2017年11月25日土曜日

官僚の裁量、もっと国会が「縛り」を 「森友」検査院報告にみる「やっぱり」―【私の論評】「もりかけ」だけなら、次の選挙で立民・希望はダブル消滅(゚д゚)!

官僚の裁量、もっと国会が「縛り」を 「森友」検査院報告にみる「やっぱり」

森友学園問題について、会計検査院が国会に報告した。今2017年3月6日、参議院予算委員会において会計検査院に森友学園に対する国有地売却について会計検査を行うように要請があり、それに基づき、会計検査院が検査したものだ。

その報告書の所見において、「国民共有の貴重な資産である国有財産は、適正に管理及び処分を行う必要があり、国有地の売却等に当たっては、財政法第9条第1項等の規定の趣旨を踏まえ、定められた手続を適正に実施して公平性、競争性、透明性等を確保し、かつ、十分な説明責任を果たすことが求められている」とし、「今回、会計検査院が検査したところ、検査の結果に示したように、国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた」とした。

森友学園を巡る問題について、会計検査院は「十分な根拠が確認できない」とした

なぜ「入札」にしなかったのか

要するに、8億円余り値引きの算定に十分な根拠が確認できないうえ、検証に必要な資料が十分残されていないというわけだ。

筆者は、早い段階から本コラム(3月9日配信「財務省の『森友答弁』はおかしい~」)で、森友学園問題の本質は、財務省官僚に裁量を与えすぎて入札にしなかったり、文書の保存をしなかったりした事だと言ってきた。つまり、安倍首相や夫人の関与などはなく、財務省の地方組織である近畿財務局の杜撰な事務チョンボということなのだが、それが会計検査院の報告書でも確認されたといってもいいだろう。

そもそも、筆者は「入札」にしなかったことを事務チョンボの最たるものとしている。会計検査院の報告書では、その点には言及せずに、「入札」ではなく「随意契約」にした場合には各種見積もりや合理的な算定根拠が必要だが、それらを怠ったということで、問題指摘している。そもそも、入札であれば、そうした見積もりや合理的な算定根拠は不要で、入札手続きさえ適正にしておけばよかった。

会計検査院の所見のはじめのところで、「定められた手続を適正に実施して公平性、競争性、透明性等を確保」と書かれているが、それは言外に入札にしておけば良かったのに、というのが会計検査を実施した検査官の思いではないだろうか。

文書の保存がないのは酷い

野党は、これでもまだ首相や首相夫人の「関与」というのだろうか。実は、筆者が財務省の事務チョンボを指摘したのは9か月ほど前であるが、その時やそれ以降はマスコミや野党はもっぱら首相や首相夫人の「関与」と言い続けていた。そのため、財務省の問題がスルーされていた。そうしているうちに、5か月前に、近畿財務局は値引き売却価格で買い戻した。これは、森友学園の小学校設置認可申請の取り下げに伴うものだが、結果として値引き売却による国民の損失はなくなった。不当な値引きで安い売却でもあっても、安い同価格で買い戻したからだ。

もちろん、これで近畿財務局の事務チョンボが許されるわけではないが、国民には実損を与えていないと、近畿財務局は言い張るだろう。

しかし、文書の保存がないのは酷い。公文書管理は政省令に委ねられ官僚の裁量が大きいところだ。もっと国会で縛りをかけるべき分野であるので、国会はそうしたところでしっかり仕事をしてもらいたい。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「ついにあなたの賃金上昇が始まる!」(悟空出版)など。

【私の論評】「もりかけ」だけなら、次の選挙で立民・希望はダブル消滅(゚д゚)!

私も、森友問題に関しては、かなりはやい段階で高橋洋一氏の以下の動画をみていたので、森友問題では、野党何もできないだろとうと踏んでいました。実際その通りになりました。以下にその動画を掲載します。


この動画は今年の3月30日のものです。高橋洋一氏は35分あたりのところで語っています。その部分のみを以下に掲載しておきます。

"
これは大阪の近畿財務局が関係している話です。このての案件は全国にあるんです。本省(財務省)は関係なくて、現場の話(財務局の話)なんです。

近畿財務局
(森友学園の土地の件で)朝日が非常に安く売ったのが問題だとさわいだり。安倍首相と首相夫人がからんでいるじゃないか。といっていたが関与はなかった。

とにかく、安倍さんをやめさす、という話と一部メディアが結託して、それに野党がのっかっている。という感じがしますね。

なので、本当の話をしますネ。国有財産については、ふつう ノンキャリの人がやるんです。今回の土地の件は、現場レベルで慎重にやるべきだった。というのが私の意見です。
この土地について、財務局の初期段階のミスがあたわけです。財務局としてやってはいけないいくつかのミスが積もり積もって今回の話になっている。

最初のミスを取り返すためにいろいろやって今回の騒ぎになっってしまった。問題になった大きな土地は、伊丹空港の発着経路のところ。

騒音問題があって、その土地の当初の担当は航空局だったのが騒音問題がなくなって、財務局にその土地の担当がまわってきた。その大きな土地のざっくり言って半分ぐらいを豊中市に売った。

豊中市に土地を売ったのは2009年。当時は、民進党が政権の時だった。(国土交通副大臣が辻本清美の時)その時、財務局は、その土地の値段を14億2千万円とした。

ここに最初のミスがある。実は、その大きな土地は、ゴミがうまっている土地だったのだ。それを財務局は、ゴミが埋まっている土地であると豊中市に言わなかった。

豊中市にいわずに、土地の値段を14億2千万円だと言った。ゴミがうまっている土地ならこんな価格にはならない。14億2千万円の土地の価格は、ゴミが埋まっていない場合の土地の評価額。
つまり 最初から財務局がゴミがうまっていることを正直に話して、その土地を入札にかけていれば、今回のような問題はおきなかった。当時 民進党が事業仕分けなどしていて補助金があった。その土地を豊中市が買うときに、国から補助金が14億円出た。

なので、残りの2000万円で豊中市は、その土地を買うことができた。こういうことが同じ場所でたくさんおきている。

だけど トラブルにしないですんだのは国から補助金が出たから。豊中市は、補助金が出て14億円ださずにすんだからもういいや。という話になってしまった。

もし、普通の業者が この土地を買うとなったときにはこれは訴訟問題になる。訴訟(そしょう)で訴えられたら、財務局が負ける案件だ。

さて、大きな土地の残り半分の土地の買い手を財務局は探していた。そこのそばの大阪音学大学に売ろうとしたがうまくいかなかった。そこですぐ出てきたのが森友学園さんだった。

そのときすでに豊中市の事例について財務局は、ゴミがうまっていたのはわかっていて、それを言わなかった。財務局が籠池さんに提示したのが年間賃料が4000万円。財務局はわかっていて、ふっかけた。

篭池氏
「ちょっと高いんじゃないの?」と籠池(かごいけ)氏が言った。ゴミがうまった土地だと籠池(かごいけ)さんにいえばよかったのに言わなかった。

ところが当然、籠池さんは実は、そういう問題のある土地だと最初から知っていたから、財務局の弱みを知っていて、値段をさげさせるために交渉する。

しかし、交渉がうまくいかないので、それで、籠池さんは、鴻池(こうのいけ)さんに相談に行った。

その時の 鴻池(こうのいけ)さんの交渉(こうしょう)記録がある。途中トラブルがたくさんあった。

財務局がゴミ処理の業者をよんで話をきいたら土地のゴミ処理に10億円かかると知った。つまり、土地を10億円で売っても ゴミ処理に10億円かかる。

これではしょうがないからゴミを埋め戻せという話になる。これを場内処分という。

ゴミがあると本当は土地は安いはずです。こういうことを知っていた籠池さんは、土地の賃料を4000万円から2000万円に安くしていった。

最初から 財務局が ごみ処分して、土地をきれいな形にしてから入札すれば何の問題も出てこなかった。

ぜったいに、あとでつつかれないように土地の入札をするのが鉄則なのですが、それをやらなかった。そこを籠池さんにつけ入れられた。

だから財務局が値段をさげてなんとかかんとか売った。という話です。ゴミが埋まっているのを知っていて、随意契約をしてしまったのが問題。

訴えましょうか?と言われたら財務省がビビりますからね。訴訟案件がある場合は、かならず記録をとっている。

鴻池さんの記録6枚と業者の記録1枚を見ればすぐわかる話なのです。
"

つまり、お役人さんたちは、ゴミがうまっているような土地の価値が0円のような土地でも、高いお金をふっかけて売ろうなんてことをしているのですね。

しかも、土地売買にかかわる政治家や官僚さんなどが儲かるように、最初に高くふっかけて土地の値段を数十億円にしておくというのが、詐欺の仕事の大事な第一ポイントになっているのでしょう。

そして、国の補助金というお金で「国が助けて出しておいたよ~」といえば、残りのお金しかださなくてすむ買い手は助かったと思っている。いずれにしても、二重にだまされているわけです。

