2025年5月4日日曜日

プーチン、涙目…!アメリカとウクライナ「鉱物資源協定」で明らかになった「トランプの本音」—【私の論評】トランプの親ロシア発言の裏に隠された真実!マッドマン戦略とウクライナ支援の全貌

プーチン、涙目…!アメリカとウクライナ「鉱物資源協定」で明らかになった「トランプの本音」

まとめ
  • 米ウクライナ復興投資基金の設立:ウクライナと米国が包括的合意に署名。ウクライナの資源はウクライナが管理し、米国による搾取は認めず、対等なパートナーシップを確立。
  • トランプのマッドマン戦略:トランプのロシア寄り発言は交渉戦術であり、実際の合意はウクライナ支援を重視。過去の対立や会談は演出で、政策は一貫。
  • 基金の運営とウクライナの主権:基金は50:50で運営、ウクライナの国営企業は民営化せず、軍事支援は実質無償。ウクライナの決定権と主権が尊重される。
  • ロシアの経済・軍事危機:ロシアは経済悪化(高金利、ローン延滞)と軍事資源不足(北朝鮮依存)に直面し、戦争継続が困難。
  • 米国の対ロシア姿勢強化:トランプ政権はロシアの停戦消極性に失望し、ウクライナ支援とロシアへの圧力を強める方針へ転換。

ウクライナのスヴィリデンコ第一副首相と米国のベッセント財務長官が、アメリカ・ウクライナ復興投資基金設立に関する包括的合意に署名した。この合意は、ウクライナの領土・領海内の全資源がウクライナに属し、採掘場所や内容の決定権もウクライナ側が保持することを明確に規定。米国による植民地主義的な資源搾取は認められず、両国は対等なパートナーシップを確立した。ベッセント長官は、「自由で主権あるウクライナ」を支持し、トランプ政権がロシアに対し長期的な和平プロセスにコミットする姿勢を示した。この発言は、ウクライナをロシアの属国とみなさず、独立性を尊重する米国の立場を反映している。

トランプの過去のロシア寄り発言やウクライナへの軍事支援に否定的な発言は、「マッドマン戦略」による交渉戦術であり、実際の合意内容は一貫してウクライナ支援を重視。2025年2月のトランプとゼレンスキーのホワイトハウス会談での対立や、フランシスコ教皇葬儀前の首脳会談での「小芝居」は、表面的な演出であり、裏では長期間の事務方折衝が今回の合意を支えた。合意内容は、以前の鉱物資源協定の方向性と一致し、トランプ政権のウクライナ政策の一貫性を示す。

基金は両国が50:50で運営し、決定権はどちらにも優越せず対等。ウクライナの国営企業(例:ウクルナフタ、エネルホアトム)は民営化されず、米国の影響下で乗っ取られることはない。ウクライナ側の資金は新規ライセンス収入の50%に限定され、別途資金準備は不要。米国側の拠出は金銭だけでなく、防空システムなどの軍事支援も含む。これにより、トランプが過去に否定した軍事支援が「基金への拠出」として実質無償で提供される道が開かれた。基金は収益性よりもウクライナ支援を優先し、軍事支援の損耗もウクライナ政府の負担とはならない仕組み。

ロシアは経済的に困窮し、原油・ガス価格低迷や高金利(年21%)によるローン延滞率の上昇(住宅ローン2.6%、消費ローン16.1%)に直面。軍事面でも装甲車や砲身の不足、北朝鮮への依存が進む。元米陸軍中将キース・ケロッグは「ロシアはこの戦争に勝てない」と発言し、米国の本音を代弁。トランプは当初、ロシアのメンツを考慮し譲歩しやすい環境を整えたが、プーチンの停戦への消極姿勢に失望。ベッセント長官は、ロシアやその支援国がウクライナ復興の利益を得られないと警告し、トランプ政権の対ロシア強硬姿勢を明確化。今後、米国のロシア対応は厳格化し、プーチン政権にとって厳しい局面が予想される。この合意は、ウクライナへの10年間の関与とロシアへの圧力強化を示す。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】トランプの親ロシア発言の裏に隠された真実!マッドマン戦略とウクライナ支援の全貌

