2024年11月28日木曜日

米海軍がグアムに初のバージニア級原潜を派遣、印太地域情勢に対応―【私の論評】日本メディアが報じない米ヴァージニア級原潜の重要性と南シナ海における米軍の戦略

米海軍がグアムに初のバージニア級原潜を派遣、印太地域情勢に対応

まとめ
  • バージニア級攻撃型原子力潜水艦「ミネソタ」がグアムに到着し、地域の平和と繁栄を維持するための戦略を支援する。
  • ミネソタは140人の乗組員を有し、対潜水艦作戦や情報収集など多様な任務を担う次世代攻撃型潜水艦である。
26日、グアム島に到着したバージニア級攻撃型原子力潜水艦「ミネソタ(USS Minnesota)

アメリカ海軍が発表したところによりますと、バージニア級攻撃型原子力潜水艦「ミネソタ(USS Minnesota)が26日、グアム島に到着しました。すでにグアムに配備されているロサンゼルス級原子力潜水艦4隻に加わり、自由で開かれたインド太平洋と地域の平和、繁栄を維持するための戦略を最前線で支援するということです。

アメリカ海軍はニュースリリースで、ミネソタには140人の乗組員が乗船、任務は対潜水艦、戦艦作戦、打撃戦、情報収集、監視、偵察など多岐にわたるアメリカ海軍の次世代攻撃型潜水艦である。ロサンゼルス級潜水艦の退役後は後継艦として、その役割を引き継ぐと説明しています。

【私の論評】日本メディアが報じない米ヴァージニア級原潜の重要性と南シナ海における米軍の戦略

まとめ
  • 日本国内では、インド・太平洋地域の重要な安全保障ニュースがほとんど報道されていない。
  • ヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦「ミネソタ」のグアム派遣により、グアムには合計5隻の潜水艦体制が整った。
  • ヴァージニア級原潜は米海軍の戦略的な抑止力を担い、最新のステルス技術や攻撃能力を備えている。
  • 米海軍はヴァージニア級の配備を通じて国際的な影響力を強化し、特にインド太平洋地域での安全保障を強化している。
  • 日本のメディアは重要な情報を報道せず、正しい情報を得て国際情勢を理解する必要がある。

インド太平洋地域

ヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦「ミネソタ」のグアム派遣により、グアムには合計5隻の潜水艦体制が整った。

ヴァージニア級原潜は米海軍の戦略的な抑止力を担い、最新のステルス技術や攻撃能力を備えている。米海軍はヴァージニア級の配備を通じて国際的な影響力を強化し、特にインド太平洋地域での安全保障を強化している。

日本国内では、このニュースはほとんど報道されていない。上の記事のソースは、台湾メディアによるものであるが、インド・太平洋地域の安全保障にとって重大な内容であり、見逃してはならない。

今回のヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦「ミネソタ」のグアム派遣により、グアムにはロサンゼルス級原子力潜水艦4隻とヴァージニア級1隻を合わせて、合計5隻の潜水艦体制が整った。

ヴァージニア級攻撃型原潜は、米海軍において戦略的な抑止力を担っており、特に対潜水艦戦や地上攻撃能力を持つため、敵国に対して強いメッセージを発信し、地域の安定を保つ役割を果たしている。

この潜水艦は最新のステルス技術を備えており、敵に発見されにくい設計になっている。その特性により、潜水艦は安全に作戦を遂行し、敵の防御を突破しやすくなる。また、最大で12発のトマホーク巡航ミサイルを搭載でき、地上目標への精密攻撃が可能である。

さらに、4基の魚雷発射管を装備し、対潜水艦戦や対艦攻撃においても高い能力を発揮する。これにより、ヴァージニア級原潜は現代の多様な戦闘シナリオに対応する能力を持ち、原子力推進により長期間の潜水任務が可能で、補給なしで数ヶ月にわたる作戦を行うことができる。

米海軍は、ヴァージニア級原潜の配備を通じて国際的な影響力を強化し、同盟国との連携を促進している。特にインド太平洋地域においては、安全保障の枠組みを強化する要素となっている。

