2017年7月1日土曜日

文在寅大統領への「ホメ殺し」 人生のルーツを持ち出し反米、親北、親中にブレーキ―【私の論評】文在寅大統領が失脚したとき韓国は北朝鮮に飲み込まれる(゚д゚)!

文在寅大統領への「ホメ殺し」 人生のルーツを持ち出し反米、親北、親中にブレーキ 

韓国の文在寅大統領=6月28日、ワシントン
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)・新大統領が米国を訪問中だ。彼はワシントンに到着した日、まず米海兵隊博物館にある朝鮮戦争(1950~53年)を記念する米韓友好のモニュメントを訪れた。これが戦争で最激戦地の一つだった「長津湖(チャンジンホ)戦闘」を記念するものというところが興味深い。

「長津湖」は北朝鮮東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)のケマ高原にある地名。北朝鮮支援で攻め込んできた中国の大軍に米軍(国連軍)が包囲され、大打撃を受けたことで知られる。

朝鮮戦争は北朝鮮軍の奇襲侵攻でソウルが陥落した後、米軍(国連軍)の支援で盛り返し、ソウルを奪還した米韓軍は北上して平壌を占領。さらに北上したため中国軍が北方から大軍で介入し、米韓軍を南に押し戻したという経緯がある。

長津湖戦闘記念碑を訪問した文在寅大統領が28日(現地時間)、米バージニア州海兵隊博物館で
スティーブン・オルムステッド元米海兵隊中将(右側)と一緒に、長津湖戦闘記念碑を見学している
 したがって朝鮮戦争は途中から“米中戦争”の様相となった。なかでも「長津湖戦闘」は米軍が中国の大軍に押しまくられ、東海岸の咸鏡南道・興南港から大量の避難民とともに南への撤退を余儀なくされた「興南撤収作戦」につながる苦闘の象徴として知られる。

この時の「興南撤収」で北朝鮮から逃れ釜山港にたどり着いた北朝鮮の住民に文在寅氏の両親もいた。文氏はその後、釜山近郊で生まれたが、歴史的な意味では彼はいわば「長津湖戦闘」の“申し子”なのだ。

1950年12月9日から24日まで続いた興南撤収
 その彼が訪米の第一歩に「長津湖戦闘記念碑」訪問を選んだことを韓国メディアはこう書いている。

「あの時、米軍が大きな犠牲を払って中国軍の南下を阻止したおかげで、文大統領の父母をはじめ20万人の興南撤収が可能になったのだ。(記念碑訪問は)韓米血盟にからむ文大統領の家族史を通じ、同盟外交の第一歩を踏み出す象徴的な歩みである」(6月29日付、東亜日報社説から)

左派系の革新政権である文在寅政権の外交姿勢については内外で懸念する声がある。文氏が自ら秘書室長など参謀を務めた師匠の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(2003~08年)が「米国を怒らせることがあってもいいではないか」などと公言し、いわば「米・中等距離外交」で米国離れを目指した“前科”があるからだ。

盧武鉉大統領(右)秘書室長職を務めていた文在寅(左)
 今回、文大統領の訪米直前には政権の外交参謀が北朝鮮の主張に歩調を合わせるように「米韓軍事演習縮小論」を公言。政権内部に「自主外交派」を布陣し、対北政策における米韓協調路線を手直しするような動きが見え隠れしている。

このため不安が強い保守派を中心に国民は大統領の初訪米を固唾をのんで見守っているのだが、そのスタートが「長津湖戦闘記念碑」訪問だったから保守派はとりあえずホッとしている。

先の新聞社説はそうした国民心理の反映といっていい。あえて解説すれば「文在寅さん、あなたのルーツは反北、反中、親米だったのではないですか。それを忘れては困りますよ」というもので、彼の人生のルーツを持ち出し反米、親北、親中に傾かないようブレーキをかけているのだ。一種の“ホメ殺し”である。

ついでにもう一つホメると、文在寅氏はすでに息子を米国に娘は日本に留学させるなど家庭は十分に国際的で現実的なのだ。自らのルーツと韓国が置かれた現実的な国際環境からすれば反米、反日など出てこないはずだが。

【私の論評】文在寅大統領が失脚したとき韓国は北朝鮮に飲み込まれる(゚д゚)!

現在韓国は、結局北朝鮮に飲み込まれてしまうと説と、そうはならないだろうという説とが真っ二つに別れているようです。

北朝鮮に本当に飲み込まれるかどうかは、別にして、飲み込まれるとしたらこのようなシナリオになるだろうということについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【痛快!テキサス親父】韓国はまさに「赤化危機」 完全な日韓合意違反、国際的信用は失墜した―【私の論評】韓国の赤化で、半島全体が支那の傀儡になる?
金正恩
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、韓国が北朝鮮にのみこまれるシナリオの部分を以下に引用します。
赤化した韓国は、THAADの導入を拒否するか、導入した後に撤去することになるかもしれません。そうして支那は、それを促すため、北朝鮮と韓国に平和条約を結ぶよう勧告するでしょう。そうして、支那は韓国に平和条約を結すべばTHADDの導入は必要ないことを強調することでしょう。

THAAD導入で支那から制裁を受け、経済面に苦しい韓国は、THAADを導入を断念すれば、韓国制裁を解くといわれれば、赤化した韓国は拒否できないことでしょう。軍事境界線に配備した長距離砲の撤去など、非核化した北朝鮮が韓国の要求をのめば、平和条約が締結される可能性はかなり高くなると思います。

平和条約締結後の韓国には、在韓米軍が存在する意義がなくなくなります。韓国は、米軍の撤退を要求するかもしれません。それに呼応して、在韓米軍は大幅に削減され、いずれ撤退することになるかもしれません。
次のステップは「南北連邦国家形成」ということになるでしょう。支那の意を受けた北朝鮮の工作員が「今こそ悲願の統一だ」と民族感情を刺激し、すでに赤化している韓国の人々は「一国・二政府・二体制での統一」という建前に熱狂することでしょう。そうして「南北朝鮮民主連邦」が実現することになります。

そして、最終段階が「北朝鮮体制での完全統一」です。支那傀儡の北朝鮮は「一国二体制は非効率だ。一方の体制に統一しよう」と国民投票を韓国側に呼び掛けることでしょう。人口が2倍いる韓国は「北朝鮮をのみ込める」と踏んで、これに応じることでしょう。

しかし、北朝鮮は約2000万人の有権者全員が北の体制を支持します。一方、韓国側の約4000万人の有権者はそうはいきません。仮に、投票率80%とすると投票者は約3200万人。うち、600万人以上が北の体制を支持すれば、北朝鮮側の勝利となります。
大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の人口の推移
「財閥を潰して社会格差を無くせるなら」「地獄の生活苦から抜け出せるなら」など、韓国には国全体をガラガラポンしたい衝動に駆られる住民が大勢存在します。
国民投票で選ばれるのは、恐らく北朝鮮側の体制でしょう。そうなれば、韓国は北朝鮮にのみ込まれて「支那の属国」と化し、人々からすべての人権が剥奪されることになります。その時韓国は、真実の「HELL(地獄)のKOREA(韓国)」となるのです。 
このようなシナリオは十分に成り立つものと思います。しかし、現在のところ韓国が北朝鮮に飲み込まれる可能性は五分五分だと思います。

私自身は、五分五分に近いものの、北朝鮮に飲み込まれない可能性のほうが高いと思っています。

ブログ冒頭の記事にもあるように、文在寅大統領は、訪米初日にボスニア州の米海兵隊国立博物館にある長津湖戦闘記念碑を訪問しています。

長津湖戦闘記念碑を訪問した際当時参戦した海兵に興南撤退の
写真を見ながら説明を受けている文在寅大統領(手前左)
そうして、以下のように述べています。

「長津湖(チャンジンホ)の勇士たちがなかったら、興南(フンナム)撤収作戦の成功がなかったら、私の人生は始まっていなかったはずであり、今日の私もいないはずです」

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は28日(現地時間)、米国訪問初の日程としてワシントンの米海兵隊博物館にある長津湖戦闘記念碑に献花しました。長津湖の戦いは1950年の冬、蓋馬高原(ケマゴウォン)にある長津湖一帯で、中国軍7個師団に包囲された米海兵1師団が悪戦苦闘の末、中国軍の南進を遅らせた戦闘で、連合軍の興南撤収に決定的な貢献をしたと評価されています。

文大統領は、ロバート・ワーク米国防総省副長官やロバート・ネラー海兵隊司令官のほか、興南撤収作戦に関わった関係者と家族らが参加した中で開かれた献花式で、「長津湖の勇士たちの驚くべき闘魂のおかげで、10万人以上の避難民を救出した興南撤収作戦も成功することができた。その時、メレディス・ビクトリー号に乗り込んだ避難民の中には私の両親もいた」とし、長津湖戦闘と興南撤収作戦にまつわる家族史を紹介しました。

文大統領は、「皆さんの犠牲や献身に対する感謝の気持ちはどんな言葉でも言い表せない。緊迫した瞬間に、多くの避難民たちを北朝鮮から脱出させてくれた米軍の人類愛に深い感動を覚える」として、心から感謝の意を伝えました。

文大統領はさらに、「大韓民国は皆さんと両親の犠牲や献身を記憶している。韓米同盟はそうして戦争の砲火の中で血で結ばれ、両国国民一人ひとりの人生と強くつながっており、『さらに偉大で強い同盟』に発展するだろう」と強調した。ネラー司令官は記念演説で「文大統領の家族は我が海兵、特に、海兵1師団と個人的な縁を持っている。その縁を大切に思ってくれたことに感謝する」と話した。

記念演説直後、近くに山査子を一本植えた文大統領は「韓米同盟はこれからさらに生い茂った木のように成長し、統一された朝鮮半島という大きくて充実した実を結ぶだろう」と話しました。同日の行事は米海兵隊のフェイスブックを通じて生中継されました。中継映像には文大統領の到着と献花、文大統領とネラー司令官の記念演説シーンなどがそのまま流れました。動画は1日で22万人が視聴しました。

文在寅氏は当然のことながら、両親からこの話を受け継いだのでしょう。その際に、当時の北朝鮮の酷さや中国のやり口についても受け継いだと思います。その大統領がやすやすと、北朝鮮に飲み込まれるようなことはしないと考えられます。

興南撤収に関しては、韓国民であれば誰でも知っていることであるし、米人でも知っている人は多いです。これは、2015年度の韓国映画『国際市場であいましょう(Ode to my father)』にも描かれています。

