2025年4月23日水曜日

中国「開放的で安全な国だ」日本外務省の修学旅行注意喚起に“強烈な不満”—【私の論評】中国危険レベル0に批判殺到!外務省の邦人保護放棄を糾弾

中国「開放的で安全な国だ」日本外務省の修学旅行注意喚起に“強烈な不満”

まとめ
  • 日本外務省の中国修学旅行安全注意喚起に対し、中国外務省が「リスク誇張」と批判、不満表明。
  • 中国は「安全な国」と主張、日本に注意喚起の是正と交流雰囲気改善を要求。
  • 在日中国大使館が日本での事件を理由に安全対策呼びかけ、中国政府の責任と主張。

日本外務省が中国での刃物による襲撃事件などを理由に、修学旅行を検討する学校関係者に対し安全情報の確認と渡航判断の注意喚起をウェブサイトで開始した。

これに対し、中国外務省の郭嘉昆報道官は22日の記者会見で、「中国は開放的で安全な国」と強調し、日本側の注意喚起は安全リスクを悪意で誇張し政治的意図があると批判。「強烈な不満」と「断固たる反対」を表明し、厳正な申し入れを行ったと明らかにした。

また、日本に誤った措置の即時是正と中日間の人的交流の良好な雰囲気作りを求めた。一方、在日中国大使館は17日、日本での無差別殺人や食中毒事件を挙げ、中国人旅行者に安全対策強化を呼びかけ。郭報道官は日本に安全リスク報道が多いとし、中国政府の注意喚起は責任と義務だと主張した。

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【私の論評】中国危険レベル0に批判殺到!外務省の邦人保護放棄を糾弾

まとめ
  • 外務省危険レベルの誤判断:事件多発でも中国を「レベル0」にし、危険軽視が批判される。
  • 邦人保護の放棄:安全策ゼロで責任丸投げ、無責任と非難される。
  • 対中忖度:他国が危険度を上げてもレベル0維持、外交優先と糾弾される。
  • 危機管理の欠如:対応遅れと基準不明で「危機管理ゼロ」と酷評される。
  • 信頼喪失:抗議続出で「子どもの命を危険に」と信頼を失う。
中国の傍若無人ぶりは今更批判する必要がないくらいに、多くの国民に知れ渡った事実である。しかし、日本の外務省はどうなのか。外務省のサイトを閲覧すると、確かに以下のURLで、修学旅行に対する注意喚起されていることが話わかる。

中国を渡航先とする修学旅行等を検討される学校関係者の皆様へ

ただ、危険情報の地図では、中国西部は危険レベル1 になっているが、それ以外は何の指定もされていない。

中国本土の危険レベル0維持は、外務省の甘い治安評価と日中関係への過剰な忖度が生んだ愚策だ。2024年6月の蘇州での日本人母子襲撃事件、9月の深圳での日本人児童刺殺事件は、反日感情が絡んだ凶悪事件だったが、外務省は「局所的」と切り捨て、危険レベルの引き上げを拒否した(毎日新聞、2024年9月)。


新疆ウイグル自治区の2009年ウルムチ暴動やテロリスク、チベット自治区の2010年代デモ暴徒化と当局の監視がレベル1の理由だが、中国本土の他の地域はまるで安全地帯のように扱われている(外務省海外安全ホームページ、2025年2月25日更新)。

外務省が「中国を渡航先とする修学旅行等を検討される学校関係者の皆様へ」(www.anzen.mofa.go.jp)で修学旅行の注意喚起を出したのは、一部の高校が中国への修学旅行を計画し、国内で安全懸念が爆発したからだ。だが、この対応はXで「無責任」「学校に丸投げ」と叩かれ、保護者や議員から「子どもの命を軽視する」と非難の嵐が吹き荒れた(X投稿、2024年9月~10月)。

