2015年10月14日水曜日

経済効果だけじゃない…中国人「爆買いツアー」の光と闇―【私の論評】中国爆買いツアーの終焉を、予感させる二つの厳然たる事実(゚д゚)!

経済効果だけじゃない…中国人「爆買いツアー」の光と闇
いろいろと話題になっている中国人による「爆買い」。しかし、お金を使ってくれるだけではなく、問題も表面化してきた。

■日本のいろいろな場所で中国人観光客による「爆買い」が話題になっている


15年に日本を訪れる外国人旅行者数は過去最高の1800万人前後になる見通し。日本全国の観光地の土産物店などで特に目立つのが中国人の姿だ。今年1~5月に中国から日本を訪れた人の数は171万人あまりと国・地域別では最も多い。

■だが、いろいろと問題も起こってきた

・通訳の資格を持たない「闇ガイド」の存在


中国人観光客による爆買いの裏で、資格を持たない“闇ガイド”が暗躍しています。その手口は、高額の商品を売りつける、いわゆる「ぼったくり」である。免税店等と手を組んで、お客さんに買い物をさせて、とんでもないバックチャージを得ている。

中国人の爆買いツアーの一番のボリューム層は、やはり廉価なツアー団体客だ。彼らの最大の目的は買い物だが、彼らがカネを落としていく先は、日本人の店ではなく、中国系の店が大半を占めている。“爆買い”で儲かっているのは、実は中国人なのだ。

そんなこともあってか、最近中国のネット上には、爆買いツアー参加者から続々と不満の声が上がっている。
「日本への団体旅行に注意」
「ガイドが人をだましている」(中国のインターネットサイトへの書き込み)

元闇ガイドの声によると、たとえば酵素がぼったくり商法のツールになっている。最近の中国人は、健康志向が強く、日本のいわゆる酵素食品は飛ぶように売れる。このガイドによれば、ある酵素のパッケージの売り上げが11万1000円で、そのバックマージンが3万6000円にも登るという。

高額な酵素健康食品のリベート率は、なんと3割。観光客に爆買いさせればさせるほど、ガイドも儲かる

・売上は上がったが…成田空港を悩ませる意外な問題



旅行で成田空港を訪れた中国人が出発直前まで免税店で大量の土産を購入する「爆買い」で、航空機の出発に遅れが出ている。航空会社の定める機内持ち込みの制限を超えてしまい、貨物室に預ける手荷物に変更、積み直しに時間がかかるためだ。

このために成田空港には7月に入ってから乗客に携帯品の数量を制限する警告文が登場した。ただ、爆買いは空港経営の追い風になっている。成田国際空港会社(NAA)の二〇一五年三月期連結決算では、免税店など小売事業の営業収益は伸びを見せ、全体の約33%を占めた。

客の買い物を禁止するわけにもいかず、同社幹部は「早めに搭乗ゲートに来てくれればいいのだが…」と漏らした。

・「観光マナー」も問題になっている


目につくのが、彼らのマナーの悪さだ。銀座のテイクアウト専門のスイーツ店でケーキを買い、その場で包みを開いて食べ始めた中国人を注意すると、「このくらいは普通だ」と逆ギレされたという。「買い物をしてもらえるのはうれしいのですが、高級な商品を乱暴に扱われるのはちょっと…」困り顔でこう話したのは、心斎橋筋商店街の中で時計やアクセサリーを販売する貴金属店の女性従業員。

「行列に割り込みをした、していないの小競り合いはしょっちゅう。中国の人同士で口げんかしていることもあった」中には「真っ昼間に路地で立ち小便をする姿を見た」という声も聞かれた。

■ただ、やはり大金を使ってくれるので助かっている面も多い
・赤字の代名詞のように言われてきた「静岡空港」が息を吹き返している


7月末時点で就航する国際線は13路線週47便と1年前の3路線週13便から大幅に増えた。飛行機が到着するたびに空港ロビーは中国人客らであふれる

日中間の協定で、混雑している羽田空港や成田空港を除くと、中国の航空会社は自由に航空路線を開くことができる。地方空港の失敗例とも言われてきた静岡空港は息を吹き返した。

・日本人観光客が少ない地方都市に「爆買い」ツアーで来る例もあり、経済への影響は少なくない。


中国の爆買いツアーは人数といい金額といい桁違い中国人観光客1人あたりの消費額は、外国人平均を8万円上回る約23万円。世界最大級のクルーズ船「クァンタム・オブ・ザ・シーズ」(乗客定員4905人、16万7800総トン)が7月2日、鳥取・境港に寄港た。

彼らが訪れた施設で、特に「爆買い」が際立ったのが、鳥取県唯一の村で人口3450人の日吉津村(ひえづそん)。商業施設「イオンモール日吉津」には、村の人口を超える約4000人がバスで“来襲”

中国人に人気の化粧品や医薬品の仕入れを増やし、何とか常連客に迷惑がかからないようにしたという。

地元への経済効果は4000万~2億円に上る。地方の港の多くがクルーズ船の誘致に必死になるのは、ある意味で当然といえる

■中国の景気に頼るのはどうか?という意見も出ている


中国人観光の爆買いバブル、原因は中国株バブルだった、ということで、中国株バブルの崩壊とともに泡と消える可能性が大きい。

中国の株式市場は信用取引の比率が高く、株価が一旦下がり始めると、一気に逆回転が始まるリスクがある。そして海外市場から切り離されているとは言え、実は観光客の買い物を通じて、間接的に日本経済と繋がっている中国株。

中国観光客依存には怖いところがある。日中関係が改善に向かうかと思われるいまの段階では、中国政府も奨励する形で観光客が送り出されているものの、たとえば日中関係の急激な悪化など何らかの新しい状況の変化があれば、中国政府が水道の蛇口を締めるかのようにその流れを止めてしまうことも可能だ。

【私の論評】中国爆買いツアーの終焉を、予感させる二つの厳然たる事実(゚д゚)!

中国人の爆買いについて、上の記事ではあまりその本質に迫っていませんでした。中国の経済は破綻の一歩手前にあることは、このブログでも何度か掲載してきたことです。株価は下がり、不動産バブルも崩壊し、実体経済に至っては、中国の統計が出鱈目であることもあって、7%を維持しているなどと公表されているものの、実体はマイナス成長の可能性もあることをこのブログにも掲載したことがあります。

にもかかわらず、爆買がさらに増える勢いにあるというのはどういうことなのでしょうか。これには、一つには私が、ジュリアナ東京シンドロームと呼んでいる現象が深く作用していると思います。
「中国は虚偽報道が多すぎる」、中国記者協会幹部が苦言―SP華字紙―【私の論評】中国虚偽報道は建国以来のものであり、最近はじまったことではない!!
この記事は、2011年1月28日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にジュリアナ東京シンドロームについて引用します。
中国幻想にとりつかれている人たちは、日本のバブル崩壊を真摯に振り返ってほしいです。現実に日本で、バブル崩壊が始まったのは、1990年です。
ジュリアナ東京2008
あのバブルの申し子といわれる、ジュリアナ東京は、バブル景気崩壊直後の1991年5月15日に総合商社・日商岩井(当時)とイギリスのレジャー企業・ウェンブリーの共同出資により設立されました。正式名称は「JULIANA'S TOKYO British discotheque in 芝浦」。芝浦1丁目の「第三東運ビル」の1階と2階の吹き抜けを使用し、総面積は1200m²で、最大3,000人以上を収容できる規模でした。上の写真は、2008年に一日限りの復活ということで催されたときの、イベンとの模様です。
この施設ができたときのことは、はっきり覚えています。当時、バブルの崩壊を数字的には把握していた私は、かなりの違和感を覚えたものでしたが、世の中そんなものです。このあたりでは、その後失われた20年が待っていることなど予期できた人はほとんどいなかったでしょう。一時景気が悪くなっても、半年、1年で元に戻るくらいの感覚でいた人が多かったと思います。

日本では、こうした感覚の問題でしたが、中国では違うかもしれません。まさに、官製による好景気バーチャルワールドが展開されていて、本当はすでに数年前に、バブルが崩壊しているにも関わらず、ひたらすら、政府によってその事実が糊塗されているだけかもしれません。

