2016年12月7日水曜日

邪魔者は殺す プーチン大統領のデスノート―【私の論評】プーチンは、生かさず殺さず利用することが我が国の目指すべき道(゚д゚)!

邪魔者は殺す プーチン大統領のデスノート

ウラジーミル・プーチン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 超大国ロシア復権を目指すプーチン大統領は、政権に批判的な者を露骨に排除してきた。ロシア・旧ソ連圏の安全保障に詳しい軍事アナリストの小泉悠氏は、「ロシアの恐怖政治は今後も続く」と見ている。

 * * *

 2015年2月27日、ある男がモスクワ中心部の橋で4発の銃弾を浴びて死亡した。男はロシアの野党指導者ネムツォフ。反プーチンを掲げて大規模デモを開催する2日前の暗殺だった。後に当局は5人を逮捕したが「黒幕」は不明のままだ。

暗殺されたとみられる野党指導者ネムツォフ氏
 プーチンという男を批判する者の不可解な死は今に始まったことではない。

 有名な例が、プーチン政権誕生の鍵を握る事件を追及していたジャーナリストのポリトコフスカヤだ。

 1999年、ロシア3都市のアパートが連続爆破され、約300人が死亡した。当時、ロシア首相のプーチンはチェチェン独立派武装勢力のテロと断定して報復攻撃を開始した。決断は国民に広く支持され、大統領に上り詰める基盤となった。

 だが、後に同型の爆弾を仕掛けた不審者がロシアの諜報機関と関係していた事実が発覚。ポリトコフスカヤは、アパート爆破はチェチェン侵攻の口実が欲しいプーチンの「自作自演」ではないかと追及した。

暗殺されたとみられるポリストフスカヤ氏の葬儀
 そして彼女は標的となる。2004年のチェチェン武装勢力による中学校占拠事件を取材する際、現場に向かう機内で提供された一杯の紅茶を飲んで意識を失った。彼女は紅茶に毒を盛られたとして、「ロシア当局による毒殺未遂」だと主張した。

 奇跡的に一命を取り止めたが、2006年10月7日、モスクワ市内にある自宅アパートのエレベーター内で射殺された。全容は不明だが、この日はプーチン54歳の誕生日であり、暗殺は「最大の贈り物」とされた。

 3週間後、彼女と同様にロシア政府の関与を追及していた元KGB(ソ連国家保安委員会)のリトビネンコが亡命先のロンドンで体調不良を訴える。髪の毛が抜け、嘔吐を繰り返した彼は、やつれ果てた姿で死亡した。

病気の治療を受けていたリトビネンコ氏
 死体からはロシアで独占的に製造される放射性物質のポロニウム210が検出された。後に英国の調査委員会は、暗殺にロシア政府が関与しており、少なくともプーチンの承認を得ていたと結論づけた。

 KGBには「チェキスト(情報機関員)は死ぬまでチェキストだ」との鉄則がある。KGB出身のプーチンにとって、西側に魂を売ったリトビネンコは、「許されざる裏切り者」だった。(談)

 ●取材・構成/池田道大(ジャーナリスト)

 ※SAPIO2017年1月号

【私の論評】プーチンは、生かさず殺さず利用することが我が国の目指すべき道(゚д゚)!

上の記事をご覧いただければ、おわかりになるように、プーチンは政治家というより、マフィアの親分とでも考えたほうが、妥当です。

そのようなマフィアの親分との交渉で、安倍晋三首相は、北方領土返還に執念を見せています。9月2日、ウラジオストクで、ロシアのプーチン大統領と首脳会談を行い、年内にあと2回会談を重ね、安倍首相がソチ五輪時の会談で提示した経済面での8項目の「協力プラン」の具体化を加速して両国の協力関係を強化することで合意したといいいます。

その直前には、安倍総理は、「ロシア経済分野協力担当相」職を設置するなど“本気”を印象付けました。北方領土返還のため、冷戦時代の「政経不可分」戦略をかなぐり捨てて、「経済先行」を前面に押し出しています。

日本とロシア(旧ソ連)は、1956年の「日ソ共同宣言」で法的な戦争状態を一応終結したが、いまだに「平和条約」は締結できていません。父祖伝来の領土である北方領土の返還は悲願です。

しかし、この努力は報いられない可能性のほうが高いと考えられます。その根拠は、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相と米露のバトル口火 TPPは“トランプ版”に衣替え、北方領土はプーチン氏と論戦に―【私の論評】日米は、中国の現体制と、ロシアの中のソ連を叩き潰せ(゚д゚)!
ウラジーミル・プーチン
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事にはロシアという国の本質を掲載しました。その部分を以下に掲載します。
私たちは、ロシアとの北方領土交渉に関することを述べる前に、ロシアとはどういう国なのかを知っておく必要があります。

現代ロシアを理解するうえで大切なことは、ロシアとソ連は宿敵だということです。ロシアを乗っ取ってできた国がソ連なのですから、両者を一緒くたに考えるべきではありません。

エリツィンは現在では単なる酔っ払いとしか評価されていないのですが、間違いなくロシアの愛国者でした。そのエリツィンから大統領の地位を禅譲されたプーチンがやっていることは、ソ連邦の復活であり、ロシアに対する独裁です。
ロシアの愛国者エリツィン氏
プーチンが日本文化に詳しいから交渉しやすいなどという甘い幻想は捨て去るべきです。ロシアはそれほど単純な国ではありません。例えば、2002年にアレクサンダー・レベジというロシアの政治家が死にました。

彼はロシアの自由化を進め、チェチェン紛争の凍結にも尽力した人物です。NATOや日米同盟にも融和的でした。何より、近代文明とは何かを理解し、実行しようとしました。

ロシア史のなかでも、一番の真人間と言っていい存在です。しかし、彼の末路はヘリコプター事故死です。ロシアではなぜか、プーチンの政敵が『謎の事故死』を繰り返します。このレベジについてなんら言及せず、『プーチンは親日家だから』などと平気で言っているような輩は、間違いなく馬鹿かロシアスパイです。
アレクサンダー・レベジ
しかし、無論プーチンに限らず誰にも様々な面があります。どんな物事にも良い面もあれば悪い面もあります。『誰が善玉で誰が悪玉か』という子どものような区別の仕方はすべきではありません。

ロシアを支配しているのは、徹底した『力の論理』です。自分より強い相手とはケンカをせず、また、自分より弱い相手の話は聞かないというものです。

日本からの投資などで、ロシア側の姿勢を軟化させ北方領土問題を一歩でも進めよう、などという声もあるようですが、話を進める気のない相手に交渉を持ち込んだところで、条件を吊り上げられるのがオチです。

そもそも、戦争で取られたものは戦争で取り返すしかない、というのが国際社会の常識です。力の裏づけもないまま、話し合いで返してもらおうなどと考えている時点で、日本は甘すぎます。これは、それこそ子どもの論理と謗られてもしかたありません。
これは、プーチンとメドヴェージェフの役回りを考えてもわかります。子分が大袈裟に騒ぎ立てたところへ、親分が『まあまあ』と薄ら笑いで入ってくるのは、弱肉強食のマフィア社会などでは常套手段です。にもかかわらず子どものままの日本は、プーチンの薄ら笑いを友好的なスマイルだと勘違いしてしまっています。要するに、マフィアの社交辞令を真に受けているわけです。
プーチンとメドベージェフ
そもそも、多くの日本はロシアを知らなさすぎます。ウクライナの問題にしても、ロシアの歴史を知っていれば『またやってるよ』で終了です。『アメリカの影響力の低下』を論じる向きもありますが、そもそも、旧ソ連邦であるウクライナ、とくにクリミア半島に欧米が手出しできるわけがありません。メキシコにロシアが介入できないのと一緒です。

これは、世界の通史を知れば国際社会の定跡が学べ、おのずと理解できることです。そうして、文明国として、日本が強くなるべき理由やその方法も理解できるはずです。

プーチン大統領にとって、ウクライナはあくまで自分たちの持ち物です。元KGBである彼の故郷はロシアではなくソ連邦なのです。ウクライナを狙うのは、彼が旧ソ連を取り戻そうとする行為の一環なのです。

プーチンは故郷であるソ連邦の歴史をムダにしたくないし、ソ連の崩壊が敗北だったとは決して認めたくないのです。例えばプーチンは、ガスプロムという天然ガスの企業を使って、ロシア人から搾取を続けています。
このようなロシアの本質を知れば、北方領土問題がどんな形であれ解決すはずもないことは、はっきりしています。

それは、最近のプーチンの動きでも良く理解できます。

安倍晋三首相と、ロシアのプーチン大統領が今月15、16両日に山口県長門市で行う首脳会談に向けて、激しい駆け引きが続いています。プーチン氏は演説などで「経済協力」ばかりをアピールしています。日本としては北方領土問題を含む平和条約締結交渉が最優先であり、プーチンの一方的食い逃げは絶対に許すべきではありません。

 「(日本の)指導部がロシアとの経済的な結びつきを発展させ、共同プロジェクトや計画を始動させようとしていることを歓迎する」

 プーチン氏は今月1日、クレムリンでの年次教書演説で対日関係について、こう語っていました。安倍首相が提案した経済協力プランを“べた褒め”したのですが、領土問題を含む平和条約交渉には触れませんでした。

 まるで、領土問題は二の次のような態度です。

岸田文雄外相は2日夜、ロシア・サンクトペテルブルクで、プーチン氏と会談。安倍首相の親書を手渡し、首脳会談に向けた「詰めの作業」を行いました。

岸田外相
出発前の1日、岸田氏は都内で「日本側の考え方を直接伝えたい」と意欲を語っていましたが、百戦錬磨のプーチン氏を相手にするには、「お子様」のような態度ではなく、断固として領土を取り戻す気概が求められます。

おそらく、プーチン氏は日露両首脳会談で一見、領土問題に譲歩をみせるような態度をとるかもしれませんが、それでも、明言は避けることでしょう。

このようなことがある程度予めわかっているからこそ、安倍総理は今月米国のハワイに訪問することを取り急ぎ決めたのではないかと私は睨んでいます。

これは、日本国内の政治日程を考えると良くわかります。安倍晋三首相が来年一月召集の通常国会冒頭に衆院解散・総選挙に踏み切るのではないか、との臆測が与党を中心に広がっています。十二月の日露首脳会談で成果を出し、その勢いで国民に信を問う-という筋書きです。ただ、与党にとっては改憲発議に必要な三分の二の議席を失うリスクがもあるので、否定的な意見も多いです。

