2021年6月4日金曜日

外交部、日本からのワクチン提供に「心から感謝」―【私の論評】これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができた(゚д゚)!

外交部、日本からのワクチン提供に「心から感謝」


日本政府は3日、台湾にアストラゼネカ製ワクチン124万回分を提供し、台湾と共同で新型コロナウイルスに立ち向かう決意を示した。ワクチンはきょう(4日)午後、台湾に到着する。写真は成田空港でワクチンを載せた航空機に深々とお辞儀をする台北駐日経済文化代表処の謝長廷駐日代表。(台北駐日経済文化代表処より)


台日双方の緊密な交渉の末、日本政府が台湾にアストラゼネカ製ワクチン124万回分を提供し、台湾と共同で新型コロナウイルスに立ち向かう決意を示した。ワクチンはきょう(4日)午後、台湾に到着する。外交部(日本の外務省に相当)は同日、ニュースリリースを発表し、日本が適切なタイミングに支援の手を差し伸べてくれたことに「心から感謝する」と述べている。ニュースリリースの概要は以下のとおり。

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昨年、新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大して以来、わが国は医療物資をさまざまな国に無償提供し、国際社会から評価されてきた。最近、新たな感染拡大の波が世界を襲っている。日本政府は、台湾で感染拡大が深刻化していることを鑑み、また、日本の各方面から台湾支援の声が上がる中、日本国内の感染状況が依然厳しい段階にあるにも関わらず、ワクチンを提供することで台湾に協力する決定を下した。これは「人溺己溺(他人が溺れていることを自分が溺れていることとみなす。つまり、他人の苦しみをわが事ととらえる)」、「同舟共済(同じことにあたっている者たちが力を合わせて難局を乗り切ること)」の人道的精神を発揮し、台湾と日本の感染症対策での協力を強化するものだ。外交部は、わが国の政府および国民を代表し、日本政府および関係者に心から感謝申し上げる。

台湾と日本はもとより緊密な関係にあり、固い友情を築いてきた。災害や事故が発生するたびに互いに支援の手を差し伸べ、「雪中に炭を送る」という行動を繰り返し、長期にわたって支え合いの手本を他国に示してきた。このコロナ禍においても、台湾と日本は互いに、第三国に取り残された相手国民の救出に協力してきた。大型客船ダイヤモンドプリンセス号の台湾人乗客を帰国させるためのチャーター機の運航、あるいはペルー、インド、フィジーなどに取り残された人々の帰国など、さまざまなケースを台日双方の協力で無事解決してきた。今年5月に開催された世界保健機関(WHO)年次総会では、日本の菅義偉首相をはじめとする多くの政府高官が、台湾のWHO参加を支持する立場を表明した。これに加えて、このたび日本政府からワクチンの支援を受けられることは、わが国の感染症対策システムを強化し、国民の健康を守るために大きく役立つことだ。このことはまた、台湾と日本のパートナーシップが「患難真情(まさかのときの友こそ真の友)」であることを改めて証明した。日本の人々からの心温まる支援を、わが国の政府と国民は永遠に忘れないだろう。

台湾と日本は、自由や民主主義という普遍的価値を共有している。さまざまな側面において、双方は重要なパートナーであり、貴重な友人である。わが国は、この盤石な関係を基礎に、さらに双方の関係を深めていきたいと考えている。

【私の論評】これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができた(゚д゚)!

本日は、日本の無償提供ワクチン124万回分を載せた航空機が台湾到着しました。市民の感謝の声をメディアが一斉に報じています。蔡英文氏は6日前「困難な時代を支え合って共に切り抜けようという姿勢がこれまで以上に鮮明に。深い友情に心から感謝します」と発信していましたが、そのワクチンの到着が本日の天安門事件32周年と重なることになりました。なにやら、不思議なめぐり合わせを感じます。

新型コロナを長く抑えていた台湾では、5月中旬から一気に感染が広がり、累計感染者が約1万人に膨れ、ワクチン不足の課題が急浮上した。いち早く中国が台湾へのワクチン提供を申し入れたが、台湾当局は「中国のワクチンは怖くて使えない」とし、強く拒否する状況にありました。

中国は、こうした台湾の日米中で異なる対応の違いに強く反発している。外務省の汪文斌副報道局長は5月31日の記者会見で「我々は台湾の同胞のために(ワクチン提供などで)最善を尽くす意思を繰り返し表明してきた。だが(台湾与党の)民主進歩党が善意を踏みにじり、中国から台湾へのワクチン輸入を妨害している」と語りました。

その上で日本の台湾への支援については「新型コロナ対策を政治的なショーに利用しており、中国への内政干渉に断固反対する」などと批判しました。

台湾では域内のメーカーによる「国産」ワクチンの開発や、当局による調達努力が今なお続きました。ところが大量調達の確保には至っておらず、政権への批判も強まっています。

こうした状況に、蔡英文総統は5月26日、党内の会議で「(台湾当局のワクチン調達の動きに)中国が介入し、契約が進まず、今まで遅れている」と明かし、中国に対して強い不快感を示しています。

ただし、このブログにも以前掲載したように、台湾のコロナ感染症は、高橋洋一氏が「さざなみ」と評した日本の感染状況よりもさらに低く、現状でも欧米諸国に比較すれば、かなり感染は低い状態に抑えられています。そのため、感染の酷い地域から、ワクチンの接種を始めるという防疫上の観点からいっても、台湾の接種の遅れはさほどのものではないともいえます。

このような背景と、さらに中国の妨害があったので、若干遅れたというのが、実体であるとみるべきです。今後台湾は確実に感染症を抑え、いずれ収束に向かうと考えて良いでしょう。

台湾に対する英製薬大手アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの提供は、中国からの「横槍(よこやり)」を警戒しつつ、水面下で慎重に準備が進められてきた。ワクチンを共同購入して途上国に分配する国際的枠組み「COVAX(コバックス)」を通じて台湾に供給する案も検討されたが、「時間がかかりすぎる」と判断。安倍晋三前首相ら自民党議員も動き、迅速な提供を実現しました。
5月24日夜、東京都港区の台北駐日経済文化代表処では、台湾の駐日大使に当たる謝長廷代表と米国のヤング駐日臨時代理大使の意見交換会(写真下)に薗浦健太郎元首相補佐官が招かれていました。


「日本はアストラゼネカ製のワクチンを公的接種では当面使わない。それを台湾に譲る動きもある」 薗浦氏はアストラゼネカ製の使い道を問われ、こう答えた。薗浦氏の発言にヤング氏も「グッドアイデアだ」と賛意を示しました。

日本はファイザーとモルデナで全国民分のワクチンをすでに確保済。アストラゼネカも1億回分確保していて、今日その一部を台湾に提供することになったのです。

 台湾は新型コロナウイルスの押さえ込みに成功してきたのですが、5月中旬から感染が拡大。与党関係者によると、日本政府にも5月の大型連休明け以降に、台湾側から複数のルートで「100万回分ほどワクチンが融通できないか」と打診が届いており、水面下での検討が進められていたといいます。

 薗浦氏は翌日、安倍氏に謝氏らとのやり取りを報告して協力を要請しました。2人は前政権で首相と、首相を支える首相補佐官や党総裁外交特別補佐として外交政策を担ってきた間柄でもあります。

安倍氏も「すぐにやろう」と応じました。 国有財産であるワクチンの譲渡は財務省の了解が必要となります。麻生太郎副総理兼財務相に報告した上で、菅義偉(すが・よしひで)首相のゴーサインを得ました。

園裏元安倍首相補佐官(左)と安倍首相(右)

関係省庁間の調整役には加藤勝信官房長官が当たりました。 外務省は当初、コバックスを通じた提供を検討しましたが、安倍氏らから「それでは時間がかかりすぎる」との声が上がりました。

台湾側からは「数量はともかく、スピード重視で対応してもらいたい」との意向が伝えられていたこともあり、コバックスではなく日台間の相互援助の一環として提供する方針に転換しました。 

日本が震災や新型コロナのマスク不足で困難に直面した際、台湾からは多額の義援金やマスクが届いた経緯があります。今回はその「返礼」としてワクチンが送られることになりました。提供に関わった議員は「災害など、困ったときには互いに助け合ってきた歴史がある。国民の理解も得られるだろう」と語りました。

日本のワクチン提供を伝える台湾主要紙

4日付の台湾各紙は、日本政府が台湾に新型コロナウイルスの英アストラゼネカ製のワクチンを提供することを「日本の124万回分が今日台湾到着」との見出しで1面トップに掲載し、日台の友情を改めて証明したと報じた。米国が国際枠組み「COVAX(コバックス)」を通じ、台湾を含むアジアに700万回分を提供することも伝えました。

自由時報は「日本は中国の脅しに直面しながら気概を示した」とたたえました。日本政府がアストラゼネカ製を特例承認したものの、国内では当面使わない方針を決めたことを受け、蔡英文総統ら政権幹部が台湾への提供に向けて日本側と交渉を続けたとしました。

今回のワクチン提供は5/24、駐日台湾代表の謝氏が日米代表と会談、翌日には頼清徳副総統、金美齢さん、そして安倍-岸ブラザ一ズで「早急に実現させなければ」という連携があった、とも報道されています。見事なチームプレーでした。

駐日台湾代表の謝氏は、ご自身のフェイスブックに「一年前の四月、私はこの場所で中華航空が台湾から運んできたマスクを迎えました。今日はこの同じ場所で、日本航空が台湾に運ぶワクチンを嬉しく見送りました。どちらも新型コロナウィルス対策の為のもので、とても温かな気持ちで一杯です」と投稿されています。

東日本大震災のときには、義援金が世界で一番高額であったことなども含めて、これまで日本への支援を惜しまなかった台湾に、日本はワクチン提供で恩に報いることができました。

こうした動きは、人道的にも道義的にも高く評価できます。中国は「政治的利益を図っている」などと日本を批判していますが、ワクチン調達を妨害した中国こそ、政治的利益のために人命を軽視する本質が顕になったといえます。

最も難度の高かった台湾への支援を皮切りに、日本はこれから東南アジア諸国への「人道的ワクチン外交」を展開することになります。我が国日本は、アジアの大国だという自覚と責任を日本人は持つべきで、政府と国会、マスメディアはそれにふさわしい発信をすべきです。

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2021年6月3日木曜日

三原じゅん子副大臣の鋭い眼光が話題「尾身会長の後ろで怖い」「メンチ切ってる」「ガンつけすぎ」―【私の論評】三原じゅん子副大臣は意思決定に直接関わる人、尾身氏は助言者という事実が忘れ去られている(゚д゚)!

