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2023年11月14日火曜日

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること―【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!

北大で発見 幻の(?)ロシア貿易統計集を読んでわかること

服部倫卓 (北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授)

まとめ
  • ウクライナ侵攻後、ロシアの貿易統計は非公開となったが、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの図書館で2022年版の貿易統計集が発見された。
  • この統計集によると、ロシアの貿易は、欧米日などの「非友好国」から、中国やインドなどの「友好国」に大きくシフトした。
  • 特に石油輸出では、中国とインドが急増し、2023年第1四半期には、ロシアの原油輸出の73.3%が中印向けとなった。
  • 半導体輸入については、先進国からの輸入が減少したものの、中国からの輸入は減少せず、ロシアの半導体不足は解消されていない。
  • ロシアの対外貿易では、中国が圧倒的なシェアを占めており、2023年には、露中貿易が往復で2200億ドルに達する見込みである。

 ウクライナ侵攻後、ロシアの貿易統計は非公開となったが、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの図書館で、2022年の貿易統計集が発見された。

 この統計集によると、ロシアの貿易は、欧米日などの「非友好国」から、中国やインドなどの「友好国」に大きくシフトした。

 特に石油輸出では、中国とインドが急増し、2023年第1四半期には、ロシアの原油輸出の73.3%が中印向けとなった。

また、半導体輸入については、先進国からの輸入が減少したものの、中国からの輸入は減少しなかった。

さらに、ロシアの貿易相手国では、中国が圧倒的なシェアを占めており、2023年には、露中貿易が往復2200億ドルに達する見込みである。

この結果、ロシアは、中国への依存度を高め、中国のジュニアパートナー化まっしぐらと言える状況となった。

なお、ロシアは、貿易統計を非公開とした理由について、国際的な制裁によるダメージを避けるためと説明している。

しかし、ロシアが貿易統計を隠したことによって、かえって、ロシアの経済状況の悪化を世界に知らしめることとなった。

【私の論評】ロシア、中国のジュニア・パートナー化は避けられない?ウクライナ戦争の行方と世界秩序の再編(゚д゚)!

まとめ
  • 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターは、旧ソ連・東欧地域の総合的・学際的研究を行う国内唯一の研究所である。
  • センターは、ロシアは中国のジュニア・パートナーになりつつあることを指摘。ウクライナ戦争でロシア最終的に敗北することになるだろう。
  • ロシアの敗北は、プーチン政権の存続にも影響を与える可能性がある。
  • ロシアの敗北は、中国の台頭をさらに加速させ、ユーラシア大陸の安全保障に大きな影響を及ぼすだろう。
  • 理想的な結末は、プーチンが失脚し、ロシアが西側諸国との関係を回復することである。


北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターは、旧ソ連・東欧地域の総合的・学際的研究を行う研究所です。国内唯一のセンターで、専任研究員11名、客員研究員20名、研究生20名が在籍しています。

研究テーマは、政治、経済、社会、文化、歴史など多岐にわたります。地域比較研究にも力を入れています。

研究成果は、学術論文や著書、報告書などの形で発表されており、国内外の学界で高い評価を受けています。政府や企業などの政策立案にも活用されており、旧ソ連・東欧地域の総合的な研究で国内外で高い評価を受けています。

私は、上の記事のロシアが中国のジュニア・パートナーになりつつあるという評価に賛成です。貿易統計がそれを裏付けています。ロシアが石油輸出を中国に依存していることは特に問題です。そのことについては、前から言う人もいましたが、今回それが数字で明確に確認されたといえます。

もし中国がロシアの石油の輸入を減らすことになれば、ロシア経済に壊滅的な打撃を与えるでしょう。そうして、現状ではそのようなことはないでしょうが、その可能性は完全に否定できません。そうしてこのような脅威があるからこそ、ロシアが中国のジュニア・パートナー化はますます避けられなくなるでしょう。半導体に関しても同じことがいえると思います。 ウクライナ戦争でロシアが勝つと信じている人は、欧米にはみられません。ほとんどの専門家は、ロシアはいずれ敗北すると考えていますが、それがいつになるかはわからないです。ただ、長期的には敗北するだろうと見る人が大勢を占めているように見えます。 日本では、ロシアのプロパガンダに影響されてロシアが勝つと信じている人もいるようですが、現実にはロシアは戦争に負けています。ロシアは多くの犠牲者を出し、経済はボロボロです。


米国、欧州、日本はウクライナに軍事・財政援助を行っています。この援助は、ウクライナが自国を守り、ロシア軍を押し返すのに役立っています。 ただロシアが核保有国であることを忘れるべきではありません。戦争が続けば核がエスカレートする危険性があるということです。しかし私は、ロシアが核兵器を使用するよりも、通常兵器で敗北する可能性の方が高いと考えます。 結論として、ロシアは中国のジュニア・パートナーになりつつあり、最終的にはウクライナでの戦争に敗北することになるでしょう。

そうして、ロシアの無謀なウクライナ侵攻が敗北に終われば、プーチン政権にどれほどのダメージを与えるかわからないです。モスクワの街頭での抗議行動から、明白な政権交代まで、何が起こるかわからないです。

ロシアはすでに侵略と人権侵害で西側諸国から孤立しています。そして中国は、世界的な影響力を拡大するために、ロシアの弱みにつけ込もうとしているようです。ウクライナで敗れたロシアが中国への依存を強めれば、中国がユーラシア大陸を支配し、海外における日米とその同盟国の利益を脅かすことになりかねないです。

これは保守派にとっては耐え難いことです。理想的な結末は、プーチンが失脚し、その後、西側諸国との関係を回復し、中国の手先になることを避ける新たな指導者が誕生することです。

自由で民主的なロシアが西側諸国の仲間入りをする。これは容易なことではないでしょうが、自由と民主主義はこれまでも長い困難を乗り越えてきました。さらに、中国経済はかつてないほど疲弊しています。強さと勇気と信念があれば、米国とその同盟国はロシアを共産主義中国の牙城から引き離すことができでしょう。

ウクライナ戦争の行方により、中国陣営と自由世界がロシアの引き抜き合戦を行い、その結果により世界秩序の再編が起こることなるでしょう。

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2015年5月23日土曜日

アメリカとの対立も辞さない習近平 「米中冷戦時代」の到来か―【私の論評】今度はアジアに残った冷戦構造が鮮明になり、やがて崩壊する(゚д゚)!

2015年05月22日(Fri)  石 平 (中国問題・日中問題評論家)

中国の野望はどうなるのか? 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
先月末から今月中旬までの日米中露の4カ国による一連の外交上の動きは、アジア太平洋地域における「新しい冷戦時代」の幕開けを予感させるものとなった。

まず注目すべきなのは、先月26日からの安倍晋三首相の米国訪問である。この訪問において、自衛隊と米軍との軍事連携の全面強化を意味するガイドラインの歴史的再改定が実現され、日米主導のアジア太平洋経済圏構築を目指すTPPの早期締結の合意がなされた。政治・経済・軍事の多方面における日米一体化はこれで一段と進むこととなろう。

オバマ大統領の安倍首相に対する歓待も、日米の親密ぶりを強く印象付けた。そして5月1日掲載の拙稿で指摘しているように、アメリカとの歴史的和解と未来志向を強く訴えた安倍首相の米国議会演説は、アメリカの議員たちの心を強く打った。この一連の外交日程を通じて、まさに安倍演説の訴えた通り、両国関係は未来に向けた「希望の同盟関係」の佳境に入った。

もちろんその際、日米同盟の強化に尽力した両国首脳の視線の先にあるのは、太平洋の向こうの中国という国である。

「アメリカとの対立も辞さない」
という中国のメッセージ

米中冷戦勃発か?

