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2020年8月3日月曜日

李登輝氏、終生訴えた「自信持て、日本人」— 【私の論評】台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではない!大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべき!(◎_◎;)

李登輝氏、終生訴えた「自信持て、日本人」

関西空港に到着し、出迎えの人々に手を振る台湾前総統の李登輝先生=2001年4月22日

台湾の李登輝元総統が7月30日、台北市内の病院で亡くなった。97歳だった。総統任期期間には、台湾の民主化に多大な貢献を果たした。経済面でも、農業経済学者だった素養を生かし、1990年代の台湾の飛躍的な経済成長を支えた。日本統治時代の台湾で生まれ育ったことから、晩年は日台関係の強化に尽力。関係者によると、「日本人よ、自信を持て」と訴え続けていたという。

台湾民主化の父、李登輝元総統が7月30日に死去した=18年6月、沖縄(李登輝基金会のウェブサイトより)

李氏は30日午後7時24分、入院していた台北栄民総医院で、多臓器不全などのため死去した。台湾メディアによると、李氏は今年2月8日の食事中に、喉を詰まらせて入院。その後、肺や腎臓などの機能不全を併発したことで、入院は長期化。7月23日以降は昏睡状態に陥っていた。
台湾内外から哀悼の声が寄せられた。民主進歩党(民進党)の蔡英文総統は30日に李氏を追悼する声明を発表。「台湾民主化の過程で、李氏がもたらした貢献は他に取って代わることのできないもの」として、李氏の功績をたたえた。李氏が2001年まで籍を置いた中国国民党も同日、「李元総統は人々に新しい人生をもたらした」とする声明を発表した。

日本の安倍晋三首相は31日、「痛惜の念に堪えない」などとコメント。同時に「日本と台湾の親善関係に多大なご貢献をされた方」と李氏をしのんだ。

■無血の民主化推進

李氏は1971年に国民党に入党。88年に本省人(台湾出身者)として初めて総統に就任した。00年に退任するまでの約12年間で6度の憲法改正を行うなど、大々的な政治改革を推進。94年には初の旧台湾省長と直轄市長の直接選挙、96年には初の総統直接選挙(李氏自身が当選)をそれぞれ実施。就任時は中国国民党の事実上の独裁下にあった台湾を民主主義社会へと変貌させた。

李元総統の最大の功績は、血を一滴も流さず民主化を進めたこと――。そう指摘するのは、李氏が主催する李登輝基金会の早川友久顧問。当時の国民党幹部の多くは、戦後に中国から台湾に渡った外省人。早川氏によると、党内で孤立しそうな環境下にあっても、李氏は内部の保守派と対話をしつつ、政治改革に着手したという。

■1人当たりGDP約2.3倍に

李氏は政治面だけでなく、経済面でも台湾に多大な貢献を果たした。任期中の年間の経済成長率はおおむね6~9%を確保。88年に6,370米ドル(約67万円)だった1人当たり域内総生産(GDP)を00年には1万4,908米ドルまで押し上げた。

中国への投資規制を緩和し、中国経済の拡大を台湾経済の成長につなげた。一方、任期後半には中国への資金流出による台湾経済の空洞化を危惧。中国投資に制限を設ける「戒急用忍政策」を打ち出した。米中貿易摩擦を経て問題視された経済的な中国依存に、早くから警鐘を鳴らしていた人物とも言える。


早川氏は、「李氏は元々農業経済学者であり、国民党内では経済政策で結果を出すことで、地位を上げてきた部分がある」と説明。政治改革の陰に隠れがちだが、経済面でも成果を収めた政治家だった。

■「日本統治の光を見てほしい」

李氏は日本が統治していた1923年の台湾で生まれた。京都帝国大学(現在の京都大学)に進学するなど、日本語で教育を受けていることから、終生日本との関わりを重視してきた。

早川氏によると、特に晩年は日台の交流活動に心血を注いでいた。李登輝基金会は毎年2回、日本人50人前後を台湾に招き、台湾への理解を深めてもらう研修活動を開催。李氏は同研修で必ず講演を行い、日台の相互理解促進に尽力した。

中でも繰り返し口にしたのが、「日本の若者にもっと自信を持ってほしい」とのメッセージ。早川氏によると、李氏が日台交流を促進する背景には、日本人に日本統治が台湾にもたらした功績を見せ、自信を持ってもらいたいとの思いがあった。

