2015年7月13日月曜日

【NHKクローズアップ現代】なぜ広がる “ブラックバイト”被害―【私の論評】ここにも雇用の本質を報道しない、知的怠惰もしくは日本弱体化を目指すNHKの姿勢がありあり(゚д゚)!

【NHKクローズアップ現代】なぜ広がる “ブラックバイト”被害

 
 

出演者大内 裕和 さん(中京大学国際教養学部教授)

違法な長時間労働や残業代の未払など、過酷な労働環境で働かされる“ブラックバイト”のトラブルが後を絶たない。今年4月に公表された全国調査では、アルバイトを経験した大学生のおよそ7割が、「労働条件が募集時と違った」「賃金が支払われない」など、不当な扱いを受けたことがあると回答。

過酷な労働条件でシフトを増やされ、学業との両立が難しくなるケースもあり、深刻な被害の実態が明らかになった。正社員並みに責任の重い仕事を任され、辞めたくても辞められない状況へ追い詰められていく若者たち。取材から浮かび上がってきたのは、「若年層の経済的困窮」と「学生バイトの基幹労働化」の問題だ。急増する“ブラックバイト”の実態を追い、悪化する労働環境をどうすれば改善できるのか、今後の対策を考える。

【私の論評】ここにも雇用の本質を報道しない知的怠惰もしくは日本弱体化を目指すNHKの姿勢がありあり(゚д゚)!

さて本日「クローズアップ現代」またまた、問題満載のとんでも番組でした。本日は、再放送があるはずなので、ご覧になっていない方は、ご覧になってみて下さい。

ただし、これを視聴して、鵜呑みにしてしまえば、とんでもないです。本日は、このトンデモなさの根源に迫ります。

まず、結論からいいます。この番組では、実際にブラックバイトをして、大変な目にあっている大学生を紹介していました。

この番組のタイトルは『なぜ広がる “ブラックバイト”被害』というものですが、残念ながら、この番組はこの「なぜ」に全く答えていませんでした。

これでは、まるで「ブラックバイト」がなぜ起こるのかという、根源的な内容には全く答えていないし、まるで「ブラック経営者」が良くないだけというにしか受け取ることができず、ほんとうに薄っぺらなものになっていました。

ただし、この番組の出演者である、が、ほおの一言だけ背景を以下のように語っていました。

「1990年代に入ってから、親の収入が減ってしまい、バイトをしなければ学業を続けられない学生が増えてきました。昔は、バイトは部活費を捻出するとか、学生生活を豊かにするためのものだったが、今はそうではない」

では、なぜ親の収入が減ったのか、ということはとうとう最後までこの教授も、この番組でも一言も語られることはありませんでした。

ブラック・バイトがはびこる原因は、無論のことあまりにも長い間続いたデフレのせいです。デフレであれば、雇用状況が悪化するのは当然のことです。

そうして、この教授のことを調べてみると、何と福島みずほTVという、社民党福島みずほさんのインターネット動画番組に出演したことがあることがわかりました。その動画のキャプチャー画像と、リンクを以下に掲載しておきます。

福島みずほTVに出演する大内氏(左)

この番組も視聴してみたのですが、結局この番組でもブラック企業がはびこる原因が、デフレであることなど一言も語りません。

ましてや、賃金の低下や、雇用条件の悪化が、デフレのせいであることは何も語られていません。現実に起こっていることをただ列挙するだけで、その本質を語ることはありませんでした。

無論、最近の日本は2013年から、金融緩和を実行していて、雇用状況が回復しつつあったものが、昨年の8%増税によって、これがまた悪化したものの、統計数値などでは良くなりつつあることなど全く解説していませんでした。

若者雇用については、つい先日もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
典型的な「旧日銀」エコノミストの「金利暴騰と円暴落」予言の真偽 ―【私の論評】日銀がまともな政策を採用しないと社会が破壊される(゚д゚)!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では雇用と日銀の金融政策が密接な関係にあることを記載しました。その部分のみ以下にコピペさせていただきます。

"
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。
"
なお、以上の文章のでの雇用の問題というと、正社員の雇用、バイトの雇用、正社員・バイトなどの臨時雇用の賃金、雇用条件などすべてを含みます。

ここで、一つはっきりさせておきますが、デフレの悪影響が色濃く残る現状の日本で、もし金融緩和政策を一切しないで、クローズアップ現代で指摘されているような、対策を目一杯打っても、ブラック企業やブラック・バイトはなくなりません。デフレが完璧に解消されて、緩やかなインフレが実現されない限り、必ずまたはびこります。

ある経営者がブラック企業をやめたり、やめさせらたりして良かったと思っても、また別の誰かがブラック経営者になり、同じことが繰り返されるだけです。

なぜなら、金融緩和抜きで、いろいろ対策をしたにしても、それでは根本的な雇用問題の解消にはならないからです。

しかし、金融緩和を実施して、インフレ率が2〜3%になれば、モノが売れだし、企業業績が上回り、企業はもっと売ろうと、設備投資をしたり人を雇用するようになります。そうなると、必然的に人で不足になります。

そうなると、ブラック企業に勤務する人は、まともな雇用条件の会社に移るようになりますし、ブラック企業が人を募集しても、人を採用できなくなります。その場合どうすれば良いかといえば、ブラック企業の存続を諦めるか、ブラック企業であることをやめ、まともな企業になるしかありません。いずれにせよ、ブラック企業や、ブラック・バイトも消滅しかなくなるわけです。

それにしても、NHK のこの番組、まったく酷い内容です。全く意味のない番組です。ひとことでいえば、NHK の知的退廃を示すトンデモ内容といえます。

そうして、雇用と金融政策の関係にいつまでも気づかない左翼の知的退廃も酷いものです。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍政権に奪われた雇用政策 日銀法改正を主張する気概を 民主党代表選 ―【私の論評】日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるべきことを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破滅するものと心得よ!!
消費者物価指数上昇率と失業率の間には明確な相関関係がある

詳細は、この記事をご覧いただくものとして。現在実行されている金融緩和政策は、欧米では、不況のときなどに雇用を改善するものとして、労働組合などの左翼が支持する政策です。

しかし、日本ではそれが左翼に全く理解されておらず、そのためか左翼は雇用については、上で私が述べたように、全く頓珍漢な話しかしません。

そうして、NHKのこの番組も同じことです。

全くの知的退廃以外の何ものでもありません。このような番組で、左翼やNHKは安倍政権批判をするための下準備をしたり、雇用問題でアピールして、若者の支持者を増やそうとしているのでしょうか。

あるいは、ブラック企業や、ブラックバイトをブラック経営者だけの責任として、人格の問題として、国民同士が互いに反発するように仕向けて、日本弱体化を目指しているのでしょうか。

いずれにしても、これはNHKクローズアップ現代の制作陣や、左翼の知的退廃以外の何モノでもないと思います。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】


「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!

