2016年10月3日月曜日

蓮舫・野田氏が相手なら、次の選挙で「自民党300議席」は堅そうだ―【私の論評】岡田氏より超強力な安倍政権の助っ人蓮舫・野田氏で民進自滅(゚д゚)!

蓮舫・野田氏が相手なら、次の選挙で「自民党300議席」は堅そうだ 「早期解散」一番の根拠はコレ!?

  解散は、3年以内にやれば与党が勝つ

12月に予定されているプーチン大統領の来日や、TPP法案成立を受けて「1月解散に踏み切る」との観測が噴出している。公明党の山口代表が来年1月の通常国会冒頭での解散を拒まない姿勢を示したから、永田町では解散風が吹き始めた。

公明党が早期解散を容認しているのは、来年7月に実施される東京都議選と衆院選がかぶらないようにしたいためだと思われる。

また、先の国会で衆院選の1票の格差是正と議員定数10減のための改正公職選挙法が成立したことも大きい。小選挙区を「0増6減」、比例代表を「0増4減」することが決まり、衆院の定数は465議席となる。

ただし、区割りには時間を要するために、来年6月以降にならないと、新たな区割りでの衆院選はできないと見られている。現職の衆院議員はこれまでの区割りで選挙をしたいと望むだろう。

上記のことから、衆院選は5月までに行われる公算が強い。このスケジュールは、過去の衆院選を見てもわかる。衆院任期は4年であるが、戦後任期がまっとうされたのは、1976年12月の1回しかない。それ以外は任期満了の前に解散総選挙が行われている。

間接民主主義は、民意を反映するために、一定期間で選挙を行う必要がある。これまでの衆院の平均任期は2年9ヵ月なので、2年を過ぎれば、いつ総選挙があっても不思議ではない、ということだ。

中曽根政権以降を見ると、3年以上経過して解散した例が8回と多い。2年以上3年未満で解散したのは、1986年7月、2005年9月、2014年12月と3回しかない。ただし、この3回ともに与党の圧勝であった。3年以上経過するともろもろの問題が生じて追い込まれる感があり、与党に分が悪いことが多いようだ。


来年1月になると、前回の解散から2年超が経過することになるし、早めの解散のほうが与党は勝利しやすいということもあり、1月解散風が吹いているわけだ。

  実は蓮舫は脅威のハズだった…が

もちろん解散が行われるかどうかは、野党の力量にも依存する。その意味で、蓮舫氏が新代表となった民進党がどれだけの勢いを得られるかに注目が集まっていた。

女性党首ということで、相当な脅威になると与党は見ていたはずだ。ところが、民進党人事の過程で、その化けの皮がはがれてしまった。


自民党にしてみれば、蓮舫代表以下、「若手、イケメン、女性集団」で執行部を固められたら、政策の中身はともかくとして、見栄えの良さで人気を奪われ、苦しかったかも知れない。しかし、フタを開けてみれば幹事長に就任したのはなんと野田佳彦氏だった。

蓮舫代表にしてみれば、自分が参院議員なので、衆院対策で野田氏に頼るしかなかったのだろう。だが、野田幹事長は民主党政権転落の引き金を引いた張本人。さすがに民進党内でも異論が続出し、誰も幹部になりたがらなかった。

はっきり言えば、蓮舫民進党は党内人事につまずいてしまったわけだ。人事ができない政治家は、そもそもダメなのである。

人事だけではない。蓮舫民進党は、政策もダメダメである。

蓮舫代表は二重国籍問題での対応に不手際が目立った。そこに加えて、野田幹事長が緊縮財政、増税指向にこだわっている。財務省は民主党時代に野田氏を完全に「財務省色」に染めたために、今なお財務省の主張を繰り返しているのだ。

しかも、「シロアリ(税金にたかる省庁や業者)を退治することが消費増税の前提」といいながら、それを翻して民主党をぶっ壊した人だ。さらに先の国会代表質問で、安倍政権の二度にわたる消費増税延期を激しく批判した。まさに、民進党は出だしから満身創痍である。


  「消費税」を争点にすれば、いつでも解散できる

先の国会代表質問と、それに対する安倍総理の答弁をみれば、民進党が政策でまったくダメなのは、一目瞭然である。

蓮舫代表と野田幹事長の質問と、安倍総理の答えを並べると以下の通りだ。

「憲法草案を撤回しろ」→「撤回しない。民進党も草案をだせ」
「アベノミクスは失敗」→「民主党の時より、雇用がよく、税収もアップ」
「消費増税の先送りは矛盾・誤魔化しだ」→「国民の信を得た」
「政府の児童手当は効果が薄い」→「民主党の時は1円もあげられなかった」
「年金運用は失敗」→「短期的にみてはいけない。民主党の時よりもいい」

このように反論されることはこれまでに何回もあったが、民進党は学習効果がなく、なんとかのひとつ覚えのように同じ質問を繰り返し、同じように論破されている。

実は、こうしたこりない民進党の質問は、安倍政権の絶好のアシストになっている。

消費増税についての質問で「延期は国民の信を得た」と答弁していることは、もし民進党が消費増税を公約にする場合(野田幹事長である限りその可能性がきわめて高い)、消費増税を実施するか凍結するかを、総選挙の争点にできる。

1月冒頭解散が行われるかどうかは、北方領土について何らかの進展があるかどうかに依拠する部分が大きい。筆者もその予感があるが、交渉は相手があるので、どうなるかはわからない。

しかし、野田前首相が民進党の幹事長である限り、消費増税を争点にして安倍政権は総選挙を仕掛けることができる。つまり、北方領土に進展があれば1月解散の可能性があるが、進展がなくても、消費増税を争点にすれば総選挙ができる、ということだ。

  解散は、今年11月!?

もし、今解散したら、衆院選はどうなるだろうか。

過去の本コラムで使った「青木率(=内閣(不)支持率+政党支持率。この数字を使えば、大体の選挙の結果が予測できる。青木幹雄・元参議院が好んで用いたそうで、こう呼ばれている)」を使って、自民党の獲得議席を予想してみよう。

最近の世論調査では、青木率は100に近い。


これを過去の衆院選直前の青木率と自民獲得議席の関係を使うと、300議席に達しそうである。


こうした状況であるなら、安倍総理はいつもで解散したいと思っているはずだ。勝てるチャンスに勝っておくというのが勝負の鉄則である。

今国会は、9月26日に招集され、11月30日までの会期である。安倍総理の重要な外交日程は、11月19-20日にペルーで開催されるAPEC。そこプーチン大統領と会い、12月15日に山口で再び会談する。

すると、かなりアクロバティックな案ではあるが、11月21日(先勝)にペルーから帰国後に解散し、プーチン会談の前の12月11日(大安)に投開票という、羽生結弦の4回転ループのような超難儀の技も考えることができる。

これは、ちょうど2年前の2014年11月21日解散、12月14日投開票で衆院選が行われたときと同様な選挙日程である。

解散は総理の専権事項であるので、いつ行われるのかは誰にもわからない。政治の格言で、「みんなが解散というときには解散なし」というものがある。その意味では1月解散に限定して考えるより、上のような奇抜なスケジュールを含めて、いつでも解散があり得る状態になっている、と見るべきだろう。

蓮舫新代表率いる民進党が現体制を維持するなら、なおさらである。

【私の論評】岡田氏より超強力な安倍政権の助っ人蓮舫氏、野田氏で民進自滅(゚д゚)!

