2016年6月17日金曜日

「オール沖縄」崩壊の兆し 那覇市議会議長の不信任案可決 唯一の保守系に亀裂―【私の論評】中国の傍若無人と弱体化とともに下火になる沖縄左翼運動(゚д゚)!


沖縄県那覇市議会
沖縄県那覇市議会の金城徹議長に対する不信任決議案が17日、自民、公明両党などの賛成多数で可決された。金城氏は翁長(おなが)雄志(たけし)知事の側近で、翁長氏を支える勢力のうち、県内の市町村議会で唯一となる保守系議員会派「新風会」に所属していた。

不信任決議案は、「公平・公正な議会運営と議会改革が期待できない」として提出された。新風会会長を務めていた知念博議員も賛成に回った。

那覇市議会議員名簿より

翁長氏は自身の支持勢力について保革融合の「オール沖縄」と喧伝してきたが、唯一の保守系議員会派に亀裂が入り、県政界では「オール沖縄崩壊の兆し」との声が上がっている。

6月5日の県議選には新風会系として市議2人が出馬したが、ともに落選。しこりが残ったとされ、知念氏は6日に新風会を離脱して無所属となった。金城氏も議長のため現在は無所属。

【私の論評】中国の傍若無人と弱体化とともに下火になる沖縄左翼運動(゚д゚)!

さて、以下ではまずオール沖縄についてまとめておきます。

「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の結成大会で手を
つなぐ参加者=2015年12月14日夜、沖縄県宜野湾市
オール沖縄(オールおきなわ)は、沖縄県のアメリカ軍普天間基地の辺野古移設反対派による政治的統一戦線・選挙運動です。また、その選挙運動を支える組織として結成された「普天間基地移設を目的とするオール沖縄会議」の略称です。

2014年沖縄県知事選挙において、辺野古移設反対派の翁長雄志を支援する枠組みとして誕生しました。

それまで沖縄では革新勢力による革新統一は頻繁に行われていたましたが、2014年の県知事選では戦後初めて革新勢力に加え辺野古移設反対派の保守勢力(翁長は元自民党である)も参加した統一戦線が結成されました。この統一戦線には、「辺野古移設に反対する圧倒的な県民世論の元で保守と革新の壁を乗り越え、沖縄が一致団結する」という意味をこめてオール沖縄の名称がつけられました。結成以後は、沖縄県内のあらゆる選挙において選挙協力・候補者調整・統一候補擁立を行っています。

沖縄県翁長知事
社会民主党・日本共産党・生活の党と山本太郎となかまたち・沖縄社会大衆党・民進党沖縄県連・那覇市議会新風会・沖縄県議会県民ネットなどの政党・会派が参加しています。

また沖縄県知事・那覇市長・名護市長といった首長も参加し、2016年5月現在は沖縄県議会および那覇市議会において過半数を確保しました。

ただし辺野古移設反対派でも、翁長県政に是々非々の立場を取る公明党沖縄県本部およびおきなわ維新の会(政党そうぞう)は参加していません。

保守、革新・リベラルの枠を超え、沖縄県民がこぞって辺野古移設に反対―というのが「オール沖縄」の建前です。地元メディアが意図的に定着させ、2014年の知事選、衆院選で辺野古移設に反対する候補が圧勝する原動力となった言葉です。

沖縄の海岸
しかし両選挙を地域別に見ると、たとえば八重山の場合、辺野古移設容認の候補の得票が多かったのです。要するに辺野古移設問題に対しては県内でも温度差があり、十把一からげに「オール沖縄」という言葉が使われるのには、県民として違和感がある人も多いようです。

そうして、上の記事では、この「オール沖縄」の崩壊の兆しを掲載しています。さて、このオール沖縄の崩壊の兆しは他にもありました。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【編集日誌】中国軍艦侵入にもだんまり…翁長沖縄県知事、発言なしですか―【私の論評】何か語れば保守派に利用されることを極度に恐れている翁長知事(゚д゚)!
尖閣諸島
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、「オール沖縄」崩壊の兆しの部分を以下に引用します。
中国海軍の艦艇が尖閣諸島周辺の接続水域に初めて侵入したことに、沖縄県石垣市の中山義隆市長は「非常に強い危機感を持っている」と述べました。尖閣を行政区域に抱える市政トップとして当然の反応でしょう。対照的に何もコメントしなかったのが翁長雄志知事でした。

翁長氏は昨年5月の外国特派員協会での会見で「私も尖閣は日本固有の領土だと思っている」と明言しました。ならば即座にメッセージを発してもよかったはずです。共産党の志位和夫委員長も「軍艦侵入は軍事的緊張を高めるだけ」と批判したのですから。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を訴える翁長氏として、中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念したのでしょうか。それとも翁長氏には危機感がないのでしょうか。
・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・ 
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を訴える翁長知事としては、尖閣問題を強調すると中国の脅威や米軍基地の重要性を認めざるを得なくなり、移設反対の論拠が弱まりかねないです。このため、知事や反基地派は尖閣問題を無視するか、「尖閣有事でも、米軍が出動することはない」「普天間飛行場の米海兵隊は抑止力にならない」などと反論していました。

しかし、尖閣に日米安保が適用されることはオバマ米大統領が明言しています。米軍が抑止力であることを否定する主張は日米安保の否定にもつながり、保守派の共感を得にくいです(注:太文字はブログ管理人によるものです)。現在、翁長知事を含めた辺野古移設反対派にとって「尖閣」は極力触れたくないキーワードになっています。

さらに、翁長知事は、自らの発言が安倍総理に利用されることを懸念している可能性もあります。 
青山繁晴さんが翁長知事が、安倍総理の術中にはまったと暴露しています。伊勢志摩サミットの直前に安倍総理に会った翁長知事がオバマ大統領に面談したことなどを利用して、オバマ大統領との交渉を有利にもっていったことを暴露しています。 
これについては、以下の動画をご覧になってください。

翁長知事は、こういうこともあったので、中国海軍の艦艇が接続水域に入ったことに関しては何か発言すれば、また保守派等にその発言を利用されてしまうかもしれないと懸念している可能性が大きいです。
政府は16日、中国海軍の情報収集艦が沖縄県・北大東島の接続水域を一時航行したことについて「看過できない」(政府筋)と反発が強めています。9日の沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域航行から始まり、15日の鹿児島県・口永良部島の領海侵入に続く行動です。政府内には「われわれの懸念などを顧みない行為で、度が過ぎている」との声が上がっていました。

短期間に三度も、中国海軍の艦艇は接続水域を航行しましたが、今のところ翁長知事はこれらについて何のコメントもしていません。さすがに、これは異常です。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を訴える翁長氏として、中国の脅威を強調すると米軍基地の重要性を認めざるを得ないと懸念して発言をしないというなら、本当に無責任です。もし、これでも危機感がないというのなら、とても沖縄県知事などつとまりません。いずれにしても、翁長知事にとっても、「オール沖縄」にとっても、これは逆風です。

そうして、沖縄県那覇市議会の金城徹議長に対する不信任決議案が本日、自民、公明両党などの賛成多数で可決されたのです。

中国海軍の軍艦は、これからも接続水域に頻繁に出没することが考えられます。それにだんまりを通していては、さらに逆風が強くなります。しかし、中国の軍艦の侵入について、危機感を表明すれば、これも逆風になります。