【関連図書】


金融緩和によって、これから日本経済は、確実に良くなります。ブラック企業や、ブラックバイトもなりを潜めるでしょう。しかし、一方では過去の日銀審議員のように組織を破壊するダメ人間も存在します。


日経平均2万5000円超え時代の日本経済
長谷川 慶太郎
ビジネス社
売り上げランキング: 139


激動する世界経済! こうして突破できる日本経済 (WAC BUNKO 219)
宮崎正弘 渡邉哲也
ワック
売り上げランキング: 21,394

高学歴社員が組織を滅ぼす
高学歴社員が組織を滅ぼす
posted with amazlet at 15.07.10
上念 司
PHP研究所
売り上げランキング: 5,321

2015年7月12日日曜日

中国で人権派弁護士を拘束、「50人以上連行」の情報も―【私の論評】人治国家中国の実体が日々暴かれていく(゚д゚)!


北京の著名な女性弁護士、王宇氏
中国で一度に大勢の人権派の弁護士らが、警察に連行・拘束されたことが明らかになりました。50人以上が拘束されたとの情報もあります。

中国国営メディアは12日、中国・公安省が多くの人権問題に取り組む「北京鋒鋭弁護士事務所」を、「秩序を混乱させる重大犯罪グループ」として摘発したと報じました。事務所の著名な女性弁護士・王宇氏らを敏感な事件を画策してあおり、騒ぎを起こした容疑で拘束したとしています。50人以上が連行・拘束されたという情報もあります。

中国では人権派弁護士の拘束をメディアが伝えるのは極めて異例ですが、今回は大規模な摘発を報道することで、政府に批判的な活動などを押さえ込むねらいがあるとみられます。 (12日15:07)

【私の論評】人治国家中国の実体が日々暴かれていく(゚д゚)!

このブログでは、ブログを設立したばかりの2008年くらいから、たびたび中国の崩壊が間近であることを掲載してきました。あれから、まだ10年近くたっていますが、今のところ中国は崩壊する様子もなく、結果として、私は狼少年のようなことをしてしまったと思います。

しかし、これが他国であれば、とっくに崩壊していたと思います。しかし、中国は違いました。中国には他国に見られないような巨大な治安維持組織である、人民解放軍、公安警察,城管が、幹部の人治によって統率され、反対勢力をいともたやすく、弾圧・粉砕できます。

だから、他の国ならとうに崩壊しているような状況が度々起こっても、現代中国は、温存されてきました。いよいよとなれば、中国共産党の幹部の人治により、どんなことでも迅速にできてしまいます。これは、秘密裏に行われることが多いので、従来はなかなか表に出てこなかったのですが、最近ではそれが顕になり、人民や外国にも知られるようになってきています。

それは、たとえば、最近上海株式の暴落を防ぐために政府によった行われてきた、様々の対策です。

上海株の暴落という緊迫した状況の中、7月4日夜、CITIC(中国中信集団)を含む中国の投資会社トップが北京に集められ、中国証券監督管理委員会本部で緊急会合を開いたというニュースが入ってきました。

CITICは今年1月、中国国営企業への外国投資としては過去最大級、伊藤忠商事とタイ財閥のチャロン・ポカパングループが共同で、合計1兆2040億円を出資すると発表された投資会社です。

中国監督管理委員会は次々と株価暴落防止政策を発表。私がネット上で把握した限りでも、以下の政策が執行されています。

・国有企業の株取引を禁止
・大口投資家の株売りを禁止
・金融機関に株担保ローンの継続を指示
・機関投資家に株の買取りを強制
・株の空売りを警察が取り締まり

どれも資本主義自由経済国家では想像も及ばない施策ばかりです。ひとまず株の下落はストップはしました。しかし、今後どうなるのかは全くわかりません。おそらく、大暴落は避けられないでしょう。この政府による株式市場への介入でも、おわかりになるように、中国では政治と経済の分離が全くなされていません。

今回も、市場経済を完璧に無視した、政府の市場へのみさかえのない介入です。このようなことをしても、市場を制御することはできません。いずれ破綻します。

上海株式市場の推移 クリックすると拡大します

そうして、今回の人権派弁護士の大量拘束です。これは、民主化がすすんでいないことの現れです。

中国全土で、当局による人権派弁護士や人権活動家らの拘束や連行が広がっています。9日から11日にかけて、15以上の省や市で50人を超え、前例がない規模の一斉検挙だ。仲間の弁護士や支援者らは「暗黒の金曜日」と呼び、反発と懸念を深めています。

この規模の大きさは、以下の地図をご覧いただけれはおわかりになると思います。


不明の50名の弁護士のうち、北京の著名な女性弁護士、王宇氏は9日の早朝、「誰かが自宅のドアをこじあけようとしている」と知人に知らせたあと、連絡が途絶えており、当局に連行されたとみられています。王氏は、少数民族ウイグル族の問題に積極的に関わっていたほか、ことし3月、セクハラ防止を訴えようとして、一時拘束されていた女性活動家の弁護を担当しているということです。

