2025年3月1日土曜日

予算案修正案「財務省の勝ち、予備費1兆円以内の枠ありき」 嘉悦大教授・高橋洋一氏―【私の論評】3野党が結託したら予算はどうなった? 財務省の裏ワザと特例公債法の闇

予算案修正案「財務省の勝ち、予備費1兆円以内の枠ありき」 嘉悦大教授・高橋洋一氏

まとめ
  • 予算案修正の規模と財務省の意図: 自民・公明が提出した2025年度予算案修正は、財務省が予備費1兆円の範囲内に抑えたい意向を反映。国民民主党の7兆円超減税案や立憲民主党の3兆8千億円減額案は受け入れられず、維新の2千億円増案が採用され、公明の6千億円減税案も含め修正は1兆円内に収まった。
  • 野党間の調整と財務省の戦略: 財務省は国債発行増や法改正を避けるため、大規模修正を拒否。野党3党(立憲、国民、維新)の協調を防ぎ、政府・与党をコントロールする形で予算をまとめた。
財務省解体デモ

 自民党と公明党は2025年度予算案の修正案を国会に提出した。財務省は予備費1兆円の範囲内で修正を抑えたいと考えており、それを超えると国債発行額が増加し、法改正が必要になるためだ。

 国民民主党の「年収103万円の壁」を178万円に引き上げる案は7兆円以上の減税となり、受け入れられない。立憲民主党の修正案は3兆8千億円の減額だが手続きが煩雑で避けたい。一方、日本維新の会の教育無償化案は歳出増が2千億円と少なく、同意しやすかった。

 公明党の減税案は6千億円で、予算修正は1兆円以内に収まった。財務省は野党間の協調を防ぎ、政府・与党をコントロールした形だ。立民、国民、維新の3野党が協調して、政府・与党に対峙(たいじ)させないように計算した財務省の勝ちのようなものだ。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】3野党が結託したら予算はどうなった? 財務省の裏ワザと特例公債法の闇

まとめ
  • 3野党が結束すれば、予算案を大胆に修正し、10兆円規模の歳出拡大や減税をぶち上げることになった。国民生活を支える財政出動が膨らみ、国債発行や特例公債法改正が避けられなくなる。
  • 統一戦線を組んで政府・与党に圧力をかけ、減税や社会保障拡充などの国民目線の政策で支持を集め、国会運営を乗っ取る勢いで予算を国民目線に変えるシナリオが考えられた。
  • 財務省の硬直的な財政規律や予備費1兆円の枠が崩れ、特例公債法を活用した大規模財政出動や改正で、国民経済の成長と暮らしの向上につなげるチャンスが生まれたかもしれない。
  • 高橋洋一が「財務省の勝ち」と言うのは、3野党の足並みを揃えさせず、バラバラな提案を放置した財務省の策略が成功したからだ。
  • 特例公債法の改正は必須で、「赤字国債」という誤解を招く呼称を捨て、国債を経済成長の原資と捉え直せば、財政政策が柔軟になり国民生活が向上する。コロナ禍の100兆円国債発行と雇用調整助成金で経済を安定させた例がその証だ。

立憲・維新・国民は「給食費無償化」法案ではまとまったが・・・・

高橋洋一氏が言う「立民、国民、維新の3野党が手を組んで政府・与党に立ち向かう」とは、一体どんな展開になるのか。 まず考えられるのは、3野党が一丸となって予算案を大胆にぶった斬り、書き換えるシナリオだ。国民民主党の「年収103万円の壁を178万円に引き上げ」で7兆円超の減税、立憲民主党の3兆8千億円減額案、日本維新の会の教育無償化で2千億円増。

これを全部合わせたら、10兆円規模の歳出拡大や減税だ。もしこれが実現したら、国民の暮らしを支える財政出動が一気に膨らみ、国債発行が増え、特例公債法の改正だって避けられない。

次に、3野党がバラバラに動くのではなく、事前に作戦を練って統一戦線を張り、政府・与党にガツンと圧力をかけるパターンだ。予算委員会や国会審議で共同提案をぶち上げ、減税、教育投資、社会保障の拡充と、国民が「おお!」と目を輝かせる政策を並べ立てる。与党に譲歩を迫り、国民の支持をガッチリつかむ戦略だ。

さらに、国会運営を乗っ取る勢いで動く可能性もある。維新が現実的な歳出増を打ち出しつつ、立民と国民が大規模な財政出動を叫べば、与党は分裂し、予算案を国民目線でガラッと変えざるを得ない。審議日程をグズグズ引き延ばし、硬直的な予算成立をぶち壊す展開だってあり得た。

もしこんな協調が現実になったら、財務省が頑なに守る硬直的な財政規律や予備費1兆円の枠など吹っ飛び、国民経済を活性化させる政策が大規模に動き出したかもしれない。

ここで特例公債法の話だ。これは財政法第4条で「赤字国債はダメ」と禁止されているのを、特別な事情があれば認めるにする法律だ。経済危機や災害のような緊急時に国会で決め、一時的に国債発行を認める仕組みだ。だが日本では、この特例公債法が毎年お決まりで制定され、「特別な事情」なんて関係なく運用が常態化している。

結果、財政法第4条の原則は形だけで、実質的な財政規律の歯止めが効かなくなっているのが現状だ。野党が力を合わせたら、この特例公債法を使って国民生活を支える大規模な財政出動をぶち上げるか、抜本的に法律の改正を求めることで、硬直的な財政運営をひっくり返し、国民経済の成長と暮らしの向上につなげるチャンスが生まれるかもしれなかった。

高橋洋一が「財務省の勝ち」と評したのは、こういう国民目線のシナリオを潰し、3野党の足並みを揃えさせなかった財務省の策略がハマったったという意味だ。立民の大規模減額、国民の大胆な減税、維新の控えめな増額と、各野党の提案規模や優先順位がバラバラなのをそのまま放置し、協調の時間を与えず、1兆円の予備費枠を盾に「財政規律崩壊」と脅した。野党同士を対立させ、団結の芽を摘んだ。財務省は野党の「違い」を利用し、10兆円規模の国民目線政策を潰した。統一戦線を組ませなかった。財務省は高笑いだ。

だが、特例公債法の抜本的な改正は、国民経済を考えれば絶対に見直すべき課題だ。例えば、2020年のコロナ禍だ。政府は特例公債法を使って約40兆円の赤字国債を発行し、給付金や事業支援を打ち出した。これで経済の急落を食い止めた。

2020年財務省は「国の借金」一人当たり1000万超と煽っていたが・・・

安倍政権時代に60兆円、菅政権で40兆円の合計100兆円もの国債を発行し、日銀がそれを買い取る形でコロナ対策を進めた。さらに、日本特有の雇用調整助成金制度が効いて、他国では失業率が一気に跳ね上がったのに、日本ではそんなことはなかった。

米国だと2020年4月に失業率が14.8%まで爆上がりしたが、日本は最大でも2.8%で済み、雇用を守り抜いた。この事実が示すのは、国債発行と政策がうまく噛み合えば、経済の安定はしっかり守れるということだ。そうして、このようなことを実行しても当時から岸田政権初期までは、良いことばかりで何の不都合もなかった。もしあれば、財務省やマスコミ、識者などはここぞとばかり「赤字国債大量発行の失敗」を批判しただろう。いや、本当は批判したかったのだが、批判すれば、ボロがでることを恐れているのかもしれない。

マクロ経済の常識から見ても、国債発行で財政支出を増やすのは景気調整に効く。特に低金利の今なら債務負担だって軽い。1990年代以降の日本は緊縮財政で経済が停滞した苦い過去がある。特例公債法の硬直的な運用は、国民経済の可能性を押し潰しているといえる。3野党が結束して、特例公債法をを改正し、財政法第4条の古臭い原則を今の経済状況に合わせて柔軟に変えるべきだ。それが国民生活を良くし、経済成長を引っ張る道だ。財務省の硬直的な財政運営をぶっ壊す、真の国民のための政策だ。

そもそも、「赤字国債」という呼び方自体が正しくない。「国が借金で財政を賄う」などと暗いイメージを植え付けるが、マクロ経済で見れば、国債発行は経済全体の需要を支える大事な武器だ。経済学者のポール・クルーグマンは、低成長期に国債を発行すれば経済が動き出し、税収が増えて長期的には財政が安定すると喝破している。

 ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン

2008年のリーマンショック後、米国は大胆な財政出動でGDP比の債務が増えたのに経済を立て直した。日本では「赤字国債」という言葉が1970年代から使われてるが、これは財政法の古い枠組みに縛られた政治的な言い回しにすぎない。他国ではこんな呼び方はしない。米国だと一般的には「Treasury Bonds」、英国なら「Gilts」と呼ばれ、「赤字」などというネガティブな響きはない。

日本の「赤字国債」は財政法第4条の特有な背景から来てる異端児ともいえる。国民経済の視点で見直せば、国債は「経済成長の原資」だ。「赤字」などの誤解を招く言葉は捨て去るべきだ。特例公債法の改正と一緒にこの認識をぶち壊せば、財政政策はもっと柔軟になり、国民生活をグッと押し上げる力になる。

野党の幹部らは、そこまで読んだのか? 情けないの一言に尽きる。だが、今後このような機会は、自公が少数野党である限り、何度でもある。ここは、野党に期待したい。こと経済面に関しては、本当の大きな敵は、自公ではなく財務省であるという視点を忘れるな!

