2015年11月19日木曜日

パリ同時多発テロの根底にある100年の歴史―【私の論評】本当の歴史を知らなければ、今の世界も日本国内の難民・移民問題も見えなくなる(゚д゚)!


同時多発テロがあったレストラン前に集まり、ろうそくに火をともす市民ら
終わらぬ根深い憎しみの連鎖発端は第一次世界大戦

今月13日、パリで130名近くもの死者を出すテロが起こった。直後に「イスラム国」から犯行声明が出され、フランス空軍による報復爆撃が行われたというニュースも流れている。

ちなみにテロが起こった11月13日は、1918年、英仏軍がオスマン帝国のイスタンブールを制圧した日である。つまり聖戦を掲げるイスラム国にとっては、キリスト教徒にイスラム教徒が侵略された恥辱の日であり、復讐にふさわしい日と見ることもできる。

首謀者にはヨーロッパ国籍をもつイスラム国シンパも含まれているといい、戦争の歴史が作り出してしまったヨーロッパ移民社会の複雑さ、暗部をも垣間見るようである。

根深い憎しみの連鎖は、まだまだ終わりそうもない。卑劣きわまりないテロの犠牲者に対しては、哀悼の念を強くするばかりである。

ただ地政学的に見れば、1916年のサイクス=ピコ協定でわかるように、ヨーロッパ諸国がアラブ世界を民族無視で勝手に分割したこと、さらにその後、しっかりコントロールしきれなかったことが、さまざまな形をとって現在にまで及んでいる。例えば、アメリカがイラク民主化のためにフセイン政権を倒したが、その残党が「イスラム国」を作った。このたびのパリのテロもまた、それらがもたらした大きな悲劇の一つであると見るべきだろう。

こうした現代の難問を理解するには、高校レベルの世界史をおさらいしておくといい。

発端は第一次世界大戦である。

中東問題の大元を作ったイギリスの「三枚舌外交」

第一次世界大戦後にドイツの力が弱まり、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国、ロシア帝国が崩壊したことで、バルカン半島から東欧にかけての地域には小さな独立国家が乱立した。

ドイツの同盟国として参戦したオスマン帝国の解体では、現代にまで続く中東問題が芽生えてしまった。それを説明するには、第一次世界大戦中のイギリスの多重外交にまで遡らなくてはならない。

1915年、イギリスはフサイン・マクマホン協定によって、オスマン帝国からの独立をアラブ人たちに約束した。

「オスマン帝国との戦いに貢献し、勝利した暁には自分たちの領土を持てる」とアラブ人たちに思わせることで、イギリス陣営への協力を取り付けたわけである。

しかし、これが虚構であったことは、その直後にイギリスがフランス、ロシアと結んだ協定を見れば明らかだ。

1916年、オスマン帝国領アジアをイギリス、フランス、ロシアとで分割、パレスチナは国際管理下に置くというサイクス=ピコ協定が結ぼれる。下図で、青がフランス、赤がイギリス、緑がロシアである。


これは、オスマン帝国の支配下にあるアラブ人が独立できるという、フセイン=マクマホン協定と明確に食い違っている。しかも、定規で引いたような人為的な国境線が後で火種になる。

さらに1917年には、イギリスは、パルフォア宣言によってユダヤ人がパレスチナに独立国家を築くことを認めた。アラブ人にしたように、「独立国家を持てる」と約束することで、ユダヤ人からの協力も得ようとしたのだ。

このようにイギリスは、戦争を有利に進めるために、それぞれの利害関係者に異なる言質を与える「三枚舌外交」を行った。そして、今日にまで続く中東問題の大元を作ってしまったのである。

統治国の勝手が生み出したクルド人問題とパレスチナ問題

ちなみに、サイクス=ピコ協定でオスマン帝国の分割案に参加していたロシアは、戦中にロシア革命が起こったため、単独でドイツと講和条約を締結していた。

ロシアはバルカン半島で勢力拡大し、オスマン帝国までも分割統治することで黒海方面への南下を狙っていたが、その野心は、自国内の革命という足元から崩れることになったのである。

ロシアが途中で戦線離脱したことで、オスマン帝国はイギリスとフランスの決定によって分割統治されることになった。

そこで生じた中東問題の一つは、クルド人問題だ。イギリスとフランスが勝手にそれぞれの委任統治領を決めたせいで、クルド人の地域は、トルコと、イギリス、フランスの勢力下にあるイラクとシリア、イランなどに分断されてしまった。

実は、最初に結ぼれたセーブル条約ではクルド人の独立国家の建国が認められていた。ところが、トルコ共和国の領土回復が認められたローザンヌ条約で、取り消されてしまったのだ。

自分たちの国を持たないクルド人は、各国では少数派だが、全体を合わせれば約3000万人にもなると推定されている。彼らの独立問題は、第一次世界大戦以降、今も中東における最大懸念の一つとなっている。

第一次世界大戦が元となった中東問題は、パレスチナ問題だ。現在のヨルダンを含むパレスチナは、第一次世界大戦後、イギリスの委任統治領となり、パルフォア宣言に基づいてユダヤ人たちはパレスチナに向かった。といっても、この当時は、もともとパレスチナに住んでいたアラブ人と移植してきたユダヤ人は、比較的穏やかに共存していたとされる。とごろが、ユダヤ人入植者が増えるにつれて、次第に土地争いなどが起こりはじめ、バレスチナ人との対立が強くなっていく。

それを、統治国であるイギリスはコントロールしきれなかった。困り果てた末、第二次世界大戦後に責任放棄して国連に丸投げにしたために、パレスチナ問題はますます混迷を極め、いまだ解決されていない。

テロは決して認められないだが100年間の歴史も知っておこう

ひとくちにイスラム教徒といっても、内側は非常に複雑である。彼らの帰属意識は国よりも部族に対してのほうが強く、しかも、先に挙げたクルド人に代表されるように、国境と部族が必ずしも一致していない。