2012年11月の発足以来、習政権は鄧小平時代以来の「韬光養晦戦略」(能在る鷹は爪隠す)を放棄して、アジアにおける中国の覇権樹立を目指して本格的に動き出した。13年11月の防空識別圏設定はその第一歩であったが、それ以来、南シナ海の島々での埋め立てや軍事基地の建設を着々と進めるなど、中国はアジアの平和と秩序を根底から脅かすような冒険的行動を次から次へと起こしてきた。

その一方、習主席はアメリカに対して、「太平洋は広いから米中両国を十分に収容できる」という趣旨のセリフを盛んに繰り返している。上述の「アジア新安全観」と照らし合わせてみると、中国の戦略的考えは明々白々である。要するに、太平洋を東側と西側にわけてその東側をアメリカの勢力範囲として容認する一方、太平洋の西側、すなわちアジア地域の南シナ海や東シナ海からアメリカの軍事力を閉め出し、中国の支配地域にする考えだ。

つまり、「太平洋における両国の覇権の棲み分けによって中国はアメリカと共存共栄できる用意がある」というのが、習主席がアメリカに持ちかけた「太平洋は広いから」という言葉の真意であるが、逆に、もしアメリカがアジア地域における中国の覇権を容認してくれなければ、中国はアメリカとの対立も辞さない、というのがこのセリフに隠されているもう一つのメッセージである。習近平は明確に、アジア太平洋地域における覇権を中国に明け渡すよう迫ったわけである。

アジア太平洋地域におけるアメリカのヘゲモニーは、世界大国としてのアメリカの国際的地位の最後の砦であり、死守しなければならない最後の一線である。近代以降の歴史において、まさにそれを守るがために、太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争という3つの対外戦争を戦い、夥しい若者たちの血が流れた。そうやって確保してきたアジア覇権を、今さら中国に易々と明け渡すわけにはいかない。


実際、オバマ政権になってからアメリカが「アジアへの回帰」を唱え始めたのも、2020年までに米海軍と空軍力の60%をアジア地域に配備する計画を立てたのも、まさに中国に対抗してこの地域におけるアメリカのヘゲモニーを守るためである。

経済面でもアジア支配の確立を目指す

さらに、習政権は経済面での「アメリカ追い出し作戦」に取りかかっている。2015年の春から、アメリカにとって重要な国であるイギリスを含めた57カ国を巻き込んでアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の構想を一気に展開し始めた。これは明らかに、日米主導のアジア経済秩序を打ち壊して中国によるアジアの経済支配を確立するための戦略であるが、アメリカの経済的ヘゲモニーにまで触手を伸ばすことによって、習政権は米国との対立をいっそう深めたと言える。

ここまで追い詰められ、流石にオバマ政権は反転攻勢に出た。そうしなければ、アジア太平洋地域におけるアメリカのヘゲモニーは完全に崩壊してしまうからだ

そして、4月下旬の日米首脳会談を受け、日本が先頭に立って中国のAIIB構想に対する対抗の措置を次から次へと打ち出した。

日本は、迷うことはない


その数日後、米軍は南シナ海での中国の軍事的拡張に対し、海軍の航空機と艦船を使っての具体的な対抗措置を検討し始めたことが判明した。アメリカはようやく本気になってきたようである。このままでは、南シナ海での米中軍事対立は目の前の現実となる公算である。

こうした中で、ケリー米国務長官は今月16日から訪中し、南シナ海での盲動を中止するよう中国指導部に強く求めた。それに対し、中国の王毅外相は「中国の決意は強固で揺らぎないものだ」ときっぱりと拒否した。中国はもはやアメリカとの対立を隠そうともしない。

そして21日、米国防総省のウォーレン報道部長は記者会見の中で、中国が岩礁埋め立てを進める南シナ海で航行の自由を確保するため、中国が人工島の「領海」と主張する12カイリ(約22キロ)内に米軍の航空機や艦船を進入させるのが「次の段階」となると明言した。

今月20日、アメリカのCNNテレビが、南シナ海で人工島の建設を進める中国に対して偵察飛行を行うアメリカ軍機に中国海軍が8回も警告を発したという生々しい映像を放映したが、それはまさに、来るべき「米中冷戦」を象徴するような場面であると言えよう。

ベルリンの壁の崩壊をもってかつての冷戦時代が終焉してから26年、世界は再び、新しい冷戦時代に入ろうとしている。以前の冷戦構造の一方の主役はすでに消滅した旧ソ連であったが、今やそれに取って代わって、中国がその主役を買って出たのだ。

米中の対立構造がより鮮明になれば、日本にとってはむしろ分かりやすい状況である。戦後の日本はまさに冷戦構造の中で長い平和と繁栄を享受してきた歴史からすれば、「新しい冷戦」の始まりは別に悪いことでもない。その中で日本は、政治・経済・軍事などの多方面において、同じ価値観を持つ同盟国のアメリカと徹頭徹尾に連携して、アジア太平洋地域の既成秩序を守り抜けばそれで良い。ここまできたら、迷うことはもはや何もないのである。

この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】今度はアジアに残った冷戦構造が鮮明になり、やがて崩壊する(゚д゚)!

石平氏は、戦後の冷戦体制は、ソ連が崩壊した後には消滅したという考えたのようです。しかし、私はそうは思ってはいませんでした。確かに、ソ連が崩壊した後、東欧諸国は民主化や、非共産化をすすめ、冷戦体制は消滅し今日に至っています。

最近は、ウクライナ問題などか持ち上がり、冷戦体制に戻ると指摘する評論家もいましたが、それは実現しないことでしょう。なぜなら、今やロシアは小国に過ぎないからです。今のロシアは、最盛期のソ連と比較すると比べ物にならないほど国力が衰退してしまいました。ただし、旧ソ連から引き継いだ核兵器が脅威であることは今も変わりはありません。

今や、GDPは日本の1\5程度で、人口も日本より2000万人ほど多い、1億4000万に過ぎません。軍事力も、旧ソ連の核兵器を受け継いでいるという強み以外は何もありません。軍事的には、アメリカなどの足元にも及ばない脆弱なものになってしまいました。おそらく、今のロシアはまともに戦争をしたらEUにも勝つことはできないでしょう。

だから、冷戦体制は消滅したというのは、ある面では正しいです。ただし、アジアに限っては冷戦構造は崩れませんでした。それについては、このブログでも以前紹介したことがあるので、そのURLを以下に紹介します。
中国が北朝鮮を「我が国の省」として扱う可能性を示唆―米紙―【私の論評】そう簡単に事は済むのか?!
銃殺刑に処せられた張成沢(チャン・ソンテク)氏

この記事は2011年11月のものであり、まだ張成沢(チャン・ソンテク)氏が銃殺刑に処せられる前のものです。

この記事では、当時の北朝鮮の将来がどうなるかを掲載するとともに、冷戦構造がアジアでは、継続されていることを掲載しました。

私の当時の北朝鮮の将来のみたては、しばらく実質集団指導体制が続き、その後本格的な権力抗争が発生するというものでした。

張成沢氏が、2013年12月12日に処刑され、最近では今年4月30日、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(国防相)が処刑されたということで、私の見立てはあたっていたと思います。

4月末に突然、処刑された玄永哲氏
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事より、アジアにおいては冷戦構造が終了していなかったという部分のみを以下にコピペさせていただきます。