第3次安倍政権発足後初の大型国政選挙となる第24回参院選は7月10日、投開票されました。自民、公明両党は自民党総裁の安倍晋三首相が勝敗ラインとした改選過半数の61議席を超え、自民党の27年ぶりの単独過半数獲得しました。首相が目指す憲法改正に賛同する改憲勢力は、非改選と合わせ国会発議に必要な全議席の3分の2(162議席)以上の議席を得ることになりました。国政選挙に4回連続で勝利した安倍首相の党内での求心力はより高まり、戦後最長となる長期政権も見えてきました。

安倍首相は6月、麻生太郎財務相(75)らの反対を押し切り、来年4月に予定していた消費税10%への引き上げを19年10月まで2年半延期を決定。衆参同日選も視野にあったのですが参院選一本に絞り、アベノミクスを軸とする経済政策を最大の争点とし必勝を期していました。

それにしても、この選挙どうして、このような結果になったかといえば、以前このブログでも述べたように誰あろう、選挙当時の民進党の岡田代表自信が安倍政権の強力な助っ人になっていたからです。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
自民、27年ぶり単独過半数獲得も 参院選議席予測 浅川博忠氏 ―【私の論評】実は、岡田民進党代表こそ安倍政権の真の救世主だ(゚д゚)!
この記事は、本年6月23日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、岡田代表が安倍政権の強力な助っ人であることを示した部分を以下に引用します。
それにしても、なぜこのようなことになるかといえば、上の記事で浅川氏は、「浅川氏は「代替案を示さず、批判ばかりしているように見える民進党の低迷に助けられている。民主党政権時代の悪いイメージがまだ国民の間に残っており、国民は安倍政権に安心感を持っている」と語っています。 
その意味では、まさに民進党の岡田代表は自公政権の救世主であるともいえます。後世の歴史家は首相官邸が機密費を使って傀儡に仕立てたスパイであると疑うかもしれません。

安倍政権の本当の救世主岡田民進党代表
そもそも、岡田氏が自発的にスパイと同じ動きをしているのか、それとも誰かに操られているのかは、理解不能です。しかし、これだけは言えます。岡田克也氏ある限り、安倍自民党内閣は安泰であると! 
安倍内閣は三角大福の時代なら政権即死に至るような致命的な多くの政治的失敗を繰り返してきました。最近では、甘利経済産業大臣辞任は記憶に新しいです。しかし、その機会をことごとく岡田氏は生かせませんでした。 
また、アベノミクス批判でも、岡田代表は、8%増税の大失敗を徹底的に追求すれば良かったのに、反対のような、賛成のようなどっちつかずの批判の仕方で、この安倍政権最大の大失敗を全く生かすことができませんでした。また、金融政策は大成功しているにもかかわらず、それを批判し、多くの国民を惑わせました。
そうして、安倍自民党内閣は支持率を向上させ、「一強」状態です。にもかかわらず、護憲派野党結集のための新党で、引き続き不人気の岡田氏が参議院選挙まで代表を務めるというのですから、なんという僥倖なのでしょうか。 
もはや、安倍首相に「憲法改正をしてください」と言わんばかりです。よほどの変わり者でない限り、いくら現状の政策に不満があっても、岡田氏との二択ならば迷うことなく安倍自民党を選ぶことでしょう。 
そうして、岡田氏は自分で気づいているかどうかはわかりませんが、安倍首相は憲法改正をするなどとははっきり言っていないにもかかわらず、「安倍政権は憲法改正をする」と事あるごとに語っています。これは、まるで国民への「憲法改正」のスポークスマンです。 
国民の側としては、岡田スポークスマンが「安倍首相は憲法改正」をすると力強く語っているわけですから、安倍総理が参院選の後に憲法改正をしたしても多くの国民は、「そんなことは知らなかった」ということにはならないわけです。
この勢いだと、参議院選挙では、連立与党の自民党と公明党に加え、おおさか維新の会と日本のこころを足せば、三分の二の議席を超えるかもしれません。実際、上の予測表ではぎりぎりでそうなっています。 
岡田克也氏のおかげで、敗戦後初めて憲法改正が現実味を帯びてきたのです。何と素晴らしいことではありませんか。
私としては、このような岡田代表が代表を辞任するということで、残念至極なのですが、安倍晋三首相はどこまで、運が良いのでしょうか、あの蓮舫氏や野田氏が岡田氏をさらに上回るような、安倍政権の強力な助っ人に変身してしまったのですから驚きです。

その内容については、ブログ冒頭の記事に十分書かれているので、ここではあまり解説しませんが、ただ一つ加えるとすれば、蓮舫氏の二重国籍問題です。

蓮舫・野田で民進党は自滅(゚д゚)!
これについても、このブログでは何度か詳細を掲載してきたので、ここで詳しくは解説しません。

しかし、はっきり言うと、蓮舫氏は法律違反の疑いが濃厚です。法務省は先月15日、民進党の蓮舫新代表のいわゆる“二重国籍”問題に関連して、一般論として日本国籍取得後も台湾籍を残していた場合、二重国籍状態が生じ国籍法違反に当たる可能性があるとの見解を明らかにしました。 

法務省は15日、「日本の国籍事務では台湾出身者に中国の法律は適用していない」との見解を公表しました。これは中国の法律が「外国籍を取得した時点で自動的に中国籍を失う」と定めていることを念頭に、台湾出身の人が国籍を自動的に失うわけではないとの見解を示したものです。 

一方で、日本の国籍法は二重国籍の人についてどちらかの国籍選択義務に加え、日本国籍を選んだ場合の外国籍離脱努力義務を定めていて、日本国籍を取得した後も台湾籍を残していた場合、二重国籍状態が生じ、国籍法違反に当たる可能性があるといいます。 

これについて、日本維新の会の下地幹郎、足立康史両氏が3日の衆院予算委員会で質問に立ち、蓮舫代表のいわゆる「二重国籍」問題のほか、憲法改正、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などに後ろ向きな民進党を徹底的に糾弾しました。これからも、このような糾弾は続き、蓮舫氏や民進党にも相当なダメージになることは避けられません。


さて、安倍総理は3月の参院予算委で憲法改正について「私の在任中に成し遂げたい」と語っていましたが選挙戦ではほとんど言及せず、呼応するように閣僚らも憲法問題を封印しました。しかし、憲法改正は、安倍首相の祖父・岸信介元首相からの悲願です。

自民が衆参ともに過半数を占めたことで、公明に対して気配りは減軽され、政権に安定感が増しました。求心力がより高まる安倍首相に、もう一つの大きな野望も見えてきたようです。「超長期政権」の樹立です。首相の自民総裁任期は2018年9月まで。解散などがなければ、任期切れの3か月後に衆院選が行われます。現状、有力なポスト安倍は見当たらず、総裁任期を延長して、安倍首相の続投を推す声が高まりそうです。6月初旬、稲田朋美政調会長(57)も「安倍首相が(18年9月以降も)首相を続けている可能性は十分ある」と期待感を示していました。

「4年後には東京で再び五輪・パラリンピックが開催される。必ず成功させ、その先を見据えながら、新しい国造りへの挑戦を始めたい」。首相は1月4日の年頭記者会見で長期政権へ並々ならぬ意欲を示していました。党本部によると、現在の党則では総裁任期は1期3年2期までですが、党大会で議決されれば党則を変更することができます。

ただし1955年の結党以来、総裁任期を延長したのは、86年に「死んだふり解散」によるダブル選で圧勝した中曽根康弘元首相(1年延長)だけです。あの小泉純一郎元首相もやりませんでした。仮に安倍首相が任期を1年延長すると、戦後最長となる2798日の在任記録を持つ大叔父の佐藤栄作元首相を抜くことになります。さらに2年延長なら、20年東京五輪・パラリンピックを見届けることができます。

憲法改正と東京五輪・パラリンピック。2つの大目標を見据え、民進党蓮舫代表と野田幹事長という岡田氏よりもさらに強力な助っ人を得て、安倍首相は大総理への道を一歩踏み出したようです。

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2016年10月2日日曜日

日銀への大きな不満?為替介入を嫌がる財務省、その判断は間違いです―【私の論評】増税キャンペーンして、為替介入をしない財務省は国民の敵(゚д゚)!

日銀への大きな不満?為替介入を嫌がる財務省、その判断は間違いです 突然「外債購入論」が浮上したワケ

ドクターZ

日銀の外債購入については正しく報道されることは滅多にない。写真はブログ管理人挿入。
以下、写真、図表ともにブログ管理人挿入。

  そもそも外債購入は可能か?