さらに、イスラム教にはスンニ派とシーア派という二大宗派があり、多数派のスンニ派と少数派のシーア派が対立を続けているという長い歴史がある。この宗派とは別に、トルコ主義、アラブ民族主義、ペルシャ主義といった、少しずつ異なる民族意識もある。

宗派や民族意識が異なっても、最大概念であるイスラム共同体「ウンマ」への帰属意識は共有している。しかし、イラン・イラク戦争のように、同じイスラム教国同士で起こった戦争には、スンニ派とシーア派の歴史的対立が絡んでいる場合もある。

こうした背景をいっさい斟酌しようともせず、戦勝国が勝手に勢力図を決め、分け合ってしまったのが、第一次世界大戦の一つの結果だった。アラブ世界の人々は、宗教心や帰属意識もろとも、列強の手前勝手な領土欲に振り回されたのである。

現在では中東は、かつてのバルカン半島をしのぐといってもいいほどリスクの高い「火薬庫」となってしまった。目下、最大の懸案は、やはりイスラム過激派組織「イスラム国」の台頭である。「イスラム国」は、サイクス=ピコ協定の終焉を目指している。

ヨーロッパでは、今回のパリのテロ以外にも、これまでにロンドンやマドリードで一般市民をターゲットにしたイスラム過激派によるテロが起こっている。また言うまでもなく、それ以上の数、規模のテロが、中東の国々では今や日常茶飯事となっている。

この問題は簡単に解決しない。以上で見たように、100年前の話が発端になっていて、100年間も解決されなかったからだ。

テロはいかなる理由があっても認められない。ただ、この100年間の歴史も同時に頭に入れておこう。

(以上は、まもなく出される拙著「世界のニュースがわかる! 図解地政学入門」からの一部抜粋である。詳しくは同書を参考にしていただきたい)。


【私の論評】本当の歴史を知らなければ、今の世界も、日本国内の難民・移民問題も見えなくなる(゚д゚)!

上の記事では、サイクス・ピコ条約による分割を示した地図が掲載されていました。この地図のもっと詳細なものを以下に掲載します。


さて、以上のように過酷な過去の100年の歴史を持つ中東ですが、このあたりのことを良く理解していないと、なぜこれらの地域で騒乱が絶えないのかなかなか理解できないと思います。

このあたりの歴史は現代史の範疇となると思いますが、世界史の教科書では後ろの方になります。私自身は、世界史で勉強した記憶がありましたので、ブログ冒頭の記事を読む前から、当然のこととし100年前のこの地域の歴史を習った記憶があり、これが今のパリ同時多発テロの根底にあることも理解していました。

それにしても、なぜこの地域の歴史を鮮明に覚えているかといえば、大学受験のとき、世界史で受験したということもありますが、それ以外にも『アラビアのロレンス』という映画を観た記憶と鮮烈に結びついているからだと思います。

この映画を観た後で、世界史の教科書や参考書を見直し、さらにいろいろと書籍を購入するなりして、自分なりに調べてみて、当時から内紛などが酷かった中東情勢の真の原因がイギリスの三枚舌にあることが理解できました。そうして、当時のフランスやロシアなどのエゴむき出しの国益優先の結果であることも理解しました。

トマス・エドワード・ロレンス
さて、この映画のことを簡単に以下に触れておきます。
この映画は、実在のイギリス陸軍将校のトマス・エドワード・ロレンスが率いた、オスマン帝国からのアラブ独立闘争(アラブ反乱)を描いた歴史映画であり、戦争映画です。日本での公開は1963年12月でした。 
上映時間は227分。主人公の交通事故死で幕が開く衝撃的な冒頭から、彼が失意の内にアラビアを離れる余りに悲痛な終局までを、雄大に描いています。その中でも、ロレンスがマッチの火を吹き消した後に砂漠に大きな太陽が昇る場面や、地平線の彼方の蜃気楼が次第に黒い人影となるまでの3分間、敵の要塞を陥落したロレンスが、ラクダに乗って夕日が照らす海岸を悠々と歩く場面、そして延々と続く広大な白い砂漠と地平線を背景にロレンスが跨ったラクダが駆ける場面等が名シーンとされています。 
冒頭と休憩と終わりの黒画面に音楽が流れるところは、当時の映画では一般的であった 序曲、休憩、終曲です。 オリジナル版制作から実に四半世紀以上が経過した1988年に、再編集を行って完全版が制作されました。オリジナル版の上映時間は、207分でした。粗筋は、以下のようなものです。 
1914年、第一次世界大戦が勃発し、アラビアはドイツと結んだトルコ帝国の圧政下に­あった。英国は、ドイツ連合軍の勢力を分散させるため、稀代の天才戦略家ロレンスをア­ラビアに派遣する。 
アラビ王族のファイサル王子の軍事顧問となったロレンスは、ハリト­族のリーダー、アリや黄金を探し求めるアウダらとともに、独自のゲリラ戦法を駆使して­反乱軍を指揮し、アラブ国民から砂漠の英雄とうたわれるようになる。 
だが次第に自分が­軍上層部に利用されていることを知り、アラブ民族もまた、部族間の対立からロレンスを­裏切っていく・・・。 (原作 - Lawrence of Arabia) 1962, renewed 1990 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
この映画は、現在でもYouTubeでご覧いただくことができます。以下にそのリンクを掲載しておきます。



この映画などご覧いただき、さらに歴史の書籍など読まれると、現在の中東情勢が理解できるとともに、パリ同時多発テロの背景が理解でき、イギリスがなぜ厳戒態勢にはいつてるのかを良く理解いただけるものと思います。