わたしは、しばらく実質集団指導体制が続き、その後本格的な権力抗争が発生すると思います。おそらく、今から5年後くらいから、権力抗争が激しくなると思います。なぜ、そんなことがいえるかといえば、今のところ、どれも傑出した存在がないからです。 
いずれにせよ、東欧では終わった冷戦構造が、アジアではそのまま継続しています。なぜ、残ったかといえば、当事者であるはずの日本が、これに対して何もしてこなかったことにも要因があったと思います。 
もうそろそろ、日本も、こうした世界の流れに翻弄されだけではなく、自ら進むべき道を選べるようにすべき時期に来ているのではないでしょうか?そうでなけば、拉致問題はいつまでたっても解消できないでしょうし、これからも、世界の流れに翻弄されるだけの存在となることでしよう。 
世界特にアジアの国々は、過去のこの地域における日本の貢献を忘れてはならないと思います。日本が日露戦争に勝利したからこそ、朝鮮半島はロシアの傘下に収まることもありませんでした。その後も日本が中国にとどまったことにより、ロシアの浸食はありませんでした。 
もし、日本が、極東の一小国であり続けていたなら、朝鮮半島ならび、中国の満州いや、もっと広い中国の版図の一部もロシア領になっていた可能性があります。 
いやそれどころか、今頃日本などは存在せず、当時のソ連の傘下に収まっており、私たちは、公用語としてロシア語を日々語っていたかもしれません。いや、最悪は、関東以北がロシア領、以南が日本というように、今の朝鮮半島のように二分されていたかもしれません。そんなことになっていれば、今頃、このような、冷戦構造がなかったか、あるいはもっと酷い状況になっていたかもしれません。
ソ連の消滅によって、東欧諸国では確かに冷戦構造は消滅したのですが、アジアは何も変わりませんでした。中国と北朝鮮の体制は本質的に何も変わりませんでした。そうして、それは、日本がアジアにおいて何もしてこなかったことにも原因があります。

何もしなかったというより、何もできなかったということが正しいかもしれません。世界の動きに合わせて、日本が何もできなかったがために、そうして、特にオバマが大統領になってからは、中国に対して厳しい対処をとらなかったため、中国の野望を許してしまい、今日のブログ冒頭の記事のような事態を招いてしまったという事になると思います。

東欧では、確かに冷戦構造は終焉したのですが、アジアは何も変わらず温存されてしまったにもかかわらず、これに対して過去の政権は何もしてきませんでした。

まともに取り組もうとしたのは、安部総理のみです。

しかし、日本の野党などこのことに全く無頓着です。特に、安全保障法制をめぐる野党の質問は酷いものばかりです。これは、危機管理に関わることであるにもかかわらず、延々と平時の手続き論ばかりしているという有り様です。

東日本大震災における民主党の危機管理は最悪でした。しかし、彼らは未だ何も反省してないようです。現在、南シナ海で何が起こってるのかまるで、見えてないようです。他の野党も似たり寄ったりです。年をとって、白内障にでもなってしまったのでしょうか。

実際に、何をはじめるのか、到底理解できない中国の海洋進出に周辺国は困惑しています。しかし、放置すればいずれ日本もとんでもない事態に巻き込まれるでしょう。中国の海軍を押さえ込むために、何をすべきか?

そのリスクとリターンを議論すべき国会で、クイズばかりやってる馬鹿野党。あまりにレベル低過ぎて全く話にも何にもなりません。野党は、どうやって中国海軍の海洋進出を抑えこもうとしているのでしょうか。

まさか、憲法9条を尊重して、「話し合い」による解決を目指しているというのでしょうか。であれば、野党議員団で特別攻撃隊を結成し、今すぐ南シナ海に赴いて、南シナ海での中国の盲動の現場に立って、「話し合い」攻撃を仕掛ければ良いのではないでしょうか。

もしそんなことをすれば、張成沢氏のように機関砲で銃撃されて、全員玉砕することになると思いますが、それで日本の世論もかたまり、アジアの冷戦構造終焉のための、具体的な行動にすみやかに打って出ることができるようになるかもしれません。今の野党が、安全保障で役立つことができるとすれば、これくらいしかないかもしれません。まあ、そんなことは絶対にしないでしょうが・・・・・・・。

いずれにしても、日米同盟がより強固で緊密なものになり、アメリカにも安部総理のような大統領が出てくれば、アジアの冷戦構造も東欧のように瓦解することは間違いないものと思います。冷戦構造が瓦解したあかつきには、無論ソ連が崩壊したように、中国の現体制も崩れることになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

中国による冷戦構造を読み解く鍵となる、書籍をチョイスしました。是非ご覧になって下さい(゚д゚)!

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2010年10月11日月曜日

高智晟 中国が最も恐れる男―劉暁波氏よりもタブーの人物―中国共産党一党独裁の限界か?

高智晟 中国が最も恐れる男―劉暁波氏よりもタブーの人物



【新唐人2010年10月10日付ニュース】10月8日、中国の民主活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞を獲得。同じような境遇にある人権派弁護士、高智晟氏も再び注目を集めています。9月9日、フランスの報道雑誌「ヌーベル・オブザーバーチュア」は、高氏を詳しく紹介しました。

雑誌は、立ち退き、公害、医療事故や宗教迫害に遭っている中国人のために立ち上がった高智晟氏を紹介。実は、中国当局も2001年、高氏を「中国の最も優れた弁護士トップテン」に選んでいます。

輝かしい功績を持つ高氏が、なぜわずか数年の間に弾圧の対象となったのでしょうか。それは、中国共産党にとって超えてはならない一線を越えたからです。

2004年、12月26日、高氏は法輪功学習者の黄偉氏の弁護人となりました。

そして、法輪功学習者の案件はどの裁判所も受けたがらないことを発見。共産党政府がこの種の案件の審理を禁じたためです。これに義憤を感じた高氏は、勝つ見込みのない裁判に身を投じる決意をしました。

2004年12月31日、高氏は初めて全国人民代表大会に公開状を出して、法輪功迫害の停止を訴えました。2005年11月22日、2度目の公開状を送った後、妻とともに公に共産党を脱退しました。

2005年12月12日、胡錦濤主席と温首相にあてた、3度目の公開状を発表しました。

高氏が共産党のレッドラインを超えてから、高氏への執拗な迫害が始まります。「ヌーベル・オブザーバーチュア」は、2006年からずっと、高氏は絶えず殺人予告を受け、長期間拘束されたほか、拷問も受けたと指摘。2009年1月、高氏の妻と子供はやむなくアメリカに逃れました。

1年余り行方不明だった高智晟氏は今年の4月、再び姿を現しました。彼を目にした友人によると、高氏は心身ともに崩壊していました。「中国の良心」と称され、腐敗官僚を恐れさせた高氏は、自分の信念を捨ててアメリカの家族と再会する道を選んだといいます。

しかし4月21日、高氏は再び当局に拉致され、一切の消息が途絶えました。

信念を捨てる決意は、高氏の本音なのでしょうか。

「九評共産党」には、中国共産党の本質が記されています。例えば、人を殺すにしても、まずは魂をうちのめしてから肉体を殺す。共産党は一切の権力を独占しているので、いったん敵とみなされた人は、仕事から名声まですべてを失います。しかも、心の支えとなる家族すら巻き込んで、相手をとことん破壊します。

北京の人権派弁護士の滕彪氏は高氏について、「初めて法輪功学習者を弁護した弁護士。実に大きな犠牲を払ったが、彼の勇気は、ひとつの突破口になった。彼の後に続く、人権派弁護士が増えていったからだ」と評価しました。

新唐人がお伝えしました。
http://ntdtv.com/xtr/b5/2010/10/05/a438803.html#video
上のリンクをクリックすると、このニュースの中国語版が見られます。

中国共産党一党独裁の限界か?
上記の文章の中にでてくる、「九評共産党」とは、日本語では共産党についての九つの論評、中国語(普通話)ではJiǔpíng Gòngchǎn dǎng)は、大紀元時報新聞が2004年11月18日に発表した、中国共産党を批判した社説。1963年に人民日報上でソビエト連邦共産党を批判した文章である「九評蘇共」の体裁を模しています。

同書は2004年11月18日、大紀元時報新聞において社説として発表された。この中で中国共産党がいかに中国国民を苦しめてきたかを主張しており、中国でも旧ソ連や東欧諸国のように共産党が解体されるだろうと予言しました。

本書は中国語で記載されたものが原本であるが、日本語や英語を始めとした各国の言語へ翻訳されており、中国共産党の真の姿を知る為の本として韓国や台湾など、各国でベストセラーになりました。日本国内では博大出版から発行されています。しかしながら主要な流通経路に乗らなかったためか、あまり知られていません。このような書籍こそ、今後日本でも、電子出版すべきと思います。