三原じゅん子副大臣の鋭い眼光が話題「尾身会長の後ろで怖い」「メンチ切ってる」「ガンつけすぎ」


 自民党の三原じゅん子厚生労働副大臣の“メンチ”がネット上で話題になっている。

  政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会尾身茂会長が2日の衆院厚生労働委員会に出席。五輪開催について「今の状況で普通はない」とした上で「そもそもこの五輪は一体何のためにやるのか、目的が明らかになっていない」と指摘した。

  3日放送のフジテレビ「バイキングMORE」でもこの話題について放送。コメンテーターで出演した時事通信社の山田惠資解説委員が尾身会長の横で見きれる三原氏について「怖い顔がSNS上で話題になっている」と言及した。

  ツイッターでは「ニュースで尾身会長が映る度に、横にいる三原じゅん子が気になりすぎる」「尾身さんの後ろで三原じゅん子が怖い」「メンチ切ってる」「ガンつけすぎ」の書き込みが散見。副大臣という立場から、尾身会長の会見を最も近いポジションで聞くために、その鋭い眼光に注目が集まっているのは事実のようだ。

  山田氏は番組で「三原さんが「(尾身会長の)横で怖い顔をしながら、うなずいてもいたという不思議な顔をされていた」と尾身氏の厳しい指摘に首を縦に振っていることに着目。しかしMCの坂上忍は「自分も映っちゃってるから、尾身さんの言うことにもうなずいたフリをしないといけないし、いろんな感情の中であそこに座っていたような気がします」と推測していた。

【私の論評】三原じゅん子副大臣は意思決定に直接関わる人、尾身氏は助言者という事実が忘れ去られている(゚д゚)!

本日は、意思決定論から、上の記事の内容を分析してみたいと思います。

これを考える上で、尾身会長と三原副大臣の立場の違いを考慮する必要があります。

尾身 茂氏は、日本の医師、医学者(地域医療・感染症・国際保健)、厚生官僚、国際公務員を歴任されました。学位は医学博士(自治医科大学大学院・1990年)。

独立行政法人地域医療機能推進機構理事長(初代)、世界保健機関西太平洋地域事務局名誉事務局長、自治医科大学名誉教授、現在は新型インフルエンザ等対策閣僚会議新型インフルエンザ等対策有識者会議会長兼新型コロナウイルス感染症対策分科会長です。

経歴としては申し分のない立派なものです。

一方の三原厚生副大臣は、選挙で選ばれた政治家であり、しかも閣僚でもあります。一方尾身会長は、選挙で選ばれたわけではありません。どのような手続きを経て選ばれるのかは、わかりませんが、政府の指名によるものです。

三原じゅん子氏は選挙で選出された議員であり、閣僚でもある

日本のコロナ政策に関しては、尾身会長は助言をする立場です。日本政府のコロナ政策が失敗したとしても、責任を取れる立場ではありません。一方の三原厚生大臣は、直接責任のある立場です。

仮に、日本のコロナ政策が大失敗したとすれば、まず責任を取るのは厚生大臣であり、その次は厚生副大臣です。責任が重ければ、次には閣僚になることはできないかもしれません。それどころか、次の選挙では、有権者が認めなければ議員にすらなることはできないかもしれません。

尾身会長も責任をとる形で、有識者会議の会長や感染症対策文科会長などをやめるかもしれませんが、それにしても、助言機関の長をやめるというだけで、過去の経歴に傷がつくわけでもありません。

閣僚などと比較すれば、責任の度合いは段違いに低いです。コロナ対策において直接の責任を担う閣僚などは、感染症だけではなく、IOCの出方、社会や経済のあり方、国際関係などもみながら、それも過去や現在だけではなく、将来のことも考慮にいれながら、最終的な意思決定をします。総合的な観点からマネジメントするために意思決定するのです。

現在や過去のことだけを考え、将来を無視するような意思決定であってはならないのです。

コロナ対策においても、最終意思決定は閣僚ならびに総理大臣が行うべきものです。尾身会長が行うべきは、感染症専門家の立場から助言を行うことです。選挙で選ばれていない専門家が、政府のコロナ対策を左右することはできないし、すべきでもありません。

尾身会長が、その一線を超えれば、それはすでに民主主義ではなくなります。無論、尾身会長自身は、そのようなことはしてないようではありますが、マスコミなどに発言を切り取られ、マスコミや野党の倒閣運動にうまく利用されているようではあります。

それにしても、今回の尾身会長の、五輪開催について「今の状況で普通はない」とした上で「そもそもこの五輪は一体何のためにやるのか、目的が明らかになっていない」との指摘はたとえ切り取りであったにしても異様です。

他のメディアによると、尾身氏の発言は「何のために開催するのか明確なストーリーと、リスクの最小化をパッケージで話さないと、一般の人は協力しようと思わない」と述べたとされています。

助言者という立場では少なくとも「今の状況では難しい」などとそのエビデンスを含めて発言すべきであり、「五輪の目的」などには言及すべきではありませんでした。責任のない人間がここまでの発言をすることは、決して許されることではありません。

このような発言を衆院厚生労働委員会で聴いていた、三原じゅん子氏の表情が固くなるのは当然です。このような発言が続くなら、政府としては尾身氏を解任せざるをえなくなるでしょう。

これは企業のことを考えれば、容易に理解できるでしょう。監査役や、相談役などの人間が、株主総会などの公の場で、たとえ感染症リスクのようなリスクがあったにせよ、多くの取引先の直接の利害もからむ会社が行う一大イベントに関して、「行う意味がわからない」「誰も協力しない」などと発言すれば、どうなるのか、考えてみればご理解いただけるものと思います。

ただし、政府としては、このような反対意見も十分に検討する機会を持ち総合的な観点から意思決定するのは当然のことです。

マネジメントの大家ドラッカー氏は意思決定について以下のように語っています。
意思決定についての文献のほとんどが事実を探せという。だが、成果をあげる決定を行う者は、事実からスタートすることなどできないことを知っている。誰もが意見からスタートする。(『経営者の条件』)
ドラッカー氏は、意思決定が正しいものと間違ったものからの選択であることは稀だと言います。せいぜいのところ、かなり正しいものとおそらく間違っているものからの選択なのです。はるかに多いのは、一方が他方よりもたぶん正しいだろうとさえいえないような2つの行動からの選択だといいます。

最初から事実を探すことを求めるのは好ましいことではないのです。なぜなら誰もがするように、すでに決めている結論を裏づける事実を探すだけになるからです。

見つけたい事実を探せない者はいないのです。 これは、野党などのやり方をみていればわかります。とにかく、倒閣のためには、疑惑でもなんでもないものを疑惑とするのですが、結局安倍政権も菅政権も倒閣できていないです。

意思決定も科学と同じように仮説が唯一の出発点です。われわれは仮説をどう扱うかを知っています。論ずべきものではなく、検証すべきものです。

これは事実と事実のぶつかり合いではなく、意見と意見とのぶつかり合いなのです。それぞれの意見がそれぞれの事実を見ています。それぞれの事実を現実としているのです。
初めに意見をもつことを奨励しなければならない。そして意見を表明する者に対しては、事実による検証を求めなければならない。仮説の有効性を検証するには、何を知らなければならないか、意見が有効であるためには事実はどうでなければならないかを問わなければならない。(『経営者の条件』)

 ドラッカー氏は意思決定に関して、以下のようなことも語っています。

マネジメントの行う意思決定は全会一致によってなしうるものではない。対立する意見が衝突し、異なる見解が対話し、いくつかの判断のなかから選択が行われて初めてなしうる。したがって意思決定における第一の原則は、意見の対立を見ないときには決定を行わないことである。(『エッセンシャル版マネジメント』)

20世紀最高の経営者GMのアルフレッド・スローンは、反対意見が出ない案については、検討不十分として結論を出させなかったといいます。

アルフレッド・スローン氏

意見の対立を促すには理由があります。一見もっともらしいが間違っている案や、不完全な案にだまされなくするためです。頭脳と感性を刺激し、すばらしい案を生み出すためです。

常に代案を手にするためでもあります。行なった意思決定が実行の段階で間違いであることや、不完全であることが明らかになったとき、途方に暮れたりしないためです。

そもそも戦略にかかわる問題については、ある案だけが正しく、ほかの案は間違っているなどと考えるべきではありません。そのようなことは、ありえないとすべきです。もちろん自分が正しく、他人が間違っていると考えてもならないです。なぜ意見が違うのかを常に考えなければならないです。

 明らかに間違った結論に達している者がいても、それは、なにか自分と違う現実を見、自分と違う問題に関心を持っているからに違いないと考えなければならない。(『マネジメント』)

ドラッカー氏の意思決定に関する主張からすれば、尾身氏がオリンピック開催に反対することは間違いではないと思います。 しかし、尾身氏が一つ間違えていることがあります。それは、尾身氏は助言者であって、意思決定者ではないということです。助言者は、意思決定権者に様々な情報を伝えるのが役目であり、いかなる意思決定にも関与すべきではありません。

上の意思決定の原則は、すべて最終意思決定者や最終意思決定に直接関わる人、すなわち意思決定に責任を持つ人達にあてはまることです。

助言者には当てはまりません。その助言者が、政府が推進する五輪に対して上記のような発言をしたということに驚きを隠すことができません。

菅総理の学術会議人事に対して反対する人々


最近では、学術会議の人事をめぐつて、人事の原則を無視したような、発言や行動が目立ち、今回は意思決定の原則から外れたような発言や行動がなされ、なにやら、日本社会の根幹のタガが外れてしまったのではないかと思えてなりません。

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2021年6月2日水曜日

ワクチン巡り問われている野党とメディアの存在意義 批判ありきで中身の議論なし―【私の論評】マスコミと野党は、経済・感染症等でもマクロ的な見方を養わないと存在意義を失う(゚д゚)!


立憲民主党の枝野代表

 新型コロナワクチンの接種が本格化している。ワクチンをめぐっては、野党からは当初、治験を含めて慎重な実施を求める声が主流だったが、いまになって日本の接種が遅れていると批判している。メディアも以前か危険性を強調する報道が多く、現状でも余った分の接種や予約の問題など重箱の隅をつつく報道が多い。こうした姿勢が公衆衛生や防疫に資するだろうか。

 一般論として、ワクチンは各種の疾病の抑制に効果が大きい。実施にあたっては副反応のリスクと効果のメリットのバランスを比較考量すべきだが、メリットが大きければワクチン使用の社会的な意義は十分にある。

 日本は1994年の予防接種法改正で、ワクチンはそれまでの義務接種から任意接種に変更された。その結果、日本は他の先進国と比較してワクチンを打たない「ワクチンギャップ」の国として批判されている。

 海外生活を経験した人なら分かるが、特に90年以降に生まれた日本人は国内でのワクチン接種が少ないので、海外生活する際、大量のワクチン接種が義務付けられる。こうしたワクチン政策の変更は、副反応を過度に強調したメディアの報道によるところも大きいと筆者は思っている。

 実は、リスクだけを過度に強調する報道はワクチンに限らない。原発や金融緩和政策などでも同じ傾向である。副作用のリスクを気にして、原発をやめるべきだ、金融緩和すべきではないと主張するが、やめた場合のリスクやコストも同時に考え、両者を比較考量しなければならない。副作用のリスクのみで政策を判断するのは間違いだ。

 一部野党は日本のワクチン接種が遅れていると言うが、それは日本が欧米などに比べてコロナの感染が少なかったゆえの結果であって、特に問題でない。

 また、立憲民主党の枝野幸男代表が「菅義偉首相はワクチン頼み」と批判したと報じられた。枝野氏は「ワクチン接種の重要性を前提に述べた上での発言」と釈明しているが、ワクチン接種による感染の抑制効果は定量的にもはっきりとしている。つまり、エビデンス(科学的根拠)があるのだから、それを活用しない手はない。

 一方で他国で普通にやっている行動制限については、前提となる憲法改正議論に乗らずに否定する。さらに、ワクチンの打ち手拡大で政府が超法規的措置をしたことについては、法律改正が必要だという。一部野党はこの種の法改正には規制緩和反対という立場で反対していたが、言うことと行動が矛盾していないだろうか。

 はっきり言って、ワクチンの議論にかぎらず、一部野党とメディアは、政府のやることにケチをつけるだけで、国民にとって建設的なことはまず言わないと思っていい。

 筆者のツイッターでの各種表現を巡っては、多方面にご迷惑をかけたことをおわびする。ただ、表現への批判ばかりで、内容についての議論がなかったことは残念だ。こうした点でも、一部野党とメディアの存在意義が問われているのではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マスコミと野党は、経済・感染症等でもマクロ的な見方を養わないと存在意義を失う(゚д゚)!