安倍総理がその腹だとすれば、日露首脳会談でめぼしい成果をあげらけなければ、このスケジュールは多いに狂うことになります。

そこで、浮上したのが、安倍首相の今月26~27日真珠湾訪問です。安倍首相は、オバマ大統領と最後となる首脳会談を行うとともに、旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊します。

オバマ氏は今年5月、現職の米大統領として初めて、米軍が原子爆弾を投下した広島を訪問している。そのため、今回の真珠湾訪問は「返礼」の意味合いがあるとの見方もあるが、菅義偉官房長官は12月6日の記者会見で「広島訪問とは関係するものではないと思っている」とこれを否定。一方で「本年が真珠湾攻撃75年という事も総理の頭にあったのではないか」と述べた。

米ホワイトハウスは5日に声明を発表し、「両首脳の訪問は、かつての敵国同士が最も親密な同盟国となり、共通の利益と価値の共有により結束しているという和解の力を示すだろう」と評価した。キャロライン・ケネディ駐日米大使も6日、「真珠湾訪問は日米間の友好と同盟の証です」と歓迎するツイートを投稿している。

安倍首相としては、歴代首相が成し遂げられなかった真珠湾訪問によって「日米の戦後」に終止符を打つとともに、日米同盟の強固な関係を内外にアピールする考えです。

もともと年明け解散は、12月15日~16日に行われる日ロ首脳会談の成果を掲げて行われたかもしれませんが、その後、北方領土問題の大きな進展は期待薄となったため頓挫したと思われていたのですが、今回の外交成果で内閣支持率を伸ばすか最近あがってる支持率を維持しつつ、そのまま解散総選挙に打って出る可能性がでてきたということです。

解散総選挙は、安倍首相の胸先三寸で決まるわけですから、憶測をするしかないのですが、それでも、このような選択肢も安倍総理の腹の中にあるのは確かだと思います。

このように掲載すると、日露首脳会談は無意味のようにも受け取られかねませんが、そのように考えてしまうことこそ、先に述べたような「子ども」の態度と言わざるを得ません。民進党の幹部や、蓮舫代表などは、そのように考えて、もし日露会談が不調に終われば、「意味が無い」等と国会で安倍総理を糾弾することでしょう。あまりにも下らなくて、今から目に浮かぶようです。

蓮舫氏
しかし、これこそ「子ども」のような態度です。ロシアは今や、大国ではありません。ロシアの GDP (国内総生産)は日本の四分の一にすぎません。人口においても、1億4000万人と、日本より若干多い程度です。軍事的にも旧ソ連だったころの面影もなく今では、NATOと戦っても負けます。というより、そのような戦争を遂行するだけの力もありません。

しかも、ロシアは中国と世界で一番長く国境を接する国です。そうして、中露国境では、多数の中国人が国境を超え、ロシア領内で様々な事業を営んでいます。このように多数の中国人が国境を超えて、ロシア領内で活動していることから、国境が曖昧になり、「国境溶解」と呼ばれています。

ロシアにはこのような中国の脅威があるわけです。もし、ロシアが崩壊してしまえば、中国はシベリアなどに大々的に進出し、中国が北極海沿岸の地を自らの版図に収めてしまうかもしれません。あるいは、オホーツク沿岸も手中に収めるかもしれません。

そうなれば、当然のことながら、かつてソ連が冷戦中に対米核戦略の拠点としたオホーツオホーツク海ならびに、北極海の深い海を原潜の聖域とするかもしれません。

そうなれば、北半球にある国々は中国の脅威にさらされることになります。我が国にとっても、安全保障上の重大な脅威になります。

だかこそ、ロシアには強大になりすぎても困りますが、やはり現状の影響力は維持しつつ、中国に対峙している状態が、北半球の国々とっては、いまのところベストということになります。

一番良いのは、中露を互いに争わせ、他国にも火の粉が降りかかるような大きな戦争にはならないようにして、互いを疲弊させることです。ロシアと中国がともに疲弊すれば、我が国にとっての安全保証上の脅威はなくなるし、そうして、北方領土が日本に帰ってくる可能性も高まるというものです。

そうして、無論のことですが、中国で習近平政権が、ロシアではプーチン政権が、統治の正当性が低いという事実があります。そもそも、プーチン政権の統治の正当性が高ければ、全近代的な暗殺などする必要もないわけです。習近平だって、統治の正当性が高けば、腐敗撲滅運動とう名の権力闘争などする必要もないわけです。

日本ができる事は限られていますが、米国やイギリスその他自由主義陣営の国々は当然のことながら、中露を内部から腐敗させ、弱体化させるための行動をとっていることでしょう。特にトランプ氏が大統領に就任してからは、その動きは加速化されることでしょう。

我が国も情報提供の面などから、この動きに協力していくべきです。そうして、中露とも、経済が疲弊していて先が見えない状況です。ここで、我が国の経済力を活用して、中露を手球にとることもできます。

このようなことは、当然のことながら安倍首相の腹の中にはあることと思います。一見ロジアのプーチンに利用させているように見せかけておいて、実はこちら側が、利用しているという形にもっていければ、我が国にとっては最善です。こうしたことから、今回の日露首脳会談も揺るがせにはできないのです。

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2016年12月6日火曜日

【スクープ最前線】トランプ氏「中国敵対」決断 台湾に急接近、習近平氏は大恥かかされ…―【私の論評】トランプ新大統領が中国を屈服させるのはこんなに簡単(゚д゚)!

【スクープ最前線】トランプ氏「中国敵対」決断 台湾に急接近、習近平氏は大恥かかされ…

台湾の蔡英文総統との電話会談で中国を牽制したトランプ次期米大統領
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ドナルド・トランプ次期米大統領が、中国への強烈な対抗姿勢を示した。台湾の蔡英文総統と電撃的な電話協議を行い、「経済、政治、安全保障面での緊密な結びつき」を確認したうえ、フィリピンのドゥテルテ大統領とも電話会談で意気投合したのだ。トランプ氏は「アンチ・チャイナ」の急先鋒(せんぽう)だっただけに、戦略的に行動した可能性が高い。習近平国家主席率いる中国は衝撃を受け、「対中激突」や「孤立化」を恐れている。

 「トランプ氏は間違いなく『対中強硬策』を決意した。一連の行動は、オバマ政権の救いがたい『対中弱腰外交』との決別宣言だ。違う言い方をすれば、中国に対する宣戦布告だ」

 米軍関係者は語った。

 中国に2日、超ド級の衝撃が走った。冒頭で触れたように、トランプ氏が、台湾独立志向が強く中国が目の敵にしている蔡氏と、通訳抜きで10分以上、電話協議を行ったからだ。トランプ氏は、蔡氏を「The President of Taiwan(台湾総統)と呼んだ」ことも堂々と公表した。

 米国は1979年の米中国交正常化以来、中国の主張する「1つの中国」政策を受け入れてきた。表向き、台湾を国として認めず、米大統領も次期米大統領も台湾総統とは接触しない-という慣例を厳守してきた。

 トランプ氏はこれを一方的に破ったのだ。まさに中国にケンカを売ったかたちといえる。「中台統一」をもくろむ中国からすれば、驚天動地の裏切り行為だ。

台湾の蔡英文総統
 中国の王毅外相は3日、「台湾側のくだらない小細工だ」「米国政府が堅持してきた『1つの中国』政策を変えることはできない」と、蔡氏を批判したという。香港フェニックステレビが伝えた。中国外務省も同日、米政府とトランプ氏に厳重抗議した。

 だが、旧知の外務省関係者は次のように語る。

 「トランプ氏は確信犯だ。オバマ氏率いるホワイトハウスにも一切知らせなかった。中国の抗議も無視して、ツイッターで『米国は台湾に何十億ドルもの兵器を売りながら、私がお祝いの電話を受けてはいけないとは興味深い』と開き直った。蔡氏を、独立国家の元首に使用する『President』と呼んだのもわざとだ。トランプ氏は米中関係悪化を恐れていない。いかに習氏を攻撃できるか、周到に計算して動いている。

 実は、中国がトランプ、蔡両氏の電話協議に激怒した3日、中国共産党の機関紙「人民日報」は1面で、習氏とキッシンジャー元米国務長官が笑顔で握手する写真を掲載した。記事は前日の会談を報じたもので、習氏は『(トランプ政権と)安定した発展を継続したい』と表明を出していた。世界各国が注視するなか、笑い物だ。大恥をかかされた。

握手した習近平(左)とキッシンジャー(右)
 トランプ氏が将来の「中国制圧」に向けて仕掛けた工作は、これだけではない。以下、複数の米軍、米情報関係者から得た情報だ。

 まず、英国のキム・ダロク駐米大使が1日、日本に派遣している英空軍最新鋭戦闘機「タイフーン」を近々、南シナ海での「航空の自由」作戦に参加させると、ワシントンで開かれたシンポジウムで明かした。ダロク氏はさらに、2020年に就役する空母2隻を太平洋に派遣する意向を発表し、「米政府と目標(対中政策)を共有する」と宣言したのだ。

 「トランプ陣営の仕掛けだ。主役は、国防長官に指名したジェームズ・マティス元中央軍司令官(退役海兵隊大将)と、安全保障担当補佐官に指名されたマイケル・フリン元国家情報局長(退役陸軍中将)の2人だろう。ともに『戦場の英雄』で『対中強硬派』、そして強烈な『反オバマ』だ。オバマ時代、南・東シナ海で中国に好き勝手させた屈辱の8年間を取り戻すつもりだ」

 そして、トランプ氏は2日、フィリピンのドゥテルテ大統領とも電話会談をしていたのである。

フィリピンのドゥテルテ大統領
 ドゥテルテ氏はこれまで、オバマ氏を「売春婦の息子」と罵倒し、米国との決別宣言までしていた。そのドゥテルテ氏が会談後、「(トランプ氏に)親密さを感じた。われわれと米国の絆は確かなものだと伝えた」と大喜びして、態度を一変させた。なぜか。

 「トランプ氏が、ドゥテルテ氏の麻薬犯罪対策について『成功を祈っている』と語ったことが大きい。ドゥテルテ氏は、CIA(米中央情報局)の失脚・暗殺工作におびえていた。次期米大統領が直接電話したことで、それがなくなった。南シナ海の対中戦勝利のために、米国はドゥテルテ氏をとり戻す」

 トランプ氏の大統領就任は来年1月20日だが、すでに経済問題や、外交・安保問題などで、激しく動いている。

 私(加賀)は、夕刊フジ(11月22日発行号)で、トランプ氏について《中国との『通貨戦争』『貿易戦争』『全面戦争』も辞さない、対中強硬政策を決断した》という最新情報を報告した。

 国際情勢が予想以上に緊迫化している。日本は総力を挙げて情報収集に努め、万全を期さなければならない。休んでいる暇などない。 

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】トランプ新大統領が中国を屈服させるのはこんなに簡単(゚д゚)!

