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2020年4月12日日曜日

「マスク戦争」の戦犯は誰なのか 中国、日本から“奪った”マスクを政治利用!? 有事に備え「中国依存」の脱却が急務だ―【私の論評】安倍政権は、中国から生産拠点を国内や第三国に移転する企業への支援を表明(゚д゚)!

「マスク戦争」の戦犯は誰なのか 中国、日本から“奪った”マスクを政治利用!? 有事に備え「中国依存」の脱却が急務だ

マスク姿の習近平

 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)はさらに加速しており、米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、死者が10日、世界全体で10万人を超えた。2日に5万人を上回って約1週間で倍増したかたちだ。日本でも同日、新たに過去最多となる634人の感染者が確認された。累計は6159人。無症状でも他人に感染させるリスクが指摘されるなか、日本だけでなく世界各国で「マスク不足」が深刻化しており、強奪・盗難事件まで発生している。前代未聞の「マスク戦争」を引き起こした戦犯は一体誰なのか。国際投資アナリストの大原浩氏が緊急寄稿で解き明かす。


日本政府が、「1世帯あたり2枚」の布マスクを郵送すると発表したことに対して、「アベガ-」などを中心に激しい反発が起こった。「アベノマスク」などという言葉も登場したようだ。

 これについては、中身のないウソを国民に広げるためにプロパガンダが洗練されているファシズム国家や共産主義国家と違って、日本人の伝統的考えである「良い仕事をすればみんな分かってくれる」という政府・官僚の広報対策の不備が責められるのは、ある意味仕方がない。しかし、この「布マスク2枚」は国家の全体戦略のあくまで一部だということを考えるべきであろう。

 現在有事にある日本国民は、ジョン・F・ケネディ大統領の「国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」という名言を思い出すべきだ。

 特に悲しいのは、日本人同士がいがみ合うことである。

マスク不足の原因として、転売屋やドラッグストアに行列する高齢者などがやり玉にあげられる。それが事実である部分もあるが、根本的原因は「中国」または「中国依存」にある。


 新型コロナウイルスの感染が拡大する前、日本のマスクの年間生産・輸入量は約55億枚だったが、そのうち約44億枚が輸入品(=ほとんど中国製)で、国内の生産量は約11億枚しかなかった。つまり国産比率が20%程度なので、(輸入が止まって)国産だけで過去の需要を満たそうと思えば、これまでの5倍を生産しなければならない。政府の要請で国内各社が増産しても、5倍というのは厳しいハードルだ。

 しかも、現在はほとんどの国民がマスクを使用しているので、全国民の8割程度の1億人が毎日マスクを使用すれば、年間では365億枚と過去の需要の約7倍にも膨らみ、到底調達できない。

 だから、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化するなか、日本政府が(病院などに医療用マスクを回すために)再使用が可能な布マスクを国民に送付して、有効利用を要請するのは理にかなっているのだ。

 気になるのは、過去44億枚あった輸入品の行方である。AFP通信(7日)などは「中国は医療用物資の輸出を制限しているのか」などと報じている。

 検証可能な数字はないのだが、現在の中国からの輸入は週に1000万枚程度ともいわれるから、単純計算で年間5億枚程度で、過去の輸入量から比べれば雀(すずめ)の涙だ。

 しかも、そのようにして事実上日本企業=日本国民から奪ったマスクを、中国側がマスク不足に苦しんでいる各国にもったいぶって売りつけるという政治利用を行っているとすれば許しがたいことである。

 例えば、フランスには、マスク10億枚の供給と引き換えに、第5世代(5G)移動通信システムについて、中国の華為技術(ファーウェイ)の導入を求めたと伝えられた(=中国側は否定)。

 日本国民が怒りをぶつけるべき相手は、初期に日本からのマスクの寄贈を受けたにも関わらず(=そもそも、寄贈には問題があったが)、恩をあだで返す(人の足元を見る)中国共産党だとしか思えない。

 輸入依存で危険なのはマスクだけではない。

 在宅医療現場で使用されている人工呼吸器の約98%が輸入製品である。その他の医療製品も輸入比率がかなり高い。世界中で医療製品の取り合いが起こっており、この状況は非常に危険だ。

 食糧調達にも暗雲が立ち込めている。日本農業新聞によれば、4月3日時点でロシア、カンボジア、カザフスタンなど11の食糧輸出国が、自国への供給を優先する輸出規制を行っている。

 世界の穀物供給センターである米国でも状況は厳しい。新型コロナウイルス感染症の広がりによる国境封鎖・都市封鎖などによって外国人を始めとする労働者の確保が難しくなっているほか、配送トラック・配送センターの業務にも大きな支障が出ている。

 新型コロナウイルス感染は早く終息してほしい。もしそれが実現されなければ、われわれはまさに「戦時」の中で暮らさなければならないのだ。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】安倍政権は、中国から生産拠点を国内や第三国に移転する企業への支援を表明(゚д゚)!

中国への過度の依存について、政府も手を拱いているわけではありません。これに対応スべく安倍総理は行動を開始しています。

日本政府は、新型コロナウイルスの感染拡大で製造業のサプライチェーンの分断を受け、中国などから生産拠点を国内や第三国に移転するための支援を表明しました。米上院議員らはこの報道を受けて、米国もこの動きに追従すべきだと発言しました。脱中国依存の流れの始まりとしています。

この移転支援策は、4月7日に発表された緊急経済対策の一つとして盛り込まれました。総額は2435億円で、国内回帰分が2200億円、残り235億円が第三国への移転分として用意されます。

安倍首相は3月5日、官邸で開かれた未来投資会議でこの支援策について、次のように述べています。「中国などから日本への製品供給の減少による我が国のサプライチェーンへの影響が懸念される中で、一国への依存度が高い製品で付加価値の高いものは、我が国への生産拠点の回帰を図る。そうでないものも、一国に依存せず、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国などへの生産拠点の多元化を図る」


マスクがなくなったということで、マスクに関しては中国に依存していることが、多くの人に知られるようにはなりました。しかし、日本がどの程度中国に依存しているのかも明らかにしておく必要があります。

中国の主要な輸出先(2017年)は、1位米国、2位香港、3位日本、4位韓国の順。トップ4の顔触れは、20年前の1997年と全く同じです。ただ、日本は低下しており、輸出先としてのシェア(同)は6%と10年間で3分の1に低下しました。

急浮上したのが5位ベトナムです。同国への輸出額は過去20年間で約70倍、同10年間で6倍に急増、中国の対世界輸出額が各々13倍、2倍だったのに比べ大きな伸びを記録しました。この結果、ベトナムは中国の輸出先として10年前(2007年)の22位から急上昇しました。

世界貿易に占める中国の中国のシェア
上のグラフからすると、中国の対日輸出・輸入のしエアは年々減っていたことがわかります。この流れを加速することは、十分できそうです。米国もドイツも低下傾向です。

さらに、GDPに占める貿易の割合は、日本は29.3%、米国は20.56%です。韓国は、70.31%です。日本や、米国は元々貿易依存度が低いので、中国依存をやめることは比較的簡単です。とはいいながら、コロナ禍においては、マスクなどが品薄になるわけですから、早急にすすめるべきでしょう。

米国においては、ジョシュ・ホーリー(Josh Hawley)米上院議員は4月9日、日本政府が中国市場から撤退する企業を支援するとの報道をリツイートして、「米国も同じことをすべきだ」(1万8千いいね)と主張しました。トム・コットン(Tom Cotton)上院議員もまた、同記事を共有して「今後、世界でもっと中国に反旗を翻す動きが出てくるだろう」(3万5千いいね)とコメントしました。

中共ウイルス(武漢肺炎)の大流行は経済に大きな打撃を与え、多国籍企業は全体主義体制下にある中国市場からの撤退の動きが強まっています。調査会社によると、米国人の7割以上が米国のビジネスの中国市場撤退を予想しています。米国の上院議員は、米国も日本を見習って、米国のビジネスマンの復帰を支援するための資金を配分すべきだと考えています。