そもそも野党とマスコミ、さらには現状の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の専門家たちも、公衆衛生への配慮が欠けているのではないでしょうか。

そもそ公衆衛生こうしゅうえいせい、英: public health)は、集団の健康の分析に基づく地域全体の健康への脅威を扱います。健康は多くの機関により、さまざまに定義されています。

疾病の実態調査の標準を設定・提供する国際連合の機関である世界保健機関 (WHO) は、健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない」と定義しています。

WHOは中国寄りであると批判されてりしてはいますが、この公衆衛生の定義はこれで良いのではないでしょうか。

公衆衛生は多くの分野からなりますが、典型的な区分としては疫学、生物統計学、医療制度があります。また、環境・社会・行動衛生、職業衛生(労働安全衛生)、食品衛生も重要な分野です。

世界保健機関は公衆衛生を「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」と定義している。

大学の教室の名称等で公衆衛生学と称される場合もあります。

臨床医学が個人水準で健康を扱うのに対して、公衆衛生は社会水準で健康を取り扱います。例えば、ゴミ収集・生活習慣病対策・伝染病(感染症)予防・公害対策・上水道・下水道・食品衛生など社会保障の基礎となる分野について研究します。

類義語に衛生学があります。衛生学は「生ヲ衛ル学」、すなわち人の命を守るための学問であり、具体的には人とそれを取り巻く環境を研究し、健康と長寿を保つ方法を明らかにして実践することにより、人類の健全な発展を図るものです。

東洋の古典「大学」の八条目に沿って考えますと、科学的根拠に基づいて正しい知識を獲得し(①格物②致知)、それをひとりひとりが日々誠実に実践して心身を健全に保つことにより(③誠意④正心⑤修身)、より良い社会を築くことを目指す(⑥斉家⑦治国⑧平天下)、ということになるかと思います。

以前このブログで、いわゆる感染症専門家といわれる人々にも疑問を感じる旨を掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
台湾、感染拡大止まらず 16日は207人 動揺広がる―【私の論評】感染者・死者数ともに他国と比較して少ない日台は、ワクチン接種でも常識的な動き(゚д゚)!


この記事は、5月16日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、台湾の感染者数が増えたということが当時いわれていたのですが、それでもワクチン接種が随分進んでいる米国よりも、感染者数がかなり少ないことを掲載しました。

日本も米国と比較すればかなり低いのですが、それでも台湾よりは多いです。この状況ですから、公衆衛生学的にいえば、米国のような感染者の多いところから、ワクチンを打ち始めるというのは当然であり、日本が台湾より接種が進んでいるのも当然だということを掲載しました。

しかし、このようなことは、冒頭の記事を書いている髙橋洋一氏を除き、語っている人は皆無です。そもそも、マスコミも野党も、コロナ感染者数の実数や、その時々の増減だけで、物事を語ったおり、結果として何を言いたいのかもわからないような状況になっていました。

それは、昨年コロナが流行りはじめたころからそうでした。その後、私自身は、感染者数だけでみていても何もわからないことに気が付き、当該国や当該都道府県の人口で感染者数を割って、感染率を出すということをはじめました。

それで、わかったのは、日本のコロナ感染者数は昨年のはじめから現在に至るまで、桁違いに少ないということでした。そのうち、公衆衛生学においては、国の感染症を見るには、 100万人あたりの感染者数を見るということを知り、その後はこの指標で感染者数や死者数を見るようにしました。また、そのようなデーターがネットで公表されていることも知り、それを見るようにしました。

医師で元厚労省医系技官の木村盛世氏(56)が先月10日、ツイッターで当時物議をかもしている内閣官房参与の高橋洋一氏の“さざ波”投稿に言及しました。

高橋氏は9日のツイッターで各国の新型コロナ感染者のグラフを掲載し「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」と投稿。これが大きな批判を浴びました。これがなぜあれほどの批判を浴びるのか、私自身は未だ理解できません。

これを受け木村氏は「高橋洋一さんが使用した、“さざ波”は私が使い始めたものです」と自身が使い始めたことを明かした上で「グラフは新たに新型コロナ感染症と診断された人であり、死亡者ではありません。氏のG7+インドのグラフみて、大波と言うのは無理があります」と主張しました。

また、高橋氏から「炎上している」と聞かされ驚いたといい「このグラフ見て、大波と言う人、いるのかしらん? 謎すぎる」と疑問の声を上げました。

私自身は、国単位では100万人あたりの感染者数や死者数の推移をみていたので、この"さざ波"という表現には何の違和感もいだきませんでした。しかし、実際に髙橋洋一氏はかなり批判を浴びて、結局内閣参与を辞められたのですが、髙橋洋一チャンネルでは、自らの主張を間違いと認めたのではない、ただ表現は確かに下品だったとしています。以下にその動画を掲載します。


このような状況もあったので、先程掲載した台湾に関する記事には、以下のような疑問を投げかけました。
最近は、テレビに顔を出す感染症専門家というのもあまりあてにならないと思えるようになってきました。無論、彼らもその分野においてはそれなりの専門家であることは間違いないのだと思います。

しかし、経済学においてはマクロ経済とミクロ経済があります。ミクロ経済学とマクロ経済学では見方が、全く違います。ミクロで正しいことが、マクロでは正しいとは必ずしもいえません。たとえば、家計と、日本経済は全く別ものです。これを同次元に扱うことは間違いです。

しかし、マスコミなどでは、これをないまぜにして論じて、国の借金国民一人当たり1000万円超などとして、不安を煽っています。

それと同じように、感染症学にも、ミクロとマクロの見方があり、現在テレビに出ている専門家は、ほとんどがミクロの専門家であり、当然のことながらマクロ的な見方ができず、それをマスコミに利用されているのではと思えるようになってきました。これに関しては、いずれまともな専門家自身の方に是非聴いてみたいです。

この疑問に関しては、専門家自身の方に聴く機会はありませんでしたが、この疑問に関しては、最近解消することができました。それは、高橋洋一チャンネルの以下の動画を視聴したからです。


この動画では、「社会的にマネジメンできれば良い」という発言が、7分20秒あたりにあります。7分48秒あたりには「パブリックヘルス」という発言があります。

この発言をみていて、先の疑問は解消しました。やはり、経済のように、マクロ的なミカタとミクロ的な見方があり、感染症においては、マクロ的な見方はパブリックヘルス的な見方であり、ざっくり言ってしまうと、感染症学・医学的見方は、ミクロ的な見方ということです。

結論を言うと、テレビには、感染症学、医学的な見方の人たちが、コメンテーターとして登場し、パブリックヘルス的な見方をする人はほとんど出なかったということです。

結果として、ワイドーショー視聴者などは、煽られっぱなしなってしまったのです。

本来ならば、テレビや新聞などのマスコミでは、パブリックヘルス的な見方をするひとたちも登場させるべきだったのです。

それにしても、経済においても、マスコミや野党の政治家などは、マクロ経済的な見方がわからず、いつも頓珍漢な報道や、政府批判をしていますが、コロナ禍についても、パプリックヘルス的な見方ができずに、頓珍漢なことはばかり語ったり報道しているようです。

本当に困ったものです、実際に治療にあたる医師や患者やその家族、あるいは一般の人たちは、感染症に関して、ミクロ的な見方しかできないのはある程度仕方ないと思います。とにかく、目の前の感染症に対して戦わなければならないからです。

しかし、政治家や報道機関などは、ミクロ的な見方だけではなく、マクロ的なパプリックヘルスの見方ができなければ、まともな論議になりません。ミクロ的な見方ばかりしていれば、パブリックヘルス的には、間違いということも生じるものと思います。

平成年間においては、そのほとんどの期間がデフレでしたが、それは日本の実体経済などはお構いなしに財務省は緊縮財政ばかり行い、日銀は金融引締ばかりやってきた結果です。そうして、マスコミや野党も、そうして与党も含めた多数の政治家、多くの識者もこれに異議を唱えるどころか、追随したために、日本は古今東西で一番長い間、デフレに悩まされることになったのです。

感染症においても、同じようなことが繰り返され、あまり必要とも思われない、「緊急事態宣言」が継続されてしまうという実態が発生してしまったといえるのではないかと思います。そうして、実際に実行されて、非常に筋が良い経済対策であることが認識された「GOTOキャンペーン」も中止されてしまいました。

髙橋氏によると、「GOTOキャンペーン」が実施されても、これによる移動は日本人全体の1%にしかあたらないとされているそうです。実際「GOTOキャンペーン」が実施されていたときに、これによりクラスターが多数発生したとされる記録はありません。

それにしても、経済でも感染症でも、いや安全保障や様々な対策でも、専門家的なミクロ的な見方はもちろん重要ではありますが、同時にマクロ的な見方もしないと、とんでもない不合理や非条理が発生することになりかねません。

高橋洋一氏のいうようの、感染症を限りなくゼロにすることは必ずしも、マクロ的な見方をすれば、正しいこととはいえません。感染症を限りなくゼロにするために、経済や社会が毀損され、自殺者が増えるなどの事態になれば、無意味です。

そのあたりのバランスをとりながら、コロナ対策を実行するのが、本来の政府の役割です。感染の専門家は、政府のように選挙によって選ばれた人達によって構成されているわけではありません。専門家は、責任をとることはできません。

責任が取れるのは政府です。だから、政府が最終的に政策を決めるべきなのです。政府は、そのことをもっと自覚して、コロナ禍対策を実行していくべきです。

それにしても、マスコミや野党は、マクロ的な見方を養わないと、これから存在意義が問われることになりそうです。まずは、直近の衆院選挙では、ボロ負けして、とんでもないことになりそうです。

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「コロナウイルスは武漢研究所で人工的に変造された」英研究者らが法医学的学術論文発表へ―【私の論評】もしこれが事実であれば、賠償問題が再燃するのは確実(゚д゚)!