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2025年2月28日金曜日

ドナルド・トランプを無能と言い捨てる「識者」たちは現実を見失っている…ロシア・ウクライナ戦争を終わらせるトランプ大統領の交渉戦略―【私の論評】トランプの「力による平和」とドラッカーの教え:「良き意図」から実務へ

 ドナルド・トランプを無能と言い捨てる「識者」たちは現実を見失っている…ロシア・ウクライナ戦争を終わらせるトランプ大統領の交渉戦略

まとめ
  • トランプの戦争終結への取り組み: 就任1カ月でロシア・ウクライナ戦争の終結を目指し、米露会談を進め、欧州を動揺させる一方、日本の「識者」から猛反発と侮蔑を受ける。
  • 識者の態度とその危険性: 「識者」がトランプを低能・異常と嘲笑し、停戦調停に苛立つが、これは現実分析の放棄であり、選挙で信任された実力者を侮る危険な姿勢。
  • 交渉者としての第三者性: トランプはロシアに好感され、ウクライナに圧力をかけ、アメリカを支援者から調停者にシフトさせ、戦争終結を目指す論理的な戦略を展開。
  • ロシアとウクライナへの対応: ロシアにはNATO不加盟を提示して交渉に引き込み、ウクライナには支援停止や資源権益要求で現実を突きつけ、停戦を「利益」と認識させる。
  • 冷徹だが一貫した姿勢: トランプの手法は冷徹だが目標と手段に一貫性があり、侮蔑は現実乖離を招き、誤った分析がしっぺ返しとなる危険性を孕む。

トランプ大統領がアメリカ大統領に就任して1カ月が経過し、その間に多くの出来事が起こった。特に外交面で注目されているのは、選挙戦中から公約していたロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた取り組みである。トランプはこれに本気で取り組んでおり、就任後、米露外相会談が実現し、首脳会談も予定されている。これまでロシアを孤立させることに注力してきた欧州諸国にとっては梯子を外された形だ。

一方、日本の「識者」層からはトランプに対し猛烈な反発と侮蔑が directed されている。彼らは「ウクライナは勝たなければならない」と主張してきたが、トランプが停戦調停を進めようとすることに苛立ちを覚えているようだ。トランプの知的水準が低く、性格が異常であるとして、その行動や発言を嘲笑うことが常識的態度であるかのように振る舞っている。

しかし、これは危険な現象である。気に入らない状況を「誰かが無能で異常だから」と片付けてしまうのは、現実の分析を放棄するに等しい。トランプはアメリカの選挙民から二度も信任を得た人物であり、第一期政権時と比べて知識、経験、人脈も豊富だ。客観的には類まれな実力者であり、安易に侮るべきではない。

トランプは戦争終結に向け、交渉者としての「第三者性」を獲得しようとしている。ロシアには好感される発言を繰り返し、ウクライナのNATO加盟を認めない立場を示して信頼を得ようとしている。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領に対しては、バイデン政権が戦争を招いたと批判し、ゼレンスキーを「選挙のない独裁者」と揶揄するなど厳しい態度を取る。さらにウクライナ領内のレアアース資源権益をアメリカに譲るよう圧力をかけ、支援停止もちらつかせて現実を突きつけている。これは、アメリカが一方的なウクライナ支援者から中立的な調停者に立場を移すための戦略だ。

「識者」の間では「トランプがプーチンに騙された」という物語が広まりつつあるが、トランプの行動は交渉の観点からは破綻していない。ロシアにはウクライナのNATO不加盟を交渉材料として提示し、戦況で優位なロシアを調停のテーブルに引き寄せようとしている。ウクライナには支援打ち切りや選挙実施の圧力をかけ、停戦が「利益」であると認識させようとしている。

ゼレンスキーが抵抗を続ける場合、「選挙のための停戦」が提案される可能性もあり、ロシアもそれに賛同するかもしれない。ウクライナ国民の疲弊や世論分裂が進めば、ゼレンスキーの強権政治にも限界が来るだろう。

トランプの手法は冷徹だが、目標と手段に一貫性がある。彼を無能や異常と侮蔑するのは現実から乖離しており、分析を誤ればしっぺ返しを食らう危険がある。

篠田 英朗(東京外国語大学教授・国際関係論、平和構築)

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【私の論評】トランプの「力による平和」とドラッカーの教え:「良き意図」から実務へ

まとめ
  • ピーター・ドラッカーの言葉「良き意図と実務は違う」は、行動と結果が重要であることを示している。意図だけでは、それがいかに素晴らしいものであっても、無意味だ。
  • トランプ大統領のロシア・ウクライナ戦争終結への取り組みは、単なる意図にとどまらず、実行を伴うものである。
  • トランプはアメリカを中立の調停者として位置づけ、ロシアとウクライナの交渉を進めている。
  • 彼の目指す「力による平和」は、侵略を許さない新たな秩序を築くことにある。
  • トランプの実務が成功するかどうかは、実際の成果にかかっているが、現実の壁は依然として存在するものの、もう後戻りはない。

ドラッカー氏

ピーター・ドラッカーの「良き意図と実務は違う」という言葉は耳に残る。立派な目標を掲げるだけでは何も変わらない。行動に移し、結果を出して初めて意味が生まれるのだ。この考えをトランプ大統領のロシア・ウクライナ戦争終結への取り組みに当てはめると、彼の動きが単なるお題目を超えた力を持っていることが見えてくる。トランプは「戦争を終わらせる」と宣言するだけでなく、その先に「力による平和」という強固な秩序を築こうとしている。世界が再び力の時代に突入する今、これはただの夢物語ではない。

トランプが選挙で叫んだ「戦争を終結させる」は、ドラッカーの言う「良き意図」だ。平和を求めるこの公約は誰もが拍手喝采を送る。だが、ドラッカーは冷徹だ。「意図だけでは何も変わらない」と言い切る。たとえば、明日から禁煙すると決めたところで、タバコを手に持てば意味がない。吸わないと決めて、実際に捨ててみせる。それが実務だ。トランプも同じだ。言葉だけではなく、実行が伴わなければ戦争は終わらない。

就任後1カ月でトランプは動き出した。「一日で戦争を止める」と豪語し、その言葉を裏付ける行動を起こしている。2025年2月18日、ルビオ国務長官がラブロフ外相と会談。米露首脳会談の準備も進む。これはロシアを孤立させる従来の路線を捨て、交渉の土台を作る一手だ。トランプはアメリカを中立の調停者に据え、ロシアにはウクライナのNATO加盟を認めないと約束。一方、ウクライナには支援停止やレアアース権益を要求し、両者を交渉のテーブルに引きずり出す。これがドラッカーの「現実と向き合う」姿勢だ。机上の空論ではない。現実を動かす実務だ。

トランプの視野は戦争を止めるだけに留まらない。その先にあるのは「力による平和」。中国だろうが誰だろうが、侵略を許さない鉄の秩序だ。ソ連崩壊後の穏やかな時代は終わり、世界は再び力で語り合う時代に戻った。トランプはそれを見越している。ウクライナ戦争の和平条件にこだわるより、今すぐ終わらせて、次の脅威に備える。これが彼の計算だ。EUや日本のリーダーも、いずれこの現実に目を覚ますだろう。

レーガン大統領は冷戦時代に「力による平和」を語っていた

日本の自称「識者」はトランプを笑う。「無能だ」「異常だ」と決めつける。だが、彼らはドラッカーの教えを無視している。意図の価値は実務で証明されるのだ。トランプが米露関係を立て直し、ウクライナに圧力をかける姿を見れば、彼の意図が空虚でないのは明らかだ。「識者」の批判は現実を見ないおごりだ。ドラッカーが警告した「分析の放棄」そのものだ。トランプの「力による平和」は日本にも覚悟を求める。日本も目を覚ませ。

トランプの実務が成功するかどうかは、ドラッカーの言う「測定可能な成果」にかかっている。測定可能でなければ、成果を無意味というのが、ドラッカーのもっともな持論だ。和平が実現すれば勝利だ。だが、今はまだ道半ば。ロシアは戦況がみせかけかもしれないが有利だから停戦に消極的みえるし、ゼレンスキーは支援を期待して抵抗する。

これが現実の壁だ。それでもトランプは動く。ロシアに利益をちらつかせ、ウクライナに厳しい選択を迫る。冷徹で論理的なこのやり方は、ドラッカーの語る実行力だ。その先に「力による平和」が待つ。戦争を終わらせ、侵略を抑え込む強さだ。

ドラッカーの「良き意図と実務は違う」をトランプに当てはめれば、彼の取り組みは本物だ。戦争終結という意図は、米露関係の改善や交渉の駆け引きで形になりつつある。さらに「力による平和」で世界の崩壊を防ぐ。これがトランプの狙いだ。意図だけでは何も動かない。実務が現実を切り開く。

石破首相は長々と自ら思う「良き意図」を語るが・・・・・・

トランプをバカにする連中は、この基本を見落としている。彼の実務は彼がそれを認識しているか否かは別にしてドラッカー流の哲学に沿った力強さだ。ただし、成功はまだ不確実だ。さらなる努力と現実への対応が鍵だ。しかし、もう後戻りすることはない。そして、その先に訪れる力の時代に、日本も含めた西側は備えなければならない。目を背けるな。厳しい現実がそこにある。石破首相のように「良き意図」を語っているだけでは無意味だ。

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2025年2月27日木曜日

トランプ氏 ウクライナ鉱物権益で合意も安全の保証は欧州責任―【私の論評】米国がウクライナ支援転換!トランプ政権の真意と日本への影響とは?

トランプ氏 ウクライナ鉱物権益で合意も安全の保証は欧州責任

まとめ
  • 鉱物資源合意と安全保障: トランプ大統領は、28日にゼレンスキー大統領と鉱物資源の権益に関する合意文書に署名予定と発表。一方、米の権益が宇にあることが安全保証につながると述べつつも米ではなく欧州が担うべきだとした。
  • ロシアへの対応: トランプ大統領は、宇の安全は欧州の責任と強調し、停戦協議ではロシアのプーチン大統領も譲歩が必要だと述べた。
  • ゼレンスキー大統領の期待: ゼレンスキー大統領は、米との交渉に期待を寄せ、平和実現には米の継続的支援と力が必要だと訴えた。

トランプ・ゼレンスキー会談 AI生成画像

アメリカのトランプ大統領は、今月28日にウクライナのゼレンスキー大統領が訪米し、鉱物資源の権益に関する合意文書に署名する予定だと発表しました。トランプ大統領は、アメリカの権益がウクライナ国内にあることで、ウクライナの安全確保にもつながると述べつつも、安全の保証については「ヨーロッパが責任を負うべきだ」と強調しました。特に、ウクライナの安全保障に関しては、地理的な近さを理由にヨーロッパが主導するべきだという姿勢を示し、ロシアのプーチン大統領にも譲歩が必要だと指摘しました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、今週金曜日に予定されているアメリカとの交渉に向けて準備を進めていると述べ、トランプ大統領との会談にも期待を寄せています。ゼレンスキー氏は、アメリカの支援がウクライナの平和と安全の鍵であると強調し、「平和への道には力が不可欠だ」と訴え、引き続きアメリカの支援を求めました。

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【私の論評】米国がウクライナ支援転換!トランプ政権の真意と日本への影響とは?

