2024年4月20日土曜日

「血を流す場合もある」国民に説得を 岸田首相「グローバル・パートナー」の責任 集団的自衛権のフルスペック行使、憲法改正が必要―【私の論評】憲法改正をすべき決断の時が迫ってきた!日本国民は覚悟をもってこれに臨め

八木秀次「突破する日本」

まとめ
  • 岸田首相は米国訪問後、日米関係を「かつてなく強固な信頼関係に基づくグローバル・パートナー」と位置づけ、安倍元首相の憲法改正の志を引き継ぐ決意を示した。
  • 「グローバル・パートナー」と称したからには、集団的自衛権の制約を外し、同盟国と連携して権威主義国家に立ち向かうため、憲法改正が求められる。
  • 安倍元首相は「血の同盟」と表現し、日米同盟の本質は互いに血を流す覚悟が求められると説明していた。
  • 岸田政権は安倍政権の遺産を継承し、安全保障政策を推進してきた。「グローバル・パートナー」発言はその延長線上にある。
  • しかし、「グローバル・パートナー」として日本に犠牲や負担が求められる可能性があり、政府は国民にその覚悟を真剣に訴える必要がある。
 岸田首相は米国訪問後、日米関係を「かつてなく強固な信頼関係に基づくグローバル・パートナー」と位置づけ、安倍元首相の憲法改正の志を引き継ぐ決意を示した。

 「グローバル・パートナー」と称したからには、集団的自衛権の制約を外し、同盟国と連携して権威主義国家に立ち向かうため、憲法改正が求められる。

 安倍元首相は「血の同盟」と表現し、日米同盟の本質は互いに血を流す覚悟が求められると説明していた。

中国を訪問した安倍首相

 岸田政権は安倍政権の遺産を継承し、安全保障政策を推進してきた。「グローバル・パートナー」発言はその延長線上にある。

 しかし、「グローバル・パートナー」として日本に犠牲や負担が求められる可能性があり、政府は国民にその覚悟を真剣に訴える必要がある。

 岸田首相は米国訪問から帰国後、国会で米国とのグローバル・パートナーシップを強調した。これは安倍元首相が目指した「血の同盟」、つまり米国と共に自由や民主主義、法の支配を守るために必要ならば犠牲をいとわない決意を示したものと解釈された。

 「グローバル・パートナー」と位置づけた以上、日本には集団的自衛権の行使制限を外し、同盟国・同志国と連携して中国・ロシア・北朝鮮などの権威主義国家に対処できるようにすることが求められる。そのためには、憲法改正を含む国内法整備が不可欠となる。

 安倍元首相は過去に「血の同盟」という言葉で、日米同盟の本質を説明していた。米国が攻撃を受ければ米兵が血を流すが、当時の憲法解釈下では自衛隊はそうできず、完全なパートナーと言えないと指摘した。その後、安倍政権で集団的自衛権の行使が一部可能となり、現在では米軍が攻撃された場合、自衛隊員も戦闘に加わり血を流す可能性がある。

 岸田政権は安倍政権の遺産を継承し、国家安全保障戦略の改定、防衛費増額、反撃能力保有など安全保障政策を推進してきた。「グローバル・パートナー」発言はその延長線上にある。日本の抑止力を高め、国際的地位を格段に上げたと評価できる。

 しかし同時に、「グローバル・パートナー」としての日本には、場合によっては自衛隊員や国民に犠牲や負担が強いられる可能性もある。自由社会を守る役割の増大に伴い、そうした覚悟を政府から国民に真剣に訴える必要がある。権威主義国家の脅威に対し、日本は相応の役割を果たさなければならない。

これは、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。
 
【私の論評】憲法改正をすべき決断の時が迫ってきた!日本国民は覚悟をもってこれに臨め

まとめ
  • 岸田首相の「グローバル・パートナー」発言には、日米間の軍事、価値観、地政学、経済など多面的な協力関係が含意されている。
  • 軍事面では日米同盟の強化が期待されるが、安倍元首相の「血の同盟」発言のように、現行憲法下では対等とは言えない。
  • バイデン政権は自由・民主主義の価値観を共有する日本を重要パートナーと位置付け、中国の対抗上、日本の地政学的役割を期待している。
  • 経済面でも、重要技術分野などで日米協力が経済安全保障の観点から求められている。
  • こうした協力関係を実現するには、日本の憲法改正が不可欠であり、トランプ前大統領がこれを支持する可能性もあるが、結局のところは民意であり、政府も国民にも決断の時が迫っている。

米国にとって、岸田首相が米連邦議会の演説で「グローバル・パートナー」と呼んだ日米関係には、軍事、価値観、地政学、経済など、多面的な側面が含まれていると考えるでしょう。

軍事面では、安倍元首相が「血の同盟」と表現したように、同盟国同士として緊密に連携することが期待するでしょう。ただし安倍氏の発言は、当時の日本の憲法解釈では米国と同等の関係とはいえないと批判的に指摘したものです。それでも、岸田首相の「グローバル・パートナー」発言は、日米同盟の軍事的協力関係を再確認したと受け止められたでしょう。

