2017年11月6日月曜日

トランプのアジア歴訪は、北朝鮮への「最後通牒」だと判断すべき理由―【私の論評】日本は北に先制攻撃を行う権利を有する(゚д゚)!

トランプのアジア歴訪は、北朝鮮への「最後通牒」だと判断すべき理由

現実を直視しなければならない

夕食会にのぞむトランプ大統領夫妻と、安倍首相夫妻


現実を直視するならば


いよいよ「北朝鮮攻撃」へのカウントダウンが始まった。今回のトランプ大統領のアジア歴訪は、北朝鮮にとって最後の猶予である。

本コラムにこれまで書いてきたように、筆者は北朝鮮が無条件に核ミサイルの開発を中止でもしない限り、近いうちにアメリカ(または国連軍か有志連合軍)を中心に北朝鮮への武力行使が始まる、と見立てている。

筆者もできれば戦争などは起きてもらいたくないし、まして日本から極めて近い朝鮮半島での戦争は真っ平だ。

しかし、それでも現実を直視しなければならない。筆者が「カウントダウンが始まった」と考える理由は単純だ。北朝鮮に対する国連安保理の制裁がすでに9回を数え、もう限界まできている、と言わざるをえないからだ。

最後の9回目の制裁が行われたのは9月11日。北朝鮮による6回目の核実験強行を受け、安保理が新たな制裁決議案を採択したものだ。常任理事国の中では北朝鮮寄りである中国もロシアも拒否権を発動せず、全会一致の決議だった。

現実的にはあと1回しか制裁のレベルを上げる余地は残されていない。北朝鮮が核開発をやめなければ、次に待っているのは、国連軍か多国籍軍による攻撃しかないのだ。

トランプ大統領のアジア歴訪は、極東アジアの安全保障から考えると極めて画期的である。その中身はおそらく、「北朝鮮が非核化に合意しない限り、軍事行動する」という考えを伝えるためのものだろう。

ここで、さらに北朝鮮に時間を与えるという選択肢はないだろう。これまで猶予を与え続けてきた結果、北朝鮮は国際社会を欺いてきたからだ。

軍事的には、北朝鮮による核ミサイルが実戦配備ギリギリのタイミングであるので、そうなる前、近い将来に武力行使した方が、しない場合よりもリスクが少なくなる。

そうであれば、武力行使を躊躇する理由はない。対北朝鮮カウントダウンが既に進行中であり、チェックメイトまでもうクビの皮一枚という状態になっているのだ。こう考えるのが国際政治の常識で、各国の指導者もまともならば、同じことを考えているはずだ。


もちろん、最後の最後まで武力行使回避の話し合いは水面下で行われるべきだし、実際にも行われているはずだ。そもそも、国連の対北朝鮮への経済制裁とは、意図的に抜け穴を作り最後通牒にならない形で圧力をかけ、その間に交渉し、武力行使に至らないようにする仕組みだ。

制裁は交渉のための圧力手段であるので、抜け穴があるのが当たり前だ(もっとも、これまで類似の制裁措置で北朝鮮に十分な時間を与えてきたが、北朝鮮はそれを無視してきたのも事実だ)。

国連が最後の経済制裁という圧力をかけ、実際に武力行使のカウントダウンが始まれば、北朝鮮が全面的に屈服する可能性もある。その際は、金書記長の亡命などが行われる可能性も残されている。この場合には、武力行使はなくなり、北朝鮮の非核化・金体制の崩壊になって、極東アジアには安定がもたらされるだろう。

逆に言えば、北朝鮮の全面的な屈服なしでは、国連の経済制裁、その後のカウントダウン、その後の国連軍(多国籍軍)による武力行使という確率が高いというのが現状である。

アメリカの本音は「一国でも攻撃できるが、しかし、国際的な正統性を得るためには国連決議を経るのががベスト」というものであろう。常任理事国の賛成を得て、北朝鮮を征伐すれば誰も文句を言えない。

これは表向きの戦略であるが、欠点もある。

国連抜きの手順も…?


一つには時間がかかりすぎ、軍事的にベストなタイミングで武力行使できない。いくら米朝で軍事格差があり米軍が圧倒的に優位であるとはいえ、被害を極小化したいアメリカには不満があるだろう。

もう一つは、国連の手続きは、北朝鮮にも筒抜けであり、北朝鮮に先制攻撃のチャンスを与えてしまうということだ。北朝鮮は国連加盟国であり、これまで国連内に独自の情報網を築いてきた。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長時代に、北朝鮮の国連職員を多く採用したという話もある。これは軍事面から見れば手痛い点だ。

こうしたことから、アメリカは表向き国連を中心に物事を進めているようにみえても、裏では国連抜きの手順も進めているはずだ。

このような対北朝鮮への武力行使では、残念ながら日本の出番はほとんどない。実際には、このアメリカの行動について、米中ロとともに行動するしかない。これはリアルな軍事力を持っていない日本の宿命である。

ただし、経済面での貢献はできる。トランプ大統領のアジア歴訪は、日本の後に韓国、中国、そしてAPECという順序だ。APECでは、ロシアとも接触するであろう。そこでは米中ロの超大国が、北朝鮮問題を話しあう機会もあるかもしれない。

それは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきである。そこまでくると、北朝鮮への武力行使の後、どのように北朝鮮の統治をするのか、北朝鮮をどこ管理下にするかも話し合われるはずだ。

もちろん、日米首脳会談でも、そうした「ポスト北朝鮮問題」は話し合われるはずだ。もっとも、対外的にはそうした機微に触れる話は公表されることはない。無難に、経済問題が表に出されるのだろう。しかしその経済問題でこそ、日本の貢献が問われる。

さて、経済政策は話し合われたのか


今回のトランプ大統領の訪日では、安全保障問題で、日米の同盟関係の強固さを対外的に印象付けるのが目的であるので、経済面については日米で議論しないかもしれない。それならそれでいいが、トランプ大統領の顔を立てる必要があるのならば、アメリカが日米FTAを持ちだしたときには、それに応じてもいいし、心配なら日米韓FTAをやろうと応じてもいい。

北朝鮮や中国に対抗する概念は「自由」である。その最たるもののひとつが「自由貿易」になる。トランプ大統領は「保護主義的」と報道されているが、実は本質はビジネスマンであるので、TPPのような多国間自由貿易は否定していない。多国間、という点に不満があり、多国間となればアメリカの力が見せられないので不満という意味で、TPPを否定したのだ。

筆者は、アメリカ大使館の人とも話しているが、彼らは日米FTAを望んでいる。筆者は、日米FTAでもTPPを交渉スタートとすれば日本の国益は確保できると思うが、それでも心配なら韓国も加えて、日米韓FTAでもいいと思っている。

中国経済圏に対抗するためにも…


自由貿易園の裏側には、しばしば軍事同盟があるので、この際、北朝鮮、さらには中国とロシアへの経済的な圧力という意味もこめて、日米韓FTAはいいアイディアだろう。これは米韓FTAの後押しにもなるので、米国にとって悪い交渉ではない。

これで日米韓が結束すれば、軍事的もいいし、なにより、アメリカが中国を訪問する時に、中国を貿易問題で締め上げることができる。そうなれば、北朝鮮へ対する中国の圧力も引き出しやすくなるだろう。


この表は、今年9月までのアメリカの貿易赤字において各国が占める割合であるが、圧倒的に中国の問題であることがわかる。日本に対する貿易赤字は、中国、EU、メキシコの次いで4位でしかない。

日米韓FTAは、長期的に見ても、中国の覇権に対抗できるし、さらに、将来的にオーストラリアやさらにはインドまで視野に広げて考えることもできる。

さてその中国だが、習政権が2期目に突入した。どのように習政権と対峙すべきかは、アジア諸国の重要課題だ。先日の中国共産党大会で、党の最高規則「党規約」の改正や最高指導部メンバーなど重要事項を決めた。「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を行動指針として明記することになった。「習近平思想」という簡潔な文言ではなかったものの、「習近平」という名前が入ったことで、「毛沢東」と並ぶ権威となったとみるべきだろう。

中国は共産党一党独裁であり、共産党規約は憲法の上位になっている「最高規範」である。そこに、個人思想をいれるとは驚くばかりだ。そのうち、中国へ進出している外国企業の定款に習思想を取りいれろという指導が出てきてもおかしくない。今の日本の憲法議論で、既在の自衛隊の法的位置づけを憲法に盛り込むというのとまったく次元の違う話であることがわかるだろう。

しかも、習近平氏の次の指導者は、今回の高指導部メンバーではみえなかった。つまり、習近平氏の独裁による共産党独裁が当面続くのだ。

こうしたことをやる独裁的国家に対して、日本を含めアジア諸国はどのように対峙すべきか。政治的な独裁は、自由で分権を基調とする資本主義経済とは長期的には相容れないのは、ノーベル経済学賞学者であるフリードマンが50年以上も前に喝破している。

ところが、ここ10年スパンで見れば、中国は経済成長している。もっとも筆者は、脱工業化に達する前に中国は消費経済に移行してしまったため、一人あたりの所得が低いうちには高い成長率になるものの、先進国の壁を越えられない、よく見られる開発経済の典型例に陥るだろうとにらんでいる。それが正しければ、次の10年スパンで成長が行き詰まる可能性が高い。

実は中国もこの点を認識しているようであり、中国国外に活路を見いだしている。それが、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を梃子とする「一帯一路」構想だ。これは、中国指導による経済圏を中国国外に広めようとするものだ。この経済圏は、先進国の自由貿易圏とは違ったルールに基づくもので、日本を含む自由主義国にとっては国益にならない。

そこで、これに対抗するためには、AIIBとは別機軸の自由貿易圏が必要になってくる。自由貿易圏と中国指導貿易圏では、自由主義と規制主義でどちらかが経済パフォーマンスがいいのか。自由主義には欠陥はあるが、それを補正すれば長期的には優れている。ちょうど、資本主義体制と社会主義体制の間の体制間競争では、欠陥はあるが長期的な経済パフォーマンスは資本主義が優れていたのと同じである。

その自由貿易圏の核となるために、日米韓FTAが大きな貢献をする。このトランプ大統領訪日のタイミングで、こうしたことが話し合われたかどうかは、実に興味深いテーマだ。

【私の論評】日本は北に先制攻撃を行う権利を有する(゚д゚)!