0円ぐらいの安い土地に対して2000万円支払って買っているし、国から出た補助金の「数十億円」は もとは国民から預かった税金です。こうした補助金詐欺の案件が全国にあるということなのですね。

税金の無駄遣いをしていたのが財務局というか財務省と民進党だということがよくわかる話でした。この話に出てくる財務局が 豊中市に14億2千円万で売った土地の話。

それが辻元清美が国土交通副大臣の時にかかわっていた「野田中央公園」のことでしょう。

民進党(現:立憲民主党)の辻元清美のことは、やはり追及していかなくてはいけないということです。

この内容、もう随分前からわかっていたわけですが、それを野党や新聞もとりあげることなく、結局会計検査院の報告書が11 月であり、結局高橋洋一氏が語っていたことに近いことが行われていたということで、首相や首相夫人の関与は全くなかったわけです。

野党や新聞はこれからも追求を続けるつもりのようですが、一体誰を追求するというのでしょうか。やはり、首相、首相夫人なのでしょうか。それでは、本質をつくものとはいえません。

やはり、財務省を追求すべきです。しかし、なぜか新聞も野党も、財務省は追求しないようです。結局野党も新聞も財務省を追求するだけの能力がないということです。

そりゃそうです。安倍総理や、総理夫人を追求し続けても何も出てこなかったのですから、普通は追求をやめるか、矛先を変えるのが普通です。しかし、未だに矛先を変えないのは、結局財務省は追求しないということです。

財務省をはじめとする、官僚を責めない、あるいは責めることができないということは、結局のところ、政府を運用する役人は責められないということです。責めれば、野党も新聞などのマスコミも、独自の情報源もないし、他の情報源を見つける能力がないので役人を本格的に叩くことはできないのです。

経済のことでも、財務省に役人を徹底的に責めると、新聞も野党も経済が理解できていないので、役人から情報をもらえなくなることを恐れているのです。そもそも、経済情報役人の発表情報だけとしいうのが、日本のマスコミ・野党のお粗末なところです。

そうして、結局役人にとって都合の良いよう情報ばかりを集めたり、聴いているというのが、野党やマスコミの大部分なのです。

こんなお寒い、状況では野党もマスコミもやはり「もりかけ」を継続する以外に道はないのでしょう。

 立憲民主党と希望の党は両方あせせても議席数は130までいかない。これは大惨敗。
しかし、今回の衆院選では、特に元民進党は、立憲民主党と希望の党を合わせて、少なくとも議席数が130を超えていれば、少なくとも党勢を維持することはできました。

議席数が両方あわせて、100と少しという状況では、どうみても大惨敗です。この状況では、党をまともな状況にもっていくだけでも数年はかかるでしょう。にもかかわらず、あいかわらず「もりかけ」でお茶を濁すことしかできないとすれば、元民進党である立憲民進党と希望の党は、次の選挙で今度こそダブル消滅です。

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2017年11月22日水曜日

「イヴァンカ基金」報道でわかるマスコミの呆れた経済リテラシー―【私の論評】テレビに国際・経済報道を期待でないわけ?

「イヴァンカ基金」報道でわかるマスコミの呆れた経済リテラシー

イヴァンカ・トランプ氏

そもそも「イヴァンカ基金」ではない

トランプ大統領の長女で大統領補佐官を務めるイヴァンカ・トランプ氏が来日し、連日動向がメディアで取り上げられた。そのなかで物議を醸したのが、氏が主導した「イヴァンカ基金」に日本政府が5000万ドル(約57億円)を出資するとしたニュースだ。

国のトップクラスの名前を冠したファンドは珍しいようにも思えるが、そもそもこの基金の目的は何なのか。政府はどのような意味合いで57億円もの巨額を拠出することになったのか。

これについて、各メディアは「安倍首相 イヴァンカ氏基金に57億円」との見出しで報道した。これに否定的な反応を示した人々も少なくない。たとえば社民党の福島瑞穂参議院議員は、ツイッターで「安倍総理がトランプ大統領にプレゼントをしたように見えかねない。なぜこのタイミングなのか?しかも個人的なプレゼントではない。みんなの血税だ」と投稿。

たしかに報道の字面を見ると、安倍首相がトランプ氏一家のご機嫌取りに血税を使ったように取られてもおかしくない。

だが、実際のところ単なる「プレゼント」とは大きく違ったものだ。まず、メディアでは「イヴァンカ基金」と通称で呼んでいるが、正式名称は「女性起業家資金イニシアティブ」といい、イヴァンカ氏個人のファンドではない。途上国の女性起業家が直面する制約を解消することを目指し、ワシントンにある世界銀行に設置されている。

ちなみにこの拠出は'17年7月にすでに発表されていて、日本以外にもすでに12ヵ国が拠出を表明している。つまり、わざわざ今回の訪日に合わせて準備した資金ではないということだ。

ダブルで「おいしい」投資先

そして今回の出資について「血税をつぎこんでいる」というのも、再考の余地がある指摘だ。なぜならこの57億円は、税金主体の一般会計からも拠出できるが、普通であれば政府が保有する「外貨準備」から拠出するのが通例だ。

外貨準備とは、相場の急変動への対応や対外債務の返済に用いられる準備資産であり、そのほとんどが政府の外国為替資金特別会計という名目で保有されている。

外国為替資金特別会計は短期債券を発行し、その資金で外債を購入して運用している。こうして生まれた外貨準備の残高は1・2兆ドル(約137兆円)ほどで、税金そのものを拠出したわけではないといえる。

また、外貨準備は債券が原資であるから、一定の収益がある。現時点でその利回りは1・7%程度といわれるので、単純計算で年間204億ドル(約2・3兆円)の収益がある。

つまり、外貨準備の中から57億円を拠出するというのは、年間収益のわずか0・3%程度を出すだけにすぎない。しかもこの資金はあくまで「拠出」で、タダで寄付しているわけではない。「イヴァンカ基金」が成功すれば日本の国際的評価も上がるはずだ。

いわば、国が財テクで儲けたそのわずか一部を別の分野で再投資しているだけにすぎない。メディアの報道があまりに不十分なことには驚くが、それを鵜呑みにして過剰反応する国会議員にも呆れてしまう。

しっかりと国のおカネの仕組みについて学んでいれば、このようなことも発言しないのだろうが。

【私の論評】テレビに国際・経済報道を期待でないわけ?

昨年の大統領戦記では、ほぼすべての日本のマスコミがトランプ大統領の登場を予測することができませんでした。これには、それなりの背景があります。それは、今でも変わっていません。だからこそ、今回のいわゆる「イヴァンカ基金」についてもまともな報道ができないのです。そもそも、正しい報道をして欲しいと願うこと自体が間違いなのです。

民放では日々国際ニュースが流されているがその信憑性は?
今回は、主にテレビ報道について述べます。

そもそも、日本の特に大手メディアのワシントン支局に何人くらいテレビ局員いるのでしょうか。

これは、テレビ局によって多少の違いはありますが、基本的には2人です。支局長と平の人と、あとは現地採用の人です。あわせ、4人から5人というところです。NHKは、これよりは少しは多いくらいのものです。

この状況で、東京から送り込まれてニュースを日本全国に届けるわけですが、これでは、取材力がないわけです。では、どのようにして、選挙情勢分析してるいるのかといえば、それぞれ系列局と報道協定結んで報道をしているのです。

たとえば、米国ABCと日本のNHK、日本テレビとNBC、CBSとTBSが、報道協定を結んでいます。日本のテレビ局が、報道協定を結んだ先の米国のテレビ局が出した情報をそのまま日本で報道してしまいます。

米国のテレビ局は基本的にリベラルに占められていて偏っています。テレ朝などは、完全に米CNNの情報絶対に正しいという前提で、報道しています。

さらに、日本のテレビ局の、多くが駐在するワシントンにいるとさらに、それが全然わからなくなってしまいます。昨年の大統領選挙戦で、得票数見れば、ワシントンでは93%もクリントンに入れています。

ワシントンにいるとクリントンが勝って当然だという感覚になるのです。昨年の大統領戦では、トランプが勝利宣言をすることになったわけですが、これに対する日本のテレビ局の準備がほとんど出来ていませんでした。

クリントンが勝つから、クリントン側から勝利宣言を夕方中継するということで、キャスターはスタンバイ始めるわけですが、パスを取らないとそこには入れません。そうして、そのパスをクリントン側からしか取っていないと、急にトランプ勝ちそうだぞとなってももうトランプ側の勝利宣言の場には、行くことができないのです。

このような準備が全く不足していて、日本のテレビ局のほとんどが、トランプの勝利宣言をほとんど報道できなかったのです。これは、当時池上氏の選挙特番でもそうでした。

池上氏の選挙特番では、安藤ゆうこキャスターは現地に行ってから、日本で言われているように、ヒラー優勢ではなく、トランプ優勢であることを初めて気付き、突然レポートの内容が変えました。
一方で池上彰氏は直前に1回アメリカに行っにもかかわらず、ヒラリーが絶対に優勢という前提で、全部原稿準備していたので、特番の中では、ヒラリーに関することしか言えないような状況になっていました。