このブログにも掲載したように、中国の公表するGDPなどの統計数値はかなり疑問です。それに、大量の大学生が就職できないでいる現実をみてください。中国では、少なくとも、GDP成長が8%を切ると、新規に生まれる労働者の雇用を吸収できなくなるといわれています。であれば、数年前から、大量の学生が就職できないということは、8%を切っていたと考えるのが当たり前だと思います。 
中国幻想に酔って、中国に投資、中国で事業などはり切っている会社や、人、ジュリアナ東京のお立ち台で踊っている女の子のようなものかもしれません。さて、いつまで、踊り続けていられることやら?
私の言うジュリアナ東京シンドロームとは、この記事をご覧いただいて分かる通り、本当は景気がかなり悪くなっているにもかかわらず、多くの人はそれを暫くの間理解できないという現象のことを言います。

この記事は2011年のものですが、この当時すでに中国幻想はまがいものであったことがはっきりしました。すでに、このあたりから中国投資は先細りしつつあり、新規投資など大規模にする人も減りつつありました。

わずか、10年ほど前までは、中国ビジネス・コンサルタントの仕事は、中国進出のコンサルティングがほんとどだったのですが、数年前からは、すでに中国に進出した企業による中国撤退のコンサルティングがほんどになっています。

もはや、大方の企業は、中国幻想から覚め、一刻もはやく中国から撤退しようとしているのです。

それだけ、中国の実体経済は酷い状況になっているし、天文学的な数字のお金が海外に逃避しているのですが、未だジュリアナ東京シンドロームに酔っている人たちが大勢います。それは、中国の株価が落ちても、実体経済がかなり悪くなっても、それを認識できずに、今の経済の落ち込みなど一時的に過ぎないと考える一部の中国人富裕層です。

また、日本に来た中国人の爆買いがまだまだこれかも続くと考える、日本人もそうです。

そもそも、日本に爆買いに来れるのは、一般中国人ではありません。彼らは、中国では富裕層です。彼らの多くは、株や経済関してあまり知識がありません。だから、株価が落ちても、実体経済が悪くなっても、政府などはまともな統計を発表しないし、株価の落ち込みも一時的なものであるとの発表があるため、将来に全く不安を感じていません。

それこそ、バブルが崩壊したことも良く理解せずに、ジュリアナ東京のお立ち台で踊っていた女の子のように、将来に関する不安が全くありません。

今後実体経済の悪化が多くの富裕層の目などの誰の目にも明らかになったとき、中国人の爆買いツアーも、影を潜めることになることでしょう。そんなことよりも、中国の富裕層の中でも飛び抜けて少数の一部の富裕層がやっているように、元をドルや円に変えて、それを海外に逃避させることを真剣に考え実行するようになると思います。

しかし、その前にそれを中国政府がそれを制限するようになるかもしれません。いずれにしても、中国人の爆買いがこれからも、爆発的に伸びるでことがないことは、はっきりしています。

ジュリアナ東京シンドロームの他にも、中国人爆買ツアーが今後伸びることは無いであろうこと実証する資料があります。それは、中国のGDPに占める消費の割合です。

これについても、過去にこのブログに掲載したことがあります。
【お金は知っている】中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」―【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では日本が酷い円高・デフレだった期間の、日本と中国のGDPに占める個人商品の割合を比較したグラフを掲載しました。そのグラフを以下に掲載します。

名目GDP-民間最終消費支出対GDP比 赤=日本 青=中国
このグラフでわかるのは、中国は1998年からしばらくGDPに占める個人消費の割合が、40%台であったものが、2005年には40%を切り、2008年あたりから、35%で推移していることがわかります。

この間GDPは伸びて、中国はGDPが世界第2の水準になったとして、世界第二の経済大国を自認するようになりました。

しかし、現実には、中国の経済成長によって、個人消費は全く伸びず、そのままだったので、GDPが伸びても、個人消費の割合が減ったということを意味しています。

では、なぜこのようなことになったかといえば、中国の経済発展は、個人消費以外のものが伸びたということです。そうして、その最大のものは、インフラ整備などの公共工事です。鉄道、空港、港湾などの整備です。し

インフラ投資など、最初は実施すれば、それにともない人々の経済活動が活発になり、経済も伸びますが、それにも限界があります。その後、個人消費が伸びなければ、インフラ整備だけ実施しても、実体経済は伸びません。
中国の公共投資によって建築された建物 誰も使用せず鬼城化している
今まさに、中国の実体経済はそのような状況にあります。詳細に関しては、この記事に掲載してありますので、是非ご覧担ってください。

さて、ニュースを見ていると、日本国内では国内総生産(GDP)の数字が発表されたときに、デパートや飲食店の映像が流され、「背広を新しく買う人が増えた」とか、「外食する人が増た」など、個人消費に関することが報道されることが多いです。 
これは日本では個人消費がGDPに占める割合が大きいので、こうした報道がなされるのです。日本の場合、経済成長の原動力は、あくまで、個人消費なのです。テレビなどを見ていると、政府がとてつもない天文学的な資金を投じて、道路や空港、港を整備したりして、その投資の額が頭に残って、莫大であると感じてしまうのですが、日本では、そんなことよりも、個人消費のほうが、経済発展に占める割合が圧倒的に大きいのです。 
上のグラフで示したように、デフレのまっただ中でさえ、GDPに占める個人消費の割合は、6割近くあり、最近では6割を超えています。 
さて、世界各国の個人消費がGDPに占める割合はどうかといえば、イギリス、ドイツ、フランス、ブラジル、インドなど、先進国の一部の国では、だいたい日本と同じ約6割を維持しています。 
アメリカに至っては、個人消費がGDPに占める割合が7割を超えています。これらの国では、さまざまな事情はあるものの、概して、国民が将来に対して楽観的である、と言えると思います。日本で、過去の酷いデフレの期間に、これが60%を切っていたのは、やはり将来に対する不安を感じる人が増えたことによるものと考えられます。 
一方で、ロシアの個人消費がGDPに占める割合は約5割、中国に至っては現在でも、35%しかありません。 
これもいろいろな事情はあるものの、元々国民の稼ぎが少なく、さらにその少ない稼ぎを消費に回さず、貯蓄して貯め込んだり、不動産などの投資に回してしまっている、という事情があるものと推察されます。 
これらの国では、「将来何が起こるか分からない」、「政府が何をするか分からない」、「老後は誰も面倒をみてくれない」などの大きな不安感、恐怖感が、国民を支配し、消費を控えさせ、個人消費がGDPに占める割合を、低いままにさせていると考えられます。 
そういった意味では、個人消費がGDPに占める割合が低い国の政治は、国民を不安に陥れるものであり、まさに中国は共産党の一党独裁であり、国民を蔑ろにしているということです。
これだけGDPに占める消費が低い中国では、日本わざわざ爆買に訪れる中国人は、ごく一部にすぎません。中国の人口は、13億人なので、可能性としてこの13億人がいつか日本を訪れる可能性もあると考えるのは間違いです。

これから、中国の消費が徹底的に伸びることが予想されれば、中国から撤退する企業が増えるなどということはありません。しかし、現実には中国の消費が思ったよりは、ほとんど伸びないので多くの企業が撤退するのです。

実際、進出した企業は、最初のうちは売上もすこしずつは伸びるのですが、とにかく中国人の消費は少ないので、あるところから頭打ちになってしまうというのが実体でした。

それは、中国人の爆買も同じことです。中国人の爆買いが目立つようになってから、すでに数年たちます。先に述べたように、ごく一部の人が爆買いにくるだけで、もともと消費の少ない中国人ですから、さらに爆買いに来る人が増えて消費も増えるだろうと考えるのは、間違いです。

中国のGDPは日本のように、個人による消費による伸びはほんどないのです。中国のGDPの伸びのほとんどはインフラ投資などによるものです。

中国で個人の消費を伸ばすには、現在中国にはほんど存在しない、中間層をかなり増やしその中間層が活発に社会・経済活動をできるようにする必要があります。そうして、これを実現すれば、実体経済も伸びます。だから、日本を含めた多くの国の人々は、それを期待していた時期もありました。

しかし、それを実現するためには、 まずは中間層が活動しやすいように、ある程度の民主化、経済と政治の分離、法治国家化を進めなければなりません。

それを欧米は、数百年かけて実行し、他地域に比較すると抜きん出た経済発展が可能になりました。日本の場合は、それを数十年でやってのけました。

しかし、現中国の政府は、そんなことをする気はさらさらないようです。このままでは、中国人の消費が伸びることはこれからもあり得ません。中国人の消費そのものが伸びないというのなら、もう爆買いツアーも増えないということです。

上にあげた二つの要因から、私は中国人による爆買いツアーはもう頭打ちだと思います。これをあてにして、ビジネスを拡張するなどのことは慎むべきです。そんなことよりも、もっと消費の多い、欧米や、日本人の客を大事にすべきです。上記のような内容を知った上で、本気で商売を考えるのなら、そういう結論になるはずです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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中国人の爆買いツアーがこれからも順調に増えることなどあり得ません。それどころか、中国の現体制は崩壊します。それを確信できる書籍を以下に掲載します。

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2015年10月13日火曜日

【石平のChina Watch】習主席の「金満外交」に民心離反の兆候 外交的失敗だった訪米 ―【私の論評】今や逃げ場のない習近平を見ると、中国壊滅は確実か?


