2010年12月9日木曜日

「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?

「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に

GHQによる日本国憲法草案
1946年(昭和21)2月13日、外相官邸で行われた日米会談の席で、政府の「憲法改正要綱」は、あまりに保守的内容であるとして拒否され、GHQ起草の案(マッカーサー草案)が提示された。この草案は、GHQ民政局部内で極秘裏に起草されたもので、主権在民・象徴天皇制・戦争放棄などを規定していたため、政府側に大きな衝撃を与えた。
米国議会が日本の憲法第9条を日米共同防衛への障害と見なし、改憲を望むようになった――。

この現実は日本の護憲派にはショックであろう。だが、米国議会上下両院の一般的な認識として、日本側の憲法9条の現行解釈による集団的自衛権の行使禁止は、「より緊密な日米共同防衛には障害となる」というのである。

日本の憲法を改正するか否かはあくまで日本独自の判断によるというのが正論である。だが、日本の防衛が米国という同盟パートナーに大幅に依存し、しかも日本の憲法がかつて米国側により起草されたという事実を見れば、どうしても米国の意向が重視されてきた側面は否めない。

つまり、日本で改憲を考えるに当たっては、米国が改憲に賛成なのか、反対なのかが、どうしても大きなカギとなってきたのである。

憲法9条の制約を指摘する超党派の議会の報告書

その議会調査局が公表した同報告は、日米関係における諸問題を解説する中で「憲法9条の制約」と題し、以下のように述べていた。

「一般的に言って、米国が起草した日本の憲法は、より緊密な日米防衛協力への障害となっている。なぜならば憲法9条の現行の解釈が、日本に『集団的自衛』に関与することを禁じているからだ。『集団的自衛』とは第三国に対する米国との戦闘協力のことである。日本の憲法の第9条は日本の『国権の発動』としての戦争を違法だとし、『交戦権』を禁止している」

「過去においては、日本の世論は自衛隊に課された憲法上の制限を強く支持していたが、近年、そういう意見はかなり弱くなってしまった。日本の現政権(民主党政権)は、憲法9条の改正についてはなお意見が分かれており、近い将来に改憲の論議を始めるという見通しは少ない」

日本の集団的自衛権否定が足かせになっている

以上の記述を集約すれば、米国議会の一般の認識として、日本の憲法は日米両国の「より緊密な防衛協力」にとっては障害となっている、というのである。特に憲法9条の現在の解釈によって、日本は世界の他の諸国と異なり、集団的自衛権を行使も発揮もできないことになる、というのだ。

つまり、日米共通の敵となる外国の攻撃や侵略に対しても、米国と一体になって「集団で」戦闘することは今の憲法では禁じられているということである。

だから、日米同盟をもっと堅固にし、これまで以上に両国の軍事上の緊密な防衛協力を進めるには、日本側の集団的自衛権の行使禁止が大きな邪魔になる、というわけだ。その結果、日米防衛協力の推進のためには「日本が憲法を改正すべきだ」という意見が米国議会の一般的な思潮となった、ということになる。

議会調査局というのはすでに述べたように、連邦議会の上下両院の議員たちの法案審議の資料を作成することを存在の目的としており、民主党、共和党の区別にかかわらず、超党派の客観的な情報や思考を供することで知られてきた。

その議会調査局が日本の憲法について取り上げ、「日本が集団的自衛権を否定することが日米共同防衛協力への障害となり、日本の同協力への参入をも大幅に妨げている」という見解を米国議会での一般的な考え方として記述しているのだ。

いつの間にか、米国側でも日本の憲法の改正の是非については「是」の論者が多数派になったのである。この点は今後の日本での憲法論議でも、重要な一因となるだろう。

日本ではこのところ日米同盟の重要性が再認識されるようになった。中国の尖閣諸島海域への強引な侵入と、それに伴う理不尽な日本への威嚇が、米国との防衛協力の価値を改めて意識させたからだと言えよう。

だが、その日米の防衛協力や共同防衛では、日本の憲法から生じる制約がいつも浮上する。米国は日本を支援するために軍事力を行使する構えだが、日本側は米国への支援はもとより、日本自身のためであっても、日本の本土や領海を一歩出れば軍事力は一切使えない。憲法9条に違反するとされるからだ。この点が日米同盟の固有の片務性である。

だが、米国側でも日本の憲法のあり方には多様な意見が存在してきた。米国が日本を占領した時期に起草した日本国憲法は、本来、日本を二度と軍事強国にしないことが主眼だった。だから日本が軍事力や戦力を永遠に持てないようにするという特徴があった。だが、その後、朝鮮戦争の勃発で米側に日本の武装を求める動きが高まった。

それでもなおその後の長い年月、「日本が改憲して軍事面での規制をなくせば、また軍事大国の道を進む」というような、日本の左翼の主張にも似た護憲論が米側でも有力だった。

だが、そうした米国の認識が変わってきたのだ。

その変化の集約は、米国の議会調査局が2010年10月に作成した日米関係についての報告「日米関係=米国議会にとっての諸課題」の記述に見ることができる。

議会調査局とは、連邦議会上下両院議員たちが審議する際に情報や資料を提供する調査研究機関であり、超党派のシンクタンクだと言える。(古森 義久・JBプレス)

【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?

昨日12月8日は、開戦記念日でした。1941(昭和16)年のこの日の午前3時19分(現地時間7日午前7時49分)、日本軍がハワイ・オアフ島・真珠湾のアメリカ軍基地を奇襲攻撃し、3年6箇月に及ぶ大東亜戦争対米英戦(太平洋戦争)が勃発しました。空母を主力とした、大艦隊をハワイまで派遣し、空爆を行う、マレー沖では、イギリスを象徴するプリンス・オブ・ウェールズを撃沈するなど、当時の欧米からすれば、青天の霹靂であり、亜細亜の中進国に過ぎない日本が、このような大打撃を与えたため、日本恐るべしという感覚だったと思います。

そうして、戦後アジアの多くの国々が独立して、日本は戦争には負けましたが、大東亜の理想を現実のものとしました。もし、あのとき日本が熟慮の上で、やむを得ず戦争に突入しなければ、今もアジアの多くの国々が欧米列強の植民地か、実質上の属国であったかもしれません。今日の、アジアの大発展などなかったかもしれません。無論中国の経済発展などなかったでしょう。今では、どこの報道機関も報道などしませんが、私たちは、開戦記念日の持つ意味合いを今一度思い起こすべきです。あの戦争は、起こるべき背景があって、必然的に起こったのであって、しかも、無謀なものではなかったことをこのブログに掲載したことがあります。そうして、正しい歴史認識を持つべきです。


残念ながら、その後、敗戦国である日本やドイツを含む、ヨーロッパなどがその当時のパワーオブバランスの一角を占めることができなかったため、世界は、アメリカとソビエト連邦の二極体制になってしまいました。日本は戦後70年わたり、アメリカによる弱体化政策の標的となり、今日に至りました。欧米諸国にとって、日本は、その後も脅威であったたため、これら無理からぬところがあったと思います。当時の日本は、欧米にとってみれば、今日の中国などをはるかに凌駕した末恐ろしい存在であったに違いありません。

現在の世界は、ソ連崩壊後いわゆる冷戦構造はなくなり、アメリカと旧ソ連の対立の中での秩序という構図は消えました。これは、一見良いようにも見えますが、まだまだ、世界の安定は不確実な状況にあります。

それには、主に二つの要因があります。まずは、アジアでは、残念ながらいまだに冷戦構造時代の産物がいまだ何も変わらず残っているということです。中国、北朝鮮は、基本的には冷戦時代と何も変わらす温存されてしまいました。日本は、これに対して結局何もしてこなかったということです。いまだ、アジアには冷戦時代の遺物ともいえるべき不安定さが残ってしまいました。

