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菅直人首相が「再生エネルギー特別措置法案」を政権延命に利用し、「脱原発」解散・総選挙に打って出る可能性がささやかれている。しかし、自民党も黙ってはいない。エネルギー政策見直しのために「総合エネルギー政策特命委員会」を新たに設立。その委員長に就く山本一太参院政審会長が夕刊フジの独占インタビューに応じ、「菅首相に再生可能エネルギーを語る資格はない。『脱原発』解散は大歓迎だ」と宣戦布告した。
「再生可能な自然エネルギーを促進するという過去30年の思いがある」
菅首相はブログで、再生エネルギー政策が政治家としてのライフワークであるかのような記述をした。しかし、山本氏は「多少はあるかもしれないが、得意のペテンだ」と語り、以下の“証拠”を列挙した。
まず、最初に、菅首相が退陣表明した6月2日の民主党代議士会で言ったのは、「復興のメドがつくまで」。再生エネルギー政策には一言も触れていない。次に、再生エネルギー法案は、震災直前の3月11日午前に閣議決定したが、退陣表明するまで1度も審議入りに動いた形跡がない。また、昨年秋には、ベトナムに対し、原発のトップセールスに成功して成果を誇っていた−などだ。
本紙の調べでも、今年1月の施政方針演説では「再生エネルギーの全量買い取り制度も導入」と軽く触れただけ。東京・吉祥寺にある菅首相の自宅には太陽光パネルも風力発電機もない。
それを、原発事故で国民不安が広がるなかで、いつのまにか「長年熱心だった」という最重要法案に格上げしたのだ。
山本氏はいう。
「中長期的なエネルギー政策や経済への影響などを緻密に計算した形跡がない。電気代が値上がりするが、その幅をどうするかの調整も必要だ。役人も驚いているだろう。支持率アップや『歴史に名を残すチャンス』と場当たり的に飛びついただけ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や消費税増税と同じだ。評判が悪くなれば引っ込めるだろう。再生不可能首相が再生エネルギー政策を語る資格はない」
小泉純一郎元首相による郵政解散をマネた「脱原発」解散がささやかれているが、山本氏は「保身に関しては天才的なので、勝てると思えばやってくるだろう。被災地は置き去りだが」と、可能性を認めた。
自民党政権が原発を推進してきた経緯があるだけに、苦戦も予想されるが「小泉氏には狂気に近い信念と高い支持率があった。それに対し、危機時には支持率が上がるはずなのに菅首相の支持率は2割だし、信念のかけらもみられない。小泉純一郎にはなれない」と否定し、こう続けた。
「自民党は昨年の参院選マニフェストで『自然エネルギー20%』をうたっている。菅首相は『脱原発の民主党vs原発の自民党』という対立構図を作りたがるだろうが、そうはならない。新委員会では、これまでの原発政策を反省したうえで、現実的なエネルギー政策を作り、次期総選挙マニフェストにも反映させる。個人的には、衆院を解散して、リセットした方がいいと思っている。解散は大歓迎だ」
果たして、菅首相のソロバン勘定を、自民党が打ち破るのか。【ねたリカより】
【私の論評】菅さんには、ドラッカーのいうマネジャーの資質である"intigrity(真摯さ)"に欠けている!!
