2016年8月7日日曜日

尖閣沖に中国当局船が13隻 国有化後で最多 警戒強める―【私の論評】日本の尖閣対応は、習近平の失脚で大成功(゚д゚)!

尖閣沖に中国当局船が13隻 国有化後で最多 警戒強める

8月6日、外務省は、東シナ海の尖閣諸島(中国名:魚釣島)の接続水域で
中国の漁船約230隻と海警局の船6隻を確認し、中国側に抗議したと発表した。
写真は2012年9月、中国浙江省舟山市の港から尖閣諸島に向かう漁船群
7日、沖縄県の尖閣諸島の沖合で、中国当局の船13隻が日本の領海に侵入したり、すぐ外側の接続水域を航行しているのが確認されました。6日より6隻増え、平成24年に日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、最も多い数となっていて、海上保安本部が警戒を強めています。

第11管区海上保安本部によりますと、7日午前10時すぎ、尖閣諸島の魚釣島の西の沖合で、中国海警局の船2隻がおよそ40分間にわたって日本の領海に侵入しました。
尖閣諸島沖の日本の領海のすぐ外側にある接続水域では6日、この2隻を含む中国当局の船7隻が確認されていましたが、7日、これに加えて新たに6隻が接続水域内に入ったのが確認されました。

これにより午後5時現在、中国当局の船は合わせて13隻となっていて、領海に侵入したり接続水域を航行したりしているということです。

平成24年9月に日本政府が尖閣諸島を国有化して以降、同時に確認された数としては最も多くなっていて、周辺海域には多くの中国漁船も確認されていることから、海上保安本部が警戒を強めています。

13隻は尖閣諸島の国有化後最多

海上保安庁によりますと、尖閣諸島の沖合で、中国当局の船が同時に13隻航行するのが確認されたのは、今回が初めてで、4年前の平成24年9月に政府が尖閣諸島を国有化して以降最も多くなりました。

中国当局の船が尖閣諸島沖で、同時に確認されたのは、これまで最も多かったのが国有化と同じ月に12隻が航行したケースで、今回はこれを1隻上回りました。

また尖閣諸島沖で、中国当局の船が10隻を超えているのが確認されたのは、3年前の平成25年4月以来です。

このところは3隻から4隻航行するケースが多く、今月も当初3隻が日本の接続水域で航行していましたが、6日4隻増えて7隻になり、さらに7日になって6隻増え、合わせて13隻になったということです。

海上保安庁によりますと、今月に入って中国側の漁が解禁されたのに伴って、尖閣諸島の周辺海域でも中国漁船が増え始め、外務省によりますと6日はおよそ300隻が航行していたということです。

尖閣諸島の周辺を含む北緯27度より南の沖縄周辺の海域は、日本と中国の漁業協定に基づき、両国の漁船がそれぞれの国の法律に基づいて操業することが認められています。

尖閣諸島の周辺で中国の漁船が増えるなかで、中国海警局の船も増えていますが、5日には海警局の船が中国漁船とともに領海に侵入してきたことから、海上保安庁は、中国当局の船や漁船が領海に侵入しないよう警戒と監視を強めています。

【私の論評】日本の尖閣対応は、習近平の失脚で大成功(゚д゚)!

一昨日のこのブログでも示したように、やはり習近平は座して死を待ち、結局失脚するよりは、冒険することを選んだようです。一昨日のブログのリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】首相、二階幹事長&稲田防衛相で中国封じ込め 習政権は不穏な対日工作―【私の論評】習近平は国内政治力学のため尖閣を奪取する(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみ掲載します。
しかし、習近平は、このまま権威を失墜し、統治の正当性を失い、失脚して座して死を待つくらいなら、これを避けるために、一気に大冒険に出るかもしれません。

中国の国内政治の力学によっては、習近平は尖閣で勝負に出る可能性は、大いにあります。

日本としては、これは絶対に避けるべきです。ブログ冒頭の記事では、"日本は、米国とオーストラリア、インド、そして世界各国と連携を強め、「法と自由と民主主義」を守り抜く積極外交を行うべきだ。日本は正々堂々、真正面から立ち向かえばいい"などとしていますが、私はそうは思いません。

もうすでにその時期は過ぎました。日本ももし中国が尖閣に攻め入ってきたときに、どのように軍事的に対処するのか、真剣に考えておくべきときがきたものと思います。

私は、法律の専門家ではないので、何ともいえませんが、自分の国の領土に中国の軍隊が攻め込んできたとしたらということを予め想定して、それに対処する方法を考えておくべきです。

憲法改正などすぐにはできないのはわかりきっているので、現行憲法のまま、現行の法律体型のままで、対処する方法を早急に考えておくべきです。場合によっては、超法規的措置も実行する勇気と胆力が必要になると思います。その面では、稲田防衛相には期待できそうではあります。

いずれにしても、私たちも、習近平が大冒険をする可能性があることだけは、忘れるべきではありません。そのときは、本当に尖閣は危ういです。
そうして、この記事を掲載した二日後に、ブログ冒頭の記事のように、尖閣諸島沖に300隻の中国漁船と、 中国当局の船13隻が現れたわけです。

やはり、習近平は座して死を待つくらいなら、大冒険をする道を選んだのでしょう。そうして、このブログに掲載してきたように、日米に対しては、幼稚園児と大学院生くらいの軍事力の差があること、海軍力では日本の海上自衛隊にとも到底及ばないことを認識しているので、海上民兵を使って、まずは尖閣付近の海域を何度も領海侵犯することによって、この海上を完璧に実行支配することを企んでいるのでしょう。

尖閣付近の海上の実行支配に成功したあかつきには、尖閣を海上民兵を用いて、奪取するつもりなのでしょう。最初はとにかく、海上民兵を少人数でも良いから上陸させ、短期間のうちに離脱させることでしょう。

しかし、徐々に上陸する海上民兵の数を増やし、上陸期間も伸ばしていくことでしょう。そうして、最後には海上民兵を常駐させることにより、実行支配を主張することになります。

そうして、次の段階では、軍関連の施設を構築し、その後には人民解放軍がやってきて、常駐するようになり、ここは中国の領土だと主張するようになります。そうこうするうちに、埋め立てなど行い、様々な軍事施設や、航空機用の滑走路なども整備するようになります。

何のことはない、南シナ海と同じように、尖閣を実行支配するつもりです。

ところで、海上民兵については、その実体は日本のマスコミはなかなか報じないこともあつて、知らない人も多いと思います。これについては、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
東シナ海と南シナ海における中国の領土的野心は、これまで十分に実証されてきた。一方、こうした野心を実現させる重要な要因の中であまり知られていないのは、十分な資金力を持つ「海上民兵」の存在だ。
写真:領海拡張狙う中国の野心示す衛星画像
「無から有へ」。占領当初のファイアリー・クロス礁。
これが今はとんでもない規模に!
ベトナムと同様、中国は海上民兵を抱える数少ない国の一つだ。この部隊は通常、民間漁船で編制され、さまざまな活動に従事する。これには難破船の救助など緊急対応から、島に上陸して主権を主張するといった強硬な活動まで含まれる。大企業で民間活動に従事する船員や漁業連合が軍事組織に採用され、軍事訓練や政治教育を受け、中国の海洋権益を守るために動員される。 
中華人民共和国の建国初期に創設された海上民兵は、世界最大の漁船団で編制されている。ここ数年で海上民兵は洗練さと重要性を増し、建築資材の運搬から情報収集まで幅広い任務を果たすようになってきた。最精鋭部隊は、必要があれば機雷や対空ミサイルを使い、「海上人民戦争」と呼ばれるゲリラ攻撃を外国船に仕掛けるよう訓練されている。現在、海上民兵は実質的に中国政府が管理する第一線の部隊として機能し、東シナ海と南シナ海で中国の権利を主張するための監視や支援、けん制などの活動に従事している。