まとめ

  • 米国の政策転換: ウクライナ侵攻3年目の国連総会特別会合で、米国はロシア非難決議案に反対票を投じ、紛争の早期終結を重視する姿勢を示した。
  • トランプ氏の影響: ゼレンスキー大統領批判を強め、中国対抗を優先する戦略が背景にあり、欧州依存脱却の一貫した姿勢を見せている。
  • 経済・国内事情: エネルギー市場の変動やインフレなどの国内政治的圧力が、米国の対ロシア政策に影響を与えた。
  • 国際的な反応: 欧州諸国は米国の急激な政策転換に追いつけず、スロベニアなどが懸念を表明している。
  • 日本への影響: 日本はブレない姿勢を示しているが、トランプは、ウクライナ戦争の和平条件にこだわるより、今戦争を止め、その後は中国を含むどの国にも侵略を許さない力による平和を求めようとしている。

  • ロシアによるウクライナ侵攻3年に合わせて開かれた国連総会の特別会合=24日

    米国は24日、ロシアによるウクライナ侵攻から3年目を迎えた国連総会特別会合で、ロシアを非難する決議案に反対票を投じた(賛成93、反対18、棄権65)。これまでウクライナ支援を政策の柱としてきた米国が、ここにきて紛争の早期終結を重視する姿勢を明確にしたのである。

    この動きの背景には、トランプ大統領の存在がある。彼は近頃、ゼレンスキー大統領への批判を強め、米政権はロシアとの戦争終結に向けた協議を進めている。トランプ氏はかつて、2018年の国連演説でドイツなどがロシアの天然ガスに依存する姿勢を痛烈に批判していたが、今回の決議姿勢はその過去の発言とは一線を画しているようにもみえる。

    しかし、実は彼の一貫性は揺らいでいない。トランプ氏は2018年当時から中国を最大の競争相手と見なしており、欧州がロシア依存を脱し、力による平和を認識し、軍事費を増やし、もっと強硬に対峙していれば、ウクライナ戦争は防げたという考えを持ち続けているのだ。欧州の力による平和への対応不足に対する苛立ちと、中国への対抗姿勢が、彼の対ロ政策の変化の背後にある。

    2018年国連で演説するトランプ大統領(当時)

    さらに、米国の戦略転換には経済的な事情も絡んでいる。エネルギー市場の変動や国内の政治的圧力が、かつての対ロ強硬路線を揺るがしたといえる。「エネルギー市場の変動」とは、バイデン政権時の2022年以降、ロシア産天然ガスの供給不安や価格高騰が欧州経済を揺さぶり、米国がエネルギー輸出で利益を得る一方、ロシアとの対立がエネルギー安定を脅かすリスクを高めた。ただし、バイデン政権と異なり、トランプ政権では、エネルギー政策を変更しエネルギーによるロシアの優位性は崩れ、交渉における大きな障害の一つが取り除かれたといって良い状況になっている。

    「国内の政治的圧力」は、インフレや経済停滞への不安が高まる中、国民や議会の一部がウクライナ支援のコスト増に反発している現状を意味する。米国は、単一国家として軍事・絶対額で最大のウクライナ支援をしてきた。いつまでも、戦争を長引かせることは明らかに米国にとっては得策とはいえない。こうした声を無視できないトランプ政権は、国内優先の政策を打ちだしたといえる。

    そして、何よりもトランプ氏の頭にあるのは、中国だ。2024年11月、彼の選挙公約は「中国の経済的・軍事的台頭を抑えるため、欧州の紛争にリソースを割く余裕はない」と明言している。側近たちも「ロシアよりも中国封じ込めに集中すべきだ」と語っており、政権のスタンスは明確である(ワシントン・ポスト、2024年12月10日付)。

    その証拠に、同日、米国は国連安全保障理事会で同様の決議案を提出し、賛成10票(ロシア含む)で採択された。しかし、英国やフランスなど欧州5カ国は棄権。この結果に、欧州諸国は危機感を募らせ、トランプ氏の「紛争の早期終結」路線が国際社会でも影響力を増していることを示している。

    フランスのマクロン大統領は同日、トランプ氏と会談し「ロシアへの強硬姿勢が和平に必要だ」と主張した。マクロンに発言を訂正されつつも、トランプ氏はこれを一蹴した。また、スロベニアのズボガル大使はBBCに「米国の急激な政策転換に欧州は追いついていない」と語り、EUが独自の平和戦略を模索する必要性を指摘した(BBC、2025年2月26日)。


    そして今、2月28日にゼレンスキー大統領が訪米し、トランプ氏と会談する予定だ。トランプ氏はウクライナの鉱物資源を活用した経済協定を提案し、紛争の早期終結を狙う。しかし、ゼレンスキー氏は安全保障の保証を求めるだろう。両者の意見が一致する可能性は低く、部分的な進展があったとしても、包括的な合意に至るのは難しいかもしれない。

    一方、日本の石破首相は2月24日、ウクライナが主催した首脳会合にオンライン参加し、「ロシアによる攻撃を強く非難し、ウクライナが関与する形で公正な平和を実現することが重要だ」と声明を出した。日本はブレない姿勢を見せている。ロシアに不法占拠されている北方領土を有する日本として当然の対応かもしれない。

    しかし、米国の動きは日本の政界に動揺を広げている。特に、国連総会特別会合で採択された決議案は、ロシアの侵攻が世界の安定に与える深刻な影響を懸念し、平和的解決を求める内容だったにもかかわらず、米国はロシアを「侵略者」と呼ばず、ウクライナの領土一体性に触れない案を出したが、修正案の採択を受け棄権した。

    結局、米国は国連安全保障理事会でも同様の決議案を提出し、賛成10票で採択された。トランプ氏の影響力が高まり、日本のメディアや政府は米国の急激な政策転換に対応できていない。

    例えば、朝日新聞は2月26日付の社説で「米国の意図が不明確」と困惑を示し、外務省関係者は「ウクライナ支援の枠組み見直しが急務」と漏らしているが、具体策は見えてこない(NHK、2025年2月27日)。

    ただ、トランプ政権がもう後戻りすることはない。戦争によって奪われた領土が平和交渉などで戻って来るようなことは「例外中の例外」に近い稀なケースである。また、国連は2018年のトランプの演説での警告に何らの対応もできなかったし、トランプ氏自身も期待していなかったが、最後通牒として警告を発したのだろう。

    ミンスク合意はウクライナ東部紛争を解決しようとした試みだったが、曖昧さや双方の不信感から失敗に終わりブダペスト覚書のような過去の約束も破られ、結局国連などによる、いわゆる国際社会のルールは理念としては機能するが、現実の力関係を覆すほどの強制力を持たない。NATOは抑止に「何もしなかった」わけではないが、ロシアの侵攻を防ぐには不十分だった。事前の努力はあったものの、結果的に抑止力として機能せず、戦争後の支援にシフトした形だ。それが厳しい現実なのだ。

    そのようなことをさせないためには、力による平和により、最初から領土を奪われないようにするしかない。習近平、プーチン、金正恩も力による平和は理解するが、理念など通用しない。であれば、ウクライナはいつまでも西欧諸国の支援に頼り続けるより、自ら核武装すべきだろう。そうしなければ、和平が成立したとしても、後々再度ロシアに侵攻されないという保証はない。ウクライナには原発が存在し、核兵器の原料プルトニウムが存在し、また旧ソ連の軍事技術を継承したウクライナは、核兵器を製造する技術力もある。

    今は理念を語る、EUや日本の首相もいずれにこれに気づくことになるだろう。ウクライナ戦争の和平条件にいつまでも拘泥するよりも、今の時点で戦争をやめさせ、それ以降の侵略は中国を含めいかなる国にも絶対にさせないという、力による平和を実現しなければ、世界秩序はいずれ完全に崩れ去るだろう。これが、トランプの考えだ。これに対して、日本も含めた西側諸国も、備えを固めなければならない。世界は、再び力による平和が重視される時代に戻るのだ。というより、現在の状況は、ソ連崩壊により、一時小康状態が続いていただけなのかもしれない。

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    2025年2月26日水曜日

    高校授業無償化が柱の新年度予算案、合意文書に自公維が署名…予算成立確実に―【私の論評】高校無償化で中国の魔の手が!? 中長期では医療費タダ乗りと移民急増の危機

    高校授業無償化が柱の新年度予算案、合意文書に自公維が署名…予算成立確実に

    まとめ
    • 自民、公明、維新が2025年2月25日に高校無償化の予算案修正で合意。維新賛成で3党が衆院過半数を確保、成立確実。1000億円投じ、修正案提出へ。
    • 2025年度から全世帯に年11万8800円、2026年度から私立高校生に年45万7000円支援、所得制限なし。給食無償化も推進、財源4000億円は未定。
    • 保険料軽減協議体設置、医療費4兆円削減を考慮。維新初の予算賛成で、与党は「103万円の壁」見直しも維新と連携へ。


     自民、公明、日本維新の会が2025年2月25日に高校授業料無償化を柱とする2025年度予算案の修正で合意し、署名した。維新は予算案に賛成を決め、3党の議席で衆院過半数を確保、予算成立が確実になった。石破首相、斉藤公明代表、吉村維新代表が出席した党首会談で、首相は与野党合意の意義を強調。高校無償化に1000億円を投じ、29年ぶりの予算修正案を出す方針だ。

     合意では、2025年度から全世帯に年11万8800円の就学支援金を支給。2026年度からは私立高校生への支援を年45万7000円に引き上げ、所得制限を撤廃。小学校給食無償化を2026年度から、中学校も早期に目指す。財源4000億円は行財政改革で確保するが、具体策は不明。社会保障改革では保険料軽減の協議体を設置し、維新の医療費4兆円削減を「念頭に置く」で妥結。

     衆院では自公220議席に維新38議席が加わり、過半数の258議席を握る。維新が予算案に賛成するのは初。吉村氏は「公約実現のため」と意気込む。与党は国民民主党との「年収103万円の壁」見直しでも、維新に協力を求める構えだ。

