2023年2月8日水曜日

中国式現代化は西洋化にあらず、共産党の指導堅持が中核と習総書記―【私の論評】習近平は、袁世凱と同じく滅びの道を歩むか(゚д゚)!

中国式現代化は西洋化にあらず、共産党の指導堅持が中核と習総書記

習氏は党幹部や地方政府首脳、閣僚らに向け演説-新華社
短期的には今年の経済活動の全体的な改善を達成する努力必要

習近平

 中国共産党の習近平総書記(国家主席)は7日、資本主義よりも効率的で社会正義をより適切に守る現代化の道を生み出すよう中国は取り組まなければならないと述べた。

 国営新華社通信によると、習氏は党中央政治局常務委員や中央委員、地方政府首脳、閣僚らに向けた演説で、国家の発展全体ではイノベーションを重視すべきで、社会の公平性をより効果的に維持しながら、資本主義よりも高度な効率性を達成する必要があると語った。

 「中国式の現代化は『現代化は西洋化』との通念を打破」するとともに、「より良い社会制度を模索する人類に中国の解決策を提供する」と述べ、「中国式の現代化が実現可能で安定していることを経験が立証しており、これが強い国を築き、民族を復興させるの唯一の正しい道だ」と論じた。

 この目標を達成する中核は共産党の指導力堅持であり、これが発展に向けた中国の取り組みの「最終的な成功または失敗」を決めると主張。短期的には、今年の経済活動の全体的な改善を達成するよう努力し、自信を強め社会の期待を安定させるため事業体の指導に一段と取り組むべきだと指摘した。

原題:Xi Calls For China’s Modernization Path to Surpass Capitalism(抜粋)

【私の論評】習近平は、袁世凱と同じく滅びの道を歩むか(゚д゚)!

習近平は、中国を西欧化するつもがないというのなら、日本を大いに参考にすべきです。なぜなら、経営学の大家ドラッカー氏は、日本は西欧化したからではなく、西欧を日本化したからこそ、成功したとしているからです。

経営学の大家ドラッカー氏は、以下のように述べています。

日本は、外国からの影響を自らの経験の一部とする。外国の影響のなかから自らの価値、信条、伝統、目的、関係を強化するものだけを抽出する。その結果は混合ではない。15世紀や18世紀の日本画が示すように、一体化である。これこそが、真に日本に固有の特性である」(『日本 成功の代償』)

ドラッカーは、日本は導入した文物を急速に消化し、改善するといいます。筆づかいの巧みさにおいて、15世紀の山水画家・雪舟に肩を並べる者は、中国にはほとんどいません。企業組織と経営技術において、日本の大商社に肩を並べうる企業も、欧米にはほとんどありません。

その日本が、仏教と中国の文物が洪水となって入ってきた6世紀、世界に門戸を開いた19世紀を超えるスケールで、外の世界と一体化しつつあります。

ドラッカー氏は、日本が今後とも、外国の非日本的な文化、行動、倫理、美意識を吸収し、日本的なものに変えていくことを期待していました。

歴史上、ほとんどあらゆる非西洋の国が、自らの西洋化を試みて失敗しました。インドもそうでした。ところが日本は、明治維新では、西洋化を試みませんでした。ドラッカーは「日本が行なったのは西洋の日本化だった」と言います。だから成功したのです。

私は、日本が歴史上繰り返し行ってきたことを再び行うよう望む。今日世界は、近代的であると同時に際立って非西洋的な文化を必要とする。世界は、ニューヨークまがいやロサンゼルスまがい、あるいはフランクフルトまがいの日本ではなく、日本的な日本を必要とする。(『日本 成功の代償』)

日本では、明治維新という無血革命も成功させました。しかし、中国はそうではありませんでした。これについては、以前ブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下2掲載します。

石平手記「天皇陛下は無私だからこそ無敵」―【私の論評】知っておくべき、これからも私達が天皇とともに歩み、「世界史の奇跡」を更新し続けるワケ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から一部を引用します。
9世紀末から20世紀初頭、中国では近代化の方法を巡り、立憲派(皇室を残す)と革命派(皇室を残さない)が争いました。
立憲派の代表は康有為や梁啓超ら清王朝の官僚たちで、彼らは当時の中国で、共和制や民主主義を行えば大混乱に陥り、列強の餌食となってしまうので、皇帝制を維持しながら改革を進めていくことを主張しました。彼らは日本やヨーロッパのように、中国にも立憲君主制を根付かせようとしたのです。

一方、革命派の代表は孫文と黄興です。彼らは、清王朝の体制のなかから近代化を行うことは不可能と考え、清を打倒しなければならないと考えました。孫文ら革命派は民族資本家と呼ばれるブルジョワ階級を主な勢力基盤としていました。
孫文と黄興
20世紀に入ると中国でも工業化が進み、ブルジョワ階級が育ちます。孫文は国内の民族資本家や華僑(外国で成功していた民族資本家)の勢力を結集し、革命運動の原動力とします。

民族資本家たちは、清王朝から特権を保証されていた封建諸侯と、利害関係において激しく対立しました。封建諸侯は領土を独占し、民族資本家の商工業にも不当に介入し、税などを巻き上げていました。封建諸侯によって支えられていたのが清王朝であったので、孫文ら革命派・民族資本の勢力にとって、清を倒すことは商工業の自由を獲得するために欠かせないことでした。 
清は末期症状のなか、極端な財政難に耐えられず、1911年、幹線鉄道を国有化し、鉄道を保有する民族資本家からこれを没収して財政不足に充てるという強硬手段に出ます。民族資本家は清に怒りを爆発させ、四川で暴動、武昌で蜂起し、辛亥革命となります。彼らは南部地域一帯で、清からの独立を宣言し、南京で孫文を臨時大総統に選出して、中華民国を建国しました。

しかし、清王朝は袁世凱を内閣総理大臣に任命し、革命の鎮圧を命じます。中国北部で軍事力を有していた地方豪族の軍閥という勢力があり、袁世凱はこの軍閥の領袖でした。彼は大軍を率いて、南京にやってきます。

袁世凱は清の体制内部の要人でありながら、清の命運は長く持たないと考え、新しい中華民国の総統になるほうが得策と判断し、革命派と取引します。袁世凱は「私が清の皇帝を退位させることを条件に、私を中華民国の大総統にせよ」と要請しました。

孫文ら革命派は袁世凱の強大な軍を前に、この要請を受け入れざるをえませんでした。しかし、皇帝を退位させ、清王朝を名実ともに終わらせることができるのは大きな前進と捉えました。

大総統になった袁世凱は宣統帝溥儀を退位させ、1912年、清は滅亡しました。こうして、彼ら中国人は秦の始皇帝から約2100年続いた皇帝制と訣別したのです。
しかし、その結果結局中国では、共産党が勢いを増し、大東亜戦争が終了してから、1948年に共産党政権が樹立され今日に至っています。
1912年、辛亥革命で清が倒れたとき、牽引者不在のなかで中国は方向性を失います。秩序がもろくも崩壊し、共産主義が圧倒的多数の貧民の支持を得て勢力を拡大します。つまり、皇帝制崩壊により、中国では共産主義国家の誕生が避けられない事態となっていたのです。
以下のこの記事の結論部分を引用します。
日本には、鎌倉幕府から江戸幕府に至るまで、将軍という世俗の権力者の上に、天皇という超越的な存在がありました。この二重権力構造が続き、朝廷が維持されたことが近代日本に幸いしました。日本が過激に社会秩序を崩壊させることなく、緩やかな変革を実現することができた最大の理由がここにあります。

中国は王朝がコロコロ変わる易姓革命を繰り返したため、天皇のような国家の中核存在を持つことができませんでした。維新の革命者が孫文のように共和主義を掲げ、朝廷を廃止していたならば、日本も中国と同じように、無秩序と混乱に陥っていたことでしょう。

われわれの父祖たちは、つねに天皇と共に歴史を歩んできました。これからも、私達は天皇とともに歩み「世界史の奇跡」を更新し続けることになるのです。

 中国には、もはや肯定は存在しません。習近平は自ら皇帝になろうとしていますが、これは袁世凱の運命ともかぶるところがあります。

袁世凱は野心をあらわにします。1915年、皇帝に即位し、国号を中華民国から中華帝国に改めます。年号を洪憲と定め、洪憲皇帝を名乗ります。

何の血統の正統性もない者が突如、皇帝になったことに当時の日本をはじめ、世界各国は驚きましたが、中国では易姓革命の伝統があり、血筋に関係なく実力者が皇帝になってきたので、袁世凱自身、自分が皇帝になるのは当たり前だと考えていました。しかし、袁世凱に対する中国国内から反発は強く、彼はわずか3カ月で退位しました。そして、間もなく、失意のうちに病死します。

異例の3期目入りをもぎとった習近平国家主席は、これから先、何を狙うのでしょうか。それは1つしかありません。今回、逃した「終身制」の実現です。モデルとなるのは建国の父、毛沢東です。彼はすでに廃止された共産党中央委員会主席(党主席)という終身トップの地位にありました。これは、事実上の中国の皇帝です。

執務中の毛沢東中国共産党中央委員会主席(1966年)

袁世凱も、習近平も皇帝になるには、あまりに無理があります。結局習近平も党主席となれば、袁世凱と同じく、統治の正当性を主張することができずに、いずれ滅びの道を歩むものと思います。

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2023年2月7日火曜日

四島「不法占拠」を5年ぶりに明記 北方領土返還アピール―【私の論評】ウクライナ侵攻によるロシア弱体化で、北方領土返還の可能性が巡ってきた(゚д゚)!