グローバル製造業コンサルティング会社・カーニー(Kearney)が4月7日に発表した第7回目の年次「回帰指数」(Reshoring Index)によると、2019年の米国国内製造業のシェアは、中国を含むアジア14カ国の生産品のシェアを大幅に上回りました。中国からの輸入が減り、自国生産品の流通が増加したことを示しています。

回帰指数は、アジア14カ国からの輸入品と、米国製品の変化を調査しています。 中国、台湾、香港、マレーシア、インド、ベトナム、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、バングラデシュ、パキスタン、スリランカ、カンボジアの14カ国を含めます。

報告書を作成したパトリック・バン・デン・ボッシェ氏は、回帰指数の高まりについて次のように分析しました。米国の生産者は30年前、国内のコスト高を理由に生産と製造、調達を中国に移したましたが、米中貿易戦によって高関税のリスクにさらされています。また、中共ウイルス(COVID-19)の流行が非常事態宣言を招く危機的な状況にあるなか、米国企業は予測不能な経済ショックに対応できるかどうかを考慮しています。

カーニーの年次報告書は、中国発のウイルス肺炎の蔓延により、海外企業の中国生産活動や貿易の縮小、撤退が加速しており、パンデミック前の状態に戻る可能性は低いと指摘しています。また、パンデミックの影響で大きな打撃を受けた企業は、リスクを分散し、中国市場への依存から脱出するために「購買戦略とサプライチェーンを真剣に考え直すことになる」と書いています。

中国は世界の自動車部品、玩具、電子製品だけでなく、ペニシリン、抗生物質、鎮痛剤、手術用マスク、医療機器など多くの医薬品や医療品も生産しています。

ドナルド・トランプ大統領の貿易顧問ピーター・ナバロ(Peter Navarro)氏は2月、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、今回のウイルス蔓延の発生は米国が中国やその他の国からの医薬品や医療品の輸入への依存度を減らすための「警鐘」(wake-up call)であると語りました。

企業活動においても、物品の購入先が一箇所の会社に集中していれば、その会社が業績不審になったり、倒産した場合はもろに影響を被ることになります。分散するか、企業にとって必要不可欠なものは、内製化も検討すべきです。

国と国との関係も同じことです。中国一国に依存しすぎると、これからも何が起こるかわかりません。早急に改めるべきです。ただ、そうはいっても、中国に進出している企業がそれを実行するつもりがなければ、それは実現できません。

中国政府としては産業の高度化を進めるためにも日本企業にもっと来てもらいたいという意向は非常に強いでしょうから、日本政府の補助金に対して、「中国政府もAI(人工知能)や5Gなどハイテク分野において日本企業に補助金を出し、中国にとどまるようインセンティブを付けることも想定されます。

そうなると、対中国冷戦を挑んでいる米国は、そのような日本企業に対して直接制裁を加えるようになるかもしれません。いずれの企業にとっても、対中国依存は危険であると自覚すべきです。

そんなことはないだろうと、高をくくっている企業もあるかもしれませんが、予めコロナ禍も予想できなかったように、コロナ禍後の世界も何が起こるかは全く予想できません。とはいいながら、世界秩序は大きく変わるのは間違いないです。リスクはなるべく減らしておくべきです。

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2018年8月23日木曜日

【主張】台湾に断交圧力 地域の安定損なう動きだ―【私の論評】これからは、国や企業や個人であろうと、中国を利することになると米政府が判断すれば、牽制・制裁の対象になる(゚д゚)!

【主張】台湾に断交圧力 地域の安定損なう動きだ

中米全図 地図はブログ管理人挿入 以下同じ

 中国が、中米エルサルバドルとの国交を樹立した。これに伴いエルサルバドルは、外交関係のあった台湾と断交した。

 台湾の孤立化を狙う中国が仕掛けた、露骨な圧力外交の結果だ。

 台湾を外交承認する国は17カ国と過去最少を更新した。蔡英文政権下での断交は5カ国にのぼる。今年はすでに3カ国という異常なペースだ。世界2位の経済力を外交カードに台湾の外交関係を奪う戦術といえる。

 蔡総統が談話で「両岸(中台)の平和への脅威だけでなく、世界的な不安定を生み出している」と反発したのは当然である。地域の安定を損ないかねない中国の行動を強く懸念する。

 日本と台湾に正式な外交関係はない。ただ、民主主義の価値観を共有する台湾への圧力に日本は無関心であってはならない。中国に自制的に振る舞うよう働きかけるべきである。

 エルサルバドルの場合、台湾はラ・ウニオン港の開発に多額の資金援助を要請されていた。だが台湾は同国の債務状況を勘案し、要請を断ったという。

 これに対して中国の王毅国務委員兼外相は、同国との国交樹立について「いかなる(経済的な)前提もない」と述べた。だが、果たしてそうなのか。

 習近平政権の広域経済圏「一帯一路」構想の対象国の中には、中国の援助でインフラ整備を進めた結果、過大な債務負担を強いられる例が後を絶たない。採算を度外視した援助をテコに勢力圏を拡大する。同様の手法で台湾との断交を促すのなら問題が大きい。

 とりわけ最近の中国の強引な外交は目に余る。

 台中で来年開催する予定だった東アジアユース競技大会が、北京での臨時理事会で取り消された背景にも中国の意向がちらつく。外国航空会社に台湾の名称表記変更を求めた問題もあった。

 今回の断交は、蔡総統が中南米歴訪から戻った直後に起きた。蔡氏のメンツを潰す狙いがあったのは明白ではないか。

 台湾に閉塞(へいそく)感を与えて政権与党の民主進歩党に打撃を与えるのが目的だ。11月に実施される台湾の統一地方選への揺さぶりもあろう。だが、露骨な圧力で、台湾の民心が中国になびくわけではあるまい。むしろ対中感情を悪化させる現実を認識すべきである。

【私の論評】これからは、国や企業や個人であろうと、中国を利することになると米政府が判断すれば、牽制・制裁の対象になる(゚д゚)!

トランプ政権は8日、自然災害の被災者を対象とする「一時保護資格(TPS)」制度に基づき少なくとも2001年以降米国に在留しているエルサルバドル人約20万人について、出国しなければ来年から強制送還の対象になり得ると発表しました。

ちなみに、現地時間2001年1月13日11時33分頃、中米のエルサルバドル共和国沖約50kmの太平洋を震源とする、マグニチュード7.6の地震が発生しました。死者944人、負傷者5,000人以上、液状化や土砂災害などで約108,000棟に達する家屋倒壊の被害が出ました。

2001年のエルサルバドル大地震 首都サンサルバドル西部で発生した大規模な地すべり

首都サンサルバドル西部で大規模な地すべりが発生し、ここだけで500人以上が死亡しました。また、中米を縦断する主要道路の一つであるパンアメリカンハイウェイも、斜面崩壊により寸断されました。

私は、この措置は、台湾と国交を絶ち中国との国交を樹立しようとするエルサルバドルに対する牽制であるとみています。

エルサルバドルは南米の中でも一番面積が小さく一番人口密度が多い国です。マヤの遺跡を始め見所はあり、観光客も多い中、エルサルバドルの治安はあまり良くありません。約12年間続いた内戦終結後、内戦中に流出した武器が国内に大量に存在、経済状況の停滞、犯罪集団マラスやバンダが多く大都市での犯罪が増えています。

政権当局者2人が匿名を条件に記者団に語ったところによると、01年にエルサルバドルで起きた大地震の後に米国に避難し生活と就労を認められているエルサルバドル人は19年9月9日までに出国しない場合、強制送還の対象になり得るといいます。

議会調査局によると、TPSで米国在留が認められている外国人は約32万人で、エルサルバドル人は大部分を占めています。

トランプ米大統領の決定は、一部の中米人に1990年代後半以降、TPSを適用・再認可してきた以前の米政府の立場とは距離を置くものです。1人の高官によると、トランプ政権は19年まで発効日を遅らせることにより、議会がTPS対象者への恒久的な法的解決策を策定する時間を確保するといいます。