注意喚起は専用ページやスポット情報に留まり、危険レベルは動かず、「中途半端」の烙印を押された。米国は不当拘束や出国禁止リスクでレベル3を設定(2024年10月更新)、オーストラリアや韓国も高い危険度を維持するが、日本はレベル0に固執。他国との落差は滑稽を通り越し、怒りを呼ぶ(産経ニュース、2024年10月)。2023年8月のALPS処理水放出後の中国での抗議行動や邦人監視強化も、共同通信が報じた国家安全部門の動向とともに危険レベルに反映されず、対応の遅さが白日の下に晒された(共同通信、2023年9月)。

外務省の煮え切らない態度は、邦人保護を投げ出した無責任の極みだ。蘇州・深圳の事件で邦人の命が脅かされたのに、危険レベル0を維持し、曖昧な注意喚起でごまかすのは危機管理の放棄である。Xでは「外務省は無能」「子どもの命を危険に晒すな」と怒りが爆発した(X投稿、2024年9月~2025年1月)。2023年5月と2024年5月の外務委員会で、自民党の西田昌司参議院議員が中国全域のレベル1指定を求めたが、林芳正外務大臣は「適時見直し」と繰り返し、進展はゼロだ(衆議院会議録、2023年5月、2024年5月)。

西田参議院議員(中央)

2024年12月、外務省高官が日中対話で修学旅行受け入れ促進を約束すると、立憲民主党の岡田克也議員が「安全を誰が担保するのか」と追及したが、外務省は「中国側と協議」と逃げた(朝日新聞、2024年12月)。2024年10月、東京都内の高校が中国修学旅行を計画した際、保護者の「外務省の注意喚起は役に立たない」との抗議が殺到し、計画は白紙に戻された(東京新聞、2024年10月)。

外務省は学校に旅行届を求めるだけで、警備は中国側に丸投げし、具体的な安全策は皆無だ。産経ニュースは、日本が環太平洋先進国で唯一中国をレベル0とする点を批判し、米国のレベル3との落差を問題視した(産経ニュース、2024年9月24日)。共同通信は、中国の国家安全部門が処理水問題で邦人監視を強め、拘束も検討と報じ、危険性の高まりを浮き彫りにした(共同通信、2023年9月)。

外務省の弱腰は過去にも繰り返された。2019年、香港の反政府デモが激化した際、香港をレベル1に設定したが、中国本土への波及リスクは無視し、批判を浴びた(読売新聞、2019年8月)。2022年、中国で日本人ビジネスマンが拘束された事件でも、危険レベル見直しはなく、企業から「邦人保護が不十分」との声が上がった(日経新聞、2022年6月)。

2023年9月、ALPS処理水放出後、中国で日本人学校への嫌がらせが増え、山東省の日本人学校が一時閉鎖されたが、外務省は「過剰反応を避けろ」と呼びかけただけで危険レベルは動かなかった(NHK、2023年9月)。

2024年11月、関西の私立高校の中国修学旅行計画に対し、保護者の反対署名が数百人分集まり、計画は中止に追い込まれた(読売新聞、2024年11月)。2024年8月、福岡の教育委員会が外務省に安全性を問い合わせたが、「学校の判断」と突き放され、委員会内で怒りが爆発した(西日本新聞、2024年8月)。2025年4月、西田昌司議員が「南京大虐殺記念館などを理由に修学旅行生は行かせられない」と発言し、外務省の修学旅行促進策に異議を唱えたが、外務省は明確な反論を示さなかった(政治知新、2025年4月20日)。

この外務省の怠慢は、対中関係を優先し、国民の命を軽視する裏切りだ。危険情報基準は非公開で、事件の評価は曖昧。国民の安全が脅かされているのに、明確な渡航制限や学校向けガイドラインは作らない。Xでは「腰抜け外交」「外務省は現実を見ろ」との声が響き、信頼は地に落ちた(X投稿、2024年9月~2025年1月)。この無責任な姿勢は許されない。危険情報基準の透明化、具体的な安全策の提示、邦人保護の覚悟を今すぐ示せ。外務省の怠慢は、国民の命を危険に晒す罪だ。

