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2012年6月6日水曜日

岡田副総理に学生から厳しい声“公約違反”“増税しても増収できない”中央大で講演―【私の論評】中央は、まともだ!!他大学の学生は一体どうなっているのか?

岡田副総理に学生から厳しい声“公約違反”“増税しても増収できない”中央大で講演


2日、都内の中央大学で講演した岡田克也副総理の「一体改革」の説明に会場の学生から厳しい意見が相次ぎました。

岡田氏は消費税増税はすべて社会保障のために使うという破綻ずみの説明を繰り返し、さらに「みなさんには申し訳ないが」と、就職難の学生の現状に遠慮しながら、国家公務員新規採用を2年間で56%削減すると宣言。「明日の安心」と題する「対話集会」ながら、若い世代の将来を不安で暗くする集会となりました。

これに意見した学生たち。「民主党はマニフェスト(政権公約)で4年間は(消費税の)増税はしないといっていたが、増税ありきになっている。内閣支持率は30%を切った。増税も6割が反対だ。民主主義の観点から大いに疑問がある」(商学部1年男子)など辛口が続出。

応援の意見もありましたが、岡田氏は「マニフェスト違反だとは思っていない」「『けしからん』というなら、次の選挙でそういう投票行動をしてもらえばいい」と強弁。公務員削減への疑問も「日本の財政からみるとやむをえざる苦渋の決断」だと切り捨てました。

また、「税率を上げて不景気になれば税は増収できない」(法学部1年男子)との声も。岡田氏は「はっきりといつ経済が回復するかを示すことはできない」と理解できない説明に終始。財政の借金が減らなければ「もう1回増税するかという話だ。2015年前後にもう1回考えて国会で議論するしかない」と、将来の再増税にまで言及しました。(信)

中央大学多摩キャンパス


【私の論評】中央は、まともだ!!他大学の学生は一体どうなっているのか?
上の記事、共産党の赤旗新聞ということで、取り上げてみました。左翼系からも、増税は反対されているということです。民主党は左翼政党であるにもかかわらず、共産党とは異なる主張をしているということです。しかし、もともと、政権交代選挙においては、民主党も「増税」など、全く触れておらず、菅さんが、総理大臣だったときの参議院選挙で、自民党の谷垣総裁が、「増税」を言っていたのに呼応して、増税を主張して、選挙に臨んだものの、結果は、惨敗でした。その結果、いわゆるねじれ国会なるものができあがりました。

2010年参議院議員選挙で、演説する谷垣氏と、菅氏
中央大学の学生の対応、当然のことと思います。これが当たり前の反応だと思います。そもそも、マクロ経済学など学ばなくても、高校の経済・社会の授業で、「景気が悪いときには、政府は、大規模な財政出動を行って、公共工事を大々的に行うとか、減税を行い、日本銀行は、金融緩和策として、お札を増刷したり、金利を低くする」、「景気が良すぎて、加熱したときには、政府は、緊縮財政を行い、大規模な公共工事を控えたり増税などを行い、日本銀行は、金融引き締めとして、お札の増刷をしないとか、金利を多角する」と習うはずです。このような教え方をしないような、教科書は、教科書検定を通らないでしょうし、そんな教え方をしない高校は、文部省の指導要領に反するということになります。

であば、デフレの現在は、不況なのですから、増税などとんでもないということです。この時期には、減税をするというのが正しいありかたです。そうして、政府は、大規模財政出動、日本銀行は、金融緩和をすべきということてず。こんな当たり前の真ん中のこととに、全く反することを、政府も、日銀こぞって実行しつつあるということです。

しかし、こんなやり方は、経済学の常識に反しており、先ほどの高校の事例でいうまでもなく、全く間違いです。そうして、現在の経済の状況下で、増税するなどと答えるようでは、それこそ、センター試験ですら合格できません。こんな、馬鹿で愚かなことを多数の政治家が主張しており、日銀も主張しており、さらに、新聞がこれを後押ししているという全く不思議な状況にあるのが、今の日本の現状です。