大紀元によると、本書を読んだ中国国民が中国共産党から退党する運動が起きたため、毎月100万人以上が退党を宣言しており、2009年6月30日で5,660万人以上の中国人が退党を宣言したとされています。

ちなみに、本書の構成は以下のようになっています。

第一評:共産党とは一体何物か
第二評:中国共産党はどのようにでき上がったか
第三評:中国共産党の暴政
第四評:共産党が宇宙に反する
第五評:法輪功への迫害における江沢民と中国共産党の相互利用
第六評:中国共産党による民族文化の破壊
第七評:中国共産党による殺人の歴史
第八評:中国共産党の邪教的本質
第九評:中国共産党の無頼の本性

尖閣列島問題で、最近日本と対峙している中国という国を良く知らない日本人も多いです。このブログにもしばしば述べているように、中国は国とも呼べないかもしれません。少なくとも、近代国家とは呼べません。なぜなら、民主化、政治経済の分離、法治国家化がなされていないからです。

建国以来占拠すらない国です。ちなみに、旧ソ連邦では、実質全体主義国家ではありましたが、少なくとも形だけは、選挙はありました。そうなのです、あのとっくに歴史の彼方に消え去ったソビエト連邦ですら、かたちだけでは、現在の中共よりは進んでいたのです。

ここに、アジアの後進性がみられます。面積も、人口も最も大きい国が、この有様です。

さて、ノーベル平和賞を劉暁波氏に関しては、もともとの活動拠点がアメリカであるため、アメリカ人にも良く知られた存在であり、もし、殺害しようものなら、アメリカとの関係はかなり悪化することも懸念するため、長期拘禁で住んでいるのだと思います。しかし、高智晟氏の活動拠点は中国です。アメリカ人でもあまり知っている人いないし、日本人は、ほとんど知らないです。

だからこそ、高智晟氏が拘禁されても、あるいは命を失っていたとしても、ほとんど話題になりません。

しかし、高智晟氏は、まだ運の良いほうかもしれません。こうして、目立たないとはいいながら、メディアでも報道されるし、中国国内でも、有名人になった人ですから、こうして話題となります。中国で、無数の人がこうしたとんでもない目にあって、闇から闇へ葬られているというのが実体です。毎年2万件もの暴動があるということから、このことは容易に類推できます。

日本では、尖閣問題で中国との交渉などにより、多くの国民が中国の異常さに気付きつつあります。今後、日本国内でも、中国の異常ぶりがもっと認識されることを切に願います。そうして、先日このブログにも書いたように、今や中国が世界の中で最も大きな不安定要因であることも認識が深まることを切に願います。

日本は、尖閣問題だけに集中するのではなく、こうした中国の一党独裁制について、認識を深めるとともに、こうした体制が一刻もはやくなくなるように、もっと、非近代国家である中国に対する内政干渉を強化すべきものと思います。日本にも、様々な問題はありますが、それでも、中国などよりは、はるかにましです。日本の政治システムなど陳腐化していますが、中国には政治システムなど存在しません。それに、どうしようもないほどに、腐敗していて、おそろしく、前近代的です。

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2022年1月13日木曜日

習氏焦燥…コロナさらに蔓延で北京五輪開催危機 ジェノサイド・軍事威嚇で〝世界に友人居ない〟中国 新幹線で「共同貧乏」党幹部は戦々恐々―【私の論評】デジタル人民元の普及が無意味になった中国では何年も前からいわれてきた断末魔に近づきつつある(゚д゚)!

断末魔の中国
北京冬季五輪の開会式が行われる通称「鳥の巣」こと国家体育場

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大が懸念されるなか、北京冬季五輪(2月4~20日)の開催が近づいてきた。中国の習近平国家主席は「われわれには素晴らしい大会を世界にささげる自信と能力がある」と強調するが、相次ぐ選手の感染報告を受けて、強豪スイスの選手団長が「延期検討」に言及するなど、先行きは混沌(こんとん)としている。中国については、自由主義諸国の「外交的ボイコット」につながった新疆ウイグル自治区などでの人権弾圧だけでなく、経済的危機や米中対立の激化など、問題が山積している。評論家の宮崎正弘氏が、断末魔のうめきを放つ隣国を考察した。


 新型コロナの感染拡大で、中国・西安など多くの都市がロックダウンした。別の伝染病情報もある。オミクロン株の猖獗(しょうけつ=流行)により北京冬季五輪は開催そのものも危ぶまれている。

 中国の伝統的な正月風景も帰省客が激減して寂しく、肝要の北京で五輪ムードが盛り上がっていない。

 欧米各国の「外交的ボイコット」は、中国当局による新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(民族大量虐殺)への外交的制裁だが、感染症や伝染病の再流行となると、次元が異なる。

 そのうえ、度重なる軍事的威嚇で、世界中を見渡しても中国の友人はいなくなった。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、対欧米戦略の行き詰まりから、ことさら中国との蜜月を演じているだけである。

 日本経済研究センターの予想では「2033年に中国がGDP(国内総生産)で米国を超える」とか。

 人口が日本の10倍、米国の5倍近いから、単にGDP統計なら、そうしたシミュレーションも成り立つだろう。

 何しろ、80兆円を楽々と越える累積赤字を気にせずに、中国は新幹線を次々と開通させ、昨年末、営業キロが4万キロを突破した。これは国有企業だから赤字でも構わないが、民間企業となると倒産する。中国全土、見渡す限りのゴーストタウンだ。

 習主席が呼号する「共同富裕」の掛け声や良し。皆が一緒に豊かになろうと言うのだから、共産革命の原点に戻るわけだ。実は、この新幹線に戦々恐々なのが不動産を何軒も持つ共産党幹部である。

 「共同富裕」は裏を返すと「共同貧乏」だった毛沢東時代に戻ろうと解釈される。現実には、毎月5000円程度で暮らす人々が多く、その一方で未曽有の金持ちがいる。

 中国のハイテク企業は米ウォール街から追い出され、新規上場もできなくなった。そのうえ、インターネット通販最大手「アリババグループ」などに罰金を科し、予備校、家庭教師、ゲームへの強力な規制をかけた。

 「ハイテクの前進基地」といわれた広東省深圳市では、ビッグテック企業が軒並み「30%レイオフ」「35歳以上は肩たたき」の噂が乱れ飛び、サラリーマンは戦々恐々である。

 米国は、米中対決を戦略レベルで捉えているから、中国の経済力を削ぎ落すことに長期目的を置く。特に、デジタル人民元の普及を脅威視する。戦後のブレトンウッズ体制下の「ドル覇権」が破壊されるかもしれないと恐れているためで、今後も規制は強まるこそすれ、緩和方向へは向かわないだろう。

■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『中国が台湾を侵略する日』(ワック)、『歩いてみて解けた「古事記」の謎』(育鵬社)、『日本の保守』(ビジネス社)など多数。

【私の論評】デジタル人民元の普及が無意味になった中国では、何年も前からいわれてきた断末魔に近づきつつある(゚д゚)!