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2025年4月22日火曜日

「日本は、アメリカか中国か選ぶことになる」トランプ大統領「41歳のブレーン」が衝撃発言⋯ブチ切れたアメリカ庶民が「日米同盟を破壊する日」—【私の論評】リフォーモコンが築くアメリカの魂:労働者の誇りと霊性文化の創造

「日本は、アメリカか中国か選ぶことになる」トランプ大統領「41歳のブレーン」が衝撃発言⋯ブチ切れたアメリカ庶民が「日米同盟を破壊する日」

まとめ

  • アメリカはトランプ政権下でグローバル化や同盟ネットワークから孤立主義に回帰し、戦後80年の方針を転換する。
  • リフォーモコン(改革保守)は、グローバル資本主義が中間・貧困層を貧しくしたと批判し、関税引き上げや同盟国への防衛負担増を主張。
  • オレン・キャス氏は、国際秩序のリセットと日本の中米選択の必要性を警告し、トランプ政権の政策を理論的に支える。
  • グローバル化による格差拡大や戦争の犠牲がアメリカ庶民の怒りを生み、トランプ政権の支持基盤となる。
  • 日米安保条約の見直しや日本への駐留経費全額負担要求が本格化し、国際関係の構造変化が予想される。
アメリカが「世界のお節介焼き」としての役割を終え、孤立主義に回帰しつつある。トランプ大統領は、戦後80年にわたり米国が推進してきたグローバル化やリベラルな同盟ネットワークを転換し、初代大統領ジョージ・ワシントンの「他国と距離を置く」理念を復活させようとしている。戦後の日本にとって米国は精神的・物質的な「地盤」である一方、干渉的な「上司」でもあったが、この関係は大きく変わる可能性がある。


背景には、グローバル資本主義がエリート層を富ませ、中間・貧困層を貧しくしたとの不満がある。保守系シンクタンク「アメリカン・コンパス」を主宰するオレン・キャス氏(41歳)は、トランプ政権を支える「リフォーモコン」(改革保守)の代表的知識人として、自由貿易や同盟関係のコストが利益を上回ると主張。関税の大幅引き上げや、日本など同盟国への防衛負担増を求め、1980年代に日本が米国の圧力で現地自動車生産を増やした例を挙げる。

アメリカでは過去30年で不法移民が1000万人を超え、株価は5倍に上昇した一方、中間層の所得は停滞。富裕層と下位層の資産格差が拡大し、イラクやアフガン戦争で若者が犠牲になり、帰還兵の心身の傷や薬物問題が深刻化。「他国のためにアメリカ人が傷つく必要はない」との怒りが広がる。トランプ政権はこうした「傷ついた庶民」の声に応え、「リフォーモコン」の理念に基づき、日米安保条約の見直しや日本への駐留経費全額負担要求を本格化させる可能性がある。

キャス氏は「国際秩序はリセットされつつあり、日本は米国か中国かを選ぶ必要が出てくる」と警告。自由貿易や同盟関係の見直しは、トランプ支持者だけでなく、グローバル化に取り残された多くのアメリカ人の不満を反映している。「リフォーモコン」の思想に支えられたこの動きは一過性のものではなく、国際社会の構造を根本的に変えるかもしれない。
(「週刊現代」2025年4月28日号より)

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【私の論評】リフォーモコンが築くアメリカの魂:労働者の誇りと霊性文化の創造