日本の台湾統治に影がないとは言わない。ただ、より多くの光を与えてくれた――。日本語世代が減少し、日台の相互理解が希薄化することへの危機感を胸に、李氏は生前そう訴えていたという。


【私の論評】台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではない!大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべき!(◎_◎;)

李登輝総統が誕生する前までの台湾はどうだったのか、ということが意外と知られていないようです。上の記事にも掲載されていません。これはあまりにも当たり前なのか、それとも意図して意識して裂けたのかわかりませんが、その現実を知れば、さらに李登輝氏の偉大さがわかります。

日本時代の1919年に立てられた堅牢なレンガ造りの台湾総督府の建物(同時期に作られた東京駅にも似ている)は、国宝級古跡にまで指定され、現在は台湾総統府として大事に使われています。

こうした台湾のインフラ整備に意欲を傾けた偉人達と、台湾全土で忠実に任務にあたった警察官や学校教師達のおかげで、台湾人は次第に日本人を敬愛するようになっていきました。

しかし周知の通り、大東亜戦争は日本の敗北で幕を閉じました。台湾は領土未帰属の状態となり、とりあえずの措置として中華民国(国民党軍)がやってきて支配することになりました。台湾人は、当初は同じ漢民族である(と誤認していた)中華民国を歓迎するつもりでしたが、軍規粛正な日本軍とのあまりの落差にショックを受けることとなりました。

国民党政府は1947年から、全土に戒厳令を敷き、台湾人を白色テロにより殺害しました。 特に、元日本軍人や知識人などが狙われたため、このあと台湾は文化、経済的に大きく停滞することになりました。この虐殺による死者は3万人近いとも言われますが、正確な数字は未だに不明です。戒厳令が解除されたのは、何と1987年です。

3万人というと、現在の台湾の人口が、約2400万人ですから、当時はもっと人口が少なかったはずですし、夥しい数の人々が、虐殺されたのは間違いありません。この事実が今でも、台湾の人々に大きな影を落としています。

このような歴史を経て、日本統治時代を直接経験している世代は、流暢な日本語を話し、「自分は元日本人である」と胸を張ってくれている人が多いです。李登輝元総統や、司馬遼太郎『台湾紀行』にも出てくる蔡焜燦氏らの世代(2017年死去)です。これらの方々が徐々に亡くなられていることは、本当に寂しいです。

蔡焜燦先生
しかし、台湾の全人口が親日的なわけではありません。戦後やってきた外省人は、もちろん反日的です。外省人は少数派ですが、政権を掌握してきた彼らは中華民国の反日史観で国民を教育し、メディアを支配してきました。

これによって、本省人にも戦後世代には反日史観に影響されている人も増えてしまいました。

しかし台湾の民主化以降は言論、政治にも日本統治時代の自由な空気が戻り、1997年には日本統治時代を客観的に評価する『台湾史』の教科書が制定されました。それまでは「中華民国は大陸全土を支配している」という蒋介石の妄想に従って『中華民国史』しか教えられていなかったのですが、ようやく台湾を台湾として教えられる教育が始まったのです。

このようなことを考えると、李登輝氏がいかに偉大であったのか、良く理解できます。李登輝氏の前までが、現在の大陸中国ともあまり変わりないようにも見られる、政権が台湾を統治していたものを、そこから武力も行使せずに、民主台湾を築いたのです。

こうして、台湾民主化の道筋を見ると、大陸中国の民主化も、不可能ではないと思えてきます。大陸中国こそ、現在の台湾のあり方を学ぶべきです。

そうして、李登輝先生がおっしゃったように、日本人はもっと自信を持つべきです。

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2019年11月15日金曜日

ウイグル人学者へのサハロフ賞授与の意義―【私の論評】大陸中国は、民主化に成功したもう一つの中国台湾を参考にすべき(゚д゚)!