『国際市場で逢いましょう』(こくさいいちばであいましょう、原題:국제시장)は、2014年の韓国映画。家族を守るために、朝鮮戦争やベトナム戦争といった激動の時代を生き抜いた男の生涯を描いた映画。第52回大鐘賞では作品賞を始め10部門を受賞しました。観客動員数は1300万人を突破し、韓国映画の歴代観客動員数2位につけています。


58秒くらいのところに、江南撤退のシーがあります。

「興南撤退」は、朝鮮戦争当時、中共軍の攻勢で戦況が不利になると、咸鏡道(ハムギョンド)北東部戦線で作戦中だった米軍が、興南港で「メロディス・ビクトリー号」に約1万4千人の避難民を乗せて撤退した作戦です。「メロディス・ビクトリー号」は1950年12月23日に興南を経ち、24日に釜山(プサン)を経て25日に巨済島(コジェド)に着いて避難民を降りました。これは「クリスマスの奇跡」とも呼ばれています。この1万4千人の避難民の中に在文寅氏の両親も含まれていたのです。

映画「国際市場であいましょう」から。咸鏡南道興南港で「メロディスビクトリー号」に
積んでいた武器を捨て、代わりに約1万4千人の避難民を乗せて撤退した「興南撤退」のシーン
2015年に、この映画が米国で放映されたときの模様については、以下の記事をご覧になって下さい。
韓米の老兵を泣かせた「国際市場」、「今でもその日を忘れられない」 
文在寅氏は、このような家族史を持ち、息子を米国に娘は日本に留学させるなど家庭は十分に国際的で現実的な感覚を持っているはずです。

文在寅氏は1953年、韓国南部の慶尚南道・巨済島で2男3女の長男として生まれました。両親は北朝鮮の咸鏡南道出身。朝鮮戦争で避難を余儀なくされた一家は巨済へ逃れ、その後、釜山へ転居します。避難民の集まる貧民街で練炭配達などをして生計を立てました。生活は貧しく苦しい日々でしたが、それによって自立心が育てられたと振り返っています。

成績は良く、中学・高校と名門校に進学しましたが、裕福な学友との違いに直面し、友達ができませんでした。図書館に籠って、本ばかり読んでいたといいます。

高校に入ると社会への反抗心が芽生え、酒やタバコにも手を出し、4回停学処分を受けました。このため「文在寅(ムン・ジェイン)」という名前をもじって「問題児(ムンジェア)」のあだ名がつけられました。

慶熙大学時代には学生運動に積極的に参加。3年生だった1975年、朴正煕政権反対デモを主導して逮捕・収監され、大学を除籍されました。

釈放された文氏は強制徴兵され、特殊部隊に配属されます。パラシュート降下訓練、夜間行軍、水中浸透、暴動鎮圧など、多様な訓練を経験しました。過酷な訓練によって同僚が命を落とす場面にも遭遇したといいます。文氏自身、「パラシュート降下訓練で空中を飛ぶのが気分爽快だった」と話しています。

特殊部隊に所属していたときの文在寅氏
北朝鮮に融和的と指摘される文氏ですが、北朝鮮有事の際には「前線で戦う」と明言。特殊部隊での経験を誇りにしています。

妻との出会いは大学でした。学園祭のパートナーとして過ごし、「好感をもった」。しかし、その後はデートをしたことがなかったといいます。

そんな彼女が突然、拘置所まで文氏の面会に来たのです。文氏は驚きました。彼女が持参したのは、文氏の出身校が高校野球で優勝したというスポーツ新聞の記事。文氏の野球好きを覚えていたのです。

「刑務所で母校の高校野球優勝の記事を読むなんて」

文氏はおかしくなりましたが、そんな彼女をかわいい、と思ったといいます。

軍隊、司法修習所、刑務所と、文氏の行く先々に彼女が面会に訪れる。2人は長い「面会の歴史」を経て、出会いから7年後、結婚したのです。

除隊後は猛勉強の末に司法試験に合格。2次試験の合格通知は再び収監された刑務所の中で受け取りました。判事を志望しましたが、学生運動の経歴があるため叶わず、釜山で弁護士生活を始めます。

この時、のちに大統領になる盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏と運命的な出会いを果たします。共に労働運動の弁護に取り組み、盧氏が大統領に当選した後は、政権発足から終了までを共にしました。激務のため歯が10本抜けたとのエピソードがあるほどです。

盧武鉉氏の死後は政界とは一線を画していましたが、政権交代の声に押されて復帰。国会議員当選を経て、2012年の大統領選に出馬し、朴槿恵氏に僅差で敗れました。

「大統領に就任したらアメリカより先に北朝鮮に行く」
「核の完全廃棄と朝鮮半島の非核化を議論できるなら、金正恩と首脳会談する」
選挙戦の初期にはこう述べていた文氏。

その後は「早いうちにアメリカを訪問して米韓同盟を再確認する」「金正恩が最も恐れる大統領になる」と方針転換しました。

文在寅氏は、本心では北朝鮮に韓国を飲み込ませようなどという考えは毛頭ないものの、大統領選に勝利するため、親北派と反日を利用したのだと思います。

というより、これは朝鮮の歴史をみているとよくわかるのですが、とにかく外国を自分の国の内乱などに利用すという、朝鮮のお家芸の発露なのではないかと思います。

しかし、ミイラ取りがミイラになるという格言もあります。大統領になるために、親北派を利用したものの、北の考えに感化されしまうということもありえます。あるいは、自らは本当は親北派ではないものの、親北派を味方につけないと政権を維持できない状況に追い込まれ、結局行動は親北派のようになるということも考えらます。

あるいは、大統領選で親北派を利用したことがアダとなり、親北派から反発をくらい、朴槿恵のように短期で政権の座を追われるということも十分に考えられます。

文在寅政権が長続きすれば、北の工作員の扇動になどにより、親北に振れた韓国民の感情も徐々に落ち着き、まともになる可能性も大きいと思います。何しろ、北や中国の脅威は歴史は長く韓国民の記憶に刻まれているはずです。

いずれにせよ、いまのところは結論はいえませんが、私としては文在寅大統領が短期で失脚したときが、北に飲み込まれる危機がやってくるのではないかと思います。そうして、その確率は高いです。なぜなら、このブログにも以前から述べているように、文在寅氏の経済対策は全く意味がなく、韓国経済はこれからさらに苦しくなるだけだからです。苦しいどころが、今のままでは大多数が塗炭の苦しみに追いやられることになるはずです。

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2017年6月30日金曜日

日銀の原田泰審議委員はヒトラーを賞賛してはいない。ロイターの記事は誤解を招く―【私の論評】経済史を理解しないと馬鹿になる(゚д゚)!

日銀の原田泰審議委員はヒトラーを賞賛してはいない。ロイターの記事は誤解を招く

田中秀臣


上武大学教授田中秀臣氏

非常に驚く記事を読んだ。ニューズウィーク日本版ウェブに6月28日に掲載された、ロイターの伊藤純夫(編集 田巻一彦)による"日銀の原田審議委員「ヒトラーが正しい財政・金融政策をして悲劇起きた」" と題された記事だ。

 深刻な誤解を世界の読者に与えた

この題名しか読まない人は、あたかも原田泰審議委員が、ヒトラーの政策を「正しい」ものとして肯定したかのような印象をうけとったのではないか。実際にこの記事へのコメントには、少数ながらそのような反応がある。さらに深刻なのはこの記事の海外版の見出しであり、Bank of Japan policymaker Yutaka Harada praises Hitler's economic policiesとある。つまり「原田泰日銀政策委員がヒトラーの経済政策を賞賛した」というものとして掲示されている。これは深刻な誤解を世界の読者に与えたであろう。

もし原田審議委員のヒトラーに対する評価を肯定的なものと解釈するならば、それは解釈する側の無理解か、または悪意による歪曲か、そのいずれかでしかない。原田審議委員は従前から、ヒトラーの悪行の数々を痛烈に批判し、ヒトラー政権のような存在が二度とこの世に現れないために、いままでもいくつかの著作・書籍を書いてきた。それらは公知のものであり、ロイターの記者らも簡単に入手でき、原田審議委員の発言の趣旨を確認できたはずだ。それをしないのであれば、私見では深刻な問題であろう。また少なくともヒトラー政権を肯定的にみなしていると誤解を与えないような記事内容、また見出しの工夫が必要だったろう。

 原田審議委員の趣旨は

以下では、原田泰審議委員のヒトラー政権の評価、そしてヒトラーの経済政策の問題性を、彼の著作『反資本主義の亡霊』(日経プレミアムシリーズ)を参照に解説したい。なるべく原田審議委員の趣旨を伝えたいので、文章も彼のものをできるだけ拝借したことを、著者と読者の方々にお断りしたい。

原田泰審議委員 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
「第一次世界大戦後の混乱の中で、ドイツは物価水準が一兆倍にもなるハイパーインフレ―ションに襲われた。その混乱の中でナチスが権力を握り、ヨーロッパを戦乱に陥れ、ユダヤ人の大虐殺を行った。世界を征服しようというナチスの勢いを見て、日本の軍部は日独同盟を結び、アジア征服に乗り出した。その結果が、大惨事である。だから、インフレを起こしてはいけないと議論されることが多い」(同書。187頁)。

このハイパーインフレ(高いインフレ)がドイツ社会を破壊し、それがナチスの台頭を招いたというのは誤解であると、原田審議委員は説いている。ハイパーインフレや高いインフレではなく、デフレの蔓延こそがナチスの台頭を招き、後の大惨事につながったというのが原田審議委員の主張だ。

ドイツのハイパー・インフレ時に紙くずになった札束をゴミ箱に捨てる人たち
そもそもドイツでハイパーインフレが起きたのは1910年代の末であり、ナチスが政権を奪取したのは1934年であり、ハイパーインフレから15年も時間が経過している。1920年代はワイマール共和国の時代であり、なんとか平和が維持されていた、それが崩れたのは1930年代の大恐慌というデフレと失業の時代ゆえであった、というのが原田審議委員の着眼点だ。インフレではなく、デフレこそナチス台頭の経済的原因であったということだ。

「ヒトラーは、インフレの中では(ミュンヘン一揆の失敗など)権力が握れず、デフレになって初めて権力を得たのである。この単純な事実から、インフレもデフレも悪いが、デフレの方がより悪いと結論を下すのが当然と思うのだが、なぜ逆の結論になって、その結論を多くの人が信じているのだろうか」(カッコ内は田中の補遺、同書188頁)。

1930年代のドイツでは、デフレの進行と30%を超える極度に高い失業率が出現した。ナチスはこの経済的混乱を利用して、「人々の敵愾心をあおり、政権を奪ったのである」(同書、189頁)。