4月のトランプ、習近平会談
トランプ大統領が習近平国家主席と4月に首脳会談を行ったことは記憶にまだ新しいです。当時は日本国内でも、「北朝鮮はすぐに核実験をするはずだ」と考えられていました。
この会談の席で、トランプ大統領は習近平に対して「もし北朝鮮が核実験をして、それでも中国が普段通りにビジネスを行うのであれば、アメリカは中国からの輸入に規制をかける」と述べていました。

このトランプの要求を受け入れた習近平は、すぐに北朝鮮に連絡をとって核実験の停止を求めており、それに従わなかった場合には中国からの北朝鮮への輸出を制限すると脅しています。

このメッセージは聞き入れられて、北朝鮮は核実験を止め、平壌の中で噂が広がって人々はガソリンスタンドに群がりました。

しかも中国政府は、北朝鮮からの輸入も止めています。ただし海産物の輸入は続いていたようで、中国国内の北朝鮮政府経営のレストランは相変わらず営業していたとされています。石炭に関しては中国が輸入をやめたので、価格が低下し、北朝鮮の人々が安く手に入れられるようになり、喜んでいることは以前このブログに掲載しました。

ただしこれがミサイル発射実験への対抗措置であったのかは不明です。

ところが北朝鮮の核実験が停止、つまり北からの声明はなかったのですが、目に見える行動がなくなった次に起こったのは、米・中・日が逆に弾道ミサイルの実験の方に関心を寄せはじめた、ということです。

7月28日の北朝鮮のミサイル発射実験に対して、国連安全保障理事会は全会一致で決議案2371号を可決しましたが、これははじめて核実験を行った2006年から6度目の制裁決議であり、その中でも最も厳しいものでした。

弾道ミサイル「火星12」の発射訓練を視察する金正恩朝鮮労働党委員長
それは北朝鮮から石炭、鉄鉱石、銅、そして海産物という、彼らが物的に輸出できる商品のすべて(衣類を除く)を禁止するものであり、労働者のさらなる受け入れも禁止(といっても現在の雇用は今後も継続)するものでした。

しかもこの時の安全保障理事会のメンバーは、5カ国の常任理事国だけでなく、「過激」なボリビア、北と伝統的に友好国であるエジプト、そして長期的に外交関係を持っているスウェーデンなどが含まれていました。

11日、ニューヨークで開かれた国連安全保障理事会で、北朝鮮制裁決議案を採択
そういう意味で、この国連の安保理決議はアメリカにとって外交的な大勝利であり、アメリカが長年中国から得ようとしていた「大きな譲歩」でした。

それほど重要ではないミサイル発射実験に対応したおかげで、中国は北朝鮮の核実験を止めるための外交的なレバレッジを使い切ってしまいました。そしてまずいことに、北はすでに核実験を再開しています。

外交カードがなくなれば、残りの手段は軍事行動しかなくなります。

ところがそれよりも最悪のシナリオは、北朝鮮を核保有国として認め、金正恩が思いついた時に、いつでも韓国と日本を脅せるようになることを受け入れることです。

さらに、北朝鮮はイランに対して行ったように、核兵器や弾道ミサイルの部品などをいつでも海外の国々に売却できるようになります。

これはいわゆる「降伏」の一つの形態です。われわれは核武装して周辺国を脅すことのできる北朝鮮を受け入れて、その脅威の下で生き延びるしかなくなります。

文在寅韓国大統領とトランプ米大統領
ところが、アメリカの統合参謀本部も、在韓米軍も、太平洋軍司令部も、軍事的なオプションを何も提示しておらず、目の前の問題とは関係のない「韓国を守る」ことしか宣言していません。

もちろんこれは、ソウル周辺が北朝鮮の(非核)ロケットや砲撃に弱いからです。この事実は韓国を麻痺させているわけなのですが、同時に米軍の指揮系統にもそれ以上の非合理的な問題をおこしています。

これに関して、以下のような三つの事実を列挙しておきます。
1.韓国政府は、1975年から78年の危機の後も、政府機能や企業のソウル以外への分散化について何も行動を起こしていない。 
2.韓国政府は、攻撃にさらされる危険が高い地域があるにもかかわらず、そこに対する防御策を講じていない。 
3.韓国政府は、技術的にも可能であった対空兵器等の購入を拒否している。
ここで指摘しておくべきなのは、北朝鮮の核施設を、イラクとシリアの施設に対して行われたように攻撃するというのであれば、そのチャンスははるか以前に過ぎさってしまっているという点です。

ただし北朝鮮は、今日においても空からの攻撃に対抗できるような、統合された防空網を持っていません。レーダーは40年以上前のものであり、それをつぶすのは簡単です。

また、北朝鮮は即時発射式の核弾頭搭載型ミサイルを持っているわけではありません。しかも核弾頭を飛行機で運搬できるわけでもないのです。

当然ながら、既知の、もしくはその疑いのある核施設に対する空からの攻撃は、拡大的な被害や核物質による汚染を引き起こすはずです。

それに対抗して、やはり北朝鮮は韓国の脆弱な地域に対して多くのロケットを発射するでしょう。

ところが「軍事行動を起こさない」ということは「何も行動しない」ということを意味します。外交的な手段は尽きてしまっているからです。


そのような中で、トランプ大統領の北朝鮮に対する政策には大きな問題があります。なぜなら、その軍事アドバイザーたちは、ほとんどがアラブやアフガニスタンのように、ろくに反撃できない相手と戦っていた経験を持つ人々だからです。

ところが北朝鮮は対抗手段をもっています。そうなると戦略のパラドックス、つまり攻撃をしかける側とそれに対抗する側との作用と反作用が起こるため、戦略の計算が非常に困難になってしまうのです。

トランプ政権の軍事アドバイザーたちは、果たしてこのようなダイナミックな関係性を考慮した上で、軍事的なオプションを本気で考えられるのでしょうか。

マティス米国防長官は9月18日、核・ミサイル開発で挑発を続ける北朝鮮への対応について、「多くの軍事的選択肢がある」と語りました。「選択肢」には、北朝鮮による報復攻撃で韓国の首都ソウルが危険にさらされない方法も含まれていることを強調しました。しかし、これは本当なのでしょうか。実際にそれは可能なのでしょうか。

もちろん彼らの考える軍事オプションはいくつも存在しますが、それらには一つの条件があります。

それは、韓国が何十年間にもわたる自分たちの無責任な態度に大きな代償を支払うことを、本当に受け入れられるかどうかです。

ところが現在の彼らのオプションは、ただ単に「金正恩に得をさせる」というものなのです。北朝鮮をめぐる情勢は、今後もしばらくは予断を許さないままでしょう。

無論、米国は近日中に軍事的行動を起こす可能性は高いですが、かといってどれほどの覚悟で実行するかは別問題です。軍事的行動を起こすとはいっても、様々なオプションがあります。たとえ、米国が軍事攻撃をしたとして、金正恩が失脚したり、亡命したとしても、北朝鮮の体制は温存される可能性もあります。

韓国ははなからあてになりませんが、米国が覚悟を決めて、北朝鮮に米軍や多国籍軍を進駐させ、50年以上にわたり、この地を監視して民主的な体制を築く覚悟がなければ、この地域は次の戦争の弾薬庫となる可能性もあります。いずれ核実験や、ミサイル発射実験をはじめるかもしれません。

護衛艦「いずも」は空母に改装できる
この予断を許さない中で、日本は何をすべきなのでしょうか。

日本に必要なのは核抑止力ではなく、役に立つ防衛力です。先制攻撃能力を持つことで抑止力が強まります。

たとえ1,000発の核兵器を持っていても実際にはなかなか使えないので、ナイフよりも無意味です。ナイフは簡単に使用できますが、核は強力すぎて使うに使えない兵器です。ただし、使えなくても保有することには一定の意味があることも確かではありますが、一足飛びに核に走るそれ以前にまずは先制攻撃能力が必要です。両方を持てば、完璧です。

北がすっかり欠いているものは、上にも述べたように防空体制です。北朝鮮のレーダーは40年以上前のものであり、それをつぶすのはいたって簡単です。なぜそうなっているかといえば、技術的な理由で、防空には莫大なカネがかかるからです。

自国民が脅威に晒されているとき、その直接の危険を除去するために先制攻撃を行う権利はあらゆる国家が持っています。日本政府がそうした意思を持つことは大きな意味があります。

そうして、日本はそれができます。日本政府は、すでに保有している航空機をそのまま使って、追加の兵装を購入するだけでそれが可能になります。核兵器を持ち、それを保守するためのような大きな予算は必要ありません。また、護衛艦「いずも」などを攻撃型空母に改装することも比較的簡単できます。

イスラエルの人々は、イラクの核開発の脅威に直面したとき、それを破壊しました。

日本ができるだけ早く行動しなければ、米国がたとえ北朝鮮に軍事攻撃を加えて、北朝鮮が一定の譲歩をしたとしても、核実験を継続し、膠着状態が続けば間違いなく2年後には核の脅しに屈する危機に直面すると断言できます。その前に、日本は先制攻撃能力を持つべきです。

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2017年11月5日日曜日

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス―【私の論評】今後5年以内に政界、銀行、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