確かに菅さんは、小泉元総理のような信念はないでしょう。なにせ、小泉さんは、初代福田総理の書生をやっていた頃から、選挙のときの公約に近いことを考えていました。
小泉さんの父親は、やはり政治家ですが、他の二世議員ともまた異なった生い立ちのようです。父親が政治家とはいっても、父親は若いうちになくなったため、特に、政治基盤を親から引き継いだということはありません。こうした、
小泉元総理大臣は、福田赳夫の秘書を務め、後に総理となる福田から政治家としての薫陶を受けました。社会人生活の第一歩を浪人でスタートした小泉は、毎朝四時に起床したそうです。五時半の電車に乗って、二時間かけて世田谷区にある福田赳夫邸へと通ったそうです。福田のもとには初当選したばかりの塩川正十郎がいました。
当時のことを塩川正十郎は『週刊文春』の阿川佐和子との対談でこう語っています。「そうそう。彼は早起きで、福田さんの家の玄関で靴揃(そろ)えておったね。下足番だったの」「で代議士が帰るときモータープールで“何々先生お帰り~お車ぁ~”て運転手を呼んでたの(笑)。だから、僕は彼のホームページに“まさか総理大臣になるとは思わなかった”って書いたんです。大変な苦労をしてますよ。」、「そのとき、福田さんが“こいつは意地の強いやっちゃ。なかなかしっかりしとる。だから、大物になったら、とんでもない大物になるけど、はぐれたら処置ない奴ぜぇ”と言うたことがあるの」。
塩川氏も含めて、多くの人が語っていますが、小泉さんは、福田赳夫氏の好敵手である、田中角栄氏に対して、この頃からなみなみならぬ、敵愾心をいだいていたようで、いずれ、田中政治ともいわれる、金権政治を終わらせなければならないと語っていたそうです。そのころから、郵政改革などを含む構造改革に近いことを考えていたそうです。この敵愾心は、後に「自民党をぶっ潰していやる」という言葉に現れていたと思います。そうして、結局このことは、後に自民党が政権交代せざるをえない立場になってしまっことの要因の一つになったと思います。
私は、小泉さんの比較的若い頃(40代ころか、写真左)を知っていますが、その頃は、後に言われたライオン・ヘアーのような髪型はしておらず、極普通のおじさんという感じて、スキーが得意なようで、スキーの滑り方などを語っている姿は、こう言っては悪いですが、まさに、変人という感じで政治家にはなれても、とても、この頃総理大臣になるとは思えませんでした。
それから、小泉さんと慶応大学で同期の人も何人かは、知っていますが、どの方も、学生時代に小泉さんを知っている人はおらず、あまり目立たない学生時代を送ったようです。
この小泉さんが、あの郵政選挙で大勝できたのは、やはり、付け焼刃ではなく、若い頃からビジョンを持ち、ここぞというときに、そのビジョンを実現すべく持てる力を最大限に発揮できたからだと思います。そうして、勝つために、深謀遠慮をめぐらし、多くの有権者に分りやすい、小泉劇場型政治手法をあみ出したのだと思います。
私自身は、福田赳夫氏は、自分も総理大臣になりましたし、ご子息も総理大臣になりましたが、福田赳夫氏の薫陶を正統に引き継いだのは、小泉氏ではないかと思っています。
私自身、小泉改革は結局失敗したと思います。しかし、私自身は、小泉さんの推進した、郵政改革を含む構造改革は、決して間違いではなかった思います。ただし、順番は間違えていたと思います。バブル崩壊後、小渕、麻生内閣を例外として、すべての内閣が、緊縮財政を行ないました。小泉さんも例外ではありませんでした。結局は、緊縮財政を行ないました。
小泉構造改革は、たとえば、株式会社大学などという、現在では、ほとんど消えてなくなってしまった急進的すぎるものもありましたが、いずれ、実行すべきものも沢山ありました。世の中では、すべてが悪いようにいわれているところが、ありますが、決してそんなことはありません。ただし、バブル崩壊移行、ずっと吹かず飛ばずの状態であった、景気の回復を最初にすべきだったと思います。比較的長い任期の間で、最初の頃は、景気回復に努め、後の方で余裕ができたときに、構造改革に取り組めばベストだったと思います。であれば、郵政民営化以外のことも成就できたかもしれません。
以上のようなことをみれば、山本一太氏の「「小泉氏には狂気に近い信念と高い支持率があった。それに対し、危機時には支持率が上がるはずなのに菅首相の支持率は2割だし、信念のかけらもみられない。小泉純一郎にはなれない」という言葉も頷けます。