    この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事を御覧ください。

    【私の論評】高校無償化で中国の魔の手が!? 中長期では医療費タダ乗りと移民急増の危機

    まとめ
    • 自民、公明、維新の3党が2025年2月25日に高校無償化で合意。短期的(1~3年)には、中国人留学生急増や私立高校乗っ取り、医療費タダ乗りの懸念はないかもしれない。合意の目的は教育費軽減で、現行法が防ぐ。
    • ただし中長期(4~10年)では、中国が私立高校を資金で支配し、移民が増え、医療費が膨張するリスクあり。孔子学院やオーストラリアでの浸透(土地2.3%掌握、1500億豪ドル投資)が示す中国の脅威はリアル。
    • 外国人住民(2023年322万人)が無償化で増え、国民健康保険の外国人加入者(150万人、4%)が倍増なら医療費は1000億円超。中国のタダ乗り業者や医療施設買収が危機を加速。
    • 維新の医療費4兆円削減導入なら、病院縮小で日本人医療が後回しに。移民のタダ乗りが増え、国民皆保険崩壊の危険。中国の隙をつく動きが懸念される。
    • 政府の透明性・監視はザル。オーストラリアは献金禁止法で対抗、日本は無策。このままでは教育・医療が中国に食われ、国民が苦しむ可能性がでてくる。
    元衆議院議員の金子恵美氏は26日、フジテレビ系「めざまし8」で、自公維が高校無償化で合意したことについて「言葉は悪いが、教育行政を人質にして予算を取ったと私は思っている」と発言

    自民党、公明党、日本維新の会が2025年2月25日にぶち上げた高校授業料無償化の3党合意。これが火種となって、「いずれ中国人高校生が殺到する」「中国が私立高校を乗っ取り、移民が押し寄せ、国益を損なう教育が横行する。挙句に納税者に負担を押し付け、医療費のタダ乗りまで増える」との声が沸き上がっている。これは本当なのか。「短期」を1~3年、「中長期」を4~10年と見立てて、この不気味な予測を精査してみよう。

    短期的には、さほど心配はないかもしれない。この合意に中国人留学生を増やす文言なんて一文字もない。目的は日本に住む全世帯の教育費を減らすことだ。文部科学省のデータ(2023年度)を見れば、高校レベルの外国人留学生なんて雀の涙ほど。中国人高校生が急に増えるなんて杞憂にすぎないかもしれない。

    ビザの壁は厚いし、そもそも現状では学校だって受け入れる態勢がない。中国が私立高校を買い漁る? 学校教育法や私立学校法が鉄壁のガードだ。そんな簡単に乗っ取られることはないかもしれない。国益をぶち壊す教育を押し付けるなんてできないし、移民推進も目立って進んではいない。医療費のタダ乗りも今は大問題ではない。国民健康保険に加入する外国人は約150万人(2022年度)。無償化で多少移民の子供が増えても、1~3年で医療費が跳ね上がることはないだろう。しかし、これで安心てきるのだろうか。

    日章学園九州国際高校の在学生の9割が中国人留学生

    4~10年先となると、背筋が寒くなる。中国が動き出す可能性は大きい。日本には約1300校の私立高校があるが、少子化で生徒が減り、経営が苦しい学校がゴロゴロしてる。ここに中国が金をかけてくるかもしれない。寄付や提携をエサに理事会に潜り込み、実質的に支配する手口だ。

    中国は実際海外で似たことをやってる。孔子学院だ。世界140カ国以上に約550拠点を置き、中国語や文化を教える名目で入り込んできた。だが、アメリカやオーストラリアでは「プロパガンダの巣窟だ」「学問の自由を潰す」と袋叩きにされ、締め出しが始まった。オーストラリアの大学では、中国政府が孔子学院を通じて学生を監視し、反政府的発言を封じ込めていた。2019年にはクイーンズランド大学で、香港デモを支持する学生が親中派に暴力で襲われ、中国領事館がそれを煽ったなどいう話もある。日本でも同じ手口が炸裂しないとは言えない。

    しかも、中国には医療費タダ乗りをすすめる業者までいる。外国の保険制度にタダ乗りさせ、儲けを出す連中だ。こんな国だ。いずれ日本の高校をすすめる業者だって出てくる可能性は否定できない。少子化が進めば、学校は金に飢える。規制が緩めば(たとえば外国資本の参入が簡単になれば)、中国が私立高校を次々押さえる未来はリアルだ。

    オーストラリアでは、中国資本が土地の2.3%を握り、企業買収に1500億豪ドルをつぎ込んだ。この浸透力は脅威だ。日本が無防備なら、私立高校が中国の手に落ちる危機は十分ありえる。とはいえ、学校教育法や文部科学省の監視が生きてる限り、国益を壊す教育を好き勝手にはできない。政府や世論が黙ってはいないだろうが、油断は禁物だ。

    外国人住民は2023年で約322万人(法務省統計)。労働力不足でこれからも増える可能性がある。無償化で教育費が浮けば、中国人を含む移民の子供が私立高校に流れ込む。4~10年でその数は目に見えて増えるかもしれない。今は少ない高校留学生が、家族ごと日本に根を張るケースも出てくる。

    中国からの人の波が強まれば、私立高校が中国人だらけなんて悪夢もありうる。だが、ビザや仕事の規制が緩まない限り、爆発的には増えない。無償化だけで移民が押し寄せることは考えにくい。それでも、外国人の割合が上がれば、税金で教育費を賄う負担は重くなる。いまは、情報に敏感な人たちが「移民を増やしてる!」と叫んでいるだけだが、多数の有権者がこれを叫ぶのが現実になる日が来るかもしれない。

    そして医療費のタダ乗り。これが一番酷い。国民健康保険に加入する外国人は今、約150万人で全体の4%(2022年度)。だが、無償化で移民が定着すれば、4~10年でこの数字は跳ね上がる。家族で移住し、保険に入る。中国人コミュニティが病院に通えば、医療費は膨らむ。厚生労働省の試算じゃ、今でも年間数百億円かかってる。

    移民が倍になれば、1000億円を超えるなんてザラだ。中国は海外で医療にも手を伸ばしてる。オーストラリアでは、中国企業が病院や医療施設を買収し、影響力を広げている。日本でも似た動きが起きないとは限らない。生活保護や医療費減免を使えば、納税者の負担はさらに大きい。「タダ乗りだ!」と怒る声が渦巻くのは時間の問題だ。

    ここで維新が主張する「国民医療費を年間最低4兆円削減」が導入されたら、さらに危機が加速する。医療費を4兆円も削れば、病院の経営は苦しくなり、診療体制は縮小する。必要な治療が受けられなくなる日本人が増える一方で、移民がタダ乗りで医療を使う構図が強まるかもしれない。削減で医療リソースが減る中、中国人を含む外国人が保険をフル活用すれば、救えはずだった日本人の命が後回しになる危険すらある。

    タダ乗り業者が暗躍する中国なら、この隙を突いてくる可能性は高い。医療費削減とタダ乗りの合わせ技で、国民皆保険が崩壊しかねない。政府が保険のルールを厳しくすれば抑えられるが、そんな気配はまるでない。高橋洋一氏は「医療費タダ乗り問題は米国流の民間保険加入で解決する」としているが、米国みたいに民間保険を外国人にも強制すれば、日本人の税金や保険料を守れる。

    短期(1~3年)なら、この騒ぎはあまり問題にならない。3党合意にそんな意図はないし、今のルールなら何も起きないだろう。だが、中長期(4~10年)では話が違う。規制が緩み、少子化が進めば、中国が高校を押さえ、移民が増え、医療費が膨らむリスクがそこにある。孔子学院やオーストラリアへの浸透、中国のタダ乗り業者を見れば、この国が金で動き出すのは火を見るより明らかだ。

    オーストラリアでは2017年に中国の政治献金が問題になり、外国からの寄付を禁じる法律を作った。日本にはそんな動きすらない。医療費だって1000億円超えもありうる。この不安は笑いごとではない。政府は何やっているのか。 透明性も監視もザルすぎる。

    オーストラリア・メルボルンにある孔子学院の開校式に出席した習近平氏。2010年

    アメリカでは孔子学院を締め出した。オーストラリアでは、中国資本の医療進出に警鐘が鳴ってる。日本政府はボーッと見るだけなのか? 少子化で学校が潰れかけているのに、規制緩和なんて言い出したら、中国に売り渡すようなものだろう。

    医療費のタダ乗りだって、移民が増えれば、納税者が泣くのは目に見えてる。厚労省の試算だって甘すぎる。1000億円どころか、4兆円削減が絡めばもっと行くかもしれないのに、対策ゼロなどありえない。このままじゃ教育も医療も中国に食われ、国民が血を流す羽目になる。いい加減目を覚ませ、政府! 国民の不安を払拭する気があるなら、今すぐ動け! ルールを厳しくしろ、監視を強化しろ、中国のやり口を叩き潰せ! そうしなければ、与党も維新も今後有権者に見放されことになる。

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    2025年2月25日火曜日

    <ウクライナ戦争和平交渉の成否を分ける3つのカギ>プーチンが求める「大国に相応しい地位」をどう失わせるか、あり得る目標とは―【私の論評】トランプ氏激怒!プーチンへの強硬批判と報復策―経済制裁・ウクライナ支援・露外交孤立化の可能性

    <ウクライナ戦争和平交渉の成否を分ける3つのカギ>プーチンが求める「大国に相応しい地位」をどう失わせるか、あり得る目標とは

    岡崎研究所

    まとめ
    • ロシアとウクライナ双方が戦闘終結の意向を示しているが、実際の交渉開始には多くの困難が伴う。
    • ロシアはウクライナの領土併合や非武装化、NATO加盟の放棄など強硬な要求を維持している。
    • プーチン大統領の狙いは、ロシアの大国としての地位確立と国際秩序の改編にあり、ウクライナ侵攻はその一環である。
    • 交渉実現には、ウクライナへの軍事支援強化やロシアに対する制裁強化が必要である。
    • 交渉の課題は、占領地域の扱いや停戦監視体制、ウクライナのNATO非加盟問題など多岐にわたる。

    AI生成画像

     ロシアとウクライナの戦争が続く中、ウォールストリート・ジャーナル紙の2025年2月5日付けの解説記事が注目を集めている。同記事は、ロシアとウクライナの双方が戦闘終結に向けた話し合いの意向を示していると報じつつも、実際に交渉を開始するには多くの困難が伴うことを指摘している。

     ロシアのクレムリン報道官であるペスコフ氏は、2月5日に米露間での接触が行われており、最近ではその頻度が増していることを明らかにした。これは、モスクワがウクライナでの戦闘終結に関する米露間の協議が進んでいることを初めて認めた発言である。このペスコフ氏の発言は、両国が紛争終結に向けて話し合う意志を示しているというシグナルとして受け取られ、和平の可能性に期待を抱かせるものであった。