いずれにしても、逆風からは逃れられないことになります。そうなると確かに「オール沖縄」崩壊の兆しになることが十分に考えられます。



そうして、これは後からみると大きなターニングポイントになっているかもしれません。

沖縄左翼には、地元企業や共産党や中国が資金を提供していることは、今日ではすでに多くの筋から明らかになっています。

しかし、これらが、いくら沖縄県民などに金を費やしたとしても、その対価を得られないようであれば、そんなことは無駄なので止めます。

成田闘争など、今さらいくら反対運動してみたところで、何の効果も期待できません。だからこそ、誰も支援をしないので、左翼もこれに対していまさらそのようなことはしないのです。

沖縄も同じです。翁長知事がいくら基地移転反対といいはったにしても、偏った沖縄二紙などいくら操作誘導しても、何も変わらなければ、左翼や中国もいずれ手を引きます。日本中から暇な老人をいくら動員しても、何も変わらなければ、いずれ資金提供をする組織も国もなくなります。

沖縄県民も、我が国の国民も馬鹿でも愚かでもありません。馬鹿で愚かなのは、翁長知事などのごく一部に過ぎません。そのことに多くの人が気づけば、いずれオール沖縄は有名無実となり、さらに沖縄の左翼運動もかなり下火になることでしょう。

成田闘争1971年7月 今ではこれが存在したことすら知らない人も多い
沖縄と日本を破壊する愚かな人々に、さよならする時期が近づきつつあります。時期的に早いか遅いかの話だけです。20年もたてば、成田闘争のように跡形もなく完璧に消えています。歴史は繰り返します。そうして、その頃中国は崩壊しているか、存在していたとしても、中進国のわなにはまり、図体が大きいだけの凡庸はアジアの一独裁国になっています。

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2016年6月16日木曜日

日銀 大規模な金融緩和策 維持を決定―【私の論評】日銀は批判を恐れずなるべくはやく追加金融緩和を実行せよ(゚д゚)!

日銀 大規模な金融緩和策 維持を決定



日銀は、16日まで開いた金融政策決定会合で、国内の景気は基調としては緩やかな回復を続けているとしてマイナス金利政策を含めた今の大規模な金融緩和策を維持することを決めました。

日銀は16日までの2日間、金融政策決定会合を開き、国内外の景気や物価の現状と先行きについて議論しました。

その結果、消費は「一部に弱めの動きもみられるが、雇用・所得環境の着実な改善を背景に底堅く推移している」としました。

企業の生産は「地震による影響もあって横ばい圏内の動きを続けている」とし、住宅投資は「再び持ち直している」としました。

これらを踏まえて日銀は、国内の景気について「新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている」という判断を示しました。

そのうえで、目標とする2%の物価上昇率の達成に向け、マイナス金利政策を含めた今の大規模な金融緩和策を維持することを賛成多数で決めました。

金融市場では、今月23日にイギリスで行われる国民投票に向けて、EU=ヨーロッパ連合からの離脱派が勢いを増しているとの見方から円高や株安が進むなど不安定な値動きが続いています。

しかし、今回の決定で日銀としては、マイナス金利政策が経済に及ぼす効果や、イギリスの国民投票の結果を見極めたいと判断したものとみられます。

【私の論評】日銀は批判を恐れずなるべくはやく追加金融緩和を実行せよ(゚д゚)!

結論からいうと、日銀は追加金融緩和を行うべきでした。以前このブログにも掲載したように、いくら金融緩和しても下げられない失業率を「構造的失業率」といい、実際の失業率が構造的失業率まで下がらないと、物価や実質賃金は本格的に上昇せず、インフレ目標の達成もおぼつかないことになります。

構造的失業率などについて以下に簡単に解説しておきます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。 
  • 需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業 
  • 構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業 
  • 摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
日銀は、構造失業率が3%台前半で、直近の完全失業率(4月時点で3・2%)から下がらないので、これ以上金融緩和の必要がないという考えが主流のようです。

過去の失業率をみてみると、以下のような状況です。

過去20年近くは、デフレなどの影響があったので、あまり参考にならないと思ういます。それより前の過去の失業率をみると、最低では2%程度のときもありました。過去の日本では、3%を超えると失業率が高くなったとみられていました。

このことを考えると、日本の構造失業率は3%を切る2.7%程度ではないかと考えられます。

であるとすれば、現在の完全失業率3.2%ですから、まだ失業率は下げられると考えます。だとすれば、さらに金融緩和をすべきでした。

しかし、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は、すでに実際の失業率が構造失業率に近い水準まで下がっているのに、なぜ賃金が上昇しないのか、疑問を持っていたようです。にもかかわらず、今回は追加金融緩和を見送ってしまいました。

日銀黒田総裁
2014年10月の日銀の追加緩和は、安倍晋三政権による消費税率10%への再増税を後押しするためだったといわれており、このときの黒田相殺は、中央銀行総裁というよりは、元財務省出身者の立場が良く現れていたと思います。

しかしながら、マイナス金利の導入は、中央銀行総裁としての面目躍如というところで、見事に中央銀行総裁の立場を示したものといえました。

しかし、安倍政権は再び再増税を延期し、今回もまた増税を見送ったというか、以前のこのブロクにも述べたように、これはほんど凍結に近いものです。財務省の落胆はかなり、大きかったでしょう。この心情を理解した黒田総裁は、今回も金融緩和する気になれなかったのでしょう。まさに、今回は、中銀行総裁というよりは、旧財務省出身者の立場が貫かれているようです。

しかし、本来は金融緩和を行うべきでした。そうして今回行うべきは、「マイナス金利」の拡大ではなく、量的緩和による国債買い入れ額の拡大とすべきでした。

現在政府の景気対策として、財投債(国債の一種)発行によるインフラ整備が20兆円規模で検討されており、補正予算が秋の臨時国会で決定される予定です。その後で、量的緩和の拡大を日銀が行うと、「ヘリコプターマネー」との批判を受けたかもしれません。


しかし、インフレ率が低い現状では、全く取るに足らない批判ですが、日銀としては無駄な説明をしたくないという認識あったのかもしれません。であれば、政府が国債を発行する前に量的緩和しておけば、日銀にとっては良い選択だったと思います。

しかし、今回も量的緩和をしなかったということで、補正予算が決まった後で、量的緩和ということになると、「ヘリコプターマネー」との批判をかなり受けやすくなるといことで、緩和をしにくい状況になると思います。

それにしても、このままでは、いずれ金融緩和の効果も薄れてくるのは必定です。結局、消費税にこだわる財務省とその片棒をかづく政治家やマスコミによって日本はせっかくのデフレ脱却のチャンスを逃すことにもなりかねません。

どこかで、日銀黒田総裁は、初心を思いおこし、中央銀行総裁としての矜持を貫いていただきたいものです。

街頭演説をする安倍総理
それにしても、今回の参議院選挙は追加金融緩和の見送りでかなり厳しくなりました。今回は、ある程度国民からお灸を据えられそうな雲行きです。野党も株安や円高を責めてくることになるでしょう。野党は、「アベノミクス失敗」の連呼でずいぶんと戦いやすくなったかもしれません。

とはいっても、現在金融緩和をするしないで、すぐに7月の参院選の頃にその影響が現れるということではありません。株価や、為替は別にして、実体経済に対する金融緩和の効き目にはタイムラグがあります。1〜2年程度を経てからはじめてその効果がでてきます。

それに野党は、金融政策と雇用や経済が密接に結びついていることなど全く理解していません。だから、彼らの主張する「アベノミクス失敗」は全く頓珍漢で単なる個人攻撃に過ぎないものです。彼らの批判は一部の人にしか受け入れられません。そもそも、現状の雇用状況のかなりの改善があるのですから、「アベノミクス失敗」と連呼してもそれは一部の人にしか影響を与えません。

だからすぐにどうこうのということはないです。しかし、長期的にみれば必ずその影響は現れてきます。近いうちに追加金融緩和をしないと、あいかわらず実質賃金が上昇しないという事態に見舞われることになります。それに、せっかくかなり改善した雇用環境が悪化するかもしれません。

これまで、安倍総理を一番支えてきたのが、他ならぬ金融緩和であることを理解しないと安倍総理は退陣せざをえなくなるかもしれません。そうなれば、一番財務省が喜ぶことになります。

そうして、日本経済はまたデフレスパイラルのどん底に沈み込むことになります。

そんなことは、断じて避けなければなりません。日銀は、「ヘリコプターマネー」と批判されたとしても、近いうちに必ず追加金融緩和を行うべきです。

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2016年6月15日水曜日

孤立浮き彫りの中国 ASEAN懐柔に失敗 あの外相が1人で会見の異常事態―【私の論評】海洋戦略を改めない限り、これから中国は大失態を演じ続けることになる(゚д゚)!