四島「不法占拠」を5年ぶりに明記 北方領土返還アピール


 「北方領土の日」の7日、政府や関係団体は「北方領土返還要求全国大会」を東京都内で開き、北方四島について「77年前、ソ連によって不法占拠されたまま今日に至っていることは決して許されるものではない」と非難するアピールを採択した。アピールに「不法占拠」の表現が復活したのは平成30年大会以来。昨年2月以降、ロシアがウクライナ侵攻を続けているのを踏まえ、厳しい対露姿勢を打ち出した。

 大会に出席した岸田文雄首相は、「ロシアによるウクライナ侵略によって日露関係は厳しい状況にある」と指摘したうえで「領土問題を解決し、平和条約を締結する方針を堅持する」と強調した。

 また、ロシア側が北方領土の元島民らに墓参のためのビザなし渡航を認める「北方墓参」など、四島交流事業の再開が「今後の日露関係の中で最優先事項の一つ」として事業の早期再開の必要性を訴えた。「北方領土問題は国民全体の問題だ」とも述べ、問題解決に向けて全力をあげる考えを示した。

 アピールは安倍晋三元首相とプーチン露大統領との間で進めていた返還交渉に配慮し、平成31年から2年連続で四島に関し、「不法占拠」との表現を使わなかった。令和3、4年も「法的根拠のないまま占拠」との表現にとどめていた。

 今回の大会は、新型コロナウイルスの感染拡大以降、3年ぶりに参加者を制限しない形式で行われた。

 北方四島を巡っては、昭和20(1945)年、旧ソ連が日ソ中立条約を一方的に破棄して対日参戦し、不法占拠されて以降、日本人が自由に行き来できない状態が続いている。

【私の論評】ウクライナ侵攻によるロシア弱体化で、北方領土返還の可能性が巡ってきた(゚д゚)!

ロシアは2020年の憲法改正で唐突に「領土の割譲禁止」を明記しました。「割譲行為は最大禁錮10年、割譲を呼び掛けても最大4年」とする改正刑法も成立しました。露メディアは2021年3月1日、国家安全保障会議の副議長を務めるメドベージェフ元大統領・首相が、憲法改正で日本と北方領土問題を協議するのは不可能になった、との認識を示し、「ロシアには自国領の主権の引き渡しに関わる交渉を行う権利がない」と述べたと報じました。日本側に一方的に「領土断念」を促す無礼千万な発言でした。


「四島返還」という国家主権に関わる歴史的正義の旗を自ら降ろし、全体面積の7%にすぎない歯舞、色丹の2島返還をうたった1956年の日ソ共同宣言に基づいて平和条約交渉を加速させる-との安倍晋三政権時代の日露合意(2018年11月)は、日本側の全くの幻想にすぎなかったことがこれで明白になりました。

プーチン政権は反体制派は容赦なく弾圧し、自らの出身母体の巨大な秘密警察・旧KGB(国家保安委員会)や軍の特権層の利益を最大限重視します。当時猛毒の神経剤で殺されかけた反体制指導者ナワリヌイ氏を強引に拘束、全土での大規模な抗議デモに見舞われていました。そのナワリヌイ氏に暴露された「プーチンの秘密大宮殿」は世界中の顰蹙(ひんしゅく)を買いました。対外的にはサイバー攻撃などで各国を揺さぶる。その謀略と強権ぶりはソ連共産党政権も顔負けです。


ソ連崩壊時の日本の対露外交の不首尾のツケはあまりに重いです。しかし、全土の抗議運動の大波に洗われ、20年超のプーチン長期政権の足元も揺れ始めました。さらに、昨年はロシアのウクライナ侵略がなされました。

岸田首相は1月の米国での演説で、「私は外交・安全保障政策で2つの大きな決断をした。1つはロシアのウクライナ侵略に際しての対露政策の転換だ。厳しい対露制裁を導入し、ウクライナ人道支援でも先陣を切った。もう1つは安保3文書の策定による戦後の日本の安保政策の転換だ」と述べました。

欧米の経済制裁の隊列に加わったことは評価できます。であれば、ウクライナ侵略が自由・民主主義陣営の存亡を懸けた国際問題であるのと同様、北方領土の不法占領問題も日露2国間の問題にとどめておくべきではありません。首相が対露政策の転換を語るなら、北方領土問題を世界が共有すべきこととして「国際化」するための戦略転換も説くべきです。

四島の不法占拠は、スターリンが日ソ中立条約を一方的に破り、「領土不拡大」をうたった大西洋憲章(41年)とカイロ宣言(43年)にも違反した国際犯罪です。

日本外交には、ソ連崩壊前後だった90年からの3年間、ヒューストン、ロンドン、ミュンヘンと続いたG7サミットで、北方領土問題の解決を支持する議長声明や政治宣言を採択させた実績があります。しかし、その後はこの問題を国際化する戦略がみえません。

ウクライナのゼレンスキー大統領はこの1年間、無辜(むこ)の国民に多くの犠牲をもたらしたロシアの暴虐を耐え抜くとともに、9年前に強制併合されたクリミア半島を含む「全領土の奪還」に不退転の覚悟を示しています。

ゼレンスキー氏が北方領土問題にも目を向けていることを忘れるべきではありません。この北方領土には、ソ連当時にロシア人とともにウクライナ人も移住し、北方領土の4割はウクライナがルーツです。昨年10月には「北方領土はロシアの占領下に置かれているが、ロシアには何の権利もない。私たちはもはや行動すべきだ」との大統領令に署名しました。


日本はこの心強い援軍に全く応えていません。ゼレンスキー政権は昨年8月、クリミア奪還をテーマとするオンラインの国際会議を開き、約60カ国・機関の代表が参加しました。ここで演説した岸田首相は北方領土問題にひと言も触れず、世界に共闘を働きかける絶好の機会を逃してしまいしまた。不作為による失態です。

岸田政権には四島返還をテーマとする国際会議やシンポジウムなど具体的な行動を起こすべきです。

先にも述べたように現在のプーチン政権は憲法改正で「領土割譲禁止」をうたっています。ウクライナ侵攻後は日本との平和条約交渉を一方的に中断してビザなし交流も打ち切り、国後、択捉では大規模軍事演習を行うなど強硬姿勢をとっています。

一方で長引くウクライナ侵略はロシアの国際的孤立を深め、国内の経済・社会を疲弊させました。ソ連が崩壊したときのように国家的な衰退へと向かうことは十分にあり得ます。「そのとき」にどう備えるかが重要です。日本はあらゆる事態を想定し、領土を取り戻す戦略を練り上げなくてはならないです。ソ連崩壊時の日本の対露外交の不首尾を繰り返すべきではありません。

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2023年2月6日月曜日

中国がロシアに軍事援助、「ウクライナ侵攻を支援」との見方―【私の論評】米露間で板挟み状態の習近平!今春のロシア訪問ではっきりするか(゚д゚)!

中国がロシアに軍事援助、「ウクライナ侵攻を支援」との見方

中国の気球が米国本土の上空を飛行していた問題や、その後のブリンケン国務長官の北京訪問の中止など、米中間の緊張が高まる中、中国は米国主導の制裁措置に反してロシアに軍事援助を行っていることを、2月4日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

WSJが入手したロシアの税関記録によると、中国の国営軍事企業は、ロシアにナビゲーション機器や戦闘機の部品などの軍事装備を発送している。

今回のニュースは、中国の馬朝旭外務次官が先週ロシアのラブロフ外相と会談し、中国の当局者が「ロシアとの相互の政治的信頼を強化した」と発言した翌日に明るみに出たとロイターは報じている。さらに、ブリンケン国務長官が、モンタナ州上空に中国のスパイ気球が浮かんでいるとの米当局の報告を受け、予定していた中国訪問を突然中止したタイミングとも重なった。

米当局は先週、対ロシア制裁を拒否しているアラブ首長国連邦とトルコに対しても、ロシアへの輸出を抑制するよう迫ったと複数のメディアが情報筋の話として報じた。両国から輸出された物資は、ロシア軍がウクライナへの侵攻を進めるために使用される可能性があるという。

ここ数カ月、ウクライナ軍は東部および南部のロシアによる占領地域を奪還したが、ロシアはウクライナの主要都市へのミサイル攻撃を続けている。米国当局は、気候が暖かくなるにつれてロシアの攻勢が勢いを増す可能性があることを警告し、米国は新型戦車エイブラムスを、ドイツはレオパルト2の供与を決定した。一方、バイデン大統領は、中国がロシア軍を支援していることを示唆する証拠を米当局が発見したと報じられた後、中国企業がロシアに軍事装備を供給することに懸念を表明したと1月24日のブルームバーグは報じていた。

プーチン大統領は2022年9月、ウズベキスタンで中国の習近平国家主席と会談し、ロシアのウクライナ侵攻について中国が「疑問と懸念」を抱いていることを認めていた。中国は、西側諸国がロシアのエネルギーを締め出す動きを見せているにもかかわらず、ロシアからの石油の輸入を増やしており、昨年2月のウクライナ侵攻の開始前にはロシアとの「無限大の信頼関係」を宣言していた。

forbes.com 原文

【私の論評】米露間で板挟み状態の習近平!今春のロシア訪問ではっきりするか(゚д゚)!

