当に高橋洋一氏と同じく理解に苦しみます。

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2016年12月22日木曜日

習近平総書記 共産党員に1.5万字の「習語」書き写し指令―【私の論評】司馬遷を妄用しないと統治の正当性を保てない断末魔の習近平(゚д゚)!

習近平総書記 共産党員に1.5万字の「習語」書き写し指令

 習近平総書記の最側近で、中国共産党内では事実上のナンバー2といえる王岐山・中央紀律検査委員会書記。

 その王書記は2015年4月23日、習近平総書記の母校・清華大学での講演のため訪中したフランシス・フクヤマSAIS(ジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院)教授、青木昌彦スタンフォード大学名誉教授らと面会し、習近平政治について、こう講釈した。

フランシス・フクヤマ氏 写真はブログ管理人挿入
 「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国はいまでも神が統治するから、司法は必ず、中国共産党の指導のもとに行動しなければならない。

 各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙きれにすぎない。だから憲法が定める最高権力者の大統領は、神ではない。また、日本には天皇がいて、英国には女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」

 王書記は、大胆不敵にも「習近平=神」論をブチ上げたのである。

王岐山(左)と周近平(右)
 実際、習近平総書記に対する神格化は、2016年になって本格化した。2月28日、習近平総書記は党中央弁公庁を通して、「両学一做」(党章・習近平講話を学習し、党員として合格する)運動を、8779万共産党員に向けて発布した。

 これは、約1.5万字ある党章と、あまたの習近平講話を、全党員が年末までに手書きで書き写すという指令である。かつて毛沢東が「毛沢東語録」によって国民を洗脳したように、「習語」(習近平語録)で洗脳し始めたのである。

 同年8月2日、中国共産党の非公式重要会議「北戴河会議」を一週間後に控えたこの日、習近平総書記率いる党中央は、唐突に「共青団中央改革法案」を発表した。

過去4年間の習近平総書記は、最大の政敵である江沢民派との権力闘争に明け暮れた。周永康、薄煕来、徐才厚、郭伯雄……。江沢民派の大物幹部たちを、次々と獄中に叩き込んできた。90歳を迎えた江沢民元総書記は、すでに上海で入院中で、江沢民派はいまや、「兵どもが夢の跡」だった。

 そこで習近平総書記は、もう一つの巨大派閥である「団派」(胡錦濤派)に宣戦布告したのだった。「団派」とは、共産党のエリート養成機関である共産主義青年団(共青団)出身者を指し、中国全土に約8000万人もいる。

 習近平総書記が「団派」に叩きつけた改革案は、共青団中央の機構、幹部の選抜方法、活動内容、共産党・政府との関係の4点を是正していくというものだ。要は、今後は共青団を「習近平傘下」に置くので、従う者は選抜するが、従わない者は排除するという「通告」だ。

 この改革案に「団派」は沈黙した。そこで勢いを得た「新貴」たちは、北戴河会議で次々に発言した。

 「優れた指導者(習近平総書記)ならば、プーチン大統領のように半永久的に執権すべきだ」

 「優れた指導者がいるのに、いまから若手の後継者を育てる必要などない」

 「優れた指導者さえいれば、常務委員(トップ7)は5人いれば十分だ」

 2017年は、秋に第19回共産党大会が開かれ、習近平総書記にとって「独裁体制完遂の年」となる。そして習総書記が抱く「中国の夢」がかなった暁には、中国は「大きな北朝鮮」と化すことになる。

 ●文/右田早希(ジャーナリスト)

 ※SAPIO2017年1月号

【私の論評】司馬遷を妄用しないと統治の正当性を保てない断末魔の習近平(゚д゚)!


上の記事を読むと、やはり現代支那も、司馬遷の歴史観に呪縛されている事がよくわかります。

王岐山の、

「中国において皇帝というのは、『天子』と呼ばれる神なのだ。中国はいまでも神が統治するから、司法は必ず、中国共産党の指導のもとに行動しなければならない。

 各国の最高法である憲法は、人間の手によって書かれた紙きれにすぎない。だから憲法が定める最高権力者の大統領は、神ではない。また、日本には天皇がいて、英国には女王がいるが、天皇も女王も神ではない。神がいるのは中国だけだ」

という発言は、簡単に言ってしまえば、司馬遷の歴史観を言っているに過ぎません。

司馬遷といえば、『史記』(しき)ですが、これは、中国前漢の武帝の時代に司馬遷によって編纂された中国の歴史書です。正史の第一に数えられています。二十四史のひとつです。計52万6千5百字。著者自身が名付けた書名は『太史公書』(たいしこうしょ)ですが、後世に『史記』と呼ばれるようになるとこれが一般的な書名とされるようになりました。


司馬遷が『史記』で書きたかったのはただ一つ、「武帝は正統の天子である」という事でした。この国というか地域には古代から多くの皇帝が帝位についたのですが、それは天命を受けた皇帝が付いたのであり「正統」であるとしています。

ところが、この『史記』の歴史観がその後の支那人の歴史に対する考えを決めてしまったのです。「正統だから帝位につき、正統という点では中国の歴史に変化はない」ということがその後の中国の史書の大原則になってしまったのです。

だから、その後に書かれた中国の正史は常に「天下に変化はない」と書かなければいけなくなったのです。変化があったら正統ではなく、それは現皇帝を否定することになるからです。

そんな正史を書いたら、書いた本人はまず死罪になってしまいます。死にたくないから、皇帝に喜んでもらえる正史を書くしかなくなってしまったのです。中国の正史とは「そういうもの」であり、事実を書き記したものは正史ではないのです。

