2017年5月1日月曜日

やっぱり「教育の無償化」は、国債発行で賄うのが正解―【私の論評】国債の原理を理解できない進次郎は顔を洗って出直してこい(゚д゚)!

やっぱり「教育の無償化」は、国債発行で賄うのが正解だ
  進次郎発言のズルいところ

教育無償化について、維新の党が「憲法を改正して実現させよう」と問題提起したら、自民党・公明党でも本格的な検討が行われるようになった。自民党内の動向はどうなのか。

3月29日、自民党の「2020年以降の経済財政構想小委員会」(小泉進次郎小委員長代行、村井英樹事務局長)は、幼児教育無償化の財源を保険料で賄う「こども保険」を提唱した。さすがの小泉進次郎氏、発信力は大きく、これは多方面で話題になった。

この問題は、小泉氏も含めた教育再生本部の「恒久的な教育財源確保に関する特命チーム」で検討されることとなっている。

確かに小泉氏の発信力はたいしたものであるが、「保険」というのは詐称に近い話だ。政治家たるもの、言葉をもっと大切にしたほうがいい。学生時代に「保険数理」を勉強した筆者からみれば、これは保険でないものを保険といっているようにしか見えないのだ。

まず「保険」の意味をはっきりさせよう。

保険とは、偶然に発生する事象(保険事故)に備えるために多数の者が保険料を出し、事象が発生した者に保険金を給付するものだ。

さて、自民党若手が提唱した「こども保険」であるが、こどもの保育・教育のためなので、この場合の偶発事象(保険事故)はこどもが生まれること、になるだろう。公的年金の加入者、つまり20歳から60歳までの現役世代の人がこの保険に加入し、子育てする人が保険給付を受け取る仕組みになるだろう。

となると、矛盾が出てくる。子育ての終わった現役世代の人には、偶発事象がまず起こりえない。これらの人は「こども保険」に入るメリットはなく、保険料を取られるだけになってしまう。

すると、被保険者はこれから子育てをする若い人にならざるを得ない。しかし、それでは保険にならない。一般的に、若い人の多くがこどもを持つからだ。仮に、そういう保険を作ると、こどものいない人に大きな保険料負担を強いることになってしまう。

本音を言えば子育て支援について税金を財源にしたいが、税金では世間の反発が起こるので、「保険料」に名前を変えて国民から徴収しよう…そういう意図があるのだろうが、バレバレである。

おそらく「保険」という名称にしたのは、日本人の保険好きを悪用したのだろう。これまでの保険会社の営業努力の賜物であるが、保険契約額対国民所得比をみると、日本は2倍程度であり、先進国の5倍程度と比べるとかなり大きく、日本人の保険好きは国民性なのだ。

では、保険という名称ではなく、「こども税」ならどうか。これは政策論としてはありえる。ただし、筆者の提唱する「教育国債」との比較で、どちらがいいかを有権者がしっかり見定める必要があろう。

  「未来への投資が大事」というなら…

新聞などでは「教育国債」という言葉自体はよく出てくるが、まとまった考察は筆者くらいしか書いていないようだ。本コラムの読者であれば、2016年10月10日付け「日本がノーベル賞常連国であり続けるには、この秘策を使うしかない!」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49906)を覚えているだろう。

そこでは、「知識に投資することは、常に最大の利益をもたらす(An investment in knowledge always pays the best interest.)」というベンジャミン・フランクリンの名言を引用しながら、教育を投資として捉えると、社会的な便益もコストより高いことを紹介し、そうであるなら、国債で教育の財源を賄うのがいいと書いた。

実は、この考え方が以前から財務省の中にも存在していたことをバラしてしまったコラムでもあった。

簡単にいえば、有形資産も無形資産も、経済発展のためには欠くことができないものだ。しかし、今の財政法では有形資産の場合にしか国債発行を認めていない。政治的な議論をするのであれば、この財政法を改正して、無形資産の場合にも国債発行を認めるべき、というわけだ。

しかも、統合政府の考え方を用いれば、日本の財政再建はほぼ終了という段階であり、国債発行を気にする状況でない(この統合政府の考え方は、先日ノーベル賞学者のスティグリッツ氏が来日して経済財政諮問会議の場で安倍首相の前で披露しており、筆者の思いつきではなく、世界の常識であることが明らかだろう)。

いずれにしても有形資産と無形資産を差別するなというのは、強力な正論である。財務官僚は「無形資産はうまく計れない」などという小言を言うが、後に述べるように、教育の投資効果はかなり大きく、有形資産を凌駕するので、あまり細かいことを考えなくてもいい。

財務官僚は、官僚社会で裁量的に自分たちに都合良く振る舞いたい。これは、本コラムで指摘してきた森友学園問題の本質を見てもわかるだろう。

その財務官僚がもっとも嫌うことは、「財政法」の改正である。ここだけは、政治家には決してふれられたくない世界なのだ。もちろん、政治家はローメーカー(lawmaker)であるが、そんな建前はお構いなく、立法も事実上支配したいといのが官僚社会の本質である。

ただし、政治はそれではダメだ。しっかりと未来をみて、必要な法改正を行うべきである。

以下では、無形資産を有形資産と差別せずに同じように扱うべきという単純な正論以外にも、教育を「良質な投資」と考えるべき理由を挙げよう。

幸いにも、安倍政権は、未来投資が重要だという立場をとっている。であれば、教育を未来投資と捉えなかったら、画竜点睛を欠く議論になってしまう。

  将来への付け回し」では断じてない

OECD(経済協力開発機構)では、いろいな教育に関するデータを国際比較の形で毎年公表している(Education at a Glance 2016 http://www.oecd-ilibrary.org/education/education-at-a-glance_19991487)。

その中で、先進国における高等教育投資の便益とコストを私的・公的に算出したものがある。私的な便益は、高等教育を受けると所得が高くなることなどである。公的な便益は高くなった所得から得られる税収増などが基となる。

私的な便益コスト比(B/C)と公的な便益コスト比をみると、ほとんどの国で私的B/Cのほうが公的B/Cより大きい。ところが、一国だけまったく逆に、私的B/Cよりはるかに公的B/Cのほうが大きい国がある。それが日本だ。




これほど、公的B/Cが大きいのであれば、日本は高等教育に公的資金をどんどん投入すべきである。

なぜ、日本だけが公的B/Cが大きいのであろうか。それは、日本の高等教育における公費負担が少ないからである。公的負担が少ないので、その便益は限界効用が低減する前であり、便益が大きいのだ。

ちなみに、初等中等教育では日本は他の先進国と比べて遜色ない公費負担になっているが、高等教育ではかなり低くなっているのだ。

公的資金投入にあたって、なにを財源にすればいいのか。


もちろん、税を財源としてもいい。しかし、将来への投資であり、社会的なリターンが期待できる場合には、便益が及ぶ将来にわたって税財源を均等化できる国債発行が理にかなっている。ここで、税財源に頼るのは、東日本大震災で復興財源を復興税に依存したような経済理論の誤りである。

国債発行というと、すぐに「将来へのつけ回し」「財源の先送り」という議論が出てくる。しかし、これは、経常経費と投資性経費を混同したものであり、投資性経費であれば、国債発行のほうが合理的である。潔いのはどっちだ?

実際、世界をみれば、教育を投資として捉えて、国債発行で財源を賄った例がある。この点、大災害の時に復興を増税で賄った例は、筆者の知るところではない。先例がないことがいかにデタラメであるか、先例のあることには一定の合理性があると思っていいだろう。

教育投資のための国債発行では、フランスの「サルコジ国債」が有名である。

2009年6月、サルコジ大統領は、両院(上院:元老院、下院:国民議会)合同議会において、大規模な特別国債の発行を発表した。

演説の中で大統領は、

「国土整備や教育、研究、技術革新など、我々の未来にとって極めて重要な分野が多くあり、年間予算の厳しい枠組みの中では対応できない。我々がやり方を変えない限り、優先課題を掲げるだけで実現できない状態が続く。私は投資を犠牲にしない。投資なくして未来はない」

と述べ、未来への投資のための国債発行の重要性を強調した。

まさに、安倍政権の未来投資と同じものだ。

サルコジ大統領の意向は、未来のための投資プログラム(Programme d’investissements d’Avenir:PIA)とされ、5つの優先分野(①高等教育:110億ユーロ、②研究:79億ユーロ、③産業・中小企業:65億ユーロ、④持続的な発展:51億ユーロ、⑤IT:45億ユーロ)を対象として投資することとなった。通常の予算とは別途管理し、未来のための投資プログラム委員長を任命し、実施等をフォローされている。

教育国債は決して奇策ではなく、未来投資のための王道である。しかも、今の日本は、統合政府で見れば財政再建が終了したようなものである……ということは、裏返せば、マーケットでは国債不足になっているともいえる。

そのため、先日、日銀は買いオペではなく売りオペをせざるを得なくなった。東京市場をまともな金融市場とするためにも、一定量の国債は必要である。その意味からも、教育国債が望まれる。

教育国債を否定する人は、「負担の先送りになる」というが、逆に言えば税財源で行うことは親の世代にせびっているようなものだ。

教育国債は出世払いであり、後で働いて返すという方が潔い。これは受益者負担原則にもかなっている話でもあるのだ。

【私の論評】国債の原理を理解できない進次郎は顔を洗って出直してこい(゚д゚)!