孤立浮き彫りの中国 ASEAN懐柔に失敗 あの外相が1人で会見の異常事態

中国の王毅外相
中国は外交でも国際社会から孤立を強めている。中国雲南省玉渓で開かれた中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相による特別会合で、ベトナムなど一部加盟国と中国が対立する南シナ海の領有権問題をめぐる議論が決裂、共同記者会見も開かれず、中国の王毅外相が1人で会見するという異常事態となった。

フィリピンが提訴した常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判断が近く示される見通しとなる中、中国は孤立回避に向けてラオスなどの友好国の取り込みを図り、対立国との一致点を模索したが、ASEAN側は中国との調整を放棄、南シナ海の人工島造成や施設建設について「信頼を損ねる動き」と非難、不信感をあらわにした。

王毅外相は単独で開いた記者会見で「中国とフィリピンの間の意見の相違はASEANとの問題ではなく、協力関係に影響はない」と強調。ASEANの対中交渉の窓口国であるシンガポールの外相が会見に参加しなかったことについては「フライトやスケジュールの問題」と説明せざるを得なかった。

4月には中国の劉振民外務次官がASEAN各国に対し、仲裁の結論に同調することは「危険な動きだ」と発言。これが「恫喝(どうかつ)」(シンガポール外務省高官)と受け止められ、反発が広がった可能性があり、中国外交は失敗に終わった。

【私の論評】海洋戦略を改めない限り、これから中国は大失態を演じ続けることになる(゚д゚)!

この記事、完璧に中国の外交が失敗だったことを示しています。このところ、中国の外交は失敗続きで何も良いことはありません。そうして、失敗続きの連続で、王毅外相のいらつきは極度に達しているようで、最近の行動は常軌を逸しているといっても過言ではありません。

その状況を物語るいくつかのエピソードを以下に掲載します。

今月はじめ中国の王毅外相が、中国の人権状況について質問したカナダ人記者に激怒し、話題になっていました。

今月1日、訪問先のカナダで、ディオン外相と共同記者会見した王氏は、カナダ人記者が、人権問題や南シナ海での軍事的覇権に懸念があるなか、「なぜ両国関係を強化するのか」とディオン氏に質問したところ、いきなり激高したのです。

「あなたの質問は、中国に対する偏見に満ちており、傲慢だ!」

さらに、王氏は「まったく容認できない。中国の人権状況について最もよく分かっているのは中国人だ!」と続けました。

カナダ放送協会(CBC)が世界に配信した映像をみると、王氏は両手を大きく動かして怒りをあらわにし、鬼のような形相で記者をにらみつけている。その時の動画を以下に掲載します。


王氏は、4月末に訪中した岸田文雄外相にも悪態をつくなど、常軌を逸した“暴走”が目立っていました。専門家は、習近平国家主席率いる中国の強硬外交が失敗続きで、「あちこちで八つ当たりしている」と指摘しています。

王氏の暴走はこれだけではありません。日本の岸田外相が4月末に訪中して日中外相会談を行った際、王氏は「中日関係が谷底に落ちた原因は、日本側が自分で分かっているだろう」「あなたが誠心誠意を持ってきたのなら、われわれは歓迎する」といい、日本側をあぜんとさせました。以下にそのときの動画を掲載します。


この非礼極まる態度に関しては、中国のインターネット上でも「外交儀礼は(粗末な)田舎の接待にも劣る」「低級だ」などの批判が相次いだそうです。

オバマ米大統領が5月27日、被爆地・広島を訪問して感動的なスピーチをした際にも、王氏は「南京も忘れてはならない。被害者は同情に値するが、加害者は責任逃れはできない」といい、日本たたきに必死でした。

知日派で知られる王氏なのですが、暴走の背景には何があるのでしょうか。

中国情勢に精通する評論家の石平氏は「王氏は、習氏の手先となって強硬外交を展開したが、ことごとく失敗し、逆に中国の孤立化を招いた。王氏自身が追い込まれており、あちこちで八つ当たりしているとみていい。このままでは更迭される可能性もあるのではないか」と語りました。

しかし、これは別に王毅外相による外交の失敗というわけではなく、最近の中国の行動そのものに問題があることは確かです。

そもそも、自らの領土でも何でもない南シナ海の環礁を埋め立て、環境破壊し、それに及ばず軍事基地化したのは中国です。このようなことをする国の外務大臣が、いくらまともに外交をしようとしてもできないのが当たり前です。

それに、今月の6月9日には、中国海軍の艦船が尖閣列島の接続水域に入りました。産経新聞は、当日号外(下の写真)でこの出来事を報じました。

本日の産経新聞の号外 写真はブログ管理人挿入 

そうしては本日は、 防衛相が、中国海軍の艦艇が鹿児島県の口永良部島周辺の領海に入ったと発表しました。中国艦はすでに領海を出ています。防衛省によると、中国軍艦による領海侵入は2004年の沖縄県先島諸島周辺での原子力潜水艦による侵入以来2例目です。外務省は15日、在日中国大使館に対し、中国軍の活動全般について懸念を伝えました。
口永良部島西方の領海に侵入したとされるドンディアオ型情報収集鑑
防衛省によると、15日午前3時30分ごろ、中国海軍のドンディアオ級情報収集艦1隻が、口永良部島西方の領海を南東に進むのを海上自衛隊のP3C哨戒機が確認。午前5時ごろ、鹿児島県の屋久島南方から領海を出ました。

防衛省によると、中国海軍の情報収集艦は、沖縄周辺海域で実施中の海上自衛隊と米国、インド両海軍の共同訓練「マラバール」に伴い、日本領海を航行していたインド艦船2隻の後方を航行していたそうです。


中国側の直接的な狙いは以前にもこのブログで述べたように、『マラバール』への対抗措置だと考えられます。米海軍と日本の海上自衛隊を牽制(けんせい)する狙いが透けてみえます。東シナ海情勢は“第2フェーズ”に入りました。中国軍は、尖閣諸島への上陸という“第3フェーズ”も視野に入れて、今後、領海侵入を常態化させていくでしょう。自衛隊と中国軍の軍事衝突の可能性も格段に高まりました。海上警備行動の発令を迅速に出せる態勢を整えておくべきです。

そのためには、このブログでも以前掲載したように、南シナ海における米軍の「航行の自由作戦」のように、海自が尖閣を含む東シナ海の海を定期的にパトロールすべきです。今後領海を侵犯したときは、警告しても受け入れない場合は撃沈すべきでしょう。