池上彰氏の米大統領選挙特番
日本のメディア、テレビ局は、このような手薄な状況で、アメリカの内情分析をしているのが実体なのです。

これは、本当に手薄で、その場で必要がなければ翻訳の人が常時いるわけではないですから、今日はニュースは無いというときには支局員は支局に詰めることもなく帰宅していまうのです。

そのため、アメリカで何か大きな事件が急に起こった場合には、支局長が支局員に電話して報道局来てもらわないと支局は機能しません。だから、急に大きな事件が発生すると、報道にタイムラグがおきてしまったりします。国内のように、泊まり番というのはいないのです。

ただし、NHKは泊まり番も存在しますが、その中には、中国人のスパイ等がなにくわぬ顔で潜り込んでいて、それが大きな事件が起こったときに偶然泊まり番をしていて、直後の報道がかなり偏っていたりすることもあるのです。

そもそも、日本のテレビ局は、情報分析能力自体が、かなり手薄なのです。あまりにも手薄なので、ある民法は、アメリカ大統領選挙はどうなるのかという番組では、自分の局の米国駐在員の話を報道するのではなく、日本人の商社関連の識者を呼んでき報道するというようなことをしていました。

本来商社の人に話を聴いても、正しい情報が得られるとは限らないのですが、それでもなぜそのようなことになかといえば、そのような商社員に毎月勉強会という形でアメリカ事情を語ってもらう勉強会をやっているからなのです。

この局の報道関連の人達は、きっと彼は情報を持っていて正しい判断をするに違いないと信じているようで、だからこそ勉強会をやっその情報を結構アテにするのです。

結構そういう有名商社の誰々という権威に結構頼ってしまったりするのです。これは、何も国際報道に限った話ではありません。例えば捜査系の報道、特捜部系の報道では、元特捜OBのコメンテーターの人が番組に登場することが多いです。

そういう人が勉強会をやっていて、後輩捜査員に対して「おぅどういうネタがあるんだ?」などと聴いて集めて報道ネタにするということが良くあります。昔若狭さんがそれやっていました。

経済ネタでは、例えば竹中平蔵氏がテレビ局の報道関係者を受講者に含む勉強会を主催していました。報道関係者は自分の足でネタを得るこもなく、そこから放送ネタを得てきて、報道するというようなことが行われていましたし、今でもそのようなことが行われています。放送局の報道は、このようにしてなされているわけで、これでは情報内容は偏ってしまいます。

そもそも、偏るというよりは、まともなリサーチャーもアナリストもいないということです。日本では、良くテレビなどはリベラル左翼側に偏向していると批判されることも多いですが、本当はそれ以前にこのような根本的な欠陥があるのです。

根本的には、思想が右か左などというレベルではなく、そもそもレベルが上か下という問題です。NHKがかなり偏向しているということで批判される人々も多いですが、さすがにNHKは少なくともレベル的には上です。それには、報道局に十分な予算が割かれているということが大きいです。

ある民放局では、どうせニュースなんかスポンサーまともに付かないし、儲からない部署ということで、赤字部門扱いされてしまい、その局の有名会長が報道局部門のリストラを実行してしまいました。それに他局も右ならえをしてしまい、全民放が過去にかなりリストラをやってしまいました。そのため、現在ではどの民放もそもそも報道局は、予算もあまりつかないですし、報道局などに在籍しても出世のためには良いことではないのです。

再び昨年の、米国の大統領選挙にもどすと、トランプを一生懸命支えたネットニュースのブライドバードニュースがあります。ここの報道など当時の日本のテレビは全く触れませんでした。しかし、あのニュースを視聴していれば、トランプ陣営がどう動いてるのだとか、どういうことをやろうとしているのか、すぐにわかりました。

このサイトは、米国内でも有名でしたし、日本国内でも米国事情通の間では有名でしたが、日本の民放関係者は、このサイトの存在も知らなかったのです。

テレビ局のブレーンになるようなコメンテーターのおじさんおばさんは、このようなサイトをチエックすることもなく、恣意的にコメントするだけです。まともな識者がブレーンになっていれば、勉強会をまともなり、上で述べたようなことにはならないはずです。ブレーン選びがそもそも間違っているわけです。

例えば毎月勉強会をしなくても、こういうことが起きたから、こういう本を出した先生を一回呼んで勉強会やりましょうということで勉強会をすれば良いのでしょうが、そのような形式では行われていません。レギュラー番組のキャスター等を呼んで勉強会をするというようなことが行われています。

日本の日米関係は重要であるとするマスコミの大統領の報道でさえこのような状況の中で行われていたということです。

米国大統領選の報道ですら、この体たらくですから、普段のニュースはもっと酷いのです。それこそ、日本の民放の報道は、ADさんが貧乏物語に支えられるといっても良いくらいです。

たとえば、昨年の大統領戦記でレディー・ガガの掲げた「love trumps hate」を誤訳してしまった人は、年収200万くらいで、極端んことをいうと段ボールで寝てて、ロケ弁をタレントさんが置いてったものを2つ3つ持って帰って家で食べる飢えをしのいでいるような人かもしれません。


テレビ局の正社員は20歳代でも、平均で900万1000万程の給料を守らているのが普通です。ところがその下で実務の仕事をしている人たちは、年収200万くらいで、ブラック的な環境に甘んじているわけです。これでは、取材もまともにできないです。

そもそも、現在ではコスト削減でもうカメラ出すこともできない程なのです昔は1日で3か所取材などのことがあって、ADの人たちも、仕事させすぎだろ殺す気かって怒ってたほどなのです。今は1日1回出動するかしないかです。

だから経済産業省とか省庁の取材系は、昔はカメラマンもいて、カメラマンが映像をとって取材は取材に集中できました。しかし、今は記者が自分で回すのです。
メモをとれないのでボイスレコーダーで録音しながら、自分でカメラで撮影するのです。

このような酷い状況の中で、こういうテレビ番組を見て政治家などがアメリカ情勢をもし判断しているとすると、これブラックジョークの世界です。政治家や、政府関係者はそもそも(民放ニュースを)信用すべきではないです。

外務省も金が無くて情報収集分析が全然出来ない状況で、人と会うためのお金ももらえないから困っているようなところがありますが、テレビ局もお金が無いから情報収集できない状況です。特に、現場の記者は全部自腹といっても良い状況です。
2000年より前は、逆に使い過ぎてたくらいでした。たとえば、ロシア、モスクワで一番羽振りがいいのはテレビ局の記者なんじゃないかってくらい遊んでいた時代がありました。

それが、ある日突然あるテレビ局の某経営者がいきなりリストラクチャリングを始め報道局の人を減らし、取材コストを下げるってことが始まったのです。この方は、もう亡くなられた経営者で渡辺恒雄さんの友人ですが、その人がそれで結構コストを下げて経営がうまくいったので、どの局もみなリストラに走り現在のような状況になってしまいました。

先にも述べたように、結局今の日本のメディアって右左という問題ではなく、能力が下になってさらに、下に下がり、調査も分析も全然出来ない状況の中で、結果的にアメリカの提携テレビ局の言っている情報を鵜呑みして、それを横文字を縦文字にするのも間違えるくらいの状況に置かれているということです。

上で述べたように、大統領選挙ですら、民放は、正しく報道できなかったわけですから、「イヴァンカ基金」に関して報道できないのは当然といえば、当然です。

新聞報道は、テレビ局とは状況が異なりますが、こちらもまともな報道ができない状況にあります。こちらは、すでにこのブログでも何度か述べていますが、いずれまた別の機会に現状を掲載していこうと思います。

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2017年11月21日火曜日

「日本は借金まみれ」という人の根本的な誤解―【私の論評】政府は不死身!日露戦争の戦費は外債で賄った(゚д゚)!