上の記事で、宮崎氏は、

"日本経済研究センターの予想では「2033年に中国がGDP(国内総生産)で米国を超える」とか。

人口が日本の10倍、米国の5倍近いから、単にGDP統計なら、そうしたシミュレーションも成り立つだろう。"

と述べています。

しかし国民一人当たりのGDPということでは、中国は10,000ドル前後(日本円では、100万円前後)です。2020年の比較では、世界64位に過ぎません。以下にその比較を掲載します。
・世界の1人当たり名目GDP 国際比較統計・ランキングです。
・各国の1人当たり名目GDPと国別順位を掲載しています。
・単位は米ドル。
・IMF統計に基づく名目ベースの人口1人当たり当たりGDP(国内総生産)。
・米ドルへの換算は各年の平均為替レートベース

韓国、台湾はおろか、リトアニアよりも低いのです。そうして、中国経済はこれ以上伸びない可能性が大きいです。

それは、中国が中所得国の罠から抜けられない可能性が高いからです。中所得国の罠とは、発展途上国が経済成長をしても、最初のうちは政府主導で伸びていくのですが、国民一人当たりのGDPが10,000ドルあたりからは伸び悩み、10,000ドルから超えられない現象のことをいいます。

なぜそうなるかといえば、発展途上国のほとんどが民主化されていない事が多く、民主化をすればその後も経済が伸びる傾向になるのですが、結局民主化することができなくて、伸び悩むということのようです。

台湾が一人あたりのGDPが中国よりはるかに高いのは、やはり民主化が中国より進んでいるからでしょう。

民主化が進めば、政治と経済の分離が行われ、法治国家化もすすみます。その結果、多数の中間層が生まれ、彼らが自由に社会経済活動を行うことができ、社会変革を行い、その結果として社会が豊かになり経済が発展するのです。

大陸中国は、民主化が行われてこなかったので、こういうことが起こらず、一人あたりのGDPでは台湾やリトアニアにもはるかに低いのです。以前にもこのブログ述べたように、中東欧諸国は一人ひとりの国民が豊かになることを夢見て、中国の一帯一路に関連する投資を歓迎したのでしょうが、中国にはそのようなノウハウはないのです。

あるとすれば、独裁者とその追随者が儲かるノウハウだけです。中東欧諸国が、中国に失望するのは、時間の問題だったともいえます。

中国は、民主化や資本市場の自由化等をすすめなければ、結局国際金融のトリレンマ(三すくみ状態)から逃れられず、独立した金融政策が行うことができず、これから過去のように経済が飛躍的に伸びることはありません。

日本は、良く一人あたりのGDPが低いといわれ、その主な原因は構造的なものとする人もいますが、それは間違いです。その主な原因は、平成年間のほとんどの期間にわたって、実体経済を無視して、日銀は金融引締政策を続け、財務省にいたっては、現在でも未だに緊縮財政に執着しているからです。

この経済政策の間違いが、一人あたりのGDPを低くしてきたのです、そのためもあって、日本人の賃金は30年近くも上がらなかったのです。いまや日本人の賃金は、OECD諸国の中でも、最低の部類に属します。しかし、日本の一人あたりのGDPの低さは、正しい金融政策や財政政策を行えば、克服することができます。日本は、中国よりは、民主化がはるかに進んでいるからです。

しかし、上の記事でも述べられているように、その中国がデジタル人民元の普及をしようとしています。デジタル人民元にしても、国際金融のトリレンマの状況はかわらず、中国は独立した金融緩和を実施することはできません。

人民元をデジタル化しようが、しまいが、中国は国際金融のトリレンマにはまりこんで、たとえば失業率が著しくあがっても、なかなか金融緩和政策をとることはできません。大規模な金融緩和をしてしまえば、すぐに過度のインフレになってしまいます。だから、やりたくてもできないのです。

その中国がなぜデジタル人民元を普及させようとしているのでしょうか。それは人民元のデジタル化により資本取引を管理したいということだと思います。中国人は政府を信用していないので、お金を国外に持ち出したり、投資したりします。デジタル人民元にすれば、それを全部監視できるます。無論、自分たちにとって都合の悪いことがあれば、すぐにも規制をするでしょう。

ありていにいえば、中国は戦後のブレトンウッズ体制下の「ドル覇権」が破壊するなどのだいそれたことを考えているのではなく、デジタル人民元の普及を資本取引の規制の一環として熱心にやっているのです。

中国人が資産を大量に外に持ち出すことに、中国共産党は睨みを効かせていることを認識させるためでしょう。そうして、あまり派手にやれば、何らかの規制が入ることを認識させるのが狙いでしょう。

「デジタル人民元」とは言っても、他のデジタル通貨と異なり、全部の取引を政府が把握するつもりでしょう。いざ「外に持ち出そう」というときには何らかの規制がかけらるようになるでしょう。

いままではこっそりやることができたのですが、それができなくなるのです。当然のことながら、国内での取引の監視を強化することでしょう。そうなると、習近平の反対勢力の金の流れを詳細にわたって監視することができます。テロリストや政敵などが、どこから資金を得ているのか、詳細に把握することができます。

米国の大学院などでMBAの学位取得のために勉強するとき、大学の教授が口を酸っぱくして言う言葉は"Follow the money"(金の行方を追え)です。ビジネスの現場で取引先と何らかの交渉を行う際、いろんな枠組みでビジネスを行うことになるわけですが、その際お金の流れをきちんと把握して、先方がどこで儲けようとしているのかがわかっていればカモにされることはないですし、すべてのビジネスモデルにおいて、本当はどこで儲けていることが明らかになるからです。



これと同じで、中国共産党がデジタル人民元を普及させることに成功すれば、従来のカメラなどによる監視よりもより間口も広く、奥行きの深い監視ができるわけです。

しかし、国内外で制限があったにせよある程度はできた資本の移動ができなくなれば、まともにビジネスもできなくなります。

デジタル人民元が普及する前に、富裕層は、様々な手段を駆使して、手持ちの資産をドルに変えて、海外に持ち出すことでしょう。それを恐れてか、中共はしばらく前から持ち出しの規制を強化しています。

現状では、中国国内でドルが積み上がっています。前例のない規模の貿易黒字と債券市場への記録的な資金流入が背景にあります。それに、企業ベースでも個人ベースでも、ドルの国外持ち出し規制は厳格化されています。米国の金利が異常なほど低いのは「アジアの貯蓄過剰」が関係しており、これが米国のサブプライム住宅ローン危機をあおったと非難された時代以来見られなかった水準に膨らんでいます。

当時、中国は流入したドルで積極的に米国債を買い入れていました。ところが今は外貨準備高の大きな割合を占める米国債はほぼ横ばい状態。つまり、どこか別の場所でドルが使われていることを意味するのですが、正確にそれがどこかは謎です。

中国に流入したドルの一部は中国の銀行に預金として置かれますが、中国の国際収支における不整合の大きさで実態ははっきりしていません。ただそれでも、不動産開発大手の中国恒大集団など個別企業がドル建て債務の返済に苦しむ中でも、世界経済に将来生じ得るショックに対してこうしたドルが中国にとって重要なクッションとして機能することは確かです。

ドル建て債務の返済に苦しむ恒大集団

早い話が、中国は不動産大手等に公的資金を投入しているのでしょう。これからも、投入を続けるのでしょう。デジタルであろうが、なかろうが人民元は中国がドルや米国債を大量に保有しているからこそ、保証されている面は否めません。

それに、不動産大手がドル建て債務で苦しんでいるということから、やはり中国でも大口の資本取引等は現状でもドル建てで行うのでしょう。それに、人民元を大量に擦り増して投入することになれば、深刻なインフレに見舞われるのでしょう。

現状では、米国が金融緩和の縮小に向かうのに逆行して中国が緩和を進めるとすれば、人民元安を招くでしょう。そうして、中国国内はインフレに見舞われるでしょう。

一方で人民元相場が下落すれば、ドル建ての負債を抱え既に資金難にある中国企業には一段と圧力が加わるとともに、15年の事実上の元切り下げ後と同様の資本流出につながるリスクもあります。

このような状況では、人民元のデジタル化をして監視を強化してもあまり意味がないです。ドルは米国の通貨であり、中国がドルをデジタル化してそれを監視できれば良いのですが、それは不可能です。

一方米国は、ドルのデジタル通貨化はしていませんが、国際取引のほとんどが今なおドルを用いて行われています。そのため、デジタル通貨のように細かな部分まで監視することはできませんが、かなり詳細に世界の金融取引を監視することができます。

この状況では、中国はコストも手間もかかる、人民元デジタル化をすすめることはできないと思います。

そうして、これから中国はドルの流れをさらに規制し、国内から海外に流出することを防ぐでしょう。そうなると、貿易もできず、中国内の外国企業はいままでよりも、海外に資産を持ち出すことができなくなります。ますます、中国でビジネスをする意味が薄れてきます。

何年も前から、中国の断末魔がいわれてきましたが、今度こそ本当にその状況に近づきつつあるようです。それても、中国は国民を弾圧して、国民から富を簒奪すれば、それで当面は維持できるかもしれません。しかし、富を散弾し尽くした後はどうするのでしょうか。それでも、今度は国民すべてを奴隷にして、共産党幹部たちの生活だけは、以前の水準を維持するつもりなのでしょうか。

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2020年8月30日日曜日

チェコ上院議長が台湾到着 90人の代表団、中国の反発必至―【私の論評】チェコは国をあげて「全体主義の防波堤」を目指すべき(゚д゚)!


