2012年8月8日水曜日

抹殺されたヤルタ密約知らせる「小野寺電」 「奥の院」情報軽視の連鎖―【私の論評】現在でも、同じようなことが繰り返されている日本だが、今の私達はそれを打ち破る手段を手にしている!!

抹殺されたヤルタ密約知らせる「小野寺電」 「奥の院」情報軽視の連鎖:

大本営参謀だった堀栄三氏が小野寺百合子氏にあてた書簡で、
「あの電報が参謀本部に不着ということは絶対にありません」
と小野寺電が届いていたことを証言していた(小野寺家提供)

「台湾沖航空戦誤報」堀電も


日本近海で行動するアメリカ軍の第38任務部隊(第58任務部隊)。台湾沖航空戦は、この部隊に向けて行われた
大本営に届きながら抹殺された可能性が高まった小野寺信武官のヤルタ密約電報。書簡で「着信」を証言した大本営参謀の堀栄三氏自身がヤルタ会談4カ月前、台湾沖航空戦の戦果を訂正する電報を打ちながら、参謀本部作戦課を中心とする「奥の院」で握り潰されるなど、極秘情報は生かされなかった。ソ連に和平仲介を託す愚策によって終戦工作がもたつくうちに、原爆を投下され、ソ連の侵攻で多くの命を失い、北方領土を占領されただけに、機密情報を抹殺した代償はあまりにも大きい。(岡部伸)

覆された定説

大戦末期の昭和20年2月4日から11日、米英ソ首脳がクリミア半島のヤルタに集まり、南樺太返還、千島列島引き渡しなどを条件にドイツ降伏3カ月後に対日参戦することが決まった。ヤルタ協定は密約だったため、「日本側は全く知らず、なおソ連に希望的観測をつないでいた」(防衛研究所戦史室『戦史叢書(そうしょ)』)というのが定説だった。

小野寺武官が亡命ポーランド政府参謀本部から得たヤルタ密約の核心部分の「ソ連が対日参戦に踏み切る意向を固めた」との情報が公電で参謀本部に届きながら「奥の院」が抹殺した疑いが濃厚となったことで、少なくとも軍中枢は密約を知っていたことになる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「大本営ムラの暴挙だ」

□昭和史に詳しい作家 半藤一利氏

小野寺電が大本営に届きながら抹殺されたことは間違いない。証拠がなく本人は認めなかったが、握り潰したのは瀬島龍三氏だろう。ヤルタ電抹殺は堀栄三氏の台湾沖航空戦戦果訂正電報握り潰しの延長線上にあり、連続性のものだ。

小野寺電が届いた昭和20年2月中旬は、瀬島氏が偽名でクーリエとしてソ連を訪問して帰国した直後。瀬島氏はモスクワでソ連仲介和平の下交渉を行ったとみられ、係累の岡田啓介氏、迫水久常氏らと和平工作のグランドデザインを描き始めたところに、ドイツ降伏後3カ月でソ連参戦を伝えた小野寺電は都合が悪かった。2月の時点では、ドイツは降伏しておらず、瀬島氏は、ソ連参戦は先のことと考え、参戦までにソ連仲介で和平を成立させようと邪魔な小野寺電を抹殺したのだろう。

現在の原子力ムラと同様の大本営ムラの暴挙だ。(談)

「外交立て直しの教訓に」

□作家、元外務省主任分析官 佐藤優氏

ヤルタ密約を伝える小野寺氏の公電は参謀本部に届きながら葬り去られたのだろう。なぜこのようなことが起きてしまったか。2つの可能性がある。

第1は、小野寺公電があるとソ連を仲介者とする和平工作の障害になるので、陸軍上層部が意図的に握り潰した可能性だ。第2は、目の前の和平工作で頭がいっぱいになったエリート陸軍官僚に小野寺公電の内容がガセネタのように見えたので、ノイズ(雑音)を消すために公電を抹消した可能性である。第1の場合、エリートの良心が問われる。第2の場合は、情報を判断する能力が低いということになり、エリートとしての能力が問われる。