そんな中での、岡田副総理の中央大学での講演です。しかも、その内容は、増税に関するものです。これに対して、会場の学生から厳しい意見が相次ぐのは当然のことです。それにしても、これと同じようなことは、野田首相が慶応大学で同じような講演をしていましたが、そこで、公演を聴いていた学生たち、何か、大人しく黙って聴いていたようでした。だから、私は、非常に奇異に感じました。私の感覚からすれば、中央大学の学生のような反応が当然のことと思います。大学の先輩てであるというのなら、話はわからないでもないですが、岡田さんは、東大出身ですし、野田さんは、早稲田出身です。


今の時期の増税の間違いを示す査証は、他にも事実による裏づけがいくつもあります。たとえば、あの「復興税」なる言葉消えうせました。今、これを主張する人は誰もいなくなりました。なぜなら、間違いであることがはっきしているからです。昨年この復興税を正当化するために、財務省は、世界で、増税によって、復興を行い、成功した事例を探したようです。その結果、結局、世界にはそのような国はどこにもないことが判明しました。もし、そのような国があったとしたら、財務省ならびに、これに追随する大手新聞も、「○○国では、復興税で大成功!!」と一大キャンペーンを打っていたことでしょう。しかし、それはできなかったということです。

復興税なる言葉はなぜ消えた?
地震などの大災害があったときに、増税するなどという不埒なことをした政府は古今東西どこにもありません。そんなこと、経済的な知識がなくても、良く考えてみればわかることてず。ただでさえ、被災した人たちが、生活に困窮するときに、増税なんぞしたあかつきには、普通の国なら、暴動になってしまいます。

被災したときなど、普通の場合は、減税はありえますが、増税などまったくありえないことです。そうして、これには、日本でも先例があります。それは、関東大震災のときです。関東大震災のときは、日本政府は、すみやかに、国債を発行しましたが、当時の日本は、今のように豊かではなかったため国内での国債の引き受け先が、少なかったので、海外でも売り出したのです。要するに、外国から多大な借金をして、復興にあたったのです。震災の3ヶ月後には、いまでいうところの、復興庁のような組織をつくり、海外からの借金で、本格的な復興が始まったのです。

関東大震災で全壊したチャータード銀行 大正12年
そうして、その直後に政府は、減税をしました。歴史を振りかっても、このように減税の例は、あっても、増税などという馬鹿げたことをしたなどという事例はありません。それに、過去の消費税増税でも一度も、増税前の税収をうわまわったことはありません。

この事例を見ても、増税がいかに馬鹿げたことがお分かりになると思います。さすがに、復興税は、影を潜めましたが、未だ、あの日本が財政破綻するなどという馬鹿げたことを言っていますが、これも、あきかに間違いです。それに関しては、過去にこのブログにも過去に再三にわたって、掲載してきたことなので、ここでは、新たに詳細を説明はしません。それに関しては、下の【関連議事】のところに、URLをコピペしておきますで、それを参照なさってください。

中央大学2011年ミスコントップの冨張愛さん

しかし、これだとて、過去の歴史を虚心坦懐に振り返れば、別に経済の知識がなくても、容易に理解できます。それは、先に述べた、関東大震災での復興資金の調達です。国債を発行したものの、日本国内では、消化しきれず、外国に多くを買ってもらいました。

これに比較して、今の日本はどうでしょうか、復興のために大量の国債を発行したとして、全部を国内で消化できます。昔の日本とはまったく異なるということです。こんなことを書くと、また、国債が暴落するなどという愚か者もでてきますが、現実には、全く異なることが、起こっています。たとえば、最近では、日銀が国債の買いオペ(日銀が金融緩和の一環として、市中銀行が保有している国債を買い取り、市中に出回るお金を多くすること)をしたところ、何と札(ふだ)われを起こしてしまいました。

札われとは、日銀が、この買いオペをするにあたって、市中銀行がこれに応募するわけですが、実際に日銀が予定していたよりも、市中銀行が応募して、実際に銀行が日銀に売ろうとした、国債の額面価額が下回ったということです。それに、最もわかりやすいのは、円高です。財政破綻する国の通貨は、価値が下がりまずか、上がることなどありません。たとえ、日銀が円を増刷しないという諸事情があったにしても、これだけ、上昇するなどということはありません。財政破綻するというなら、通常は、円安になるはずです。円安にならず、円高になるということは、少なくとも、国債為替市場は、日本が財政破綻するなどと考えていないことのあらわれです。お金とは、正直なものです。