さて、上の記事で教育国債について述べていましたが、そもそも小泉進次郎氏などは国債そのものに対する考え方が完璧に間違えているようです。以下に、国債について掲載します。

国債の発行は、そもそも国民の資産を増やします。現在のように不況ゆえに金融緩和を行っている状態では、金利も上がらないのでクラウディングアウト(民間投資の追出し効果)も起こりません。

国債の発行については、財政法4条により厳しい制限が課せられています。現在の財務省が「財政法四条は、負担の世代間公平という考え方に立って公共事業費等に限って公債発行又は借入れを認めるという形で健全財政の原則を定めたものと解される」と、国債の発行は世代間の不公平に繋がると考えていることは明らかです。

(小村武「予算と財政法」(新日本法規出版、初版昭和62年(1987年)、四訂版平成20年(2008年))

しかし、そもそもこの考え方そのものが大きな間違いです。

財政法の立法当時の議論に戻れば、同時に、世界恐慌後の1930年代の北欧の財政論を参考にして、不況期には積極財政を採るべきであるという趣旨も含まれていたことが分かってきました。

さて、ここで話を本筋に戻します。小泉進次郎氏らの主張は、教育の無償化などは、国債ではなく「こども保険」はっきり言ってしまえば、実質上の増税によって賄うべきだというものです。

小泉進次郎
「教育無償化の原資は当代から徴収し、国債は次世代から徴収す構図に見える。年金も減額される中で、次世代はどんな負担を強いられるのか?」というものです。この主張は、財務省が唱える、世代間の公平の観点から、基礎的財政収支を均衡させるべきという原則に基づいた主張です。

しかし、そもそも、本当に基礎的財政収支を均衡させることが、本当に世代間の公平に繋がるのでしょうか。結論からいうと繋がりません。

むしろ、誕生期から成人期にかけて人材育成にしっかりと国が投資をすることによって、国力を増大させていくということが投資対効果という意味で適切です。また、人の能力を引き出させるような機会を提供した上で、インフレとなり金利が上がるような経済状況の好転が実現した時に、増税をすれば、増税される世代は、過去の投資の結果によって生じた担税力で担税するので、こちらの方が公平です。

日本が仮に対外純負債国、経常収支も赤字という国であれば、「世代間の公平の観点から、基礎的財政収支を均衡させるべき」という原則はある程度は妥当であると考えられます。(この場合も、原則であって米国・英国などの例外はあります)

しかし、日本は対外純債権国、経常黒字国です。国債を発行しても、自国内で消化できますし、そもそも自国通貨建てなので対外的に取り立てにあうこともありません。さらに、ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が主張しているように、統合政府府の考え方(政府と日銀の連結決算の考え方)を用いれば、日本の財政再建はほぼ終了という段階であり、国債発行を気にする状況ではありません。

日本は過去においては増税と、金融引締めなどによってデフレが続いていました。現在でも、増税の悪影響があり、デフレ一歩手前の状況にあると言っても良い状況です。そんな国では、金融緩和と、財政出動を大規模に継続的に行って初めて、経済状況を好転させ、デフレから脱却することができます。

つまり、多額の国債発行→財政拡張政策→経済状況の好転→資金需要の増加→金利の上昇という順番となります。国債償還時に得た資金が民間投資へ回るような状況になるということは、景気が良くなっているということなので、将来世代にとっても良いことになります。

また、現在の政府支出の構造が、子ども手当や高校無償化など、次の世代が競争力を持つ分野に力を入れている点が、世代間の公平性を議論する上で、更に重要な要素となります。

今まで、国債を発行して未来への投資をするということは、建設国債を発行して公共事業を行うということしかないと考えられてきました。しかし、この考え方は、ハードウェア中心の投資の考え方、分類すれば「産業革命期末期」の考え方だと言えます。

現在は、コンピュータの発明と電気通信網の整備により、情報通信革命期(IT革命期・ICT革命期)の初期にあります。投資については、人間の能力にどれだけ投資するかが国家の帰趨を決めるような時代になっています。

国債を発行して「人への投資」を行うことは、日本の経済力を更に拡大し、相対的な通貨の価値を維持することができるので、更に国債を発行する余力を持つことができるようになることに繋がります。


財務省の頭の中、もしくは政治家などを説得するためのご説明資料の中には、上記のような構図があるのでしょう。そうして、無論小泉進次郎氏の頭の中にも・・・・。しかし、結局のところ国債を発行せずに、実質上の増税で教育の無償化をしてしまえば、現代世代と将来世代の格差ならびに現在世代内の格差の両方をさら助長してしまうことになります。

今度は、逆に人への投資をしないとどうなるのか、という観点で見ていくことにしましょう。

同じ様なことは、クルーグマンが「さっさと不況を終わらせろ」でも述べていたことですが、大切なことなので、私の言葉で書かせていただきます。

最近では、ある程度緩和されてきましたが、わずか数年前までは、皆様の周りにも、大学院に行っても就職先がないというような人がいらっしゃったと思います。また、二十代、三十代に正規社員として仕事につくことができず、「安定したところでしっかりと働くゆえに自分の成長に取り組める場」を持てない若者も大勢いました。二十代、三十代にきちんとした成長を遂げなければ、四十代、五十代の働き盛りの時に、高い生産性を持つことはできません。

そのため、若年期には、できれば完全雇用が達成できるようになるくらい、仕事を提供することが必要です。それには、雇用状況が良くなるようにに、金融緩和策をとり、さらに経済状況が好転するように持っていく経済政策や社会保障の分野等で公的雇用を増やす政策が必要になります。それゆえ、若者の雇用状況を改善できるような経済状態になるまでは、公平の観点から見ても国債の発行を行い、政府支出を拡張することは正当性があるわけです。

そうして、このようにして育てられた若年層は将来大きく花を咲かせ、投資した分よりもさらに大きな富を将来の日本にもたらしてくれることになるのです。

国債の原理を理解しない小泉進次郎氏には顔を洗って出直してこいと言いたいです。

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2017年4月30日日曜日

民進党が没落すればするほど、日本経済が「命拾い」する理由―【私の論評】自民党は人の振り見て我が振り直せ(゚д゚)!


「シロアリ演説」を覚えていますか?

 ひとり、ふたりと辞めていく

民進党代表である蓮舫氏の求心力の低下が止まらない。

4月10日に長島昭久元防衛副大臣が離党届を出したのに続き、13日には細野豪志氏が代表代行を辞任する決意を固めた。

蓮舫氏は7月に控える都議選に向けて、共産党と共闘する姿勢を崩さないが、これに対して長島氏と細野氏は強い反感を抱いたのだ。

民進党の支持率は今年に入ってひとケタ台で低迷していて、「自民一強」体制はますます色濃くなってきている。

振り返れば、民主党時代の'12年も消費増税をめぐって党内がバラバラになり、勢力を落とした。今回もまるで同じ様相を呈しているが、民進党は仮にも野党第一党だ。民進党の「没落」は、今後の政局および日本経済にどれほどの影響を与えるのだろうか。

民主党時代の消費増税騒動のとき、当時の首相は野田佳彦氏であった。

その野田氏は政権交代選挙となる'09年8月の衆院選の街頭応援演説において、有名な「シロアリ演説」をしている。

天下り官僚をシロアリにたとえて、「シロアリを退治しないで増税はおかしい」と宣言した。さらにこの演説では、「マニフェストは命がけで実行する。書いてないことはやらない」とも言った。

野田佳彦氏の有名な「シロアリ演説」 写真はブログ管理人挿入以下同じ
ところが政権交代後、野田氏はすっかり変わってしまった。

鳩山由紀夫政権で藤井裕久財務相の下で副大臣になったのだが、実はこのとき、財務省OBである藤井氏が後輩の財務省官僚に対して野田氏を「財務省色に染めろ」と指示。結果、野田氏は完全に財務省の操り人形になり、「シロアリ演説」での意気込みはどこかへ飛んで行ってしまったのだ。

かくして党内の意見がバラバラになった民主党は政権を手放すことになるが、その「戦犯」の一人は野田氏であり、その野田氏がいま民進党の幹事長を務めていることからも低迷の理由は推して知るべし、である。

 日本経済は命拾い

もともと民主党が仕込んだ消費増税は、自民党に政権交代したあとに実施された。

'14年4月、税率は5%から8%になったが、10%への再増税はすんでのところで止まっている状態だ。'14年の増税は、日本経済にとっては爆弾が爆発したようなもので、アベノミクスで上げ調子の兆しがあった景気が一気に停滞した。

もし再増税という「2発目の爆弾」が立て続けに爆発していたら、日本経済はとっくに沈没していたかもしれない。

民進党は依然として、財源の確保に増税は不可避であるとの方針を持っているが、いまの蓮舫代表・野田幹事長の体制で民進党が勢いを取り戻したら、2発目の爆弾が炸裂するのは秒読みとなる。

逆にいえば、民進党の分裂が進むだけ再増税の可能性が減り、日本経済は「命拾い」することになる。

今後の政局を見るうえで気にかかるのはマスコミの動向である。

新聞を中心とするマスコミのなかには、消費増税に関して賛成の立場を取るものもある。というのも、増税が達成されれば、新聞への軽減税率が適用されることになるからだ。

だからマスコミは「野党分裂」の現状よりも「自民一強」を強調することで、消費増税の議論を読者の目につかないようにしているふしがある。マスコミがやたらと野党を持ち上げているような報道が出たときは、一歩引いて見たほうがいい。

【私の論評】自民党は人の振り見て我が振り直せ(゚д゚)!

野田佳彦氏の有名な「シロアリ演説」の動画を以下に掲載します。



この演説素晴らしいです。現在聴いても素晴らしいです。この演説の通りの政策を実行したら、今頃民主党は未だ政権の座についていたかもしれません。そもそも、一部のパヨクを除く多くの一般国民はまずは経済がまともであれば、政府に対してさほど不満はいだきません。多少悪かったにしても、さほどではないならば、許容します。しかし、経済が悪ければ他がどのように良くても、許容しません。

さらに、野田氏は当時の民進党の中では、保守派とみられた人です。2012年、10月14日に海上自衛隊の観艦式に出席した当時の野田総理大臣は、自衛官に向けた訓示の中で、「一層奮励努力」等の旧日本海軍が第二次世界大戦前に使用した用語を用いていました。観艦式は神奈川県沖の相模湾で行われ、護衛艦「くらま」に乗艦した首相らが、艦艇の洋上パレードや潜水艦の潜航浮上などを観閲しました。

これは、当時の中国に対しては、かなりの脅威でした。何しろ、この観艦式には実質空母と言っても良いような、「ひゅうが」が参加していました。

これは、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)と呼ばれる艦です。最大積載機数は11機です。これは、当時というか現在でもまともな「空母」を作ることができない中国にとっては、かなりの脅威でしたし、さらには旧海軍の用語も用いた当時の野田総理の旧帝国海軍の用語を用いた訓示は、中国にとっては日本海軍の復活を想起させ、かなりのプレッシャーを感じていたはずです。

まさに、この動画の通りの政策をしていたら、野田政権は長期政権になった可能性すらあります。

しかし、そうはなりませんでした。それは、野田氏がすっかり財務省色に染まり、その結果、野田氏は完全に財務省の操り人形になり、「シロアリ演説」での意気込みがどこかに飛んでしまったからに他なりません。

デフレの最中に、消費税増税は経済政策として、悪手中の悪手であることは言うまでもありません。これについては、ここでは詳細は説明しません。これについては、以下の記事をご覧になって下さい。
1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言―【私の論評】野党とメディアは、安保や経済など二の次で安倍内閣打倒しか眼中にない(゚д゚)!
ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ教授
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではスティグリッツ氏が「国の借金が1000兆円ある」という主張を鵜呑みにしてはいけないと警告していることを掲載しました。

この記事には、他の記事のリンクも含んでいます。これらの記事も読んでいただければ、日本政府の借金は、政府の資産を考慮に入れ、さらに日銀をも含む連結決算でみれば、今年からは、借金どころか黒字になり財政再建は終了するであろうことが理解できます。

