2019年9月23日月曜日

ユネスコ「世界の記憶」年内改革を断念 韓国反対、作業部会で結論出ず―【私の論評】ユネスコはとうに死んでいる、日本も脱退すべき(゚д゚)!

ユネスコ「世界の記憶」年内改革を断念 韓国反対、作業部会で結論出ず



国連教育科学文化機関(ユネスコ)は「世界の記憶」(世界記憶遺産)改革で、目標だった「今年内の実現」を断念した。改革案を検討する作業部会で、日本の主張に沿った新制度の大枠が固まる一方、韓国の反対で最終結論に至らなかったため。審査が凍結された慰安婦関連資料をめぐる日韓の対立が背景にある。

 作業部会が今月まとめた報告書は「改革の核心」で答えが出なかったと明記した。問題となったのは、登録申請された後、「内容が史実と異なる」などとして加盟国から異議が出た案件への対応。関係者によると、対話で決着がつかない場合、日本は「審査継続は困難」との立場を示し、多くの国が賛同した。韓国は「審査対象から除外すべきではない」と主張した。

 韓国が登録を支援する慰安婦関連資料は2017年、日本の強い反対を受けて登録判断が見送られており、韓国は新制度の導入で「同資料が審査枠から外されるのを警戒した」(外交筋)とみられている。

 作業部会は昨年、設立された。世界の記憶審査の透明化に向け、加盟国が関与する制度のあり方を検討してきた。これまでの審査は専門家で作る諮問委員会が非公開で行い、加盟国が申請案件に疑義を抱いても発言の場がなかったため、「政治利用につながる」との批判があった。作業部会の報告を基に、ユネスコ運営を担う執行委員会(58カ国で構成)で来月、改革案がまとまる予定だった。 

 改革は15年、「南京大虐殺文書」の登録をきっかけに、日本が強く主張してきた。ユネスコのアズレ事務局長も改革を支持。作業部会の論議には最多で100カ国・地域が参加するほど、関心は高かった。

 作業部会では審査について、(1)申請案件には最長90日間、加盟国の異議申立期間を設ける(2)登録は、執行委員会が最終的に承認する-などと大筋合意した。来月の執行委員会はこの報告を踏まえ、18カ国程度の小グループによる協議を継続し、来年中の改革実現を目指す方針を決める予定。だが、ユネスコ筋は「日韓が対立し続ける限り、協議は結論に至らないだろう。改革実施のめどがつかない」と懸念を強めている。

 慰安婦関連では、日米の非政府組織(NGO)が「慰安婦は性奴隷でなかった」と示す別の文書を登録申請。ユネスコは「双方の対話」の可能性を探っているが、見通しは立っていない。


 【用語解説】世界の記憶 重要な歴史文書や映像フィルムの保存や開示を促すためにユネスコが登録する事業で、1992年に開始。フランスの「人権宣言」、ドイツの「ゲーテの直筆文学作品、日記、手紙等」、日本の「御堂(みどう)関白記」など400件以上が登録されている。

【私の論評】ユネスコはとうに死んでいる、日本も脱退すべき(゚д゚)!

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」改革案を検討する作業部会では、「政治利用の阻止」を掲げる日本を中国やロシアなど多数が支持し、「韓国は孤立する場面が目立った」(外交筋)といいます。ユネスコは改革のため2年間、新規申請を受理しておらず、制度再開の遅れに不満を示す国も出てきました。

世界の記憶改革は冒頭の記事にもあるように、2015年、中国の「南京大虐殺文書」が登録されたのを機に日本が主張してきました。専門家で作る諮問委員会が非公開で行う従来の審査方法では、登録という「お墨付き」で文書内容を正当化しようとする「政治化」が防げないためです。ところが、作業部会で中国は日本に同調し、加盟国の審査参加で、制度を透明化すべきだという方針を支持しました。

なぜ中国が支持したかといえば、やはり「韓国の書院」世界遺産登録を巡って韓国に不満があったからだと考えられます。

国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)が、李氏朝鮮時代に建立された「韓国の書院」を世界文化遺産に登録したことについて、中国から「書院は中国の文化」「また中国の歴史遺産が韓国に奪われた」と反発が出ています。

世界遺産をめぐる中韓の対立はこれが初めてではありません。「文化とナショナリズム」の問題は、日本も無関係とはいえないテーマです。

「韓国の書院」は16世紀に建てられた白雲洞書院など9か所で構成されます。儒教が盛んだった当時の朝鮮で、官製の学校と異なり、地域社会が設立した私設学校です。



一般的に、教育機関としての書院は7世紀の中国・唐の時代に始まり、16世紀に朝鮮半島へ伝わったといわれています。先代の賢人を祭る祠堂(しどう)と、儒学を学ぶ書斎を兼ね備えるのが基本的構造で、朝鮮半島の書院もこれにならっています。

