まとめ
- トランプ前大統領はヒスパニック、若者、非大卒者からの支持を得て、得票数を大幅に増加させた。
- ヒスパニックの支持率は前回の32%から46%に上昇し、共和党候補として1970年代以降で最も高い数字となった。
- 経済問題が選挙の主要な争点となり、トランプ氏の減税政策や労働者保護の約束が支持を集めた。
- 非大卒者の間での支持も増え、得票率は約56%に達した。
- 大都市圏でも票を伸ばし、特にロングアイランドで52%の支持を得た。
勝利確定直後のトランプ氏 |
出口調査によれば、ヒスパニックの支持は男性で55%、女性で38%と前回よりも大幅に増加している。また、特に18歳から29歳の若者の支持率も43%に達し、これは前回選挙から7ポイントの上昇を示している。経済問題が主要な争点となり、多くのヒスパニック有権者がトランプ氏の強硬な反移民政策を支持していることが明らかになった。調査によると、不法移民の送還を支持する意見も多く見られる。
さらに、トランプ氏は非大卒者の間でも支持を広げており、全体の得票率は約56%に達している。大卒者の支持はハリス氏が55%を獲得したが、この比率は前回選挙と変わらない。一方で、トランプ氏は大都市圏でも票を伸ばしており、特にロングアイランドでは52%の支持を得ている。全体として、トランプ氏は幅広い層からの支持を集め、アメリカの政治における影響力を再確認する結果となった。
トランプ氏の今回の成功は、彼が労働者階級や非白人の有権者に対するアプローチを変え、経済的な問題を重視したことによるものだ。多くの有権者が経済的な不安を抱える中、彼の政策が響いたと考えられている。このような状況は、今後の選挙戦においても重要な要素となるだろう。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。
まとめ
“トランプ氏圧勝“の可能性「内気なトランプ支持者」を掘り起こすと激戦州で優位に…ハリス陣営はパニック!?―【私の論評】誰に投票するのか、自らの目で、耳で、そして頭で考え抜け 2024年10月22日
トランプ氏 “次のテレビ討論会応じない” ハリス氏は反論―【私の論評】トランプの大統領選戦略:直接対決を避ける巧妙な計算されつくした手法
2024年9月13日
トランプ氏有罪で共和党が連帯した―【私の論評】EU選挙で右派躍進と保守派の反乱:リベラル改革の弊害が浮き彫りに 2024年6月11日
もしトランプ政権になれば その2 NATO離脱ではない―【私の論評】トランプ氏のNATO離脱示唆はメディアの印象操作?アメリカ第一政策研究所の真の見解 2024年3月22日
米最高裁がトランプ氏出馬認める決定 コロラド予備選、トランプ氏「大きな勝利」―【私の論評】トランプ氏の政策シンクタンク、アメリカ第一政策研究所(AFPI)に注目せよ 2024年3月5日
【私の論評】トランプ氏と安倍政権の成功に見る「経済重視」の戦略
- ヒスパニックや若者、非大卒者は、トランプ氏の移民政策や経済政策に共鳴し、大統領選で彼を支持した。特にヒスパニック系は、経済的に不安定な人が多い。
- 経済が悪化すると新卒者や非大卒者が特に影響を受け、失業率が急上昇したが、トランプ氏は製造業の復活や雇用創出を強調した。結局トランプは選挙で経済を良くするという王道を歩んだのだ。
- この王道は、世界共通であり、日本では安倍総理はアベノミックスを通じて経済を改善し、コロナ対策として大規模な補正予算を組んだことが、失業率を抑える要因となり、憲政史上最長の政権を生み出す原動力となった。
- 安倍・菅政権の成功した経済政策が日本であまり称賛されていない一方で、米国では同様の政策が高く評価される可能性がある。
- 次の総理には、経済が政治に与える影響を理解し、トランプ氏や安倍政権の成功を踏まえた政策を推進してもらいたいものだ。
トランプ氏がヒスパニックや若者、非大卒者から支持を得た理由と、それが大統領選に与えた影響について考えてみよう。2020年の国勢調査によると、ヒスパニック系人口は約6210万人で、2010年から約23%も増加している。この増加率は他の人種や民族グループと比較しても高い。トランプ氏の移民政策は、特にこの人口層に影響を与えた。非合法移民には厳しい態度を示す一方、合法移民には成功を促す姿勢を見せたことで、彼らの信頼を勝ち取った。経済が厳しい中で、彼の訴えが共鳴したのも納得できる。
次に、若者の状況を見てみよう。経済が悪化すると、新卒や若者は特に大きな影響を受ける。2008年のリーマンショック後、若者の失業率は急激に上昇した。2020年のCOVID-19パンデミックでは、若者の失業率が約25%に達し、経済の不安定さが彼らの生計を脅かしている。アメリカでは新卒者が厳しい競争にさらされている一方で、日本では新卒一括採用が一般的で、企業も若者を育成する文化が根付いている。
非大卒者についても同様だ。彼らの失業率は2020年に約20%に達し、大卒者の2倍以上となった。これは、非大卒者が多くを占める経済的に不安定な職業に従事しているためである。さらに、ITや医療、製造業での技能や職業訓練の重要性が高まっており、2021年には職業訓練プログラムの受講者数も増加した。ヒスパニック系やアフリカ系アメリカ人の非大卒者は教育の格差にも直面しており、経済的な安定を求めてトランプ氏の政策に期待を寄せている。