トランプ氏まだ大統領に就任していませんが、着々と対中国封じ込め戦略の準備をすすめています。上に掲載されているのはまさにその事実です。

トランプ氏は続々と反中派と連携を深める行動をしていますが、中国とは一切そのようなことはしていません。

これまでの、オバマや民主党の中国接近、宥和政策、二国間関係を重視する政策とは180度転換したため、中国政府は恐慌状態に陥っていることでしょう。

しかし、中国はさらにこれからとてつもない末路が待っていることにまだ気づいていないかもしれません。


超大国といわれるアメリカの一番の強さは、軍事力でもなく、イノベーション力でもありません。それは、米国による世界の金融支配にあります。現在の世界の金融体制は、ブレトン・ウッズ体制に端を発しています。これは、第二次世界大戦末期の1944年にアメリカのブレトン・ウッズで連合国通貨金融会議が開かれ、国際通貨基金(IMF)や国際復興開発銀行(IBRD)の設立が決定されたものです。

当時、世界の金の80%近くがアメリカに集中しており、アメリカは膨大な金保有国でした。その金と交換できるドルを基軸通貨とし、他国の通貨価値をドルと連動させるという仕組みで、金・ドル本位制ともいわれます。

世界各国、特に先進国の中で、食料や資源を100%自給できている国は少ないです。中国の食料自給率は85%以下といわれており、アメリカから穀物を買えない事態になれば、13億の人民は飢餓に苦しむことになります。

これに関しては、一昔前にある中国の高官が穀物の需要が増えたり、減ったりする中国の状況を「中国人の胃はゴムボールのようである」と語っていたことがあります。要するに、穀物需要がかなり減ったり、増えたりしても、中国は何とかなることを強調したかったのでしょう。

現実には、そんな馬鹿な話があるはずもなく、貧困層は穀物が手に入らず飢え死にしていたというのが実情でしょう。しかし、それは今から数十年も前のことで、今ではそのようなことはあり得ないでしょう。現状では、中国の貧困層でも何とか食欲を満たす穀物は手に入れられる状態になっていることでしょう。


実際最近では中国が突如、近年世界の穀物輸入国上位に躍り出てきました。2013年~14年期、中国の穀物輸入量は2,200万トンという膨大な量になりました。2006年の時点では、ま中国では穀物が余り、1,000万トンが輸出されていたというのに、何がこの激変をもたらしたのでしょうか?

2006年以来、中国の穀物消費量は年間1,700万トンの勢いで増大し続けている年間1,700万トンというと、大局的に見れば、オーストラリアの小麦年間収穫量2,400万トンに匹敵します。

人口増加は鈍化しているにもかかわらず、穀物の消費量がこれほど増加しているのは、主に、膨大な数の中国人の食生活レベルが向上し、より多くの穀物が飼料として必要な肉や牛乳、卵を消費しているからです。

2013年、世界全体で推定1億700万トンの豚肉が消費されました。そのうちの半分を消費したのが中国でした。人口14億人の中国は現在、米国全体で消費される豚肉の6倍を消費しています。

とはいえ、中国で近年、豚肉消費量が急増しているものの、中国人一人当たりの食肉全体の消費量は年間合計54キロ程度で、米国の約107キロの半分にすぎません。しかしながら、中国人も世界中の多くの人々と同じように、米国人のようなライフスタイルに憧れています。

中国江蘇省の豚肉売り場、価格は上昇し続けている
中国人が米国人と同量の肉を消費するには、食肉の供給量を年間約8,000万トンから1億6,000万トンへとほぼ倍増させる必要があります。1キロの豚肉を作るにはその3倍から4倍の穀物が必要なので、豚肉をさらに8,000万トン供給するとなると、少なくとも2億4,000万トンの飼料用穀物が必要になります。

それだけの穀物がどこから来るのでしょうか。中国では、帯水層が枯渇するにつれて、農業用の灌漑用水が失われつつあります。たとえば、中国の小麦生産量の半分とトウモロコシ生産量の1/3を産出する華北平原では、地下水の水位が急激に低下しており、年間約3メートル低下する地域もあるほどです。

その一方で水は農業以外の目的に利用されるようになり、農耕地は減少して住宅用地や工業用地に姿を変えています。穀物生産高はすでに世界有数レベルに達しており、中国が国内生産高をこれ以上増やす潜在能力は限られています。

2013年に中国のコングロマリットが世界最大の養豚・豚肉加工企業、米国のスミスフィールド・フーズ社を買収したのは、まさに豚肉を確保する手段の一つでした。

また、中国政府がトウモロコシと引き換えに30億ドル(約3,090億円)の融資契約をウクライナ政府と結んだのも、ウクライナ企業と土地利用の交渉を行ったのも、その一環です。こうした中国の動きは、私たち人類すべてに影響を与える食糧不足がもたらした新たな地政学を実証したものです。

このようなときに、米国に金融制裁を実施されたら、食料事情は逼迫するでしょうし、食料以外にも様々な物資の供給に支障をきたすことになります。

だからこそ、中国はドル支配体制からの脱却を目指し、人民元の国際化を進めていました。IMFの特別引出権(SDR)の構成通貨入りも、そういった流れの中で推し進められたものです。人民元はSDR入りしましたが、ドル決済を禁じられてしまえば中国経済は破綻に追い込まれることになります。

資源を買うことができなければ、軍艦を出動させることもできなくなり、これまでの「中国は今後も発展していく」という幻想は根底から覆されることになります。そして、その段階においても対立が終わらなければ、アメリカは金融制裁をさらに強めることになるだけです。

いわゆるバブルマネーによって、中国経済は本来の実力以上に大きく見られきましたが、バブルが崩壊し、同時にアメリカが前述のような金融制裁を強めたら、どうなることでしょう。当然、一気にこれまでの体制が瓦解し、中国は奈落の底に落ちることになります。

そうして頼みの綱の軍事力は、米軍と対峙できるような力はありません。このブログにも何度か掲載してきたように、日本の自衛隊が中国本土に侵略することにでもなれば、中国本土決戦ということになり、中国が勝つ見込みはあります。

しかし、例えば尖閣諸島などのように、中国側が海軍力や空軍力を用いて尖閣のような他国の領土に侵略しようとした場合、軍事的には、中国が勝つ見込みは全くありません。そのなことは、中国政府の幹部らが一番良くわかっているので、尖閣で日本と本格的に対峙することはいまのところ避けているです。そうでなければ、今頃尖閣はとうに中国のものになっています。

かつて中国が、チベットやモンゴル、トルキスタン国などに侵略したときとは、全く事情が異なります。どの地域に侵攻しようとしても、必ず米国、日本とその他周辺諸国が、連携して中国を牽制してそのようなことはさせません。
支那建国当時の版図 満州、ウイグル、内蒙古、チベットも外国だった
軍事的にも勝つ見込みは全くなく、さらに強力な金融制裁などされてしまえば、現代中国の人民はかつの人民のように穀物需要が減っても、それを甘受するなどということはありません。

ただでさえ、中国では建国以来毎年暴動が2万件あり、2010年あたりからは、平均10万件に達していといわれている国です。

その時には、暴動ではすまないでしょう。内乱になり、収拾がつかなくなり、いくつかの国に分裂するしかなくなります。

トランプ新大統領は、このようなことも視野に入れていると思います。まずは、軽い金融制裁により様子見をして、それでも中国の態度が改められなければ、さらに強化し、中国はとんでもない状況に追い込まれることになります。それでも、態度が改められなければらなる金融制裁の強化、最後の最後には軍事力に訴えることになります。

それも、段階を踏んてすこしずつ強化していくことでしょう。


中国は、早めにこのようなことを自覚して、南シナ海や東シナ海での暴挙をやめるべきです。そうでないと、本当にとんでもないことになります。

オバマと違って、トランプ大統領にとっては、中国を屈服させるのはこんなに簡単なのです。というより、米国の実力をもってすれば、元々かなり簡単なことなのですが、オバマ大統領がそれを実行してこなかったため、中国が増長したというのが現状です。ごく最近の中国を一言で表現すれば、「身の程知らず」だったということです。大統領就任中に、かなりのところまでこれを実施するというのがトランプ氏の腹です。

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2016年12月5日月曜日

安倍晋三首相、26、27両日に米ハワイ訪問へ 真珠湾で慰霊も―【私の論評】日米関係を邪悪なルーズベルトと近衛文麿の以前に戻せ(゚д゚)!


安倍晋三首相は5日、今月26、27両日に米ハワイでオバマ大統領と首脳会談を行うことを明らかにした。また、オバマ氏とともに真珠湾を訪問し、旧日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊する。今年は昭和16(1941)年12月8日(米国ハワイ時間12月7日)の真珠湾攻撃から75年目。現職首相の真珠湾訪問は初めてとなる。

安倍首相は同日夕、官邸で記者団に対し「ハワイでの会談はこの4年間を総括し、さらなる同盟の強化の意義を世界に発信する機会としたい」と述べた。その上で、オバマ氏は来年1月に退任することから「集大成となる最後の首脳会談となる」と強調した。

今年5月にはオバマ氏が原爆を投下した米国の大統領として初めて被爆地である広島市を訪れたことから、安倍首相が真珠湾を訪問する案も浮上していた。

【私の論評】日米関係を邪悪なルーズベルトと近衛文麿の以前に戻せ(゚д゚)!