    台湾北部の桃園国際空港に到着したチェコのビストルチル上院議長(中央)と
    出迎えた呉●(=刊の干を金に)燮外交部長(右)=30日
東欧チェコのビストルチル上院議長を団長とし、地方首長や企業家、メディア関係者ら約90人で構成される訪問団が30日、政府専用機で台湾に到着した。台湾と外交関係を持たないチェコが中国の反対を押し切り、準国家元首級の要人が率いる代表団を台湾に派遣したのは初めて。国際社会での存在感を高めたい台湾にとっては大きな外交上の勝利といえるが、中国が反発するのは必至だ。

 30日午前、北部の桃園国際空港に到着したマスク姿の議長一行は、出迎えた台湾の呉●(=刊の干を金に)燮外交部長(外相に相当)らと握手でなく腕を合わせてあいさつを交わした。台湾メディアによれば、訪問団は9月4日まで滞在。ビストルチル氏は1日に立法院(国会)で講演し、3日に蔡英文総統と会談する。4日には米国の対台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)とのフォーラムにも出席する。

 チェコ上院議長の訪台をめぐっては、ビストルチル氏の前任のクベラ氏が昨年に訪台を約束したが、中国大使館から脅迫され1月に急死した。ビストルチル氏は上院議長就任後、何度も「クベラ氏の遺志を引き継ぐ」と表明していた。

【私の論評】チェコは国をあげて「全体主義の防波堤」を目指すべき(゚д゚)!

チェコの憲法で大統領に次ぐ地位とされる上院議長のビストルチル氏、このほか訪問団は首都プラハのズデニェク・フジブ市長や上院議員ら約90人からなり、民主化を実現させた1989年の「ビロード革命」(1989年11月17日にチェコスロバキア社会主義共和国で勃発した、当時の共産党支配を倒した民主化革命。スロバキアでは静かな革命と呼ぶ)以降、最高レベルの訪問団とされます。9月3日には蔡総統と総統府(台北市)で会談する予定。ビストルチル氏は出発前のあいさつで訪台の目的について、民主主義を守る台湾への支持を示すためと語りました。

チェコのビストルチル上院議長(左、本人のツイッターから)とプラハのフジブ市長

新型コロナ対策のため、訪問団の参加者には搭乗前3日以内の陰性証明の提出を求めたほか、9月1日にはさらに検査を実施。滞在中は専用車を使用するなどして市民との接触を避けます。一行は同5日に帰国の途につきます。

欧州との外交をめぐっては、中国の王毅外交部長が25日~9月1日の日程でフランスなど5カ国を歴訪中です。台湾が外交関係を結ぶ国はバチカンのみとなる一方、中国は近年、巨大経済圏構想「一帯一路」を足掛かりに欧州で影響力を増しています。台湾側は外交関係のないチェコ代表団の受け入れをきっかけに、欧州諸国との連携を強化したい考えです。

今回の訪台には、今年1月に急死したチェコのヤロスラフ・クベラ前上院議長の夫人も加わっています。

クベラ氏は、中国の反対を押し切って今年2月に訪台する予定でしたが、1月に急死しました。生前、台湾行きを強行するならチェコ企業に報復するなどと中国大使館から脅迫されていた事実が地元メディアによって暴露されました。

中国はチェコを中・東欧諸国の玄関口として重視しています。加えて、チェコは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)双方に加盟しているため、中国としてはチェコを足掛かりに西欧諸国に対する影響力を高めたいとの狙いもあるようです。

チェコ大統領 ゼマン氏

一方、チェコ側も2013年に親露的でもある、ゼマン氏が大統領に就任して以後、対中関係の強化を図ってきました。ゼマン氏は訪中を繰り返し、2015年に中国が戦争勝利70周年記念の軍事パレードを実施した際も、欧米諸国のほとんどが国家元首出席を見送る中、北京に赴いて、中国との親密ぶりをアピールしました。

翌年3月に中国の習近平国家主席がチェコを訪問した際には、首都プラハでデモ隊の動きを封じ込めて迎え入れるなど、最大限の配慮を見せました。

また、中国政府が「中国からの独立を狙う分裂主義者」と敵視するチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が同年10月にチェコを訪れ、副首相らと面会した際、ゼマン氏は直ちに、当時のソボトカ首相とともに「一つの中国」原則を支持する声明を出すほど神経を使っていました。

ゼマン政権による中国接近に警戒を強めたのがプラハのフジプ市長です。

プラハと北京は2016年に姉妹都市協定が締結されていました。フジプ氏が2018年11月に市長に就任すると、協定の中に「一つの中国」原則の順守を記す条項が含まれていたことに違和感を抱き、北京側にこの条項のみを削除するよう求めたのですが、北京側が受け入れなかったため、昨年10月、協定解消に踏み切りました。

一方、フジプ氏は昨年3月に訪台し、蔡英文総統らと会談するなど台湾に接近、今年1月13日には、今度はプラハ―台北間で姉妹都市協定を結びました。AFPによると、フジプ氏はその直後に、中国を「信頼できないパートナー」と非難したといいます。

フジプ氏は自身の信念として「市長として『民主主義と人権を尊重する道に戻る』という公約を果たすために取り組んでいます。それらはビロード革命(チェコスロバキアだった1989年12月に共産党体制崩壊をもたらした民主化革命)の価値観であり、現在、チェコ政府が無視しているものだ」と語っています。

加えてチェコでは今年1月、人気政治家だったクベラ氏が急死し、その妻が「夫の死は中国政府からの度重なる嫌がらせの結果だ」と主張した一件もありました。

チェコ企業団が19年10月、台湾を20年2月に訪問すると発表し、その団長を当時上院議長だったクベラ氏が務めることになりました。この訪台は結局コロナ禍により中止になりましたが、中国側は「一つの中国」原則に反するとして不快感を示し、再三にわたってチェコ側に取り消しを迫っていました。

現地報道によると、中国の張建敏・駐チェコ大使がゼマン大統領の秘書官に「訪台を阻止しなければ両国のビジネスに影響が出る」と圧力をかけたとされています。

夫人のヴェラ氏によると、クベラ氏が亡くなる3日前に中国大使から大晦日の夕食会に招待され、「非常に不快な非公開の会談」に参加しました。途中で、クベラ氏は別室に連れていかれ、戻ってきたときには夫人に中国大使館が用意した食事は絶対食べないように言ったといいます。

夫人は遺品整理の際に、チェコ大統領府と中国大使館が送りつけた2通の「脅迫状」を発見しました。内容は、台湾訪問をやめなければ、家族を危険に晒すというものでした。ヴェラ夫人は、娘と二人で恐怖に怯えたと述べ、これらの手紙がクベラ氏を死に至らせたと考えていると述べました。クベラ氏は亡くなる前の7日間、一言も発さず落ち込んでいたといいます。

ヴェラ夫人はまた、クベラ氏が台湾を訪問することに強いこだわりを持っていたと強調し、家族には「共産党の独裁時代にも、誰もクベラを止めることができなかった!今やチェコは民主主義国家だ。このような圧力に屈するものか!」と言っていたと明かしました。

ビストルチル現上院議議長氏は、「2通の脅迫状」という重大スキャンダルを受けて、ゼマン大統領に説明を求める書簡を3通送ったのですが、ゼマン大統領は議会からの質問と調査の要求を拒否していると述べました。