また、過去にこのブログにも掲載したように、なぜトルコが親日的なのかその背景をさらに、良くご理解いただけるものと思います。そのブログ記事のリンクを以下に掲載します。
【中韓サヨナラ…世界の親日国】100年前エルトゥールル号の恩返しトルコ―【私の論評】中韓は両方ともステルスしよう!トルコのような、まともで親日的な国と付き合おう!なにしろ、世界では反日馬鹿国家は希少な存在に過ぎないのだから\(◎o◎)/!
五輪招致で敗れたトルコのエルドアン首相(右)は安倍首相を祝福した
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事からトルコがいかに親日的であるかを示すエピソードを以下に掲載します。
1980年から始まったイラン・イラク戦争は85年にエスカレートし、イラクの独裁者フセインは3月17日に突然、「今から48時間後、イラン上空を飛行する航空機はすべてイラク空軍の攻撃対象となる」と一方的に宣言した。 
日本政府の対応は機敏さを欠き、救援機派遣のタイムリミットはたちまち過ぎてしまった。各国民が続々と救援機で救出されてゆくのを、在イランの日本人は横目で見送るしかなかった。イランの首都テヘラン北部にはイラクのミサイルが着弾する状況で、一刻の猶予も許されない。 
この時、日本が最後の望みを託したのがトルコであった。日本側を代表して、伊藤忠商事の森永堯イスタンブール事務所長は、旧知のオザル首相(後に大統領)に電話をかけ、懇願した。 
しかし、トルコも多数の自国民を救出しなければならない。断られても当然の依頼であった。「今、日本が頼れる国はトルコしかありません」と迫る森永氏に、オザル首相は長い沈黙の後、ついに「オーケー」と答えてくれた。トルコ航空の2機のDC10がイランに飛び、215人の日本人は無事救出された。
このブログでは、トルコが親日的なのは、100年前のエウトール号の恩返しであることも掲載しました。その部分を以下に掲載します。

写真はオスマン帝国海軍「エルトゥール」。
エルトゥールル号は1890年、明治天皇に勲章を贈呈するために来日したトルコの軍艦であった。しかし、帰国途上、紀伊半島沖で台風に襲われ、座礁して乗組員650人中587人が亡くなる大惨事となった。 
この時、遭難者の救出・看護に自己犠牲的な働きをしたのが、地元・紀伊大島の島民だった。この年は漁獲量も少なく、また米価の暴騰もあり、食糧の乏しい大島ではあったが、島民は貴重な米を供出し、最後の非常食の鶏まで潰して遭難者にふるまった。 
生存者63人(一説に69人)は日本政府の厚遇を受け、2隻の軍艦により丁重に母国へ送り届けられた。この話はトルコの歴史教科書に載っており、トルコ人なら誰でも知っている。トルコはこの遭難事件の恩返しを95年後にしてくれたのだ。
エウトール号の遭難のときの厚遇が、トルコ人を親日にしているのは事実ですが、さらにトルコ人を親日にすることがこの後に起きています。

そのヒントは、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事の中にあります。それは、以下のくだりです。
ちなみに、サイクス=ピコ協定でオスマン帝国の分割案に参加していたロシアは、戦中にロシア革命が起こったため、単独でドイツと講和条約を締結していた。 
ロシアはバルカン半島で勢力拡大し、オスマン帝国までも分割統治することで黒海方面への南下を狙っていたが、その野心は、自国内の革命という足元から崩れることになったのである。 
ロシアが途中で戦線離脱したことで、オスマン帝国はイギリスとフランスの決定によって分割統治されることになった。
トルコからすれば、帝国分割案に参加していたロシアが途中で戦線離脱したことは不幸中の幸いでした。なぜなら、ロシアがそのまま居座って、この地域で勢力を拡大すれば、不凍港獲得を目指したロシアが、さらにロシアに近い、港のあるトルコ領を狙ったかもしれません。

しかし、この野望は日本によって砕かれました。そうです。日本が、ロシアを日露戦争で破ったからです。そうして、日本はロシア革命を煽り立てていました。明石(当時の階級は大佐)は日露戦争中に、当時の国家予算は2億3,000万円程であった中、山縣有朋の英断により参謀本部から当時の金額で100万円(今の価値では400億円以上)を工作資金として支給されロシア革命支援工作を画策しました。

これにはさすがのツアーも参ったことでしょう。以後ロシアは、中東どころの騒ぎではなくなり、上記にあるように帝国分割案から、戦線離脱せざるを得なくなったのです。

それどころか、日本は日露戦争で勝利を収めたわけですから、トルコの人々からすれば、トルコへのロシアの影響を葬り去り、さらに日本がロシアと互角に戦ってロシアに勝利を収めたのですから、憎きロシアをコテンパンにやつけた日本というわけで、親日的になるのもうなずけます。

日露戦争のモンタージュ写真
日本では、上記の歴史にあまり詳しくない人が、中東の難民を日本が受け入れないことに関して非難したりしています。しかし、日本は、現在の中東の問題を英国のような三枚舌で複雑にしたこともなければ、当時のトルコ帝国の領域(現在の中東地域をかなり包摂)を分割して、併合するなどのことはしていません。

さらに、イスラエル建国に関してもノータッチです。そのような日本が、中東難民を真っ先に受け入れなければならないなどということはありません。まずは、イギリスやフランスなどが最初に受け入れるのは当然のことです。

さらに、多くの日本人は、日本には移民問題は全くないと単純に信じ込んでいますが、それは全くの間違いです。多くの日本人は、移民というと、中東人とか南米人、黒人などを思い浮かべると思います。これもちろん移民ですが、日本には在日とか、中国からの移民がすでに多数存在しています。本当は移民なのに移民と呼んでいないだけです。

その実体を以下に坂東忠信氏のブログから転載します。

前回は難民について、未だ発生していない「環境難民」を含めお伝えしておりましたが、今日は移民について。
この移民受け入れに関しても、受け入れ国では様々な障害が発生していますが、実は日本もすでに移民大国なのですよ。
自覚ないでしょ?
・・・移民なんていうと、南米人とか白人黒人なんかをイメージしていませんでしたか? (^_^;)
まず、国連人口部の定義では、移民とは
「市民権(つまり国民としての主権)のある母国から1年以上離れて外国に暮らしている人」
を指し、一般的には留学生技能実習生はもちろん、特別永住者なんか言うに及ばず、1年以上の正規滞在者不法滞在者、さらに帰化した初代「移民」と定義づけられています。

日本にはすでに大東亜戦争以前から滞在している朝鮮人を中心とした移民がいて、朝鮮動乱では済州島から難民が来て定着、さらに国際化する過程で多数の移民が定着して政治活動まで展開しており、現在も難民対策の抜け道が放置されている、移民歓迎難民失敗大国なのですよ。