オバマ大統領をはじめとするリベラル・左派の連中にとっては、オバマ大統領が広島を訪問したり、安倍総理がハワイを訪問したりすることは、単に平和を願う心からなどというのが一般でしょう。しかし、日米両国の保守派からすれば、これは違った見方ができます。

この見方をご理解いただくために、以下に日米の歴史を振り返っておきます。これについては、最近もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日米中国経済包囲網 日本、関税「特恵」から除外 米は「市場経済国」認めず―【私の論評】中国の現体制を完膚なきまでに崩壊させ、ルーズベルト以前の世界にもどせ(゚д゚)!
中国経済への強硬策で足並みをそろえる安倍首相(左)とトランプ氏
米国の保守派は、ニューディール連合がアメリカをのっとって以来アメリカは変質してしまったとしています。ニューディール連合(ニューディールれんごう、New Deal coalition)とは、1932年から1960年代末のアメリカ合衆国において、ニューディール政策および民主党大統領候補を支持した利益集団や選挙母体の連合体を指します。1952年と1956年の各大統領選挙でドワイト・アイゼンハワーに敗北を喫するも、この時代に民主党は主要政党にまで上り詰めてゆきました。 
フランクリン・ルーズベルトが党組織やマシーン、労働組合、ブルーカラー労働者、マイノリティ、農場経営者、南部出身者の他知識人から成る連合体を構築。1968年の大統領選挙の時期に崩壊しましたが、党活動家が復権を目指し枠組みを維持することになり、現在に至っています。そうして、これがアメリカのリベラル・左派の基盤をなし、今でもアメリカの政界、メディア界、学界、司法界でも大きな勢力となっています。
ソ連スパイに浸透され判断を誤ったフランクリン・ルーズベルト
特に、メディア界においては、メディアの90%がリベラル・左派であり、保守は10%程度に過ぎず、保守派が何かを主張しても、かき消されてしまいます。そうして、このようなアメリカの実体を知らず、米国のリベラル・左派の報道をそのまま垂れ流す日本のメデイアによって、日本人の多くが、アメリカの半分を全く知らない状態にあることは、このブロクでも何度か掲載してきました。 
しかし、このような実体は、今回の大統領選により、トランプ氏の当選を予測できないどころか、全く見込みなしで、ヒラリー・クリントンが優勢と報道し続けたことにより、暴露されました。 
米国の真性保守は、ソ連スパイに浸透されルーズベルトがソ連と手を組んだことが間違いであり、また反共の砦であった当時の日本と戦争をしたのは全くの間違いだった、この間違いから米国は間違った方向に行ってしまったのであり、米国はこの時点から遡って方向転換しなければならないと主張しています。 
あのマッカーサも同じような主張をしています。米国が朝鮮戦争を実施して、実際にマッカーサーが朝鮮に赴き、現地をつぶさに調査し、なぜ日本が朝鮮を併合したり、満州国を設置したりしたのが良く理解できた、結局日本はソ連の浸透に対峙していたのが理解でき、彼ら(日本)の戦争は防衛戦争だと、後に公聴会で証言しています。
ダグラス・マッカーサー
しかし、その日本も、近衛内閣のときにソ連スパイに浸透され、ソ連スパイに操られ、対米英強硬論が主張され、米英と戦争をするという愚かな決断をしてしまいました。無論、その決断の背後には、ルーズベルトによる画策もあり、戦争せざるを得ない状況に追い込まれたのも事実です。 
そうして、現在はソ連は崩壊しロシアは軍事的にも経済的にもとるに足りない存在となりましたが、かわつて中国が世界の安定と繁栄にとって邪魔な存在になっています。 
このような日米双方の、リベラル・保守が全く語らない日米の真の歴史を知っていれば、オバマ大統領の広島訪問や、安倍総理の真珠湾訪問なども、全く別の角度から見ることができます。オバマ大統領は、無論のことこのような見方はできず、自分の広島訪問が今後の歴史にどのような意味を持つのかもほとんど理解できなかったでしょう。哀れです。

広島を訪問した際被爆者の森重昭さんを抱き寄せるオバマ氏
さて、安倍総理が訪れることになっているハワイの真珠湾ですが、中国や韓国のように歴史を修正して、日本を貶めるようなことはしていません。

これについても、以前このブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
真珠湾で特攻隊遺品展 米戦艦記念館、異例の紹介―【私の論評】現在の米国は中韓朝の反日プロパガンダに簡単にのせられなくなりつつある(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 以下に一部を掲載します。
(真珠湾に記念艦として係留してある)この戦艦ミズーリといえば、1945年の9月2日に、このミズーリの甲板で、日本が降伏文書に調印したと、いうことだけが有名です。しかし、この艦には、それ以前に日本の特攻機が突入しました。それは、記録映画にも残っています。その映画のキャプチャ画像が以下の写真です。
この特攻機は、突入成功して、戦艦ミズーリにへこみを作りました。へこみは、作り火災は起こしましたが、それ以上の大きな被害はありませんでした。この特攻した零戦も、タイヤが上向きになってこのあたりに転がりました。 
そうして、ゼロ戦を操縦していたパイロットの上半身が、顔も、顔もよく分かる状態で、そこに転がりました。それをミズーリの水兵や士官たちが、自分たちを殺しに来たゼロ戦のパイロットということで、ののしりながら蹴っていたところ、そこの上から、キャラハン艦長が、やめろと声をかけたそうです。 
「その若者は俺たちと同じじゃないか。この弾をかいくぐって立派に突入を果たした、祖国を守るために戦ってる若者だから、ちゃんと弔おう」と語りかけたそうです。
そうすると、皆が納得して、艦内で、白い布と、赤い布を探して、日本の旭日旗を作って、その旭日旗で、ご遺体をくるんで、アメリカ海軍の正式な海軍葬が執り行われたそうです。、この特攻隊員の名前は、石野節雄という方で、享年19歳でした。岡山出身の、元は鉄道員だったそうです。 
さて、ハワイには、World War the Second Valor in the Pacific National Monumentという。真珠湾の戦いの記念館があります。この一体は、大きな国立公園として存在しています。下の写真が、その記念館です。
受付がこうあって、そしてこの記念館に入っていきますね、2つ建物があって、その一番最初の、入り口のところにある展示なんですよ。説明なんですよ。だからこれが、この記念館全体を説明してるわけですが、さあ、そこに何て書いてあるかというと、以下の様なものです。
このタイトルは、A Gathering Storm、迫り来る嵐という意味です。Conflict is brewing in Asia. その、アジアで紛争が起きましたと続いています。そして、古い世界が変わりつつあってと続いていて、、そしてここその下に、Two new powers, the United States and Japan, are rising to take leading roles on the world stage. つまりこれアメリカと日本を全く対等に考えていて、その、世界の舞台で、新しい主導的な役割を果たそうと、アメリカと日本が勃興してきたと書いてあります。 
そうして、当時の海軍力において日本が最先端で、アメリカより上で、特に、大きな軍艦ではなくて、飛行機こそ、大事だということを教えてくれたとかいてあります。教えられたのが真珠湾攻撃であって、真珠湾で徹底的にやられたので、アメリカは日本の方が正しいと反省をして、そして航空戦力を強くして、翌年の1942年6月のミッドウェー海戦でやり返して祖国を守ったと書いてあります、非常にフェアな、展示がしてあります。 
空母赤城やその艦載機の展示もある
この記念館の展示や、先のミズーリの記念館では、戦後70年の節目に特攻隊の隊員の遺品を今年陳列することなどを考えると、日米は大戦争を互いに敵として戦ったのですが、記念館などでは、このようなフェアな扱いをしています。
そうして、アジアでは最後の最後まで戦い抜いたのは、日米です。死傷者の数も、日米双方が群を抜いて多いです。 
そうして、今日旧敵国であった米国はこのようなフェアな態度で戦後七十周年を迎えています。
皆さんは、どう思われますか。中国や韓国、北朝鮮とは全く異なるとは思いませんか。このような真珠湾に安倍総理が訪問するということは、本当に意義深いものがあります。

日米は過去のこのような戦いなどのわだかまりを超え、それだけではなく、当時のソ連に両国とも操られて、本来すべきでなかった日米戦争をしてしまったことを反省し、日米の新たな協力関係を構築しより強固にすべきです。

そうして、日米関係を邪悪なルーズベルト以前に戻すべきです。邪悪なルーズベルトや近衛文麿の犯した過ちを二度と繰り返すべきではありません。日米双方とも、馬鹿で愚鈍なリベラル・左派を粉砕し、まともになるべきです。トランプ氏を選んだ米国民、安倍総理を選んた日本国民はそれができるはずです。
ルーズベルト(左)と近衛文麿
そのためには、先日もこのブログに掲載したように、たとえ時間がかかろうがロシアの中のソ連を叩き潰す、中国の現体制を叩き潰すことが、何よりも重要です。

そのための最初の一里塚が、安倍総理大臣のハワイ訪問になれば、日米関係にとって非常に良いことです。

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2016年12月4日日曜日

「韓国に謝れ」産経に圧力をかけていた日本の政治家―【私の論評】ポスト朴槿恵も現大統領以下で短期政権がしばらく続くと認識せよ(゚д゚)!

