まとめ
- 日米同盟がかつてない強さに高まり、両国が大胆な措置を講じてきたことを確認
- 防衛・安全保障協力の深化に向け、日本の防衛力強化や日米指揮統制体制の向上などを歓迎
- 先端技術分野での共同開発・生産、経済安全保障の強化などによる日米の技術的優位性の確保
- インド太平洋地域の自由で開かれた秩序の維持に向けた地域協力の推進
- 気候変動対策での両国の連携強化とクリーンエネルギー分野でのリーダーシップ発揮
そのための具体的な取組として、まず防衛・安全保障協力の強化が掲げられている。日米両国は、同盟がインド太平洋地域の平和、安全および繁栄の礎であり続けることを確認し、日本の防衛力強化や指揮統制体制の強化など、同盟の新たな時代に対応した取組を支持した。さらに、日米の指揮統制体制の向上や情報協力の深化、ミサイル防衛の強化など、地域の安全保障上の課題に直接対処するための具体的な施策も明記。
加えて、宇宙開発、イノベーション、経済安全保障、気候変動対策など、幅広い分野で日米が連携して取り組むための新たな戦略的イニシアチブを発表した。特に、次世代技術の共同開発や、経済安全保障の強化に向けた政策協調の強化などが重要な柱となっている。
一方で、北朝鮮の核・ミサイル問題、ロシアのウクライナ侵略など、地域や世界の安全保障上の重要課題に対しても、関係国と協調して対処していくことを表明。
さらに、日米両国民の絆を一層深化させるため、人的交流の強化やグラスルーツレベルの地方自治体間連携など、多様な取組についても言及されている。
この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。
【私の論評】安倍イズムの影響下での日米同盟強化: 岸田政権の課題と展望
まとめ
まとめ
- 日米首脳会談の共同声明は、日米同盟の新たな時代を示す戦略的パートナーシップの構築を目指すものであり、防衛、経済、技術、外交など広範な分野に焦点を当てている。
- 共同声明の注目すべき点は、日本の防衛力の抜本的強化、先端技術分野での日米協力の深化、経済安全保障の強化の3つに集中している。
- 日本の防衛力の強化は、専守防衛の原則からの転換を意味し、抑止力と対処力の強化につながる。
- 先端技術分野での協力は、経済安全保障上も重要であり、両国の競争力を高める。
- 日米関係の強化には、安倍首相のリーダーシップや外交努力が大きく寄与しており、岸田首相もこの路線とともに、日本国内の政策に関しても安倍イズムを継承すべきである。
この共同声明は、21世紀の課題に取り組む日米同盟の新たな時代を切り拓くべく、防衛、経済、技術、外交など、広範な分野における具体的な戦略的パートナーシップの構築を示すものとなっています。
共同声明の中で特に注目すべき点は以下の3つです。
1. 日本の防衛力の抜本的強化
共同声明では、2027年度までに日本の防衛費をGDP比2%まで増額し、反撃能力の保有や統合作戦司令部の新設など、日本の防衛力を大幅に強化することが盛り込まれています。これは注目すべき点です。
なぜなら、これまで日本は専守防衛を旨としてきましたが、今回の防衛力強化は抑止力の大幅な強化につながるものです。地域の安全保障環境が厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力と対処力を引き上げる上で、日本の防衛力強化は不可欠な取り組みだと位置づけられているからです。
このような日本の防衛力増強は、同盟国である米国にとっても大きな意義を持ちます。日本の防衛力が強化されることで、米国の同盟国としての負担が軽減され、より効果的な抑止力の発揮が期待できるためです。
2. 先端技術分野での日米協力の深化
共同声明では、AI、量子、半導体、バイオテクノロジーなどの重要・新興技術分野で、日米が協力して研究開発や産業基盤の強化に取り組むことが明記されています。
これは注目に値する点です。先端技術分野でのリーダーシップを確立することは、経済安全保障上も極めて重要です。両国が互いの強みを活かしながら、これら次世代技術の開発や保護に協力することで、技術的な優位性を確保し、経済的な競争力を高めていくことができるためです。
また、こうした技術協力は、日米同盟の絆をより強固なものにする効果も期待できます。先端技術を共に推進していくことで、経済的な利益共同体としての側面が一層強化されるからです。
3. 経済安全保障の強化
共同声明では、日米両国が非市場的な政策や慣行への対処、信頼性のあるサプライチェーンの構築など、経済的側面からの安全保障強化に取り組むことが明記されています。
これは重要な点です。地政学的な競争が激化し、経済的な安全保障の確保が喫緊の課題となる中で、日米が緊密に協調してこの分野に取り組むことは、両国の経済的利益を守る上で不可欠だからです。
特に、先端技術分野での覇権を握ることは、経済安全保障上も極めて重要です。日米が連携して、こうした分野での優位性を確保していく狙いがうかがえます。
以上3点は、共同声明の中でも特に注目すべき点だと考えられます。日米同盟を21世紀の安全保障環境に合わせて強化していく上で、これらの取り組みが大きな意味を持つためです。
日米が安全保障面での一体化を模索することは、もはや多数の米国民にとって当然のことです。今回の合意に対する大きな騒ぎは起きていません。日本との同盟強化に反対する声はほとんどなく、ドナルド・トランプ前大統領や共和党支持者を含めても、日米同盟の強化に異議を唱える声はありません。
日本という国が米国にとってより身近な存在になっています。大谷翔平選手やテレビドラマ、アニメなどを通じて、日本文化が米国に浸透しており、日本人に対する親近感が高まっています。これは、中国に対する米国民の嫌悪感とは対照的であり、日本は米国人にとって好意的な国として位置付けられています。
ギャラップ世論調査では、日本が米国人にとって最も好きな国の一つに選ばれています。この好意的な姿勢は、日米関係の強化にも繋がっていると言えます。