この状況では全く増税する必要はないばかりか、8%増税を実施した2014年度にもその必要性はなかったことがご理解いただけるものと思います。

野田氏の財務省色への染まり具合は相当酷いものがあります。その実体を示すような内容もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!
参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=昨年9月28日午前
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、いかに野田佳彦氏が財務省色への染まったているかを示す部分のみ以下に引用します。

"
民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。



この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
民主党政権時代には事業仕分けなど実は民主党時代のかなりの政策が、財務省によって計画され実行されたものです。民主党政権時代には、財務省がすすめたものは、何とか前進することができましたが、その他の政策はほとんどが頓挫したため、民主党政権は3年3ヶ月漂流していたようなものだと批判する人も大勢います。

現在の民進党も、民主党時代のように財務省におんぶに抱っこという姿勢はあまり変わっていないようです。それは、蓮舫代表をはじめとして、党幹部の全員が10%増税に賛成なことでも十分にうかがえます。

上の高橋洋一氏の記事では、「民進党は依然として、財源の確保に増税は不可避であるとの方針を持っているが、いまの蓮舫代表・野田幹事長の体制で民進党が勢いを取り戻したら、2発目の爆弾が炸裂するのは秒読みとなる」としています。

現在の民進党でまともな経済観を持っているのは、馬渕議員だけです。実は、もう一人金子洋一氏もまともな経済観をもつているのですが、残念ながら直近の参議院選挙で落選してしまいました。

自民党ですら、安倍総理と一部の側近とその他のほんの一部の議員だけが、まともな経済観を持っているのですが、その他は民進党の議員とさほど変わりません。だから、こそ安倍総理大臣自信は8%増税には反対だったにもかかわらず、財務省をはじめ与野党の議員のほとんどが8%増税推進派であったばかりか、マスコミから識者まで諸手を挙げて推進しました。

しかも、彼らは8%増税しても日本経済への影響は軽微であるとしたため、安倍総理は8%増税を決断せざるを得なくなり、実施した結果が大失敗でした。


2014年4月に行われた8%増税の影響で、日本経済が大打撃を受けてました。1997年の増税時と比較してみると、倍以上も消費が落ち込んだのです。これはかつて無いほどの事態で、リーマンショックや東日本大震災というような外的要因を除けば、戦後史上最悪の値となりました。その後も、個人消費は十分に回復せず、GDPの低迷は続いています。

これに不信感を抱いた安倍総理は以降、10%増税は絶対にしないという方針で臨んでいます。

しかし、以上にあげたように現在の自民党の状況は、安倍総理とその側近と一部の議員だけが増税に反対であり、その他の議員は、民進党の愚鈍な議員と同じく増税推進派です。無論、安倍総理が増税反対なので、内心は増税賛成なのですが、安倍総理に従っているだけです。

このままでは、ポスト安倍とはいっても適切な人材が存在しません。自民党の議員らも、現在の民進党の危機的状況はどうして発生したのか真摯に受け止め、勉強し、まとも経済観を持つか、それができないまでも、こと経済に関しては、予測が当たっていない財務省や官僚の言うことなどは無視して、とにかく過去の経済予測があたっている人の意見を尊重するようにすべきです。

そうでないと、いつ自民党も民進党と同じく衰退するかわかりません。実際、自民党は民主党に政権交代されているではありませんか。第一次安倍政権の時にも、経済を重視しなかったために、安倍政権は崩壊しました。

その時のことを真摯に反省した安倍政権は、第二次安倍政権では経済を最優先させています。

今のまま、安倍総理が辞任したとしてら、たちまち自民党も衰弱します。おそらく、また短期政権が何度か続き、政権交代前の民主党のように、10%増税はしない、官僚を退治することを主張する政党に負け再び下野することになります。

まさに、今の自民党は人の振り見て我が振り直せという格言を思い出すべきなのです。

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2017年4月29日土曜日

焦点:初飛行迎える中国初の大型旅客機、欧米2強脅かすか―【私の論評】いつもの「チャイナ・クオリティ」で終わり高速鉄道と同じ運命をたどる(゚д゚)!


中国産狭胴型ジェット旅客機「C919」
中国が同国初となる国産大型ジェット旅客機の受注を2010年の国内航空ショーで発表した時、同国航空事業の転換点となるこのイベントには地元メディアのみが招かれ、欧米の記者は取材を許されなかった。

関係者によると、国産狭胴型ジェット旅客機「C919」は5月5日にも初飛行に臨む見通しだが、今回は外国メディアやバイヤーが大挙して招かれる。今後20年で2兆ドル(約219兆円)が見込まれる世界のジェット旅客機市場での競争に向け、中国政府がいかに体制を整えているかを示している。

だが、開発着手からほぼ10年、3年の遅延を経て、ボーイング737型機の競合機となるC919とその開発担当は、米ボーイング(BA.N)と欧州のエアバス(AIR.PA)が牛耳る世界のジェット機市場にいかに売り込みをかけるか、という正念場を迎える。

中国側は価格競争を仕掛けるだろうが、相手の建造スピードはより早く、経験も豊富だ。競争で搾り取られるリスクがある」と、ティール・グループ(米バージニア州)の航空アナリスト、リチャード・アボラフィア氏は指摘する。

C919の開発を担う国有中国商用飛行機(COMAC)にはいくつか切り札があるという。西側製のエンジンと航空電子工学機器を搭載し、新デザインを起用。パイロット訓練プログラムを始動しており、外国人スタッフを増員。水面下では、中国政府からの強力な支援も受けている、と航空業界幹部は説明する。

まだ確証はないものの、COMACは、自国の巨大な航空機市場と長期的には海外市場の双方において、今後数十年でボーイングとエアバスの独占を脅かす唯一最大の脅威となり得る。C919は、その最初の一歩となる。

中国政府がこの単通路機を後押しすることで、COMCは、世界最速で成長する国内市場において飛躍することができる。とはいえ同社は、世界市場でのハードルの高さは認識している。

「われわれをボーイングやエアバスと比較することはできない。戦略的ステージが違う。(航空機開発という)最初の戦略的課題を解決するのに半世紀かかった。市場攻略という第2の課題を解決するためには、また何年もかかるだろう」と同社広報担当のジェフ・チェン氏は語る。「初飛行の後は、C919とCOMACの市場競争力を高めることに集中しなければならない」

エアバス中国法人のエリック・チェン社長は、COMACの参入を歓迎。また、ボーイングの中国広報担当者は、C919の開発を祝福した。

<国際的サポート網>
C919は、主に中国政府系の航空会社やリース会社など23社から計570機を受注したが、その内訳を明らかにしていない。それに比べ、ボーイング737最新型機は、昨年1月の初飛行までに3000機以上の受注があった。

ボーイングとエアバスという2大メーカーが大規模受注を実現できるのは、数十年に及ぶコスト削減と市場への売り込みの実績があるからだ。両社は、航空機が故障した場合にいつどこでも対応できる世界規模のサポートネットワークを持つ。運航中の機体が多いため、航空会社も、購入のための融資を取り付けやすい。

中国資本が世界の航空機市場に攻勢をかける一方、COMACは国際航空ショーで比較的目立たない姿勢を取り、C919は国内向けと説明してきた。だが、同社がより積極的な戦略を取り始める兆しも見える。

2007年に初飛行を行ったCOMCの地域路線用小型ジェット機ARJ21のマニュアルは中国語で書かれたが、C919のマニュアルは、売上を伸ばすため英語で書かれている。

広報担当によると、COMACの営業やサポート部門には50人以上が在籍しているが、エアバスやボーイングと比較するとほんの一部に過ぎない。

とはいえCOMACの本拠地での優位は重要だ。中国の航空各社は今後20年で航空機7000機近くを主にボーイングやエアバスから購入する見通しで、世界の航空機需要のけん引役となる見込みだ。

「営業担当は中国政府だ」とある中国系航空会社の幹部は指摘する。「政府が国営航空会社に(COMAC機を)購入するよう指示すれば、その通りになる」

航空業界幹部は、COMACが実際に手付金や契約締結の商談に入れるようになるタイミングは、初飛行だと指摘する。初飛行後も、納入までに何年もの試験が必要になる。

「まだ手付金は支払っていない。(購入)意志を示した段階だ」と、 厦門(アモイ)航空のチャ・シャンルン会長は言う。同社は中国南方航空(600029.SS)(1055.HK)の子会社で、158席のC919を最大50機購入するとしている。 

「50機購入を表明したが、実際に欲しいのは30機だ。実際に生産できるか確認しなければならない。COMAC側は非常に熱心で、毎月のように開発状況を説明してくれる」

<安全性は>

中国の航空会社2社の幹部は、C919を発注する前に、安全記録を確認し、世界規模のサポートチームを構築してほしいと語る。

航空当局から機体の安全認証を得ることが、C919が国際市場に参入するための最大の課題の1つとなりそうだ。国営メディアによると、C919の価格は一機5000万ドル(約55億円)で、ボーイング737やエアバスA320の半値以下となる。

旅客機として飛ぶのに必要な安全認証を取得するのは、西側の航空機メーカーにとっても容易ではない。航空機の構造がより複雑になり、サプライチェーンも拡大しているからだ。C919が中国国外で飛ぶために必要な許可を取得できるかは、まだ不確実な部分がある。米国と欧州連合(EU)が、この分野で最大の影響力を持っている。

EUは、中国当局が行う審査の一部をそのまま認証することで同意したものの、安全認証の発行に向け、EU基準の審査にこだわる部分もあるとみられている。EUは現在、中国の認証基準との違いを検証している。

「まだ手続きは始まったばかりだ」と欧州航空安全局のエグゼクティブディレクター、パトリック・キー氏は語る。米連邦航空局は、コメントの求めに応じなかった。

欧米当局の認証が得られなければ、中国の認証基準を承認している国にしかC919を売れなくなる。ジンバブエとボリビア、タジキスタンは、過去に中国機を購入した実績がある。

欧米当局の認証がなければ、「先進国や、多くの新興国への売り込みは困難または不可能になる」と航空・防衛関連出版アビエーション・ウィークのブラッドレー・ペレット氏は話す。

これまでのところ、C919を購入する国外勢は、実質的にリース会社のGEキャピタル・アビエーション・サービスだけだ。親会社の米ゼネラル・エレクトリック (GE.N)は、仏航空宇宙大手サフラン (SAF.PA)とともに、同機のエンジンを開発した。

「われわれの飛行機が市場に参入し、実際に使われてみて初めて、何が足りないかが分かるだろう」と、COMACのチェン氏は言った。

【私の論評】いつもの「チャイナ・クオリティ」で終わり高速鉄道と同じ運命をたどる(゚д゚)!