そうして、他の国から使者が来たら「下っ端の国が貢ぎ物を持って拝謁に来た」と書くのです。なぜなら、皇帝が喜ぶからです。ここで中国側は「下っ端の国(=属国)」と書くのですが書かれた側は家来とも下っ端とも思っていないし、そもそも自分の国が「中国の下っ端」と書かれていることすら知らないのです。

さらに、貢ぎ物を持ってきた国が遠くであれば遠いほど、自分の威光がそこまで及んでいるのかと皇帝を喜ばせるため書き手はつい大袈裟に書いてしまうのです。そのため、外国の位置をかなり遠くにあることにして書いてしまうのです。

こういう書の一つが『魏志倭人伝』です。だから、これをいくら詳細に分析しても邪馬台国の位置は判りません。そもそ、これは皇帝を喜ばせるために書いたものだからです。書いた張本人も「これは正しいことを書いたものだ」などとは考えていないのです。

このような歴史観は、現代支那の覇権主義や、周近平の統治の正当性を主張するには、都合が良いかもしれません。

しかし、こんな古代の歴史観を現代に適用するなど、正気の沙汰とは思えません。こんな話を王岐山から聞かされた、フランシス・フクヤマ氏も、青木昌彦氏もさぞ驚かれたことでしょう。

青木昌彦氏
しかし、これは別な側面からみれば、そこまでしないと習近平の統治の正当性を主張できないということを意味します。そもそも、現在の支那である中華人民共和国は、建国以来一度も選挙をしたことがありません。

日本には、国民の統合の象徴としての天皇陛下がいらっしゃいます。イギリスにも、伝統のある王室があります。そうして、日本もイギリスも、民主的な手続きである選挙で、首相を選びます。日本などのように、歴史の古い国ではなくても、アメリカには民主的な手続きで選ばれた国家元首である大統領がいます。中国以外のまともな国では、すべて選挙という民主的な手続きをもって、為政者を定めています。

いずれをみても、中国共産党のその権力の背景がなんであるのか、得体の知れない、幹部たちとは違います。中国や北朝鮮などを除いたほとんどのまともな国が、民主的な手続きによって、統治の正当性を得た上で、為政者が決められています。

一度決まった為政者であっても、統治の正当性を失えば、選挙によって排除され、新たな為政者にとって変わられます。

中国ではそのような手続きはなく、中国共産党の幹部は指名によって選ばれます。これでは、元々統治の正当性が低いのは当然のことです。だから、支那の共産党幹部らは、何とか自らの統治の正当性を高めるため、躍起になるのです。

習近平の腐敗撲滅運動という名の権力闘争も、他者の統治の正当性を低め、自らの統治の正当性を高めるために行っているのです。

膨大な「習語」を書き写さなければならない、支那の幹部も大変です。この「習語」は、習近平の自身の手によるものを写すのでしょうか。だとすれば、あまり良い結果は招かないような気がします。

それは、習近平の字があまりに不味いからです。それについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本のアニメに怯える習近平政権 歴史観が日本に“洗脳”されてしまう!「進撃の巨人」の“排除”を指示―【私の論評】古代中国の徳や知恵の継承者は日本、現代中国ではない(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部分を引用します。
中国の過去の歴史は、大帝国を築いても、結局分裂し、また新たな帝国ができるのですが、過去の帝国とは全く分断され、文化や伝統など継承しませんでした。過去の中国は、何の反省もなく、それを繰り返しました。

そうして、今日の中国も同じことであり、過去とは断絶しています。古代中国と現代中国は全く別物です。だから「5000年の歴史文化を持つ大国のメンツ」などというのは、まさに噴飯物です。

現代中国は、文化大革命で、過去の中国の知恵からは完璧に断絶されました。文化大革命(プロレタリア文化大革命とも呼ばれる。簡体字:无产阶级文化大革命 繁体字:無產階級文化大革命)、通称文化大革命(ぶんかだいかくめい)は、中華人民共和国で1966年から1976年まで(終結宣言は1977年)続いた、社会的騒乱です。略称は文革(ぶんかく)。

名目は「封建的文化、資本主義文化を批判し、新しく社会主義文化を創生しよう」という政治・社会・思想・文化の改革運動でした。しかし実際は、大躍進政策の失敗によって政権中枢から退いた毛沢東共産党主席が自身の復権を画策し、民衆を扇動して政敵を攻撃させ失脚に追い込むための、中国共産党の権力闘争でした。

これにより1億人近くが何らかの損害を被り、国内の大混乱と経済の深刻な停滞をもたらしました。

この文革、ハチャメチャな権力闘争であり、その中でも、1973年8月から1976年まで続いた「批林批孔運動」は酷いものでした。その内容は、林彪と孔子及び儒教を否定し、罵倒する運動でした。

幼少の頃に文化大革命に遭遇し、後に日本に帰化した石平氏は、「この結果、中国では論語の心や儒教の精神は無残に破壊され、世界で屈指の拝金主義が跋扈するようになった」と批判しています。

古代中国の知恵を自分たちの血とし、肉として、それを現代に至るまで継承してきたということでは、日本のほうが現代中国よりも、古代中国の知恵の継承者として、数段上にあると言っても良いくらいです。誰でも、一度は漢文に接したことがあることでしょうし、習字をしたこともあると思います。さらに、私達の生活習慣の中にも、古代中国の知恵や文化が息づいています。