「韓国に謝れ」産経に圧力をかけていた日本の政治家

内なる敵がいた産経ソウル支局長起訴事件

国会が決めた日程で大統領職を辞任すると発表した朴槿恵大統領
日韓関係を揺るがせた韓国地検による産経新聞支局長起訴事件は、韓国側の不当な言論弾圧だったことが明らかになっている。実はその事件の陰で、日本側の多数の政治家や元官僚が産経新聞に圧力をかけ、謝罪をさせることで解決を図ろうとしていた事実も明らかとなった。

 もしも産経新聞がこの圧力に屈していれば、韓国当局の弾圧を是認するに等しい結果を招いていたことは確実である。その弾圧の元凶だった朴槿恵(パク・クネ)大統領が弾劾されそうないま、報道機関に対する圧力の卑劣さ、日本の政治家や元官僚の小賢しさは改めて糾弾されるべきだろう。

 言論・表現の自由を侵害する韓国側の弾圧

 産経新聞支局長起訴事件とは、2014年8月、当時の産経新聞ソウル支局長、加藤達也記者が朴大統領の動向について記事を書いたところ、韓国当局に名誉棄損と断じられ、起訴された事件を指す。

 加藤氏は出国禁止となり、事実上の軟禁状態となって、同年10月に名誉棄損罪で起訴された。

 日本の官民の抗議にもかかわらず、韓国側は翌年(2015年)に加藤氏を被告とする裁判を始め、2015年10月に検察側が懲役1年6カ月を求刑した。だが同年12月に裁判所は無罪の判決を下した。

 この間、日本政府はもちろん米国政府も、韓国側の措置が「言論や表現の自由への侵害」であるとして、懸念や抗議を表明した。日本ペンクラブや国際新聞編集者協会も「言論の自由を著しく傷つける措置」だとして批判した。国際的にみても韓国当局の加藤氏への弾圧は明らかに不当であった。

 あとを絶たなかった謝罪の提案

 だがこの期間中、日本国内では産経新聞に対して「韓国側に謝罪の意を表明して許しを乞うべきだ」「謝罪すれば、韓国側は加藤氏の起訴を取り下げるだろう」という“提案”や“助言”が各方面から寄せられたという。

 この実態は、11月29日、産経新聞の熊坂隆光社長によって明らかにされた。

 加藤氏はこの事件の体験を『なぜ私は韓国に勝てたのか』(産経新聞出版)というタイトルの本にまとめて2016年1月に出版し、PHP研究所の「山本七平賞」を受賞した。授賞パーティーで挨拶した熊坂社長は、加藤記者の受賞を祝ったうえで、次のような出来事を語ったのである。

「この事件の過程で驚いたのは、意外なほど多数の日本側の政治家、元外交官、評論家というような人たちが、産経新聞に対して『韓国側に謝罪の意を表明すべきだ』と持ちかけてきたことだった。

 社長の私がソウルへ行って一言でも謝れば、韓国側は加藤記者の起訴を取り下げ、日本への帰国も許すだろうというのだ。ソウルへ行けないのならば、東京の韓国大使館を訪れて『遺憾』という言葉を述べるだけでもよい。その謝罪を内密にしてもよい。そんなことを伝えてくる日本の政治家たちがあとを絶たなかった。有力な政治家たちも含まれていた」

 こんな“示談”の持ちかけは、韓国当局に弾圧を受けていた産経新聞にとっては背後からの圧力に他ならない。敵は日本の中にもいたということだ。韓国側から密かに頼まれて、動いた人もいたことだろう。

 だが、明らかに不当な弾圧に対して産経新聞が反論をせず、韓国側に謝ってしまっていたら、その不当を是として認めることになる。特に韓国当局の頂点に立つ朴槿恵大統領が犯罪容疑で辞任へと追い込まれる昨今の現状をみると、産経新聞の地位と信頼がどれほど地に堕ちていたか分からない。

 そんな事実を踏まえると、産経新聞に謝罪を求めた日本の政治家や元官僚はいまからでもその非を追及されて然るべきである。

【私の論評】ポスト朴槿恵も現大統領以下で短期政権がしばらく続くと認識せよ(゚д゚)!

産経新聞の謝罪を求めた、政治家や元官僚、評論家などは、完璧に誤りを犯しました。謝罪の必要など全くありません。この裁判はどうみても、韓国側には無理筋のものであり、最初から無罪になるのはわかりきっていました。

しかし、これらの人たちが韓国に対して厳しい批判などをすべきだったとは、私は思いません。正しいあり方は、「完全無視」です。なぜこのように私が思うのか、本日はこれについて解説します。

そもそも、韓国は我が国にとっては取るりたりない国です。我が国にとっての存在意義は、北朝鮮へのバッファーになっているというだけで、他にほとんど存在意義はありません。そんな国に対して、我が国の政治家や元官僚、評論家などがいきまいて、批判する必要などありません。

ただし、有罪判決が出てしまえば、「何を馬鹿な」というような批判はしても良いですが、判決が出るまではそのまま放置というのが正しいありかただったでしょう。

韓国を叩くのは簡単ですが、それは“絶対評価”でしかありません。日本人のほとんどの人が大嫌いな朴槿恵大統領にしても、今、そうして今後とも、彼女よりマシな人材が韓国にいるのかという点を考えるべきでしょう。

大統領選では、本選でも与党内の予備選においても、彼女が唯一の『親中反日』派でした。ライバルは全員『親北反日』でした。朴槿恵大統領辞任の後の大統領選でも、まともな人材は誰一人いません。

「日本は北朝鮮につぐ敵国」と発言した超絶反日政治家 李在明 野党
李在明(イ・ジェミョン、54歳)は、北朝鮮にどのような態度をとるのか未知数ですが米韓関係を強めるべきであるとの主張をしています。文在寅(ムン・ジェイン、64歳)は、大統領になって、李明博・朴槿恵という保守政権のあいだに極限まで冷え込んだ南北関係を修復させたい気持ちが強いです。

竹島上陸で反日パフォーマンスをした文在寅 野党


安哲秀(アン・チョルス、54歳)は、2011年になって突如韓国政界にあらわれた政治家。政治の性向は中道であるが、北朝鮮問題では右派に近いようではあります。

潘基文(パン・ギムン、72歳)言わずとしれた国連事務総長で、史上最低の国連事務総長と酷評された人物です。北朝鮮政策は、良くも悪くも優等生的な国連の枠組みを踏襲するものと思われる。当然、国連が「いの一番」で追及している人権問題を強く取り上げるものと思われる。ここに挙げた5人の中では、米国ともっとも仲が良いこともあり、金正恩氏は非常にやりにくいだろう。ただ、国連事務総長時代に残せなかった北朝鮮問題における「成果」を急ぎ、原則を捨てた行動を取るようになると、金正恩氏の思うツボだ。

反日というより中国様の愛玩ペット。別名油ウナギの潘基文 今は与党にも野党にも属さない
安哲秀(アン・チョルス,54歳)大学教授、実業家。現在、国民の党共同代表。

前回大統領選の世論調査では朴槿恵より人気があったが野党候補一本化のため出馬断念した安哲秀

朴 元淳(パク・ウォンスン、60歳 )は、大韓民国の弁護士、社会運動家。ソウル特別市長。
慰安婦問題の影の親玉、模擬裁判で昭和天皇を糾弾。李在明に劣らぬ反日政治家 朴 元淳
そうして、以上にあげた人物の共通点をあげておきます。それは、全員少なくとも朴槿恵と同等かそれ以上の反日派であるということです。また、朴槿恵程度に強くは反北朝鮮色を強く打ち出していないということでも共通点があります。

次の大統領選挙でもあの国では、朴槿恵よりマシな人物など出てきようもないのです。父親の朴正煕だって、批判材料はいくらでもありますが、少なくとも韓国2000年の歴史において、日本にとっても韓国にとってもいちばんマシな指導者だったと言えるでしょう。そうして、おそらくは、日本にとって朴槿恵は父親についでマシな大統領だといえると思います。

良いか悪いかのみを論じる“絶対評価”はアホでもできます。付き合いを避けて通れない以上、一番マシな人間を相手にするにこしたことはないのに、それを叩きまくってどうするという話です。

最近のスキャンダルなどで、朴槿恵を絶対評価で叩くのは、“もっとマトモな国になれるはず”という韓国への期待の裏返しに他なりません。多くの日本人は、韓国は未来永劫マトモになんて絶対になことなでできないという絶望的な現実を受け入れられていないのです。

韓国に対しては“相対評価”で臨むべきなのです。過去にアフリカで孤立した韓国軍が、日本からの弾薬供給を受けられなかったという一件がありましたが、ああいうときこそ普段ヘイトスピーチをやってるような人たちの出番なのです。

在特会あたりが官邸に乗り込んで行って、「今回は韓国が何を言おうが弾薬を受け取らせるべきだ、なんなら俺がソウルに乗り込む!」と気勢を上げるべきでした。日本でいちばんヘイトスピーチをやってる連中が弾薬を送ると言っているのに、それを韓国政府が断ったとしたら、それがひいては韓国の真人間を育てることに繋がり、反日政府への打撃ともなったことでしょう。

万一、国防軍がクーデターを起こしたときには取引もできるかもしれません。今回の混乱で、万が一親北朝鮮派が、大統領になるかもしれません。そうなれば、クーデターだって本当に起こりえるかもしれません。

このような恩義は、韓国人といえども絶対忘れません。特に軍人とはそういうものです。また、第三者へのアピールにもなります。歴史問題で日本は圧倒的に不利な状態なのですから、韓国をどうするか以上に第三者にアピールできるパフォーマンスが重要です。

ヘイトスピーチも使いようです。愛国者を自称する人たちは、韓国の反日を“解決”しよう、しようと考えているようですが、“歴史問題はそもそも解決しない”という認識が必要です。

嫌韓活動に血道を上げても、相手を刺激するだけで何の意味もありません。国家間の問題に対しては、弥縫(びほう)策を取り続けるのが正解なのです。日本人は、どうせ、向こうの方が先に亡ぶ、という自信を持つべきです。

現在の混乱もいずれはおさまり、大統領選挙が行われ新大統領が誕生します。そうして、その大統領は確実に朴槿恵以下です。

そうして、我々はこのことを前提として、韓国と付き合っていかなければならないということです。経済的には現在の韓国は、GDPが東京都同程度であり、いずれそれ以下になるのはもう決まったようなものです。経済的には無視して良い国です。

安全保障的には、北朝鮮のバッファーとしてのみ北朝鮮と対峙してくれれば良いわけです。

上の5人の候補者のうち、李在明は外交面では米韓同盟の強化を訴える一方、日本は安全保障上の敵だと見なすべきだと主張する。20世紀前半に朝鮮半島に対して行った侵略に対し、十分な悔悟の念を示してこなかったからだというお決まりの主張をしています。