4日(現地時間)、ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、中国国営防衛産業会社が航法装置、電波妨害技術、戦闘機部品などをロシア国営防衛産業会社に輸出してきたという事実がロシアの税関資料で確認されました。

WSJは、米国非営利シンクタンク先進国防研究センター(C4ADS)からロシアの税関資料を入手し、昨年2月のウクライナ戦争以降、ロシア税関が記録した8万4000個以上の品目を分析したと明らかにしました。

その結果、ロシアはウクライナ侵攻後、軍用と民用の双方に利用可能な「二重用途」物品を数万件輸入し、このうち大半が中国から輸出されていたことが分かりました。特に今回の資料で、米国の制裁対象となったロシアと中国企業の少なくとも12社が活発な取引を行っていた事実が確認されたといいます。

資料によると、中国国営防衛産業会社のポリテクノロジーは昨年8月31日、ロシア国営軍事装備会社のJSCロソボロネクスポルトにMi17軍用ヘリの航法装置を輸出しました。同月、中国福建南安宝鋒電子も同じロシア企業に軍用車両用通信妨害望遠アンテナを販売しました。

Mi17軍用ヘリ

昨年10月24日には、中国国営航空機メーカーAVICがロシアの国営巨大防衛産業会社ロステックの子会社に120万ドル(約1億5800万円)相当のSu-35戦闘機部品を輸出しました。

また、米制裁対象の中国シノ電子は昨年4~10月だけで200万ドル相当の物品1300件余りをロシアに供給したことが分かりました。

C4ADSのアナリストのナオミ・ガルシア氏は「中国国営防衛産業企業が国際的な制裁対象のロシア防衛産業企業に軍事目的で活用できる部品を輸出し続けていた事実が信頼できるグローバル貿易資料により確認された」とし「ロシア企業はウクライナ戦争でまさにこのような形態の部品を使用した」と指摘しました。

これについて駐米中国大使館の劉鵬宇報道官はWSJに「中国がロシアに援助を提供するという主張は事実的根拠がなく純粋に推測に過ぎず、意図的に誇張されたもの」と反論しました。また、「国際法に根拠のない一方的な制裁に反対する」という中国政府の既存の立場を繰り返しました。

福建南安宝鋒電子はこのような疑惑を否認し、他の中国とロシアの関連企業は論評要請に応じなかったといいます。

WSJによると、ロシアは基本的な軍需品を国内生産する能力を備えていますが、現代戦に欠かせない半導体などの二重用途物品は輸入に大きく依存しています。これに対し西側はコンピューターチップ、赤外線カメラ、レーダー装置などがロシアに輸出されることを統制すれば、ロシアの戦争装備を無力化させることができるという立場でした。

しかし、中国以外にも西側の対ロシア輸出統制と制裁に参加していないトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)などを介してもこのような物品を搬入していると、WSJが報じました。

これと関連し、 ロシア大統領府報道官は「ロシアは自国の安保確立と特殊軍事作戦遂行に必要な技術的潜在力を十分に保有している」と述べました。

トニー・ブリンケン米国務長官は当初、5~6日に計画していた訪中期間に中国のロシア支援問題を議題に扱う予定でしたが、中国の偵察風船問題によりブリンケン長官の訪中は無期限延期されました。

これだけ具体的な証拠が次々とでてくると、中露はやはり関係を強化しつつあるようにみるのが正しいのかもしれません。

ロシアのプーチン大統領は昨年12月30日、中国の習近平国家主席とオンライン形式で会談し、来年の春、習主席をモスクワに招待しました。プーチン大統領としては、ウクライナ情勢をめぐるロシア側の立場を改めて説明し、中国との関係強化をアピールする思惑があるとみられます。

ただ、昨年12月30日に中国の外交部長(外相)に任命された秦剛氏は年明けてから早速、活発な外交活動をスタートしました。その一連の外交の中で、ロシアのラブロフ外相との電話会談がありました。

それについては、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「同盟しない、対抗しない、第3国をターゲットとしない」、習近平政権、ロシア見切りへ外交方針大転換―【私の論評】習近平がロシアを見限ったのは、米国の半導体規制が原因か(゚д゚)!
秦剛氏

詳細は、粉の記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。
 ロシア外相との会談が実現されたのは1月9日、米中外相電話会談から8日後のことだ。同じ9日に秦外相がパキスタン、韓国外相とも電話会談を行ったから、ロシアとの関係を「特別視しない」という中国側の姿勢はそこからも伺える。

 そして中国外務省の公式発表では、秦外相は「予約(要請)に応じて」、ロシアのラブロフ外相との電話会談に臨んだという。それは要するに、「向こうからの要請がなかったら電話会談をやっていないかもしれない」ということを暗に示唆しているような表現であるが、わざと「要請されての電話会談」を強調するのにはやはり、ロシアとの距離感を示す狙いがあるのであろう。その一方、米国務長官との会談に関しては、中国側は「要請されて」との表現を使わなかった。

「3つのしない」とは

 肝心の中露外相会談の中身となると、中国外務省の公式発表では、秦外相は電話の中で「中露関係の高レベルの発展」に意欲を示しておきながらも、「中露関係の成り立つ基礎」として、「同盟しない、対抗しない、第3国をターゲットとしない」という「3つのしない」方針を提示したという。

 この「3つのしない」方針の意味合いを1つずつ考えてみると、「第3国をターゲットとしない」とは当然、アメリカ・EUの存在を強く意識したものであろう。つまり中国の新外相はここで、中露関係は決して欧米と対抗するための関係ではないことを、むしろ欧米に向かって表明したのである。

 もう1つ、秦外相はロシアに対して「対抗しない」との方針を示したことも大変興味深い。本来、「対抗しない」云々というのは、対抗している国同士間で関係の改善を図る時に発する言葉であって、友好国家の間でこのような表現を使われることはまずない。

 例えば日本の外相はあえて、米国国務長官や英国外相やフランス外相に向かって「対抗しない」と語るようなことは考えられない。親密関係の友好国同士の間に、「対抗する」ことは最初から想定されていないからである。

 しかし中国の秦外相は、本来なら一番の友好国であるロシアの外相に対して「対抗しない」という言葉を何気なく使った。捉えるようによってそれは、ロシアとの今までの親密関係を頭から否定するような発言でもあれば、「中露は互いに対抗しなければこれで良い」という、中露観の親密さを打ち消すような「冷たい」言い方にもなっているのである。

 そして「3つのしない」の一番目の「同盟しない」となると、要するに中国側は明確に、ロシアと同盟関係を結ぶ可能性を否定した訳である。

それまでは「無制限の関係強化」だった

 しかし、秦外相が示した中国の対露外交の「3つのしない」方針は実は、2021年以来の習政権の進む対露外交方針からの大転換である。
この記事の元記事を書いた石平氏は、中国の退路が意向の「3つのしない」方針をもって、習近平政権、ロシア見切りへ外交方針大転換と結論づけています。

ただ、上にも上げたように中国がロシアに軍事援助をしている事実がいくつも出てきています。

これは、どのように解釈すれば良いのでしょうか。上の記事にも出てきた軍事援助はいままでは、やってきたのですが、これからはやめるのでしょうか。

私として、中国というか習近平は揺れ動いているのだと思います。米国の報復は恐ろしいでしょう。ロシアへの軍事援助を続ければ、セカンダリサンクション(第二次制裁)が中国をはじめとして、中国を援助する国々に加えられるかもしれません。

そうなると、中国もロシアのように半導体そのものがまともに製造も輸入もできなくなるかもしれません。それだけは、避けたい所です。

しかし、同盟国がない中国にとっては、ロシアは同盟国ではないものの、近い関係にあります。中国は、南太平洋の島嶼国を仲間に引き入れ、台湾を孤立させようと企んでいますが、本格的冷戦になれば、これらの国々はたとえ仲間に引き入れても、心許ないです。貧乏国なら、かえって足手まといになりかねないですし、地理的にも離れています。米国と本格的に冷戦を戦うことになれば、ロシアの存在は心強いです。

習近平はこうした板挟み状況になっているものと考えられます。そうして、どちらにするか、未だ保留状態にしているとも見えます。

中露の間で板挟み状態の習近平

先にあげたように、プーチン大統領は昨年12月30日、中国の習近平国家主席とオンライン形式で会談し、今年の春、習主席をモスクワに招待しました。

この頃までには、様々な状況が見えてくると考えられます。ウクライナでロシア軍は一部反攻にでていますが、これがどうなるのか、西欧諸国が提供した戦車がどの程度威力を発揮するのか、中国の「ゼロコロナ政策」の転換が、どの程度中国に影響を及ぼすのか、諸々がはっきりとはしないものの、先行きが予想できるようになっているでしょう。

春になって、習近平がそもそも、ロシアを訪問しなければ、習近平はロシア見切ったと見るべきでしょう。訪問しても、あまり話しが進展しなければ、やはりロシアを見切るつもりであるとみるべきでしょう。訪問して、中露間のつながりをさらに強化すると、はっきり共同声明を打ち出せば、何らかの目論見があるはずなので、これからもロシアに軍事援助を続けることになるでしょう。ウクライナ戦争は長引きます。

米国は、今回の偵察気球でうまく立ち回りました。今後部品が回収され、偵察気球であることがはっきりすれば、さらに強く牽制することが可能になるでしょう。ブリケン国務長官が中国を訪問して、中国側にロシアに軍事援助をするなと苦言を呈するより、訪問そのものを取りやめたことのほうが、はるかに効き目があるでしょう。

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2023年2月5日日曜日

米軍機が中国偵察気球を撃墜 バイデン大統領が指示、残骸回収へ―【私の論評】日本も中国のスパイ気球を撃墜すべき(゚д゚)!