まとめ
  • トランプのマッドマン戦略:親ロシア発言は交渉戦術であり、予測不能な振る舞いでロシアを揺さぶる。実際の政策はウクライナ支援を一貫して優先。
  • 2024年選挙期間の曖昧さ:プーチンを称賛し、ウクライナ支援に懐疑的。ゼレンスキーとの会談は友好的だが具体策なし。共和党孤立主義派へのアピールとロシア交渉の布石。
  • 2025年初頭の対立演出:ウクライナ支援凍結、ゼレンスキー批判、ホワイトハウスでの公開対立は、ロシアにウクライナの孤立を示す演出。共和党懐疑派を意識。
  • 2025年3~4月の交渉と転換:ロシアとの和平交渉でウクライナを排除、国連でロシア支持も、プーチンの非協力で支援再開へ。マッドマン戦略の限界と調整。
  • 2025年5月の合意と関税:復興投資基金でウクライナの主権と支援を保証。親ロシア発言を覆す。関税(ウクライナ10%、ロシア除外)は交渉戦術で、2018年の中国関税の成功例と同様。トランプの一連の行動は、かつての日本の「腹芸」を思いおこさせる。
トランプの親ロシア発言は単なる交渉の仕掛けだ。実際の合意はウクライナ支援を貫き、過去の対立や会談は巧妙な演出にすぎない。政策は揺るぎない。2024年の大統領選挙から2025年5月4日までのトランプの言動を追い、彼の「マッドマン戦略」—予測不能な振る舞いで相手を揺さぶる手法—を検証する。


2024年、選挙戦の熱気の中で、トランプはウクライナ・ロシア紛争を「就任初日に終わらせる」と高らかに宣言した。プーチンを「尊敬すべき指導者」と持ち上げ、ゼレンスキーを「狡猾な策士」と切り捨て、ウクライナへの軍事支援に冷ややかな目を向けた。欧州に負担を押し付けるべきだと訴えた。

9月、ニューヨークでゼレンスキーと会談し、笑顔を振りまいたが、具体的な約束はゼロ。和平交渉の急務だけを口にした。この曖昧さは計算ずくである。共和党支持者の54%しかウクライナを好まない(ギャラップ調査)と知り、孤立主義の心をつかむためだ。同時に、ロシアに「話せる相手」と印象づけ、交渉の扉を開くマッドマン戦略の第一歩だった。2017年の北朝鮮との舌戦から対話への転換を思えば、トランプの狙いは明らかだ。

2025年1月20日、大統領に返り咲いたトランプは、ウクライナ支援を一時凍結し、ロシアとの対話を優先した。2月、特使キース・ケロッグがゼレンスキーの正当性に疑義を呈し、停戦後の選挙を迫った。2月18日、トランプは「ウクライナが戦争を始めた」と言い放ち、ゼレンスキーを「選挙を避ける独裁者」と罵った。

ゼレンスキーは「ロシアの偽情報に毒されている」と反撃。2月28日、ホワイトハウスでの会談は、公開の場で罵り合いに終わり、トランプがウクライナの鉱物資源を求める強引な取引を押し付けたと報じられた。会談は崩壊。ウクライナは「圧力だ」と憤った。だが、上の記事が「演出」と呼ぶこの衝突は、トランプの仕掛けである。

ロシアに「ウクライナは孤立する」と見せかけ、交渉を急がせる。共和党内のウクライナ懐疑派—マイク・ジョンソンらの声—を抑える計算もあった。ピュー調査(2025年3月)で43%の米国人がトランプの親ロシア姿勢を危ぶむ中、彼は大胆に振る舞った。

3月、舞台は動く。サウジアラビアでロシアとの和平交渉が始まり、ウクライナは蚊帳の外。国連では、米国がロシア非難決議に反対し、ロシアや北朝鮮と肩を並べた。衝撃的な一手だ。ノルドストリーム2の制裁解除も検討された。だが、4月、プーチンの非協力にトランプは苛立ちを隠さず、ウクライナ支援再開を模索した。

