2014年4月18日金曜日

中西準子先生の最新著『原発事故と放射線のリスク学』―【私の論評】放射能の影響については、マスコミの報道を鵜呑みにせず、正しい知識にもとづき判断すべき(゚д゚)!




 中西準子先生の最新の著書である。ご寄贈いただいたので、やはり、何か書かない訳にはいかないです。全部を詳細に読んだ訳ではなく、興味のあるところをつまみ食いをした感じの、かなりバイアスの掛かったご紹介です。

 まずは、本のデータから。
 日本評論社 2014年3月11日
 第一版第一刷発行
 ハードカバーの丁度300ページ
目次
まえがき
第1章 放射線のリスク p1
第2章 原発事故のリスク p69
第3章 福島の「帰還か移住か」 p175
第4章 化学物質のリスク管理から学ぶこと p239
第5章 リスクを選んで生きる p275
C先生:最初にもった感想は、福島に居住し放射線の悪影響について心配している人々が、第1章、第2章を読んで、これが真実なのだと思うことになれば、かなり安心感が戻るのに、ということだった。 
A君:3月11日のことですが、報道ニュースステーションが、福島での18歳以下の甲状腺がん大量に発症という妙な報道をしたようです。ちなみに、http://www.yasuienv.net/ThyroidCheck.htmに本Webサイトとしての記事がアップされています。 
B君:妙な報道? いや、報道ステーションは、実は、報道している訳ではないということを証明した。すなわち、自らメディアではなく、単なるエンターテイメント番組であることを証明してしまった、と思う。
A君:現在進行中の甲状腺の検査結果についての見解は、甲状腺に異常は見つかっているが、それが福島原発からのヨウ素131のためではない、と結論されています。その根拠は、中西先生の本にもありますが、若干項目を追加すれば、以下の通りです。 
1.検査結果によれば、甲状腺の異常は、福島県全体でほぼ同じ割合で発生していて、震災時の居住地(=ヨウ素の分布はセシウムなどの分布とほぼ同じ)との相関がない。 
2.青森、山梨、長崎での検査結果と、福島での検査の結果はほぼ等しい発症率である。 
3.チェルノブイリでは見つかっている被ばく時の年齢が0~5歳の被験者の異常が、福島では見つかっていない。 
4.チェルノブイリで認められた転移しやすいタイプである乳頭がん亜型が認められない。 
5.チェルノブイリでの甲状腺がんが見つかったのは、被ばく後4~5年後からであった。
この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】放射能の影響については、マスコミの報道を鵜呑みにせず、正しい知識にもとづき判断すべき(゚д゚)! 

中西準子氏

中西準子氏については、ご存じないかたもいらっしゃると思いますので、以下にwikipediaから来歴など簡単に紹介させていただきます。
中西 準子(なかにし じゅんこ、1938年 - )は(独)産業技術総合研究所フェロー、専門は環境工学(環境リスク学)。工学博士。 
1938年中国大連市生まれ(父は当時満鉄調査部の中西功)。神奈川県立湘南高等学校卒業。61年、横浜国立大学工学部工業化学科卒業。67年、東京大学大学院工学系研究科合成化学専攻博士課程修了。 
東京大学工学部都市工学科(衛生工学コース)助手となり汚水処理、下水道計画を研究。国の当時の下水道行政の誤りを厳しく指摘し、その後の行政にも影響を与えたが、都市工学科内では疎外され助手の地位にとどめられる(同じ時期、宇井純も都市工学科の万年助手であった)。 
90年、都市工学科を去り、東京大学環境安全センター助教授となる。93年、東京大学環境安全研究センター教授となったが、東京大学工学系で女性が教授になるのは開学以来初めてのことであった。 
95年、横浜国立大学環境情報研究院教授となり、環境リスク管理、リスク評価につき研究。2001年、産業技術総合研究所・化学物質リスク管理研究センターの発足に際しセンター長となった。 
2003.4.29、紫綬褒章受章。 2004年、横浜国立大学を退任したが、その際の記念講演等をまとめた『環境リスク学-不安の海の羅針盤』(日本評論社 2004年)は毎日出版文化賞を受賞した。 
2008.4.1より組織変更により、化学物質管理研究センター・ライフサイクルアセスメント研究センター・爆発安全コアの3センター・コアの合併により新しくできた安全科学研究部門の研究部門長となった。2010年、文化功労者。2011年3月に部門長を退任し、4月よりフェローとして産総研に勤務している。 
環境リスクについては、いたずらに危険性を騒ぎ立てるのではなく、リスクの程度を可能な限り定量的に評価・比較し、それをもとに合理的な対策をとるべきであると主張。そのためのリスク評価手法の確立に尽力している。
さて、人間生きていればそれだけで、いつもリスクはつきものです。だから、人はいつもリスクを選択しながら生きていくということになります。

身近な例では、どこか遠くに行く場合、飛行機で行くか、JRなどで行くかの選択です。JRよりは、飛行機のほうがリスクは高いと思います。運賃も高いと思います。しかし、遠くに行く場合は飛行機のほうが圧倒的に早いです。

その時々で、時間と、安全性、運賃を天秤にかけて、自らJRにするか、飛行機にするかを決定してどうするかを決めることになります。

放射能も同じことです。正しい情報を得た上で、判断するということになります。また、お子さんについては親が判断するということになります。

放射能というとこのようなおどろおどろしいイメージがあるのは正しい情報がないため?

上の記事の要点をまとめると、

「甲状腺の異常は、福島県全体でほぼ同じ割合で発生していて、震災時の居住地(=ヨウ素の分布はセシウムなどの分布とほぼ同じ)との相関がない。青森、山梨、長崎での検査結果と、福島での検査の結果はほぼ等しい発症率である」

ということになります。

甲状腺異常は、この調査結果からすれば、福島だけが特に高いというわけではありません。

政府も、住民の皆さんも、このような情報にもとづき正しい判断をするべきと思います。

いつまでも、不合理な平成の強制移住を続ける必要はないと思います。これは、人権問題にも絡む大きな問題です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】







【参考図書】

原発事故と放射線のリスク学
中西準子
日本評論社
売り上げランキング: 1,305


リスクと向きあう 福島原発事故以後
中西 準子
中央公論新社
売り上げランキング: 258,377

環境リスク学
環境リスク学
posted with amazlet at 14.04.18
日本評論社 (2013-08-01)
売り上げランキング: 10,707

0 件のコメント:

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない―【私の論評】中国経済減速で外資流入減 急速に発展する東南アジアに投資機会

中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない まとめ 西側諸国と中国との経済的結びつきが急速に弱まっている。中国からの輸出が主要国で大幅減少している。 中国への外国からの投資や人的交流が大きく減少し、新規投資がなく...