エルサルバドルの人口は、2016年時点で、634.5万 と推計されています。TPSにもとづく在米エルサルバドル人は20万人に達するといわていますが、これは、現在の全人口の3%くらいをしめるほどの数です。

この人数が、短期間に大量にエルサルバドルに戻ってくればとんでもないことになりそうです。そもそも、地震の被害を回避するために米国に渡った人たちですから、経済的に恵まれた人々とはいえず、難民とはいいませんが、感覚としては大勢の難民が押し寄せてくるようなものかもしれません。これは、地震被害から回復しつつあるエルサルバドルにとっては大きな負担になるのは間違いありません。

米国トランプ政権としては、このような牽制をしておき、もしエルサルバドルが過度に中国に接近したり、中国に利するような行動をした場合、TPSで在留しているエルサルバドル人の本国への強制送還に踏み切る腹づもりであると考えられます。このような弱小国にまで、牽制の対象とするトランプ政権です。その決意の強さがうかがわれます。

米国にとって、イスラム国(IS)を壊滅した後、一番の敵は中国となったのです。一方、中国が『軍=外向型』に方針転換したのは、堂々と『帝国主義的、膨張主義的、軍国主義的な政策を取る』と宣言したに等しいです。

事実上崩壊したIS

米国は、中国を「脅威の本丸」とみなし、南シナ海での「航行の自由」作戦を継続しています。6月には台湾の大使館に相当する「米国在台湾協会」(AIT)の新事務所をオープンし、開所式典には国務省代表も列席しました。さらに、事務所警護のため、国務省は海兵隊に要員派遣を要請しました。

米国としては、中国の軍事力を押さえ込むため、軍事力の基礎となる経済力を叩くために対中国貿易戦争を仕掛けたのです。これは『中国包囲網』強化の一環で、当然のことながら、『航行の自由』作戦も『台湾重視』政策も、エルサルバドルへの牽制も絡んでいるのです。

今後、貿易戦争が本格化し、米中対立が激化すれば、軍事衝突の可能性も否定できないです。

トランプ大統領の貿易アドバイザーであるピーター・ナバロ通商製造政策局長は著書『米中もし戦わば-戦争の地政学』(文芸春秋)の中で、以下のように記しています。
世界史を概観すると、一五〇〇年以降、中国のような新興勢力がアメリカのような既存の大国に対峙した一五例のうち一一例において(すなわち、七〇%以上の確率で)戦争が起きている。
中国が南シナ海で、米国の船を止めたり、航行の自由作戦を妨害、米航空機の飛行を邪魔するようなことがあれば、軍事衝突に発展する可能性は十分あります。習近平は米国が抵抗しなければ、南シナ海全体を領海化するつもりです。

前国務長官だったレックス・ティラーソン氏は、南シナ海で中国の人工島を海上封鎖することもあり得ると示唆していました。

この海上封鎖案は、ティラーソン氏が2017年1月11日に上院外交委員会で開かれた自身の指名承認に関する公聴会で言及したものです。トランプ氏の発言や米軍タカ派の意見よりもはるかに強硬なものでした。

ティラーソン氏はこの公聴会で、中国の人工島の建設・軍事化は「2014年のロシアのクリミア併合と似ている」と指摘し、米国の反応が鈍かったため「中国にごり押しさせてしまった」と、オバマ政権の対応を批判しました。

同氏はさらに、米国が対応を強めることを支持するかとの質問に対し、「我々はまず人工島建設を停止するよう求め、さらに中国の人工島へのアクセスを認めない措置をとるとの明確なシグナルを送らざるを得なくなろう」と述べました。

このティラーソン発言は、あまりに時期尚早だったのだと思います。しかし、長期的に見た場合、南シナ海で米中軍事衝突は避けられないかもしれません。ただし、現状のまま、米国が中国と軍事衝突をしてしまえば、米国も多大なコストと犠牲を強いられることになるのは明らかですから、やはり当初は中国の経済を弱体化させることを中心に当面対中国戦略を進めることになるでしょう。

中国を経済的にかなり弱体化できれば、そもそも中国自身が、海洋進出をあきらめるかもしれません。あきらめなかったとしても、経済がそれを許さなくなります。

経済が弱体化しても、中国が海洋進出を諦めない場合は、米軍による中国の人工島の海上封鎖ということは大いに有り得ることです。その時には、無論米軍と衝突することもできず、たとえ衝突してもすぐに打ち負かされて中国は自ら人工島を放棄せざるを得ない状況に追い込まれるでしょう。

米トランプ政権は、ここまで見据えた上で、現在中国に対して貿易戦争を挑んでいるのです。

中国を経済的に弱体化するためには何でもありのトランプ政権

このような状況のなか、これからの米国の行動は一見全く関係ないように見えても、エルサルバドルの事例のように、対中国戦略に何らかの関係があるとみるべきです。また、これから米国は、国際緊急経済権限法(IEEPA)の発動をはじめとして、中国や中国を利する国や企業個人に対する制裁をどんどん強めていくことになると考えられます。

これからは、国や企業や個人であろうと、中国を利することになると米政権に判断されれば、エルサルバドルのような弱小国ですら、牽制・制裁の対象になり得るということです。

そのことを意識しているマスコミや財界人はまだ少ないようで、未だ無意味な親中・媚中派から転身できていない人が多いようです。

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2015年2月28日土曜日

再反論!大塚家具、久美子社長が孤高の大演説「パフォーマンスは残念、社員巻き込むな」―【私の論評】時代に連れてお客は変わり、商売が変わるのが常、カリスマがいつまでもリーダーというわけにはいかない、企業もある程度大きくなれば社会の公器であることを自覚せよ(゚д゚)!

再反論!大塚家具、久美子社長が孤高の大演説「パフォーマンスは残念、社員巻き込むな」


それは、前日に行われた父の”熱い”記者会見と異なり、娘の大塚久美子社長(47)はきわめて冷静に努めようとしていた。

2月26日午後2時。東京駅すぐ近くの三菱ビルで開催された、大塚家具の記者会見。一連の「お家騒動」後では、初めて公の場に久美子社長が登場した。実父の大塚勝久会長(71)は25日、役員や幹部社員をズラリ10人以上もそろえて登壇したが、この日は司会役を除けば、壇上には久美子氏一人である。会場には150人以上ものメディアが押しかけ満杯状態だった。

久美子氏は冒頭、本来なら今日は中期経営計画を発表する場であるが、「昨日突然、勝久会長が提出した株主提案のことで発表し、世間をお騒がせしたため」、中計の前に、勝久氏の発表した内容を全面否定してみせた。

まず経営手法と実績について。久美子氏が社長に就いていた2009年から2014年半ばまでは、従来の会員制中心のビジネスモデルとは違う来店促進・接客が一定の成果を挙げてきた、と主張。自分が解任され、勝久氏が社長と会長を兼務した2014年7月から、旧来の路線に回帰したために業績が悪化、4年振りの営業赤字に転落したと述べた。



また久美子氏が、大塚家の資産管理会社「ききょう企画」で不当に財産を隠匿したため、勝久氏が久美子氏を提訴した件についても、「事実認識に誤りがある。私的な問題を上場会社のコンプライアンスの問題とするのは無理があり、驚きを禁じえない」とした。

最後に、勝久氏が会見で幹部社員を自分の周りにズラリと並ばせ、「これが会社の総意」とした点についても、「そうした演出で、社員を巻き込んでしまい、申し訳ない。社員は本来、社業の発展と企業価値の向上のために働くもの」と、批判してみせたのである。

その後は中計を淡々と説明。2月26日が久美子氏の47歳の誕生日であるため、「今日はたまたま私の誕生日。(こんなにも大勢に集まって聞いてもらい)思わぬ誕生日プレゼントです」と、冗談を言う余裕も見せた。

中計では、久美子氏が社長時代に進めてきた「会員制ビジネスモデルの見直し」を、最優先で取り組むべきことと断定。販売員が顧客に店内でつきっきりで説明をするスタイルではなく、もっと気軽に入れる・見られるオープンな店であることを伝えたいと述べた。もちろん、前社長である、勝久路線の否定である。

業績目標としては、前2014年12月期に売上高555億円・営業赤字4億円だったのを、2017年12月期には売上高594億円・営業利益19億円まで回復する、とした。現在の豊富な自己資本比率74%を背景に、今2015年12月期には年間配当予想を80円へと前期比倍増、積極的な株主還元も強調したのである。

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【私の論評】時代に連れてお客は変わり、商売が変わるのが常、カリスマがいつまでもリーダーというわけにはいかない、企業もある程度大きくなれば社会の公器であることを自覚せよ(゚д゚)!