ただし、日韓同盟の強化は、本気で考えているようで、それを考えると、上の5人の中では、一番まともな候補者といえるかもしれません。

朴槿恵辞任要求デモ。次の政権以降もーしぱらくこのようなデモが発生し短期政権が続く
ただし、これから韓国経済はさらにどん底を目指して下降し続けますから、誰が大統領になっても、若年層の雇用環境はさらに悪化し、中間層の賃金は下がり、結局韓国の歴代大統領のように批判され、短期政権で終わります。そうして、朴槿恵の後がそうなるだけではなく、おそらく少なくとも、10年くらいは短期政権が続きます。

そうして、反日活動はさらに過激になります。日本としては、短期政権で終わっても、日韓関係を強化しようとする大統領が就任すれば、それで良しということで、後は無視ということで良いと思います。

韓国が何を言ってきても、「日韓合意がある」といっていなし、「日韓通貨スワップ」を外交カードに使い、あまりうるさければ、スワップを発行させなければ良いし、発行させてしまっても、いつでも廃止できるようにしておき、うるさくしすぎれば廃止するというようにして、いずれ、経済的にどうにもならなくなり、ふたたび通貨危機で、IMFの管理下にはいるか、最悪では国連の信託統治領になるのを待てば良いだけの話です。そうなれば、反日どころではありません。

日本にとって、どうでも良い国への対処はこれで十分です。

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2016年12月3日土曜日

【日本の解き方】日銀の赤字で騒ぐ的外れ報道 子会社の決算気にするな 重要なのは日本経済の改善―【私の論評】これで騒ぐ輩は経済を語るな報道するな、解説するな(゚д゚)!

【日本の解き方】日銀の赤字で騒ぐ的外れ報道 子会社の決算気にするな 重要なのは日本経済の改善だ

グラフ、写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 日銀の中間決算で当期剰余金が2002億円の赤字になったと発表された。保有する国債の利回りが低下し、利息収入の減少による財務悪化が懸念されるとの報道もあるが、果たして問題なのだろうか。

 日経新聞では「日銀財務 緩和が圧迫」というタイトルで、まるで金融緩和が悪いことのように書かれていた。まず、中央銀行の決算の基本をおさらいしておこう。実際の決算は複雑になっているが、その基本的なところはかなりシンプルだ。

 日銀のバランスシートの基本は、資産側に国債、負債側に日銀券と日銀当座預金だ。負債側はマネタリーベース(日銀が供給する通貨)となる。つまり、資産側には有利子債権、負債側は無利子債務である。
(出処)日本銀行「営業毎旬報告(平成28年4月20日現在)」のデータをもとに作成
 現状では、日銀当座預金250兆円のうち210兆円程度には0・1%の付利、20兆円は無利子、20兆円には0・1%のマイナス金利だが、日銀券との代替が基本であるので、すべて無利子が本来の姿だ。民間銀行の当座預金が無利子であることを考えればわかるだろう。

 このように、資産が有利子債権、負債が無利子債務が中央銀行の基本構造である。無利子債務は、常識的な意味では「借金」ではない。

 そして、収益は総資産に金利をかけた利子収入になる。この意味で、金利が低下すれば、毎年の日銀の収益は少なくなっていく。これが将来にわたって続くわけだが、それらの現在価値の和は、高校レベルの等比級数の和の公式を適用すれば、日銀が購入した国債の額面金額になることがわかる。これが通貨発行益である。

 もちろん、この通貨発行益は、日銀納付金として国庫に入るが、政府と日銀を合算した統合政府で見れば、統合政府のものだ。

 日銀が法的に政府の子会社である以上、統合政府で考えるべきであるが、日銀官僚はそう考えずに、日銀だけで決算をみる。そうした情報がマスコミに流れて、マスコミ報道はトンチンカンなものになる。

 民間企業なら、グループ決算が重要で、個別会社の決算はあまり意味がないだろう。しかし、日銀官僚は、日銀が保有する国債の評価損が出る、引当金が必要だといって騒ぐ。統合政府でみれば取るに足らないことなので、政府も日銀の好きなようにしろという態度のようだ。

 仮に日銀保有国債の評価損が出た場合も、評価損は必ず国債の額面金額(通貨発行益)より小さい。つまり、一定の長期損失補填(ほてん)契約を日銀と政府で結んでも、国民負担はないということである。

 この政府と日銀の契約は、かつて日銀官僚があまりにつまらない財務問題を主張するので、米連邦準備制度理事会(FRB)議長も務めたベン・バーナンキ氏が言及したものだ。米財務長官を務めたローレンス・サマーズ氏も、財務問題をくだくだと説明する日銀官僚に対して「So what」(それで何が問題?)とあきれていた。

 はっきりいえば、政府の子会社である日銀の財務は気にする必要はない。むしろ親会社の日本を根っこで支える日本経済が良くなることが重要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日銀の赤字で騒ぐ輩は経済を語るな報道するな、解説するな(゚д゚)!

最近は、ようやっと、政府の借金1000兆円とか、貿易赤字が、経常収支の赤がなどと騒ぐメディアが少なくなったと思った矢先に、今度は日銀の剰余金が赤字という報道です。

やはり、メディアとにかく赤字とかマイナスは全部良くないこと、黒字とかプラスは全部良いことと単純に考えているのだと思います。

このようなことは、日本銀行券、日銀当座預金という負債は、無利子債務であり無利子債務は、「借金」ではないということを理解していれば、別に経済学的な難しいことを理解していなくても、小学生にでもわかるような事柄です。

日銀が債務超過になる理由は、政府に低利で貸出している(低利の国債を保有している)ことです。つまり、その分だけ政府は利払い負担が軽減されているのです。したがって、日銀が債務超過に陥って、政府がそれを増資で補ったとしても、「本来利払いとして支払うはずであった金額を増資として支払っただけ」なのです。

こんなことを理解できない日本のメディアは異常です。一般企業の財務の知識もないということです。

一般企業の会計でも、有利子負債と無利子負債があります。その典型例を以下にあげましょう。
・無利子負債の典型例:仕入債務(支払手形、買掛金)
・有利子負債の典型例:借入金や社債等
無利子負債とは、買掛金・支払手形など利子を払う必要のない負債のことをいいます。日本銀行券、日銀当座預金も利子を払う必要のない負債です。これが増えたからといって、何の問題があるのか、さっぱり理解できません。

私には、理解できない人がいるという事自体が理解できません。本当に疲れます。とにかく、何の統計数値でも、マイナスとか赤字になる何でも悪いことと考える人がいるようですが、少なくとも報道機関の人間くらいはこのようなことは理解して欲しいです。

このような報道をするようでは、まさにサマーズ氏のように「So What ?」言いたくなってしまいます。

ローレンス・サマーズ氏
この程度のことも理解できない人間は、経済に関する報道などすべきではありません。この程度のことを理解できない人間には、統合政府としての連結決算などということをいえばますます混乱し、困惑するのでしょう。

企業関しては、小会社と親会社を統合した、連結決算が当たり前になりました。それは当然のことです。

なぜそのようなことになったかといえば、たとえばかつて日本にはイトマングループなる企業がありました。

その会社は、日本の商社であり1990年までは伊藤萬株式会社と表記していました。住友銀行頭取の磯田一郎から平和相互銀行の内紛株買戻しの資金援助要請を受け泥沼に入り込み、平成初期に発覚した一連の伊藤萬事件(イトマン事件)の影響で経営破綻しました。1993年に住金物産(現:日鉄住金物産)に吸収合併され110年間の歴史に幕が下ろされた。

このイトマン事件の捜査で、イトマングループの経理が不正に行われていて、本社の赤字をすべて子会社に載せる形で、経理処理されており、本当はこのグループ全体では赤字なのに、本社は黒字で健全経営されているように装われていることが判明したのです。

このようなことでは、グループ全体ではどうなっているかわからないので、その以降会社単体の決算書を提出するのは無論のこと、グループ全体での連結決算を提出することも義務付けられるようになったのです。

巨大企業グループの中には、親会社のほか連結子会社や関連会社など複雑な構造を持つものも多い

このような事件もあったので、ひよっとすると、メディアの人間も、"日銀の赤字=小会社の赤字=本社の赤字=日本政府の赤字"のような奇妙な等式が頭の中に浮かんだのかもしれません。このような混同をするようでは、家庭の主婦感覚とあまり変わりありません。

無論、家庭の主婦は、家計を守るために節約などの努力をすべきであり、それはそれで良いことなのですが、だからといって、国の経済を家計のようにみるようなことでは正しい認識はできません。メディアもこんな頓珍漢な報道をするくらいですから、日本の経済を家計のように認識しているのではないでしょうか。

だとしたら、滑稽です。なぜなら、企業の小会社と政府の小会社でもある日銀との間には、とてつもない大違いがあるからです。その決定的な違いとは、一般企業の小会社はお金を刷って発行できないのですが、日銀は発行できます。

だからこそ、負債が日本銀行券、日銀当座預金などの無利子負債になるのです。このようなことを理解できなければ、統合政府の連結決算などといっても理解が覚束ないでしょう。


とにかく、日本の新聞などのメデイアの連中がこれを理解できずに、頓珍漢な報道をするのですから、本当に困ったものです。

このような有様ですから、統合政府ベースでは、すでに今年中に政府の借金はなくなり、来年からは、借金はマイナスすなわち、政府は貸付があるだけで、借金はなくなるなどということを資料や、計算過程を示して提示したとしても、一般にはなかなか理解されないのも無理もないのかもしれません。

来年以降は、マスコミや多くの政治家などは無理にしても、多くの国民にこれを理解していただいて、日本の将来への道の選択を誤らないようにしていきたいものです。

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2016年12月2日金曜日

つるの剛士さん「保育園落ちた日本死ね、が流行語大賞なんて…」―【私の論評】日本社会は発狂してしまったのか?