日本外交が停滞している大きな原因は、エリートであるはずの外務官僚の能力が低下し、良心がまひしているからだ。日本外交を立て直すためにもよきケーススタディーになる。(談)



上の文章では、歴史的事実の解説がないので、若干の説明を加えさせて頂きます。

まずは、台湾沖航空戦について掲載します。まずは、下の動画を御覧ください。これは、大本営による台湾沖航空戦の戦果発表などをまとめた内容です。




【私の論評】現在でも、同じようなことが繰り返されている日本だが、今の私達はそれを打ち破る手段を手にしている!!
これによれば、まさに一大大戦果であり、本当にこのくらいの戦果があれば、本土防衛もうまくいったかもしれません。これだけの大打撃を与えることができたら、米国と講和を結び、大東亜戦争を終結させたこともできたかもしれません。しかし、これは、虚偽の発表だったということです。事実は、ほとんど何も戦果をあげられなかったということてず。この虚偽に関しては、大多数の人が、終戦後に知りました。本当にとんでもない虚報です。

台湾沖航空戦の詳細については、こちらをご覧いただくものとして、要旨だけ以下に掲載しておきます。
台湾沖航空戦(たいわんおきこうくうせん、1944年10月12日 - 10月16日)は、太平洋戦争における戦闘のひとつ。レイテ島の戦いに先立って台湾から沖縄にかけての航空基地を攻撃したアメリカ海軍空母機動部隊を、日本軍の基地航空部隊が迎撃した。アメリカ軍の損害は軽微であったが、日本軍は戦果を誤認したまま大本営発表を行い、続いて生起したレイテ沖海戦にも影響を与えたとされる。
さて、次にヤルタ会談ですが、これもまずは、下の動画をご覧になってください。


ヤルタ会談(ヤルタかいだん、英:Yalta Conference)は、1945年2月4日~11日にクリミア半島のヤルタで行われた、F.ルーズベルト(アメリカ合衆国)・チャーチル(イギリス)・スターリン(ソビエト連邦)による首脳会議です。

第二次世界大戦が佳境に入る中、ソビエト連邦(ソ連)の対日参戦、国際連合の設立について協議されたほか、ドイツおよび中部・東部ヨーロッパにおける米ソの利害を調整することで大戦後の国際秩序を規定し、東西冷戦の端緒ともなりました(ヤルタ体制)。

特に、ヤルタ会談の中で、握りつぶされてソ連の対日参戦に関する情報が伝わらなかったということは、とんでもないことです。この情報を察知して、それに対する行動をしていたら、北方領土なる言葉はなかったかもしれません。

以上のようなこと、過去の話しではありません。たとえば、上の記事では、原子力ムラの話がでていますが、このような例は、まだまだ多くあります。

最近は、税と社会保障一体改革法案をめぐって、政局が鳴動していますが、たとえば、財務省の増税を正当化するための増税キャンペーンなどもこれに類するものです。やれ、日本が財政破綻するとか、国民一人あたりの借金700万とか、滅茶苦茶、破茶目茶な話をつくりだし、一大キャンペーンをして、新聞などのマスコミもこれに追随しています。これに関しては、もう、随分私自身も、このブログで掲載してきましたし、他のメデアでも、とことこん述べられているので、これを知らない方などいないと思いますし、もし、知らない方がいらしたら、私のブログでも、三橋さんや、上念さんあたりのブログなどをご覧いただければ判ることなので、ここでは、掲載しません。

ここで、強調しておきたいのは、日銀の嘘八百です。そうして、この嘘八百、少し考えれば、誰にでも理解できるのに、日本の新聞記者などの金融知識があまりにお粗末なので、垂れ流しされているというのが実体です。これについても、以下の動画を御覧ください。



上の動画では、経済評論家の上念司氏が、世に蔓延するデタラメ経済評論をブッタ斬っていく『メディアの嘘を見抜け』というものです。今回は「日銀の独立性」を盾に、異論を何でもかんでも圧力と切り捨てる­日銀の傲慢姿勢と、それに率先して援護射撃するマスコミの世論操作ついて警告しています。