私は、この親子の争いを見ていて思い出しことが2つあります。一つ目は、ドラッカーの言葉です。ドラッカーはカリスマ性ではなく、真摯さによるリーダーシッフの重要性を提唱していました。

それは、様々な書籍に表されていましたが、以下には3つの書籍から引用させていただきます。

ドラッカー

まずは、『ドラッカー わが軌跡』からの引用です。
私はその頃まだ、ビスマルクが勝利を収めた1878年のベルリン会議の後、大英帝国の宰相ディズレーリが言ったというセリフを知らなかった。「ドイツも可哀相に。ビスマルクも年だし、いつまでも生きていられるわけではない。臆病で何もできないか、馬鹿で何でもできると思っている奴が、後を継ぐ。どちらにしてもドイツは滅びる」(『ドラッカー わが軌跡』)
ドラッカーは、フランクフルト大学法学部の国際法のゼミを高齢の教授に代わって仕切っていた頃、大宰相は国にとって災厄であるとの感を深めていきました。

フランスはリシュリューの後遺症から抜け出せませんでした。オーストリアはメッテルニヒの成功のおかげで衰退し、ドイツもやがてビスマルクの成功のゆえに敗北しました。大宰相の後を継ぐ者は凡才となるからでした。

こうしてドラッカーは、大人物の後継にまつわる矛盾に関心を引かれました。

大人物でなければ、ビジョンもリーダーシップも期しがたいものです。凡才では無理です。この大人物の後に空白が生じることになります。教わったことしかできない者が後継となります。
自ら強力であって、かつ後継者が強力であるという真のリーダーは、一般に信じられている大人物とは、見た目も行動も大きく異なる。カリスマ性なるいかがわしいものとは無縁である。彼らは、勤勉さと献身によってリーダーとなる。権力を集中させずにチームをつくる。操作によってでなく、真摯さによってリーダーとなる。(『ドラッカー わが軌跡』)
もう一つは、『新しい現実』と、『未来企業』からの引用です。
新しい現実を踏まえた政治のモットーは、カリスマを警戒せよでなければならない。(『新しい現実』)
ドラッカーは、20世紀ほどカリスマ的なリーダーに恵まれた世紀はなかったといいます。その代表格が4人の巨大なカリスマ、ヒトラー、レーニン、スターリン、毛沢東でした。

左より、レーニン、スターリン、ヒトラー、毛沢東
そもそもカリスマは唯一無二とする万能薬まがいのプログラムを手にしない限り、なにもできません。カリスマはそれら万能薬を強制するうえで力を発揮できるにすぎません。

ところが、いまやそのようなプログラムが存在しません。したがってカリスマ的リーダーはまったく不要なのです。リーダーシップは必要です。しかしそれは、今日リーダーシップと名づけられ喧伝されているものとは違いまます。それはいわゆるリーダー的資質とは関係ありません。カリスマ性とはさらに関係がありません。
リーダーシップにはいささかの神秘性もない。それは平凡で退屈なものである。
リンカーンほどカリスマ性のない人物はいなかった。チャーチルにもカリスマ性はなかった。
それどころかカリスマ性はリーダーたらんとする者を破滅させる。ほかならぬそのカリスマ性が、自らの不滅性を妄信させ、柔軟性を奪い、変化不能とするからである。「リーダーシップの本質は行動にある。リーダーシップそれ自体はよいものでも望ましいものでもない。それは手段である。(『未来企業』)
このように掲載すると、私は一方的に社長を支持し、会長を退けているようにも見えますが、決してそうではありません。

しかし、会長のほうにより大きな判断ミスがあったものと思います。しかし、だからといって、社長の考えを全面的に支持するものではありません。

いずれにせよ、内部のことを詳しく知らないので、 結論はだせません。

しかし、この親子の話を聴いていて、私自身はどちらが良いとも早急に結論は出せないと思いました。ただし、今やカリスマ経営者の時代ではないことは明らかです。

なぜここまで事態が悪化するまで、手を打つことができなかったのか不思議です。

私が、この会社の会長か、社長であったなら、このようなことになる前に、複数ブランドを運営したと思います。



この複数ブランドは、今や珍しいことではなくなりました。たとえば、ユニクロとGUや、イトーヨカドーとセブン-イレブンなど、持ち株会社などの親会社が複数ブランドを運営するなどのことは全く珍しいことではありません。

複数ブランドを有するということは、環境変化対応がしやすいです。同一ブランドのみの運営だとは、継続的な変化には対応しやすいですが、断続的な変化には耐えられないです。

複数のブランドを持っていれば、たとえばあるブランドが駄目になったからといって、そのブランドを廃止することなく、他の業績が伸びているブランドに資源を集中することができます。また、駄目になったブランドにも、既存顧客がいる限りにおいては、事業規模を縮小して事業を継続して、既存顧客に商品やサービスを提供し続けることができます。

大塚家具も、はやめに、複数のブランドを持つようにすれば良かったと思います。古くからある大塚家具というブランドの他に家具でも他のブランドを創設し、ブランド別の小会社を複数持つようにすれば良かったと思います。

大塚家具製造販売株式会社は、大塚ホールディングスを筆頭に、大塚製薬、大塚製薬工場、大塚化学、大鵬薬品、大塚食品、アース製薬等、日本国内、海外の事業所および関連会社を含めると総176社で社員約3万9千人にも及ぶ大塚グループの一社です。

こういう大グループの一員であることから、大塚家具自身も、いくつかのブランドを持っても良かったと思います。そうして、管理会社と事業会社にわけて、小売の複数ブランドを持ち、管理会社が複数ブランドを管理するようにすれば良かったと思います。

そうして、現会長は、管理会社の社長か、会長になるということにすれば良かったと思います。そうすると、会長が築いてきた大塚家具のブランドは残り、他に複数のブランドが出来上がり、時代の変化にも対応しやすくなっていたものと思います。

会長は、過去の大塚家具にこだわらず、その精神は小会社に引き継ぎ、他の小会社とともに切磋琢磨させることに心血を注ぐべきだったと思います。最初は、2つの事業会社から初めて、うまくいけば複数ブランドの複数個会社を設立するという方針ですすめば良かったと思います。

このような、親会社、小会社に関しは、何も大企業にかぎらず、中小企業でもそのようにしているところはあります。だから、大塚家具くらいの規模になれば、やってやれないことはなかったと思います。

いまは見かけなくなった鳩のマークのイトーヨーカドー

ところで、イトーヨーカドーは、現在はスーパーのイトーヨーカドーという事業会社と、セブンイレブンという事業会社があり、セブン&アイ・ホールディングズという親会社がこれを管理しています。

実は、このイトーヨーカドーは、現在の形になる前は、イトーヨーカドーという一つの会社でしたが、そのまた昔、随分と前の数十年前の頃には、業態としてはスーパー一つだったのですが、そのスーパーが二種類あったことがあります。

一つは、「イトーヨーカ堂」であり、もう一つは「イトーヨーカドー」といいました。これは、ブランドというわけではありませんでしたが、「堂」のついたほうは、それこそ、昔からいた古参の幹部によって運営されていた店舗であり、もう一つの「ドー」という現在と同じ「イトーヨーカドー」のほうは、大卒などを含めた新しい人たちによって運営される店舗でした。