C919は158座席、航続距離4075キロでボーイングB737やエアバスA320と競合する長さです。

中国には今までもMA60というプロペラの国産旅客機がありましたが、「世界で最も危険な旅客機」として有名でした。それについては、以下の記事をご覧になって下さい。
中国製小型航空機で事故多発 中国人「国産怖くて乗れない」
MA60
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部分だけ引用します。
 中国の航空機メーカー、西安飛機工業が製造した旅客機「新舟60」が25日、降着装置の異常が表示されたために着陸できなくなった。同機は目的地の瀋陽桃仙空港の上空で旋回を繰り返し、低空飛行をして地上から降着装置が出ていることが確認されたとして、午後8時17分に着陸した。新舟60は4日にも、降着装置の問題で事故を起こしていた。西安飛機工業は航空当局に新船60の一時飛行停止を申請した。中国新聞社などが報じた。 
C919はすでに21社から計517機を受注したのですが、全て中国の航空会社と、開発に関わったりした企業からの発注です。

最大航続距離は5555キロでボーイング737に匹敵し、北京や上海からアジア主要都市へ、無着陸で飛行できます。

このクラスの中型機はB737とA320の2機が独占しており、他社が参入する隙が無いようにも見えます。

B737は1967年に初飛行以来、モデルチェンジを重ね3世代で8300機以上を販売したベストセラーです。

最近まで危険な旅客機しか作れなかった中国が、短期間に欧米に匹敵する数値を実現できたのは、驚くべき進歩だと言えます。

しかし、この国産旅客機を開発したのは中国自身ではなく、実質的にはGEなどの欧米メーカーなのでした。以下にC919がどのような部品を用いているのか示すチャートを掲載します。


ほとんどが米国製です。これで、本当に中国国産といえるのでしょうか。このような疑問については中国メディアですら報道しています。以下にそのニュースのリンクを掲載します。
中国の旅客機「C919」 誇るべき国産品か、ただの組立品か=中国メディア
 中国商用飛機(COMAC)が開発を行ってきた旅客機「C919」が2日に上海市内でラインオフしたことについて、中国メディアの騰訊は3日、C919は「誇るべき国産品か、それとも低レベルな組立品に過ぎないのか」の見出しで記事を掲載した。
ただし、このようなことは、中国だけのことではありません。たとえば、トランプ米大統領は2月17日、米南部サウスカロライナ州ノースチャールストンにあるボーイングの旅客機工場を視察し、日本でも就航する中型旅客機ボーイング787ドリームライナーを前に「米国人労働者が、米国の工場で、米国製の製品を造ることを望んでいる」と訴え、787旅客機を「夢を実現した」旅客機と絶賛しました。

しかし、787は、日本のほか英仏伊などが参加した国際共同開発機です。海外製部品の割合は7割近くに達する。中でも日本は35%を担当。三菱重工業、川崎重工業、富士重工業の3社が主翼、胴体パネルなどを担当します。

またこの日、トランプ氏が「カーボンファイバーを使っているんだ!」と褒めたように、世界で初めて炭素繊維複合体(日本の東レが製造)を機体の多くに使用し軽量化を実現しました。
トランプ氏は「米国製品を購入せよ! 米国人を雇用せよ!」がキャッチフレーズ。今回、その主張に最適の地を選んだはずでしたが、図らずも日本製など海外製品の優秀性を強調することになってしまいました。

サウスカロライナ州ノースチャールストンにあるボーイングの旅客機工場を視察したトランプ大統領
ただし、これは元々国際共同開発であり、しかも米国が主導して各国をコーディネートして作り上げたものです。そうして、日本のカーボンファイバーなどごく一部を除き、米国でも製造することができるものです。しかし、各国にはそれぞれ得意分野があり、国際共同開発をすることにより、迅速で低コストで実現したものです。

しかし、中国に関して、元々技術水準が低いですから、C919の開発は、このようなこのような国際共同開発に近いようなものではなく、単に中国の技術水準の低さをカバーするためのものであると考えられます。

それを裏付けるものとして、米国製の部品の比重がかなり高いです。
中国は今後20年で約6000機の旅客機を就航させる計画で、一部を国産機で充当する考えを持っています。

6000機の多くは小型から中型機で、C919が1割を占めるとして600機、2割なら1200機は確実に売れます。

エアバスは既に中国に工場を建設し、200機以上のA320を生産しています。ボーイングB737の工場を中国に建設し、300機を生産する計画を発表しています。

エアバスとボーイングに突きつけられた条件が「技術の開示」や「技術移転」「技術協力」なのは確実でした。

自動車でもスマホでもパソコンでも、中国で販売する商品は何でも製造技術を中国に開示しなければなりません。

C919は当初2015年には初飛行している予定でしたが、遅れた原因はアメリカ製の主用部品が届かない事だったと考えらます。

エンジン、航空電子システムといった中枢システムは、GEと中国航空工業集団公司 (AVIC)の合弁会社である昂際航電から納入されました。

787や777-Xに匹敵するシステムだと説明していますが、実際の所はどうだか分かりません。

ところで、中国国内では、C919を哨戒機や電子戦偵察機に改造するとこんな形になるというような画像がネット上で出回っていました。


このようなことは実際あり得ることだと思います。しかし、米側は当然のことながら、部品の中や、他の電子部品やそれを運用するソフト部分に、中国側には知らさない何らかの秘密を持ったままで、中国に提供しているものと思います。

中国としては最初のうちは欧米に儲けさせておき、技術を盗んだら完全国産化して輸出攻勢を掛けるつもりでしょう。しかし、この秘密を解読するのは至難の技のようです。

中国は1970年代から、国産ジェット旅客機の自主開発に取り組んでいました。1992年、国営の上海飛機製造有限公司(上飛公司)と当時の米大手航空機製造会社マクドネル・ダグラス社が40機のMD-90の共同生産の契約を結んだのですが、結局その一基あたりの製造コストは米直輸入のMD-90より1000万ドルも高く、巨額な赤字を出しました。

共同開発ですらこの有様なのですから、中国が部品を安直にコピーしようとしても、そううまくいくとは思えません。

このような観点から、この飛行機が目論みどおりの成果を挙げるか、いつもの「チャイナ・クオリティ」で終わるのかは注目です。

そうして、いつもの「チャイナ・クオリティ」で終わる確率が高いように思います。なぜなら、中国は高速鉄道輸出でも結局大失敗しているからです。それについては、以前のこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【ビジネス解読】中国製車両が海外で初の大規模リコール シンガポール都市鉄道が故障だらけ 鉄道受注合戦さらに暗雲―【私の論評】中国高速鉄道には元々安全性に問題!導入すれば大惨事を招くだけ(゚д゚)!

 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の高速鉄道は壮絶な売り込みをして、一見勝利をおさめたように見えた時期もあったのですが、結局失敗しそうです。

中国の高速鉄道の技術は日本の新幹線の古い技術のコピーですが、結局コピーではなかなかうまくいかずどうしても、自主開発の部分がでてくるのですが、その部分はなかなか難しいのでしょう。

以上のようなことから、中国初の大型旅客機は失敗し、欧米2強を脅かすような存在にはならないでしょう。いつもの「チャイナ・クオリティ」で終わり高速鉄道と同じ運命をたどりそうです。

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2017年4月28日金曜日

ルトワック博士の緊急警告! 先制攻撃か降伏か 日本が北朝鮮にとるべき選択肢―【私の論評】日本が戦争できる国に変貌することが、アジアに平和をもたらす(゚д゚)!

ルトワック博士の緊急警告! 先制攻撃か降伏か 日本が北朝鮮にとるべき選択肢

エドワード・ルトワック博士
『戦争にチャンスを与えよ』を上梓したエドワード・ルトワック氏より日本の読者へ向けて緊急の提言が届いた。朝鮮半島情勢が緊迫する中、日本がとるべき道とは何か。軍事的衝突の確率とは。“最強の戦略家”による最新の情報を、本書の一部とともに紹介する。
ルトワック博士の緊急警告! 
 習近平は現時点で、トランプからの「平壌(北朝鮮)政府に本物の圧力を加えてくれたら、米中貿易関係における要求を減らしてやる」という提案に対して、それなりに対応しているように見える。 
 なぜなら北京では、北朝鮮に対する石油の流れを制限することが議論されているからだ。 
 もしこれが実現すれば、きわめて重要なステップになる。 
 また中国は、アメリカによるシリアの空軍基地に対する巡航ミサイル攻撃を利用して、北朝鮮側に核実験を自制するよう警告している。そこで発せられているメッセージは「気をつけろよ! トランプはオバマと違うぞ。お前も攻撃されるぞ……」というものだ。 
 では、米軍はどういう計画を持っているのか。 
 米軍のトップたちは、かつてイスラエルがイラクやシリアに対して行ったような攻撃、つまり、北朝鮮の核・弾道ミサイルなどの目標に対して、たった一度の精密攻撃で「非核化」することを狙うような、「先制攻撃」だけをオプションとして考えているわけではない。 
 むしろ米軍はトランプ大統領に対して、「非常に大規模な空爆」、つまり、核・弾道ミサイルに加えて、北朝鮮の航空基地や地対空ミサイル部隊といったターゲットを攻撃するというオプションしか提案していないのである。
 これは非現実的な数日間にわたる作戦であり、民間人にも多数の死傷者がでるだろう。 
 ただしこのようなオプションは、北朝鮮が最初に大規模な砲撃や侵略、もしくはその両方を使って攻撃してこないかぎり実行されないはずだ。 
 さらに、アメリカ政府には「経済的遮断」という強力なツールがある。たとえば全般的な経済力に加えて、実際に金融制裁などを使って北朝鮮の資金調達を真綿で首を締めるようにして遮断することができるのである。 
 まとめていえば、トランプ政権下の米国はまたしても「防御的」に行動することになるだろう。ただしオバマ政権との決定的な違いは、そこに「戸惑い」や「曖昧さ」はない、という部分だ。


平和は戦争につながる

(以下『戦争にチャンスを与えよ』からの転載です)

「戦略」において、すべては反対に動く。

 戦争で国家や国民が被害を受け続けるのは、日常生活や平時における通常のロジックと紛争や戦時におけるロジックがまったく異なるからだ。また、そのことを理解するのが難しいために、被害がさらに拡大することになる。

 最も難しいのは、「戦争ではすべてのことが逆向きに動く」というのを理解することだ。たとえば、「戦争が平和につながる」という真実である。戦えば戦うほど人々は疲弊し、人材や資金が底をつき、勝利の希望は失われ、人々が野望を失うことで、戦争は平和につながるのだ。

 ところが、逆に「平和が戦争につながる」ことも忘れてはならない。

 人々は、平時には、脅威を深刻なものとして考えられないものだ。平時に平和に暮らしていれば、誰かの脅威に晒されていても、空は青いし、何かが起こっているようには思えない。友人との飲み会に遅れないことの方が重要で、脅威に対して何の備えもしない。