今年9月に入り、日銀の「外債購入論」が浮上してきている。日銀による現行の金融緩和政策の限界を打破する「秘策」と期待されているというが、実際にはどのような意味を持つのか。

日銀が外債を購入することによって、まず市場へ円資金を供給することができる。加えて、外債を買う過程で円を下落させる効果がある。前者で現行の日銀の金融緩和政策にプラスに働き、後者で財務省が行う「為替介入」と同様の効果もある。

この為替介入であるが、財務省の権限ということになっているため、外債購入は「法律的に難しい」といわれることがある。しかし、あまり報道されていないことであるが、外債購入自体は日銀法上では「可能」ではある。日銀法40条1項では〈日銀は自ら、または国の代理人として、外貨債権の売買ができる〉となっている。

さらに、同条2項では〈為替相場の安定を目的とするものについては国の代理人として行う〉とある。つまり、日銀法上、日銀は自ら外貨債権の売買を行うことは可能だが、為替介入目的の場合は国(財務省)の代理人として行う必要がある。

そもそも為替介入が十分な効果を生むには、財務省と日銀の連携が重要になってくるというのが経済界の「常識」。'04年の急激な円高危機の際に行われた大規模な為替介入が一例だ。

このとき、財務省はドル買いの原資となる証券を発行、日銀がそれを購入する形で進められた。これは、財務省の権限である為替介入と日銀の国債購入という「合わせ技」で、学問的には「非不胎化介入」と呼ばれるものだ。財務省は1日1兆円規模の円売りドル買いの為替介入、日銀は国債買いオペを行った結果、円安と金融緩和の効果をもたらした。

   「国益」を損ないかねない

では、いまなぜ外債購入論が急浮上しているかというと、現在の財務省が為替介入にまったくもって消極的であるからだ。

今年6月に英国のEU離脱が決定したとき、ドル円相場は1日で7円(約7%)もの変動があった。過去のデータを見ると、2週間で7%程度の為替変動が20年に一度の出来事。今回は1日で7%だったから、まさに未曽有の事態であった。それでも動かなかった財務省に、日銀は不満を持っている。

もちろん、為替介入にも注意すべき点はある。それは、円安のときも円高のときも、特定の為替水準の維持を意図してはいけないということだ。あくまで急激な変動に対してブレーキをかけるのが為替介入の目的である。

財務省が為替介入に消極的な理由はまったく不透明だが、下手するとこの姿勢は「国益」を損ないかねない。というのも、為替介入はヘッジファンドにとって絶好の「攻め時」となる。日本は小泉政権時代にその攻防をしのぎ切った経験があるが、今の財務省は当時のような対策が取れないように見える。これでは海外からなめられても仕方ない。

以上のことを踏まえると、外債購入論が浮上するのも当然のこと。ただし、今後も財務省が為替介入しないことに固執するなら、「財務省の為替介入権限を日銀に移管する」という過激な議論も出てくる。これには法改正が必要だが、その際には財務省の外為利権のはく奪を目論む政治家が躍起になるだろう。

『週刊現代』2016年10月8日号より

【私の論評】増税キャンペーンして、為替介入をしない財務省は国民の敵(゚д゚)!


日銀の外債購入については、高橋洋一氏が過去に興味深い記事をZAKZAKに掲載しています。

その記事のタイトルを以下に掲載します。
【日本の解き方】葬り去られた外債購入構想…日銀の実像 - 政治・社会 - ZAKZAK 
この記事は、2012年2月5日のものです。この記事残念ながら、すでにZAKZAKからは消去されています。ただし、私自身が別途その内容を保存しておきましたので、そこから下に引用させていただきます。
1月31日に公表された2001年下期の日銀金融政策委員会議事録に興味深いことが書かれている。中原伸之審議委員が同年11月16日、日銀による外債購入を提案していたことは知られていたが、それ以前の10月、須田美矢子審議委員、植田和男審議委員、中原真審議委員らが賛同していたことが明らかにされた。 
当時、アメリカの同時多発テロなどで景気が悪化していたので、竹中平蔵経済財政担当相は「一歩踏み込んだ金融政策に私たちは大変、期待している」と述べていた。 
そうした中、同年3月からの量的緩和について日銀は半信半疑だった。もともと00年8月のゼロ金利解除が間違いだったにもかかわらず、量的緩和に追い込まれたという被害者意識が日銀にあったのだ。 
議事録でも、01年10月12日の会合で、速水優日銀総裁は「皆が価格が下がるのはデフレで大変だと大騒ぎされるのはどうかと思う」と、いわゆる「よいデフレ論」を展開し、山口泰副総裁や三木利夫審議委員は同調していた。 
本来良いデフレなど存在しない。デフレは経済にとってすべからく悪である。
中原伸之審議委員は、(個別の商品などの価格である)「相対価格」と(いろいろな物やサービスの値段を平均した)「一般物価」の混同であると正論を示しているが、当時の日銀執行部はデフレの認識が甘かった。そのため、量的緩和政策を自己否定するかのように、量の拡大には消極的だった。 
そこで「緩和の姿勢をアピールすることが大事だ」ということで、外債購入が検討されたようだ。はじめに取り上げたのは、8月会合で財政規律を重要視して長期国債の買いオペに否定的な須田審議委員だ。外債なら問題ないからだ。 
しかし、日銀による外債購入構想は、あっけなく財務省の前に敗れた。為替の所管は財務省であるので、日銀による外債購入は財務省の権限を侵すという論理だ。 
11月16日の会合で表明された藤井秀人財務省総括審議官による日銀法の解釈に対して、政策委員会メンバーは無力だった。実際、日銀は外貨債を保有しているが、財務省の為替権限を侵さないように外貨で購入したものであって、円で購入したものはなかった。 
しかし、この構想は後の04年の大規模介入(いわゆる「テーラー・溝口介入」)につながっている。財務省が為券(政府短期証券)を発行して外債を購入し、ゼロ金利を維持するために日銀は財務省が発行した為券を購入する。 
その結果、外債購入という需給関係(一時効果)から、また日銀が為券購入によってマネタリーベースが拡大すること(永続効果)から、円安になる。実際に円安になったのは、介入の効果ではなく量的緩和の効果である。 
他に、注目すべきは、9月18日の会合で竹中大臣が中央銀行の独立性には「目標」と「手段」の2つあると問題提起したが、日銀に無視されたことだった。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
金融政策決定会合の議事録は、各金融政策決定会合から10年を経過した後に、半年分(1月から6月分、7月から12月分)ごとにとりまとめて、年2回公表しています。個々の公表予定日は、事前に公表しています。誰でも閲覧できます。

さて、為替介入というと、財務省管轄の特別会計である、外国為替資金特別会計を思い出します。これは、政府が行う外国為替等の売買に関し、その円滑かつ機動的な運営を確保するため外国為替資金が設置されるとともに、その運営に伴って生じる外国為替等の売買、運用収入等の状況を区分し経理するために設置された特別会計です。

外為資金として127.9兆円(2013.3末)。このうち外貨債権は103兆円(証券は99.5兆円、貸付3.5兆円)です。ちなみに、外貨証券の満期は1年以下1割、1年超5年以下6割、5年超3割)となっています。一方、外貨負債はありません。ということは、円安は資産を膨らませるだけであり、政府財政にとっては確実にプラスです。ざっくりみると、2014年度外為資金での円安による評価益は20兆円程度あったものと推定されます。

その他にも、多くの特別会計があります。その代表的なものを以下に掲載します。

まずは、国債整理基金特別会計。一般会計又は特別会計からの繰入資金等を財源として公債、借入金等の償還及び利子等の支払いを行う経理を一般会計と区分するために設置された特別会計です。定率繰入れ等の形で一般会計から資金を繰り入れ、普通国債等の将来の償還財源として備える「減債基金」の役割もあります。

この「減債基金」は、先進国で日本しかありません。他の先進国では昔はありましたが、公債市場が大きくなって整備されると償還財源はその都度借換債で調達するので、「減債基金」はなくなったのです。そういえば、民間会社で社債の「減債基金」もありません。将来の借金償還のために、さらに借金をする必要などないのです。

この観点から見ると、2015年度予算の11.6兆円の定率繰入は過大な計上であり、不要である。また、利払費が9.7兆円ある。しかし、この積算金利は1.8%と過大だ。おそらく2兆円くらいは過大計上だったでしょう。

次に労働保険特別会計。労災保険と雇用保険を経理するために設置された特別会計です。労災保険は、業務上の事由等による労働者の負傷等に対して迅速かつ公正な保護をするための保険給付及び被災労働者の社会復帰の促進等を図るための社会復帰促進等事業を行うもの、雇用保険は、労働者の失業中の生活の安定、再就職の促進等を図るための失業等給付及び雇用機会の増大等を図るための雇用保険二事業を行うものです。

2013年度の労働保険特別会計財務書類をみると、雇用勘定のバランスシートで7.1兆円の資産負債差額があります。いわゆる埋蔵金です。これは、高めの雇用保険料にもかかわらず失業保険給付が少ないために生じたものです。本来国民に還元すべきでした。

税収の2/3が特別会計という、この官僚のやりたい放題の構図。
このような国は他にない。この状況は今でも変わっていない。
かつて、「母屋(一般会計)ではおかゆで、離れ(特別会計)ではすきやき」といわれたことがあります。これは今でも妥当しています。

財務省は、これらの特別会計を積んでいるだけで、有効利用はしません。特にブログ冒頭の記事でも指摘されている、財務省の為替介入をして円安になったにしても、円安は資産を膨らませるだけであり、政府財政にとっては確実にプラスです。そうして、ざっくりみると、2014年度外為資金での円安による評価益は20兆円程度あったものと推定できます。