以上のような人治主義がまかり通るわけですから、中国はまともな法治国家でもないわけです。

中国の著名女性人権派弁護士・王宇さん
中国は、現在でもなお、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が行われいないということです。そんな国が、巨大で組織化され、強力な治安維持装置を有しており、これが治安の維持を担ってきており、それが従来は秘密裏に行われており、世界中の人々があまり認知できなかったのが、今日ではどんどん明るみに出て、世界中の人はもとより、中国人民の知るところなったというのが、最近の中国の姿です。

今のままの中国、このまま続くとは到底思えませんし、このままの中国をそのまま継続させてはなりません。無論、他国の人間が、他国の政治をとやかくいうことは、内政干渉といわれるかもしれませんが、それは、民主化・政治と経済の分離、法治国家化がある程度なされている国に対してあてはまることであり、中国などにはあてはまりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】




【関連図書】

十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争
峯村 健司
小学館
売り上げランキング: 1,265

なぜ中国人にはもう1%も未来がないのか (一般書)
石 平
徳間書店
売り上げランキング: 24,473




2015年7月11日土曜日

【ニッポンの新常識】「集団的自衛権は嫌だ」は“同情すべき勉強不足”による間違った主張 ―【私の論評】安倍総理を名誉回復に300年かかったガリレオのように異端の徒にして良いのか!まともな安保論議を(゚д゚)!


インターネット放送に出演した安倍首相(右)
天才物理学者、アインシュタインが20世紀前半に提唱した理論に、2つの相対性理論がある。おそらく人類の99・99%以上は相対性理論を完全には理解していない。私も大枠しか分からない。

 特殊相対性理論によれば、移動速度が速い場合、時間はゆっくりと進み、そこにある時計は遅れる。一般相対性理論によれば、強い重力を受けた状態下でも時間はゆっくりと進み、やはりそこにある時計は遅れる。

 ただ、私たちが日常生活で「時間の流れる速度が、移動速度や重力次第で変化する」という場面を体験することはない。自らの経験や思考の枠を超えた相対性理論を、物理学と無縁な人は「そんなバカな」「それは違う」などと考える。

 実は、カーナビやスマホで利用されるGPSは、2つの相対性理論のおかげで機能している。

 GPSは4つ以上の人工衛星の軌道や位置、時刻の情報に基づき、観測点の座標を計算する。時刻の正確な情報が必要なので、GPS衛星には高精度な原子時計が積んであるが、超音速で移動する人工衛星内の時刻は、特殊相対性理論の通り、少しずつ遅れる。

 同時に、重力の小さな高度約2万キロメートルでは、一般相対性理論の通り、時計は地上と比べて少しずつ進む。GPS衛星の原子時計では2つの現象が同時に起きている。従って、相対性理論を用いて誤差を計算し、補正が行われている。100万分の1秒の誤差で、距離は300メートルもズレるそうだ。

 さて、本題である。国民の誰もが政治に関心を持ち、自分の意見を発信することは民主主義の基本であるが、単なる感情論や知識不足から生じる間違った主張は、時として有害である。

 いつもGPSを利用しながら、過去の体験などと合わないから「相対性理論は変だ」と主張する人と、今この瞬間も在日米軍に守られながら「集団的自衛権は嫌だ」と叫ぶ人の共通点は、勉強不足だ。ただし、同情すべき部分もある。

 マスコミは「安倍晋三内閣は国民への説明が足りない」というが、日本には法案を国民に詳しく説明する仕組みや習慣が、昔からないのだ。

 テレビ局の協力が得られなかったのか、安倍首相はインターネット放送で安全保障関連法案を説明した。公開2日で再生回数2万回では、テレビの視聴率なら0・1%未満である。国民への説明の機会を、一国のリーダーから奪えるテレビ局は、強大な権力そのものだと再認識した。

 ■ケント・ギルバート

【私の論評】安倍総理を名誉回復に300年かかったガリレオのように異端の徒にして良いのか!まともな安保論議を(゚д゚)!

集団的自衛権を否定するのは、相対性理論をおかしいといって、非難するのと同次元の愚かなことという、ケント・ギルバート氏の主張は正しいです。

本日の朝日新聞は、安保法案が「違憲」とする憲法学者は104人であるのにたいし、「合憲」とする学者は二人しかいないと嬉しそうに報じていました。しかしそれが一体どうしたというのでしょうか。

真実は人数の多さで、正しい間違いが決まるわけではありません。もしそれで決まるというのなら、そもそもそんなものは学問でもないし、報道でもありません。ただの衆愚主義に過ぎません。

比較的最近の、相対性理論に限らず自分には理解が及ばないことを、反対してみたり、なきがごとくみなすということは大昔から行われてきたことです。

中世のイタリアでは、ただガリレオ一人だけが命を賭して、地動説を主張しました。そうして、今日この一人の学者だけが当時主張した説が正しかったことが証明されています。

しかし、バチカンがガリレオの名誉を回復したのは、このブログにも掲載したように本の数年前のことです。その記事のリンクを以下に掲載します。
ローマ法王イブ礼拝で受難、女性に突き倒される―バチカンの権威のすさまじさ

 
女性に突き倒され、ハンカチで顔を
押さえるローマ法王ベネディクト16世


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事は、2009年12月25日のものです。この記事では、当時ローマ法王がクリスマスのミサを執り行った際に、女性に突き倒された事件について掲載しました。そうして、バチカンの権威の凄まじさの事例として、ガリレオ・ガリレイの名誉が回復されたのは、この年であったことを例にあげました。

その部分のみ以下に引用します。
かのガリレオ・ガリレイは、望遠鏡で、天体を観測し、地動説を唱えたケプラーを支持したため、バチカンにより宗教裁判にかけられ。有罪となりました。晩年は軟禁生活を送りました。死後も名誉は回復されず、カトリック教徒として葬られることも許されませんでした。