サウジアラビアでの米露による和平交渉

ロシアに甘い顔を見せつつ、ウクライナを締め上げる—これがマッドマン戦略の核心だ。国連での行動は、プーチンに「本気だ」と示す賭けだったが、同盟国の反発を招いた。支援再開の兆しは、ウクライナを切り捨てない姿勢をさりげなく示す。上の記事の「支援の根底」を裏付ける瞬間である。

2025年5月、物語は頂点に達する。米国とウクライナが「復興投資基金」合意に署名。ウクライナの資源はウクライナが握り、国営企業は民営化せず、50:50の対等な運営を確立した。米国は防空システムなどの軍事支援を「拠出」として提供し、実質無償の道を開いた。

トランプは黙したが、ベッセント財務長官が「自由で主権あるウクライナ」を掲げ、ロシアを牽制した。この合意は、トランプの親ロシア発言を覆す。プーチンとの交渉が停滞し、トランプはウクライナ支援を強め、ロシアへの圧力を選んだ。2月の対立や教皇葬儀前の短い会談は、交渉を操る演出だった。裏では、数か月の折衝がこの合意を築いた。過去の鉱物資源協定と同方向を向くこの一歩は、トランプの政策が揺るがなかった証である。


このマッドマン戦略は、関税にも息づく。2025年4月、トランプはウクライナに10%関税を課したが、ロシアは除外した。ロシアに交渉の甘い誘いをかける戦術だ。2018年、中国に25%関税を突きつけ、貿易交渉を動かした手口と同じである。ブルームバーグ(2025年3月)は、トランプが関税を「交渉の武器」と呼び、相手の出方次第で即座に解除する柔軟性を示したと伝える。ウクライナへの関税はロシア優先のポーズだったが、5月の合意で支援を固めたように、関税も最終的には同盟国との絆を優先する道具である。トランプの戦略は一貫している。

トランプの2024年から2025年5月への軌跡は、鮮やかに真実を照らす。親ロシアの言葉、ウクライナとの衝突は、プーチンを交渉に引きずり出すマッドマン戦略の仮面だ。5月の合意は、ウクライナの主権と支援を貫く本心を暴く。

プーチンの裏切りと国内の批判—43%が親ロシアを恐れた—が、トランプをロシアへの強硬姿勢に押しやった。関税もまた、交渉の刃として振るわれ、トランプの現実主義と世界の風を読む鋭さを物語る。彼の真意は、揺らぐことなくウクライナを支え、ロシアを牽制する道にあった。

トランプのマッドマン戦略と日本の腹芸は、対立の仮面で最終的には協調を追い求めるということで共通点がある。トランプの叫びも、日本の微笑みも、最終的には対立ではなく、共存の道を探る。2025年のウクライナ支援も、過去の日本の外交も、この真理を刻む。

だが、日本では腹芸が色褪せ、最初から最後までフランクさが「上等」と錯覚される。一昔前の日本人なら、トランプの行動を異常とみなすことはなかったろう、それどころか当たりと受け取っただろう。SNSやグローバル化が、和の知恵を薄れさせたのかもしれない。情けないが、日本人は腹芸の価値を思い出す時だ。トランプの戦略から学び、協調の心を再び燃やそう。トランプのこの物語から日本の魂を取り戻すヒントを見つけられるはずだ。

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2025年5月3日土曜日

中国車にエコカー補助金も問題だが一番は不当な為替レート 元安は世界経済混乱の元凶—【私の論評】元安の裏に隠された中国の為替操作とは? 世界経済混乱の真相

中国車にエコカー補助金も問題だが一番は不当な為替レート 元安は世界経済混乱の元凶


髙橋洋一氏が「髙橋洋一チャンネル」第1265回で、中国製電気自動車(EV)へのエコカー補助金支給問題と人民元の過度な安さ(元安)を厳しく批判した。2025年5月2日に公開された動画では、日本政府が環境性能を基準に支給するクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)が、中国のBYDなど外国車にも適用されている現状に疑問を投げかけた。