2021年6月1日火曜日

「コロナウイルスは武漢研究所で人工的に変造された」英研究者らが法医学的学術論文発表へ―【私の論評】もしこれが事実であれば、賠償問題が再燃するのは確実(゚д゚)! 

「コロナウイルスは武漢研究所で人工的に変造された」英研究者らが法医学的学術論文発表へ 


「ウイルスは中国研究所で人工的に変造された」

新型コロナウイルスの武漢研究所流出説が再燃する中、英国の研究者らがウイルスが中国の同研究所で人工的に変造されたことを法医学的に突き止めたと、近刊の学術誌で論文を発表する。

  

英国の日刊紙デイリー・メイル電子版28日の特種報道で、近く発行される生物物理学の季刊誌Quarterly Review of Biophysics Discoveryに掲載される学術論文を事前に入手し「中国がコロナウイルスを造った」と伝えた。

論文の筆者は、ロンドンのセント・ジョージ大学で腫瘍学専科のアンガス・ダルグライシュ教授とノルウェーの製薬会社イミュノール社の会長で生物学者でもあるビルゲール・ソレンセン博士の二人で、研究の発端はイミュノール社で新型コロナウイルスのワクチンを開発するために、ウイルスを調べ始めたところ、ウイルスが人工的に改ざんされた痕跡(フィンガープリント)を発見したことだったという。

そこで二人は、武漢ウイルス研究所を疑って2002年から2019まで同研究所で行われた実験にかかわる研究論文やデータから、その根源を探る「レトロ・エンジニアリング」という手法で分析した。

その結果二人は、中国の研究者が、その中には米国の大学と協調して研究していた者もいたが、コロナウイルスを「製造する術」を手にしたらしいことが分かった。 彼らの研究のほとんどは、米国では禁止されている遺伝子操作で性質の異なるウイルスを作り出すことだった。

コウモリのウイルスを遺伝子操作で変造

二人は、中国の研究者が中国の洞窟で捕らえたコウモリからそのウイルスの「バックボーン」と呼ばれる部分を別のスパイクに接着させ、より致死性が高く感染力の強いウイルスを造ったと考える。

そのウイルスのスパイクからは4種のアミノ酸の列が見つかったが、こうした構造は自然界のウイルスには見られないことで、人工的なウイルスであることを裏付けるものだとソレンセン博士は言う。

コロナウイルスの発生源については、世界保健機関 (WHO)の調査団が中国で調査した結果「コウモリから別の生物を介してヒトに感染した可能性が高い」と報告し、中国のキャンペーンもあって自然界での変異説が有力視されてきた。

「軍事利用」が目的だったのか?

しかし、ここへきて武漢ウイルス研究所の研究員3人が2019年秋にコロナと似た症状で入院していたという米情報当局の情報がマスコミに流されたり、英国の情報部もウイルスが武漢研究所から流出したものと判断したと伝えられ「研究所流出原説」が再燃。バイデン米大統領も26日コロナウイルスの発生源再調査を命じ、90日以内に報告するよう求めた。

 そうしたタイミングで出てきた今回の研究論文は、単なる噂話ではなくウイルスを法医学的に分析した学術研究なので説得力があり、今後このウイルス変造が「軍事利用」を目的としていたのかどうかなどの論議に火をつけることになりそうだ。

【私の論評】もしこれが事実であれば、賠償問題が再燃するのは確実(゚д゚)!

北京大学教授で、復旦大学の主任研究員兼新政治経済センターの学術委員会の議長でもある陳平氏が、中国が2020年の「生物戦争」でアメリカを打ち負かしたのだと誇らしげに主張しているとされています。その動画を以下に掲載します。


陳平氏は、「2020年、中国は貿易戦争、科学技術戦争に勝利しただけでなく、特に生物戦にも勝利した。これは前例のない、画期的な歴史的なものだ。したがって、中国国内にいるリベラル系でアメリカを素晴らしいと持ち上げる者たちの盲信ぶりには実際には根拠がない。この貿易戦争と生物戦争に米国は敗北を喫して元の形に戻った」と語りました。

「元の形に戻った」の意味は、激しい対中政策を打ち出したトランプ政権を1期で引きずり下ろして、アメリカを従来姿勢に戻すことができたという意味ではないかと考えられます。

これを裏付けるように陳平氏は、「トランプ氏の4年間に渡る国際的地位の低下からアメリカを取り戻す試みは失敗したと思う。この失敗は、トランプ氏個人が大統領に再選できなかったというだけでなく、アメリカとイギリスが主導してきた過去40年間のネオリベラリズム主導のグローバリズムの行き詰まりでもある。

したがって、アメリカとヨーロッパの開発・近代化モデルは、中国が真似して繰り返すに値しない」、「西洋のモデルは失敗し、500年にわたる海洋国家による文明は崩れる運命にあり、中国共産党が勝利をおさめ、2020年のコロナウイルスの世界的な大流行後の新時代の文明進化の道をリードするのだ」とも述べています。

今回のコロナウイルスは中国が世界を征するための生物兵器として開発し、それによって中国を邪魔しようとするトランプ政権を押しつぶし、西洋との戦いに勝利したのだと、陳平氏ははっきりと述べているのです。

こうした話は従来は根拠のない単なる「陰謀論」だと片付けられてきましたが、陳平氏の話、ならびに上記の法医学的学術論文そうではなかったかもしれない可能性がでてきたといえます。

ただ、上の動画だけで、早急に結論は出せないと思います。生物戦に勝利の話は、疫病蔓延という問題対処を生物戦にたとえ、それを制圧する力では、多数の死者を出した米国に比べて勝っているという意味かもしれませんし、あるいは今回のコロナパンデミックは米国の研究室でつくられた生物兵器による生物戦の結果であることを前提として、このアメリカが始めた戦いに勝利したという意味として取るべきかもしれません。

ただ、前後関係がわからないので、どの内容で取ればいいのかは確定できないです。

ただ、以前からバイオ兵器の脅威については語られてきました。

「9.11」米同時多発攻撃の発生後、炭疽菌入りの郵便物が送付され5人の死者を出す事件がありましたが、これ以外には、近年では生物兵器による攻撃が本格的に試みられた例はほとんどありません。

主要国は1970年代に生物兵器の研究を縮小してしまいました。毒性は強いものの脆弱なバクテリアやウィルスを生かしたまま爆弾やミサイルで投下する、あるいは単に散布することが困難だったからです。

アルカイダやイスラム国(IS)のような過激派組織は、もっぱら、テクノロジー面では対極の方向に向かっており、フランスのニースやドイツのベルリンなどで、乗用車やトラックを使って歩行者を攻撃するという、原始的ではあるが残虐な戦術に転じていました。

大半の科学者やセキュリティー専門家は生物兵器のリスクは比較的低いままだとみていますが、その状況は変化するかもしれないです。

基本的な遺伝子工学技術の普及によって小規模で低コストのものが自宅でも使えるかもしれないからです。2016年にはすでに、米航空宇宙局(NASA)に勤務していた生物工学の専門家が開発した遺伝子編集キット(写真下)が売り出されています。メルカリでも購入可能です。

DIY Bacterial Gene Engineering CRISPR Kit

犯罪者たちが、3Dプリンターで拳銃を作るように、遺伝子編集キットにより、バクテリアやウィルスのDNAに手を加えて、はるかに致死性が高く、治療困難なものに作り変えることが可能な時代なのです。

生物学や遺伝学研究に対する規制は、国によって非常に異なっています。しかし、そのような手法による兵器製造は、1975年の生物兵器禁止条約によって、ほぼ違法とされています。

ところが一部の専門家は、近年の技術的進歩によって、より効果的で致死性の高い新たな病原体を設計することが容易になっているのではないかと懸念しています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は2017年2月に、こうした兵器を使った紛争により、核戦争よりも多くの死者が出る可能性があると警告していました。

科学者が最初にヒトゲノムの配列を確定したのは2003年ですが、これには膨大な労力と費用がかかりました。現在ではコンピューターの能力向上により、この種のテクノロジー(個々の人間、動物、植物、病原体のDNAにおける差異の分析)のコストは年々急速に低下しています。

まだ意見は分かれているものの、科学者の一部からは、基本的な遺伝子工学手法が普及するにつれて、特定個人のDNAや、下手をすると民族集団全体を標的にするような高度な新兵器を創り出すことが容易になるかもしれないという考えが提起されています。

ジョセフ・リーバーマン米上院議員は、「9.11」以前から生物兵器による攻撃への警戒を呼びかけており、米国がこれを回避できているのは「まったくの幸運」であったと述べています。同上院議員は2017年3月、ドナルド・トランプ大統領(当時)と連邦議会に対し、生物兵器に対する防御を国家的な優先課題にするよう求めました。

米中央情報局(CIA)の元職員ロルフ・モワトラーセン氏は、2010年の論文のなかで、アルカイダが核兵器入手と同じレベルの優先課題として生物兵器の獲得を求めていた状況を紹介しています。アルカイダはいずれも果たせず、代わりに従来型攻撃に注力することになりました。

米国陸軍士官学校の対テロ戦闘センターによる2016年の報告書では、ISも生物兵器獲得に熱心だと結論付けました。ISはモスルをめぐる戦闘などで原始的化学兵器を使用していいました。ただし、それによって大きな犠牲を与えることには失敗していました。

意図的な攻撃がないとしても、大規模なパンデミック(感染症流行)の脅威は現実的です。

米疾病管理予防センター(CDCP)や世界保健機構などの組織は、常に大流行の兆候への警戒を怠らないように勤めていました。しかし、ご存知のように、CDCは初期の失敗により、米国は今回のコロナウイルスで甚大に被害を被ってしまいました。

科学者らが数十年にわたって警告を続けているように、人類は、1世紀前に推定5000万人─1億人の死者を出したスペイン風邪(インフルエンザ)と同等規模の深刻なパンデミックのリスクを抱えていたのです。

そうして、そのリスクは、昨年のコロナウイルスのパンデミックで現実のものとなったのです。

現代社会は、感染症対策をたくさん用意してはいますが、弱点もあります。航空機を使った移動により、感染症が以前よりも急速に拡大しやすくなっているからです。

米陸軍士官学校の報告書によれば、IS構成員から2014年に押収されたラップトップに保存された文書では、動物から抽出した腺ペスト菌を培養・使用する方法が検証されていたといいます。ただしこの報告書は結論として、他の武装グループ同様、ISが生物兵器を使って多数の犠牲者を生むような攻撃を仕掛ける能力を獲得する可能性は「非常に低い」と述べていました。

2014年の西アフリカ地域におけるエボラ熱流行するなかで、ISなどの過激派組織がこの状況を利用するのではないかと欧米諸国の当局者は案じていました。米陸軍士官学校の報告書によれば、特に、ISが感染者を確保し、他の地域にエボラ熱を拡散させるために利用するのではないかという懸念があったというのです。