AIでできる銀行の融資業務、仕事は奪われるが人口減の日本にはチャンス



説明を追加


 筆者は銀行の人員減というニュースを聞いても驚かない。というか、よくこれまでやってこられたと驚く。

 実は、筆者は旧大蔵省キャリア官僚としては珍しい経歴を持っている。金融検査官だ。検査官になるのは旧大蔵省キャリアの同期でも1人か2人しかいない。たまたま1990年代前半は銀行の不良債権問題が大変な時期だったので、あまり前例のなかった金融検査官を拝命し、同時に不良債権処理プログラムを企画立案した。

 そのためには実際に銀行の金融検査をしなければいけない。そこで、金融検査の現場をみっちり経験し、1日で100件以上の資産査定を行った。

 資産査定とは、銀行の支店の貸出をチェックするもので、ここで金融検査官に不良債権と指定されるかどうかは、銀行にとって死活問題になる。

 支店長や銀行幹部も必死になって不良債権を否定するが、筆者は財務諸表の数字と確率論で対抗した。

 多くの資産査定をやっているうちに、貸出先企業のバランスシートのどこに着目すれば、貸付金の健全度が示されるか、分かるようになった。要するに貸出先企業の財務状況の分析について、数量的に把握できたのだ。

 筆者のこの論法は新鮮だったようで、多くの銀行の人は面食らっていた。いくら情で訴えられても、データで不良債権、しかも、あと2年以内にどの程度のロスが出るかも予測できた。

 このときの経験から、融資業務をかなりの程度自動化、今の言葉でいえばAIにやらせることは可能だと思った。

 企業融資業務は、銀行の中では高度な業務だ。それすらAIでできるとなると、住宅ローンなどの定型融資も当然可能だ。預金や金融商品の販売はもっと容易にAIで代替できる。そうなると、人の塊であった銀行の支店には、ほとんど人が不要になると思ったのだ。

 銀行の本部でも、資産運用などは、下手に人間がやるよりは、ある条件になったら自動的に売買して、損益が一定以上になったらやめるというシステムの方がましだろう。

 筆者は、中央銀行の金融政策ですらAIで可能と思っているほどの論者である。

 よく銀行は、資産運用だけではなく、相続の相談にも乗るというが、税法なら、今や無料で正確なソフトもある。要するに、ほとんどの銀行業務は人がやる必要のないものだということもできる。

 銀行以外でも、単純・定型的な業務はどんどんAIに代わるだろう。ただし、日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきだ。AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけばいいと楽観的に考えよう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】今後5年以内に銀行、政界、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れる(゚д゚)!

私は、「日本は人口減少なのだからこれをチャンスとすべきであり、AIにはできない、人らしい仕事を少ない人でやっていけば良い」という高橋洋一氏の意見には大賛成です。

ただし、AIに実施させる仕事も、少数ながらそれを実施できる人は温存して、実行できるようにすべきであるとは思っています。なぜなら、仕事の改善自体は人しかできないからです。全くAIに任せきりということは、考えられないからです。

それにマネジメントの主体は無論人間です。また、真のイノベーションとは、組織の内部ではなく、組織の外の社会(人間によって構成され)を変えるものだからです。

いくらAIにより、銀行の業務などを実行するようになったからとはいえ、そのことにより組織の外の社会が変わる、具体的には、たとえば、融資を受けるべき企業が融資を受けられるようになり、実際にそれらの企業が融資したことにより、成長し繁栄するようにならなければなりません。

だから、AIが融資業務を実施するにしても、やはり人が関わらなければまともな融資はできないでしょう。ただし、AIが融資の業務に関わることにより、より客観的で、正確な判断ができるということでは良いことであるのは間違いありません。

AIと人との共存は可能か?
ところで、2001年大蔵省がなくなるまでは、日本の銀行は金利から店舗数、預金高に至るまで大蔵省にコントロールされ、箸の上げ下ろし一つ自由にできませんでした。しかし、その代わりに互いに競争する必要もありませんでした。

その結果、新しいビジネスを創り出す必要に迫られなかった日本の銀行は、「土地専門の質屋」と呼ばれるような土地を担保に金を貸すだけのビジネスしかできなくなってしまいました。

不良債権の問題を解決する決断もできなかった日本の金融機関は、外国の金融機関のような差別化のための経営戦略もなく、優秀な人材を育てることもシステムに投資することもせず、結果的に、競争の激しいアメリカの金融業の労働生産性を大きく下回ることになりました。

こうした背景から、1999年に第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が事業統合で合意したのが引き金となり、2000年代初頭にかけて大手都市銀行どうしのグループ化、共同金融持株会社の設立が相次ぐこととなりました。

しかしその後日本経済は深刻なデフレに見舞われ、銀行はその対応に精一杯であり、日本の銀行に内在する諸問題はあまり解決されてきませんでした。

しかし、「三重銀行」と「第三銀行」の経営統合などにみられるように、最近銀行の再統合がまた、進む気配があります。最大の変化は、銀行の収益環境が厳しくなっていることです。銀行ビジネスの基本は、「預金を集めて、お金を必要としている企業や個人に貸し出す」ことです。


銀行は預金者に都合のよい、元本保証の預金商品を提供すると同時に、借り手の要望に応じて、預金商品よりも長い期間の資金も提供しています。

銀行の主な収益源は、預金金利と貸出金利の差(利ざや)です。通常の金利体系は、「期間が長いほど金利が高い」ので、銀行は、短期間の低い金利で預金を調達する一方で、期間の長い高い金利で貸出し、「長短金利差」によって利ざやを確保し、安定的な収益をあげてきました。

ところが長年続いた金融引締めの状況が銀行にとって当たり前になってしまった結果、現在の金融緩和で、長期の全ての期間で、金利が相対的にきわめて低くなり、金融引締めが続いた時代よりも利ざやの確保が困難になっているのです。

といより、従来からある銀行の遅れた体制が温存されている部分があり、現在のままでは体制を維持できなくなっているのです。おそらく、今後5年以内に銀行の再統合が進み、銀行の数は現在の1/5くらいになるものと考えられます。

銀行の歴史は「経営統合の歴史」といわれます。明治以降の銀行の歴史をみると、銀行どうしの経営統合は決して珍しい動きではありません。現在営業している銀行も、多くの銀行どうしが経営統合を繰り返しています。今後展開が予想される地方銀行の再編も、いわば「歴史の必然」ともいえるでしょう。

このような状況の中で、銀行の統合が進むだけではなく、AIに様々な業務を実行させるということが急速に進められていくものと考えられます。これが現在良く言われてる、AIも含めたIT技術を使った新たな金融サービス「FinTech(フィンテック)」というものです。


おそらく、今後5年以内に、現状の1/5に統合された銀行が、少ない人で、AIを用いて効率的な業務を実行していく体制が築かれることになります。

今後、銀行業界のリストラが加速します。銀行業界でも早期退職などの嵐が吹き荒れることになるでしょう。そうして、その後は人口減の時代が来ても、現状のような銀行サービスが十分維持できるどころか、それ以上のことができる体制に変わることでしょう。まさに、これから銀行業界は大変革期を迎えるのです。

大変革期を迎えるのは、銀行業界だけではありません。このブログでは、政界、マスコミ再編成がおこることも示唆しました。

今後5年以内に本格的な、政界再編成、銀行再編成、マスコミ再編成の嵐が吹き荒れることになります。銀行に限らず、弱い組織、異常な組織、非効率な組織はいずれ淘汰されるしかないのです。

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2017年11月4日土曜日

モリ・カケの“偏向報道”追及した小川榮太郎氏直撃 「虚報が政権揺るがす事態」が執筆のきっかけ―【私の論評】「もりかけ」で野党・マスコミ再編・崩壊が進む(゚д゚)!


小川榮太郎氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「森友・加計学園」問題の、マスコミ報道に切り込んだ著書が話題となっている。発売10日で5万部以上を売り上げた文芸評論家、小川榮太郞氏のベストセラー『徹底検証「森友・加計事件」 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪』(飛鳥新社)だ。衆院選が終わり、野党各党は特別国会でも「モリカケ」追及を継続する方針という。小川氏を直撃した。

「『情報謀略』という完全な犯罪だ。朝日新聞などが追っているストーリーと現実のギャップがありすぎる」

小川氏はこう切り出した。

注目の同書は5章構成。前半3章は森友問題について、地元の左派系市議の存在や、執拗(しつよう)な安倍首相夫人たたき、土地売却(値引き)の経緯などに迫る。後半2章は加計問題について、既得権を死守する獣医師会や、前川喜平前文科事務次官の不可解さなどを詳述している。

「加計問題になって内閣支持率が急落したことで、虚報が政権を揺るがす事態になった」と感じたことが執筆のきっかけという。

文芸評論家として「原典をよく読むこと」を重視しており、朝日新聞などの記事や資料を800点ほど集め、「素人目線」で読み込んでも分かる“問題点”や“ウソ”などを指摘している。

例えば、森友学園の小学校用地について、《沼地を埋め立てた場所》《バラック住宅が建つ》《大阪空港の至近だった為、騒音問題が生じた》《住宅がなくなった為、家庭ごみの廃棄場所となり、産業廃棄物の不法投棄場所になった》などと記す。同規模の隣接地は、豊中市に公園用地として売却されており、さまざま補助金が付き《市の実質負担金は二千万円。籠池の実質負担額より低い》と喝破する。

加計問題でも一部マスコミが大騒ぎした「総理のご意向」を、《文科省が(既得権を死守しようとする)獣医師会と族議員から、規制を崩された責任を糾弾された時に、『総理からの指示』で仕方なく呑んだという話》と指摘している。

小川氏は「権力批判=マスコミの役割」との見方にも、「それが通用したのは昭和年間のことだ」といい、続けた。

「マスコミによる権力批判に正当性があったのは、中選挙区制で派閥が存在し、政権が『自民党』と『財界』『地方経済』という利権ネットワークを基盤とし、パワーを持っていたからだ。(小選挙区制となり)世論を基盤とする時代には、政権には以前ほどのパワーは存在していない。『権力対マスコミ』というときの『権力』は政治側に残っていない」

そのうえで、「森友・加計」問題を総括した。

「マスコミが世論をウソで誘導しようとするのは『デモクラシーの破壊活動』だ。情報謀略に対し、政府の組織防衛は必要なのではないか」(海野慎介)

【私の論評】「もりかけ」で野党・マスコミ再編・崩壊が進む(゚д゚)!