「政権を奪った後に何をしたか。金融緩和政策でデフレから脱却し、景気を回復させ、アウトバーンという高速道路を建設し、フォルクスワーゲン(国民車)を造るという産業政策も行った。(略)すべては大成功だった。国民はこの大成功を見て、ナチスの対外政策、ヨーロッパ征服も正しいのではないかと思ってしまった。日本の軍部もそう思ったのである」(同書、189頁)。

 ナチスの経済政策の「大成功」をほめたたえているのではない

だが、これはナチスの経済政策の「大成功」をほめたたえているのではない。経済政策は「大成功」したが、それによってもたらされたのは、ナチス政権による「人種差別や世界征服」などの「大惨事」であった。ナチスの経済政策の「大成功」という皮相な評価にドイツ国民や日本の軍部が目を奪われないで済んだ可能性の方に、原田審議委員は注目すべきだと説いているのだ。ここを間違えてはいけない。ロイターの記事のように間違えてはいけないのだ。

「そもそも、ヒトラーの前の政権が、金融を緩和し、デフレから脱却すればよかっただけの話である。そうすれば、失業率は低下し、人々は理性を取り戻し、人種差別や世界征服を呼号するナチスに投票などしなかっただろう。ヒトラーは政権に就くことができず、第二次世界大戦は起こらなかった」(同書、189-190頁)。

この一文を読めば、原田審議委員の趣旨は明瞭であろう。彼ほど世界の人々の自由を愛しその可能性を推し進めようというエコノミストは、ほとんど私のまわりにいなかった。その発言の一部だけを切り取り、自由と人権とそして人々の生命を奪ったヒトラーの政策、そして経済政策を「賞賛」することほど、原田の趣旨に遠いものはない。

【私の論評】経済史を理解しないと馬鹿になる(゚д゚)!

ナチスを台頭させたのは、ハイパーインフレであると思い込んでいる人は結構多いようです。しかし、これは真実ではありません。ナチスを台頭させたのは、デフレです。

この歴史的事実を把握している人は、原田審議員の主張を間違えて受け取ることはなかったでしょう。

原田氏は、誤解を招いたことに関しては、謝罪をしています。以下にそれに関する記事のリンクを掲載します。
ヒトラーの政策を正当化する意図ない=原田日銀委員が謝罪


日銀の原田泰審議委員は30日、都内で29日に行った講演で、ナチス・ドイツ総統だったヒトラーが「正しい財政・金融政策をしてしまったことで、かえって世界が悪くなった」などと発言したことについて、誤解を招く表現があったことを心よりお詫び申し上げたいと謝罪した。ロイターに対してコメントした。 
原田委員は一連の発言について「早期に適切な政策運営を行うことの重要性を述べたものであり、ヒトラーの政策を正当化する意図は全くない」と述べ、「実際、発言の中において、ヒトラーの政策が悲劇をもたらしたことは明確に指摘している」とした。 
ただ、「一部に誤解を招くような表現があったことについては、心よりお詫び申し上げたい」と謝罪した。 
原田委員の発言について日銀では「日本銀行としても、審議委員の発言に誤解を招くような表現があったことについては遺憾に思っており、こうしたことがないよう、今後とも注意してまいりたい」とコメントした。 
原田委員は29日の講演で、1929年の世界大恐慌後の欧米の財政・金融政策に言及し、「ケインズは財政・金融両面の政策が必要と言った。1930年代からそう述べていたが、景気刺激策が実際、取られたのは遅かった」と述べた。 
さらに欧米各国を比較すると、英国は相対的に早めに財政・金融措置を講じたが、ドイツ、米国は遅く、フランスは最も遅くなったと分析。 
そのうえで「ヒトラーが正しい財政・金融政策をやらなければ、一時的に政権を取ったかもしれないが、国民はヒトラーの言うことをそれ以上、聞かなかっただろう。彼が正しい財政・金融政策をしてしまったことによって、なおさら悲劇が起きた。ヒトラーより前の人が、正しい政策を取るべきだった」と語った。 
合わせてナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺と第2次世界大戦によって、数千万人の人々が死んだとも述べた。
この謝罪の内容からみて、ブログ冒頭の田中秀臣氏の論評は筋の通ったものであることがわかります。

さて、ドイツのハイパーインフレに関してさらに付け加えさせていただきます。

1922年から1923年に起きたドイツのハイパーインフレ Hyper Inflation は、西側諸国の教科書では「政府の通貨システム支配の失敗による典型的な人災」として紹介されています。

銀行家が通貨発行権を支配するということは「責任を課せられ」、「安全を保障する」ことです。しかしその実、銀行家と彼らが支配する中央銀行は、ドイツにハイパーインフレを起こした黒幕でした。

ドイツ帝国銀行 Reichsbank(1876~1948年)は、1876年に創設された民間所有のドイツの中央銀行ではありましたが、ドイツ皇帝 Deutscher Kaiser と時の政府の意向を大きく受けていました。帝国銀行の総裁と理事は全て政府の要職が担当し、皇帝が直接に任命する終身制でした。中央銀行の収益は民間株主と政府に配当されましたが、株主は中央銀行の政策決定権を有していませんでした。

これはイングランド銀行 Bank of England(1694年~)や、フランス銀行 Banque de France(1800年~)、アメリカ連邦準備銀行と明らかに異なり、ドイツ特有の中央銀行制度であり、通貨発行権は最高統治者のドイツ皇帝にしっかりと握られていました。ドイツ帝国銀行創設後のマルク Deutsche Mark は非常に安定し、ドイツの経済成長を大いに促進し、金融制度の立ち遅れた国家が先進国を追い越す成功事例となりました。

ドイツ敗戦後の1918年から1922年の間も、マルクの購買力は依然として堅調であり、インフレは英米仏などの戦勝国と比べてもあまり差はありませんでした。焦土と化した敗戦国でありながら、ドイツ帝国銀行の通貨政策がこれだけのレベル Level〔※水準〕で維持され、効果を上げたことは称賛されるべきことでした。

敗戦後、戦勝国はドイツの中央銀行に対するドイツ政府の支配権を完全に剥奪しました。1922年5月26日、ドイツ帝国銀行の「独立性」を確保する法律が制定され、中央銀行はドイツ政府の支配から抜け出し、政府の通貨政策支配権も完全に廃止されました。ドイツの通貨発行権は、ウォーバーグ Warburg Family などの国際銀行家を含む個人銀行家に移譲されたのです。

そうして、ドイツのハイパーインフレの直接のきっかけは、第一次大戦後のヴェルサイユ講話条約により、戦勝国がドイツに支払い不可能な天文学的な数字の賠償金を課したことによります。ドイツ政府はそこで賠償金の資金を調達するため、当時のドイツ帝国銀行に国債を引き受けさせた結果、ドイツ帝国銀行は、大量の紙幣を新規発行したため通貨価値が急激に下がりハイパーインフレが起こったのです。

ウィリアム・オルペン画『1919年6月28日、ベルサイユ宮殿、鏡の間での講和条約の調印』
そうして、それを可能にしたのが、当時のドイツ帝国銀行の独立性です。先にも掲載したように、ドイツ帝国銀行は、ドイツ政府の支配から抜け出し、政府の通貨政策支配権も完全に廃止されました。これは、ドイツ帝国の金融政策を政府はなく、ドイツ帝国銀行が決めることができるということです。

これが、ハイパーインフレを招いた根本にあります。ドイツ帝国銀行としては、天文学的な国債を引き受けるためには、ドイツ帝国の金融政策などおかまいなしで、大量のマルクを刷り増すしか方法がなかったのでしょう。

このドイツのハイパーインフレの惨禍の反省にたち、現在世界各国の中央銀行は、国の金融政策を自ら決定することはなくなりました。国の金融政策の目標はあくまで、政府が定め、中央銀行は、その目標に従い、専門家的立場からその目標を達成するための手段を自由に選べるというのが、今日世界中の中央銀行の独立性のスタンダードとなっています。

しかし、現在そうではない国があります。そうです。それは、日本です。日本もかつては、日本国の金融政策の目標を政府が定めることができたのですが、1997年に日銀法が改悪され、日本国の金融政策は日銀が定めることになったのです。

これでは、あたかも日銀が、1922年当時のドイツ帝国銀行のようになってしまったようです。そうして、これはドイツの惨禍とは全く異なる形で、惨禍をもたらしました。そうです。何が何でも金融引締めということで、デフレをもたらし、その結果として超円高となり日本経済が長い間デフレ・スパイラルの泥沼にしずみこんでしまいました。

しかし、2013年より金融緩和を標榜する安倍政権が登場し、日銀の総裁も白川総裁から、黒田総裁に変わり、金融緩和を実施するようになりました。その後、量的緩和が十分ではない部分もありますが、緩和策が実行され続け、雇用状況は劇的に改善されました。

しかし、日銀法は改悪されたままであり、日本国の金融政策の目標は日銀の審議会で定められています。そうして、現状ではこの新議員の多数派、金融緩和派で占められているので、不十分とはいながら、緩和政策が続けられています。

しかし、日本国の金融政策は日銀の審議会で決定されるわけですから、今後緩和に反対する審議員が多数派になれば、日本政府の意図とは関係なしに、引き締めに転じてしまうということも十分にあり得るのです。

こんな馬鹿なことがつづけられているのが、日本国の金融なのです。しかし、上記のようにドイツ帝国銀行の「独立性」がハイパーインフレの原因の一つであったことが多くの人々に認知されれば、現行の日銀法は改正して、再度日本の金融政策の目標は政府が定めるようにすべきであるという認識が広まると思います。

それと、経済史的な観点からもう一つ付け加えると、世界金融恐慌の原因は、1990年代の研究でデフレであったことがわかっています。

そうして、この世界恐慌から一番最初に抜け出したのは、実はドイツではないのです。それは、日本です。当時の高橋是清大蔵大臣が、今日でいうところの、リフレ政策すなわち、金融緩和策、積極財政を実行していち早く脱却しています。

これについては、このブログでも以前何度か掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!

 

詳細は、この記事をご覧下さい。この記事には、「宝永の改鋳」という江戸時代の、金融緩和策と、高橋是清の政策についても掲載しています。

いずれにせよ、このような経済史を知れば、どういうタイミングで、金融緩和や積極財政を実施すれば良いのか理解できるはずです。

しかし、経済史を知らなければ、原田泰審議委員の講演はヒトラーを賞賛したものと思い込んだり、デフレであるにもかかわらず、金融引締めをしたり、増税などの緊縮財政を正しいと思い込んでしまうような、頓珍漢なことをしても何もおかしいとは思わないということにもなりかねません。

現在のメディア関係者や、政治家などこのような知見を欠いている人が多いです。このようなひとたちが、8%増税を強力に推進したり、景気や雇用が悪い時に、金融引締めを推進するという馬鹿なことをしてしまうのです。

心ある人、特に若い人は、是非経済史を振り返っていただきたいです。そうすることにより、日本国の経済に関して、正しい認識を持てるようになります。

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2017年6月29日木曜日

都議選の結果で国政への影響は… 民進は「虎の子」の都議を小池氏に奪われるだけかも―【私の論評】積極財政に無関心の小池知事は国政に影響を与えられない(゚д゚)!