台湾メディアによると、ヴェラ氏は地元テレビに出演した際、「夫は中国政府に脅迫され、そのストレスが急死の引き金になった」との見方を示し、後任の上院議長となったビストシル氏やバビシュ首相は相次いで、張大使更迭を求める考えを示しました。

そのビストシル上院議長が6月9日、クベラ氏の計画を引き継いで今年8月30日~9月5日に企業団とともに訪台すると発表しました。ビストシル氏は右派野党・市民民主党所属で、「政府の外交方針が人権と自由を支持しないのなら、それを強調するのは議会の役目だ」と話しています。

中国は反中感情を和らげるため、新型コロナウイルスの感染防止を目指す「マスク外交」によって挽回を図っています。

チェコでは医療従事者のためのマスクや手袋などの個人用防護具が不足し、政権批判が高まっていたため、ゼマン政権は諸手を挙げて中国からの支援を歓迎しました。

中国から医療用品を運んできた航空機が今年3月、プラハの空港に到着すると、チェコの閣僚らが滑走路に並んだといいます。その後も中国からの物資が届けられ、ゼマン氏は「我々を助けてくれるのは中国だけだ」とリップサービスし、遠回しにEUを批判してみせたとされています。

クベラ氏の生前の願いをかなえるためとして夫人に同行を打診したのは団長のビストルチル氏。台湾訪問が民主主義、自由を守る決意の表れとして、チェコ上院で強く支持されている背景があったといいます。

メンバーは政治家や、学者、文化団体などで、40人余りの企業家も含まれます。いずれも民主主義の信奉者で、中国から言論の自由を制限されるなど、不条理な圧力をかけられた経験を持つ人もいるといいます。今回の交流を通じ、台湾の民主主義コミュニティーとの間に制度的な協力ネットワークが構築されることが期待されます。

訪台に当たっては、新型コロナウイルス対策として、往復ともチャーター便を利用し、ウイルス検査を出発前と台湾到着後の計2回受けることなどが求められました。これらの条件は、今月9日に訪台したアザー米厚生長官や、同日李登輝元総統の弔問のために台湾を日帰り訪問した日本の森喜朗元首相らと同じだといいます。

チェコ政府は、親中的ですが、チェコの憲法で大統領に次ぐ地位とされる上院議長のビストルチル氏をはじめ中国に対峙しようとする勢力が拡大しつつあるようです。

台湾は国をあげて中共の「全体主義の防波堤」になっていることは明らかです。米国は今後「全体主義への砦」としての台湾の存在の重要性を認識して軍事・経済的支援を強力に推進することになるでしょう。その幕開けが、先日のアザール長官の台湾訪問なのです。

チェコは地政学的にいって、東欧に属していおり、東欧は欧州では中国に最も近い位置に属しています。ロシアにも近いです。このチェコが「全体主義の防波堤」になれば、東西に全体主義に反対する勢力の橋頭堡が築けることになります。

今回のチェコの訪問団の訪台が、将来これに結びつく可能性は大きいと思います。

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2011年3月31日木曜日

「中国はならずもの国家になってしまったのか」=コロンビア大学で討論会―【私の論評】中国は建国の時から、ならずもの国家であり日本の危機は地震だけではない!! それを報道しないマスコミはどうなっているのか?

「中国はならずもの国家になってしまったのか」=コロンビア大学で討論会


【大紀元日本3月30日】豪シドニーモーニングヘラルド紙の駐中国記者ジョン・ガーノ(John Garnaut)氏がこのほど、コロンビア大学東アジア研究所において、「中国はならずもの国家になってしまったのか」をテーマとする討論会を開き、教師や学生と中国社会の現状について話し合った。ラジオ自由アジア(RFA)が伝えた。

ガーノ氏は自ら取材した事例を挙げ、討論会参加者全員に「ならずもの国家」という言葉を用いるのが適切かどうか判断してもらった。たとえば、退役軍人である于成武氏は退役後、黒龍江省富錦の土地を手に入れ、大豆の栽培をしている。80年代、現地政府は韓国資本を導入し、合弁会社を始めるという理由で農民から土地を収用した。結局、韓国人は来ず、プロジェクトも存在しなくなったが、政府は土地を持って行ったまま。そして徐々にその土地は職員やその家族の手中に落ちて行った。そして、その土地が農民に貸し出される。これはつまり、新たに形成された中国共産党幹部による封建制度である。もちろんこの制度は行政上の強制により保証されている。20年来、農民は土地のために抗争・陳情し、一方、幹部らはその陳情を阻止し、人を雇って農民を殺害する事件までも起こしている。

ガーノ氏によると、自分と話をした農民は捕まり、自身もしばらく拘束されたという。同氏は北京の記者会で富錦の状況について質問し、これに対し中央政府は関与するとの意思を示した。当時ガーノ氏はまだ中国滞在歴が短かったため、自分の報道が注目されたと喜んでいた。しかし2年後には、もともと乗用車が送られていた北京への賄賂が今は大型トラックに変わっていた。富錦は変わらなかったが、北京はさらに金持ちになった。

豪州の林さんという華僑が遼寧省で始めた500万元のダム建設プロジェクトに対し、運営開始後、現地水利局長が利益を図り、合資を提案した。しかし林さんがこれに同意しなかったため、局長はこのダムを爆破すると言ったという。結局、林さんはこのダムを局長に売るしかなかったが、保証金を渡されただけで、あとの支払金は郵送中と言われた。

ガーノ氏によると、この局長の兄弟は会社を設立しており、現地の建設会社にむりやり市場の2、3倍の価格で砂を販売している。殺人や刑務所へ送ることもいとわない。同氏が事の真偽を局長に尋ねたところ、兄弟と何の関係があるのかと言われたという。

重慶市の薄熈来市長は市内のやくざを一掃する運動をやっており、3千人を捕まえたと言われる。重慶市に3千人いるなら、全国では何人いるのだろうか。ガーノさんは、このことは、「共産党自身がならずもので、中国政府はならずものの集団によって掌握されている」ことを意味すると指摘した。薄市長は下級のやくざを捕まえただけで、政府内とコネのある、勢力の大きいやくざには手を出せるわけもない。

中国の政治体制は変わらないため、経済発展は中国共産党を世界で最も経済実力のある独裁者にした。幹部らは権利や地位に執着し、その地位がもたらす利益をなんとしても守ろうとしている。これにより驚くべき治安体制が作られている。中国の安定維持予算はすでに軍事費を超えている。「安定」は、当局が最も注目する問題から、唯一の関心事に変わり、全ての政策を捻じ曲げた。

中国共産党は利益を維持するため、海外では親共産党団体を育成し、彼らに忠誠心を誓うことを求めている。その見返りとして、彼らに中国大陸にあるビジネスチャンスを提供するのだ。そして、ナスダックのインサイダー取引により中国と関係のある投資と株式市場をコントロールする。

ガーノ氏は、中国人は3年前は仕方なく現状を受け入れていたが、今は次第に権利意識が高くなってきたと指摘した。中東のジャスミン革命は共産党の最後のベールを引き剥がし、人々はこの革命から中国との共通点を見出し、中国を公平な社会にするある種の力を望んでいる、とガーノ氏は述べた。

【私の論評】中国は建国の時から、ならずもの国家であり日本の危機は地震だけではない!!それを報道しないマスコミはどうなっているのか?
最近は、日本の震災で、昨年の尖閣問題もどこへ行ったかという雰囲気です。テレビなどでも、地震の放送ばかりで、中国に関する放送はしません。せっかく、尖閣問題によって、多くの国民が中国の異質性について理解したにもかかわらず、この現状です。まるで、チベットも、新疆ウイグル自治区での、弾圧はなかったかのごときです。私は、中国の異質性は、相変わらずであり、日本にとって脅威となる危険性は去ったわけではないので、本日は、上記の記事をみかけたので、敢えて掲載しました。