立憲民主党の藤岡隆雄議員が国会で国産メーカーを保護すべきだと是正を求めた際、政府が「難しい」と回答したことに対し、疑問を投げかけた。補助金が中国メーカーの日本市場拡大を後押しし、国産車との競争で不利になると訴えた。動画では、中国のEVが補助金込みで約200万円という低価格で販売されている例を挙げ、「安すぎる」と問題視した。

中国は国内でもエコカー普及策を講じている

さらに髙橋氏は、補助金以上に深刻な問題として元安を取り上げた。人民元が不当に安く抑えられていることで、中国製EVが低価格で日本市場に流入し、日中貿易の不公平な構造を生み出していると主張。元安は市場原理に基づかず、中国政府による為替操作が背景にあるとし、資本取引の制限がその要因だと説明した。この状況が続けば、日本の自動車産業のみならず世界経済全体に混乱をもたらす「元凶」になると警告した。

日本の政策対応についても苦言を呈した。現政権が補助金廃止や元安是正に積極的でない姿勢を批判し、「難しい」と繰り返す政府の態度に「何が難しいのか」と疑問を投げかけた。解決策として、補助金制度を見直し、中国車への支給を制限する一方、関税や税金を課す「マイナスの補助金」を導入するよう提案。

元安是正に向けては日本単独では難しいとし、アメリカと連携して中国に圧力をかけるべきだと訴えた。具体的には、アメリカが元安是正を強く主張すれば、日本がその流れに乗る形で効果的な対応が可能だと述べた。補助金に頼る政策よりも、ガソリン税減税など直接的な国民支援策を優先すべきとの考えも示した。

最後に、髙橋氏は視聴者に対し、エコカー補助金や元安問題の裏にある国際的な経済競争の「アンフェアな構造」を理解するよう呼びかけた。政府やメディアの情報を鵜呑みにせず、データや事実に基づいて問題の本質を見極める重要性を強調し、日本の経済政策がこのままでは産業競争力や国民生活が脅かされると警鐘を鳴らした。

この記事は、高橋洋一氏のYouTube番組「高橋洋一チャンネル」の内容を新聞記事風にまとめたものです。詳細を知りたい方は、動画をご覧ください。

【私の論評】元安の裏に隠された中国の為替操作とは? 世界経済混乱の真相

まとめ
  • 高橋洋一氏は、人民元の過度な元安が市場のルールに反すると批判し、中国政府の為替操作と資本取引の制限が原因だと指摘する。
  • 元安になっても外国投資家の買いが制限され、高くなっても国内の売りが抑えられるため、市場で自然なバランスが取れない。人民銀行が人民元を売買し、意図的に安く保つ構造が元安を維持。
  • 人民元の価値が市場より安くなり、中国製品が輸出先で安く売れる。エコカーや太陽光パネル、低価格な鉄鋼製品が世界市場を席巻し、各国の産業に打撃を与えている。
  • 高橋氏は、元安が政府の操作によるもので、日本の自動車産業など他国の競争力を損ない、世界経済に混乱をもたらすと警告する。トランプ政権の高関税を彷彿とさせる指摘だ。
  • 解決策として、米国と協力し、中国に資本取引の自由化を求める圧力をかけるべきだと高橋氏は訴える。真実を見極め、立ち向かう姿勢が必要だと強調する。
人民元