おまけに他国や多民族に帰属したまま、世襲で日本への滞在を黙認するという、世界に類例のない超人権偏重の「特別永住者」制度を継続中。

さらに今やこの特別永住者は国際結婚で世代を重ね、世襲滞在が可能な朝鮮系外国人とそうでない外国人の「身分格差」や「国籍ロンダリング」を生み出しているのです。
↓ 特別永住者の国籍をご確認ください。http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/187/touh/t187067.htm
その日本で民族紛争が起きなかったのはなぜか?
私達日本人がやられっぱなしだからですよ。
しかもそれを報じるマスコミが機能していないどころか、非難を恐れて正論を封じるヘタレ共が幹部に混在するからですよ。

今回も11月14日にはネットで発生が伝えられていたパリのテロについて、その報道が遅れている上に少ないのは、この情報が移民や難民の流入を阻害するであろうことが明白だからでは?
「ヘイトに繋がる」という、ヘイトの意味も知らないヘタレどもは国家の神経麻痺状態を促進させ、国民が感じるべき傷みや恐怖を伝えず、このため政府も具体的対策を講じることがないのです。

日本では特定民族による爆弾テロこそまだありませんが、個々に殺されている日本人が多数存在します。
警察庁が発表している「来日」外国人の犯罪検挙情況は、「在日」外国人犯罪を除外しているため、外国人犯罪全体の3分の2も公表していません。
(下図 上段の「在日」については、毎年発表される「来日外国人犯罪の検挙情況」に計上されていません 

↑ クリックすると大きくなります。

おまけに既遂の殺人事件に至っては全体の半分しか公表されていません。
これ↓も計上されていませんし、公表されていませんでした。(殺人未遂、傷害致死、強姦致死、過失致死は含まれていません。)



これらの犯罪の比率は外国人の人口比を完全に超えております。
さらに、かろうじて報道された事件の多くは通名報道のため、人々は国民としての傷みを自覚できず、足を貫いている棘がこれを壊死させているのです。

(ブログ管理人注:坂東氏のブログの上記図のリンクは切れていますので、詳しくは以下のリンクを参照してください)

https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kokusaisousa/kokusai/H26_rainichi.pdf

はからずも命をもって移民や難民の安易な受け入れに警告を発しているフランスの犠牲者方々のご冥福を祈るとともに、日本はすでに移民国家であり、今も難民失敗国で在り続けていることを自覚しましょう。