上の記事では、「中国はならず者国家になってしまったのか」などという、寝ぼけたようなことを掲載していますが、中国は、建国時から「ならず者国家」であり、今の体制が変わらない限り、「ならず者国家」であり続けます。それは、建国以来中国では、毎年平均で、2万件もの暴動が発生していることをみても明らかです。それに、大躍進や、文化革命時においては、膨大な人命が失われていることからも明らかです。

しかし、まずは、最近の事例をあげておきます。下の新唐人のニュースの動画が、最も解りやすいと思いましたので、掲載します。

【新唐人2010年12月1日付ニュース】11月23日、イギリスの"経済平和研究所"は今年度の世界平和指数ランキングを発表。中国は2007年の60位から、今年は8­0位に転落。腐敗が中国の平和のイメージを損ねているといいます。 
2007年より、経済平和研究所は毎年"世界平和指数"を発表。中国は今年20位も後退しました。研究所のマッコナギー理事はボイス・オブ・アメリカの取材に対し、腐敗は­平和指数を計算するための指標ではないので、ランキングに影響しないが、その国が平和になれるのかにつながると発言。中国のイメージアップには、先(ま)ず腐敗問題の解決­がポイントだと述べました。 
中国の腐敗は、経済改革の過程で生まれたものではなく、権力で庶民の財産を奪う体制の腐敗だといわれます。 
雑誌"北京の春"編集長・胡平氏「中国の改革は政治の民主化のない前提での、経済改革なので、私有化を行うと、おのずと権力が私有化されます。今の権力者は他でもなく、"共産党"なのです。革命の名の下 人の財産を国有化し、民衆の私有財産を国有化し、また それを私有化する、これ自体 高度な腐敗です」 
経済平和研究所は、世界で最も影響力のある機関などが提供。国内外の安全指数に基づき、各国の平和指数を計算します。その国の1年間に発生した凶悪犯罪、服役者の割合、人­権侵害の程度、軍事費など、23項目を評価し、ランク付けします。 
暴力で政権を樹立した共産党は、国民を弾圧する宿命を持つともいわれます。例えば、新疆やチベット。北朝鮮やイランなどのならず者国家も支援。
政治経済評論家 林保華氏「中国は国民への弾圧で台頭し、対外的にも暴力化しています。何よりも中国は世界中のならず者国家の味方です。核兵器で世界を脅し、地域の平和安全が脅かしています。最も­顕著なのが北朝鮮とイランに対する支援です」 
中国国務院の元法律秘書、俞氏は、中国の政権安定のための費用はすでに軍事費なみで、5000億元に達すると指摘。 
中国国務院元秘書・俞梅蓀氏「近年国内の陳情者 、社会の不公平、司法の無力さ、強制立ち退きや土地収用問題など、問題が増える一方です。それで"政権安定"が必要になるものの、政府は問題を解決せず、逆に抑えつけます­。必ずさらに深刻な矛盾を招きます」 
温家宝首相は今年の初め、汚職腐敗は社会の安定に危険を及ぼすと発言。8月にも、中国の最大の危険は腐敗であると再度強調しました。 
http://ntdtv.com/xtr/b5/2010/11/29/a461983.html#video上のリンクをクリックすると、このニュースの中国語が見られます。
このブロクでは、過去にも、中国に関しては、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がされていないことを再三にわたって掲載してきました。さらに、中国には、普通の国でいうところの、軍隊も存在せず、人民解放軍は、共産党の私兵、しかも、それぞれの地域の共産党の私兵であり、これらが、核兵器や海軍なども持っているという、いびつな、暴力装置であることも掲載してきました。

さらに、ソ連崩壊によって、東欧は変わったにもかかわらず、残念ながら、アジアでは、中国と北朝鮮が全くてつかずで残ってしまい。冷戦崩壊前の体制が温存されてしまったことも掲載してきました。

現在の中国や、北朝鮮は、絶対に今のままの体制で温存されては、アジアの安定は保障されません。歴史の流れからいって、必ず変えなければいけない性質のものです。

これに関しては、私は、過去にこのブログにおいて、何回もこのことについて掲載してきました。そのため、私の主張に関しては、それをご覧いただくこととして、本日は、大紀元が、2004年に中国共産党について大々的な批判の内容を掲載しています。それを、下にそのまま掲載します。

【大紀元11月19日報道】旧ソ連と東ヨーロッパ諸国の共産党政権が崩壊して10数年経つ今日、世界の共産主義運動は早くに全世界から唾棄されており、中国共産党が墳墓に入るのも時間の問題である。 
しかし、中国共産党は、完全に崩壊する前に、5千年の文明の歴史を有する中国を道連れにしようとしており、これは正に中華民族の大きな不幸と言える。共産党を如何に評価し、共産党のない社会に如何に移行し、中華民族の薪と炎を如何に後世に伝えていくか、これらはすでに、中国人民が直面する問題となっている。 
一世紀余りにわたって世の中に災いを招いてきた国際共産主義運動、特に中国共産党に対して評価を下すために、大紀元は今日から『九評』(共産党に対する九つの論評)と題する一連の特別社説を発表する。 
80年余りの中国共産党の歴史を振り返ると、いたるところで常に、うそ、戦乱、飢饉、独裁、殺戮、恐怖が付きまとい、伝統的な信仰と価値観は共産党によって完全に破壊され、本来の倫理観念と社会体系は強制的に解体させられ、人と人の間の思いやりや調和が闘争と憎しみに捻じ曲げられ、天地自然に対する畏敬や慈しみが「大自然と闘う」などという尊大な思い上がりに変えられてしまった。その結果もたらされた社会道徳体系と生態体系の完全な崩壊が、中華民族、更には全人類を深刻な危機に引き込もうとしている。これら全ての災難は、共産党の綿密な画策、組織、コントロールの下に行われたことなのである。 
「如何ともしがたく、花散り行く。」今日余命幾ばくもない共産政権はすでに日暮れて道窮まり、その崩壊は間近に迫っている。それが完全に滅ぶ前に、私たちは、この古今東西の全ての邪悪を集めたような最大の邪教組織である中国共産党について振り返って考え直し、その悪行を暴きだす必要がある。そうすることによって、依然として共産政権に騙され続けている人々に、極悪非道な共産党の本質をはっきり認識させ、心の奥深くにまで入り込んだ共産党の毒をきれいに取り除かせ、共産党の邪悪な魂にコントロールされた心理状態から抜け出させ、恐怖の束縛から跳び出させ、共産党に対する全ての幻想を捨て去らせることができるのだ。 
中国共産党による統治は、中国の歴史上最も暗く、最もでたらめな一頁である。そして、江沢民が発動した「真・善・忍」に対する弾圧は最も邪悪なものであり、この運動によって、中国共産党の棺に最後の一本の釘が打たれることとなった。この歴史を今振り返って考え直すのは、このような悲劇を二度と繰り返させないためである。同時に私たちは一人一人、これを機に自らの心を内省すべきである。多くの起こるべきではなかった悲劇は、私たちが惰弱であり妥協したがためにそれを引き起こさせてしまったのではなかろうか。  
『九評』シリーズのタイトル:
第一評:共産党とは一体何物か 
第二評:中国共産党はどのようにでき上がったか 
第三評:中国共産党の暴政 
第四評:共産党が宇宙に反する 
第五評:法輪功への迫害における江沢民と中国共産党の相互利用
第六評:中国共産党による民族文化の破壊
第七評:中国共産党による殺人の歴史 
第八評:中国共産党の邪教的本質
第九評:中国共産党の無頼の本性
なお、大紀元の元のサイトには、中国語のもののリンクも掲載されていましたが、そのリンクは辿ることができないようになっています。

上の記事や、その下のリンク記事、さらに、以下に私が過去に掲載した記事など読んでいただければ、豪シドニーモーニングヘラルド紙の駐中国記者ジョン・ガーノ(John Garnaut)氏が「中国はならずもの国家になってしまったのか」などというテーマは、全く的はずれであることがおわかりになるとと思います。

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