都議選の応援をする小池知事

 7月2日に投開票される東京都議選では、何が争点となっているのだろうか。

 民進党や共産党では、トップである代表や委員長が加計学園問題や改憲など、国政問題を掲げている。一方、自民党の幹部や公明党の代表は、豊洲市場への移転問題など都政を訴えている。都議選なのに国政問題を訴えるのは場違いに思えるが、テレビに露出するだけでいいという考え方なのだろうか。

 事前の世論調査をみると、選挙戦では、都民ファーストの会と自民が熾烈な議席獲得競争を続けており、民進、共産は厳しい戦いのようだ。

 国政では、安倍晋三政権が支持率をやや失っており、地方の都議選とはいえ、本来なら民進や共産に有利に働いてもおかしくない。しかし、その批判票は今のところ都民ファーストが受け皿になっている。

 一方で、豊洲移転をめぐる迷走で、都民ファーストへ流れた批判票も一部は自民党に回帰している可能性もある。両党の競争の結果として、民進、共産が切り崩される展開となっているもようだ。それが、冒頭のように民進、共産が国政の課題を訴える背景になっている。

 都議選の現場では都民ファーストと自民は競っている。都民ファーストを率いる小池百合子知事が最近表明した「豊洲移転・築地再開発」の評判は良くない。豊洲と築地の両方にいい顔をしただけと見る人は多い。

 筆者としても、本コラムで書いたように、豊洲への移転は、サンクコスト(埋没費用)論と、豊洲・築地の科学的なリスク評価のみで合理的な帰着である。しかし、「食のテーマパーク」としての築地再開発についてはさっぱりわからない。

 無理してテーマパークのような施設を作ることは可能だが、問題はその後どのように黒字経営できるかだ。思いつきレベルでどこまで収支計算ができるか分からないし、そもそも都庁が口を出さずに、民間に売却して再開発してもらった方が政策の「打率」もいいだろう。そうした不合理性が都民に浸透すれば、都民ファーストの戦いも苦しくなる。

 逆に、今の小池ブームの勢いが続けば、自民が苦戦するだろう。しかし、これが国政に影響するとは必ずしも言えないのではないか。民進、共産が大躍進しない限りは、国政での自公連立は揺るがないからだ。というのは、都民ファーストが勝てば公明の勝利、自民が勝てば自民の勝利なので、かなり乱暴な言い方ではあるが、国政における自公政権としては、どっちが勝ってもいいともいえる。

 都民ファーストが勝利しても、2020年の東京五輪を控えて、小池都知事が国政で自公政権と対立するとは思えず、むしろ協力関係になるだろう。民進にとっては「虎の子」の都議を小池知事に奪われるだけになる恐れもあるのだ。

 いずれにしても民進や共産が期待する国政の混乱にはなりそうもない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】積極財政に無関心の小池知事は国政に影響を与えられない(゚д゚)!

高橋洋一氏の読みは正しいと思います。都民ファーストの会が大勝利したとしても、国政にはあまり影響はないでしょう。

国政に関して、なぜ安倍政権が一強になるかといえば、それは経済対策に関して、野党や自民党内の他の幹部クラスと比較して、まともであるということがいえます。

特に金融政策は未だ不十分とはいいながら、安倍政権が政権の座についてからは、緩和に転じたため、現状では若者雇用を筆頭にかなり雇用環境が良くなっています。

一方、マスコミ全部と与野党の政治家が8%増税に大賛成し、しかもこの増税は日本経済に与える影響は軽微としたため、やむなく増税に踏み切ったところ、軽微であるどころか、甚大な悪影響を与え、個人消費が伸び悩みGDPの伸びはいまいちというところで、今のままではまた何かがあればデフレに戻りかねない状況です。

実際に、8%増税の悪影響で、税収も減っています。2016年度の国の一般会計税収が55兆5千億円前後にとどまり、15年度の56兆2854億円を下回ったことが28日分かりました。前年度割れはリーマン・ショックの影響で税収が急減した09年度以来7年ぶりです。


政府は16年度税収に関し、当初予算の段階では15年度を上回り57兆6040億円に達すると見込んだが、昨年末の補正予算で1兆7440億円下方修正し、55兆8600億円に減少すると見積もり直しました。

この税収減少については、マスコミは8%増税の悪影響であることを報道しませんが、これは以前にもこのブログにも掲載したように、増税による個人消費の減退は明らかで、これが税収の減少につながつていることは明らかです。

日経新聞は、昨秋までの円高で企業収益が伸び悩み、法人税収が低迷したことが響いたなどとしていますが、これよりも個人消費の落ち込みが大きかったことは明らかです。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
なぜ日本の「実質GDP成長率」は韓国以下のままなのか?―【私の論評】緊縮会計をやめて消費税も5%に戻せ(゚д゚)!
 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では8%増税の悪影響について掲載しました。

この記事から、一部分を以下に引用します。
日本国民は、長期化するデフレの中で、ながらく消費支出を抑えてきたが、2012年終盤以降、現在の安倍政権発足と「アベノミクス」によるデフレ脱却の機運の高まりの中で、消費性向は急上昇した。 
2014年4月の消費税率引き上げ直後も、その余勢(もしくは、長年のデフレによる「倹約疲れ」も影響してか)からか、消費性向はすぐには低下しなかったが、2014年の夏場以降、急速に低下し始めた。 
この間、景気回復のモメンタムは失われたが、雇用環境の改善は続いたため、全体としての賃金(統計的には雇用者報酬)の増加は続いた。だが、賃金の回復局面にもかかわらず、消費性向の低下(及び、貯蓄率の上昇)はむしろ、加速度的に進行した。
そして、消費性向の低下の推移をみると、特に加速度的に低下が進行したのは2016年半ば以降であった。 
思い起こすと、ちょうど2016年6月に、安倍首相は、2017年4月に予定していた消費税率再引き上げの先送りを発表した。この決定自体は、当時の経済状況を考えると「英断」であったことは間違いない。ただ、問題は、次の消費税率再引き上げを2019年10月に単に「先送り」しただけであったという点だと考える。 
多くの国民は、「2017年からの消費税率引き上げはなくなったが、いずれかの時点(この場合、2019年10月)で消費税率の引き上げは実現し、場合によっては、それだけでは終わらず、将来的にはさらなる増税も実施されるに違いない」ことを想定して、「節約志向」を変えなかったと推測される。そして、この流れは現在も継続中ということなのだろう。
さて、長々と日本経済の現状について掲載してきましたが、結局何が言いたかったかといえば、確かに8%増税には失敗しましたが、金融緩和のほうはそれなりに効果がでてきて、雇用状況はかなり良くなっているということです。これが、安倍政権一強の最大の要因です。

さて、実はこの事実には、都民ファーストの会が将来国政において大躍進できる機会がったかもしれません。

そうです。東京都が日本全国に先駆けて、積極財政に踏み出せば、東京都のGDPは全国に先駆けて上昇し、金融緩和+積極財政で、経済が上向き東京都はデフレから完全に脱却して、物価も上昇、実質賃金もはっきりと上昇傾向になり、この業績をもって小池知事が国政に積極財政を標榜して再び参画すれば、都民ファーストの会は国政レベルで相当躍進したかもしれません。

さらに、積極財政を標榜し、無論さらなる量的緩和も実施することを標榜し、国政に打ってでれば、国政でキャスティング・ボードを握り、それこそ近い将来に初の女性総理大臣登場ということにもなったかもしれません。

しかし、小池知事はこのせっかくのチャンスを棒に振ったかもしれません。なぜなら、小池知事はどうも積極財施などはなから念頭にないようなのです。

たとえば、今年の2月28日、東京都議会定例会の本会議が開かれ、各会派による代表質問が行われたときに、最初に質問に立った最大会派自民党の高木啓幹事長(51)は、いきなり「個人都民税の10%削減を提案したい」と切り出したのですが、小池氏はこれを一蹴してしまったからです。

高木氏は小池百合子知事(64)が昨年、知事給与を半減させ、議会も議員報酬を2割削減することを可決したことを指摘した上で、「来年度予算案で720億円の歳出削減しているので、成果を直接都民に還元することは、都民福祉の向上に結びつく」と理由を説明。減税規模は約880億円に上るとの見通しを示ししました。

この減税提案は他会派から「知らなかった」との声が上がる完全な“隠し球”。これに対して答弁に立った小池氏は、この提案を一蹴したのです。
 「高額所得者ほど減税額大きくなる。税の公平性の観点から問題がある。都市と地方の税収格差が問題視される中で都富裕論から財政調整の動きに拍車をかけることになりかねない。慎重に戦略的な対応をすべきだ」
代表質問を終え小池知事の前を通って自席に戻る自民高木啓議員
加えて2017年度予算案で無駄なコストを削って捻出したとする720億円は、「待機児童など必要な政策に思い切って投じ、都民に還元している」とすでに使い道が決まっているとかわされました。

質問終了後、記者団に対して高木氏は「議会は自らの待遇を引き下げた。その成果が自己満足で終わってはいけない」としたうえで、「財源の問題も含め唐突なことではなく、背景があってこの問題提起した。確実にできる目標」と強調しました。

この高木議員の「個人都民税の10%削減を提案」に関しては、ひょっとすると本人は積極財政などという考えはなかったかもしれません。単に、節約できたから、それを都民に還元すべきという程度の主張なのかもしれません。

しかし、本人が意図しようとしまいと、積極財政の提案であることにはかわりありません。もし、小池氏が国政レベルでの積極財政を推進すべきであるとの考えを持っていれば、ここまではっきりと否定することはなかったと思います。

積極財政といえば、国政でなくとも、都政でもできることはあるのです。高木議員の提案はその一つにすぎません。

実は東京都には、他にもデフレ的経済と闘う手段があります。これは、経済学者の田中秀臣氏が提案していたのですが、東京都で地域通貨(アービング・フィッシャー流の日付け貨幣というもの)を発行するという方法もあります。

この地域通貨と、現在行われてる地域通貨と決定的に違うのは、これを取得したものは一定期限に利用しないと事実上のペナルティ(追加の増税)を受けることにあります。最寄りの地方自治体の窓口に行き、この「日付け貨幣」を受け取った者(希望者に限定する)は、一定の期間に消費してしまわないと、むしろ追加の税負担を要求されるのです。