公開された「マラバール」米空母「ジョン・ステニス」に着艦
する F/A-18ホーネット=15日、沖縄から東約290キロの洋上
さらに、インドに関しても以下のようなニュースがあります。

インドと中国が領有権を争い、インドの実効支配下にある印北東部アルナチャルプラデシュ州に今月9日、中国人民解放軍が侵入していたことが分かりました。印国防省当局者が15日、産経新聞に明らかにしました。中国は、インドが日米両国と安全保障で連携を強めていることに反発し、軍事的圧力をかけた可能性があります。

中国兵約250人は、州西部の東カメン地区に侵入し、約3時間滞在しました。中国兵は3月にも、中印とパキスタンが領有権を主張するカシミール地方でインドの実効支配地域に侵入し、インド軍とにらみ合いになっていました。アルナチャルプラデシュ州への侵入は、最近約3年間、ほとんど確認されていませんでした。

アルナチャルプラデシュ州 地図の赤い斜線の部分
中国側からすると、日米印の共同訓練「マラバール」への牽制のつもりなのでしょうが、そもそもなぜ「マラバール」を実施することになったかといえば、中国が随分まえから、南シナ海に進出して、最近では環礁を埋め立て軍事基地化し領有権を主張たり、尖閣諸島付近に海警の船を出没させ、最近では軍艦まで派遣するということで、本来日中には領土問題など存在しないのに、尖閣諸島は中国のものだと主張してみたりで、さんざん周辺諸国に対する脅威を煽ってきたからです。

これは、外交の失敗などではなく、中国の海洋戦略に問題があるのです。この状態が続けば、近いうちに王毅外相は外交で何も成果をあげられなくなることになります。

これは、たとえ王毅外相を更迭したにしても、他の外務大臣でも同じことで、海洋戦略を改めない限り、これから中国は外交で大失敗をし、大失態を演じ続けることになります。

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2016年6月14日火曜日

【舛添氏公私混同疑惑】「国民の常識から離れていることに気づいているのか…」 民進・山尾志桜里政調会長がテレビで舛添要一都知事を突き放すも視聴者は「あなたの疑惑どうなった?」―【私の論評】なぜ山尾は責められず、舛添は責められるのか?


山尾志桜里政調会長
民進党の山尾志桜里政調会長は13日夜のBSフジ番組「プライムニュース」に出演し、舛添要一東京都知事の政治資金「公私混同」疑惑について「(舛添氏の)説明を聞いて、自身で辞職をされるのが最も適切だろうということは、わが党としても申し上げている」と突き放した。

山尾氏は「次から次と、一つ一つ出てくるエピソードが国民の暮らしや常識から離れていることに自身が気づいているのかどうかも国民からすると、よく分からない」とも指摘。その上で「『説明すればするほど…』という状況になってしまっているのではないか」と解説した。

ただ、山尾氏自身も“常識外れ”の多額のガソリン代やコーヒー代の支出など「政治とカネ」をめぐる数々の疑惑が指摘されている。

番組の最後、視聴者から「舛添氏の疑惑追及もいいが、ガソリン疑惑の説明はどうなったのか」と質問を受ける流れで、山尾氏は初めて「改めて自分の襟をたださなければ、と思っている」と言及した。

ガソリン代について不適切な処理を行った可能性が高いと説明していた元公設秘書との交渉に関しては「それぞれが弁護士を立てて協議をしている。その顛末もしっかりと説明させていただきたい」と述べた。

【私の論評】なぜ山尾は責められず、舛添は責められるのか?

政治資金規正法がザル法であるということが、山尾志桜里や舛添要一のような政治家を生み出す原因であるということを正論すぎる松井大阪府知事の主張の動画を以下に掲載します。


それにしても、舛添知事への追求はかなり厳しく行われています。本人も辞任の決意をしているようですが、9月のリオ五輪まで待ってくれなどと語っています。

しかし、それにしても不思議なのは、同じように政治資金の疑惑で追求された山尾志桜里民主党政調会長がまるで何事もなかったかのように追求されないことです。

産経新聞も今日はブログ冒頭の記事を報道しましたが、他の新聞はスルーです。テレビでもほとんど追求されません。

この違いは一体何なのでしょうか。まずは、識者の声を拾ってみたところ、高須クリニックの院長がなぜ舛添さんがこのように批判を受けるのか、面白いコメントをしていたので、以下にその記事のリンクを掲載します。
【Yes!高須のこれはNo!だぜ】孤立無援の舛添都知事 イメージしやすい疑惑だから批判の声も大きいんだよ
高須クリニック院長
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分を引用します。
 東京の予算や経済規模が他県と比べてかなり大きいのはいうまでもないよね。都知事の権限は途上国の国家元首に匹敵するほどのものなんだけど、疑いが持たれているのが千葉県の温泉施設などでの宿泊費だったり、回転寿司屋での食費だったりと、金額も含めて一般人にとって身近でイメージしやすいものばかり。「これくらいの金額なら大丈夫」と油断していたのかもしれないね。 
 だとしたら大間違いだ。誰でもイメージしやすいからこそ批判の声が大きいんだよ。逆に「パナマ文書」みたいに金額の規模があまりにも巨大だと、人ごとみたいに感じられて関心を持つ人が少ないよね。
 確かに、こういう面は否めないとは思います。しかし、これが理由で舛添氏が徹底的に追求されるというのなら、山尾志桜里政調会長も同じく、追求されても良いのではないかと思います。

以下に、山尾志桜里政調会長の政治資金疑惑を振り返っておきます。


まずは、上のチャートにも掲載されているように、ガソリン代疑惑、寄付金疑惑がありました。

さらに、以下のような疑惑もありました。


舛添都知事のように、みみっちくてせこい、花代などというのもありました。これは、いくらだったか覚えていません。

さらに、衆院選直前に不可解な「500万円の移動」というのもありました。これは、このブログにも以前掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
山尾氏、今度は衆院選直前に不可解な「500万円の移動」 週刊新潮報道 ―【私の論評】献金問題と同じく匿名ブログに基づく議論も指弾されるべきだ(゚д゚)!
 民進党の山尾志桜里政調会長(41)に、新たな疑惑が浮上した。2014年末の衆院選直前、500万円もの大金が同日中に「山尾氏→選挙区総支部→山尾氏」と移動しており、週刊新潮が「脱税」の疑いを指摘したのだ。山尾氏は、プリペイドカードを使った多額のガソリン代を政治資金収支報告書に記載しながら、根拠も示さず「秘書が不正をした疑いがある」と釈明したばかり。一体、どうなっているのか。
 
 14年11月21日に、民主党(当時)から山尾氏は「公認料500万円」を受け取り、10日後の12月1日、山尾氏から総支部に「寄附金」として500万円を計上した。ところが、同じ12月1日、今度は総支部から山尾氏に「選挙費用」として500万円が移動している-というのだ。 
 夕刊フジでも報告書を調べたところ、500万円の移動が確認できた。
花代はせこかったのですが、確かにこうして並べてみると、舛添氏よりは大掛かりのようではあります。 それにしても、パナマ文書がらみの、数千万円とか、億単位ではないので、一般人にも容易に想像できる範囲のような気がします。

にもかかわらず、舛添要一都知事が徹底追求され、山尾志桜里政調会長のには、何か背景があるはずです。

実は、両者の徹底的な差異がありました。それは、舛添要一氏が、保守陣営からも嫌われていたという事実があるということです。山尾志桜里政調会長は一応革新陣営からは少なくとも嫌われていません。