「森友・加計問題」に関しての私の結論は以下のようなものです。まず、森友問題に関しては、国会で議論する筋のものではなく、最初から司法の手に委ねるべき問題であったということです。

次に、加計問題に関しては、ラーメン屋に行列ができていたのですが、一番最初に並んだ人がラーメンを最初に食べたというだけのことです。しかし、マスコミや野党は、たまたまそのラーメンを最初に食べた人が、たまたま店長の友人であったため、最初にラーメンを食べれたのではないかと騒いでいるだけのことです。

これには、多くの国民も気づいているのではないでしょうか。だからこそ、今回の衆院選で自民党は大勝したのです。

加計問題に関しては、以下の動画をご覧いただけるとこれは、そもそも疑惑でも何でもないことが理解できます。特に加戸氏の証言はそうです。


文部科学省の大学設置・学校法人審議会の専門委員会は2日、政府の国家戦略特区制度を活用し、愛媛県今治市に獣医学部を新設するという学校法人「加計学園」(岡山市)の計画に改善が見られると評価する意見をまとめました。

今後、設置審として新設の可否を最終判断しますが、専門委の意見が覆される可能性は低く、来年4月の新設は認可される見通しです。設置審は10日にも林芳正文科相に答申するとみられます。獣医学部の新設は1966年の北里大以来、52年ぶりとなります。

獣医学の専門家の観点から「お墨付き」が与えられた形ですが、野党は選考過程が「加計ありき」だったのではないかとの疑念は払拭できておらず、特別国会で安倍晋三首相の説明責任を厳しく追及する構えです。

野党はまだ、この問題に拘泥しているようです。私は、これからも野党がこの問題に拘泥し続ける限り、さらに野党再編・崩壊が進むとみています。

これについては、以前このブログにも掲載した民進党崩壊の要因が参考になります。その記事のリンクを以下に掲載します。
リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧たただくものとして、この記事より、私が民進党崩壊の要因としたものを以下に列挙します。 
第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。 
第2に、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。 
第3に、民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。
この3つが知らず知らずのうちに、民進党を弱体化し、とうとう消滅の憂き目に会いました。この3つが実は、マスコミに携わるものの、頭を悪くしていると考えられます。

多くのマスコミは、とくにかく「政権や権力と戦うこと」平たくいうと「安倍政権打倒」が使命になっています。これでは、あまりに単純すぎてまともに物事を考えなくなります。

政治家なら選挙に落ちれば、ただの人ということになりますから、どのような議員でもある程度緊張感があります。しかし、大手テレビや大手新聞など、既得権益に守られてかなり楽な仕事で、給料も高いですが、ほとんど緊張感を欠いてまともに報道の使命など考えなくなります。これで、まずは頭が相当悪くなります。

まともな意思決定ができない状況というのは、決定においては誰が正しいかを考えてばかりいて、何が正しいかを考えないとか、いずれは妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてしまうような状況です。

まさに、マスコミは「安部政権打倒」という観点から、スタートするので、「何が正しい」などとは最初から考えず、「安倍政権が間違いで、我々が正しい」という観点からスタートするので、まともな意思决定などできません。まともな意思決定ができない状態というのは、かなり頭の悪い状態です。この状態を長い間続けていると、本当に知能が低下することになると思います。

「安倍やめろ!」はスローガンとしても最悪の部類
最後に、妥協の仕方が下手というのは、ソロモン王の裁きの逸話にもあるように、「半分のパン」は食用になるが、「半分の赤ん坊」はいないより悪いということが理解できていないということです。

実際野党の多くは、何が国民から受け入れやすいかという観点から、護憲という立場を崩さないことを前提に物事を考え、最初から落とし所を考えるため、北朝鮮の危機にまともに対応できるような意思決定ができません。北朝鮮どころか、国際情勢からかけ離れた意思決定しかできません。そうして、政治の世界では妥協がつきものですが、「半分のパン」を得る正しい妥協ができません。

しかし、マスコミは、先にも述べたように、既得権益に守られているため、このように正しい妥協をして「半分のパン」を得る努力もあまりしなくてもすみます。

普通の人なら誰もがなるべく正しい妥協をして、「半分のパン」を得る努力を日々しています。たとえば、日々会社やの自分の担当する部署を運営をするにしても、多くの人が、モノ・カネ・人・情報などのすべて潤沢に揃えらることは少なく、その範囲の中でもなるべく良い結果がでるように智慧を絞り努力しています。

しかし、マスコミはそうではありません。上記で述べたようにかなりいい加減な仕事をしていても、既得権益があるので、何とでもなります。そういう中では、創意工夫も生まれず、日々知能が低下していくのは当然のことです。

そうして、彼らは社会人としての知能が低下しているので、自分たちが「アベ憎し」で野党などを応援しているつもりなのでしょうが、かえって弱体化を助長しているという意識がないようです。

これからも、「もりかけ」を追求し続けるというのなら、この構図は変わらず、ますます野党を弱体化していくことでしょう。マスコミも姿勢を変えない限り弱体化することでしょう。

朝日新聞をはじめとする反日メディアが、「安倍政権は信任されたわけではない」としきりに負け惜しみを言っています。

それは「当社の世論調査の結果と違っている」とか「小選挙区制による虚構の多数である」とか、ほとんど理由にもならない理由によっています。

これまで反日野党と反日メディアがスクラムを組んで、あれだけ「もりかけ」問題で安倍政権の評判を落としてきたのに、選挙ではまた安倍自民が圧勝してしまいました。悔しくて仕方がないのでしょう。

こうした反日メディアの論調に、いい加減にワイドショー民も不信感を持つべきです。ワイドショー民がメディアをまったく信用しなくなれば、彼らは存在意義を無くします。


そこから、メディアの再編が起こります。私自身は、テレビはあまり見ないので、実態はよく判らないですが、ネットにアップされたマスコミのニュースを見る限り、反日新聞や反日テレビのコメンテーターが言っていることはもはや無茶苦茶です。

あれをボーッと見て信じているようではどうしようもないです。幸か不幸か、世界は日本より遙かに速いスピードで動いています。

その世界で起こるさまざまな事象に、日本は対応していくしかありません。それを任せられるのは安倍政権以外にないと断じたのが、今回の選挙結果だったのではないでしょうか。

ただし、新設獣医学部へのワインセラーの設置でさえ半月ぐらい話題になったご時世ですから、「疑惑を喰う人たち」=ワイドショー民(ネットにもごまんといる)をなめてはいられません。

しかし、日本でも偽ニュースを検証する、ファクトチェックの動きがようやく出てきました。国内初の本格的な検証団体「ファクトチェック・イニシアティブ」が立ち上がり、ネットメディアだけでなく、既存メディアもそれぞれの報道内容や政治家の発言などを検証し始めました。これは健全なことですし、メディア同士のチェックもこれからますます進んでいくことでしょう。

もはやメディアは「第4の権力」などといってあぐらをかいている場合ではありません。ネット上で誰でもニュースを検証でき、その結果をSNSで拡散することが容易になりました。今後ファクトチェックはますます進むでしょう。

そうして、この動きはワイドショー民とは関係なしに進むことになります。そもそも、ファクトチェックが不十分なまま報道するテレビ局や、新聞などにはスポンサーがつきにくくなります。

トヨタが、正月広告を止めました。ユーチューブ内ではVitzの広告が、大量に流されていました。ネットのアフリエイトもトヨタが多いです。テレビ広告は捨てられつつあります。


今年の年初には、綾小路きみまろのCDの発売CMがテレビで流れました。テレビコンテンツは明らかに対象を老人に切り替えたようです。老人しか地上波のユーザーはいなくなりつつあります。

このようなことから、マスコミ再編はこれから5年後くらいに起こるではないかと思います。ファクトチエックが曖昧なマスコミは消え去るか、吸収合併されるしかなくなります。

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2017年11月3日金曜日

「日本を信頼」91% 前回から18ポイント増加 外務省のASEAN世論調査―【私の論評】今日の評価は安倍総理の外交努力の賜物(゚д゚)!


ASEAN諸国
外務省は3日までに、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国で行った対日世論調査の結果を発表した。日本を「とても信頼できる」「どちらかというと信頼できる」と回答した人は91%に達し、平成27年12月に実施した前回調査の73%から18ポイント増加した。

 対日関係について聞いたところ「友好関係にある」との答えが89%で前回を14ポイント上回った。平和国家としての日本の歩みを「評価する」との回答も88%で6ポイント増えた。

 20カ国・地域(G20)の中で過去50年間にASEANの発展に最も貢献した国・地域(複数回答可)の質問では、日本が55%でトップ。中国(40%)、米国(32%)、韓国(24%)、オーストラリア(23%)が続いた。

 調査は今年3月、ASEAN10カ国の18~59歳の男女を対象に、面接とインターネットを通じて実施。約3千人から回答を得た。

【私の論評】今日の評価は安倍総理の外交努力の賜物(゚д゚)!

