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2017年7月29日土曜日

【日本の解き方】加計問題で「悪魔の証明」求めるメディア 筋違いの首相会食批判も懲りずに「1月20日問題」追及―【私の論評】学校でのイジメを助長する愚鈍な政治家とマスコミども(゚д゚)!


国会で「悪魔の証明」を強要され答弁する安倍総理
加計学園問題をめぐっては、文科省の挙証責任が焦点になった。一方、一部メディアでは安倍晋三首相側について「疑惑を否定する証拠がみつからなかった」とも報じられている。

報道では「加計疑惑、証拠なき否定」という見出しもあったが、これはいわゆる「悪魔の証明」である。つまり、ないことの証明は困難であるので、法のことわざとして「否定する者には、挙証責任はない」がある。

加計学園問題では、一部メディアが、安倍首相と加計学園理事長との個人的な関係を根拠として「総理の意向」が働いたはずだと主張した。この場合、証拠を提示する挙証責任は、「意向」の存在を主張するメディア側にあり、否定する側に証拠を求めてはいけない。

本コラムでは再三、文科省内メモには証拠能力がないことや、文科省と内閣府で合意済みで証拠能力があり、公表もされている特区会議議事録からみれば、文科省メモや前川喜平・前文科事務次官の発言は誤りが多いことを指摘した。

その後、当事者である特区会議委員の記者会見や加戸守行・前愛媛県知事の国会証言、京都産業大学や京都府知事の記者会見、獣医師会会長の発言などで、筆者の言ってきたことがおおむね正しかったことが分かっていただけたと思う。

24日の国会閉会中審査における小野寺五典議員の質問は、これまでの事実の積み重ねを質問して、よく整理されたものだった。つまり、安倍首相が加計学園理事長と個人的な関係があっても、それで行政がゆがめられたことはないと証明しているといえる。



本来の議論であれば、こうした「ないこと」の証明を行うのは困難である。「否定する者には、挙証責任はない」のだから、追及する側が「行政がゆがめられた」ことを証明するのが本来の議論である。筆者は、国会においても、こうした議論を筋道立てて堂々と主張すればいいと思っている。

しかし、一部メディアは、安倍首相が加計学園理事長と何回食事したとかを指摘し、あとは依頼があったはずという推論だけで、「行政がゆがめられたはずだ」という論法だけである。そして、それに関する説明がなされていないと主張し、「行政がゆがめられていない」ことの挙証責任を、否定する者に求めてしまっている。

さらに、この食事について、利害関係者との会食などを規制している大臣規範との関係を問題視するメディアも出てきている。今回の特区では申請が可能になるだけで認可は別である。この程度のことで、大臣規範でいうところの関係者になるかどうか。

いずれにしても、閉会中審査では、挙証責任がひっくり返ってしまったが、政府側の説明は「ないこと」を証明した。だから冒頭の一部メディアの報道になった。

ただ、これで終わりではない。安倍首相の「(加計学園の獣医学部新設計画の申請を)今年1月20日まで知らなかった」という発言で、再び「ないこと」の証明を求められているからだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】学校でのイジメを助長する愚鈍な政治家とマスコミども(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が主張するように、悪魔の証明は不可能です。あの「悪魔の証明」当たり前のことであるように受け取られているむきもありますが、知らない人も大勢いると思います。そのため、まず本日は「悪魔の証明」について掲載します。

まずは、下に簡単なチャートを掲載します。

「存在すること」の証明はできても「存在しないこと」の証明は大変難しいのです。

「悪魔が存在する」ことを証明したい場合は、悪魔を連れてくることで証明はできます。

もちろん、悪魔を連れてくることは、できないかもしれませんが、もし、悪魔を連れてくることができれば、存在の証明はできます。

「悪魔を連れてくる」この1点で証明することができます。

しかし、「悪魔が存在しないこと」を証明するということは、「私の部屋」に悪魔がいないだけでなく、「あなたの部屋」にも悪魔がいない、「日本全体」「世界全体」などなど・

全てにおいて、証明しなくてはいけません。そのようなことは、ほぼ不可能です。ですから「存在しないこと」「事象がないこと」を証明することは大変難しいのです。

そのため「ないことを証明して下さい」と、相手に言ってしまうことに注意しましょう。また「ないことを証明して下さい」と相手から言われた場合には、「悪魔の証明だな」と気付きましょう!

そして「ないことを証明できなかった」としても無論、相手側が正しいとは限らないということを覚えておきましょう。

加計問題で国会で質問を受け答える安倍総理
加計問題でいえば、総理が自分の権限を利用して、加計学園に獣医学部を設立することを働きかけたかどうかが争点になっています。

これに対して、総理は「働きかけなどなかったこと」を証明しなけばならないような立場に追い込まれているわけですが、これは不可能ということです。

しかし「働きかけがなかったことを」証明できないということは、無論のこと働きかけをしなかったことの証明にはならないわけです。

この問題に終止符を打つには、野党やマスコミが「働きかけがあった」ことを立証するか、いずれ追求をやめるしかないわけです。追求をやめてしまっては、疑いが晴れないなどとする人もいるかもしれませんが、それは仕方ないでしょう。

疑わしきは罰せずというのが、こういう場合の鉄則ですから。疑わしいだけで、人を罰していては、それこそ、北朝鮮や中国のようになってしまい、とても民主的とはいえません。

しかし、森友問題も加問題も、結局今までのところは、野党もマスコミ「安倍総理が働きかけをした」ということが信じるに足るような証拠を提出するには至っていません。

すべては、間接的なものにすぎません。どれ一つとっても、まともな証拠はありません。すべて「ひよっとしたら」という程度の状況証拠ばかりです。公文書かどうかも疑わしい資料に関しては、「ひよっとしたらあったかもしれない」という記載などの記録もあるようですが、このブログでも以前から掲載しているように、戦略特区にかかわる議事録や閣議決定の内容などのはっきりと公文書としてわかるものからは、首相が関与したと疑われるような内容はありません。

さらに、こうした議事録などから浮かびあがるのは、文科省は、挙証責任を果たさなかったどころか、果たせなかったことがはっきりわかるだけです。

これからも、マスコミや野党が、追求を続けてもなお、明確な証拠を提供できない場合はとんでもないことになるかもしれません。

これに関しては最近おもしろいことが私の身の回りにも起こっています。私は、近所の70歳以上の年寄り連中とも結構つきあいがあります。そうして、こうした年寄りのほとんどが、情報源はテレビや新聞です。私が時折「iPad」を見ていると、「何それテレビ?」と質問するような人がほとんどです。「いえテレビではありません。iPadです」と否定しても、良く理解しない人がほとんどです。携帯電話を持たない人もいますし、持っていたとしても、ガラケーがほとんどで、そのガラケーでインターネット検索する人もいないようです。

多くのお年寄りたちが、最初は加計・森友問題に関するテレビ報道を熱心に視聴していたのですが、最近では、ほとんど見なくなっています。

ペタンクを楽しむお年寄りと子どもたち
その理由を聴いてみると圧倒的に多いのは、「飽きた」という答えです。それはそうです。テレビもマスコミも、すぐにも安倍総理辞任にでも追い込めるような勢いで、国会で質問したり、報道していたのに、森友問題でも、加計問題でも、未だに総理どころか、誰も辞任に追い込めてなどいません。

国会での追求でも客観的な証拠など何も出てきません。これでは、それを客観的な資料に違いないと思った人たちでも、国会の答弁も、のらりくらりしたものに見えて、最初は興味を持ってもいいかげん飽きてくるのも無理はありません。

それに情報源がテレビや新聞だけのお年寄りで加計問題の「総理の関与」を信じ込んでいた人も、良心的な人は、そろそろ「悪魔の証明」に気づきつつあるかもしれません。

これは、良く考えみると、当然といえば当然です。たとえば、学校で子どもが、お金を盗んだと疑われたとします。この場合、その子が本当に盗んでいなければ、それを証明するのは困難です。にもかかわらず、これがイジメの原因になったりすることもあります。一方的な非難に対して、そのような不条理に誰も気づかないということはあり得ません。

日本では、摩訶不思議な風潮があって、学校と一般社会は、全く違うものという観念があります。それがイジメを助長しているところがあります。

これは、外国と比較すると良く理解できます。私は以前、試みに知り合いのドイツ人に英語で「ドイツの学校でもいじめ(Bullying)ってあるんですか?」と聞いてみたことがあります。するとそのドイツ人は、「いじめとは何ですか」と逆に質問してきました。型通り説明したあとで、具体例に入ったとき、ドイツの実体がよくわかりました。

具体例として、「たとえば、なぐったり…」と言うと、そのドイツ人は即座に、「それは犯罪です」と答えました。その後も、「ものをとったり隠したり…」「それは犯罪です」。「集団で圧力を…」「不当ならば犯罪です」というやり取りが続きました。このように、彼の口からは、即座に犯罪という言葉がでてきました。これは、他のドイツ人女性から聴いても同じような答えがかえってきました。

そうです。少なくともそのドイツ人らは、学校は一般社会とは異なる空間とは捉えていません。しかし、日本では何やら、学校を一般社会とは異なる特殊空間でもあるがごとくのように考えてしまうところがあります。

この違いに気づいて、ドイツの内情を調べてこのブログの記事にしたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドイツの教師 校外で煙草吸う生徒目撃しても注意しない理由―【私の論評】何でも学校の管轄とするのはあまりにも無責任!!学校は治外法権ではなく、責任ある社会人の子供が行くところと心得よ!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要旨を簡単にまとめて掲載します。

ドイツでは、たとえば高校教師が、自分の教える生徒が校外で、タバコを吸っているのを目撃したとしても、注意する義務はありません。無論学校では、生徒がタバコを吸えば、教師がそれを見過ごせば問題になります。家庭での躾と、学校での躾や教育はしっかりと分離されているのです。

