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2018年6月9日土曜日

【日本の解き方】安倍政権批判とアベノミクス批判 区別できず墓穴を掘る人たち、筋違いの議論で笑われるだけ―【私の論評】アベノミクスは高校教科書掲載の当たり前のど真ん中の金融・財政政策(゚д゚)!

【日本の解き方】安倍政権批判とアベノミクス批判 区別できず墓穴を掘る人たち、筋違いの議論で笑われるだけ

米国訪問及びG7シャルルボワ・サミット出席についての会見

安倍晋三政権を批判する人は、とかく右派も左派もアベノミクスの柱である経済成長路線や金融緩和まで否定する向きがある。その理由や問題点について考えてみたい。

 アベノミクスと一般にいわれる政策群は、(1)金融政策(2)財政政策(3)成長戦略から成り立っている。(1)はデフレ脱却まで金融緩和(2)は機動的な財政政策の運営(3)は主に規制緩和を行う。

 (1)~(3)の政策メニューは、先進国ではどこでもある政策群なので、あえて名前を入れる必要もないものだが、政治的な考慮から、アベノミクスという名称が使われている。

 実は、多くの人は、政策の中身を考えないで、ネーミングで判断してしまう傾向がある。アベノミクスとネーミングされると、「安倍政権の経済政策」となり、政権批判の人にとってはまず否定すべき対象になってしまう。

 しばしばある政治手法なのだが、実際に経済政策が効果を上げているときには、政権側からネーミングに拘り、あえてネーミングを先行させる。成果を上げている経済政策を政権のおかげであると国民に強く訴えることができるからだ。同時に、政権批判者は政権の全ての政策を否定しがちなので、良好な経済環境を否定させ、批判者の政策遂行能力について国民が疑問を持つようにもできるのだ。

 筆者は別に安倍シンパではなく、20年近く前から、金融政策は雇用政策であると主張してきた。これは世界のマクロ経済学の常識だったからで、その事実を安倍首相のほかにも、自民党や民主党(当時)の幹部に何度も説明してきた。ただし、結果的に政策として実行したのは安倍首相だけだった。

 それにも関わらず、政権批判者の中には、筆者を「御用」と呼ぶ人もいる。もし民主党政権で金融政策をまともに行い雇用の実績を伸ばしたら、当然筆者は評価したはずだから、レッテル張りは間違いだ。

 あるテレビ番組で、筆者が就業者数の推移をグラフ化して、民主党政権の時には減少しているが、安倍政権になってから反転急増していると説明したら、当時の民主党議員から、グラフが間違っているとの指摘を受けたこともある。その筋違いにテレビ視聴者から失笑も出たが、この議員は安倍批判をしたいだけだったようだ。

 最近の雇用環境が良好なのは否定できない。しかし、安倍政権批判者は、雇用の良さですら否定したり、別の要因を求めたりして、墓穴を掘っている。

 安倍政権の経済政策にも弱点がある。2014年4月の消費増税は失敗だったし、19年10月にも再び増税をやろうとしている。批判者は、良いものは良いとして、こうした政策ミスを突けばいいものを、全て否定してしまう。

 そして経済政策での批判が無理となると、今度はモリカケのような無駄なことばかりやってしまう。批判者は建設的な議論ができず、典型的な悪循環に陥ってしまっているようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】アベノミクスは高校教科書掲載の当たり前のど真ん中の金融・財政政策(゚д゚)!