機雷の配置訓練を受ける中国の民間漁船
海上民兵に関する疑問の中で、最も複雑なのは「誰が統率しているか」だ。建設作業や訓練など、海上民兵がこなす日常業務は沿岸都市や郡に配置されるおびただしい数の人民武装部によって実施され、これを軍分区の司令部が監督している。海上民兵はさまざまな機関から直接指揮を受けて幅広い役割をこなすため、ここから先の組織構造は一段と複雑になっている。 
最近、規模を縮小したり専門性を高めたりすることで、各部隊の役割を変容させる努力が続けられてきた。その一例が浙江省玉環郡の海上民兵大隊で、この部隊は海軍の船に燃料や弾薬などを供給している。 
このほか、偵察部隊、重要な施設や地域を護衛する部隊、敵を混乱させたり敵の設備を故障させたりする部隊、海上輸送能力を増大させる部隊、修理や医療救助に従事する部隊など、さまざまな支援活動に関わっている。 
また、海上民兵は中国の政治活動や外交政策に協力し、係争海域における中国のプレゼンス維持を支援したり、領有権を主張する島々に上陸したりしている。 
数千隻に上る海上民兵の船には「北斗」と呼ばれる中国独自の衛星測位システムが設置されている。これにより民兵は他の部隊を追跡できるほか、テキストメッセージの送受信、船員がタブレット上に手書きした中国語の読み込みなどができる。 
中国による海上民兵の雇用は、周辺国だけでなく米国などにも幅広い影響を及ぼす。東シナ海や南シナ海で米国やその同盟国が中国との紛争に巻き込まれれば、軍事活動に従事する数多くの民間漁船への対処法を定めた交戦規定が要求されるだろう。南シナ海で激しい衝突が見られないのは、弱小な中国の近隣国がゲリラ的な混戦に直面し、これが中国海軍の戦闘参加を回避させているからかもしれない。 
民間人と衝突すれば政治的に敏感な問題になるため、米国などの海軍は手足を縛られた状態にある。その間、海上民兵は係争海域で際限なく拡大する中国の施設建設や護衛といった支援活動を継続することになる。
平たく言うと、海上民兵は海上の便衣兵のようなものです。 日本側としては、海上民兵が海上の便衣兵であるという理由で、これを排除・殲滅すべきです。

そのために、予めこれが海上の便衣兵であることを広く世界に訴えて、世界の理解を得るべきです。日本は、先の大戦で、これに大失敗しています。そうです、南京大虐殺です。

日本は、南京で大虐殺をしたという物的資料は未だにあがっていません、にもかかわらず、日本は南京大虐殺をしたことになっています。しかし、現実は便衣兵を捕まえて、処刑したというのが事実です。しかも、中国が非難するように、数十万規模も殺害などしていません。

当時は、便衣兵や第五列は、捉えて処刑するのは当然のことでした。しかるに、中国はこれを数十万もの無辜の市民を虐殺したと、話をすり替えています。

中国の海上民兵は、その実体は軍人です。だから、海上民兵と交戦することは、戦闘であり民間人虐殺ということにはなりません。

しかし、海上民兵の暴虐ぶりがあっても、結果としてそれを国際社会が放置してしまつたため、今日中国が南シナ海を自分の領土だと主張するような事態を招いてしまいました。しかも、中国は仲裁裁判所の裁定により、南シナ海が中国の領海ではないとはっきりと示されたにもかかわらず、中国は自分の主張を改めようとしません。

今のままだと、尖閣諸島も、これと同じことになります。このような中国の横暴を許すわけにはいきません。

そうして、これに日本が対処するためには、以前にもこのブログに掲載したルトワック氏の書籍「中国4.0」に掲載されていた方法が有効だと思います。それについては、このブログにも掲載したことがあります。以下に、その記事のリンクを掲載します。
中国不法漁船を爆破 インドネシアが拿捕して海上で 「弱腰」から「見せしめ」に対応―【私の論評】ルトワックが示す尖閣有事の迅速対応の重要性(゚д゚)!
この書籍の最後には、日本への尖閣防衛のための助言が掲載されています。どうなるか分からない不安定さを持つ中国に対応するために、無理に大局をみるより現実的な個々の事象に対応するべく準備せよというものです。

日本側が、独自かつ迅速な対応を予め用意しおくように進言しています。しかも、各機関相互間の調整を重視するよりも、各機関が独自のマニュアル通りに自律的に行えるようにしておくべきとしています。

たちば、海上保安庁は即座に中国側の上陸者を退去させ警戒活動にあたり、外務省は諸外国に働き掛けて、中国の原油タンカーやコンテナ船などの税関手続きを遅らせるという具合です。とにかく、「対応の迅速さを優先させる」ことを強調しています。

自衛隊による対馬での島嶼防衛対応訓練
各機関が、このようなマニュアルを用意しておき、即座に動くことが肝要であることをルトワックは主張しているのだと思います。各機関が綿密に共同して行動していては、迅速さに欠けて、あれよあれよという間に、南シナ海で中国が実施したように、いずれ軍事基地化され、既成事実をつくられてしまってからは、これを取り消すことは至難の業になるからでしょう。

各機関が独自に動けば、初期の対応はかなり迅速にできるはずです。無論、海上自衛隊も、マニュアルに従い、独自に動き、尖閣有事の際には、別行動をしている海上保安庁の巡視船の行動を見守り、それではとても歯がたたないまでに、事態が悪化した場合、迅速対応するという形になるでしょう。 
そうして、中国側は、日本の迅速な対応に拒まれ、結局何もできないうちに、なし崩しになって終わってしまうということになると思います。

こうした、迅速な初期対応が終わった後に、その後の対応に関して、各機関が綿密に共同して行動すれば、良いということです。とにかく迅速さが一番ということだと思います。多少拙速であったにしても、中国側に既成事実を作られるよりは、遥かに良いということです。
当事者である日本が、このような迅速な動きしなければ、尖閣諸島もそれを含む東シナ海も、南シナ海の轍を踏むことになるでしょう。

とにかく、日本は各省庁間の縦割り行政が問題になっており、日本が一丸となって、尖閣対応などということになれば、時期を逸してしまうのは必定です。尖閣諸島は、第二の竹島のようになってしまうおそれが十分あります。

自衛隊なら、自衛隊で、尖閣諸島でのおこる事態を予め、想定しておき、要件を決めておき、その要件を満たした場合には、他省庁とは一切関係なく、官邸の指示を仰いだ上で、尖閣諸島での軍事行動に打ってでるのです。

外務省などの他省庁も、他省庁には一切おかまいなしで、要件などをあらかじめ決めておき、それを満たしたら、官邸に指示を仰ぎ即行動するのです。

習近平が失脚すれば、日本の尖閣対応、東シナ海対応は大成功したといえる
このような素早い行動には、中国も対応できないでしょう。あれよあれよという間に、大胆に先手を打たれ、いつの間にか目標を達成できないばかりか、国際社会からますます孤立することになり、結局東シナ海での野望はくじかれ、習近平は失脚することになります。

日本の東シナ海での中国対応の成否は、習近平の失脚で判断することができます。習近平が失脚すれば大成功ですし、失脚しなけば大失敗です。非常に理解しやすいです。

こんなことを言うと、日本が尖閣に対いする本格対応をしないうちに、習近平が失脚した場合どうなるのなどと、意地悪な質問をする人もいるかもしれません。

もし、日本が軍事介入など行わなくても、習近平が失脚したとしても、それは日本の大勝利です。なぜなら、尖閣問題でブログ冒頭のような暴挙をしても、習近平は国内で権威を高めることもできず、国内で中国統治の正当性を強調できなかったということです。

尖閣問題に関しては、安倍総理など安全保障のダイヤモンドの構築などで、中国封じ込めにかなり努力してきました。習近平の失脚は、その努力の成果が花開いたということを意味します。

中国内では、習近平の失脚は前から多くの人民に噂されており、それだけではなく、習近平は中国のラストエンペラーになるかもしれないとも囁かれています。

そうです。習近平が失脚すると、中国の現体制は維持できなくなる可能性も大というわけです。これは、日本にとっては良いことです。

日本が尖閣で頑張れば、このようなことも考えられるのです。それだけではありません。当事者である日本が尖閣諸島で勝利を収めれば、アメリカや周辺諸国も南シナ海での中国対応がかなりやりやすくなります。

こういうことからも、日本は、是非とも尖閣問題では、軍事対応を含めて、踏ん張ってまともな対応をすべきなのです。それが、日本の平和の安定だけではなく、アジアの平和と安定そうして、世界のそれに大きく寄与することになるのです。

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2016年8月6日土曜日

通貨スワップ「不要」と打ち切った朴政権 日韓財務対話で復活要求の模様…―【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!