この頃は円安傾向ですから、為替介入など全く必要ではなく、本来ならここから、20兆円ほど他に融通したとしても良かったはずです。

2014年度といえば、8%増税をした年度です。財務省としては、8%増税をして景気が冷え込むことは、予め予想出来たはずですから、最初から増税しなようにするか、少なくともこの20兆円を景気対策に使うことはできたはずです。しかし、現実にはこれには程遠いものとなり、実際増税後景気は落ち込み未だに回復していません。

政府による為替介入を実行するためにこそ、外国為替資金特別会計が存在する

さらに、2016年に入ってから、円高気味の傾向が続いていますが、財務省は為替加入を行なうこともなく、そのため外国為替資金特別会計を使うこともなく溜め込んでいるだけです。

こんなことが許されて良いものなのでしょうか。許されて良いはずがありません。だからこそ、ブログ冒頭の記事のように、日銀による外債購入論が浮上するのも当然のことです。

そうして、今後も財務省が為替介入しないことに固執するなら、「財務省の為替介入権限を日銀に移管する」という過激な議論も出てくるのも当然のことです。そうして、その際に財務省の外為利権のはく奪を目論む政治家が躍起になるのは目に見えています。

まさに、増税キャンペーンは熱心にして、為替介入はしない財務省は国民の敵と言っても差し支えないと思います。

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2016年10月1日土曜日

【朝日新聞研究】戦後日本は本当に「平和国家」だったのか 単に戦争をしなかったというだけ―【私の論評】国民が拉致されたままの日本のどこが平和なのか?

【朝日新聞研究】戦後日本は本当に「平和国家」だったのか 単に戦争をしなかったというだけ

国立歴史民俗博物館の山田康弘教授
朝日新聞の8月30日朝刊のオピニオン欄「異議あり」に、「『縄文時代』はつくられた幻想に過ぎない」と題する、先史学者で国立歴史民俗博物館の山田康弘教授へのインタビュー記事が掲載されていた。

 縄文時代は戦後、稲作が開始された弥生時代と比較して、原始的な遅れた貧しい時代だと考えられてきた。「しかし70年代になると、縄文のイメージは大きく変わります。縄文は貧しいどころか、豊かな時代だったという見方が出てくるんです」と、山田氏はいう。

 その要因は、発掘調査が数多く行われたうえ、旧国鉄の旅行キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」にみられる日本再発見の時代風潮、芸術家の岡本太郎氏らの提示した「縄文ポピュリズム」などであった。

岡本太郎氏
 山田氏は「縄文のイメージは、考古学的な発見とそれぞれの時代の空気があいまってつくられてきたものです。見たい歴史を見た、いわば日本人の共同幻想だったのです」といい、以下のように結論付ける。

 「縄文に限らず、ある時代の一側面だけを切り取って、優劣をつけるのは、様々な意味で危険です。『縄文は遅れていた』『縄文はすばらしかった』と簡単に言ってしまうのではなく、多様な面をもっと知ってほしいですね」

 インタビューした記者も、次のように記している。

 「人は『見たい歴史』を見てしまうと山田さんは言う。縄文だけでなく、私たちは江戸時代や明治時代にも『見たい歴史』を見ているのかもしれない。『○○時代はこうだった』という思い込みの危うさを痛感させられた」

 日本の歴史の各時代の中で、私が最も幻想だと感じるのは、一番最近の「戦後日本」である。それは朝日新聞に代表される、昨年、安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」であると表現される。しかし、戦後日本は本当に平和国家であったのか。日米安保条約によって守られて、単に戦争をしなかったというだけでは、本当の平和国家ではないだろう。それこそ「見たい歴史」を見ているだけではないのか。

 ところで、戦後日本においては「東洋のスイス」になることが理想とされた。だが、その声はいつの間にか消えてしまった。スイスの真の姿が、次第に知られてきたからである。ヨーロッパの真ん中にありながら、スイスは永世中立国として、第1次世界大戦にも、第2次世界大戦にも巻き込まれなかった。

 同じ永世中立国でも、ベルギーとルクセンブルクは、第1次でも第2次でも、ドイツに侵略された。第2次大戦で中立を宣言したオランダやデンマーク、ノルウェーも、ドイツに侵略されて中立を守れなかった。

 スイスにそれができたのは、「武装独立」と「国民皆兵制」を国防戦略の基本に据えるなど、国民が強固な国防意識を待って軍備を整え、侵略者にその気を起こさせなかったからである。自力で平和を守れる国こそが真の平和国家である。

 酒井信彦(さかい・のぶひこ)


【私の論評】国民が拉致されたままの日本のどこが平和なのか?

確かに、戦後日本が「平和国家」であったなどということは幻想に過ぎません。しかし、それは酒井信彦氏のブログ冒頭の記事で語っておられるように、戦争をしなかつただけということだけではなく、北朝鮮による拉致被害が生じていてそれに日本が対処してこなかったことでも、とても平和であったとなどは口が裂けてもいえません。

「拉致国民大集会」でスピーチをする横田早紀江さん(中央)
「日本の平和を守ろうと、みんなが口にします。けれども、いまの日本が平和なのでしょうか。北朝鮮に拉致された被害者の日本国民が放置され、しかも生存をかけて戦っている以上、いまの日本は平和ではありません」

姉のるみ子さんを北朝鮮工作員に拉致された増元照明氏は、9月17日、東京都千代田区の砂防会館別館で開催された「拉致国民大集会」でこう語りました。

拉致国民大集会の正式の名称は「最終決戦は続いている!制裁と国際連携で全員救出実現を!国民大集会」です。「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)が主催したこの集会に、安倍晋三首相をはじめ各政党の代表や全国知事会の代表、地方議会の代表、一般支援者など合計1000人が集まりました。

集会では、横田早紀江さんも北朝鮮に拉致された娘への思いを切々と語りました。

「娘のめぐみが北朝鮮工作員に拉致されてから、もう39年です。この間、めぐみは日本からの救出を待ち続けてきたはずです。大韓航空機を爆破した金賢姫元工作員から北朝鮮でのめぐみの様子を聞いたとき、『めぐみさんはいつも君が代を大きな声で歌っていました』と教えてくれました」

早紀江さんはさらに熱を込めてこうも語りました。

「めぐみは日本という国家への思いを込めて、君が代を歌い続けたのでしょう。日本が、やがて必ず自分を北朝鮮から救出してくれる。究極には日本という国家を信じていたのだと思います。ひたすらめぐみは北朝鮮で待ち続けた。しかし日本はその期待に応えていません。日本人にとって国家とはなんなのでしょうか」

早紀江さんは日本という国家への期待を表明する一方で、日本が国家として自国民の救出に乗り出さないことへのいらだちを隠しません。

増元照明さんと横田早紀江さんが日本国のあり方を非難するのもきわめて当然のことです。国家にとって自国民を守ることは最も基本的な責務のはずです。

しかし、日本はこの最も基本的な責務を果たしていません。北朝鮮という隣の国家に日本国民が拉致され、長い年月、囚われとなっている事実が分かっていても、救い出すことができません。究極的な政治的・経済的制裁を加えて北朝鮮と対決し解放を迫ることはないし、まして他国にように軍事手段を使って自国民の生命を保護することは最初から禁じられています。

北朝鮮拉致問題の「救う会」「家族会」らが開いた国民大集会で、安倍晋三
首相と握手する横田滋さん。右は曽我ひとみさん=9日午後、東京都文京区

今回の大集会は新たな決議を採択して閉会した。その決議内容を以下に記しておきます。

(1)北朝鮮は、今すぐ、被害者全員を返せ。全被害者を返すための実質的協議に応ぜよ。

(2)政府は、核・ミサイル問題と切り離して被害者帰国を先行させるための実質的協議を最優先で実現せよ。

(3)立法府は、北朝鮮のようなテロ集団を支える活動をわが国内で行うことを阻止する新法を作れ。

「拉致問題を核・ミサイル問題と切り離して最優先」というのはこれまでと異なる表現でした。つまり「拉致問題の解決を先行してほしい」ということです。この点にも拉致被害者家族たちの切なる思いがあふれ出ていると言えます。


北朝鮮に拉致された可能性のあるのは、上のチャートにあるように、拉致被害者だけではありません。特定失踪者も、拉致の疑いがあります。

このような厳しい現実があるにもかかわらず、昨年、朝日新聞をはじめとする安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」と呼ばれる日本は、本当に平和であるといえるでしょうか。

私は、全く「平和国家」などとは言えないと思います。

拉致された日本人を救う手立てははるはずです。1997年アルバニアでは国民の間で流行していたネズミ講が破綻し、財産を失った国民が暴徒化するという事態に発展しました。

この動乱で、自国の在留住民の身辺を案じた国際社会による救出作戦(オペレーション・アルバ、オペレーション・リベレ、オペレーション・シルバーウェイク)が実行されました。しかし、紛争が長期化しアルバニア難民が発生すると、イタリア・ドイツ・アメリカを主導とした治安回復作戦(オペレーション・サンライズ)が開始されました。作戦によって暴動は鎮圧されて治安は回復したましたが、同年の総選挙でサリ・ベリシャ政権は退陣に追い込まれました。

1997年アルバニア動乱でアメリカ合衆国による自国民救出
このときドイツもアルバニア在住の自国民保護のため、国防軍を派遣。ドイツ人だけでなく、日本を含む他国民も救出しました。

このことによって国際社会はドイツが軍事的にも主体的に行動することを是認するようになりました。自国民保護をきっかけに、ドイツは国際政治の中で重要なプレーヤーになることになったのです。

しかし、日本の自衛隊は未だにそのようなことができない状況にあります。昨年朝日新聞をはじめとして、安全保障法制に反対した人々によって、「平和国家」とされた日本の現実はこのようなものなのです。このような現状は、何が何でも変更して、日本が真の「平和国家」になるべきであると思うのは、私だけでしょうか?