私自身も、高校生のときに財政政策や金融政策のあらましを習い、財政政策の具体例や、金融政策では売りオペ、買いオペなる言葉を覚え、そのときは厨二病が抜けていなかったせいか、自分は国家レベルの金融政策や財政政策が理解でき、簡単だと思いました。

自分が、政治家や財務官僚や日銀官僚になれば、すぐにでも財政政策や金融政策を実行して、日本経済がたとえ悪くなっても、すぐに立て直すことができると思い、何やらワクワクしたのを覚えています。

高校の政治経済の教科書の表紙

そんな気持ちのままで大学に入り、大学時代は、理系だったので、経済のことなどはすつかり忘れ、社会人になってからも経済のことなどあまり考えなかったのですが、あるとき新聞の経済欄を読んでいて、本当に日本経済が全くわからなくなっている自分に気づきました。

その頃といえば、日本経済といえば、高校生のときに習った金融政策や、財政政策などとは程遠いことが話題となっていました。たとえば、「流動性の罠」とか、「構造改革」とか「生産性」とか、とにかく理解しがたいことばかりでした。


新聞を読んでも、テレビをみても、そのような話題ばかりで、自分がかつて高校時代に習った、もっと単純て明快なものとは似ても似つかないものになりました。とにかく、新聞で経済欄を読めば読むほど、テレビで経済の論議を聴けば聴くほど、本当に経済がわからなくなるという状態が続きました。自分は所詮経済が専門ではないので、わからないのは仕方ないことなのかもしれないと諦めていました。

高校時代にまともに政治経済を勉強した人なら、誰でも私と同じような思いを抱いたのでないでしょうか。私の場合は、政治経済で大学受験をしたので、比較的まともに勉強したと思います。

そうこうするうちに、最初は財政政策について述べる評論家などがでてきて、なんとなく納得はできるものの、それでもなにやら消化不良をおこしたような感覚がしたのを覚えています。今から考えると、彼らは、金融政策のことは何もいわず、財政政策のみで経済を立て直せると主張していました。

そうこうしているうちに、いわゆる金融政策を語る評論家などがでてきて、それを聴いていると財政政策だけよりは理解しやすいものの、それでも何やら少し消化不良気味でした。

そうして、あるとき、高橋洋一氏など、金融政策と財政政策の両方ですみやかにデフレ状況から脱却すべきという主張をする人たちが出てきて、というよりは、たまたま目にともり、それらの人たちを「リフレ派」と呼ばれていることがわかりました。

そうして、この「リフレ派」という人たちの主張こそ、私が高校生のときに初めて財政政策と金融政策を習ったときの当たり前のど真ん中の主張をしていました。

そうこうするうちに、安倍晋三氏がこの当たり前のど真ん中の主張をはじめ、2012 年の選挙に勝利し当たり前のど真ん中の政策をはじめました。すると、反アベノミクスの人々が、すぐに猛反対をしました。しかし、それらの批判はほとんど杞憂というものばかりでした。

ところが、なぜが2014年には8%増税という、当たり前のど真ん中とは反対の政策をはじめたら、経済が落ちた込みました。しかし、金融政策は当たり前のど真ん中の政策を実行したので、雇用に関しては良い状況が続き、今春の大卒の就職率は最高水準になりました。

安倍総理であろうと、なかろうと、政府が高校の政治経済で習った通りの、景気が悪ければ、金融緩和策と積極財政、景気が良ければ、金融引締めと緊縮財政をすれば良いだけの話なのです。無論どの程度の金融緩和と積極財政をするべきかという計量的なことをいえば、高校の政治経済レベルの話ではなくなります。

しかし、大まかに景気が良いとき、悪いときにはどのような金融政策、財政政策をすればよいのかということは、高校の政治経済レベルで十分に判断がつきます。さらに、デフレのとき、インフレのときということになれば、どのような経済対策をすれば良いのかは、高校レベルの政治経済の知識があれば、十分すぎるほどです。

自民党内にもアベノミクスという名の当たり前の
ど真ん中の金融・財政政策に異議を唱える人が・・・・

こんな簡単な高校の教科書に掲載されているような当たり前のど真ん中の政策すら、いったんアベノミクスというレッテルが貼られてしまうと、反対する人もいるというのは残念なことです。

経済に関しては、日本も高校の政治経済で教えられる、金融政策、財政政策が当たり前のど真ん中という当たり前の世の中にはやくなっていただきたいものです。

それにしても、高校の政治経済の教科書に出ているレベルの財政政策や、金融政策について理解しない、あるいは理解できない、政治家やマスコミなど一体どうなっているのかと、本当に不思議でしょうがありません。

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2018年3月15日木曜日

米、中国に貿易黒字1000億ドル削減要求=ホワイトハウス―【私の論評】米国の中国非難は理解できるが、同盟国まで非難するのは筋違い(゚д゚)!