なお、「日銀の独立性」とは、世界で常識にもなっている「中央銀行の独立性」とのことですがこれは、「一国の中央銀行は、政府の金融政策に従い、それを実行するために専門家的立場から、実施する方法を選ぶ自由がある」というものです。しかし、日本では、日銀法が改悪されて以来、日銀の独立性を「政府ではなくて、日銀が日本国の金融政策を決定して、実行する自由」と勝手に解釈して、暴走どころか、爆走しまくっています。ことごとく、デフレを推進する政策を繰り返して、日本がデフレから脱客できないような政策を打ちまくっています。とにかく、この日銀なんとかしなければ、政府が増税をやめるとか、財政出動をしたとしても、全部日銀に握りつぶされてしまいます。

今年1月訪日したガイトナー長官と、安住財務大臣
日銀がやる情報操作など、たとえば、先日ガイトナー長官が、来日して公演したときも、長官自信は、中央銀行の独立性に関して、正しい認識を述べているにもかかわらず、日銀が出した日本語の資料によれば、まるでガイトナー氏が、「中央銀行には、国の金融政策を決定できる」ように言っているように改ざんしていました。これに関しては、英語を聴いたり読んだりできるのか、という程度のレベルで、こんな簡単な間違いなどできるものではなく、意図的に歪曲しているものです。

日銀は、こういうことを平気で度々行なっています。これでは、昔大本営が、台湾沖航空戦の戦果に関する正しい情報や、ヤルタ会談のソ連参戦の情報を握りつぶしたのとあまり変わりありません。そうして、始末に悪いことに、今では、マスコミがそれを正すこともなく、間違った情報をそのまま垂れ流しです。これでは、戦中よりも悪いと思い、暗澹たる気持ちになってきます。

リーマンショックで何もしなかった日銀
しかし、一つだけ救いがあります。大東亜戦争の頃までは、通信手段があまりありませんでしたから、多くの国民は、大本営発表など、そのまま鵜呑みで信じるしかなく、そうではない情報としては、伝聞によるもので、情報量も微々たるものだったし、即時性もありませんでした。随分たってから、判るというようなもので、実際には役に立つものではありませんでした。

ところが、現代の私達は、インターネットなるものがあり、これによって、様々な情報を即時的に多くの人に流すことができます。だから、伝聞情報もバカにできなくなりました。そうして、それを活用する、ジャーナリストや評論家も多くいます。

私たちは、これを活用すれば、大東亜戦争時の一方的情報だけではなく、様々な情報にあたることができます。そうして、幸いなことに、インターネットを使うことは、中国や、北朝鮮などのように露骨に干渉されたり、制限もありません。

だから、現在の世の中では、上記のような情報の完璧な握りつぶしなど、やりたくでもできないでしょう。


ただし、気をつけなければならないのは、インターネットから得られる情報は、ほとんどが伝聞情報ということです。だから、その情報源などにあたって確認するなどのことが重要で鵜呑みはいけいなと思います。

とはいいながら、仕事を持っている一般人がいつも、こま目に確認することなどできません。だからこそ、こま目に確認しなくても、良いよいようにマスコミが存在するはずなのですが、最近の大手新聞の経済・金融情報など、9割型真偽が疑わしいものばかりです。

マスコミがあてにならないので、やはり、インターネットの情報に頼る必要があるわけですが、全部の真偽を疑って、すべてチェックすると、それだけで、何もできなくなりますから、情報源として正しいと思えるものをピックアップして、それも、いつも鵜呑みするのではなく時々確認して活用するという姿勢で望むべきと思います。

そうすることによって、上のような簡単なだましは見破れます。情報、特に重要な情報に関して、現在でも、大東和戦争末期と同じようなことが繰り返されている日本ですが、今の私達はそれを打ち破る手段を手にしていることです。





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2012年8月7日火曜日

腹くくった谷垣氏 解散確約を優先、強硬作戦決断のウラに小泉元首相 - MSN産経ニュース −【私の論評】腹をくくったらいけるところまで行け!!国民のほとんどはデフレ下の増税に反対だ!!