「日本は借金まみれ」という人の根本的な誤解

「政府の借金」と「家計の借金」は同じではない

村上 尚己 : マーケット・ストラテジスト

日本の経済メディアでは、「金融緩和・財政政策拡大をやりすぎると問題・弊害が起こる」という論者のコメントが多く聞かれる。

日銀は本当に「危険な金融緩和」を続けているのだろうか


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実際のところ2008年のリーマンショック直後から、米国の中央銀行であるFRBは、国債などの大量購入に果敢に踏み切り、それが一足早い米国経済の正常化を後押しした。その後、2012年の第2次安倍晋三政権誕生後の日銀総裁・副総裁人事刷新を経て日本銀行はFRB(米国連邦準備制度理事会)にほぼ4年遅れる格好で大規模にバランスシートを拡大させる政策に転じた。
これが、アベノミクスの主役となった量的質的金融緩和政策が始まった経緯である。筆者には日本のメディアがこれを正しく伝えているようには思われず、いまだに日銀は「危険な金融緩和」を続けているなどといわれている。
実際には、最も金融緩和に慎重とされたECB(欧州中央銀行)も含めて、多くの先進国の中央銀行は大規模な資産購入拡大を行っており、日銀もその1つにすぎないというのが投資家の立場での、筆者の見方である。つまり、雇用を生み出し国民生活を豊かにするために、米国などで実現している金融緩和政策が、日本でも2013年になって遅ればせながら実現しただけである。始めるのが遅かったのだから、FRBよりも日銀の出口政策が遅れているのは、やむをえない側面がある。
また、アベノミクス第2の矢とされた拡張的な財政政策は、政府部門の債務を増やす政策である。「日本の財政は危機的な状況にある」というのが通説になっている。
「借金が増え続けている」というフレーズだけを聞くと、不安に思う一般の人々が多いのは仕方ないかもしれない。たとえば年収500万円の人が、1000万円の借金を抱えることになれば、その負担が大きいのは確かだ。そして、日本は国民1人当たりの借金が数百万円に達するなどと頻繁に伝えられている。
しかし、メディアでいわれる「日本の借金」とは、個々の家計が抱える借金とはかなり異なるのが実情である。国民1人当たり数百万円の借金があるという言い方は、機械的に計算するとそういう数字が出てくるだけにすぎない。
これは、日本の財政状況の危機が深刻であるかのように政治的にアピールする方便の1つだと筆者は常々考えている。この事実を理解するには、政府・企業・家計という主体別にバランスシートを分けて考えたうえで、俗にいう「日本の借金」は、実は政府の負債であり、家計や企業から政府が借金しているという貸借関係を頭に入れる必要がある。
そうすると、「日本の財政状況は、家計が大規模な借金を抱えている状況」というイメージと実情がまったく異なることが理解できる。よく知られている話かもしれないが、政府部門では、2017年3月末時点で、借金である国債などが1052兆円の負債として計上されている。

政府は借金の一方、日本人は国債という資産を保有

だが、政府よりも大きなバランスシートを持つ金融機関と家計・企業によって、この1000兆円規模の国債(政府負債)の多くが「資産」として保有されている。つまり、政府は借金しているが、一方で日本人が「国債という資産」を保有していることになる。
実際に国債を大量に直接購入しているのは銀行、生命保険会社などの金融機関であり、約1000兆円の国債などを金融機関が資産側に保有している。
一方、家計・企業が国債を資産として保有している分は限られる。ここで、なぜ銀行や生命保険会社が国債を大量に保有するかを理解する前提として、金融機関と家計・企業のバランスシートの関係を理解する必要がある。
金融資産を蓄積している家計・企業の預金や保険料(将来の保険支払いに充当する)が、金融機関にとっての負債に相当するが、その見合いで金融機関は何らかの金融資産を保有しなければならない。その投資先が、1000兆円規模の安全資産である国債になっているわけである。
政府負債である国債をめぐる貸借関係を整理すると、家計・企業の預金(約1200兆円)を原資にして、金融機関を通じて、政府の負債である国債のほとんどが国民によって金融資産として保有されているということになる。要するに、政府部門は1000兆円の負債を、家計や企業などの国民から一時的に借りているだけである。
これを理解すれば、日本人全体でみれば、たとえば500万円の収入の家計が、収入の2倍の規模(1000万円)のローンを抱えているというイメージと、現実がまったく異なることが理解できるのではないか。「借金大国日本」のイメージはバランスシートの1面にフォーカスしているだけで、バランスシートの別の部分をみれば、家計・企業の収入は500万円あるが、同時に安全資産である1000万円の金融資産を保有していると言うこともできる。そういえば、日本は大変豊かな国である、と多くの方は感じるのではないか?

財政健全化に傾倒する「緊縮策」は危険な思想


「緊縮政策への傾倒克服を通じて日本人の生活はより豊かになる」――。筆者の見解をまとめた新著『日本の正しい未来 世界一豊かになる条件』が11月21日発売です。クリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
米国の経済学者である、ブラウン大学のマーク・プライス教授は、財政健全化などを至上命題とする政策を「緊縮策(Austerity)」として、それに傾倒する考えを、危険な思想であると批判している。日本においては、金融市場・経済当局・メディアの関係者の多くが、この「危険な思想」にとらわれているように筆者には見える。安倍政権になってからの2014年の消費増税の失政により、脱デフレ完遂に時間がかかってしまった経緯などをみれば明らかに思える。
日本が「借金まみれ」というのは誤解で、むしろ実際には世界一の資産保有国である。財政赤字や公的債務問題は、日本の「有権者」が自ら選んだ政府に一時的に貸している資産(借金)が増えている、というだけである。そして政府から有権者である国民への借金返済ペースは、国民経済を豊かにするために、余裕を持って決めることができる。性急な増税が妥当な政策なのか、われわれ国民は冷静に賢く判断できると筆者は考えているが、「危険な思想」に傾倒した方々には、冷静な判断が難しいのかもしれない。
【私の論評】政府は不死身!日露戦争の戦費は外債で賄った(゚д゚)!

個人の借金と政府の借金は異なる
「日本は借金まみれ」という言説は間違いであるということは、ブログ冒頭の記事で十分に説明されいて、これ以上付け加えることはないようにも思います。

唯一付け加えると、政府は不死身のようなものですが、人の命には限りがあるということです。国という存在は、世代を超えて受継がれていくものですが、個人はそうではありません。

だから、国の借金を個人や家計の借金と同じように考えるのは根本的な間違いです。個人よりも、企業などの組織、さらに政府ともなれば、膨大な借金を長期間続けても問題はありません。だから、企業や政府はお金を潤沢に借りることができるのです。

逆に、短命な個人は、企業や国などと比較すれば、僅少な借金を短期間しかすることはできません。個人は、自らの収入などに見合った短期の借金しかできないし、してはならないのは当然のことです。

そうして、今の日本はブログ冒頭の記事にもあるように、政府は外国から借金をせず、国内から借金をしているだけです。逆に外国には世界で一番多く、お金を貸している国でもあるのです。

しかし、このような日本も昔は外国から借金をしていたときがあります。たとえば、日露戦争の戦費のほとんどは外国からの借金に依存しました。

そうして、日本政府の先達たちは非常に厚い信用を創ってきました。日本は1905年に日露戦争に勝利して戦争を終えました。しかし多額の借入を背負いました。次の年の1906年からイギリス銀行団とユダヤ人銀行家ジェイコブシフに戦費の借金返済をし始めました。

そしてなんと返済をし終えたのが日露戦争が終わってから82年後の、1986年だったのです。日露戦争の借金を返し終えたのは比較的最近のことです。日本人は借りたものは必ず返すのです。だからこそ、皆さん安心して国債を買うのです。そして日本政府はどんなに時間がかかろうとも必ず返済するのです。

日露戦争の戦地
日露戦争当時の日本は、そのような信用は勝ち得ていませんでした。日露戦争の費用は国家予算の8年分で国債を発行して賄われました。日露戦争の費用は総計で19億8612万円でした。当時の国家予算は2億5000万円だったので、8年分です。

この内、14億7329万円は国債で賄いました。4分の3は借金によって賄われたわけです。では、この国債を日本はどのようにして、消化したのでしょう。

それは、14億7329万円は国債の内、13億円が外債として、外国に引き受けてもらったのです。

しかし、日本の国債を外国に買ってもらうというのは困難なことでした。当時は世界中のほとんどの国が、ロシアと日本が戦争をすればロシアが勝つと思っており、負けると思っている国の国債を買うはずもありません。

この困難な仕事を引き受けたのが、当時、日本銀行の副総裁であった高橋是清なのです。日露戦争が開戦するとすぐに、外債募集のためにアメリカ、ヨーロッパに高橋是清は派遣されます。

高橋是清
当初のアメリカもヨーロッパも日本に投資(国債購入)をしませんでした。高橋是清は、まずアメリカに向かいました。

しかし、当時のアメリカは豊かな国だったのですが、未開の地が多く残る発展途上の国でもあったことで、アメリカ自身がヨーロッパから投資をしてもらっている段階であり、日本に投資をするような状況ではなかったので、外債の募集は難しかったのです。

当時の日本は担保になる資源も無く勝てる見込みも無くまだまだ、国際的な評価が低い状況でした。

次に高橋是清は、ヨーロッパに向かいますが、ここでも結果はあまり良くありません。

当然のことながら当時の日本は、国際的な評価が低くアジアの小国に過ぎなかったので、ロシアに勝てるわけはないと思われていることから、外債を買ってくれる国は現れませんでした。

さらにもう一つの理由が、日本には担保になるものがないことです。ロシアには、広大な国土と鉱山があったので、もし戦争に負けてもそれを取ればいいのですが、日本にはそれに当たるような資産はありませんでした。

よって、ヨーロッパ諸国は日本には金を貸さずに、ロシアにばかり投資をしていたのです。しかし、高橋是清は諦めずにイギリスに向かい成果をあげました。

なかなか外債が売れないままでしたが、日本は日露戦争の直前に同盟を結んでいたイギリスを当てにしていました。

しかし、イギリス人は日本人が思っている以上にシビアで、同盟は結んでも、お金を貸すことは渋り、同盟はあくまでもロシアの脅威から自国を守るためのもので、日露戦争での日本の勝利のためにお金を貸すことではないと考えていたのです。