朴槿恵大統領就任時の衣装

日本との「通貨交換(スワップ)協定」再開に焦り始めた韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権。8月下旬に開かれる日韓財務対話でも蒸し返されそうだ。韓国の金融危機時の資本流出リスクが「世界最悪レベル」と分析されるなど、韓国経済の脆弱(ぜいじゃく)さが背景にある。

日韓の財務相や、財政や税制を担当する財務省幹部らが出席し、経済や金融問題について定期的に意見を交わす日韓財務対話は、2012年8月に島根県の竹島に李明博(イ・ミョンバク)前大統領が不法上陸した後、中断していたが、昨年5月に2年半ぶりに再開された。今回の会合は8月27日にソウルで開かれ、金融市場の動向のほか、通貨スワップ協定の復活に関しても議論される可能性があるという。

通貨スワップは金融危機などの緊急時にドルなどの通貨を融通し合う仕組みで、日韓間の協定は01年に締結され、11年には700億ドル(約7兆1750億円)の規模まで拡大した。しかし、朴政権側から「協定延長は不要」との声が出て、昨年2月に打ち切られた。

日本にとっては協定が延長されても消滅しても影響はほぼなかったが、韓国は、頼みの中国経済の失速や英国の欧州連合(EU)離脱決定といった外部要因もあって、資本流出への危機感が募っているようだ。

韓国経済新聞など韓国メディアは、7月19日に韓国銀行(中央銀行)と米韓のシンクタンクが開いた会合に出席したニューヨーク連銀のリンダ・ゴールドバーグ副総裁の痛烈な指摘について相次いで報じた。

同氏が、金融危機などで投資家のリスク回避志向が強まった際の資本流入について分析した「グローバルリスク反応指数」によると、59カ国のうち韓国は58位と、最下位のロシアに続くブービー。投資家の不安心理が高まれば、真っ先に資本が流出する国だということになる。

26日にシンクタンクの韓国開発研究院が開いた会合では、英オックスフォード大のデイビッド・バインズ教授が「過度な資本の流動化が進めば、新興国の独立した金融政策は困難になる」として、処方箋の一つに「中央銀行間の通貨スワップ」を挙げている。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「輸出が落ち込むなか、通貨安になると非常に危険な状況になる。来年には大統領選も行われるだけに、スワップ再開で経済を安定させたいところではないか」とみる。

欧米のエコノミストも懸念を強めるなか、朴政権も日本に通貨スワップを頼むしかないのか。

【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!

韓国による通貨スワップの再開に関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
韓国で日本との通貨スワップ再開論 協定終了のいきさつを棚上げ?―【私の論評】リフレ派皆無の韓国を通貨スワップで助けても全く無意味(゚д゚)!
歴史を修正して反日姿勢を崩さない朴槿恵大統領
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で私は、日本は韓国に対して通過スワップの支援をすべきではないことを主張しました。その理由は、韓国にはリフレ派が存在せず、金融緩和をしないので、通貨スワップなどで支援しても一時的なものに過ぎず、韓国経済は落ち込む一方であることから、支援しても恨まれるだけなのですべきではないとものです。

この記事から、その部分を引用します。
日本には、韓国が大胆な金融緩和を行えないのは、日韓スワップ協定などで潤沢なドル資金を韓国に融通する枠組みに欠けているからだ、と指摘する人もいます。確かに、その側面はあるかもしれません。しかし、これよりよりもはるかに深刻なのは、朴政権と韓国銀行に蔓延している間違った構造改革政策です。
このようなニュースがまた、報道されるかもしれない。日韓スワップ協定は、
事実上の韓国への支援、ただし支援しても何の効果も期待できない
日韓スワップ協定による、潤沢なドル資金がなかったにしても、ウォンは韓国の貨幣なのですから、韓国銀行はウォンを増刷することができます。であれば、韓国内で金融緩和はできるはずです。それを実行すれば、日韓スワップ協定を再開しなくても、韓国は自力でも何とか困難を回避できるはずです。

しかし、これを実行せずに、昔の日本のように「構造改革ありき」などとしていれば、韓国も「失われた20年」に見舞われるのは確実です。そうして、これは日韓スワップ協定を再開したとしても、そもそも政策が間違っているのですから、改善されることはあり得まず、無意味です。

それにしても、韓国はどうして日本が「失われた20年」を招いてしまったのか、理解できないのでしょうか。虚心坦懐に日本での出来事をみていれば、理解できるはずです。

しかし、彼らは「反日」で目が曇っています。だから、日本の状況を正しく判断する事ができないのだと思います。日本のリフレ派の識者がこれを、韓国に対して説明しても彼らは聞く耳を持たないでしょう。であれば、全く効果が期待できないので、支援しないのが一番です。支援しても、何も効果がでないので、さらに日本に対して面妖な要求をつきつけるようになるだけです。そんなことは、私達は過去の例で嫌というほど、見せつけられています。
この考えは、今でも変わってはいません。しかし、この記事には掲載しなかったのですが、韓国がなかなか金融緩和をしない理由があります。本日は、それについて掲載します。

韓国には、日本と同じようにインフレ目標があります。それは、2013年から15年まで2.5~3.5%です。ところが、2012年6月以降、この目標は現在に至るまでまったく達成されていません。


つまり、この間、金融緩和が不十分だったのです。利下げをしているのですが、そもそも為替が安くならないように、つまり経済効果があまりでない範囲での、言い訳程度の利下げしかしていなかったのです。

韓国メディアのアジア経済は昨年、「日本に似ていく韓国」というタイトルで記事を掲載し、現在の韓国経済は「少消費病」であると同時に「春來不似春」(春がきたが、春らしくないという意)だと紹介しました。

記事は、現在の韓国経済は「氷河期」であり回復の兆しが見えないと指摘。「低金利・低物価・低成長基調は“日本の失われた20年"を踏襲しているようだ」と報じました。

また、現在「日本の失われた20年」と類似していると言われている韓国経済は、韓国史上初となる国内基準金利1%時代が到来し、消費者の財布の紐も緩まないと指摘。さらには、消費者物価上昇率までも0%台にとどまっており、OECD(経済協力開発機構)の調査において、韓国の2014年の消費者物価上昇率は「1.3%」で、41年ぶりに日本の2.7%」よりも低く、OECD(経済協力開発機構)の2014年の平均値である1.7%にも及ばなかったと報じました。

また記事では、この現在の韓国経済の姿は、日本が不況に入り始めた時期と酷似していると指摘。実際、「韓国の実質金利(名目金利―物価上昇率)が2008年の金融危機以降、最高値となる現象が現れている」と論じました。

続けて記事は、現在の韓国の消費パターンも1990年代の日本と類似点が多いと分析しました。バブル崩壊直後の日本の20年間は、消費者が「低価格製品を好み、自社ブランド商品やアウトレット・食べ物のバイキングや超低価海外ツアー」など人気を集めた一方、日本のデパート業界では内需低迷により売上の伸び率がGDPの伸び率を大幅に下回ったと指摘。これは、現在の韓国流通産業も似ていると論じました。

それにも関わらず韓国が不十分な金融緩和しかしていない理由として、韓国側からの見方では、韓国の対外債務は短期ものが多く、ウォンが安くなると外資は韓国から引き揚げやすいからです。つまりウォン安がキャピタルフライトを招きかねない状況だということのようです。

ちなみに、日本は対外資産が対外債務よりかなり大きくGDP比でみて6割程度の純債権国なのですが、韓国は5%程度の純債権国にすぎません。

これについては、東京三菱UFJ銀行系のシンクタンクである国際通貨研究所でもレポートが出ています。このレポートは、韓国と中国や東南アジア諸国の対外純資産ポジションを比較しているのですが、韓国は「足の遅い」海外からの直接投資が少なく、「足の速い」(経営権取得目的でない)株式・債権の投資や銀行からの借り入れが多いことが分かります。

しかし、このような見方についてはやや疑問も感じます。なぜなら、かつてアジア通貨危機の時、韓国はウォンへの通貨アタックを招いたドルへの通貨ペッグ制(固定相場)を放棄し、それに替わる通貨安定策としてインフレ目標を採用した経緯があるからです。なのに、インフレ率が目標を大きく下回っているのに十分な金融緩和を行わず、キャピタルフライトを恐れて対ドルレートの維持を最優先とするのは、まるで通貨ペッグ制への回帰のように見えるからです。それが不可能であるというのが、アジア通貨危機で得られた教訓ではなかったのでしょうか。

この疑問を解く鍵は、アジア通貨危機への対策として作られた日韓通貨スワップ協定が、韓国の反日政策によって崩壊したことにあると思います。アジア通貨危機のあと、日中韓とASEAN諸国は、チェンマイ・イニシアティブという相互通貨スワップ協定を策定しました。それに加えて、日韓は独自に通貨スワップ協定を行い、最も多かった2011年には合計700億ドルに達しました。

しかし、2012年の李明博韓国大統領の竹島(独島)上陸、今上天皇への謝罪要求などをきっかけに、日韓の通貨スワップ協定は次々に廃止され、2015年2月には全て終了しました。これによって韓国の通貨スワップの主要な相手国は中国となり、通貨危機の際、西側諸国が韓国を支える仕組みは失われました。

この日韓通貨スワップ廃止について、日経新聞編集委員で韓国に詳しいジャーナリストの鈴置高史氏と、真田幸光・愛知淑徳大学教授の対談で面白い記事がありました。アジア通貨危機の際、日本は最後まで韓国を助けようとしましたが、IMF救済を主張するアメリカの圧力に屈し、救済を断念しました。それにもかかわらず韓国では日本が通貨危機の原因だという主張が出てきたため、「恩を仇で返された」という不信が日本に広がり、韓国を助けようという動きがなくなっていったというのです。