これは、随分前の話ですので、私自身も「堂」のほうの店はみたことがありませんし、、今や記憶にある人はあまりいないでしょう。おそらく、イトーヨーカドーでも、65歳以上の人でないと知らないことだと思います。

イトーヨーカードーは、こうして実質2つのブランドを競わせたわけですが、結局のところ「堂」は負けて、「ドー」のほうに吸収されてしまったのです。古いタイプの幹部たちは、いわゆる昔の非効率的、非合理的な伝統的な小売業のままの運営をしたので、結局新しいやりかたをする若い層の人たちによる運営には負けてしまったのだと思います。

これは、セブン-イレブンができるずっと前の話であり、私自身も、イトーヨーカドーの大卒一期生の方から聴いた話なので直接見聞きしたことではありません。それから、現在のイトーヨーカドーは直接は知りませんが、伊藤雅俊元会長の血縁にあたる人はほとんどいないと思います。

「イトーヨーカ堂」と「イトーヨカドー」が並立した時代には、複数ブランドという考え方や、複数小会社という考え方は、あまりなかったはずなので、これに近いことを実施した会社として、この頃からイトーヨーカドーは凄い会社だったのだと、思います。



企業はある程度の大きさになれば、血縁者が幹部になるというのはあまり褒められたことではないと思います。血縁者であろうとなかろうと、特に役員クラスは、まともな正当な手続きによって選任されるようにすべきものと思います。血縁者は、大株主ということで良いと思います。

企業は、ある程度の大きさになれば、それは個人商店ではなく、社会の公器です。

そのような考え方で、組織をつくり、組織運用をしてくれば、今日のようなことにはならなかったはずです。そう考えると、やはり、大塚家具が今日のようなことになったのは、創業者である会長に責任があると思います。

現状のようになってしまったからには、会長、社長のいずれに実権が移ったにしても、しこりが強く残ります。一番良いのは、会長も社長も退いて、いわゆる創業者の血縁者ではない人を経営者にして、しっかりとした社会の公器への道を歩むことではないでしょうか。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年10月16日木曜日

東京で言論考える集会開催 朝日新聞たたきは「社会の病」―【私の論評】企業は、社会や経済の許しがあってはじめて存在できる!左翼ビジネスモデルが廃れた今、原稿料も満足に支払えない出版社がこんなシンポを主催する資格があるのか(゚д゚)!

東京で言論考える集会開催 朝日新聞たたきは「社会の病」



従軍慰安婦問題などの報道をめぐり、朝日新聞に対するバッシングについて考える集会で議論する識者=15日夜、東京都文京区

従軍慰安婦問題や「吉田調書」の報道をめぐり、朝日新聞へのバッシングが続いている現状を受け、言論やジャーナリズムの在り方を考える集会が15日、東京都内で開かれた。出席した識者からは「社会の病だ」などとする発言が出た。

精神科医の香山リカさんは、在日韓国人らに対するヘイトスピーチ(憎悪表現)と呼ばれる活動が続いている社会状況を指摘。朝日新聞への攻撃について「自分以外に敵をつくり徹底的にたたく社会の病。不安に目を背けることでは解決にならない」と述べた。

この記事は要約版です。詳細をご覧になりたい方はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】企業は、社会や経済の許しがあってはじめて存在できる!左翼ビジネスモデルが廃れた今、原稿料も満足に支払えない出版社がこんなシンポを主催する資格があるのか(゚д゚)!

朝日新聞は、30年にもわたって、虚偽報道を訂正しなかったのですから、これに関して叩かれるのは、当然のことです。

ちなみに、このシンポジュウムの募集要項のURLとその内容を以下に掲載しておきます。
http://www.asiapress.org/sympo.html
  緊急シンポ! 朝日バッシングとジャーナリズムの危機


8月以降の朝日新聞に対するバッシングは「国賊」「売国奴」といった言葉が飛び交う異常な状況になっていますが、これは単に朝日新聞社だけの問題でなく、リベラルな言論を委縮させ、ジャーナリズム全体に深刻な問題を引き起こしつつあります。 
この状況についてメディアや言論、ジャーナリズムに関わる人たちの間で議論する機会を設けました。檀上の者が一方的に話をして終わるというのでなく、会場をまじえて活発な議論を交わしたいと思います。朝日関係者はもちろん、それを批判する側の関係者もぜひご参加下さい。


   10月15日(水) 18時開場/18時半開会

   東京都文京区民センター3階 ☎ 03-3814-6731



最寄り駅:都営三田線・大江戸線「春日駅A2出口」徒歩2分/東京メトロ丸ノ内線「後楽園駅4b出口」徒歩5分/東京メトロ南北線「後楽園6番出口」徒歩5分/他  地図はこちら
   入場料1000円  定員470人 
発言: 青木理(ジャーナリスト)/野中章弘(アジアプレス代表)/新崎盛吾(新聞労連委員長)/森達也(作家)/香山リカ(精神科医)/池田恵理子(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)館長)/下村健一(慶応大学特別招聘教授)/永田浩三(武蔵大教授)他多数。 
進行: 篠田博之(『創』編集長)

主催: 10・15集会実行委員会(『創』編集部/アジアプレス/アジア記者クラブ/『週刊金曜日』編集部/他)


※ 座席を確実に確保したい方は予約をお願いします。

下記アドレスへ件名「10・15参加希望」でお名前と連絡先(電話かメルアド)をお送りください。

メールアドレス:  live@tsukuru.co.jp

創出版の電話でも受け付けます ☎ 03-3225-1413 またはFAX 03-3225-0898
月刊『創』の編集部が、主催の筆頭になっています。この月刊『創』に関しては、非常に気になる事実があります。

それは、「小説家、劇作家の柳美里(ゆう みり)のブログ」の記事"『創』休載の理由"に掲載されている事実です。

小説家、劇作家の柳美里(ゆう みり)さん
詳細は、このブログをご覧いただくものとして、一部コピペさせていただきます。
『創』の連載エッセイ「今日のできごと」が休載されています。 
今月発売号の編集後記に、休載の理由が一言も触れられていなかったので、ここに書きます。 
現状では、柳美里が「落とした」のだと誤解されるから――。 
実は、もう何年も稿料が支払われていないのです。 
先月、意を決して、「稿料未払い分を計算して、振り込んでください。全額振り込まれるまで、次の原稿を書くことはできません」と篠田博之編集長にメールしました。 
篠田編集長から、9月2日にメールが届きました。 
「返信が遅くなって申し訳ありません。ショッキングなメールでしたので、考える時間が必要でした。 
おっしゃること、もっともだと思います。何とかしようとは思っているのですが、大変な時期に力になれずにいて申し訳ありません」

篠田さん、何故、支払ってもらえない稿料を支払ってください、とお願いすることが 「ショッキング」なのでしょうか?

わたしは、原稿を書くことで収入を得ています。 
原稿執筆労働者です。 
1枚数千円の原稿を毎日書いて、家族を養い、猫たちを養い、猫の糖尿病治療費や、福島県南相馬市への交通費や滞在費を捻出しているのです。 
篠田さん、筆者に稿料を支払うことは、筆者の「力になる」ことではありません。
労働の対価を支払うことです。
『創』編集長 篠田博之氏
柳美里さんのブログでの主張は、正しいです。原稿料を支払わないだけではなく、休載の理由も説明しないとなると、これはかなりたちが悪いです。それにしても、何年も原稿料を支払っていないとは、非常識です。こんな非常識な団体が、主催するシンポジュウムは、最初からどこか狂っているていると思います。

原稿料も満足に支払えないような出版社など、とうに社会から見離された存在です。

マネジメントの大家である、ドラッカー氏は企業の社会的責任について以下のように語っています。

ドラッカー氏
企業にとって、社会との関係は自らの存立に関わる問題である。企業は社会と経済のなかに存在する。ところが企業の内部にあっては、自らがあたかも真空に独立して存在していると考えてしう。事実、マネジメントの多くも、自らの事業を内部から眺めている。  
しかし企業は、社会と経済のなかに存在する被創造物である。社会や経済は、いかなる企業をも一夜にして消滅させる力を持つ。企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が有用かつ生産的な仕事をしていると見なすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない。 
社会性に関わる目標は、単なる良き意図の表明ではなく、企業の戦略に組み込まなければならない。社会性の目標が必要となるのは、マネジメントが社会に対して責任を負っているためではない。それは、マネジメントがまさに企業に対して責任を負っているためである。
企業の社会的責任などというと、多くの人はCSRのことなどを思い浮かべるようですが、無論そのような側面があるにしても、私自身は、企業が存続していけるというそのこと自体が、何らかの形で社会に貢献しているということだと思います。