ということは、日本国債は、暴落するどころか、超人気ということです。だから、市中銀行でも、日本国債が品薄状態になっているということです。であれば、国内で調達できるということであれば、国債を発行しても、日本国の借金にはならないわけですから、どんどん発行して、限度一杯くらいまで、発行すれば良いのです。

それにしても、今の日本は、過去の日本とは違いますから、数百兆円も発行すれば、復興には十分だと思いますので、毎年百兆円ほど、数年間発行して、徹底的に復興ならびに、他の必要不可欠な、公共工事などをやれば良いわけです。そうして、日銀も、デフレ是正のため、金融緩和措置を実施し、増刷をすればよいわけです。

慶応大学ミスコン2011グランプリの浅見明日香さん
そうなれば、復興は、もとより、デフレ克服もできます。そうなれば、増税なんぞしなくても、税収が増えます。こんなことを言うと、ハイパーインフレになるなどいう輩もいまずか、今は、デフレです。日本が、いつからデフレになったかといえは、公開資料でみれば、1998年からです、今2024
年ですから今年で、26年目になります。26年目ですよ!!これは、全く異常なことです。失われた10年という言葉は、つい最近のことのように思われていましたが、もうすでに、失われた20年になっており、しかも、すでに、失われた、30年に近づこうとしているのです。

国債をこれだけ、発行しろとか、円を増刷すれなどという私の意見を奇異に思う人もいるかもしれません。しかし、これは、どこの国でも、デフレを抜け出すときには、当たり前の事実です。私は、26年間継続して、デフレだったことのほうが、よほど奇異に感じられます。これを脱けだすためには、このくらいのことを思い切ってしなければ、抜け出すことはできません。というよりは、これは、他のアメリカなどの先進国では当たり前のことです。ただし、あまりやりすぎて、効き目がなくなっているのが、今のアメリカの姿です。日本は、26年間もこのようなことをやってこなかったのですから、一度くらいやったからといって、そんなに悪影響などでません。

日本経済に対して悲観的な考えを抱いており、日本経済は、このまま落ち込む一方で、駄目になってしまうと信じ込んでいる人たちもいるようですが、そんなことはありません。その根本原因は、国民にあるのではなく、20年以上にもわたって、緊縮財政を続けてきた、政府、こちらも、20年以上にわたって、金融引き締め政策をしてきた、日本銀行にあるのです。

今は、増税などすっとんきょうな馬鹿真似をするときではありません。まずは、緊縮財政をやろうとする政府と、日銀を成敗すべきです。



こんな状況にあることを中央大学の学生は、理解しているということです。それにしても、慶応大学の学生は、野田首相の話をきいて、なんとも思わなかったのでしょうか?それとも、思っていても、何もいわなかったということでしょうか?そんなことは、ないと思います。このへんのところ、事情通の方がいらっしゃいましたら、是非コメントをいただきいたものです。

さて、こまま、今の時期の増税など許容していたら、失われた30年が確定していましいます。だからこそ、中央大学の学生のように、増税には、ノーといいましょう。次の選挙では、緊縮財政を標榜するような政党には、ノーをつきつけましょう。日銀法を改正して、中央銀行の役割は、政府の金融政策に従い、その手段を専門家的立場から、選ぶ自由があるという本来の形に戻すことを主張する政治家に投票しましょう!!



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2012年5月16日水曜日

《書評》検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む 倉山満著―【私の論評】大蔵省復活、日銀白川を打て!!

《書評》検証 財務省の近現代史 政治との闘い150年を読む 倉山満著:

倉山満氏自身のブログの扉
明治に入り、政府が政策課題を実現するため、税金の徴収機関として設置された大蔵省(現財務省)。憲政史家である著者が、日本の近代史を陰で支えてきたその知られざる歴史と、税金を中心とした政治との関係を考察した。

病苦を押して職務に邁進、殉職同然に死去した藤井真信、戦時体制の中で「増税無限ループ」に抵抗した賀屋興宣、石渡荘太郎、青木一男、占領期に日本のグランドデザインを描いた下村治、高度成長を演出した森永貞一郎、石野信一など、一般にほとんど知られていない財務官僚たちの姿にスポットを当てている。

また、デフレ不況の中での増税路線が本当に正しいのかも、併せて検証している。


【私の論評】大蔵省復活、日銀白川を打て!!