     一方で、アメリカのトランプ元大統領は、ロシアのプーチン大統領に対してますます苛立ちを募らせているようである。トランプ氏とその補佐官らは、ロシアに対する制裁の強化や、ロシアの主要輸出品である原油価格の下落を通じて、モスクワに譲歩を迫る計画を打ち出している。しかし、プーチン大統領は公の場ではトランプ氏を称賛する姿勢を見せ、2020年の米大統領選挙が「盗まれた」とするトランプ氏の虚偽の主張にも同調している。さらに、もしトランプ氏が大統領であればウクライナ紛争は起きなかったかもしれないとの発言も行っている。しかし、こうした言動にもかかわらず、プーチン大統領はトランプ氏の和平提案に対しては全く関心を示しておらず、ウクライナ侵攻時に掲げた強硬な要求から一切譲歩していない。

     プーチン大統領の要求は、ウクライナの州や主要都市のすべてをロシアに併合し、ウクライナを非武装化して、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を永遠に放棄させ、事実上ウクライナを「残りかす国家」と化すというものである。このような強硬姿勢は、和平交渉を進めるうえで大きな障害となることは明白であり、仮に交渉が開始されたとしても、ロシアが戦闘で得たウクライナ領土を保持するのか、あるいは制裁緩和を得られるのかといった問題に直面することは避けられないであろう。

     また、ウクライナの将来像も大きな課題である。西側諸国の安全保障体制の中で、ウクライナをどのように位置づけるのか、またロシアが再び攻撃を仕掛けないことをどのように保証するのかという難題が残ることになる。ウクライナ戦争が始まってから約3年が経過し、ようやく停戦や終戦に向けた交渉が現実的な課題として取り上げられるようになった。ここで注目すべきは、交渉が実現する可能性と、その成否を左右する要素である。

     プーチン大統領の真の狙いは、単なるウクライナ領土の一部獲得ではない。彼が望んでいるのは、ロシアが「大国にふさわしい地位」を確立することであり、国際秩序をロシアに有利な形に改編することである。ロシアの影響力を旧ソ連圏に再構築し、欧米諸国やNATOに対して優位に立つことを目指しているのである。ウクライナへの侵攻は、プーチンの壮大な戦略の一部に過ぎず、彼の最終目標はさらに遠大なものであることを見逃してはならない。

     現在、ロシア軍は特に地上軍が疲弊しており、戦争経済も長期的な持続性を欠いている。兵員や武器の供給も新たな戦線を開くには不十分な状況である。しかし、プーチンの決意は変わらず、ウクライナ戦争がロシアによる新たな侵略を防ぐ実効的な仕組みを構築することなく終結するならば、ロシアは態勢を立て直したうえで、再び侵略を開始する可能性が高い。

     一方で、交渉を開始するためには、ウクライナへの軍事支援の強化や、ロシアに対する制裁の強化が必要である。プーチンに対して戦略環境がロシアにとって不利であると認識させ、交渉の必要性を感じさせなければならないのである。交渉を成功させるためには、まず交渉を開始するための圧力をかけることが求められるのである。

     停戦交渉が実現した場合、最も大きな論点の一つは、ロシアが実効支配するウクライナの占領地域をどのように扱うかという問題である。ロシアはこれらの地域を自国領土として法的に認めさせようとするだろうが、ウクライナと西側諸国はこれを容認することは難しい。また、停戦ラインの確定や、停戦監視の方法、ウクライナのNATO非加盟問題など、解決すべき課題は山積している。

     特に、停戦監視部隊の役割については、仮にロシア軍が攻めてきた場合に戦う覚悟が必要であり、単なる監視にとどまるようでは、過去のミンスク合意のように形骸化する恐れがある。また、ロシアが求める「ウクライナの中立」には、NATO非加盟のみならず、ウクライナの非軍事化や、ロシアの影響力を行使する権利まで含まれており、受け入れがたい内容である。

     総じて、ウクライナ戦争の終結に向けた交渉は、表面上のシグナル以上に多くの障害を伴っている。プーチン大統領の戦略的野心と、ウクライナや西側諸国の安全保障上の利益の間には、依然として深い溝があり、交渉開始から実際の和平合意に至るまでの道のりは険しいものである。しかし、戦闘が続く中で和平の可能性が語られること自体が、状況の変化を示していることも事実である。

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    【私の論評】トランプ氏激怒!プーチンへの強硬批判と報復策―破滅的経済制裁・ウクライナ支援・露外交孤立化の可能性

    まとめ
    • トランプ氏のプーチン大統領への怒りは、近年の発言や行動から着実に増幅している。
    • 2025年1月22日の『トゥルース・ソーシャル』で、トランプ氏はプーチン大統領を名指しで批判し、「彼はロシアを破壊している」と断じた上、高関税や追加制裁を警告した。
    • 2025年2月14日の記者会見では、プーチン大統領との交渉で一部進展があったものの、ウクライナのNATO加盟を阻止するとの現実的悲観論を示し、強硬姿勢に対する苛立ちを露呈した。
    • 2025年1月28日のプーチン大統領訪問時に、トランプ氏は「馬鹿げた戦争を今すぐ止めろ」と強烈に警告し、経済的圧力を強化する意向を示した。
    • これらの事例から、プーチン大統領が和平条件を無視し軍事行動を継続するならば、トランプ氏は経済制裁の強化、ウクライナ支援の拡大、外交的孤立化を組み合わせた報復措置を取る可能性が高いと同時に、日本のマスコミ報道だけに依拠しては現状を正確に把握できないとの警告もある。
    上の記事にも一部示されているが、トランプのプーチンに対する怒りは、さらに増幅しつつあるようだ。

    怒るトランプ大統領

    まず、トランプ氏は2025年1月22日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、ウクライナ戦争に関してプーチン氏を名指しで批判し、「彼はロシアを破壊している」と述べました。この発言は、トランプ氏がプーチン氏の政策や行動に明確な不満を抱いていることを示すもので、従来の友好的なトーンからの変化を感じさせる。さらに同投稿で、トランプ氏はロシアに対して「高関税と追加制裁」を警告しており、ロシアが和平に応じない場合に経済的圧力を強める姿勢を明らかにしています。この強い言葉遣いと具体的な脅しは、プーチン氏への苛立ちがエスカレートしている証拠と言えるだろう。

    また、2025年2月14日の電話会談後の記者会見でも、トランプ氏はプーチン氏とのやり取りに一定の進展を認めつつ、「ロシアはウクライナのNATO加盟を許さないだろう」と現実的な悲観論を述べています。この発言からは、プーチン氏の頑なな態度に対する諦めと苛立ちが混じったニュアンスが感じられ、和平交渉の難航に対する不満が透けて見える。特に、トランプ氏が就任早々に「1日で戦争を終わらせる」と豪語していたにもかかわらず、プーチン氏が強硬姿勢を崩さない状況が続いていることは、トランプ氏にとって期待外れであり、苛立ちの原因となっている可能性が高い。

    さらに別のエピソードとして、2025年1月28日にプーチン氏がサマラの無人航空機システム研究センターを訪問した際、トランプ氏は「馬鹿げた戦争を今すぐ止めろ」と異例の強い警告を発している。この発言は、ロシア経済がインフレや制裁で疲弊しているにもかかわらず、プーチン氏が戦争継続に固執する姿勢に対する直接的な非難であり、トランプ氏の苛立ちが公然と表面化した瞬間と言える。報道によれば、トランプ氏はこのタイミングでプーチン氏に対し、経済的「恩恵」をちらつかせつつも、応じなければ制裁を強化すると圧力をかけているが、プーチン氏の反応が冷淡であることがトランプ氏の苛立ちをさらに増幅させていると考えられる。

    サマラの無人航空機システム研究センターを訪問したプーチン大統領

    これらの事例から、トランプ氏の苛立ちは、プーチン氏が表面的には友好的な態度を示しつつも、実際にはトランプ氏の提案する和平条件を無視し、ウクライナでの軍事行動を続けている点に集約されているようだ。トランプ氏は自身の交渉力に自信を持っているだけに、プーチン氏の非妥協的な態度がその自負心を傷つけ、感情的な対立を深めていると推察される。こうした状況は、両者の関係がかつての協力的なものから、緊張感を帯びたものへと変化していることを示唆している。

    プーチン大統領が表面的に友好的な態度を示しつつも、トランプ氏の提案する和平条件を無視し、ウクライナでの軍事行動を継続する場合、トランプ氏の報復は経済制裁の強化から始まる可能性が高い。トランプ氏は過去、2018年のイラン核合意離脱後に「最大限の圧力」として経済制裁を効果的に活用した実績があり、プーチン氏に対しても同様のアプローチを取るのは自然な流れだ。

    同時に、トランプ氏はウクライナへの軍事支援を拡大する形で間接的な報復に出る可能性もある。2025年1月29日の報道では、米軍がイスラエルからペトリオット防空システムをウクライナに輸送したことが確認され、2月14日の記者会見では「ウクライナに平和をもたらす支援を続ける」と述べている。これにより、ロシア軍に打撃を与える装備—例えば長距離ミサイルやドローンの供与—を増やし、プーチン氏の軍事行動を牽制する意図が読み取れる。X上では2月23日に「トランプが裏切られたと感じればHIMARSを追加供与する」との声もあり、彼の「強いリーダー」イメージを保ちつつ直接戦闘を避ける方法として現実的だ。

    ハイマース

    さらに、外交的孤立化もトランプ氏の報復手段として浮上している。2025年2月16日のG7首脳会談で、彼は「ロシアとの貿易を制限する共同声明」を提案したと報じられ、他の主要国を巻き込んでプーチン氏を国際社会で孤立させる動きを見せている。2019年の中国との貿易戦争で同盟国を動員した経験からも、この多国間圧力は彼の得意分野と言える。ただし、直接的な軍事行動には慎重で、2月16日のスピーチで「第三次世界大戦は誰も望まない」と強調し、プーチン氏が2024年11月に発した核を含む報復警告を意識している様子がうかがえる。

    結論として、プーチン大統領が和平の道を完全に遮断し続けるならば、トランプ氏は経済制裁の強化、ウクライナ支援の拡大、さらには外交的孤立化を組み合わせた報復措置を実行する可能性が極めて高い。これらの手段は、彼自身の政治的リスクを最小限に抑えつつ、交渉力を保持するための戦略として極めて合理的である。しかし、もしロシアがウクライナにおいて決定的な勝利を収め、トランプ氏の提案を嘲笑うような状況に陥れば、彼のプライドがさらなる強硬策を誘発する可能性も否定できない。