トランプ氏は、こうした経済的な不安を抱える層に対し、非常に直接的なメッセージを発信した。製造業の復活や雇用の創出を強調し、「アメリカファースト」というスローガンは、経済的不安を抱える人々の心に響いた。彼の税制改革や規制緩和は、企業の投資を促進し、雇用機会を生み出すことを目指した。その結果、ヒスパニック系や非大卒者は直接的な経済的利益を感じ、自らの支持層を拡大することに成功した。2020年の選挙では、ヒスパニック系有権者のトランプ氏への投票割合が過去の選挙に比べて増加したことが、その証明である。
要するに、トランプ氏の政策は、直接的な経済的利益を求める層に受け入れられた。リベラルな理想論ではなく、現実的な経済政策が求められている中で、トランプ氏はその要求に応えた存在だったと言える。彼の訴えは、厳しい経済環境に直面する人々の心をつかみ、支持を広げることに成功したのだ。
結局のところ、トランプ氏は選挙の王道を歩んだと言える。経済が悪化したり、悪化していなくても不利益を被っている人々が多いときに、理想論や理念だけを語っても多くの人には響かない。結局は経済を良くすることを語り、それを実行すると見なされる候補者が支持されるのである。それはトランプ氏だけが例外ではない。世界中どの国でもそうであり、日本も例外ではない。
選挙の王道を歩んだトランプ氏 AI生成画像 |
アベノミックスで安倍総理は、まさに経済を良くすることを宣言し、実際に経済を良くしてみせた。二度にわたって消費税の増税を延期したが、結局は在任中に二度増税せざるを得なかった。それでも金融緩和政策は継続され、失業率は劇的に下がった。さらに、コロナ対策として安倍政権は60兆円の補正予算を組み、その後継の菅政権でも40兆円の補正予算を組んだ。両政権を合わせると100兆円であり、これは当時の需給ギャップに相当する額で、世界最大規模である。そして、この財源は政治決断により増税ではなく、政府が国債を発行し、日銀がそれを買い取る形で賄われたのだ。
これにより、米国では2020年のCOVID-19パンデミックで若者の失業率が約25%に達したが、日本ではそのような事態は起きず、コロナ禍においても失業率が上がることはなかった。これは、日本の財政政策の金字塔ともいえる大偉業であるが、日本ではなぜかほとんど称賛されない。しかし、米国で仮にトランプやバイデンが同様の政策を実行し、コロナ禍の期間中に失業率を上げないことに成功していたならば、党派を超えて大絶賛されただろう。
安倍首相(当時) |
仮にバイデンだけがその政策を実行し、トランプがそうでなかった場合、今頃ハリスではなくバイデン大統領が再選されていたかもしれない。安倍・菅政権のコロナ対策は、それほどのインパクトがあるにもかかわらず、日本では顧みられない。現政権もそれを歯牙にもかけないからこそ、安倍総理がなぜ憲政史上最長の政権を築けたかも理解できない。
次の総理には、米国の大統領選でトランプ氏の勝利の鍵が経済にあること、そして日本でもなぜ憲政史上最長の政権ができたのかの鍵がまさに経済にあることを理解する人物になってもらいたいものだ。
以下の情報を参考にしました。
[1] NHK - 灼熱アリゾナ 反トランプ共和党員とヒスパニック系の行方 (https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241103/k10014626561000.html)
[2] 熊本日日新聞社 - 性別、学歴で投票分かれる 男性54%がトランプ氏(共同通信) (https://kumanichi.com/articles/1599854)
[3] ロイター - 米大統領選、ヒスパニック男性と白人女性の支持に異変 世論調査 (https://jp.reuters.com/world/us/OMP7ULBY2ZNZVO5BI2667LZKJE-2024-10-25/)
[4] 朝日新聞デジタル - トランプ氏の言動がヒスパニックに響いたわけは 「国境の壁」も ... (https://www.asahi.com/articles/ASQBN1VK6QBMUHBI00F.html)
【関連記事】
トランプ氏 “次のテレビ討論会応じない” ハリス氏は反論―【私の論評】トランプの大統領選戦略:直接対決を避ける巧妙な計算されつくした手法
2024年9月13日
トランプ氏有罪で共和党が連帯した―【私の論評】EU選挙で右派躍進と保守派の反乱:リベラル改革の弊害が浮き彫りに 2024年6月11日
もしトランプ政権になれば その2 NATO離脱ではない―【私の論評】トランプ氏のNATO離脱示唆はメディアの印象操作?アメリカ第一政策研究所の真の見解 2024年3月22日
米最高裁がトランプ氏出馬認める決定 コロラド予備選、トランプ氏「大きな勝利」―【私の論評】トランプ氏の政策シンクタンク、アメリカ第一政策研究所(AFPI)に注目せよ 2024年3月5日
0 件のコメント:
コメントを投稿