これだけならまだ良いのですが、これに輪をかけて世界の不安定要因を増しているいるのが、アメリカの一極主義です。ソ連崩壊とともに、アメリカは、本来であれば、多極主義をとるべきだったのですが、なにやら、全くの勘違いをしてしまい、アメリカ一極主義の道を歩み始めてしまいました。

ここで、冷戦前の世界を思いおこしてみれば、主に5~6カ国のバランスの上で、何とか平和が成り立ってきました。その他の国々は、覇権を発揮することなく、これらの国々に追随したか、何もできなかったというのが実体です。しかし、このバランスが崩れて、というより、このバランスの意味のわからない愚かな為政者等たちのせいで、第一次世界大戦が勃発し、さらに、これでも、秩序をとりもどすことができず、第二次世界大戦に突入し、その後冷戦構造ができあがりました。

この冷戦にアメリカは勝ったのですが、その後の対処があまりにもまずかったと思います。まずは、アジアの構造が変わらないのにもかかわらず、結局は何もできなかったことです。それに、あろうことか、ソ連崩壊の勢いで、アメリカ一極支配を目論んだことです。そうして、世界の警察官を自認して、遠くの国の紛争にまで、他国の意志とは関係なしに、自国の意図だけで直接手を下すようになってしまったことです。

近くでは、イラクやアフガンの例があります。さらに、ごく最近では冷戦終了前の構造が残ってしまったアジアで、北朝鮮による砲撃事件がありました。これに対処するために、ご存じのように、韓国とは黄海での大演習を行ないました。日米も、キーン・ソードという名称の戦後最大の演習を行っています。

これら、アフガンでの戦争や、日本との大演習など莫大な戦費を必要とします。演習などは、一時的なものですみますから、まだ良いですが、今後世界でアメリカの国益に反することで、他国の要請などで、どうしても軍事介入しなければならないことなどあったとしても、アフガンで戦争を継続し、アジア方面でも、巨大な戦費を必要とするような、現状のアメリカの世界一極支配の体制ではほとんど不可能です。

上の記事の内容から、やはり、アメリカは、一極支配などという最初から妄想に近い、無理な考えを捨て去るときがきたのであり、アメリカ議会もそのことにすでに気づいているとが理解できます。

やはり、世界は、冷戦前の少なくとも、5~6カ国の均衡の上で平和が成り立つようにもっていく必要があるのです。これに関して、アメリカ、ロシア、中国などは多数の国が大反対しようとも、このバランス・オブ・パワーの一角を担うことをやめないでしょう。

では、あと2カ国から、3カ国がこのパランス・オブ・パワーに参加しなければならないことになりますが、ヨーロッパでは、もう、イギリスがどうのフランスがどうのという次元ではありません。こんな単位では、経済的にも軍事的にもあまりにも小さすぎます。やはり、EUということになるでしょう。アジアでは日本が必須でしょう。

他国では、中国を牽制することはできません。何しろ、今でも実質的には、アジアの経済は、資産ベースでは、日本と日本以外の国々の総計を比較すると、今でも日本のほうがはるかに大きい(日本対外資産は過去19年間世界一)からです。

日本を欠けば、アジアは、冷戦時代よりももっと悪い状況に陥ることになります。アジア全域が中国の覇権の及ぶ範囲となってしまうことでしょう。そうなれば、一番国益をそがれるのがアメリカです。

現在は、ロシアのウラジオストック、樺太、日本の日本列島、沖縄、台湾ラインが、中国が太平洋に出るための、大きな障壁となっていますが、アジア全体が中国の覇権が及ぶ範囲となってしまえば、日本列島、沖縄、台湾ラインは消滅し、中国は自由に太平洋に出てくることができます。日本は、中国が太平洋に進出する際の、不沈空母となることでしょう。日本は、中国から太平洋に至る中国海軍の中継基地となることでしょう。

そうなれば、この方面にアメリカは、膨大な軍事力をさかなければならなくなります。アメリカは、そのようなことは絶対にさせないでしょう。そうならないために、アメリカの同盟国としての、日本をバランス・オブ・パワーの一角にするか、日本を完全に傘下におさめないと、どうしようもないということです。現状のように、アメリカが盾となり、日本に思いやり予算を要求するという図式はいずれ不可能になります。

他の勢力はどうかとえば、軍事的にみても、経済的にみても、これらの国々と対等に渡りあえる、国、あるいは連合体など存在しません。

そうです、おそらく、今後の世界は、しばらくは、米国、日本、中国、EU、ロシアという5カ国のバランス・オブ・パワーで成り立ち、平和を維持していく体制になります。そうでなければ、世界の平和は維持できません。この体制を築かなければ、いずれバランスが崩れて、また、大きな戦争が勃発するかもしれません。これが、厳しい世界の現実です。この現実には、憲法9条など、何の意味も持ちません。

上の記事は、まさしく、アメリカ議会がその事実に気づいたことの査証であるととらえるべきです。さて、この現実に、日本政府は、そうして日本国民はどのように対処するのでしょうか?

憲法を改正して、パランス・オブ・パワーの一角を担う覚悟がなけば、いずれ選択できる道は二つしかありません。それは、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になることです。いますぐ、ということはないでしょうが、今後10年以内には、おそらくどちらかの道を選ばざるをえない状況に追い込まれます。あなたは、どの道を選びますか?

しかし、私達としても、当然のこととして、どらの道も選びたくはありません。であれば、憲法を改正して、バランス・オブ・パワーの一角を担うしかありません。

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Google、Chrome OS搭載ノートPC「Cr-48」をテスト用に配布―【私の論評】とうとう姿せを見せ始めたOS、一体何を狙っているのか?

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/12/08/078/index.html


【私の論評】とうとう姿せを見せ始めたOS、一体何を狙っているのか?
Google Chrome OSを搭載したマシン、噂は前からあったのですが、なかなか姿を現さないのて痺れを切らしている人は多かったと思います。私も、その一人ですが・・・・・・。

第1弾製品はAcerとSamsungから発売ということですが、やはり、一見外見だけは、普通のノートパソコンのようですね。

8月あたりには、タブレットPCになるという噂がでておりワイヤレス調査会社J.Gold Associatesのアナリスト、Jack Gold氏はHTCが以下のように述べています。

「Chrome OS」を採用したタブレット端末が登場する可能性自体について十分、考えられることである。
そして「Chrome OS」を採用した製品はiPadのようにApp Storeからダウンロードしたアプリケーションを利用するといったものではなく、あらゆるものがブラウザ上で完結するため、iPadと競合するものとはならず、成功を収めるためには200ドル(約1万7000円)を下回るような低価格な製品であることが必要だと述べています。
Acer、Sumsungから発売されるということから、価格はきっとあっと驚くような低価格なのではないかと思います。そうして、タブレット型であるとか、ノートパソコン型、デスクトップ型であるとかはさして重要なことではないのだと思います。

タブレット型という噂は、単に、iPadに引きづられただけであり、きっと、既存の概念を打ち砕くような、完全にWEBを使うことに特化したマシンになるのだと思います。アプリやユーザーデータはクラウドに置く仕組みとして、高速で簡単、安全なWebアクセスを提供することを目指すものになるようです。


さて、このようなマシンを発表する、Googleの狙いはなんでしょうか?このブログを前から呼んでいる方はもうおわかりだと思います。そうです。Googleの水道の蛇口戦略を徹底的に強化するためです。