岡崎研究所

 10月24日、欧州議会は、今年の「サハロフ賞」の受賞者として、中国で無期懲役の判決を受け服役中のウイグル人経済学者で人権活動家のイリハム・トフティ氏を指名した。正式には、12月18日に、仏ストラスブールの欧州議会で受賞式が開催される。

ウイグル人経済学者で人権活動家のイリハム・トフティ氏

 「サハロフ賞」とは、旧ソ連(現ロシア)の反体制派の物理学者、サハロフ博士にちなみ、欧州議会が1988年に創設した賞である。自由や人権、民主主義の擁護のために尽くした人に贈られ、これまで、南アフリカのマンデラ元大統領やミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相らが受賞した。
 受賞者の発表に際し、サッソリ欧州議会議長は、声明を発出し、「中国におけるウイグル人の権利を擁護するために人生を捧げた」と、トフティ氏の活動を評価した。トフティ氏は、インターネット等を通じ、新疆ウイグル地区の現状を伝えたり、中国で大多数を占め共産党を支配する漢族と、少数民族ウイグルとの和解や融和を説いたりしていた。
 欧州議会は、サハロフ賞の受賞者の発表と同時に、中国政府に、トフティ氏を釈放するよう強く要請した。これに対して、中国共産党政府は、欧州議会が中国の内政事項に介入し、「国家分裂罪」の判決を受けた「犯罪者」に賞を与えたことを非難した。 
 今回のヨーロッパ議会のトフティ氏へのサハロフ賞授与は、歓迎されることである。中国のトフティ氏の処遇がこれで変わるとは思えないが、こういうことについては、間断なく、問題提起を続けていくことが望ましい。 
 中国は、ウイグルなどの人権問題は中国の国内問題であり、内政干渉は許さないという立場をとるが、戦後の国際政治においては、人権問題は国際的関心事項として確立している。南アフリカのアパルトヘイト政策は、国内問題であるとの主張は認められてこなかった。国連憲章は、国内事項に干渉してはならないとしているが、他方で、国連は人権理事会を作っている。これは、人権が国際関心事項として確立していることを示している。
 香港人の人権も、ウイグル人の人権も、チベット人の人権も、国内問題として片付けることはできないことを、中国は認めるべきである。中国は人権規約については、A規約は批准しているが、B規約は批准していないと承知する。だが、そのことと人権問題が国内事項とは言えないというのとは別の話である。 
 先般、習近平は、ネパールを訪問中に、分離主義者はその骨まで打ち砕くと恐ろしい脅しを発したが、トフティも分離主義者とされている。こういうことは問題にしていくべきであろうし、そうすることが中国をルールに基づく国際社会の一員にすることに資すると思われる。
【私の論評】大陸中国こそ、民主化に成功したもう一つの中国台湾を参考にすべき(゚д゚)!
サハロフ氏や、トフティ氏については、日本で知らない人もいると思いますので、本日はそれについて掲載しようと思います。

最初にサハロフ氏とは、冷戦下のソ連の社会主義下での共産党一党支配や人権抑圧を批判し、抵抗した知識人たちの一人です。

フルシチョフによるスターリン批判が始まり、「雪どけ」といわれる一定の言論の自由も認められる中で、知識人の政治的な発言も見られるようになったのですが、1964年にフルシチョフが失脚しブレジネフ政権になると再び政府を批判したり、社会主義の現実を問題視する言論は厳しく取り締まられることとなりました。

そのような言論の封殺に抵抗して、なお反体制知識人(異論派ともいう)は危険を冒して発言したり、地下出版(サミズダートという)で政府と体制に対する批判をつづけました。その代表的な人物が、原子物理学者のサハロフ博士、作家のソルジェニーツィンです。

アンドレイ・サハロフ氏

70年代のデタント時代には西側の文化も一部解禁されたため、人権問題や環境問題、国際平和に関する発言が出始めたのですが、80年代前半はソ連のブレジネフ政権と米国のレーガン政権との対決色が強まり、再び冷戦の緊張が戻って新冷戦という状況になりました。

一方で体制批判は厳しく取り締まられて国内監禁や国外追放などの弾圧が行われました。また反体制知識人の中には国外に亡命する人々も多くなりました。1980年代後半のゴルバチョフ政権のもとでグラスノスチペレストロイカが始まったことで自由な反体制発言が可能となり、多くの知識人が名誉を回復しました。

思想の自由のためのサハロフ賞(しそうのじゆうのためのサハロフしょう)とは、人権思想の自由を守るために献身的な活動をしてきた個人や団体をたたえる賞です。1988年12月に欧州議会が創設しました。

賞の名称はこのアンドレイ・サハロフに由来します。欧州議会の外交委員会と開発委員会が授賞候補者を選定し、毎年10月に受賞者を発表しています。2010年の時点では、副賞として50,000ユーロが贈呈されています。