米軍機が中国偵察気球を撃墜 バイデン大統領が指示、残骸回収へ

中国スパイ気球撃墜の瞬間

 バイデン米大統領は4日、米軍機が米東海岸沖で中国の偵察気球の撃墜に成功したと明らかにした。1日に米上空への気球飛来の報告を受けた後、地上に被害が及ぶリスクがなくなり次第、国防総省にできるだけ早く撃ち落とすよう自ら指示していたと記者団に語った。

 オースティン米国防長官は声明で、気球は米本土の戦略的拠点を監視する目的で中国が使用していたと指摘。「民間の気象研究用」とする中国側の主張を否定した。米軍は残骸を回収し偵察装置などの分析を試みる。中国の機密情報の収集活動が浮き彫りとなる中、撃墜により米中関係はさらなる冷却化が進む可能性がある。

 国防総省によると、米南部バージニア州の基地から出動した米北方軍のF22戦闘機が4日午後(日本時間5日未明)、空対空ミサイルで南部サウスカロライナ州沖約10キロの米領海上に気球を撃ち落とした。バイデン氏は「撃墜を成功させた飛行士らを称賛したい」と語った。

 気球は1月28日にアリューシャン列島近くの米国領空に侵入。アラスカ州上空を通過して一旦、カナダの空域に入り、31日以降再び西部アイダホ州から米本土を東に向けて飛行。その間、米軍の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射施設がある西部モンタナ州上空も通過するなど、国防総省高官は記者団に「明らかに機密性の高い米軍施設の上空を飛んでいた」と指摘した。

 国防総省は今月2日、中国の偵察気球が米本土上空に飛来したことを発表。バイデン政権は「米国の主権と国際法の侵害である」と中国政府を厳しく非難し、ブリンケン国務長官は3日、予定していた中国訪問を延期していた。

 国防総省は1日にバイデン氏に気球飛来を報告。オースティン長官は声明で、バイデン氏が米国民の生命に危害が及ばない形で早期に気球を撤去するよう指示したと明らかにした。

 米本土上空では破片などで地上に被害が及ぶ危険が残るとして、気球の偵察活動と航路の追跡・監視を続け、東海岸沖に達した時点でバイデン氏が「最適なときと判断」し撃墜を指示したという。一連の作戦はカナダ政府の支援を受けたとしている。

 同省は3日、中南米でも別の中国の偵察気球が飛行していると明らかにした。同省高官は4日、中国の偵察気球がここ数年間、東アジア、南アジア、欧州など5つの大陸・地域で確認されているとし、「他の国々の主権も侵害しており、容認できない」と非難した。

【私の論評】日台韓も中国のスパイ気球を撃墜すべき(゚д゚)!

偵察気球は歴史的に重要な技術です。低軌道衛星・静止衛星が開発される以前は、冷戦下の1950年代において米国は広範囲に利用するなど、広く活用していました。しかし、昨今ではほとんど使用されていません。

偵察気球には衛星に勝る利点がいくつかあります。安価に配置しやすく、対象から比較的近くを飛行し、ある場所を長期間継続して観察できるます。一方で気球には重量制限があり、搭載できるセンサーの処理能力と多様性には制約があります。

これに対して人工衛星は地上にいる人たちの目につかず、気にされることもありません。中国の気球が大ごとになったことにより、気球の欠点が再度あぶり出されたともいえます。

なぜ、中国はこのようなことをシたのか、理解に苦しみます。これは、米政府だけではなく国民から反感を買う行為です。

センサー付きの気球は操舵性能を備えていますが、気流に乗って移動します。米国の当局者によると、偵察気球は2月2日に民間航空交通網の上空約60,000フィートを漂っていて、人や地上での活動に脅威はもたらしてはいませんでした。

国防総省高官によると、米国上空を飛ぶ偵察気球は「今回のものとは別に、この政権の前にも過去数年で何度か確認されています」。だが今回の出来事は明らかに、米国民から最も注目されることになりました。

気球は偵察の道具として、ここ数十年はほんど使用されていません。このため絶えず偵察気球を配置する行為は、多くの国々が、対抗する準備が十分ではない可能性があります。中国側としては、各国がどの程度の準備ができているかを探るという意図があったのかもしれません。

しかし国防総省高官は2日、人工衛星の写真から中国が入手できる情報と比較して、「機密情報収集の観点から、この気球には限られた付加価値しかないと評価しています」と発言しています。それでもこの気球は、いくつかの米軍基地やその他の機密施設の近くを飛行しています。

偵察気球による監視の対抗策としては、設備や人員の気球からの視野外への物理的移動、設備の配置換え、可能であれば気球のセンサーの妨害があり得ます。ただ、米国がどのようにしてこれを防ぐかについては、今のところ公表されていません。

中国外務省は気球について、「中国側は、この飛行船が不可抗力により意図せず米国領空に侵入したことを遺憾に思う。中国側は引き続き米国側と意見を交わし、この予期せぬ状況を適切に解決するつもりである」とコメントしています。

しかし、こうした譲歩にもかかわらず、極めて多くの人目に晒された今回の状況は、米国と中国間の緊張感を高めるだけになりかねないです。

台湾の中央気象局の鄭明典局長は4日、同様の気球は北部・台北上空にも過去に2度出現していると明らかにしました。

鄭氏はこの日、フェイスブックに気球の写真を掲載し「ニュースで言われている偵察用気球は、気象局の同僚が2年前に撮影している」とコメント。その後の中央社の取材に、気球は2021年9月と22年3月に台北上空に出現し、約3時間とどまったと説明しました。フェイスブックに投稿した写真は21年のもので、22年は台北市の松山空港上空に飛来したものを、市民が撮影したと語りました。

また台北上空で見つかった気球は、2020年に宮城県で見つかったものと完全に同じだと強調。米国上空のものも含めて「気象観測用気球ではない」との見方を示しました。


気象観測用気球については通常ゴム製で直径は約2メートルで遠くまでは飛ばないとし、台湾や米国などで見られた気球は少なくとも20メートルの大きさだと推測。高高度を遠くまで飛行できるのは特殊な素材を使っているからだろうと語った。

日本では、宮城県以外の類似事件としては以下のようなものがあります。
2019年11月20日に鹿児島県薩摩川内市にあるせんだい宇宙館が撮影した飛行物体がやや形状は異なるが類似の構造をしている。

2021年9月3日に青森県八戸市鮫町の大須賀海岸の南の空に現れた白い飛行物体に酷似している。

2021年9月24日に小笠原諸島父島の上空に現れた飛行物体がやや形状は異なるが類似の構造をしています。
東北大学服部誠准教授(天文学)は、形が球状であることと、吊っているものがほぼ一緒ということで、米国の気球は、宮城に来たものとほぼ同型のものだと考えられると語っています。

 服部准教授は、3年前の物体について、当時の風のデータを基に飛行ルートを分析した結果、パラメーターをいくつも変えてシミレーションしてもいずれも中国からやってきたとなるので、ほぼ間違いなく中国から来たんじゃないかと思うとした上で、日本政府は真相を解明してほしいでと語っています。服部准教授は「目撃されたもののほかにも数多く飛んでいるのでは」と話しています。

中国は、これとほぼ同じとみられる、気球を撃墜する動画を公表しています。

以下がその動画です。


この動画、現在(2月5日 18:40)でも掲載されています。ただ、米軍の気球撃墜のときのように、撃墜そのものは写ってはいないので、実際に撃墜したところは、写っていません。本当かどうかは、わかりません。

中国としては、撃墜できることを示したものと考えられます。米国としては、この事実をつかんでおり、すぐに撃墜しなかったのは、確実に撃墜できる方法を模索した上で、実行したと考えられます。もし、失敗して複数回攻撃して初めて撃墜ということになれば、中国をつけあがらせることになりかねません。

中国としては、米軍の弱点を探しているのだと考えられます。たとえば、今回一回で撃墜できなかったような場合、偵察気球はまだまだ使えると判断したかもしれません。

気球のバルーン部分は定高度気球と思われるため、ポリエチレンなどの樹脂製と思われます。直径30メートルとかなり大型ですが、これはレーダーに映りません。ただし、米国で確認された気球は、当初では高度18キロと言われていましたが、撃墜時の高度は20キロとの情報があり、高度を変更可能な気球だった可能性もあります。

懸架物は、かなりの重量があると推測されるため、構造材などに金属も使われており、レーダーに映ると思われます。米軍も気球を追跡していますが、日中は目視の可能性もあるものの夜間はレーダーでしょう。

このようなことは、容易に予想がついたのでしょうが、米国の弱点を探している中国として、日本や台湾の対応で「ひょっとしたら」という感触を得たのかもしれません。

何しろ、日本では上記で示したように、何度か今回のような物体が発見されているにも関わらず、ほとんど何の対応もしなかったという経緯があります。在日米軍も、特に何の公表もしていません。さらに、米国内で以前発見されているものについても、結局何もしていません。