それと、これは、日本とのかなりの違いですが、ドイツで「問題行為」(授業中に騒ぐなどの行為。髪の毛を染めるような身だしなみや学校外で起こした問題ではない。はっきりいえば、犯罪行為につながりかねない行為)を起こした生徒には、まず「口頭」で注意されます。その「注意」が3回たまると、校長から生徒の家に「問題行動を起こしたことへの注意」が書面で送られます。そしてこの書面が3通たまったら自動的に退学になります。

ドイツでは、学校も一般社会の中の1機関に過ぎないという考えなのだと思います。いわゆる日本でいう酷いイジメ=犯罪という考えなのです。しかし、考えてみれば、これは当たり前です。学校だけが治外法権などということはあり得ません。

ドイツでは日本ではイジメとされるような事柄でも、学校内で明らかに犯罪が発生すれば、それを犯罪とみなし、すぐに一般社会と同じように警察が関与するのです。

一方、校外で生徒が犯罪を犯せば、それは学校の関与するところではなく、犯罪を犯した生徒は、一般社会で犯罪犯した未成年と同じ扱いを受けるのが当然という考え方なのです。

生徒の行動の責任に関して学校と、家庭とがはっきり分離されているので、校外で子どもが犯罪を犯したとすれば、それは学校とは無関係で、家庭の責任であるということです。だからこそ、イジメが発生する可能性が日本と比較して格段に低いのだと思います。

日本でいうイジメのほとんどは犯罪である
しかし、日本では何かといえば、生徒が犯罪を犯すと、学校外でも学校に責任があるような扱いをされます。これは、やはり、日本では、学校内は、治外法権であるとか、特別な空間であるとの意識が社会にあるからだと思います。このような風潮では、学校でのイジメの隠蔽を助長しているようなものです。

しかし、学校も社会の1組織であり、学校だけが治外法権などということはありません。イジメのほとんどは本当は犯罪なのです。犯罪は犯罪であり、これはそれが発生したのが、学校であろうがなかろうが、同じ手続きで処分されるべきなのです。それを、しないから、イジメが助長されているのです。

そうして、日本では、学校が特殊空間であるのと同じように、他にも摩訶不思議なことがまかり通っています。それは、与党政権に対しては、一般社会では許されないことを野党や、マスコミや、識者がしたとしても、当然であるというような風潮です。

今回の加計問題など、その典型です。「悪魔の証明」ができないからということで、野党・マスコミ・識者などが、一丸となって、未だに政府や、安倍総理個人を攻撃しています。このようなことが、政治の世界ではなく、民間企業や他の組織で起これば、明らかに「パワハラ」とか犯罪とみなされます。

この問題、このまま放置しておき、さしたる物証もないままに、攻撃が今後も継続するということでは、民主主義の崩壊にもつながりかねません。そうして、政治家、マスコミ、識者などがこのような「悪魔の証明を強いる」ような馬鹿真似をしているのですから、学校でイジメがなくならないわけです。

しかし、ここにきてこの問題に関して、動きが出てきました。それは、先にも述べように、この問題に関しての議論にお年寄りですら、「飽きてきた」という状況にあることと、もう一つは保守層の動きです。それに関しては、ケント・ギルバート氏の記事のリンクを以下に掲載します。
加計問題、一部メディア「大本営発表」の正体 嘘も100回繰り返されれば真実となる
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 以下に一部のみ引用します。
 加戸守行(かと・もりゆき)前愛媛県知事は25日、参院予算委員会の閉会中審査で、文科省の後輩である前川喜平前次官の主張について、「精神構造を疑う」「想像がすべて事実であるかのごとく発言をしている。それが国民をそういう方向に持っていくことになると危惧している。そのリスクを冒してまで作り話をしなければならない彼の心情が理解できない」と、痛烈に批判した。 
 自民党の青山繁晴参院議員は「『加計ありき』という言葉は、前川さんの胸の中で『加計ありき』だ。一般的には思い込みと言わざるを得ない」と断じた。 
 ここまで「意見が対立した問題」なのに、ニュースやワイドショーは多角的に報じない。私たち「放送法遵守を求める視聴者の会」は近く、「加計問題」報道の衝撃的な調査結果を発表する。
「加計問題」報道の衝撃的な調査結果とは、どの程度のものかわかりませんが、その衝撃の度合いによっては、野党やマスコミ、識者なども今のままではすまないかもしれません。

ドナルド・トランプ米大統領の上級顧問がロシア疑惑で連邦議会の調査を受けているという記事を米CNNが撤回した問題で、CNNは26日、関わった記者3人の辞職を発表しました。

CNNは社内調査の末、22日付の問題の記事を24日に撤回し、アンソニー・スカラムーチ上級顧問に謝罪しました。スカラムーチ氏は、ロシア人投資家との関係について議会の調査を受けているとの報道を否定し、CNNがトランプ大統領の交友関係を攻撃していると非難していました。

CNNを辞職したのは、記事を担当したトマス・フランク記者、調査報道部門編集者でピュリツァー賞受賞経験もあるエリック・リクトブラウ氏、調査報道部門の責任者のレックス・ハリス氏です。いずれも、幹部社員です。

今後時間が経過するにつれて、このような動きが他にも出て来ると思います。加計問題追求に関わった人々の発言や資料の中に、明らかにフエイクであると証明されるような、ものがみつかれば、野党やマスコミなどでクビが飛ぶ人もでてくるかもしれません。

民進党も、第二のメール事件のようなことにならないとも限りません。

とにかく今回の「悪魔の証明」を強いるようなやり方を放置しておけば、学校でのイジメをさらに、加速してしまうことになりかねません。このような社会を放置しておけば、日本も韓国や中国のような遅れた社会に成り下がってしまうかもしれません。

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2017年7月22日土曜日

「石破4条件」の真相はこれだ!学部新設認めない「告示」の正当性示せなかった文科省―【私の論評】財務省のような粘りのない文科省の腰砕けを露呈したのが加計問題の本質(゚д゚)!

「石破4条件」の真相はこれだ!学部新設認めない「告示」の正当性示せなかった文科省

石破茂氏
 加計学園問題では、いわゆる「石破4条件」が注目された。石破茂氏が地方創生担当相だった2015年6月30日に閣議決定されたものなのでそう呼ばれているが、石破氏は、本人の名前がついていることを嫌っているようだ。

 なにしろ加計学園問題が、安倍晋三政権への倒閣運動の様相を呈しているので、政治家がピリピリするのは仕方ない。

 「石破4条件」は、獣医学部新設に関して、(1)新たな分野のニーズがある(2)既存の大学で対応できない(3)教授陣・施設が充実している(4)獣医師の需給バランスに悪影響を与えない-という内容で、16年3月までに検討するとされている。


日本獣医師政治連盟委員長の北村直人氏
 これが作られた経緯は、18日付産経新聞「加計学園 行政は歪められたのか(上)」に詳しい。それによれば、15年9月9日、石破氏は、衆院議員会館の自室で日本獣医師政治連盟委員長の北村直人氏と、日本獣医師会会長の蔵内勇夫氏に対して、「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」と語ったという。

 これが事実であれば、「石破4条件」は獣医師会の政界工作の成果だといえる。

 その根本を探すと、文科省が獣医学部の申請を一切認めないとする同省の方針に行きつく。これは、03年3月の「文科省告示」として書いてある。いわゆる岩盤規制である。これらの規制に基づき50年以上も獣医学部の新設がなかった。

 そこで、国家戦略特区の課題として、内閣府と文科省の間で、文科省告示の適否が議論された。交渉の結果として出てきたのが「石破4条件」だった。筆者の聞くところでは、この文言案は文科省から出されたようだ。

 しかし、文科省はここで大失敗をした。前述のように高いハードルを作るつもりで、学部新設をしたい者は条件をクリアして持ってこい、と考えた。つまり、4条件の挙証責任は文科省にはないという立場だ。実際、前川喜平・前文科事務次官ほか、文科省関係者はそう主張する。

 これは誤りだ。文科省の学部新設の認可制度は、憲法で保証されている営業の自由や職業選択の自由を制限するので、挙証責任は所管官庁の文科省にあるのだ。これは閣議決定された特区基本方針にも明記されている。

 つまり、「石破4条件」で書かれていることは、文科省が学部新設の申請を門前払いする文科省告示の正当性を16年3月までに示さなければいけないということだ。それが示せなければ、文科省告示を廃止または改正する必要が出る。

 「石破4条件」を検討するためには、農水省などの協力も必要だ。しかし農水省は早い段階から手を引いたらしい。その結果、文科省は16年3月までに説明ができなくなってしまった。これが真相だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財務省のような粘りのない文科省の腰砕けを露呈したのが加計問題の本質(゚д゚)!