この水道の蛇口戦略とは、「iPhone、iPad、iPodは水道の蛇口のようなもので、水道管を通じて様々な個人や企業が制作したステキなコンテンツがその蛇口に注ぎ込まれていきます。今はまだユーザーはこれらのコンテンツを有料(少額)で購入しているのですが、もし、iPhone、iPad、iPodそのものが広告媒体になったら、広告媒体であるiPhone、iPad、iPodの無料化(低価格化)だけではなく、コンテンツそのものも無料化するかかなり低廉にする戦略」ということです。


これは、アップルについて書いたものですが、これは、Googleにもあてはまることです。それどころか、この戦略に先鞭をつけたのは、Googleのほうです。Googleは、検索エンジンの会社として発足しましたが、何も検索そのものから収益をあげているわけではありません。


検索エンジンを使うユーザーに広告を提供して、その広告を見てそのユーザーがその商品・サービスを購入すれば、広告主から収益が入るという仕組みのビジネスモデルを実践しています。これは、今でも基本的には変わらず、今日でも、Googleの収益の95%以上が広告によるものです。


従来、Googleは、検索エンジン、その他の先進的なクラウドサービスをユーザーに提供することで、ユーザーを集めることを可能にしていましたが、より速く、より、使いやすいブラウザとして、Google Chrome OSを提供するようになりました。これにより、さらに、多くのユーザーを集めるという目論見だと思います。


今回は、さらにこれを強化して、Googleのサービスを利用するのに特化した、格安のマシンを提供してさらに多くのユーザーを獲得して、より、水道の蛇口戦略を強化しようとしているのです。


なぜそんなことをするかといえば、もうすでに先進国などの豊な国では、かなり多くの人々が日々インターネットを使用するようになっています。もう、これらの国では、さらに、Googleのクラウドを訪れるユーザーを増やすことは困難です。


しかし、世界に目をてんずれば、まだまだ、Googleのクラウドを訪れていない人々はたくさんいます。それは、いわゆる貧困層と呼ばれる人々です。



世界には、1日2ドル未満で生活する貧困層が40億人います。先進国では経済が成熟化していますが、経済ピラミッドの底辺に位置するこの貧困層(Bottom of the Pyramid=BOP)こそ、今後急速に成長する魅力的な市場になることでしょう。現在、企業は彼らを、慈善や援助の相手としてはなく、ビジネスの対象として重視すべきです。

貧困層を「顧客」や「消費者」に変えるには、先進国向けの製品・サービスに少し手を加えるといった対応では不十分。技術、製品・サービス、ビジネスモデルそのもののイノベーションが欠かせなのです。

BOP市場の基本となるのは、「パッケージ単位が小さく、1単位当たりの利潤も低い。市場規模は大きいが、少ない運転資本でも利益を出せる」ビジネス。例えば、米P&Gは低収入で現金不足のBOPに消費力を作り出すため、「使い切りパック」のシャンプーを販売しました。ブラジルの家電チェーンは無理のない利子とカウンセリングで、BOPにも高品質な家電が買えるようにしました。その他、にもいろいろあります。

まさに、Googleは世界に多数存在するBPOの人々を自分たちのクラウドに呼び寄せるために、新たなマシンを提供しようとしているのだと思います。そうして、このような人達にも広告を見てもらい、このBPOビジネスを活発化させることを視野にいれているのだと思います。

いままで、全くインターネットの恩恵にあずかることのなかった人たちにも、その機会を提供して、自分たちのクラウドを訪れるユーザーを幾何級数的に増やすことが目的なのです。

そう考えれば、iPad、iPhoneなどとは、そもそも、設計思想が全く異なることがうかがえます。なお、こうしたマシンなどは、何も、開発途上国の人にとってだけ便利なわけではありません。もちろん、先進国の人にも恩恵があります。先進国だって、貧困層はいます。そういう人たちも、これからは、インターネットの恩恵にあずかることができる世界がやってくるのです。

たとえば、BPOビジネスで、ヤマハは船外機をスリランカの人々に販売して大成功しています。スリランカの漁師は、流木に当たっても壊れない、耐久性の高いヤマハの船外機を使うことによって、漁場が広がり生活も豊になりました。そうして、スリランカのようにインフラの整っていない国でも、十分に使える船外機は、他の国でも十分に使えます。だからこそ、ヤマハの船外機のシェアは世界ナンバーワンです。無論、日本でもシエアナンバーワンです。

Googleは、これに近いことをITの世界で実現しようとしているに違いありません。多少通信環境が悪くても十分に使え耐久性の高いマシンに搭載するOSということです。そうして、これによって、まずは、BPOの人々にとって、有用な商品・サービスを提供しつつ、さらに有益な情報を提供して、人々の生活を豊にするためのインフラを提供しようとしているのだと思います。

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2010年12月7日火曜日

USEN・宇野康秀氏が独白 「なぜ私は辞めるのか」―【私の論評】eコマースの本質は「広告」であることを見抜けなかった??

USEN・宇野康秀氏が独白 「なぜ私は辞めるのか」

表舞台を去る宇野氏
時代の寵児が表舞台を去る。11月26日、有線放送最大手USENの宇野康秀社長(47)が退任、代表権のない会長に退いた。後任社長には外食チェーン、レックスホールディングス出身の中村史朗顧問(38)が就任。

USENは事業不振で業績が低迷。金融機関30行と組んだシンジケートローンの財務制限条項に抵触する状態が続いていた。業界では「金融機関からの退陣要請があった」ともううわさされる。だが宇野氏はあくまで自身の意思だと説明した。「1998年の就任から10年間を節目と考えていた。多くの人に迷惑をかけたので、事業整理が一段落した今、ケジメをつけたい」。

USENはこの1~2年、創業来最大の危機にあった。無料動画配信サービス「ギャオ」など新事業が不振にあえぐ中、2008年秋にリーマンショックが直撃。株評価損も重なり、総額1100億円超の最終赤字を計上した。

これを受け、09年4月にはギャオを売却。映画配給ギャガ、カラオケ、ネット接続、さらに宇野氏自らが創設した人材紹介会社インテリジェンスと、拡大してきた業容を再び縮小した。それでも今年年初に発表した09年9~11月期決算では、純資産わずか10億円、自己資本比率0.4%と、債務超過ギリギリまで追い詰められていたのである。

■社運賭けた事業が失敗

09年11月にソネットエンタテインメントと提出した1枚のリリースは、当時の経営の逼迫状況を物語る。

「USENが提供しているISP事業を当社(ソネット)が譲り受けることに関し、誠実に協議する旨の合意をしました」。12月の契約締結に先立つこと1カ月、両社は「交渉中」という趣旨の、異例の発表をしたのだ。「二日後に株主総会を控えるUSEN側から、『契約前に事業譲渡の話を公表したい』との要請があった。いわゆる総会対策だ」(ソネット関係者)。

宇野氏は「やや無理なM&Aをして手を広げすぎた。ギャオを始めた途端、競合する米ユーチューブが台頭するなど、いち早く始めたことも裏目に出た」と振り返る。

2000年代に入るとブロードバンド時代が到来。USENは05年に、既存の有線放送から、ネット上で動画を配信するメディアコンテンツカンパニー構想へと舵を切る。コンテンツ系企業買収も進めた。が、権利処理の手続きに時間を要したギャオを尻目に、著作権侵害をモノともしないユーチューブが一気に巨大化。USEN陣営は手も足も出なかった。

この12月には、有料動画配信「ユーネクスト」(旧ギャオネクスト)なども切り離す。「これで打ち止め」(宇野氏)となる最後の事業整理だ。自ら描いた大きな絵は結局、結実することなく、USENは祖業の有線放送が大半を占める、元の姿に戻る。