    それにもかかわらず、現時点ではトランプ氏は「取引の達人」として、冷静かつ計算されたアプローチを堅持する姿勢を崩していない。なお、日本のマスコミ報道だけに依拠しては、世界の複雑な交渉状況やその裏側を正確に把握することは極めて困難であり、多角的な情報源から現状を精査する必要がある。

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    2025年2月24日月曜日

    ドイツ総選挙で保守系野党CDU党首が勝利宣言 反移民政党が第2党に躍進 首相与党大敗―【私の論評】ドイツ政局不安定:連立政権危機とエネルギー供給不安がEU・日本に与える衝撃

    ドイツ総選挙で保守系野党CDU党首が勝利宣言 反移民政党が第2党に躍進 首相与党大敗

    まとめ
    • 選挙結果と主要政党の動向:ドイツ総選挙でCDU・CSUが29%で首位、AfDが21%で第2党、SPDが17%で第3党、緑の党が12%を獲得。メルツ氏が勝利宣言し、SPDとの大連立が有力視されるが、過半数には3党以上が必要な可能性も。
    • 争点と政策:経済再生と移民対策が焦点となり、メルツ氏は規制見直しや減税を公約、AfDは移民への不安を吸収して支持を拡大。議席獲得には5%以上の得票が必要で、議席数は630に削減された。

    メルツCDU党首

    ドイツで23日に行われた総選挙では、保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が予想得票率29%で首位となり、メルツ党首がベルリンで勝利を宣言した。右派のドイツのための選択肢(AfD)が21%を獲得し第2党に躍進し、ショルツ首相の社会民主党(SPD)は17%で第3党、緑の党は12%の見込み。

    低迷する経済の再生や移民対策が主要争点となり、メルツ氏は環境規制の見直し、減税、エネルギー価格引き下げを公約し、ドイツのための選択肢(AfD)は移民による犯罪への不安を背景に支持を拡大した。メルツ氏は連立交渉を急ぐ意向を示し、社会民主党(SPD)との大連立が有力だが、議席過半数確保には3党以上の連立が必要な場合も。議席獲得には5%以上の得票が必要で、連邦議会の議席数は733から630に削減された。

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    【私の論評】ドイツ政局不安定:連立政権危機とエネルギー供給不安・移民問題がEU・日本に与える衝撃

    まとめ
    • CDU/CSUは得票率29%を記録し最大政党となったが、過半数未達のため連立政権樹立が必要であり、SPDや緑の党との調整が極めて困難である。
    • AfDは得票率21%を記録し、移民受け入れに対して厳格な姿勢を示すことで議会内の支持を拡大し、政治の分極化を一層深刻化させた。
    • 政局の不安定は、経済再生や移民対策といった主要改革の先送りを招くだけでなく、環境規制の見直し、減税、エネルギー価格の引き下げ策も大幅に遅延させる恐れがある。
    • エネルギー政策の決定先送りにより、再エネ依存政策の見直しが遅れ、国内のエネルギー供給不安定と価格高騰が生じ、EU全体やグローバルなサプライチェーンにも悪影響を及ぼす可能性がある。
    • ドイツの政局不安定は、日本にとっても重要な貿易相手国としての協力関係に影響を与え、輸出や投資、技術協力に悪影響を及ぼすとともに、過去の極端な移民政策の是正も早急に取り組むべき課題である。
    ドイツの政局は、今、激動の渦中にある。総選挙ではCDU/CSUが得票率29%を獲得し最大政党となったものの、単独で過半数に達しなかったため、連立政権の樹立は避けられない。メルツ党首は連立交渉を迅速に進める意向を示すが、SPDとの大連立が現実的な選択肢である一方、SPDの支持率は17%に留まり、また緑の党との協力についてはCSU内に否定的な意見が根強いため、連立内での政策調整は極めて困難な状況にある。

    ドイツでは2015年アンゲラ・メルケル首相(当時)が100万人以上の移民受け入れを推進する旨を公表

    さらに、AfDが得票率21%を記録し第2党に躍進した結果、移民受け入れに対して厳しい姿勢を示す動きが議会内で一定の支持を集め、政治の分極化は一層深刻な局面を迎えている。この動向は、CDU/CSUが移民政策や経済政策において、より保守的な立場を強固にする要因となり、連立交渉の複雑さを一層増すと同時に、必要な改革の先送りを招く危険性を孕んでいる。

    政局の不安定さは、経済再生や移民対策といった主要争点における具体的な改革の遅延を引き起こすのみならず、エネルギー政策にも深刻な影響を及ぼす。ドイツ経済が低迷する中、環境規制の見直し、減税、エネルギー価格の引き下げなどの施策が打ち出されているが、連立パートナー間の意見の相違が具体的な政策決定を大いに遅らせる懸念がある。

    欧州のエネルギーコストは高止まりしているが、最近のドイツはさらに顕著に

    政局の混迷により、再エネに過度に頼る政策の見直し等、エネルギー政策の見直しに関する決定が先送りされる可能性が高まり、国内のエネルギー供給が不安定となる。結果として、エネルギー価格の高騰が続き、企業や家計に計り知れない負担を強いることになる。

    ドイツはEUの経済大国であり、その政局の乱れはEU全体のエネルギー市場にも連鎖的な悪影響を及ぼす。ドイツに起こる供給不足は、EU全域でエネルギー価格の上昇と経済成長の鈍化を引き起こし、さらにはグローバルなサプライチェーンにも影を落とす恐れがある。

    加えて、ドイツは日本にとっても重要な貿易相手国であり、特に自動車産業や機械産業における協力関係は極めて密接である。ドイツの政治的不安定、経済低迷、そしてエネルギー価格の上昇は、日本の輸出、投資、技術協力、共同研究開発に多大な悪影響をもたらすだろう。さらに、ドイツ政局の混乱がEUの政策決定に波及すれば、日本とEUとの貿易交渉や経済連携協定にも遅れが生じ、国際経済の枠組み全体が揺らぐ可能性がある。

    こうした状況下で、ドイツの政局が不安定なまま推移すれば、政治の分極化や連立内の政策調整の難航が、経済再生や移民対策の改革を大きく遅延させるのみならず、エネルギー政策のみなおし等の決定先送りにより、エネルギー供給の不安定化と価格高騰を招く結果となる。

    ドイツの産業用電力価格も、高止まりしたまま

    これにより、ドイツ国内のみならず、EU、日本、さらには世界経済にまで深刻な悪影響が及ぶ。ドイツにおいては、気候変動対策への拘泥からの脱却、エネルギー供給の安定と価格抑制、さらには失敗が誰の目にも明らかとなり、社会不安・不安定の元凶となった過去の移民・難民政策の見直しが、今後の最重要課題として優先されるべきだ。

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    2025年2月23日日曜日

    能動的サイバー防御、台湾有事も念頭に「官民連携」など3本柱 首相命令で自衛隊が対処も―【私の論評】安倍政権のサイバー防衛戦略は継承したが、アベノミックス・憲法改正推進の継承できない石破政権

    能動的サイバー防御、台湾有事も念頭に「官民連携」など3本柱 首相命令で自衛隊が対処も

    まとめ
    • サイバー攻撃への危機感: 日本を標的としたサイバー攻撃が多発しており、欧米に比べて対策が遅れていることから、政府は「能動的サイバー防御」の導入を急いでいる。特に、台湾有事を考慮した国家安全保障戦略に基づく防御態勢の整備が求められている。
    • 三本柱の体制: 能動的サイバー防御は、官民連携の強化、通信情報の利用、攻撃元への侵入・無害化措置の三本柱から成る。新設される「国家サイバー統括室」がこれらの施策を統括し、事務次官級の「内閣サイバー官」を設置する。
    • 透明性の確保と連携強化: 官民連携により基幹インフラ事業者に情報提供を義務付け、通信情報の取得・分析で攻撃者特定を目指す。また、警察と自衛隊が協力して無害化措置を実施し、独立機関がその運用を監督することで透明性を確保する。

    政府が「能動的サイバー防御」の導入を急ぐ背景には、日本を標的としたサイバー攻撃の増加と、欧米に比べた対策の遅れに対する危機感がある。現代の戦争は、サイバー攻撃や偽情報を組み合わせた「ハイブリッド戦」に移行しており、電力、情報通信、金融といった基幹インフラが狙われる可能性が高まっている。これを受けて、政府は台湾有事を考慮し、令和4年末に策定した国家安全保障戦略に基づき、サイバー空間の防御態勢を整えることを閣議決定した。

    具体的には、能動的サイバー防御は三つの柱から成り立っている。第一に、官民連携の強化があり、国民生活の基盤となる電気、ガス、鉄道などの15業種を「基幹インフラ事業者」として指定し、ネットワーク機器の情報を政府に報告することを義務付ける。これにより、サイバー攻撃を受けた際の迅速な対応が可能になる。

    第二に、通信情報の取得と分析が行われる。政府は、憲法が保障する「通信の秘密」を尊重しつつ、IPアドレスや通信量などの情報を取得し、外国間や国内外の通信に限定して分析する。この情報を元に攻撃者を特定することが期待されている。

    第三に、攻撃元への侵入と無害化措置が実施される。これは、警察と自衛隊が連携して行い、サイバー攻撃による重大な危害が発生するおそれがある場合に、警察庁長官が指名した「サイバー危害防止措置執行官」が主導する。自衛隊は、特に高度に組織的な攻撃に対して首相の命令で対応する。

    さらに、これらの措置を監督する独立機関「サイバー通信情報監理委員会」が設置され、攻撃者のサーバーへの無害化措置については事前承認が必要とされる。運用状況は毎年国会に報告され、透明性の確保が図られる予定である。これにより、日本はサイバー攻撃に対する防御力を強化し、国民生活を守る体制を整えることを目指している。

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    【私の論評】安倍のサイバー防衛戦略は継承したが、アベノミックス・憲法改正推進は継承できない石破政権

    まとめ
    • 政府は台湾有事を背景に、2025年2月7日に令和4年末の国家安全保障戦略に基づき、サイバー空間の防御強化を閣議決定し、「国家サイバー統括室」や「サイバー通信情報監理委員会」を新設。
    • 安倍政権(2013~2020年)はサイバーセキュリティを国家課題とし、2013年の戦略本部設置や2014年の基本法成立、2019年の日米2プラス2でサイバー防衛を強化。
    • 2024~2025年のトランプ・石破会談(11月電話、2月対面)が今回の閣議決定に影響を与え、日米同盟強化やサイバー防衛の約束が背景に。
    • 今回の決定は、トランプ政権の意向や国内・国際のサイバー脅威に対応し、官民連携でサイバーセキュリティを向上させる狙い。
    • 石破政権は短期的に安倍路線の安全保障・日米関係強化を継承する可能性が高いが、経済政策(アベノミクス)や憲法改正は継承できないだろう。次の政権に期待したい。