しかし実際には、こうした手法が用いられたとしても、その効果は限定的でしょう。感染者は必ず発症するでしょうし、そうすれば比較的迅速にエボラ熱患者として特定できます。大流行における他の例と同じように、感染抑制措置によって、患者は管理下に置かれることになります。

それでも、単純な攻撃が功を奏する可能性はあります。

1984年、インドの神秘思想家バグワン・シュリ・ラジニーシ氏が主宰する宗教団体が、10店舗のサラダバーでサルモネラ菌を散布したことにより、オレゴン州を中心に751人が食中毒を起こし、45人が入院しました。

死者は出なかったものの、依然として、最近の米国史における最大規模のバイオ攻撃です。首謀者たちが一時検討していたように、腸チフス菌を使っていたら、死者が出ていても不思議はありませんでした。

1995年に東京で13人が犠牲となった地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は、民間集団による最も高度な生物兵器プログラムを有していたと一般に考えられています。ところが、オウム真理教による炭疽菌などの病原体による攻撃は成功しませんでした。それが化学兵器に重点を切り替えた大きな理由の1つです。

未だ記憶に生々しい地下鉄サリン事件

何よりも危険なのは、専門知識を有する少数の人間のうちの誰かが、単独攻撃を決意することかもしれません。2011年後半に政府などの機関に炭疽菌入り封筒が送付される事件の発生以来、連邦捜査局(FBI)は、米陸軍に所属する微生物学者ブルース・アイビンスの単独犯行であると結論づけました。

アイビンスは2008年、予定されていた逮捕の直前に自殺しました。後に科学者らによる調査委員会は、アイビンスの犯行であるとしたFBIの証拠に疑問を投げかけています。

他にも危険はあります。北朝鮮の金正恩体制が崩壊する場合、天然痘菌を含む可能性のある生物兵器を同国政府が放出するのではないか、と一部で懸念されています。

第1次世界大戦では化学兵器が、第2次世界大戦では原子爆弾が登場しました。一部の専門家は長年にわたって、時代を特徴付ける次の大戦では生物兵器が使われるのではないかと警告し続けています。

私自身は、中国の武漢ウィルス研究所ではやはり、バイオ兵器の一環として、自然界のコロナウイルスを分離し作り変え、将来兵器にしようとしていたのでしょうが、それが研究員の感染によって漏れてしまったというのが、真相ではないかと思います。

そうなると、様々な事柄に納得がいくような気がします。たとえば、日本をはじめアジアでは被害が少なかったこと、中国が感染初期に隠蔽をはかったこと、イタリア、スペイン、米国などでは被害が多かったこともある程度納得がいきます。

もしこれが事実であれば、コロナ被害による賠償問題が再び再燃するのではないかと思います。中国としては、賠償問題に応じることはないでしょうが、世界中の国々が中国の資産をおさえるなどのことも考えられます。そうなると中国はかなり厳しい状況に追い込まれることになるかもしれません。

真相の究明がなされることを切に願います。

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2021年5月31日月曜日

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コロナ感染は「あと1ヵ月」でピークアウトする…「波」はワクチン接種で防げる

相変わらずマスコミは危険を煽りすぎ




外国人の土地購入規制法案審議が止まっている…

 まず私事にわたることだが、1週間前の5月24日内閣官房参与を辞した。関係各位にご迷惑をおかけしお詫びしたい。その経緯は、筆者のYouTubeをご覧いただきたい(https://youtu.be/2R3e52qQiLE)。 アメリカで「ワクチン接種」して分かった、これから日本で起きる「意外な結末」  

 辞めた理由は、家族にも「表現が下品」と言われたことであるが、政治家でもない筆者のために国会での審議が進まないというのもある。特に、内閣委員会で、法案審議拒否の理由になっているというのは、筆者としては納得しがたかった。

  筆者の問題との因果関係はわからないが、内閣委員会では、重要な法案が進んでいない。正式名称は、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」といい、要するに、自衛隊などの基地のまわりについて、外国人の土地購入について、一定の規制をするものだ。 

 このような規制は外国では当然であるが、なぜか日本では整備されていなかった。この問題について、筆者は何度も指摘したことがあるので、もし万が一筆者が妨げになることも絶対にあってはならない。

  実際の国会審議は、一部野党はサボりたいだけで、審議ない口実は何でもいいのだろう。その一例としては、筆者が問題提起している憲法改正でも憲法審査会の議論は一向に進んでいないことが挙げられる。

  さて、2ヵ月先の東京五輪について、中止への動きが政治問題化している。結果として筆者もそれに巻き込まれた形だが、その政治的な議論はさておき、そのときの新型コロナの感染状況はどうなっているのかを考えてみたい。 

 まず、ワクチンの接種状況と新型コロナの感染状況の関係を見てみよう。G7諸国でみると、ワクチン接種の一定期間後、新型コロナの感染は確実に抑制されている。 

 カナダ、フランス、ドイツは、100人当たりのワクチン接種が24回程度になると、新型コロナの新規感染率(人口比)がピークとなり、それ以降減少傾向に転じている。

あと約1ヵ月でピークアウト


 イタリアでは12回程度から減少している。これらの国では、ワクチン接種直後に一度ピークが来ているが、その後再び波が来たために、ワクチン接種が一定以上になって再びピークアウトしている。 

 イギリスとアメリカではワクチン接種の直後から減少しているが、これは波がなかったからだろう。

  いずれにしても、こうしたG7諸国の例でみると、遅くとも24回程度、早ければ直後から減少になると思われる。日本は、ワクチン接種直後に一度ピークになっている。再び波が来るとしても、遅くてもワクチン接種が24回程度でピークアウトするだろう。

  5月27日現在で、ワクチン接種回数は100人当たり8.8回だ。1日で60万人ペースでワクチン接種が行われれば、24回まではあと約1ヵ月である。 

 なお、この60万人ペースは、海外の事例から見れば、かなり控えめだ。実際にワクチン接種では、習熟度等がまずので、ワクチン接種回収は、初めのうちは加速度がついて増加し、そのうちに鈍化していく。日本の60万人ペースはそうした海外から事例から見れば控えめだ。これは下図をみれば日本の予測の傾きが海外と比較しても小さいことからいえる。

  いずれにしても、日本のケースに当てはめれば、このまま新たな波がこないと、今の減少傾向が続くだろう。もしもう一回波が来ても、遅くともあと1ヵ月以内でピークアウトするだろう。 

 それでは、2ヵ月後はどうか。そのときには、日本では100人当たりのワクチン接種回数は40回程度になっているとしていいだろう。

  G7諸国の場合、新たな波が来ないと、40回接種時の新規感染率は当初ピークの75~90%減程度になる。新たな波が来ても25~50%減程度だ。

ピークの波も小さくなる

 これを単純に日本に当てはめると、直近ピーク時は5月10日前後の100万人あたり50人程度(全国で6000人程度)であるので、新たな波が来ないと、100万人当たり5~12人程度(全国で600~1500人程度)になるだろう。

  もし新たな波が来ても、100万人当たり25~38人程度(全国で3000~4500人程度)だろう。新たな波が来ないと劇的な改善になり、もし新たな波が来ても、いったんは悪化するが、2ヵ月後には、今より悪くなるようなことはなくなっているだろう。

  これらの状況を示したのが下図だ。


  もともと日本の感染状況は欧米に比べて少ないが、ワクチンが浸透するとさらに、波は小さくなる。

  予測1はあと一回波が来るとの前提で、予測2はもう波が来ないとの前提である。もう一回波が来ても、ワクチンの効果で波が消される可能性が高いと思う。

  こうした予測経済の常であるが、感染力が高いといわれる新株が急速に日本で拡大したらどうなるかであるが、この計算の前提になっているのは欧米の状況であり、新株が欧米でもあることを考えると、日本だけが特別の状況にならないかぎり、新株はある程度計算前提に織り込まれていると考えていいだろう。

  先の24日、米国務省は日本に対する渡航警戒レベルを4段階で最も厳しいレベル4に引き上げた。これがまたセンセーショナルに日本のマスコミで取り上げられた。

  米国の基準はかなり形式的であり、過去28日間の新規感染者数で、10万人当たり100人を超える状態が継続すると最も厳しいレベル4となるが、日本はそれに該当したが、米国や欧州連合(EU)など約150カ国が該当しているので、日本だけが適用になっているわけではない。

豊洲市場報道と被って見える

 そうしたことが報道されないのに、マスコミは危険を煽りすぎだ。ちなみに、上記試算では、2ヵ月後には日本への渡航警戒レベルも解除されてるだろう。

  いずれにしても、この試算の程度までに、仮に新規感染者の数は改善が少なくても、重症患者の数はかなり減少するだろう。その意味で、医療崩壊は考えにくい状況だろう。

  なお、こうした試算について、政治的な意図はまったくない。政治的に五輪反対はどこの国でもあるので、新型コロナがあってもなくても行われるものだ。ただし、今回の日本では、新型コロナを一部マスコミが煽ることと、五輪反対の政治的な動きが連動しているように、筆者には見える。 

 政治記者も、政局があるかもしれないので、煽っている。そのターゲットは、東京都の小池都知事でもある。まるで豊洲の再来を小池都知事に期待しているかのようだ。豊洲問題は確かに政治問題化させた。 

 しかし、実際にはどうだったのか。小池都知事は、共産党の策略にのって、地下水、豊洲市場の地下ピット、豊洲市場の構造が危険などなどいろいろとテレビワイドショーに問題提供したが、実際には何も問題はおきていない。

  筆者には、東京五輪の話が「豊洲市場問題」とかなりダブってしまう。マスコミ報道の煽り方は似ているが、政治的には東京五輪の反対は一部野党のみであり、小池都知事は今のところ冷静なところが違う。はたして、一部の政治記者が期待するような政局になるのだろうか。

【私の論評】年末から来年にかけて日本経済は順調に回復

私は、このブログで「マスコミは森叩きのホップで成功したが、ワクチン叩きのステップ、オリンピック叩きのジャンプでコケて8月にはお通夜状態に」なるであろうことを予測しましたが、まさにそのとおりになりそうです。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】経済成長のカギ握るワクチン接種状況 高齢者の接種が順調に進めば4~6月期GDPの追い風に―【私の論評】マスコミは森叩きのホップで成功したが、ワクチン叩きのステップ、オリンピック叩きのジャンプでコケて8月にはお通夜状態に(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いだだくものとして、以下にこの記事より結論部分のみを引用します。

5月13日までのワクチン接種回数

8月に入れば、8日にはオリンピックは他の国際スポーツ大会と同じく、さしたる混乱もなく閉会し、その後はコロナ死者数はかなり減り、9月あたりには、誰の目から見ても、コロナの収束は近くなるでしょう。そのときには、マスコミは嫌々ながら、コロナが収束に近づいたことを報道するでしょうが、特にテレビのワイドショーはお通夜のような雰囲気になるでしょう。

そうして、その頃に解散総選挙が行われることになるでしょう。その後しばらく、野党もマスコミもお通夜状態のショックから立ち直れないことになるでしょう。
このブログでは、他にもコロナについての予測を行いました。
【日本の解き方】緊急事態宣言がGDPに悪影響 先進国では日本の落ち込みは軽微だが…ワクチン接種急ぎ経済正常化を―【私の論評】今年の秋から年末にかけて、消費のマグマはかつてない程の大爆発!東京五輪はそのファンファーレに(゚д゚)!