私は、このブログで、デフレで不況であるときに、増税などもってのほかであること、これは、緊縮財政の一つの手法であること、また、日銀が金融引き締めばかりやることを非難してきました。そうして、多くの人たちが、デフレに慣れてしまっていて、デフレを前提として物事を考えるいることに警鐘を鳴らし続けてきました。

デフレは、経済の病というより、深刻な癌と考えて良いくらいの大病です。私は、過去のブログで、今の日本の状況を癌をわずらったサラリーマンにたとえてきました。

映画『クワイェットルームへようこそ』より
現在のこのデフレの状況下におい、財政バランスが崩れているからといって、これをデフレの克服の前に何とかしようなどという考えは、癌を患ったサラリーマンが、癌の手術をすれば、長期間入院しなければならず、そうなれば、会社を長期間休まねばならず、会社に迷惑をかけてしまうという理由で、入院しないサラリーマンのようなものです。

これは、本来まずは、入院して、癌を治すことが先決です。そのまま放置して、入院しなかった場合、癌は、あちこちに転移して、取り返しがつかないことになり、いずれ、サラリーマン自身が命を失ってしまいます。


これは、本当に簡単な理屈なのですが、ただし、このデフレ、あまりにも緩慢にすこしずつ、日本経済を侵食していくので、多くの人が"ゆで蛙"状況になってしまっているようです。

日本の経済は、成熟化していますから、いわば、癌のたとえにすると、このサラリーマンある程度歳がいっているので、癌の進行が遅いというような感じです。それにしても、癌は癌であり、放置しておけば、いずれ、天寿を全うすることなく死んでしまうことになります。

このようなことを考えていると、情報を集めるようになります。その中の一つがこの書籍です。最初この書籍を手にした理由は、財務省といえば、従来は、日銀も配下にある、旧大蔵省であり、いわば、エリート中のエリートであり、日本を明治時代から、ずっと導いてきた役所であるはずなのに、なぜ今増税に舵取りをするのかということです。

大蔵省錦絵
営利企業である会社でも、国でも、結局は、何をするにしても、お金の裏づけがなければ何もできません。だからこそ、大きな会社であれば、CFO(財務担当最高責任者)などという役職もあるくらいです。まさに、日本国のCFOが旧大蔵省であったはずです。政治家が何を言おうと、結局のところ、予算が割り振られなければ何にもできないわけです。その意味で、予算は、国家の意思です。その国家の意思を策定してきたのが大蔵省です。旧大蔵官僚だった人から、大蔵省の激務ぶりについても、聴いたことがあります。

関東大震災で瓦解した大蔵省
一番驚いたのは、国会の予算委員会などで、大蔵大臣や大蔵次官が質疑をしているときに、相手側が思いもかけない質問を投げかけてきた場合でも、大臣などは、その質問に対して答えるための「ペーパー」を要求するそうです。そのペーパーがなければ、かなり叱責されるため、予めあらゆる状況を想定して、ペーパーを作成しておくということを聴いたことがあります。

参議院予算委員会の一こま

それを聴いて、さすが、エリートは違うと思いました。そんなエリートであるはずの人々が、なぜ、この失われた10年というか、もうすでに20年になりかけているのに、それを放置して、それどころか、マクロ経済的にいえば、禁じ手とも言っていいような増税をするのか、それに、昔は、大蔵省の一部であった、日銀も、なぜこのデフレの最中に、金融引き締めばかりしているのか、どうしても合点がいかず、この疑問を晴らしてくれる情報はないのかと、いろいろ探していました。

その結果、この書籍に行き着いたというわけです。さて、この書籍を読んで、私の疑問は随分解消されたと思います。とにかく、現在の状況ばかり語るのでなく、大蔵省の生い立ちなどの歴史から、解説されているので非常に理解しやすかったです。