しかし、一方で岸田首相に対する米国メディアの関心は薄いです。岸田首相の政治的地位は不安定であり、政権内部や有力派閥のスキャンダルに揺れ動いています。そのため、米国メディアは岸田首相を「影の薄い総理大臣」と見ており取り上げることが少ないです。これは安倍首相とは対照的です。
しかし、日米関係の強化に向けては、両国のまともな官僚や議員らが着実に動いているようです。両国の政治的不安定さにもかかわらず、日米関係の堅固さを確保するために、彼らは日々努力しているようです。そのため、今回の日米首脳会談も、両国の関係強化の一環として注目されています。
官僚レベルにおける日米関係強化に向けた取り組みには以下のようなものがあります。
防衛・外交面では、外務省北米局と米国務省が定期的な政治対話を行っており、北朝鮮問題に関する制裁政策の調整や台湾問題に関する協議などが実施されているほか、自衛隊と米軍の共同訓練を強化することで軍事面での協力関係を深めています。
経済・貿易面では、経済産業省と米通商代表部がIT分野など特定分野の共同研究を進める一方で、農林水産省と米農務省もTIFAにおける農産品の市場開放交渉を行っています。
文化交流面では、文部科学省と米教育省が大学間交流事業の拡大に努めるとともに、外務省と米国務省が語学研修制度を活用した若手研修生の派遣数を増やしています。
テクノロジー面では、総務省と米通信委員会が5G技術の標準化で、経済産業省も半導体技術分野で共同研究を進めることで協力体制を強化しています。
さらに、環境・エネルギー面では再生可能エネルギー分野、科学技術面では宇宙開発分野での国際協力も進められています。
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上に述べた具体例は、ごく一部にすぎません。
なぜ日米関係がこのようになっているかといえば、やはり安倍首相の尽力があったおかげです。
これなくしては、現在の日米同盟の強固な地位と日米協力体制がこの水準に達することは極めて困難であったと思います。
特に、トランプ政権下で米国第一主義が強まる中、安倍首相はトランプ大統領個人との信頼関係を築き、日米同盟の重要性を直接説得しました。加えて、日米同盟を東アジアにおける安定と繁栄の礎と位置づける戦略もトランプ政権のアジア観と合致するものでした。
この結果、トランプ政権下では一時東アジアからの関与が低下した傾向に歯止めが掛かり、日米同盟を軸とする米国の東アジアに対する関与が強化されることになりました。同時に、安倍首相の尽力により日米同盟の重要性が再確認されました。
安倍首相の日米同盟強化への献身的な努力とリーダーシップなくしては、現在の日米同盟の堅実な関係基盤と協力体制を築くことは不可能でした。安倍首相の尽力こそが、今日の日米同盟の地位向上に不可欠な要因だったのではないかと考えます。
そのことを岸田首相は再認識すべきです。岸田文雄首相は昨年2月26日の自民党大会で、2012年の政権交代後からの自公政権10年間について話しをしました。安倍元首相の強力なリーダーシップの下、経済状況は改善し雇用と企業収益が拡大したこと、デフレから脱却できたことなどを指摘しました。外交・安全保障面では「自由で開かれたインド太平洋」の推進、日米同盟の深化、平和安全法制の整備などの実績を挙げました。
10年間を振り返り、民主党政権下で失われた日本の誇りと自信、活力を取り戻すため、皆で力を合わせ国を前進させたとアピールしました。今こそ安倍元首相と菅前首相が築いた10年間の成果の上に、次の10年を創造する時だと強調しました。防衛力を抜本的に強化し、積極的な外交を展開することで、戦後最も複雑な状況の中でも国民を守り抜く考えを表明しました。
10年間を振り返り、民主党政権下で失われた日本の誇りと自信、活力を取り戻すため、皆で力を合わせ国を前進させたとアピールしました。今こそ安倍元首相と菅前首相が築いた10年間の成果の上に、次の10年を創造する時だと強調しました。防衛力を抜本的に強化し、積極的な外交を展開することで、戦後最も複雑な状況の中でも国民を守り抜く考えを表明しました。
岸田首相は、今回の日米首脳会談は、安倍首相が敷いた既定路線に乗った形で、成功を収めたことを理解すべきです。
そうして、米国との関係については、米国政府という相手があることであり、安倍首相が構築した日米関係の方向性を崩すことは最早できません。さらに、日米関係を基軸とした外交・安全保障に関しても、これを崩すことはできません。
問題は、国内であり、もっと有り体にいえば、自民党党内です。これについては、米国はこれに干渉することはできず、ただしLGBT理解増進法案などの例外はありますが、国内の大きな方向性に関しては、もっぱら岸田首相が采配しなければなりません。ここでも岸田首相は、安倍路線を継承するべきなのです。
そのことを強く認識して、経済状況を改善し雇用と企業収益が拡大する路線を継承し、デフレから完全脱却すべきなのです。それとともに、自民党内のリベラル派に対して一定の歯止めをかけなければなりません。外交だけではなく、国内でも安倍イズムを継承することが、自民党政権を安定化させる唯一の道だと認識して、その方向に転換すべきです。
これをないがしろにすれば、岸田政権が崩壊するだけではなく、自民党が崩れ、それだけならまだしも、安倍首相が語っていたような、悪夢の民主党政権のよう暗黒史を自民党政権が自ら招くことになりかねません。そうなれば、いずれ自民党は再び下野することになるでしょうが、それまでの間に悪夢の自民党政権が日本国内を毀損すことになりかねません。さらには、次の政権は安倍イズムとは、逆の政権運営をするかもしれません。
これだけは、絶対に避けるべきです。岸田政権は今後、安倍イズムを定着させるべく、邁進すべきです。
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