そのためこの追加の税負担を避ける目的で、「日付け貨幣」を得たものは積極的に消費する、という政策の枠組みです。これに類した政策の枠組みは多数あります。要はやる気の問題なのです。

東京都の経済が活性化すれば、都の財政状況も改善し、必要な社会保障などの財源として貢献することでしょう。だが、いまの東京都の現状では、むしろ低所得者層の状況を悪化させている消費増税の負担で、社会保障を充実しようという倒錯した形になってしまっている。そしてそれは東京都だけではなく、日本全体の縮図でもあるのです。

だからこそ、東京都が何らかの手段で、積極財政に転じて、東京都が他に先んじて、全国に先駆けてデフレから完全脱却し経済を良くすれば、都民フアーストの会は国政でも勢いを増し、その結果として、小池百合子氏が国政でキャスティング・ボードを握るということもあり得たかもしれないのです。

そうして、もしそうなれば、豊洲への移転問題など、さして問題にされなくなったかもしれません。そうして、もし小池氏がこの道をすすむというなら、私としては大歓迎です。であれば、私は都民ファーストの会を応援し、日本初の女性首相の誕生を待望したかもしれません。

さて、小池百合子氏が積極財政にあまり関心がないことを示す客観的事実はこれだけではありません。

これは、2008年 にまだ自民党に属していた、小池百合子氏が、総裁選に出馬したときの公約をみると良くわかります。

当時の公約について書かれている記事を見つけました。そのリンクを以下に掲載します。
自民党総裁選:小池百合子氏の公約
9月10日、小池百合子元防衛相は自民党総裁選公約で日本が
生かしきれていない潜在力を十分発揮できるよう
戦略的に取り組むことが必要との認識を示した

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この公約から経済政策のみを以下に拾ってみます。

"
 4.「経済力」

(1)財政政策は「財政に家計の常識を入れる」ことを基本にする。

  ・「借金依存の贅沢はしません」=赤字国債増発による景気対策は打たない。

  ・「資金繰り計画を変えません」=2011年度までの財政再建目標は堅持する。

  ・「ヘソクリを今こそつかいます」=構造改革の果実や特別会計の余剰金等を使う。

(2)当面の景気対策について

  ・必要な財源は特別会計の剰余金(いわゆる霞ヶ関埋蔵金)として、財政出動の部分は「経済力」「環境力」「女性力」を強化するという観点から再検討する。

(3)今後の経済財政運営は以下のように考える。

  ・マクロ経済政策運営としては、変動相場制のもとでの財政出動には効果がないとの認識に基づき、金融政策を中心として、必要に応じて減税政策を行い、個別業界へのばらまき財政支出は行わないことを基本とする。

  ・日本がもっている「もったいない力」を生かしきれば2.5─3%以上の経済成長をする実力を持っている。

  ・名目成長率4%を巡航速度とする先進国で一般的な経済の姿を実現する。その結果10年以内に、国民一人当たりGDPを18位から5位に引き上げる。

  ・2011年度の基礎的財政収支黒字化目標は堅持し、増税の前に、無駄の削減、公務員給与の更なる削減、政府資産売却などを徹底的に行う。

(4)借金依存体質に「リバウンド」させてはいけない。

(5)税制改革については以下のように考える。

  ・現在の石油関連税制を総合的に見直して、CO2排出量に応じた一般財源としての「炭素税」に切り替える。

  ・国税は、国税の原則である「応能税、人税、累進的課税」に基づくもので構成すべき。消費税は道州制導入の際に、地方の基幹的税として州政府に税源移譲すべき。

  ・相続税は、高齢者介護の社会化が進んでいること、高齢者の資産格差が拡大しており、この格差を次世代が継承することは望ましくないとの社会的公正の観点から、広く薄い資産課税を適正に行うものとして、福祉財源に充当する。

  ・経済活性化の観点からは、法人税減税の引き下げ、ファンドマネージャー課税の撤廃等の税制の国際標準化を行うべき。法人税率については、地域振興のための法人税減税特区を実現する。

  ・中小企業向けの欠損金繰り戻し還付制度を確立する。黒字から赤字転落した中小企業の納付済み法人税を3年前までさかのぼって還付し、中小企業税制の国際標準化により競争力を高める。

(6)海外の豊かさを日本に取り込む。

  ・羽田空港を24時間化するとともに全国主要都市の国際空港機能を強化して、日本をアジアのヒト・モノ・カネの中心とする。

  ・2013年の農林水産物輸出額1兆円の政府目標を順守する。

  ・国民の豊かさの定義を拡充するため、GDPからGNI(GDP+海外からの純所得)を重視すべき。

  ・英語教育を徹底する。とりわけ公教育における小学校英語教育を拡充する。

"
なにやら、頓珍漢な内容です。特に、"財政政策は「財政に家計の常識を入れる」ことを基本にする"というのは、どういうことなのでしょうか。家計のように、とにかく借金を減らすというプライマリーバランス至上主義であるとしかうけとりようがありません。

マクロ経済政策運営としては、"変動相場制のもとでの財政出動には効果がないとの認識に基づき、金融政策を中心として、必要に応じて減税政策を行い"としてはいるのですが、ではこれと財政政策とはどう折り合いをつけようというのか、理解できません。

しかし、財政政策を筆頭にあげているので、やはり、財政政策を優位におき、マクロ経済政策による景気変動対応型の金融緩和、積極財政はあくまでも従という取扱のようです。

やはり、安倍総理が後にあげた、三本の矢である、金融政策、財政政策、成長戦略(成長戦略はとってつけたようなもので不要だったと私は思うが)とは随分異なるものです。

やはり、小池知事の頭の中は、積極財政は従という扱いであるとしか思えません。

これでは、その他大勢の国会議員と大同小異で、安倍政権に対して優位性を保ったり、キャスティングボードを握ることは不可能です。2008年から時もたっているので、小池百合子氏も考えかを変えたかもしれないと思う人もいるかもしれませんが、この時点で財政優先の考えを持っている議員でその後考えを変えた人は与党にも野党にも存在しません。小池知事だけが、例外であるとは考えにくいです。

そうなると、豊洲移転への不手際や、築地市場の失敗も目に見えるてくるでしょうし、都民ファーストの会が国政で大きな影響を与える機会も訪れることはないでしょう。今回の都議会選挙では勝利するかもしれませんが、その後は線香花火のような状況になり、少数政党として、いずれ消えていくか、他の党に吸収されて終わりということになると思います。

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2017年6月28日水曜日

米国人青年の悲惨な死が日本人拉致事件に与える影響―【私の論評】我が国は拉致被害者奪還作戦を展開できる国になるべき(゚д゚)!

米国人青年の悲惨な死が日本人拉致事件に与える影響

北朝鮮の非人道的な虐待に全米が怒り心頭

16日、北朝鮮・平壌の最高裁で判決後に法廷から出るオットー・ワームビア氏
北朝鮮による拘束からようやく解放された米国人青年が、帰国して間もなく死亡した。6月19日のことである。

この青年の悲惨な死は北朝鮮政府の非人道的な行いを改めて全世界に見せつけた。とくに米国では、トランプ大統領から一般国民まで北朝鮮に対する激しい怒りが沸き起こった。この事件は、日本人拉致事件にも意外な影響を及ぼしそうである。

   深刻な損傷があったワームビア氏の脳

 米国のバージニア大学の学生、オットー・ワームビア氏(22)は北朝鮮の刑務所から解放され、6月12日に出身地の米国オハイオ州の病院に入院した。だが同19日、その若い命が失われた。

 ワームビア氏は2016年1月、北朝鮮を観光目的で訪れ、出国直前に平壌の滞在先ホテルに貼られた政治ポスターを盗んだとして逮捕され、15年の「労働強化」という懲役刑に処せられた。オバマ政権は、北朝鮮の強制収容所に拘束された同氏の解放を水面下で求め、トランプ政権も要求を続けた。

 この6月に入って、北朝鮮政府はトランプ政権の要求に応じた形で、ワームビア氏を解放する方針を米側に伝えた。そして実際に解放したのだが、同氏はその時点ですでに昏睡状態にあった。北朝鮮側が撮影した映像には、長身の同氏が北朝鮮の係官に両脇を支えられ、やっとのことで歩を進める痛々しい姿が収められていた。

 北朝鮮政府はワームビア氏が昏睡状態にある理由を「ボツリヌス菌の感染」と発表した。ボツリヌス菌とは汚染した土壌や食品から生まれる珍しい毒性のバクテリアで、人間の体内に入ると、けいれんや麻痺の重症を起こすという。

 ところが米国の医療機関がワームビア氏の身体を検査したところ、ボツリヌス菌はまったく発見されなかった。その代わり、同氏の脳には数カ所に深刻な損傷があったという。米国側では、脳損傷の原因は、外部からの打撃、あるいは特殊な薬品の注入だとみている。入院から1週間後の6月19日午後、ワームビア氏は昏睡状態のまま病院で死亡した。

   米国の対北朝鮮政策は一段と強固に

 ワームビア氏が死亡すると、米国では、北朝鮮は自分たちの虐待によってワームビア氏の生命に危険が及んだため、あわてて同氏を解放し、昏睡の原因について虚偽の主張をしたのだとする認識が広まった。同氏の両親が記者会見をして、北朝鮮当局による虐待があったと非難したことも国民の怒りをエスカレートさせた。

 トランプ大統領は「北朝鮮当局の残虐な行為を非難する」という声明を出した。議会でも超党派で「北朝鮮の非人道的行為を許してはならない」(共和党のジョン・マケイン上院議員)という糾弾が表明された。

 米国メディアも、ワームビア氏の衰弱しきった画像を繰り返し流し、北朝鮮の責任を追及する論調を打ち出した。

 これまで米国は 基本的に北朝鮮の核兵器開発、ミサイル開発などを非難の対象としていた。しかし、今回ワームビア氏が死亡したことで、北朝鮮の人権弾圧にも批判の矛先が向けられることは避けられない。トランプ政権の対北朝鮮政策は一段と強固になるだろう。

    WSJが日本人拉致事件を詳しく解説

 米国の国政の場では、北朝鮮に拉致された疑いが濃厚な元米国人学生、デービッド・スネドン氏への関心も改めて高まりつつある。スネドン氏は2004年夏に中国の雲南省で北朝鮮工作員に拉致された可能性が高く、現在は平壌で英語を教えているという情報もある。

 米国議会下院は昨年9月、米政府にスネドン氏の本格的捜索を始めることを求めた決議を採択したが、今回のワームビア氏の悲劇によって、スネドン氏捜索の動きは加速するとみられる。

 同時にワームビア氏の死は、米国で「北朝鮮による日本人拉致事件」への関心も高める結果となった。ワームビア氏を不当に拘留し、虐待し、しかも平然と嘘をつくという北朝鮮のやり口が、日本人拉致事件と同様だからである。

 米国大手紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」(6月16日付)は「ワームビア氏は帰国したが、他の人たちはまだ帰ってこない」という見出しの記事で日本人拉致を詳しく解説した。

 この記事は、北朝鮮に拉致されたことが確認されている横田めぐみさんの事例を取り上げ、北朝鮮当局が2004年にめぐみさんの「遺骨」の偽物を送ってきた経緯を報じていた。その際、北朝鮮が日本に報告した虚偽の内容は、今回、ワームビア氏の症状について述べた嘘と同様だという。記事では、めぐみさんの母の横田早紀江さんが「ワームビア氏の悲劇に心から同情します」という趣旨の感想を述べたことも報じられた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの同記事は、今後、米国当局が日本との協力を深めて、外国人拉致を含む北朝鮮の人権弾圧への糾弾を強めることを訴えていた。

 他の米国メディアでも、今回の事件を報じながら日本人拉致事件に言及する報道や評論が少なくなかった。米国人青年のこの悲劇は、北朝鮮に今なお拘束されている米国人や日本人の解放を早める契機となるはずである。

【私の論評】我が国は拉致被害者奪還作戦を展開できる国になるべき(゚д゚)!