学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐる批判が吹き荒れる6月26日、地方創生担当相の山本幸三は内閣府での会合でこう語りました。

「この話は、去年3月末までに文部科学省が挙証責任を果たせなかったので勝負はそこで終わっている。半年後の9月16日に延長戦としてワーキンググループ(WG)で議論したが、そこでも勝負ありだった」

多数のメディアや野党は、首相の安倍晋三と加計学園理事長が旧知の仲であることから「加計ありきだった」という批判を続けています。その最大の根拠は、内閣府幹部職員が文科省職員に「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと語ったとする同省の内部文書でした。

ところが、「官邸の最高レベル」という文書の日付は「平成28年9月26日」。この時点ですでに獣医学部新設の議論は決着しており、安倍の意向が働くことはありえないです。

では、日本獣医師会の強い意向を受けて、獣医学部新設を極めて困難とする「石破4条件」が27年6月30日の閣議決定「日本再興戦略」に盛り込まれたにもかかわらず、愛媛県今治市の獣医学部新設の特区申請が認められたのはなぜだったのでしょうか。

国家戦略特区WG座長でアジア成長研究所所長の八田達夫は「4条件により制限は加えられたが、達成可能だ」と踏みました。日本再興戦略で「獣医学部新設に関する検討」という文言が明記されていたからです。

国家戦略特区WG座長 八田達夫氏
文科省は、農林水産省による獣医師の需給推計を根拠に「獣医師は足りている」として学部新設や定員増を拒み続けてきました。

八田はこれを逆手に取りました。日本再興戦略を読み解いた上で「成長戦略につながる高度な研究や創薬など新たな部門に携わる獣医師の需要が明らかになれば、クリアできる」と理屈づけたのです。

しかも日本再興戦略では「28年3月末までの検討」を農水省や文科省に義務づけました。八田はこれこそ最重要ポイントと考え、WGは両省に「再検討」を求めました。

ところが、ここから文科省は猛烈なサボタージュを始めました。八田は内閣府を通じて文科省に検討状況を何度も尋ねたのですが、期限である「28年3月末」が過ぎても明確な回答はありませんでした。結局、WG会合が開催されたのは、期限の半年近く後の同年9月16日でした。

ちなみに「需要見通し」は、「複数の微分方程式体系からなる数理モデル」です。獣医師は足りているということを文科省は微分方程式を書いて証明すれば良かったのです。しかし、これは、文系事務官僚の手に負える代物ではないです。

しかし、何も自分たちでやらなくても、省外の誰か数学の得意な人に顧問にでもなってもらいその人にやってもらえば、それで良かったはずです。そうして、その結果を他の複数の人に検証してもらえばそれで良かったはずです。でも、彼らにはそれをしませんでした。

本当は誰かに頼んで、やってもらったのかもしれません。しかし、いくら数理モデルにあてはめたにしても、本当に足りなければ足りないなりの結果しかでません。外部に頼んだにしても、外部の数理研究者なども嘘をつくわけにはいきません。

そこで、文科省は諦めてしまったのでしょう。文科省はこの点においては、財務省には負けてしまうようです。財務省の場合は、このような場合でも無理をしてでも、何とか自分たちの都合の良い資料を作り上げます。

たとえば、デフレなど景気の悪い時には、マクロ経済学的には、減税、給付金、公共工事などの積極財政をせよと教えていますが、財務省はこの教えに背いて、デフレ気味味の現状でも増税をするための根拠を何とかでっちあげています。

そうして、増税の根拠をご説明資料にまとめて、政治家やマスコミなどに足繁くかよい説明をして、その根拠をまわりに信じ込ませ、とうとう8%増税を安倍政権に実行させてしまいました。しかし、この根拠はでっちあげだったことは、増税後の大失敗ですぐに暴露されました。

この手口は、詳しく分析してみると、数理モデルを駆使するような高度なものではありません。良く分析するといくつもの錯誤の上に成り立っていることは確かです。たとえば、財政と税制の一体改革なるものを打ち出し、まともな医療や社会保障を受けたいのであれば、増税に甘んじなければならないなどと、多くの人の情感に訴えるものであったり、明らかな錯誤の上に成り立つものです。

財務省の嘘を暴く高橋洋一氏の番組
その手口の中心は、政府の負債だけに注目させて、資産を無視して、国の借金1000兆円であり、政府は借金塗れであるようにみせかけるというものです。また、統合政府という、日銀と政府を含めた尺度見た統合政府の財政状況なども無視です。これなど、民間企業では連結決算ということで当たり前になっていることですが、それが明るみに出れば、政府の借金など幻想に過ぎないということが国民知れてしまうで、財務省はおくびにも出しません。

財務省は、自分たちの省益を守り抜くには、ここまでやり抜くのですが、文科省にはこうした根気や、覚悟がなかったようです。さすがに、一流官庁といわれる財務省と最低といわれる文科省の違いです。(無論これでは、財務省も国民にとって良くはないのですが、目標に向かって執着心を持って、努力するという意味では財務省のほうが優れているという意味です)

WG会合では、新たな部門での獣医師需要について農水省は「特に説明することはない」と関与を避けました。文科省は「各大学で取り組んでいる内容だ」と従来の説明を繰り返しました。

会合の議事録には、

「家畜の越境国際感染症など、これまで対応する必要がなかった部門で需要が出てきた。新たなニーズに対応するマンパワーの増強が必要ではないか」

「新しい分野も既得権を持った大学の中だけでやろうというのはあり得ない。本来は28年3月末までに検討するはずだったのに、今になって需要の有無の結論が出ていないのは遅きに失している」

という内容が掲載されています。

委員たちは矢継ぎ早に文科省を攻め立てたのですが、同省側はひたすら4条件をそらんじるばかりで挙証責任を果たしませんでした。そこである委員が詰め寄りました。

「文科省は需要の有無についてちゃんと判定を進めているのか」

文科省は「わが省だけでは決められない。政府全体で決めてほしい」と需要推計を内閣府に委ねてしまいました。事実上の「白旗」宣言でした。山本の言う「勝負あり」とはこれを指します。

国家戦略特区で提示された、新しいニーズの創薬(トランスレーショナル・スタディ、トランスレーショナル・ベテリナリーメディシン)など、動物を用いて行うライフサイエンス研究分野では、創薬イノベーションなどは厚労省、動物実験は環境省、また水際対応など危機管理対応の必要な分野では、人獣共通感染症は厚労省、食品の安全(輸入食品を含む)は厚労省、家畜感染症が農水省の管轄です。

国際的にみても、新しい獣医師へのニーズの多くは、厚労省などに関連する職域の獣医師です。「動物で完結していた獣医学が、ヒトを意識した獣医学」へと拡大していく必要があります。また、以下の図からわかるように、現状の獣医職域の偏在の矛盾が、そのまま、新しい獣医学のニーズへの対応不足として現れている関係になっています。


前川前財務次官は、財務次官のように省益に執着して、粘ることもなく、完璧に戦いに負けてしまったのですが、その負けを認めたくなかったようです。本来なら、現役のときに、財務省を見習って獣医師需要は盤石であるとの根拠をでっちあげ、それを説明資料にして、マスコミや政治家を説得すべきだったと思います。

本来ならば、現役のときに執着して、財務省のようにどこまでも突っ走ればよかったのでしょうが、それもせずに、辞任したあとにするというのですから、負け犬の遠吠えと言われてもしかたありません。

では、この直後に作成された文科省の内部文書とは一体何だったのでしょうか。誰の目から見ても文科省はあまりに無残に敗北しました。漏洩(ろうえい)した内部文書は、省内向けの敗北のエクスキューズ(言い訳)のために作られたのでしょう。「総理のご意向」ということにすれば、省内では何とか言い訳はたちます。

では「総理のご意向」とは何でしょうかか。WGの議論では一切登場しません。強いて言うならば「岩盤規制をドリルで崩せ」という国家戦略特区の大方針を指すのではないでしょうか。

28年9月16日のWG会合で獣医学部新設の道筋は開けたかに見えたが、11月9日の国家戦略特別区域諮問会議では「広域的に獣医学部のない地域に限り新設を認める」という新たな条件が加わりました。

これには理由がありました。八田は10月末に山本にこう耳打ちしました。

「獣医師会がまた厳しいことを言ってくる可能性がある。ニーズの高い地域に絞ることで反対勢力と合意しやすくしよう」

八田は「獣医学部の定員規制そのものがナンセンスだ」と考えていましたが、座長の職務を通じて獣医師会の政治力のすさまじさを思い知りました。山本も「早く岩盤規制を突破するには仕方ないな」と渋々応じたのです。

それでも獣医師会は猛反発しました。獣医師会会長で自民党福岡県連会長の蔵内勇夫は11月22日の獣医師会のメールマガジンで「必ずや将来に禍根を残すであろう無責任な決定に対し、総力を挙げて反対して行きましょう」と呼びかけました。

蔵内らは12月8日、山本に直談判し、「新設は1カ所1校」とするよう求めました。やむなく山本も受け入れました。これにより新設は加計学園1校に絞られました。

前文科事務次官の前川喜平は「『広域的』という条件により京都産業大(京都市)が排除され、加計学園に絞られた」「行政が歪(ゆが)められた」と批判しています。

京産大副学長の黒坂光氏
しかし、京産大副学長の黒坂光は今月14日の記者会見で「広域ということで対象外となったとは思っていない」と明言した。京産大とともに獣医学部誘致を目指した京都府知事の山田啓二も同日、こう語りました。

「愛媛県は10年間訴え続けたのに、こちらは1年。努力が足りなかった」

果たして安倍政権は行政を歪めたのでしょうか。むしろ歪めたのは獣医師会であり、文科省ではないでしょうか。獣医学部の問題の本質に踏み込まず、「安倍はお友達の加計を優遇したに違いない」という印象操作を繰り広げたメディアの罪もまた重いです。

そうして、メディアは、財務省の公表した資料を吟味もせず、そのまま垂れ流すようなことが習慣になっています。そのような矜持のないメディアは、加計問題もまともに報道できないのは当たり前です。

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2017年7月19日水曜日

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加計問題を追及し続けるマスコミの「本当の狙い」を邪推してみた

加戸守行前愛媛県知事(左)と前川喜平前文科省時間(右)  写真はブログ管理人挿入 以下同じ
   苦しい答弁

先週10日、加計学園問題について国会閉会中審査が行われ、前川喜平前文科事務次官らの参考人招致があった。読者のなかにも、注目してみていた人が多くいるだろう。

加計学園問題の本質は、先週のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52245)に書いたように、2003年3月の文科省告示である。

前川氏に対する質疑では、自民党参議院議員の青山繁晴議員のものがもっとも良かった。青山議員は、「石破4条件」における文科省の挙証責任、既存大学の獣医学部の定員水増し問題、そして文科官僚の天下り問題との関係について質問していた。

まず挙証責任については、前川氏は当初行った記者会見では「文科省にはない」と言っていたが、さすがにそれではまずいと思ったのか、どこにあるとも言わずにはぐらかしていた。

また、既存大学の獣医学部では、全国で総数930名の定員に対して1200名までの「水増し入学」を黙認している現状がある。これで「需要と供給が均衡している」と文科省が判断しているとすればおかしいのではないか、と青山氏は質問している。これに対しても、前川氏は「既存の体制のままでいい」と苦しい答弁だった。