    石破政権閣僚 閣僚の顔大きくした場合ご不快になられる方もいらっしゃるので大きく写っているものは避けました😂

    政府は台湾有事を考慮し、令和4年末に策定した国家安全保障戦略に基づき、サイバー空間の防御態勢を整えることを閣議決定した。この決定は、安倍政権下でも検討されていた重要なテーマに関連している。安倍政権は2013年に「サイバーセキュリティ戦略本部」を設置し、サイバーセキュリティを国家の重大な課題として位置づけた。この戦略本部は、サイバー攻撃への包括的な対策を講じるために、政府、民間企業、学術機関との連携を強化することを目的としていたのだ。

    安倍政権時代の、2014年には「サイバーセキュリティ基本法」が成立し、これにより国家レベルでのサイバー防御体制の強化が法的に裏付けられた。この法律に基づき、各省庁は具体的な防御策を策定し、実施する義務を負うことになった。特に安倍政権はオリンピックを控え、サイバーセキュリティの強化を急務とし、国内外からのサイバー攻撃に対する警戒を強化したのである。

    安倍政権時代には、サイバー攻撃の脅威を強調するエピソードが数多く報告された。2015年には外務省や防衛省がサイバー攻撃を受ける事件が発生し、その後も日本の企業やインフラに対する攻撃が増加した。これに対して安倍政権は、「サイバー空間での防御力を高める必要がある」との認識を示し、さまざまな施策を講じたのである。

    また、日米安全保障協議委員会(2プラス2)の開催においても、安倍政権はサイバー空間の重要性を認識した。2019年4月の共同発表では、サイバー攻撃が日米安保条約第5条の適用対象となる可能性が示され、サイバー防衛が国家の安全保障に直結することが確認された。このことは、日米同盟の枠組みの中でサイバー攻撃を武力攻撃と同視する可能性を明確にしたものであり、安倍政権の取り組みを強化する要因となった。日本側の出席者は、当時外務大臣の河野太郎と防衛大臣の岩屋毅が参加していた。

    岩屋氏と河野氏 この写真でご気分を悪くされたかた、申し訳ありません・・・・😁

    今回の閣議決定には、2024年に行われたトランプ・石破会談の影響も見られる。この会談は、2024年11月と2025年2月にわたり、電話や対面での首脳会談として実施され、日米同盟の強化と経済的協力が再確認されたエピソードがある。特に、2025年2月7日のワシントンでの初対面会談では、石破茂首相がトランプ大統領と会談し、日米安保条約第5条が尖閣諸島にも適用されることを改めて確認した。この確認は、サイバー攻撃を含む広範な安全保障課題に対する日米の協力体制を強化する基盤となったと言える。

    また、トランプ大統領が日本に対して防衛費の増強や対米投資の拡大(1兆ドル規模)を求める中、石破首相はサイバー防衛を含む国家安全保障の強化を約束し、これが今回の閣議決定の背景に影響を与えたとみられる。さらに、2024年11月の電話会談では、トランプ次期大統領との早期対話を通じて日米関係の安定を優先する姿勢が示され、これがサイバー空間の防御態勢強化を急ぐ契機となったと考えられる。

    トランプ大統領は、日本政府に安倍路線を継承せよとの意向を表明したことは明らかであり、今回の閣議決定はそれに呼応したもので、大きなものとしてはその第一弾目にあたるといえる。トランプ大統領が日米同盟の抑止力と対処力を強化する重要性を強調し、石破首相がこれに応える形でサイバー防衛の強化を約束したことが、今回の閣議決定の背景にあると考えられる。

    今回の出来事は、岸田政権が米バイデン政権に影響を受けたのと同じく、石破政権も米トランプ政権に影響を受けることを示しているといえる。


    今回の閣議決定は、こうした安倍政権での取り組みを踏まえた上で、さらに具体的な防御体制の構築を目指すものである。新たに設置される「国家サイバー統括室」や「サイバー通信情報監理委員会」などの機関は、安倍政権時代の基盤を引き継ぎつつ、より強化された体制を整えることを目的としている。

    これにより、日本はサイバー攻撃に対してより強固な防御体制を築くことを目指し、国民生活や国家の安全を守るための取り組みを強化している。政府は官民連携を促進し、情報共有を活性化することで、サイバーセキュリティのさらなる向上を図る方針である。

    石破茂政権が今後安倍晋三政権の路線を継承する可能性は、現在の国際環境と安全保障の必要性から短期的に高いと考えられる。石破政権は、トランプ政権との関係強化や台湾有事への対応を重視し、日米同盟の深化を継承するだろう。特に、2025年2月の日米首脳会談で合意された1兆ドル規模の対米投資や液化天然ガスの輸入拡大は、安倍政権が築いた経済外交を踏襲する動きである。

    ただし、経済政策(アベノミクスの金融緩和と財政出動の枠組み)は財務省等の関係から継承する見込みはない。また、憲法改正も少数与党になったことから、進められない。石破政権は少なくとも岸田政権よりは短期となるだろう。特に、現状のままだと参院選での敗北は目に見えており、自民党にとっては参院選前の石破政権の崩壊が望ましいが、参院選後まで石破政権が持続する可能性はほとんどないだろう。その後、安倍政権の経済政策、憲法改正の推進も継承する政権が成立することを願いたいものである。

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    2025年2月22日土曜日

    トランプ大統領“停戦会合ゼレンスキー大統領出席重要でない”―【私の論評】トランプ大統領の本当の対ロシア・ウクライナ戦略とは?日本メディアが報じない真実とは

     トランプ大統領“停戦会合ゼレンスキー大統領出席重要でない”

    まとめ
    • トランプ前大統領は、ロシアのウクライナ侵攻に対するゼレンスキー大統領の交渉姿勢を「効果的でない」と批判し、停戦会合への出席も重要ではないと主張した。
    • トランプ氏は、ウクライナ国内の鉱物資源をめぐる協議が不調に終わったことに不満を示したが、ゼレンスキー氏からの電話には「もちろん応じる」と対話の意向を示した。
    トランプ米大統領

    トランプ前大統領は、ロシアのウクライナ侵攻をめぐり、ゼレンスキー大統領の交渉姿勢を厳しく批判しました。彼は、ゼレンスキー氏が「選挙なき独裁者」であり、これまで効果的に交渉できておらず、停戦会合に出席する重要性も感じないと主張しました。

    また、ウクライナ国内の鉱物資源をめぐる協議が不調に終わったことにも不満を示しました。一方で、ゼレンスキー氏から電話があれば「もちろん応じる」と述べ、対話自体は拒まない姿勢を見せています。

    この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

    【私の論評】トランプ大統領の本当の対ロシア・ウクライナ戦略とは?日本メディアが報じない真実とは

    まとめ
    • トランプ大統領は、ロシアに対して宥和的ではなく、制裁や威嚇を通じて厳しい姿勢を示している。具体的には、2025年1月には偽情報キャンペーンに関与したロシアとイランのグループに制裁を科し、ウクライナ戦争を終わらせない場合には制裁を強化する意向も示している。
    • トランプ氏のロシア政策は一貫しており、第一期政権時にもオリガルヒや企業に対する大規模な制裁を実施しており、宥和的な姿勢ではないことが示されている。
    • ウクライナに対しては、厳しい対応というよりも、条件付きで軍事援助を継続する姿勢を示している。2025年2月にはゼレンスキー大統領が援助削減はないと述べ、実際に5億ドル規模の軍事援助パッケージが発表されている。
    • ウクライナ支援には条件が付随しており、例えばレアアース鉱物へのアクセスを求めるなど、単純な支援ではなく取引的な要素がある。
    • 日本のメディアは「ロシアに宥和的、ウクライナに厳しい」と単純化して報じているが、実際の政策は複雑で、和平交渉を進めるための戦略的な意図がある。
    トランプ大統領のロシアとウクライナに対する政策は、日本のメディアで報じられているような単純なものではない。日本のメディアでは、煎じ詰めると「ロシアに対して宥和的で、ウクライナに対して厳しい対応をしている」との描写がなされているが、実際の政策行動を詳細に分析すると、この見方が正確ではないことが明らかになる。トランプ大統領はロシアに対して制裁を強化し、ウクライナに対しては条件付きながらも軍事援助を継続しているのだ。

    プーチン

    まず、ロシアに対する政策を考えてみる。トランプ大統領は宥和的な姿勢を取っていない。むしろ、制裁を強化する動きが明確に見られる。例えば、2025年1月には、アメリカの選挙を標的とした偽情報キャンペーンに関与したロシアとイランのグループに対して制裁が科された。これは、Reutersの報道でも確認できる。

    さらに、ウクライナ戦争を終わらせるための交渉に応じない場合、関税と制裁を強化するとトランプ大統領は威嚇している。この発言は、NPRの記事で詳しく報じられている。これらの行動は、第一期政権時にも見られたロシアへの制裁の継続を示している。2018年には、ロシアのオリガルヒや企業に対して大規模な制裁が実施されたことがあり、これは主要メディアで報じられていた。これらの動きは、ロシアの行動に対する明確な対抗措置であり、宥和的な姿勢ではないことを裏付けている。

    次に、ウクライナに対する政策を見てみよう。トランプ大統領が厳しい対応をしているというよりは、条件付きながらも支援を続けているのが実情だ。2025年2月には、ゼレンスキー大統領がアメリカの軍事援助が削減されていないと述べ、支援が続いていることを確認している。この発言は、Reutersの記事で確認できる。

    ゼレンスキー ウクライナ大統領

    また、トランプ大統領はウクライナへの軍事援助を継続する意向を示し、その見返りとしてレアアース鉱物へのアクセスを求めている。これは、NBC Newsの報道で詳しく述べられている。つまり、援助を完全に停止するのではなく、条件付きで支援を続ける姿勢なのだ。さらに、2025年1月には、トランプ政権の初期段階でウクライナへの軍事援助パッケージが発表され、その価値は5億ドルとされている。この情報は、米国国務省の公式発表で確認できる。これは、ウクライナの防衛を支援する意図があることを示している。

    ただし、トランプ大統領はウクライナへの援助を削減する可能性も示唆している点に注意が必要だ。2024年6月の選挙キャンペーン中には、「再選された場合、すぐに援助を解決する」と述べている。これは、POLITICOの記事で報じられている。