その、ガリレオ・ガリレイの名誉が回復され、正式に無罪とされたのは、なんと死後367年を経た今年(管理人注: 2009年)の2月15日でした。いいですか、100年前ということてはなく、今年になってからです。人類が月に到達したは、40年前です。地動説は、おそらく、少なくとも100年前には人類の常識になっています。それでも、300年以上たってからです。権威を守るということは、こういうことです。
それも、良く考えてみてください現在は、各国政府、特に先進国は、どの国も民主国家となり、宗教者が国の政治などを司ったり、重要な役割を果たしているわけではありません。そんな、中でのこの名誉回復です。現代日本人の感覚からすれば、気の遠くなるような話です。バチカンの権威に逆らうということは、こういうことです。正しい、正しくないという事は関係ないのです、世俗では許されても、神の領域では許されないということです。バチカンを含めたカソリック教会の権威に逆らえば、こういう仕打ちが待っていたということです。そうして、名誉回復には300年以上もかかったということです。バチカンの権威そのもののすさまじさが良くお分かりになると思います。
ガリレオ・ガリレイの肖像画
それにしても、気が遠くなるような話です。正しいことを言っても、古くからの権威がそれを認めなければ、正しくないものとされ、近代はおろか、現代になっても認められず、300年もたって、しかも科学的事実とはっきり認められてからも随分たってから、ようやっと許されたということです。

集団的自衛権も同じことです。集団的自衛権は、国連憲章でも認められた権利です。そうして、日米安全保障条約そのものが、集団的自衛権の発動が前提になければ、成り立たないものでした。

にもかかわらず、日本の憲法学者の多くは、集団的自衛権は憲法違反であるなどと、まるで神学論争のような論を展開しています。

しかし、憲法や法律以前に独立国の固有の権利というものが認めらています。それが、集団的自衛権です。集団的自衛権のあり方を論ずるのは良いとは思いますが、集団的自衛権自体を否定するということは、人権を否定するのと同じくらい理不尽なことであり、そもそも、集団的自衛権は、人権と同じく、自然権であるという事実を完全に無視しています。

これでは、バチカンが地動説を長い間認めなかったのと同じく、まるで宗教論争のようであり、現実世界のまともな日本の安全保証の論議とはなりえないです。

本当に、ケント・ギルバート氏の語るように、相対性理論はおかしいと言っているのと何ら変わりありません。

安倍総理をあたかもガリレオのように、異端の徒であるかのような、言説は厳につつしむべきです。その上てまともな、安全保障論議をすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

安倍首相、自ら安保法案をネット番組で解説 5夜にわたって配信―【私の論評】「戦争したくなくて震える」若者に朗報!小川と安部総理の動画は震え止めの特効薬だ(゚д゚)!

ローマ法王イブ礼拝で受難、女性に突き倒される―バチカンの権威のすさまじさ


戦後左翼、リベラルは、結局終戦直後から何も変わっておらず、デジャブーのようです。そうして、それがまともな安保論議の妨げになっています。そうして、あろうことか、安倍総理を異端の徒に仕立てようという魂胆です。それを実感していただける書籍を以下にチョイスしました。

60年安保 メディアにあらわれたイメージ闘争
大井 浩一
勁草書房
売り上げランキング: 408,543

日本人の99%が知らない戦後洗脳史
コグニティブリサーチラボ株式会社 (2014-10-21)
売り上げランキング: 1,681

戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか (PHP新書)
PHP研究所 (2015-04-17)
売り上げランキング: 340


2015年7月10日金曜日

典型的な「旧日銀」エコノミストの「金利暴騰と円暴落」予言の真偽 ―【私の論評】若者の敵、白川体制時の旧日銀エコノミストらはなぜ口を開くと嘘を吐くのか(゚д゚)!


元日銀理事の早川英男氏

元日銀理事の早川英男氏が、「政府の財政再建計画は信頼性が乏しい」と指摘し、政府の財政再建を前提に日銀が進める量的・質的緩和は、長期金利の急騰や急激な円安など「失敗に陥る確率が8割に高まった」と発言したと報じられた。白川方明総裁時代に、日銀の有力なエコノミストといわれた同氏の発言なので興味深い。

早川氏は、長期金利の急騰や急激な円安が起こるというが、黒田東彦(はるひこ)体制の日銀が掲げる2%の物価目標については「日銀が主張する2016年度前半の達成は難しいが、半年から1年遅れて近づく」とも予測している。

物価が上がらなかったのは、消費増税の影響であることを本コラムの読者は知っているだろう。昨年5月ごろまでは、いい調子で物価が上がったが、消費増税で需要が落ち込むと、物価は上がらなくなった。

早川氏はこれまで講演やメディアのインタビューなどで、日銀の異次元緩和について「ギャンブル」という表現を使っている。もしそうであれば、先進国の中央銀行はみんな「ギャンブル」をしていることになってしまう。世界の中銀の動きについてどう考えているのだろうか。

しかも、その「ギャンブル」を早くやった国ほど、リーマン・ショックからの脱出も早い。金本位制からいち早く離脱して金融政策を活用した国ほど、大恐慌からの脱出が早かったという、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)前理事長の論文があるが、現状もそれと同じ状況になってきている。
早川氏は、典型的な「旧日銀」のエコノミストだ。それは、雇用の改善をはじめとする金融政策の効果を重視している様子があまりうかがえないという意味だ。金融政策の効果を考えるのは世界の中銀の常識であるが、残念ながら旧日銀は考えてこなかったとしか思えない。

 異次元緩和の前後2年間の就業者数の変化は、金融政策の差を如実に表している。前2年間では傾向的に就業者数は30万人程度減少したが、後2年間では100万人程度増加するなど、状況は一変している。

 筆者は、金融政策を評価するとき、雇用が改善しているかどうかが最重要であると考え、雇用が改善できていれば、まず及第点であると思っている。

 ところが、報道を見る限り、早川氏の話には、雇用が出てこない。この点、筆者には不可解なところだ。

 雇用のデータを見れば、異次元緩和は「これから失敗する」というのではなく、「これまで成功してきた」と評価すべきだろう。就業者数や失業率を持ち出すと、実質賃金の低下や非正規労働者の割合が増えていることを批判する人がいるが、それは異次元緩和の否定にならず、もっと続けるべきだという話になる。

 いずれにしても、早川氏は、「インフレ2%の後に金利暴騰、円暴落、資本規制になる」と予言したので、その真偽はすぐにわかる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】若者の敵、白川体制時の旧日銀エコノミストらはなぜ口を開くと嘘を吐くのか(゚д゚)!

