Kindle Fireは、200ドルという価格と『Amazon Prime』およびAmazonエコシステムとの強力な連携により、タブレット経験を試す安価な方法を求めている人たちにとって、最適な選択肢となっている。それは、おもに動画と電子書籍によるコンテンツ消費を中心とする、非常に「Amazon的」なタブレット経験だ。
一方、iPadの潜在顧客は、Apple社の大規模なアプリケーション・ライブラリーはもちろんのこと、iPadのコンテンツ制作ツールにも魅力を感じている人たちだ。新しい『iPad 3』でもこうした機能は拡充される見込みだが、Kindle Fireが対象とする顧客層は、これらに関心を持たないだろう。
「いまから1年もたてば、『Amazon』はiPadに続く確固たる2番手として、タブレットにおける『Android』と同義語になるだろう」と、米Forrester社のアナリスト、サラ・ロットマン・エプスは昨年8月に書いていた。この予測は正しそうだ。
【私の論評】日本のメーカーはiPadとKindle Fireの本質を理解せよ!!
iPadとKindle Fireは、アメリカでは実質上すでに、市場を二分しているといっても良い状況です。確かに、累計台数などで比較すればKindle FireはiPadと比較すれば、実際に発売されてから間もないので上の記事のような表現になるのでしょうが、統計をとって比較すれば、もうそれは見えていると思います。昨年でさえ、Kindle Fireはすでに、Android市場の半分を占めていました。これは、驚くべき成長です。この趨勢は、もう変わることはないでしょう。なぜ、このように伸びるのかということは、このブログに私なりの考えを掲載したことがあります。それは、これからIKEAのような物理的店舗を多数持つチェーンが有利になるという内容の記事のなかにおいてでした。詳細は、その記事をご覧いただくものとして。要点だけ掲載させていただきます。
これらの企業がわざわざ、自社独自のタブレット端末を開発したのは、両社とも独自の窓口を持つためです。eコマースは、提供されたばかりのころは、パソコンを通じての買い物というだけで、他の業態よりも、かなり差別化実現することができました。また、実際に物理的な店舗を持つよりは費用もかからないため、規模の小さなものも含めて、乱立した時期がありました。
しかし、現在では、かなり淘汰されて、弱小eコマースはどんどん消えていきました。なぜかといえば、既存のeコマースは、パソコンのブラウザを仲介して、買い物をするという形式でしたので、顧客からすれば、自宅にあるパソコンから覗き見るいくつもあるサービスの一つということになり、差別化が困難だったからです。既存のAmzonなど、eコマースも様々な手法を駆使して顧客との関係を強化して、差別化を実施してきました。
既存大手eコマースが、それなりの投資をしている状況下で、Appleは、iTunesなどで、eコマースに参入をしはじめました。しかし、Appleにとって、これだけ他社が差別化している状況で、さらに、差別化を図るということは、既存の技術や、手法などでは困難を極めたのだと思います。既存のeコマースでは、ユーザーはwindowsパソコンや、他社製のブラウザによって、eコマースをすることになります。
そうであれば、Appleのeコマースも差別化するのは、困難になります。そこで、スティーブ・ジョブズが、徹底的な差別化をするために、考え出したのが、iPhoneであり、iPadということです。そうして、ご存知のように、iBooksや、これらで用いるアプリなどは、iPhoneやiPadでないと購入することはできません。これは、差別化どころか、分離といっても良い囲い込みです。そうして、これが、iPadやiPhoneの本質です。
この本質に気づいたのが、Amazonであり、これも、他社パソコンや、ブラウザなどとの徹底した差別化を図るためのがジエットです。これによって、Amazonは、窓口を徹底的に差別化できるわけです。さらに、silkというブラウザによって、ユーザーが、Amazonにアクセスする際の最適化も図っています。このようなことによって、両社とも、徹底的に他eコマースに差別優位性を確立することに成功したわけです。
これらのことを両社が進める理由は他にもあります。それは、以前述べたように、物理的店舗を多数持つチェーンが、eコマース、O2Oなどを実施して、これらを統合して新たな業態を創設した場合、両社にとってかなり強力なライバルになることを予期しているからです。O2Oとは、インターネットの情報サイトや電子マネーなどのサービスと実店舗での購買行動などを結ぶビジネスを総称するものです。ここでは、本題ではないので、以前書いたブログの記事を参照して頂きたいと思います。
物理的店舗を多数持つ、チェーンは、一つの目的に向って多くの人を雇って動かさなければならないということで、その運営はeコマースなどと比較すれば経費もかかり大変です。しかし、差別化ということでは、eコマースよりも、かなりしやすいです。何しろ、eコマースは物理的店舗など存在せず、販売員んも存在せず、すべてがバーチャルです。これらのチェーンの物理的店舗そのものは、いままで、顧客接点である顧客と直接的には、ITの恩恵を受けることはありませんでした。むろん、POSなどはありましたが、これは、顧客と直通かかわるものではなく、あくまで、バックヤードのものです。
ところが、O2Oは、直接顧客にかかわるものです。これらを装備した、物理的店舗を多数持つチェーンが、eコマースを本格的にはじめたら、これは、既存のeコマースをかなり脅かす存在になることと思います。だこらこそ、そうした時代に備えるためにも、IPad、Kindle Fireが必要なのです。こうして、考えると、必然であったといっても過言ではないと思います。このことに、随分まえから気づいていたのが、スティーブ・ジョブスです。だからこそ、彼は、Apple Storeを開設したのです。そうして、その試みは、いままで、大成功を収めてきました。それは、Appleが画期的な新製品を発表したときの、Apple Storeでのお祭り騒ぎをみていただければ十分に理解していただけるものと思います。このようなことは、Amazonにはできません。しかし、Amazonには、これを補ってあまりあるほどの、eコマースの実績があります。
しかし、そのことに気づいていない企業がたくさんあります。今日もテレビをみていたら、日本のテレビメーカーが韓国メーカーに負けていることなど放映されていました。日本のメーカーは、Appleや、Amazonが、なぜ独自のタブレットを開発したのか、その真の意味をわかっていないようです。これを理解せずに、単に映りが良いとか、デザインが良いとか、高機能なテレビやタブレット端末、パソコンばかりの製造している限りにおいては、利益が少ない差別化のできていない素材産業のような存在になってしまうと思うのは私だけでしょうか?
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