トランプ大統領

米ホワイトハウスの報道官は14日、トランプ政権が中国に対し対米貿易黒字を1000億ドル削減するよう求めていることを明らかにした。

トランプ大統領が中国に米国との貿易不均衡を10億ドル是正するよう要請したとツイッターに先週投稿したことについて、報道官は「10億ドル」は「1000億ドル」の誤りだったと述べた。

ただ同報道官は、貿易黒字削減に向け米政府が中国に求める具体的な方法については言及せず、中国に対し大豆や航空機などの米製品の輸入を増やすことを求めるのか、国営企業への政府助成の削減や鉄鋼とアルミニウムの生産能力削減などを求めるのかについては明らかにしなかった。

中国は米企業が中国市場へのアクセスを得るためには中国の合弁相手への技術移転が事実上必要となる投資政策を導入しているが、これに対し米国では不満の声が上がっている。米政府が中国に求める貿易黒字の削減がこうした問題への対処となるかは現時点では不明。

中国との貿易を巡っては、トランプ政権が中国からの輸入品のうち最大600億ドルに相当する製品に関税を課すことを計画していることが前日、関係筋の話で明らかになっている。

中国国営紙の環球時報は、15日付の論説記事で「貿易赤字を削減したいなら外国に変化を求めるのではなく、米国人をより勤勉にし、国際市場の需要に沿った改革を実行する必要がある」とし、貿易戦争がいったん始まれば、妥協は選択肢にないと主張した。

【私の論評】トランプ大統領の中国非難は理解できるが、同盟国まで非難するのは筋違い(゚д゚)!

トランプ大統領が、中国に対して対米貿易黒字を1000億ドル削減するよう求めていることについては、私もある程度妥当であると考えます。

1000億ドル自体が、妥当なものかどうかは、正直なところわかりませんが、中国による米国への輸出に関しては、自由貿易という観点からは、非常に不公正なところがあり、それが結果として米国の労働者の雇用を奪うなどのことに結びついている側面があるのは確かであると考えられるからです。

習近平とトランプ

ただし、対米貿易黒字だからといってそれ自体を問題にするような考えかたは、間違いです。そうして、これは経済学上の常識です。

統一通貨を用いている、ユーロ圏では日本のように一国の独断では、通貨や国債発行はできません。さらに、同じユーロ圏同士の国々では、為替レートも関係ないので各国間の貿易の格差は拡大します。そのため、ユーロ圏内では特に「輸出額=輸入額」ということが必要になります。

しかし、米国、日本、中国のような国民経済では、自国の意思で自国通貨を擦り増しや、国債発行が自由にできるので、そのような必要性はありません。本来、貿易黒字がどうの赤字がどうのと騒ぐ必要性など全くないです。

実際、経済が成長していると、輸入が増えて、貿易赤字は増える傾向にあります。この場合、貿易赤字が単純に悪いとはいえません。貿易赤字に関しては、あくまで中身を検討した上で良い悪いを判断すべきなのです。

トランプ政権の過去の1年では、経済成長をしつつ貿易赤字が減らなかったということですから、これはほとんど問題などありません。だから、貿易赤字など問題にすること自体が間違いです。

ただし、中国と米国を比較した場合、米国は中国と比較すれば、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がはるかに進んでいます。これらが、進んでいない中国では、労働者を不当に悪い条件や、低賃金で働かせたり、政府の都合で経済に直接介入したり、法律を変えたり、新たな規制をもうけたりすることを無制限にすることができます。