文部官僚の天下りが大学新設規制に関係しているのではないか、という点についても、前川氏は「関係ない」と述べたが、これらが関係しているのは霞が関の「常識」であり、規制がなければ天下りもあり得ないということは、前川氏だって知っているだろう。

青山議員とのやりとりで、筆者には、前川氏は平然とウソをついているように見えた。

閉会中審査で質問する青山繁晴議員
特筆すべきは青山議員が、前川氏と一緒に参考人招致を受けた加戸守行前愛媛県知事(文科省OB)に対しても質問をして、両者の発言の対比ができるようにしたことだ。

青山議員はマスコミ出身だが、この対比手法こそ、一部のマスコミへの強烈な批判になっていた。というのは、一部のマスコミはこうした手法をまったくとらず一方的な意見だけを垂れ流しているのだ。それは、12日の産経新聞に詳しい(http://www.sankei.com/politics/news/170712/plt1707120010-n1.html)。

加戸前知事は「ゆがめられた行政が正された」などと文科省の過去の対応を批判したが、この発言について、朝日新聞と毎日新聞の紙面では取り上げていない。産経新聞と読売新聞が取り上げたのとは大きな差である。

テレビでも同様の傾向があった。前川氏の発言はどの局でも取り上げられたが、加戸氏のものはほとんどなかった。

もっとも今は、インターネットがある。青山議員の質疑は、参議院のサイト(http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?ssp=31131&type=recorded)にアップロードされているので、是非ご覧いただきたい。加戸氏は「マスコミが自分の意見を取り上げないので、ネットの動画を見て欲しい」という趣旨の発言もしているため、ますますマスコミは加戸氏の発言を使えないだろう。

さらには7月14日(金)、京都産業大が国家戦略特区を利用した獣医学部の新設を断念した経緯について、記者会見を行った(http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170715-OYT1T50005.html)。その理由は、「教員確保が困難だったため」としたうえで、今回の戦略特区の選定作業が不透明だったか否かについては、「不透明ではなかった」と明言している。

加計学園問題についてマスコミや野党が流布してきたストーリーは「学園の理事長が安倍首相の友人であるから、特別に優遇された」というものだった。しかし、加戸氏の国会証言と京産大の記者会見によって、このストーリーは崩れたのだ。

   謝るべきは民進党では?

これまでの本コラムでも書いてきたように、文科省と内閣府の両者が合意済みの、過去の戦略特区関係の議事録を見れば、「文科省内のメモ」にすぎない件の文書は信憑性がなく、手続きはすべて公正に行われたことが読み取れる。それが当事者間の証言によって改めて裏付けられたと言っていいだろう。

繰り返すが、文科省行政の「歪み」を示す証拠として筆者が取り上げてきた文科省告示は、大学新設申請をさせない「門前払い」のためのルールである。

結局、今年1月にやっと文科省告示の「特例」を出して、ドリルの穴をあけたが、それは、学部新設の認可ではなく、あくまで申請していいという「特例」なのだ。実際に、学部新設が認められるかどうかは、文科省において適切に審査される。「特例」では申請するだけなので、常識的にいっても「順番」が重要だ。

この点、7月14日に記者会見した山田啓二・京都府知事は「愛媛県は10年間訴え続けたのに対して、こちらは1年。努力が足りなかった」と述べた(http://www.sankei.com/west/news/170715/wst1707150016-n1.html)。これが妥当な意見だろう。

この「順番」を役所の言葉で言い換えると「申請の熟度」という。申請が前であるほど、準備がよくできているという意味の表現だ。今回のケースはまさに「申請の熟度」の問題そのものだった。この順番をひっくり返したら、それこそ権力の濫用と言われかねない。

いずれにしても、こうした当事者の意見が出てくると、これまで加計学園問題を「行政が歪められたもの」として追及していた者はつらいだろう。それは、前川氏に乗っかった一部マスコミと野党である。

民進党の蓮舫代表は「京都産業大は被害者だったのではないか」と語った(http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170715-OYT1T50099.html)。民進党の的外れな追及があったので、京産大はやらなくてもよかった記者会見をやらざるを得なくなったわけで、むしろ謝るべきは民進党ではないか。

ついでに国民にも、無駄な時間をかけてこの問題を国会で追及したことを謝るべきだ。獣医学部新設の抵抗勢力である獣医師会から政治献金をもらった議員が、この問題を追及するというのは、国民に申し開きができないだろう。

この種の疑惑では、まずカネの流れをチェックするのがセオリーであるが、追及する側の民進党議員に疑惑があるようでは話にならない(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51813)。

    あまりに不毛

筆者がこの問題に興味をもったのは、本件については、マスコミの報道のしかたがあまりに通常のものとかけ離れていたからだ。筆者がテレビに出演した際にも、「キャスターに意見を遮られる」といった珍しい体験をした。

そして本件に過剰反応しているのは、たいてい安倍政権が嫌いな人々だ。多くの場合、憲法改正を嫌っている人々でもある。

安倍政権が憲法改正に取り組むと明言した5月3日以降、こうした反発が強くなっているような気がする。もっとも、その俎上に上がっている(1)憲法9条、(2)憲法29条の改正は、彼らにとっても批判の筋道が立てづらいものになっている。

具体的にはこういうことだ。

(1)憲法9条では、現行の1、2項はそのまま、3項で自衛隊を規定するだけだ。これは公明党が言うところの「加憲」であり、現行の自衛隊を憲法に明記するだけなので、反対しにくい。

一部の野党などは「どのような理屈を並べようと、憲法の平和主義を踏みにじることに変わりない」と勇ましいが、この「加憲」は彼らの中にも主張していた人がいるくらいで(保守系からは評判が悪いものの)、リアリストである安倍首相の真骨頂だ。

(2)憲法29条の改正の目的は、教育無償化である。これに対して「憲法改正など必要ない。個別法を改正すればいい」という反論が多いが、これでは積極的な反論になっていない。教育無償化を法改正で実現することは確かに可能だが、その場合、財務省の思う壺だ。というのも、法律での規定は必ず財政法の枠内になる。

そうすると、原則的に国債発行ができないため、無償化の財源確保のために増税か歳出カットが必要になる。必要財源は数兆円にのぼるので、日本経済を壊してしまう可能性が高い。

現在の状況は、一部のマスコミと野党が、憲法改正を阻もうとするために加計学園問題を利用しているのではないか、と邪推してしまいそうになるほどだ。もしそうなら、あまりに不毛である。

【私の論評】安倍政権支持率低下の原因は、ネガティブキャンペーンだけではない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏がマスコミの報道の仕方について、問題点を指摘しています。確かに、これにはかなり問題があります。しかし、最近安倍政権の支持率が落ちたのは、マスコミのネガティブキャンペーンによるものだけであると断定する前に、過去をふりかえってみる必要があります。

2015年の集団的自衛権を含む安保法案の改正のときにも、マスコミは日々大ネガティブキャンペーンを展開しましたし、シールズのような団体が連日「アベ辞めろ」「戦争法案反対」と繰り返しました。それをテレビは毎日報道し続けました。それでも安倍政権の支持率はほとんど落ちませんでした。にもかかわらず、今回は支持率がかなり落ちています。

2015年の戦争法案反対デモ。法案成立して2年近くたちますが戦争は起こっていませんが、何か?
これには、野党による追求や、マスコミによるネガティブキャンペーン以外にも、何か理由があるものと考えられます。それは何かといえば、やはり経済だと考えられます。安倍政権が登場したばかりの頃は、機動的財政政策や異次元の金融緩和への期待度は嫌がおうでも高まりました。

これに対して、いわゆる岩石理論により、金融緩和をすればハイパーインフレになるとか、金融緩和をしても景気は良くはならないという識者もいましたが、結局はそのようなことも起こらず経済指標は軒並み改善していきました。

しかし、平成14年に消費税増税が行われてからは、状況は一変しました。個人消費が落ち込み、GDPは伸びず、デフレにまた戻りかねないような状況が続きました。その中にあつてハロウィーン緩和もあって、雇用だけは改善していきました。

2014年10月31日の「ハロウィーン緩和」を発表する日銀黒田総裁
実際に、消費増税が行われた14年以降においては、政府が実施してきた中で、消費増税の先送りや毎年の最低賃金引き上げ、そして昨年度末の補正予算ぐらいが「意欲的」な政策姿勢だったという厳しい評価もできます。2%のインフレ目標の早期実現を強く日銀に要請することはいつでもできたはずです。ある意味で、雇用の改善が安倍首相の経済政策スタンスの慢心をもたらした、ともいえます。

さらに、自民党内には、安倍首相と同じリフレ政策の支持者は、菅義偉官房長官はじめ、自民党内にはわずかしかいません。ただし、二階派は、プライマリーバランスは先送り、景気が先としています。しかし、石破氏はもとより他の派閥は全部増税派です。

そうして、次の日銀の正副総裁人事が来年の3月に行われるはずですが、そのときに最低1人のリフレ政策支持者、できれば2人を任命しないと、リフレ政策すなわちアベノミクスの維持可能性に赤信号が点灯することになります。

このリフレ政策を支持する人事を行えるのは、安倍首相しかいないのです。それが安倍政権の終わりがリフレ政策のほぼ終わりを意味するということです。

もちろん日銀人事だけの問題ではありません。仮に日銀人事をリフレ政策寄りにできたとしても、政府が日銀と協調した財政政策のスタンスをとらないと意味はありません。デフレを完全に脱却するまでは、緊縮政策(14年の消費増税と同様のインパクト)は絶対に避ける必要があります。デフレ脱却には、金融政策と財政政策の協調、両輪が必要なのです。

ここにきて、直近では財務省人事や産業経済省の人事などで、増税派が順調に出世したことなどから、市場関係者には安倍政権は経済を立て直しができないかもしれないという、ある種の失望感が生まれるようなっていたのだと思います。