営利企業であっても、何らかの形で社会に貢献しない企業は存続できません。プラック企業は、デフレだからこそはびこるのですが、それにしても、いずれ継続できなくなります。

特に、上のドラッカーの文書について、太線の部分に注目していただきいものです。企業は、社会や経済の許しがあって存在しているのであり、社会と経済が、その企業が有用かつ生産的な仕事をしていると見なすかぎりにおいて、その存続を許されているにすぎない。 

朝日新聞などは、このことをすっかり忘れていたのです。朝日新聞社が、記事の訂正をし、そのことを記者会見で発表せざるを得なくなったのは、社会が許さなかったからです。あのような、ことをしでかしておいて、ある程度の社会的制裁がないなどということはあり得ません。

朝日新聞は、反社会的であったので、その部分に関しては叩かれれるのは当然のことです。もし、あれで叩かれなかったら、それこそ、社会が病んでいるということです。そもそも、このブログの冒頭で掲載したシンポジュウムの趣旨はおかしいです。

まだ、朝日新聞の反社会性を是正して、その上で、存続させるべきだとか、生まれ変わるべきとの趣旨なら十分理解できますが、朝日新聞叩き自体を「社会の病」とするのは間違いです。

このような主張をする、精神科医の香山リカなる人物の主張も本当にくびをかしげてしまいます。社会の病は、まともな社会学者がいうべきことであって、精神科医の対象とする分野ではありません。社会の病の専門家ではないのですから、このような主張をするなら、精神科医の肩書など出すべきではありません。全く紛らわしいです。

香山リカ
経歴も、wikipediaによれば、日本の評論家、精神科医、臨床心理士、占い師、ピースボート水先案内人。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。「九条の会・医療者の会」に参加しており、「マガジン9条」発起人であるとしています。

何か得体の知れない人です。筋金入りの現代日本左翼ということだと思います。

それにしても、朝日新聞などは社員に対して、高額の給料を支払いながら、まあ何とか会社組織としては体面を保っています。無論は、そうではあっても、社会的制裁を免れるわけではありませんが・・・・・・・・・。

しかし、創出版は、執筆者に原稿料も満足に支払えないありさまです。ドラッカー流の言い方をすれば、経済が、"創出版"が有用かつ生産的な仕事をしていると見なしていないため、本来はその存続を許されないのです。

それにしても、『創』が原稿料をまともに支払えない状況に陥っているとは、はじめて知りました。 柳美里さんに原稿料を支払っていないということは、彼女一人に対してだけではなく、他の執筆者にも支払っていないのだと思います。

それにしても、現代日本左翼は、いわゆる左翼ビジネス・モデルによってそれなりに成り立っていると思っていたのですが、そうではないようです。

左翼ビジネスモデルに関しては、このブログでも以前紹介したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【産経抄】二つの焚書事件 2月25日―【私の論評】ユダヤ焚書は報道しても、日本の保守論陣の焚書は報道しない日本メデイアの影で、日本の公立図書館は左翼系タイトルが花盛り、保守系も新ビジネス・モデルを考えよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、出版の左翼ビジネスモデルについて、以下に掲載しておきます。

図書館には左翼系タイトルが花盛り(゚д゚)!
現在日本の図書館は現在公共図書館約3000館、大学図書館1600館合計4600館それに高校の図書館も加えると9000館を超えるでしょう。 
昔から左翼本は店頭で全く売れません、大多数の若者等は昔から赤マルとか日共産党の歴史とか革命本や資本論など目もくれません。そこで左翼の頭が良い人達は考えました。 
書店で売れない左翼本を全国の図書館で売りさばこうと。右翼より左翼人の方が組織作りも巧妙です。左翼出版社のたちあげ、左翼教授による歴史観の固定化、全国大型図書館の左翼人化、左翼人の図書館運営による左翼本の増加と右翼本、左翼の批判本の廃棄を進行しそれから40年たってもこの牙城は崩れていません。 
もちろん現在は暴力革命本等はかなり公共図書館から姿を消しつつありますが新左翼(ビジネス)と思われるカテゴリーが「平和」「人権」「護憲」「9条」「ジェンダー」「エコ」「環境破壊」「反差別」等のキーワードでの新左翼系図書が増えています。しかも、いかにも左翼系ではないような体裁を整えながら、実は左翼系思想を広めるものだったりして、なかなか巧妙になっています。図書館ビジネスで何とか凌いでる左翼出版社も存在するでしょう。 
店頭で売れなくても全国の図書館の3分の1に仕入れてもらえば3千冊の初版発行が見込まれます。岩波の「世界」なども出版部数5千部程度らしいですが大きな図書館には置いてあるのでもしかすると全国の書店よりも全国の図書館の方が出ているかもしれません。 
図書館ですと単行本も書店と違って「返本」にもなりません。次々と手を変え品を変え市民の読まない新(エセ含む)左翼本が図書館に並ぶわけです。そうして、その書籍は、市民税などから賄われているわけです。
雑誌はなかなか売れなくなっているそうで、『創』も売れないのでしょう。『創』も自治体図書館や、大学図書館で良くみかけます。

『創』表紙

左翼ビジネスでいくら努力しても、限りがあります。やはり、ある程度一般の読者が読まないとなかなか経済的に厳しいのだと思います。多くの人は図書館に行っても『創』を読まないのだと思います。あまりに誰も読まないということになれば、さすがに、図書館でもだんだんと取り扱いを中止しているところも出てきているのだと思います。

いくら頑張ってみたとこで、社会に受け入れられないものは、滅ぶしかないのです。あたり前のことですが、社会に受け入れられるものでなければ、存立は許されないのです。その理屈を、創出版や、上に掲載したシンポジュウムに参加した人たちは、理解しているのでしょうか。

それに、今の日本で主流のいわゆる左翼は本当の意味での左翼ではないようです。

西村幸祐氏はツイートで以下のように述べています。
長い歴史がある日本のリベラリズムの系譜である、まとも左翼であれば、社会がその存立を赦すのでしょうが、今の日本の主流となっている左翼は、もう社会的使命をとっくに終えたのだと思います。だからこそ、『創』のような雑誌の出版元は執筆者にまともに原稿料も払えなくなっているのだと思います。

この流れは、もう社会的使命を終えつつある、大手新聞社などにも及んでくると思います。もう、時間の問題です。朝日新聞社に対するバッシングは、その兆候です。

それにしても、そもそも、原稿料も支払えない出版社がこんなシンポを主催する資格があるのかと言いたいです。

まあ、現状では、創もデフレ不況に苛まされている面はあるとは思いますが、現在日本の主流になっている左翼、デフレに関してはほとんどノータッチでした。そういう、意味では自業自得だと思います。国民生活や、自分たちにも大きくかかわる経済や雇用の問題を糾弾しない左翼の存在意義はますます薄れています。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年1月19日日曜日

日本では若い男性だけでなく企業の経営者まで草食化している―【私の論評】ちょっとまってくれ!経営者が草食系になったのは、20年も続くデフレのせいではないのか?責めるべきは、経営者個々人ではなく、まずは無能な政治家と、その次は狡猾な官僚であるべきだ(゚д゚)!

日本では若い男性だけでなく企業の経営者まで草食化している

草食系男子は若者だけでなく、経営者も?