腹くくった谷垣氏 解散確約を優先、強硬作戦決断のウラに小泉元首相 - MSN産経ニュース


自民党の谷垣禎一総裁が今国会中の衆院解散・総選挙の確約を求める強硬作戦にかじを切った。消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法案の成立と解散という「二兎」を追っていた谷垣氏だが、解散を優先することにした。このタイミングを逃せば解散の機運を逃してしまうだけでなく、9月末に任期切れを迎える自らの命脈も尽きてしまうとの「お家の事情」もあった。


岡田克也副総理「なんとか法案を成立させてほしい」

大島理森副総裁「解散の確約がないと難しい」

自民党は当初、法案を成立させたうえで解散に追い込む方針だった。野田佳彦首相が命運をかけている法案に協力した以上、首相から「見返り」として、解散時期について明示があると期待した。


ところが、首相は早期解散を確約しないどころか、1日に連合の古賀伸明会長と会談した際、来年度予算編成にまで言及した。これに激怒した谷垣氏が2日の記者会見で「俺にけんかを売っているのか」と珍しくすごんでも首相からはなしのつぶてだった。

自民党が2日の党幹部会で7日にも首相問責決議案を提出すると打ち出しても民主党が慌てる様子はなかった。首相は3日の内閣記者会のインタビューで解散・総選挙日程について明言を避けた。

エルサレムの嘆きの壁にて(小泉純一郎氏)
意外な人物も谷垣氏を後押しした。「政局勘」では定評のある小泉純一郎元首相だった。


7月28日。都内のホテルのロビーで、小泉氏が石原伸晃幹事長を呼び止めた。

「いったい何をやっているんだ。野党が解散権を握ってる政局なんてない。こんなチャンスは珍しいんだぞ!」

小泉氏は、それから10分にわたり石原氏に活を入れ、そのけんまくに他の客が立ち止まるほどだったという。小泉氏は他の党幹部や派閥領袖(りょうしゅう)らにも電話で「勝負時だ」と説得した。


歩調をあわせるように息子の小泉進次郎青年局長も1日、3党合意破棄を申し入れた。

これに対し、合意順守を求めてきた森喜朗元首相は5日、石川県小松市での会合で「自民党は国家百年の計と思って(法案成立に)協力すべきだ。そうでなければ民主党を割った小沢一郎(新党『国民の生活が第一』代表)にくみすることになる」と牽制(けんせい)した。

それでも党内で強硬論が強まるなかで、首相から解散の確約を引き出すか、解散に追い込まなければ、9月の総裁選を控え「谷垣降ろし」の号砲が鳴ってしまう。

「優柔不断が代名詞」ともいわれる谷垣氏だが、自民党幹部はこう語る。

「総裁は完全に腹をくくった。もう止まらんぞ」(佐々木美恵)

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】腹をくくったらいけるところまで行け!!国民のほとんどはデフレ下の増税に反対だ!!

新党「国民の生活が第一」など自民、公明両党を除く野党6党は本日、消費増税関連法案の成立を阻止するため、内閣不信任決議案を衆院に共同提出しました。また、自公を除く野党7会派は参院に野田佳彦首相に対する問責決議案を出しました。自民党も首相が衆院解散を確約しない限り、独自に不信任案や首相問責案を提出する構えです。

法案を審議している参院特別委員会は8日の採決でいったん合意しましたが、不信任案や首相問責案の提出を受け、見送られる見通しです。

不信任案を提出したのは生活、共産、新党きづな、社民、みんな、新党日本。提出理由で「国民の多くは消費増税法案に反対しており、今国会で成立させるべきではないとの声は圧倒的多数」と指摘。「国民への約束、国民の声に背く政治姿勢をとり続ける野田内閣は信任に値しない」と断じました。民主党幹部は、不信任案を採決する衆院本会議は10日になるとの見通しを示しました。


首相問責案は、生活、みんな、共産、社民、みどりの風、新党改革、新党大地・真民主の7会派が共同提出しました。

自民党は7日の役員会で、不信任案などの扱いを谷垣禎一総裁に一任しました。同党は、法案成立前の不信任案提出に慎重な公明党と幹事長・国対委員長会談を開催。生活などの動向を見極めた上で、対応を最終判断する考えを伝えました。