    また、2025年1月には外国援助を90日間凍結する決定を下し、これがウクライナにも影響を与えた。しかし、軍事援助自体は影響を受けていないとされている。この状況は、PBSの報道で詳しく説明されている。これらの動きから、援助の継続はあるものの、条件や威嚇が付随していることが分かる。

    以上の事実から、トランプ大統領はロシアに対して完全に宥和的ではなく、制裁や威嚇を通じて厳しい姿勢を取っていることが確認できる。一方、ウクライナに対しては厳しい対応をしているというよりは、条件付きながらも軍事援助を継続している。ゼレンスキー大統領の声明や援助パッケージの発表がその証拠となる。ただし、援助には条件が付くことが多く、完全に支援的な姿勢とは言えない複雑な状況であることも確かだ。

    和平交渉の席につく、ゼレンスキー、トランプ、プーチン AI生成画像

    しかし日本のメディアの報道が必ずしも正確ではなく、トランプの政策はより多面的であることが明らかである。ロシア制裁の実施とウクライナ援助の継続は、宥和的で厳しいという二元的な描写を覆す重要なポイントである。これらの事実を踏まえると、トランプ大統領の政策は単純なレッテル貼りでは捉えきれず、複雑かつ戦略的な意図を持っていることが理解できる。

    わかりやすく言えば、最近のトランプ大統領の発言は、和平交渉をスムーズに進めるためのトランプ流の地ならしとみるべきだろう。交渉のテーブルについたときに、双方の主張ばかりに時間が割かれることなく、現実的で、実質的で実りあるものにしたいのだろう。そうして、何よりもロシアの10倍のGDPと人口を持つ最大の相手である中国との対立に専念したいのだろう。

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    2025年2月21日金曜日

    中国の大学「海底ケーブル切断装置」を特許出願 台湾周辺で損傷も日本政府は見解避ける―【私の論評】危機に直面する日本!海底ケーブルの切断と国際紛争の闇を暴く

    中国の大学「海底ケーブル切断装置」を特許出願 台湾周辺で損傷も日本政府は見解避ける

    まとめ
    • 中国・麗水大の技術者が「海底ケーブル切断装置」を特許出願し、台湾周辺やバルト海でのケーブル損傷に中国船が関与している疑いが浮上。
    • 装置は2009年の中国国家海洋局の技術を基に2020年に改良され、高速・低コストでの緊急ケーブル切断を目的とし、米専門家は中国の海底戦争意図を指摘。
    • 日本政府は詳細回答を避けつつ注視を表明し、台湾では中国人乗組員の貨物船による意図的損傷や断線が先月と今月に報告された。
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     中国・浙江省麗水市に拠点を置く麗水大学の技術者グループが、「海底ケーブル切断装置」の特許を出願していたことが明らかになった。台湾の対岸に位置するこの地域からの出願は、近年の台湾周辺やバルト海での海底ケーブル損傷の多発と相まって注目されている。これらの損傷事件では、中国船の関与が繰り返し疑われており、日本の通信インフラにも影響を及ぼす可能性が懸念されている。

     この切断装置は、2009年に中国国家海洋局(現・自然資源部)が特許出願した「海洋曳航型切断装置」を基礎とし、2020年に麗水大が改良を加えて出願したものだ。海底に下ろしたいかりを引っ張る方式で、「緊急時には迅速かつ低コストでケーブルを切断する必要がある」と説明されている。ペンシルベニア大学のベンジャミン・シュミット上級研究員は、米誌ニューズウィークで「この特許は、中国が将来、海底を舞台にした戦争作戦を計画している動機を示している」と警告した。

     日本政府は、松原仁元拉致問題担当相からの質問主意書に対し、今月7日の閣議決定で「海底ケーブル周辺の状況を注視する」と回答したが、切断装置の詳細については「事柄の性質上、回答を差し控える」と具体性を避けた。台湾では先月、通信用海底ケーブルが損傷し、中国人7人が乗る貨物船が意図的に関与した疑いが台湾海巡署から発表され、さらに今月17日には台湾本島と福建省近くの馬祖を結ぶケーブルが断線したことが確認された。

     この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

    【私の論評】危機に直面する日本!海底ケーブルの切断と国際紛争の闇を暴く

    まとめ
    • 中国・麗水大学の技術者が2020年に「引きずり型海底ケーブル切断装置」を特許出願し、2009年の中国国家海洋局の技術を基に、アンカーでケーブルを切断する仕組みを開発。軍事目的や他国インフラ破壊の疑いが指摘されている。
    • 台湾周辺やバルト海で海底ケーブル損傷が頻発し、2025年や2023~2024年の事件で中国船の関与が疑われるが、直接証拠は不明。通信や経済に大混乱を引き起こす可能性がある。
    • 海底ケーブルは通信だけでなく、日米の潜水艦探知(SOSUS/IUSS)にも利用され、中国がASW能力のギャップを埋めるため意図的な切断を企てる懸念がある。
    • 国際社会(NATOなど)や日本政府は警戒を強めるが、具体策は限定的で、さらなる監視や法整備が必要とされる。
    • 対策として、監視強化、ケーブルの物理的保護、代替通信の整備が急務であり、海底ケーブルの保護は国家安全保障と世界の安定に不可欠だ。
    中国麗水大学の校門

    中国・浙江省麗水市の麗水大学の技術者どもが、2020年に「引きずり型海底ケーブル切断装置」を特許出願したことが明るみに出た。特許番号はCN111203499A、中国国家知識産権局のデータベースでしっかり確認できる。この装置、実は2009年に中国国家海洋局(今は自然資源部だ)が申請した「海洋曳航型切断装置」(特許番号CN101585192A)をパワーアップさせたものだ。海底にアンカーを下ろして引っ張り、ケーブルをぶった切る。切れたかどうかは、アンカーにくっついた銅のカスで判断する仕組みだ。海底ケーブルの心臓部が銅だから、これは理にかなっている。

    特許申請書には「緊急事態でケーブルを切る必要がある。高速かつ安く済ませたい」と書いてある。2009年版では「中国沿岸の違法ケーブルを排除する」ともっともらしい理由が並ぶが、「緊急事態」や「違法」の定義が曖昧すぎだ。ここに疑惑が漂う。軍事目的か、他国の通信網をぶち壊す気じゃないかと疑いの目が向けられている。

    ペンシルベニア大学のベンジャミン・シュミットという研究者がニューズウィークでぶちまけた。「これは、中国が海底戦争を企んでる証拠だ」と。中国の「民軍両用」戦略であり、表向きは合法に見せかけて裏で軍事利用を狙ってる可能性が濃厚だ。

    なぜこのようなな話がでてくるというと、台湾周辺やバルト海で海底ケーブルが次々と切断されているからだ。2025年1月、台湾北部海域で米西海岸とつながるケーブルが壊され、台湾海巡署が「カメルーン船籍の貨物船『順鑫39号』、中国人7人乗り込んでたのが怪しい」と発表した。この船、香港企業が所有しつつ中国本土の取締役が操ってる。

    さらに2月2日、2月8日台湾本島と福建省そばの馬祖を結ぶケーブルが断線(上図)。意図的だと睨まれている。バルト海でも、2023年10月、フィンランドとエストニア間のガスパイプラインとケーブルが切断され、中国船「Newnew Polar Bear」のアンカーが原因だとされたが、中国は「事故だ」とシラを切った。

    2024年11月にはスウェーデン―リトアニア間とフィンランド―ドイツ間のケーブルが切断され、デンマークが中国船をマークしたものの、故意かどうかはまだわからない。どの事件でも中国船が近くにウロウロしてるから、特許技術とのつながりが囁かれているのだ。ただ、ハッキリした証拠はまだ出てこない。

    海底ケーブルは世界の通信の95%を支える命綱だ。それが壊されれば経済も軍事も社会も大混乱だ。NATOや欧州各国は目を光らせ、中国への対策を練っている。日本はどうだ? 松原仁元拉致問題担当相が質問主意書を出したが、政府は2025年2月7日の閣議決定で「公開情報は知ってるが、詳しくは言えない。様子見だ」と逃げ腰だ。ニューズウィークは「中国の戦略だ」と報じ、海洋の専門家は「こんな切り方じゃ正規のインフラも危ない」と警告する。

    特許は一般公開され、18カ月後に内容が明るみにでたため、各国が分析に乗り出している。2009年と2020年の特許が奇妙な理由でボツになったらしいが、最新状況は不明だ。軍事目的を隠しているのではなくく、意図的に技術を見せびらかして圧をかけてるのかもしれないと見る向きもある。しかし公開したせいでパクられるリスクもあるわけだ。今のところ、この技術が使われた証拠はないし、損傷事件とのリンクも推測止まりだ。調査と情報公開が進まない限り真相は闇の中だ。

    日本に接続する海底ケーブル 日本の通信は99%が海底ケーブルに依存している

    海底ケーブル、通信だけではなく、潜水艦の動きを探る役割もある。日米はSOSUSという海底音響監視網を冷戦時代から運用中で、太平洋や大西洋で敵潜水艦を追ってきた。米国はIUSSというシステムで世界を監視し、日本の海上自衛隊も東シナ海や日本海で使っている。

    これが対潜水艦戦(ASW)の要ともなっている。中国やロシアの探知能力は日米に遠く及ばず、日米が圧倒している。しかし中国はこれに追いつきたくてたまらない。ケーブルを切って日米の監視網を潰せば、ASWの差を縮められるという計算だ。台湾やバルト海の事件がその一手だと疑う声もある。これが本当なら、ただの通信障害じゃない。軍事挑発だ。

    だから日本は本気を出すべきだ。海底ケーブルの監視を徹底的に固めるべきだ。不審な船をすぐ見つけ出し、海軍や沿岸警備隊と組んで警告や臨検をすべきだ。水面下でもドローンを走らせ、監視しそしすべきだ。国際法も曖昧にせず、意図的ケーブル切断を犯罪と明確に定めて、厳罰を適用すべきだ。

    ケーブル自体も深く埋めたり、カバーを頑丈にしたりして守るべきだ。衛星通信を増やし、ケーブル頼みを減らすのも重要だ。やれることは全部やって、リスクを下げるべきだ。それでも完全には防げないかもしれないが、海底ケーブルは国家の安全と経済を支える大動脈だ。日本と米国が守り抜くのは未来への責任であり、世界の安定にもつながる。この戦いはこれからだ。最後まで目を離すべきではない。

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