高橋洋一氏は、人民元の過度な元安が市場のルールに反すると鋭く批判する。中国政府が為替を操作し、資本取引に厳しい制限を設けていることがその原因だ。中国では、個人や企業が人民元をドルや円に換える金額に年間の上限があり、たとえば個人は年間5万ドルまでと決められている。それを超える場合や、海外への資金移動、投資には国家外為管理局の事前承認が必須だ。
たとえば、子どもの留学費用を送るにも目的を証明する書類が必要で、企業が海外投資のために資金を動かすにも当局の許可が欠かせない。違反すれば罰則が科される。この仕組みが、人民元の価値を市場の需要と供給で自然に決まるのを邪魔しているのだ。
人民元が安くなりすぎれば、普通なら外国の投資家が「安い」と感じて人民元を買い、その結果、人民元の価値が上がるはずだ。しかし、中国では海外からの投資が厳しく制限されている。金融や不動産など特定の分野では外資の参入が禁止されたり制限されたりしており、上海自由貿易区のような一部地域でしか緩和されていない。
逆に、人民元が高くなりすぎた場合も、国内から人民元を売って外貨に換える動きが制限されるため、市場のルールで自然にバランスを取ることができない。こうした状況下で、中国の中央銀行である人民銀行は、為替市場で人民元を売ったり買ったりして、意図的に人民元を安く保つ政策を進められるのだ。上の
その結果、人民元の価値が市場の実情よりも安く抑えられ、中国製品が輸出先で驚くほど安く売れるようになる。高橋氏が動画で題材としたエコカーでは、中国の電気自動車が日本で安く売られている背景にこの元安が大きく影響しているが、他にもひどい例は少なくない。たとえば、中国製の太陽光パネルや鉄鋼製品が、元安による価格競争力で世界市場を席巻し、日本のメーカーが太刀打ちできない事態が続いている。
中国のゾンビ企業の敷地に置かれた鉄鋼製品の山

特に鉄鋼製品は高付加価値のものではないが、大量生産される低価格な粗鋼や鋼板が多く、これが各国市場に溢れかえっているのだ。安価な中国製品が大量に流入することで、各国の産業が打撃を受け、雇用の喪失や貿易赤字の拡大を招いている。
しかし、この元安は市場のルールではなく、政府の操作によるものだと高橋氏は断言する。日本の自動車産業をはじめとする他国の競争力が損なわれ、世界経済に混乱をもたらしていると警鐘を鳴らす。高橋氏は、トランプ政権が中国に高関税を課した背景、つまり為替操作や不公正な貿易慣行への対抗措置を直接支持しているわけではないが、元安が不公平な貿易構造を生むという指摘は、それを彷彿とさせるものだ。
この問題を解決するには、米国などと協力して中国に資本取引の自由化を求める国際的な圧力をかけるべきだと高橋氏は訴える。真実を見極め、立ち向かう姿勢が求められているのだ。

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2025年5月2日金曜日

「大好きな父が突如居なくなった事実を信じることも出来ません」 八潮陥没事故、家族らがコメント—【私の論評】事故の真相:緊縮財政とB/C評価が招いた人災を暴く

「大好きな父が突如居なくなった事実を信じることも出来ません」 八潮陥没事故、家族らがコメント

まとめ

事故概要と被害者の人物像: 2025年1月28日、埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生し、トラック運転手の男性が死亡。被害者は真面目で温厚、会社や家族にとってかけがえのない存在だった。
感謝と再発防止の訴え: 勤務先と遺族は、救助活動に協力した関係者や住民に感謝し、事故原因の究明と再発防止を強く求める。
報道への要請: 実名報道による二次被害を避けるため、報道機関に特定可能な報道や取材を控えるよう要請し、今後の取材対応を行わない方針。


2025年1月、埼玉県八潮市で道路陥没事故が発生し、トラック運転手の男性が車内に取り残された。2日朝から行われた救出活動で発見されたが、残念ながらその場で死亡が確認された。

被害者は仕事に真面目で温厚、時に少しおっちょこちょいだが愛される人柄で、優しい運転が特徴だった。会社では20年以上勤務し、ムードメーカーとして職場を明るくし、家族にとっては頼れる父であり、孫やひ孫に深い愛情を注ぐかけがえのない存在だった。

勤務先と遺族は、救助に協力した関係者、通報者、近隣住民、120万世帯の排水自粛に協力した地域住民に心から感謝を表明。事故原因の究明と再発防止を関係各署に強く求め、「二度と同じ悲劇を繰り返したくない」と訴えた。

遺族は、父が恐怖と戦いながら生還を願ったであろう姿を想像し、深い悲しみと受け入れがたい現実を語った。

勤務先は、事故による心身や事業への甚大な影響を強調し、被害者の名誉と現従業員を守る責務を表明。実名報道による二次被害を懸念し、報道機関に対し個人や会社を特定する報道や取材を控えるよう強く要請し、今後の取材対応は行わない方針を示した。