それに関する日経ビジネスの記事のリンクを以下に引用します。この記事は、2015年3月5日のものです。
「人民元圏で生きる決意」を固めた韓国
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
−今後、韓国が金融面で困った時に日本は助けないのですか? 
真田:容易には助けないと思います。日本の金融界には「恩を仇で返された」との思いが強いからです。韓国人は、あるいは韓国メディアは「1997年の通貨危機は日本のために起きた」と主張します。 
 でも、それは全くの誤りです。あの時は、欧米の金融機関が韓国から撤収する中、最後まで邦銀がドルを貸し続けたのです。韓国の歴史認識は完全に誤っています。 
鈴置:当時、真田先生は東京三菱銀行で韓国を担当しておられました。私も日経新聞のデスクとしてアジアをカバーしていました。 
 あの頃は、韓国人の中でも分かった人は「日本は最後まで面倒を見てくれた」と語っていました。1998年と思いますが、危機の原因を追及した韓国国会でも、それを前提にした質問があったそうです。 
 でも今やそんなことを語る人はいない。韓国では日本が悪者でなければならないからです。当時をよく知るはずの記者も「日本の貸しはがしが危機の引き金となった」と書きます。 
真田:米欧が貸しはがす中、我々は最後まで引かなかった。「日本が引き金になった」とは言いがかりも甚だしい。これだけは記録に留めていただきたい。邦銀の担当者は本店を説得し、欧米が逃げた後も最後まで韓国にドルをつないだのです。 
 韓国が国際通貨基金(IMF)に救済を申請した後でも、KDB(韓国産業銀行)とIBK(中小企業銀行)へは日本輸出入銀行がドルを融資しました。我々、邦銀の韓国担当者が走り回った結果です。 
 それなのに「我が国の通貨危機は日本が起こした」と世界で吹聴する韓国。そんな国を助ける気になるでしょうか? 
 麻生太郎財務相が2014年10月に「韓国から申し出があれば、スワップの延長を検討する」と国会で答弁したのも、恩を仇で返す国への不信感が背景にあったと思います。
また、韓国は米国に対しても、中国カードを使ったチキンゲームを行っており、そのことが米国とのすれ違いを招いているとも指摘しています。
真田:韓国は米国に対しては「中国カード」を使えると考えているフシがあります。いざという時は「中国に人民元スワップを発動してもらう」と言えば、米国がドルを貸してくれる、と計算していると思います。 
鈴置:そこの、米韓の心理的なすれ違いに注目すべきですね。韓国は「中国側に行くぞ」と脅せば米国が言うことを聞くと考えている。なぜなら「米国は自分を手放せないはずだから」です。 
 一方、米国は「そんなに中国が好きなら、そっちへ行け」と放り出せば、韓国は戻ってくると信じている。「韓国は自力で国を守れないから」です。 
 先生が指摘されたMD、ことに終末高高度防衛ミサイル(THAAD=サード)の韓国配備の問題でもそうですが、米韓はチキンゲームを始めています。 
 中国の怒りを避けようと韓国は「配備計画など米国から聞かされていない」と言い張る。「THAADで追い詰められた韓国が中国側に行ったら大変」と米国が思うはず、と考えているからです。 
 これに対し米国は「もう、韓国と相談を始めている」などと“勇み足の発言”をしては「米中どちらの味方なのか」はっきりするよう、韓国に迫っています。 
真田:そこが分析のポイントです。ただ、米国のハラが読みづらい。韓国を脅せば戻ってくると計算しているのか、あるいは「戻ってくればよし、戻ってこなくてもよし」と達観しているのか――。 
 レームダック化したこともあり、オバマ政権は朝鮮半島に関し思考停止した感があります。問題は肝心の、米国を本当に動かしている金融と軍事の2つのパワーセクターが、この半島をどうしようとしているのか、迷っているように見えることです。 
鈴置:ことに米国の金融界がどう動くかが注目ですね。ウクライナ問題でもそうですが、最近の米国は軍事力での勝負を避け、金融力で相手を圧倒しようとします。 
 そして仮に米国が「朝鮮半島を捨てる」時も、単に捨てるのではなく中国と交渉するための「カード」にするのだろうと思います。
韓国は、最近韓国は、THAADの配備を決めています。韓国としては、米国寄りの姿勢を示さざるを得なくなったわけです。

しかし一度中国に寝返りを決めた韓国です。日本も米国も、韓国経済を本気で助けようという意志はもうありません。また、今更中国に頼るわけにもいきません。

ということは韓国が再び経済危機に陥ったとき、韓国が頼れる国はありません。日本も米国も冷淡にIMF支援を要請するでしょう。韓国はこの点で完全に孤立していると言っも過言ではありません。

韓国が自分でもそれを認識しているのであれば、何が何でも経済危機を避けようとして、少しでも経済危機に繋がる政策は避けようとするでしょう。日本の例を見ても、金融緩和は大幅な通貨安を伴いますから、韓国はそのようなウォン安が通貨危機を招くのではないかと恐れ、インフレ目標が有名無実になっても、国内がどれだけ不況になっても、金融緩和に踏み出せないのでしょう。

しかし一方で、ウォン高が進むと輸出依存度の高い韓国経済は大きなダメージを受けるので、何とか通貨介入でそれを防ごうとするのでしょう。その結果、皮肉なことに、韓国はアジア通貨危機以前に似た、事実上の通貨ペッグ制になりつつあります。

しかし、通貨ペッグ制は市場から足下を見られるため維持不可能というのが、多くの経済危機の歴史と経済理論(国際金融のトリレンマ)から得られた教訓です。

  • ある国はこの3つの「自由な資本移動」「固定相場制」「独立した金融政策」のうち2つだけを受容することができます。もしある国が a の位置を選択し、「自由な資本移動」と「固定相場制」を導入するのであれば、金融政策の独立性は失われます。
  • 実際の例としては欧州連合ユーロ圏が挙げられます。もしユーロを受容し自国通貨を放棄すれば、ユーロ圏内で為替を固定することになります。また、域内での自由な資本移動も認められています。しかし、金融政策はすべて欧州中央銀行に一任することになります。

もしウォン高要因が大きくなれば、韓国はデフレに陥り、かつての日本のような長期不況に陥るでしょう。

逆にウォン安要因が大きくなれば、韓国は通貨アタックを受けて、金融危機に陥るでしょう。しかし、中国を含めて、韓国を本気で助けようとする国はもうありません。

結局、韓国が自分勝手な外交によって中国はもとより、日本と米国の信頼を失ったことが、韓国がリフレ政策を採用できない理由だということになります。韓国はなんとも愚かなことをしたものだと思います。

これを解決するには、韓国がその尊大な態度を改め、日米との和解を本気で進めるしかないのでしょう。

しかし、これも今更かなり難しいです。日本としても、韓国側から、韓国の経済危機を絶対に日本のせいにしないことという確約をとりつけるのはもとより、その他でも譲歩してもらわないと、とてもできるものではありません。

米国としても、韓国が中国側に寝返ることを確約しないと無理です。しかし、過去の韓国はこのような約束はことごとく反故にのしてきたため、いまさら信用されません。結局、韓国はまた通貨危機に陥り、IMFの管理下に入るしかなくなることでしょう。

現状でも韓国経済はかなり危険なのですが、もし9月に日銀が大幅な追加金融緩和を決定した場合、韓国の破綻はさらに早まり、第二の通貨危機に陥ることになります。そうして、韓国は第二の通貨危機も、日本の金融緩和のせいにすることでしょう。本当にやっかいな国です。

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2016年8月5日金曜日

【スクープ最前線】首相、二階幹事長&稲田防衛相で中国封じ込め 習政権は不穏な対日工作―【私の論評】習近平は国内政治力学のため尖閣を奪取する(゚д゚)!