「イスラエルとパレスチナ」や「韓国と北朝鮮」といった対立を抱えている国や地域間の上空では、偵察目的とみられる互いの気球が従来から頻繁に確認されています。最近は、ドローンも用いられているものの、長時間飛行させることができる、気球はそれなりに利用価値はあるのでしょう。

にもかかわらず、日本の一部マスコミは無責任な識者の「ラジオゾンデだ」「 イベント用だ」等の報道をして、それで終わらせてしまいました。それで、納得してしまった人も多かったのではないかと思います。

もし、中国が、日米がこれを発見するのが難しいとか、対応能力が低いことを発見すれば、索敵能力においては全ての点で、日米に劣る中国は、これで初めて優位にたてるかもしれないと考えたのかもしれません。サラミ戦術で、日米台韓の上空の気球を増やし、これらの国々の空を気球で満たし、いずれ何かできるかもしれないと考えたかもしれません。今回撃墜されたので、この目論見は潰えたといえるでしょう。

日米台韓とも中国の偵察気球は、情報収集能力は低いし、撃墜しようと思えば、すぐに撃墜できるので、さほど問題はないと捉えていたのでしょうが、現状では米中が対峙していて、冷戦に近い状況になっていますから、米国としても甘い顔を見せるわけにもいかず、今回は意図して意識して、撃墜したのでしょう。さらには、ブリンケン国務長官も訪中も取りやめました。


今回米軍がこの偵察気球を撃墜したことは、日台韓の安全保障にも寄与したものと思われます。日台韓も今後は、技術的にも、米国が口火を切ったことでも、これをかなり撃墜しやすくなりました。

日本の自衛隊も、今後は中国の偵察気球を発見した場合撃墜すべきでしょう。これを簡単に考えるべきではありません。細菌や放射性物質等の毒物のバラマキの危険もあります。領空は無害通航権がなく打ち落としても良いです、安全保障上は当然の行為です。

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2023年2月4日土曜日

「令和臨調」提言に透けてみえる〝アベノミクス否定〟と〝利上げ・増税〟 方向性を間違えると改革も困難に―【私の論評】「無能な働き者」の巣窟と化したか「令和臨調」(゚д゚)!

日本の解き方

令和臨調の平野信行共同座長(左)、翁百合共同座長(右)ら

 令和国民会議(令和臨調)は1月30日、政府と日銀の共同声明について、「2%の物価安定目標」を「長期的な目標」と新たに位置付けるなどの提言を行った。

 「令和臨調」は、昨年の参院選前の6月19日、発足大会を開催した。事務局が日本生産性本部にあることからわかるように、経団連ほどではないが、比較的政府寄りで改革系の民間経営者の集まりだ。岸田文雄政権が本格化することを見越して、基本的には政権サポートの色彩が濃いだろう。

 発足大会では茂木友三郎共同代表による発足宣言が行われたが、その中に「現下のコロナ禍や食料・エネルギー価格の高騰等により政府支出の暫定的な増大は避けられないにせよ、財政・社会保障の持続可能性を担保するための取り組みに道筋をつけることは、もはや避けて通ることのできない、まったなしの課題」という一節があった。

 この文章はわかりにくいが、コロナによる財政出動により債務残高が増大したが、そのために「増税」が必要という意見のようだ。

 そこで、令和臨調が目をつけたのが、政府・日銀の共同声明だ。令和臨調の提言では、「2%インフレ目標設定を明記した2013年の政府・日本銀行の共同声明以降の政府と日本銀行の政策を検証したうえで、新たな共同声明(いわゆる「アコード」)を作成、公表することを提言する」とされた。

 もっとも、新たな共同声明でも、インフレ目標2%だ。何が違うのか。令和臨調の出した関連資料を見るとわかりやすい。13年の共同声明では日銀は「異次元金融緩和〝できるだけ早期に2%〟」だったが、提言では「金融政策の正常化〝2%は長期的な目標〟」としている。政府に対しては「予算制約意識なきばらまき財政」を「財政規律回復、社会保障改革」に変えるとされている。

 やはり衣の下の鎧(よろい)が透けてみえる。本コラムで再三書いてきたが、日本のコロナ対策は、安倍晋三元首相の言葉を借りれば「政府・日銀の連合軍」だった。政府が発行した100兆円規模の国債は日銀が保有し、増税に結びつかないのだが、それを増税にまで持っていきたいようだ。

 そのために、政府と日銀の新たな共同声明によって、「政府・日銀の連合軍」を崩したいのだろう。要するにアベノミクスの否定である。日銀に「金融政策の正常化」、政府に「財政規律」を求めるとは、簡単に言えば「利上げ・増税」だからだ。

 今の日本は、消費者物価指数の対前年比が4%増といっても、エネルギー価格など海外要因が中心だ。GDPデフレーターでみると、まだマイナスである。これが安定的に2%を超えるまで金融緩和と積極財政を継続する必要がある。「利上げ・増税」のタイミングではない。

 令和臨調の提言には、各種改革については見るべき点もあるが、マクロ経済では間違った方向だ。マクロ経済をしっかりさせないと、各種改革もできなくなるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「無能な働き者」の巣窟と化したか「令和臨調」(゚д゚)!

第2次安倍政権でブレーンの1人を務めた元内閣官房参与の本田悦朗氏は、2月2日に2回も以下のようにツイートしています。

本田氏は、頻繁にツイートする方ではないので、この「令和臨調」の提言は、よほど危険であると思われたのでしょう。だからこそ、ツイートされたでしょう。 

本田悦朗氏

金融を知らない人という言葉が気になったので、令和臨調の平野信行共同座長と、翁百合共同座長の経歴を調べてみました。

2013年三菱UFJフィナンシャル・グループ代表取締役社長に就任。2016年に三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)代表取締役会長に就任。2019年に三菱UFJフィナンシャル・グループ執行役会長に就任。同年10月に三菱みらい育成財団を設立、理事長に就任。2021年に三菱UFJ銀行特別顧問に就任。
1982年 慶應義塾大学経済学部卒業
1984年 慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了後 日本銀行勤務
1992年 日本総合研究所 副主任研究員
1994年 同 主任研究員
2000年 同 主席研究員
2006年 同 理事
2014年 同 副理事長
2018年 同 理事長(現在に至る)

お二人とも立派な経歴であり、一般には識者ともいわれるような人たちです。こういう人たちが共同座長をつとめている臨調が、このような提言を出すのですから、驚いてしまいます。

こういう人たちが、真面目な顔をして、提言などすると、信じ込んでしまう人も多いと思います。

しかし、臨調は形骸化しつつあるような組織です。元々は、統治構造改革や持続可能な財政を中心に政策を提言するはずであった「国民会議」(臨調)は昨年6月19日、東京都内で「令和国民会議」(令和臨調)発足大会を開催しました。

経済界や労働界、学界から有志が参加し、民主主義の再生や経済の立て直しといった日本が直面する諸課題の解決に取り組むものとされました。ただ、その政治改革への熱意は低下しつつあるとの声もありました。真の改革を再びリードする実行力が伴わなければ、形だけの組織で終わる可能性があります。


「改革の主役は次の世代の若者。さまざまな機会を通じて運動の輪を広げ、時代の閉塞(へいそく)と停滞を打ち破りたい」。茂木友三郎共同代表は、総会冒頭でこう意気込みを語りました。

行政改革を議論するため政府に設置した臨時行政調査会(臨調)は、昭和56年に発足し国鉄など3公社の民営化に道筋をつけた土光敏夫会長の「土光臨調」が知られます。その後、民間有志が参加する臨調方式の組織として平成4年に「民間政治臨調」が発足し、衆院中選挙区制廃止などにつなげました。

15年発足の「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」は、マニュフェスト(政権公約)選挙や政権選択選挙の動きを後押ししました。今回の令和臨調は、3度目の民間臨調との位置づけでした。

日本の構造改革に対する民間臨調の影響力が低下しているとの指摘もあります。立ち上げ時に政権交代可能な二大政党制などの理想を掲げたが定着していません。30年にわたる経済低迷からの脱却も果たせていません。政治改革への熱意が失われつつあるとの意見もあります。

総会では「一歩でも改革を前に進めるために汗をかきたい」(茂木氏)など、「改革」という言葉は多く聞かれました。ところが、日本という国のありようについて強いメッセージは聞かれませんでした。世論喚起や合意形成に向け大きなうねりを作るには、明確なビジョンの発信が求められますかが、それもありませんし、ましてや今回の提言です。

「令和国民会議」(令和臨調)共同代表で、日本生産性本部会長の茂木友三郎キッコーマン名誉会長らは1月6日、東京都内で年頭会見を開き、3月末までに取りまとめる予定であった今回の令和臨調の提言に関して「立場や党派を超えて取り組まねば解決困難な課題に取り組む。本格的に世論喚起や合意形成に踏み出す1年とする」と述べていました。

茂木友三郎キッコーマン名誉会長

茂木氏は、政府が昨年末に決定した防衛費の大幅増に関しても、令和臨調で議論する考えを示しました。岸田政権は2023年度当初予算案で、建設国債で自衛隊の施設整備費や艦船の建造費を賄うことを決めたことに疑問を呈しています。

令和臨調共同代表の小林喜光よしみつ東京電力ホールディングス会長は会見で「大変な財政状況の中で国債はあまりに安易で、たがが緩んでいる」と指摘しました。

30年も経済の低迷が続いたのは、それはなぜなのかについても、まともに分析できていないようです。分析ができないようでは、まともな提言ができるはずもありません。そもそも、日本がデフレになったのは、過去の財政金融政策が間違いだったということを認識していないようです。

もう臨調もすでに財務省の走狗と成り果てたのかも知れません。臨調そのものは、恐れるような組織ではありませんが、その背後の財務省の動きには要注意です。財務省は、自らの教義に従い、ありとあらゆる組織や個人に対して、増税絶対善教義を吹き込んでいるようです。

それにしても、民間企業のそれも大企業の元経営者等の認識がこの有様では、本当に困ったものです。安倍さんが草葉の陰て泣いているかもしれません。もう臨調など廃止したほうが良いです。現在の臨調は「無能な働き者」の巣窟と化したようです。提言するなら、まともな提言をしていただきたいです。

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2023年2月3日金曜日

米韓、黄海上空で再び戦闘機訓練 中国けん制も狙いか―【私の論評】米軍が黄海で演習するのは、中国の潜水艦の建造・メンテは渤海で行うという大きな弱点があるから(゚д゚)!