さて、少し前まで増税本決まりのようになったいたのが、最近は情勢が随分変わってきました。このことについては、以前のブログにも掲載したので、なぜこのように風向きが変わってきたかは、ここでは述べません。詳細は、当該ブログをご覧になってください。 


増税に関して最近のアンケートでは、実に61.8%もの人びとが反対です。以下のグラフは、週刊文春の最近のアンケートです。これは、政府から、財務省から、新聞・テレビのマスメディアが大増税キャンペーンをはっているにしては、かなり大きな数字だと思います。

それに、年齢があがっていくほど、賛成のパーセントがあがっているというのも頷ける結果です。結局増税は、富裕層や高齢者に優遇的であり、それを敏感に感じ取っているのだと思います。それに、若い世代のほうが、高齢者よりは、ネットなどの情報源が豊富にあるので、財務省増税キャンペーン以外の情報源も判断材料にしているためであると思われます。

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/1463?page=2

このブログでは、増税になれば、税収が減ることなど再三にわたって掲載してきました。しかし、増税による弊害はそけだけではありません。雇用の問題もあります。増税することにより、名目GDPがさがります。ということは雇用にもかなり悪影響を及びます。具体的には、賃金が減る、雇用状況が悪化して、仕事がなくなるということです。そうして、国民所得が減り、税収も減ります。


増税すると、税収だけではなく、具体的個人の生活がどうなるかなども、いろいろシミレーションされています。その中でも賃金が減るとどういうことになるか、以下でシミレーションされています。

http://www.zakzak.co.jp/zakspa/news/20120807/zsp1208070847001-n1.htm


シミレーションの内容など直接このサイトをご覧いただくものとして、酷いことになるは、はっきりしています。

ちなみに、年収380万円の独身男性の場合のシミレーションは、以下のようになります。


 しかし、このシミレーションには含まれていないこともあります。そもそも、このシミレーションは賃金が下がらないということを想定しています。しかし、増税によってますますデフレ・スパイラルが進めば、賃金だって無論下がります。その場合、6万円どころではなく、10万円もしくはそれ以上になることも考えられます。

そうして、これはまだ良いほうかもしれません。デフレ・スパイラルに入れば、さらに、ものが売れなくなるので、多くの企業は設備投資は控え、人員も整理することになります。そうなると、年間6万減るどころか、解雇されてしまうかもしれません。

日本では、他国よりも消費税が安いように報道されていますが、それは事実なのでしょうか?日本の5%という数値は、諸外国に比べたらかなり低い税率のように見えます。2007年1月のデータによると、アジアでは中国が17%、韓国が10%、フィリピンが12%、日本と同じ5%なのが台湾とシンガポール。

さらに世界に目を向けると、フランスが19,6%、ドイツが19%、イギリスが17,5%とかなり高い税率に。そして最も高いのがデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの北欧の国々で25%となっています。(*国によっては食料品や生活必需品などの特定品目のみ減税)ちなみにアメリカでは州や郡によって税率が異なります。

消費税率だけ比較してみると、確かに日本の税率は低く見えます。しかし問題なのは、日本では年金暮らしのおばあちゃんや派遣社員が買う100円の大根も、社長のドラ息子が道楽で買う1千万円以上のフェラーリにも、一律に税金を掛ける事です。消費税が10パーセントや15パーセントになっても金持ちのドラ息子は全然平気ですが、年金暮らしのおばあちゃんや派遣社員の生活は破綻してしまいます!