初の受賞者となったのは南アフリカ共和国ネルソン・マンデラとロシア人のアナトリー・マルチェンコ英語版)でした。2011年には「アラブの春の活動家達」名義で、4カ国5名の活動家が受賞しました。サハロフ賞は個人のほかに団体にも授賞しており、1992年にはアルゼンチン5月広場の母たち英語版)に、最近では2009年にロシアの市民運動団体メモリアル英語版)が受賞しました。

サハロフ賞の授賞式は毎年12月10日に行われていますが、この日は国際連合総会で1948年に世界人権宣言が採択された日であり、世界人権デーに制定されています。

2013年、フランス・ストラスブールでのサハロフ賞授賞式。受賞者はマララ・ユスフザイ

では、今年の受賞者、トフティ氏とはどのような人なのか、以下に掲載します。

2014年に投獄される以前、トフティ氏は
中央民族大学(北京)の准教授教であり、ウイグル族と漢族との関係を扱った研究で知られる一方、新疆ウイグル自治区における中国政府の民族政策に対して厳しい批判を展開していました。

資源の豊富な同自治区にはチュルク系言語を話すウイグル族が長年にわたり居住していたのですが、過去数十年間で漢族が流入すると両者の関係は緊迫化。中国の治安部隊によるウイグル族への厳しい処遇やイスラム教の宗教行事の規制などが問題として浮上するようになりました。


                        新疆ウイグル自治区ホータンにあるショッピングモールの外で
                        警備に当たる武装警察部隊の隊員(2015年4月16日)
トフティ氏は、20年以上もの間、ウイグル族と漢族との対話と理解を促進してきました。分離主義や暴力を拒絶し、ウイグル文化の尊重を基礎とした和解を模索し続けてきました。「ウイグル・オンライン」が暴動を扇動したという疑いをかけられ、公安当局に現在も拘束されています。

トフティ氏のような穏健な声を排除することで、中国政府は自らが防ぎたいとする本物の過激主義の台頭に向けた基礎固めを行っているのが実情です。

サハロフ賞の授賞式の12月10日には、トフティ氏は授賞式に参加できないでしょう。誰か代理の人が受賞することになると考えられますが、それにしても、その異様な風景が世界に配信されることになります。劉暁波氏が、ノーベル賞受賞会場にいなかったのと同じです。

さて中国では、ウィグル人への弾圧も随分前から、問題となっていましたが、最近では香港への弾圧も過激になってきました。

しかし、万が一、共産主義中国が武力でデモ隊を鎮圧した場合には、天安門事件をはるかに上回る厄災が共産主義中国に降りかかることが予想されます。

歴史的経緯から、香港には英国のパスポートを持った人間が多数いますし、カナダ人、米国人も相当数滞在しています。彼らは白人であるとは限らない。ですむしろアジア系・東洋系の顔立ちの者が多いのではないかと推測されます。

総人口700万人のうち170万人、あるいは200万人といえば、香港の3~4人に1人は、デモに参加しているということですが、その中に二重国籍者も含めてアジア系英国人、カナダ人、米国人がどの程度含まれているのかは、見た目ではまったくわからないです。私はかなりの数が参加していると思います。

武力鎮圧の結果、それらの「外国人」に死者でも出ようものなら、それらの国々に宣戦布告をしたのも同然の困難状況に陥ることになるでしょう。

逆に、香港人たちの要求を飲めば、共産党の長老たちから習近平氏が「弱腰」と非難されるだけではなく、年間に少なくとも10万件は起こっているとされる共産主義中国各地の暴動を強権的に弾圧する大義名分も失われます。

中国がいくら豊かになっても民主化できないのは、共産主義が共産党のために存在し、民主化によってその利権を失うことを恐れているからですが、ロシアはウラジーミル・プーチン氏の独裁が続く中でも、一応普通選挙は行われています。

重要なのは、歴史的に「御恩と奉公=封建制度」という「契約に基づく社会を経験」しているかどうかということです。中国はそれを経験していません。1人が牛耳る絶対王制が基盤である社会に、いきなり民主主義を導入しても根付かないということです。

もうすぐ米国を追い抜くと驕り高ぶり、反対派を、汚職などを口実に次々と蹴落とし、アドルフ・ヒトラーを超える大虐殺者である毛沢東(大躍進と文化大革命での人為的飢饉も含む死者は、西側推計で約8000万人)政治の復活を目指してきた習近平氏は、党内に敵が多いです。

トランプ氏の仕掛けた「貿易戦争」で経済面でも大打撃を受け、天井の無いアウシュビッツと呼ばれるウイグル問題もクローズアップされる中で、習近平氏の中国は今まさに正念場を迎えています。


ただし、民主化に成功している中国が他にもう一つあります。それは、台湾です。大陸中国こそ、台湾を参考にすべきなのです。ただし、今のままの大陸中国では無理でしょう。分裂して現在の一つの省が、一つの国になるようなことでもなければ、困難かもしれません。

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2018年2月12日月曜日

【主張】台湾東部地震 今度は日本が支える番だ―【私の論評】大陸中国という癌から台湾を守れ(゚д゚)!