舛添要一氏は、保守、革新からも嫌われているという違いがあります。保守側(一応旧来の保守・革新という分け方のつもりです)からは、元々嫌われており、このところの追求で革新側も嫌っていました。

これについては、若干の説明が必要でしょう。

まずは、舛添要一氏は、もともと安倍首相および保守派自民党議員とは政治思想が合わず、犬猿の仲であることがあげられます。自民党時代から、安倍晋三氏らや保守派議員らの改憲勢力や政策をさんざん批判しまくっていたため、保守派議員や保守派論壇ネトウヨなどから好ましく思われていないというか、嫌われていました。

舛添氏は、もともと東大で助教授を務めていた政治学者でした。しかも、 パリ大学現代国際関係史研究所客員研究員だったこともあるほど、フランスかぶれの近現代的というか革命的な政治思想の持ち主で、安倍氏らのような保守派とは基本的に考えが合わない上に、彼らをちょっと軽蔑しているようなところさえありました。しかし、学者として優れていいということと、政治家としている優れているということは無論、全く別次元の問題です。

実際、舛添氏は政治家としては優れているとはいえませんでした。特に年金問題で「最後の一円まで帳尻をあわせる」というような趣旨の発言をしたときには、私自身はあまりに愚かだと思い、これもかなり驚愕しました。

さて、舛添氏のやんちゃぶりの事例をここにあげておきます。

安倍首相は前政権の時、07年の参院選で惨敗しながらも、当日の夜、すぐに続投宣言しました。

その時に、舛添氏があまりにも辛らつな安倍批判を行なっていたので、私自身驚愕でした。

以下に、『2007年の週刊文春 8月9日号 特集記事 安倍自民37議席の「天罰」』より舛添氏の言葉を含む記事を引用します。 
 まだ開票作業がはじまって間もない21時30分。ニュースで「安倍首相、続投の意向」との一報が流れた瞬間、舛添要一氏は次のように吐き捨てた。
「バカだよなー。まだたたかっている候補がいるのに、なぜこの段階で言う。(自民党は)安倍のために政治をやっているんじゃない。知恵をつける奴がいない。バカにつける薬はないよ!」』 
『安倍内閣を「バカ社長にバカ専務」と言った気持ちは全然変わっていません。ボンボンでもなんでも社長に祭り上げるのはいいわけですよ。どこでも二代目社長、三代目社長はいる。そういう会社は、(社長が)バカだとわかっているけど、周りの専務たちがしっかりしているからもっているわけです。だけど、ボンボンのうえに周りの番頭たちも駄目だから駄目なんです。いまやらなければならないのは、それを替えることに尽きます。』
2007年の通常参院選の結果を報じる新聞 自民は歴史的惨敗を喫した。そのごはねじれ国会に。
このように、自分の能力にかなり自信を持っている舛添氏は、安倍氏らのような世襲の二世、三世政治家を快く思っていないところがあり、彼らを批判することも多かったのです。

しかし、舛添氏が何よりも超保守派やネトウヨに敵視されたのは、同氏が保守的な思想、憲法観を否定し、表立ってて強い批判を繰り返していたからでしょう。

自民党は結党50年を迎えた05年に、憲法改正草案を発表することを計画。改憲・命の中曽根康弘氏を筆頭に、保守派の議員が中心になって、何年もかけて原案を作成しました。ところが、舛添氏らが中心になって、多くの条項や表現を大部分カットしてしまったため、彼らの恨みを買うことになったのです。

このあたりのことを『Wikipedia』から引用します。
 自身は憲法改正に前向きな姿勢を示しているが、自民党改憲案の取り纏めでは民主党や国民に受け入れられることを重視し、保守色を薄めるべく調整にあたった。元首相中曽根康弘が中心となって作成した自民党憲法草案の原案から、「日本の国柄」を明記した箇所を当時の自民党総裁小泉純一郎の了承を得て削除させたのは舛添である。
『毎日新聞・憲法前文の行方  2006年3月13日』から引用します。
 「日本国民はアジアの東、太平洋と日本海の波洗う美しい島々に、天皇を国民統合の象徴として古より戴き、和を尊び…」で始まる。「国を愛する国民の努力」という言葉もある。この原案は、前文小委員長・中曾根康弘が筆をとったとされる。思い入れの溢れる文章だった。 
  だが、この前文原案が10月28日の起草委員会の全体会議に提出されたとき、まったく別のものに差し替えられていた。舛添は、憲法に個人の歴史的解釈を入れてはいけないとして、「和を尊び」は中曾根の個人的歴史観であると切って捨てた。「現職の自民党総裁が違憲になりかねないような表現を、自民党の草案に採用することは絶対にできない」とも。
舛添氏はその後も安倍氏や兄貴分である麻生元首相など自民党の幹部クラスを大批判して、2010年に自民党を離党しました。そうして、14年に無所属で都知事選に出馬しました。安倍首相やその周辺をはじめ、自民党の中には、内心では舛添氏を嫌悪していた人が少なからずいたものの、東京都や五輪への影響力を保持したいがために舛添氏を支援しました。その結果舛添氏が当選しました。

この時には、保守系の識者や一部の政治家、ネトウヨは「何で舛添を支持するのか。(同じ思想の田母神を支持すべきだ)」と強い反発を示していました。結局今となっては、政治資金規制法で逮捕された田母神氏支持は間違いであったことは明らかです。もっとまともな候補者はいなかったのかと、思ってしまいます。

ところが、舛添氏は当選直後に行なった就任会見でも、自民党の新しい改憲草案を否定。同年には、憲法改正に関する本を出版し、その後もずっと安倍政権や超保守派の思想を批判し続けていたのです。

以下に、毎日新聞14年2月14日号から引用します。
 東京都の舛添要一知事は14日、就任後初の定例記者会見で、選挙で支援を受けた自民党の憲法改正草案について「立憲主義の観点から問題がある。今のままの草案だったら、私は国民投票で反対する」と述べた。 
 舛添氏は2005年に自民党がまとめた第1次憲法改正草案の取りまとめに関わった。会見で野党時代の12年に出された第2次草案について問われると「学問的に見た場合、はるかに1次草案の方が優れている」と指摘。2次草案の問題点として(1)天皇を国の「象徴」から「元首」に改めた(2)家族の条文を設け「家族は互いに助け合わなければならない」と規定した(3)「国防軍」の創設を盛り込んだ--点などを挙げた。 
 また国民の権利に関し、1次草案の「個人として尊重される」を2次草案で「人として尊重」と変えたことに触れ「憲法は国家の対抗概念である個人を守るためにある。人の対抗概念は犬や猫だ」と厳しく批判した。


これでは、まるで天に唾するとか、後ろ足で砂をかけたというような仕業です。

なぜこのような仕業をしたかといえば、先に述べたようにまずは、自分の能力を過信していたということです。そうして、フランスかぶれの近現代的というか信の意味での(日本でいうところの保革の区別ではない)革命的な政治思想の持ち主だったことが災いしています。保守派と革命という過激な手段で、近代政治を導入したフランスにかぶれた思想とは、元々水と油です。

フランスかぶれの思想を通したければ、元々自民党になど入らなければよかったのです。このようなことでは、自民党からもいざというとき助けてもらえないのは、当然といえば当然です。身から出た錆です。