大蔵省庁舎

私のような疑問を抱く人には、この書籍かなり価値があります。是非読んでみてください。

アマゾンの書籍の説明など、以下に掲載してきます。
◎ 著者の言葉
これまで一部の研究を除いては、大蔵省が注目されることはあまりありませんでした。
明治以来の通史、しかも大蔵省の立場で、さらに政治というセンシティブな問題に着目してとなると、初めての試みだと思われます。
これはまるで、未開の地を探検する冒険者のような心境です。 
◎ 内容紹介
財務省とは、国の歳入と歳出を管理する官庁、すなわち税金を集めて予算として配分する役所であり、前身の大蔵省以来、「戦後最強の官庁」として日本に君臨してきた。しかし、明治以来、大蔵省ほど絶大な力を持ちながらも注目されてこなかった組織はない。そして今、財務省はデフレ不況下での増税を企んでいる。「増税やむなし」の空気が流れる中、これは本当に正しい選択なのだろうか。 
気鋭の憲政史家が大蔵省・財務省の歴史にメスを入れ、百五十年の伝統を検証しながら、知られざる政治との関係、「増税の空気」の形成過程を描き出し、日本再生への道を綴った本邦初の試みとなる意欲作。 
◎ 目 次
はじめに
第 1 章 大蔵省の誕生 ---- 財政の専門家とキャリア官僚制の起源 (1873-1923)
第 2 章 日本の最強官庁へ ---- 守護神・井上準之助の登場 (1924-1931)
第 3 章 パンドラの箱 ---- 大蔵省史観の「異物」 (1932-1945)
第 4 章 占領と復興 ---- 知力を尽くした戦いの歴史 (1945-1955)
第 5 章 復興から高度経済成長へ ---- 池田勇人のグランドデザイン (1955-1965)
第 6 章 三角大福、赤字国債、消費税 ---- 「無敵」大蔵省に忍び寄る悪夢 (1965-1982)
第 7 章 失われた十年 ---- 政治家に振り回される大蔵省 (1982-1996)
第 8 章 平成と未来の日本 ---- 財務省は「伝統」に目覚めるか (1997-2011)
おわりに
*推奨参考文献*
◎ 著者プロフィール
倉山満(くらやまみつる)
1973年香川県生まれ。中央大学大学院文学研究科日本史学専攻博士後期課程単位取得満期退学。
在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員。
現在、国士舘大学講師。社会人を対象にした「帝国憲法講義」が注目を集めている。専門は憲政史。
著書に『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)、
編著に『総図解よくわかる日本の近現代史』、
共著に『総図解よくわかる第二次世界大戦』(以上、新人物往来社)がある。
倉山満氏ご自身のブログのURLは、以下です。

http://www.kurayama.jp/modules/wordpress/index.php

さて、この書籍あまり解説してしまうと、読む楽しみを奪ってしまうと思いますので、詳しい解説はしません。



この書籍を読んで、私が結局倉山氏がいいたかったことは、大蔵省復活ならびに、日銀白川討伐であると思いました。とにかく、政治家の皆さんには、必ず読んでおいてもらいたい書籍です。それに、一般の人も読んでおいても損は絶対にないと思います。特に、現在の若い人たち、日本の歴史をあまりに知らなすぎです。日本の近現代史という観点からも読んでおいて、ためになります。自分の国の歴史も良く知らないようでは、そもそも、今の時代や将来も本質的には理解できません。



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2012年4月23日月曜日

古谷主税局長 歴史的答弁「デフレ下の増税は税収減らす」−【私の論評】増税などの緊縮財政は、デフレを克服してからの話!! コルセットだって、締めてばかりいては、色気もなにもあったものではない!!

古谷主税局長 歴史的答弁「デフレ下の増税は税収減らす」

西田昌司「参議院予算委員会 質問 2012.4.4」


上の動画の説明、以下のように素っ気のないものですが、実は、消費税の増税に関して、歴史的答弁といっても良いくらいの答弁がなされています。
参議院予算委員会にて質問
・小川法務大臣の問題について
・中国農産物等輸出推進協議会問題について
・消費税の増税について
動画の45分くらいから47分くらいが歴史的答弁です。私は、西田議員での国会質問は、見られるときは、見ているのですが、この画像は、見逃していました。本日は、このブログにも時々登場する上念 司氏のツイートにこのことが掲載されていたので、このブログでも、これを話題とします。

【私の論評】 増税などの緊縮財政は、デフレを克服してからの話!! コルセットだって、締めてばかりいては、色気もなにもあったものではない!!

