日米の密約を検証している有識者委員会は、沖縄への核再持ち込みの密約は、佐藤元総理大臣の遺族が保管していた文書から、密約が結ばれていたことは、まちがいないものの、あとの政権に引き継がれた形跡はないとして、すでに効力を失っているという見方が大勢となっています。
問題の密約は、昭和47年の沖縄返還にあたって、有事の際、沖縄に核兵器を再び持ち込むことを容認したとされるものです。返還交渉で日本側の特使を務めた若泉敬氏が後に、みずからの著書の中で、当時の佐藤総理大臣とニクソン大統領がホワイトハウスで密約を記した文書に署名したことを明らかにしていました。
この文書は、外務省が行った内部調査では発見されませんでしたが、その後、佐藤元総理大臣の遺族が保管しているのが見つかりました。そして、若泉氏の指摘どおり両首脳の署名があったことから、岡田外務大臣が設置した有識者委員会は、沖縄への核再持ち込みの密約が結ばれていたことは、まちがいないという認識で一致しています。
ただ、本来、総理大臣官邸で保管されているはずの文書は、佐藤氏が政権を離れたあと、自宅に置かれるなど、あとの政権に引き継がれた形跡はなく、この密約は、すでに効力を失っているという見方が大勢となっています。有識者委員会は、現在、報告書の取りまとめを進めており、3月上旬にも岡田外務大臣に提出し、公表することにしています。
すでに表ざたになっている密約を今のこの時期に公式に発表するその意図は?
昨日は、トヨタのリコール問題が大きくなった背景には、現在の日米関係の悪化があることを掲載しました。この問題には、その他いろいろ複合的な問題があるかもしれませんが、最も大きな背景は日米関係の悪化にあると思います。
こうしたことからも、今のこの時期にわざわざ公式に密約を暴露することに意味があるのでしょうか?これは、現在の関係悪化にさらに火に油を注ぐようなことを招くのではないでしょうか?
それに、国家間の密約というものは、国家同士が敵対関係になるとか、最低限同盟関係を破棄するというのならわかりますが、そうでない場合は、互いに相手があることですから、非公式チャネルからそれとなく漏らすくらいだったら良いのですが、そうでなければ相手に対して失礼ですし、国際社会の流儀に反するのではないでしょうか?
国際社会においては、日本国内では考えられないような駆け引き、陰謀、圧力、その他色々あります。
たとえば、今から数年前、これは、パキスタンとアメリカの密約といっていいのかどうかはわかりませんが、以下のような出来事がありました。
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パキスタンのムシャラフ大統領(当時)は2006年9月21日、2001年の米同時多発テロの直後、米政府が同国に対し「対テロ戦に協力しなければ爆撃する」と伝えていた、と述べた。米CBSテレビの番組収録で語った。
番組は24日に放送される予定。ムシャラフ大統領によると、アーミテージ米国務長官(当時)がパキスタンの情報長官に、「爆撃を覚悟しろ。石器時代に後戻りさせてやる。覚悟しろ」などと脅迫の言葉を発したという。大統領は「非常に失礼な発言だった」とあらためて不快感を示した上で、「国益を考えて対応した」と説明した。パキスタンは同時テロ後、米主導の対テロ戦への支持をいち早く表明し、基地使用などの要請に応じている。
一方、アーミテージ氏はCNNとのインタビューで、「パキスタンを爆撃すると脅した覚えはない」と主張した。ただし、同国には当時、「味方でなければ敵になる」と伝え、強く協力を求めたという。ホワイトハウスと米国務省は、この件についてのコメントを避けている。
ムシャラフ大統領は22日、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談する。また来週には、両首脳にカルザイ・アフガニスタン大統領を加えた3者会談が予定されている。
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私は、当時のムシャラフ大統領は、本当はこのように公表するつもりはなかったのだと思います。しかし、彼には彼なりの考えがあって、意図して意識してこのような公表をしたのだと思います。
その背景として、2001年くらいまでは、パキスタンはどちらかというと親タリバン的で、タリバンは国境をこえてパキスタン側に自由に出入りすることができました。そうして、パキスタン領内で物資を補給したり、テロ訓練などをしていました。
しかし、アーミテージ米国務長官のこのような恫喝もあったので、ムシャラフ大統領はいろいろなバランスを考えてアメリカ側についたということです。しかしながら、親タリバン派だったものが急にアメリカ側についてしまったため、国内に反対勢力ができてしまったことも事実です。当時のムシャラフ大統領としては、こうした反対勢力を牽制したり、自らの立場を温存するためにも、こうした発言をする必要があったのだと思います。