上の記事のように、確かに白川元日銀総裁も、当時のほとんどの日銀審議委員も、金融政策と雇用の関係については、ほとんど認識していないです。これらは、密接に結びついているのは、まともに金融を勉強した人なら誰でも知っていることです。

しかし、前白川日銀総裁や、当時の日銀の政策決定委員会の審議員の大部分がそのことを知らないようです。日銀官僚にも、それを知らない人が大勢いるようで、本当に忸怩たるものを感じます。

日銀という、日本国の金融を司る要衝にいる人や、いた人たちがこのようなことで良いのでしょうか。絶対に良いはずがありません。これについては、このブログでも何度か掲載してきました。その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
つい数年前まで若者の就活は悲惨だった。特に女子は・・・・・
この記事は、2012年のものであり、当時はのだ民主党政権でした。この時代を振りかえって、いただけばお分かりになると思いますが、本当に若者の就活は悲惨でした。特に女子はそうでした。何十箇所も受けて、全部ダメで、「自分は世の中に必要とされていない」などと考え、途端の苦しみを味わった人も多かったと思います。

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事より、金融政策と雇用とは密接に関わっていることを示した部分のみ以下に掲載します。

"
本日(2012年9月1日)の日経新聞には、以下のような記事が掲載されています。

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は31日、金融政策について「特に米労働市場の改善が重要で、必要に応じ追加緩和政策を行う」と述べた。具体的な手段に踏み込むのは避けつつも、当面の雇用統計などの結果次第では緩和に動く姿勢を強調したものだ。
これは、FRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)におけるバーナンキFRB議長の公演内容の一部です。

上の発言で特に注目していただきたいのは、「特に米労働市場の改善が重要」というところです。この発言に関して、奇異に感じる人は、平均的な日本人かもしれません。奇異とも何とも思わず、当たり前の発言であると感じた人は、中央銀行による雇用調整策についてよくご存知の人かもしれません。


このブログの冒頭の記事を読んでいると、雇用に関して、野田総理大臣はもとより、この記事のなかに登場する人たちも、それに、この記事を書いた記者も、中央銀行(日本では日本銀行)による、雇用調整や対策のことを全く知らないのではないかとさえ思ってしまいます。

アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。


このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。

無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。


それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。

雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。


日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。
"

何やら、ブログ冒頭の記事を読んでいると、早川英男氏はこの2012年当時の考えとちっとも変わっていないので、本当に何と言っていいのか、呆れて二の句が継げないです。彼の頭の中には、雇用と金融緩和政策が密接に結びついているという認識は微塵もないようで、これを責めるというよりは、哀れさを感じてしまいます。

最近の雇用情勢をみていれば、昨年は金融緩和の腰を折る8%増税を導入したにもかかわらず、誰もが否定できないくらい、雇用情勢は良くなっています。このような状況をみても、自説を曲げず、頓珍漢な論評をするその厚顔無恥には慄然とさせられます。

過去の日本の雇用情勢の悪化により、特に若者の雇用は悪化し、多くの若者にとって、就活はとんでもない悲惨なものになってしまいしました。

過去の日本が20年近くもデフレから脱却できず、雇用も悪化して、最悪の状況になり、特に若者層は、夢も希望も持ちにくい世の中にしてしまったのは、まさに早川秀男氏のような、雇用と金融政策の関係を認識しない人たちでした。

2012年当時は、日本ではそのような人たちが多数派でした。今でも、これを認識しない人が大勢います。しかし、私達はもうそろそろ、世界の常識でもあるこのことを当たり前のこととして認識しなければなりません。

デフレや就職難は、日銀の金融政策が不適切であることが、大きな原因であることを認識し、自分は無論のこと、周りの人たちにとっても、日銀がまともな金融政策をしなければ、とんでもない状況になるのだとはっきり認識すべきです。

そうでないと、早川秀男氏のような人に、翻弄されてとんでもないことになることを認識すべきです。彼らのような人々こそ、生活困窮者の本当の敵であることを認識すべきです。

日銀がまともな政策を採用しないと、デフレ・円高、雇用の悪化で、社会が破壊されることしっかり認識すべきです

そうでないと、早川氏のような人物に、自分の生活や、周りの人々の生活が破壊されとんでもないことになります。それにしても、多くのこの手の人たちは、経歴などみると学歴など含めて、それなりに立派なのに、なぜまともに頭を使おうとしないのでしょうか。本当に不思議です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】




【関連図書】

金融緩和によって、これから日本経済は、確実に良くなります。しかし、一方では過去日銀新議員のように、日本を滅ぼしたように、組織を破壊するダメ人間も存在します。


日経平均2万5000円超え時代の日本経済
長谷川 慶太郎
ビジネス社
売り上げランキング: 139


激動する世界経済! こうして突破できる日本経済 (WAC BUNKO 219)
宮崎正弘 渡邉哲也
ワック
売り上げランキング: 21,394

高学歴社員が組織を滅ぼす
上念 司
PHP研究所
売り上げランキング: 5,321

2015年7月9日木曜日

平気で矛盾を口にする左派知識人たち ギリシャ問題から日銀緩和を批判 ―【私の論評】ギリシャ危機は増税派、アベノミクス失敗論者の格好の煽りネタ!こんな稚拙な煽りにだまされるな(゚д゚)!