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2016年9月30日金曜日

『アゴラ』が蓮舫氏に公開質問状 “二重国籍問題”を追及「証拠示し説明を」―【私の論評】蓮舫氏が蓮舫氏自身を追求し追い詰めることに(゚д゚)!


今臨時国会で、安倍総理を舌鋒鋭く批判し、質問した蓮舫氏
 民進党の蓮舫代表の「二重国籍」問題で、インターネットの言論プラットフォーム「アゴラ」が29日、蓮舫氏あてに公開質問状を提出した。国民にウソをついていた国籍問題について、野党第一党の党首として口頭ではなく、公文書などの証拠を示して説明を求めるものだ。蓮舫氏は「ごまかし」なく、国民に真実を提示できるのか。

注目の質問状は、アゴラ編集部が29日夕、蓮舫氏のツイッターに送付するとともに、ネット上で公開した。夕刊フジでも同問題を徹底追及した、徳島文理大学の八幡和郎教授が問題提起を続けてきたサイトだ。

国会議員の法令順守が問われる蓮舫氏の「二重国籍」問題を明らかにするため、アゴラは(1)(1985年に日本国籍を取得しているが)日本国籍を選択した日付の戸籍関係書類(2)9月6日に東京の台北駐日経済文化代表処に出した台湾旅券を含むすべての書類(3)9月23日に台湾の当局から受け取った国籍喪失証明書-の開示を求めている。

質問状を出した理由として、「現状では、国籍選択をされたのか、本当に『二重国籍』状態は解消されたのか、蓮舫氏の一方的な説明に過ぎない」「もし、蓮舫氏が疑惑を追及する立場だったら、舌鋒鋭く『なぜ、証拠書類を出さない』と迫っていたはず」と記している。

この問題については、日本維新の会が、国会議員や国家公務員の「二重国籍」を禁止する法案(いわゆる『蓮舫法案』)を、今回の臨時国会に提出している。民進党の同法案への対応が注目されるなか、この質問状への回答も関心を集めそうだ。

【私の論評】蓮舫氏が蓮舫氏自身を追求し追い詰めることに(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にも掲載されている徳島文理大学の八幡和郎教授のサイトのリンクを以下に掲載しておきます。
蓮舫氏の二重国籍解消で判明した点と未解決問題の整理【暫定版】
徳島文理大学の八幡和郎教授
八幡先生が語っておられるように、確かに本当に現在でも、二重国籍から台湾籍わ除籍して、日本籍のみになっているのかどうか、誰もわかりません。それを確認できるのは、今のところ本人だけです。

民主党内ですから、物的証拠を見たという人はいません。自身の二重国籍問題で発言が二転三転し、見苦しい言い訳をしてきた蓮舫氏です。やはり、この公開質問状にははっきりと、まともに応えてもらわないと信用が全くできません。言葉ではなく、物的証拠を提示すべきです。

蓮舫氏を追及させたら蓮舫氏が一番というパロディー動画が、動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」で話題になっています。その動画を以下に掲載します。


この動画は「もしも蓮舫議員の二重国籍問題を蓮舫議員が追及したとしたら(笑)-ブーメランの女王はガソリーヌでなく私よ!」と題した14分57秒の作品です。テレビの複数のニュース番組を編集し、蓮舫氏を蓮舫氏が追及するという仕立てです。

動画の冒頭でテレビ司会者の辛坊氏が「週刊誌やネット等の噂で、二重国籍で台湾籍を持ちながらなのか?という噂があります」と質問すると、画面が切り替わり、蓮舫氏は「いま、そのような噂が流布されることがホント正直悲しいんです」と回答します。

すると次の瞬間、再び画面が切り替わり、国会で質問に立つ蓮舫氏が現れて、「週刊誌の報道内容は事実か確認されましたか?」と語気鋭く質問。さらに「確認はされましたか?」と重ねて詰め寄ります。

強い語調でただす蓮舫氏がそっくりそのまま自分自身を容赦なく攻め立てるように見える編集で、動画のタイトルも「ブーメランの女王」と名付けられた。9月24日の公開後、再生回数12万回以上の人気動画となっています。

この動画がこのように人気になるのも、当然のことです。蓮舫氏の、二重国籍問題に関して、一般人と同じような感覚で、あまり問題がないとか、差別であるかのように、問題を矮小化する人もいますが、国会議員や野党第一党の代表は公人であり、利益が相反する国の国籍を有したまま、国会議員や代表になるのは非常に問題です。

台湾と日本に関しては、このブログに以前掲載したように、はっきりと大きな利益相反があります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「尖閣は台湾のもの?」“二重国籍”蓮舫新代表が知っておくべき日本と台湾の対立点―【私の論評】南京・尖閣問題で台湾は決して親日ではない(゚д゚)!
民進党代表決定の名前を呼ばれる直前にハンカチで目頭を押さえる 蓮舫新代表=9月15日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、台湾は現政権になってからも、尖閣は台湾領であるという主張を取り下げていません。また、南京虐殺に関しても、大陸中国と同様の主張をしています。

この記事にも掲載したのですが、台湾人とは決して一つの民族というわけではありません。まずは、本省人と内省人という区別があります。

本省人とは戦前から台湾に移住して住んでいる人達の事です。本省人には2種類あり、福建系(ほとんど)と客家系(少数)にわかれます。本省人(福建)は台湾語を話し、本省人(客家)は客家語を話します。

台湾は日本などとは異なり、多民族国家です。本省人の他に、外省人とは戦後に中国大陸からやってきて台湾に移住した人達のことです。

当時中国大陸で国民党と共産党の内戦があり、国民党は負けたので台湾に逃れました。元々は大陸に戻るつもりでしたが、大陸の中国共産党政府が強大になったため、その機会はなくなり、今でもその子孫も含めて台湾に残っています。彼らは、中国語を話し、台湾語は話せません。本省人と外省人の他に、元々台湾に住んでいた現地人もいます。

そもそも、蓮舫氏は上記の区分のどれに属するのかもはっきりしません。またたとえ区分がはっきりしたとしても、蓮舫氏が大陸中国に対して親和性があるかもしれないという疑念をはっきり拭うことはできません。それを知っているのは蓮舫氏自身です。もしそうだとすれば、大陸中国と日本との利益相反は、台湾と日本どころの話ではありません。ことごとく、利益が相反します。

日本で人気の台湾の唐揚げを揚げる女子の動画

そのような人が、民進党の代表であるのは無論のこと、国会議員ですらふさわしくはありません。なぜか、蓮舫氏自身も、そうして民進党の幹部なども、この問題を軽く考えているようです。

これは、あまりメデイアがこの問題をとりあげないからでしょうか。普通であれば、この問題連日連夜メディアで取り上げられても良い位の問題だと思いますが、なぜかあまりとりあげません。

だから、蓮舫氏自身も、民進党も時が過ぎれば何とかなるくらいに思っているのでしょうか。だとしたら、考えがかなり甘いです。

今回は、文春砲なども炸裂していません。しかし、アゴラやYouTubeが大爆発しています。これからも、大爆発がおこることでしょう。

この問題をこのまま放置しておけば、蓮舫氏も、民進党も茨の道を歩むことになるのは、必定です。

やはり、蓮舫氏は二重国籍問題を複雑化した責を負って、代表は辞任、できれば国会議員も辞任してけじめをつけるべきでしょう。そのままだとしたら、最近噂されている、年末・年始の衆院解散、選挙にでもなれば、民進党はとてつもない打撃を受けることになります。たとえ、年末・年始の選挙でなくても、大敗するのは間違いないです。

まさに、上の動画のように、このままだと蓮舫氏が、蓮舫氏自身を追求するのと同じことになるかもしれません。代表すら辞任しないで、選挙に臨めば、大敗するのは目に見えているし、選挙で多くの候補者が蓮舫氏の二重国籍問題を連呼するでしょう。選挙が終われば、当然のことながら、完膚なきまでに打ち負かされ、蓮舫執行部はほとんどが辞任ということになるでしょう。その結果、旧社会党と同じような運命をたどることになります。まさに、蓮舫氏自身の振る舞いが、自身を追い詰めることになります。

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2016年9月29日木曜日

臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!