本日は、特に分析するようなことはしませんが、この事件に関する事柄を以下にまとめておきます。

北朝鮮外務省の報道官はワームビア氏が死亡した日、「ワームビア氏の送還のために北朝鮮を訪問した(米国)医師が、我々が心臓がほぼ止まったワームビア氏を救って治療したことを認めた」とし「ワームビア氏が死亡したのは労働教化中の拷問と殴打を受けたためという事実無根の世論が広まっていることについて、彼らは話す言葉があるはず」と述べています。

続いて「ワームビア氏が生命指標が正常な状態で米国に戻った後1週間も経たずに急死したのは我々にも謎だ」とし「今回の事件による最大の被害者は我々(北朝鮮)だ」と主張しました。さらに「彼が米国に戻るまで誠意を尽くして治療した」と強調しました。

一方、この日の共同通信によると、チェ・ソンリョン拉致被害者家族会代表が「平壌(ピョンヤン)の消息筋から得た情報」とし「ワームビア氏が出国しようとした日、ホテルの部屋で荷物を整理しながら靴を労働新聞に包んだが、ここに金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の写真が載っていた」と主張しました。チェ代表は「金正恩委員長の写真に土がついたためワームビア氏が拘束されたと聞いた」と話しました。

6月13日にシンシナティ大医療センターに運ばれたワームビアさん。医師らは15日、意識不明の状態で、脳に重い損傷があると発表しました。

北朝鮮が送ってきた脳の画像は昨年4月のもので、損傷はその数週間前に起きた可能性が高いといいます。

北朝鮮側は、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染し睡眠薬を服用して、昏睡状態に陥ったと説明。ところが、診断した同医療センターの医師らはボツリヌス菌は検出されなかったと述べました。

父フレッドさんは15日に記者会見で憤りました。「ボツリヌス菌や睡眠薬で昏睡状態になったという説明は信じない。たとえ信じたとしても、どんな文明国家にも、これほど長く息子の容体を隠し、最新の医療を受けさせなかったことに正当な理由はない」

父フレッド・ワームビアさん=6月15日、オハイオ州
19日に家族が発表した声明はこう結ばれています。

「6月13日夜、オットーがシンシナティに戻ったとき、話すことも、見ることも、言葉に反応することもできませんでした。非常に心地が悪いようでした。苦悶しているかのような。息子の声を聞くことはもうありませんが、1日で息子の顔つきは変わったのです。安らかになりました。故郷に戻り、それを感じたのだと思います」

「息子とその家族を思い、祈ってくださった世界中の皆様に感謝いたします。私たちも、ふるさとに心穏やかにおります」

北朝鮮の法定で礼をするワームビア氏
米国の数多くの旅行会社が、北朝鮮旅行の取り扱いを止めたと発表しました。また先月、米国の共和党および民主党議員らは、米国人による観光を目的とした北朝鮮渡航を禁止する法案を提出しました。なぜなら北朝鮮との緊迫した関係により、政治的理由で米国人が拘束される危険性があるからです。

トランプ大統領は就任以来、北朝鮮に対する圧力を強化する意向を何度も表しています。トランプ大統領は、北朝鮮のほぼ全ての貿易額を占める中国に対し、北朝鮮経済へのサポートを拒否するよう呼びかけ、説得しました。なぜならオバマ前政権の「戦略的忍耐」政策は、効果がなかったと考えられているからです。

米国が、北朝鮮観光を手配する個人及び団体に対して再び制裁を発動する可能性も十分あります。なお、法的観点から見てそれは非常に困難であるものの、北朝鮮観光を手配する個人及び団体の多くは中国、英国、米国に拠点を置いています。

一連の専門家らは、対北朝鮮制裁は機能しておらず、北朝鮮がさらに軍備増強と攻撃的な方向へ向かうよう挑発し、状況を悪化させているだけだとの見解を示しています。

在りし日のワームビア氏
北朝鮮で長期間拘束された米国人大学生、オットー・ワームビア氏(22)が死亡した問題で、日本人拉致被害者の家族や関係者からは、米国世論が喚起され北朝鮮への圧力が高まるとの見方が出る一方、「早期解決に直結しない」「最後は日本政府の取り組みが重要だ」との声も上がりました。

救う会」の西岡力会長は、米国では核・ミサイル問題に関心が集中していると指摘。中国で北朝鮮工作員に拉致された疑いがあるデービッド・スネドンさん=失踪当時(24)=の事案もあるが、拉致問題全体への認識は皆無で「米国で関心が高まるきっかけになれば」と語りました。

北朝鮮は最近、人権問題をめぐる国際刑事裁判所への提起など国際的批判に神経をとがらせ、治安当局にも逮捕者の適正な処遇などを周知しているといい、ワームビア氏については「重症化したため、『拷問死』などの批判をかわすため焦って帰した」と分析しています。



また、米国が今回の問題で早期に軍事行動などの強硬手段に出る可能性は低いとした上で、「米国は自国民を救い出したが厳しい結果になった。日本人の被害者にも猶予はない」と救出への取り組み加速を訴えました。

家族会代表で田口八重子さん(61)=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(79)は「拉致問題で米国が日本とともに具体的行動をすぐ取るとは思えないが、捕らわれた国民がいるという部分で同じだ。進展の可能性があるかもしれない」と話しました。

私として、日本の拉致被害者問題のほうが、今回のワームビア氏の事件よりもより一層深刻だと思っています。

なぜなら、ワームビア氏は自らツアーで北朝鮮に出かけ上で、このような悲惨な目にあっています。しかし、日本の拉致被害者はそうではありません。日本で、普通に暮らしていたにもかかわらず、拉致され北朝鮮に強制的に連行されているのです。

ワームビア氏の場合は、今回のようにはっきりと目にわかる形で北朝鮮から戻ってきて死亡しました。日本の拉致被害者も、北朝鮮でどのような目にあっているかなど全くわかりません。

半島情勢が緊迫する今になっても、拉致被害者・特定失踪者の救出が国家的なテーマになることもありません。彼ら彼女たちは、不法上陸した戦闘工作員に拉致され、30年以上も拘禁状態に置かれているのです。

例え、金正恩が木っ端微塵になり、北の核とミサイルが処理されても、拉致被害者を奪還できなけば、我が国は朝鮮有事で大敗を喫したに等しいです。米国と協力するしないは別にして、少なくとも、我が国は拉致被害者奪還作戦を独力で展開できる国にならなければ、まともな独立国とはいえません。

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2017年6月27日火曜日

クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化―【私の論評】全国視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿さ加減をさらけ出した(゚д゚)!

クロ現5分延長の謎 NHK内部で政治部vs社会部が表面化

クロ現のキャプチャー画面 社会部がすっぱ抜いたとされる新聞所
 加計学園の獣医学部新設をめぐり、6月19日、NHKが「クローズアップ現代+」で新たな内部文書をスクープした。だが、それ以上に緊迫したのは、番組に登場した2人のNHK記者の“同僚バトル”だった。

 萩生田光一官房副長官の関与に加え、〈総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた〉と首相自らの指示まで示した新文書。この特大の“NHK砲”に、同じ番組に出ていた政治部記者がケチをつけたのだ。

 「(国家戦略特区の)全ての選定過程で議事録が残され、ネット上で公開されている。意思決定に間違いが起こるはずがない」

 菅義偉官房長官の定例会見そのままの“政府の代弁”のような解説を始めたのは、政治部の官邸キャップ・原聖樹記者。これに対し、社会部の大河内直人記者がこう反論。

 「オモテの議論の透明性は確保されていると思いますが、今回の文書は内閣府と文科省の間で繰り返された水面下の交渉の記録の一つ。(公平性・透明性は)こうした交渉を含めて検証する必要があるのではないか」

 官邸vsNHKではなく政治部vs社会部が火花を散らす構図になったのだ。NHK関係者が明かす。

 「今回のスクープは政権側の目論見を狂わせる破壊力があった。新文書をすっぱ抜いたのは社会部の取材班ですが、その中身を知って官邸や与党関係者を日常的に取材する政治部が急遽、原キャップの出演をねじ込んだからなのか、原氏の掲げるフリップは手書き。NHKらしからぬ急ごしらえ感が漂っていた」

クロ現のキャプチャ画像 原聖樹政治部記者による手書きのフリップ
 同番組の通常放送枠は22時~22時25分。夕刊のテレビ欄にもそう記されていたが、この日の放送は22時30分までと、“5分延長”された。出演者が加わった分だけ“尺”を用意する必要に迫られたようにも見える。

NHK広報局は番組を5分延長した理由について、「取材・制作の都合上」と説明し、政治部記者の追加出演が延長の理由かという質問には、「ご指摘のような事実はない」と回答した。この奇妙な放送から垣間見えてくるのは、政治部と社会部の“立場”の相違だ。

「もともと全メディアのなかでも、NHK社会部は最も取材を先行させていて、前川喜平・前文科次官のインタビューも、かなり早い段階で取っていた。安倍首相ら政権幹部との“オフ懇”を繰り返している政治部とは、追及にかける思いが違う。それでも朝日新聞に先を越されていたのは局内で政権批判をためらう声が強かったからでしょう。社会部の鬱憤は相当たまっていたはず」(前出・関係者)

この手の話はNHKに限らず、菅氏を質問攻めにして「文書」再調査の「功労者」となった東京新聞社会部の望月衣塑子(いそこ)記者についても、「同僚の政治部記者は“ルールを知らない奴がご迷惑かけます”とクラブで頭を下げていた」(大手紙政治部記者)という。

全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は、その空気を変えるきっかけになれるか。


※週刊ポスト2017年7月7日号

【私の論評】全国視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿さ加減をさらけ出した(゚д゚)!