平気で矛盾を口にする左派知識人たち ギリシャ問題から日銀緩和を批判 

ギリシャのバルファキス財務相

 ギリシャ問題に対する識者らの論評を読んでいると、本質そっちのけで、自説に好都合のところだけを切り貼りしているものがよく見られる。

一つは「右」からの意見である。例えば、ギリシャは公務員が多く、給与は民間より高い。年金の給付水準も高い。こうした点をとらえて、「ギリシャが財政破綻する」というステレオタイプの記事は多い。

筆者のコラム読者であれば、過去200年間で、ギリシャは2年に1回くらいデフォルトとなっていることも指摘してきた。ギリシャの公務員や年金の問題も最近起こったものではなく、以前からの話であることがわかろう。それでも、独自の通貨ドラクマがあれば、その為替調整機能で、危機にはなるが、そこからの立ち直りもなんとかなるというのも事実だ。

ギリシャ破綻の理由を公務員や年金だけに求めるのは、このような歴史や、独自通貨による金融政策で対処できたという事実を無視している。そうした主張の人はマクロ経済にも疎く、日本の異次元金融緩和でも「ハイパーインフレになる」と間違ったことを言っていた。

さらにまずいことに、ギリシャをダシにして緊縮財政を日本にも求める。ここまでくると、無知どころか有害でもある。こうした人は、しばしば財務省の財政再建キャンペーンに利用されるのがオチだ。

もう一つは、逆に「左」からの意見である。これは、ギリシャのチプラス政権にエールを送るものだ。スペインやフランス、イタリアなどの欧州左翼勢力もチプラス政権を推しているので、日本の左派勢力がギリシャ問題を格差問題ととらえるのも不思議ではない。

本コラムでは、ギリシャ問題をイデオロギーとは関係のない「最適通貨圏理論」(ノーベル経済学賞受賞者のマンデル氏による理論)を使って分析してきた。そこではギリシャがユーロに入ることでドイツなどが有利となることを指摘してきたので、同じユーロ内でギリシャとドイツに格差が出てくるというのは事実としては正しい。

欧州左派勢力は、雇用問題解決のために金融政策の活用を主張してきたので、ユーロを離脱して独自通貨を採用し、自由な金融政策を主張するのも一応、理にかなっている。

しかし、日本の左派勢力は、金融政策を否定してきた。「アベノミクスでハイパーインフレになる」など、まるで経済理論に無知な右派勢力と同じようなことを言ってきた。

そのような日本の左派勢力が「ユーロには問題がある」というのだから笑いたくなる。ユーロに問題があるのなら、ユーロ離脱が正解になるはずだが、それは独自通貨による金融政策の効果を認めることと同じであり、アベノミクスの異次元緩和を批判してきたことと矛盾してしまうのだ。

ギリシャ問題は、みんなが注目する話題なので、それに乗じて、ちゃっかり自分の主張を織り込むというのはよくあるが、その場合でも、首尾一貫していないとまずいのではないだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】ギリシャ危機は増税派、アベノミクス失敗論者の格好の煽りネタ!こんな稚拙な煽りにだまされるな(゚д゚)!

最近のギリシヤ危機については、前からこのブログに一度は掲載しようと考えていたので、本日掲載することにしました。

以前にもこのブログで指摘したように、ギリシャ危機は日本にとっては対岸の火事です。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国危機、ギリシャより深刻 株暴落止められない習政権 逃げ出す欧米マネー―【私の論評】個人投資家が支えてきた高騰が破綻した!いよいよ中国の内乱・分裂が近づいてきた(゚д゚)!
ギリシャ国旗柄のビキニ
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部だけ引用させていただきます。

現在数千億円の返済でギリシャが揺れています。日本国内はマスコミがギリシャのデフォルトを毎日のように報道しています。しかし、その借金は15億ユーロ(2千100億円)に過ぎません。これは、日本政府の剰余金でお釣りがくる規模の金額に過ぎません。この程度のことになぜ日本のマスコミが大騒ぎして、日々報道をするのか良く理解できません。
ギリシャ債務問題にもかかわらず、日本の長期金利が現在も低下しています。ということは、市場は日本ではギリシャのような危機は生じない、むしろ安全と予想しているに他なりません。民間エコノミストの予想とは違い、市場参加者は身銭をきっての予想ですから、こちらの方が余程信頼性は高いでしょう。 
ギリシャなどより、プエルトルコのデフォルトのほうが、余程深刻です。これは、8兆6000億円で桁が違います。 
ギリシャ問題など、日本にとっては対岸の火事に過ぎず、ギリシャがどうなろうと、日本への影響は微々たるものです。関係あるのは、対ギリシャに多大に直接・間接投資をしていたところのみでしょう。
数千億というと、日本の地方自治体レベルの借金です。下手をすると、大きな市のレベル借金です。EUが大騒ぎするのはわからなくもないですが、しかし日本が大騒ぎするほどのこともありません。

そんなことよりも、日本は内需拡大を目指して努力すべきです。ここ日本では、ほんのわずかでも、景気が上向けば数千億どころか、兆単位でGDPは増えます。そうして、今の日本はそれが可能です。

そもそも、日本のマスコミなどはギリシャが今日の事態を回避する方法を全く理解していません。IMFの言うとおりに、緊縮財政をしたからといって、根本的に問題は解決しません。ますます、悪くなるだけで何も解決できなくなります。

そんな馬鹿なことをするくらいなら、ギリシヤはユーロから離脱して、速やかに金融緩和政策を行い、しばらくの間は積極財政を行い、経済を発展させて経済成長を促し、実際に成長して、それから財政均衡をはかるべきです。これがマクロ経済のまともな教科書に書かれている模範解答です。

そのためには、ギリシヤはユーロから離脱して、速やかに金融緩和政策を実施するべきです。同時に、積極財政を実施して、経済成長を目指すべきです。

しかる後か、同時でも良いかもしれませんが、後は本当に実のある成長戦略を実施して、ギリシャ経済を浮揚していくべきです。ギリシャには、観光を除いてめぼしい産業がありませんが、何でも良いから一つ、世界に伍していける産業を一つ育てることによって、経済発展が可能になり、万年デフォルトの危機から脱却するこどができます。

ギリシャを真に救う道はそれしかないと思います。翻って、日本も同じことです。当面は、物価目標を達成するか、達成してもしばらくはそれを続けるくらいにして、一方では積極財政を行い、速やかにデフレと、デフレの悪影響を払拭し、経済発展をすべきです。

ギリシヤとは異なり、日本にはすでに世界に伍していく産業がありますから、日本の場合は金融緩和と積極財政だけで、黙っていても産業が育成され、大きな経済成長をできます。下手に、役人主導で、産業育成をしても、必ず大失敗します。