菅さん、若い頃は何をやってきたでしょうか?菅さんのやってきたことといえば、今や、完全に時代遅れであり、その頃から、時代錯誤的であった、左翼系市民運動家です。とても、小泉さんのように、後の政治家としての道を歩む上での、ビジョンなど形成していなかったでしょうし、そもそも、そんなことからは縁遠かったでしょう。それに、最近では、昨年の8月に代表になったときから、今まで、一体何をしてきたでしょうか?結局何一つものにならなかったではありませんか。何か、めぼしい法案でも通ったことがありますか?結局、なにもしておらず、いきあたりばったりで、自らの政治生命を延長させたことだけでした。
私は、このブログで以前、菅さんに関して、以下のように評しました。
菅さんというと、マスコミも「空き缶」など揶揄していますが、私は、菅さんは、確かに政治、経済、社会、安全保障、そうして現在脚光を浴びているエネルギー政策など、およそ国を統治する上で重要な事に関する知識という点では確かに劣っていますが、こと権力掌握ということにかけては、左翼政治家では最高峰だと思っています。この記事ては、以下のようなことも掲載しています。
自分の権力のためだけに、様々なことを利用する政治家というものは、どんなに権力維持能力にたけていても、何かを間違えています。そうです。本来逆であるべきものです。自分の理想、しかも、国民を中心に考えた理想のために、粉骨砕身し、それを実現するために権力を得るために努力するというのが正しい姿です。
残念ながら、どんなに正しい理想や、意見などもっていても、権力がなければ、子供の説く世界平和の理想と何らかわりが無くなってしまいます。ドラッカーも語っているように、「良き意図」だけでは何もできないのです。だから、権力を得ようと努力するのは当然のことです。
菅さんはそうではないようです。もともと、権力志向であり、権力そのものが目的になっています。だから、利用できるものは、民主党でも、自民党でも、マスコミでも外国でも、国民でも、その時々で利用できるものは何でも利用することでしょう。
私は、政治家は、どうしても、権力闘争を勝ち抜かなければならないと思います。権力闘争が嫌だとか、出来ないというのであれば、最初から政治家になってはいけないと思います。しかし、菅さん、いかに、権力欲が強くとも、やはり、権力そのものが目的となっていては、人間大きな力は出せないと思います。やはり、小泉さんのように長い間に培われてきた信念というものがあり、その信念を正しいと信じることができなければ、大きなことはできないです。
かつて、ドラッカー氏は、マネジャーの資質について以下のように語っていました。
ちなみに、この「真摯さ」については、マネジメントを読まれたかたは無論のこと、「もしドラ」を読まれた方々もご存知でしょう。
そういうところから、考えると、菅さん、最初思われていたよりは、長い間政権の座についておられるでしょうが、そんなに長いことはないですね。それに、『真摯さ』のない総理大臣に長居されても、困りものです。やはり、自ら、決断して辞任すべきと思います。
Tweetかつて、ドラッカー氏は、マネジャーの資質について以下のように語っていました。
真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。真摯さはとってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。
無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は決して許されない。知識もさしてなく、仕事ぶりもお粗末であって判断力や行動力が欠如していても、マネジャーとして無害なことがある。
しかし、いかに知識があり聡明であって上手に仕事をこなしても、真摯さに欠けていては組織を破壊する。組織にとってもっとも重要な資源である人間を破壊する。組織の精神を損ない、業績を低下させる。私は、以前このブログで、このマネジャーの資質に使われている言葉の真摯さについて、掲載しました。この「真摯」という言葉、原書のほうでは"intigrity"となっています。この言葉の意味などは、当該のブログ記事を読んでいただくものとして、菅さんには、この"intigrity"が完璧に欠けているといわざるを得ません。これに比較して、小泉さんには、この資質があったと思います。
ちなみに、この「真摯さ」については、マネジメントを読まれたかたは無論のこと、「もしドラ」を読まれた方々もご存知でしょう。
そういうところから、考えると、菅さん、最初思われていたよりは、長い間政権の座についておられるでしょうが、そんなに長いことはないですね。それに、『真摯さ』のない総理大臣に長居されても、困りものです。やはり、自ら、決断して辞任すべきと思います。
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