かつて東京・六本木ミッドタウンに6フロアを構えていた本社も、都内にある坪単価6分の1のビルに移転。年間十数億円もの賃料削減が見込まれ、身の丈経営を進める。

■私財500億円を投入

切り離した赤字の2事業を背負うのは宇野氏個人だ。

「6月から譲渡先を探したが、黒字化せず、引き受け手を見つけられなかった。撤退も考えたが、可能性の大きなビジネスと信じており、個人で続けたい」。宇野氏は会社のために、個人で借金するなど、私財を投じた。保有していたインテリジェンス株を中心に、その総額は約500億円に及ぶ。

絶頂時には“イケメンIT社長”ともてはやされた宇野氏。もっとも本人には、仕事人としてのストイックなまでの自負がある。40歳まで酒も飲まず、「午前0時から連日会議を行って社員に迷惑をかけた」(宇野氏)ほど、経営に傾注してきたという。

「自分は何をやりたかったのか、この1年間考えていた」と宇野氏は静かに述懐した。「USENの社長に復帰することはまずない」。脚光を浴びた著名ベンチャー経営者が、また一人、スポットライトから遠ざかる。

(週刊東洋経済2010年11月27日号)

【私の論評】eコマースの本質は「広告」であることを見抜けなかった??
今日、Gyaoのサイトをみると、サイトのあらゆるところに、さりげなく広告が埋めこまれています。確か、YouTubeでも、かなり多くの動画に広告が組み込まれています。実際、私が投稿したいくつかの動画のうち、良く見られるものには、広告がついています。広告から収益があがれば、私にいくばくかの収益がわたるという仕組みになっています。

しかし、わずか数年前まで、YouTubeがGoogleに吸収される前までは、YouTubeにはほとんど広告が掲載されていませんでした。ましてや、動画自体に広告が組み込まれているなどということはありませんでした。

Gayoも創業のころは、画期的だとは思いましたが、広告がほとんど掲載されていなかったと記憶しています。そうして、Gayoの発信するニュースリリースなどを読んでみても、何が収益になるのか、はっきりわかりませんでした。これで本当に大丈夫なのかと、一抹の不安を感じました。

今日、その予感があたったわけです。多くのユーザーは、Googleなどの先進的な技術にばかり、目を奪われて、Googleが本当は何の会社であるかを忘れがちです。最近では、アップルの先進的な技術にばかり目を奪われていて、その本質を忘れがちです。

実は、Googleは、純然たる広告会社です。無論、従来の広告会社とは異なります。Googleの検索エンジンであろうと、何であろうと、必ず、広告が掲載されています。そこに、多数訪れるユーザーが、その広告を見て、何%かの人がクリックし、その商品やサービスを購入します。そうすると、その数%がグーグルに広告収入としてはいります。

これが、Googleの事業の本質であって、他の先進技術は多くのユーザーに広告をみせるための、手段にすぎません。そうして、こうして、多くの人を集める仕組みを現在、プラットフォームをと呼びます。こうした、優れたプラットフォームを構築することが、現代のeコマースを成功させる鍵です。

宇野氏は、この本質を見失っていたのではないかと思います。動画配信で収益を得るという考え方は、もともと、間違っていました。本来は、動画配信というシステムを人を多く集めるための、プラットフォームとするビジネスモデルを考えるべきだったのです。


Gyaoは著作権関係をきっちり守り、youtubeのような投稿ものではなく、いわば、ネット上のオンデマンドTVみたいなものでした。ユーザー(オタク系?)にとって、結構、魅力的なコンテンツもありました。たとえば、冬ソナとか中川翔子が合い方していた「溜池Now」などです。冬ソナに関しては、私は、韓国ドラマが嫌いで、批判しつつも結構みていました。まわりの人に「批判できるということは、ドラマを見ているということですね」といわれてしまいました。今からふりかえれば、しよこたんは、Gyaoの女神のような存在であり、あの番組の完全終了をもって、Gyaoの命脈もつきていたのかもしれません。

しょこたん
しかし、コンテンツの買い付けや制作も自前でやっていれば、無料配信という形態では、限界があるのも目に見えていました。この人気番組も、この限界から継続できなくなったのだと思います。


そうして、Googleに取り込まれた、YouTubeは現在まさしく、プラットフォーム構築の道を歩んでいます。Googleの収益元の95%以上はいまでも、広告です。アップルのiPadや、iPhoneだってそうです。アップルは、これらを多くのユーザーを集める集客装置と考えて戦略をくんでいるのであって、何も、iPadや、iPhoneを販売してそれで収益をあげる事業を、事業の柱と考えているわけではありません。それは、二次的なことに過ぎません。

だからこそ、AppleもiTuneや、Appstore、iBookを運営しているのであり、さらには、来年から日本でも、iPadや、iPhone向けに、iADを発信するのです。このアップルも何年か前までは、すっかり影をひそめていました。そのころのアップルがやっていたことといえば、先進的なパソコンをつくることのみでした。そのままだったら、もう、アップルはもう姿を消していたかもしれません。

実は、この広告こそが、eコマースが成功する鍵であるといっても過言ではないのです。現在、結局生き残っているeコマースでは、こうした広告を実施しているか、何らかの形でビジネスに組み込んでいるところだけです。楽天や、アマゾンは違うのではないかと考える人もいるかもしれませんが、楽天のあのバーチャル・ショッピング・モール自体が、巨大な広告塔です。アマゾンだって、販売を直営という形式でやっているだけであって、あの、素晴らしいユーザーインターフエィスを備えて、顧客の関係を強固にするサイト自体が広告です。

宇野氏は、こうした本質を見抜けないまま、理想と空想で、eコマースに参入してしまったのです。しかし、何も、こうした失敗をしたのは、宇野氏だけということではありません。過去に、かなり有名になったり、話題になったりした多くのeコマースが敗退していることを皆さんもご存じだと思います。これは、日本でも、アメリカでもあった厳しい現実です。

多くの経営者がその本質を見抜けないまま理想と空想で先進技術や先進的なアイディアを駆使してeコマースに参入し、人々の大きな期待とは裏腹に利益をあげられずに、敗退していったのです。最近、ようやっと、ビジネスプラットフォームという言葉で、eコマースの本質が語られるようになってきました。何がeコマースの本質であるのか、さらには、フリーミアムという概念も明らかにされるようになってきました。そういう背景から、このような失敗をする人は、宇野氏が最後になることでしょう。もう、ただの先新技術、先進的アイディアというだけで、収益源の明確でない、eコマースには誰も投資しないでしょう。

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2010年12月6日月曜日

菅首相 ネットで対戦する囲碁ゲームに朝まで没頭することも―【私の論評】自らの身の丈を知らない人が増加しているのでは?

菅首相 ネットで対戦する囲碁ゲームに朝まで没頭することも


総理大臣の覚悟とは、自分ですべて決断し、すべて責任を負うことである。何も国のトップに限ったことではなく、企業の社長、一家の家長であってもリーダーの役割は同じである。菅直人・首相が国民から見捨てられているのは、その覚悟が見えないからだ。政策は官僚任せ、政治判断は官房長官のいうがまま。しかも最近では「奇行」が目立ってきたという。

菅首相は最近、怖くて夜も眠れないという。公邸の様子を知るごく親しい人物が明かしたところによると、夜中、伸子夫人が目を覚ますと、菅氏がベッドにいないことが増えているのだという。慌てて夫人が探すと、菅氏は書斎でデスクに向かって座っている。

「ああ、読書でもしているのね」と思って近づくと、没頭しているのはネットで対戦する囲碁ゲーム。公務で分刻みのスケジュールをこなす立場なのに、明け方までそうやって起きている夜が少なくないという。

囲碁は戦略性に富むゲームであり、古くは戦国大名、現代では政治家やエリート官僚に愛好家が多い。政界では、与謝野馨・たちあがれ日本共同代表と小沢一郎・民主党元代表が東西の横綱。菅氏も最近かなり腕を上げたと評判だが、「小沢氏との対局に負けてからネット碁にハマった」といわれ、実力はずっと下になる。