これに関しては、上の写真を見ても理解できます。上は、日本の安倍総理による習字と、習近平のものを対比したものです。 
結局今の支那、中国の古代の司馬遷の知恵を多くの日本人のように、その頃の時代背景も踏まえた上で自分たちの血肉として素養として身に着けているというのではなく、自分たちの都合の良いように、古代文明や先達の知恵を妄用しているだけです。

習近平は、自分の考えを共産党幹部に植え付け、植え付けられないものは排除するというとです。これでは、完璧に全体主義以外の何ものでもありません。

ブログ冒頭の記事には、「習総書記が抱く「中国の夢」がかなった暁には、中国は「大きな北朝鮮」と化すことになる」と結論が述べられていますが、まさにその通りです。

しかし、このような不自然なことは成り立たないと思います。私は、習近平は近いうちに失脚すると思います。その後を引き継ぐ主席も、長続きはしないでしょう。

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2016年12月21日水曜日

「そんな軽い話ではない」菅義偉官房長官が翁長雄志知事に不快感 返還式典欠席で抗議集会参加の意向で―【私の論評】沖縄だけ治外法権のように振る舞わせるな(゚д゚)!

「そんな軽い話ではない」菅義偉官房長官が翁長雄志知事に不快感 返還式典欠席で抗議集会参加の意向で

翁長知事のTwitterのプロフィール写真
菅義偉官房長官は21日午前の記者会見で、沖縄県の翁長(おなが)雄志(たけし)知事が名護市で22日に開かれる米軍北部訓練場(東、国頭両村)の返還式典に出席せず、米軍の新型輸送機オスプレイによる不時着事故の抗議集会に参加する意向を示していることに関し「『歓迎する』と言っていたではないか。そんな軽い話ではない」と不快感を示した。

 翁長氏は10月、菅氏と面会した際に米軍北部訓練場の年内返還を目指す政府方針に対して「歓迎する」と発言。しかし、その後「不適切だった」として自身の発言を撤回した。

【私の論評】沖縄だけ治外法権のように振る舞わせるな(゚д゚)!

翁長知事は、一体何を考えているのでしょうか。県民の希望にもかなう基地返還の式典ではありませんか。

しかも、事前に「歓迎する」と行っていたはずではありませんか。本当に沖縄県民は、翁長知事を支持しているのでしょうか。このような知事一日でも早くやめてほしいとは思わないのでしょうか。

沖縄県知事・翁長氏の娘は中国・北京大学に留学後、上海の政府機関で働く男性と結婚。その男性は中国共産党・太子党幹部の子息だといいます。太子党といえば、習近平国家主席も属している派閥です。


中国では、太子党派閥の習近平が、反腐敗運動という名の、権力闘争を他の派閥に対して仕掛けています。

翁長知事の親中路線は「娘婿の親の顔を立てるために中国に配慮した」ように見えますが、悪く見れば「中国に人質をとられて、中国の言いなりになっている」ようにも見えます。

沖縄県知事選で当選を確実にし、娘たちと抱き合って喜ぶ翁長雄志氏

こういう人物が「日本国沖縄県の知事」であってもよいのでしょうか?このことは、沖縄県の皆様はご存知なのでしょうか。

それにしても、沖縄は県知事もそうですが、市役所などの他の自治体も異常です。下の写真をご覧下さい。

以下は、市役所の職員がオスプレイノーバッジをつけて、業務をしていたことを示す写真です。



以下に、この写真に関連した新聞記事を掲載します。これらは、残念ながら、現在ではリンク切れになっています。
オスプレイ「NOバッジ」着用 中城、宜野湾の役所職員(2012年10月23日 琉球新報)

 【中城・宜野湾】中城村と宜野湾市の職員が22日、普天間飛行場へのMV22オスプレイ配備反対を示す赤いバッジを着けて業務を始めた。中城村職員労働組合が200個、宜野湾市職員労働組合が1500個を職員に配布した。
 中城村では浜田京介村長が賛同し、管理職や臨時職員にも着用を呼び掛けた。配備以降、村内での飛行が始まったことから、稲嶺盛昌・村職労執行委員長は「公務の職場で働く職員の立場から強行配備の撤回につなげたい」と話した。 
 宜野湾市では川上一徳市職労委員長が佐喜真淳市長に管理職のための100個を手渡した。バッジはオスプレイの絵と「NO」の文字で配備に反対する意思を示している。 
オスプレイ:反対の特製バッジ着けて業務(2012年10月22日 10時02分 沖タイ)

 【宜野湾・中城】宜野湾市と中城村では22日から、職員がオスプレイ反対の特製バッジを着けて、業務に当たる。配備が強行されたことを受け、宜野湾市職労が1500個、中城村職労は200個を準備した。組合員だけでなく、管理職にも着用を呼び掛ける。

 両市村とも同じバッジで、オスプレイの黒い影の上に、「NO!」の文字や「×」マークがプリントされている。中城村では浜田京介村長が快諾。稲嶺盛昌執行委員長は「復帰40周年のプレゼントがオスプレイなんていうことは許されない。村民の生命・財産を守るために一丸となって取り組みたい」と話している。
これは、公務員にあるまじき行為であり、特定の思想を公職の立場を利用して、流布するのはいかがなことか思います。これは、完璧に公務員法35条、36条ともに違反です。

この異常な状態、そのまま放置しておくわけにはいかないでしょう。沖縄は、日本なのですから、沖縄だけあたかも治外法権のように振る舞わせておくべきではありません。

無論、多くの沖縄県民の多くは、翁長知事の行動を快く思っていないでしょうし、県庁や市役所の職員が公務員にあるまじき行動をしていることを快く思っていないでしょう。

いずれ、橋下徹氏のような人を、沖縄県知事や市長になって、馬鹿な県庁職員や、市役所職員と対峙して、これを改めていただきたものです。

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2016年12月20日火曜日

中国が抗議…空自「妨害弾」の真実 オスプレイ報道も疑問 ジャーナリスト・桜林美佐氏が迫る―【私の論評】日本のマスコミ、翁長知事、民進党は中国スパイでなくて馬鹿であって欲しい(゚д゚)!