二階幹事長と稲田防衛相 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
安倍晋三首相が、軍事的覇権を強める中国を封じ込める、新たな陣容を敷いた。内閣改造・自民党役員人事(3日)で、歴史問題などで中国に毅然と対峙してきた稲田朋美氏(57)を防衛相に抜擢し、中国に独自のパイプを持つ二階俊博氏(77)を幹事長に起用したのだ。硬軟織り交ぜた対中戦略だが、習近平国家主席率いる隣国の暴走は止まらない。南シナ海をめぐる中国の主張を「完全否定」したオランダ・ハーグの仲裁裁判所の裁定を「日本の陰謀だ」と批判し、挑発を続けている。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

中国が危ない。7月に仲裁裁判所の裁定を「紙クズだ」「従わない」と、国際法無視を宣言して以来、孤立を深めて常軌を逸している。外務省関係者がいう。

「ニューヨークのタイムズスクエアにある中国系広告スクリーンに、『仲裁裁判所の裁定はデタラメだ』というビデオを、1日100回以上も流している。米国人は『クレイジーだ』とあきれている」

「中国と南シナ海で対立するベトナムでも先月末、首都ハノイと南部ホーチミンの国際空港が中国のハッカー攻撃を受け電光掲示板に『南シナ海は中国領』というメッセージが流された。ベトナム人は激怒している」

今月1日東シナ海で大規模な軍事演習を行った中国海軍 
艦艇100隻、潜水艦一隻、航空機十数機を動員した。
だが、中国が総力をあげて攻撃しているのは、実は日本だ。ふざけたことにメディアを総動員して、仲裁裁判所の裁定は「日本の謀略だ」などと、嘘八百を国内外に吹聴し、すべての罪を日本にかぶせようとしている。

東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議が先月26日、ラオスで開かれた。これに合わせて行われた日中外相会談で、王毅外相は「これ以上(日本が各国と南シナ海問題で)介入を続ければ、別の意図があると証明することになる」と、岸田文雄外相を恫喝(どうかつ)した。

この2日後、中国国際放送のウェブサイト国際在線は「(日本は)誰の目にも明らかな陰謀を企てている」「尖閣諸島問題において中国に勝利するためだ」と報道した。要は、日本が尖閣諸島を中国から奪うために、陰謀を働いて裁定をクロにさせたというのだ。

笑止千万。尖閣諸島は沖縄県に属する日本固有の領土だ。卑劣な手段で奪おうとしているのは中国の方ではないか。

外務省関係者がいう。

「中国は必死だ。国内報道は『日本悪玉論』一色で、人民と軍を洗脳している。仲裁裁判所の裁定は致命傷で、習氏は追い詰められた。日本を悪玉にしなければ、人民と軍の不満が爆発して政権は持たない。だが、このまま反日感情をあおれば、人民と軍が暴走する。極めて危険だ」

追い詰められた習近平
私(加賀)は、夕刊フジ7月20日発行号で《習氏が追い詰められ、8月に尖閣で軍事衝突を画策している》という衝撃情報を報告した。中国が国内外で「日本悪玉論」「日本陰謀論」を吹聴するのは、衝突時の中国の暴走を正当化する世論作りと思える。

こうしたなか、中国海軍は1日、軍創立記念日を名目に、東シナ海で艦艇100隻、潜水艦1隻、戦闘機十数機を出動させた大規模な実弾軍事演習を行った。

さらに、とんでもない情報が飛び込んできた。

日中交流団体幹部の日本人男性が先月、「国家安全危害の疑いがある」として中国当局に拘束された件についてだ。習政権が発足した2012年以降、これで日本人10人がスパイ容疑などで逮捕・拘束された。実は、大変な動きがある。以下、複数の情報当局関係者から得た情報だ。

「中国は数十人の『日本人スパイ容疑逮捕者リスト』を作成している。だが、今回の団体幹部はリストに入っていない。今回の拘束は『中国に逆らうなら、今後は誰でも捕まえる』という、日本に対する脅しだ。今後、中国がスパイ容疑を名目に、日本人狩りを行う危険がある」

「日本国内でも危険な兆候がある。中国は『逮捕者リスト』に載った(親中派の)マスコミ関係者や学者を『(中国に来れば)逮捕するぞ』と脅して利用してきた。裁定以降、彼らに、南シナ海問題や尖閣問題などで『安倍政権批判をもっとやれ、と命令している』という情報がある」

中国は最近、南シナ海でロシアとの合同軍事演習を9月に実施すると発表した。これも、「南シナ海に手を出すな」という中国の脅しだ。米韓両国が配備を決定した、最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」に反対する意思表示でもある。

再度言う。日本の危機が高まっている。中国の卑劣な工作に断固屈してはならない。日本は、米国とオーストラリア、インド、そして世界各国と連携を強め、「法と自由と民主主義」を守り抜く積極外交を行うべきだ。日本は正々堂々、真正面から立ち向かえばいい。

加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】習近平は国内政治力学のため尖閣を奪取する(゚д゚)!

中国が、近々尖閣で軍事衝突を企んでいることは他のソースでも公表されています。その代表的なものを以下にあげておきます。
「中国軍はヘリで尖閣を急襲する」と米研究機関
中国海軍のヘリコプター「Z80」
 中国軍が尖閣諸島など日本の領海や領空への侵犯を重ねる中、中国の軍事動向を調査する米国の研究機関が「中国軍部はヘリコプター急襲や洋上基地の利用によって尖閣諸島を奪取する戦略を着実に進めている」とする分析を明らかにした。 
同研究機関は、中国は長期的には東シナ海での覇権を確立するとともに、沖縄を含む琉球諸島全体の制覇を目論んでいると明言している。 
■ 尖閣制覇の目的は?  
   ワシントンで中国の軍事動向を研究する民間機関「国際評価戦略研究センター」の主任研究員リチャード・フィッシャー氏は、中国人民解放軍の東シナ海戦略についての調査結果を報告書にまとめ、このほど公表した。 
   同報告書は、まず中国が南シナ海で人工島建設による軍事化を推進し、同時に東シナ海でも、2013年11月の防空識別圏(ADIZ)の一方的な設置宣言に象徴されるように、軍事能力を高めていることを指摘する。特に、尖閣を含む琉球諸島の南部を重点的な対象とした(1)レーダー網や電子諜報システムの近代化、(2)J-10やJ-11など第4世代戦闘機の配備、(3)新型の早期警戒管制機(AWACS)や電子諜報(ELINT)の配備や強化、(4)以上のような戦力の演習の頻度増加――などが最近、顕著にみられるという。

また同報告書は、中国は尖閣諸島の軍事奪取のための能力を特に強化しているとし、尖閣の制覇には二重の目的があると分析する。つまり、“台湾攻略のための戦略拠点を確保する”、および“2020年頃までに東シナ海全域で中国の戦略核潜水艦活動の自由を確保する”という目的である。 
■ 着々と進んでいる尖閣奪取の準備 
   同報告書はそのうえで、尖閣諸島の軍事奪取に向けた中国人民解放軍の最近の動きとして、以下の諸点を列記していた。 
  • 浙江省の南麂列島で、ヘリコプター発着を主な目的とする新軍事基地の建設を始めた。この基地は尖閣諸島から約300キロの地域にある。中国軍ヘリのZ-8やZ-18は約900キロの飛行距離能力があり、尖閣急襲用の新基地と目される。  
  • 2015年6月以降に、浙江省の温州市で、日本の海上保安庁にあたる「海警」の新しい基地の建設を始めることが明らかになった。温州市は尖閣諸島から約320キロの地点にある。温州市の海警基地はまず尖閣諸島方面での任務につくとみられる。  
  • 中国海軍は新型のホバークラフトをすでに東シナ海に配備した。さらに新鋭の重量級ヘリの開発にも着手し、尖閣諸島や宮古列島、八重山列島への敏速な軍事作戦の実施能力を高めている。  
  • 中国海軍はウクライナ・ロシア製の時速50ノット、運搬量500トンの大型ホバークラフト2~4隻を購入し、同様の国産艦も製造中である。その結果、中国軍は、ヘリコプターの急襲部隊を後方から敏速に支援することが可能になる。  
  • 中国軍は、搭載量15トン、飛行距離400キロの新型ヘリコプターも独自に開発している。完成して配備されれば、尖閣諸島の占拠にきわめて効果的な手段となる。 
  • 中国は、2015年7月に公開した巨大な「洋上基地」の東シナ海への配備を実際に進め、尖閣攻略の有力な武器にしようとしている。この洋上基地は軍用航空機と軍艦の洋上の拠点として機能するため、中国が占拠した尖閣諸島に曳航すれば、即時に新軍事基地となる。 
■ 沖縄や先島諸島も狙われている 
さらにフィッシャー氏は同報告書で、尖閣諸島だけでなく沖縄や先島諸島(宮古列島と八重山列島)をも日本から奪取しようとする中国の長期戦略の存在を指摘した。 
同報告書によると、中国人民解放軍の羅援少将(軍事科学研究院所属)らは、中国共産党機関紙「人民日報」などに2013年半ば以降一貫して「沖縄を含む琉球諸島は本来は中国の主権に帰属する」という主張を発表してきた。中国と沖縄や先島諸島との歴史的な関わりを強調するその主張は、中国政府の意向の反映とみられるという。フィッシャー氏は、中国の尖閣諸島への攻勢は、沖縄などを含む日本領諸島へのより広範な長期戦略の一環であるとしている。 
米国で明らかにされた、こうした中国の尖閣諸島、沖縄その他の琉球諸島、さらには東シナ海全体への軍事的野望の実態は、当然ながら日本でも深刻に受けとめなければならない動きである。
この一連の動きは、以前このブログに掲載した中国による南シナ海の中国の戦略原潜の聖域化と無関係ではありません。