11月21日のこのブログでは、南シナ海の現状について以下のように述べた

ルトワック氏
中国の南シナ海の軍事基地について、米国の戦略家ルトワック氏は2018年の産経新聞のインタビューで衝撃的な発言をした。彼は、中国が南シナ海を軍事拠点化する動きに対し、「航行の自由」作戦によって「中国による主権の主張は全面否定された。 中国は面目をつぶされた」と強調した。その上で、彼は中国の軍事拠点を「無防備な前哨基地にすぎず、軍事衝突になれば5分で吹き飛ばせる。象徴的価値しかない」と断言した。この発言は、現在の米軍の南シナ海における強化と相まって、ますます現実味を帯びている。
米軍は、南シナ海での優位性を保つため、これまでも攻撃型原潜をグアムに配備したり、P-8哨戒機を配備するなどして、南シナ海での優位性を継続してきた。今回のヴァージニア級攻撃型原潜の配置もこの一環とみられる。

昨年、米海軍はヴァージニア級原子力潜水艦の21隻目となる「ハイマン・G・リッコーヴァー」を2023年10月14日に就役させた。この潜水艦は弾道ミサイルを搭載しない攻撃型(SSN)に分類され、地域紛争での対艦・対地攻撃や特殊部隊の運搬といった多様な任務に用いることが想定されている。米海軍はこの艦種を最も力を入れて建造している。

ヴァージニア級の建造は2000年から始まり、魚雷発射管のほかに巡航ミサイル「トマホーク」のVLS(垂直発射機)モジュールも備えている。最新型のブロックVのヴァージニア級では艦体が延長され、発射モジュールが40基に増加しており、米海軍は最終的に34隻を就役させる予定である。

さらに、ヴァージニア級はオーストラリアへの輸出が決定され、これは米国が原潜を輸出する初の事例となる。この輸出は米、英、豪のAUKUS同盟の一環であり、豪海軍が攻撃型原潜の運用に習熟する目的も兼ねている。将来的には、英米豪がインド太平洋海域の防衛に当たることが期待されている。

オーストラリアが自国の原子力潜水艦を建造するまでの間の措置として、豪は3隻のヴァージニア級攻撃型原潜を取得する予定である。

米海軍はヴァージニア級の先進的な兵装開発を進めており、長距離極超音速兵器「ダーク・イーグル」を2028年にブロックVに搭載する計画である。また、トマホークには核弾頭タイプもあり、ヴァージニア級が将来的な核シェアリングの要素となる可能性も否定できない。豪が米国と核シェアリングを行う可能性や、日本における議論も再燃する可能性がある。

核シェアリングについて提起した安倍元総理

強力な敵基地攻撃能力を持つヴァージニア級は、米海軍の潜水艦戦力の要であるだけでなく、各国による核シェアリングの可能性をも秘めている。無論これらはあくまで可能性であり、実際の展開は多くの外交的、軍事的、法的要因に依存する。ただし、米国はそれを表立って公表するようなことはしていないが、ヴァージニア級がそのような可能性を秘めていることは否定できない。

このように、ヴァージニア級原潜は米国の軍事戦略においてインド太平洋地域の中心的な役割を果たしており、今後の国際情勢においてもその重要性は一層高まるだろう。米国は、これらの潜水艦を通じてインド太平洋地域の平和と安定に寄与することが期待されている。

しかし、ヴァージニア級攻撃型原潜のグァムへの新たな配置は、現状でも中国にとって不利な重要な動きであるが、日本のメディアではほとんど報道されていない。ましてや、その潜在可能性についてはほとんど報道されない。南シナ海において米軍は優位性を保つためにさまざまな取り組みを行い、これからもその活動は継続されるとみられる。しかし、日本のメディアはこの重要な情報を報道の自由として公表しないようだ。

このようなメディアの報道に惑わされることなく、私たちは正しい情報を得て、正確な見方をする必要がある。保守派として私は、真実を見極め、国際情勢を正しく理解することこそが、現在の日本にとって重要であることを強く訴えたい。

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