さらには、知的財産権の保護なども全く不十分です。そうなると、中国と米国の間では、そもそも自由貿易など成り立ちません。



米国が抜けたため、日本が主導するTPP11は、参加予定国が新協定に署名し、19年に発効することとなりました。このTPPには、最初から中国は参加していません。無論、中国もそれを希望していませんでしたし、TPP参加予定国も特に中国の参加を希望もしていませんでした。

なぜかといえば、中国がTPP参加国として、自由貿易をするためには、抜本的な構造改革をして、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめなければならないことになり、現在の中国の体制では困難だからです。

韓国も、TPPには参加していなかったものの、TPP11には参加の意向があったようではありますが、結局参加しないまま、TPP11は19年に発効の運びとなりました。

これは、韓国は最初は米国とのFTAを進めていたということもありますが、やはり、韓国も平昌五輪の女子カーリング日本チームが休憩のときに食べていた苺に象徴されるように、知的財産権の権利の保護に対して意識が希薄なところがあったり、中国ほどではないにしても、やはり民主化、政治と経済の分離、法治国家化が遅れているところがあり、TPPの目指す自由貿易にはなじまないところがあるからです。

韓国の苺は元々は日本の苺の種苗を盗んだものだった

以上のようなことから、トランプ大統領が中国の貿易黒字に対して、非難して、米国が被ってきた損失を補填するように迫るということはある程度理解できます。

しかし、トランプ大統領は驚いたことに、14日、中西部ミズーリ州で開かれた地元選挙の資金調達会合で、日韓を含む同盟国が何十年にもわたって米国の雇用を奪ってきたと非難し「同盟国は自国のことを気にして、米国のことはどうでもいいと思っている」とこき下ろしました。

韓国との貿易が米国に有利にならなければ、在韓米軍に何が起きるか「様子を見よう」と述べ、撤収もあり得るとの考えを示唆しました。また、日本の自動車市場は閉鎖的だと主張しました。同紙は、トランプ氏によるこれまでで最も保護主義的な発言の一つだと報じました。

トランプ氏は、カナダのトルドー首相に対し、両国の貿易収支に関して事実に反し「米国は赤字を被っている」と伝えたと自慢げに語った。米通商代表部(USTR)は米国の対カナダ貿易は黒字だとしています。

以上で述べたように、そもそも貿易赤字を会社の決算の赤字のように捉えるのは全くの間違いですし、TPPのような自由貿易協定に入ることができない程、国内の整備が遅れている中国が非難されることはわかります。

しかし、カナダや他の同盟国にまで、非難の矛先を向けるのは筋違いです。韓国も遅れたところは、ありますが、それでも中国よりは、はるかに整備されています。

単純に貿易赤字だからといって、それを非難して、挙句の果てに関税でもかけるようなれば、今度は米国国民が、本来自由貿易の結果得られるメリットを得られないようなことになり、不利益を被ることになります。

トランプ大統領は同盟国を貿易赤字で非難することは、やめるべきです。米国が同盟国に対して関税障壁を設けたりすれば、同盟国側も黙ってはいないでしょう。米国に対して報復関税をかけることにもなりかねません。そうなれば、世界の自由貿易が阻害されることになります。

さて、中国についてですが、1980年代の日米貿易摩擦と違って、米中は同盟国ではなく敵対国であり、相容れない政治体制でもあるので、日米構造協議のような解決は無理でしょう。

どのみち中国経済は無理がたたっているので、今後緩やかに下落していくでしょう。また習近平が 国家主席の任期を撤廃して長期政権が可能になりましたが、これこそ『中国の終わり』の始まりです。

中国がいつまでも、構造改革をしないというのなら、米国は中国に対して貿易障壁を設けるようなことにでもなるかもしれません。そうなれば、他国も同様のことをすることでしょう。そうなると、中国はますます経済が低迷することになります。

習近平の独裁は、以前もこのブログでも述べたように、10年ももたないと思います。これから20年位かけて中国は衰退し分裂していくことになるでしょう。

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2017年7月29日土曜日

【日本の解き方】加計問題で「悪魔の証明」求めるメディア 筋違いの首相会食批判も懲りずに「1月20日問題」追及―【私の論評】学校でのイジメを助長する愚鈍な政治家とマスコミども(゚д゚)!