上の記事そのものは、週刊誌の馬鹿記者が書いたものでしょう。上の記事にもあるように、原聖樹氏は、「(国家戦略特区の)全ての選定過程で議事録が残され、ネット上で公開されている。意思決定に間違いが起こるはずがない」と発言をしています。

上の記事を書いた週刊ポストの記者は、原氏が語った、国家戦略特区の議事録も読みもせず、この記事を書いたのでしょう。

この馬鹿な記者子は、"全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は、その空気を変えるきっかけになれるか。"などと馬鹿なことを書いていますが、私からいわせれば、「全国の視聴者の前で政治部にケンカを売ったNHK社会部は馬鹿をさらけ出した」というのが正しいです。

もしこの週刊ポストの記者がこの議事録を丹念に読めば、このような記事は書けないはずです。だから馬鹿だというのです。私は、加計問題に関して、政権側を批判する人間は、馬鹿か悪意のある人間かのいずれかであると思っています。だから、この記者には悪意はないと思うので、馬鹿だと断定したのです。

そうして、NHK社会部の大河内直人(NHK社会部記者)も馬鹿をさらけ出したということです。


私は、大河内氏は悪意ある人間だとは思いたくありません。だからこそ、大河内氏も大馬鹿であるということにします。

さて、「国家戦略特区の議事録」とはこのブログでも何度か掲載してきました。それは、おそらく以下のものだと思います。これは、以前このブログにも掲載したものですが、再掲します。
①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf) 
②2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf) 
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
これらの文書を読めば、文科省はワーキンググループの時点で、完敗していることが手にとるようにわかります。

たとえば、①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録では、以下のよう牧野課長補佐の発言があります。牧野課長補佐とは、以前にもこのブログに掲載した、伝言ゲームで今回の問題で誤解が広まったその元になった文書を作成した人です。

課長補佐の牧野美穂氏(33)
○牧野課長補佐 そこまでは言っていませんけれども、既存の獣医師養成の分野に関して は少なくとも今足りているというように我々は農水省さんから聞いておりますので、その 上で関係者も納得するような、これは新しい構想だというようなものを具体的な需要の数 までも示した上でお示しいただければ、こちらとしても一緒に検討していきたいというこ とでございます。 
○原委員 挙証責任がひっくり返っている。
ここで、原委員の言う「挙証責任がひっくり返っている」という発言の意味するところは、本来既存の獣医師数が足りているのか足りていないのか、あるいは新しい構想による獣医師の需要数など、本来文科省が示すべきなのに、あたかも農水省にその責任があるかのように牧野氏が述べていることに対するものです。

そうなのです。本来規制する側が、需要は足りているということを示すことをしなければならないはずです。新しく、獣医学部を設立することを認可しないというのであれば、それを誰もが納得できる形で、データに基づいた資料を提示して説明する責任があるのです。

にもかかわらず、牧野氏は農水省などにこの説明責任を転嫁しているのです。これでは、話にも何もなりません。無責任そのものですし、これでは、新設獣医学部を規制することは到底不可能です。

③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録には、以下のような浅野課長の発言がしるされています。

浅野 敦行 文部科学省高等教育局専門教育課長
○浅野課長 御指摘いただいたように、もう繰り返しになりますので申し上げませんけれ ども、我々としては先ほど本間先生からも御指摘いただいたように、既存の獣医師でない 構想、獣医師養成でない構想が具体化し、かつライフサイエンスなどの獣医師が新たに対 応すべき分野における具体的な需要が明らかになって、既存の大学・学部では対応困難だ ということであれば、そういったこともしっかり検討していくというつもりでございます。
○八田座長 そうであるかどうかという判定というのはもう今、進めていらっしゃるので すか。それとももう少し提案者等からのヒアリングが必要だということですか。 
 ○浅野課長 恐らくこれは文科省だけでは決められないと思いますので、きちっとしかる べく多分政府全体として、需要と供給の問題も全く関係ないわけではありませんので。  
○八田座長 それは関係ないでしょう。文科省は研究が必要かどうか、その観点からやる から文科省に権限があるので、実際の人たちの損得を斟酌するなどということはあり得な いでしょう。文科省は研究の必要性、ちゃんと需要が十分ある研究者を養成するというこ とが必要なら、それは当然やるべきではないですか。ほかのところを見る必要などは何も ないでしょう。
これを読むと、浅野課長は何とか新設獣医学部の設立を阻止しようとしているのですが、その根拠があまりに脆弱なので、やり込められていことが良くわかります。

以前このブログでも示したように、①と③を読むと、内閣府・特区有識者委員と文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることがわかります。

②の閣議決定では、要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かります。しかも、②では、2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているのですが、それすら文科省は守れていないことがわかります。

これでは、文科省の完敗です。加計問題に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっていたののです。総理の参加する諮問会議の前にこれだけ完膚なきまでに文部省は負けてしまい、さらにはその無能ぶりまでさらけ出してしまってるのです。この問題のいずれかの過程で「総理の意向」が出てくる余地はまったくありません。

加問題に関しては、なにやら怪文書のような公文書でもない、メモ書きのものが発見されていたり、野党やマスコミが大騒ぎするので、その本質を見失っている人も多いかもしれません。とにかくこれらのほとんどは、倒閣に結びつけようという悪意に基づくものなので、その本質はかなり見えづらいものになっています。このような、余計なアーティファクト(人工物)を取り除いて、真実を見ることが重要だと思います。

そうして、この目的のため参考になるものはないかと、いろいろネットを探していると以下のよなツイートを見つけました。これはわかりやすいです






以下にアニメの部分を拡大して掲載します。


真相は、実は上記のようにシンプルなものです。戦略特区の議事録などを読むと、このような理解しか成り立ちません。そうして、公開されている議事録は当然のことながら、出席者全員の確認を受けた上で掲載するものでしょうから、信憑性は文部官僚の公用文ではないメモ書きなどよりははるかに高いです。

このように掲載すると、「いや表ではこうだが裏ではどうかわからない」と指摘する人もいるかもしれませんが、表の世界でこれだけ文科省が完膚無きまでに敗退しているのですから、それを裏の世界で政権側もしくは安倍総理が加計学園への獣医学部設置に関して、何らかの操作をするということはあり得ません。

これを批判するなどということは、たとえば大東亜戦争末期に米国の勝利がすでに確実になっていたにもかかわらず、裏側で米国が戦争に勝つために、必死で工作を仕掛けていたというのにも等しいような詭弁以外の何ものでもありません。

その後、前川前文科省時間が記者会見をしましたが、これについては、本当にここで説明するほどもなくあまりに空虚で、内容がないものだったので、ここで詳細は説明しません。説明すると、もはや脱力感で疲れそうです。

これについては、以下のリンクご覧になって下さい。
加計問題・愕然とするしかなかった「前川新会見」の空疎な中身 
マスコミよ、ツッコむ点は山ほどあるぞ

この記事は高橋洋一氏のものです。

先程、私はこのようなことをする人たちは、馬鹿か悪意のある人間としましたが、これは、もはやそのどちらであったとしても、顕在化した暴力であり、彼らに訴えても慈悲も共感もないかもしれません。

それにしても、NHKは何とか、原聖樹氏のようなまともな人間がいたということで、何とかクロ現でも、二論併記という形で、ある程度客観性を保つ事ができたと思います。

しかし、他のメディアは産経など除いてほとんど、全滅です。NHKに関しては、確かに時折偏向報道をすることもあって、評判が悪いところもあります。しかし、現在のところ報道に関しては、民放が予算を大幅に減らしたため、質がかなり劣化していることは否めないのですが、NHKはそのようなことはしていません。

そうして、NHKでも、地上波放送はそうでもありませんが、BS1のほうはかなり質が高いです。これは、中東関係のニュースなどをみると、他の局との違いをまざまざと見せつけられます。これは、中東問題の傑出した専門家である池内恵氏も高く評価しています。

それに関する記事のリンクを以下に掲載します。
実はNHKBS1はすごいインテリジェンス情報の塊
それでも、今回の『クロ現+』放送を受けて、20日に萩生田副長官が「不確かな情報を混在させてつくった個人メモ」と反論すると、21日にNHKは「行政文書であることは法的に疑いがない」という専門家による見解をニュースにするなど、再反撃に出ました。NHKの良識派の人々には、このようなNHKの他の勢力に負けないように頑張ってほしいです。

そうして、NHKを再生させていただきたいものです。民放の報道部の全部が予算をかなり削られてしまい、まともな放送をしようにもできなくなってしまっています。今の彼らは、能力があるないに限らず、まともな報道はしたくてもできないのです。人も予算も信じられないほどに削られてしまっているのです。偏向報道をするなといっても、できないというのが実情です。事実、昨年の米国大統領選では全敗でした。

NHKも全敗に近いものがありましたが、そうはいっても、日本のテレビ局の中で、唯一NHKだけが、まともな予算で報道番組を作ることができるのです。何とか、NHKから馬鹿と、悪意のある人間を駆逐して、まともにしていただきたいものです。無論、リベラル・左派の人間をすべて放逐しろなどと無体なことを言っているわけではありません。

しかし、加計問題に限らず、何を報道するにしても、すでに公開されているような信憑性の高い文書を検討することなく、メモ書きなどに色めきたつような輩は放逐してもらいたいです。

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2017年6月26日月曜日

【米韓首脳会談】トランプ烈火に油“北朝鮮と五輪”提案…「4悪」目は文大統領自身か 「おとぎの国」住人との声も―【私の論評】日本をはじめとする諸外国に振り回され続ける韓国の政権は短命に終わる(゚д゚)!