いまだかつて、約人主導の産業育成はただの一つも成功した試しはありません。そんなのは、当たり前のことです。役人が産業育成ができるというなら、共産主義は成功したはずです。しかし、現実はそうではありません。

ギリシャ危機で懸念しなければならないことは、まさしく、高橋洋一氏が指摘するように、ギリシャの危機を幸いとして、日本の財政破綻の危機を煽り、増税をして経済を停滞させること、金融緩和を否定して、またまた金融引き締めをして、日本の経済を停滞させることです。

ギリシャの危機を口実に、増税を推進したり、金融引き締めを推進したりする輩に対しては、何が何でも大反対して、日本経済を早期回復させ、成長軌道に持っていくべきです。

ギリシャ危機は増税派、デフレ・円高政策の推進派の格好の煽りネタです。私たちは、マクロ経済を無視するこのような稚拙な煽りにだまされるべきではありません。そもそも、ギリシャと日本の経済は根本的に違います。ギリシャは借金まみれで、国も政府も借金づけです。

Maria-Menounos-in-Greek-Flag-Bikini-in-Greece-10 - Full Size

しかし、日本は違います。政府の借金は多いですが、それも、政府と日銀をワンセットにして、これを一つの政府と考えると、政府の借金はそれほどでもなく、他の先進国と比較してもかなり健全な部類に入ります。

それに、そもそも、日本国は過去20年以上にもわたって、海外に貸し付けているお金である対外金融純資産は世界一であり、ギリシャなどとは根本的に違います。ギリシャは対外金融純資産どころが、対外金融純負債が山積みです。こんなことも、日本の左翼と右翼の馬鹿は理解していません。

日本でギリシャ危機の影響があるとすれば、実体経済よりもこれをネタに財政危機を煽ろつたり、アベノミクス無効論を煽ったりする馬鹿者が大勢いることのほうが余程危険です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

中国危機、ギリシャより深刻 株暴落止められない習政権 逃げ出す欧米マネー―【私の論評】個人投資家が支えてきた高騰が破綻した!いよいよ中国の内乱・分裂が近づいてきた(゚д゚)!





【関連記事】

ギリシャ危機の真実 ルポ「破綻」国家を行く Mainichi Business Books
毎日新聞社 (2012-09-01)
売り上げランキング: 1,115

逆流するグローバリズム ギリシャ崩壊、揺らぐ世界秩序 (PHP新書)
PHP研究所 (2015-05-22)
売り上げランキング: 724


2015年7月8日水曜日

【スクープ最前線】習主席“暗殺テロ”情報 ウイグル周辺で不穏な動き…「イスラム国」と連動か ―【私の論評】迫る第二イスラム国の脅威!株価下落の中国にさらに追い打ちをかける悲報(゚д゚)!


習近平は第二イスラム国の脅威を跳ね除けることができるだろうか?

 中国で異常事態が続発している。上海株式市場は3週間で約30%と大暴落し、民主活動家や外国人の監視を強化する「国家安全法」が今月初めに採択された。こうしたなか、欧米や日本の情報当局には先月末、習近平国家主席の「暗殺テロ」情報が流れ、新疆ウイグル自治区周辺で「アジア版イスラム国」が建国される可能性まで指摘されている。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートした。

 「中国の軍事力の発展に対し、日本が四の五のいう権利はない」「非難は(日本の国会で審議中の)戦後の安保政策を転換させるための口実だ」

 中国外務省の華春瑩報道官は3日の記者会見で、こうブチまけた。

 日本の2015年版『防衛白書』の概要が、今月初めに報じられた。白書は、中国の軍事費が1989年に比べて、実に41倍も膨張していることを指摘。南シナ海の岩礁を埋め立てて軍事基地化や、わが国固有の領土である沖縄県・尖閣諸島への侵入などを、「高圧的ともいえる対応を継続している」と批判し、国際社会の懸念を記した。

 華報道官の発言は、防衛白書に逆ギレしたものだが、笑止千万だ。とんでもない言い草というしかない。

 ドイツ南部エルマウで先月初めに開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、中国の国際法を無視した一連の暴挙に対して、「強く反対する」と明記した首脳宣言を採択した。日米両国のみならず、世界の主要国が中国を批判したのだ。天に恥じない中国の行為は断固許されるものではない。

 だが、驚かないでいただきたい。その中国で、尋常ならざる事態が発生している。以下、複数の日米情報当局関係者から得た情報だ。

 「6月25日午前、『習氏に何かあった』という緊急連絡が入り、情報当局が慌てた。現地協力者が調べると、習氏はその時間、移動中だった。翌26日、中国軍幹部の間で『習氏への暗殺未遂テロがあった』という情報が流れた」

 その26日が興味深い。何があったか。フランスとチュニジア、クウェートで、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の関係者の犯行とみられるテロ事件が相次いで発生したのだ。爆破や銃撃戦で約70人が犠牲となった。

 そして、情報当局者らは次のような驚愕すべき分析を行っている。

 「習氏は5回以上、命を狙われた。犯人は、敵対する軍や公安勢力といわれるが、今回は違う。イスラム国と連動した可能性がある。なぜなら、イスラム教徒が多く住み、中国当局が弾圧を加える新疆ウイグル自治区周辺で近々、『アジア版イスラム国』建国が本格化しているからだ」

 「情報では、イスラム国で戦闘訓練を受けて帰国したウイグル族の若者数百人が中核となって動いている。武器や弾薬、自爆テロ要員など、戦闘態勢も整っている。今後、習氏を狙ったテロが多発するのは間違いない。航空機ハイジャックによる自爆テロも否定できない」

 ■加賀孝英(かが・こうえい) 
この記事の詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】迫る第二イスラム国の脅威!株価下落の中国にさらに追い打ちをかける悲報(゚д゚)!