ホワイトハウスでの歓迎式典で並んで立つ中国の習近平
国家主席(左)とオバマ米大統領=25日、ワシントン

先月下旬の習近平国家主席の訪米は、あらゆる意味において外交的失敗であった。念願の米議会演説はかなえられず、国賓の彼を迎えたワシントンの空気はいたって冷たく、オバマ大統領との会談では南シナ海問題や人権問題などに関する米中間の対立がよりいっそう深まった。

「サイバー攻撃しない」との合意に達したことは首脳会談の唯一の成果というべきものだが、それはあくまでもオバマ大統領にとっての成果であって、習主席にしては単なる不本意な譲歩にすぎない。その一方、主席自身が熱心に持ちかけている「新型大国関係の構築」に対し、オバマ大統領は最初から最後まで完全無視の姿勢を貫いた。

ワシントンでの1日半の滞在は、習主席にとってはまさに「失意の旅」であった。

その代わり、習主席はワシントンより先にシアトルに入り、中国と関係の深い大企業を相手に自らの訪米を盛り上げた。そのために中国企業にボーイング機300機の「爆買い」もさせたが、カネの力で「熱烈歓迎」を買うような行動は逆に、習主席の対米外交が行き詰まっていることを浮き彫りにした。

ワシントン訪問の後に続く国連外交でも、習主席はやはり「カネの力」を頼りにした。9月26日に開かれた国連発展サミットで、習主席は発展の遅れた国々などに対し、2015年末に返済期限を迎える未償還の政府間無利子融資の債務を免除すると宣言した。同時に、いわゆる「南南協力援助基金」を設立し、第1期資金として20億ドルを提供すると発表した。

いかにも習主席らしい、スケールの大きな「バラマキ外交」であるが、国民の稼いだお金をそこまで自分の外交に使ってしまうと、思わぬ波紋が国内から広がった。

同28日、人民日報の公式モバイルサイトが「中国による債務免除は“貧者の大盤振る舞い”なのか」と題する長文の論説を掲載した。論説は、習主席が発表した債務免除に対しネット上では「国内2億人貧困層の苦しみを無視した“貧者の大盤振る舞い”」とする反対意見があることをあっさりと認めた上で、それに対する反論を延々と述べた。

習主席の債務免除発表からわずか2日後に人民日報がこのような反論を出さなければならないことは逆に、国内の反発が急速に広がっていることをわれわれに教えた。

人民日報がこのような反論を発すると、当然、国内メディアは一斉に転載して「討議」を展開した。

たとえば大手ポータルサイトの「捜狐(SOHU)」はさっそくネット上の世論調査を行い、債務免除の是非を問うた。このコラムを書いた2日午前では、債務免除を批判する意見に対して、「反対意見の背後にある民心を直視すべきだ」とする回答が何と56%近くに達している。つまり回答者の半数以上が債務免除への反対意見に同調しているのだ。習主席の展開した華やかな「金満外交」に対し、国民の大半はやはり冷ややかな目で見ているのである。

習近平政権は成立以来、腐敗摘発運動の展開や民衆の声に耳を傾ける「群衆路線」の推進で国民からの一定の支持を勝ち取ってきているが、ここへ来て彼自身の独断専行が逆に国民の多くの不信を買い「民心」は徐々に離反し始めているようだ。今回の「金満外交」に対する民衆の批判はまさに、民心の「習近平離れ」の表れではないのか。

結局、彼の場合、「大国の強い指導者」という自分自身のイメージを国民向けに演じてみせるために強硬な外交路線を進めた結果、アメリカとの対立を招き、国際社会の中国に対する風当たりが強まった。そして挽回するために大盤振る舞いの金満外交を行ったわけだが、逆に国民の反発を買い、国内における彼自身の人気を落とす結果となった。独裁者のやることはいつも裏目に出てくるものだ。


【プロフィル】石平

石平氏

せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。

【私の論評】今や逃げ場のない習近平を見ると、中国壊滅は確実か?

中国の貧困層といえば、ごく最近も報道されたばかりです。その内容とは、以下のようなものです。
 中国国務院(政府)は12日、年収2300元(約4万4千円)以下の貧困層が2014年の時点で7017万人だったと発表した。農村部に集中している。 
 習近平指導部は20年までに「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)を建設することを目標に掲げており、政府関係者は同年までに貧困層を一掃するとした。
年収2300元(約4万4千円)以下といえば、これはいかに中国とはいえ、かなり酷い水準です。こういう人たちが、日本の人口の半分より多い数だけ存在するとは驚きです。

ブログ冒頭の記事では、「国内2億人の貧困層」としていますが、これはもっと上の水準も含めたものと考えて良いでしょう。年収2300元以下は、極貧層と呼ぶべきではないかと思います。

中国人の平均月収は、4万円強程度との統計もあります。無論これは、極貧層から超富裕層まで合わせたものの平均です。それにむしても、低い水準です。日本人のサラリーマンの平均月収は40万程度だったと思いますから、これは1/10の水準で、貧困層ともなれば、1/100の水準です。

こんなことでは、本当に生活できるのかどうか疑わしい感じがします。貧困層の暮らしぶりは、おそらく想像を絶するものでしょう。それこそ、地べたを這いずりまわるようなとんでもない生活だと思います。

それがどのようなものが想像できるような資料を以下に掲載します。

これは、昨年の2月の日経新聞の記事です。
中国、資産格差が深刻に 富裕層の保有が6割超す 大学機関が報告、ネットでは記事削除
中国の裕福な世帯の上位10%が、全国の総資産の63.9%を保有するとの報告書を四川省成都の西南財経大の研究機関が23日までにまとめ、発表した。中国メディアが伝えた。 
 報告書の作成に携わった研究者は「財産の多くが少数の世帯に集中している」と資産格差の深刻さを指摘。ただ、詳細を伝えるインターネット上の記事は次々と削除されており、経済格差への不満が高まることを警戒した当局が報告書を問題視したとみられる。 
 報告書によると、上位1%の富豪世帯の平均年収は115万2千元(約1900万円)に上る。2012年の中国の労働者・職員の年間平均賃金は約4万8千元。 
 所得や資産の不平等や格差を示す指標で、1に近いほど格差が大きくなる「ジニ係数」で13年の資産の偏在ぶりを数値化すると、0.7を上回るという。
昨年には、もう中国の経済は低下傾向でしたが、それにしても2月の時点ではあまり顕在化していませんでした。その時期ですら、この有様ですから、今頃はさらにとんでもないことになっていると思います。

こういうのを、本当の意味での格差社会と言うのだと思います。ひところ日本の社会を格差社会という人たちがいましたが、それは正しくは当てはまらないと思います。日本の場合は、格差は中国は無論のこと他の先進諸国よりもはるかに低いです。

これについては、面白い話があります。それは、あのトマス・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』に関する解説をテレビでしていたときの話です。