この記事に関しても、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみを引用します。
そうなると、オリンピックが終了する8月に入れば、誰の目にもコロナが収束する時期がみえてくるでしょう。そうして、秋から年末にかけて、いままで様々な我慢していた分が爆発して、消費が爆発的に増えるでしょう。

いつまでもこの長いトンネルが永久に続くわけではありません。コロナが収束する日は目前に迫っています。それまでは、三密を守って心穏やかに過ごしていきたいものです。

今年の秋から年末にかけて、消費は大爆発!東京五輪はそのファンファーレとなることでしょう。それに合わせて今から準備をしている人たちも多いでしょう。今年のクリスマスは、いままでいないほど賑やかで、大爆発することでしょう。

バブル期のクリスマスのようになるかもしれません。今から楽しみです。

バブル期のクリスマスの象徴のような山下達郎の「クリスマス・イブ」

これには、単なる私の憶測ではなく、裏付けもあります。以下のサイトをご覧ください。
【調査データ】アフターコロナに女性の消費意欲が爆発!? 55%以上が“労い(ねぎらい)消費”をしたい!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より結論部分を引用します。
感染終息した後、自分に対して“労い(ねぎらい)消費”をしたいと考えている人たちの多くは、コロナ禍で制限された国内外への旅行や、外食を中心とした「食」関連への消費を検討しているようです。

アフターコロナにプロモーションを企画するなら、旅行や食に関連する景品を用意することで、多くのターゲットの心に響くキャンペーンに仕上がるのではないでしょうか。

また、性別・世代別でも“労い(ねぎらい)消費”に対する傾向が異なることが結果として出ていますので、ターゲットのインサイトから最適なプロモーションを企画していきましょう。

 あとは、財務省が大規模な増税キャンペーンを開始し本当に増税したり、日銀が金融引締に転じるなどのバカマネをしなければ、今年の年末から来年にかけて日本経済は順調に回復していくでしょう。

マスコミの中には、欧米に比較して、なぜ日本だけGDPが回復しないのかなどという論調もあるようですが、まだコロナワクチンが十分に接種されていない状況下でそれをいうのは、おかしいです。さらに、欧米は日本に比較して、経済の落ち込みがかなりひどかったので、日本に比較して凄まじい回復ぶりをみせるのは当然のことです。

日本では、コロナ時の経済対策はうまくいっていたので、あとはこれからどうなるかで、経済を見ていくべきです。

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2021年5月30日日曜日

「習氏の野望」日台で粉砕 バイデン政権、対中共闘で文政権を排除も…真意は日韓ともに「次の政権」に期待か 大原浩氏緊急寄稿―【私の論評】安倍晋三氏の再々登板は、内外ともにあり得る状況になってきた(゚д゚)!

「習氏の野望」日台で粉砕 バイデン政権、対中共闘で文政権を排除も…真意は日韓ともに「次の政権」に期待か 大原浩氏緊急寄稿

習近平

 中国との対立姿勢を強める米国。ジョー・バイデン大統領の思いとは別に、米国は習近平氏が事実上の「皇帝」として君臨する可能性がある中国を「最大の脅威」として標的に定めたとみるのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。大原氏は緊急寄稿で、米国が対中包囲網の主軸を日本と台湾に託す一方、韓国の現政権には見切りをつけていると指摘する。

 1月の大統領就任以来のバイデン氏の言動を見ると、ドナルド・トランプ前大統領が「居眠りジョー」と揶揄したのがズバリ当たっているように思える。自動運転モードの乗用車の中で、ハンドルも握らずに優雅に昼寝を楽しんでいるかのようだ。

 イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの軍事衝突に関する「停戦の仲介」でも、バイデン氏自身がどこまで関与したのかは不明だ。米国の真意は、首脳会談で菅義偉首相にハンバーガー、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領にカニ肉を使ったクラブケーキが出された-などという表面的行動を見ているだけでは全く分からないのだ。

 それを読み解く上で最も重大なのが「習氏が権力を掌握している限り、中国は冷戦時代のソ連と同じ最大の脅威(敵国)」ということであろう。

 米中の「蜜月」は、1990年代前半のビル・クリントン政権から続き、トランプ政権で覆されたが、2018年の3月11日に、全国人民代表大会で、国家主席の任期を「2期10年」までとする規定を撤廃する憲法改正案を採択した。

 そもそも、「2期10年」の規定がつくられたのは、西側推定で8000万人の国民を死に追いやった毛沢東時代への反省からである。反省の気持ちを持ち続けていたからこそ、西側諸国も共産主義国家である中国を受け入れてきたのだ。

 規定が撤廃されただけで「終身国家主席」=「皇帝」の地位が保証されるわけではないが、そのような野望が西側諸国を警戒させるだけではなく、強権的な政治に対する内外の反発を招くという意味で、「中国包囲網」は、習氏自身が招いたものだといえる。

 米国が、中国包囲網の頼りになるメンバーだと考えているのが日本と台湾だ。だから、日本は堂々と米国と渡り合えば良い。ただし、ウイグルの人権問題を抱える中国に「味方した」などととらえられることがないように細心の注意を払うべきだ。

 台湾は少々複雑だ。蔡英文総統が率いるのは、米民主党と同じ左派の民進党だ。この複雑な問題については、人間経済科学研究所HPにある研究パートナー・藤原相禅による「台湾人は本当に親日なのか?」が参考になる。

 韓国も自由主義陣営に取り込みたいはずだが、文政権は、バイデン氏が副大統領を務めていたバラク・オバマ政権時代に、当時の朴槿惠(パク・クネ)政権に繰り返しアプローチしてようやく締結した日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を、安全保障とは全く無関係な日本への嫌がらせの道具として使った「実績」がある。

 バイデン政権の閣僚は、オバマ政権時代から引き継いでいるケースが多いこともあって、文氏をまともな交渉相手と見ているとは思えない。韓国の大統領は再選が禁じられており、1年を切った任期が終われば「韓国歴代大統領の伝統」に従って厳しい末路が待っていることも考えられる。だから米国は、韓国の「次の政権」に期待を寄せていると思われる。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相も再出馬しないと宣言しており、秋の退任が決まっている。

 また菅義偉首相は9月までの総裁任期だが、現状では苦境に立っている。米国の真意は、もしかしたら「次の世代の首脳たち」と強固な関係を築くことにあるのかもしれない。安倍晋三前首相の再々登板はあり得るだろうか。

 ■大原浩氏(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】安倍晋三氏の再々登板は、内外ともにあり得る状況になってきた(゚д゚)!

昨日のブログで私は、以下のような結論を述べました。

日本の進む道は明らかです。世界の経験からすれば、集団安全保障が平和を守り、単独防衛では平和維持がかなり難しいということが分かります。集団安全保障体制に入っていれば、戦争に巻き込まれる恐れはないのです。

QUADによる集団安全保障は日本にとっていかに大事かということを日本人大多数の共通認識にして、日本は東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべきなのです。「弱小国の振り」などするのはやめて、他の普通の国と同じようにすべきなのです。

昨日も述べたように、現在のQuadは、まだ軍事同盟にまでは至ってはいませんが、4カ国は、いずれこれを軍事同盟としても機能させるべきでしょう。そのためには、Quadでも安全保障条約の締結をするべきでしょう。

これを締結すれば、仮に米国の大統領が、バイデンよりもさらに親中的な大統領になったとしても、米国自体が過去のオバマ政権のように、中国に対する曖昧な態度を取り、中国を増長させることはなくなります。

オバマ氏(左)とバイデン氏(右)

また、日本にとっても良い影響があります。Quad諸国が、集団的安全保障を確実にするために、日本にも応分の行動をもとめるようになれば、日本にとっては改憲をせざるを得なくなります。それに反対する勢力なども、ファイブアイズの諜報力により、明らかにされる可能性も大きいです。

そうして、いずれ台湾など他の国々もQuadに取り込むべきです。それにより、台湾等も集団的安全保障によって守られることになります。

そうして、昨日のブログにも掲載したように、クアッドとは、第一次政権時の安倍前首相が2007年に提唱し実現させたものです。安倍首相はその後、間もなく退陣してしまうことになりますが、この方針は後を受けた麻生政権にも引き継がれ、そして民主党政権を経た後の第二次安倍政権でもこの4カ国の枠組みの維持が図られてきました。

ここで、いう米国とは、バイデン政権そのものではありません。

米国の挙党一致で中国に対峙しようとする、大きな勢力のことをいいます。上の大原氏の記事で、結論部分で語っている「米国の意思」という言葉の中の「米国」という言葉も同じ意味で使っているようです。

このブログでも従来から語っているように、中国と対峙するという考えは、党派性などからは超越し、米国は挙党一致で中国と対峙する方向に向かっています。この流れは、次の大統領が誰になろうと変わりありません。

この方向性をさらに強化するのが、Quadです。もし、Quadが構築されていなかった場合、米国かいくら挙党一致で、中国と対峙しようとしても、時の政権が、中国に対して融和的であれば、中国に対して厳しい態度をとらないということも考えらます。

しかし、Quad があれは、日本、印度、オーストラリアが米国に対して圧力をかけ、米国に対して、中国に対峙する姿勢を維持させることが可能になります。

さらに、このQuadを名実ともにアジアのNATOのようにすれば、米国とて、Quadの意向は無視できなくなります。

そうして、米国はその立役者である安倍晋三氏が日本の総理大臣であることが米国にとってもQuadにとっても望ましいと考えるかもしれません。なにしろ安倍晋三氏は、バイデン大統領よりも、はるかに中国の脅威について熟知しており、それに対峙する枠組みを最初に提供したのです。


さて日本では、安倍前首相が存在感を示す場面が最近、目立っています。自民党の議員連盟や議員グループの顧問に就き、表舞台での発信にも積極的です。保守派の代表格として党内外で影響力を保つ狙いがあるとみられます。

「自民党は保守政党だ。違う方向に党役員が進むようであれば、行動する気概を持って取り組んでほしい」

安倍氏は先月22日、顧問を務める自民の保守系議員グループ「保守団結の会」で講演し、こう激励しました。同じ日には憲法関連のシンポジウムで持論の憲法改正を訴え、会場を沸かせました。

安倍氏は昨秋、持病の悪化で首相の座を降り退任直後の一時期は活動を控えました。

しかし、体調が回復したこともあり、最近は活発に動いています。安倍氏は同月27日、動画サイト「ユーチューブ」の番組で「新しい薬を使ったら、(治療が)大変うまくいった」と語りました。先月に入って自民の保守系グループ「伝統と創造の会」と、原子力発電所の新増設を推進する議連の顧問に就きました。自民憲法改正推進本部の最高顧問も引き受けています