まとめ
  • リフォーモコンは、グローバル資本主義の害を正し、労働者階級の誇りを復活させる運動であり、政治、外交だけではなく、米国独自の霊性文化を構築することを使命とすべき。
  • その精神性—労働者の尊厳、ナショナリズム、反エリート主義、現実主義—は、バークの保守主義(伝統、道徳的秩序、コミュニティ、現実主義)と共鳴し、グローバル化の断絶を癒す。
  • 日本の霊性の文化に学び、ピューリタニズム、フロンティア精神、地域信仰を基盤に、労働者の誇りと国家の誇りを結ぶ霊性を築くべきである。
  • 地域伝統の支援、愛国教育、自然保護を通じて、グローバル化の無機質な文化に対抗し、国民の霊的結束を強化する。
  • 若手保守派団体ターニング・ポイント・USAと直接の連携は薄いが、トランプ支持層や若者層への訴求で間接的に響き合い、霊性文化を若い世代に広める力となるだろう。
上の記事にも出てくる、リフォーモコンは、グローバル資本主義の毒を洗い流し、労働者階級の誇りを蘇らせる運動だ。関税を上げ、同盟を問い直し、アメリカを再び強くする。しかし、その戦いは経済や外交だけで終わるものではない。アメリカの魂、つまり米国独自の霊性を呼び起こす文化を築くことこそ、真の使命としてほしい。

「鹿の国」公式ガイドブック

先日このブログにも掲載した、日本のドキュメンタリー映画「鹿の国」は、日本の霊性の文化を呼び起こさせ物質に溺れた現代人に土着の信仰と自然の神聖さを突きつけ、魂の渇きを癒した。リフォーモコンも同じだ。ピューリタンの信念、フロンティアの魂、地域の信仰を掘り起こし、労働者の尊厳と国家の誇りを結びつける霊性を打ち立てるべきだ。

この霊性は、エドマンド・バークの保守主義—伝統と秩序への敬意、コミュニティの絆—と、リフォーモコンの精神—労働者の誇り、ナショナリズム、反エリート主義、現実主義—を一つに熔かし、グローバル化の荒波でバラバラになったアメリカを再び結びつける。アメリカの若手保守派団体ターニング・ポイント・USA(TPUSA)の若者たちとのつながりは、この霊性を若い世代に根付かせる推進力となる。アメリカの再興は、魂の復活にかかっている。
グローバル化の傷とリフォーモコンの魂
グローバル化はアメリカの心を蝕んだ。エリートは富を独占し、労働者階級は貧困と絶望に沈んだ。不法移民は1000万人を超え、株価は5倍に跳ね上がっても、中間層の所得は動かない。イラクやアフガンの戦場で若い命が散り、帰還兵は傷と薬物に苦しむ。こんな現実を前に、誰が黙っていられるのか。リフォーモコンの精神は、この怒りに火をつける。

ウォール街でデモをした帰還兵たち

労働者の尊厳は、ピューリタンが神に捧げた労働の誇り、フロンティア開拓者が荒野で築いた自立の魂と響き合う。ナショナリズムは、「神の下の国家」を信じる不屈の愛国心だ。反エリート主義は、労働者を「能力不足」と切り捨てるエリートへの民衆の正義の刃である。現実主義は、他国のためにアメリカが血を流す愚を拒む覚悟だ。

バークの保守主義は、この精神に深い知恵を与える。バークは伝統を「先祖が残した宝」と呼び、急激な変革を退けた。社会は過去と未来をつなぐ「永遠の契約」であり、家族、教会、地域といった「小さな集団」がその絆を守る。リフォーモコンの労働者コミュニティへのこだわりは、この精神そのものだ。

だが、リフォーモコンはバークの慎重さを超える。関税の壁を築き、日米安保を揺さぶる大胆さ、トランプのポピュリズムに支えられた勢いは、現代の断絶に応じた新しい炎だ。それでも、労働者の誇りと国家の再興を求める心は、バークの伝統と秩序への信仰と共鳴する。
「鹿の国」に学ぶ霊性の復活
日本の「鹿の国」は、霊性の復活が持つ力を教えてくれる。諏訪の信仰を背景に、鹿と自然の神聖さを描いたこの映画は、監督の4年にわたる執念が生んだ。グローバル化の無味乾燥な世界に疲れた日本人が、土地と命のつながりに涙した。