米韓、黄海上空で再び戦闘機訓練 中国けん制も狙いか

米韓空軍は黄海で1日に黄海で共同訓練を行った

 韓国国防省は3日、米韓両軍の戦闘機が黄海上空で合同訓練したと発表した。米韓は1日にも米国のB1B戦略爆撃機が参加する訓練を実施。北朝鮮が米韓による圧力強化に対抗し、ミサイル発射などの軍事的な威嚇に出る可能性がある。黄海上空での頻繁な戦闘機展開には、中国をけん制する狙いもありそうだ。

  韓国空軍は、訓練は韓国防衛に対する「米国の意思と能力を示すものだ」とし、強固な米韓同盟を誇示。核・ミサイル開発を加速化させる北朝鮮の脅威に対応するため、引き続き合同訓練を強化していくと表明した。3日の訓練には、韓国側からステルス戦闘機F35A、米側からはF35Bなどが投入された。

【私の論評】米軍が黄海で演習するのは、中国の潜水艦の建造・メンテは渤海で行うという大きな弱点があるから(゚д゚)!


地図でご覧いただければ、おわかりになるように、黄海の朝鮮半島の対岸は、中国です。このような場所での訓練ですから、当然のことながら、中国に対する牽制も、狙っていることでしょう。

この黄海は、中国海軍にとって、ネックでもあります。その主たる原因は、黄海・渤海は、均水深は46m、最深部でも200m以下と浅いということです。

ところが、中国原子力潜水艦の建造は、黄海に続く渤海湾内の遼寧省葫芦島市葫蘆島造船所に集中しています。 ここに造船所があるのは、維持整備上のやりやすさというのが大きな理由の一つであると考えられます。

葫蘆島造船所に停泊する潜水艦(赤丸) クリックすると拡大します

現実に 中国は、渤海湾にある中国唯一の原子力潜水艦建造所の拡張を図っています、ただ、必 要であれば渤海湾以外での原子力潜水艦の建造もできるようにするでしょう。

ただ、その動きは全くありません。中国近海は、渤海・黄海はもとより東シナ海を含めて水深が浅く、潜水艦の行動には適していません。今や水深の深い南シナ海こそ、中国にとっては原潜の聖域と言っても良い状況で、私としてはなぜ中国が環礁を埋め立てて作った基地に、潜水艦の建造や本格的メンテができる造船所をつくらないのか不思議です。

中国の潜水艦を含む艦艇のメンテは潜水艦も含めて、大掛かりなものは、すべて渤海湾内の造船所で行わなければなりません。

そうなると、水上艦艇はまだしも、すべての潜水艦は黄海を通り、渤海にでなければメンテはできないことになります。渤海に行くためには、必ず水深浅い黄海をとおらなければなりません。

中共は、なぜこのような不合理なことを未だに続けているのでしょうか。それには、いろいろな観測がありますが、その中で最も合理的と思われるのが、様々な艦艇、特に潜水艦は、中国共産党にとって脅威になるからというものです。

中国の人民解放軍は、普通の国の軍隊とは違い、中国共産党の下に位置し、いってみれば共産党の私兵であり、いくつかの軍(戦区)にわかれており、その軍が、戦車や航空機、艦艇を持ち、核兵器も持っている軍もあるという異様な形態をしています。しかも、この軍はそれぞれ自ら事業も展開しており、これが不正の温床ともなっています。


それぞれの軍自体が、共産党の私兵であり、事業も展開しているのです。日本でたとえると、商社が武装しているようなものです。

そうして、共産党は決して一枚岩ではなく、派閥争いが絶えません。最近は、習近平が掌握しつつあるとはいっても未だ完璧ではありません。いつ派閥争いが激化し、軍隊もそれに呼応して、いつ中国共産党中央政府にたてをつくかわかったものではありません。

だからこそ、中国共産党は今でも北京の直接の勢力下にある渤海でだけ、潜水艦のメンテを行わせているのでしょう。

もし、自らの勢力下にないところの造船所で、潜水艦のメンテを行えば、造反しやすくなり、造反されれば、北京にミサイルを打ち込まれ、中国共産党中央政府は崩壊するかもしれません。それも核を打ち込まれれば、とんでないことになります。そんなことを避けるためにも、今でも渤海でしかメンテをさせないのでしょう。

中国の潜水艦はすべてメンテを行うためには、水深の浅い黄海を通らなければならないのです。これは、せっかくの潜水艦の隠密性を自ら放棄しているようなものです。

黄海を航行する潜水艦は、水深が浅いことから、米軍側としては、かなり発見しやすく、確実に仕留めることができます。これは、航空勢力で十分にできるでしょう。

米軍が黄海でたびたび演習するのは、こうしたことを見透かして、中国を牽制する目論見もあると考えられます。

海上自衛隊の艦船や航空機は2017年末以降、黄海や東シナ海の公海上で中国船などによる北朝鮮船への石油精製品の密輸を監視しています。これは大東亜戦争後初めてのことでした。北朝鮮への石油輸出制限の抜け穴をふさぎ、国連安全保障理事会による対北朝鮮制裁決議の実効性を高める狙いとされており。海自の集めた情報は米軍とも共有し、密輸防止に生かしているといわれています。

ただ、これも密輸にかこつけて、中国に対する牽制も行っているものと考えられます。黄海の浅い海を航行する、中国の潜水艦は対潜哨戒能力が高い日本も、簡単に発見できますし、すぐにこれを撃沈することもできます。

日米は、中国のすべての艦艇の音紋を採取し、メンテナンスの頻度なども把握しているでしょう。


海上自衛隊が黄海で監視をしていることは、テレビでも報道されていましたが、あまり話題にはなりませんでした。ただ、青山繁晴氏がテレビで「戦後初めて」という言葉を使って、その意味合いを説明していました。

中国にとっては、黄海で、米韓が演習をしたり、日本が監視活動を行うことは、本当は嫌で嫌でたまらないのでしょうが、これに強く抗議すると自ら弱点を世界に晒すことになるので、それもあまりできないのでしょう。

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2023年2月2日木曜日

チェコ下院議長、3月末に台湾訪問へ 呉外交部長、協力の推進に意欲―【私の論評】チェコがとうとう挙国一致で、台湾を応援できる日がきた(゚д゚)!

チェコ下院議長、3月末に台湾訪問へ 呉外交部長、協力の推進に意欲


呉釗燮(ごしょうしょう)外交部長(外相)は1日、チェコのマルケタ・ペカロワ・アダモワ下院議長とテレビ会談を行い、台湾とチェコの友好関係を確認した。外交部(外務省)によるとアダモワ氏は3月末に台湾を訪問する予定で、呉氏は歓迎の意を伝えたという。

外交部によれば、会談は約20分間行われ、国立故宮博物院とチェコ国立博物館との協力や産業面での連携、権威主義の脅威への対応など幅広い分野で意見交換した。呉氏はチェコが台湾と同じ価値観と理念を分かち合い、ウクライナを支持・支援していることに感謝を示し、台湾は今後も民主主義の価値を堅持するとした上で、チェコとの協力推進の継続に意欲を示した。

アダモワ氏は訪台について強い期待を表明した他、蔡英文(さいえいぶん)総統が先月30日、チェコ大統領選で当選したペトル・パベル元北大西洋条約機構(NATO)高官と電話会談したことに触れ、チェコの台湾に対する支持と民主主義陣営団結の力を際立たせたと強調。台湾との友好関係のさらなる推進と深化に期待を寄せ、ウクライナの戦後復興でも協力の機会などがあると信じると述べた。

【私の論評】チェコがとうとう挙国一致で、台湾を応援できる日がきた(゚д゚)!

上の記事にもあるように、チェコでは1月、現職のゼマン氏の任期満了に伴う大統領選挙が行われ、NATO=北大西洋条約機構の元高官のパベル氏が当選しました。

日本のメディアでは、この事実が淡々と報じられるだけで、この新大統領の登場が何を意味するのか、とりわけチェコと台湾に関係にとってどのような意味を持つのか報道されません。そのため、本日にこれに関して掲載します。

チェコ・台湾関係というと、コロナが猛威を振るっていた2020年8月にチェコは台湾に90人の代表団を送っています。これについては、このブログでもその内容を紹介したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
チェコ上院議長が台湾到着 90人の代表団、中国の反発必至―【私の論評】チェコは国をあげて「全体主義の防波堤」を目指すべき(゚д゚)!