参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=28日午前
第192臨時国会が26日召集された。会期は、11月30日までの66日間。一般会計の総額で3兆2800億円余りとなる今年度の第2次補正予算案と、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の国会承認と関連法案の成立がポイントである。安倍晋三首相は「アベノミクス加速国会」と位置づけている。

補正予算に対して、民進党は「借金頼みだ」と批判している。本コラムで述べてきたように、まさに民進党に財務省が乗り移っているかのようだ。

マクロ経済政策の基本は、失業をできるだけ少なくすることである。中央銀行はこのために金融政策を行うほか、政府の財政政策も発動される。国内総生産(GDP)と失業の間には、経験的に安定的な関係があることも知られている(オークンの法則)。

財政政策について言えば、GDPギャップ(潜在GDPと現実のGDPの差)があれば、それを埋めるというのが財政政策の目標であってもいい。そのような立場からは、政府が完全雇用を作るために、国債発行が容認される。

また、こうした考えに立たなくても、国債発行は容認される場合も多い。例えば教育である。教育が将来の所得を増やすという実証分析結果は数多く、教育に投資するという考え方は正しい。

ここで問題になるのは財源である。今の文部科学省や財務省には、教育を投資と考える発想はない。その証拠は、教育の財源に国債を充てることはないからだ。教育を投資とみれば、将来世代に返してもらえばよいので、国債を発行して財源とするはずである。

民進党は先の代表選で、教育について、よい議論をしていたが、蓮舫代表は教育の財源を行政改革で賄うと述べていた。これではまるで財務省の劣化コピーである。

また、TPPに関して民進党は、「交渉で勝ち取るべきものを勝ち取っておらず、国益が守られていない」という立場だ。

TPPは、先の国会で西川公也TPP特別委員長の著書出版問題や、熊本地震などの対応のために、国会成立を断念した経緯がある。交渉過程の情報公開が不十分という議論もあった。

民進党のいう「交渉がまずかった」というのは、当たらないだろう。あまりに日本がよい交渉をできたので、米国で不満が出てきたのが現実である。民進党は裏では、次期米大統領がクリントン氏でもトランプ氏でもTPPから離脱するので、日本が先に行くべきでないと考えているのだろうか。

今回のTPPで、加入国内で最もメリットを得るのは日本で、特に農業分野で輸出攻勢をかけるのに好都合であり、一部ではその機運も出てきている。

こうした攻めの流れを加速させるのか、萎縮させるのか。将来へ投資するという姿勢を民進党が貫けるか、財務省のように目先だけのそろばん勘定に終わるのかが問われる。

民進党は「景気対策より社会保障」と言うが、野田佳彦幹事長がいるので、本音は「消費増税を優先せよ」だろう。ここも安倍政権対財務省だが、これが今国会の焦点だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!

蓮舫代表の発言というか、民進党の幹部の経済に関する発言の内容は、ことごとく財務省のパンフレットの劣化コピーのようです。

とにかく、民進党の経済政策をそのまま実行に移せば、景気低迷でせっかく実質賃金もあがりはじめた雇用改善はブチ壊しになります。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いま求められているマクロ経済政策は、金融緩和と積極財政であるにもかかわらず、蓮舫氏の政策は真逆のであり、万一これが実行されたとしたら、景気低迷と失業率上昇に見舞われ、雇用改善もぶち壊しとなる恐れがあることを掲載しました。

以下に、財政再建はすでに終了している可能性があることを述べた部分を引用します。

"
ブログ冒頭の記事、高橋氏は「日銀を含めた統合政府ベースでみればネット債務残高は100兆円程度に過ぎず、いまは財政再建を過度に進めるべきときではないことはご存じだろう」と述べています、これに関しては、最近このブログでもとりあげ、さらに私なりに実際に計算してみて、その計算過程もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!
国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる国の借金、正しくは政府の負債を私なりに計算して、その計算過程も示しました。その結果では、ネットで計算さらに、日銀を連結した統合政府ベースで170兆円 ということになりました。

高橋氏の計算結果とは異なりますが、それでも100超円台であり、どう考えても1000兆円でないことははっきりしすぎるくらいはっきりしています。

これに関しては、他の方も計算過程を公開しています。そのリンクを以下に掲載します。
財政再建は終わりました
この方の計算では、政府の負債は169兆円となっています。私の計算結果170兆円とほぼ同じです。ちなみに、この方のハンドルネームは、アフロといい、ツイッターのアカンうとは、"@Afro_spirits"です。

いずれにしても、政府の借金1000兆円などあり得ないわけです。この計算自体は非常に簡単です。是非私やこの方の計算過程をご覧になって下さい。

さて、この方の計算は信用できるものなので、以下にいくつかのグラフを転載させていただきます。

まずは、以下は統合政府純債務残高の推移を示したものです。


このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。

さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。


日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。

日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。実質的には、2016年度中に終了するか、2016年半ばを過ぎている現在もうすでに終了したと言っても良いくらいです。
"
さて、今年中に財政再建はほぼ終了ということに関しては、私だけではなく、高橋洋一氏や経済評論家の上念司氏もそのように語っています。特にリフレ派の人々の中には、そのようなことを言う人が多いです。私も、実際に自分で政府の負債を計算してみてそのように思っています。

いずれにせよ、いわゆる財務省やマスコミが煽っているように、国の借金1000兆円であるとか、国民一人あたり国の借金が800万円以上というようなことは、全くの間違いであり、日本が近い将来財政破たんするかもしれないということは、全くあり得ません。よって財政破綻を防ぐために、増税しなければならないなどということは全くありません。

安倍政権が増税を延期したのは、正しい選択です。延期どころか、減税したほうが良かったです。

しかし、蓮舫氏が選ばれた、代表戦の候補者は3人が3人とも増税賛成派でした。他の民主党議員も似たり寄ったりです。どうしてこれほど、財務省にべったりなのか理解に苦しみます。

民進党と財務省といえば、民進党が民主党だったときの民主党政権の最後の、2012年の野田総理による衆院解散に関して、当時みんなの党の代表であった渡辺喜美氏が会見で興味深い話をしていました。その動画を以下に掲載します。


この動画の7:30あたりのところから、渡辺氏が記者になぜこのタイミングでの解散になったのか、問われて以下のように話しています。
「これは、財務省の路線そのものなのであって、とにかく新製権で、予算編成をしたいと・・・。旧政権でつくった予算をグタグタにされるのは困るという財務省の路線が、そっくりそのまま、野田総理を動かしたというだけのことですね。 
党首会談をやったときに、もう自分は財務省に見放されているということを、はっきりと言っていました。その見放された総理が、最後まで財務省路線に乗っからざるをえないと、まあー、非常に情けない内閣ですね」。
後は、ご存知のように野田佳彦氏は財務省の意向を反映した自民党が提案した消費税増税を法定化して民主党政権が壊滅する道を突き進みました。これは、本当に理解に苦しみます。民主党は政権交代直前の選挙の公約では「民主党が政権の座についている間は増税しない」としていました。
民主党政権というと、蓮舫氏による事業仕分けが有名ですが、蓮舫氏がどうして専門知識を有する官僚を「公開処刑」できたのかというと「仕分け人」たちは、財務省が作った“極秘の査定マニュアル”に基づいて発言、追及していたからです。

要するに行政刷新会議の概算要求の無駄を洗い出すという「事業仕分け」は、「政治主導」ではなく、「官僚主導」のパフォーマンスだったのです。何のことはない、官僚官僚の手の上で踊ったに過ぎなかったのです。法的にも何の権限もなく本格化する財務省の査定の下馴らしとPRをしただけだったのです。  

事業仕分けをした蓮舫氏

消費税増税を元々決めたのは、自民党であることからもおかわりのように、日本の政治は財務官僚に主導されつづけてきました。しかし、財務省の官僚は選挙で選ばれたわけではありません。