アメリカも同じだ。リフォーモコンの支持層—白人労働者階級、ラテン系、若者—は、2024年のトランプ勝利(得票率約50%)で声を轟かせた。彼らは金だけでなく、コミュニティと伝統を失った痛みに喘ぐ。グローバル化は魂を奪う。リフォーモコンは、ピューリタンの信仰、アパラチアの福音派、ミッドウェストの農村の祈り、南部のバプテストの讃美を呼び戻し、米国独自の霊性を築かねばならない。

この霊性は、具体的な行動で形になる。第一に、地域の伝統を守る。教会や農場を支え、福音派の集会や地域の祭りを盛り上げる政策が、魂の絆を強める。第二に、教育とメディアでアメリカの物語を語る。建国神話やフロンティアの英雄を子供たちに教え、労働者の誇りを讃える映画を広める。第三に、自然との絆を取り戻す。「鹿の国」が自然の神聖さを示したように、国立公園や農村の美しさを守る運動が、土地への愛を深める。これらは、グローバル化の冷酷な波に立ち向かう魂の砦だ。
若者と築くアメリカの未来
若手保守派団体「ターニング・ポイント・USA」の創始者チャーリー・カーク氏

若手保守派団体ターニング・ポイント・USA(TPUSA)は、リフォーモコンの霊性を若者に広める鍵だ。TPUSAは大学キャンパスで保守主義を掲げ、愛国心を訴える。リフォーモコンと直接のつながりは薄いが、トランプの「アメリカ・ファースト」を共有し、反エリートや労働者優先のメッセージで響き合う。TPUSAのチャーリー・カークは、関税や製造業復興を支持し、リフォーモコンのオレン・キャスの論調と重なる。

TPUSAの自由市場重視はリフォーモコンの保護主義と異なるが、若者への動員力は霊性を広める力になる。2024年選挙で若者がトランプに流れた背景には、TPUSAの活動とリフォーモコンの訴えが共鳴した可能性がある。TPUSAのネットワークは、愛国心とコミュニティの霊性を若い心に刻む。

霊性文化の構築は、リフォーモコンの戦いを完成させる。バークが世代の絆を「永遠の契約」と呼んだように、霊性はアメリカ人を過去と未来で結ぶ。グローバル化の分断を癒し、エリートへの怒りを希望に変えるには、金や政策だけでは足りない。魂の基盤が必要だ。リフォーモコンの精神は、バークの伝統と秩序への信仰と一つになる。TPUSAの若者たちにこの霊性を広めれば、アメリカの再興は揺るぎない。

リフォーモコンは、米国独自の霊性文化を築く使命を担うべき。「鹿の国」が日本の魂を呼び戻したように、ピューリタニズム、フロンティア精神、地域信仰を基盤に、労働者の尊厳と国家の誇りを結ぶ霊性を打ち立てる。地域の伝統を守り、教育で物語を伝え、自然の美しさを愛する。それが、グローバル化の闇を吹き飛ばす光だ。TPUSAと手を携え、バークの保守主義とリフォーモコンの炎を融合させる。この霊性が、アメリカの魂を蘇らせ、国民を一つにする。

政治、経済だけでは、国民が一つにまとまるのは難しい。やはり固有の霊性の文化は欠かせない、日本は誇るべき霊性の文化があるのに、忘れてしまっている。日本は、これを思い出すべきだろう。そうなれば、日米ともに国民はまとまり、他の国々との無用な対決も避けることができるだろう。さらに、他の国の固有の霊性文化を尊重するようになるだろう。

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2025年4月21日月曜日

〈提言〉トランプ関税にどう対応すべきか?日本として必要な2つの分野にもっと支出を!—【私の論評】トランプ関税ショックの危機をチャンスに!日本の柔軟な対応策と米日協力の未来

〈提言〉トランプ関税にどう対応すべきか?日本として必要な2つの分野にもっと支出を!