これに比較すると、山尾志桜里政調会長は、少なくとも民主党の幹部を批判するということはしていません。

しかし、だからといって、舛添氏ばかりが批判されて、山尾氏が批判されないというのでは、あまりにもバランスを欠いています。

やはり、政治資金規正法がザル法であるということが、舛添要一氏や山尾志桜里氏のような政治家を生む土壌になっていることは明らかです。

ザル法といわれる、政治資金規制法のその所以を以下については以前のブログにも掲載したことがあります。そこから、一部分を以下にコピペします。
政治資金規正法では、寄付をする企業などの側は、補助金を交付されることが決まったと通知を受けてから1年間は、原則として、国会議員に寄付をするだけで「違法」となります。議員の側も、この規定に違反する寄付と知りながら受け取ると罪を問われます。 
すなわち、これが、同法が「ザル法」と批判される典型的な場面ですが、議員は、寄付を受け取った企業などが補助金を受けていたと「知らなかった」場合には、「違法」にはならないのです。

そもそも企業・団体による献金については、平成6年に政治改革関連法が成立し、国民一人当たり250円の税金で政党を支える「政党交付金」の仕組みが導入された際、代わりに将来的に廃止することが決定しました。しかし、今年も政党交付金は共産党を除く10政党に配分されるのに対し、企業・団体による政治献金は、いまだに廃止されていません。
さらに、以下のような論点があります。
現在考えられる論点(あいまいな部分)
  • 立て替え金の処理方法
  • 寄付をした者とは 
  • 借入金と寄付の区別基準 
  • 会費と寄付の区別基準 
  • 寄付金控除のための書類の交付後の取扱 
  • 政治団体の代表者の責任 
  • 現物寄付を受けた場合の記載方法 
  • ダミーの政治団体とは
  • 虚偽記載と記載ミスの区別基準 
総務大臣届出各種政治団体だけに限ってみても、過去に、非常に多くの団体が政治資金収支報 告書の訂正を行っています。 記載ミスとして訂正が認められるのはどのような場合で、虚偽記載と認定されるのはど のような場合かがあいまいです。 
つまり、上記の訂正団体がすべて虚偽記載の罪に問わ れる可能性があり、全ては捜査当局の裁量に任されているのです。
このような状況では、これからも舛添要一や山尾志桜里のような政治家がでてくるのは、当然と言えば当然です。

そもそも、政治資金規正法とは政治家が立法しているものです。政治家が政治家に有利にこの法律を定めるのは当然のことです。

山尾詩織政調会長があまり責められないのは、自分の所属する政党の幹部に対して痛烈な批判はしていないこと、さらに弁護士の資格をもち元検事ということはありましたが、舛添要一氏のように特定の分野で特に優れていたということはなく、弁護士資格を持つ議員など民主党にも大勢いるため、舛添氏のように政治家としても自分が周りの人間よりははるかに優れているというような幻想は持っていないことによるものと考えられます。

しかし、同じようなことをして、山尾氏が追求されないというのは、理不尽なことです。このような状況を許容しておけば、いつまでたっても、政治資金規制法はザル法として放置されることになります。

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2016年6月13日月曜日

【アメリカを読む】ヒラリー・クリントン氏を突如襲ったチャイナマネー疑惑 「最も親しい友人」と中国富豪の関係にFBIのメスが… ―【私の論評】トランプ氏の暴言は日本にとっては暴言ではないし、米国にとっても良い大統領になる(゚д゚)!

【アメリカを読む】ヒラリー・クリントン氏を突如襲ったチャイナマネー疑惑 「最も親しい友人」と中国富豪の関係にFBIのメスが… 

2014年12月8日午前、京畿道庁状況室で行われた「京畿道-バージニア政策
協議会設置合意書」の署名式で、ナム・ギョンピル知事がテリー・マコーリフ
米バージニア州知事と握手をしている。写真はブログ管理人挿入。以下同じ。
米大統領選で民主党の指名獲得をほぼ確実にしているヒラリー・クリントン前国務長官(68)に、選挙戦に影響を及ぼしかねない新たな火種が浮上した。同氏に近いバージニア州のマコーリフ知事が中国人実業家から受けた選挙献金について連邦捜査局(FBI)が捜査していることが判明。実業家はクリントン一家の慈善団体「クリントン財団」にも寄付を行っており、チャイナマネーをめぐる捜査の行方次第では、11月の本選にダメージを与えるとの見方も出始めている。

■「最も近い友人」

全人代代表で企業家の王文良氏
バージニア州のマコーリフ知事に浮上した疑惑は、2013年の州知事選をめぐり、中国の全国人民代表大会(全人代)代表で企業家の王文良氏から12万ドル(約1300万円)の献金を受けたことに絡むもの。米CNNテレビが5月23日、FBIと米司法省が合同で捜査していると報じた。

王氏が経営する会社は13年に「クリントン財団」にも200万ドルを寄付していたことがすでに報じられている。

米国の法律では、大統領選や知事選などの立候補者が外国人からの選挙資金の提供を受けることを禁止しているが、マコーリフ氏側と王氏側は、王氏が米国籍を所有していることから違法ではないと主張。だが、当局はマコーリフ氏の選挙資金について広く捜査し、財団への寄付についても同氏が果たした役割に関心を示していると伝えられている。

州知事のスキャンダルが全米で話題になっているのは、同氏がクリントン氏の「最も親しい友人」(米メディア)とされるためだ。

マコーリフ氏は実業家として活動するほか、「クリントン財団」の幹部だった経歴を持ち、夫のビル・クリントン氏が再選を果たした1996年の大統領選や、クリントン氏が挑戦した08年の大統領選では選対幹部を務めた。資金集めの担当者として知られ、99年には、ニューヨーク市郊外にある夫婦の自宅の購入を援助したというエピソードもある。

マコーリフ氏はメディアを通じて身の潔白を主張しているが、地元紙の記者は「マコーリフ氏は自分のことだけでなく、クリントン氏の選挙への影響を懸念しているのだろう。クリントン氏が当選したら、自分が閣僚になる可能性を示唆していた」と指摘する。

■90年代から中国富豪と付き合い

今回の疑惑で改めてクローズアップされているのが、クリントン一家とチャイナマネーの関係だ。

米メディアによると、王氏はバージニア州で大豆の輸出業を手がけるほか、米国内で幅広く事業を展開。約3000人が出席する全人代の代表の一人で、ワシントンにある中国大使館の建設工事も請け負った。

中国政府にも近いと目される王氏から財団への献金について、「寄付する側としては、クリントン財団への寄付が間接的に政治的な影響を与えると考える。クリントン氏が著名な米国の政治家だから財団に寄付するのだ」(米メディア)と、批判する声も少なくない。

昨年10月の元国連総会議長が収賄容疑で逮捕された事件でも、クリントン氏の名前が取り沙汰された。贈賄側で逮捕されたマカオの不動産王、呉立勝容疑者は90年代、代理人を通じ、民主党全国委員会やビル・クリントン氏の選挙活動に100万ドルを提供したとして刑事事件に発展。呉容疑者は当時、刑事処分を免れたが、国連を舞台とした贈収賄事件を受け、呉容疑者とクリントン夫婦との親密な過去が蒸し返される形となった。

また、クリントン氏の実弟で実業家のトニー・ロドハム氏は、マコーリフ氏が電気自動車の会社を立ち上げる際、永住権取得を見返りに中国人実業家に投資を勧誘。投資永住権プログラムの手続きに、不適切な対応があったとして問題視されたことがあった。クリントン一家はこれまでも、たびたび中国がらみの金銭スキャンダルに悩まされてきたのだ。