冒頭の記事にある、外務省の調査結果は以下のリンクからご覧になることができます。



このが調査結果を外務省が簡潔にまとめた内容を以下に掲載します。
1 対日関係については,ASEAN全体で,89%(前回調査75%)が「とても友好関係にある」又は「どちらかというと友好関係にある」と回答しており,日本との関係に関し肯定的なイメージが広範に定着していることが示されました。 
2 対日信頼度は,ASEAN全体で,91%(前回調査73%)が「とても信頼できる」又は「どちらかというと信頼できる」と回答しており,日本に対する評価が高いことが確認できました。 
3 戦後70年の日本の平和国家としての歩みについてどう思うかとの質問については,ASEAN全体で88%(前回調査82%)が評価すると回答しました。 
4 日本の対ASEAN支援について,日本政府の開発協力(ODAによる経済・技術協力等)が,対象者の住む国の開発に役立っているかという質問に,87%(前回調査84%)が「とても役立っている」又は「どちらかというと役立っている」と回答し,日本のASEAN諸国に対する貢献が評価されていることが確認できました。 
5 日本の青少年交流(JENESYS等)を含む人的交流における取組についても,90%(前回調査84%)が評価すると回答しました。 
6 また,G20諸国の中で,この50年間最もASEANの発展に貢献してきた国(地域)を選ぶ質問(複数回答)では,55%の回答者が日本を選択し,日本の貢献がASEAN諸国から最も高い評価を得ていることが確認できました(今回調査のみ実施)。
 ASEAN 諸国がこのように今日日本に友好的であるのは、安倍総理の度重なるこの地域への訪問とその後の外交努力による成果であると考えられます。

安倍首相は、平成13年からASEAN 諸国を何度も訪問しています。日本のマスコミはほとんど報道せず、野党の議員らは評価しませんが、最初の訪問で安倍総理は日本外交の原則をを発表し、その後その原則にのっとり我が国とASEAN諸国との外交をすすめています。

2013年1月16~18日、安倍晋三首相は、首相就任ごの最初の外遊先として、ベトナム、タイ、インドネシアを歴訪しました。

2013年ベトナムを訪問しサン国家主席と握手する安倍総理
ベトナムではグエン・タン・ズン首相と会談、原発建設計画や高速道路などのインフラ整備、レアアース開発などの貿易投資で協力を進展させることを合意するとともに、尖閣諸島問題、南シナ海の領有権問題で圧力を強める中国を念頭に「全ての地域の紛争と問題を、国際法の基礎に基づき平和的交渉を通じて解決すべきだ」という点で一致しました。

そして南シナ海問題では「力による現状の変更に反対する」との認識を共有するとともに、政治・安全保障分野でも協力を進めることを確認しました。安倍首相はまた、「日中関係は日本にとって最も重要な2国間関係のひとつだ。引き続き冷静に対応し、中国との意思疎通を維持・強化して、関係をしっかりマネジメントしていく」と述べました。

安倍首相は翌17日にはタイのインラック・チナワット首相と会談しました。インラック首相は共同記者会見で、安倍首相がタイの治水事業、高速鉄道計画、ミャンマーのダウェイ経済特区開発といったインフラ事業への日本企業の参入に関心を示したと述べ、ダウェイについて、タイ、ミャンマー、日本の3カ国で近いうちにハイレベルの協議を行うべきだとしました。

安倍首相はさらに18日にはインドネシアでスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領と会談を行いました。安倍首相は共同記者会見で、東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係を日本外交の「最も重要な基軸」と確認するとともに、「日本外交の新たな5原則」について述べました。

これは日本のASEAN外交、さらには東アジア外交の原則として非常に重要ですので、以下、少し長くなりますが、当初予定されていた安倍首相による演説の原稿から引用させていただきます。(残念ながらこの演説は、アルジェリア人質事件により、安倍首相が急きょ日本に帰国したため、実現しませんでした。)
日本外交の新たな5原則
第1に、2つの海(編注=太平洋とインド洋)が結び合うこの地において、思想、表現、言論の自由――人類が獲得した普遍的価値は、十全に幸(さき)わわねばなりません。 
第2に、わたくしたちにとって最も大切なコモンズである海は、力によってでなく、法と、ルールの支配するところでなくてはなりません。 
わたくしは、いま、これらを進めるうえで、アジアと太平洋に重心を移しつつある米国を、大いに歓迎したいと思います。 
第3に、日本外交は、自由でオープンな、互いに結び合った経済を求めなければなりません。交易と投資、ひとや、ものの流れにおいて、わたくしたちの経済はよりよくつながり合うことによって、ネットワークの力を獲得していく必要があります。 
メコンにおける南部経済回廊の建設など、アジアにおける連結性を高めんとして日本が続けてきた努力と貢献は、いまや、そのみのりを得る時期を迎えています。 
(中略) 
第4に、わたくしは、日本とみなさんのあいだに、文化のつながりがいっそうの充実をみるよう努めてまいります。 
そして第5が、未来をになう世代の交流を促すことです。 
(中略) 
いまから36年前、当時の福田赳夫総理は、ASEANに3つの約束をしました。日本は軍事大国にならない。ASEANと、『心と心の触れ合う』関係をつくる。そして日本とASEANは、対等なパートナーになるという、3つの原則です。 
ご列席のみなさんは、わたくしの国が、この『福田ドクトリン』を忠実に信奉し、今日まできたことを誰よりもよくご存知です。 
いまや、日本とASEANは、文字通り対等なパートナーとして、手を携えあって世界へ向かい、ともに善をなすときに至りました。 
大きな海で世界中とつながる日本とASEANは、わたくしたちの世界が、自由で、オープンで、力でなく、法の統(す)べるところとなるよう、ともに働かなくてはならないと信じます。
この演説の原稿は、無論ASEAN諸国の各々の政府はもとより、 各々の国々のマスコミにも公開されました。

念のために確認しておきますと、安倍首相の東南アジア歴訪に先立ち、1月3日には麻生太郎副総理がミャンマーを訪問し、テイン・セイン大統領と会談して、ミャンマーの対日債務5000億円の一部を放棄する意向をあらためて示すとともに、ティラワ経済特区開発支援の意思を確認した。

また、1月9~14日には、岸田文雄外相がフィリピン、シンガポール、ブルネイ、オーストラリアを訪問しました。岸田外相は、1月10日付のフィリピン地元紙への寄稿で「ASEANとの関係強化を重視する」と述べるとともに、フィリピンとの連携強化の重要性を強調、海洋安全保障分野において「支援と協力は惜しまない」と表明しました。

2013年フイリピンを訪問しデル・ロサリオ外務大臣と会談した岸田外務大臣
また、ブルネイでは、安倍総理は、同国が2013年のASEAN議長国であることから、「ブルネイが議長国の責任を果たし、成果につながるよう日本も努めたい」と述べました。さらに13日には、オーストラリアでボブ・カー外相と会談し、安全保障分野などにおける関係強化を確認するとともに、日豪経済連携協定(EPA)交渉の早期妥結を目指すことで合意しました。

まとめて言いいますと、安倍政権は、政権発足1カ月以内に、総理、副総理、外相がASEAN加盟10カ国中7カ国(ベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、ブルネイ)とオーストラリアを訪問し、日本が、日米同盟と並んで、ASEAN、オーストラリアとの連携を重視していることを行動で示すとともに、外交の原則を明らかにしたのです。

当時、特に3年余りの民主党政権下、日本外交が漂流していただけに、これは重要であり、ASEAN諸国にも大いに歓迎されたのです。

そうしてこの外交5原則の方針を貫いてきたからこそ、今日世論調査で、ASEAN諸国の調査対象の人々の91%もの人々が、日本を信頼すると回答するに至っているのです。

安倍総理は、インドにも足繁く通い、今年もインドの国民から絶大な支持を受けています。

今年インドで大歓迎を受けた安倍総理
21世紀の東アジア/アジア太平洋の秩序づくりのため、日本はこうした原則にのっとり、日米同盟を基軸としつつ、地域協力のハブとしてASEANを重視し、その統一性を支持するとともに、ASEANの国々、さらにはオーストラリア、インドなどのパートナーの国々と協力していくのです。

そして中国が国際的に責任ある役割を果たすよう、中国に関与していきます。それが、当時安倍総理による東南アジア訪問で示された日本外交の方針なのです。 

先日もこのブログで述べたように、以上の外交努力によって安倍総理は、ASEANやインドと関係が深いため、これらの諸国とトランプ氏と仲介役をしたところ、米国とこれらの国々の関係が飛躍的に良くなったという経緯があるからです。

だからこそ、安倍総理はトランプ大統領から全幅の信頼を得ているのです。

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2017年11月2日木曜日

安倍首相が増税撤回する可能性は十分 その根拠とは―【私の論評】既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をしている(゚д゚)!

安倍首相が増税撤回する可能性は十分 その根拠とは

 日本経済を「デフレ逆戻り」の道から方向転換させ、成長路線に乗せるには、2019年10月に予定されている消費税10%引き上げの「再々々延期」が必要だ。

 国民の多くは、はっきり増税を公約して選挙で国民の信任を受けた安倍晋三・首相が、いまさら増税を撤回するとは想像もしていないだろう。が、経済評論家の上念司氏は、その可能性は十分あると見る。

経済評論家 上念司氏
 「消費増税の怖さを身にしみてわかっている安倍首相は本音では増税はしたくないし、できれば“凍結”してしまいたいと考えている。しかし、それを言い出せなかった。

 法律で決まっている増税を延期や凍結するには法改正が必要です。過去2回の増税延期の時は“安倍一強”の力があったから財務省や党内の増税推進派をねじ伏せることができたが、支持率低下で安倍さんにはかつてほどの力がなくなり、今回の総選挙では増税推進派に配慮して『予定通り消費税を引上げて税収の使途を変える』と言わざるを得なかった」

 それが選挙大勝で状況が変わった。

 「国政選挙5連勝で再び求心力を取り戻した安倍首相は、消費税凍結を言える力を取り戻した。消費税を本当に引き上げれば、景気は急激に悪化し、国民の不満が高まって今度こそ安倍政権は終わりに向かう。

 そのため、2019年夏の参院選で『やはり五輪前に景気の腰を折るわけにはいかない』とやりたかった増税凍結を掲げて戦う可能性があります。ただし、それでは遅い。実施まではまだ2年あるとはいえ、景気を考えればできるだけ早く凍結を宣言すべきです」(同前)

 安倍首相が「増税」を公約して選挙に勝ったことで、逆に本来やりたかった「増税凍結」をする力を得たという見方である。

 ※週刊ポスト2017年11月10日号

【私の論評】既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をした(゚д゚)!