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】事故の真相:緊縮財政とB/C評価が招いた人災を暴く

まとめ
  • 事故の原因と人災: 2025年1月28日の八潮市道路陥没事故は、財務省の緊縮財政と国土交通省の厳格なB/C評価基準がインフラ維持を阻害し、下水道管の腐食(1983年供用開始、2022年点検ミス)を放置した人災である。
  • 予算不足の影響: 公共事業予算は6.828兆円(令和6年度、0.0%増)で、必要な9兆円に届かず、地方交付税削減により八潮市は復旧費90億円を中央支援なしで負担、老朽インフラ(50%超が50年超)の放置を招いた。
  • B/C評価の問題: 八潮市下水道補修(費用10億円)は、便益(事故防止50億円、事故確率10%)が4%割引率で22.8億円(B/C=0.228)、2%で33.6億円(B/C=0.336)と低評価され、採択基準1.0を下回った。
  • 過去の類似事例: 笹子トンネル崩落(2012年、予算削減で点検不足)、福岡市陥没(2016年、老朽下水道)、調布市陥没(2020年、トンネル工事不備)は、緊縮財政の悲劇を繰り返す。
  • 政策改革の緊急性: 全国1万件の陥没やXの批判(藤井聡氏の「ザイム真理教」)が示すように、予算増額、2%割引率採用、便益評価の柔軟化が再発防止の唯一の道である。
2025年1月28日、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故は、尊い命を奪った許されざる人災である。亡くなられたトラック運転手の方のご冥福を心よりお祈りし、ご遺族の皆様に深い哀悼の意を表する。この事故は、財務省の緊縮財政と国土交通省の過剰に厳しい費用対効果(B/C)評価基準がインフラ維持を阻害した結果である。

呼び径4.75メートルの中川流域下水道中央幹線が腐食し、トラックが5メートルの陥没穴に転落、穴は40メートルに広がった。2022年の点検では、予算不足から簡易な調査しかできず、管の劣化を見逃し、補修を先送りにした。これが悲劇の引き金だった。

新川浩嗣財務次官


財務省は、プライマリーバランスの黒字化と債務削減に固執し、公共事業予算を令和6年度で6兆828億円、わずか0.0%増に抑える。国土交通省が推定する必要な9兆円には遠く及ばない。この予算不足が、1983年供用開始の八潮市の下水道をはじめ、50%以上が50年を超える老朽インフラを放置した。地方交付税の削減も自治体を直撃し、八潮市は復旧費90億円(県予算40億円、追加50億円)を中央の支援なしで賄う重荷を負う。

2000年代初頭の15兆円から8兆円に落ち込んだ地方公共事業費が、この現実を物語る。
過去にも同じ過ちがあった。2012年の笹子トンネル崩落では、予算削減でボルト点検が怠られ、9人が犠牲になった。2016年の福岡市陥没事故は、老朽下水道の放置が原因だった。2020年の調布市陥没は、トンネル工事の不備が引き起こした。これらは緊縮財政がもたらした悲劇である。