南シナ海を中国の戦略原潜の聖域にするというのは、南シナ海に戦略原潜(SLBM(潜水艦発射型弾道弾)装備)を他国に気づかれぬよう潜ませておき、核による先制攻撃や、報復攻撃を可能にすることです。

中国はかねてより、中米の対等な二国間関係(G2)を追求してきました。そうして、この二国で世界の覇権を分け合うというのが、中国の最終目標です。そのためには、まずは軍事的に米国と対等にならなければなりません。

そのためには、核戦略が重要になります。米国と対等になるため、米国に対して先制核攻撃および報復核攻撃ができるようになってはじめて、対等な二国間系関係が構築できると、中国は考えています。

そのためには、南シナ海の環礁を埋め立てて、軍事基地化して、この一帯を中国の実行支配下におくことが必要不可欠です。

ここに戦略原潜を潜ませておくことにより、米国にさとられずに、原潜を西太平洋方面に定期的に航行させ、常時米国を戦略核(SLBM)の標的にすることができます。

なぜ、ここまで中国が南シナ海にこだわるかといえば、東シナ海を含む中国の近くの海域は、浅い海であり、中国の原潜の行動は監視衛星や、対潜哨戒機、音響測定艦などによって、完璧に把握され、丸裸にされるからです。そのため、比較的近くの南シナ海の深い海は、中国にとって垂涎の的なのです。

ただし、中国は核兵器を使って、米国と核戦争をしようという意図があるわけではありません。あくまで、米国と対等の核戦略を持ち、対等な二国関係を保ち、最初はアジア全域に、いずれは世界の半分を自らの覇権の及ぶ範疇にして、全世界を米国と中国で分け合おうというのが、中国の意図です。

経済的にも軍事的にも台頭してきた、中国に対して、いずれ米国も中国と対等の二国間関係を築くことを望むであろうと長年中国は考えてきました。そうして、これに対して日本も追随するだろうと考えていました。

しかし、現実は違いました。南シナ海で米国は「航行の自由作戦」敢行しました。これは、この一帯を中国の戦略原潜の「聖域」にはさせないことの意思表示でした。そうして、それは、米国が中国と対等の二国間関係など望んでいなことの表明でもありました。

そうして、さらには今回のオランダ・ハーグの仲裁裁判所による裁定です。これに関しては、中国側はもっと中国に配慮した穏健なものになることを予想していたようです。

しかし、その期待は見事に裏切られて、仲裁裁判所は中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表しました。


これによって、中国の南シナ海の戦略原潜の「聖域化」は、国際社会からはっきりと「ノー」をつきつけられたのです。

しかし、米中の対等な二国間関係を目論む中国にとっては、これは絶対に許容できないことでした。

南シナ海の聖域化を是が非でも、実行しようとする中国は、この裁定を完全無視し、国際社会から孤立しました。

しかし、それでも中国は諦めません。南シナ海の実行支配をさらに強化するためには、米国はもとより、日本の艦艇やなども南シナ海からシャットアウトしなければなりません。

そのためには、東シナ海と南シナ海にある台湾はいずれ、中国の傘下に完璧に収めて、台湾を中国の軍事基地化して、東シナ海方面から入ってくる日米の艦船を完璧シャットアウトする必要があるのです。

台湾は、東シナ海と南シナ海の境目にある 尖閣諸島は、その台湾に近い

そうして、習近平がこれを推進する理由が別にもあります。それは、中国の国内事情です。米国の「航行の自由作戦」や、仲裁裁判所の裁定など、中国にとってはどれも到底許容できないことばかりです。それどころか、これらによって、習近平の権威は、地に堕ちました。

中国では、習近平による腐敗撲滅運動が展開されているのは皆さんご存知だと思います。しかし、これの本当に意味するところは、習近平派と、反対派による壮絶な権力闘争です。

権力闘争とは、中国内の派閥が、いずれの派閥が統治の正当性があるかをあらゆる手段を用いて、争うことです。権力闘争の最終目的は、自らの派閥の統治の正当性を最高に高めることです。

最近国内で権威が失墜しっぱなしの習近平 失脚の恐れもでてきた

現在の状況は、先ほど述べたように、米国による「航行の自由作戦」や仲裁裁判所による裁定により、習近平の権威は地に堕ち、習近平にとっては最悪の状況にあります。

習近平は、国内で自らの権威を強め、統治の正当性を強める必要があります。そのためには、南シナ海以外でも、何らかの行動を起こさなければなりません。

その行動を起こす先としては、南シナ海の周辺諸国や、台湾、尖閣諸島などがあります。しかし、南シナ海周辺諸国に関しては、仲裁裁判所の裁定もあり、ここに手を出せば、国際社会が黙っていません。軍事的制裁もあり得ますし、大規模な経済制裁は当然予想されることです。

台湾に関しては、いずれ自分の傘下に収めるつもりではあっても、ここにはすでに、反中国的な新政権が誕生しています。ここを拙速に手中にすれば、これも国際世論をさらに激高させることになります。

そこで、浮上するのが、尖閣諸島です。日本は、軍事的にも、経済的にもかなり強い国ですが、最近集団的自衛権の行使を容認する安保法制が整備されたとはいえ、まだまだ戦争・紛争などに関する法整備がなされていません。そもそも、真の意味での軍隊すら存在しません。自衛隊は軍隊ではありませんし、自衛隊員は公務員です。

実際に戦争をするということになれば、他国にない縛りがかなりあります。そういう意味では、日本の尖閣諸島は習近平にとっては狙い目です。

このあたりに習近平はつけいって、尖閣諸島付近で軍事衝突をしたり、あるいは尖閣諸島を奪取することにより、中国内での自らの権威を高めることによって、統治の正当性を得るという冒険に出るかもしれません。

確かに、日本の自衛隊、特に海上自衛隊の力はこのブログでも掲載してきたように、侮ることはできません。それに、沖縄には米軍の海兵隊が駐留しています。それに、日本の他の地域にも米軍基地が存在し、日本に手を出せば、米国との戦争も覚悟しなければなりません。

しかし、習近平は、このまま権威を失墜し、統治の正当性を失い、失脚して座して死を待つくらいなら、これを避けるために、一気に大冒険に出るかもしれません。

中国の国内政治の力学によっては、習近平は尖閣で勝負に出る可能性は、大いにあります。

日本としては、これは絶対に避けるべきです。ブログ冒頭の記事では、"日本は、米国とオーストラリア、インド、そして世界各国と連携を強め、「法と自由と民主主義」を守り抜く積極外交を行うべきだ。日本は正々堂々、真正面から立ち向かえばいい"などとしていますが、私はそうは思いません。

もうすでにその時期は過ぎました。日本ももし中国が尖閣に攻め入ってきたときに、どのように軍事的に対処するのか、真剣に考えておくべきときがきたものと思います。

私は、法律の専門家ではないので、何ともいえませんが、自分の国の領土に中国の軍隊が攻め込んできたとしたらということを予め想定して、それに対処する方法を考えておくべきです。

憲法改正などすぐにはできないのはわかりきっているので、現行憲法のまま、現行の法律体型のままで、対処する方法を早急に考えておくべきです。場合によっては、超法規的措置も実行する勇気と胆力が必要になると思います。その面では、稲田防衛相には期待できそうではあります。

いずれにしても、私たちも、習近平が大冒険をする可能性があることだけは、忘れるべきではありません。そのときは、本当に尖閣は危ういです。

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2016年8月4日木曜日

【御譲位】天皇陛下のお気持ち、ビデオメッセージで表明へ 8日の午後で最終調整―【私の論評】陛下の御心にかなうことを願い、静かにお見守りすることこそ私達のすべきこと!

【御譲位】天皇陛下のお気持ち、ビデオメッセージで表明へ 8日の午後で最終調整

天皇皇后両陛下
天皇陛下の「御譲位(原文は"生前退位"となっていましたが、この言葉は不尊であるため御譲位としました。以下同じ)」をめぐり、陛下ご自身がお気持ちを表明される方法について、宮内庁は、ビデオメッセージによって国民に示す方向で調整していることが4日、同庁関係者への取材で分かった。日時については8日の午後を軸に最終的な調整を進めている。

陛下が映像を通じて気持ちを示すのは、東日本大震災の発生から5日後の平成23年3月にビデオメッセージを発されて以来2回目となる。収録の際には、陛下が事前に宮内庁幹部と協議を重ね、用意した文書を読み上げられる形になる。

憲法を踏まえ、御譲位を明言する形にはならないが、象徴天皇としての今後の公務への向き合い方などについて、思いを語られるとみられる。

インドを訪問された天皇皇后両陛下
御譲位をめぐる法整備の動きが7月に表面化してから国民の関心が高まっており、誤解のないように自らの言葉で真意を伝えられるビデオメッセージを選択されたとみられる。

皇室典範には生前退位の規定はなく、実現には法改正や特別立法が必要。政府は既に極秘チームをつくって水面下で検討を進めており、気持ちの表明を受けて、本格的な議論を進めることになりそうだ。

陛下は「象徴としての地位と活動は一体不離」との姿勢を信条としており、将来的に加齢などによって公務を全うできなくなった場合には退位もやむなしと考えているとされ、皇后さまや皇太子さまら近しい人々には明かされていた。

宮内庁幹部はメッセージについて「こうした思いがにじむものになるだろう」と話している。

【私の論評】陛下の御心にかなうことを願い、静かにお見守りすることこそ私達のすべきこと!