つるの剛士さん「保育園落ちた日本死ね、が流行語大賞なんて…」


 タレントのつるの剛士さん(41)が自身のツイッター上で、「保育園落ちた日本死ね」の流行語大賞トップテン入りに「とても悲しい気持ちになった」と投稿し、議論になっている。

 つるのさんは2日、「『保育園落ちた日本死ね』が流行語。。しかもこんな汚い言葉に国会議員が満面の笑みで登壇、授与って。なんだか日本人としても親としても僕はとても悲しい気持ちになりました。きっともっと選ばれるべき言葉や、神ってる流行あったよね。。皆さんは如何ですか?」(原文のまま)とツイートした。

 1日に「2016ユーキャン新語・流行語大賞」が発表となり、トップテンに「日本死ね」が入っていた。都内で開かれた授賞式には、国会でこの問題を追及した民進党の山尾志桜里衆院議員(42)が満面の笑みで登場。表彰され「年の締めにもう1度スポットライトが当たり、うれしい」と喜んだ。

授賞式に満面の笑みで登壇した民進党の山尾志桜里衆院議員(42)

 「日本死ね」は匿名のブロガーが保育園の抽せんに落ちた怒りをつづったもので、一部のメディアが大きく取り上げて反響を呼んだ。

 選考理由は「このフレーズが先導するようにして大きな社会問題を現出させた」(選考委員会)というもの。

 つるのさんの投稿に対し、「私も全く同じ」などと同感する意見が多数寄せられ、一部、「この言葉のおかげで待機児童の問題に政府が本気で取り組んだ」として、「日本死ね」の騒動を肯定的に評価する声もあったが、「民主党(当時)政権より改善されてますよ」「以前から政府は取り組んでました」などと百家争鳴の議論になっている。

 つるのさんは「保育園落ちた…」のつぶやきの直後に、「皆さん朝からイヤな気分にさせてごめんなさい!今日の素晴らしい神ってる富士山です。皆さんもお勤めいってらっしゃい!」と、富士山の写真とともに投稿した。

【私の論評】日本社会は発狂してしまったのか?

つるの剛士氏
私は、つるの剛士氏のような反応を示すのが、当たり前の反応だと思います。国会で「日本死ね」などという言葉自体が、どのような形であれ、使われしまったということには、今でも憤りを覚えています。

このブログでも、これについては掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
山尾氏、今度は衆院選直前に不可解な「500万円の移動」 週刊新潮報道 ―【私の論評】献金問題と同じく匿名ブログに基づく議論も指弾されるべきだ(゚д゚)!

この記事は、今年4月14日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では掲載した当時は、山尾議員の政治資金問題が主に問題とされ、「日本死ね」などという言葉を国会で使ったこと自体については、あまり問題にされなくなっていたので、こちらのほうも大問題であることを主張しました。

以下のこの記事の結論部分を掲載します。
私自身は、ブログでもtwitterでもすべて実名を公開しています。ブログやSNSを始めるときに、知人などは、匿名にすべきなどと言った人も何人かいたので、少しの間匿名にしていたこともありましたが、やはりその後実名にしました。

これは、匿名のブログやツイートで、自分の意見などを述べるのはやはり、無責任であると思われたからです。無論、これは他の人もそうすべきということではありませんが、いずれにしても、匿名のものでは信ぴょう性は格段落ちることは間違いありません。

私自身も、匿名のSNSやブログ・サイトの場合、何か興味を惹かれるようなことが書かれてあったとしても、SNSなら自分で確かめられる範囲で、正しいと判断できるものは、リツイートくらいはすることもありますが、それを引用して、解説するということはありません。ブログ・サイトに関しては匿名のものは引用しません。あくまで、出処が明らかなものしか引用して、それを解説したり論評するようなこともしたことがありません。

それが本来まともなことであり、国会で匿名のブログをもとに、審議をするなどということは、考え及びもつかないことです。匿名のブログなど何の責任も伴わないものですから、そこに書かれていることなど、信ぴょう性も何もありません。疑問に思っても、書いた人間に質問することすらできません。そのようなものを元に、公の場で議論などすべきではありません。まともな会社の取締役会で、匿名のブログなどに基づいて議論をすすめる役員がいたら、愚か者と言われることでしょう。

これは、ネット社会における最低限のエチケット(ネチケット)であると思います。そのようなことを、認識できない山尾志桜里氏が、検事であったという事自体も信じられません。検事なら、何事に関しても、物的な証拠などを重視するのが普通だと思います。それに、マスコミが献金問題と同じようにその点を追求しないのも本当に奇異なことです。

このようなネチケットが守れない国会議員が何の指弾も受けない、それを褒めそやす党代表が存在したり、それを批判もしないメディが存在するということ自体が、現代の陰湿なネットいじめなどを助長していると思います。
ネットいじめの温床は何か?
匿名のブログはエビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)ではありません。新聞の報道はエビデンスであることが求められます。だから、まともな新聞記者は、情報の出処を裏取りして、正しい情報に基づいて報道します。国会での審議であれば、当然新聞社などより、さらこの点において厳格であらねばならないはずです。

このようなことがなおざりにされても、何の問題にもならない社会は病んでいるとしか言いようがありません。これでは、ますますネットいじめなどをさらに助長するだけです。

山尾氏を政調会長に抜擢する民進党はもう、最初からダメ政党であることを暴露してしまったようです。

本来ならば、献金問題と同じく、匿名ブログに基づく議論も指弾されてしかるべきです。現代では、政治もメディアもどこか、狂っているとしか思えません。
この「日本死ね」があろうことか、国会の審議で用いられただけに及ばず、 流行語大賞に選ばれ、その授賞式に山尾志桜里議員がいそいそとでかけて、満面の笑みで受賞するなど、正気の沙汰ではありません。

山尾志桜里は、知らないようですが、「死ね」という言葉は、小学校などでも表立って使えるような言葉ではありません。以下にある小学校でのポスターの写真を掲載します。


「死ね」「うざい」「きもい」は言ってはならない言葉なのです。そのうちの一つの「死ね」が国会の審議でどのような形であれ使われ、さらに流行語大賞になるという今の日本の社会の風潮は、完璧に狂っています。

国会でも、与党を批判したり追求したりするのに、どんな文脈であっても、「死ね」などという言葉を使っても構わない、などということは本来は、絶対にあってはならないはずです。

現代は、ポリティカル・コレクトネス(political correctness、PC)という概念が広まりつつあります。これは、、言葉の使い方に偏見や差別が含まれていないことを指す言葉という意味です。たとえば、カメラマンと言ってはいけないので「カメラパーソン」と言い換えるなどのことが言われおり、これは行き過ぎではないかと思うこともあります。

しかし、「死ね」という言葉はPC以前に、どんな文脈においてでも、みだり使ってはいけないはずです。「死ね」とは、かの「在特会(在日特権を許さない市民の会)」のヘイトスピーチ(憎悪表現)と、変わらないものです。しかし、この言葉が流行語大賞に選ばれるなど、あまりにも極端なダブルスタンダードであるとしか言いようがありません。

このようなことを許しておけば、社会のタガが緩みとんでもないことになってしまいます。本日も以下のような記事を見かけました。
「菌」発言の担任、児童に直接謝罪へ 校長が意向示す
 新潟市の小学4年の男子児童が担任の男性教諭から名前に「菌」をつけて呼ばれ、学校を休んでいる問題で、この小学校の校長は2日、朝日新聞の取材に対し、担任教諭が児童や保護者に直接謝罪する場を設けたいという意向を示した。

 校長は、同じ学年の保護者に対する説明会や、全校児童を対象にしたいじめに関するアンケートの実施なども検討しているという。 
 児童は東京電力福島第一原発事故の影響で福島県から5年前に避難し、新潟市で暮らしている。保護者によると、小学3年の時から一部の同級生に「菌」と呼ばれたり、仲間外れにされたりしていた。今年の夏休み以降、物を捨てられるなどエスカレートし、児童は11月17日に担任に相談。その5日後、早朝に福島県で地震が起きた22日の昼休みに、ほかの児童がいる前で「菌」をつけて呼ばれたという。児童は祝日をはさんだ24日から学校を休んでいる。
このような馬鹿な教師が発生する背景には、国会でも「死ね」という言葉が審議過程で平気で持ちられたり、流行語大賞になってしまうなどのことがあるのは間違いないことだと思います。

国会での審議など、多くの国民の規範にもなるべきものと思います。そんなところで、平気で「死ね」などという言葉を審議過程で用いられ、あまつさえ流行語大賞になってしまえば、小学校などでも、「死ね」「殺す」が当たり前になってしまうのではないでしょうか。

そうして、「死ね」「殺す」よりはまだましであると思われるような、「菌」などという言葉、何のてらいもなく大声で話される言葉になってしまいかねません。

国会議員、マスコミなどが、どんな文脈であれ、このような言葉を平気で使う日本社会は狂っているとしか思えません。

「死ね」などという言葉横行する組織は、学校であれ企業であれ、「いじめ」が横行しかねない
国会議員や、マスコミなどが駄目なら、少なくとも私たちの日々過ごす組織の中では、こういうことは禁忌とすべきと思います。というより、国会議員やマスコミが狂っていても、日本の多くの組織の中では、このようなことは元々禁忌となっていると思います。だから、国会議員やマスコミが狂っていても、日本の社会は安定しているのです。

組織の中では、禁忌とされることをしでかしてしまったものは、たとえ一見それが正しいことのために行われたようにみえても、いずれ懲罰を受けます。いつまでたっても、出世しないとか、給料が上がらないとか、禁忌を破った直後か、そうではなくとも、何年かたったあと左遷されたり、減給されたり、降格されたりします。そのとき、はじめて禁忌を破ったことの重大性に気づく愚か者も存在します。最近では、気づかいない人もいるです。しかし、これは組織の秩序を保つため当然のことです。

国会議員やマスコミなども、今のままでは、さらに増長しとんでもないことになってしまいかねません。山尾志桜里のような議員には、選挙では票を入れないことです。マスコミは新聞・テレビなどの購読や視聴をやめることです。

とにかく、この狂った社会風潮は何十年かけてでも、是正すべきです。

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2016年12月1日木曜日

農協改革でまさかの大炎上進次郎部会長の2つの誤算―【私の論評】経済落第生の自民党若手は今のままでは将来の総理大臣など目指せない(゚д゚)!