総理大臣が碁盤を前に政局の行方を読んで黙考している―というなら、ドラマのワンシーンとしても絵になるが、夜中に起きてパソコンに向かい、失礼ながら素人の横好きレベルの碁を打っている姿は、現実逃避の引きこもり青年を想起させる。(NEWSポストセブンより)

【私の論評】自らの身の丈を知らない人が増加しているのでは?
上の記事、実際に菅さんが囲碁ゲームをしているところを見た人などいないと思うので、事実かどうかは定かではないと思います。しかし、囲碁ゲームは前から好きなようですから、確かに明け方まで熱中することもあるのかもしれません。

しかし、菅さんの最近の様子からみれば、確かにありそうな話で、だからこそ、このような記事が週刊誌に取り上げられているのだと思います。

上の記事に、いろいろ菅さんに対する批判めいたことが書いてありますが、何も、普通に仕事ができているなら、囲碁ゲームで多少夜更かしをしたからといって、誰に文句をいわれる筋合いなどないと思います。

しかし、最近では確かに、重要人物と挨拶するのにメモを読みながらなどという奇行も目立つようになりました。それに、全く方針を示さないとか、かつてイラ菅と言われたのに今では、そのような素振りは全く見えません。どこかで、完璧に変わってしまったのは間違いありません。

私は、かつて、秋葉原大量殺人事件の犯人の心理など分析して、どうして彼があのようになったかを掲載したことがあります。それは、結局あの犯人が「自分の身の丈をしらかなった」ということで結論づけました。
人間の身の丈は、その時々できちんと把握しておく必要があると思います。勿論、身の丈が一生そのままというわけではありません。努力すれば、伸びることもあります。
人間の身長と違って、ここでいうところの「人の身の丈」は年をとってからでも本人の努力によりかなり伸びる余地があります。特に得意分野に関してはそうだと思います。しかし、自分の得意な分野であろうとなんであろうと、その時々で自分の身の丈を把握しておくことは重要なことだと思います。
これは、簡単なようでいて難しいことです。不当に高く評価してもいけませんし、不当に低く評価してもいけません。それに、身の丈を図る評価軸はなるべくたくさん持っておいたほうが良いと思います。
たくさんある評価軸で評価して総合したものが「身の丈」というものだと思います。そのためには、ある程度世間を知らなくてはなりません。自分ひとりだけで考えていたとしても、評価はできません。いろいろな人とコミュニケーションを図ったり、情報を集めることも必要になると思います。
さて、ここでいう「身の丈」という言葉、最近ではほとんどいわれなくなったものですが、昔は良く言われたものです。「身の丈」とともに、良く思い出すのは、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉です。

ここで、いうところの、「身の丈」とは結局どういうことかといえば、序列という事だと思います。
序列とは、大辞泉に出ている定義によれば、以下のようなものです。

じょ‐れつ 【序列】

1 順序をつけて並べること。また、順に並ぶこと。
2 一定の基準に従って並べた順序。きまった順序。「―をつける」「年功―」

ここで、いう序列は、無論、2の意味での序列です。現在は、価値観が多様化しているため、序列はなかなか認識しにくくなっていることも事実です。ただし、多様な価値観とはいいながら、その各々の価値観に照らして、ゆるい、きつい、公的、そうではないものはあるものの、厳然として存在するものです。

一番分かりやすいのは、企業などの特定の組織での序列でしょう。企業の中での序列を理解したり、認識できなければ、いずれ企業には居続けることはできなくなることはお分かりでょう。いや、企業に限らず、一見それとは対局的とみられる、労働組合にだって一定の序列は存在します。民主党の中にも、社民党の中にも、序列はあります。

序列は、ある意味で普遍的なものです。たとえ、無人島に数人の人間が、流れ着いて、そこである程度の期間を過ごすということになれば、いつの間にか非公式ながら序列ができあがってしまいます。ただし、そこでの序列は、たとえば、島に流れつく前の社会的地位が高いからといって、必ずしも序列が高くるとは限らないでしょう。ましてや、学歴・経歴などほとんど関係ないでしょう。

おそらく、その島で長く健康で生き続けられる術、知恵を持った人の序列が最も高くなることになると思います。このように、序列は人間社会につきものです。

序列にも、組織の公的な序列と、非公式な序列もあります。公的な序列と、非公式な序列が著しくずれてしまえば、問題が生じます。たとえば、非公式の序列が低い、公式の序列は高いなどということはままあります。これは、中途半端で愚かな人が、会社などで比較的高い地位についた場合におこります。誰からも尊敬されていないが、公的な序列だけが高くいだけで、威張りちらしているが、依拠するは公的序列だけである場合などです。こういう人は、権威主義的であるといわれます。

昔は、権威主義やら、何やらがあっても、多くの人が序列を強く意識してきました。しかし、現在では時に序列を全く無視するとか、わからない人も多くなりました。しかし、序列が全くなくなれば、社会は無秩序状態になります。たとえば、これから、船が沈没といった場合には、船で最も序列の高い、船長に他の乗員乗客はしたがわなければなりません。もし、船が沈没するタイミングで、議論などしていれば、とんでもないことになります。

どの社会にも、それを構成するコミュニティーにもきつい、ゆるいはあるものの、必ず序列があります。これを無視したり、気づくことができなければ、その特定のコミュニティーには属することはできません。たとえ、形式的に属していたとしても、かなり違和感があったり、結局長い間には問題が生じてきます。

そうして、多様な価値観とはいっても、その価値を共有するコミュニティー中には、必ず序列がありますから、かなり多くの価値観の中で序列の高い人は、相対的に全体的に他の人から見れば、序列が高くなります。これが社会的地位というものです。序列が似たり、寄ったりという人同士は区別がつきませんが、相対的にかなり低い人と、かなり高い人との間には序列にかなりの差がついてしまいます。

秋葉原の例の殺人犯は、この序列を理解できていなかったと思います。しかも、さらにこの犯人は、まだ若いですから、それなりに努力すれば、上のほうの序列に移行できる可能性もあるということを理解してなかったようです。

この序列に関しては、精神科の医師もこの秋葉原の犯人に関して、社会的な序列などを理解していなかったのではと、論評していました。序列を意識出来ない人は、精神にも異常をきたす場合や、他人とうまくつきあっていけなくなることがあると語っていました。

さて、なぜ、このような序列を意識しない人間が増えてきたかといえば、やはり、戦後の誤った個人主義教育や、平等主義教育だったと思います。こうした誤った教育などによって、現在は序列意識が希薄になってきているのだと思います。

だからこそ、先日のように、皇族に「はやく座れよ」などとヤジを飛ばず議員もでてきたほどです。これは、議員だけのことではありません。作家などでも、序列がはっきりせず、間違った言葉を遣う人も多く驚くことがあります。今朝も、作家の落合恵子さんが、歌舞伎役者の海老蔵さんの話の中で、「歌舞伎役者のような人々はいわゆるノーブル・オブリゲーションの精神を発揮すべき」などという趣旨の発言をしていました。

ノーブル・オブリゲーションという言葉は、もともとメイン・ストリームのカルチャーに属する人々に対して遣う言葉であって、オペラの歌手や、芸術家に遣う言葉ではありません。ましてや、もともと、サブ・カルチャーもしくはカウンター・カルチャーである歌舞伎役者などに対して遣うことはありえません。

歌舞伎役者に対して、この言葉を遣うということは、言葉の元来の意味からいって完全に間違いです。しかし、現在ではそれ相当の中堅的な立場の作家ですら、こうした言葉遣いを誤るのは、戦後の誤った個人主義教育や、平等主義の悪影響により、序列意識の希薄化がかなり浸透していることの査証だと思います。