■中立性を保てるのか…

米主要メディアは、クリントン財団への献金自体はFBIの捜査の対象になっていないとしており、クリントン氏に対する直接的な影響は不透明だ。

だが、バージニア州の有権者の投票動向には変化を与える可能性があるとみる関係者は少なくない。地元の大学が行った最新調査によると、共和党で指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ氏(69)とクリントン氏の同州での支持率は「互角」。クリントン氏の支持が高いとみられてきただけに、本選を前に州知事のスキャンダルが浮上したショックは大きい。

01年に設立されたクリントン財団は、小児エイズの治療プログラムなどさまざまな慈善活動を行ってきた。一方で、クリントン氏の大統領選出馬前から外国政府や企業からの多額の献金問題が取り沙汰され、「大統領になる資格はあるのか」「中立性を保てるのか」などと攻撃の対象になってきた。

とりわけ、クリントン氏が国務長官時代に受けた献金については「利益相反」との疑念がつきまとう。米紙ウォールストリート・ジャーナルは昨年、クリントン氏が長官時代に国務省にロビー活動を行った少なくとも60社がクリントン財団に2600万ドル以上の寄付を行ったと報じた。献金の見返りに、国務省が有利な取り計らいを行ったと追及する保守系ジャーナリストもいる。

私用メール問題に続いて、チャイナマネーは、女性初の大統領を目指すクリントン氏のアキレス腱(けん)となるのか。トランプ氏との舌戦が激化していく中で、“側近”知事の捜査の行方が注目されている。

【私の論評】トランプ氏の暴言は日本にとっては暴言ではないし、米国にとっても良い大統領になる(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、ヒラリー・クリントン氏に近いバージニア州のマコーリフ知事が中国人実業家から受けた選挙献金疑惑に関しては、突如起こった疑惑ということですが、クリントン氏にチャイナマネー疑惑があったことは前々から指摘されていることです。

ただし上の記事を最後までよく読めば、それが理解できますが、タイトルだけ見ると、クリントン氏のチャイナマネーこ疑惑がごく最近降って沸いたように見えるということで、紛らわしいです。

しかし、マコーリフ知事の疑惑は、どれほどクリントン氏にとって痛手なのか、まだ未知数のところがあります、今後注目していく必要があります。

さて、クリントン氏の疑惑については、このブログでは以前にも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
米産業界、トランプ氏へ懸念の声 グーグルも対策議論?―【私の論評】日本にとって自腹で動くトランプが大統領になるより、中華マネーで動くヒラリーのほうがはるかに危険(゚д゚)!

この記事は、今年3月26日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下に引用します。
この記事では、昨年4月のZAKZAKの記事を紹介しました。まずは、その一部分を以下に引用します。 
 女性初の米大統領に挑戦する民主党のヒラリー・クリントン前国務長官が、献金問題で苦境に立たされている。関係財団が外国政府から多額の献金を受けていたことをめぐり、メディアや共和党が追及姿勢を強めているのだ。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領も巨額裏金疑惑でピンチだが、ヒラリー氏は危機を乗り越えられるのか。

問題の財団は、夫のビル・クリントン元大統領が主宰し、温暖化や貧困への対策、女性の地位向上に取り組む慈善団体「クリントン財団」だ。 
 ニューヨーク・タイムズ紙によると、ヒラリー氏周辺の資金の流れを追った「クリントン・キャッシュ」を来月出版する作家、ピーター・シュワイツァー氏が、同財団に献金した外国政府や企業が、ヒラリー氏が長官時代の国務省から有利な取り計らいを受けていた-と主張している。
さらにこの記事から、「クリントン・キャッシュ」に関する部分を引用します。ブログ冒頭の記事で"献金の見返りに、国務省が有利な取り計らいを行ったと追及する保守系ジャーナリスト"(太文字にした部分)とありますが、これはピーター・シュワイツァー氏のことであると考えられます。
米大統領選では、あれだけ大本命と言われたヒラリー・クリントン前国務長官が、民主党内の指名争いで、サンダース上院議員と大接戦になるほど追い込まれています。指名争い初戦のアイオワ州での党員集会では、両者はわずか0.3%差でした。

日本での報道からは、なぜかファーストレディーや国務長官を務めた「スーパー・ウーマン」ぶりしか伝わってこないだけに、この苦戦ぶりは私達には意外にも思えます。そこで、その謎を解く鍵になるのが、今年2月10日に発売された本書『クリントン・キャッシュ』(著・ピーター・シュバイツァー、監修・あえば直道)です。
クリントン・キャッシュ
著者のピーター・シュバイツァー氏はこれまでにも議員の不正行為などを果敢に暴いてきました。彼が今回、目を向けたのは、クリントン一家が運営している「クリントン財団」をめぐるお金の動きです。 
著者は財団の財務情報や、各国での報道などを調べ上げ、同財団に海外政府や企業などが多額の献金を行ってきた事実を丹念に描き出しています。しかも彼らは、クリントン一家がアメリカ政府を動かし、自分たちに便宜を図ってくれることを期待して、お金を振り込んでいた可能性があるというのです。 
こうしたスキャンダルにまみれたヒラリーは、ついに国民の過半数から「嘘つき」「信用できない」と思われるまでになってしまい、選挙戦でも痛手を被ったのです。こうした裏事情を知らなければ、大統領選の真相は見えてきません。ヒラリーの疑惑に斬り込んだ本書は、まさに大統領選を語る上で必読の書と言えます。 
この書籍で、もう一つの重要な点は、「チャイナ・マネー」です。南シナ海に人工島を建設するなど、中国による周辺国への脅威は日を追って増すばかりです。日本にとっても、同盟国アメリカと連携して、いかに危険な行動を抑止していくべきかが問われています。アメリカ大統領選は、外交政策を担っていくのかという問題でもあります。
さて、このような疑惑がもともとあったクリントン氏です。大統領選の過程で、この問題がいずれ大きくクローズアップされることは最初からわかっていたことです。

これに対して、クリントン氏は、昨年4月20日の時点では、ニューハンプシャー州で、記者団に以下のように語っています。
「(野党の出方は)予想していた。この手の攻撃はつきものだ」
実際に、この程度ですむのか、これは未だ未知数です。

トランプ氏は今月7日、ニューヨーク州ウエストチェスター郡の自身が所有するゴルフクラブで勝利集会を開きました。ワシントンの「既成政治」を批判する手法は変わらず、クリントン氏が政治活動を通じて私腹を肥やしていると激しく攻撃。しかし、自らも「トランプ大学」をめぐる訴訟でメキシコ系米国人の判事に差別的な発言をしたことが共和党内でも反発を買うなど、過激な発言や暴言が本選では自らの首を絞めかねない恐れが浮上しています。

この日、トランプ氏は大勢の支持者を前に「複数の世論調査で私は彼女を打ち負かしている。われわれは大幅にリードを広げていくだろう」と自信を見せました。

また、慈善団体「クリントン財団」がクリントン氏の国務長官時代に外国から献金を受けていたとされる問題で、「ロシアやサウジアラビア、中国が見返りを求めて(クリントン)夫婦に献金している」と主張。来週初めにクリントン一家に関する問題点をすべて公表するとました。

さて、日本では大統領選挙は、ヒラリー・クリントンが優位と伝えられています。毎日新聞の報道などはその典型的なものです。以下に、毎日新聞の報道のグラフを掲載します。


とはいいながら、まだ僅差であることには変わりありません。

フロリダ州オーランドで発生した銃乱射事件現場近くで犠牲者を悼む人々(12日)
オーランドで12日に起きた銃乱射事件は、米大統領選にも影響を与えるのは必至です。イスラム教徒の一時入国禁止などを主張していた共和党のトランプ氏(69)は、改めて自身の主張を正当化し、イスラム系の移民受け入れを厳格化する考えを示しました。民主党から指名を獲得するクリントン前国務長官(68)は、性的少数者への差別撤廃や銃規制の強化を唱えました。