それでも高橋是清は諦めず、イギリスの銀行家たちを説得し、なんとか500万ポンド分の国債を買ってもらいました。

政府から申し付けられていた額は1000万ポンドでしたが、それでも売れないよりは良かったのです。

やっとの思いで、イギリスで国債を発行できたことのお祝いで、イギリス人の知人が高橋是清を晩餐会に招待してくれました。この晩餐会で彼は、幸運にめぐり合います。

晩餐会には、アメリカ国籍ユダヤ人の銀行家ジェイコブ・シフも招待されていました。高橋是清はジェイコブ・シフに、日本の経済状態についてや、日本の国債を1000万ポンド発行しようとしていることを話しました。

アメリカ国籍ユダヤ人の銀行家ジェイコブ・シフ
すると、ジェイコブ・シフは、売れ残っている500万ポンドを引き受けると言いだしたのです。それには理由があり、当時のロシア帝政が、ジェイコブ・シフと同じユダヤ人を迫害していたのです。

日本と戦争をしてロシアの国力が弱まれば、ロシア帝政は倒れる。そのために、日本に加担しようと考えたのです。

ジェイコブ・シフの協力は、日本が日露戦争を続ける上で多大なる貢献となります。ユダヤ人の迫害を続けていたロシアに日本を勝たせたかった

ジェイコブ・シフは、ロシアにユダヤ人の迫害をやめさせるように様々な努力をしていました。

ヨーロッパ各国に働きかけたり、ロシア政府に抗議したこともあります。さらに、ジェイコブ・シフは、ロシア政府にお金を貸してもいました。

これには、お金を貸すからユダヤ人の迫害をやめてくれというメッセージでした。それでもロシア政府はユダヤ人の迫害をやめません。

このような経緯があり、ジェイコブ・シフは日本に加担することを決めたのです。

一方その頃、日本軍はロシア軍との激突を繰り返していました。日本軍は、1904年4月30日に鴨緑江の渡河作戦を行い、作戦は圧勝となり、日本軍は次々に占領していきます。

これにより、欧米での日本の人気は高まり、高橋是清はようやく当初の予定の外債を消化できたのです。

日本にとって、鴨緑江の渡河作戦は、外債のためにも絶対負けられない戦いでした。もしこの作戦で戦いに負けていれば、日本は外債が消化できず、戦闘が継続できなくなり敗戦していたかもしれません。それぐらい、日露戦争は綱渡り状態だったのです。

鴨緑江の渡河作戦の成功により、イギリスとアメリカで発行された日本の国債は、申込者が予定の数倍以上になり、発行銀行には何十メートルもの行列ができるほどの人気となりました。


日露戦争の軍費は予想をはるかに超え、外債は最終的に8200万ポンド発行されました。戦争前は、1000万ポンドの国債を消化させるのにあれだけ苦労したのに、最終的には、その8倍も発行・消化が出来たのです。

その多くは、高橋是清の功績によるもので、日露戦争は高橋是清の活躍で勝利したと言っても過言ではありません。

この当時と比較して、今の日本は外国からお金を借りているわけてばなく、ブログ冒頭の記事にもあるように、日本国内からお金を借りているわけです。日露戦争当時の日本から比較すれば、会社でいえば無借金経営をしているようなものです。

人と比較すれば、不死身な政府が日露戦争当時の日本のように、個人で借りる場合と比較すると破滅的な額を借りたとしても、返済は可能なのです。ましてや、今の日本は戦争をしているわけでもないし、日露戦争当時のように外国から借金をしているわけではありません。

そんな日本を借金まみれというのは、財務省による増税キャンペーン以外の何物でもありません。私は、このような陰湿な印象操作をする人は、病的であると思います。

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2017年11月20日月曜日

日本版トマホーク、政府が開発の方向で検討―【私の論評】日本がトマホークを持つということは、先制攻撃能力を持つということ(゚д゚)!

日本版トマホーク、政府が開発の方向で検討


 政府は、地上の目標を攻撃できる巡航ミサイルを開発する方向で検討に入った。

 防衛省が2018年度から研究を始める予定の対艦ミサイルに対地攻撃能力の付加を計画しているもので、日本が対地巡航ミサイルを本格的に開発するのは初めてとなる。敵に占領された離島の奪還が主目的だが、敵基地攻撃も性能上は可能で、北朝鮮への抑止力向上にもつながる見通しだ。

 巡航ミサイルは搭載したレーダーなどによって攻撃目標に向かう精密誘導兵器で、弾道ミサイルが放物線を描いて上空から飛来するのに対し、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行する。米国の「トマホーク」と共通点が多いことから、防衛省内では開発するミサイルを「日本版トマホーク」と位置付けている。

【私の論評】日本がトマホークを持つということは、先制攻撃能力を持つということ(゚д゚)!

上の記事にでてくる、米軍の「トマホーク」とは、全長:5.56m、直径:0.52m、速度:時速880km、射程:3000kmといわれています。

「トマホーク」は主にレイセヨン社が開発した巡航ミサイルであり、高い性能と実績を持っています。開発は1970年代にスタートして、1980年から対地・対艦攻撃用の兵装として前線に配備され始めました。トマホークミサイルは使用する目標によって主に二種類あり、対艦攻撃用、対地攻撃用に分類されます。

通常のミサイルは射程は150~200kmぐらいですが、速度はかなり速いです。トマホークの場合は速度は比較的遅いものの、北海道の最北端の稚内から九州までは余裕で飛んでしまうということになります。さらに、かなり低空で飛行するため敵のレーダーに発見されにくいです。

それほどの距離を飛ばすだけでも凄いですが、誘導させて3000km先の標的に命中させることができます。

この巡航ミサイルは、デジタル式情景照合装置を使い、最終的に誤差10mまでの精度で命中させるとのことです。とはいいながら、誤爆も多いと聞きます。

これはどうやら狙った建物などの標的に、子供などの民間人がいて巻き添えを食らったため、結果的に誤爆という報道に繋がっているようです。精度は高いのでしょうが、結果的には敵のみをピンポイントで狙うということはかなり難しいことのようです。

飛行するトマホーク
トマホークミサイルは様々なバリエーションがあるため、その威力も多岐にわたります。弾頭を変更できるので、破壊力は搭載されている種類によって変わります。核搭載型もあります。

対艦攻撃型弾頭は着弾による破壊と延焼で艦の機能を喪失させる能力を持っていました。その破壊力は凄まじく、1発で通常の艦艇はもちろんのこと、大型艦も戦闘不能に陥ります。

現在運用されている対地攻撃型の中には通常弾頭の他に戦車や装甲車などの車両を広範囲で破壊するために子爆弾を100個以上内蔵したものがあります。広範囲にわたって甚大なダメージを与えることができます。さらに、地下の目標を攻撃するための強化徹甲弾頭を搭載したものもあり、地下陣地の破壊などに使用されます。

このように地上攻撃型は陣地や車両を破壊するには十分な威力があり、軍事施設も機能を喪失させることが可能です。実際にアメリカ軍が対地攻撃に使用する時は、1、2発とかではなくかなりの数のトマホークを発射するので破壊力は凄まじいものになります。

以下に、湾岸戦争の開始以来、米軍が発射したトマホークの数を国別に表示した表を掲載します。


トマホークミサイルの値段は搭載する弾頭によっても違いますが、約1億円といわれています。2017年4月にアメリカがシリアを攻撃した時に打ったトマホークミサイルの数は59発です。これだけで60億円です。日本で開発するとしても、そんなには変わらない額になることが予想できます。

日本が日本版トマホークを開発することは、北朝鮮への抑止力になる事であり大賛成です。そうして、何よりも良いのは、ミサイルなので、北朝鮮などの敵を攻撃するにしても戦闘機で空爆するのとは異なり、人的被害がおさえられるというのが、良いです。

このブログでアメリカの戦略家である、ルトワック氏による日本の北朝鮮への対応は、先制攻撃か降伏しかないという内容を掲載したことがあります。ルトワック氏は、中途半端な対応は、許されないし、北朝鮮の誤解をまねくだけになるとしています。

中途半端な態度を取り続ければ、降伏したつもりはないのに、北は降伏したものとうけとり、日本に無理難題を押し付けくる可能性もあるのです。

そんなことにならないためには、日本は現実的な対応力として、北の拠点を攻撃する能力を持つべきだとルトワック氏は主張しています。

その一つの方法として、既存の戦闘機に装備品を買い足せば、あまり費用をかけることもなくすぐにも北朝鮮に対する先制攻撃ができるとしています。

北の防空体制は、無きに等しいので、実際これでも可能なのでしょう。そうして、これが北朝鮮に対する抑止力にもなるわけです。

さらに、日本がトマホークを開発すれば、戦闘機などと異なり、戦闘によって人を失うという危険性がさらにへるわけです。

このブログでは、先日、日本も数ヶ月以上も自力で巡航できる、水中ドローンや空中ドローンを開発すべきことを主張しました。これらと、日本製のトマホークや既存の戦闘機、艦艇などと有機的にネットワークで結びつければ、かなりの戦力になると予想されます。

米国の軍事用ドローン
日本は、日本独自の軍事力を持つべきです。日本や、敵国の人員をなるべく殺傷せずに、それでいて効果的にピンポイントで敵の要衝を攻撃して、戦闘力を奪うというような方式の新たな軍事力をもつべきです。

そのためにも、トマホークは役に立つと思います。「はやぶさ」などの高度な遠隔操作技術を持つ日本が、本格的にこれに取り組めば、日本がさらにピンポイントで正確に敵の標的を攻撃できるようになり、敵の戦闘員を殺傷することを最低限にしつつ、ミッションを遂行できるものを開発できる可能性が高いです。

それにしても、日本がトマホークを持つということになれば、それはルトワック氏がいうように日本が先制攻撃能力を持つことを示していることになります。日本がそのつもりではなくても、北朝鮮や中国はそう受け取ります。そうして、かなりの抑止力になることが期待できます。

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2017年11月19日日曜日

【北朝鮮危機】朝鮮半島の最悪シナリオに備えよ 「中国が実質的に支配」なら日本は脅威を直接受けることに―【私の論評】中国が北実効支配なら習近平は寝首をかかれる(゚д゚)!