前日より傾斜が強まった12階建て集合住宅兼ホテル=8日午前、台湾・花蓮市
 台湾加油(頑張れ)。東部を襲った6日深夜(日本時間7日未明)の地震で、花蓮市の12階建て集合住宅兼ホテル「雲門翠堤大楼」など4棟が倒壊状態となり、多くの死傷者が出た。

 日本政府は警察庁、消防庁などからの専門家チーム7人を被災現場に派遣し、人命救助活動を支援している。

 地震発生直後に100人を超えていた安否不明者の多くは無事が確認された。しかし、現地は強い余震が続き、被災者は不安を募らせている。

 被災者の医療、生活支援、仮設住宅の建設など、今後は時間の経過とともに必要とされる人員、物資は多様化していく。被災者の立場に立った効果的な支援で台湾の人たちの力になりたい。

 東日本大震災では、台湾からの温かい支援が被災者の心の支えになった。今回の台湾東部地震では「今度は私たちが台湾の人たちを支える番だ」といった東北からの呼びかけがインターネットなどで広がった。安倍晋三首相も蔡英文総統へのお見舞いメッセージで同じ趣旨の支援の意思を伝えた。


 台湾と日本列島は一連の地震多発帯に位置する。1999年の集集地震(台湾大地震)の犠牲者は約2400人にのぼり、2年前の台湾南部地震も死者が100人を超える大災害となった。

 今回の地震で被害が大きかった4棟は、6~12階建てビルの低層階が押しつぶされ、全体が倒壊したり大きく傾いたりした。2年前の熊本地震でも同じように低層階が押しつぶされたマンションがあった。

 また、4棟はいずれも活断層の直近に建つビルだった。日本にも上町断層がある大阪市をはじめ市街地の直下を活断層が走っている都市がある。

 災害時の相互支援とともに、地震学や土木、建築の専門家レベルでも日台が緊密に連携、協力することも重要だ。地震による揺れや建物への影響、倒壊の原因などを詳しく分析し、耐震化や都市防災の取り組みに生かしたい。

 今回の地震で台湾が海外の支援を受け入れたのは日本だけだ。中国が申し出た支援は「人員、物資は足りている」と辞退した。

 大切なのは信頼関係である。政府レベルでも市民同士でも、支え合い、互いに向上していける日本と台湾の関係を大事にしたい。

【私の論評】大陸中国という癌から台湾を守れ(゚д゚)!

上の記事では、台湾も日本も一連の地震多発地帯に位置することが掲載されています。両国とも、地震による災厄にいつまきこまれるかわからないのです。両国が互いに信頼関係を構築し、これからも互いに助けあっていくべきなのは、言うまでもありません。

そうして、さらに両国には、共通の災厄があります。それは、大陸中国です。このブログにも何度か掲載してきたように、大陸中国は日本の尖閣諸島や、台湾そのものをいずれ奪取しようと虎視眈々と狙っています。

日本や台湾のような国が、大陸中国のすぐそばに位置していることは、本当に残念なことです。近くに大陸中国さえなければ、これからもずっと両国は平和と繁栄を続けることができたかもしれません。しかし、大陸中国が近くに存在するということで、将来の平和と繁栄を守るためにも、大陸中国に対峙していかなけばならないのです。

そうして、この大陸中国は、人体でいえば、癌そのものということができると思います。


人体を構成する最小の単位である、細胞にはアポトーシス(apoptosis)という現象が起こります。これは『細胞の自殺』のことで、たとえばオタマジャクシがカエルに変わるとき、尻尾がなくなって足が出てきますが、これも細胞の自殺です。尻尾の役割がなくなったので、自己犠牲の精神で自ら消滅していくのです。

つまり、より良い個体を作るため、また新しい生命を産むため、古いものは自ら死んでいくのです。子供が大人になったら、親が死んでいくように、人類を含め生命とはそういう循環の中に生きています。自分の機能が駄目になったら、新しい生命に道を譲る。資源を明け渡すわけです。