   台湾北部の桃園国際空港に到着したチェコのビストルチル上院議長(中央)と
   出迎えた呉●(=刊の干を金に)燮外交部長(右)=30日

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より一部を引用します。

まずは、元記事から引用します。
 東欧チェコのビストルチル上院議長(ブログ管理人注:現在も現職)を団長とし、地方首長や企業家、メディア関係者ら約90人で構成される訪問団が30日、政府専用機で台湾に到着した。台湾と外交関係を持たないチェコが中国の反対を押し切り、準国家元首級の要人が率いる代表団を台湾に派遣したのは初めて。国際社会での存在感を高めたい台湾にとっては大きな外交上の勝利といえるが、中国が反発するのは必至だ。

 チェコ上院議長の訪台をめぐっては、ビストルチル氏の前任のクベラ氏が昨年に訪台を約束したが、中国大使館から脅迫され1月に急死した。ビストルチル氏は上院議長就任後、何度も「クベラ氏の遺志を引き継ぐ」と表明していた。
この記事の【私の論評】から引用します。

親中的な現職ゼマン大統領
チェコ側も2013年に親露的でもある、ゼマン氏が大統領に就任して以後、対中関係の強化を図ってきました。ゼマン氏は訪中を繰り返し、2015年に中国が戦争勝利70周年記念の軍事パレードを実施した際も、欧米諸国のほとんどが国家元首出席を見送る中、北京に赴いて、中国との親密ぶりをアピールしました。
簡単に言ってしまうと、元々はチェコ政府は、親中的だったのですが、中国に反対する勢力が増大し、2020年にはチェコの憲法で大統領に次ぐ地位とされる上院議長のビストルチル氏をはじめとするチェコの議員団が90人も台湾を訪問したわけです。

そうして、大統領が新台派のペトル氏に変わることが決まってから、今度は下院議長のアダモワ氏は3月末に台湾を訪問する意向を表明したのです。おそらく、20年当時のように、下院の議員団も訪問するのではないかと考えられます。

台湾総統府によりますと、パベル次期大統領と蔡総統が先月30日夜、電話会談を行いました。

蔡総統はパベル氏の当選を祝福したうえで「台湾は、半導体設計や先端科学技術の人材育成、世界的なサプライチェーンの再構築などの分野で、チェコと協力を深めたい」と述べたということです。

次期大統領ペトル・パベル元北大西洋条約機構(NATO)高官

パベル次期大統領は会談後、ツイッターに「台湾とチェコは自由と民主主義と人権の価値観を共有していることや、将来、蔡総統と対面する機会を持ちたいことを伝えた」と投稿しました。

チェコは中国と国交を結び、台湾とは外交関係がありません。

こうした国の次期大統領が台湾の総統と電話会談するのは異例です。

ヨーロッパでは、中国の人権問題に対する懸念や、当初期待したほどの投資効果が得られないことなどを理由に、中国と距離をとり、代わりに半導体など先端技術で存在感を増す台湾との関係を深める動きが出ています。EUでも西側の諸国では、はやくからそのような動きをしていましたが、チェコを含む東欧諸国が当初中国の一帯一路による投資を歓迎しましたが、ここ数年はこれに離反するようになりました。

大統領がペトル氏に変わることで、チェコは国をあげて台湾を応援する国になったといえます。2020年当時のこのブログで、私が主張した通りになったということで、本当に良かったです。

先日、このブログにも掲載したように、最近では中国の南太平洋における動きが活発になっています。

中国の台湾侵攻は、現実にはかなり難しいです。実際、最近米国でシミレーションシした結果では、中国の報復によって、日本と日本にある米軍基地などは甚大な被害を受けますが、それでも中国は台湾に侵攻できないという結果になっています。そうして、無論中国海軍も壊滅的な打撃を受けることになります。

であれば、中国としては、台湾侵攻はいずれ実施するということで、まずは南アジアの島嶼国をなるべく味方に引き入れるという現実的な路線を歩もうとするでしょう。これによって台湾と断交する国をなるべく増やし、台湾を世界で孤立させるとともに、これら島嶼国のいずれかに、中国海軍基地を建設するなどして、この地域での覇権を拡大しようとするでしょう。

実は、中国はチェコも含む一帯一路による投資などで、東欧で似たよう動きをしていました。しかし、今では多くの国々が離反しています。

どうしてこのような動きになるかといえば、やはり経済に着目すべきと思います。特に一人あたりのGDPに着目すへきです。

上のグラフをご覧いただけると、2021年のチェコの一人あたりのGDPは2万ドル台です。これは、先進国から比較すれば、低いですが、それでも中国の1万2千ドルの倍以上です。

しかも、中国の経済統計はデタラメで、本当は1万ドル以下とみたほうが妥当です。このような国が、チェコなどに投資して成功する見込みはほとんどありません。

なぜなら、チェコ政府が中国の一帯一路などを当初歓迎したのは、それによって国民一人ひとりが豊になることを期待したのでしょうが、一人あたりGDPが低い中国には元々そのようなノウハウはありません。幹部とそれに連なる幹部が豊になるノウハウを持っているだけです。

チェコの一人あたりのGDPは2000年代頭までは、1万ドルを切っていましたが、現状では2万ドルを上回っています。1万ドルだった時代には、中国の投資は魅力的にみえたのでしょうが、自力で2万ドルを越してしまった後では、魅力も薄れたのでしょう。

それと第二次世界大戦前までは、チェコは議会制民主主義が機能しており、工業化も進んでおり、米国と並ぶくらい豊な国だったのが、英仏などが当時のナチス・ドイツに対して宥和政策を取ったがゆえに、ドイツに蹂躙され、占領され、戦後はソ連の衛星国となり、全体主義に翻弄された悲惨な経験があるということもあるでしょう。

一方、南太平洋の島嶼国は、未だ一人あたりのGDPが1万ドル以下の国が多く、中国の投資を魅力的に感じる国も多いことでしょう。東欧で一帯一路に失敗した中国は、ここしばらくは、軍事的にも重要な、南太平洋に注力することでしょう。

それにしても、今回チェコが挙国一致で、台湾を応援できる体制になったことは、まことに喜ばしい限りです。いずれ、チェコ大統領が台湾を訪問するというような、歴史の1ページを飾るようなイベントが催されるかもしれません。今から楽しみです。

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2023年2月1日水曜日

戦車供与 補給が課題…英国際戦略研究所 リサーチアナリスト ヨハン・ミシェル氏 [ウクライナ侵略1年]―【私の記事】深刻なウクライナのもう一つの戦い「汚職撲滅」は戦後の高度経済成長に欠かせない(゚д゚)!

戦車供与 補給が課題…英国際戦略研究所 リサーチアナリスト ヨハン・ミシェル氏 [ウクライナ侵略1年]

英国際戦略研究所

 最近発表された米欧の軍事支援の貢献は大きい。ウクライナ軍は西側諸国の装備を使い、装甲車や自走 榴りゅう弾だん 砲を大量に装備した機械化歩兵師団や、機動力を高めた自動車化歩兵師団を複数編成できる。独製「レオパルト2」や米製「M1エイブラムス」など100両近い戦車の供与にもメドがつき、戦闘力は大きく向上する。

 ウクライナ軍は現在使っている旧ソ連製戦車の弾薬が尽き始めており、数か月のうちに枯渇すると予想されていた。欧米製戦車を求めたのは、西側が供給できる弾薬へのアクセスを可能にし、継戦能力を維持するためだ。戦車は敵の防衛線を破って領土を奪還するだけでなく、機動的な防衛力も提供する。

 戦車は供与して終わりではない。最も重要な要素は補給だ。ベストは単一の戦車を大量に提供することだったが、今回は複数種に分かれた。それぞれにスペアパーツ、異なる訓練が必要で、隣国のポーランドやスロバキアには車両の補修を担う施設が要るだろう。戦車を前線に運ぶトラックもいる。それを守る防空網も必要になる。各国の役割分担が求められるだろう。

 ドイツが「レオパルト2」の供与に方針転換したことは意義深い。西側全体としてウクライナ軍事支援の方向性が当面続くからだ。米国は本音では戦車を差し出したくなかったはずだが、同盟結束のために実行し、欧州の安全保障に引き続き関与する姿勢を見せた。これも前向きに評価できる。

 戦車供与を巡る混乱では、ドイツ一国が拒んだ結果、西側全体の支援が何週間も滞った。同じ事態を繰り返すのは避けるべきで、ドイツ以外の国も兵器製造などで貢献し、欧州の選択肢を増やすことが望ましい。

【私の記事】深刻なウクライナのもう一つの戦い「汚職撲滅」は戦後の高度経済成長に欠かせない(゚д゚)!