そして、無策の政治家は政界から葬り、平和だ平等だなどの耳に心地よい偽善を疑いエセ有識者の「無識」を指摘して、国と家族を守れる政治家に、議席を与えましょう。

世界はとどまることなく流れ、前例のない事態への対処こそが明日の前例となる現在、私は前例がなくとも外国人への入国規制により、日本人の生命・身体、財産を守ることを提唱しております。
~~~~~~~~~~~~
国民と善良な外国人を保護するための入国制限法(案:仮称)」
1「国家防犯」のための入国制限  前年中における警察庁その他政府機関が発表する統計に基づき、以下の各項目における上位3カ国からの入国は、制限する。(1)犯罪検挙率 (2)犯罪検挙数(3)犯罪検挙人口
2「国家防衛」のための入国制限 過去10年間以内に以下の各項目のいずれかに該当する国からの入国は、制限する。(1)日本に到達可能なミサイルでの攻撃を示唆している(2)根拠なき反日教育や反日プロパガンダを国内もしくは国外に行っている(3)我が国に対し明確な武力を示して領土、領空、領海を侵犯している
3「国家防災」のための入国制限 ダム、発電所、その他国民や環境に重大な災害を及ぼす恐れのある施設や地形を破壊し、または人や家畜の生命および動植物生態系を損なうと疑うに足りる相当な理由がある国からの入国は、制限する。

・・・これはヘイトでしょうか?
長くなると嫌われますので(^_^;)詳細は坂東学校もしくは拙著にて。
さて、中東移民・難民が発生する要因を創りだしたのは、あくまで西欧諸国です。そうして、日本には、坂東氏が語るように、そうとは認識されない難民・移民問題が厳然として存在しています。

このようなことは、国際的にはある程度周知されていて、だからこそ、西欧諸国も日本に難民・移民の受け入れを強く要請することはないのでしょう。

中東の状況、そうしてパリ同時多発テロの根底にある100年歴史に関しては、歴史の教科書でもひもとけば、記載は少ないものの、掲載はされています。

しかし、日本の難民・移民問題についいては、坂東氏も述べているように、それを報じるマスコミが機能していないどころか、非難を恐れて正論を封じるヘタレ共が幹部に混在するせいでまるでなきが如くに扱われています。そうして、日本では教育機関も、移民問題を扱わないため、教科書を読むだけでは日本の難民・移民問題を認識することはできません。

中東のことはある程度わかるのに、なぜか日本の移民問題を明らかにしないマスコミや教育機関は、問題だと思います。

いずれにしても、本当の歴史を知らなければ、今の世界を、そうして日本を理解できないのは確かです。

【関連記事】

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すでに日本は移民国家、しかも失敗すでに日本は移民国家、し

2015年11月18日水曜日

【あめりかノート】歴史に関しては中国こそが全世界で最大の悪用者 米元高官―【私の論評】自信過剰中国の濡れ手に粟は、さすがに米国は絶対許さない(゚д゚)!


ランディー・シュライバー氏
「中国の習近平政権は『歴史』の利用で日本をたたいて悪者とし、日米同盟を骨抜きにすることを主要な対外戦略としている。歴史に関しては中国こそが全世界でも最大の悪用者なのだ」

米国歴代政権の国務、国防両省の高官として東アジアを担当したランディ・シュライバー氏がワシントンでの10月の演説で明言した。同氏が所長を務める安全保障研究機関「プロジェクト2049研究所」などが開いた中国の対外戦略についての討論会だった。

日本にとって対外関係では「歴史」という言葉がいままた重くのしかかってきた。今月はじめの日中韓首脳会談の共同宣言で「歴史を直視して」と、うたわれた。9月末の国連総会では習主席が演説で抗日戦争勝利の歴史を「日本の軍国主義」という語に力をこめながら、いやというほど語った。中国政府の代表たちは国連では「日本軍の化学兵器の残虐性」を叫び、「日本の核兵器開発の危険」に声を荒らげる。英国駐在の中国大使は安倍政権を「ハリー・ポッター」の邪悪な魔法使いにまでなぞらえた。

この種の反日キャンペーンの過熱にさすがに英誌「エコノミスト」が今年8月に巻頭社説で「日本の悪魔化は危険」と逆に中国を批判した。日本を現代の悪魔のように描くのは不当であり「中国こそアジア制覇の野望のために歴史をねじ曲げ、日本の弱化に利用している」と非難した。

だが日本では中国からの歴史問題糾弾となると、自国側に非があるかのように、うなだれてしまう向きも多い。米国の一部でも日本側の歴史認識への批判的な視線は存在する。

 この点、シュライバー氏の見解は明快だった。同氏はまず習主席がまれにしかない国連演説で抗日戦争の歴史に最も多くの言葉と精力とを割いた事実は中国が歴史利用の日本糾弾を当面の最大の対外戦略としていることの証明だと強調した。そのうえで同氏は語った。

「中国は歴史といっても1931年から45年までの出来事だけをきわめて選別的に提示し、その後の70年間の日本がかかわる歴史はすべて抹殺する。日本の国際貢献、平和主義、対中友好などはみごとに消し去るのだ」

「中国の歴史悪用は戦争の悪のイメージを情緒的に現在の日本にリンクさせ、国際社会や米国に向けて日本はなお軍国主義志向があり、パートナーとして頼りにならないというふうに印象づける」

「中国はその宣伝を日本側で中国と親しく頻繁に訪中する一部の著名な元政治家らに同調させ、日本国民一般に訴える。だがこの10年間、防衛費をほとんど増していない日本が軍国主義のはずはなく、訴えは虚偽なのだ」

シュライバー氏はそして「歴史の直視」に関連して中国ほど歴史を踏みにじる国はないと強調するのだった。

「中国は大躍進、文化大革命、天安門事件での自国政府の残虐行為の歴史は教科書や博物館でみな改竄(かいざん)や隠蔽(いんぺい)している。朝鮮戦争など対外軍事行動の歴史も同様だ」

やはり日本は中国にこそ「歴史の直視」を迫る時機だといえよう。 (ワシントン駐在客員特派員 古森義久)

【私の論評】自信過剰中国の濡れ手に粟は、さすがに米国は絶対許さない(゚д゚)!

シュライバー氏の発言は、アメリカが戦後体制の盟主であることを現中国に対して知らしめることを企図しているように思えます。

中国は、本当は大東亜戦争の勝者ではないにもかかわらず、あたかも自分たちがそうであかのように振る舞い、アジアにおいて戦後体制の最大の利得者になることを企図しています。習近平の言う「米中大国間関係」が、それを如実にあらわしています。

そんなことは、アメリカからすれば絶対に認めることはできません。そんことは、とても認められないことを、さすがのオバマも先日の習近平の米国訪問のときに、はっきり拒否しました。

そもそも、大東亜戦争で最も被害を被ったのは、日米であり、さらに米国はこの戦いに勝利したのであり、戦後体制の最大の功労者でもあります。戦後体制が良い悪いは、脇においておくものとして、戦後の世界は、いわゆる第二次世界大戦の戦勝国による体制(戦後体制)が築かれ、維持発展してきたわけです。

にもかかわらず、最近の中国は、戦後体制を完璧に無視して、好き勝手に動き、アジアの海を我が物にすることを企み、南シナ海や東シナ海で、傍若無人の振る舞いを重ねてきました。

このあたりの状況は、このブログでも何度か掲載してきました。その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。