【北朝鮮危機】朝鮮半島の最悪シナリオに備えよ 「中国が実質的に支配」なら日本は脅威を直接受けることに

米中の「二大大国の覇権争い」で朝鮮半島の危機を考えたとき、日本はどう動くべきか
 朝鮮半島の危機は、単なる日米韓と北朝鮮の枠組みでとらえるのではなく、米国と中国という「二大大国の覇権争い」という構図の中で考えるべきである。例えば、北朝鮮に対する米国の先制攻撃のみならず、中国の先制攻撃の可能性も考える必要がある。

 なぜならば、自国との国境付近で核実験を繰り返し、習近平国家主席の顔に泥を塗る行為を繰り返す北朝鮮に対し、中国は激怒しているはずだ。そして、米軍の攻撃が成功し、その影響力が朝鮮半島全域に及ぶことを、中国は避けたいと思うからだ。

 中国の人民解放軍が北から北朝鮮を攻撃し、南から米韓連合軍が攻撃する案は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を排除する目的のためであれば、米中双方にとって悪い案ではない。今後、朝鮮半島を舞台とした米中の駆け引きが注目される。

 ここで、朝鮮半島をめぐる将来シナリオを列挙してみる。

 (1)現在と変化なく、韓国と北朝鮮が併存する。

 (2)朝鮮半島に統一国家が誕生する。このシナリオには2つのケースがあり、北朝鮮が主導する統一国家が誕生するケースと、韓国が主導する統一国家が誕生するケースだ。両ケースとも、米軍は朝鮮半島から撤退せざるを得ないであろう。

 (3)中国が実質的に朝鮮半島の一部または全域を支配する。このシナリオには2つのケースがある。中国が北朝鮮のみを実質的に支配するケースと、朝鮮半島全域を実質的に支配するケースだ。このシナリオでは人民解放軍がその支配地域に駐留することになる。米軍が韓国に残る場合は「北朝鮮のみを中国が実質的に支配するケース」であり、米軍と人民解放軍が38度線で直接対峙(たいじ)することになる。

(4)米国が朝鮮半島を実質的に支配するシナリオも考えられるが、民主主義国家である米国が採用する案ではないので削除する。

 以上の各シナリオに対し、日本の安全保障はいかにあるべきかを分析すべきだ。最悪のシナリオは「朝鮮半島全域を中国が実質的に支配し、中国の人民解放軍がその支配地域に駐留する」シナリオだ。

 この場合、日本は中国の脅威を直接受けることになり、この脅威に対処するためには、現在の防衛態勢を抜本的に改善する必要がある。

 いずれにしろ、北朝鮮の「核・ミサイル」の脅威は目の前にある現実の脅威であり、これに確実に対処する一方で、朝鮮半島の将来を見据えたシナリオに基づく日本の国家安全保障戦略を構築し、それに基づき防衛態勢を整備することが急務である。

 ■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書に『米中戦争そのとき日本は』(講談社現代新書)など。

【私の論評】中国が北実効支配なら習近平は寝首をかかれる(゚д゚)!

中国が北朝鮮を攻撃し、中国が実質的に朝鮮半島の一部または全域を支配する可能性については、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国、正恩氏排除を決断か 人民解放軍が対北参戦の可能性も…軍事ジャーナリスト「黙ってみているはずがない」―【私の論評】中国の北朝鮮への侵攻は新たな火種を生むことに(゚д゚)!
失脚した元人民解放軍トップ郭伯雄氏
この記事を理解するためには、まずは以下のような事実を知っていなければなりません。
人民解放軍は「国家の軍隊」ではなく、共産党の私兵です。そもそも、中国には普通の国でいう、軍隊は存在しないのです。
中国人民解放軍女性兵士?彼女らは、総合商社の一員でもある\(◎o◎)/!
人民解放軍は日本でいえば、商社のような存在であり、実際中国国内外で様々なビジネスを展開しているという事実です。そのような存在でありながら、武装もしており、いわば武装商社のような存在です。そうして中には核武装もしているという異常な組織です。
人民解放軍にはさらなる弱点もあります。中国政府が1970年代から進めた一人っ子政策で誕生した「一人っ子軍人」です。兄弟姉妹のいない環境で過保護に育てられた別名「小皇帝」が軍内部で増加。有事でまともに戦えそうにない“本性”を、災害派遣などの場面でさらしているといわれています。巨大な軍は、実は内部崩壊を招きかねない深刻な事態に直面しているのです。 
さて、このような事実を前提に、この記事にはもし人民解放軍が北朝鮮に侵攻すれば、さらなる火種を生み出すことになることを掲載しました。その部分を以下に引用します。
このような軍とは呼べないような武装組織である、人民解放軍がまともに戦えるとは思えませんが、まかり間違って北朝鮮に攻め込み、北朝鮮に進駐することにでもなれば、それこそ目もあてられない状況になります。北朝鮮は人民解放軍の不正の温床になるだけです。それどころか、金目のものといえば、武器、核兵器、核関連施設だけの北朝鮮と言っても良いくらいなので、これらを海外に売却するということもやりかねません。

かえって、治安を悪化させ、次の戦争の火種を生み出すことになりかねません。米国であろうが、中国であろうが、特に地上戦で北朝鮮を打ち負かした後に、少なくと50年くらい軍隊を進駐させて、民主的な政権を樹立して、自分たちで国を収めることができるように監視を続ける覚悟がなければなりません。

中国の人民解放軍にはそのような覚悟は最初からありませんし、そもそも民主化、政治と経済の分離、法治国家化もされていない中国の人民解放軍にはそれはできません。それこそ、腐敗の温床になるだけです。
これをご覧いただければ、北朝鮮に中国が侵攻して、朝鮮半島の一部(現在の北朝鮮に相当する部分)、あるいは朝鮮半島一部に進駐することになれば、とんでもないことになることは明らかです。

一人っ子が多い、武装商社である中国の人民解放軍は、韓国まで攻め込んで一挙に半島を統一して統治するようなことは、ほとんど無理だと思います。しかし、北朝鮮侵攻ということはあり得ない話ではないので、仮に中国が北朝鮮に進駐したとなると、現在の北朝鮮は紛争の絶えない地域になることが考えられます。

まずは、中国が侵攻したことで、北朝鮮の経済も中国のようにある程度は良くなるかもしれません。特に、中国が得意のインフラ整備を行えば、それなりに経済成長するかもしれません。

しかし、中国は他の先進国のように、これをさらになる地域の発展に結びつけるようなことはできず、中国国内のように富裕層だけが潤い、その他大勢の一般の人民は、旧北朝鮮のときと同じ程度の生活水準から抜け出ることはできないでしょう。

これが不満をよび、さらに外国に支配されているということでこれがさらに朝鮮族の不満を呼ぶでしょう。そうして、これから北朝鮮内で紛争が絶えない地域になってしまう事が考えられます。

そうして、この地域に投入される人民解放軍は、大部分は瀋陽に本拠をおく軍制改革後も、《北部戦区》と名前を変えたに過ぎず、今もって「瀋陽軍区」のままの戦区からの人民解放軍ということになると考えられます。この瀋陽軍区にも着目すべきです。



この瀋陽軍区は特に中国人民解放軍の中でも、最精強を誇り、機動力にも優れています。

朝鮮戦争(1950~53年休戦)の戦端が再び開かれる事態への備え+過去に戈を交えた旧ソ連(現ロシア)とも国境を接する領域を担任する旧瀋陽軍区には、軍事費が優遇され、最新兵器が集積されています。

大東亜戦争(1941~45年)以前に大日本帝國陸軍がこの地に関東軍を配置したのも、軍事的要衝だったからです。

習国家主席は、北京より平壌と親しいとされる「瀋陽軍区」によるクーデターを極度に恐れているといわれています。「瀋陽軍区」高官の一族らは、鴨緑江をはさみ隣接する北朝鮮に埋蔵されるレアメタルの採掘権を相当数保有しています。