また、バイデン政権は「民主主義対権威主義」の構図を重視しており、自由・民主主義の価値観を共有する日本を重要なパートナーと位置づけています。「グローバル・パートナー」という表現には、こうした価値観の共有関係が込められているとみられます。

さらに、中国の台頭に対抗するため、日米はインド太平洋地域におけるルール作りなどで協力する地政学的な戦略的パートナーとしての機能が期待されています。アジア重視を掲げるバイデン政権にとって、日本はこの地域での軸足となる存在です。

加えて経済面でも、日米は貿易、投資、金融をはじめ幅広い分野で協力関係にあります。特に重要技術分野での連携が経済安全保障の観点から求められており、「グローバル・パートナー」にはそうした経済面での協力も含意されていると考えらます。

このように「グローバル・パートナー」という言葉には、多岐にわたる分野での緊密な協力関係が内包されています。米国は日本が同盟国であり、価値観を共有するパートナーであり、地政学的・経済的に重要な役割を果たすことを期待しているといえます。

これらを実現するためには、特に日本が米国との地政学的パートナーであるためには、日本国憲法の改正が必須です。

米国の保守派からみても、日米関係が最も重要であることは明らかです。米保守派は、第二次世界大戦後、左派勢力によって押しつけられた日本国憲法の平和主義的性質が、日本が世界舞台で対等なパートナーとなる能力を妨げてきたとみているでしょう。

日本は自国の憲法をよく見直し、より積極的で貢献的な同盟国となるために必要な改正を行う時期が来ていると認識しているでしょう。

自民党の麻生副総裁は、来週、アメリカを訪問する方向で調整しています。関係者によりますと、トランプ前大統領との面会を模索しているということで、秋に大統領選挙を控える中、幅広く人脈を構築するねらいがあるものと見られます。

自民党麻生副総裁

これが実現したとして、麻生・トランプ会談では、当然日米の「グローバルパートナー」としての関係を強めることも話題になると考えられると思います。

米国の保守派は、トランプ氏は、日本の憲法改正を支持すると思います。それが、日本の憲法改正を支持する可能性もあると考えているでしょう。

日本の左派は、他の西側諸国の左派と同様に、現状維持を好む傾向があり、特に軍事面での新たな動きに対しては警戒感を持つ傾向があり、進化する安全保障上の課題を認識することに消極的であることが多いです。 彼らは、自国を守り、地域の安定に貢献できる強い日本が日本国民の最大の利益であることを理解していません。 

しかし、トランプ大統領の潜在的な支持と適切なメッセージがあれば、麻生副大統領と自民党は日本国民に説得力のある主張をすることができるかもしれません。 強固な日米同盟の重要性を強調し、民主主義と自由という共通の価値観を強調し、安全で繁栄したインド太平洋地域のビジョンを提示すれば、憲法改正を支持する世論を揺るがす可能性があります。 

私は麻生副大統領とトランプ大統領の会談は確かに日本の憲法改正への足掛かりとなる可能性があると思います。 トランプ大統領の支持と正しい戦略的アプローチがあれば、自民党は日本国民に説得力のある主張をし、反対を克服し、日本を世界でより自信を持って積極的な役割を果たす方向に導くことができるかもしれません。

2021年の憲法改正毎日新聞世論調査では「賛成」48%、「反対」31%です。 憲法改正は全く不可能という状況ではないと考えられます。現在では、「賛成」の比率がもっと高くなっているかもしれません。

もし、そうであり、さらにトランプ氏が大統領に返り咲き、日本の憲法を改正を支持する旨をはっきりさせれば、憲法改正の後押しになるのは間違い有りません。

トランプ氏

ただ、現状では岸田政権の支持率が低く、仮に岸田政権が崩壊して総理大臣が変わったにしても、自民党政権が続く可能性が高いですが、ポスト岸田は、岸田氏と同等か、それ以上のリベラル派である可能性が高いです。そうなると、憲法改正は遠のく可能性があります。

これを防ぐためにも、日本でも与野党に限らず、保守派の台頭が望まれるところです。ただ、最終的には国民の民意が憲法改正の実現を左右する最大の要因になると考えられます。

憲法は国民主権の理念に基づく最高規範であり、改正には国民投票による過半数の賛成が必要不可欠です。保守派の台頭や政権与党、米国政府の後押しは一定の影響力を持ちますが、それだけでは改正を実現するには不十分です。

中国、ロシア、北朝鮮など、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、それに伴い日本の防衛力強化の必要性が高まっています。現行憲法の縛りのため、自衛隊の活動には一定の制約があることも事実です。

そうした中で、憲法改正に向けた動きが過度に遅れれば、日本の安全が脅かされかねません。時間をかけすぎて機を逸してしまっては本末転倒です。国民的議論を尽くしつつも、スピード感を持って対応すべきです。

仮に結局国民議論が十分に尽くされず、国内が分断したとしても、他国に占領されたり、そこまでいかなくても、他国に蹂躙されるよりはましです。憲法改正によって国民が、分断しても、その後議論を尽くすことはできます。しかし、日本が独立を失ったり、他国に蹂躙されて、従属するようになれば、それはできません。

政府も、国民も、場合によっては自衛隊員や国民に犠牲や負担が強いられるかもしれないことを覚悟したうえで、憲法改正をすべき決断の時が迫ってきたといえます。

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