那覇基地からスクランブル発進する、航空自衛隊のF15戦闘機
 

中国軍機6機が10日、沖縄本島と宮古島の間を通過した際、航空自衛隊のF-15戦闘機がスクランブル(緊急発進)した。当然の防衛行動だが、中国国防省は「空自機が『妨害弾』を発射して安全を脅かした」と発表し、日本政府は「事実と異なる」と反論・抗議した。日本に迫る危機について、ジャーナリストの桜林美佐氏が迫った。

「クリーピング・エクスパンション」とは、ほふく前進でいつの間にか敵の陣地を奪うことをいう。中国がまた歩を進めてきた。

沖縄での件について、中国が主張する「妨害弾」が、何を指すかは不明だ。仮にミサイルを欺瞞(ぎまん)するフレアが発射されたとしても、それは危険回避のための措置であり「防御弾」と言った方がいいだろう。

防衛省はフレア使用を明白にしていない。ハッキリしているのは、現場空域で、中国機がかなり危険なことを仕掛けてきていることと、あらぬ言い掛かりをつけてきていることだ。

気になるのは「戦闘機にはパイロットが乗っている」という当たり前のことを、国民が忘れているのではないかということだ。危険にさらされているのは鉄の塊ではなく、生身の人間なのだ。

連日のように、中国軍などによる恫喝(どうかつ)を受けて、命のやり取りをしているのだとしたら、どのような精神状態だろうか。案じる理由は、日本独特のいびつな状況にある。

防衛ジャーナリストになる以前の桜林美佐氏
元戦闘機パイロットで、航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将は「万が一、沖縄県・尖閣諸島上空で、『領空侵犯事態』が起きた場合、どうすべきかが問題です」という。

今回のスクランブルを「領空侵犯機」への対応と捉えるような記事の見出しが散見されるが、正確ではない。自衛隊はあくまでも「領空侵犯を阻むための措置」をしているのである。

しかし、一線を越えられてしまっても、法的には撃墜はできないことになっている。安全保障法制論議でも忌避された法的不備を、政治はどうするつもりなのか。

佐藤氏は「毅然として、列国空軍と同様の対応を取ることが必要です。中国の戦闘機が反抗してきたなら撃墜することです。必ず撃墜しなければ相手がつけ上がるばかりです」という。

そのための法的根拠がなければ、国の意志が示されないことは言うまでもない。責任まで現場に丸投げは許されない。

さらに、ひどいのは一部マスコミだ。

まさに一触即発の防空がなされている最中、空自基地で情報管理のために通話記録を任意で集めたとして、批判的記事が出ていたのには驚いた。

沖縄で不時着したオスプレイ
 沖縄でのオスプレイ事故も、米軍パイロットは乗員の命を守り、沖縄県民も被害に遭わせない、ギリギリの操縦をした。熊本地震の救援にも駆け付けた人物という。報道は批判一色で、同盟国の軍人に対する、お見舞いの言葉も見られない。中国には数日後にやっと抗議したのに、米軍にはすぐに苦言を呈した。

一体、日本の置かれた状況を分かっているのだろうか?

【私の論評】日本のマスコミ、翁長知事、民進党は中国スパイでなくて馬鹿であって欲しい(゚д゚)!

現在の日本の対応は、領空侵犯前に所属不明機等が防空識別圏に侵入した場合は戦闘機が緊急発進し、所属不明機に張り付きます。同時に、無線と戦闘機による警告が実施され領空侵犯が確実と場合は警告射撃を行い、強制着陸をさせます。

実例として、1987年12月9日に発生した対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件があります。この時は領空侵犯機がTu-16J型機でしたが、堂々と沖縄上空を飛翔しています。

領空侵犯の時点で迎撃に上がった航空自衛隊第302飛行隊所属のF-4EJ戦闘機2機の内1機が警告射撃を実施していますが効果はなく、悠々と空域を離脱したそうです。

このようときのロシアのTu-16Jように警告に従わず、領空を侵犯する所属不明機を撃墜するような規定は日本にはありません。

ただし、攻撃されは場合は、その限りにはありません。たとえば、国籍不明機が武装して1直線に原子力発電所に向かっている状況があれば防衛大臣は総理大臣に報告して決断を迫ることになるでしょう。

総理大臣が、防衛出動を命じて撃墜と同時に解除してしまえば国会承認は必要ありません。自衛隊法では防衛庁が政府に出動の承認は求める必要性はあるものの、出動の可否は求めていません。

中国機が明らかに日本のいずれかの場所に攻撃を加えることが明らかな場合は、内閣総理大臣の責任において、無論反撃することは可能ではあります。

緊急事態に決断力のない総理大臣を筆頭とする軟弱な内閣が現れない事を祈るしかありません。いずれにせよ、おそらく、映画「シンゴジラ」での官邸でのやりとりのような事が行われてからようやっと動くということになると思います。


この映画を観ていたとき、官邸の頓珍漢な動きに、周りで視聴していた多くの人から笑い声が巻き起こりました。シンゴジラへの対応を決定する意思決定がもどかしいので、それをおかしく感じたのでしょう。