原田 泰( 名古屋商科大学ビジネススクール教授)
まとめ
  • トランプ大統領の相互関税政策は世界経済を揺らし、株式市場の下落とドルの下落を引き起こすが、政策は一貫性がなく影響が不透明。
  • 製造業を米国に戻す意図は理解できるが、造船業や半導体産業の衰退と戦略不在により、関税政策だけで復活は困難。
  • 日本は関税ショックに備え、給付金(1人5万円、総額約6.35兆円)や減税を検討するが、関税の詳細不明で議論は停滞。
  • 輸出額21.6兆円に24%関税が課されると仮定すると、約5.3兆円(GDPの1%弱)の需要減が発生し、一律給付金や減税が有効な対策とされる。
  • 防衛装備増産や老朽インフラ整備など必要性の高い投資を優先し、特定産業への補助金は産業構造転換を遅らせるリスクがある。
各国との相互関税に関する説明をするトランプ大統領

 トランプ大統領の相互関税政策により、世界経済は大きく揺れ、株式市場は下落と反発を繰り返し、ドルも下落している。トランプ氏は高関税を掲げる一方で、特定の製品への関税を免除したり延期したりと政策が場当たり的で、実際の影響は不透明だ。米国への輸出品に24%の関税が課されると仮定すると、日本からの輸出額約21.6兆円(2024年)が影響を受け、約5.3兆円の需要減(GDPの約1%)が発生する可能性がある。

 トランプ氏の目指す製造業の米国回帰は、歴史的に米国が第二次世界大戦で兵器供給の中心だったことを考えると理解できる。しかし、造船業や自動車、半導体産業が衰退した現状では、武器や軍服すら国内生産が難しい。包括的な戦略や同盟国との分担計画が見られず、朝令暮改の関税政策では製造業の復活は困難とされる。

 日本は関税ショックに備え、1人あたり5万円の給付金(総額約6.35兆円)や消費税減税、ゼロゼロ融資の復活など景気刺激策を検討中だ。しかし、関税の詳細が不明なため、議論は収束しつつある。特定産業への補助金は産業構造転換を遅らせるリスクがあり、恒久的な関税なら尚更問題だ。一方で、一律給付金や減税は需要ショックへの一般的な対策として有効だ。

 さらに、防衛装備品の増産や老朽インフラの整備など、必要性の高い分野への投資が推奨される。防衛装備は国産と同盟国からの輸入のコスト比較やウクライナ戦争の教訓を反映すべきだ。インフラ整備は限界を認め、必要な部分に集中投資する。また、ミサイルや戦闘機を守る施設の建設は公共事業として既存予算を再配分できる。

 トランプ関税の影響がどうなるかはまだ分からないから、どう対応すれば良いのかが分かるはずがない。しかし、影響が需要ショックであることは確かだから、需要ショック対策の準備はしておいた方が良い。

 ショックを受ける産業に個別に対応するより、減税や給付金などの一般的な対応が望ましい理由もある。また、軍備の増強、老巧インフラの立て直しなど、どうせ必要なことを早めに進めるという方策もある。

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【私の論評】トランプ関税ショックの危機をチャンスに!日本の柔軟な対応策と米日協力の未来

まとめ
  • トランプ関税の不確実性により具体的な対策は困難だが、需要ショックが予想されるため、一律給付金や減税、防衛・インフラ投資などの一般的な対応を準備し、経済の安定と長期強化を図るべきである。
  • 日本はトランプの貿易不均衡是正要求に応え、攻撃型原潜購入、エンタメ企業買収、大学投資で協力姿勢を示し、関税リスクを軽減しつつ米日関係を強化する。
  • 関税ショックは日本や他国の長年の問題解決の契機となり得るため、報復関税を避け、柔軟な対応で米中対立を静観しつつ、経済改革のチャンスと捉えるべきである。
需要ショックとは、経済全体や特定市場で商品・サービスの需要が急激に増減する現象だ。政策変更や自然災害、関税導入といった外部要因が、消費者や企業の購買行動を一変させる。需要が減れば、企業の売上が落ち、生産や雇用が縮小し、経済成長が鈍る。逆に需要が増えれば、供給不足や価格高騰を招く。トランプ関税の場合、輸出品の価格上昇で需要が減少し、経済にマイナスの需要ショックが予想される。