中国書院学会副会長の鄭洪波(Zheng Hongbo)氏は「李氏朝鮮の書院は、中国の書院制度を受け入れたことで発展を遂げており、その影響は実に大きい」と指摘。「朝鮮独自の部分もあるので世界遺産登録に反対はしないが、韓国の書院がアジア全体の書院文化を体現することはできない」とくぎを刺しました。

インターネット上の意見は、もっと激しいです。

2005年に韓国が申請した「江陵端午祭」が無形文化遺産に登録された際、中国メディアやネット上で「中国発祥の文化・端午節が韓国に奪われた」と批判が起きました。それだけにネットでは「今度は書院文化まで乗っ取られた」「本家である中国の書院はまだ世界遺産になっていないのに」という意見が相次ぎました。

中国の書院については、白鹿洞書院を含んだ廬山国立公園や、嵩陽書院を含んだ鄭州の歴史建築群が世界遺産に指定されています。ところが、「中国の書院」という形では登録されていません。

世界遺産は1か国につき一度に2件しか申請できず、2件を申請する場合も1件は自然遺産の申請が求められています。文化遺産の候補は、申請段階で「順番待ち」を余儀なくされるのです。

韓国からの反論もあります。「文化の起源論争をすれば、きりがない。仏教関係の遺産はインド以外、申請できなくなるではないか」

その理屈でいえば、中国で仏教彫刻の石窟として名高い「龍門洞窟」や、チベット仏教の聖地・ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群などが世界遺産に登録されたことはどうなのか、と議論することも不可能ではありません。そして中国人の多くは「外来文化を独自に発展させたのだ」と反論するでしょう。

日本の政治家や文化人が中国を訪れ、日中友好イベントに参加すると、「日本と中国はともに漢字を使っている民族。同じ文化を共有する間柄として仲良くしていきましょう」とあいさつすることをよく見かけます。

こういう時、中国人は内心、「同じ漢字って…。中国人が発明した漢字を日本人が使っているんでしょう?」と思っており、親しい日本人に実際にそう打ち明けます。

日本の幕末から明治期において、福沢諭吉や西周(にしあまね)ら日本の知識人が西洋の政治制度や文化を吸収・翻訳し、「自由」「哲学」「主観、客観」などの言葉を考案し、東アジアに広まっていきました。

現在中国で用いられている、政治・学術や産業の専門用語は、このときに日本から移入されたものです。共産主義ということばもその時に移入されたものです。

優れた文化は各地に広がり、そして発展を遂げて帰ってくるものです。文化をナショナリズムの道具とみなすか、国境や民族を超えて、手を結びあえるインターナショナルなツールとするべきなのか、それは一人一人の考えに委ねられています。

国際組織の多くは、問題を抱えていますが、ユネスコも例外ではありません。国際的な枠組みからの離脱を相次いで表明している米トランプ政権は昨年12月31日付で国連教育科学文化機関(ユネスコ)からも脱退しました。

ユネスコの姿勢が反イスラエル的だとして2017年10月に脱退を通知しており、18年末が脱退時期でした。その後はオブザーバーとして参加していますが、ユネスコ内で中国などの影響力が増すとの懸念は広がっていました。

米国脱退は、ユネスコが17年7月に、パレスチナ自治区のヘブロン旧市街を世界遺産に登録したことがきっかけとなり、イスラエルも続いて脱退を表明。ただ、ユネスコがパレスチナ自治政府の正式加盟を認めた11年以降、米国は分担金の支払いを停止しています。

深刻な資金難に加え、ユネスコをめぐっては、中国が世界記憶遺産に申請していた「南京大虐殺文書」の登録を決めるなど政治的な偏向が問題視されています。アズレ氏は「政治化阻止」の組織改革に取り組んでいますが、米国が脱退し中国の勢いが増す中、実現性は不安視されています。

ユネスコの創設趣旨は、人の心の中に平和のとりでを作ることです。当然公正でなければならない筈なのに、日本の反対を押し切って、中国が主張する歴史問題にお墨付きを与えてしまったのはとうてい日本としては許容できるものではありません。これでは国や人々の対立を深めるだけで、まさにユネスコは死んだ、としか私には思えません。



南京事件については、様々な意見に分かれています。日本国内の学者間でも意見の相違は大きいです。今後もしっかりした検証が求められますが、そういう状況の中で中国だけの言い分に沿って「記録遺産」に登録させることは断じて許すべきではありません。

韓国も今政府の支援で元慰安婦の支援団体が登録を目指しています。ここで放置すれば同じことが繰り返されることは必定です。

重ねて政府の断固たる姿勢を促したいです。日米が抜ければ、ユネスコは形骸化して骨抜きになります。

「南京大虐殺文書」の登録当時、日本政府はユネスコへの拠出金の停止や減額を検討

そんなところに莫大な負担金など払うべきでないです。日本政府は駆け引きではなく、本気で直ちに分担金停止を通告すべきです。

ユネスコなど潰して、新たな国際組織をつくるべきです。

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