しかし、あの対応はもしほんとうにシンゴジラのような生物が存在し日本に上陸した場合、あのような対応にならざるをえないというが実情です。

一番恐ろしいのは、上の記事で桜林さんは、直接指摘はしていませんでしたが、中国が明らかな意図をもって、自衛隊の航空機に攻撃を加えようとしたり、日本のどこかを爆撃しようとした場合、その対応するのに、それこそシンゴジラへの対応のように、すぐに意思決定ができない場合、失わなくても良かったはずの、最前線の戦闘機のパイロットの命は、最前線の基地などの自衛隊員の命が奪われてしまうことです。

失う必要もなかった、自衛隊員の命が奪われてからはじめて、今のままでは、反撃に移るという愚かなことが起こってしまうこともあり得るのです。

このような危機については、マスコミや野党などもほとんど取り上げません。

しかし、オスプレイの不時着となると、マスコミや沖縄県など全く筋違いの批判を繰り返したりします。

オスプレイが墜落したというのなら、まだしも、不時着したことをあそこまでセンセーショナルに伝える必要性など全くありません。

米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行再開を受け、民進党など野党や沖縄県側は19日、「拙速な飛行再開は沖縄県民の気持ちに寄り添っていない」(大串博志民進党政調会長)などと、飛行再開に理解を示す政権への攻撃材料とする構えを見せました。ですが「拙速」と判断する根拠は弱く、「オスプレイは危険」というイメージばかりが先行しています。

そもそもオスプレイが24年10月に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された際、同機の安全性を強調したのはほかならぬ民主党政権でした。オスプレイの10万時間当たりの事故率は昨年9月時点で2・64で、他の海兵隊機も含めた平均値と変わりがありません。

今回の事故は、空中給油訓練中のMC130特殊作戦機の給油ホースと接触したオスプレイのプロペラが損傷し、飛行困難となったことが原因です。米軍は「搭載システム、機械系統、機体構造を原因とするものではない」と説明しています。


翁長氏らは、今回の事故が「不時着」ではなく「墜落」だと主張し、重大な事故と印象づけようともしているようです。ですが、自衛隊のあるヘリコプターパイロットは「残骸は1カ所に固まっており、狙ったところに着陸した証拠だ。『墜落』ならバラバラになる」と証言しています。これは、オスプレイの不時着現場をみれば、誰でも容易に理解できるのではないでしょうか。

下の写真は、ノルウェーのヘリコプターが墜落したところの現場写真です。この事故では、13人が死亡しています。機体はバラバラになってあちらこちらに散乱している状態です。


写真に写っているのは、ローターの一部だと思われます。

オスプレイというと、中国にとってはまさに「悪魔のヘリコプター」です。なぜなら、航続距離が異常に長いからです。沖縄のオスプレイは、給油をしながら、ネパール震災のとき沖縄からネパールに直接飛行して、現地入りしました。

普通のヘリコプターだと航続距離が短いため、給油をしてでさえ沖縄からネパールまで直接飛行することは不可能です。ヘリコプターを遠いところに運ぶ際には、分解をして船や、車両に載せて現地まで運び、それをまた現地で組み立てるということになります。しかし、そんなことをしていては、被災地の支援には間に合いません。

しかし、オスプレイは給油しながらであれば、沖縄からネパールまで直接飛行することができます。これは、他のヘリコプターにはできない芸当です。

この意味するところは、給油さえすれば、オスプレイで中国全土のどこへでも、兵員をピンポイントで輸送できることを意味します。

中国側からみれば、習近平氏個人をオスプレイを使って、拉致することも可能であるということです。あるいは、中国に対して軍事作戦をする際に、本当に中国の軍事上の拠点で、弱点となるところに、ピンポイントで兵員を輸送できることを意味します。

これは、日米にとっては、安全保証上の優位です。まさに、日米にとっては「天使のヘリコプター」です。

しかし、日本のマスコミや野党、翁長知事などは、まるでオスプレイを「悪魔のヘリコプター」呼ばわりしています。これでは、彼らのことを、中国スパイか余程の馬鹿であると断ずる以外に理解のしようがありません。

私としては、彼らが馬鹿であって欲しいと思います。なぜなら、馬鹿はかなり難しいかもしれませんが、心を入れ替えたり、本気で物事を知るように努めれば、まだ治る見込みもあるからです。しかし、中国スパイであれば、治りようがありません。一度スパイを働いたものは、もう元には戻しようがありません。日本国、日本国民の敵です。
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2016年12月19日月曜日

中国「海賊行為」で米中衝突危機 専門家「『なめられたことをやられては困る』と軍事衝突もあり得る」―【私の論評】衝突すれば日本にも大きな火の粉がふりかかる(゚д゚)!