上の記事の内容など、あまり詳しくはなくても多くの人がご存知だと思います。私も、以前戦車供与関係のニュースはこのブログに掲載したことがあります。

ただ、ウクライナのもう一つの戦争については、意外と知らない人もいらっしゃるかもしれません。もう一つの戦争とは、「腐敗や汚職」との戦いです。

本日も、以下のようなツイートを発見しました。


このツイートの裏取りはしていませんが、このようなことは、ウクライナであれば、十分あり得ると思います。

何しろ、ウクライナはもともと「腐敗まみれ」だったからです。その伝統は、今も引き継がれているいるようです。

1月29日の段階で、11人の政府高官が、汚職撲滅を目指すウクライナ政府の取り組みの一環として、辞任あるいは更迭されていました。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、一刻も早く世間の信頼を取り戻そうとしています。しかし、汚職疑惑の内容は深刻で、タイミングも悪いものでした。

汚職の指摘のいくつかは、現地メディア「ウクラインスカ・プラウダ」の調査報道記者、ミハイロ・トカチ氏のおかげで、表面化しました。

トカチ氏は最近、とある政府高官のパーソナル・トレーナーの会社が、ロシアの侵攻開始以来、数百万ポンドを受け取っていた疑惑を伝えまし。ウクライナ大統領府のキリロ・ティモシェンコ副長官の汚職についても報じました。

ティモシェンコ氏が大手デベロッパーの邸宅に家族を引っ越しさせていたとトカチ氏が報じた2カ月後、ティモシェンコ氏は辞任しました。

ミハイロ・トカチ氏

トカチ氏はさらに、ティモシェンコ氏が高額なポルシェに乗っていると様子に見える動画を公開しています。ティモシェンコ氏は、自分は何も問題のある行動はとっていないと主張しています。

「資金の出所がはっきりしない資金について、政治家や政府関係者は、その資産を近親者名義にすることが非常に多い」と、トカチ氏は話しています。

「これは、不透明な手口を示すものだ。今は政府関係者の一挙手一投足が、社会に明示されるべき時なのに」

トカチ氏は、汚職が横行するのはよその国も同じだ認めた上で、何より大事なのは、汚職にどう対応するかだと言います。

ウクライナが軍事、人道、財政面で数十億ドルの支援を受け取ることには、責任が伴う。監視の目も厳しくなる。

一方で、こうした資金が間違った相手にわたる可能性も増している。

「我々はウクライナの存在について話している」とトカチ氏は話す。

「ウクライナにとってこの1年は、ありきたりのものではなかった。ゼレンスキー大統領が引き起こした、大勢の辞職は、事態の重みを認める大切なもので、必要な対応だった」

2020年このトカチ氏が所属する、2犯罪汚職犯罪の調査報道「スキーム」の撮影班運転手の自家用車が何者かに放火されたことに対して、発言をしていました。

「スキーム」の記者であるミハイロ・トカチ氏がフェイスブック・アカウントで伝えていました。

トカチ記者は、「悪いニュースが続いている。私たちが4年間、撮影で使ってきた車両が、あなた方が見たように、燃やされた」と書き込みました。

「スキーム」の記者であるミハイロ・トカチ氏がフェイスブック・アカウントで伝えました。

トカチ記者は、「悪いニュースが続いている。私たちが4年間、撮影で使ってきた車両が、あなた方が見たように、燃やされた」と書き込みました。

トカチ氏は、この車両で最後に撮影したのは、「道路の王様たち」という名の、政権幹部による道路交通法違反に関する報道だったと伝えました。

これに先立ち、トカチ氏は、同年8月8日に自身の居住地にて通信傍受のための機器が見つかったと治安機関に通報しています。その後、同氏は、11日に警察捜査班が対応しないことに対するクレームも提出していました。

トカチ氏は、「撮影の際や、報道の中にて、私たちの車や私たちが国家警備局職員に監視されていると何度も強調してきた。車は、運転手の住む建物の近くに停められていた。盗聴、車両放火、次は何だ?」と書き込みました。

以下に、その書き込みを掲載します。

31年前に独立を宣言して以来、ウクライナでは公共事業と政界のほとんどに汚職が蔓延(まんえん)してきました。

2014年にはなんとしても民主化を求める国民の反政府デモによって、親ロ派のヴィクトル・ヤヌコヴィチ大統領が失脚しました。

それ以来、ウクライナ政府はさまざまな政治改革に取り組んできました。ロシアはウクライナに軍事介入を繰り返すようになったのが、改革への大きな原動力となりました。西側から継続的な支援を受けるためにも、ウクライナには改革が必要とされました。

新しい反汚職機関が設置され、公金の使い方にはに新しいシステムが取り入れられ、警察組織が再編されました。政治家は資産公開を求められ、時につらくなるほどの蓄財ぶりが明らかになりました。

ウクライナ議会の反汚職委員会で副委員長を務めるヤロスラフ・ユルチチン議員は、「我々には結果が重要だ」と語りました。

「確かに、過去の汚職の残りがまだある。だが少なくとも今は、それについて黙っていない。次の段階は汚職防止だ」

ユルチシン議員は、西側諸国からの支援が危うくなったとしても、今回の政府高官の違法行為発覚は最高のタイミングだったと話しています。

「西側のパートナーは、ウクライナが2つの戦争を戦っていることを知っている(中略)ひとつはロシアとの戦争、もうひとつはウクライナの将来に向けた内部の戦争だ」

昨年2月にロシアが全面侵攻してくる以前、欧州連合(EU)やアメリカはウクライナの反汚職対策に満足していませんでした。

2023年に持ち上がった疑惑がゼレンスキー大統領にどのような政治的ダメージを与えるかは不明ですが、今回の大統領の対応は、米国から「迅速かつ断固としている」と評価されています。

今後、さらに複数の汚職疑惑が浮上すると予想されます。それだけにゼレンスキー氏としては、米国以外の支援国からも同様の好意的な反応が欲しいところでしょう。

このような「汚職」はなぜ起こるのでしょうか。ウクライナにはウクライナの事情があり、汚職が頻繁に起こる他国には、他国なりの事情があるのでしょうが、私自身は、共通しているところもあると思います。

それは、貧困です。このようなことは、賃金が安い国で普通にみられることです。ウクライナも貧困国なのです。それは、下のグラフをご覧いただければ、おわかりいただけるものと思います。

一人あたりのGDP比較

日本も貧困化がいわれていますが、ウクライナの一人あたりGDPは2021年時点で、4千ドル台です。1ドル100円で大雑把に計算すると、40万円台です。大雑把には、一人あたりGDP≒賃金ですから、ウクライナでは一人あたりの賃金は40万円台ということになります。これは、日本の1/10です。

これらの国々では、土地や食料品の価格や、国内で生産できる物資の価格は低く抑えられるのが通例なので、なんとか生活してはいけるのでしょうが、それにしても貧乏です。

こうした国では、官僚や政治家など、いわゆるエリート層といわれる人でも、合法的に得られる収入はかなり少なく、そのため違法なことにでも手を染めて、多額の蓄財をするのが常です。そうして、それはいずれ、個人の汚職から、組織的で体系的な蓄財しシステムになるのも常です。

ウクライナも例外ではないですし、中国やロシアはその典型でしょう。

昔、会社の同僚が、東南アジアのある国に、事務所を開こうとしたのですが、本来開くはずの日を一週間過ぎでも、開かないので、現地に様子を見に行った所、役人に賄賂を支払っていなかったことが原因であることが判明しました。

現地に出向いた人が、彼の国では、賄賂が当たり前で、まともに申請していては、埒が明からないことを知らなかったため、賄賂を出さなかったので、いつまでも許可がおりなかったのです。

その同僚はさっそく役所に出向き、担当の役人に、相場以上の賄賂を提供したところ、数時間で許可がおりたそうです。彼の国では、このようなことが常態化していたのです。

低賃金の国では、このようなことが常態化しているところが多いです。

特に、ウクライナは、戦前には中国人の手頃な留学先になっていたように、他の発展途上国とは違い、宇宙産業、航空産業もあり産業基盤も整っており、文化水準も高く比較的教育水準が高いにも関わらず、低賃金です。一般の人も当然賃金が安く、生活が苦しいため、機会があれば、汚職に手を染めてしまいがちです。

こうした腐敗がさらに非効率を生み、経済成長を阻害し、なかなか貧困から抜け出せなくなるのです。

現在は、戦争中ですから、なかなかうまくはいかないでしょうが、戦争が終了すれば、「汚職」対策を徹底的に行い経済発展をさせるべきでしょう。

ゼレンスキー政権の与党幹部、アラハミア最高会議(議会)議員は1日、汚職疑惑で高官経験者や新興財閥(オリガルヒ)の一斉捜査が開始されたと明らかにしました。通信アプリ「テレグラム」で「国家は有事に変革する。変わる気のない者には国家が手助けする」と警告しました。

アラハミア氏によると、捜査では、巨額還付金の詐取が疑われる税務当局幹部や、1月に首都キーウ(キエフ)で墜落したヘリコプターの納入に関与したアワコフ元内相、2019年のゼレンスキー大統領当選に寄与した大富豪コロモイスキー氏が対象になったといいます。

アラハミア最高会議(議会)議員

私は、以前このブログに掲載しましたが、ウクライナは教育水準が高く、人口も比較的おおく、産業基盤も整っていることから、戦争が終わり、ある程度「汚職」を取り除き、EUに加盟できるくらいになれば、かなり経済発展をする見込みのある国だと思います。

今まで成長できなかったのは、国外ではロシア事あるごとに干渉され、国内は「汚職」塗れだったからです。この軛から開放されれば、ウクライナは、高度成長することでしょう。私は 10年後には、ウクライナが世界で一番経済発展する国になっている可能性もあると思います。

ただ、まずは汚職をある程度撲滅できなければ、EUには加盟できず、貧困状態が続くことになるでしょう。

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