ただし、、自民党の支持率も低下していますが、野党側も支持率を上昇させるどころか低下させています。

特に市場関係者による失望は、自民党の支持率の低下をまねいているようですが、かといって他党を支持するには至っていないようです。なぜなら、自民党政権は経済を立て直しができないかもしれないという失望感があっても、ではそれかわって経済を立て直しすることができる野党がいるかといえば、そうではないからです。

実際、自民党以外の政党は、ほとんどが増税派です。政権交代したとしても、増税を阻止することとはできません。それどころか、さらに加速することになるだけです。

こうした市場関係者の失望感と、最近のマスコミなどのネガティブキャンペーンなどにより、支持率が下がったのだと考えられます。そうでないと、最近の著しい支持率の低下は説明がつきません。マスコミによるネガティブキャンペーンにだけが原因であるとは、到底思えません。そうして、この隙に乗じて、増税派(政治家、官僚、マスコミ等)がまた暗躍をはじめています。この増税派の暗躍も各方面で影響与え、支持率を落としている可能性もあります。


さて、安倍首相はこのまま党内闘争に巻き込まれ、守勢に立たされるのでしょうか。それとも攻勢に出るのでしょうか。そのきっかけは大胆な内閣改造や、より強化された経済政策を行うことにあるでしょう。後者は18年夏頃までのインフレ目標の達成や、教育・社会保障の充実などが挙げられますが、端的には減税が考えられます。何より国民にとって目に見える成果をもたらす政策パッケージが必要です。それこそ消費減税がもっともわかりやすいです。

消費税の減税は、国民が目に見えてわかる経済対策です。これを実行することにより、安倍政権は、また2013年の振り出しに戻ることができます。そうして、雇用は当事よりも格段に良い状況からスタートできます。

2012年に政権交代の選挙が始まる前から、市場は敏感に反応し株価がすこしずつ上がり始めていました。

そこから、順調に経済を発展させることができれば、2020年あたりには、少なくともこれから経済がかなり回復することになると、有権者が信じられる状況になるかそれ以上になります。これがうまくいけば、安倍政権は長期政権となり、憲法改正も成就することでしょう。

ただし、これは序盤にすぎず、新たな憲法をつく出すことこそ、安倍総理の理想だと思います。ただし、これは安倍総理では成し遂げることはできないでしょう。次の政権への宿題になることでしょう。

また、これを有権者に訴えるためには、人事も重要です。コントロールには様々な方法がありますが、人事こそ最大のものであり、真のコントロールです。政策・法律が良くても、人事が駄目なそれを実行に移すことはできないのです。市場は、一部の財務省におもねる人たちや、マスコミに媚びへつらう人たちは除いて、そのほとんどが厳しい現実の中で鍛え上げられた実務家たちの集まりであり、それらの人々は人事を重視します。

さらなるアベノミクスの拡大には実現の余地はあります。ただ、それを行うだけの政治力が安倍首相にまだ残っているかどうか、そこが最大の注目点です。それを占うには、まず8月の組閣において明らかになることでしょう。それに続き、次の各省庁の人事で、安倍首相の本気度がうかがわれることになると思います。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は、憲法改正について「リアリストである安倍首相の真骨頂だ」と高い評価をしています。経済面でも、安倍総理にリアリストの本領を発揮していただきたいものです。

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2017年6月22日木曜日

【守旧派官僚の闇】「加計問題は何が悪いか分からない」外務省や宮内庁もたがが外れていないか 八幡和郎―【私の論評】加計問題を日本の政治主導の夜明けにつなげよ(゚д゚)!

【守旧派官僚の闇】「加計問題は何が悪いか分からない」外務省や宮内庁もたがが外れていないか 八幡和郎

 官僚は不法な政治介入に屈すべきでないし、シンクタンク的に多様な選択肢を発信することも期待されている。しかし、国家組織として、たがが外れていると思うことは、文部科学省に限らずある。(夕刊フジ)

 外務省の韓国・釜山総領事が慰安婦像設置に抗議して本国召還されたことを、酒の席で批判して「事実上の更迭か」といわれている。


 そんな発言が外部にもれては、相手国に断固たる態度を示す効果が台無しになる。酒で酔っていて発言を覚えていないような人物は、あのポストには不適任だ。外務省には専門語学ごとのグループがあって、相手国に嫌われたら仕事にならないとはいえ情けない。

 天皇陛下のご譲位とか、秋篠宮家の長女、眞子さまがご婚約の準備を進められているといった重大ニュースが、NHKの特定記者のスクープという形で連続して流出し、宮内庁が追認する事態が続いている。立憲君主制の根本に関わる不祥事だと思う。

天皇陛下ご譲位、眞子さまご婚約準備のスクープを行った、NHK社会部の橋口和人・宮内庁キャップ
 私は、欧州の王室事情について『世界の王室うんちく大全』(平凡社新書)を出版しているが、欧州で同様のスクープが続けば、国政を揺るがすスキャンダルとして非難ごうごうとなるだろう。

 最後に「森友・加計学園」問題に戻る。霞が関OBの間で、ほぼ衆目一致しているのは、「森友問題はプチ・スキャンダルだが、加計問題は何が悪いか分からない」ということだ。

 ただし、私は国民が「怪しい」と思ったり、強い官邸に官僚の不満が鬱積する気持ちは理解できる。疑惑の原因になっている、日本的システムの問題は大改革すべきだと思う。

 まず、官僚の人事について、各省庁の仲間内順送り人事から、政治の意向も加味していこうとしたことは正しい。ただ、政治の意向も反映させる一方、公務員の専門職としての中立性と活力を保つためには、大臣補佐官など政治的ポストと、一般ポストの区別をすべきだ。

 また、時の政権と違う考えの官僚は重要ポストから外れるが、身分や待遇は失わないようなシステムが望ましい。欧州諸国ではそうなっている。

 行政には、政治的判断が入って構わないと思う。だが、日本では、基準や分析を政治的結論に合わせる悪弊がある。この文化を、客観的な分析をきちんと示したうえで、「政治判断としてこうした」と胸を張っていい。あとは、国民や住民の選挙や言論を通じての評価に立ち向かうという、透明性の高い文化に変えるべきだと思う。

 そうしたことが、政治主導を適切に実現していくために不可欠なのだ。

 ■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『世界と日本がわかる 最強の世界史』(扶桑社新書)、『蓮舫「二重国籍」のデタラメ』(飛鳥新社)など多数。

【私の論評】加計問題を日本の政治主導の夜明けにつなげよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、八幡氏が主張するように、官僚は不法な政治介入に屈すべきでないし、シンクタンク的に多様な選択肢を発信することも期待されています。ところが、各省庁は、国家組織として、たがが外れているとしか考えられないような行動をとることがしばしばあります。

そうして、それは八幡氏が主張するように、文科省だけではなく、外務省や宮内庁もたがが外れていますが、その最たるものは財務省です。

財務省は、従来から消費税増税をすべきとの主張を繰り返し、大増税キャンペーンを展開していました。政治家や識者に対しては、ご説明資料を持参した官僚が、増税すべきであるというレクチャーを徹底しました。新聞各社等には軽減税率をちらつかせ、増税キャンペーンに同調させるという荒業までやってのけました。

そうして2013年には、「8%増税による日本経済への影響は軽微」というキャチフレーズで、マスコミ、識者、野党政治家はもとより自民党政治家の大半も、増税推進派に取り込み、四面楚歌に追い込まれた安倍総理はやむなく「8%増税」を決断するに至りました。

ところが、実際に2013年に増税をしてみると、個人賞はかつてないほどのL字型の落ち込みをみせて、GDPはマイナスになり、8%増税による日本経済への影響は甚大なものとなりました。

2014年11月頃には消費税率の10%への引き上げをめぐって、永田町が大きく揺れていました。この問題はさすがに、8%増税の大失敗に懲りた安倍首相により、再増税の延期と衆議院の解散総選挙という形で決着をみました。

そうして、増税は延期されたのですが、その後も現在に至るまで、個人消費は伸びず、デフレに戻りかねないような状況です。今や8%増税は大失敗であり、その悪影響は甚大であることが誰の目に明らかになりました。

これについては、以前でもこのブログに掲載したことがあります。詳細を知りたい方は、以下のリンクをご覧になって下さい。
なぜ日本の「実質GDP成長率」は韓国以下のままなのか?―【私の論評】緊縮会計をやめて消費税も5%に戻せ(゚д゚)!

予算や税の取り扱いは時として内閣の命運を左右する大きな問題となります。あらためて言うまでもなく、かつての大蔵省は衆目の一致する「最強官庁」でした。しかし、バブル崩壊と政治改革の流れの中で、大蔵省は1990年代に大きな危機に直面することとなりました。

大蔵省はなぜ追いつめられたのでしょうか。その理由の一端は、不良債権問題への対応の過程で厳しい批判にさらされたことにあります。住専(住宅金融専門会社)処理のための公的資金の投入は、世論の強い反発を招きました。

東京協和信用組合と安全信用組合の二信組事件に関連して発覚した大蔵省幹部の過剰接待問題は、「最強官庁」の権威と信用を大きく傷つけました。もう一つの理由は、永田町に行革を旗印とするさまざまな「改革派」が出現し、大蔵省改革が大きな政治課題となったことです。こうした中で銀行局と証券局の所掌事務の大半を総理府(現内閣府)に移管する「財金分離」が行われ、大蔵省は「解体」されました。

このような動きの底流には、1955年体制が崩壊していく過程で政と官の役割の再規定が行われ、官邸主導型の政治システムへの志向が強まったという政治環境の変化があります。

この流れに乗り、経済財政諮問会議を舞台装置として官邸主導の政策運営を体現したのが小泉純一郎内閣ですが、財務省はここで従来のビジネスモデルからの転換を迫られることになりました。

旧大蔵省の表札

それは、非公式の場での調整をもとに落とし所を探り、利害関係者への根回しを通じて政策形成を図る旧大蔵省の流儀から、公開の場で「財務省案」を提示して、世論の支持をバックに政策を実現させていく新たな手法への移行です。しかし、「大蔵官僚から財務官僚への試行錯誤と意識改革」は「官邸主導の波に煽られて、曲折をたどらざるをえなかった」。