国会で「悪魔の証明」を強要され答弁する安倍総理
加計学園問題をめぐっては、文科省の挙証責任が焦点になった。一方、一部メディアでは安倍晋三首相側について「疑惑を否定する証拠がみつからなかった」とも報じられている。

報道では「加計疑惑、証拠なき否定」という見出しもあったが、これはいわゆる「悪魔の証明」である。つまり、ないことの証明は困難であるので、法のことわざとして「否定する者には、挙証責任はない」がある。

加計学園問題では、一部メディアが、安倍首相と加計学園理事長との個人的な関係を根拠として「総理の意向」が働いたはずだと主張した。この場合、証拠を提示する挙証責任は、「意向」の存在を主張するメディア側にあり、否定する側に証拠を求めてはいけない。

本コラムでは再三、文科省内メモには証拠能力がないことや、文科省と内閣府で合意済みで証拠能力があり、公表もされている特区会議議事録からみれば、文科省メモや前川喜平・前文科事務次官の発言は誤りが多いことを指摘した。

その後、当事者である特区会議委員の記者会見や加戸守行・前愛媛県知事の国会証言、京都産業大学や京都府知事の記者会見、獣医師会会長の発言などで、筆者の言ってきたことがおおむね正しかったことが分かっていただけたと思う。

24日の国会閉会中審査における小野寺五典議員の質問は、これまでの事実の積み重ねを質問して、よく整理されたものだった。つまり、安倍首相が加計学園理事長と個人的な関係があっても、それで行政がゆがめられたことはないと証明しているといえる。



本来の議論であれば、こうした「ないこと」の証明を行うのは困難である。「否定する者には、挙証責任はない」のだから、追及する側が「行政がゆがめられた」ことを証明するのが本来の議論である。筆者は、国会においても、こうした議論を筋道立てて堂々と主張すればいいと思っている。

しかし、一部メディアは、安倍首相が加計学園理事長と何回食事したとかを指摘し、あとは依頼があったはずという推論だけで、「行政がゆがめられたはずだ」という論法だけである。そして、それに関する説明がなされていないと主張し、「行政がゆがめられていない」ことの挙証責任を、否定する者に求めてしまっている。

さらに、この食事について、利害関係者との会食などを規制している大臣規範との関係を問題視するメディアも出てきている。今回の特区では申請が可能になるだけで認可は別である。この程度のことで、大臣規範でいうところの関係者になるかどうか。

いずれにしても、閉会中審査では、挙証責任がひっくり返ってしまったが、政府側の説明は「ないこと」を証明した。だから冒頭の一部メディアの報道になった。

ただ、これで終わりではない。安倍首相の「(加計学園の獣医学部新設計画の申請を)今年1月20日まで知らなかった」という発言で、再び「ないこと」の証明を求められているからだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】学校でのイジメを助長する愚鈍な政治家とマスコミども(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が主張するように、悪魔の証明は不可能です。あの「悪魔の証明」当たり前のことであるように受け取られているむきもありますが、知らない人も大勢いると思います。そのため、まず本日は「悪魔の証明」について掲載します。

まずは、下に簡単なチャートを掲載します。

「存在すること」の証明はできても「存在しないこと」の証明は大変難しいのです。

「悪魔が存在する」ことを証明したい場合は、悪魔を連れてくることで証明はできます。

もちろん、悪魔を連れてくることは、できないかもしれませんが、もし、悪魔を連れてくることができれば、存在の証明はできます。

「悪魔を連れてくる」この1点で証明することができます。

しかし、「悪魔が存在しないこと」を証明するということは、「私の部屋」に悪魔がいないだけでなく、「あなたの部屋」にも悪魔がいない、「日本全体」「世界全体」などなど・

全てにおいて、証明しなくてはいけません。そのようなことは、ほぼ不可能です。ですから「存在しないこと」「事象がないこと」を証明することは大変難しいのです。

そのため「ないことを証明して下さい」と、相手に言ってしまうことに注意しましょう。また「ないことを証明して下さい」と相手から言われた場合には、「悪魔の証明だな」と気付きましょう!