さて、以下に西田議員と、古谷主税局長とのやりとりの核心部分のみを掲載します。

西田参議院議員
「デフレ下で増税したら、税収は増えますか?」

古谷一之財務省主税局長
「減ります」
 西田参議院議員 
大事なことなのでもう一度繰り返します。
「デフレ下で増税したら税収は増えますか?」

古谷一之財務省主税局長
「減ります」

西田参議員議員
ちなみに、主税局長とは、徴税の責任者のことです。財務省主税局とは、財務省のサイトからそのままコピペすると、以下のような仕事をしています。
主税局は、国の税制の企画・立案を行っています。
税制は、我が国の経済社会活動を適切に運営するために必要な公的な財やサービスを提供するため、国民各層にそのための経費の負担を求める仕組みです。
現在、我が国は、少子・高齢化社会や経済活動のグローバル化に直面しています。主税局は、公平(税を負担する能力に応じて課税する)、中立(経済活動に歪みを与えないようにする)、簡素(国民に分かりやすい仕組みにする)の3つの租税原則を踏まえながら、毎年度の税制改正(年度改正)を通じて、その時々の経済社会の実像や将来像、さらには、財政の実像や将来像に留意しながら、望ましい税制「あるべき税制」の構築に取り組んでいます。
一般の人にもわかりやすいように言うと主税局長とは、マルサの総元締めです。

古谷さん、よくここまではっきりと言い切ったものだと思います。この答弁を引き出した西田さんの手腕んも大したものだと思います。

なぜ古谷さんがここまで踏み込んだ答弁をできたかといえば、まるで、すみからすみまで、増税オンリー派のように思われた財務省の中にも、古谷さんのように増税反対派が存在していて、しかも、地位からいって、その頭目とみ目されることです。、なんてばらしてはいけません。このような動きも見逃さないためにも、国会答弁はできたら見た方が良いです。今回は、増税の話題ですが、その他のことも良く理解できることがあります。そうはいっても、朝から晩まで、逐一リアルタイムでみていられるとは限りません。

そんなときに備えて、twitterなどで、その道の専門家など、フォローしておけば、テレビや、動画など、みるべきものをツイートしたりしています。私も、上の動画は見逃していて、いわゆる専門家のツイートをみていたら発見したものです。


それにしても、デフレの時期の増税など、上のグラフをみても理解できるように、絶対に税収はあがらないことは、すでに、マクロ経済学でも、証明ずみですし、全くマクロ経済学を知らなくなても、過去の統計を調べれば、デフレ時の、増税は、失敗することははっきりしています。

下のグラフは税収を示したものです。日本政府の税収は、最も多いときには、60兆円を超えていました。それが、昨年は、40兆円台です。では、60兆円を超えなくなってから、現在まで何があったかといえば、ほとんどの人が忘れているようですが、消費税の3%から、5%への値上げです。これを実施して以来一度も、消費税が3%であった時の税収を上回ったことはありません。

それから、消費税を導入したときには、一時税収があがっていますが、この時代を思い返して見れば、土地価格は毎年上昇し、家賃も上昇し、物価もあがり、賃金も上昇するのが当たり前でした。そうして、こんなことは、ここ20年ないことなので、大方の人は忘れているのではないかと思います。それに、若者は、誰一人知らないと思います。もう、日本は、統計数値でも明らかなように、20年近くもデフレになりっぱなしです。そんなときに、デフレ対策を打つとして、減税をはじめとする政府による、積極財政をする、日銀による、金融緩和をするというのならわかりますが、増税して、緊縮財政をするとか、日銀によって、金融引き締めばかりやってきたというのが実態です。

先日は、日銀が金融引き締めばかり結果として行うことについて、これがなぜいけないかについて、女性のガードルを例にとって述べました。詳細は、当該ブログをご覧いただくものとして、以下にその部分を掲載します。
経済とは、バランスが重要ですから、いくら、金融引き締めが、日銀のDNAであるからといって、常時引き締めをやっていれば、目だった引き締めなど永遠にできないのは、当たり前のことです。どこかで、緩めて、どこかで締めるということによりはじめて胸躍る、大胆な、引き締めができるというものです。
 