アベノミクス効果で景気が回復しつつあるというのに、売り上げ高増加に伴い社員の賃金をあげようという機運が日本の経営者には希薄だという。草食化は若い男性だけの問題ではないと大前研一氏が警鐘を鳴らしている。

* * *

2014年春闘では、自動車メーカーの労働組合でつくる自動車総連、大手電機メーカー労組が加盟する電機連合、鉄鋼や造船などの日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)といった主要労組が、5~6年ぶりにベースアップ(ベア)を経営側に統一要求するという。

2013年冬のボーナスは、日本経済新聞の調査によれば、主要34業種のうち26業種で支給額が前年を上回り、全体でも2.55%の増加となった。このため、ベアへの期待が高まり、各労組が統一要求する状況になっているわけで、エコノミストの中には、これまで日本では企業の売上高が増加した半年~1年後に賃金が増加している、などとバラ色の予測をする人もいる。

だが、本当にそうか? 私は、その法則は、もう成り立たないと思う。なぜなら、私が知っている日本企業の経営者の中に、社員にシンパシーを持って「売上高が増加したから賃金を上げてやろう」と考えている人は一人もいないからだ。

昔の経営者は、武田信玄の「人は城、人は石垣、人は堀」という言葉を企業に当てはめて社員を大事にしたものだが、今やそういう発想の経営者はほとんどいなくなった。

日本銀行が昨年12月に発表した2013年7~9月期の資金循環統計(速報)によると、民間非金融法人(事業会社)が抱える現金・預金は、9月末時点で実に224兆円に達し、リーマン・ショック直後の2008年12月末から20四半期連続で増加した。それほど余剰資金があっても、大半の企業は後腐れのない一時金を少し増やすだけで、月給は上げていないのである。

もはや労働分配率(企業が新たに生み出した付加価値のうち人件費に分配された比率。人件費÷付加価値で%表示される)を指標にしている経営者はいないと思う。労組も同様で、かつて日本の労組が純粋なファイティング・スピリットを持っていた頃の賃上げ交渉は非常にきつかった。徹夜の団交や明け方の妥結などが当たり前だった。

しかし、今はもう以前のような厳しい交渉を行なっている労組はほとんどなく、みんな予定調和になっている。本来、現在の企業業績であれば労組側は「余っているカネをすべて吐き出せ」と要求すべきなのに、春闘のベア要求も「1%以上」「月4000円以上」といった気合の入らないものになっている。これでは企業業績に見合った真っ当な賃上げは、望むべくもないだろう。

では、賃上げしないなら投資をしているかといえば、M&Aは増えてきているものの、大規模な投資をしている会社は少ない。普通、これほど余剰資金があったら経営者は積極的に自社株買いや配当、あるいは投資をするものだが、そういう雰囲気は全くない。投資は必要最低限に抑え、それもできれば海外で、という会社が大半だ。

要するに日本企業の経営者は、余っているカネをどうしたらよいか、わからないのだ。「失われた20年」の長い不況を経験して“胃袋”が小さくなり、もっと食べて成長したいという欲望がなくなってしまったのである。

日本では若い男性の「草食化」が言われて久しいが、企業の経営者もまさに草食化しているわけだ。

※週刊ポスト2014年1月24日号

【私の論評】ちょっとまってくれ!経営者が草食系になったのは、20年も続くデフレのせいではないのか?責めるべきは、経営者個々人ではなく、まずは無能な政治家と、その次は狡猾な官僚であるべきだ(゚д゚)!



上記のような記事、一見もっともらしくみえるのですが、果たしてこれは真実なのでしょうか?私には、どうしてもそうは、思えないのです。そもそも、上の見方は、ミクロ的すぎます。ミクロの立場のみから、個々の経営者が草食系になったと批判しています。

確かに、個々の経営者をみていけば、そういう人もいるかもしれません。しかし、多くの経営者がそのようになっているという事実をみれば、その根底には何かがあると考えるのが普通であり、それを単に昔の個々の経営者との比較でみるというだけではあまりにバランスに欠けるのではないでしょうか。

ミクロの世界では、企業同士がしばきあうのは、産業を活性化するという意味で良いことなのです、マクロの世界ではそうではないです。マクロ経済で、企業をしばくようなことをしてしまえば、企業はそもそも投資を控えます。それが、経営者総草食化の真実であり、これは個々の経営者を責めても何ら根本的解決にはならず、本当の解決策は、しばきをやめること、すなわちデフレからの脱却です。

確かに、昨年アベノミクスは、効果をあげ、景気を浮揚させたのは間違いありません。しかし、だからといって、これによって、すっかり悪くなった日本の経済が、経済の癌ともいわれるデフレから脱却したといういうわけではありません。病気にたとえれは、癌を患っていた人が、科学療法などの治療を受けて、癌の進行が止まったくらいの水準でしかありません。未だに、癌は存在し、悪さをしていることには変りありません。このまま治療を、続けて癌細胞を少しでも減らすか、できれば手術などして完璧に取りさる必要があり、予断を許さない状況にあることには変りありません。

日本が完璧にデフレになったのは、1998年からであるが、その前からデフレ基調になっていた

こんな状態にあるにもかかわらず、今年の4月からは消費税が、5%から8%に増加されます。こんな状況では、デフレからの脱却は遠のくことになるのは、必定です。今のまま、政府の追加経済対策が5.5兆円レベルで終われば、日本経済は、デフレのまま足踏みするのは明らかです。

週刊誌をはじめとする、マスコミもこのことに目覚めて欲しいです。しかし、今や記者なども、デフレ世代で、デフレが当たり前になってしまい、それを前提にものごとを考えたり、論考を積み上げか、上記のような間違いがおこるのです。そもそも、デフレは、通常の状態ではありません。しかし、残念ながら、日本ではデフレ傾向になってから20年も経過したため、デフレを前提として物事を考える人が増えているのは確です。

しかし、デフレは異常状態であることをもう一度しっかり認識する必要があります。景気というものは、好況、不況を交互に繰り返すものであり、これは当たり前の経済経済現象であり、これを誰も否定することはできません。不況が長引くと、多くの人々は、悲観的になり、この不景気は永遠に続くと思ったりしますが、そんなことはありません。逆に好景気が長引くと、人々は楽観的にそれが普通になり、その好景気は永遠に続くと思い込んだりします。かつて、アメリカでいわれた、ニューエコノミー論などその典型です。

不況のときに、政府や日銀などが、財政政策や、金融政策によって、景気を人為的に良くすることなどできません。政府・日銀ができることは、せいぜい急激に景気が悪化することを防ぎソフト・ランディングができるくらいなものです。

しかし、デフレは違います。あくまで、過去の金融政策、財政政策が悪すぎて、バランスが完璧に崩れて、好況、不況を交互に繰り返す、正常な景気循環から逸脱した貨幣現象です。不景気という状況ではありません。それが、デフレです。これは場合によって時間がかかる場合もありますが、必ず是正することができます。しかし、過去の日銀も、政府も、これにまともに取り組んできませんでした。そんなことが20年続いた後に、ようやっと昨年の4月から日銀が金融緩和をするようになりました。

デフレは、景気循環から逸脱した貨幣現象である

デフレなのに、日銀は金融引き締め策を継続し、政府も財政出動するどころか、緊縮財政ばかりやってきました。そのなれの果てが、失われた20年です。

デフレであれば、企業経営者は、投資をしなくなるのは当然のことです。それ自体は、善でも悪でもありません。デフレがそうせざるを得なくするのです。モノが売れないので、設備投資はしない、人は新たに雇用しない。雇用している人の賃金もあげることもできず、どちらかといば、減少傾向にして、守りの姿勢にはいります。

多くの企業がそのような行動をとるようになるので、ますますデフレは深化します。これは、草食化などというよりも、デフレ対抗手段としてそうせざるを得ないという側面は否定できません。デフレという根本の原因を取り除かない限り、このようなことはさらに続きます。だから、失われた20年といわれる不毛の時代が続いたのです。こんなデフレの最中には、ブラック企業のような企業も多くでてきて、何も良いことはありません。