中国「海賊行為」で米中衝突危機 専門家「『なめられたことをやられては困る』と軍事衝突もあり得る」

中国軍艦が奪った無人水中探査機の同型機(米国防総省提供・共同)
 ドナルド・トランプ次期米大統領への報復か-。中国海軍が15日にフィリピンの公海上で、米海軍の無人水中探査機1機を強奪した。米政府は国際法違反として返還を求めているが、中国は無視している。中国の「海賊行為」が対中攻勢を強めるトランプ氏を刺激することは間違いなく、米中の緊張関係が高まり、専門家は「軍事衝突もあり得る」と警戒している。

 事件はフィリピン北部ルソン島にあるスービック湾の北西約90キロの海域で発生した。米海軍の測量艦が2機の水中探査機を回収しようとしていたところ、中国海軍の潜水救難艦が約450メートルのところまで近づき、小型ボートを出して1機を奪った。測量艦は無線で返還を求めたが、潜水救難艦は要求を無視し、現場から離れた。

 米国防総省のジェフ・デービス報道官は中国の行動を「国際法違反だ」と批判した。報道官によると、水中探査機は海水温度や塩分濃度などを収拾していたという。

 米メディアでは、中国の狙いはトランプ氏に対するメッセージと報じられている。

 FOXニュースは「中国が南シナ海で米軍のドローンを米国人の目の前で盗んだ」という見出しで、今月2日に台湾の蔡英文総統と電話協議をしたトランプ氏に対する不満が、中国の行動の背景にあるとした。

 トランプ政権の発足を来年1月に控え、共和党からは現オバマ政権批判も上がっている。米上院軍事委員会委員長のジョン・マケイン上院議員(共和党)はワシントン・ポストの取材に対し、「こうした行動は米国が強烈で断固とした対応をしない限り続くだろう。これはオバマ政権ではできなかったことだ」と述べた。

ジョン・マケイン上院議員
 台湾の蔡総統との電話会談に加え、中国を台湾の一部とする「一つの中国」原則に疑義を呈したトランプ氏に対し、中国は反発。米シンクタンクは13日付の報告書で、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の人工島にミサイルや航空機を迎撃する「近接防空システム」を配備したとみられると指摘している。

 米中関係を危機に陥れるような行動に出た中国の狙いは何なのか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「軍の一部がやったのか、国家の意思としてやったのかは分からないが、完全な違法行為だ」と指摘。中国が国家として行っていた場合、「米国がどこまで耐えられるか一歩一歩試しているのだろう。オバマ政権のうちに、できるだけ既成事実を作っておこうということではないか」と話す。

 トランプ次期政権の対応について、藤井氏は「トランプ政権は中国に対する警戒感が非常に高まる中でスタートすることになる。アメリカとしても『なめられたことをやられては困る』ということになるから、南シナ海で軍事衝突のようなことが起きるかもしれない」と解説した。

 まさに一触即発の事態だ。

【私の論評】衝突すれば日本にも大きな火の粉がふりかかる(゚д゚)!

中国が、米国の無人水中探査機1機を強奪したことは、一昨日のこのブログにも掲載しました。その記事のリンクを掲載します。
【緊迫・南シナ海】中国海軍艦船が米海軍の無人潜水機奪う 米政府は「国際法違反」と非難―【私の論評】南シナ海を中国戦略原潜の聖域にする試みは最初から頓挫か?
イージス艦、潜水艦、空中ドローン、シーグライダーの連携作戦の模式図
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、無人水中探査機がどのような機能を持ったものなのかを説明するとともに、中国がこの無人水中探査機を強奪した理由に関しても掲載しました。この理由に関しては、私の憶測にすぎないのですが、それを以下に再掲載します。
このシーグライダー(無人水中探査機)は、当然中国の戦略原潜の動向もキャッチできるものと思われます。今回中国に強奪されたものはどのようなものかはわかりませんが、中国としては、このシーグライダーにかなりの脅威を感じているようではあります。

中国がせっかく、長年努力を傾注して、南シナ海を中国原潜の聖域にしようとしても、米国側に南シナ海にシーグライダーを多数設置し、中国原潜の動向を探っていたとしたら、そもそも聖域になりません。

米軍が、このシーグライダーを南シナ海の各所に多数配置して、有人潜水艦や、無人潜水艦、空中ドローン、イージス艦など多数配置して、これらを連動させるようにすれば、中国戦略原潜が不穏な動きをみせれば、すぐに撃沈できるようになります。

実際、今回中国側に捕獲されたシーグライダーがどの程度の能力のものかはわかりませんが、シーグライダーを戦術的に活用しようとするなら、今はそこまではいっていなくても、将来はそのようにするのは当然のことです。

そうして、中国では未だシーグライダーの技術は進んでいないと思われます。今回の強奪は、米軍のシーグライダーがどの程度の能力を持っているか確かめるためと、中国もシーグライダーを開発するため、技術を盗むという目的もあるものと思います。

もし、今回強奪さた米軍のシーグライダーの技術水準が高ければ、すでに中国による、南シナ海の原潜の聖域化は頓挫してしまっているかもしれません。
さて、中国がなぜこのような強奪をしたかについてブログ冒頭の記事の、「今月2日に台湾の蔡英文総統と電話協議をしたトランプ氏に対する不満が、中国の行動の背景にある」としていますが、私はそれだけではないと思います。

やはり、南シナ海を中国戦略原潜の聖域にするという試みが頓挫しそうなので、かなりの脅威をいだき、何が何でも南シナ海を聖域にするという決意を示したものと思います。そうして、この無人水中探査機の性能を調べることと、その技術をコピーすることも理由だったと思います。

このような、無人水中探査機は、ほとんど音を出さないので、中国海軍には探知不可能なのだと思います。ほとんど無音に近く中国海軍が全く探知できない潜水艦を開発する日本がこれを開発した場合、ほとんど無音で、中国側は全く探知できず、自由自在に南シナ海の海域の中国軍の動きを丸裸にできるようになります。米国ももちろん、これを開発し、将来は軍事用に多数の無人水中探査機を世界中の海に放つつもりでしょう。

米国と中国の間には戦争勃発の可能性があり、起きた場合、その展開は日本の動向に大きく左右される。米国の大手安全保障研究機関、ランド研究所がこんな衝撃的な予測を今年の夏に打ち出していました。その要旨を以下に掲載します。