ブログ冒頭の記事にもあったように、天皇陛下に於かれましては、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故という未曾有の天災と人災に対して、宮内庁を通じ日本国民と世界に向けてビデオメッセージを賜りました。そのビデオメッセージを以下に掲載します。


このような、陛下の御心が、再び8日午後に表明される運びとなりました。

天皇陛下の御譲位についての話が沸き起こったのは、先月の7月13日頃でした。この時から、何度も似たような報道が繰り返されました。

本当に天皇陛下の御心(みこころ)を考えての話かと考えてしまうような、好き勝手な言葉をメディアは、並べたてました。これには、本当に閉口してしまいました。

そうして、この一連のスクープ報道は出処が一切明らかにされていません。これは、本来、公表されないはずの陛下の内心、もしくは公表されない前提の陛下の「つぶやき」が何者かによって公表されてしまったというのが真相のようです。


ところで、陛下の現在のご年齢は82歳です。しかも、今までに何度も体調を崩されておられます。

大きなものでは癌、そうして心臓疾患に関するご病気についても報道されていました。だからこそ、個人的心情からは、もうよいのではないか。これ以上大変な思いをさせることはないのではないかと思います。

しかし、天皇陛下の御譲位に関する、発言は、天皇陛下の政治的言動を禁じた日本国憲法に触れる可能性ありとの声も聞こえます。

おそらくはこれは、日本国憲法第4条第1項のを論拠としていものと思われます。この条項では、天皇陛下は憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しないとあり、天皇陛下の権限、職権の範囲が定められています。

だから、天皇陛下御自身が御譲位の意志を言葉にすることは国事行為以外の話であるから、憲法に抵触すると言いたいようです。

南阿蘇村の被災地をご慰問された天皇、皇后両陛下

また、現在の退位の条件は皇室典範では以下のように定められています。
天皇陛下の退位は基本的に現在の御代における今上陛下 (現在の天皇陛下)として崩御された時に起こり得るもの。
したがって皇室全般の皇位継承から始まる『皇室典範』を修正しないことには、天皇陛下の宸襟(しんきん)を悩ます問題の解決には至らないのです。

皇室典範の構成は次のとおりです。

皇室典範・・構成章》
第1章  皇位継承
第2章  皇族
第3章  摂政
第4章  成年、敬稱、卽位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓
第5章  皇室会議
退位に関する皇室典範の第1章での記述は以下です。
第4条  天皇が崩じたときは、皇嗣(こうし)が、直ちに卽位する
この第4条では天皇が御崩御の際に皇統のしかるべき後継ぎが天皇陛下として即位するとしか表していないのです。それ以外の手段は別に定める処置を行わねば、現在のところ天皇陛下御自身の思いだけでは、御譲位を行うことができないのです。

これは、天皇陛下の政治利用を防ぐための、定めといわれています。

しかし今回の場合はおそらく、象徴天皇と言われる現天皇の政治的活動の強化に結び付くものではないようです。もっと、寛容に見ることはできないのでしょうか。

パラオをご訪問された天皇皇后両陛下
陛下は、日々公務でお疲れであろうと考えられますし、またご多忙を極める公務の執行に不具合が生じてはならぬとの思いからお悩みになった結果のものと忖度できます。

ただ、ビデオメッセージでの「お気持ち」の表明は直接的な言及はない可能性が高いと考えられます。

では、どうすればよいのでしょうか。憲法の趣旨からして、天皇陛下の「御意向」が政治を動かすことは許されません。だからこそ、スクープは真偽不明なものとした上で、それとは別に政府が独自の判断で御譲位を実現させる動きをするか否かにかかっているのです。

そうして、御譲位に関しては、将来も見据えた形で行わなければならないと思います。将来天皇陛下の政治利用や、将来の天皇陛下が意にそぐわない譲位を強要されるようなことがあってはなりません。それを忖度したうえで、政府が独自の判断で御譲位を実現させるようにすべきです。政府の英断を望みます。

陛下の御心は議論する対象でもなければ、断定すべきものでもありません。一人一人が忖度(そんたく)して、陛下の御心にかなうことを願い、静かにお見守りすることこそが肝要なことであると思います。

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2016年8月3日水曜日

これぞ海上自衛隊の「秘中の秘」 中国軍が最も忌み嫌う音響測定艦「ひびき」「はりま」の知られざる活動とは―【私の論評】その目的は南シナ海を中国原潜の聖域にさせないこと(゚д゚)!

これぞ海上自衛隊の「秘中の秘」 中国軍が最も忌み嫌う音響測定艦「ひびき」「はりま」の知られざる活動とは

外国潜水艦の音紋を収集する音響測定艦「ひびき」
秘密が多い自衛隊装備の中でも、二重三重のベールに包まれているのが海上自衛隊の音響測定艦「ひびき」と「はりま」だ。同じ呉基地(広島県)を母港とする艦艇の乗組員も「どこで何をやっているのか詳しく分からない」と口をそろえる。

音響測定艦が戦っている“敵”はロシアや中国など外国軍潜水艦の音だ。

潜水艦のスクリュー音はそれぞれに特徴があり、あらかじめその特徴を把握していれば、どこの国のどのような型の潜水艦が航行しているのかを特定する決め手となる。警察官が犯人を追い詰めるため指紋を重視しているのと同じように、自衛隊は各国潜水艦の「音紋」をデータベース化している。

音響測定艦はこの音紋を収集している。空から潜水艦の動きを監視する哨戒機や、海中に潜む潜水艦が相手方潜水艦のスクリュー音を探知し、集積されたデータをもとに船の身元を特定する。

自衛隊が平成3年と4年に「ひびき」と「はりま」を相次いで就役させた背景には、冷戦時代末期にソ連が技術開発を進め、潜水艦が発する音が静かになったことがある。潜水艦の最大の強みは、敵に気づかれず攻撃を加える能力。ソ連潜水艦の位置を正確に把握することが、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などの無力化につながる。

音響測定艦「はりま」
 潜水艦を発見・追尾する対潜水艦戦を得意とする海自にとって、音響測定艦は不可欠な存在となっている。その音響測定艦の能力を知られることは将来の対潜戦を不利にしかねないため、海自内でも秘中の秘となっているのだ。

乗員約40人の「ひびき」は全長67メートル、幅29・9メートル。艦尾から水中に投入する曳航(えいこう)式ソナー・SURTASSで広範囲に耳を澄ませ、海自艦が集めた音紋データは米軍と共有しているとみられる。2隻の船をつないだような船体は「双胴型」と呼ばれ、自衛隊艦船としては初めて採用された。この船体により、嵐の中でも安定的に航行できる。

音響測定艦は冷戦終結後もロシア潜水艦の音紋を集め続けているほか、潜水艦能力の増強を続ける中国も主なターゲットとなった。25年5月に沖縄県久米島周辺の接続海域で中国の元級潜水艦などが航行した際は、米海軍の音響測定艦インペッカブルとともに「ひびき」も投入した。これに対し、中国側は日米の動きを妨害するため水上艦を展開し、音響測定艦を追尾したとされる。

米海軍の音響測定艦インペッカブル
 21年3月には中国・海南島南方沖で航行していたインペッカブルが中国のトロール漁船5隻に包囲された。同年5月にも音響測定艦ビクトリアスが黄海の公海上で中国漁船から航路妨害を受けた。

有事の際、西太平洋における米軍の行動の自由を奪うことを目標とした中国の「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」の中で、潜水艦は中核的な役割を果たす。それだけに、中国にとって日米の音響測定艦の存在は天敵ともいえる。

【私の論評】その目的は南シナ海を中国原潜の聖域にさせないこと(゚д゚)!