そうして、菅さんは、こうした誤った個人主義や、平等主義教育を推進する立場の人だったのだと思います。おそらく、序列を意識し、理解している人であれば、誰でも、左翼系の社会運動家など、たとえ、政治家になれたとしても、政治家の中での序列はかなり低く、中心的な存在にはなりえないことを自覚できたと思います。もう立場が異なってしまったのですから、本来ならば、そのような立場からは完全に決別すべきだったのです。

人は、己の「身の丈」を良く知り、自分の身の丈にあった人生を歩むべきです。それを忘れた人で、どうしようもなくなった人が、精神を病んで、秋葉原の殺人犯のようになったり、ストーカーなどになってしまうのだと思います。さらに、これは後で述べますが、もっと悲惨な状況を生み出す場合だってありえるのです。

菅さんも、己の「身の丈」を知らずして、権力欲が強く、総理大臣になってしまったのだと思います。政治家でも、企業経営者でも、まずは、国民や従業員に対して、ビジョンを提示したり、夢を語ることができなければなりません。それも、根拠のないものでは、尊敬を受けるどころか軽蔑されます。根拠のあるものを提示するには、以前このブログで述べたように、論理的思考、水平的思考だけでは不可能です。やはり、統合的思考方法が必要になります。(この思考方法については、ここでは詳細を掲載することはしません。下の【関連記事】のところで、URLを貼付けておきますので、まだご覧になっていない方は、是非ご覧になってください)

統合的な思考ができる人は、政治家や、経営者に向いていると思います。それができる人は、残念ながら多くはいません。会社でいえば、まずは、企業人としてし論理的思考ができなくてはなりません。そこからもっと上の人は、水平的な思考ができなくては勤まらないでしょう。そこから、上の経営者クラスになれば、統合的思考ができなければ勤まりません。政治の世界でいえば、役人までなら、水平的思考でも何とかなりますし、ほとんどの役人は日々論理的思考で終始しています。しかし、政治家ともなれば、統合的思考ができなければ勤まりません。

これが出来ない人は、政治家や、経営者になれても、残念ながら、序列は高くは成り得ません。世の中には、テレビにでている政治家などみて、自分も簡単にできると思い込む愚かな人もいます。こうした人も、自分の「身の丈」を理解していないと思います。ましてや、統合的思考も、政治家や経営者に要求される一部の能力でしかありません。しかし、欠いてはならない能力です。

序列というと、序列が低い人が高い人に比較して不平等ではないかと受け取られがちであり、このことにだけ焦点があてられがちと思います。戦後の誤った個人主義、平等主義は、これに焦点をあて、序列を緩めたり、破壊することばかりに専念してきました。序列を緩めることにはある程度の意味も会ったと思いますが、破壊することには意義があるどころか、社会の混乱、混迷を助長するだけでした。

しかし、今日では、本来序列の高い人がそれに相応しい役割を演じることができないということにも問題があります。人は、序列が高くなれば、自分ではできないとは思っても、その役割を演じなければなりません。今日では、それができない人が増えてきています。親は、親らしく、先生は先生らしく、上司は、上司らしく、総理大臣は、総理大臣らしく振舞わなくてはなりません。そうでなければ、コミュニティーが混乱しますし、多くのコミュニティーから成り立つ社会が混乱します。

菅さんは、社会運動家、弁理士などをしていれば、いきいきといて、今でも元気で働いていたのではないかと思います。「身の丈」を知ることは、本当に重要な事だと思います。

本日TweetBuzzをみていたら、日本人はなぜ自殺するのか?というタイトルの刺激的なサイトが紹介されていました。

このサイトの作者は次のように主張しています。
日本では、毎年3万人を超えるひとたちが自らの意思で死を選んでいる。これは、「市場原理主義」による改革により、日本人の安心が奪われてしまったからだと説明される。
だが国際的な自殺率の比較を見ると、日本の自殺率(10万人あたりの自殺者数)が24.4なのに対し、市場原理主義の国アメリカの自殺率は11.0、イギリスにいたっては6.4だ。この統計を素直に解釈すれば、日本をアングロサクソン型の市場原理主義国家にすれば、年間1~2万人のひとが自殺から救われることになる。市場原理と改革を声高に批判するひとたちは、これをどのように説明するのだろう。
空理空論では現実は変わらない。日本的雇用を礼賛するひとたちは、この事実を直視したほうがいい。
もっともなことです。しかし、サイトの作者は、では、日本人の自殺が多い理由を仮説レベルでもあげてはいません。

さて、皆さんは、私の言いたいことはもうお分かりになると思います。そうです、現在特に、日本では、上でいうところの「序列」を意識できない人が増えてきています。平たくいえば、自らの「身の丈」を測ることができない人が増えてきているということです。一国の総理大臣が測りかねているわけですから、無理もありません。

しかし、この状況は是正されなければならないはずです。個人的にも、社会的にも・・・・。もし、個人レベルで是正しないで長い期間が経過すれば、秋葉原の殺人犯に対して精神科医が指摘していたように、いずれ精神が崩壊し、最終的には人を殺すか、自分を殺すことになるのではないかと思います。そこまでいかなくても、無気力になるとか、無能になるとかの症状が現れてくるのだと思います。社会的レベルでは、規範も何もない、混乱した社会を招いてしまうことになります。そうして、現実に個人レベルでも、社会レベルでも崩壊し始めているのが今日の日本なのだと思います。だからこそ、自殺者の数が世界的にみても多いのだと思います。

これほど崩壊しているのは、先進国では日本以外にありません。アングロサクソン系の国でも、国旗を掲げることや、国家を歌うことに対して、意義を唱えるものはほとんどいません。イギリスでも、女王や女王の親族に対して、公の席でヤジを飛ばす馬鹿な議員など存在しません。

多くの人が、自らのその時々や、場面においての「身の丈」を知ることができれば、人は、もっと幸せになることができ、正しい努力をすることができるようになるのではないかと思います。先ほど、掲載したように、特に、若いうちは、努力次第で自分の「身の丈」をまだ伸ばすことができます。突っ張って、いつも背伸びをしていれば、それがいつの間にか「身の丈」になってしまいます。

本来、このように「身の丈」を伸ばせる社会は良い社会だったと思います。しかし、身の丈を伸ばせることだけが強調されたばかりに、今日の悲劇を招いているのだと思います。

インドでは、あの悪名高いカスト制がいまだ息づいています。生れ落ちたとたん、社会における序列が決められてしまい、その後自分の努力で変えることはほとんどできません。日本人の私たちは、カスト制の骨格を知っているだけであって、その詳細までは知りません。実際には、細分化されていて、職業の内容まで細かく規定されています。あるカストは、お金を扱っても良いが、他のカストでは金銭を扱ってはいけないとかの細かい決まりがあります。

こうした社会では、序列が理解できなくて、それで精神を病むということはありません。もともと、最初から序列が強制的に決められているわけですから、社会的地位の低い人たちも、自分の身分が低いことや、貧乏であることに対して、精神的を病む人はいません。なぜなら、それは、自分の責任ではないからです。しかし、これも少しずつではありますが、改善の兆しがあります。

こうした身分制度が根付いていては、社会の発展もありえないからです。しかし、かといって、日本のように序列意識があまりに希薄になれば、精神を病む人も増えてくるのではないかと思います。

人は、ある程度年齢がいってしまったり、あまりにも高望みすれば、いくら背伸びをしようにも届きません。無理に無理を重ねれば、精神が病んでくるのも当然ですし。また、何の努力もしないで、「身の丈」の低さをなげいてばかりいても、いずれ精神に変調をきたします。

また、序列が高い地位についてしまったにもかかわらず、それなりの役割を演じることの出来ない人も、いずれ精神に変調をきたすことになります。これに関しては、自覚症状が顕著ではないので、精神が崩壊するまでは、自分でも他の人も気づきにくいのだと思います。それが、あるとき、許容範囲を超えたときに、自殺などの悲劇的な結果を招くのだと思います。

菅さん、私は、あなたは、もともとは、きっとそんなに悪い人ではないと思います。しかし、どこかで道を間違ったり、勘違いしてしまったようです。やはり、自分らしく生きるためにも、もう、他の道を選んでみてはいかがですか?あなたの間違いや、勘違いを是正し、自分の身の丈にあった道に進めば、あなたは、もっとこの世の中に大きな貢献して人々の信頼と尊敬を勝ちえることができるでしょう!!