しかし、もしこのような生物的原理が狂えば、自然はすべてが狂ってしまうことでしょう。しかし、その原理に従わないものがあります。それが癌細胞です。

癌細胞が普通の細胞と大きく異なる点は、まず非常に利己的で自己中心的であるということです。癌細胞は無限増殖します。悪性が高ければ高いほど、均一性に欠けるモザイク現象を起こします。なぜなら、この細胞は『俺が、俺が』ということで他の細胞を食べる『共食い』現象を起こし、強い者が弱いものを食い尽くして崩壊させていくからです。

ところが、癌細胞は独自では生きていけず、必ず他の細胞に寄生して、その栄養素を奪い取って大きくなっていきます。やがて癌細胞に蝕まれた生体は最終的には死ぬことになり、生体を食い尽くした癌細胞も、それによって死滅するのです。

現在の中国を見ていると癌細胞とそっくりです。どの特徴も中国そのものです。

生物原理の中ではアポトーシスという『譲り合いの精神』が働いて、新しい生命が生まれます。しかし、癌細胞はこの精神をまったく持ち合わせていません。癌細胞は自己中心的です。胃の癌細胞なら、『俺は胃だ。文句あるか』と強引に肝臓に押し入っていきます。これが胃癌の肝臓転移です。

アポトーシスは人間の正常な体細胞でも日常的に見られる現象
一方、ネクローシスは「細胞他殺」と言える。
この自己中心的なところ、『俺さえ良ければそれでいい』『俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの』という性格は中国そのものです。まさに、中国は地球という生命体に巣くう癌細胞以外のなにものでもないのです。

そうして、過去のアメリカは中国に騙され、北朝鮮に対する「戦略的忍耐」という誤った戦略と同様の煮え切らない戦略をとり、大陸中国の癌を大増殖させてしまいました。我が国も「日中友好」の美名のもと、ODAや技術移転を初めとする様々な有形・無形の援助により中国癌を増殖させることに寄与してきました。

現在の喫緊の課題が北朝鮮問題であることはいうまでもありませんが、それはそれとして、私達は大陸中国のすぐ近くにある台湾の人たちの悲痛な叫び声に耳を傾けて、この忌まわしき中国という癌から地球を救わなけばならならないのです。

幸いなことに、安倍総理は総理大臣に就任する直前の2012年に国際NPO団体PROJECT SYNDICATEに英語論文『Asia’s Democratic Security Diamond』を発表しています。これに書かれた外交安全保障構想が「セキュリティダイヤモンド構想」で、安倍総理は中国封じ込め政策を提唱しています。

セキュリティダイヤモンド
この構想は、オーストラリア、インド、アメリカ合衆国ハワイの2国1地域と日本が四角形に結ぶことで中国の東シナ海、南シナ海進出を抑止することを狙いとしています。日本政府としては尖閣諸島の領有問題や中東からの石油輸出において重要なシーレーンの安全確保のため、重要な外交・安全保障政策となっています。

安倍総理は、総理大臣に就任以来、この構想に従い外交を展開してきました。そうして、この構想は着々と現実のものになりつつあります。

さらに最近、米国は台湾を重視する方向に転じました。これについては、このブログにも掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!
ランドール・シュライバー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、トランプ米大統領は12月12日、「2018会計年度 国防授権法」に署名し、同法が成立したことを掲載しました。同法が今回注目されたのは、高雄など台湾の港湾への米国海軍艦船の寄港、ならびに台湾海軍艦船の米国港湾への寄港が盛り込まれていたからです。

さらに、トランプ政権は国防総省のアジア担当の要職にランディ・シュライバー氏を任命しました。シュライバー氏は歴代政権のアジア専門ポストで活躍してきたベテラン戦略家です。共和党保守本流と位置づけられる同氏の起用によって、トランプ政権の対アジア政策は保守、現実志向へと向かうことが予測されます。

シュライバー氏は、以前から台湾への支援と、中国を抑止を主張する人物です。そのシュライバー氏を国防総省のアジア担当の要職に就けたわけですが、トランプ政権は台湾重視、中国封じ込めに一歩を踏み出したことは間違いありません。