農協改革でまさかの大炎上進次郎部会長の2つの誤算

TPP推進論者だったが・・・・

「負けて勝つかな」

 11月25日、自民党の農協改革案が了承されたのを受け、小泉進次郎党農林部会長(35)は疲れた表情で記者団にこう語った。

「自民党は2014年に農協に5年以内の自己改革を求める方針を打ち出していましたが、今年の11月11日になって政府の規制改革推進会議が一部組織の縮小を『1年以内』と求め、実現しなければ国が『第二全農』を設立するといった急進的な改革を迫ったのです」(農政担当記者)

 抜本改革に前のめりだった進次郎氏さえも「非常に高いボール」と漏らしたこの案。官邸と党の間で板挟みとなって調整に奔走したが、結局、農林族も許容する規定路線に近い内容に戻った。ライターの常井健一氏が敗因を語る。

「『長老と世論』を味方につける進次郎流の突破術が、ことごとく裏目に出た」

 進次郎氏の目論みは、JAの分断にあった。改革派と組んで、守旧派をぶっ壊す。進次郎氏は部会長就任直後からJA全中の奥野長衛会長に猛アプローチ。参院選では奥野氏の地元・三重県度会町を演説会場に選び、選挙カーの上で揃い踏みまでして見せた。

「単独取材を嫌う進次郎氏が、『文藝春秋』11月号では奥野氏と対談し、自ら蜜月ぶりを演出しました」(同前)

 だが、あまりに高圧的な規制改革推進会議の案に、JA関係者は激怒。昔ながらの抗議集会に否定的だった奥野氏も周囲の突き上げに態度を変えざるをえず、地域農協の幹部ら1500人を都内に集めて政府改革案に抗議した。

「JA内には奥野会長が弱腰だとの批判も出ている。進次郎氏の勝算が誤算に変わった形です」(同前)

 もう一つの誤算が、進次郎氏の“発信力”だ。議論大詰めの10月から11月に集中的に講演を入れ、報道陣のいる場で“抵抗勢力”を挑発した。

「実力者のところに行って『なんとかしてください』と泣きつく。しかも連日。こういった動きが逐一耳に入っていることを、やっている側は気づかない」(10月28日)

 慎重派を「悪者」に仕立て、農林族の敵意を増幅させた挙句が今回の結果だった。自民党のベテラン秘書はこう嘆く。

「彼も認めたように『雑巾がけ』の役職なんだから目立たないところで汗をかいて、咬ませ犬になりきって同情を呼び、見えないところで協力者と手を握るんだ」

 初当選から7年。進次郎氏は正念場を迎えている。

【私の論評】経済落第生の自民党若手は今のままでは将来の総理大臣など目指せない(゚д゚)!

小泉進次郎氏についは、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
総裁任期「3期9年」に延長=26日に全体会合へ提示―自民―【私の論評】財務省とわたりあえる人材が出てくるまでは安倍総裁とすべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部分を以下に引用します。
現在の民進党の議員のほとんどは、増税推進派で、経済や財政について語るときは、まるで財務省のスポークスマンのようです。民主党政権だったときの、民主党は上記の事実でもわかるように、財務省の使い捨て政党です。その性質は昔から変わらず、現在もそうであり、将来も継承続けていくことでしょう。

一方自民党はどうかというと、これも民進党と同じように、財務省の影響下にあったのは間違いないです。というより、自民党でも安倍総理が、衆院を解散してまで、財務省に反旗を翻して増税を阻止して、真正面からわたりあった最初の総裁ということになります。

自民党も民進党の財務省の使い捨て政党というところまではいかないものの、同じように財務省の影響下にあって、財務省にはなかなか正面切って逆らえなかったというのが実体です。

ただし、今の自民党は、安倍総理と一部の安倍総理に近いブレーンが財務省と渡り合っているだけであって、他の自民党議員はなかなか財務省に諜略されているか、諜略されないまでも正面切って逆らえないというのが実体です。

例えばかって小泉純一郎元首相は在任時に「景気が回復すると構造改革ができなくなる」と明言していました。これは、平たくいうと、構造改革をするためには、金融緩和や積極財政はしてはならないということです。これでは、まるで財務省のスポークスマンのようです。

実際に8%増税は、大失敗だったことは統計数値をみれば明らかなのに、民進党は先ほど述べたように、ほとんどが増税狂です。

しかし、自民党でも安倍総理とこれに近いブレーンは別として、ほとんどの議員は金融政策の意味や、財政政策の正しい運用の仕方を理解してないか、理解していたとしても、財務省に正面切って逆らえないでいるようです。

ちなみに自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち、たとえば、稲田朋美防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑的であったり批判的であることが明瞭です。

稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしていましたが、そもそも消費増税を経済が低迷しているときになぜ増税にそこまでこだわるのか、その背景についての説明は全くありませんでした。最初から消費引き上げ自体を目的とした発言としか思えません。
そうして、小泉議員はより深刻です。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのでしょうか、とにかく社会保障の見直しなどで、倹約という視点しかありません。景気循環的な発想が全くありません。増税延期が決まった直後の、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。 そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言にはほんとうに驚いてしまいました。これでは、まるで財務省のスポークスマンであり、経済・財政などに関しては、民主党議員とほとんど変わりありません。

小泉議員の経済に関する、知見もこの程度のものです。消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのですが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり皆無です。

それに、現状では以前もこのブログに掲載したように、財政再建は終了間際です。間際というか、もうすでに終了したか、終了は間近です。その記事のリンクを以下に掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
 

統合政府(日銀なども含めた政府全体)ベースでの日本国の貸借対照表ベースでは、政府債務残高は以下の様な状況です。これに関しては、その根拠もこの記事で説明しています。

2017年には、国の借金はなくなるどころか、借金がマイナスつまり、借金どころか、国以外に金を貸し付けている状態になるのです。これでは、増税をする根拠など全くないのです。


にもかかわらず、民進党の議員はもとより、自民党の小泉進次郎議員、稲田朋美大臣なども、財務省が垂れ流す国の借金1000兆円説に幻惑されて、それを真に受けているのです。

だからこそ増税延期が決まった直後に小泉議員は、「延期するけれども決まっていた(社会保障)充実策はやるというなら、こんなおいしい話はない。 そんなおいしい話に若い人たちはだまされない」と発言したのです。

こんな有様ですから、小泉議員をはじめ、自民党の多くの議員は経済では、安倍総理大臣の足を引っ張っているとしかいいようがありません。それでも、自民党の幹部連中は、安倍政権の支持率が高いので、本当は経済のことなど良くはわかっていないのですが、それでも安倍政権を盛り立てようということで、現状では一致しているのだと思います。

そうして、金融緩和による雇用状況の良さもあります。以下に最近の雇用情勢を示すグラフを掲載します。


総務省が29日発表した労働力調査によると、10月の完全失業率(季節調整値)は3.0%で、前月と同水準でした。完全失業者数は前月比5万人減の197万人と、1995年2月以来、21年8カ月ぶりに200万人を下回りました。同省は「雇用情勢が引き続き改善傾向で推移している」(労働力人口統計室)と判断しました。

完全失業者数は、男性が6万人減った半面、女性は1万人増えました。雇用者数(季節調整前)は前年同月比89万人増の5793万人と、比較可能な53年以降で最高でした。

厚生労働省が発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント上昇の1.40倍でした。91年8月以来、25年2カ月ぶりの高水準で、2カ月連続で改善しました。同省は「医療・福祉や宿泊・飲食サービスなどで人手不足感が強く、求人倍率を押し上げている側面がある」(雇用政策課)と分析しました。
求人倍率はハローワークに申し込んだ求職者1人当たりの求人数を示します。10月は、求人数が1.4%増加した一方で求職者数は0.3%減少しました。正社員の求人倍率は0.89倍と、2004年11月の集計開始以降で最高となりました。 

これに関しては、さすがに経済に疎い、民主党議員でも、それに負けず劣らず疎い自民党議員でも、雇用がかなり改善していることは認めざるをえないでしょう。

ただし、彼らの多くは、金融緩和政策が世界標準では雇用を改善する手段であるということを認識していないので、この状況を単に運が良かったとか、偶然運が良かったくらいにしか認識していないかもしれません。



この状況では、安倍総理は安心して次の世代に政権を譲ることはまだまだできません。だからこそ、総裁の任期を延長したのでしょう。安倍総理としては、この延長した期間の中で、次期総理大臣の器を持つ人を育てる腹なのでしょう。これが育たなければ、やめられないという思いなのでしょう。

日本経済は、雇用が改善したとはいえ、まだまだ改善の余地があります。雇用もまだ改善する余地があります。完全失業率は、3.0%ですが、最低でも2.7%、もしかすると2.5%までの水準にできる余地があります。そもそも、物価目標2%はまだ達成できていません。

これを成就するためには、さらなる量的追加金融緩和が必要です。しかしこんなことは、民進党の議員はほぼ全員、自民党の議員ですら大部分がそうは思ってないのだと思います。


そうして、本来は増税はおろか、減税なども視野に入れた機動的財政政策も本来実行すべきなのです。今の日本経済は、8%増税により、個人消費が抑制され、デフレに舞い戻りかねない状況です。このようなこと、本来国会議員全員が認識してなければならないことです。

しかし、そうではないというのが本当に残念なことです。

小泉進次郎議員について、ブログ冒頭の記事では、「進次郎氏は正念場を迎えている」としていますが、無論現在の農政の仕事でもうまくいかなければ、将来の総理大臣の道は閉ざされることにもなるかもしれないのですが、現状のように財務省の使い捨て議員のような状況では、さらに将来の総理大臣の道が遠のくと思います。

とにかく、現在の自民党議員、マクロ経済を学んで、財務省と対峙できる人材が一人でも多く育たない限りは、安倍総理は後進に道を譲ることもできないし、日本の将来も危ぶまれます。

そうして、進次郎議員のような若手議員も、あたかも大きな政治集団であるかのように振る舞う財務省の存在こそが、日本の大きな政治問題であることを認識しなければ、将来の総理大臣候補になることはできないでしょうし、そうさせるべきでもありません。

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