これは、「瀋陽軍区」が密輸支援する武器+エネルギー+食糧+生活必需品や脱北者摘発の見返りです。北朝鮮の軍事パレードで登場するミサイルや戦車の一部も「瀋陽軍区」が貸している、と分析する関係者の話もあります。

もっと恐ろしい「持ちつ持たれつ」関係は核・ミサイル製造です。中国人民解放軍の核管理は《旧・成都軍区=現・西部戦区》が担い「瀋陽軍区」ではありません。「瀋陽軍区」は核武装して、北京に対し権限強化を謀りたいのですが、北京が警戒し許さないのです。

ならば、核実験の原料や核製造技術を北朝鮮に流し、または北の各種技術者を「瀋陽軍区」内で教育・訓練し、「自前」の核戦力完成を目指すということも考えられます。

実際、2016年、中国の公安当局は、瀋陽軍区→北部戦区の管轄・遼寧省を拠点にする女性実業家を逮捕しました。高濃度ウランを生み出す遠心分離機用の金属・酸化アルミニウムなど核開発関連物資や、戦車用バッテリーなど大量の通常兵器の関連部品を北朝鮮に密かに売りつけていたのです。戦略物資の(密輸)重油も押収されました。

しかも、北の核戦力は日米ばかりか北京にも照準を合わせている可能性があります。

その理由は以下のようなものです。
(1)北京が北朝鮮崩壊を誘発させるレベルの対北完全経済制裁に踏み切れば、最精強の「瀋陽軍区」はクーデターを考える。
(2)他戦区の通常戦力では鎮圧できず、北京は旧成都軍区の核戦力で威嚇し恭順させる他ない。
(3)「瀋陽軍区」としては、北朝鮮との連携で核戦力さえ握れば、旧成都軍区の核戦力を封じ、「瀋陽軍区」の権限強化(=対北完全経済制裁の中止)ORクーデターの、二者択一を北京に迫れる。
習国家主席が進める軍の大改編は、現代戦への適合も視野に入れていますが、「瀋陽軍区」を解体しなければ北朝鮮に直接影響力を行使できぬだけでなく、「瀋陽軍区」に寝首をかかれるためでもあります。

「瀋陽軍区」が北朝鮮と北京を半ば無視してよしみを通じる背景にはその出自も関係しています。中国は朝鮮戦争勃発を受けて“義勇軍”を送ったのですが、実はそれは人民解放軍所属の第四野戦軍でした。

朝鮮戦争時に韓国内を侵攻した中国軍
当時、人民解放軍で最強だった第四野戦軍こそ瀋陽軍区の前身で、朝鮮族らが中心となって編成された「外人部隊」だったのです。瀋陽軍区の管轄域には延辺朝鮮族自治州も含まれ、軍区全体では180万人もの朝鮮族が居住します。

いわば、「瀋陽軍区」と北朝鮮の朝鮮人民軍は「血の盟友」として今に至っています。金正日総書記(1941~2011年)も2009年以降、11回も瀋陽軍区を訪れています。

北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するには、北と一蓮托生の「瀋陽軍区」を筆頭とする反習近平派人民解放軍を習近平派人民解放軍が掃討しなければ、決着がつかないことでしょう。

2012年氷点下40度の気温のもとで、演習を実施する瀋陽軍区の高射砲部隊
中国は、国内の内戦の危険を抱えているのです。この内戦で逃げ回るのは、「瀋陽軍区」の猛攻を前に恐れをなす習近平派人民解放軍の役どころかもしれないです。

瀋陽軍区の人民解放軍が北朝鮮に侵攻すれば、金ファミリーは実権を失い以前にもこのブログに掲載したように、ロシアが亡命の手助けをするかもしれません。しかし、朝鮮人民解放軍の組織はそのまま残り、瀋陽軍区と北朝鮮軍により、いずれ中国に反旗を翻すことになりそうです。そうして何よりも、瀋陽軍区は北の核兵器を手に入れるのです。

これを考えると、習近平が自らの私兵である人民解放軍を、北朝鮮に送り込むのはかなり難しいです。もし送りこめめたにしても、瀋陽軍区と北朝鮮軍とに挟まれることになり、中国本土からの供給の道が絶たれ、兵糧攻めで崩壊するかもしれません。

かといつて、瀋陽軍区の人民解放軍を送り込めば、北朝鮮の人民解放軍と結託して、それこそクーデターをおこし、逆に北京に攻め込むということも考えられます。

以上のことから、習近平が北朝鮮に人民解放軍を送り込むことは考えにくいし、送るとすれば、それこそ習近平が命脈がつきかけているというサインかもしれません。

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2017年11月18日土曜日

潜水艦の時代は終わる? 英国議会報告書が警告―【私の論評】水中ドローンが海戦を根底から覆す(゚д゚)!


大量のドローンから潜水艦は逃げられない

海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」
 質・量ともに圧倒的な中国の軍拡と、自衛隊の予算・人員の無駄遣いによって、日本の対中軍事優位性が日々減少している。そうした中、残された数少ない対中優位性の1つが日本の潜水艦戦力である。中国は対潜水艦作戦能力が低く、一方、日本の潜水艦は静粛性が高いので、日本がこの点では有利というわけだ。

 しかし、英国のシンクタンクが議会の要請に応じて作成した報告書によれば、小型偵察ドローンが潜水艦の優位性である「ステルス性」を無力化していく可能性が出てきているという。今回はその内容を紹介しつつ、意味するところを論じたい。

何千もの無人機が潜水艦を探索

2016年3月、英国の英米安全保障情報会議(BASIC)は、科学ジャーナリスト、デイビッド・ハンブリング氏による「対潜戦における無人兵器システムの網」と題する報告書を発表した。報告書の作成を求めたのは英国議会である。英国が潜水艦型核ミサイルシステムを維持すべきかどうかを検討する材料として用いるためだった。

 ハンブリング氏の報告書の概要は、以下の通りである。

 これまでの「対潜水艦戦」(以下、ASW)は、少数の艦艇および有人機によって実行されていた。これらの仕事は、広大な荒野で逃亡者を探す少人数の警察のようなものだった。最も可能性の高い逃走ルートや隠れ家に戦力を集中させて、幸運を祈るだけであった。

 しかし、安価な無人機の登場によって、逃亡者の逃走は不可能になる。一人ひとりの探知能力は低いものの何千人もの応援が警察の側につき、隅から隅まで全域を探索するようになるからだ。

 小型偵察ドローンが米軍を中心に増加している。精密攻撃が可能な小型無人機もイスラエルなどで登場してきている。

 しかも最近の米国防総省は、大量の小型ドローンを「群れ」として使う研究を進めている。例えば、米海軍は「コヨーテ小型偵察無人機」というASW対応の小型無人機を開発した。コヨーテ小型偵察無人機は哨戒機から投下されるや飛行形態に変形し、熱センサーで水温を測定し、風速・圧力などの様々なデータを収集可能する。

 そもそも偵察機を飛ばす必要はなくなるかもしれない。米海軍が開発した小型水上無人機「フリマ―」は、今までASWの主力であったソノブイ(対潜水艦用音響捜索機器)の代替になる可能性がある。

 また、やはり米海軍が開発した「セイル・ア・プレーン」は、飛行機であると同時に偵察時は水上で帆を使って帆走し、太陽発電と波力発電で充電できる偵察機である。

 水中グライダー式の小型無人機もある(水中グライダーは推進機を持たず、浮力を調整することで水中を上下しながら移動する)。大阪大学の有馬正和教授が開発した「ALEX」は低コストの水中グライダーである。有馬教授は、1000ものALEXのような無人機の群れで構成される巨大な共同ネットワークで海洋研究調査を行うことを提唱している。

 なお、現在、水中グライダー研究でもっとも重要な国は中国である。中国は世界初の水中無人グライダー「シーウィング」を瀋陽研究所で開発している。また天津大学のプロジェクトでは、リチウム電池により年単位で稼働するとされる水中グライダーを開発した。西安工科大学も、波力発電で稼働する水中グライダーの開発に成功している。

 しかも問題なのは、近年は水中センサーの発達が目覚ましく、小型無人機がソナー、磁気探知、熱センサー、光センサー、レーザー探知装置など、あらゆるセンサーを搭載できるようになったことである。しかも、米中が開発しているタイプはいずれも何時間、何日も行動可能だからである。

 現在の「コヨーテ小型偵察無人機」の稼働時間は90分だが、燃料電池技術の進捗によりこれは近い将来に5倍になるだろうし、そのほかの技術は無限に小型無人機の飛行時間を延ばすだろう。例えばいくつかの小型ドローンは既に太陽発電や波力発電機能を備えており、80時間以上の飛行に成功したタイプもある。これは昼夜連続で飛行できるということである。また、海鳥が何千時間も連続飛行するメカニズムを応用し、風速を利用した研究も進んでいる。