その話をする前にトマス・ピケティ氏の書籍にある内容を以下に引用します。
議論の出発点となるのは、資本収益率(r)と経済成長率(g)の関係式である。rとは、利潤、配また当金、利息、貸出料などのように、資本から入ってくる収入のことである。そして、gは、給与所得などによって求められる。 
過去200年以上のデータを分析すると、資本収益率(r)は平均で年に5%程度であるが、経済成長率(g)は1%から2%の範囲で収まっていることが明らかになった[7]。このことから、経済的不平等が増してゆく基本的な力は、r>gという不等式にまとめることができる。 
すなわち、資産によって得られる富の方が、労働によって得られる富よりも速く蓄積されやすいため、資産金額で見たときに上位10%、1%といった位置にいる人のほうがより裕福になりやすく、結果として格差は拡大しやすい。
 上の太字の部分に注目してください。高橋洋一氏もテレビでこの10%について説明したのですが、その10%の目安として、高橋氏が提示したのが、日本では「年収1千万」以上というものでした。

これには、スタジオにいた人たちが、絶句ししまったそうです。なぜなら、この「年収1千万以上」という数字は、おそらくそのスタジオにいた人たち、特に放送関係や、その他コメンテーターとして出席している人たちの年収はそれ以上だったからです。

これらの人たちは、無意識に上位10%というと、少なくと年収2000万〜3000万以上であろうと考えていたようですが、以外の少なく年収1000万以上だったからです。

なぜ、こういうことになるかといえば、日本の場合は他の先進国などと比較しても、格差が少ないからです。少し前に良く格差社会といわれていたことがありますが、それはデフレで貧困層が若干増えたということであって、日本では欧米に比較しても格差は少なく、中国などとは比較の対象にもならないくらい、格差は少ないです。

中国の格差問題はますます深刻に・・・・

このような中国ですが、格差を是正し、さらに経済を成長させる方法はあります。それには、何をすれば良いのか、過去の先進国の歴史をみれば良く理解できます。それは、このブログにも何度か掲載したことがあります。

それは、何かといえば、もっと中間層を増やし、増えた中間層が活発に社会・経済活動ができるように、社会のインフラを整備することです。そうすることにより、中間層の消費が増え、経済が発展します。

実際、中国のGDPに占める消費の割合は、35%に過ぎません。日本などの先進国は、大体60%前後です。アメリカは70%にものぼります。中国の場合は、この消費が10%でも伸びれば、随分経済が発展するでしょうし、まだまだ伸びしろがたくさんあります。

実際、過去の西欧の先進国は、数百年をかけてそれを実現しました。日本は、数十年でそれを達成しました。

言葉でいうと簡単ですが、それを実現するためには、いくつかの条件があります。それは、今の中国では全くないがしろにされている、三つの条件である、民主化、経済と政治の分離、法治国家化を推進することです。

これがある程度確保されなければ、中国の経済は停滞するばかりです。しかし、中国の上層部は、それに気づいていません。確かに、これを急激に実現することは不可能です。しかし、何段階かにわけて、計画的にすすめることもできます。

それを実行さえすれば、中国の今後の経済の破綻も防ぐこともできます。習近平指導部は20年までに「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)を建設するとしていますが、それを実行する手立てははっきりいって、先にあげた三つの条件について、具体的なことをする気は全くないようです。

というより、彼らは、現代的な社会・経済に関する知識がまるでなく、今の窮地を脱却するためには、これをしなければならないなどという認識は全くありません。愚かというか、馬鹿です。とにかく、彼らは、馬鹿の一つ覚えのように国内で大規模なインフラ投資をすることにより、経済成長をなしとげ、今にいたるもそれ一辺倒です。

国内では、もうめぼしい開発案件はなくなったため、アフリカ投資をしてみましたが、ことごとく失敗しました。それでも、懲りずに、AIIBを設立して、アジア投資で経済発展を目論みましたが、日米が加盟しないことで、AIIBはとても、アジア投資銀行には太刀打ちのできない状況に陥りました。

このような状況に至っても、習近平はこれに対する抜本的な対策をすることはなく、権力闘争を闘争を繰り返すばかりです。もはや逃げ場もなくなった、中国経済。

そうなると、もう今の体制の中国には全く見込みがないことになります。行き着く先は、中国の壊滅です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年10月12日月曜日

クラスほぼ全員でいじめ 担任は放置? 腹蹴り、トイレ閉じ込め―【私の論評】閉じた社会の凄惨さを思い起こせ(゚д゚)! 


中野区立桃園第二小学校6年生「演劇によるいじめ防止事業」2013年7月8日
ブログ管理人注:写真と、記事の内容には、直接関係はありません。
和歌山県かつらぎ町の小学校で、6年の男児2人が複数の同級生からいじめを受けていたことがわかり、事態を重く見た町教委は、弁護士や大学教授ら4人でつくる第三者調査委員会を設置し、町内で12日、初会合を開いた。うち1人は昨年11月から不登校の状態が続いており、町教委は「男児が早く登校できるよう、原因究明と再発防止に努めたい」と話している。

町教委などによると、男児は小学4年だった平成25年ごろから複数の児童に腹を蹴られたり、悪口を言われるなどのいじめをしつこく受けた。翌26年3月、男児の保護者が学校側に訴えて発覚した。

学校側は担任とは別の教員を見守り役として教室に配置するなどの対策を講じたが、休み時間中にトイレの用具入れに閉じ込められるなど、いじめが止まなかったため、男児は吐くなどの体調不良に陥り、11月以降は不登校の状態が続いている。

さらにクラスのほとんどの児童がいじめに関与していたことがわかった上、7月ごろには別の男児へのいじめも発覚。2人ともケガはないが、町教委は「いじめの根は同じ。看過できない」として、第三者委の設置を決めた。池田八主雄教育長は「学校側が主体的に取り組む姿勢は崩していないが、よりタイムリー、より効率的に行うには第三者の意見を聞くことが必要と考えた」と説明する。

初会合では、委員長に勝井映子弁護士を選任。町教委側から、いじめの経緯や、学校と町教委のこれまでの対応などの説明を受けた後、今後の取り組みについて話し合った。勝井委員長は「学校は子供が育つ場なのに、男児が登校できないことは問題。男児の気持ちを大事にすることを一番に心がけてサポートしていきたい」と話した。

不登校中の男児の父親は「なぜクラスの子供らはいじめをし、担任は放置したのか。学校や町教委の対応に問題はなかったのか。それらの点をしっかりと調査して原因を究明し、子供が安心して登校できる状態にしてほしい」と話していた。

【私の論評】閉じた社会の凄惨さを思い起こせ(゚д゚)!

いじめというか、暴行殺人事件に関して、数日前にKAZUYA氏が動画を投稿していました。その動画を以下に掲載します。



この動画でKAZUYA氏が述べているように、この動画の中で示されている事件は「いじめ」などではありません。暴行殺人事件です。KAZUYA 氏の言うとおりです。しかし、何やら

日本では、学校というと特別な社会であるかのような変な風潮があります。学校だって、社会の一部です。特別な存在とみなして、学校の中での暴力や犯罪などを見逃すなどということは到底許容されるものではありません。

ブログ冒頭の記事のような事件だって、今回はかなり規模が大きくなって、それで白日の下に晒されることになったわけですが、ここまで酷くなるのは、やはり学校が閉鎖社会ということにも原因があると思います。開かれた社会であれば、このようなことは起こらなかったか、起こったとしても、未然に防ぐことが可能だったのではないかと思います。