それから、私はその有力な証拠は見いだせませんが、ひょっとすると、現在の若い男性に、いわゆる草食系が多くみられるのは、それこそ、デフレが原因かもしれません。これは、デフレが収束したときにわかるかもしれません。そのときには、草食系男子は影を潜めて、ギラギラした肉食系男子が跋扈するようになるかもしれません。


本来異常なデフレの真っ最中に、ミクロ的なことをつついて批判しても、水道菅が破裂して、水があふれているときに、水を人力で汲み出して、水道管の破裂という根本原因をなんともしようとしないのと同じです。この場合、水道管の破裂を修理することが根本原因の解決法であり、水を汲み出すばかりでは、結局何も変わりません。

この問題で真っ先に責められるべきは、企業経営者ではなく、このようなデフレになってしまう原因をつくり出した大勢を占める無能な政治家と無能か狡猾な官僚であるべきです。結果として、何かといえば、政府は、緊縮財政を行い、日銀に金融引締めばかりやらせてしまったという失策を是正しない限り何も解決しません。現在は、幸いなことに日銀は金融緩和をしていますから、今度は財政政策を何とかしなければなりません。4月から増税が決まった今は、すみやかに、追加金融緩和措置と、5兆円規模の財政政策ではなく、もっと大胆な財政政策の実行が、必要不可欠です。

そもそも、日本では、様々な社会現象をマクロ的な観点からとらえることができず、ミクロ視線でみてしまうという陥穽に陥る、政治家や官僚も多いですし、デフレになることがわかっていても、国民生活などにはおかまいなしで省益を追求するためだけに、わざとマクロ的な見方をしないか、したとしても、歪曲したり、ミクロ的見方のみのトンデモ説を捏造して流布する狡猾な官僚もいますから、マスコミ界も、そのような陥穽に陥るのは無理もないのかもしません。しかし、マスコミまでが完全にそうなってしまえば、存在価値もなくなるということです。

マスコミ界の方々も、このあたりを見直して、ミクロ現象にとらわれるだけではなく、マクロに目を向け理解し、真実を報道していただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2012年12月30日日曜日

Amazonの年末売上は過去最高、でも利益は激減、なぜ?―【私の論評】大躍進する企業とはすべからくこんなもの、アベノミクスが功を奏すればやがて日本の企業もこうなる!!?

Amazonの年末売上は過去最高、でも利益は激減、なぜ?:

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拡大しすぎてほころびが?

今年のクリスマスまでの年末商戦、米Amazonはもっとも多い日には1日で2650万個もの商品を販売、これは1秒あたり約306個です。ちなみにそれは11月26日、感謝祭明けの「サイバー・マンデー」でした。まさに飛ぶような売れ行きです。


そしてその中でもっとも多く売れ、ギフトとして贈られ、「ほしいもの」に指定されたのはAmazonのKindle Fire HDでした。そして12月25日のクリスマス当日には2300万本のデジタルコンテンツがダウンロードされました...など、Amazonからの発表は輝かしい数字にあふれています。

でも、現実は良いことばかりじゃありません。次の画像は、Amazonの2007年から今年9月までの利益の四半期ごとのグラフです。


 


【私の論評】大躍進する企業とはすべからくこんなもの、アベノミクスが功を奏すればやがて日本の企業もこうなる!!?


上の記事を書いた方、長年のデフレで考え方が少しずれていますね。しかし、それも仕方のないことなのかもしません。日本では、デフレが続き、40歳台以下の人では、そもそも、デフレでなかった時期などものごころついてから記憶がないという有様ですから。しかし、デフレで利益が減っていくのと、そうではなくて利益が減っていくのとでは全くわけが違います。日本は、過去20年もの間、デフレだったので、とにかく利益さえたくさんでていれば問題なし、利益が減っていくようであれば問題という考え方が定着してしまったようです。

アマゾンCEO ベゾス氏

確かに、デフレ期であれば、利益を確実に毎年確保して、減益になっても、わずかという企業が素晴らしいということになります。そうして、デフレ期には、多くの企業が設備投資も必要最低限しかしないし、人材投資も必要最低限ということになります。そうして、銀行などからも、ほとんど借金をしなくなります。それはデフレで国内では、モノやサービスがあまり売れない、円高で輸出もふるわないどころか、日本で生産などしていては、生産コストが割高になため、海外に生産拠点や販売拠点を移すということになります。そうして、このようなにしてデフレを克服したか、最小限の影響にとどめた企業が優秀ということになってしまいます。

amazonの書籍ピッキング・センター
しかし、デフレ・円高が是正され、インフレ気味、円安気味ということになれば、今度は、上記のアマゾンのように、将来に向けて、技術のある会社を買収したり、技術のある人をヘッドハンティングしたり、次世代を担う人を雇用(アメリカでは日本のような新卒の定期採用はありません)したり、あるいは、既存の設備で古くなったものを買い替えたり、さらに、効率の良くなるものを新規導入します。

なぜなら、デフレのときには時がたてば、お金の価値があがるので、なるべくお金を手元においておくのが賢い選択ですが、インフレ気味あるいは、インフレと いうことになれば、手元にお金を長い間おいておけば、お金の価値は減るので、どんどん投資したほうが良いということになるからです。場合によっては、手元 にお金がなくても、借金をしても投資ということになります。これは、規模は小さいですが、個人の消費でも同じことです。だから、少なくとも日本のようなデ フレでない、アメリカの企業のamazonが、減益をしているということは、ネガティブなことではなく、ポジティブなことなのです。だから、amzonは これからも、発展していくのです。


こうして、amazonのように、どんどん投資をする会社が増えてくれば、日本のデフレも解消されるわけです。何やら、借金するとか、利益が減少などというと、悪いことと決めつける愚かな人もいるようですが、確かに返済不能なほどの借金をしたり、単なるミスで利益が減少というのであれば、悪いことですが、そうではなくて、現在のアマゾンのように将来のために借金をしたり、利益を減らしているというのであれば、何も悪いことではなく、むしろ良いことです。

そもそも、バブル崩壊後から、これだけ、デフレが続いたのは、多くの企業が不良債権の解消や、銀行への借金を返済することばかりして、あまりにも借金をしない、あまりにも減益しない企業が増えたからです。このことによって生じる不況をそれまで日本に例がなかったということで、野村総研のリチャード・クー氏はバランスシート不況と名づけました。とにかく、企業が新しいことに挑戦するため適切な時期に適切な借金をしたり、減益にするというのが、本来の正しい姿です。企業がこうなれば、市中にもお金がたくさん出回り、デフレも解消されます。

ドル86円前半、アベノミクス期待で2年4カ月ぶり高値
 そうして、こういうことを狙っているのが、他でもない、安部総理の経済対策である、アベノミクスなのです。しかし、世の中には、この流れを理解せずアベノ ミクスを批判して、何とか骨抜きにしてやろうという連中がうようよしています。しかし、このままデフレで良いはずがありません。私たちは、こんな馬鹿な連 中の世迷い言になどつきあっている暇などありません。このような連中は、手段を選ばす捻り潰して前に進むべきです。

来年はアベノミクス反対派を徹底的に捻り潰す!!?
私たちは、このアベノミクスを理解して、支持して、日本にもamzonのように、減収する会社が多数になること、また、amazonのようになるため、借金をする会社が多数でてくることを支持すべきです。そうして、アベノミクスがが奏功したとしても、デフレのときのように借金もせず、減益もしない会社というのは、駄目な会社であるとみなすべきです。これは、会社だけでなく、政府だって同じことです。政府が、借金をしてでも、インフラ整備などを熱心にする国は発展し、税収も増えていきますが、そうではないような国は、たとえ借金がゼロでも発展せず、税収も減少し将来はしぼんていきます。実際関東大震災のときの政府は、外国から多額の借金をしてまで、復興を急ぎました。先の民主党政権とは随分違います。


これからは、考え方を変えなければなりません。借金駄目とか、減益駄目という方は、これからの企業ではやっていげません。民主党の方々と同じように、表舞台からは姿を消すべきです。そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

もう少しで、新年です。皆さん、良い年の瀬と、良い新年をお迎え下さい!!

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