にもかかわらず、財務省はまるで政治集団のように、旧民主党政権を使い捨てにしたり、安倍政権に対しても対峙し強力な力を発揮して、日本の政治に間接的ながら、大きな影響を与えています。

しかし、本来財務省の官僚は、政治家のように有権者から選ばれているわけではありません。それが、政治に介入するのは、明らかに間違いです。財務省といえども、政府の下部機関であることには変わりありません。

しかし、安倍総理は消費税増税を二度も阻止して、財務省に対峙しています。このように、財務省に真っ向から対峙した総理大臣は、安倍総理が初めてでしょう。自民党の多くの議員が、財務省の使い捨てだったにしても、少なくとも安倍総理とそのブレーンの議員などは財務省の使い捨てではなく、何とか官邸主導を貫こうとしています。

だから、私としても、今のところは、安倍政権を支持するしかないと思っています。

一方現在の民進党の現在の幹部は、まるで、財務省のいいなりです。あろうことか、新しい幹事長となった、野田佳彦氏も、財政規律重視で、増税派です。

一体、彼らは自分たちが財務省に使い捨てされているということに気づかないのでしょうか。

私としては、おそらくその自覚がないのだと思います。ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事が指摘しているように、今臨時国会でも「安倍政権VS財務省」の構図になっています。そうして、民進党は財務省のスポークスマンであり、財務省としても、民進党を国会で自分たちの声を与党に伝える役割を担わせているのでしょう。

声を届けて、財務省のような考え方が、圧倒的多数派であるとの世論工作をしているのでしょう。そういう目で、今臨時国会を眺めると、いろいろなことが納得がいきます。

財務省に反旗を翻した安倍政権が誕生した現在では、政府の一下部機関である財務省に使い捨てにされているという自覚がない政党には、最早政権の座につく機会は永遠に訪れることはないでしょう。

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2016年9月28日水曜日

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している―【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

【朝日新聞研究】「君が代」否定の根拠とされる五輪憲章 現実とはなはだしく乖離している

8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」
ブラジル・リオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会(7月3日)で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことから、また国歌・君が代が話題になった。

国歌国旗法が成立したときに大反対した朝日新聞は、8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」で、「スポーツと国歌」と題して、3人の意見を載せている。元サッカー日本代表主将の宮本恒靖氏と、元プロ野球選手で元参院議員の江本孟紀氏、もう1人は女性の憲法学者である。

宮本氏は、国際試合で君が代が演奏されるとき、初めは歌わなかったが、次第に歌うようになったという。江本氏は「スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います」と明言する。両者ともに肯定的である。

否定的なのは女性学者で、憲法学者らしく五輪憲章を持ち出して、第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記されているといい、「同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています」と指摘する。

朝日新聞としては珍しく感じる2人の肯定論に対し、間もなく読者からの反論を、投書欄「声」に採用している。

8月29日、32歳の牧師からのもので、「耕論『スポーツと国歌』(23日)を読み、国歌を歌わない五輪選手に苦言を呈した森喜朗氏を擁護する意見に違和感を持ちました」とあり、その理由を「なぜなら、私はクリスチャンであり、天皇(陛下)を賛美する歌詞の君が代を歌えません。聖書に記されている神以外を賛美することはできないのです」という。

このような強固な宗教的見解に立脚した反対論はともかく、女性学者の持ち出した五輪憲章の規定は、現実とはなはだしく乖離(かいり)しているのではないか。

どの競技でも、メダルを獲得した選手は、国旗をまとって歓びを表している。スポーツを国威発揚の手段とする国は、いくらでも存在する。国別メダル獲得数については、憲章の精神は無視されているし、朝日新聞自身が掲載している。

五輪より、さらに国家やナショナリズムと関係が深いのが、サッカー・ワールドカップ(W杯)で、これこそ明白に「国と国との戦い」である。テレビでサッカーの国際試合を見ていると、ピッチの脇に朝日新聞の広告が出てくる。

朝日新聞が、日本代表チームの「サポーティングカンパニー」になっているからである。もし、ナショナリズムを忌避するなら、朝日新聞は速やかに公式スポンサーを解約すべきではないか。

【私の論評】朝日もNHKもネガキャン手法に限界?左翼・リベラル・中国にさえ見放される(゚д゚)!

ブログ冒頭の写真で掲載したように、8月20日NHK「おはよう日本」が報道した「五輪開催5つのメリット」ですが、これは著しく五輪憲章を逸脱していると言わざるを得ません。

以下に、この番組の動画を掲載します。



これはオリンピック憲章の「オリンピック競技大会は、 個人種目または団体種目での選手間の競争であり、 国家間の競争ではない」とした理念と真っ向から対立する考え方となっており、NHKがオリンピックの理念を何ひとつ理解できていないことを明確に示しているか、わざわざこのように事実を曲げて報道する背後に何らかの意図があるのではないかと思います。

ではなぜIOCは、オリンピック憲章に敢えて「国家間の競争ではない」と明記し、国家の威信や指導者の権力を披露する事を固く拒んでいるのでしょうか?それには苦い過去の経験があります。

オリンピックを 「国威発揚」のために徹底的に「政治利用」したのがヒトラー率いるナチスドイツでした。1936年にナチスドイツ下で開催されたベルリンオリンピックでは、国家の総力を挙げてスタジアムや選手村、各種インフラの整備が行われ、実験段階だったテレビ中継が実施されました。後にヴェネツィア国際映画祭で金賞を獲得するオリンピックの記録映画「民族の祭典」がナチスお抱えのレニ・リーフェンシュタール監督によって撮影されています。


レニ・リーフェンシュタール監督による「民族の祭典」

今ではオリンピック前の恒例行事として知られるようになった初の聖火リレーが行われたのもベルリンオリンピックで、この際の経路の詳細な調査結果が第二次世界大戦でのドイツ侵攻に活用されました。

このように、オリンピックが結果的にナチスドイツの「国威発揚」に荷担させられる結果になってしまったことから、オリンピック憲章ではオリンピックを国家のプロパガンダの場として政治利用することを拒んでいます。

ヒトラー 当時としては珍しいカラー写真
つまり、今回NHKが堂々と放映したオリンピック開催のメリットの筆頭に「国威発揚」を挙げるという行為は、近代オリンピックが過去の苦い経験への反省から作り上げたオリンピックの精神を土足で踏みにじるもの。どこぞのまとめサイトが書き散らしたのならともかく、仮にも次期オリンピック開催国の公共放送が全国ネットで放映していい内容では断じてありません。

さて、朝日新聞の8月23日朝刊のオピニオン欄「耕論」を朝日新聞デジタルから引用します。
(耕論)スポーツと国歌 宮本恒靖さん、江本孟紀さん、志田陽子さん

2016年8月23日05時00分 


 「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」。選手団壮行会で、来賓からこんな発言も飛び出したリオ五輪が閉幕した。スポーツと国家、個人のかかわりを、改めて考えたい。

■プレーで応えるのが使命 宮本恒靖さん(元サッカー日本代表主将、ガンバ大阪ユース監督) 
宮本恒靖さん 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 初めて国際試合に出たのは高校2年になる春です。17歳以下の日本代表に選ばれました。自分のアイデンティティーというものを強く感じたのを覚えています。国民の代表として戦うんだ。このユニホームを着て戦う限り、ふがいないプレーはできない。そんな責任感が生まれました。 
 サッカーの国際試合では、キックオフ前に両チームの国歌が流れます。その初めての代表戦のときもそうでしたが、僕は歌いませんでした。歌いたくなかったということではないんです。理由は特になくて、慣れていないことが大きかったような気がします。その後、A代表にも選ばれ、何十試合と国際試合を経験していくなかで、歌うようになりました。 
 国歌が流れるのは、国際試合ならではのこと。そう考えると、聞きながら燃えてこないわけがない。今からこの国のために戦うということ、代表のユニホームを着られる喜び、誇り。そういうことを感じる瞬間です。自然と声が出るようになりました。 
 僕の場合、ゲームに向かう準備の最終段階で、心を整えるという意味合いもありました。歌いながら心を落ち着かせ、ほどよい高揚を持って戦いに出て行く。いわば、ルーティンです。 
 ただ、胸の中の思いは選手それぞれだし、どう表現するかも人によるものです。黙って目を閉じて、国歌を聞く選手もいます。その瞬間にどう振る舞うかは、意思の自由。心を一つにするためにみんなで歌うという方法もあるかもしれませんが、ルールを決める必要はないと思います。代表にいたとき、協会や監督から言われたことはないし、自分が主将のとき、決まりを作ろうとも思いませんでした。 
 いいプレーをしたり勝ったりすると、国中のみんなが喜ぶ。そういう日本代表の力を、地元開催の2002年W杯では実感しました。直接会うことはなくても手紙をくれたり、「病気だけど気分がよくなった」と言ってくれたりした人もいました。 
 たくさんの人にプラスのものをもたらせる立場にあるわけだから、もっとがんばらない手はない、となる。サッカー以外の代表も、同じなんじゃないでしょうか。 
 五輪の表彰式で、一番真ん中に国旗が掲揚されるという場面は、まさに喜びをもたらせた瞬間です。それを見ながら、誇らしいとか良かったとか、さまざまな思いがわくでしょう。その感情をどう表に出して、そして国歌を歌うか歌わないかも、選手それぞれですよね。見守ってあげてほしいなと思います。
選手としては、使命や期待に応えるのはプレーです。いかにチームや個人としてしっかり力を出すか。代表の役割もそこに尽きると思います。(聞き手・村上研志) 
* 
みやもとつねやす 77年生まれ。2002年と06年のW杯、04年アジア杯(優勝)で日本代表主将を務めた。11年に現役引退。