「オバマ政権は尖閣は日本領と表明せよ」 米紙ウォールストリート・ジャーナルが主張―【私の論評】オバマは尖閣日本領表明によって、自ら頭の中のお花畑の虚構に生きるルーピーではないことを証明せよ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、アジアにおいて戦後体制の最大の利得者になることを企む中国に関する部分を以下にコピペします。

"
尖閣問題に関しては、その原因はいろいろあります。中国人民の中央政府に対する憤怒のマグマは建国以来常に煮えたぎっており、それがいつどこで大噴火を起こしてもおかしくない状況であり、これを防ぐため、人民と中央政府の共通の敵を中国外部に作り出すことが必要であり、その対象となったのが日本であること、その象徴としての尖閣ということです。

尖閣付近で、中国側が示威行為をすれば、それは中国内にも伝わり、人民に「憎き敵」をやつける政府という姿を演出して見せることにより、人民の怒りの刃をそらし、日本に向けてエネルギーを発散させるということにつなげています。だから、中国で暴動が減らない限り尖閣問題は今のままでは、収まりはつきません。しかし、現実には、中国では建国以来毎年2万件の暴動が発生しているといわれていましたが、ここ数年では毎年平均8万件を超えるようになっています。300人未満の暴動まで加えると、件数はうなぎのぼりだといわれています。

記憶に新しい尖閣上陸のバカ真似

この問題を一層複雑にしているのは、今の安倍政権においてはそのようなことはなくなりましたが、安倍政権以前の、民主党政権や、自民党政権のときですら、中国の尖閣に対する暴挙に対して毅然たる態度で臨まなかったことがあります。海上保安庁の船に体当たりした、中国漁船の船長をすぐに返還したことなど、中国を勢いづかせるだけの結果となりました。

そうして、忘れてならないのは、アメリカの煮え切らない態度です。尖閣は、日本の固有の領土であることは、あまりにも明らかな事実なのに、アメリカはこの問題に関して煮え切らない態度をとり続けています。尖閣問題が起こってからこのかた、未だアメリカは尖閣は日本固有の領土であり、日本と中国の間で尖閣の領土問題はないと、はっきりとした公式見解は発表していません。

上の記事のように、WSJが指摘しているように、アメリカが、はっきりとした公式見解を発表すれば、中国が引き下がる可能性は多いにあります。

無論、アメリカがそのような発表をすれば、中国は反発するでしょうが、それでも実質的に尖閣での領空・領海侵犯がかなり減るというようなことにはなる可能性は高いです。

カイロ宣言における中国代表は、国民党軍の蒋介石
そもそも、アメリカ側の立場にたっても、尖閣問題に関しては、戦後体勢を維持するという観点からも、中国の示威行動はやめさせるべきです。ここで、アメリカが何もしなければ、中国は本来戦後体制の利得者ではないにもかかわらず、結果として戦後体制利得者であることを認めることになります。現在の中国共産党中央政府は、日本とは戦争をしていません。戦ったのは、蒋介石率いる国民党軍です。戦後の国々は、戦後体制によって三つに分類されました。第一国は、米英などの第二次世界大戦での戦勝国、第二国は、日独などの敗戦国、第三国は、そもそも戦争に参加して直接戦わなかった国々です。

現在の中国、韓国、北朝鮮は、あくまで第三国であり、戦後体制の利得者ではありません。そもそも現代中国が独立したのは、戦後のことです。にもかかわらず、もし今後も尖閣について日本の領土であると、アメリカが表明しなければ、アメリカは中国の戦後体制の利得を認めることになります。

それを許せば、中国は他の戦後体制の利得を次々と要求することになるのは必定です。そんなことは、少し考えれば理解できることです。中国は、明らかに戦後体制利得者になる道を模索しています。

アメリカがこのように、煮え切らない態度をとり続けてきたのは、最近の中国の台頭をみて、今後中国国内が世界最大の消費市場になると見込んだ米国内親中・媚中派が、中国側の巧みな誘導にのって戦後体制の次の新しい世界の体制は、米中二極体制であると思い込みこみ、アメリカ国内でも、大きな影響力を発揮しているからです。
"
米国内では、一時米中二極体制の幻想が、支配していた時期がありました。その幻想では、いずれ中国のGDPが米国を追い抜き世界一になるという途方も無い思い込みが支配していました。

しかし、中国の経済統計など、全くの出鱈目であることが、知れ渡るとともに最近では、中国経済がすでにかなり落ち込んでおり、今後さらに悪くなることはあってもしばらく良くなることはないことが、アメリカ国内でも周知されるようになってから、風向きが変わってきました。

当然のことながら、このまま中国の好き勝手にさせておけば、アジアがとんでもないことになることに多くの人々が気づきはじめたのです。

だからこそ、オバマは、南シナ海にイージス艦「ラッセン」を派遣するなどの行動に出たのです。

そうして米国は、中国に対峙するとすれば、米国は中国から離れていることもあり、軍事的にみても世界第二の海軍力を持つ日本、経済的に見ても世界第二位(中国はすでに世界第二の経済大国ではありません、すでにドイツ以下だともいわれています)の日本とさらに同盟関係を強化する必要性を強く認識するようになったのです。

実際、中国に真っ向から対峙できる国は、アジアでは日本しかありません。しかし、当の中国は、抗日70周年記念軍事パレードで、あたかも自らが日本と戦って勝ったように歴史を改竄し、あることないこと並べ立てとにかく日本を悪者に仕立てるとともに、様々な手段を用いて、日本を弱体化させようと目論んできました。

しかし、戦後体制を破壊する中国の目論見に気づいたアメリカ議会や、世論は随分と変わりました。やはり、日本との関係をより一層強化する方向に変わったのです。

だからこそ、シュライバー氏は、あのような発言をしたのです。

さすがに、アメリカも自信過剰な中国が、アジアで濡れ手に粟で、様々な利得を得ることは許せなかったのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年11月17日火曜日

税収上ぶれで国庫収支改善 「国の借金」1054兆円だが資産も653兆円―【私の論評】日本国借金まみれ説は、財務省と追従者が築く馬鹿の壁(゚д゚)!


マスコミが報道する国民一人あたり
1000万の借金は、全くの出鱈目である。

財務省が10日発表した「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、9月末時点の「国の借金」が1054兆円と、過去最高だった6月末の1057兆円から2兆7992億円減少したという。

借金の内訳は、普通国債791兆円、財政投融資特別会計国債96兆円、出資・拠出国債等その他国債7兆円、借入金54兆円、政府短期証券106兆円である。

それぞれ6月末と比較すると、普通国債7兆1583億円増、財投特会国債1625億円減、出資・拠出国債等その他国債5164億円減、借入金1798億円減、政府短期証券9兆999億円減となっており、政府短期証券の減少が大きく、全体でも減少した。

ちなみに、昨年9月末の「国の借金」も、6月末と比較して4982億円減っており、3カ月のスパンで見れば、減少することはそれほど珍しくない。なぜかというと、政府短期証券が減少するからだ。

政府短期証券は、財政法や特別会計に関する法律等に基づいて、国庫や特別会計などの一時的な資金不足を補うために発行される。原則として公募入札により市中発行され、償還期間の多くは3カ月だ。