そのような安倍氏に、出身派閥の細田派(96人)では「ポスト菅として再々登板してほしい」との期待が広がっているようです。細田派は党総裁選に意欲を示す下村政調会長や西村経済再生相らを抱えるものの、残念なが支持の広がりを期待できないという事情もあります。

安倍氏自身は安倍前首相は26日発売の月刊誌「Hanada」のインタビューで、9月末の任期満了に伴う自民党総裁選に向け、菅首相の続投を支持する考えを改めて示しました。


「菅政権はたった1年しかたっていない。政権には春もあれば冬もある。歯を食いしばって、みんなで支えていくべきではないか」と述べました。盟友の麻生副総理兼財務相とは菅首相を支える立場で一致しているようです。首相の憲法観や安全保障への取り組みに物足りなさを感じていると見る向きもあるようですが、当面は首相の政権運営を見守る構えのようです。

そうして、この考えは正しいと思います。現状のコロナ禍が収束するまでは、政権が余程弱体化しているとか、大きな問題がない限り、同じ政権であったほうが良いです。野党は、現在のコロナ禍が「さざ波」程度は認識していないどころか、かなり厳しいと認識しているようです。

であれは、こういうときは野党も政権に協力する姿勢をみせるべきですが、本当に矛盾しています。安倍総理としては、直近の総裁選挙に出馬することはないでしょう。直近では菅政権の続投できるように、応援することになるでしょう。

菅義偉首相自身は、安倍晋三前首相から引き継いだ自民党総裁任期の切れる9月末以降の続投に意欲を示しています。

安倍晋三氏の細田派への復帰は次期衆院選後となる見通しです。安倍氏は周囲に「衆院選では派に縛られず、若手の応援に飛び回りたい」と漏らしているといわれています。総裁として政権を奪還した2012年衆院選で、自民は119人もの新人議員を当選させました。

以来、連続3回の当選を重ねた議員の多くは逆風の選挙を知らず、足腰の弱さが指摘されています。選挙応援に汗をかいた上で派閥復帰を果たせば、党の実力者としての立場は一層強まることになるでしょう。

さらに安倍氏には好材料もあります。すでに1年以上を経過して、マスコミと反菅政権の人たちのコロナ煽りによる倒閣運動にはさすがに多くの人が呆れ果てています。

彼らは、ワクチンや五輪での揚げ足取り的な「もりかけ桜」的手法でワイドショー民とともに菅政権を貶めようと躍起になっています。マスコミや野党が、コロナやワクチンや五輪中止論議で煽るたびに、野党の矛盾が露呈して、その悪質さは逆に批判を浴びるようになっています。

ところが、菅内閣の支持率は落ちているものの、自民党への支持率は横ばいであり、立憲民主党や共産党の支持率も上がっていません。

ここにきて、安倍晋三氏の再々登板は内外ともにあり得る状況になってきたといえます。

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2021年5月29日土曜日

いつまで「弱小国の振り」を続けるのか? 日本が“再軍備”できない本当の理由―【私の論評】日本はQuadでも安全保障条約の締結をし、東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべき(゚д゚)!

いつまで「弱小国の振り」を続けるのか? 日本が“再軍備”できない本当の理由

グレンコ・アンドリー(国際政治学者)

グレンコ・アンドリー氏

日本はどうして弱小国家の振りを続けているのだろうか。

国際政治学者のグレンコ・アンドリーは、戦後日本の基本原則である「吉田ドクトリン」があったお陰で、日本の軍事力は高まることがなかったと指摘する。この時代の、日本における真の安全保障とは何だろうか。

※本稿は、グレンコ・アンドリー 著『NATOの教訓』(PHP新書)の内容を、一部再編集したものです。

吉田ドクトリンの功罪

戦後、日本を国際関係の「弱者」「小国」として固定させたのは、いわゆる「吉田ドクトリン」である。

吉田ドクトリンとは、安全保障をアメリカに依存することで、軽武装を維持しながら経済の復興、発展を最優先させることによって、国際的地位の回復を目指した戦後日本の外交の基本原則である。

アメリカは朝鮮戦争勃発のため、日本に軍事費増加を要求したが、吉田茂首相は日本国憲法第9条を盾に、この要求を拒否した。

吉田首相が退陣した後も、吉田ドクトリンの路線は日本に定着した。安全保障をアメリカに任せたおかげで、日本は復興や発展に集中でき、高度経済成長を成し遂げて世界第2位の経済大国となった。吉田ドクトリンに基づく方針はおおむね現在も続いており、多くの人から評価されている。

それでは、実際に吉田ドクトリンは正解だったのだろうか。日本が高度経済成長を成し遂げたのは紛れもない事実だから、成功だという意見は理解できる。

一方、吉田ドクトリンが日本の足枷になっていることもまた、事実である。主権を回復してから70年近く経っているにもかかわらず、日本は憲法9条を改正できず、自国の防衛、安全保障政策を自主的に制限している。

もしあの時、アメリカの要求通り軍事費を増やしていれば、その後の再軍備も現実的になり、今の日本は自立した軍隊を持つ「普通の国」になっていた可能性が高い。

日本が弱小国の振りを続ける余裕はもうない

吉田ドクトリンが妥当だったかについては、やはり議論の余地がある。百歩譲って、吉田首相の在任当時は経済の復興を一刻も早く実現する手段として合理的な判断だったとしても、その後もずっと日本の安全保障政策の基本になっている状態は明らかにおかしい。

吉田首相自身も、再軍備の拒否と復興、発展の最優先を敗戦直後に置かれた状態を踏まえた上で決断したと思われ、同じ状態が未来永劫、続くことは想定しなかっただろう。

「21世紀の日本は小国として、大国の中国やアメリカ、ロシアとバランスを取りながらうまく付き合う」という方針は、驚くべきことに今でもかなりの支持を集めている。実際自民党から共産党まで程度の差はあれども、国政政党が軒並み小国路線を支持している

しかし、これでいいのだろうか。まず言えることは、人口が1億人以上で、世界第3位のGDPの国は、どう見ても「弱小国」ではない。弱小ではない日本がなぜ「弱小国」の振る舞いをしなければならないのか。

日本は東アジアにある。隣に中国とロシアのような凶暴な軍事大国と、日本人を拉致する犯罪国家の北朝鮮がある。このような地域に位置すれば、弱小国は必ず危険に晒される。仮に直接の軍事侵攻を受けなくても、隣国に振り回される運命を免れない。

実際にいま日本の領土はロシアと韓国に不法占領されており、尖閣諸島も中国に狙われている。中国をはじめ、近隣諸国は日本の外交・内政問題への干渉を繰り返している。

この状態で、日本が弱小国として振る舞うことは決して許されない。今は当たり前の平和な日常が破壊されても構わないなら、そのままでもいいのかもしれない。だが、現在の暮らしを守りたいなら、弱小国の振る舞いを続ける余裕は、日本にはもうない。

アメリカに"日本を守る気になってもらう"ために

筆者は、地政学的な思考としては「親米」を選ぶ。そして「日本の安全保障政策の基本は、日米同盟を軸にした親米路線しかあり得ない」とも考えている。

しかし、戦後復興を成し遂げた後もなお吉田ドクトリンを続ける路線は、決して親米ではない。さらに言えば、それは対米従属ですらない。もし日本が本当に対米従属であれば、アメリカの要望通りある程度の再軍備を実行したはずだ。

再軍備を拒否した時点で、日本は対米従属の国ではない。現在でも吉田ドクトリンを支持している論者には、アメリカに対する愛も尊敬も、執着もないといえるだろう。自分で生活を守る努力をせず、ただ楽をしたいためにアメリカを利用しているだけである。

吉田ドクトリンの支持者は、「いざというときにアメリカは日本を守ってくれる」と言う。それを批判する反米左翼は「話し合えば分かり合える」と言う。さらにそれらを批判する反米保守は「アメリカは絶対に日本を守ってくれないから、対米自立しかない」と言う。しかし、全部間違いなのである。

吉田ドクトリンの支持者と反米左翼は「日本が努力しなくても済む」という点で共通している。また、反米左翼と反米保守は「アメリカとの同盟は要らない」という点で共通している。

さらに、いずれの一派も「アメリカが日本を守る気になるように、日本は今まで何か努力をしたのか」「アメリカが日本を守る気になるように、どうすればいいのか」を真剣に考えていない、という点で共通している。

実際の安全保障において、「アメリカは日本を守る」「守らない」という議論は無意味であり、現状に何の影響も与えない。

むしろ「アメリカが日本を守る気になるために、何をすればよいか」を語る議論こそ現状に影響を与え、日本の安全保障に役立つ可能性が十分にある。

日本は、今までアメリカが日本を守る気になるための努力をせずに、日米安保の条文だけに甘えてきた。条約の条文は大事だが、それが全てではない。実際に各時代の政権が条約をどう運用するかが重要である。当然、日米安全保障条約も例外ではない

日本にとっての"真の安全保障"とは

日本人が日米安保条約の第5条(「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」)の条文に頼るだけの態度を続けるなら、いずれアメリカも条文を守る気にならず、条約が形骸化する恐れがある。

アメリカが日本を守る気になるには、まずは日本が国防のための努力を行い、少なくともアメリカが諸同盟国に要求する防衛費の対GDP比2%の予算を実現し、アメリカの地政学的な戦略に付き合う必要がある。

反米左翼と反米保守は「対米従属」と言うであろうが、これは従属ではない。日本の国家安全保障を確立するために必要な外交政策であり、何よりも日本の国益に適うのだ。

吉田ドクトリンに基づく外交を続け、日米安保条約の条文だけに頼っても、日本の主権と独立を守ることはできない。また、左右の反米主義者の極論を聞いても、日本は危うい道を歩むだけだ。

今の日本に必要なのは、防衛費の倍増と再軍備だ。複雑かつ危険極まる現代の世界において、危機はいつ、どこから迫ってくるか全く予測できない。

不測の事態は必ず起きる。有事にいち早く対応するには、平時のうちに危機に備える必要がある。日本の国民一人ひとりが、国家安全保障が日常生活に直結することに気づき、国防の努力の必要性を理解すべきだろう。

政治家もまた、利権や自分の政治生命ばかりではなく、国家の主権と独立を守ることを第一の目的にしなければならない。

【私の論評】日本はQuadでも安全保障条約の締結をし、東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべき(゚д゚)!