開きれた社会、閉じた社会については、H・ベルクソンが用いた社会類型により、定義がなされています。それについて以下に引用します。

H・ベルクソン
H・ベルクソンが用いた社会類型で、それらは異質な二つの道徳、すなわち閉じた道徳・開いた道徳morale close-morale ouverte(フランス語)に対応する。
 閉じた社会は、本能に近い習慣や制度に由来する社会的義務によって、内から個人を拘束・威圧し、外に対しては排他的であり、自衛と攻撃の用意を怠らぬ閉鎖社会である。原始社会がそれに相当するが、程度の差はあれ、文明社会もまた閉じた社会である。家族も都市も国家も、他者を選別し、排斥し、拒否と闘争を生む。 
この社会の結合原理は、静止した習慣や制度によって個人を社会に服従させる、非人格的で不変の閉じた道徳である。 
 これに対して開いた社会は、有限な、敵対的な閉鎖性を超えた、無限の、開放的な社会であり、人類愛によって全人類を包み込む社会である。ここでの結合原理は、習慣、本能などの自然力に基づく威圧や命令ではなく、自然から人間を解放し、生命の根源に触れる歓喜を目ざして絶えず前進・向上する、人類愛の道徳、開いた道徳である。 
したがって開いた道徳は、習慣や制度といった非人格的な力によって担われるのではなく、選ばれた宗教的・道徳的天才の人格的な「呼び声」(英雄の呼び声)そのものであって、家族や国家の閉じた道徳を超えた、愛において結ばれた人類社会に対応する。 
 ベルクソンは、こうした人類愛を結合原理とするイデアルな開いた社会と、家族愛や祖国愛に基づくリアルな閉じた社会とは、まったく異質の社会であるとし、静的・停滞的な後者から「生命の飛躍」によって動的・創造的な前者に超越できるとした。この2種の社会と道徳の対置によって、ベルクソンはデュルケームの社会学的宗教・道徳理論を哲学的に批判したが、同時に多くの批判を浴びた。[田原音和] 
『H・ベルクソン著、平山高次訳『道徳と宗教の二源泉』(岩波文庫)』
当然のことながら、今の日本の社会では、完璧に開かれた社会も、閉じた社会もありません。日本の社会にも、幾分閉じられている、かなり閉じられている社会が混在しているわけです。その中で、私は今の学校、特に小学校から、高校までは、かなり閉じた社会ではないかと思います。

しかし、本来学校も社会の一部を構成しているものであり、閉じた社会としてしまえば、それこそ、いじめのような問題が発生するのは当然のことです。上の引用でも「閉じた社会は、本能に近い習慣や制度に由来する社会的義務によって、内から個人を拘束・威圧し、外に対しては排他的であり、自衛と攻撃の用意を怠らぬ閉鎖社会である」とあります。

ブログ、冒頭の記事の小学校は、まさにこの「閉じた社会」です。まさに、自衛と攻撃の用意を怠ることのできない社会です。

学校がこのようなことであってはいけないはずです。「いじめ」という言葉は、今の学校という閉じられた社会の中で通用する言葉ではないかと思います。本来、学校が開かれた社会になっていれば、あのようなことにはならかったのではないかと思います。

学校も、もっと開かれた社会にして、それこそ、一般市民が気軽に訪れたり、職員会議の中に入ることができたり、教育の一部を担っても良いのではないかと思います。

そうして、学校内での、腕力などによる暴力、言葉などによる暴力、その他攻撃などに関しては、ことが起こってから、どうのこうのと会議を開いたり、責任を追求するなどということ事後処理などはやめて、最初から法律や条例などや、そこまでしなくても、全国共通の校則などで、手続きを決めておき、何がことが起こったら、粛々とその手続きにのっとり、処理したり、その範囲を超えた場合は、警察に委ねるなどの決まり事を決めておき、まずは、迅速に処理するという体制を築くべきではないでしょうか。

私達の社会にも、法律などの決め事があります。犯罪を犯せば、警察に拘束を受け、裁判を受け、量刑が決まれば、それに従うというのは当然のことです。

学校だけが、独立した社会で、暴力事件などが発生しても、その時々の学校の判断などというのでは、とんでもないです。こんなことでは、学校の先生だって、判断基準がないのも同じて、何か事が起こったとしても、迅速に対応できず、後追いでしか対処できないです。こんなことでは、子どもたちを守ることはできません。

なぜ、日本だけが学校がこのように曖昧な対応しかとれないのか、全く疑問です。外国では、日本とは随分様子が違います。このブログでは、過去にドイツの学校の事例を掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
ドイツの教師 校外で煙草吸う生徒目撃しても注意しない理由―【私の論評】何でも学校の管轄とするのはあまりにも無責任!!学校は治外法権ではなく、責任ある社会人の子供が行くところと心得よ!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は「いじめ」に関するものではありません。「体罰」に関するものです。しかし、根は同じ所にあると思います。以下にドイツの学校のシステムなどについて引用します。

体罰問題を高校野球の監督をしている友人と話していて、彼が自分のこんなエピソードを紹介してくれた。 
 若くして母校の監督に就任して初めて選手の保護者会があったときのこと。リトルリーグの監督もしているという保護者からこんな指摘を受けた。 
「私がグラウンドに来ても誰も選手が挨拶をしない。どういう指導をされているのか」 
 友人は答えた。 
「挨拶といった基本的なシツケは家庭でお願いします」 
 私は「よく言い返した」と思ったが、保護者会では「シラーとした雰囲気が漂った」という。 
 体罰問題が繰り返されで跡を絶たないのは、子どもの教育をなんでも学校に委ねる風潮も、土壌にあるのはではないか。 
「ドイツでは校門から一歩出れば学校の管轄外。煙草を吸っている生徒を目撃しても教師は注意しません」 
 というのは日独ハーフで「生きる力をつけるドイツ流子育てのすすめ」の著者、サンドラ・ヘフェリンさん。ドイツで義務教育を過ごしたサンドラさんは、1度も体罰を受けたことも目撃したこともないという。 
「ドイツでは遅くとも1980年代前半には、体罰が法律で完全に禁止されていました。基本、子供の生活態度の管理をする担当は学校ではない、というのがドイツの共通したスタンスです」 
 サンドラさんによると、ドイツで「問題行為」(授業中に騒ぐなどの行為。髪の毛を染めるような身だしなみや学校外で起こした問題ではない)を起こした生徒には、まず「口頭」で注意される。その「注意」が3回たまると、校長から生徒の家に「問題行動を起こしたことへの注意」が書面で送られる。そしてこの書面が3通たまったら退学、という。 
「ドイツでは教師の家庭訪問もありません。学校と家庭は厳格に区別されています」(サンドラさん) 
 他国のやり方が日本にそのまま適用できるとは思わない。しかし体罰問題を掘り下げていくと「学校教育と家庭教育の峻別」に行き着くのではないか。学校外で生徒を指導してくれる教師を私たちは「面倒見の良い先生」と賞賛してきた。それは教師に本来親がすべきことを押しつけたことにならないか。学校や教師の責任を非難するだけでなく、家庭を含めた私たちの教育観を問い直すべき時期に来ている。 
 冒頭の高校野球の監督をしている友人に「体罰をしたことがあるか」と訊ねると、 
「あのな、野球が下手なぐらいで人を殴れるか」 
 と苦笑した。
ドイツでは家庭に三通目の注意の手紙が行くと、自動的に退学という仕組みです。 日本の学校もこれで良いのではないかと思います。学校で、暴力を働くものに対する仕打ちは、これで良いと思います。日本では、こういう厳しさがないので、暴力行為をしても、本人もその親もあまり重大な問題であると認識しないのだと思います。暴力を繰りかえしても、何の責任も問われないようでは、いわゆる校内暴力はいつまでもはびこると思います。

問題を起こし続けて、どの学校からも放校されるようになれば、さすがに当人もその親も焦ることになります。そういう子供のみ受け付ける刑務所のような学校を作っても良いと思います。こんなところに、人権問題を持ち出す輩は、それこそ暴力を振るわれる側の人権を無視していると思います。

この程度のことは、日本でも実行できるようにしたうえで、さらに、学校を開かれた社会にする方法を導入すべきと思います。

学校も完璧に開かれた社会にすることは無理だとは思いますが、最低限このようなことをできるようにしておくべきです。そうすることによって、教師の責任も明確になります。校内暴力をするからといって、ただ単純に手紙を書いて、さっさと退学させるだけしかしない、無能な教師は、開かれた社会で糾弾されることになると思います。

それにしても、日本はかなり閉じられた社会というか、コミュニティーが多いです。それが、マイナスの現象を生んでしまうことは、昔からあったことです。たとえば、連合赤軍などの過激派はその典型例です。

閉じた社会で、その中だけで、内から個人を拘束・威圧し、外に対しては排他的であり、自衛と攻撃の用意を怠らぬことのできない社会で、最終的には内ゲバで仲間を殺すという凄惨な事件を起こしてしまいました。



閉じた社会は、最終的にはこのようなことになってしまうものです。学校の暴力事件も同じことです。放置した結果が、暴行殺人です。

日本の社会では、ここまでいかなくても、他の社会の常識が通用しない、閉鎖社会が存在しています。そうして、それがたまたま頭をもたげてきて、多くの人々の知るところとなり、大きな社会問題になります。