政府の財政活動においては、日々の国庫金の受払のタイミングのズレにより、一時的に資金が不足したり、余裕が生じたりする。その際のズレの調整方法として、政府短期証券の発行は重要だ。

ただ、今年度は、一般会計の税収が上ぶれしている。財務省が発表した「9月末租税及び印紙収入、収入額調」によれば、9月末までの累計一般会計租税収入等は、前年度同月比で12・7%上回っている。国庫金の資金繰りはかなり楽なはずで、このため政府短期証券の償還を行っているのだろう。

そのほかにも政府短期証券を償還することが重なって、結果として残高が減少している。今年度の前半に、国庫収支をよく見通すことができずに、政府短期証券を発行しすぎただけかもしれない。

もっとも、「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」を「国の借金」というのは、会計的には不正確だ。国の貸借対照表(バランスシート)をみると、その負債合計は国の借金を包括的に表しており、それが正しい数字だ。

今年1月30日に公表された「2013年度国の財務書類」では、14年3月末現在の負債総額は1143兆円となっている。これはあまり報道されずに、国の負債の一部にすぎない「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」が大々的に報じられるのは、マスコミの不勉強もあるが、財務省もあまり「国の財務書類」を強調していない。

というのは、「国の財務書類」のバランスシートには、財務省にとって不都合な事実が書かれているからだ。そこには負債金額も大きいが、資産総額も653兆円と大きな数字がある。負債を減らすべきだというなら、資産にも着目しなければいけない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本国借金まみれ説は、財務省と追従者が築く馬鹿の壁(゚д゚)!

日本国には借金がないどころか、世界一金を貸している

上記の高橋洋一氏の記事、まともなことばかり書かれているのですが、一部誤解を受けやすいこともありますし、以前は何度か掲載していたものの、ここしばらく日本国のBSを掲載していなかったので、本日はブログ冒頭の記事を紹介させていただくことにしました。

まずは、高橋洋一氏も遣われている「国の借金」という表現は、間違いではないのですが、非常に誤解されやすいです。ここで高橋洋一氏がいう、国とは、日本国政府のことをいうのであって、経済主体としての、日本国全体を指しているわけではありません。

国も政府も同じことではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、厳密にはそうではありません。日本国の経済主体は、政府だけではありません、個々の国民も存在し、その他の民間企業や、病院、学校などの経済主体があります。

ここは、厳密に分けて考えなければ、とんでもない誤解を生む原因となってしまいます。
そのため、この記事では、日本国と政府を厳密に分けて解説することにします。

まずは、日本国にはの借金などありません。借金どころか、お金を大量に他国に貸し付けています。それについては、今年5月の日経新聞の記事を以下に掲載しておきます。

対外純資産366兆円、3年連続で最高 14年末 海外企業のM&Aで 
2015/5/22 9:29  日本経済新聞WEB版
 財務省は22日、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を引いた対外純資産残高が2014年末時点で366兆8560億円だったと発表した。13年末と比べ12.6%増え、3年連続で過去最高となった。円安により外貨建て資産の円換算額が膨らんだ。国内企業による海外企業のM&A(合併・買収)など直接投資も増えた。 
 麻生太郎財務相が同日の閣議で報告した。14年末の対外純資産残高は4年続けて増え、24年連続で世界1位となった。前年末と比べた増加額は41兆1250億円で5年ぶりの大幅増だった。 
 14年末の対外資産残高は945兆2730億円で13年末と比べ18.5%増え、初めて900兆円を超えた。増加額は147兆5860億円とこれまでで最も大きかった。 
 増加額のうち4割強、64兆3790億円は円安の影響だ。14年末の為替レートは1ドル=119.80円と前年から13.7%円安になり、外貨で保有していた資産の円の換算額が膨らんだ。 
 国内企業による海外企業へのM&Aなどの直接投資も増えた。円安で海外資産の円換算額が膨らんだ影響を除いても、12兆7680億円増えた。 
 企業や投資家が運用目的で海外の株式や債券を買う証券投資も膨らんだ。円安要因を除いて12兆1220億円増えた。 
 対外負債残高は578兆4160億円で13年末と比べ22.6%増えた。増加額106兆4620億円のうち2割弱、17兆720億円は海外から国内への証券投資の増加分だった。円安を受けて外貨建て負債も円換算額が膨らんだほか、株価の上昇も影響した。負債の増加は5年連続。 
 14年末時点の主要国の純資産残高は中国が214兆3063億円で日本の次に多かった。3位はドイツで154兆7055億円だった。
この日経新聞の記事では、「対外純資産」としていますが、単に資産といえば、固定資産なども含んでしまいます。正しくは「対外金融純資産」です。要するに、現金・預金、その他証券など現金に変えることができる資産です。

要するに、対外金融純資産とは、日本国が他国に貸し付けている正味(=貸し−借り)のお金の金額と考えて良いです。

この「対外金融純資産」マイナスであれば、日本国自体が外国から借金をしているということになりますが、日本国自体は、それどころか、2014年末時点で366兆8560億円も外国にお金を貸し付けているということです。

日本のマスコミなどは、これをまったく報道せず、政府の借金を国の借金として誤解を招く報道をしています。

そのような報道の事例を以下に掲載します。

「国の借金」3月末は1053兆円 国民1人当たり830万円
2015/5/8 14:43 日経新聞WEB版
 財務省は8日、国債や借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」の残高が2015年3月末時点で1053兆3572億円になったと発表した。4月1日時点の人口推計をもとに単純計算すると、国民1人当たり約830万円の借金を抱えていることになる。 
 昨年12月末からの3カ月間でみると23兆4366億円増加した。政府短期証券の残高増が響いた。前年度末と比べると28兆4003億円増だった。 
 「国の借金」のうち、国債は昨年末に比べ7兆2494億円増の881兆4847億円。政府短期証券は16兆4801億円増の116兆8883億円。一方、借入金は2928億円減の54兆9841億円だった。15年度末の「国の借金」の総額は1167兆円になる見込み。 
 併せて発表した3月末の政府保証債務残高の現在高は1兆2590億円減の43兆3984億円だった。
この記事、そもそも国の借金という言い方が間違いです。先に述べたように、日本国にはもともと借金はないどころか、外国に巨額の金を貸しています。これは、日本国の一部の政府の借金です。しかし、それにしても政府の借金が1053兆円にものぼり、それが国民ひとりあたり、830万円というのは、酷く誤解を招く表現であり、これは誤解を通り越して奇妙奇天烈、摩訶不思議の次元の表現だと思います。