まずは、音響測定艦に関して、さらに説明を加えることとします。

音響測定艦(おんきょうそくていかん)は、現代の軍艦の一種。音響測定艦は、海上自衛隊の呼称であり、アメリカ海軍では海洋監視艦(Ocean Surveillance Ship)と呼びます。武装はほとんど施されていませんが、長大な曳航聴音アレイシステムを搭載し、それによる潜水艦の探知を目的とします。聴音システムは探索曳航アレイシステム・SURTASS(Survellance Towed Array Sonar System,サータス)とも呼ばれます。 探知距離は、旧式原子力潜水艦で約100km程度と言われています。

冷戦期において、西側各国におけるソ連海軍の潜水艦の脅威は切実なものであした。潜水艦探知のために、海洋の各所にSOSUSシステムと呼ばれる固定聴音システムを整備したのでしたが、SOSUSが整備できない地区向けや機動的な潜水艦の探知のために特に聴音システムに優れた艦を整備することが検討されました。

このために開発されたのが、音響測定艦です。艦体は小型・低速ではあるのですが、静粛性に優れ、艦尾には曳航アレイを海中に投入するための設備を持ちます。静粛性と安定性を求めたために、アメリカ海軍のビクトリアス級音響測定艦やインペカブル級音響測定艦、海上自衛隊のひびき型音響測定艦は双胴のSWATH船型となっています。

中国の音響測定艦「北調991」
最初の音響測定艦はアメリカ海軍のストルワート級音響測定艦であり、1984年に就役しています。SURTASSは展張時、搭載艦の運動に制限を与えてしまうため、より簡易化したTACTASS(タックタス:戦術用タス)が巡洋艦、駆逐艦(海上自衛隊の護衛艦に相当)に装備されています。

10kt(ノット)以下で運用できるものの、艦に運動制限を加え、探知についても概略探知方位と虚像が同時に探知され、さらに艦首尾方向は不感域になるなど、用兵者には倦厭される探知ソースではあります。しかし1CZ(Convergence Zone、収束帯)域、2CZ域での探知能力は、外洋においては評価されるべきものでしょう。

最新型のアメリカ駆逐艦アーレイバーク級ではTACTASSが搭載されておらず、沿岸侵攻を第一目標とするアメリカ海軍の思想が現されています。なお潜水艦に搭載されているTACTASSはSTASS(サブマリンタス)と呼ばれますが、性能的にはTACTASSと同様です。STASSの特徴は、STASSを展張した際、聴音捜索と同時に、潜水艦が自身の放射雑音レベルの測定に用いる点にあります。

SURTASSはパッシブを基本とした曳航聴音アレイシステムであり、約2kmのワイヤーによって長さ数百mのハイドロフォンシステムを曳航するというものです。1990年代以降は、潜水艦の静粛化にともない、一部の艦にはハイドロフォンとは別に曳航式の低周波高出力アクティブソナー(Low Frequency Active, LFA)を装備している艦も出てきています。

また、海上自衛隊では東芝機械ココム違反事件によりクローズアップされた、ソビエト連邦海軍の原子力潜水艦の静粛性向上対策として、アメリカの技術指導の下、ひびき型音響測定艦2隻を建造しました。これにより、平時からソ連潜水艦の音響データ収集の向上を図るものでした。ただし、後に東芝機械のココム違反は、事件とソ連原潜の静粛性にまったく因果関係がないことが明らかとなっています。

音響測定艦は、パッシブソナーによる潜水艦の音紋採集が任務ですが、1990年代以降、アメリカ海軍に所属する音響測定艦が低周波高出力アクティブソナーを稼動させるたびにクジラやイルカが大量に座礁するという事件が多発しており、環境保護団体による非難が出ていました。これは、アクティブソナーの大音響が海棲哺乳類の感覚に打撃を与えているためだといわれています。そのために、アメリカ海軍においては、低周波高出力アクティブソナーの使用海域を制限しています。

また、冷戦終了後、潜水艦の脅威が減少したためにアメリカ海軍では音響測定艦の一部を別任務に転用しています。これはSURTASSシステムを降ろし、対空レーダーを増備、麻薬密輸組織の監視に使用するものです。主にカリブ海からメキシコ湾岸にかけて展開しています。また、民間人が乗り込むようになり、地球環境の観測にも使用され、地殻変動により発生する極低周波の観測など地学研究の機材としても利用されています。

さて、2012年辺りから、米軍の音響測定艦が日本の港に寄港している姿が、よく見られるようになりました。

米軍音響測定艦3隻が並んだ米海軍佐世保基地の立神岸壁(手前から
インペッカブル、エイブル、エフェクティブ)(2012年11月30日撮影)
沖縄のホワイトビーチに、2隻の音響測定艦が並んだ(2010年9月2日)
米軍が新鋭艦としてしは6隻程度しか保有していない音響測定艦を、佐世保に3隻同時寄港、あるいはホワイトビーチに2隻同時寄港させているということからは、米軍の意図が透けて見えてきます。

佐世保やホワイトビーチでは、乗員の休息と補給を行っていると見られています。つまり、佐世保や沖縄に近い海域において、これらの艦艇が重点的なパトロールを行っているということです。

北朝鮮の潜水艦は、質も量も非常に乏しいため、これら音響観測艦の目標は、中国の潜水艦であると言えると思います。

つまり、米海軍は、世界各国の潜水艦の動静に払う関心の半分以上を、対中国に向けているということです。

しかも、この潜水艦に対する対中シフトは、近年になって急激に強化されたものです。
定着した音響測定艦と測量艦」(リムピース12年1月26日)

以下に少し古い資料を掲載します。

特殊艦艇の佐世保への寄港状況 同記事より転載
少し字が潰れてしまっていますが、紺色の線は音響測定艦、ピンクは測量艦、緑は弾道ミサイル駆逐艦です。
佐世保への音響測定艦の寄港回数・停泊日数  同記事より転載

海底地形等、地誌データと呼べる資料は、以前から継続して調査がされている反面、潜水艦の動静を探る音響測定艦は、2009年あたりから急激に日本近海で活動していることが分かります。

これらリムピースの記事は、米海軍の中国潜水艦に対する脅威認識と衝突の可能性に関する認識が、ここ数年で急激に高まっていることを示す明確なデータです。

そうして、米軍のこのような動きに呼応して、日本の音響測定艦も日々、中国の潜水艦の動向を探っているに違いありません。

なぜ、そのようなことをするかといえば、やはり以前このブログでも掲載したように、南シナ海を中国の戦略型原潜の聖域にしたくないからです。

中国による、南シナ海の戦略型原潜の聖域化については以前にもこのブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国の膨張路線は止まらないが国際社会から強い逆風 南シナ海のハーグ裁定―【私の論評】通常戦力で勝ち目のない中国は、南シナ海に戦術核を配備する(゚д゚)!
中国によるスプラトリー諸島にあるファイアリー・
クロス礁の完成した飛行場(昨年9月20日撮影)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の南シナ海の環礁を埋め立て、軍事基地化する目的は、結局のところ、南シナ海の深い海に、中国のSLBM(潜水艦発射型弾道弾)を配備した戦略型原潜を他国に知られることなく、潜ませることにあります。

ここから、西太平洋に抜けると、さらにアメリカ本土に近くなり、アメリカ全土が中国のSLBMの射程距離内に収まります。

潜水艦で深いところに潜行すれば、他国に悟られることなく、核による先制攻撃や、報復攻撃をすることができます。これを戦略原潜の聖域化と呼びます。

米国にとっての本当の脅威は中国による南シナ海の支配そのものではなく、南シナ海の聖域化なのです。

これに対する対抗措置が、米軍による、音響測定戦による中国戦略原潜の探査なのです。日本にとっても聖域化は脅威であり、これに対する対抗措置として、日本も音響探査戦を運用し、中国の原潜の動向を探っているのです。

目に見える、中国による南シナ海の埋め立てや、米軍による南シナ海への艦艇覇権は、氷山の一角にすぎません。本当の中国の狙いは、南シナ海の聖域化であり、米国や日本の狙いはその阻止です。

中国の潜水艦は、工作技術が日本よりはるかに劣っているので、通常型であろうが、原潜であろうが、まるでドラム缶をドンドン叩きながら、水中を進んでいるようなものです。ですから、日米ともに、中国の潜水艦の動向は、かなり詳しく把握しているものと思われます。日米は、役割分担をして共同して中国の原潜の動向の詳細を把握していることでしょう。おそらく、中国の原潜の行動は丸裸にされているものと推測します。

中国の原潜が不穏な動きをすれば、それはすぐに発見されて、米軍はすぐに対抗措置をとるでしょう。それとは対照的に、日本の特に「そうりゅう型」潜水艦は、かなり音が小さいため、中国の音響測定艦ではなかなか発見できないといのが実情です。これには、中国海軍はなす術が無いです。実戦となれば、海の藻屑と消えるのみです。

日米の協力によって、中国による南シナ海の聖域化は是が非でもやめさせなければなりません。そのための、対抗措置が日米による音響測定艦による探査なのです。

多くの人は、日米が中国の南シナ海での埋め立ての暴挙を許してしまったことを非難するかもしれません。しかし、日米は今でも中国の真の意図を挫いていましす。これからも、挫き続けることでしょう。

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