- 衆院東京15区補選で4位となったが、想定より良い結果だった
- 日本保守党は結成以来初の国政選挙に挑戦し、2万票台を獲得
- 出馬理由は国に恩返ししたいという思いから
- 今後の政治活動については白紙だが、日本のために尽くす活動は続ける
- 一部メディアは「自民不満層」に響いたと報じたが、日本のための政治・政策を広める活動を続ける
- 立憲民主党が東京15区で当選を果たし、首都圏の野党支持層の根強さと自民党不在の影響が大きかった。
- 一方で、日本維新の会の低迷や無所属候補への保守層支持の分散など、東京での保守勢力の組織力の脆弱さが露呈した。
- 島根1区、長崎3区でも立憲民主党が勝利しており、地方での保守勢力の地力にも開きがある。
- 投票率の低迷から、保守・野党双方で支持基盤拡大が課題であることがわかる。
- 保守勢力は理想論に囚われず、現実的な政策提言と誠実な姿勢で「保守の要件」での結集と大同団結が必要不可欠である。
東京15区衆院補選で立憲民主党の新人の酒井氏が当選 |
▽酒井菜摘(立民・新)当選 4万9476票
▽須藤元気(無所属・新)2万9669票
▽金澤結衣(維新・新)2万8461票
▽飯山陽(諸派・新)2万4264票
▽乙武洋匡(無所属・新)1万9655票
▽吉川里奈(参政・新)8639票
▽秋元司(無所属・元)8061票
▽福永活也(諸派・新)1410票
▽根本良輔(諸派・新)1110票
立憲民主党の新人の酒井氏が、日本維新の会の新人などほかの8人の候補を抑えて、初めての当選を果たしました。
東京15区では、立憲民主党が当選を果たし、首都圏における野党支持層の根強さと自民党不在の影響が大きかったことが露呈しました。一方、日本維新の会の低迷や、乙武氏への一定の保守層支持層による票の分散など、東京での保守層の組織力の脆弱さを示す結果となりました。
乙武氏を応援する小池百合子東京都知事 |
島根1区、長崎3区でも立憲民主党が勝利を収めており、地方においても保守的政策を打ち出す勢力の力は弱く、首都圏での足がかり確保が大きな課題です。
衆院東京15区の補欠選挙の最終的な投票率は40.70%でした。前回の衆院選(2021年)の投票率を18.03ポイント下回っています。今回の補欠選挙の最終的な投票率は40.70%でした。前回の衆院選(2021年)の投票率を18.03ポイント下回っています。そのため、今回の選挙では、無党派層の動きは少なく、立憲民主党の組織票が有利に働いたとみられます。
これに加えて、衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補選において、立憲民主党は有権者の支持を受けています。その具体的な要因は以下の通りです。
島根1区では、自民党と立憲民主党の与野党一騎打ちの構図となり、立憲民主党候補の亀井亜紀子氏が先行しています。亀井氏は立民支持層の9割、日本維新の会支持層の7割強、無党派層の4割強に浸透しているのが特徴です。
東京15区では、立憲民主党の酒井菜摘氏が一歩リードしており、他の候補者たちが続いています。酒井氏は立民支持層の7割を固めている状況にあったとされています。
長崎3区では、立憲民主党の山田勝彦氏が当選しました。山田氏は立民支持層の9割弱を固めているだけでなく、無党派層の5割弱、自民支持層の4割弱にも浸透しているのが特徴だったとされています。
これは、立憲民主党を支援・応援する勢力が互いに協調して選挙にあたったことが大きいのではないかと思います。
飯山あかり氏については、新党・保守党からの立候補で組織票がなく準備期間が短かったことを考えると、泡沫候補となってもおかしくなかったのが、2万4264票と一定の得票をしており、これはかなりの善戦だったと評価できます。これによって、日本保守党はその力を示すことができたと思われます。
ただし、飯山氏(日本保守党)と吉川氏(参政党)の得票合わせても 酒井氏の三分の二にもなっていません。これは、保守が大同団結しても届かないことを示しています。こうした現実を踏まえれば、保守勢力が今後多くの国民の支持を得るには、理想論に囚われず、現実的かつ建設的な政策提言と誠実な姿勢が不可欠です。「保守の要件」で最低限の結集を果たし、「小異を残し大同に就く」自覚が肝心です。
憲法改正、金融財政政策、安全保証などの基本的な部分が同じであれば、統一まですることはできないでしょうが、協調はすべきです。
そうして、協調には妥協が必要です。ただし、妥協するにしても正しい妥協とそうでない妥協があります。
正しい妥協とは、原理原則を譲らず、目的や目標を明確に持ち続けながら、手段や方法を柔軟に変更することです。つまり、最終目標は変えずに、そこに至る過程で現実的な調整を行うことです。一方、そうでない妥協とは、原理原則や目的、目標そのものを曖昧にしてしまい、最終的にはほとんど何も達成できなくなってしまうような妥協のことです。短期的な利益や都合のために、本来の目標から外れてしまう危険性があります。
ドラッカーは、正しい妥協こそが賢明な選択であり、リーダーには原理原則と最終目標を貫きながら、現実的な調整能力が求められると説いています。一方、目的や原則そのものを妥協してしまえば、本来達成すべきことから外れてしまいます。
つまり、正しい妥協とは、最終目標を変えずに、そこに至るプロセスを現実に合わせて柔軟に変更することであり、原理原則を守りながら、現実的に対応していくことが重要だと述べています。
ソロモン王の裁きは、正しい妥協の重要性を示している |
欧州では保守・右翼勢力が一定の支持を得て勢力を拡大している傾向がある一方で、日本の保守勢力は足元が揺らぎ、そうした欧州の潮流とは方向性が異なっていることを考えれば、日本の保守陣営が大同団結し協調し、明確なメッセージと施策を国民に示すことが急務です。
そうでなければ、保守勢力は一層後退する恐れがあります。中長期的な視点で、首都圏を足がかりに、地方での勢力回復とともに、地道な支持基盤の組織作りと有権者への訴求を続けることが、全国的な保守勢力の再生につながるはずです。
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