 つまり、脅威に対して降伏するわけでも、「先制攻撃を仕掛ける」と相手を脅すわけでもない。そのように何もしないことで、戦争は始まってしまうのである。

 平時には、脅威が眼前にあっても、われわれは、「まあ大丈夫だろう」と考えてしまう。脅威が存在するのに、降伏しようとは思わず、相手と真剣に交渉して敵が何を欲しているのかを知ろうともせず、攻撃を防ぐための方策を練ろうとも思わない。だからこそ、平和から戦争が生まれてしまうのである。

 平時には、誰も備えの必要を感じない。むしろ戦争に備えること自体が問題になる。そうして行動のための準備は無視され、リラックスして紅茶でも飲んでいた方がよい、ということになり、そこから戦争が始まるのだ。

 平和は戦争につながる。なぜなら平和は、脅威に対して不注意で緩んだ態度を人々にもたらし、脅威が増大しても、それを無視する方向に関心を向けさせるからだ。日本にとって、その典型が北朝鮮問題だ。

北朝鮮のICBM

北朝鮮への日本の態度

 北朝鮮は、特異な政権である。特異な点として、二つ挙げられるだろう。

 一つは、リーダーのヘアスタイルがひどい、ということだ。金正恩の髪型は本当にみっともない。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記
 もう一つは、北朝鮮の軍事関連の技術力は侮れない、ということだ。根本的な意味で、日本やアメリカ以上の底力を持っている。

 もちろん、彼らのミサイルは、塗装されていない。アメリカや日本のミサイルは塗装されているが、そもそも爆発させるミサイルを塗装した方がよいかどうかという問題は、ここでは論じないでおこう。とにかく北朝鮮のミサイルは塗装されていないことが多い。

 その一方で、北朝鮮は、人工衛星を打ち上げ、中距離弾道ミサイルも発射した。さらに弾道ミサイルを潜水艦からも発射しているのだ。ミサイルに搭載可能な核弾頭の爆発実験も成功させた、と見られている。

 しかもこれらすべてを、彼らは非常に少ない予算で短期間に実現しているのだ。

 もし日本政府が国内メーカーに、中距離弾道ミサイルとそれに搭載可能な核弾頭、宇宙に飛ばす人工衛星の開発などを命じても、おそらく年間の国防費以上の予算と、調査、研究、開発に一五年ほどの時間が必要になるだろう。

 したがって、北朝鮮の軍事関連の技術者を侮ってはならない。彼らは、他国の技術者の五倍以上の生産性を有している、と言えるからだ。たとえば、イランは、核開発に北朝鮮の五倍もの時間をかけながら、一発の核兵器に必要な核物資さえつくりだせていない。人工衛星の技術もない。

 要するに、北朝鮮の軍事開発力は、極めて危険な域に達しており、真剣に対処する必要があるのだ。

北朝鮮への降伏
 私は戦略家であり、政治家ではない。ましてや教師や牧師でもない。倫理道徳の価値観の教育は専門外だ。したがって、私が日本政府に対して言えるのは、「何もしないのが最悪の選択肢で、以下の選択肢のうちの一つを実行せよ」ということぐらいである。

 第一の方策は、「北朝鮮に降伏(サレンダー)する」というものだ。

 北朝鮮政府が真に何を望んでいるのかを聞き出し、経済制裁をすべて解除する。祖国への朝鮮総連の送金に対する制限も解除し、金一族を讃える博物館を表参道に建て、北朝鮮に最も美しい大使館を建てさせる。

 代わりに、日本政府は、北朝鮮に五〇〇キロ以上の射程を持つミサイルの開発を止めてもらう。五〇〇キロ以上の射程のミサイルは、国際的な「ミサイル技術管理レジーム」(MTCR)での制限の対象となっている。またそれだけでなく、これは、幸いなことに偶然にも、朝鮮半島の非武装地帯から下関までの距離と同じなのだ。

 これは、北朝鮮に対する制裁をすべて解除し、彼らに名誉を与え、国家としての彼らの存在を認めることで、五〇〇キロ以上の射程のミサイルの脅威を取り除く、という道だ。

北朝鮮への先制攻撃
 次の方策は、「北朝鮮を攻撃する」というものだ。しかもこれは、先制攻撃(プリエンプティブ・ストライク)でなければならない。核関連施設を特定しつつ、それらすべてを破壊するのである。

 たとえば、イランの核開発の脅威に晒されているイスラエルは、先制攻撃能力を持っている。イスラエルが先制攻撃する場合は、儀式的なことは一切抜きに、ただ実行するのみだ。しかも彼らは、アメリカと違って空爆だけを用いるわけではない。空と陸から同時に攻撃を行うのである。

 もしイスラエルの首相が、「イランが核攻撃を行いそうだ」という報告を受けたら、即座に空と陸から攻撃を開始する。しかも、有人機とミサイルを使うのだ。ミサイルも、短距離ミサイルと長距離ミサイルの両方を使う。

 アメリカは、OPLANという韓国との合同演習で、北朝鮮の核施設への攻撃を想定した訓練を行っているが、いずれにせよ、北朝鮮が核弾頭をミサイルに搭載したら、その時点で完全に手遅れだ。

 ここで覚えておかなければならないのは、北朝鮮のミサイルは、侵入の警告があれば即座に発射されるシステム(LOW)になっているかもしれない、という点だ。このシステムでは、アメリカの航空機やミサイルが侵入してくれば、北朝鮮側の兵士が自動的に発射ボタンを押すことになる。

 LOWとは、レーダーからの警告に即座に反応することを意味する。彼らは、その警告を聞いた途端にボタンを押すのだ。そうなると、北朝鮮を攻撃すること自体に大きなリスクが伴う。

 もし北朝鮮を本気で攻撃するのであれば、空からだけでなく地上からの支援も必要だ。地上に要員を配置して、ミサイルをレーザーなどで誘導しなければならないからだ。つまり「現場の兵士」が必要となるのであり、ミサイルの着弾後も、攻撃目標が間違いなく破壊されたかを確認する必要がある。ミサイルが着弾しても、爆発による煙やホコリが落ち着くまで写真撮影は不可能であり、破壊評価が遅れるので、現場の人員が必要になるのだ。そのためには、北朝鮮内に何らかの方法で人員を予め侵入させておき、目標を把握しておかなければならない。

 韓国は、そうした能力を持っているとされるが、もしそうなら、作戦敢行の最も良いタイミングは、今夜、もしくは明晩ということになる。しかし、いくら能力があっても、それを使う「意志」がなければ、能力は何の意味もなさないのである。

韓国と北朝鮮との軍事境界線上にある板門店
「まあ大丈夫だろう」が戦争を招く

 日本国民も、一九四五年以来、他国や他民族が戦争の悲劇に見舞われてきたことを目撃してきたはずだ。街が燃やされ、多くの人間が殺され、子供も殺されたのだ。それらすべてのケースがなぜ発生したかと言えば、当事者たちが、「まあ大丈夫だろう」(it will be all right)と思ってしまったからだ。

 人間というのは、平時にあると、その状態がいつまでも続くと勘違いをする。これは無理もないことだが、だからこそ、戦争が発生する。なぜなら、彼らは、降伏もせず、敵を買収もせず、友好国への援助もせず、先制攻撃で敵の攻撃力を奪うこともしなかったからである。つまり、何もしなかったから戦争が起きたのだ。

 いま北朝鮮に関して生じているのは、まさにこのような状況だ。

 アメリカは、北朝鮮の核開発の阻止に関して何もしていない。アメリカだけではない。他の西側諸国も、中国も、ロシアも、何もしていない。

 さらに北朝鮮は、核兵器と弾道ミサイルを保有し、韓国を直接脅かしているのに、韓国自身も何もしていない。彼らは、北朝鮮に対して抑止さえもしていないのだ。

 韓国は、北朝鮮に何度も攻撃されているのに、反撃さえしていない。韓国の哨戒艦「天安」の沈没事件でも、誰もいない方向に砲撃しただけだ。

 要するに、韓国は、北朝鮮の脅威が現に存在するのに、何も行っていない。「降伏」も、「先制攻撃」も、「抑止」も、「防衛」もせず、「まあ大丈夫だろう」という態度なのだ。

 これは、雨が降ることが分かっているのに、「今は晴れているから」という理由だけで、傘を持たずに外出するようなものだ。ところが、このような態度が、結果的に戦争を引き起こしてきたのである。

エドワード・ルトワック(Edward N. Luttwak)

【私の論評】日本が戦争できる国に変貌することが、アジアに平和をもたらす(゚д゚)!

北朝鮮の特異点としてルトワック氏は、金正恩の酷い髪型と、北朝鮮の軍事関連の技術力は侮れないということをあげていました。

金正恩の髪型とは、無論髪型そのものを言っているのではなく、北朝鮮の体制や文化水準などのことを指しているのだと思います。

そうして、軍事技術に関しては、多くの日本人はどうせかつてのソ連や、今ロシア、それに日本などから盗んだものとして、あまりその技術水準に対して脅威を感じていないようでもあります。

しかし、他国の技術盗むということでは、中国をはじめとしてどのような国でも盗んでいるといえば盗んでいるはずです。別に北朝鮮だけが、技術を盗むことに長けているというわけではないです。にもかかわらず、北朝鮮が短期間に核やミサイルの開発に成功しているということは決して侮れないということです。

これに関しては、なぜ北朝鮮の軍事技術が優れているのかについて、このブログで解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮、特別重大報道で「人工衛星発射成功」を宣言―【私の論評】韓国にはるかに立ち遅れた北朝鮮が、水爆や長距離弾道ミサイルに挑戦できるのはなぜ?
 