民主党政権の誕生後、内閣や与党との間合いの取り方に苦慮していた財務省は、「財務省の組織内候補」と揶揄された野田佳彦首相のもとで政権との一体感を取り戻し、消費増税への具体的な道筋をつけることに成功しました。

しかし、財務省から距離を置く安倍晋三首相の登場で、再び試行錯誤を迫られています。2017年4月に予定されている再増税も、現時点では延期が確定しています。14年春からの8%増税では、財務省に負けた安倍総理ですが、現状では、選挙という手段に頼らず10%増税の延期を決めた安倍総理が勝利しているようです。官邸と「最強官庁」の関係は、この先どのように変化していくのでしょう。

こうした文脈の中で、いわゆる加計問題が発生したのです。加計問題では、簡単に言ってしまえば、天下り斡旋で責任をとって辞任した前川前文科次官が、憤懣やる方なく官邸に対して新聞社などのマスコミの力を借り反旗を翻しあわよくば、倒閣につなげようとしたことが発端でした。

前川前文科次官
これに民進党などの野党がのって、いわゆる怪文書(発信者も、発信番号もない、何の目的で発信されたかもわからない文書)をもとに、政府を追求しましたが、当然のことながら、民間会社などでもこのような文書で代表取締役を辞任に追い込むことは最初から全く不可能なことがわかりきっているのと同じように、もともと倒閣など全く無理筋というものです。

財務省をはじめとして、各省庁の官僚らは、これらの一連の動きを注意深く見守っていることでしょう。特に、天下り斡旋問題で、前川前文科次官が、責任をとって辞任せざるを得なくなったことには、多くの官僚が大パニックを起こしたことでしょう。これは、安倍政権による官僚に対する最初の大打撃でした。

その後の加計問題に関しては、実はのほとんどの官僚がいわゆる怪文書に関して、それなりに知識があるし、そもそも一般に公開されている戦略特区ワーキング・グループの議事録を読めば、文科省は課長級の会合でも官邸側に理屈や論理的に完膚無きまでに負けており、いわゆる怪文書の日付の頃には到底「総理のご意向」を発する必要性など全くなかったことを理解していることでしょう。

特に財務省の官僚などは、愚かなマスコミとは違い、WGの議事録を読んだ上で、文科官僚の無様な敗北に至った過程を理解し、やはり最低の官庁文科省であると優越感に浸っていたに違いありません。それほど、文科省の戦略特区WGでの敗北は無様なものです。とはいつつ、文科省官僚も官僚としては身内なので、財務省官僚としては複雑な心境だったに違いありません。

さて、この国家組織として、たがが外れた文科省ですが、加計問題が一旦沈静化したら、政府としては、やはり徹底的に追求すべきでしょう。この問題を放置しておけば、他の象徴の官僚たちにしめしがつきません。特に財務省はそうです。

これを機会に文科省の徹底的な組織改革をはかるべきでしょう。どの程度にするかは、政府の裁量のまかせるものとして、その過程で、国民にも十分説明を行い、国民の支持を受けた形で、実施すべきでしょう。

霞が関の省庁における組織的な天下りは、野党やメディアにとって「絶対悪」だったはずです。特に、今年1月に発覚した文科省の組織的天下り斡旋(あっせん)問題は、人事課や事務次官にまで再就職先の情報が共有される、非常に悪質な国家公務員法違反でした。

この事実を再度掘り下げ、このような体質が、本当は存在すらしなかった加計問題のような問題を生み出す温床になったことを多くの国民に理解させた上で、文科省の大外科手術に挑むべきです。

そうして、文科省の外科手術に成功したら、他の官庁の外科手術にも挑戦すべきです。特に、財務省に関しては、以前このブログにも掲載したような外科手術を実行すべきです。


財務省の狙いは10%増税でととまるものではありません。最終的には消費税20%を目標としていることでしょう。現在は安倍総理に負けたようにおとなしくはしていますが、あわよくば「アベノミクス失敗」の世論などを盛り上げ、安倍政権を死滅させ、次の政権で10%増税で、またかつて、民主党政権を飼い殺しにしたように、飼い殺しをし、そして次の政権も飼い殺しにし、20%増税を成就するまで飼い殺しを続けるつもりでしょう。

まるで、革命集団のような財務省を改革にするには、生易しいことでは不可能です。大蔵省を財務省と日銀とに分割したように、さらに財務省を分割するべきという意見もありますが、それでは手ぬるいです。

財務省は、単純に分割すると、10年くらいかけて他省庁に植民地を拡大する手段に使います。実際、白川元日銀総裁以前の日銀は、財務省の植民地のような有様でした。そうして、日銀は金融引締めを継続し、財務省は増税などの緊縮財政を継続し、日本経済をデフレ・スパイラルのどん底に沈めました。

このようなことを防ぐ意味合いで、まずは公的金融部門の廃止を実施し、つぎに財務官僚が目下においている他官庁の下部組織に財務省を分割の上に編入すべきです。こうすることにより、まで革命政治集団であるかのような財務省は、本来あるべき姿の政府の下部組織という本来の姿になると思います。



このように、財務省解体に成功したときに、はじめて日本の「政治主導」の夜明けが始まることでしょう。かつての民主党は政権の座にあったときに、「政治主導」を標榜して、「事業仕分け」などを実施しましたが、結局何もできませんでした。

それどころか、実はあの「事業仕分け」は財務省主導でした。民主党の政治家らが、国民の顔色を伺い、「財務省が作った資料を見ながら」仕わけ作業をしていたテレビを見たときには、私はテレビのやらせを番組を見ているようで苦笑してしまいました。

しかも、民主党は先にものべたように、「財務省の組織内候補」と揶揄された野田佳彦首相のもとで政権との一体感を取り戻し、消費増税への具体的な道筋をつけることに成功しました。

そうして、この体質は、今の民進党にも受け継がれています。民進党の新代表選のときに、候補者であった、蓮舫氏、前川氏、玉木氏の三人は、三人とも増税を強調していました。これでは、「政治主導」どころか、「財務省主導」です。ですから、私は、民進党を以前から「財務省の使い捨て政党」と揶揄しているのです。

そうして、これは当たり前のど真ん中の話なのです。国民の信託を受けた政治家による政府が、政治の中心になるべきであり、政治家が日本国の方針を定めるのが本筋であって、官僚は、それに直接関わってはいけないのです。

官僚が日本国の方針を定めることに関わるとしたら、それはあくまでシンクタンク的に多様な偏りのない選択肢を発信し政治家を補佐することです。これは、許されることどころか、奨励されるくらいですが、官僚は絶対に日本国の方針を定めることに直接関わってはいけないのです。

この当たり前のど真ん中を当たり前にやろうということが、「真の政治主導」なのです。

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2017年6月14日水曜日

加計問題で法案審議が停滞 内閣府に負けた文部科学省の“遠ぼえ”より建設的な議論を ―【私の論評】森友・加計問題では馬鹿と悪意ある人間をあぶり出せた(゚д゚)!

加計問題で法案審議が停滞 内閣府に負けた文部科学省の“遠ぼえ”より建設的な議論を 

会見で負け犬の遠吠えをした前文科次官前川氏 写真はブログ管理人挿入以下同じ
国会の会期について、1~2週間の延長論が出ている。背景には、加計学園問題で重要な法案の審議が進んでいないことがある。

 その1つは「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案だ。同改正案が衆院を通過したのは先月23日である。今月18日の会期を10日程度延長すれば、成立はほぼ確実になるだろう。

 政府が延長を小幅にせざるを得ない理由は、連立を組む公明党が、東京都議選を優先するためだ。今月23日告示、7月2日投開票という日程への影響を最小限度にとどめたいという意向もうかがえる。

 野党が加計学園の追及を強めているからだというのはあくまで野党の言い分に過ぎない。本コラムで何度も書いたように、「総理の意向」はなく、単に規制緩和論争で内閣府に負けた文部科学省の“遠ぼえ”といえ、国会審議に費やす時間がもったいないくらいだ。

 組織犯罪処罰法改正案について、自民、公明、日本維新の会は、法案の一部を維新による提案(取り調べの可視化やGPS捜査の制度化への検討)を受けて修正している。一方、民進党や共産党などは強硬に反対している。

 野党やマスコミは「共謀罪」と呼ぶが、「共謀」は英語では「conspiracy」で、海外にも存在する概念である。それを罰する法制度があるのが通例だ。ところが、日本ではなかったので作ろうというのがそもそもの発端だ。

 反対派の言い分は「一般人が対象になり得る」「警察などの捜査権限が拡大し、公権力による監視が強まる」というものだ。一方、賛成派は、そうした懸念も分かるので、弊害を少なくして、海外並みに「共謀」を罰する法制度を作るというものだ。

 反対派の懸念は、統計学でいうところの「第一種の過誤」という。警察が何か証拠をつかんであわてて逮捕してみたら犯罪に無関係な人ということで、「あわてんぼうの誤り」ともいわれている。

 統計学でいう「第二種の過誤」は、警察がうかつにもテロリストを見逃してしまうもので、「ぼんやりの誤り」という。

表はブログ管理人挿入
何もしない前提では、「あわてんぼうの誤り」と「ぼんやりの誤り」はトレードオフ(二律背反)の関係だ。「あわてんぼうの誤り」を小さくしようとすると、残念なことに「ぼんやりの誤り」が大きくなってしまう。

 これに即して言えば、反対派の主張は、一般人の冤罪(えんざい)逮捕は絶対防がなくてはいけないが、そのためには多少テロリストを見逃してもいいと聞こえる。

 ここは、一般人の冤罪逮捕とテロリストの取り逃がしという両方のリスクを減少させるように、種々の対策を提案すべきである。維新の修正はその理にかなっている。民進、共産なども反対だけではなく、一般人の冤罪逮捕のリスクを減少させ、テロリストも見逃さないような対策も提案すべきではないか。

 意味のない加計学園問題の追及より、そうした建設的な議論をしてもわらないと国民としても困る。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】森友・加計問題では馬鹿と悪意ある人間をあぶり出せた(゚д゚)!