【米韓首脳会談】トランプ烈火に油“北朝鮮と五輪”提案…「4悪」目は文大統領自身か 「おとぎの国」住人との声も

テコンドー世界選手権大会の会場で、北朝鮮の張雄IOC委員(右)
と握手する韓国の文在寅大統領=24日、韓国中部、茂朱
 米韓首脳会談が29日、米ワシントンで始まる。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、さすがに初外遊先を平壌でなくワシントンとし、米韓の絆をアピールする方針のようだが、側近のトンデモ発言や米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備の遅れなど、「3大悪材料」(韓国紙)といわれる事態が出来。大統領府スタッフは直前まで火消しや釈明に追われたが、文氏自身が平昌冬季五輪での南北合同チーム結成まで提案する始末。自国民が非業の死に追い込まれ、北朝鮮に激怒するトランプ米大統領の目にはそれこそ「4大悪材料」と映る恐れもある。

 ■「米韓軍事訓練縮小」を一方的に提案

 「学者として話しただけだ。それが大きな問題になることだろうか」

 米国から帰国し、空港に到着した直後の21日、記者団にこう言い放ったのは文大統領の側近で統一外交安保特別補佐官の文正仁・延世大教授。

文大統領の側近で統一外交安保特別補佐官の文正仁・延世大教授
 文教授はワシントンで16日開かれたセミナーで「北朝鮮が核・ミサイル開発を凍結すれば、米国の韓半島(朝鮮半島)での戦略資産や米韓軍事訓練の縮小も可能だ」との持論を披露した。

 米国側はもちろん激怒。韓国大統領府も文教授に厳重警告をし、発言から50時間後に関係者が記者に弁明の背景説明を行った。

 しかし、この場でも「文教授と文大統領の考えは違うのか」との質問に明確な説明がされなかったことから、「2人の考えはそれほど変わらないのだ」との米国の疑念を深めてしまい、特別補佐官の地位を返上するよう求める声も韓国内で出ているという。

 そもそも軍事訓練の規模を米国側の同意なしに変えることは不可能であり、対北配慮のための「縮小」は地域に何のメリットももたらさないことを政権関係者のうち果たして何人が理解しているのだろうか…。

 ■おとぎの国の大統領

 韓国紙朝鮮日報によると、他の2つの悪材料は、THAAD配備をめぐる問題と米国要人冷遇説だ。

 文政権がTHAADに反対する中国の顔色をうかがっているため、配備が遅れたり配備計画をめぐる両国の認識に大きなズレが出たりしていることにトランプ大統領は「激怒した」と伝えられている。

 米国要人冷遇説は、共和党のマケイン上院議員の訪韓予定をめぐるもので、「訪韓が大統領府の冷遇で取り消された」との日本メディアの報道に韓国の大統領府側は次のように反論した。

共和党のマケイン上院議員 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「大統領との昼食会の約束を設定したが、マケイン氏側から改めて調整してほしいと要請があり、さらに訪韓が難しくなったと伝えられた」

 3月に訪韓したティラーソン米国務長官との夕食会問題では、「疲労のために夕食会を長官が断った」との韓国メディアの報道を「もともと韓国側から招待がなかった。それを隠すため韓国側が自国メディアにそう説明した」(米政権側)と暴露される一件があり、そのときの不手際をほうふつとさせる。

 しかし、これらの3悪をさらに上塗りしそうなのが文氏の北発言だ。

 「平昌五輪に北朝鮮選手団が参加すれば、人類の和合と世界平和推進という五輪の価値を実現するのに大きく寄与する」

 北を正統なパートナーとし、国際社会で花を持たせようとしている。

 米社会には、北朝鮮に拘束された大学生、ワームビア氏の非業の死で北朝鮮に対する怒りが沸騰している。異母兄を外国の空港で殺害した疑いも濃厚な金正恩政権になぜ手をさしのべようとするのだろう。

 文氏はまさに、「北朝鮮との関係にファンタジーを夢想する」(武藤正敏元駐韓大使著「韓国人に生まれなくてよかった」 http://www.goku-books.jp/book/b287625.html )「おとぎの国の王子様」(同)といえるだろう。


【私の論評】日本をはじめとする諸外国に振り回され続ける韓国の政権は短命に終わる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では「文氏自身が平昌冬季五輪での南北合同チーム結成まで提案する始末」とありますが、これには後日談があります。

韓国を訪問している北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)委員、張雄(チャン・ウン)氏が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が提案した2018年平昌冬季五輪での南北合同チームの結成と南北合同入場行進に難色を示していたことが26日、明らかになっています。国際世論を無視して親北路線を鮮明にしている文在寅政権ですが、その北朝鮮側からはしごを外された格好になりました。

北朝鮮の国際オリンピック委員会(IOC)委員、張雄(チャン・ウン)氏
文氏は24日、中部の茂朱(ムジュ)で開幕した世界テコンドー選手権大会の開会式で行った演説で、「平昌五輪に北朝鮮選手団が参加すれば、人類の和合と世界平和推進という五輪の価値の実現に大きく寄与する」と述べ、南北合同チームと開会式での合同行進の実現を訴えました。

20日には都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相が、一部競技の北朝鮮での分散開催などを検討していることを表明。IOCは「五輪ムーブメントは常に橋を懸けるためにあり、壁を築くものではない」などとコメントしていました。IOCの前向きな態度を受けて、文氏は張氏と握手をかわし、直接、北朝鮮側にも協力を求めました。

ところが、韓国紙、東亜日報(日本語電子版)によると、張氏はそれからわずか2時間後に、南北合同チームや南北合同行進について懐疑的な見方を示したというのです。

張氏は開会式後に開かれた晩さん会の前に、東亜日報が運営するケーブル&衛星チャンネル「チャンネルA」のインタビューに応じた際、「スポーツの上に政治がある。政治的環境が解決されなければならない」と主張しました。

その上で、文在寅政権が南北のスポーツ交流を望むならばまず、2010年3月に発生した北朝鮮による海軍哨戒艦「天安」撃沈事件を受けて、韓国が取っている独自の対北制裁措置「5・24措置」などを解除しなければならない、と強調したといいます。

文氏は演説で、「敵対国だった米国と中国が『ピンポン外交』で平和を成し遂げた。茂朱で新羅と百済が一つになったように、今日ここで南北が一つになり、世界が一つになることを願う」とも述べました。

これについても張氏は、「ピンポン外交が中米関係を改善したというが、政治的地盤が固まったため。政治に五輪のようなものを引っ張り出してはならない」とバッサリ。スポーツの政治利用をいとわない北朝鮮から、逆にいさめられるという想定外の展開になってしまったのです。

張氏は23日に韓国入りした際、記者団に対し、「私は(南北合同チームなどの)可否を議論する立場にない」と語りました。しかし張氏は、2015年に独誌シュピーゲルで「多才な外交官」「西側諸国で話すことができる唯一の公式な北朝鮮人」などと報じられた人物。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とも非常に親しいとされています。

そうした張氏の態度は、少なくとも現時点で、金正恩氏が南北合同チーム結成に同意していないことをうかがわせます。もしくは、北朝鮮側が、平昌五輪を「5・24措置」などの解除を引き出すための“道具”に利用しようとしている可能性も否定できません。

結局、文在寅大統領は、外交に関しても全く疎いと言わざるを得ません。このブログでは何度か、文在寅大統領の経済対策のまずさについて述べてきました。今の韓国経済は、何をさておいても、量的金融緩和と積極財政を間髪を入れずにすべきであるにもかかわらず、文在寅大統領はそんなことは思いも浮かばないようです。

外交も、安全保証も、経済も駄目ということになれば、何一つ良いことはありません。本当に韓国民はとんでもない酷い大統領を選んでしまいましした。これなら、朴槿恵も経済も安全保証も、外交も駄目だったとはいえ、文在寅よりは、数段ましだったかもしれません。

おとぎの国の大統領・文在寅
5月10日の大統領就任から、まだ二ヶ月もたっていないのに、もう文在寅は馬脚を現してしまいました。米国を「立会人」とし、世界が注目する中で結んだ慰安婦問題をめぐる日韓合意は、条約にも相当する国際約束ということも全く文在寅の頭の中にはないようです。

韓国は今、まさに自分で自分を難しい状況に追いやっているとしか思えません。中国が嫌がっていた米国の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の導入は決めたものの、やはり中国に配慮して本格配備は先延ばしにする。一方で隣国、日本には無意味な歴史戦を仕掛けてきます。雇用・経済がかなり悪化しているというのに、打つべき手を知りません。

安全保障面でのふらふらと腰の定まらぬ態度は、同盟国である米国の怒りを募らせる半面、中国の満足にもつながりません。日韓合意軽視は間に立った米国の面子をつぶした上、日本との関係悪化は韓国経済を冷え込ませるだけです。韓国の束の間の成長は、日本から先端技術に関わる部品を輸入してそれを組み立て、海外への輸出に成功したことによるところにが大きいです。そのこともすっかり忘れているようです。これでは、喜ぶのは北朝鮮ばかりです。

韓国は盧政権時代も朴槿恵(パク・クネ)前政権当時も、米中を同等に扱い、その仲介役を果たす「東アジアのバランサー」を目指した揚げ句、どちらからも冷遇される結果を招いてしまいまし。八方美人的な姿勢は、誰からも信頼されません。文政権もその轍(てつ)を踏むつもりのようです。

韓国外交では、定見がなく勢力の強いものに従う「事大主義」と、世間を知らぬまま自らの実力や地位を過信する「夜郎自大」の2つの「ジダイ」が目立つ。この傾向が続く限り、東アジアは安定しないことでしょう。

中国映画『夜郎王』のDVD
文在寅は経済・外交・安全保障の面で定見を持ち、まずは諸外国に振り回されることなく、自らの考え、自らの力でこれらを実行すべきです。反日も、日本を振り回しているようにみえながら、結局日本に振り回されているというだけのことです。

韓国が、経済・外交・安全保証の面で安定していれば、1990年代以前のように表立った反日などしないはです。安定していないから、諸外国に様々な形で秋波を発信し、結局諸外国に振り回されるしかないのです。結局反日だって秋波の一種に過ぎないのです。

特に最近の韓国の経済はそうでした。グローバリズムを標榜し、内需を疎かに(GDPに占める個人消費の割合は、韓国は50%台、日本をはじめとする先進国の大半は60%、米国は70%)したつけがまわって今の韓国経済は地獄の様相を呈しつつあります。特に家計の借金はとんでもないことになっています。

そうして、日本が2013年から金融緩和に転ずると、韓国経済は真っ先に大きな影響を受けました。ウォン高傾向になった、韓国経済は大打撃を受けました。韓国では、これを日本のせいにしようとする動きもありますが、それは大きな間違いです。

日本が異常な円高だったおかげて、韓国経済は発展できた面があったのですが、その間日本は金融引締めによる円高とデフレで日本国民は長い間苦しんできました。日本としては、金融緩和をしてまともなマネタリーベースの水準に戻しただけです。

それに、日本が緩和をして韓国経済が苦しいというのなら、韓国も緩和をすれば良いだけです。にもかかわらず、朴槿恵は緩和をしませんでした。そうして、文在寅もしそうもありません。

これらのことに気付かず、外国に振り回され続ける、韓国の大統領、政府は、結局短命に終わります。私は文在寅政権は、朴槿恵政権よりも短いと思います。

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