この記事は昨年2月7日のものです。詳細は、この記事を読んでいただくものとして、以下には北朝鮮の軍事技術が侮れない理由を述べた部分を引用します。

北朝鮮のミサイル技術も、ソ連の流れを汲むものですが、すでに完成された技術をつかっており、精度を更新するための工夫はあっても、ほとんど進化していません。 
とはいいながら、自前で、車や航空機を製造することができるある程度技術のある国にとっては、そうなのですが、発展途上国などではなかなかそうはいきません。 
にも関わらず、北朝鮮が成功したしないは別にして、とにかく人工衛星発射に挑戦できるだけの技術基盤をどのようにして構築したのでしょうか。 
無論、旧ソ連の技術を転用してたりしているはずですが、それにしても、特に韓国と比較して、著しく技術面でも、経済面でも遅れてしまった北朝鮮でなぜそれが可能になったのでしょうか。 
それは、歴史を遡るとおのずと答えがでてきます。 
大東亜戦中・戦前はご存知のように、朝鮮半島は日本に統治されていました。そうして、実は、日本統治時代、電源開発や工業化において、南朝鮮よりも、北朝鮮の方がはるかに進んでいました。 
朝鮮と満洲の国境を流れる鴨緑江の水系には当時世界最大級の水豊ダムがあり、支流の赴戦江、長津江、虚川江にもダムがありました。
現代の水豊(スプン)ダム
このダムは太平洋戦争の泥沼化の中、1944年3月、水豊水力発電所(発電能力:60万kW)と共に竣工しました。この発電規模は当時の世界最大級であり1940年当時の日本国内の水力発電規模280万kWと比較してもその大きさは容易に比較できます。7基の発電機は各々約10万kWの発電能力を持っていたが、当時世界最大級の能力であり、製造を受注した東京芝浦電気(現在の東芝)は製造のために新工場を建設しました。 
1945年8月9日、ソ連軍(赤軍)侵攻により、7基の発電機のうち5基を略奪されました。略奪された発電機は、カザフスタン共和国、イリティッシュ川(エルティシ川)上流のダムで確認されています。 
朝鮮戦争中に雷撃を含む、アメリカ軍機の攻撃を受けたが、ダム構造が堅牢であったため決壊を免れました。ただしこの攻撃で北朝鮮では発電能力が激減し一時、広域にわたって停電しました。戦後に北朝鮮は発電能力を増強して復興しました。竣工から70年以上経過した現在もダム本体は大きな改修工事が行われず現役であり、現在も北朝鮮の重要なエネルギー源の一つです。なおダム湖は中朝国境となっていて、北側は中国領です。 
戦中には、この電力を使い、北部の日本海に面した興南という地に、日本窒素肥料(現チッソ)が大規模な化学工場を建設し、硫安などの肥料を量産していました。
最近の北朝鮮の旅客機の客室乗務員 スカートの丈が短くなった
戦後、日本から莫大な工業資産を引き継いだ北朝鮮の経済は長い間、農業国の韓国より優位に立っていました。1975(昭和40)年の一人当たりの国民所得は、韓国120ドルに対し、北朝鮮は190ドルでした。しかし、その10年後、韓国580ドル、北朝鮮450ドルと逆転しました。 
これは昭和40年の日韓国交正常化に伴う日本からの経済協力(無償3億ドル、有償2億ドル)を経済発展のために使った当時の朴正熈大統領をはじめとする韓国民の努力の成果でした。 
北朝鮮はすでに日本統治時代の資産を食いつぶし、現在のような状況に陥っています。しかし、日本から受け継いだ工業技術などは細々とでも、引き継いできたのでしょう。特に、民生分野ではかなり立ち遅れてしまいましたが、日本統治時代の資産の上に、旧ソ連などの技術などを継ぎ足し、継承しているのだと思います。

だからこそ、発展途上国であり、経済的にも恵まれず、人民が食うや食わずの状態でありながらも、人民を犠牲にしてでも、軍事技術などは何とか維持発展させ、核兵器や弾道弾などの技術に挑戦できるのです。

もし、北朝鮮が日本の統治を受けておらず、中国の属国のままであったとしたら、今頃、核兵器や大陸間弾道弾などとは無縁の国であったことでしょう。技術的な基盤がまったくないところに、ソ連などの技術を移転したとしても、自前で核兵器や、大陸間弾道ミサイルなど、なかなか開発できるものではありません。
これは、日本統治時代の朝鮮に対して日本がいかに貢献したかを物語っていると思います。日本統治時代に、日本は朝鮮の人民を自国民として扱い、自国民と同等の教育をしていたということの証であると思います。

そうして、現在の北朝鮮にあたるところには、工業化されていたことから、朝鮮人に対する産業教育なども十分に行われていたものと考えられます。統治時代の約30年間にわたり、北では具体的な産業教育が行われたものと思います。

そこで、産業の基本的なものの考え方や、心構えなども教えられたものと思います。一方、韓国においては統治時代にはそのようなことはなく、戦後しばらくしてから産業化し、見よう見まねで産業化が図られたため、そもそも基本的なものの考え方や、心構えなどがおろそかにされたのだと思います。

韓国では、これらが疎かにされ、付け焼き刃的に海外から技術を買ったり、技術者を雇ったりして最先端の技術を身につけたようにもみえるのですが、基本中の基本を疎かにしたため今日のようなチグハグな状況になってしまったものと思います。

その象徴的なことが、軍事産業で起こっています。たとえば、強襲揚陸艦の「独島」など象徴的です。以下に「独島」のポンコツぶりを示す記事のリンクを掲載します。
【世界を読む】韓国軍艦『独島艦』唖然の〝ポンコツぶり〟…自称「アジア最大」で機関砲は味方撃ち、火災・浸水・漂流で使い物にならず
韓国の強襲揚陸艦「独島」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、韓国がアジア最大の軽空母級輸送艦と自称する「独島(ドクト)艦」も救いようのないポンコツ品であることが、現地報道などを通じ次第に明らかになたことを報道しています。韓国が不法占拠する島根県竹島の韓国名を挑発的に命名したこの軍艦は、レーダーが役に立たず、機関砲を発射すれば甲板上の自軍ヘリに命中するという設計ミスが判明。あげくは平時の海上で浸水や火災を起こして漂流し、長期修理でドッグ入りしてしまいました。韓国内では、「パレード艦」「イベント艦」と揶揄され、就役から7年たっても全く戦力にならない“自慢の軍艦”の信じがたい実情を紹介しています。

この艦艇は、韓国が製造したものです。一国が製造した軍事用の艦艇や、戦車などには、その国の技術水準が如実に反映されるものです。

日本でもヘリコプター搭載型護衛艦として、このような艦艇を製造していますが、これほど酷い不手際があった試しはありません。

北朝鮮がもし、韓国と同じ程度の軍事予算を獲得することができれば、とてつもないことになるかもしれません。

しかし、日本とて韓国を笑ってばかりではいられません。今日、北朝鮮の核とミサイルは日本にとって最大の脅威となっています。北朝鮮に巨大な産業資産を設置し、産業教育などを施したことが回り回って、現在の脅威を生み出しているのです。

北朝鮮は、戦後しばらくは技術水準もかなり劣っているように見えたので、日本では多くの人が「まあ大丈夫だろう」だろうと考え、これに真摯に対応してこなかったことが、拉致問題を生み出しさらには、今日の脅威を生み出してしまったのです。

ルトワック氏は北朝鮮への日本の対応は、北朝鮮への降伏、北朝鮮への先制攻撃のいずれかしかないと主張しています。

無論、日本としては北朝鮮への降伏はあり得ないです。では、ルトワック氏の主張からすれば、北朝鮮への先制攻撃しかないということになります。

しかし私は、ルトワック氏は、日本が北朝鮮とすぐに戦争しろと単純に主張しているとは思いません。先制攻撃しかないなどといわれても、今の日本にはすぐに北朝鮮に先制攻撃できる力はありません。

そのようなことはわかっていて、このような主張をするわけですから、無論明日や明後日に、北朝鮮に先制攻撃しろと言っているわけではないと思います。そうではなくて、それに向けて今すぐに準備しろと主張しているのだと思います。

これに対処するために、日本は、北朝鮮に対して先制攻撃できるだけの軍事力とそれに対応できるように国内での法的裏付けをするべきであると主張しているのだと思います。

しかしそのためには、結局日本が「戦争できる国」に変貌するしかありません。こう言うと、リベラル・左派の人たちはとんでもないことだと大騒ぎするかもしれません。

しかし、彼らは、上でルトワック氏が主張しているような「平和は戦争につながる」という現実を見ていないだけです。

日本が北朝鮮に先制攻撃できるだけの準備を整え、いつでもそれを実行できるようにしておけば、そもそもこれから朝鮮半島で問題がおこることはなくなる可能性が高いです。

日本は、あまりに長い間平和を享受しすぎました。そのことが、今日の危機を招いているのです。そうして、日本が変わらなければこの状態は未来永劫にわたって継続します。

日本が戦争できる国に変貌することが、日本にそうしてアジア平和をもたらすのです。

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2017年4月27日木曜日

【共産党研究】民進党と明暗分けた森友問題、支持率わずか1・7%差に 選挙に結びつかない疑惑、スキャンダル追及―【私の論評】頭の悪い新聞と民進党はなぜ無間地獄に陥った?

【共産党研究】民進党と明暗分けた森友問題、支持率わずか1・7%差に 選挙に結びつかない疑惑、スキャンダル追及

学校法人「森友学園」の小学校建設用地。校舎を残して売却を検討中だ=大阪府豊中市
 産経新聞とFNNが15、16日に行った世論調査が興味深い。政党支持率の前月比で、民進党が1・8ポイント減の6・6%と、昨年3月の結党以来最低だったのに対し、共産党は1・1%増の4・9%になっている。両党の支持率の差は、わずか1・7%でしかない。

 この結果について、産経新聞は、これを従来の支持層であった無党派層が戻っておらず、一部は共産党に流れていると分析している。

写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 学校法人「森友学園」問題の追及で、共産党が大いに目立ったことは間違いない。本来、入手しがたい資料を次々と暴露した。鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)参院議員事務所の「陳情整理報告書」や、籠池(かごいけ)泰典・森友学園理事長(当時)が首相夫人付政府職員にあてた手紙などが、それである。

 イラだった麻生太郎副総理兼財務相が、共産党議員の追及に対し、「偉そうに人指さして…」と答弁して物議を醸したものである。他方、民進党はこうした資料をほとんど入手できなかった。

 ここに共産党と民進党の差がある。

 共産党の場合、こうした問題が発生すると、議員と秘書、「赤旗」記者などを集めてプロジェクトチームを結成し、チームで調査し、情報を一元化する。チームとして追及する材料、テーマなども決める。民進党が衆院厚労委員会で、介護保険改正案の審議中に森友問題を取り上げ、与党の採決を誘発したが、こんな愚かなことはやらない。

 ただはっきり言うが、こうした疑惑やスキャンダルの追及は、実は選挙には結びつかない。かつて「首相の犯罪」と言われ、田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件があった。当時、私は秘書として、この追及のためのプロジェクトチームに加わっていたが、訪米調査など間違いなく共産党の追及が群を抜いていた。

 だが、次の衆院選では惨敗を喫した。有権者は、ロッキード事件に高い関心を持っていたが、同時に自分の生活とは直結しない問題だったからだ。

 今回の世論調査で、安倍内閣の支持率は1・9%増えている。自民党の支持率は4・5%も増えている。共産党の支持率の増加は、民進党が減った分の一部だということに過ぎない。

 確かに、8億円もの値引きで国有地が売却されたことに、国民が憤ったことは間違いない。だが、その売却額で国が買い取ることに決まった。森友学園そのものも民事再生法を申請するまでになっている。国会での追及も、もはや収束の時期を迎えている。森友問題の追及が売り物だからといって、いつまでも拘泥していると足元をすくわれることになると警告したい。

■筆坂秀世(ふでさか・ひでよ)1948年、兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行に入行。18歳で日本共産党に入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家となる。議員秘書を経て、1995年に参院議員に初当選。共産党のナンバー4の政策委員長を務める。2003年に議員辞職し、05年に離党。評論・言論活動に入る。著書に『日本共産党と中韓』(ワニブックスPLUS新書)、『野党という病い』(イースト新書)など。

筆坂秀世氏

【私の論評】頭の悪い新聞と民進党はなぜ無間地獄に陥った?