日本のダイヤモンドセキュリティ構想、そうして米国の台湾重視、中国抑止へのスタンスの偏向という台湾への大陸中国の癌細胞の侵入は阻止しやすくなったものと見られます。

今後日米ともに、台湾に対して空母などの艦船を寄港させたり、軍隊を駐留させたりの、武器を提供したり、対中国の軍事演習などを頻繁に行うへきです。

台湾は、日本の生命線です。いや、世界の生命線です。もし、台湾が大陸中国の傘下に収まることになれば、その次は日本の尖閣、その次は沖縄という具合に大陸中国の癌細胞はとめどもなく侵入してくることになります。

そうして、それは世界各地に侵入をして、癌細胞に蝕まれた世界は最終的には死ぬことになり、生体を食い尽くした癌細胞も、それによって死滅することになりす。

そんなことは絶対に防がなければなりません。だからこそ、日米はいや、世界は台湾を守りきらなければならないのです。

【関連記事】

米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!

2018年2月11日日曜日

【写真掲載】中国紙、韓国メディアの「首都台北」の字幕に猛反発―【私の論評】大陸中国が平昌の「台湾」に神経をとがらす理由(゚д゚)!

【平昌五輪】中国紙、韓国メディアの「首都台北」の字幕に猛反発

平昌五輪の開会式で入場する台湾代表チーム=9日、平昌
 平昌冬季五輪の開会式で台湾選手団が入場行進した際、韓国の複数のテレビ局が字幕で台北を台湾の「首都」と表記したとして、中国国内で反韓の声が広がっている。

 この字幕問題は、韓国文化を研究している米国人男性が、SNS上で発信して発覚した。

 「韓国のテレビ局はチャイニーズ・タイペイ(中華台北)とアナウンスしたが、画面上のハングルの字幕は台湾としていた。ハハハ」

 投稿には韓国のテレビの画像を写した写真も添えられていた。

 国際オリンピック委員会(IOC)は、台湾が五輪などの国際競技大会に出場する際の呼称を「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」としている。「台湾は中国の一部」との立場の中国はそれにも満足せず、一方的に漢字表記を「中国台北」に変えている。

 平昌五輪への参加が「過去最多の92カ国・地域」と表記されるのは、台湾などを「国家」として数えていないことが関係している。台北を「首都」と表記することは台湾を「国家」と見なしてることになり、中国は受け入れられないというわけだ。

 中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報のニュースサイトは米国人男性の投稿に「大問題だ」と反応し、独自に調査を実施した。

 その結果、MBC、KBS1、SBSの各テレビ局がそろって、字幕で「台湾」と表記していたことを確認。「疑いではなく、確かに重大な間違いが出現していた」と騒ぎ出した。環球時報は特に、台北を「首都」と表記したMBCとKBS1の問題が非常に大きいとしている。

 環球時報は「KBS1は明らかにIOCが中華台北と呼んでいることを知っている。中華台北と呼ばなければならないことを知ってる状況で、『首都台北』と字幕を出すとは常軌を逸している」と主張している。

 環球時報のサイト掲示板には、「これは間違いではなく、故意だ。韓国人は中国を分裂させることはできない」「こんな韓国メディアに制裁を加えるべきではないか。世界中でもっとも反中なのは韓国メディアだ」「人民解放軍を台湾に駐留させさえすれば、ほかの雑音は問題ない」といった過激な書き込みが殺到している。 (五輪速報班)

【私の論評】大陸中国が平昌の「台湾」に神経をとがらす理由(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、米国の韓国文化研究者のSNS上での書き込みで、「韓国のテレビ局はチャイニーズ・タイペイ(中華台北)とアナウンスしたが、画面上のハングルの字幕は台湾としていた」とありますが、実際にはどうだったのか調べてみると、SBSの放送内容の画面で確かに「台湾」と表記している画像がみつかりました。それが下の画像です。


この画像をみると、確かに「台湾」と赤字で表記されています。株式会社SBS(エスビーエス)は、韓国のソウル首都圏を放送エリアとするテレビ・ラジオ兼営の放送局です。純粋な民間放送局「ソウル放送」として1990年に設立、2000年に現社名に変更しました。本社をソウル特別市陽川区に置いています。

次に、KBS1の画像で、これでは台北を「首都」と表記しています。これでは、「チャイニーズタイペイ」とハングル語の表記の下に確かに、ハングル語で「首都:台北」と表記があります。


韓国放送公社(韓国語: 한국방송공사, 英語: Korean Broadcasting System, KBS)は、大韓民国(韓国)の公共放送局である。略称は、2001年以降は韓国放送も併用しています。