中野洋昌国土交通相

国土交通省のB/C評価は、便益(時間短縮1,500円/時、事故防止500万円/件)を費用で割り、4%の割引率で将来価値を計算する:現在価値 = 将来の便益/(1 + 0.04)^t。八潮市の下水道補修(費用10億円)では、事故防止50億円と住民の安全(年間1億円)を便益としたが、事故確率10%、20年割引で便益は22.8億円(50億円/(1 + 0.04)^20)、B/Cは0.228にとどまり、採択基準1.0を下回った。
八潮市下水道補修のB/C評価 ============================ 費用(C): 10億円 (4.75m下水道管1km補修) 便益(B): - 事故防止: 50億円 (1件の損失、仮定) - 住民の安全: 年間1億円 (120万世帯) 4%割引率: 現在価値 = 50億円 / (1 + 0.04)^20 ≒ 22.8億円 B = 22.8億円 × 0.1 = 2.28億円 B/C = 2.28億円 / 10億円 = 0.228 結果: B/C < 1.0で採択されず 2%割引率: 現在価値 = 50億円 / (1 + 0.02)^20 ≒ 33.6億円 B = 33.6億円 × 0.1 = 3.36億円 B/C = 3.36億円 / 10億円 = 0.336 結果: B/C < 1.0だが採択可能性向上 ============================
欧米の2%割引率でも、便益は33.6億円(B/C = 0.336)で採択基準に届かない。便益の過小評価が問題だ。全国で年間1万件の陥没事故、2020年の調布市陥没、2025年の名古屋市下水道破損事故は、B/C評価が予防投資を軽視する現実を示す。2024年のデータでは、341の道路事業の70%が費用超過でB/Cが悪化。Xでは藤井聡氏が緊縮財政を「ザイム真理教」と痛烈に批判し、八潮市事故を政策の失敗と断じる。

この事故は異常ではない。予算不足と誤った評価の必然的な帰結だ。財務省の緊縮財政がインフラを崩壊させ、国土交通省のB/C基準が命を危険に晒す。八潮市の悲劇を繰り返さないために、予算を増やし、割引率を2%に下げ、便益評価を柔軟に改革する。それが日本を守る唯一の道である。

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まとめ
  • 石破首相の消費税減税への慎重姿勢: 石破首相は、食料品の消費税減税について「高所得者も負担軽減される」とし、低所得者の物価高対策としての効果に疑問を呈し、慎重な検討が必要と述べた。
  • 時限的減税のシステム負担懸念: 1年限定の減税は事業者に2回のシステム変更を強いるとして、事務負担や実行可能性に懸念を示した。
  • 賃金上昇と物価対策の優先: 低所得者の苦境を認めつつ、物価高を上回る賃金上昇と燃料・コメ価格対策をまず進めるべきと強調した。

石破首相は30日、フィリピン・マニラでの記者団の取材で、食料品の消費税減税について慎重な見解を示した。立憲民主党が参院選公約として、食料品の消費税率を原則1年間0%とする案を打ち出す中、首相は「高所得者や高額消費者も含めて負担が軽減される」と指摘。低所得者が物価高で最も苦しんでいることを認めつつ、減税の効果には疑問を呈した。

さらに、1年限定の時限的減税については、「税率を下げてまた上げるとなると、事業者が短期間で2回のシステム変更を強いられる」と述べ、事務負担や実現可能性の問題を強調。「賃金上昇の恩恵を受けられない人々がいることも理解している」としつつ、物価高を上回る賃金上昇の促進や、燃料価格、コメ価格への具体的な対策を優先すべきと主張。全体として、消費税減税には詳細な検討が必要との立場を明確にした。

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【私の論評】石破首相の経済政策を斬る!消費税減税と物価高対策の真実

まとめ
  • 石破氏の誤った減税批判: 石破首相は消費税減税を「高所得者も得をする」と否定し、1年限定減税のシステム変更負担を過大評価。財務省の圧力と他者批判によるミスリードで、逆進性や低所得者支援を見誤る。
  • 消費税減税の効果: 消費税の逆進性により低所得者の負担が重い。減税は負担率を下げ、公平性を高める。石破氏の高所得者批判は可処分所得の差にすぎない。
  • システム変更は容易: 現代のPOSシステムやクラウドソフトで税率変更は対応可能。2019年の軽減税率導入実績や補助金で負担は軽く、石破氏の懸念は過大。
  • 物価高と賃金上昇策: 消費税5%減税、ガソリン税廃止、量的緩和拡大、IT投資補助で消費と生産性を上げ、賃金を押し上げる。減反廃止と備蓄米放出でコメ価格を安定。
  • 財務省依存の誤り: 石破氏の誤りは財務省依存と浅い政策検討。減税と金融・農業改革で低所得者を救い、経済を成長させるべき。