森友問題の本質を整理すると、「①森友の前の豊中市への売却時にゴミ問題発覚した、②それを言わずに近畿財務局が森友と交渉、③その結果近畿財務局の値引き」というところです。

以下は、憶測ですが、②の時点で、ゴミが埋められていることを知った篭池氏は烈火のごとく怒って近畿財務局と交渉したことでしょう。これは完璧に近畿財務局の事務ミスであり、その後篭池氏に対しては頭の上がらない状態になったはずです。これで、篭池氏の一見不可解な行動は、大方説明がつきます。

ところが、朝日新聞は③近畿財務局の値引きと④昭恵夫人の関与というストーリーを報道するのみで、①と②はマスコミなら知っているはずなのに朝日新聞は報道しません。朝日はなぜ書かないのでしょうか。このことからも朝日新聞は、フェイクニュース機関です。

これは、調べれば誰でも理解できることであるはずです。このような情報を知っていれば、そもそも森友問題は昭恵夫人や政治家が関与したということもなく、単なる近畿財務局の事務ミスであり、これを追求しても他には何も出てこないことなどすぐに理解できたことでしょう。

上記①②③は明らかなため、大方のメディアはある時点から、森友学園の報道はやめました。それ変わって、現在は緊迫する北朝鮮状況の報道などが目立ちます。

これは当然といえば、当然です。民進党と共産党などの野党は、この問題の火付け役となりましたが、国会で問題にするくらいなら、上記に掲載した①、②、③くらいは予め良く調べてからにすべきだったでしょう。

そのため、全く決め手になるような内容は結局何も出てこず、まるで都市伝説のような展開になってしまいました。

当初は政府、複数官庁、大阪府、民間委員らがみんな森友学園のいいなりになっているかのような森友学園最強伝説のような話になり、その後は、第三者が忖度してるかどうかわかってしまう能力のある安倍首相エスパー伝説のような話になってしまいました。

結局都市伝説を立証しようとして、野党は国会で無駄な時間を延々と続けたということです。その中で、共産党は入手し難い資料などを提出しある程度アビールはできたものの、民進党はそのようなことはなく、都市伝説をもとに質問したり、糾弾するばかりで、何のアピールにもなっていませんでした。

そのような中で、民進党の蓮舫代表は定例記者会見で自民・二階俊博幹事長の今村雅弘前復興相の辞任に関する恨み節発言を批判していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【復興相辞任】民進・蓮舫代表「メディアが忖度すると思っているなら大きな間違い」 自民・二階俊博幹事長の恨み節を批判
記者会見する民進党の蓮舫代表=27日午後、東京・永田町の民進党本部
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用させていただきます。
 「昨日、自民党の二階幹事長が、お辞めになられた今村大臣よりも報道するメディアに非があるというような、ちょっと驚く発言をされていた。またあわせて経済産業相主導で経産省がマスコミ規制を強めているという事例、実態もあるので、こうした政府・与党の姿勢そのものが報道の自由度ランキングにも影響が出ているのではないかと危惧をしているし懸念をしている」 
 --二階氏の発言に対する受け止めは。また、党として二階氏に対し何らかの対応をするか 
 「発言そのものはある意味、メディアが報道していることが大臣のクビにもつながったというお怒りもお持ちだったかもしれないけれども、いずれにしても今村大臣が、なぜ国民が怒りを持っているのか、被災地の方たちが本当につらいお気持ちで静かな怒りを感じておられるのかを理解されていないのは、大きな大きな巨大与党の幹事長として私は非常に残念な思いで見ていた。あるいは大きな巨大与党の幹事長であれば、そうした言葉をすればメディアが忖度するとでも思っておられるとしたら、それは大きな間違いであると思っている」
この発言を見ていると、蓮舫代表は本当に目の前のこと、せいぜい数ヶ月のことでしか発言していないことが良くわかります。代表がこの有様なのですから、他の議員はどうなのかは推して図るべきです。

今村雅弘前復興相の辞任に関しては、昨日このブログでもとりあげました。その記事のリンクを掲載します。
【復興相辞任】「#東北でよかった」 失言逆手…自慢ハッシュタグに共感広がる―【私の論評】今村が「身の丈知らず」の愚か者に成り果てた理由(゚д゚)!
今村雅弘
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、私自身は今村雅弘氏自身については憤りを感じましたし、これをかばう二階氏の発言もいかがなものかと思いました。以下に一部を引用します。
そもそも、造反議員を復党させたのは、選挙対策でした。そうして、今村が造反議員であるにもかかわらず、大臣になれたのは、今村に能力があったとか、功績があったなどということではなく、派閥の力学によるところです。 
このようなことで、大臣になった人間はやはり、「身の丈」知らずの驕り高ぶりが生まれるのだと思います。まともな人が彼の立場であったら、日々感謝の気持ちを忘れることなく、とくかく自分に与えられた職責に日々邁進し、余計なことはしゃべらないと思います。
今村雅弘議員は、小泉首相が郵政民営化を推進していたときに、これに造反した議員でした。造反後は無所属の議員となったのですが、それが後に復党しています。

蓮舫代表が、二階氏の恨み節や、今村氏を批判するというのであれば、今村氏が過去に造反議員であったことをあげるべきです。そうして、造反議員を選挙対策で復党させたどころか、派閥の力学で大臣にまでさせたという事実を追求すべきであったと思います。

これを追求すれば、民進党内にも造反が出ている今日、それに対する牽制にもなったと思います。しかし、蓮舫代表はそのようなことは全くお構いなく感情の赴くままに話しているような内容です。そうして「忖度」などの最近のいわゆる流行り言葉のようなものは出てくるものの、このような日本の政治史にも残るような重要な話は一切でてきません。

郵政民営化の頃というと、蓮舫代表は議員になりたての頃だったと思います。さらに、当時の造反議員が復党したのは、もっと後のことであり、蓮舫代表はリアルタイムで経験しているはずのものです。

この発言内容や過去の発言などみていると、蓮舫代表は日本の政治史や、数十年後の将来の日本のことに関するようなことはほとんど考えておらず、目の前の出来事に反射的に反応しているとしか思えません。

これは、新聞などのメディアにも共通するところがあります。日本の大手新聞も、過去の歴史や日本の将来などについての考えなど全くないようで、ほんとうにここ数ヶ月の内容だけで、報道をしています。

民進党や、日本新聞などのメデイアは、リベラル・左派といって良いと思います。このリベラル・左派については以前かなり問題があることを掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ついに東京新聞が私のコラムを「ボツ」にした―【私の論評】日本のリベラル左派は、彼らの使命を「政権や権力と戦う事」と考え無間地獄に陥り堕落している(゚д゚)!
長谷川幸洋氏 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から結論部分のみを以下に引用します。
私は、現在の日本のいわゆるリベラル左派は、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無限地獄に陥って堕落しているのだと思います。

そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。
まさに、日本のリベラル・左派は、 「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無間地獄にはまり、さらには物事を考える期間がせいぜい数ヶ月か、長くて1年くらいの間隔だけなので、頭が悪くなり、無間地獄にさらに深く嵌ってしまっているというのが現実なのだと思います。

この無間地獄、どこかで断ち切らなければ、日本のリベラル・左派は日本の政治において完璧に勢力を失うことになります。

無論、自民党もリベラル・左派のように今村雅弘議員を例にあげるまでも、頭の悪い議員が大勢いますが、少なくとも安倍総理とそのブレーンや側近らは、長期的に物事を考えています。それに無論与党なので、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になることもありません。

そうして、元々民主党(民進党の前進)は自民党をコピーしたような政党であり、コピーした分だけ劣化しています。

以上のようなことが、明らかになり、多くの国民も認識するようになってきたことが、世論調査にでてくるようになったのだと思います。このままだと、次の選挙では、民進党はとんでもないことになるかもしれません。

そうして、私は決してそれを望んでいるわけではありません。本当は、民進党のような野党がまともな政策論争をして、与党のまともな対抗馬となり、切磋琢磨しつつ結果として日本の政治が良くなることが一番だと思っています。しかし、今の民進党であれば、消えてなくなったほうが良いです。どのような形でも良いので、新たなまともな勢力が出て来ることを願うのみです。

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2017年4月26日水曜日

【復興相辞任】「#東北でよかった」 失言逆手…自慢ハッシュタグに共感広がる―【私の論評】今村が「身の丈知らず」の愚か者に成り果てた理由(゚д゚)!

【復興相辞任】「#東北でよかった」 失言逆手…自慢ハッシュタグに共感広がる

今村雅弘
 「#東北でよかった」。東日本大震災を巡る今村雅弘前復興相の「まだ東北で良かった」発言を逆手に取り、「東北に生まれて良かった」「東北を訪れて良かった」という趣旨のつぶやきや画像がツイッターに続々と投稿されている。

ツイッターは「#」を付けた単語をハッシュタグと呼び、これを付けて投稿すると、キーワードとして検索しやすくなる。

「#東北でよかった」のハッシュタグが付いた投稿には、東北各地で撮影された桜や紅葉の景色や、仙台七夕や青森ねぶた祭など東北の夏祭りなどの写真が「誇れる故郷」「東北の景色がすき」などのつぶやきとともに投稿されている。東北以外からエールを送る声も書き込まれている。

「失言が、#をつけたことで郷土愛に変わった。 失言する人がいる一方で、その失言を『東北の魅力を発信するハッシュタグ』にして、東北を盛り上げよう、応援しようとする人もいる。そんな国でよかった。こんなに泣けるハッシュタグは初めて」と書いた人もいる。

【私の論評】今村が「身の丈知らず」の愚か者に成り果てた理由(゚д゚)!