加計問題では、このまま安倍官邸が圧勝で終わるのは間違いありません。民進党がいくら頑張っても、もうこれだけは変えようがありません。

それは、以下のようなことから最初からあまりにもはっきりしすぎています。

それは、以下の文書を分析すれば、明らかになります。
①2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf) 
②2015年6月29日閣議決定(文科省部分、http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu22/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/09/02/1361479_14.pdf) 
③2016年9月16日国家戦略特区ワーキンググループ議事録(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
しかし、マスコミも民進党などの野党もなぜかこの文書に関しては全く言及しません。だから、この問題がいたずらに長引いているのです。民進党も、新聞などのメデイアもこの文書を最初に読めば、いわゆる『加計問題』などもともと存在しないということを十分理解できたでしょう。

加計問題の本質は、これら3つの文書を読めばすぐに理解できてしまいます。

まず①と③を読むと、内閣府・特区有識者委員と文科省(農水省)による規制緩和議論は、前者の規制緩和推進派の完勝であることがわかります。

②の閣議決定では、要求されている獣医学部新設の需要見通しについて、許認可をもち需要見通しの挙証責任がある文科省が、まったくその役割を果たせていないことが分かります。しかも、②では、2015年度内(2016年3月までに)に獣医学部の新設の是非について検討するという期限が切られているのですが、それすら文科省は守れていないことがわかります。

これでは、文科省の完敗です。加計問題に係る規制緩和の議論は、課長レベルの事務交渉で決着がついてしまっていたののです。総理の参加する諮問会議の前にこれだけ完膚なきまでに文部省は負けてしまい、さらにはその無能ぶりまでさらけ出してしまってるのです。この問題のいずれかの過程で「総理の意向」が出てくる余地はまったくありません。

仮に総理が、何とか"加計学園に獣医学部を"などと秘めた思いを持っていたとしても、その思いを誰に伝えなくても、もうこの時点で、文部省の負けは誰の目にも明らかっだったことがわかります。

院決算委員会で加計学園問題について答弁する安倍首相(5日午後、国会で)
だから、総理が「総理のご意向」なるものを、総理自身が誰かに伝えるなどという重大なリスクをおかしてまで、加計学園に獣医学部をもってくることをゴリ押しするというのは、あり得ないことです。

にもかかわらず、マスコミは、あの文科省文書が本物かどうかに焦点を当てています。おそらく本物であっても、それらが作成されたのは2016年9月後半ですから、文科省への宿題の期限(2016年3月)の後になり、しかも、③が作成された(2016年9月)後でもあります。

結局勝負のついた後に、文科省は言い訳を言っているだけにすぎないです。「文書」にある「総理の意向」という文言は、文科省側のでっち上げです。それ以前に文部省は完敗しています。この内容をみると、前川氏をはじめとする、文科省官僚の根性の悪さも明らからになったと思います。まったく潔くないですし、この時点で「総理のご意向」をでっちあげたとして、それが何になるのか、全く理解不能です。小さな子どもが駄々をこねているようです。

駄々をこねる子どもに対応するには、子どもの気持ちに共感することが大事だそうですが、こと規制改革に関しては安倍総理もそうして、我々国民も文科省官僚の気持ちに共感することはできません。

駄々をこねる子どもには共感するのが大事なのだが、官僚には共感できない
上の文書を読めば、「総理の意向」など入り込む余地がないことはすぐにわかります。にもかかわらず、マスコミも民進党などの野党もこの文書を読んで分析したのかどうかはわかりませんが、いずれににせよあまりに無責任です。

結局、無理筋であるはずの「総理の意向」という点にこだわり、思い込みで間違えてしまった民進党は、森友学園問題のときと同じように、何も影響を与えられないまま、またしても空回りして終わります。

共謀罪反対デモに参加する蓮舫代表
こんなざまでは、民進党はまともに「テロ等準備罪」なども議論できないでしょう。民進党は、森友問題、加計問題、テロ等準備在の審議過程などで、国民の目の前に、無様な自分たちの無能さ加減をさらけ出し今後もますます衰退していくことでしょう。

森友・加計問題では、一見何も良いことはなかったようにも思えますが、見方によっては、馬鹿と悪意ある人間をあぶり出したということでそれなりに意義があったものと私は、思います。

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2017年6月1日木曜日

加計問題「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えだ―【私の論評】加計問題で首相を辞任させられるなら、一般企業の取締役、従業員全員をすぐクビにできる(゚д゚)!

加計問題「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えだ

加計学園の学部新設計画で首相官邸が文部科学省に圧力を掛けたされる文書
 加計学園問題について、筆者はメディアで各種の発言をしているが、本コラムでもまとめておこう。そして野党の批判やマスコミ報道のあり方も考えてみたい。

 この問題の大きな構図は、安倍政権が掲げた国家戦略特区をめぐる「規制緩和推進」と「反対」の争いであると、筆者は考えている。そこに、前川・前文科事務次官の“告発”の記者会見があったので、俄然、世の中の関心も盛り上がってきた。この時の発言で、規制緩和推進と反対の構図はよりよく見えただろう。ただし、この会見を伝えたマスコミ報道を見ている限り、マスコミは、加計問題の全体構図はおろか、前川氏の記者会見での致命的なミスすらわからないようだ

 そして、加計学園の獣医学部新設が認可されるまでを時系列で整理すれば、野党やマスコミが意気込む「総理の意向」が働いたことをことさらに疑ってかかることは、まったく無関係であることがわかる。

 文科省は獣医師の需要見通しを
 出せなかったから負けた


 前川氏が、「行政が歪められた」として言及している閣議決定は、2015年6月30日に「日本再興戦略」(改訂)や規制改革実施計画などが決まった時のものだ。

 ここに書いたのは、文科省関係だけであるが、他省庁分もあるので、全体では膨大な分量であることがわかるだろう。このうち、獣医学部のところは、以下のとおりだ。


 この閣議決定では、獣医学部新設の条件として、獣医師の需要見通しなど4条件をあげている。

 当時、規制緩和を進めようとした内閣府に対し、文科省が抵抗したわけだが、この閣議決定にある需要見通しを文科省が出せなかった段階で、内閣府の勝ちである。新設が不要というなら、それを裏づける獣医師の需要見通しを示す「挙証責任」は許認可権のある文科省にあるからだ。

 許認可というのは、自由が原則であるのに、一定の条件を課して許認可をかけるわけだ。それなのに、前川氏は、「条件に合致しているかを判断すべき内閣府は十分な根拠のある形でその判断をしていない」と、他人事のように記者会見でしゃべってしまった。

 マスコミもこのことを指摘したところは皆無だった。許認可権のことがわからなくても、仮に、内閣府がすべての規制緩和で挙証責任を持ったら、閣議決定の膨大な量を見ても、事務的にできるはずないと考えられないのだろうか。この程度の質問ができないとすれば、記者会見の存在意義も問われるのではないか。

 なお、文科省には、需要見通しを作成できる人員がいるとは思えないので、2015年6月に閣議決定がされた段階で、文科省の負けは予想できた。

 加計学園、「1校認可」は
 不自然だとは思わない


 もともと獣医学部は52年間も新設がなかったので、いろんなところで歪みが出ていた。一部地域で産業関係の獣医師不足も指摘されていたので、文科省で人員をそろえても、需要見通しでは分が悪かっただろう。

 そうした中、規制緩和に反対する省庁などの後ろにいる獣医師会も新設反対だけではもたないと考えたのだろう。1校であれば容認というスタンスになったという。

 これは、ちょっと取材すればわかるはずで、「総理の意向」が働いたことばかりを疑うマスコミはこうした地道な取材をしないことがわかってしまう。

 本当に獣医師会が抵抗するなら、関係の深い国会議員に働きかけて阻止しようとするので、動きはわかるはずだ。そうした動きがない以上、1校容認ということだったのだと、推測できる。

 そうなると、獣医師の需給をつかさどる農水省も無駄な作業はしたくないだろうから、需要見通しを文科省に示さない。このあたりも、前川氏は記者会見で話している。

 いずれにしても、こうした行政のプロセスを追っておけば、なぜ獣医学部新設が認められたのか、加計学園1校になったのかもわかる。まず、獣医師会の1校容認の意向が大きく、加計学園がかなり前から要望していたこともあるだろう。筆者が霞が関で働いていた時の記憶でも、加計学園は小泉政権時代から要望していたように思う。それに、地理的な需給の配慮もあるかもしれない。

 役人の思考プロセスは単純なので、おそらく複雑な背景や理由はないだろうし、外部の者として見ても、加計学園1校となったのは筆者には不自然ではない。

 規制緩和、新規参入の立場から、1校に限定する必要はないので、獣医師会さえ納得すれば何校でもOKのはずで、その場合、前からの要望があって、今でも要望しているところが優先されるだろう。

 しばしば加計学園問題に批判的なマスコミは、安倍政権になってから認可などのスピードが速まったという。だがそれ自体は問題ない。仮に問題があるとすれば、ウェイティング・リストの順番を変えることだ。まあ、病院での診察順番待ちでも時々順番が前後するが、前後した場合に合理的な説明が必要になってくる。

 この点についても、野党やマスコミが、一方の当事者だけから示された「文書」や「会見発言」に過ぎないものを金科玉条のように取り上げるから、真相につながる質問がされず、解明にほど遠くなるのだろう。

 「総理の意向」ありき
 野党やマスコミは学んでいない


 なぜ、真相に行き着かないのか。これはマスコミが、目の前の現象のみに注目するからだ。加計学園の前には、森友学園問題があった。両者は似ていて、確かに加計学園問題は「第二の森友遠学園問題」の様相を呈しているが、森友学園問題が空振りになった教訓を、野党やマスコミはまったく学んでいない。