共和党のトランプ氏は声明を発表し、「米国がイスラム過激派のテロリストに攻撃を受けた」と強調。犯人を「アフガニスタンからの移民の息子だ。9・11テロ以降、数百人の移民や彼らの子どもが米国でのテロに関与してきた」と指摘。ツイッターでも、「イスラム過激派に関して(自分は)正しかった」「(イスラム教徒の一時入国)禁止を求めてきた。厳しく対処しなければならない」と、自身が主張したイスラム教徒の一時入国禁止を正当化しました。

また、オバマ大統領やクリントン氏がイスラム教徒などへの配慮から「イスラム過激派」との言葉を使うのを避けていると批判。「クリントン氏は大統領選から撤退すべきだ」と述べました。

クリントン氏も同日に声明を発表。事件を「テロ行為だ」と非難し、国内外でこうした事件を予防するには「同盟国や友好国と協力し、国際テロ組織を撲滅することが必要だ」と訴えました。

犯人が性的少数者が集うナイトクラブを狙ったことを重視。「我々はあなた方が自由で、恐れることなく生活できる権利のために戦い続ける」と述べ、同性愛者同士の結婚などに否定的な共和党と論争していく考えを示唆しました。

また、「銃がテロリストや他の暴力的犯罪者の手に渡ることがないようにしなければならない」とし、銃規制の必要性も強調した。

今回の事件は、テロやイスラム過激派、移民、性的少数者の権利、銃規制など、これまでも大統領選の予備選で争点となったテーマを改めて提起する形となり、論争に拍車がかかりそうだ。

オーランドの銃乱射事件に関して声明を発表するオバマ大統領
オバマ大統領は、ISが米国内に与える危険性を認めないという姿勢でした。次の大統領は誰がなるにせよ、これを改めるべきです。オバマ大統領は12日に出した声明で、事件を「テロ行為」と断言したものの、「イスラム」「ジハード」「イスラム国」といった言葉はいまだに使用していません。大統領が口にした中で最も事実に当てはまる言葉は、オーランドの事件は「われわれのどのコミュニティーでも起こり得ることだ」というものでした。

大統領は恐らく銃撃事件を意味していたのでしょうが、その指摘はISによるテロにも当てはまります。連邦当局は、マティーン容疑者が最近、武器を不法に購入していたと明らかにしました。民主党が近いうちにこれを政治的に利用するのは間違いないでしょう。しかし、FBIがテロの脅威になり得る人物を特定できなければ、基本的な権利を否定することもできません。マティーン容疑者は免許を持った警備員でもありました。覚悟を決めたジハーディストはいつでも武器を手に入れることができることでしよう。

しかし、いくらアメリカ国内で環視活動を行ったところで、ISに感化されたあらゆるテロ行為を未然に防ぐことはできないというのが悲しい現実です。唯一の現実的な解決策は、世界中の若いイスラム教徒がISを未来の先導者とみなさないよう、国外の安息地にいるISを壊滅させることです。

オバマ大統領の政治的な負の遺産の1つは、自らの監視下でISをここまで危険な存在に成長させてしまったことです。大統領が米軍をイラクから撤退させることを選択した上、シリアでほとんど何もしなかったことで政治的空白が生まれ、ISはそれを利用して勢力を拡大していきました。次期大統領の仕事の一つは、この2つの歴史的な過ちによるダメージを修復することです。

これに関しては、少なくともクリントン氏よりは、トランプ氏のほうがこの2つの歴史的な過ちによるダメージを修復できそうです。

さて、以上はアメリカ国内の状況ですが、では日本としてはどうなのかということについて考えてみたいと思います。

「もしアメリカが攻撃されても日本にはアメリカを守る義務はない。これは不公平だ」と、トランプ氏は言いました。そうして「もっと日本に負担させよ」とも息巻いていました。しかし、彼は日米安保の再交渉をすべきだとも言っています。さら、日本や韓国が核武装することを容認する発言もしています。

「トランプ氏の発言は正論」と語る高須クリニック院長
ということは、日本の保守派にとっては念願の日本の独立がかなうことになります。安保を双務条約にし、独自憲法を制定し、さらに核保有国になって「自国を自分で守る」ことが実現するのだから、日本にとっては、トランプ氏は歓迎すべき大統領です。

さらに、人種差別発言の最たるものとされる「イスラム教徒のアメリカ入国を禁止しろ」「メキシコ人は麻薬や犯罪を持ち込む」「国境に万里の長城をつくる」などの発言は、すでに在日などの名称で従来は韓国から、最近では中国から大量の実質上の移民・難民を受け入れてきたた、これ以上「移民反対」で「難民受け入れ拒否」が本音の日本人にとって、まったく問題視すべき発言ではありません。

アメリカが移民の国をやめて、「移民反対」「難民受け入れ拒否というなら日本もこれをしても非難される筋合いはありません。これは、大歓迎です。

TPPにしても地球温暖化対策にもトランプ氏は反対のようですが、これも今の日本にとっては大歓迎です。 TPPでは関税自主権を失い、たいしたGDP押し上げ効果もないのですから、トランプ氏のいわゆる「暴言」とされる、一連の発言は、日本にとっては全く「暴言」ではありません。

一方クリントン氏のチャイナマネー疑惑は、最近日本の尖閣列島の接続水域に中国の軍艦が侵入した現在においては、日本にとってはマイナスでしかありません。チャイナマネーを受け取ったかもしれない大統領が、いざというときに、どちら側に立つかといえば、それは中国の側でしょう。

クリントン氏のチャイナ・マネー疑惑、そうして、ISとへの対応姿勢によっては、現状の支持率など逆転する可能性はまだまだあります。トランプ氏のいわゆる、暴言は、日本にとっては、暴言ではないし、アメリカにとっても良い大統領になる可能性が高いです。

自分の資金で戦っているトランプ氏は、なにを言ってもいい野放し状態になっています。それが、また、白人貧困層を中心に、中流層、ラティーノ、黒人の一部などにも受けているのですから、アメリカは従来とは明らかに違った国になっています。

このことをいちばんわかっているのが、トランプ氏自身で、リアリティ番組「アプレンティス」で培った視聴者受けの手法を使っているのは明らかです。

彼の言っていることを鵜呑みにするのはどうかしています。実際、彼の発言を吟味すると、整合性などありません。わざと、レベルを落として単純化して言うので、一貫するわけもありません。しかし、彼はこのことによって、自分自身が誰かの操り人形ではないことを多くの人に理解させようとしたということです

そうして、過去のアメリカ大統領の選挙を振り返ると、過去の候補がかなり過激なことを語ったりしています。無論、トランプ氏のような過激な発言ではなく、穏やかな表現ながら、その実かなり過激なことを語っていたことなどしょっちゅうです。

しかし、過激なことを語っていても、大統領になるとそんな発言などしなかったかのように、振る舞っても、それを公約違反であるなどと非難されることはほんどありませんでした。結局のところ、そんなことは、米国の一般国民も了解済みのことなのです。

ただし、トランプ氏の場合は、発言の仕方がかなり粗暴なことが多かったというだけのことです

トランプ氏が大統領になることを祈りつつ、今後の推移を見守っていきたいと思います。

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