私も、安倍総理はできれば10%増税はしたくないと考えていると思います。ただし、今回の衆院選では、上念司氏がブログ冒頭の記事に述べているように、増税凍結を公約にしなかったのでしょう。

何しろ、昨日のこのブログでも述べたように、「まさに消費増税ありきの財務省の走狗のような政治家が日本の圧倒的大多数です。むしろ財務省的な経済政策観をもたない政治家を数える方が容易なくらいです。アベノミクス(の金融政策中心)的政策観をもつ国会議員は、その数は二桁にも満たないでしょう」というような状況です。

安倍総理としては、2年も先の10%増税に関して、これを争点にすれば、選挙戦に悪影響が出ると判断して、今回は争点にしなかったのです。

そうして、消費税凍結を今回の衆院選の争点としないことを前提とた上で、"消費税を引上げる前提で税収の使途を変える"という発言をしたと考えています。そうして、その意図に関して以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
民進は共産と共闘するのか 増税凍結提言で維新好機、準備不足が響く小池新党―【私の論評】消費増税凍結が争点となりえない裏事情(゚д゚)!
財務省は、資産など無視して、負債の額のみを示して、これを「国の借金」としています。これは、明らかに虚偽です。 
これについては、以下の動画をご覧いただけると、さらにご理解いただけるものと思います。


「税と社会保障の三党合意は財務省によるペテンだった」という驚くべき内容です。実際財務省は、税と社会保障の一体改革として、消費税を社会保障の財源とするということで、三党を騙して、ほとんど危機的とはいえない国の借金の返済のなどの名目で、資産を溜め込んでいるのです。無論溜め込んだ資産は、将来様々な天下り先を構築し、財務省退官後のゴージャスなハッピーライフを送るための準備資金ということでしょう。
このような事実を安倍総理は十分理解していて、借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討という形で、財務省の、この溜め込み姿勢を批判しているのです。
そうして、以上のようなことから、安倍総理が今回の選挙では、増税を争点としないということは、どういうことか、今一度考えてみると、以下のようなことがいえると思います。
来年生誕90周年を迎える池田大作氏
まずは、首相の今回の解散決断は、北朝鮮情勢の緊迫化、内閣支持率の好転、上の動画にも掲載されていたように、公明党の来年の池田大作氏生誕90周に対する配慮など様々な要因が重なったための急ごしらえのものであるということがあります。
そのため、政治的な駆け引きが必要な消費増税の凍結や再々々延期などは全く無理です。10%の消費増税は、2019年10月に実施されることはすでに法律で決まってることです。これを凍結ないし再々々延期するには法律を修正するか、新しい法律を国会で通す必要があります。
そのためには、国会で消費税増税に反対する議員が多数派になっていなければなりません。無論、その前に安倍総理は自民党内をまとめる必要があります。
そもそもそのための政治日程など、組まれていませんし、白紙の状態にあると見て間違いないです。ちなみに他の野党・新党に至っては、たとえ言ってみたとしてみても、それを争点にして自党に選挙戦を有利にするまでの準備も何もない状況です。
そうして、上の読売新聞の記事のプライマリーバランス2020年問題に関しては、安倍総理の単なる口約束のようなものであり、いつでも撤回できるものであり、これは安倍総理による消費税の分配という形を借りた財務省批判と見るのが妥当だと思います。一般の人はもとより、政治家ですらも気づかないでしょうが、財務省の高級官僚たちは気づいていると思います。
実際、今回の衆院選では、維新の党のように、増税凍結を公約にした党もありましたが、維新の党の凋落にみるように、増税凍結が争点になったとは到底思えません。

私も、上念氏と同じように、安倍首相が増税撤回する可能性は十分あると見ています。安倍総理は、2年後に向けて着々と増税凍結のために様々な手を打っていくことでしょう。

というより、"借金返済に充てる約4兆円の一部を教育無償化に回すことを検討"という発言そのものが、財務省に対する最初の宣戦布告であり、「増税による税収を国の借金などという得体のしれないものには使わせない、その先には無論増税凍結もある」という意思表示であると見ています。

そうして、この戦いは意外と有利かもしれません。そもそも、民進党が分裂してできた、立憲民主党と、旧民進党が大勢をしめる希望の党も、今回の選挙では10%増税の見送りを公約にしています。先に、述べたように維新の党も増税見送りを公約にしました。

さらに、三党合意の当事者である民進党は事実上崩壊しています。今後、完璧に崩壊すれば、三党合意そのものが、意味をもたなくなる可能性もあります。

これらのことから、意外と消費税増税法案の改廃はスムーズに進む可能性が高いと思います。いずれにせよ、財務省ならびに、選挙対策として増税反対とは言ってみたものの、その実財務省の走狗である多くの政治家は、度肝を抜かれる時がやってくると思います。

私は、既に総理は財務省に10%増税凍結の宣戦布告をしているとみています。

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小泉進次郎氏「総理養成ギプス」装着され安倍氏も恐れる男に―【私の論評】総理は進次郎ではなくその背後の財務官僚を恐れている(゚д゚)!

2017年11月1日水曜日

小泉進次郎氏「総理養成ギプス」装着され安倍氏も恐れる男に―【私の論評】総理は進次郎ではなくその背後の財務官僚を恐れている(゚д゚)!


小泉進次郎氏
 霞が関の若手官僚たちが1人の若手政治家を“促成栽培”している。総選挙で安倍首相以上の動員力を見せつけ、「自民党の新しい顔」となった小泉進次郎・筆頭副幹事長だ。

 進次郎氏を囲む勉強会ではとくにこの数か月、熱気あふれる議論が交わされてきた。「進次郎内閣」の政権構想をつくるためのブレーンストーミングである。この動きに神経を尖らせて情報収集している内閣官房の官僚が語る。

 「進次郎は1年ほど前から将来の首相の座を意識して官僚を集めた勉強会を立ちあげている。先行しているのは財務省の中堅官僚グループで、超高齢化社会をテーマに進次郎政権の柱となる政策づくりをしてきた。

 それに対抗しているのが経産省の若手女性キャリアを中心とする勉強会。高齢化社会の産業構造や自動運転技術などの無人化社会、移民政策など分野ごとに各省の若手に積極的に声をかけて参加者が増えている。最近では進次郎も同じ年代の官僚が多いこっちの勉強会が気に入って、“経済が停滞する時代にはどんなメッセージが共感を得るのか?”など、質問も多いと聞いている」

 官僚の指導は政治家としての立ち居振る舞いにも及ぶ。その振り付け指導は勉強会が立ち上がった昨年から始まった。

 進次郎氏が地元・横須賀にある防衛大学校の開校記念祭(昨年11月)に当時の稲田朋美・防衛相とともに出席したときのことだ。

 「このとき、ブレーンの官僚たちは進次郎に“稲田と並んで歩くときは半歩でもいいから前を行くこと”を強くアドバイスしていた。メディアは総理のお気に入りだった稲田大臣を中心にカメラを回すから、決して後ろに従う姿を見せずに、前を行く構図で報道されることが総理・総裁候補として有利な位取りにつながるという判断です」(同前)

 驚くのは、安倍首相に対しても、その「位取り」を意識していることだ。応援演説ではアベノミクスの成果といった政策には一切言及せず、「社会保障の負担を次の世代に残すべきではない」と持論を展開。“オレは安倍さんとは政策が違う”とアピールし、

 「安倍総理だっていつまでも総理じゃない」

 と、巧みな弁舌で聴衆を笑わせる。

 かと思うと、街頭演説で枝野幸男・立憲民主党代表とぶつかれば、10分間、沈黙して演説を“拝聴”してみせる。どんな行動をとれば自分の価値を高く見せることができるかをしたたかに計算している。すぐにキレてしまう安倍首相には真似できない芸当だ。

 官僚たちに“総理大臣養成ギプス”をつけられて訓練を受けてきた進次郎氏は、総理・総裁候補としての存在感をどんどん増し、いまや間違いなく「総理が最も恐れる男」となった。

 ※週刊ポスト2017年11月10日号

【私の論評】総理は進次郎ではなくその背後の財務官僚を恐れている(゚д゚)!