グレンコ・アンドリー(Gurenko Andrii)氏は、国際政治学者。1987年、ウクライナ・キエフ生まれ。2010年から11年まで早稲田大学で語学留学。同年、日本語能力検定試験1級合格。12年、キエフ国立大学日本語専攻卒業。

3年、京都大学へ留学。19年3月、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程指導認定退学。アパ日本再興財団主催第9回「真の近現代史観」懸賞論文学生部門優秀賞(2016年)。ウクライナ情勢、世界情勢について講演・執筆活動を行なっています。著書に『プーチン幻想』(PHP新書)。

彼の祖国ウクライナは2014年にロシアに侵略されました。彼は日本に来て、国民の平和ボケと危機への無関心ぶりに驚き警鐘を鳴らしています。

国際社会はお花畑の日本人の多くが考えているよりもはるかに厳しいもので、おとなしい平和国家であっても、凶暴な他国から攻撃されることがあります。

似たような状況にもあるように見える、ウクライナと日本は、同じ結末にたどり着く危険性も十分にあると思います。 ウクライナに対して用いられたロシアの共産主義的手法は、今、中国によって日本に対して用いられています。その最も顕著な例が沖縄と尖閣諸島です。沖縄は第二のクリミアになりかねません。

しかし、その日本が弱小国のような振る舞いをするのは、彼からみれば驚きでしょう。現在のロシアのGDPは日本の1/3以下であり、ウクライナはさらにGDPは小さいです。経済力でみると、日本はロシアよりはるかに大きいのです。

さらに、人口でも、日本は1億2千万人、ロシアは、1億4千万人、ウクライナは4400万人です。人口でも日本とロシアはあまり差異がないのです。日本は確かに領土は狭いですが、とても小国と呼べるような存在でないと、彼の目に映るのは当然のことです。

ウクライナは黒海に面する東ヨーロッパの国で、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ハンガリー、モルドバなどと国境を接しています。同国のGDPは約1650億ドルで、世界のGDPシェアの0.23%程度に過ぎません。

しかし、ウクライナは以下の理由からロシアにとっては極めて重要です。

1)ロシアから西欧へ天然ガスを運ぶパイプラインの80%が同国を通っている
2)黒海に面したクリミア半島にロシアの海軍基地がある

そうして、ウクライナの民心は、決して一つではありません。

そもそも、ウクライナは歴史的経緯から、複雑な民族構成になっています。

地方都市リヴィウを中心とする西ウクライナではウクライナ語が話され、住民は欧州に親近感を持っています。

これに対してクリミア半島を含む南東部ではロシア語が話され、住民はロシアに親近感を持っています。

ひとつの国でありながら民心はまとまりを欠いており、親欧州、親ロシアの両勢力が同国のほぼ中心に位置する首都キエフで混在しています。



さて、このウクライナでは、NATO加盟の必要性を巡って激しい議論が繰り広げられていました。2014年までのおおまかな構図としては、保守派と独立派が加盟に賛成であり、それ以外は反対でした。

 また国民世論も、おおよそ六割は加盟反対でした。反対の理由としては、「NATOの戦争に巻き込まれる」「NATOに支配される」「軍事費が増える」といった、まったく根拠のない嘘やプロパガンダでした。真に残念ながら、ロシアや親露派にコントロールされていた言論空間においては、真実の声はあまり国民に届かずに、国民の多くは騙され続けていたのです。

これは、2015年の安保法制改正のときに噴出した反対派の意見と酷似しています。「米国の戦争に巻き込まれる」「戦争になる」挙げ句の果ては「徴兵制」になるという、全く根拠のない嘘やプロパガンダでした。

  もう一つの反対の理由とは「ロシアの反発」「ロシアとの関係悪化」でした。もちろん、ウクライナがNATOに加盟すれば、当然ロシアの反発は不可避でしょう。ところが、それを気にすること自体、当時のウクライナ人の極めて強い属国根性の表れであると言わざるを得ないです。

日本でも、政財界を中心「中国の反発」「中国のとの関係悪化」を懸念する声は今でも大きいです。  

ただし、仮に当時のウクライナ世論がNATO加盟に肯定的だったとしても、あのときウクライナのNATO加盟は不可能でした。

なぜなら、ウクライナ国内だけではなく、ヨーロッパ諸国までロシアの反発を恐れて、ロシアに配慮していたからです。  

ウクライナは一度、NATO加盟を試みたことがあります。2008年4月2日から4日まで、ルーマニアの首都、ブカレストでNATOのサミットが行われました。

そのサミットの前に、ウクライナ、そして同じ旧ソ連のジョージア(旧名:グルジア)がNATO加盟のための行動計画への参加を申請しました。NATO加盟のための行動計画とは、NATO加盟そのものではないのですが、加盟の準備段階であり、それに参加する国は、将来NATOに加盟するという前提で、NATO側との緊密に協力しながらさまざまな改革や準備を行っている過程です。

 もしこのウクライナとジョージアの申請が承認されたていたら、両国はいずれNATOに加盟できたと考えられます。しかし、両国の申請は拒否されました。  

ドイツとフランスが拒否権を発動したのです。そのサミットにはゲストとしてロシアのプーチン大統領も誘われており、彼はその場でウクライナとジョージアの行動計画への参加に強く反発しました。その時ドイツとフランスはロシアの圧力に屈したのです。その結果、あれ以来、ウクライナとジョージアはNATOに参加できないままです。 

このサミットの4カ月後、ロシアはジョージアに侵略し、ジョージアの領土の一部を占領しました。あれから既に10年以上経っていますが、そのジョージアの領土はロシアに占領されたままです。
そして、その6年後、ロシアはウクライナへ侵略し、一部の領土を占領し、その戦争は現在に至っても続いているのです。  

それでは、もしその2008年4月のサミットで、ウクライナとジョージアの申請が承認された場合は、戦争が免れたのでしょうか。 


  
この疑問に答えるにはバルト三国の例を見ればわかります。バルト三国、即ちリトアニア、ラトビアとエストニアは、ウクライナやジョージアと同じく旧ソ連構成国であり、人口はそれぞれ、約280万人、200万人、130万人です。

バルト三国

三国合わせても、その人口はウクライナの七分の一、面積は四分の一しかありません。また、個別に計算すれば、いずれの国もジョージアより小さいです。しかも、ラトビアとエストニアはロシアと陸続きで国境を接しており、両国の人口の四分の一はロシア民族です。そのロシア民族は当然バルト三国がロシアの支配下に入って欲しいし、何かあれば必ずロシアに全面的に強力するでしょう。  

当然、ロシア自身もバルト三国を支配したいという強い願望を持っています。このような状況では、圧倒的な力の差やロシア系住民の存在を考えれば、ロシアのような軍事大国にとって、バルト三国を制圧するのは非常に容易いものです。  

しかしロシアはバルト三国へ侵略できません。なぜなら、バルト三国はNATO加盟国だからです。NATOに入っていれば、どのような小さい国でも安全になります。

なぜならその国が武力攻撃を受けた場合は、アメリカ合衆国やイギリス、フランスなどの軍事大国かつ核保有国が反撃することになるからです。その反撃の恐れは最も効果的な抑止力となり、ロシアのような凶暴的な軍事大国であっても、簡単に手を出せないのです。  

バルト三国とウクライナ、ジョージアの違いとは、正に集団安全保障の枠に入っている国と入っていない国の違いです。  

集団安全保障の組織に入っておけば、どんなに小さい国でも安全でいられます。しかし入らなければ、自国を自分だけで守らなければならないです。もし攻撃してきた敵の方が強かったら、どうしようもないのです。

 だかこそ2008年にウクライナとジョージアのNATO加盟のための行動計画への参加申請が承認され、その後両国がNATOに加盟できていたら、きっとウクライナもジョージアもロシアに侵略されず、領土や何千人の尊い命も奪われずに済んだでしょう。

街路に張り出された死傷者リストを見入るジョージア南オセチア住民

この状況を日本はどう見るべきでしょうか。日本にはすでに日米安保条約があります。この点だけでも、今の日本の状況はウクライナよりは良いです。しかし、日米安保だけでは不十分です。一つは日米安保条約はNATOが基づく北大西洋条約と比べると、同盟国を守る義務が緩いからです。

これらを比較すると、北大西洋条約の方が実際に集団的自衛権が発動される可能性が高いです。だから日本のこれからの課題とは、同盟国同士がお互いを守る義務が今よりも明確化された条約の締結です。

多国間の安全保障条約は二国間の安全保障条約よりは安定しています。だからこそ、日本は積極的にアジア・太平洋地域で、多国間の集団防衛の義務がある安全保障条約の締結を促すべきである。

そうして、このNATOに近いといわれているのが、Quadなのです。当時のマイク・ポンペオ米国務長官は昨年10月6日、中国共産党政権に対抗するため、米国・日本・オーストラリア・インドによる4カ国安保対話(Quad、クアッド)を公式化し、拡大する意思を示しました。

クアッドとは、非公式な同盟を結んでいる米日豪印の4カ国間の会合で、第一次政権時の安倍前首相が2007年に提唱し実現させたのです。安倍首相はその後、間もなく退陣してしまうことになりまいが、この方針は後を受けた麻生政権にも引き継がれ、そして民主党政権を経た後の第二次安倍政権でもこの4カ国の枠組みの維持が図られてきました。

安倍総理が、2007年にこの4カ国の枠組みを提唱したことは、まさしく慧眼だったといえます。

現在のQuadは、まだ軍事同盟にまでは至ってはいませんが、4カ国は、いずれこれを軍事同盟としても機能させるべきでしょう。そのためには、Quadでも安全保障条約の締結をするべきでしょう。

NATOが基づく北大西洋条約の第五条を以下に掲載します。
締約国は、ヨーロッパ又は北アメリカにおける一又は二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する。したがつて、締約国は、そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合憲章第五十一条の規定によつて認められている個別的又は集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復し及び維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む。)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する。 
前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

確かに、この条約がある限りNATOは、ロシアの弱体化にともない軍事的性格は薄れたとはいえ、集団安全保障、集団防衛の同盟であることには変わりないです。

旧ソ連の核兵器や、軍事技術を受け継ぎ、いまでも世界第二位の軍事費を投入するロシアは決して侮れる相手ではありませんが、何しろ経済力が日本の1/3にまで落ちてしまったロシアではできることは限られています。

米国を抜いた、NATOともまともに対峙できないでしょう。NATOと事を構えて、武力衝突ということになれば、初戦では勝ち抜くかもしれませんが、長期にわたって戦線を維持できないでしょう。そのようなことを予め認識しているため、バルト三国を侵略できないのです。

このようなことを考えると、日本の進む道は明らかです。世界の経験からすれば、集団安全保障が平和を守り、単独防衛では平和維持がかなり難しいということが分かります。集団安全保障体制に入っていれば、戦争に巻き込まれる恐れはないのです。

QUADによる集団安全保障は日本にとっていかに大事かということを日本人大多数の共通認識にして、日本は東アジア・太平洋地域の平和維持に貢献すべきなのです。「弱小国の振り」などするのはやめて、他の普通の国と同じようにすべきなのです。

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沈むハリウッド、日米産業逆転の理由 ■ Forbs Japan日本編集部 まとめ 日本のコンテンツ産業、特にアニメが国際的に人気を博しており、非英語番組の需要が増加中。 米国のZ世代は日本のアニメを好み、動画配信やゲームの普及がブームを加速させている。 日本のコンテンツ全体が注目...