きわめて遅れている日本のドローン対策

以上のハンブリング氏の論考は一体なにを意味しているのだろうか。

 それは、「National Interest」誌のマイケル・ペック氏が指摘するように、「高コストで壊れやすい潜水艦」と「低コストな小型無人機の群れ」という兵器システム間における争いが起こりつつあるということだ。

 この争いで、潜水艦が優位性を保つのは難しい。例えば、ヴァージニア級攻撃型原潜の価格は30億ドル(約3386億円)だが、小型無人機は5000ドル(約56万円)、30機の群れでも15万ドル(約1680万円)にすぎない。しかも、ヴァージニア級潜水艦は撃沈させられると乗員134名の被害が出るが、小型無人機は何機叩き落されても人的損失は出ない。どう見ても、中長期的に潜水艦システムが費用対効果で不利なのは間違いない。

 そして、これは我が国にとっても深刻な影響をもたらす。海上自衛隊の潜水艦が中国のドローンに追い回され、攻撃される日が来るかもしれない、ということだ。

【私の論評】水中ドローンが海戦を根底から覆す(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、ドローンと表現していますが、これに関してはシーグライダーという名称でこのブログに以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。これをご覧いただければ、いわゆる小型の水中ドローンのイメージがつかめると思います。
中国上空の機内から女子高生、北朝鮮SLBMを撮影?…軍事アナリスト「北朝鮮のミサイルと推測」―【私の論評】北SLBM、中国の領空・領海侵犯にもドローン哨戒は有効なことが実証された?
さて、空中のドローンに関しては、まだ、想像の域を超えていない(ブログ管理人注:数ヶ月から数年空中を飛び続けるドローンという意味)のですが、それに良く似たものである、水中ドローンに関しては、すでに日本は開発を終えています。

それは、シーグライダーと呼ばれています。その外観はロケットに似ています。その小さな翼で水中を進み、毎時1キロメートル未満で非常にゆっくり移動します。電力消費量は極めて少ないです。
分解したシーグライダー ワシントン大学応用物理研究室が、
地球温暖化による氷河の変化を観察するため開発したもの
結果として、それは一度に何ヶ月も海中にとどまることができます。2009年には、一挺のシーグライダーが、一回のバッテリー充電のみで大西洋を横断しました。横断には7ヶ月かかりました。
シーグライダーのおかけで、科学者たちは、以前には不可能だった多くの事ができるようになっています。シーグライダーは、海底火山を観察することができます。氷山の大きさを測ることができます。魚の群れを追うことができます。
さまざまな深度で水中の汚染の影響を監視することができます。科学者たちは、シーグライダーを利用して海底の地図を作成することまでも始めています。
シーグライダーはすでに、数ヶ月も継続する任務を遂行することが可能になっています。ところが、日本の研究者は現在、SORAと呼ばれる太陽光発電を使ったグライダーを開発中で、この船は再充電のために2、3日間海面に出れば、その後作業を続けられます。結果として、必要な何年も海に留まることができます。
現在、シーグライダーを製造するにはおよそ15万ドル費用 (ブログ管理人注:当時の計算であり、現在はもっと安価に作成可能)がかかるとされていますが、それがなし得ることを考えれば、その費用は非常に小さいです。シーグライダーを使えば、企業は石油とガスの探索のために海底調査ができますし、政府は軍事情報を収集できます。

上で掲載したシーグライダーを水中に投下するところ
シーグライダーは敵に見つかることなく海面にいる船舶や、近くを通り過ぎる有人潜水艦を特定できます。日本では、軍事転用はまだのようですが、日本の技術をもってすれば、容易にできることです。
ブログ冒頭の記事では、日本がこのような水中ドローンを開発していることは全く触れられていませんでした。おそらく、これは軍事目的のものではないので、 日本では全く開発されていないかのような報道になってしまったのだと思います。

しかし、ドローンに積載する観測装置などを軍事用に変えればすぐにも軍事用にも使えます。それを考えると、日本のドローン対策が極めて遅れているとはいえないと思います。

それに、ブログ冒頭の記事では、海上自衛隊の潜水艦が中国のドローンに追い回され、攻撃される日が来るかもしれないなどとして、脅威を煽っていますが、一つ忘れていることがあります。いくら、ドローンで探査が簡単になったとはいえ、ソナーなどの観測装置が優れていないと、潜水艦の発見は難しいです。

ソナーに関しては、日米のほうが中国より未だかなり勝っていますから、すぐに「海上自衛隊の潜水艦が中国のドローンに追い回され、攻撃される日が来る」わけではありません。それよりも、ステルス性にかなり劣る中国の潜水艦のほうが先に発見されて、攻撃される可能性のほうが高いです。

さらに、掃海能力は日本は世界一です。掃海とは機雷などを除去することです。これは、以前このブログでも掲載したことがあります。水中ドローンなども掃海できるようになれば、日本にとって中国の水中ドローンの脅威も取り除ける可能性が高いです。一方中国の掃海能力はかなり低いので、日本が軍事ドローンを開発した場合、それを掃海することはできないでしょう。

ちなみに、海自は、すでに水中航走式機雷掃討具「S10」や機雷処分具「S7」といった水中無人機を使用して、掃海を行っています。これは、機雷を除去するための水中ドローンです。

日本の掃海母艦「うらが」
しかし、かつて大艦巨砲主義の時代から、航空機と航空母艦の時代に変わったように、現在兵器にもかつてないほどの大きな変化が起こりつつあることは認識しなければならないでしょう。

確かに、いずれ現在の潜水艦の任務のほとんどを水中ドローンが果たす時代がくるかもしれません。ドローンそのものが魚雷や爆雷になっているとか、偵察用ドローンと、攻撃用ドローンが共同するということも考えられます。そうなると、かつての潜水艦はいらなくなるのかもしれません。

水中ドローンだけではなく、空中のドローンのほうも、数ヶ月から数年も空を飛び続けることができるようになることでしょう。実際、Googleが数ヶ月空を飛び続けるドローンを開発中です。

Googleが太陽光で発電して自動飛行する大型のドローンの飛行試験をしています。このドローン飛行試験のプロジェクトは「Project Skybender」と呼ばれており、ミリ波による通信試験も並行して行っている模様です。

Googleが開発中の太陽光で発電して自動飛行する大型のドローン
運送用のドローンを開発していることでも知られるGoogleですが、Skybenderプロジェクトでは4Gの最大40倍高速な5Gの超高速モバイル回線をミリ波を使って空から提供することを狙っていると考えられています。

このようなドローンも軍事転用できます。軍事転用すれば、たとえば、日本であれば、常時数機の軍事偵察用のドローンを空中に待機させ、迎撃や地上のミサイルと連動すれば、北朝鮮のミサイルを常時迎え撃つ体制を築けます。

また、中国の尖閣への空域侵犯にも素早く対応できます。日本列島のまわりに、水中ドローンや空中ドローンを常時待機させて、それらを従来の海軍力と空軍力と結びつけることができれば、かなり防衛力が増すことが期待できます。

また、攻撃型空中・水中ドローンを開発することができれば、さらに防衛力を増すことができます。特にこれは、北朝鮮には有効です。北朝鮮は、防空能力や、対潜哨戒能力などほどゼロに等しいといわれています。狙った目標をかなりの確率で攻撃する事が可能になります。尖閣などを狙う中国に対しても有効です。

潜水艦や航空母艦は今でも有効な兵器ですが、いずれその優位もゆらぎ新たな時代に入ります。航空母艦は今でもステルス潜水艦に簡単に撃沈されてしまう恐れがあります。

地上から発射できる対空ミサイルによって、かつて航空兵力は存在意義を失いました。地上から発射できる比較的安価なミサイルによっても撃墜されるようになったからです。

かつて、敵が対空ミサイルを装備しているとの想定の軍事訓練行ったところ、敵地を攻撃した戦闘機のパイロットは一回の攻撃で、全員が平均で6回から7回も撃墜されたというシミレーションの結果がでた程です。

地上の対空ミサイルの発達によって、戦闘の様相が全く変わってしまったのです。このようなことから、先進国は脅威を感じ、ステルス戦闘機の開発に走り、今日に至っているのです。
携帯型地対空ミサイルM171ショルダー・ランチャーを構える兵士
水中ドローン、空中ドローンの発展はこれに似たようなことになるかもしれません。陸戦においても、小型ロボットが人のかわりをするようになります。

オスプレイや、F35など、数機購入することをやめて、このようなドローンの研究開発に振り向ければ、日本は十分に開発できる能力をもっています。

また、かつて日本の空母打撃群による攻撃や島嶼攻撃が、米軍の手本になったように、これにより日本が再び軍事力で世界の手本となれるチャンスかもしれません。高性能のドローンを開発し、それらを既存の兵力と組み合わせることにより、従来にはなかった高度な軍事力を開発できる可能性があります。

いずれにせよ、水中ドローンが海戦を根底から覆すのも間近になった今日、これから兵器に対する考えを根本的に改めなければならなくなったことだけは確かなようです。

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