ゆえに先進国の大半では、消費税税率をひとくくりにせず、食料品などの生活必需品とそうでない商品とでは、税率を分けて設定しています。イギリスやアイルランド、メキシコ、オーストラリア等の国々では、食料品の消費税はゼロ(無税)に設定しています。贅沢品と生活必需品の税率をきっちり分けている国のほうが、世界的にははるかに多いのです。

そうして、こうした軽減税率を適用している国と比較すれば、日本の税率5%は決して低いとはいえず、実際には、20%程度にしているのと変わらないともいえます。

それに、日本ではほとんど知られていないことですが、スウェーデンなどの高福祉国家では、確かに税率が高いですが、そのかなり多くの部分は、国庫にはいらず、逆累進的に、国民に返還されるようになっています。(要するに、給料の低い人に多めに返還されるということ)

それに、気をつけなければならないのは、国民負担のことです。

スウェーデンよりも国民負担の重い日本

世間一般では、日本では何か税金がスウェーデンよりも低く、将来の社会保障などのことを考えれば、増税もやむなしという意見も多くなってきていました。しかし、この議論、何かを忘れています。さて、財務省から出されている税金と社会保障費を含めた、国民負担率は以下のような数字で表されます。
 
     国民負担率=(租税負担+社会保障負担)/(国民所得)


アメリカ34.5%
日本40.1%
ドイツ51.7%
フランス62.2%
スウェーデン70.7
国民負担率を諸外国との比較を表にすると上のようになるそうです。これは、2008年度の数字ですが、2007年にはじめて40%を超えたそうです。2007年、2008年というと、「実感なき成長」といわれ、経済が伸びていたはずなのに、どうして国民負担率があがったか理解できないところです。それは抜きとして、問題は一体この数字で何が言いたいのかというところです。

スウェーデンは高福祉だが高負担だ、といいたいのでしょうか。確かに、スウェーデンの国民負担は70%くらいと見えますが、実際には政府は「あずかる」だけで、政府は素通りして、そのまま右から左へ50%を国民に配るのです。それがばらまきかどうかは別として、金額としては国民から集めてそのまま国民に配るので国民は負担していません。

100万円もらったお給料のうち70万円天引きされたましたが、同時に50万円振り込まれました、その場合国民負担70.7%といえるのでしょうか。(但し、高所得者は多くとられて低所得者は大きく戻ってくるので、これは国民全体を一まとめとした場合と考えてください)。

上の式は、正しい用語などどう表記すれば良いのかは、わかりませんが、下の式のように「国民への還付」という項目を加えるべきです。

国民負担率=(租税負担+社会保障負担ー国民への還付)/(国民所得)

これを加えれて換算すれば、おそらくスウェーデンの本当の国民負担率は、20%程度です。日本は40%ほど集めて15%ほど配るので、本当の国民負担率は25%ほどです。これはスウェーデンより国民負担は重いといわざるをえません。


ですから、スウェーデンの国民負担率が高いなどというのは錯誤にすぎません。実際日本の財務省だけが、国民負担率なる他国にはない統計数値を発表し続けています。もちろん官僚の出す数字というのは数字そのものは虚偽ということはありません。しかし、毎年国民負担率なる数字を発表し、スウェーデンの数字を付記することを忘れない。こんな錯誤を誘発するようなことがいつまでも通用するはすがありません。

こんな状況で、消費税をあげれば、日本は、デフレの深見にはまり、上記でも示した通り、大変なことになります。

ロンドンオリンピックでスウェーデンを応援する観客
最近は、ロンドンオリンピックで寝不足になる人が多いでしょうが、イギリスといえば、日本で報道されるのは、オリンピックだけのようですが、日本のマスコミがほとんど報道しないことがあります。それは、イギリスでは不況の最中に財政赤字を解消しようとして、付加価値税(日本の消費税にあたる)を増税しましたが、それが、予想どおり失敗しています。

このブログでも、掲載したように、付加価値税(日本などとは異なる食品など軽減税率あり)をあげてから、イングランド銀行が、大幅な増刷を行ったのですが、それでも、不景気なままです。そうして、最近では、オリンピックでも、ロンドンの景気は良くありません。

デフレの最中で、こんな増税を行うなど、狂気の沙汰以外のなにものでもありせん。谷垣さん、一度腹をくくったというのであれば、とことん行けるところまで行ってください!!二兎を追う者は一兎をも得ずという格言があります。消費税増税を政局の道具として増税するのではなく、当面増税なし、景気が浮揚して、インフレになれば、増税するというように、宗旨替えしていただきたいものです。そうすれば、国民はついてきます。そう思うのは、私だけでしょうか?

【関連記事】

五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?