そして「ないことを証明できなかった」としても無論、相手側が正しいとは限らないということを覚えておきましょう。

加計問題で国会で質問を受け答える安倍総理
加計問題でいえば、総理が自分の権限を利用して、加計学園に獣医学部を設立することを働きかけたかどうかが争点になっています。

これに対して、総理は「働きかけなどなかったこと」を証明しなけばならないような立場に追い込まれているわけですが、これは不可能ということです。

しかし「働きかけがなかったことを」証明できないということは、無論のこと働きかけをしなかったことの証明にはならないわけです。

この問題に終止符を打つには、野党やマスコミが「働きかけがあった」ことを立証するか、いずれ追求をやめるしかないわけです。追求をやめてしまっては、疑いが晴れないなどとする人もいるかもしれませんが、それは仕方ないでしょう。

疑わしきは罰せずというのが、こういう場合の鉄則ですから。疑わしいだけで、人を罰していては、それこそ、北朝鮮や中国のようになってしまい、とても民主的とはいえません。

しかし、森友問題も加問題も、結局今までのところは、野党もマスコミ「安倍総理が働きかけをした」ということが信じるに足るような証拠を提出するには至っていません。

すべては、間接的なものにすぎません。どれ一つとっても、まともな証拠はありません。すべて「ひよっとしたら」という程度の状況証拠ばかりです。公文書かどうかも疑わしい資料に関しては、「ひよっとしたらあったかもしれない」という記載などの記録もあるようですが、このブログでも以前から掲載しているように、戦略特区にかかわる議事録や閣議決定の内容などのはっきりと公文書としてわかるものからは、首相が関与したと疑われるような内容はありません。

さらに、こうした議事録などから浮かびあがるのは、文科省は、挙証責任を果たさなかったどころか、果たせなかったことがはっきりわかるだけです。

これからも、マスコミや野党が、追求を続けてもなお、明確な証拠を提供できない場合はとんでもないことになるかもしれません。

これに関しては最近おもしろいことが私の身の回りにも起こっています。私は、近所の70歳以上の年寄り連中とも結構つきあいがあります。そうして、こうした年寄りのほとんどが、情報源はテレビや新聞です。私が時折「iPad」を見ていると、「何それテレビ?」と質問するような人がほとんどです。「いえテレビではありません。iPadです」と否定しても、良く理解しない人がほとんどです。携帯電話を持たない人もいますし、持っていたとしても、ガラケーがほとんどで、そのガラケーでインターネット検索する人もいないようです。

多くのお年寄りたちが、最初は加計・森友問題に関するテレビ報道を熱心に視聴していたのですが、最近では、ほとんど見なくなっています。

ペタンクを楽しむお年寄りと子どもたち
その理由を聴いてみると圧倒的に多いのは、「飽きた」という答えです。それはそうです。テレビもマスコミも、すぐにも安倍総理辞任にでも追い込めるような勢いで、国会で質問したり、報道していたのに、森友問題でも、加計問題でも、未だに総理どころか、誰も辞任に追い込めてなどいません。

国会での追求でも客観的な証拠など何も出てきません。これでは、それを客観的な資料に違いないと思った人たちでも、国会の答弁も、のらりくらりしたものに見えて、最初は興味を持ってもいいかげん飽きてくるのも無理はありません。