株価が下落する中国にさらに追い打ちをかけるような、第二イスラム国の脅威についてはこのブログでも以前掲載したばかりです。本日の上の記事を除いて今のところ、いずれのメディアもこれについては取り上げてはいません。

マスコミは、またまた中国で大きな事件が起こってからはじめて、情報不足・知識不足による頓珍漢な報道をするのだと思います。そもそも、イスラム国の人質事件がそうでした。私の見た限りでは、日本のメディアではNHKのBS放送のみが、かなりまともな報道をしていました。おそらく、まともな中東問題の専門家が存在していると思われます。

さて、このブログでは少し前に中国に迫る第二イスラム国の脅威を掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)!
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみ掲載させていただきます。


"
テロリスト組織である、現状のいわゆるイスラム国のある地域は、イラクとシリアにまたがっており、直接的に支配しているのはこの地域ですが、その他間接的に影響力を与えることのできる地域はかなり広大な地域になっています。

これらの地域は、古くから独裁者の圧政に苦しんできた地域であり、昔から激しい民族対立のあった地域です。というより、そのこと自体が、ISISを生み出す土壌となっていました。まさに、現在の新疆ウィグル自治区は、同じような状況下にあります。

イラクとシリアにまたがるISISが支配する地域
ちなみに、ISISが自分たちの版図であると主張するのは以下です。ISISが掲げる理想の領土は過去のイスラム国家の最大版図(ウマイヤ朝など)を目指しているので、スペインや、中央アジアもしっかり奪還対象地域となっています。無論現在の中国領である新疆ウィグル自治地区も対象です。


新疆ウィグル地区では、今のところは中国が人民解放軍などを送り込み、暴動など鎮圧していますが、それでもとんでもない状況になっています。

それは、以前このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国のチベット族やウイグル族 3人集まると即懲罰の対象に―【私の論評】中国領琉球島速報!!在琉球小日本人三人以上集合懲罰対象的行為厳禁!!小日本軍国主義打倒!!中華思想勝利!!敵的小市民日本人抹殺是正義!!てなことになったら手遅れですよ(゚д゚)!
支那人によるウイグル人虐殺
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は2013年のものですが、この当時から新疆ウィグル自治区ではとんでもないことになっていました。その部分を以下に引用します。
 ウイグルでは毎年、14歳から25歳前後のウイグル人女性数万人が、故郷から遠く離れた大都市に連れて行かれます。彼女たちは寮生活をしながら不当に安い賃金で働かされます。その上、ウイグル語を禁じられ、生活習慣も変えられて、挙げ句の果てに漢民族の男と無理やり結婚させられるのです。ウイグル人男性は結婚相手を奪われることになります。ウイグルの血を先細りさせ、やがて途絶えさせるのが共産党の狙いだと見ていいでしょう。 
 チベットやウイグルでは、3人を超える集まりは、それがどれほど他愛のない平和的な集まりであっても罰せられます。学校の教室にはカメラが設置され、教師が民族の言語や文化について子供たちに教えないよう監視されています。新疆ウイグル自治区では街中の至るところに6万台もの監視カメラが設置されています。 
 さらにウイグルの人たちは核実験でも苦しめられてきました。2008年に『中国の核実験』(医療科学社)を出版した札幌医科大学教授の高田純氏によれば、1996年までの約30年間にウイグル自治区のロプノルで46回の核実験が行なわれ、その影響で少なくとも19万人以上が死亡しました。
古来いわゆる大帝国は、侵略した土地においては、最初は地元民を弾圧したようですが、それだけでは統治が不可能なので、地元民の自治や宗教を認めたり、宥和策をとるのが普通でした。ローマ帝国もそうでし、かつてのイギリス帝国によるインド統治もそうでした。しかし、中国はそうではありません。これでは、地元民が納得するはずはありません。

 それとウィグル人は基本的には、イスラム原理主義です。無論、元々ISISに親和的という意味ではなく、元々のイスラムの教えを守る気風が強いということです。
"
 いずれにせよ、ISISを正当化するつもりも支持するつもりもありませんが、中国はいままでウィグル族を徹底的に弾圧してきたことのつけを払うことになりそうです。今まで、版図を拡張する一方で、最近では陸地から海洋に進出していましたが、これからは、海洋進出どころではなくなりそうです。

広大な中央アジアには、テロリストにとって格好の隠れ場所が豊富です。これから、心境ウィグル自治区の国境付近が紛争の火種を生むことになりそうです。

中国が、これを防ぐにはウイグル自治区がいずれ独立することを認め、その前段階として今のような弾圧ばかり繰り返すのではなく、自治権を大幅に拡大したその上で、ISISを共通の敵として、ウイグル族と共同でISISに対峙して、その勢力を削ぐことです。

ウイグル族の女の子
しかし、習近平をはじめとする中国の共産党幹部は、そのような柔軟な考え方ができないと思います。そうなれば、かなり長い紛争に突入することになると思います。

この紛争の規模は、今まで中国が国内で経験したものや、周囲の国々との国境紛争などとは桁違いの、幅も奥行き大きなとんでもない規模になることが予想されます。

そうして、中国としては、第二ISISに単独で対峙するしかなく、苦しい戦いを余儀なくされると思います。

そうして、それは当然のことながら、チベットなどにも飛び火して収拾がつかなくなることも十分考えられます。そうなると、中国はかなり疲弊することになります。

そうして、習近平は現中国のラスト・エンペラーになることになるかもしれません。

私は、そう思います。

【関連記事】




【関連図書】

イスラーム国の衝撃 (文春新書)
池内 恵
文藝春秋
売り上げランキング: 3,845

中国の狙いは民族絶滅―チベット・ウイグル・モンゴル・台湾、自由への戦い
林 建良 テンジン ダシドノロブ イリハムマハムティ
まどか出版
売り上げランキング: 319,002



ロシア1~3月GDP 去年同期比+5.4% “巨額軍事費で経済浮揚”―【私の論評】第二次世界大戦中の経済成長でも示された、 大規模な戦争でGDPが伸びるからくり

ロシア1~3月GDP 去年同期比+5.4% “巨額軍事費で経済浮揚” まとめ ロシアの今年1月から3月までのGDP伸び率が去年の同期比で5.4%と発表された。 これは4期連続のプラス成長で、経済好調の兆しとされる。 専門家は、軍事費の増加が経済を一時的に押し上げていると分析。 I...