KBS1は、ニュース・時事・教養番組中心のチャンネルです。KBS2は、ドラマ・芸能番組中心のチャンネルです。以前存在した東洋放送というTV局と統合した時にできたチャンネルです。

SBSは民法ですが、KBSは公共放送で、日本でいえばNHKのような存在です。これは、単なる間違いではなく、意図的に実施したものと考えられます。

そうして、中国はこの動きにかなり神経を尖らせているようです。なぜこのようにとがらせるかといえば、先日もこのブログに掲載したように、中国としては、尖閣を奪取するよりも、台湾を奪取するほうがより簡単であると考えていたにもかかわらず、最近米国が台湾を戦略的に重視する姿勢をみせたからです。

これに関する記事のリンクを以下に掲載します。
米国が見直す台湾の重み、東アジアの次なる火種に―【私の論評】日本は対中国で台湾と運命共同体(゚д゚)!
ランドール・シュライバー氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では米国は、ランドール・シュライバーの国防次官補にするという人事を発表しましたが、このランドール氏は台湾を戦略的に重視する人物です。これは、今後米国が台湾を重視することを示すものです。

そうして、この記事では中国としては、尖閣を奪取するよりも、台湾を奪取するほうがより簡単であると見ていた背景についても解説しました。

それについても、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、簡単にまとめると以下のような内容です。

まずは、日本の尖閣諸島は無人島であるとともに、日本の国有地にもなっています。また、日本の海上自衛隊は、海外の評価ではアジア第一であり、中国海軍を凌駕しており、独力で尖閣周辺の中国海軍等を撃退することができます。さらには、日本には同盟国の米軍が駐留しています。

これでは、大陸中国はいくら威勢の良いことを言ったり、尖閣諸島付近に公船や潜水艦を航行させてみても、実際に尖閣諸島を奪取することはなかなかできません。

一方、台湾には、大陸中国出身の人々やその子孫の人々も多く、その中には大陸中国に親和的な人々も多いです。大陸中国はそのような人々を利用して、台湾そのものを大陸中国になびくように台湾内部から誘導することも可能です。実際に勢力的にそれを行っています。

軍事的にみても、中国からみれば劣勢です。さらに、台湾には米軍は駐留していません。

これでは、中国からみてどちらが奪取しやすいと考えられるかといえば、無論台湾です。

ところが、上にも掲載したように、最近米国が台湾を重視する姿勢に転じています。米国が台湾を重視しはじめて、米国の艦船や空母などが、台湾にしばしば寄港することになれば、台湾奪取の試みはうまくいかなくなる可能性が大きくなります。

ましてや、台湾に米軍が駐留することにでもなれば、大陸中国による台湾奪取は不可能に近くなります。実際過去には、台湾にはアメリカ台湾協防司令部(1955-1979)が設置され、台湾に米軍が駐留していた時期もあります。

アメリカ台湾協防司令部(1955-1979)のバッジ

このように、大陸中国の台湾奪取への試みが後退するかもしれないまさにそのときに、韓国メディアにより「首都台北」「台湾」などの字幕が掲載されたわけですから、猛反発しているわけです。

先日このブログでは、東京五輪で、台湾の選手を「台湾」「TAIWAN」の名前で参加させよ、との運動が、台湾と日本で行われていることを掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
なぜ「台湾」での東京五輪出場にこだわるのか―【私の論評】東京五輪には過去と同じく台湾は台湾として出場すべき(゚д゚)!
台湾の国旗「青天白日満地紅旗」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では以下のように締めくくりました。
五輪の政治利用というと、顔をしかめてしまう人いるかもしれませんが、大陸中国は今から東京オリンピックを最大限に政治利用して、台湾は大陸中国に属することを最大限にアピールするものと考えられます。 
その腰を折って、東京五輪に台湾を台湾として参加してもらうようにして、開会式の旗も1964年の東京オリンピックのときのように、「青天白日満地紅旗」を用いてもらうことには大きな政治的な意義があると思います。 
これに対して大陸中国が不満を抱き、東京五輪に参加しないということにでもなれば、ますます国際的に台湾が独立国であることをアピールできます。 
是非とも、そのような方向にもっていくべきと私は思います。
もし、来る東京オリンピックで、台湾の選手らが「 青天白日満地紅旗」を掲げて開会式に入場することになれば、大陸中国の反発は凄まじいものになると思います。

しかし、そうなれば、大陸中国の海洋進出には、日米台が断固反対していることを大陸中国と全世界に鮮烈な形で示すことになります。

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