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2010年12月5日日曜日

日米演習 中国外務省、中国けん制への言及回避 専門家「冷戦前の情勢」―【私の論評】未だにビデオを公開しないし、弱腰中国に強い姿勢を見せられない菅内閣にアメリカも業を煮やした?!

日米演習 中国外務省、中国けん制への言及回避 専門家「冷戦前の情勢」

軍事演習「キンソード
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【大紀元日本12月5日】日本の自衛隊と米軍は12月3日から、共同軍事演習「キーンソード(鋭い剣)」を実施した。日本の防衛省によると、自衛隊員3万4千人と米軍兵士1万人余りが参加。米韓共同軍事演習を先日終えたばかりの米原子力空母「ジョージ・ワシントン」を含め、艦艇60隻、航空機400機が投入される。演習は日本各地の自衛隊基地や周辺海域で行われ、その規模は先日の米韓共同軍事演習の6倍で、戦後最大となる。

これまで日米共同軍事演習への参加を避けてきた韓国も、オブサーバーとして参加している。朝鮮半島の情勢を意識して、日米韓の連携を強化する狙いがあるとみられる。

8日間の日程で沖縄東方や四国南方、九州西方の海域などで展開する同演習は、北朝鮮の脅威の抑止に加えて、海洋権益を強硬に主張し、東シナ海や南シナ海で軍事活動を活発化させる中国をけん制する狙いがあると日本国内のメディアが報道している。

一方、今回の日米共同演習に対し、中国外務省は従来のような強硬な態度を見せていない。中国国営の新華社の報道によると、中国外務省による2日の定例記者会見で、記者から日米演習に尖閣諸島周辺の海域も含まれていることについての感想を聞かれた姜瑜・報道官は、「朝鮮半島問題の唯一の解決方法は対話であり、武力の誇示は問題解決にならない」と述べて、今回の日米演習の標的は朝鮮半島問題であるような発言をした。また姜報道官は「釣魚島(尖閣諸島)の問題において、我々の立場は明確で一貫している。関連国間の軍事同盟は、中国を含む第三国の利益を損なってはならない」と述べるに止め、中国国内では数カ月前からすでに同軍事演習は尖閣諸島を標的としたもので中国を仮想敵国としていると報道されていたものの、同会見では中国けん制狙いに対する言及を避けた形となった。

更に、中国外務省のホームページに掲載されている同記者会見についての発表では、質問や答えに入っていた「釣魚島」の文字は削除されている。

新華社も、今回の演習に関する報道では、「特定の国を対象としていない」という日本の北沢俊美防衛相のコメントを強調し、日本メディアに報道された「中国けん制狙い」などについては全く報道していない。演習がおこなわれる海域について、尖閣諸島に関する言及も避けている。

一方、中国共産党機関紙「人民日報」系列の「環球網」は、今回の演習は「中国を仮想敵」とし、「釣魚島を標的」にしていると明確に報道。3日には「独善的な米国、手当たり次第に中国を懲らしめる」と題する記事を掲載して、「(米国は)いらいらしている母親のように、毎日どうやって中国を懲らしめるかをばかり考えている」と米の対中政策を批判した。

中国の政府系メディアの論調に温度差が見られるほか、ネットユーザーの反応にも9月の中国漁船衝突事件の際に見られたような激しい反日感情は表れておらず、むしろ、政府の弱腰外交に対する批判の言葉が多くなっている。

今回の日米共同軍事演習に対する中国政府の姿勢に、中国の
ネットユーザーは弱腰外交と批判。人気掲示板MOPには、「米
国が侵略してきたら門を開け、米兵を案内してあげよう」などと皮
肉った発言が多く見られるとともに、「CCP(中国共産党の略称)
を打倒して人民が国の主人公となる」といった共産党批判の発言
も見られる(ネットスクリーンショット)。クリックすると拡大します。
中国国内の人気掲示板MOPに掲載された今回の軍事演習の報道に対して、「米国が侵略してきたら門を開け、米兵を案内してあげよう」「八カ国連合軍が北京に迫ってきたら、私はようこそ北京へと歓迎の歌を歌ってあげる」などと皮肉った発言が多く見られる一方、「CCP(中国共産党の略称)を打倒して人民が国の主人公となる」と中国共産党批判の発言さえ見られる。

一方、中国国内の国際情勢専門家は、今回の日米共同軍事演習に韓国のオブザーバーが参加している点に注目。領土問題による摩擦で今まで軍事面において手を結ぶことのなかった日韓両国だが、今回の両国関係の接近により、東アジアの情勢は自由主義と共産主義が対峙した冷戦時代に戻ったようだ、と見ている。中国国際関係学院の楊伯江教授は、「日米韓の関係が強化されつつあるこの情勢を憂慮すべきだ」と国内メディアのインタビューで述べた。

【私の論評】未だにビデオを公開しないし、弱腰中国に強い姿勢を見せられない菅内閣にアメリカも業を煮やした?!

大紀元では、上記の記事掲載前に、以下のような記事も掲載しています。非常に興味深い記事なので、これもそのままコピペします。
 【大紀元日本11月25日】北朝鮮による韓国の延坪島(ヨンピョンド)への砲撃事件で、民間人が死傷するなど両国間の緊張が一気に高まった。朝鮮戦争休戦後初めての砲撃事件で、無謀ともいえる今回の挑発行為がなぜこの時期に起きたのか。北朝鮮の次期後継者である金正恩(キム・ジョンウン)が軍での権力を強化させるために出た行動との分析が大半を占める中、最大支援国である中国が外交上や国内危機の苦境から逃れるための一手であるとの見解も示されている。
 事件後、米ホワイトハウスは北朝鮮を「強く非難」し、「好戦的な行動」の停止と朝鮮戦争休戦協定の順守を要求した。イギリス、EU、ドイツも相次いで北朝鮮の挑発行為を非難するコメントを発表し、国連安保理も近々、北朝鮮への制裁案を検討すると伝えられた。一方、北朝鮮に大きな影響力を持つ中国は、砲撃事件が伝えられた直後、韓国と北朝鮮双方に冷静な対応を呼び掛け、北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議の再開が不可欠との認識を示した。
 朝鮮半島の緊張により、東京の訪問を終えて中国に向かったボスワース米政府特別代表(北朝鮮担当)の中国訪問への関心が高まった。北朝鮮が遠心分離機の存在を明らかにした後、急きょアジアに派遣された同代表は22日、ソウルでの記者会見で、米朝直接対話の可能性について、「北朝鮮が誠意を持って対話や討論の方向に転換しているという態度を示さなければならない」とした上で、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議再開問題について、「それを再びよみがえらせることを希望する」と語った。
 今回の砲撃事件で、関連各国は6カ国協議再開における中国の仲介役への期待が一層高まる。それをカードとして中国側が米国に対して人民元切り上げへの圧力を緩和させ、国際問題での中国の影響力を高めようとする中国の意図がうかがえるとの専門家の見解が伝えられている。
 中国問題専門家で、元・北京師範大学の孫延軍教授は、インタビューで今回の砲撃事件について、「北朝鮮が単独で軍事行動に出た可能性は低い」とし、「中国と北朝鮮は現在、いずれも国内外の厳しい危機に直面している。何らかの問題を引き起こすことによって、国際社会から最大限の譲歩を引き出すための行動ではないか」との見方を示している。
 同氏の分析では、中国国内では、社会格差やインフレ問題など当局はさまざまな難題を抱えており、まさに一触即発の状態。国外では、米国による人民元切り上げへの圧力が高まる一方である。尖閣諸島問題後、中国の強硬な外交姿勢に周辺国は警戒感を示し、日本との関係が急速に悪化し、日米同盟が強化されるなど国内外においての八方ふさがり状態に中国当局は焦燥感を募らせている。
 局面打開のため、毎年多額の援助を行ってきた北朝鮮は中国にとって格好の道具となった。「北朝鮮が事件を起こせば、米国は国際社会の秩序を守るため、中国に北朝鮮を説得するよう要請するだろうと中国は見込んでいる。その見返りとして、人民元切り上げを要求しないよう米政府に注文をつけ、それによって国内の経済危機を乗り切ろうと計算している」と同氏は見ている。
 一方、北朝鮮が最近遠心分離機を擁する大型ウラン濃縮施設を公開した件についても、中国の支援なしに最新設備を持つ核施設の建設は不可能との見解で、各国の専門家は一致している。
上記では、「北朝鮮の次期後継者である金正恩(キム・ジョンウン)が軍での権力を強化させるために出た行動との分析が大半を占める中」としていますが、まさしく、私も砲撃の直後ではそのような見解をブログに掲載しました。