2012年8月6日月曜日

いま日本に求められるリーダーは理系か文系かを専門家分析―【私の論評】若いうちに厳しく訓練されリーダーシップを仕事とみなす人だけがリーダーになれる!!

いま日本に求められるリーダーは理系か文系かを専門家分析:


グローバルリーダーには理系出身者が多い一方で、日本の大企業ではまだまだ文系出身者が多い。原発事故で対応が批判された東京電力のトップは、“東大文系”ばかり。原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が、原子力の安全規制当局としての責任を追及された際に「私は文系なので…」と呆れるいい訳をしたことも記憶に新しい。ということはいま求められる日本のリーダーは理系? しかし、そう単純な話でもなさそうだ。『理系バカと文... 続きを読む

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NEWSポストセブン
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この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】若いうちに厳しく訓練されリーダーシップを仕事とみなす人だけがリーダーになれる!!

このブログでは、いわゆるリーダー教育というものを掲載したことがあります。そうしてその際に、失敗の例として、松下政経塾をあげました。真のリーダー養成校は確実に世界中に存在しており、 かつて日本にも、存在していましたが、今は残念ながら、ほとんど存在していません。


世界のリーダーシップ養成校として認められている学校は、世界中に存在しており、それは、いわよるボーディング・スクールというものです。たとえば、イギリスであれば、イートン校のような存在です。これらの学校は、中高一貫教育で、勉学からスポーツその他を徹底して厳しく叩き込みます。ここでは、あまりボーディング・スクールそのものについては述べませんが、以下に世界のボーディング・スクールのリストを掲載しておきます。


上は、海外ですが、日本にも、世界的に有名ではないですし、数も少ないでずか、ボーディング・スクールがあります。それが、以下です。
函館ラサール学園
この中で、海洋中等教育学校などは、最近はテレビなどで放映されて結構知名度があがったと思います。以下にその紹介ビデオを掲載しておきます。


若いうちの叩き込みが重要なのです。そうして、この若い時期のつめこみ、そうして、できうるならば、幼少の頃の厳しい躾があれば、そこから、リーダー的資質を持った人が生まれる確率は高くなります。だからこそ、諸外国では、ボーディング・スクールがこのように多いのだと思います。

それから、先に掲載した、松下政経塾は、全寮制ではありますが、入塾できるのが、22歳以上35歳以下の青年ということであり、ここが、ボーディング・スクールとの大きな違いです。そうして、皆さんご存知のように、この塾からは、リーダー的素質を欠いた人というより、平たくいうとボンクラばかり育っています。やはり、この年齢以上では、リーダー的素質を持った人を育てるということはほとんど無理なのです。松下幸之助氏は、商家の出ということもあり、武家の厳しい幼少期からの教育などあまり知らなかったがため、このようなことになったのだと思います。

以下に、松下政経塾の実体を示す動画を掲載しておきます。


日本には、いわゆる全寮制の学校は、ありませんでしたが、それにしても、中高の頃徹底的に詰め込み教育をするところはありました。それは、江戸時代までの藩校とか、私塾でした。これは、全寮制ではありませんでしたが、それにしても、若いうちに徹底的に様々なことを叩き込むということにおいては、西洋のリーダー養成校と負けず劣らずのものでした。その良い例は、吉田松陰の松下村塾です。

やはり、鉄は熱いうちに、打てという諺どおり、若いうちに、徹底的にありとあらゆることを叩きこむということが、リーダー教育には、重要なのだと思います。そうして、諸外国のポーティング・スクールでは、理系・文系にかかわらず、徹底的に知識を詰め込みます。それに、国家意識、国民意識、スポーツその他規律も負けず劣らず、徹底的に叩き込みます。だから、基本的な事柄に関しては、理系・文系にかかわらず、頭の中に、いわゆる、とっかかりができるわけです。これらの学校を卒業した人たちによれば、次から次へと課題を与えられるということで、イジメなどしている暇はないようです。それよりも、互いに助け合うという精神が生まれるそうです。そこから、コミュニケーション能力も養われるのだと思います。