最近の東芝の不詳事件も同じことです。閉じた社会の中の論理だけで動いて、とんでもないことになってから、社長が陳謝するような体たらくでした。

もっと、歴史を遡れば、大東亜戦争だって同じです、日本軍は中国に進出したのですが、中国で何をするのか、どのようになれば、戦争を終結するのか、ほとんど何も考えないまま誰も責任もとることもなく、いつまでも戦争を続け、挙句の果ては、米英などとも戦をして、それだけにとどまらず、どこまでも戦線を拡大して、とんでもないことになり、敗戦の憂き目を見ました。

このような無責任体制は、当時の軍や政府があまりにも閉じられた社会の中で、誰も責任を取らない状況の中で発生したものです。

戦後も似たようなものです、日本の金融政策は日銀政策決定委員会で決定されますが、その委員が金融政策を間違ったからといって、誰も責任を取ることはありません。おかげて、日本はとんでもないデフレ型不況にみまわれましたが、それでも、日銀も閉じた社会であるため、何の責任も問われることもありません。

それは、財務省も同じことです。これも閉じた社会で、とにかく自分たちの都合で、増税して、特別会計なり複雑な仕組みを構築して、とにかくそこに金を貯めこむということをしました。これも、日本がデフレ型不況を深刻化させ、自殺者が三万人台にまでふくれあがりました。

国でいえば、中国など典型的な閉じた社会です。正当性を欠く、現中国共産党政府が、民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化もなおざりにして、自分たちの都合で国を運営しています。そのため、毎年平均 10万件もの暴動が発生しています。無論、基本的人権などないがしろにされています。

結局、閉じた社会は、社会の外側から批判されることもなく、自分たちの社会の都合だけで、動くため無責任体制になるのです。そうして、歯止めがなければ、その無責任体制の行き着く先は、凄惨な殺し合いにまで発展するのです。

さすがに、日本などの場合は、かなり閉じた社会というのは、例外的なので、そこまで行くことは滅多にないですが、ごく一部にはそのような社会も存在して、過激派の凄惨な内ゲバ等にまで発展してしまうのです。

学校などの組織も、閉じた社会のままでは、校内暴力はなくなりません。やはり、一定の決まり事を作成した後に、開かれた社会を目指すべきでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年10月11日日曜日

【護憲派を斬る】民主主義を殺した卑劣なルール違反 目的が正しければ暴力も正当化―【私の論評】 日本だけが集団的自衛権を行使していない、してはいけないと思い込むのは虚妄にすぎない(゚д゚)!

【護憲派を斬る】民主主義を殺した卑劣なルール違反 目的が正しければ暴力も正当化

女性団体が警視庁麹町署に提出した告発状

  護憲派メディアの罪は重い。安全保障関連法案や、与野党5党の合意内容を報じるべき時間を割き、学生グループ「SEALDs(シールズ)」らの絶叫を繰り返し報道した。女子高生の叫び声も垂れ流した。

  選挙権すら持たない高校生や10代の大学生らの無内容な連呼に報道価値があるのだろうか。

  シールズの発起人はマスコミの寵児(ちょうじ)となったが、彼らに被選挙権はない。
  国会議員となる法的資格を欠く若者を、国会に参考人として呼ぶ野党がある。重用する放送局がある。なんとも不思議な感覚ではないか。護憲派タレントや文化人もこぞって若者を持ち上げた。

  学生らは、国会議事堂周辺でデモを繰り広げ、拡声器を使い、一国の首相を「バカ」呼ばわりし、「戦争法案、絶対反対」と連呼した。大学教授までが「お前(総理)は人間じゃない。たたき斬ってやる」と絶叫した。侮辱罪(拘留又は科料)や、脅迫罪(3年以下の懲役)に抵触しかねない暴言である。

  発言内容の前に、国会議事堂等周辺地域及び外国公館等周辺地域の静穏の保持に関する法律で、「当該地域の静穏を害するような方法で拡声機を使用してはならない」(第5条)と定められている。民間人に例外として許されるのは、選挙運動や災害時の使用だけ。警察官の是正命令に違反したら「6カ月以下の懲役又は20万円以下の罰金」(同第7条)だ。

  軽い罪ではない。憲法を守れと叫ぶ前に法律を順守してほしい。

私事で恐縮ながら、有名マンガ家関連のサイトで先日、「潮匡人って男は、見かけはサルだが中身はサル以下」と書かれた。名誉棄損罪(3年以下の懲役)ないし侮辱罪が成立する。護憲派メディアが、彼らを重用するのはなぜか。安倍晋三政権や保守派への批判な
ら、誰が何をしても許されるのか。

議員も例外でない。平和主義を語る前に、平和的に審議してほしい。どさくさに紛れて、自民党の大沼瑞穂参院議員を引きずり倒し、投げ飛ばすなど論外だ。傷害罪(15年以下の懲役)ないし、暴行罪(2年以下の懲役)が成立する。「良識の府」が聞いてあきれる。

自民党大沼瑞穂参院議員を引きずり倒し、投げ飛ばした
民主党参議院議員津田弥太郎

 民主主義を殺したのは安倍政権ではない。暴力や卑劣な実力(セクハラ作戦)を行使した護憲派野党である。安倍批判を合唱した護憲派マスコミである。

  彼らは、目的が正しければ、手段は正当化されると考えているらしい。それでは、ドストエフスキーの長編小説「罪と罰」の主人公、ラスコーリニコフと同じではないか(=信念に基づいて金貸しの老婆を殺害する)。ならば今後一切、「自由と民主主義」を語る資格はない。

  果たして、護憲派の辞書に「悔悟」や「懺悔」の文字はあるのだろうか。 =おわり

潮匡人(うしお・まさと)

【私の論評】 日本だけが集団的自衛権を行使していない、してはいけないと思い込むのは虚妄にすぎない(゚д゚)!

上の、潮匡人氏の主張は、正しいです。マスコミ、憲法学者、デモに参加した各種団体など、ルール違反というより、完璧に常軌を逸していると思います。

まずは、津田弥太郎氏が国会内で自民党女性議員に対して働いた乱暴狼藉の様子をとらえた動画をご覧いただきたいと思います。



これは、完璧に意図して意識した、乱暴狼藉です。
民主党議員津田弥太郎は、2015年9月17日、参院平和安全法制特別委員会での安全­保障関連法案採決時の混乱において、大混乱となった委員長席周辺から離れた場所に立っ­ていた自民党の大沼瑞穂参議院議員を突然後ろから羽交い締めにし、引きずった上に引き­倒すなどの暴行を加えた。 
なお、この暴行により大沼議員は右手の薬指と小指を負傷して­いる。このセクハラ及び暴力行為に対して谷垣禎一自民党幹事長は懲罰動議の検討を表明­した。9月19日未明、産経新聞の取材に対し、津田は「関係ない」との発言を繰り返し­、明確な回答は避けた。(Wikipediaより引用) 
大沼瑞穂議員
大沼 瑞穂(おおぬま みずほ) 
慶應義塾大学法学部卒業の才女。同大学大学院法学研究科修士課程修了後、NHKに報道­記者として入社し、仙台放送局へ赴任。その後、外務省専門調査員として香港総領事館に­赴任。赴任中は尖閣諸島に出航する中国船の確認や情報提供者との接触を担当していた。 
2012年に実施された自民党山形県連の公募に再び応募し、2013年2月4日に行わ­れた党員投票に勝利し公認候補に内定。7月21日、第23回参議院議員通常選挙に自民­党公認で出馬し、初当選した。(Wikipediaより引用) 
これらの証拠があるにもかかわらず、民主党議員辻元清美氏は決議時の自民党の姿勢を批­難するばかり。仮にも国会議員が、国の最高機関である国会において、婦女子に暴行を働­くとは言語道断である。 
しかも、セクハラ反対を唱えていた民主党員が、その舌の根も乾­かぬうちに自民党の女性議員にセクハラ暴行。暴行を受けた大沼議員は、身長160セン­チにも満たない小柄な女性。これは明らかに犯罪である。犯罪者津田与太郎は断罪に処す­べし!
このような犯罪が放置されるようでは、まさに民主主義の敗北であり、死を意味します。このまま、上の記事で示されたことが放置されていれば、日本は法治国家とはいえません。由々しきことです。