 ともに共通するのは、思い込みとベンチマークの欠如だ。

 その思い込みとは、森友学園問題では「総理の関与」で、今回の加計学園問題では「総理の意向」である。それがあるはずという前提で、目の前の現象を追い続けるというのが、野党やマスコミである。

 こういうときには、別の事象の「ベンチマーク」を探すといい。これは、プロの数学者がしばしば使う方法だ。

 これまで誰も解いたことのない難問の場合、似たような構造を持った別の事象で問題を置き換える。そうすると、まったく別の事象であれば簡単に解けることがある。詳しくは省くが、300年以上、誰も解けなかった「フェルマー最終定理」も、別のところで問題を解いて、その結果、フェルマー最終定理が解けている。

 社会問題の真相の解明でも、同時並行的に起こっている事件がしばしば役にたつ。

 森友学園問題では、森友学園の土地ではなく、同じ一筆の東側の土地である。これは、森友学園に先行して豊中市に売却されている。そこでは、土中のゴミが発見されている。それにもかかわらず、この事実を知り得るうる立場のはずの財務局は、森友学園への売却では当初、その事実を相手方に伝えていない。ここが問題の本質だ

  行政のプロセスを
  検証すれば真相はわかる


 加計学園問題の場合は、同じ国家戦略特区に認められた成田市の医学部新設での国際医療福祉大のケースだ。医学部新設も38年ぶりである。もし、「総理の意向」が働いていれば、両者のプロセスに差があるはずだ。

 ところが、国際医療福祉大の方が先行事例で、加計学園の方が後になっている。これを加計学園が追い越したというのであれば問題であるが、そうしたことはなく、筆者の見るところ、両者のプロセスに顕著な差はない。ということは、「総理の意向」は外部から認められないということになる。

 こういうと、「忖度」があったのではないかと、野党やマスコミはいうだろう。「忖度」は内面の話であるので、外からはよくわからない。問題があるとすれば、行政プロセスが歪められ、プロセスに変化があることだ。それがなければ、内心の「忖度」はどうでもいい。

 繰り返すが、筆者の見る限りでは、加計学園と国際医療福祉大では差があるように見えない。そこで、筆者には、規制緩和推進と反対の争いで負けた文科省側の前川氏が吠えているだけと見える。閣議決定にある需要見通しを文科省が出せない段階で、内閣府の勝ちで、内閣府が「総理の意向」を持ち出すだすことなく、ゲームオーバーになっている。文科省があまりに惨めな負け方なので、前川氏から「総理の意向」を言い出した可能性すらあるのではないか。

 野党やマスコミは「総理の意向」と主張したいのであれば、両者のプロセスの差を指摘すればいいと筆者は思うが、どうであろうか。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)

【私の論評】加計問題で首相を辞任させられるなら、一般企業の取締役、従業員全員をすぐクビにできる(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏の主張は、さすがにもと官僚ということもあり、正しいもと思います。今後、加計問題も野党の追求は何の効果もないでしょう。ただ、時間を無駄にするだけです。

それにしても、今回のいわゆる加計学園問題の発端となった文書がありますが、そもそもあの文書が明るみに時点で、今回のこの問題は全く無意味であることが最初からはっきりしていました。ただし、このあまりにもはっきりしていることを、なぜか野党やマスコミが気づいていないのか、気づいていても、気づかないふりをしているのか、わからないので、再度このブログで扱います。

この問題については、一部このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
出会い系バー通いを注意され「逆恨み」か…和田政宗議員、加計学園「怪文書」犯人を告発―【私の論評】加計問題を最大の攻撃材料にする野党は、犯罪者を応援することになる(゚д゚)!
文科省の前川喜平前事務次官を告発した和田政宗参院議員

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、いわゆる加計学園問題の発端となった、文書について、以下のように論評しました。
ところで、あの怪文書ですが、最初に公開されたもの(2頁のもの)と後から公開されたもの(8頁のもの)とがありますが、両方とも公文書としては、書式も内容かなりお粗末なものでした。これは、レク資料というものであると、前川氏が説明しています。ということは、公文書ではないということです。 
特に、最初に公開されたものは、宛先も発信者の部署名や、所属も、発信日時すら明記されておらず、とても官公庁内の公式の文書であるとは考えられませんでした。これでは、まともな会社の公文書であるとも主張できないです。これについては、ネット上に添削した内容を掲載していましたので、その添削をした内容の画像を以下に掲載します。
この後に公開された8頁のものは、一部だけ公開されています。それを以下に掲載します。

さて、この記事では指摘しませんでしたが、これらの文書には、文書番号すらありません。

一般の企業では、企業内の文書では、宛先、発信部署、発信者名、発信日時、文書番号を掲載します。 回覧する場合には、閲覧者の押印欄もあります。このような正式な公文書の体裁は、当然文部省の文書でもあります。

以下に一般企業内の文書の事例を掲載します。


企業でもある程度規模が大きくなると、文書管理規程、文書管理マニュアルなどが存在して、企業内外へ文書のやりとりを厳しく制限、規制しています。

たとえば、ある企業では、「通達」は営業時間を変えるとか、基本方針を変えるなどのときに発信するものとしています。これは、年間でも最大で4〜5通しか発信されないのが普通です。さらに、紙の色も赤色にして、他の文書と明確に区別できるようにしたりしています。

本社から支社や支店に対して発信する文書もいろいろと制限を受けます。支社や支店で、報告や調査を必要とするものは、原則として調査開始日の2週間以上前に発信するなどの規則があったりします。この場合は、紙の色を黄色にしています。その他、文書の発信頻度なども縛りがあります。さらに、ファイルなどへの入れ方や、その後の処分までの期間などにも決まりがあります。

無論、企業で正式に定められたこのような取り決めがないと、社内が大混乱してしまいます。たとえば、本部の各部署から支店や店舗などに、文書が何の制御もなく発信され、文書の洪水になってしまい、発信した文書がほとんど読まれなくなったりします。だから、発信者は無論文書を発信するときには、企業で定められた通りに体裁を整えて発信するのが普通です。

書類の色といえば、租税関係の催告状なども最終のものは赤のものを使用しています。以下にその写真を掲載します。これは、ネットにあったものです。


いわゆる加計学園問題の発端となった文書に関しては、当然一般企業にもみらるし、当然のことながら文部省にもみられるであろう体裁が整っていません。これはどうみても、公式なものではありません。

しかし、前川氏はこれを文部省内で存在した文書であると、記者会見で主張しました。しかし、その存在というのが問題です。しかし文部省は調査した結果、そのような文書は存在しなかったとしています。

ただし、文書の体裁からみて、公式のものではないことははっきりしています。にもかかわらず、前川氏は存在していたというこの認識のズレはどこからきているのでしょうか。

それは、文部省側はあくまで、文部省内で流通していた正式な文書の範囲の中にはなかったということを言っているのです。これに対して、前川氏は、正式ではないのですが、文部省内に過去に流通していたということを言っているのだと考えられます。

衆院予算委員会で挙手する参考人の前川喜平前文部
科学省事務次官、左は文科省人事課OBの嶋貫和男氏
企業の中でも、いわゆる正式な体裁を整えない文書もあるにはあります。それは、たとえば、上司が部下に命じて、たとえば新たな技術に関する内容を短くわかりやすくまとめた資料などの類です。上司としては、その内容をどこにも発信するつもりはないので、この場合は、体裁を整える必要はありません。だから、企業内でも体裁を整えていない文書は存在するといえば、存在するものと思います。

しかし、ここでただしというところがあります。この文書を企業内の誰かに発信することになった場合には、文書番号、発信部署、発信者名新たな文書を作成して、先の文書を添付する形式にして発信します。だから、企業内ではよほど出ない限り、いわゆる公式でない文書などあまり存在しないのです。あったにしても、それはあくまで、単なる資料に過ぎず、その資料をもって社内で何らの効力も持たないのです。

仮に、企業内で何か不正行為などの問題がおこったとします。その場合、総務などが内偵を行い、ある常務取締役が怪しいということになったとします。

総務が、不正行為が「常務のご意向」であるとの文書を発見したとして、その文書が正式の体裁をしていなければ、それだけを取締役会などに提出することはできません。正式なものであれば、無論提出できます。そうして、取締役会で諮られ、その常務は辞任させられることになるかもしれません。

ある企業の取締役会
しかし、正式なものでなければ、当然のことながら、提出することはできません。もしどうしても提出するというのなら、その文書とともに、それが明白に犯罪に関係しているという内容のものも提出しなければなりません。

これは、何も一般企業だけではなく、文部省も同じことです。正式な文書ならともかく、正式ではない文書の場合は、その文書に書かれていることが、正しいと判断できる証拠がなけば、何の意味もありません。

これは、一般社会常識の範囲だと思います。一般企業で、正式な文書でもない文書だけをもとに、不正行為があったなかったなどと、取締役会や会議などで判断などできるわけがありません。そのようなことをすれば、犯罪行為にもなりかねません。

だから、もし加計学園問題で、首相を辞任させることができるというのなら、一般企業でも取締役や従業員を全員すぐにクビにできるということになってしまいます。

これは、どう考えても辻褄があいません。しかし、野党やマスコミがやっていることはこれに等しいのです。

特にマスコミは、大きな企業組織であることがほとんどです。大きな企業組織であれば、文書管理規程や、文書管理マニュアルが存在して、その枠組みの中で文書を発信したり、受信しているはずです。

であれば、文書管理はどのようなものなのか、身をもって知っているはずです。にもかかわらず、上記のような観点も報道しないというのであるとすれば、知りながら悪意で、加計学園問題を報道しているとしか思えません。

悪意があってもなくても、これは非常に問題です。それに、野党の議員の中には、企業に勤めた経験のない人もいるかもしれませんが、上記で掲載した企業の文書管理の実態など知っておくべきです。そうでなければ、政治家はつとまりません。

いずれにしても、文書の面からも、ブログ冒頭の高橋洋一氏の主張からも、どう考えても加計学園問題における「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えとしかいえない代物であることは間違いないようです。

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