安倍総理は、小泉進次郎氏個人を恐れることは全くないでしょう。そうではなくて、その背後にいる官僚、特に財務省主計局の官僚を恐れているのです。

小泉進次郎氏に関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。これをご覧いただければ、なぜ安倍総理が小泉進次郎氏の背後に存在する、財務省官僚をおそれるのか、その理由がおわかりいただけると思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
小泉進次郎が「こども保険」にこだわるホントの理由はアレしかない―【私の論評】経済における清貧思想が生み出した緊縮脳こそが社会の害悪(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の元記事となった田中秀臣氏の記事をそのまま全部引用します。
 毎年、3月11日になると、2011年3月にどんなことが起きたのか、当時の記録が掲載されている自分のブログを見て思い出すことがある。もちろん東日本大震災の悲惨な被害、そして失われた多くの命、さらには「人間的価値の毀損(きそん)」という事態の前では、いまだ復興への道のりが遠いことに思いを強くしている。だが、今日書きたいのは、当時の「非人道的」ともいえる動きである。
2011年6月、党首討論で発言する自民党の谷垣禎一総裁(左)と、菅直人首相

 それは2011年3月13日、当時の民主党政権の菅直人首相と自民党の谷垣禎一総裁の会談において、復興政策の一番手として増税政策があげられたことだ。その時点では、被害の実態も把握できず、復興自体よりも人命救助に努力を傾注すべきときだった。もちろん福島第二原発の状況は予断を一切許さない緊迫したものであった。 
 さらにこの増税政策は、後に設置された政府の「復興構想会議」などでも最初の具体的提案として、議長や委員から提起されている。実際に復興政策として何を行うかさえもはっきりしない段階において、である。 
 この復興構想会議では、事実上、後に「復興特別税」となる増税構想だけが具体的に決まったといっていい。当時、複数の復興構想会議の委員に会ったが、いまでも印象に残るのは、「僕らは経済のことはわからないから」という発言だった。経済のことを理解していない人たちが、なぜか増税だけを最優先にかつ具体的に決めたというのはどういったことなんだろうか。 
 さらに時間が経過していくにつれてわかったことだが、この復興特別税での当時の与野党の連携は、民主党・自民党・公明党による「社会保障と税の一体改革」、つまりは今日の消費税増税のための「政治的架け橋」になっていたことだ。
 つまりは、大震災で救命対策が必要とされる中、消費増税にむけた動きが震災後わずか2日後には本格化していたことになる。つまりは震災を人質にしたかのような増税シフトである。これが冒頭で書いた「非人道的な動き」の内実である。
  実際、民主党政権はその政治公約(マニフェスト)の中には、消費増税のことは一切書かれていなかった。だが、この震災以降の増税シフトが本格化する中で、当時の野田佳彦首相(民主党、現在の民進党幹事長)は、自民党と公明党とともに消費増税を決定した。日本では社会と経済の低迷と混乱が続いていたにもかかわらず、ともかく消費増税だけは異様ともいえるスピードと与野党の連携で決まったのである。この消費増税は後に法制化され、第2次安倍政権のもと、日本経済を再び引きずり下ろす役割を果たした。その意味でも本当に「非人道的」であった。 






















 さてこの動きと類似した消費増税シフトをいまの政治の世界でも見ることができる。自民党の小泉進次郎議員が主導する「2020年以降の経済財政構想小委員会」が発表した、いわゆる「こども保険」だ。現在の社会保険料に定率の増加分をのせて、それで教育の無償化を狙うスキームである。「こども保険」と呼ばれているが、実体はただの「こども増税」である。以下でも詐称を控えるためにも、「こども保険」ではなく、正しく「こども増税」と表記する。
 小泉議員らの主張によれば、高齢者に偏重する社会保障体系を、若年層向けに正す効果があるという。この一見するとあらがうことが難しいようなスローガンではある。だが、これがくせ者であることは、冒頭のエピソードを読まれた読者はピンとくるはずだ。 
 消費増税シフトは、そもそも震災復興を契機に仕込まれ、そして社会保障の充実という名目で選挙公約を無視してまで導入された。この経緯を踏まえると、小泉議員らの「こども増税」は、消費税増税シフトを狙う政治勢力の思惑ではないか、と推察することは可能だろう。 
 もちろん「こども増税」自体が消費増税ではない。「こども増税」は、消費増税をより実現しやすくするための、政治勢力の結集に使われる可能性があるのだ。小泉議員は国民の人気が高い。いわば「ポスト安倍」候補の一人であろう。
 現在の安倍政権は、首相の決断によって過去2回消費増税が先送りされた。さまざまな情報を総合すると、安倍首相の財務省への懐疑心はいまも根深いとみられる。なぜなら財務省は2013年の消費増税の決定時期において、「消費増税は経済に悪影響はない。むしろ将来不安が解消されて景気は上向く」と説明していたからだ。もちろんそのようなトンデモ経済論は見事に外れた。日本経済がいま一段の安定経路に入れないのは、この消費増税の悪影響である、と首相は固く信じているようだ。そのための二度の消費増税延期である。
 このような首相の決断は、財務省を中心とする消費増税派からすれば脅威に思えるだろう。今後の消費増税は本当に実施されるのか、また10%引き上げ後も財務省が現段階で狙っていると噂される15%以上への引き上げの道筋が早期にめどがつくのかどうか、彼らは不安であろう。 
 ある意味で、ポスト安倍の有力候補としての力の結集、または現段階で安倍首相を与党の中で牽制(けんせい)する「消費増税勢力」が誕生した方が得策である、と消費増税派は踏んでいるのかもしれない。もちろん「こども増税は、消費増税を確実にするための前ふりですよね」と、小泉議員らにいっても即座に否定するだろう。だが、同時に思い出されるのは、数年前に復興構想会議のメンバーに「この増税路線は消費増税路線の一環ではないか」とただしたとき、「そんなことはない」と一笑にふされたことだ。今回はだまされたくはないものである。
これをご覧いただければ、なぜ安倍首相が小泉進次郎氏個人ではなく、その背後に存在する、財務省主計局を恐れるかが良くおわかりになると思います。

まさに安倍総理は、財務省主計局主導による、ポスト安倍の有力候補としての力の結集、または現段階で安倍首相を与党の中で牽制する強力な「消費増税勢力」の構築を恐れていのです。

財務官僚は小泉進次郎氏を将来の増税勢力の要として、小泉進次郎氏を“促成栽培”しているのです。

今回の衆院選で応援演説をする小泉進次郎氏
与野党問わずに、現状の「ポスト安倍」と目される政治家や政治勢力は、財務省の消費増税路線の走狗に過ぎません。消費増税は財政再建のための「手段」でしかないのですが、しばしば「手段が自己目的化」しています。

まさに消費増税ありきの財務省の走狗のような政治家が日本の圧倒的大多数です。むしろ財務省的な経済政策観をもたない政治家を数える方が容易なくらいです。アベノミクス(の金融政策中心)的政策観をもつ国会議員は、その数は二桁にも満たないでしょう。

財務省は、消費増税が自己目的化しているので、それに貢献する政治家たちもすべて消費増税のための道具にしか過ぎません。そもそも、財務省的な経済政策観をもつ政治家は腐るほど存在しているのです。

自民党の中の「ポスト安倍」と目されている人たち―稲田朋美元防衛大臣、小泉進次郎衆議院議員、石破茂衆議院議員らーの過去の発言をみれば、消費増税ありきの財政再建主義か、もしくは金融政策中心のデフレ脱却への懐疑や批判が明瞭です。

稲田大臣は、先の再延期の前には「消費税をまず1%引き上げる」案をだしていましたが、これも「なぜそもそも消費増税を経済が低迷しているときに増税そのものにこだわるのか?」という疑問に一切答えていません。

消費税引き上げが自己目的化したものです。そうして、小泉議員はさらに深刻です。先の再延期のときの報道を読むかぎりでは、消費増税先送りへの懐疑的な態度にくわえて、親譲りなのでしょうか。とにかく経済的な倹約(社会保障の見直し)という視点しかありません。

むしろ消費増税は積極的に先送りすることで、経済成長を安定化させ、そこで財政再建(社会保障制度の積極的な拡充)も実現していくべきなのでしょうが、その手の発想は過去の発言をみるかぎり希薄です。

石破議員は、デフレ脱却を金融政策中心で行うと高いインフレに帰結するなど副作用の可能性を指摘してきました。いずれも財務省の消費増税路線やその背景にある財政再建主義に親和的です。とりあえず代表的な三者をあげましたが、他の政治家もごく少数を抜かして同じ考えです。

財政再建は大事かもしれません。しかし、経済が十分に復活しないときに、増税や財政支出の緊縮を行えば、それは国民の経済生活を困難なものに陥れることになります。財政再建は経済のまともな発展の副産物にすぎないものです。

国民の多く特に市場関係者は、この財務省的な政策観が「狂ったもの」であることにうすうす気づいているのではないでしょうか。

しかしこれは、現状では安倍政権以外に、まともな経済政策観を抱く有力な政治勢力がないことを示しており、そのことが日本の潜在的なリスクといえると思います。

このリスクを避けるためには、やはり政党の近代化は避けて通れません。

政党の近代化については、昨日のこのブログにも掲載したばかりですが、これは聞きなれない言葉だと思います。

毎年のように、年末になると政党助成金を目当てに新党が結成されます。そもそも政党助成金は金権政治の温床となる無理な資金集めを解消するとともに、政党を近代化する条件で導入された制度です。ところが、「政党の近代化」という言葉はとっくに死語になっています。

近代政党には、三つの要素があります。

綱領、組織、議員です。

明確な理念をまとめた綱領がある。綱領に基づいて全国組織が形成される。全国の政党支部が議員を当選させる。その議員たちは政策の内容で競い合い、自由で民主的な議論で党首を決める。選ばれた党首は直属のシンクタンクとスタッフを有し、全国組織に指令を下す。

この条件に当てはめると、自民党(別名・自分党)は近代政党ではありません。議員に個人後援会や圧力団体がくっついて、派閥の談合によって党首を選んでいるだけです。

自民党が有する最大のシンクタンクは官僚機構(つまりは予算を握る財務省主計局)ですが、ヨーロッパの政党は官僚機構に対抗できるシンクタンクを自前で揃えています。

確かに自民党の議員も早朝から「朝食会」などと称し、熱心に勉強しているといわれています。しかし、問題はその中身です。実態は官僚を呼んで情報をもらっているにすぎませんから、そもそも官僚に都合の悪い情報が入ってくる余地がありません。政治家たる者、官僚と会う前に勉強をしておくべきなのに、官僚から勉強を教えてもらっているのです。