そもそも、集団的自衛権に関しては、佐藤内閣以前には当然のこととして認められていたものです。 佐藤内閣によって、国会対策のために、持たないことにするとされただけの話です。そうして、集団的自衛権も、個別自衛権も、国連ではすべての独立国の固有の権利とされているものです。

また、自衛権の行使など、独立国として当然の権利であることから、世界の他の国には、集団的自衛権、個別自衛権ともに、記載のない憲法なども多く存在します。憲法にはっきり記載がないから、集団的・個別的自衛権は、憲法違反だと考える、国民も憲法学者もこの世界には存在しません。

さらには、ドイツには、実質上NATO加盟国として、集団的自衛権は認められていますが、個別的自衛権は認められていません。なぜなら、ドイツが個別的自衛権を行使することができれば、ドイツ単独で戦争ができることにり、周辺国に対して危機をもたらすと考えられているからです。

ドイツ連邦軍に個別的自衛権は認められていない

集団的自衛権は、自国のみの都合では行使することができず、同盟国との協調によってのみ行使されるものであり、自国の判断のみで戦争はできません。しかし、個別的自衛権ならば、自国の都合のみで、戦争ができてしまうということで、戦争の抑止力としては十分とはいえないと考えられているからです。

さらに、もうひとつ加えると、日本人が自分たちは集団的自衛権を行使していないと思い込むのは、勝手ですが、日本にはアメリカ軍の基地があるということ自体がすでに集団的自衛権を行使していることになります。

いくら、佐藤内閣時代に、日本は集団的自衛権を行使しないことにしたなどと言ってみても、国際的にみれば、日本がアメリカに軍事基地を提供している、そのこと自体が集団的自衛権の行使にあたります。これは、世界の常識です。なぜか、日本だけが集団的自衛権を行使していないという虚妄に取りつかれているようですが、それは完璧な間違いです。

そもそも、集団的自衛権を行使することを認めれば、即戦争になるなどという見解も全くの間違いです。それは、全くの逆です。集団的自衛権のほうが、個別的自衛権よりも、はるかに戦争に対する抑止になります。なぜなら、個別的自衛権は、他国とは全く関係なく、自ら自衛権を発動できますが、集団的自衛権ともなれば、他国の協調で自衛権を発揮しなければならないからです。

だからこそ、ドイツは個別的自衛権を実質上行使できないし、自ら出来ないようにしています。

何やら、日本では集団的自衛権を行使することにすると、戦争になるなどと考える、世界の常識からは、かなりズレている人たちが多いです。というより、これはもう虚妄の水準です。

こんな当たり前の常識を無視して、野党もマスコミも、あたかも日本だけが集団的自衛権を全く行使していないと思い込むのは、精神に異常をきたしているとしか思えません。もう、日本はすでに、部分的に行使しています。そもそも、アメリカ軍の基地が日本に存在するということ自体が、集団的自衛権の行使にあたります。

それに、日本の軍事的な台頭を恐れ、また戦争になることを恐れるならば、個別的自衛権など封印して、集団的自衛権のみを行使できるようにすることのほうが、余程理にかなっています。

戦争するしないは、独立国であれば、最終的に政府が決めます。さらに、集団的自衛権の場合は、政府とさらに同盟国の同意がなければ、余程のことがなけれは、戦争はできません。しかし、個別自衛権ならば、自国の一存で戦争可能です。どちらが戦争になる確率が高いかといえば、個別的自衛権です。

また敵からみれば、一国を相手にするよりも、集団的自衛権で防衛したある国を攻撃するることは、同時に複数の国を敵とするということになり、これは余程の覚悟がいります。だから、戦争の抑止になります。

しかし、日々接する、新聞やテレビなどが、集団的自衛権では、戦争に巻き込まれるなどの、虚妄を振りまいたのですから、多くの人々が最初は幻惑されるのは無理もないと思います。

そもそも、日本が集団的自衛権を発揮していないとか、発揮することは憲法違反であると思い込むのは虚妄です。虚心坦懐に憲法を読めば、日本国憲法は、集団的自衛権、個別自衛権の発揮を禁じているものでありません。あくまで、侵略戦争を禁じているのです。

そうして、侵略戦争は何かといえば、現中国のように、建国当初は自国の領土ではなかった、満州、チベットや、ウイグル、内蒙古に侵略して、自国の領土に併合することをいいます。

護憲派などは、集団的自衛権を行使すると戦争になるなどという虚妄を述べ立てるくらいなら、はっきりと、侵略をした中国を非難すべきです。

中華人民共和国独立直後の版図は上手の赤色部分のみ。その他は、侵略して併合した

そもそも、日本だけが集団的自衛権を行使していない、してはいけないと思い込むのは虚妄に過ぎません。たとえ、日本人がそう思っても、世界はそう見ません。特に、中国はそうです。日本が完璧に、集団的自衛権を放棄すれば、一番喜ぶのは、中国です。

私は、こんな虚妄がいつまでも続くとは考えていません。いずれ、時がたてば、賢明な日本人のことですから、まともに世界の状況を調べたり、調べた多くの人々が、それを世に広めたりすれば、虚妄から開放される人がどんどん増えてくると思います。

その頃には、"集団的自衛権=戦争"などと、言う政党や、団体など急速に力を失っていくことでしょう。

その結果は、早ければ来年の参議院議員選挙において、そのようなことが、みられるものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年10月10日土曜日

【世界記憶遺産】ユネスコ拠出金見直しへ 「断固たる措置取る」日本政府―【私の論評】常軌を逸した、ユネスコから日本は脱退するべき!それが、ユニセフ等の国際組織をまともにするための近道である(゚д゚)!


犠牲者30万人という数を記した南京大虐殺記念館の壁=中国江蘇省南京市

 中国が申請していた「南京大虐殺文書」が記憶遺産への登録が決まったことに対し、日本政府筋は「断固たる措置を取る」と述べ、ユネスコの分担金拠出などの一時凍結を検討する構えを見せている。

 平成26(2014)年度のユネスコ予算の日本の分担率は米国の22%に次ぐ10・83%で、金額は約37億1800万円。米国が支払いを停止しているため、事実上のトップだ。さらに分担金以外でも、さまざまな事業に対する任意拠出金があり、同年度のユネスコ関係予算は計約54億3270万円に上る。

 外務省首脳は「日本の分担金はトップクラス。(ユネスコ側が)日本からの申し入れに真剣に耳を傾けることに期待したい」として、中国の申請案件の登録が認められた場合は拠出金の凍結もあり得るとのシグナルを送り、慎重な審査を求めていた。

 一方、中国の分担率は6位の5・14%で日本のほぼ半分。任意拠出金も日本より少ない。しかし、中国の動きに詳しい関係者によると、中国は、記憶遺産の周知を図る名目で関係者を中国に招待するなどしているという。記憶遺産事業だけでなく、アフリカでの女子教育などにも中国は積極的に支援を行っており、「さまざまな形でボコバ事務局長の思いに応えている」との指摘もある。

  中国の登録申請を受け、“防戦”に回った日本も傍観していたわけではなかった。「審査を行う国際諮問委員会メンバーに対し、ユネスコ加盟国は働きかけられない」(日本外務省筋)ことから政府はその動きをつまびらかにしていない。しかし、「政府は関係する分野の専門家などと協力し、委員側に日本の主張を伝えてきた」(与党議員)という。民間団体もパリのユネスコ事務局を訪問し、英文の反論文を提出している。

 記憶遺産は、人類にとって歴史的価値のある貴重な文書の保護などを目的とする。中国が日本を貶(おとし)めるために利用する「南京大虐殺文書」の登録が本来の目的にそぐわないことは明らかだ。政府関係者は「今回の申請も受理も理解できない」と述べ、記憶遺産事業の見直しもユネスコに働きかけるべきだと強調した。

【私の論評】常軌を逸したユネスコから日本は、脱退するべき!それが、ユニセフ等の国際組織をまともにするための近道である(゚д゚)!