こんなこと、何も小難しい経済理論でなくても、理解できることです。たとえば、ガードルやブラだって、全部締めていれば、たるみが目立たないだけになるだけです。全部緩めていれば、そもそも、何の役にもたちません。やはり、締めるところは締めて、緩めるところは緩めるから美しい曲線が造形できるのです。全部締めっぱなしだと、色気も何もあったものではありません。
財政だって同じことです。財務省には、日銀と同じような、「緊縮財政が勝ち」というDNAがあるのでしょうか?あるのかもしれません。なにせ、日本では、江戸時代から、財政対策というと、「緊縮財政」を行って、もともこもなくしたという記録が残っていましすし、それに、アメリカに端を発した、あの世界恐慌では、日本も大きな影響を受けていて、いわよる昭和恐慌にみまわれていましたが、そのときの対策も、結局「緊縮財政」でした。これを高橋是清が、これを改め、積極財政に踏み切ったところ、日本はすばやく不況から脱することができました。

現在も、昭和恐慌のときと同じように、デフレが長期間続いています。緊縮財政がDNAだったにしても、華麗で大胆な、緊縮をするためには、どこかで、財政を緩めてなければ、いつまでたっても、大規模な緊縮財政はできません。であれば、大胆な緊縮財政をやるためには、どこかで、財政をゆるめて、大規模な公共工事など行う必要がります。今の日本は、民主党が「人からコンクリート」というスローガンで、結局緊縮財政です。この緊縮財政も、20年も続き、公共工事など、先進国中では、最低レベルの水準にまで、落ち込んでいます。そのため、耐用年数が過ぎて、わたれなくなった橋や、トンネルなどがでてきています。これから、年数を経ればもっとでてきます。そのうち、崩落するものもでてくるでしょう。まさに、今は、本来的には、公共工事のやりどきだと思います。

そうして、こんなこと、何も難しい経済理論など知らなくても、簡単に理解できることです。そうです、あの女性用のコルセットだって、ウエストをくびれて見えるように、胸から下を腰から上を締めています。これが、胸も、腰から下もすべて締めたらどういうことになるでしょうか?そうして、しまえば、うのくびれたウエストの線はだせまんせん。そうなれば、色気も何もあったものではありません。

やはり、緩めるとろは、緩めて、締めるところは、締めるから、豊かで美しいカーブを造詣できるのです。経済だって、金融だって、普段の私たちの生活だってそうです。いつも、締めてばかりいては、駄目になることは目に見えています。
 しかし、こんなことは、本当は、財務省の人たちは、全員了解ずみの簡単な理屈だと思います。だからこそ、いままで、増税一辺倒だと思われていたのに、古谷主税局長は、上のようにまともなことをことを答弁しています。ということは、緊縮財政は、財務省のDNAとばかりも言い切れないようです。

財務省としても、このまま増税して、緊縮財政を続ければ、非常に経済が停滞してまずいことになるというのは、十分理解しているのではないかと思います。ただし、野田さんや、谷垣さんの財政ブレーンである、財務省トップは異なるのだと思います。この人は、もう退官するのが近いですから、自分の名誉だけに注目して、最期にはなばなしい、増税という緊縮劇を演出したいのだと思います。去る人は、どうでもいいでが、これからも、しばらく財務省に残り続ける若い人たちは、一体どうなるのでしょうか?

民主党は、そのころには、とっくに政権の座から降りているから、どうでもいいのかもしれませんが、そのころには、民主党とは別の政権が政権を担っていることとなります。そうなれば、時の政府は、増税による悪影響をまずは、民主党政権時代の負の遺産ということで、野田さんや、当時の閣僚のせいであることを公表するでしょう。そうして、その頃には、民主党は野党になっているか、雲散霧消しているので、その頃の政権や、国民の憤怒の矛先は、財務省に向かうことになります。

そうなれば、財務省のいわゆる増税派には、降格その他の厳しい措置が待っていると思います。それこそ、降格はもとより、あの日銀独立による、大蔵省解体財務省設立のように、財務省自体が解体の憂き目にあうかもしれません。そうして、その頃には、与党にいるか、野党にいるかはわかりませんが、きっと、徹底的に、財務省の増税派を追求することでしょう。当然、民主党の責任も追求するでしょうが、何といっても、財務省への風当たりは強くなるでしょう。第二の「ノーパンしゃぶしゃぶ」事件も発生するかもしれません。

そんなことにならないためにも、古谷主税局長は、あのような答弁をして、自らの意思をはっきりさせたのだと思います。あるいみ、アリバイ作りのようなところもあると思います。財務省のかたがたには、省益のためにも、自らの保身のためにも、増税には、反対していただきたいものです。こうした背景から、今回の古谷氏の発言は、歴史的な答弁になると思います。



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