ランド研究所
同研究所は、米陸軍当局からの委託で米中戦争に関する調査や研究を進め、その結果を今年7月末、約120ページの「中国との戦争」という報告書にまとめた。予測期間は2025年までとされています。 

同報告書は、米中戦争が勃発するきっかけとして以下のような事態を想定していた。
・東シナ海の尖閣諸島などをめぐる日中両国の軍事摩擦
・南シナ海での中国のフィリピンやベトナムへの軍事威圧
・北朝鮮の政権崩壊に伴う米中双方の朝鮮半島への軍事介入
・中国の台湾に対する軍事的な攻撃あるいは威嚇
・排他的経済水域(EEZ)や、その上空での艦艇、航空機の事故
以上のような小規模な軍事的摩擦や衝突が米中両国の戦争へとエスカレートしうるとしています。さらに同報告書は、米中戦争の規模などは以下のようになるだろうと予測していました。
・米中戦争は非核の通常戦力による戦闘となる。
・戦闘では主に水上艦艇、潜水艦、航空機、ミサイルが用いられる。宇宙とサイバー空間も戦いの場となる。
・戦闘は東アジアで始まり東アジアで続くが、西太平洋の広大な地域も戦場となる。
・通常兵器での戦闘が激しくなっても、核兵器は使われないだろう。
・中国は米国本土への攻撃は行わないだろう。
・米国は逆に中国本土へ激しい攻撃を加えるだろう。
・地上戦闘はほとんど起きない。
同報告書は以上のように米中戦争の特徴を予測し、さらにその戦闘の形態について、(1)短期で激烈、(2)長期で激烈、(3)短期で軽微、(4)長期で軽微――の4つのパターンを挙げていました。

その上で、それぞれのパターンついて、経済や政治など非軍事面での両国の損失を推定し、戦争の帰趨までを予測していました。 

その予測によると、数日から数週間の「短期」の場合、そして今から近い将来に戦争が起きた場合には、米国が圧倒的に有利だとしています。

一方、2025年に近い時期に米中戦争が起きた場合は、中国軍が「A2/AD」(接近阻止・領域否定)戦略の戦闘能力を着実に強化しているので、勝敗の決まらない膠着状態となる可能性が高いとしていました。 

同報告書で特に注目されるのは、米中戦争の勃発と展開に日本が非常に重要な役割を果たすと強調している点です。具体的には、日本は次のような形で関与する可能性があるとしています。
・中国は尖閣諸島周辺における日本との対立で、米国の日米安保条約の誓約を過少評価し、尖閣で日中間の戦闘が起きても米軍は介入しないとみて軍事行動に出る可能性がある。

・中国は米国との戦争になれば、日本の米軍基地や自衛隊基地を攻撃する確率が高い。その場合、日本はほぼ自動的に米国と共に戦うことなる。

・北朝鮮が中国の「同盟国」として米軍や在日米軍基地にミサイル攻撃を加える可能性がある。その場合も、日本は米国の味方としての立場を明確にするだろう。
このように同報告書は、米中戦争では日本が最初から米国の同盟国として戦う見通しが強いことを強調しています。日本が集団的自衛権の一部行使を容認したことで、その展望はさらに現実的なものとなったとしています。

同報告書は、米中戦争の勝敗の帰趨についても日本の動向が決定的な要因になり得るとして、以下のような点を強調していました。
・米中戦争において、米国の同盟国、友好国の動きはきわめて重要である。中でも日本の役割は決定的となる。 
特に2025年近くの米中戦争では、日本の潜水艦、水上艦艇、戦闘機、ミサイル、情報・監視・偵察(ISR)などの能力は米側にとって不可欠な基本戦力となる。

・米中戦争が長引けば長引くほど、日本の軍事的な対米協力の効果が大きくなる。日本の支援のおかげで、米軍は他の地域の米軍部隊を中国との戦争に転用する必要が減るだろう。中国軍にとって、日米連合の部隊と戦うことは困難になる。

・中国軍は2025年頃までには、年来の対米軍戦略の基本である「A2/AD」戦略の能力を大幅に高め、対米戦を勝敗のつかない長期戦に持ち込むことができるようになる。しかし、日本が米軍を全面支援することで均衡は変えられ、米軍は有利になる。 
以上の日本に関する数々の指摘の中で、「米中戦争が、尖閣諸島をめぐる日中の対立から勃発し得る」という点は、現在の日本にとってきわめて深刻な意味を持つと言えます。

同時に、米中関係が表面的に経済交流などで協調的、友好的にみえても、水面下では最悪の状態にあり、米中戦争の発生も想定しているという米国の現実的な姿勢も、日本はしっかり認識しておくべきです。

さて、上の予測では、米国の大手安全保障研究機関、ランド研究所の分析であるため、軍事に関する分析が中心となっていますが、アメリカにはもう一つ大きな安全保障策があります。

それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。 
当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。
世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

これに関しては、一昔前にある中国の高官が穀物の需要が増えたり、減ったりする中国の状況を「中国人の胃はゴムボールのようである」と語っていたことがあります。要するに、穀物需要がかなり減ったり、増えたりしても、中国は何とかなることを強調したかったのでしょう。

現実には、そんな馬鹿な話があるはずもなく、貧困層は穀物が手に入らず飢え死にしていたというのが実情でしょう。しかし、それは今から数十年も前のことで、今ではそのようなことはあり得ないでしょう。現状では、中国の貧困層でも何とか食欲を満たす穀物は手に入れられる状態になっていることでしょう。

実際最近では中国が突如、近年世界の穀物輸入国上位に躍り出てきました。2013年~14年期、中国の穀物輸入量は2,200万トンという膨大な量になりました。2006年の時点では、ま中国では穀物が余り、1,000万トンが輸出されていたというのに、何がこの激変をもたらしたのでしょうか?