■競技と社会の関係、考えて 江本孟紀さん(プロ野球解説者、元参院議員) 
江本孟紀さん
 スポーツ選手は君が代を歌うべきだと思います。国際試合であれば、なおさら。相手の国への敬意を示す意味でも、自分の国の国歌に対して知らん顔というのはおかしいことになるでしょう。 
 民主党の参院議員だった1999年、国旗・国歌法案に賛成しました。党内には反対の議員も多かったのですが、国旗・国歌特別委員会でも、賛成の主張をしました。 
 教育現場で混乱が起きるのは国旗・国歌の法制化をしなかったからであり、過去の政治家と国民の間で、長くあいまいにされていた問題と考えたのです。
君が代の歌詞がわかりにくいとの批判がありましたが、そもそも校歌や社歌等も同じで私の出身高校の校歌だって明治時代の歌詞でさっぱりわからない。それでも、甲子園で校歌が流れれば故郷を思い感激しますといった持論を特別委で展開しました。首相だった故・小渕恵三さんから、「素晴らしい質問だった」と後で電話をもらいましたよ。 
 当時、国歌を歌うよう強制はしないと政府は答弁していました。しかし、その後、東京で石原慎太郎都知事、大阪で橋下徹府知事がそれぞれ登場したことなどもあって、教育の現場では強く指導する流れになっていますね。 
 何が強制にあたるかという問題でしょうが、学校で毎日歌わせるのならともかく、年に1回か2回の儀式と、そのための何回かの練習が強制にあたるとは思えません。 
 スポーツの世界で、戦時の経緯を考え、政治的に歌いたくないという選手が歌わないのなら、それでいいと思うんです。 
 ただし最近、スポーツ選手が「日の丸を背負って」「国を背負って」といった言い方をしきりにする傾向があると感じています。大げさな感じであまり好きじゃない表現ですが、そのように言う以上は、君が代を歌えないのは矛盾するでしょう。 
 根底にあるのは、選手も指導者も、ここぞという国際試合の場で国歌にどう向き合うかしっかり考えていないことだと思います。さらに言えば、国や政治とスポーツは関係ないと思っている当事者が多すぎるのではないか。 
 国歌を歌わない選手に苦言を呈した森喜朗さんも「選手にはもっと、競技活動と国との関係を考えてほしい」と言いたかったのではないか、と受けとめています。 
 五輪での選手のコメントは、コーチや親など、身の回りにいる人たちへの感謝の言葉がほとんどでした。それはそれで結構ですが、活動できたのは税金で助成してもらったり、税制上の優遇を受けた学校などのスポーツ施設を使ったりしたからのはず。もう少し社会や政治とのかかわりに心を寄せてほしいものです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
えもとたけのり 47年生まれ。プロ野球の阪神、南海で投手として113勝した。92年から参院議員に2期連続で当選。

■公人の発言、萎縮招く恐れ 志田陽子さん(武蔵野美術大学教授) 
志田陽子さん
  リオデジャネイロ五輪で、日本人選手を応援し、感動するのは自然なことです。表彰式で君が代が流れ、感激した人も多かったでしょう。 
 開催中、五輪憲章を読んでみました。日本国憲法と通じる点が多いことに驚きました。 
 オリンピックは、平和な社会と「人間の尊厳」を推進することを目的としていて、憲法と共通する精神を持っています。さらに、憲章は第6条で「オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない」と明記し、競技者個人を参加主体としています。 
 国別のメダル獲得数が報道されていますが、同憲章では、国際オリンピック委員会と組織委員会が国別のランキングを作成することを禁止しています。国ではなく、選手とチームが主体なのです。 
 日本国憲法では、第13条が保障する「個人の尊重」がこれに通じるでしょう。選手は個人の自己決定幸福追求権)をもとに全力を尽くしているのです。 
 歴史を振り返れば、第2次世界大戦にいたるナチスドイツに顕著に見られたように、国民感情を都合よく操作するために、権力者が芸術とスポーツを利用してきました。日本でも総力戦体制で、文学、美術、音楽、映画やスポーツが国威発揚や戦意高揚に動員されました。個人より国家を重視していたのです。 
 五輪憲章も日本国憲法も、こうした反省の上に立っているのだと思います。
そんな流れを知ってか知らずか、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が、リオ五輪へ向けた代表選手の壮行会で「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と発言しました。大変残念なことです。オリンピックの精神からも憲法の理念からも、権力が個人の心の中に入り込むことがあってはならない。国歌を歌うか歌わないかは、選手に任されるべきです。 
 例えば実業団チームを持つ企業の経営者が「わが社の商品を知らないようでは、うちの選手ではない」と言うのは許されるかもしれない。しかし、政治家など公的な立場にある人の発言は、選手だけでなく社会を構成する一般の人たちにも影響します。直接批判されていない人にも、発言を忖度(そんたく)し、レッテル貼りを恐れることによる迎合や萎縮をもたらす効果がある。公的立場にある人は、自らの影響力を自覚し、個人的選好を強制する発言は慎まなければなりません。 
 スポーツや文化活動にはお金もかかります。民主的な決定に基づいて国が公的にサポートするのはすばらしいこと。しかしその場合も、国はあくまでも応援団に徹するべきです。(聞き手・池田伸壹) 
* 
しだようこ 61年生まれ。専門は憲法。編著書に「表現者のための憲法入門」「映画で学ぶ憲法」。講演と歌唱の活動も。
NHKの報道も、朝日新聞の報道も、一見コインの表裏のように異なるようにも見えますが、 結局目指すところは同じなのだと思います。

NHKの報道に関しては、オリンピックそのものにナチスばりのネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということだと思います。

朝日新聞のほうは、五輪憲章を強調し、森喜朗会長(元首相)が「国歌も歌えないような選手は日本の代表ではない」と苦言を呈したことを強調し、あたかもこの発言が、五輪憲章を踏みにじるかのように印象付け、ネガティブな印象を強調し、安倍政権批判に結びつけるということであると考えられます。

どちらも、安倍政権批判に結びつけようとしています。しかし、オリンピックそのものをネガティブに仕立てようと、国歌を歌えない選手に苦言を呈したもと総理大臣のことをことさら強調しようと、多くの人の国歌に対する考え方や、オリンピックに対する考え方を変え、さらにそれをもって、多くの国民に対して、安倍政権に対して、ネガティブな意識を植え付けることなどできるのでしょうか。

ほとんど、無理ですね。ほとんどの人は、このようなキャンペーンに影響されることはないでしょう。にもかかわらず、なぜこのような姑息なことをするのでしょうか。

もう、NHKも朝日新聞も、多くの国民に見透かされネガキャン手法に限界がきているのではないでしょうか。もっと、もっとやり方はあるはずです。

どうせやるなら、もっと効き目のあるまともなキャンペーンはできないものなのでしょうか。彼らの立場に立って物事を考えてみても、情けないの一言です。この有様では、両方共左翼・リベラルそうして中国からさえ、効き目のないメデイアとして相手にされなくなるのではないでしょうか。

中国は、このまま効き目のないメディアを放置しておいて良いはずがありません。日本のメディアがまともに日本政府を貶められるように、まともなネガキャンができるわように、督戦隊を送り込むべきです。

無論、これは冗談ですよ。たまに、真に受ける人がいるので、念のため掲載しておきます。

結局いいたいことは、朝日も、NHKもなぜか日本や、日本政府を貶めるような報道をするのですが、それがほとんど効果がなくなっているということです。これでは、いずれ、左翼・リベラル、中国にも見放されることになるのは必定です。

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