トランプ関税の具体的影響は予測不能

トランプ関税の展開は予測不能だ。どの産業が、どの程度影響を受けるのか、誰も見通せない。具体的な対策を今打つのは難しい。しかし、関税が需要ショックを引き起こすことは確実だ。だからこそ、一律の給付金や減税といった一般的な対策を準備すべきだ。さらに、防衛装備の増産や老朽インフラの整備など、必要不可欠な分野への投資を優先し、経済への打撃を和らげつつ、長期的な国力強化を図る。これが核心だ。関税の不確実性に振り回されず、広範で柔軟な対応が求められる。

トランプは米国の貿易赤字(2024年で1.2兆ドル)を問題視し、是正を掲げる。日本は同盟国として協力姿勢を示し、関税リスクを軽減する必要がある。攻撃型原潜の購入、エンタメ企業の買収、大学への投資は、米国の輸出を増やし、米日関係を強化する有効な手段だ。これらは需要ショック対策を補完し、トランプの「相互的貿易」の要求に応える。

米海軍の原子力潜水艦「オハイオ」の後部デッキに上面にある巡航ミサイル「トマホーク」の発射口

原潜購入は米国の防衛産業を支え、米日同盟を固める。日本のF-35購入(230億ドル)やAUKUSの原潜計画(30億ドル)は成功例だ。財政負担や米国の生産制約が課題だが、トランプの経済強化の目標に直結し、関税交渉を有利にする。エンタメ企業の買収は、米国のサービス輸出(2023年黒字2780億ドル)を拡大する。ソニーのコロンビア買収(1989年、34億ドル)は米コンテンツ輸出を増やした好例だ。中規模企業への投資なら、米国の投資審査(CFIUS)を回避しつつ、シナジーを生む。

大学への投資は、米国の教育サービス輸出(2023年450億ドル)を支援する。特に、リベラル系大学への公的支援縮小(例:2024年ハーバード大学の連邦資金削減議論)で、投資の可能性が広がっている。韓国のサムスンの研究投資(1億ドル)は参考になるが、ビザ制限が壁だ。研究協業なら、日本の協力姿勢を効果的に示せる。これらの施策は、赤字の大幅削減には及ばないが、トランプの経済強化の目標に応え、関税回避に役立つ。EUのLNG輸入拡大(2018年)や安倍氏の投資約束(2017年、1500億ドル)は、その成功を示す。


日本だけでなく、EUなど他国も同様の柔軟な対応が求められる。国柄を踏まえ、協力姿勢を示すべきだ。報復関税や非関税障壁の新設は愚策だ。中国は報復関税を選び、米国との対立を深めた。自ら墓穴を掘ったのだ。日本を含む他の国々は、柔軟な姿勢で関税ショックを和らげ、米中間の争いに収斂させるのが賢明だ。様子見が最上の策である。

この関税ショックは、実はチャンスかもしれない。日本や多くの国は、長年の問題を抱えている。解決には戦争のような大きなショックが必要だが、関税ショックはそれに次ぐ力を持つ。戦争と違い、人的被害や国土の荒廃はない。トランプ関税は、日本の停滞を打破し、問題解決の端緒となる可能性がある。柔軟に対応し、未来を切り開くべきだ。

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二大経済大国、貿易戦争激化へ 中国報復、米農産物に打撃 トランプ関税―【私の論評】米中貿易戦争の裏側:米国圧勝の理由と中国の崩壊リスクを徹底解剖 2025年4月6日


【主権の危機】中国の静かな侵略に立ち向かう豪米、日本はなぜ対策を怠るのか

  まとめ 中国は統一戦線工作部を通じ、政治・教育・メディアに合法的な形を装って浸透し、他国の世論や政策決定を内部から操ろうとしている。 オーストラリアとアメリカは、外国勢力の影響力を可視化・抑制するための法制度(外国干渉防止法、FARA)を整備し、実際に孔子学院の撤退や外国資本...