今回の今村雅弘の失言は、さすがにあり得ないと思います。マスコミが一部を切り取って報道をするのはよくあることで、今村雅弘の前回の失言はその要素が強く、あれでは激高するのも無理はなく、あれで辞任になるとは思いませんでした。

何しろ、テレビの画面では本の数分でしたが、実際には記者と今村氏のやりとりは、27回にも及んでいました。今村氏は当初、自主避難者の扱いについて国の考えを淡々と説明していたのですが、21回目のやり取りで、フリー記者が「責任持って回答してください」と迫ると、今村氏は「なんて君は無礼なことを言うんだ。ここは公式の場だ。撤回しなさい!」「人を中傷、誹謗(ひぼう)するようなことは許さない」などと怒りを爆発させたのです。

2人のやり取りは、何と27回も続いたのです。今村氏は4日夕方、復興庁でぶら下がり取材に応じ、「ちょっと感情的になってしまった。改めておわび申し上げ、今後はこういうことがないよう冷静、適切に対応していきたい」と語っていました。

しかし、今回の発言に関しては、いくらマスコミが切り取ったにしても、「まだ東北で良かった」などという発言はどう考えても不適切です。

以下に問題となった今村雅弘の発言の動画を以下に掲載します。


火消しに走ったというか、その場で素直に詫びた安倍総理の対応は良かったと思います。もし、あの場で、総理が何も発言をしなければ、後々かなり問題になったかもしれません。

この動画を見ていて、唖然としましたが、言い方をもっと変えるべきだったと思います。東京などで被害が起こるととんでもないことになるということを言いたければ、現在や過去の話ではなく、未来の話として、英文法でいうところ未来形で話をすべきだったと思います。

「東京で同じような地震や津波が発生した場合、さらに甚大な被害が起こることになるかもしれません」などと発言すれば、復興に関して広くアピールできたし、問題になることはなかったと思います。

しかし、「東北だから良かった」というのでは、どう考えても問題発言になるのは必至です。今村は、天変地異とはいえ、無辜の同胞二万が無念のうちに亡くなったあの大地震をなんと心得ているのでしょうか。大臣をやめるだけではなく、議員辞職し、被災地に対して謝罪行脚をすべきです。

到底まともな人の心を持っているとは思えない鬼畜の発言としか言いようがありません。

そもそも、今村といえば、2005年の郵政国会で郵政民営化法案に反対したことを原因に自由民主党から離党処分が下された政治家のうちの一人です。このときに離党処分になった多くの議員が復党しています。

2005年 08月 08日  参議院本会議 郵政民営化関連6法案採決

2005年、第44回衆議院議員総選挙において衆議院本会議で郵政民営化法案に反対票を投じた自民党議員は党議拘束に造反したとして、自由民主党の公認が与えられませんだした。党から公認されない中で衆議院議員となるには党の公認候補(または支援候補)に対立する候補として立候補するしかありませんでした。

離党勧告となった造反議員は将来における復党を目指し、その後の議員活動も政府案に賛成するなど自民党に賛同する行動をとっていました。

2006年9月26日、総理総裁が小泉純一郎から安倍晋三に交代し、造反無所属議員12人は首班指名でも安倍に投票し、自民党に賛同する行動をとり続けました。

そんな中、青木幹雄など自民党参議院幹部を中心に、造反組を復党させる案が浮上しました。10月に自民党の有力者の会合で造反無所属議員12人を復党させる案に賛成する意見が多数出たため、造反議員の復党が現実味を帯びてきました。以下が造反無所属議員のリストです。無論、今村雅弘の名前も掲載されています。


2007年の第21回参議院議員通常選挙において、地方に強固な支持基盤を持つ議員が多い造反組の協力が必要とする考えからです。造反議員としても復党となれば、自民党議員として自民党の会合に参加できることや政党助成金が受け取れるなど復党のメリットを享受できます。

一方、自民党内部からは造反組の選挙区に「刺客」として当選してきた議員や郵政民営化を訴えて初当選した新人議員を中心に復党に反対する意見も出ました。

2007年9月には誓約書を提出していなかった平沼赳夫元経産相も誓約書を提出せずに復党することが内定していると報道されました。そのため、離党勧告を受けた無所属造反組は全員復党が可能となる見込みとなりました。

8月の第1次安倍改造内閣・自民党役員人事において自民党選対総局長に就任した菅義偉は「私の仕事は首を切ること」と発言していること、また、麻生太郎自民党幹事長なども、片山さつきや佐藤ゆかりを党の主要ポスト(それぞれ党広報局長、幹事長補佐)から外すなどしています。

安倍政権は閣僚が不祥事を連続させるためガタガタの状態であり、このままでは衆院選に敗北することに危機感を覚えた自民党執行部は「次の衆院選では勝てる候補しか公認しない」「まぐれ当選の人物より、実力・実績のある人物を公認したほうが確実」という方針をとったため、いわゆる小泉チルドレンは次期衆院選においていっそう厳しい立場に立たされました。

しかし、安倍首相が9月12日に辞任し、後継首相に福田康夫がなり、事態は急変。後任幹事長である伊吹文明が平沼の求めている落選造反議員との同時復党は難しいとの趣旨の発言を行っています。結局、平沼は復党から「自民党でも民主党でもない第三極の結集」を掲げて2008年に落選した造反組らを中心とする「平沼グループ」を旗揚げし、復党にこだわらない方針へ転換しました。

このように、今村雅弘は郵政造反して自民党から離党を余儀なくされたのち、第一次安倍の時に温情で自民党に再度拾われた身です。にもかかわらず、居丈高になり、第二次安倍内閣で閣僚となり安倍総理に砂をかけるとは、とんでもないことです。今村は、第一次安倍の時に復党していなかったら今頃国会議員ですらないということも十分考えられました。

このようなことを考えると、安倍総理は今村の今回の失言に関しては、内心烈火の如く怒ったことでしょう。

今村は、二階派(志帥会)所属の議員ですが、二階氏は今村擁護発言をしています。今村復興相が26日、辞任しましたが、安倍首相は自らの任命責任を認め、国民に陳謝しました。
問題の発言から半日という異例の早さで更迭された今村復興相。安倍首相は政権へのダメージを最小限に抑えたい考えなのでしょう。

安倍首相は、「任命責任はもとより内閣総理大臣たる私にあります。こうした結果となりましたことに対しまして、国民の皆様に心からおわびを申し上げます。結果を出すことによって国民の皆様の信頼を回復したいと考えています」

現状では残念ながら与党自民党も、大半の議員は民進党と同レベルです。こういう愚か者を大臣にしてはいけません。共感能力を言語化でき、なおかつ政策センス主体で選んでほしいです。それにしても、人材が不足しているということがわかります。

吉野正芳新復興相
後任には「被災地に寄り添える人物」ということで、福島県選出の吉野正芳衆議院議員が就任しました。政府・与党内にもほとんど、今村復興相の発言に擁護論はないのですが、今村復興相が所属する派閥の会長、二階幹事長は「多少の思い上がりがあった」とする一方で、大臣辞任の必要性については懐疑的な見方を示しました。

自民党・二階俊博幹事長「言葉の誤解はない方がいいに決まっているけど、そういうことがあった場合にはいちいち首を取るまで張り切っていかなくてもいいんじゃないか」

今村復興相の発言は単なる「言葉の誤解」なのでしょうか。二階幹事長のこの発言も今後、波紋を広げそうです。

乾杯する自民党二階派の代議士ら。自民党の二階俊博幹事長(前列左から2人目)
から離れた場所で乾杯する今村雅弘復興相(右から2人目)=25日午後
そもそも、今村雅弘復興相辞任への引き金となった発言は、所属する自民党二階派が25日に開いたパーティーで飛び出したものです。東京電力福島第1原発事故をめぐる失言で窮地に陥った今村氏の「名誉挽回のチャンス」として、二階派が用意したひのき舞台がかえってあだになったのです。同派を率いる二階俊博幹事長の面目も潰れ、年に1度の華々しいパーティーは一気に暗転しました。

今村氏は、二階派所属の鶴保庸介沖縄北方相とともに、パーティーの行事として講演に臨みました。演題は「荒海を航(い)く! 強いニッポンを創ろう」。二階派の配慮に対し、勇んで約20分間、復興や防災への取り組みを語った今村氏でしたが、その中で東日本大震災の被害に関し「東北で良かった」と語ったのでした。

事態は直後に急変しました。講演後の懇親会に駆け付けた安倍晋三首相があいさつの冒頭で今村氏の発言を陳謝したのです。パーティーでの異例の首相の発言に会場の空気が凍りつきました。

にもかかわらず、二階氏の擁護発言です。このような甘やかしが、今村のような「身の丈」を知らない愚かな議員を生んでいるのではないでしょうか。

そもそも、造反議員を復党させたのは、選挙対策でした。そうして、今村が造反議員であるにもかかわらず、大臣になれたのは、今村に能力があったとか、功績があったなどということではなく、派閥の力学によるところです。

このようなことで、大臣になった人間はやはり、「身の丈」知らずの驕り高ぶりが生まれるのだと思います。まともな人が彼の立場であったら、日々感謝の気持ちを忘れることなく、とくかく自分に与えられた職責に日々邁進し、余計なことはしゃべらないと思います。

以前このブログではいわゆる「身の丈」を知らない人間について、掲載していた時期があります。最近は、掲載することもなくなりましたが、再度「身の丈」という言葉の重みを知る機会を得ることのできた出来事でした。

この「身の丈」という言葉、最近は死語に近いものがあります。あまりピンとこない方は、最近文筆家の古谷経衡氏が『意識高い系の研究』という書籍を出版しましたのでこの書籍を読んでいただけるとわかりやすいかもしれません。

この「意識高い系」とは「意識の高い人」のことではありません。あくまで、「意識高い系」です。これは、昔の言葉でいえば、「身の丈」を知らない人ということになると思います。

私は、この書籍を読んでそのように解釈しました。古谷氏は、Yahooニュースで安倍昭恵さんのことを典型的な「意識高い系」と評していました。昔風の言葉でいえば、安倍昭恵さんは「身の丈知らず」ということになると思います。

今村雅弘も典型的な「意識高い系」なのかもしれません。今村については、古谷はかなり痛烈に批判していました。今村についても「意識高い系」という観点から分析してもらえたら、結構興味深いものになるかもしれません。

いずれにせよ、現在は「身の丈」という言葉が死語になったためもあってか、あるいはそういう風潮があったからこそ、死語になったのかはわかりませんが、多岐にわたる分野で「身の丈」を知らない人が増えたようです。

今回は、たまたま、自民党の閣僚だった人についての話を掲載しましたが、民進党の議員にも総統「身の丈知らず」が存在します。官僚にも、大勢います。それだけに限らず、多くの分野でみられます。とにかく私自身は、自分の「身の丈」はいかほどのものか、良く点検して、今村のようにドツボにはまるようなことは避けたいと思います。

それにしても、世の中には「身の丈」を知らない人が大きな問題を起こしているようです。それについては、以下の【関連記事】のところに関連した記事を掲載します。

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