それに情報源がテレビや新聞だけのお年寄りで加計問題の「総理の関与」を信じ込んでいた人も、良心的な人は、そろそろ「悪魔の証明」に気づきつつあるかもしれません。

これは、良く考えみると、当然といえば当然です。たとえば、学校で子どもが、お金を盗んだと疑われたとします。この場合、その子が本当に盗んでいなければ、それを証明するのは困難です。にもかかわらず、これがイジメの原因になったりすることもあります。一方的な非難に対して、そのような不条理に誰も気づかないということはあり得ません。

日本では、摩訶不思議な風潮があって、学校と一般社会は、全く違うものという観念があります。それがイジメを助長しているところがあります。

これは、外国と比較すると良く理解できます。私は以前、試みに知り合いのドイツ人に英語で「ドイツの学校でもいじめ(Bullying)ってあるんですか?」と聞いてみたことがあります。するとそのドイツ人は、「いじめとは何ですか」と逆に質問してきました。型通り説明したあとで、具体例に入ったとき、ドイツの実体がよくわかりました。

具体例として、「たとえば、なぐったり…」と言うと、そのドイツ人は即座に、「それは犯罪です」と答えました。その後も、「ものをとったり隠したり…」「それは犯罪です」。「集団で圧力を…」「不当ならば犯罪です」というやり取りが続きました。このように、彼の口からは、即座に犯罪という言葉がでてきました。これは、他のドイツ人女性から聴いても同じような答えがかえってきました。

そうです。少なくともそのドイツ人らは、学校は一般社会とは異なる空間とは捉えていません。しかし、日本では何やら、学校を一般社会とは異なる特殊空間でもあるがごとくのように考えてしまうところがあります。

この違いに気づいて、ドイツの内情を調べてこのブログの記事にしたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドイツの教師 校外で煙草吸う生徒目撃しても注意しない理由―【私の論評】何でも学校の管轄とするのはあまりにも無責任!!学校は治外法権ではなく、責任ある社会人の子供が行くところと心得よ!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要旨を簡単にまとめて掲載します。

ドイツでは、たとえば高校教師が、自分の教える生徒が校外で、タバコを吸っているのを目撃したとしても、注意する義務はありません。無論学校では、生徒がタバコを吸えば、教師がそれを見過ごせば問題になります。家庭での躾と、学校での躾や教育はしっかりと分離されているのです。

それと、これは、日本とのかなりの違いですが、ドイツで「問題行為」(授業中に騒ぐなどの行為。髪の毛を染めるような身だしなみや学校外で起こした問題ではない。はっきりいえば、犯罪行為につながりかねない行為)を起こした生徒には、まず「口頭」で注意されます。その「注意」が3回たまると、校長から生徒の家に「問題行動を起こしたことへの注意」が書面で送られます。そしてこの書面が3通たまったら自動的に退学になります。

ドイツでは、学校も一般社会の中の1機関に過ぎないという考えなのだと思います。いわゆる日本でいう酷いイジメ=犯罪という考えなのです。しかし、考えてみれば、これは当たり前です。学校だけが治外法権などということはあり得ません。

ドイツでは日本ではイジメとされるような事柄でも、学校内で明らかに犯罪が発生すれば、それを犯罪とみなし、すぐに一般社会と同じように警察が関与するのです。

一方、校外で生徒が犯罪を犯せば、それは学校の関与するところではなく、犯罪を犯した生徒は、一般社会で犯罪犯した未成年と同じ扱いを受けるのが当然という考え方なのです。

生徒の行動の責任に関して学校と、家庭とがはっきり分離されているので、校外で子どもが犯罪を犯したとすれば、それは学校とは無関係で、家庭の責任であるということです。だからこそ、イジメが発生する可能性が日本と比較して格段に低いのだと思います。

日本でいうイジメのほとんどは犯罪である
しかし、日本では何かといえば、生徒が犯罪を犯すと、学校外でも学校に責任があるような扱いをされます。これは、やはり、日本では、学校内は、治外法権であるとか、特別な空間であるとの意識が社会にあるからだと思います。このような風潮では、学校でのイジメの隠蔽を助長しているようなものです。