2006年以来、中国の穀物消費量は年間1,700万トンの勢いで増大し続けている年間1,700万トンというと、大局的に見れば、オーストラリアの小麦年間収穫量2,400万トンに匹敵します。
人口増加は鈍化しているにもかかわらず、穀物の消費量がこれほど増加しているのは、主に、膨大な数の中国人の食生活レベルが向上し、より多くの穀物が飼料として必要な肉や牛乳、卵を消費しているからです。

2013年、世界全体で推定1億700万トンの豚肉が消費されました。そのうちの半分を消費したのが中国でした。人口14億人の中国は現在、米国全体で消費される豚肉の6倍を消費しています。 
とはいえ、中国で近年、豚肉消費量が急増しているものの、中国人一人当たりの食肉全体の消費量は年間合計54キロ程度で、米国の約107キロの半分にすぎません。しかしながら、中国人も世界中の多くの人々と同じように、米国人のようなライフスタイルに憧れています。

中国人が米国人と同量の肉を消費するには、食肉の供給量を年間約8,000万トンから1億6,000万トンへとほぼ倍増させる必要があります。1キロの豚肉を作るにはその3倍から4倍の穀物が必要なので、豚肉をさらに8,000万トン供給するとなると、少なくとも2億4,000万トンの飼料用穀物が必要になります。 
それだけの穀物がどこから来るのでしょうか。中国では、帯水層が枯渇するにつれて、農業用の灌漑用水が失われつつあります。たとえば、中国の小麦生産量の半分とトウモロコシ生産量の1/3を産出する華北平原では、地下水の水位が急激に低下しており、年間約3メートル低下する地域もあるほどです。 
その一方で水は農業以外の目的に利用されるようになり、農耕地は減少して住宅用地や工業用地に姿を変えています。穀物生産高はすでに世界有数レベルに達しており、中国が国内生産高をこれ以上増やす潜在能力は限られています。
2013年に中国のコングロマリットが世界最大の養豚・豚肉加工企業、米国のスミスフィールド・フーズ社を買収したのは、まさに豚肉を確保する手段の一つでした。 
また、中国政府がトウモロコシと引き換えに30億ドル(約3,090億円)の融資契約をウクライナ政府と結んだのも、ウクライナ企業と土地利用の交渉を行ったのも、その一環です。こうした中国の動きは、私たち人類すべてに影響を与える食糧不足がもたらした新たな地政学を実証したものです。 
このようなときに、米国に金融制裁を実施されたら、食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。
このように米国による対中国金融制裁が発動された場合、中国はとんでもないことになります。もともと、中国が経済発展できたのは、米ドルを多く蓄えていたからです。それが、信用を創造し、さらに外貨を獲得して、インフラ投資をすることによって発展できたのです。

しかし、金融制裁などされれば、中国の国家戦略は根底から覆されることになります。軍事的にも、経済的にも中国にはほとんど勝ち目はありません。

このようなことを掲載すると、あたかも私は、米中軍事衝突はないと考えていると思われるかもしれません。しかし、そうではありません。

考えてみてください、中国の現体制は、統治の正当性がかなり低いです。日本には、天皇陛下という国民統合の象徴が存在します。米国では、民主的な手続き経て選ばれた大統領が統治します。しかし、中国ではそのようなものは存在しません。

中国では、建国以来毎年平均2万件もの暴動が発生していました。そうして、2010年あたりからは、毎年平均10万件ほどの暴動が発生しているとされています。

中国共産党は、自分たちの統治の正当性を強化するため、日本を悪魔化し、人民の憤怒のマグマを日本に向けさせることで何とか自分たちの保身をはかってきました。また、大規模な治安組織である、城管、公安警察、人民解放軍を駆使して、人民を弾圧することによつても、統治の正当性を強調してきました。しかし、これには限界があります。

中国は日本を悪魔化しないと、統治の正当性を強調できない
この統治の正当性が崩れかけた場合、中国共産党は自分たちの保身のために何をするかわかりません。最近では、韓国で朴槿恵の統治の正当性が崩れて大変なことになっています。しかし、中国において共産党が統治の正当性を失った場合、共産党幹部は、朴槿恵の弾劾裁判どころの話ではなくなります。

人民法廷が開かれ、一族郎党が死罪や流刑や、とんでもない運命をたどることになりかねません。それを防ぐために、どう考えてみても無謀な対日米開戦を実行して、自分たちの保身をはかるということは十分に考えられます。

そうなった場合、米国による金融制裁や、軍事的な攻撃により、現在の中国の体制は完璧に崩壊することでしょう。

しかし、崩壊する過程において、日本にも当然のことながら、大きな火の粉がふりかかることは間違いありません。かかった火の粉は、無論自分で振り払わなければなりません。

ランド研究所の「米中戦争が、尖閣諸島をめぐる日中の対立から勃発し得る」という点は、現在の日本にとってきわめて深刻な意味を持つと言えます。

同時に、米中関係が表面的に経済交流などで協調的、友好的にみえたとしても、水面下では最悪の状態にあり、米中戦争の発生も想定しているという米国の現実的な姿勢も、日本はしっかり認識しておくべきです。

【私の論評】



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