ユネスコとはどのような機関なのか、以下に掲載します。
国際連合教育科学文化機関(こくさいれんごうきょういくかがくぶんかきかん、フランス語:Organisation des Nations unies pour l'éducation, la science et la culture、英語:United Nations Educational,Scientific and Cultural Organization ユネスコ)は、国際連合経済社会理事会の下におかれた、教育科学文化の発展と推進を目的として、1945年11月に44カ国の代表が集いロンドンで開催された国連会議"United Nations Conference for the establishment of an educational and cultural organization" (ECO/CONF)において11月16日に採択された「国際連合教育科学文化機関憲章」(ユネスコ憲章)に基づいて1946年11月4日に設立された国際連合の専門機関である。
教育や文化の振興を通じて、戦争の悲劇を繰り返さないとの理念により設立の意義を定めたユネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」との文言があり、設立の目的とその精神を顕著に表している。 
活動にあたっては、重点的に推進する目標として「万人のための基礎教育」「文化の多様性の保護および文明間対話の促進」などを定める。それに基づき、例えば前者に関しては識字率の向上や義務教育の普及のための活動、後者については世界遺産の登録と保護、文化多様性条約の採択のほか、歴史的記録遺産を保全するユネスコ記憶遺産(世界の記憶)事業などを実施する。そのほか、極度の貧困の半減、普遍的初等教育の達成、初等・中等教育における男女差別の解消、持続可能な開発のための教育危機に瀕する言語の保護などを内容とするミレニアム開発目標など、国際開発目標達成を目指す。 
1980年代には、放漫財政等のマネージメントの問題に加え、活動が「政治化」していることのほか、当時のムボウ事務局長が提唱した「新世界情報秩序」がジャーナリストの認可制を導入し報道の自由を制限するものだとして、アメリカ合衆国、イギリスが脱退し、ユネスコの存続は危機に立たされた。この間、日本は、ユネスコにとどまり、分担金の約4分の1近くを担う最大の拠出国として、ユネスコの存続に大きな役割を果たした。 
結局、政治的偏向や報道の自由に対する問題を解消したマヨール事務局長につづき、松浦事務局長のもと管理運営についても全般的な改革がなされ、英国が1997年7月に、米国が2003年10月にそれぞれ復帰する。このように、松浦事務局長の改革については高く評価され、総会や執行委員会でも多くの加盟国から繰り返し表明された。一方で、改革の根幹であるRBMの進展やプログラムの整理、官僚主義的な組織機構について、さらなる取組も求められた。
ユニセフは、アグネス・チャンが親善大使となっていることで物議を醸した日本ユニセフとは直接関係のない組織ではありますが、それにしても、このようなことを公然と行う組織に対しては、今後分担金をすべてひきあげても良いのではないかと思います。

いや、それどころか、日本はかつてのアメリカ合衆国や、イギリスのように脱退すべきものと思います。脱退ということは、すべての分担金、拠出金をひきあげるということにもなります。

中国の歴史修正はこのブログにも過去に掲載したことがあります。その記事のURLを以下掲載します。
「恥知らず」ネット大荒れ “毛沢東主役”中国の歪曲映画に非難と嘲笑―【私の論評】自国の歴史修正が人民の反感を買う!日本に対するそれも必ず暴露され、いずれ中国は大炎上する(゚д゚)!
アンディー・ウォーホールの作品 毛沢東 1974年
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詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、毛沢東主役の映画で、毛沢東がヤルタ会談に出席したという歴史の歪曲に対して、中国国内でも非難が沸き起こっていたことを掲載しました。この記事では、中国による歴修正の酷さについても徹底的に批判しました。その部分のみ以下にコピペさせていただきます。

それにしても、中国ではこの映画の監督なども含めて、歴史をあまりにも簡単に考えすぎている人が多いようです。
カイロ会談出席メンバー 左より蒋介石、ルーズベルト、チャーチル
もちろん中華民国とは縁もゆかりもない毛沢東は参加していない。
その証拠として、非常に驚いた話があります。ジャーナリストの櫻井よしこさんが、いわゆる日本軍による南京の虐殺に関して、「最初は数万と言いつつ、後に10万人、その後は20万人、さらに30万人、今では40万人という人もいますが、どうしてこんなに虐殺者の数が人によって異なるのですか?」という質問、中国の名門校の精華大学の教授にしたところ、以下のような答えが返ってきたので、驚いたそうです。 
「南京の虐殺者数は、中国人民の感情に比例する」

ジャーナリストの櫻井よしこさん クリックすると拡大します
これは、とてもまともな人間の発言とも思えませんが、これが一応インテリと目される、精華大学の教授の発言ということです。 
ということは、習近平やなどの中国共産党の幹部や、他の官僚や、一般人民などの歴史発言など押してしるべきです。そうです。中国では、感情によって、数が変わったり、歴史が変わるのです。 
彼らにとっては、自分の都合や感情によって、過去の歴史を勝手に変更することはいとも容易いようです。これが、ある程度まともな国の、まともな人間なら、自国の歴史はもとより、他国の歴史についても、少なくとも史実といわれていることについては、勝手に変更はしないし、そもそも出来ないです。 
しかし、このような歴史修正を気軽に続けてきたせいでしょうか、中国人の中には、歴修正の緩みとでも形容しないと説明のつかない事象が発生しています。 
上の記事も、その典型例だと思います。中国における、毛沢東の評価について、知らない世代も増えているようですが、さしずめ、この映画の監督や制作にかかわった人間は、それを知らないようです。 
中国は、本当は「毛沢東」を建国の父として、英雄としてまつりあげ、国家統合の象徴にしたいと考えていた時期があります。 
しかし、それはできない相談でした。なぜなら、中国においては、毛沢東のために犠牲になって殺された人の数があまりにも多く、平均的な中国人であれば、親戚縁者や知人の誰かが、毛沢東の犠牲になっていたという歴史的事実があり、とてもそのような人物を英雄に祀り上げることなどできなかつたという経緯があります。
実際中国では、毛沢東により数千万以上の人間がなくなっています。中国が、日本の歴史を修正するのは、日本を悪者に仕立てあげることによって、過去の中国の人民に対する大虐殺を帳消しにして、中国共産党の一党独裁の正当性を保持するためです。

反日をやめてしまえば、中国共産党の一党独裁政治は全く正当性を失い、現体制は崩壊することになります。

そんな中国による歴史修正に過ぎない、南京虐殺事件30万人説などを受け入れ、登録してしまったユニセフは、全く公平性に欠けるどころか、偏向しています。

それに、南京虐殺は虚構に過ぎないことが、今では周知の事実になっていますし、さらには戦後70年においては、日本は戦争をしていませんし、日本人をはじめとして、他のどの国の人々も虐待などしていません。

対する中国は、終戦直後には、外国であった中国東北部(旧満州)、チベット、ウィグル、内モンゴルなどの武力で侵攻して、自らの領土にしています。

現在も、これらの国々を支配し続け、弾圧しています。他の少数民族に対する虐待も行っいます。それどころか、まとに民主化、政治と経済の分離、法治国家化もされておらず、最近では、暴動の年平均件数が、10万件を超えていると推定されるような国です。教育や文化の振興を通じて、戦争の悲劇を繰り返さないとのユネスコの理念からかけ離れた国です。

このような中国こそ、ユネスコの理念からすれば、そもそも参加させるべきではありません。にもかかわらず、中国の歴史修正をよく確かめもしないで、「南京大虐殺文書」が記憶遺産への登録するなど、全く常軌を逸しているとしかいいようがありません。

このような組織が本当にまともに、理念通りの活動をしているのかどうかも疑わしいです。日本側としては、まずはこの組織の内部監査を要求すべきです。日本では、「国際」というレッテルがつく組織というと、単純に「正義」とか「正しい」と無条件に思ってしまう人が多いです、しかし、それは全くの間違いです。

国際組織の現実は、多くの国々の利害が対立する場でもあります。多くの日本人が思っているように善意や理想にのっとり、国際的に活動する場所ではありません。

それは、今回のこのユニセフの事例でも十分におわかりいただけるものと思います。

そうして、このような国際組織を懲らしめるためにも、日本は脱退するべきです。それが、ユニセフなどの国際組織をまともな組織にするための近道です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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