ご存知のように、パキスタンでは元首相の暗殺などで混迷。2008年8月ムシャラフ大統領が辞任。辞任に追い込んだ連立政権も崩壊しました。こうしたことから、ムシャラフ大統領の発言も、故なきことではなかったことが理解できます。アメリカに対する気遣いなどしている余裕はなかったのだと思います。
では、民主党政権による今回の密約に関する公式の暴露には一体どいういう意味があるのでしょうか?ムシャラフ大統領のように、やむを得ない事情があるのでしょうか?おそらく、自民党の旧悪露出ということくらしか理由はないのだと思います。
であれば、この時期の公式暴露はいただけませんね。別に数年経ってからゆっくりでもかまわなかったと思います。なぜ、急ぐ必要があるのでしょうか?この密約に関しては、効力を失っているかのような発表をしていますが、そんなことはないと思います。すでに、沖縄や、日本の領土には、何回となく核が持ち込まれ、それが、日本の他国に対する抑止力になっていたのは事実で、これかも変わらないでしょう。
このようなことをして、民主党政権には何の利益があるのでしょうか?安全保障に確固たる考えがあって、アメリカの核を日本に持ち込ませないことを覚悟するならそれでも良いと思います。
これを企業の問題に置き換えて考えてみると、企業にもいわゆる密約というものがあります。法律に違反する密約であれば、それは非常に問題であり、いつ暴露されていも仕方がないですが、そうでないものだって、いくらでもあります。一般の社員が誰も知らない、役員同士の密約とか、役員と会社の密約とか、人事上の密約、会社と会社の密約などがあります。それを会社のある程度の地位にある人が公式の席でそれを暴露したり、ある会社が公式に暴露したとしてらどうなるでしょうか?そうした、個人や、会社の社会性が疑われてしまいます。通常は、墓場まで持っていく筋合いのものだと思います。
国家間の密約とて、同じことです。民主党は自民党の日本国内の旧悪暴露のような軽い感覚でやっているのでしょうが、アメリカという相手があります。密約自体が良いこと、悪いことはこのさい問題ではありません。アメリカ側はどうみるかという視点が重要です。岡田さんこうした意味では、本当にポンツクですね。アメリカとの外交をやりにくくして、自分の首を絞めているのと同じですから。
無論、私も本質的には、アメリカに頼る日本のあり方は大嫌いで、いずれ日本も完全な独立国家になって、アメリカと対等なパートナーとなって欲しいと思います。しかし、今は現実にそうではありません。アメリカに安全保障に関しては完全にお世話になっている状況です。そんなとき、相手がを無視して、密約を公式暴露するという行為は、国際社会上許されることでありません。一官僚が暴露したというのとは次元が違います。
こうした、現日本政府の国際社会性の欠如が、トヨタリコールなどの背景にあるということ、民主党はもっと真摯に受け止めるべきです。3月に密約の公式発表をすることから、おそらく、トヨタリコールのような問題もこれかも頻々として起こる可能性があることと思います。アメリカに輸出したり、アメリカで事業をしている会社など、これからは、こうしたことが起こることを予め予期して、事にあたる必要があります。国際社会性の欠如した民主党には何かがあっても、あてにできないことを肝に銘ずるべきです。
それから、小沢さん、私は小沢さんは5月にアメリカに行けないと思っています。それまでに何らかの動きがあって、民主党を非公式にでも代表する地位にはいなくなると思います。以前このブログにも掲載したようのに、だからこそアメリカ側が打診して来たのだと思います。しかし、もし行けることになったからといって、有頂天(まあ、小沢さんはそうはならないでしょうが・・・)になってもらっては困ります。中国に行くのとは分けが違います。おそらく、アーミテージがムシャラフに行ったように、かなりの因果を含められることは必定だと思います。
最近、若者の社会性の欠如が話題になることが良くあります。でもね・・・・・・・。大人、しかも、その中でも政治家という本来ならば、社会性が最も必要とされる人たちの中にも、社会性を理解しない人がいて、それがトヨタリコールなどという問題を招いていても、一向に気にならない人がいるというのは、情けないことだと思います。社会性のない人は、会社の重要な地位についたり、国政を担ったりしてはいけません!!担いたかったら、社会性を身につけるしかありません!!
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