早い話、首相はかなりの「経済オンチ}

石破首相の政策姿勢には、根本的な誤りがある。物価高を上回る賃金上昇や燃料価格・コメ価格対策を優先すると豪語しながら、食料品の消費税減税を「高所得者も高額消費で得をする」と切り捨て、「1年限定の減税は事業者に2回のシステム変更を強いる」と難癖をつける。この発言は、財務省の増税圧力に屈し、他者批判に終始して真剣な政策検討を怠ってきた石破氏の限界を露呈する。消費税の逆進性やシステム変更の現実を見誤った、ミスリードそのものだ。
世界標準のマクロ経済学でこの問題を鮮やかに解き明かし、実行可能な道を示す。日本のマスコミやいわゆる主流経済学者の戯言は無視する。

消費税は、誰にでも同じ税率を課す。その結果、低所得者の負担が重い。食料品の税負担は、低所得者にとって所得の大きな割合を食う。高所得者は負担率が低い。石破氏は高所得者の減税額の大きさを問題視するが、これは可処分所得が多いだけの話だ。
財務省の「税収中立」論に毒され、減税が低所得者の生活を救い、経済の公平性を高める本質を見失っている。消費税減税の効果は、金額の多寡ではない。低所得者の負担率を下げる力にある。石破氏の言葉は、減税の恩恵が高所得者に偏るかのような錯覚を振りまく。こんな誤解は、国民を惑わすだけだ。
現在のPSO
1年限定の減税が事業者にシステム変更を強いるという懸念も、的外れだ。現代のPOSシステムやクラウド型会計ソフトは、税率変更をアップデートで軽々と処理する。2019年の軽減税率導入時、事業者は短期間で適応した。
事前告知と政府の補助金、ベンダーの支援があれば、中小企業の負担は軽い。石破氏の杞憂は、財務省の事務負担論を鵜呑みにし、実行可能性を過小評価したものだ。低所得者支援と逆進性緩和という減税の目的を前に、システム変更など解決可能な小さな壁にすぎない。
では、物価高を抑え、賃金を押し上げる道は何か。消費税を5%に減税する大胆な一手が要だ。家計の可処分所得が増え、消費が火を噴く。企業の売上が伸び、賃金上昇の土台ができる。アベノミクスのリフレ政策をさらに加速させる。
日銀は2%を超えるインフレ目標を掲げ、量的緩和を拡大する。非正規雇用の待遇を改善し、中小企業にIT投資の補助金をばらまく。生産性が上がれば、賃金は自然と追い越す。ドイツの労働市場改革を参考に、硬直した雇用慣行をぶち壊せば、実質賃金は物価高を軽々と超える。
燃料価格の高騰には、ガソリン税改革が効く。ガソリン税の暫定税率を即刻廃止すれば、1リットル当たり25円の値下げだ。物流コストが下がり、物価全体が落ち着く。短期の財政負担は、消費拡大による税収増でカバーできる。
長期では、エネルギー効率を高める技術投資を増やし、再エネ幻想は捨て去り、石油・天然ガス輸入先の多様化、小型モジュール炉の実用化などてエネルギー価格の乱高下に振り回されない経済を築くのだ。
コメ価格の急騰も、減反政策廃止で一気に解決だ。供給を縛る愚策をやめ、備蓄米を市場に放出する。スマート農業への補助金で生産効率を上げ、輸出で市場を広げる。輸入コメの関税を下げ、価格競争を煽れば、消費者負担は減る。
財政は、歳入庁設立で社会保険料を効率化し、財源を確保。経済成長で税収が増え、赤字は自然に縮む。
石破氏の誤りは、財務省の言いなりに政策を歪め、他者を批判するだけで自ら考える力を磨いてこなかったことだ。優先順位は明確だ。まず、消費税5%減税とガソリン税廃止で国民の負担を即座に軽くする。次に、金融緩和と生産性向上で賃金を押し上げる。最後に、減反廃止と農業改革でコメ価格を安定させる。
これで、物価高は抑えられ、賃金は上がり、低所得者は救われる。石破氏の発言は、減税の真の力を覆い隠し、国民の目をごまかす。低所得者の救済を第一に掲げ、経済を力強く動かす政策を、今こそ打ち出すべきだ。

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