小泉進次郎氏も、「朝食会」に出席し、日々官僚から勉強を教えてもらっています。それだけではなく、霞が関の若手官僚たちに“促成栽培"してもらっているわけですから、1〜10まで官僚に都合の良い情報しか頭にはいらないでしょう。これでは、まともな政治家にはなれず、官僚の道具になるだけです。

"反アベノミクスの勉強会"講師は、財務省寄りの大学教授
イギリスなどでは、無論シンクタンクは存在しますが、それ以外にも自前でブレーンを用意して勉強した政治家だけが、党の出世階段を上ります。というより、自前である程度勉強しないと、高度な能力を持つシンクタンクの政策提言も理解できません。

政治の世界において、政党と官僚は化かし合いです。官僚の言うことばかり聴いていては、本来政治家は勤まりません。かといつて、かつての民主党のように「政治主導」などといいながら、その実は表向き官僚に仕事をさせないようするだけでは、政府が機能しなくなります。

かつて民主党の事業仕分けは財務省のシナリオにもとづき行われた
近代政党の政治家は、まずは自分でも勉強し、シンクタンクの力も借りて、官僚を従えて、自分の方針通りに仕事を十分にさせ、その上で失敗すれば自分が責任を取るのです。

日本でも、まともな近代政党をつくらなければ、官僚自己目的的なふるまいは永遠に是正されないでしょう。しかし、いますぐには不可能です。であれば、小泉議員のような議員こそ、自前でブレーンを用意し、勉強する以外にありません。

しかし、ブレーン選択に失敗し、官僚寄りのブレーンを選択してしまえば、やはり官僚のいいなりで、官僚の都合の良い道具にされるだけです。というより、今は安倍首相とその一部の側近等一部を除いたほとんどすべての政治家が財務省の道具です。マスコミもそうです。政党の近代化をないがしろにしてきたつけが、これです。
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2017年10月31日火曜日

立民、「首相の解散権制約」の不毛 民進“分裂騒動”の責任押し付けたいだけ 宇佐美典也氏緊急寄稿―【私の論評】立憲主義の立場からも首相の解散権は正しい(゚д゚)!

立民、「首相の解散権制約」の不毛 民進“分裂騒動”の責任押し付けたいだけ 宇佐美典也氏緊急寄稿

枝野氏は「首相の解散権制約」を主張する前にやるべきことがあるのでは
 立憲民主党の枝野幸男代表らが、憲法改正に関して「首相の解散権制約」を主張している。天皇の国事行為を定めた憲法7条に基づく衆院解散を問題視するもので、賛同する意見とともに、「総理大臣のパワーが落ちて、霞が関官僚が増長する」という意見もある。元経産官僚で、政策コンサルタントの宇佐美典也氏が緊急寄稿した。


 首相の解散権の制約に関する論議が活発化している。

 発端は、立憲民主党の枝野氏が24日の日本テレビの番組で、「(憲法9条改正論議を)したいと言う人がいるなら、そのこと自体は否定できない。その代わりに、首相の解散権制約も俎上に載せてもらわないといけない」と発言したことだ。

 「自衛隊は違憲」という学者すら多数いる憲法9条の論議と違い、「総理大臣が解散の決定権を持つ」ことには、現行の憲法解釈上ほぼ異論がない。

 つまり安倍晋三首相が提案している自衛隊の明記による憲法9条の解釈の確定は何も現状を変えるものではないが、「首相の解散権制約」は憲法に完全に新しい作用を付け加えることになる。この2つをてんびんにかけて交渉しようという枝野氏の態度は理解に苦しむ。

 実際、1952年の吉田茂首相以降、数々の首相が20回以上にわたり「解散権の行使」をしており、その中には、もちろん民主党政権の野田佳彦首相も含まれる。

それにも関わらず、ここに来て枝野氏が「解散権の制約」を唱えはじめたのは、今回の衆院選をめぐる民進党の分裂騒動の責任を、安倍首相の「大義なき解散」のせいにしたいからであろう。「安倍首相の大義なき解散のせいで、われわれは分裂させられたんだ」というわけである。

 何という被害妄想であろう。

 民進党が分裂したのは、思想も信条もバラバラの人が集まっていた野合政党であったことが原因で、今回の解散は分裂のきっかけに過ぎない。本当に民進党に大義があったならば、前原誠司代表が希望の党との合流を提案したところで、所属議員が止めたはずである。

 大体、首相の解散権を制約したところで、はっきり言って国民生活は何も変わらない。せいぜい、野党が首相の解散を恐れずにすむようになり、国会を好き勝手にかき回せるようになるくらいである。

 そんなことよりも、立憲民主党が今すべきことは、すでにゾンビと化した民進党に解党を迫り、残った100億円の政党交付金は国庫に返還させることだろう。

 人に大義を求めるなら、まず自分たちが大義を貫くべきである。

【私の論評】立憲主義の立場からも首相の解散権は正しい(゚д゚)!

上記の見方は、政治論による見方であり、この見方に意義を唱えるつもりは全くありません。しかし、このような見方は、全体の半分しかみていません。もう一つの見方とは、立憲主義による見方です。

今回の解散は合憲か違憲かを判断すると、明らかに合憲です。違憲だとすると日本国憲法の何条に違反するのでしょうか。枝野氏はそれを明確に示すべきです。

そもそも、これまで日本国憲法での衆議院解散は7条に基づいて行われてきました。それを何をいまさら違憲とするのでしょうか。解釈変更でもするのでしょうか。それこそ、護憲派の連中が批判してきた解釈改憲であり、立憲主義の蹂躙です。

このようなことを、立憲民主党という名称の党の代表が、言い出すこと自体が、異様です。
首相が何の制約も無く好き勝手に自分の都合の良いときに解散する。これは、立憲主義なのか非立憲主義なのでしょうか。明らかに立憲主義です。なぜでしょうか。今回のような解散に異議があれば、総選挙で自民党を敗北させればよいのです。そもそも、立憲主義とは総選挙によって示された民意によって多数を形成する政治なのです。
今回の選挙でも、有権者の多くが、今回の解散に反対であれば、自民党が大勝することはなかったでしょう。選挙の結果によれば、国民の多数が解散に反対ではなかったと判断していることは明らかです。
イギリス憲法を中途半端にかじって、「世界の趨勢は首相の自由な解散権を縛る方向にある」と主張する論者もいます。これは、本当に我が国にもあてはめることができるのでしょうか。解散には主に3つの方法がありますが、以下に述べるように、我が国ではいずれの運用にしても問題が発生してしまいます。
まず第一の方法である、解散権は首相の専管事項とすれば、首相が選挙に勝てると思うときに解散することになりがちです。確かに、弊害はあるでしょう。とはいいながら、他の方式にしても弊害があるのです。
第二の方法として、解散は与野党合意ですることすれば、現職与野党の談合を正当化することになります。記憶に新しいのは、三党合意による増税法案です。与野党の談合を正当化すると、国会の場で十分審議がされないまま、重要な法案が成立することを助長することになります。
第三の方法として、不信任された場合のみ解散ということになれば、行政と立法がねじれた場合、停滞することになります。さらに、これができるための前提条件として、与野党ともに近代政党でなければなりません。
ねじれ国会の状態では、衆参両院で政権与党が過半数を維持している状況とは違い、政権与党が参院で過半数を有する野党を納得させないと法案は成立しないために、参議院で衆議院と異なる議決が起こりやすくなります。これは、参議院の独自性の発揮とみなすことができますが、ねじれ国会が問題とされるのは、衆議院とは異なる議決が、政治および行政が停滞することになり、その損失が重視されるからです。


近代化政党とは聞き慣れない言葉だと思います。毎年のように、年末になると政党助成金を目当てに新党が結成されます。そもそも政党助成金は金権政治の温床となる無理な資金集めを解消するとともに、政党を近代化する条件で導入された制度です。ところが、「政党の近代化」という言葉はとっくに死語になっています。
 
近代政党には、三つの要素があります。

綱領、組織、議員です。

明確な理念をまとめた綱領がある。綱領に基づいて全国組織が形成されます。全国の政党支部が議員を当選させます。その議員たちは政策の内容で競い合い、自由で民主的な議論で党首を決めます。選ばれた党首は直属のシンクタンクとスタッフを有し、全国組織に指令を下します。この条件に当てはめると、自民党は近代政党ではありません。無論、他の野党も、近代政党とは言い難い状況にあります。

自民党が有する最大のシンクタンクは官僚機構(実体は財務省主計局)ですが、ヨーロッパの政党は官僚機構に対抗できるシンクタンクを自前で揃えています。
イギリスなどでは、自前でブレーンを用意して勉強した政治家だけが、党の出世階段を上ります。政治の世界の実体は、政党と官僚は化かし合いです。
フォン=ヒッペル英国王立防衛安全保障研究所 (英国の著名なシンクタンク略称RUSI)所長 
このようにいずれにしても、問題があることを前提として、我が国では日本国憲法での衆議院解散は7条に基づいて行われてきたのです。
今更この慣習だけを変えるということになれば、上記にあげたような弊害がおこるだけです。
特に日本では、総理の権限を奪ったとしたら結果として大喜びするのは官僚(その中でも特に財務省主計局)です。解散がスケジュール化されれば、官僚は総理のコントロールがより簡単になります。2014年のように消費増税を吹っ飛ばす解散もなくなります。総理の権限を落とせば官僚は各省大臣を籠絡するのは簡単なので、官僚内閣制は揺るぎないものになります。

安倍政権を許すまじということで、憎しのあまりに総理の解散権制約を言い出したら本当に危険です。憎かったら総選挙で勝つしかないのです。選挙で勝てないから総理の権限をしばりたいというのは邪道に過ぎないです。

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