しかし、学校も社会の1組織であり、学校だけが治外法権などということはありません。イジメのほとんどは本当は犯罪なのです。犯罪は犯罪であり、これはそれが発生したのが、学校であろうがなかろうが、同じ手続きで処分されるべきなのです。それを、しないから、イジメが助長されているのです。

そうして、日本では、学校が特殊空間であるのと同じように、他にも摩訶不思議なことがまかり通っています。それは、与党政権に対しては、一般社会では許されないことを野党や、マスコミや、識者がしたとしても、当然であるというような風潮です。

今回の加計問題など、その典型です。「悪魔の証明」ができないからということで、野党・マスコミ・識者などが、一丸となって、未だに政府や、安倍総理個人を攻撃しています。このようなことが、政治の世界ではなく、民間企業や他の組織で起これば、明らかに「パワハラ」とか犯罪とみなされます。

この問題、このまま放置しておき、さしたる物証もないままに、攻撃が今後も継続するということでは、民主主義の崩壊にもつながりかねません。そうして、政治家、マスコミ、識者などがこのような「悪魔の証明を強いる」ような馬鹿真似をしているのですから、学校でイジメがなくならないわけです。

しかし、ここにきてこの問題に関して、動きが出てきました。それは、先にも述べように、この問題に関しての議論にお年寄りですら、「飽きてきた」という状況にあることと、もう一つは保守層の動きです。それに関しては、ケント・ギルバート氏の記事のリンクを以下に掲載します。
加計問題、一部メディア「大本営発表」の正体 嘘も100回繰り返されれば真実となる
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 以下に一部のみ引用します。
 加戸守行(かと・もりゆき)前愛媛県知事は25日、参院予算委員会の閉会中審査で、文科省の後輩である前川喜平前次官の主張について、「精神構造を疑う」「想像がすべて事実であるかのごとく発言をしている。それが国民をそういう方向に持っていくことになると危惧している。そのリスクを冒してまで作り話をしなければならない彼の心情が理解できない」と、痛烈に批判した。 
 自民党の青山繁晴参院議員は「『加計ありき』という言葉は、前川さんの胸の中で『加計ありき』だ。一般的には思い込みと言わざるを得ない」と断じた。 
 ここまで「意見が対立した問題」なのに、ニュースやワイドショーは多角的に報じない。私たち「放送法遵守を求める視聴者の会」は近く、「加計問題」報道の衝撃的な調査結果を発表する。
「加計問題」報道の衝撃的な調査結果とは、どの程度のものかわかりませんが、その衝撃の度合いによっては、野党やマスコミ、識者なども今のままではすまないかもしれません。

ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問がロシア疑惑で連邦議会の調査を受けているという記事を米CNNが撤回した問題で、CNNは26日、関わった記者3人の辞職を発表しました。

CNNは社内調査の末、22日付の問題の記事を24日に撤回し、アンソニー・スカラムーチ上級顧問に謝罪しました。スカラムーチ氏は、ロシア人投資家との関係について議会の調査を受けているとの報道を否定し、CNNがトランプ大統領の交友関係を攻撃していると非難していました。

CNNを辞職したのは、記事を担当したトマス・フランク記者、調査報道部門編集者でピュリツァー賞受賞経験もあるエリック・リクトブラウ氏、調査報道部門の責任者のレックス・ハリス氏です。いずれも、幹部社員です。

今後時間が経過するにつれて、このような動きが他にも出て来ると思います。加計問題追求に関わった人々の発言や資料の中に、明らかにフエイクであると証明されるような、ものがみつかれば、野党やマスコミなどでクビが飛ぶ人もでてくるかもしれません。

民進党も、第二のメール事件のようなことにならないとも限りません。

とにかく今回の「悪魔の証明」を強いるようなやり方を放置しておけば、学校でのイジメをさらに、加速してしまうことになりかねません。このような社会を放置しておけば、日本も韓国や中国のような遅れた社会に成り下がってしまうかもしれません。

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