こんなことを考えると、上でいうところの、理系・文系という分け方など、何の意味も持たないと思います。そんなことより、早期の詰め込み教育のほうが、よほど重要だということです。

こういう基本ができている人が、大学、大学院に進学してさらに大きな器になるという事です。そこからいくと、日本の最近の教育は後退していると思います。得に、戦後の教育は、日教組などの暗躍により、本来のリーダー教育に必要な教育をできないようにしています。

ゆとりの教育で用いられた、パンフレットのようなペラペラの教科書
それに、しばらく前までは、「ゆとりの教育」が行われていました。こんな有様では、とてもじゃないですが、日本にリーダーシップを持った有能な人がてでくる確率はますます少なくなると思います。


それから、ドラッカーは、リーダーシップについて、以下のようなことを語っています。
「リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」(『現代の経営』) 
リーダーシップとは仕事であるとドラッカーは断言する。リーダーシップの素地として、責任の原則、成果の基準、人と仕事への敬意に優るものはない。 
リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。 
リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだとドラッカーは言う。 
リーダーと似非リーダーとの違いは目標にある。リーダーといえども、妥協が必要になることがある。しかし、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まる。 
ドラッカーは多くの一流のリーダーたちを目にしてきた。外交的な人も内省的な人もいた。多弁な人も寡黙な人もいた。 
 「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」(『プロフェッショナルの条件』)
上記のように、ドラッカー自身は、リーダーシップは、特定の資質などではないといいます。しかしながら、ドラッカー自身も、若い時代にいわゆる、詰め込み教育をされていたことは明らかです。それも、随分特殊な環境にあったようです。それは、ドラッカーの父親は、オーストリア・ハンガリー帝国の官吏であり、その当時の著名人が、ドラッカーの家に集い、一種のサロン的な役割を果たしていいたということです。子供の頃からのこうした体験が、ドラッカーに大きな影響を与えなかったはずはありません。


上の記事のように、リーダーには、理系か文系かなどの論議は、全く不毛だと思います。若いうちの、ある程度以上の詰め込みと、あとは、ドラッカーの言っているように、「リーダーシップを仕事」わみなして、努力する人のみが、本当のリーダーになれるのだと思います。そうして、ドラッカーの時代、特にドラッカーが教育を受けだ時代など、幼少期の教育では、道徳教育と規律に関する厳しい教育がなされていたし、大学に入る前の段階で、様々な詰め込み教育が当たり前でした。

だから、ドラッカーはそんなものは当たり前で、リーダーシップは仕事であると言い切れたのでしょうが、あれから随分ときがたち、特に日本では、日本の社会の社会主義化を目指した日教組が、台頭し、今では目標を見失って、ひたすら内にこもる組織となり、さらには、ゆとり教育などが導入され、まさに、危機的状況になりました。さすがに、「ゆとり教育」は廃止されましたが、日教組などは、亡霊のように残っています。

ドラッカーが今のこの状況をみれば、リーダーシップは資質ではないと言い切れないのではないかと思います。とはいいながら、日教組の組織率も随分低下しています。これから学校の先生になる人たちは、日教組に入らないようにして、日教組の有名無実化を推進すべきです。いずれにせよ、今日本では、特に公立学校ではリーダーシップの資質を育てる教育環境にはありません。

今の政治家はほとんどが戦後の教育を受けています。民主党は、何も決められず、政権が長持ちすることに苦慮しているだけです。自民党も、デフレ下の増税などという愚かな政策を推進し、民主党の補完勢力になっているありさまです。この閉塞感を打ち破るには、強力なリーダーが必要ですが、強力なリーダーシップを発揮しうるかどうかを見極める手段として、中高時代に受けた教育の内容、さらには、ドラッカーが主張しているような「リーダーシップ」を仕事とみなしているかどうかを判断材料にしていく必要があります。間違っても、ヒトラーのような似非リーダーシップを本物のそれと見誤ってはならないと思います。

このようなことにならないため、私たちは、日ごろから、文系・理系のどちらがリーダーに向いているかなどの瑣末なことは脇においておいて、リーダーシップの本質を学んでいく必要があると思います。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?


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