北朝鮮と関係が深い中国は、以前米韓が黄海で合同軍事演習をした際には、米空母の参加に「断固反対」を表明した。眼前の海域では、米軍に自由な行動は取らせない、という意思表示をしました。

今回の黄海での米韓軍事演習も26日夜、外務省副報道局長が「中国の排他的経済水域(EEZ)では、どの国であれ、許可なく軍事行動をとることに反対する」と、反発しました。

中国は、圧力をかけて北朝鮮に核廃棄を迫ろうとする日米韓には同調せず、むしろ経済支援の強化によって3代世襲体制を支える立場です。隣国の北朝鮮で体制が崩壊すれば、中国の安定も損なわれるという計算があるのでしょう。

しかし、地域の平和と安定を脅かしているのは、北朝鮮です。中国が甘やかしてきたことが、ここまで増長させたのではありませんか。

北朝鮮の現状を黙認するなら、地域情勢は不安定さを増すばかりです。時限爆弾を抱える現実を、中国は認識しなければならないはずです。

もし、今回の砲撃事件が、大紀元日本11月25日の記事にあるように、中国が背後にいるとすれば、これは大問題です。その可能性は十分にあります。中国の北朝鮮に対する煮え切らない態度をみていれば、この記事のように直接中国が関与しなかったとしても、この事件を何らかの取引の材料に使うことなどは考えたかもしれません。

しかし、その目論見は完全に読み間違えにしかすぎなかったことが明らかになったと思います。その結果、ここしばらくなかった、日米韓の合同による今回の大規模な軍事演習である「キン・ソード」です。

今回の、「キン・ソード」に対する中国の各メディアの報道は、本日の大紀元の報道にもみられるように、いろいろあるようですが、及び腰の論調が多いようで、それに対してネットユーザーが怒りをぶちまけているというところです。

それから、上の記事で、『中国国内の国際情勢専門家は、今回の演習によって、「東アジアの情勢は自由主義と共産主義が対峙した冷戦時代に戻ったようだ」と見ている。中国国際関係学院の楊伯江教授は、「日米韓の関係が強化されつつあるこの情勢を憂慮すべきだ」と国内メディアのインタビューで述べた』としていますが、この見方は完全に偏っていて、一方的です。

現実は、ソ連崩壊によって、冷戦構造はなくなり、ロシアや東欧諸国は、まがりなりにも、形だけでも民主的になりましたが、残念ながら、アジア、特に中国と北朝鮮は、冷戦前の構造がそのまま残ってしまい、いまでも世界の安定に脅威をもたらしています。さらには、そもそも最初から不可能であるにもかかわらず、アメリカが一極支配を目論んでいるため、さらに世界は不安定な構造となっています。

これに対して、結局日本も何もしてこなかったというのが実体であり、本来これに対しても何かすべきものだったものをまだ、多数の積み残しがあるというのが実体です。上記のような見方しかできない中国国内の国際情勢専門家は、能力が著しく低いし、だからこそ、今回の中国の読み間違いも発生したものと推測します。

この、大規模な軍事共同訓練に関しては、おそらく菅内閣、民主党など完全に蚊帳の外だったのだと思います。第一、尖閣での中国漁船体当たり事件の処理の仕方をみていても、どうしようもないくらいに、及び腰ですし、事前に軍事演習に関して、アメリカ側から申し入れがあっても、特に断る理由もないし、それに判断すらできないですから、黙っていた、その結果、申し入れに従って、制服組などが、演習の準備をして実現したというところが、関の山でしょう。

民主党の中の左翼連中も、この軍事演習を断るだけの判断材料をあげることも、その勇気もなかったのだと思います。菅さんも、北沢も、岡崎トミ子も、中国さまのご機嫌を損ねることには反対すべきその他の閣僚も出来なかったのだと思います。

中国が今回の演習に対して特に目立った抗議もしない、というよりできないのは、もともと、中国は、ベトナムやフィリピンのような、大国の後ろ盾もないとか、後ろ盾の弱い国に対しては強い態度にでるのですが、アメリカや、ロシアなどの軍事大国に対しては、昔から一環して弱腰だったからです。

特に、中国がロシアに対して昔から一環して弱腰外交であったことは、以前のブログにも述べたことです。

日本は大国であるのは間違いないのですが、なにしろ、政権が左翼の甘露煮頭です。今回の、尖閣の問題は、こうした甘露煮頭の弱体政権に対して、どこまでやれるか試しにやってみたところ、あのアメリカを怒らせて、今回のような軍事演習をさせてしまったということで、全くの失敗に終わったわけです。愚かなリ中国というところです!!完全に、各国の意図を読み誤っています。

アメリカは、本来は弱腰外交の中国に、オバマ大統領が一時、融和的態度でのぞんだことから、中国を増長させてしまったのだと思います。その意味では、まだ、アンチ知性派のブッシュ政権のほうが、中国に対する正しい対応をしていたといえるかもしれません。オバマ氏としては、今回の中間選挙でも負けていますから、この機会に国民に対して、中国に対しても強い意思表示をする必要があったものと思います。生来の外交べたの中国は、今回はすっかりいろいろなシナリオを読み違えたのだと思います。

アメリカと中国の間には、共通点もありますが、はっきりと利害が相反するところもあります。共通点に関しては、両方とも日本の弱体化を狙っているということです。アメリカは、日本を韓国のようにアメリカの経済植民地にすることを望んでいます。これは、半分成功しかけていますが、日本は意外としぶとくて、まだまだ程遠い状況にあります。利害が相反するところとは、日本が中国の覇権の中に取り込まれることを中国は無論、大賛成ですが、アメリカは絶対に許容しないということです。

さて、民主党政権は今回の一連の出来事から何を学んだことでしょうか?おそらく、ほとんど学んでいないと思います。ただ、流されるまま漂流していたというのが実体でしょう。もう、漂流政権、漂流政党に国政を任せておくことはできないということを、大多数の国民が学んだことでしょう。

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