これは、ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が指摘するように、資産を無視して、とにかく借りているお金だけみて、借金だとしているからです。

正常な神経の人であれば、政府の借金が1054兆円だとしても、金融資産資産が653兆円だとすれば、1054兆円-653兆円=401兆円を政府の借金とするのが普通です。

こんなことは、別に経済学に詳しくなくても、小学生にでもわかる理屈です。ここにサラリーマンがいたとして、このサラリーマンの右ポケットには、1000円の借用書が入っており、左ポケットに500円の現金が入っていたとします。

このサラリーマンの借金はいくらでしょうか。この問題であれば、頭の悪い新聞記者でも、即座に500円と答えるでしょうが、なぜかこのサラリーマンが日本政府だと、1000円の借金だと考えてしまうようです。

しかし、新聞などの報道では、借金だけを見て、これが大きいから大変だとしているわけです。しかし、政府が持っている金融資産を無視しては、まるで意味がなくなってしまうことになります。これが、外国の政府であれば、日本政府のように特別会計などで、とんでもない巨額の金融資産を蓄えているわけではないので、さほど誤解を招くことはないですが、日本の場合はそれでは、政府の資産状況を正確には把握できません。

日本では国民一人あたり1000万円以上もの金を政府に貸し付けている

ブログ冒頭の記事では、高橋洋一氏が、国の貸借対照表(バランスシート)について語っています。残念ながら、上の記事では、バランスシートを掲載していませんでした。それだとイメージが浮かびにくいと思います。

そこで、平成25年度末の「国の財務書類」より、国の貸借対照表を以下に掲載します。


さて、いわゆる日経新聞などが報道する、「国の借金」、本当は「政府の借金」は、平成25年度末のBSでは、負債総額1,143.1兆円です、これを国の借金として、人口で割って、一人あたり1000万などしているわけです。しかし、本当は、資産・負債差額の▲490.4兆円が、正味の借金であるはずです。

これを政府の借金としてみると、他の先進国のそれと比較しても、GDP比で比較してみると、実は政府の借金はさほどでもありません。この程度のGDP比で国内や、国外から借金をしている政府は珍しくはありません。

それから、政府の借金はどこからのものかといえば、日本の場合はそのほとんどが、日本国債などによる、国民からの借金です。このくらい外国からの借金が少ない政府は、日本政府を除くと、世界でもカナダくらいのものです。

ですから、そもそも、負債総額1,143.1兆円を人口で割って算出される、1000万円の借金は、政府が国民から借りている金ということです。国民一人あたりが、借金を背負っているというわけではなく、国民が政府に貸している金であり、国民一人あたり赤ん坊も入れて、一人あたり1000万円以上もの金を政府に貸しているということです。

なぜこのような歪なことになっているかといえば、それは日本では過去15年以上にもわたって、デフレだったからです。デフレだと政府の税収入も減りますから、それを補うため、国債などで国民から借金をしたということです。

このようなことを書くと、多くの人は、自分は政府に1000万円も貸すほど、裕福ではないと思われるかもしれませんが、国民からの借金などといっても、政府が国民から直接借金をしているわけではなく、国民が預貯金をしたり、保険金として支払ったお金を銀行や保険会社が国債を買うことによって運用しているということです。

しかし、それにしても、政府は間接的でありながらも、国民から借金をしているということです。

統合政府という考え方をしただけでさらに政府の債務超過は200兆円減る

さて、ブログ冒頭の記事では、ここまでしか掲載していませんが、政府の借金を考える上で、見逃してはならない、重要なことがまだあります。

それは、統合政府という考え方です。それについては、このブログにも掲載したことがあるので、その記事のリンクを以下に掲載します。
国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法―【私の論評】正体見たり枯れ尾花!財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために国民や政府などないがしろにし日本は借金漬けのようにみせかけているだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、統合政府に関する部分のみ以下にコピペします。
経済学では政府と政府の子会社である特殊法人などを含めたものを「統合政府」と呼びます。これだけでは、何を意味するのか、理解することができないと思われますので、以下では、日銀の買いオペによる、民間銀行の保有する国債を買い入れを例として、統合政府と政府、小会社の関連について述べていきます。 
政府の借金は1000兆円を超えており、さらなる借金の増大を危惧する人は多いです。ところが、実は近年「国の借金」は減少傾向にあります。ただしここでは、政府の借金=国の借金という馬鹿な考えで話をしているのではありません。

以下では、話を単純にするため、政府と中央銀行を合わせて「統合政府」と呼ぶことにします(下図)。

政府と中央銀行はともに公的部門であり国の機関であるはずなので、「国の借金」とは「政府の借金」ではなく「統合政府の借金」を意味していなくてはならないはずです。

さて、統合政府の借金という考え方を導入するとどうなるか、これもこの記事から以下にコピペします。
さらに、国のバランスシートだけで判断するのもミスリーディングだ。企業のバランスシートを見るとき、単体ベースと連結ベースの両方を見るように、国の場合も単体だけではなく、連結ベースも見なければいけない。 
今でも、政府の子会社である特殊法人などを含めた連結ベースでのバランスシートは作成されている。国の単体ベースより2ヵ月くらい遅れて公表されているので、今年も3月末くらいに公表されるだろう(2012年度末の連結バランスシートは、財務省HP 平成24年度連結財務書類pdf にある)。 
【ブログ管理人注:この連結財務書類現在では、見ることができません。財務省に何か思惑があるのでしょうか・・・・】 
日銀のBSを連結すると国の負債超過は200兆円減? 
ただし、ここでは日本銀行が連結対象になっていない。日本銀行は認可法人であるが、連結ベースに含めて考えた方がいいこともある。荒っぽい方法だが、日本銀行のバランスシートを合算してみよう。他の政府子会社をすべて連結として含めて、債務超過額は若干低くなるはずだが、簡潔にするために、日本銀行だけを連結に含めてみよう。 
日本銀行のバランスシートは単純にいえば、資産に国債、負債は日銀当座預金と日銀券である。日銀当座預金は日銀券と代替可能なので、日本銀行の負債は日銀券のみとみても、間違いではない。 
となると、アバウトには、日本銀行のバランスシート(2014年3月末)は、資産の国債200兆円、負債の日銀券200兆円とみてもいい。これを国のバランスシートに合算すれば、負債の中の公債・政府短期証券が200兆円減少し、その代わりに日銀券200兆円が入るわけだ。 
ここで、日銀券200兆円は、形式的には負債だが、利息負担もないし、返済義務もない。いってみれば、この分は負債とみなさない考え方もありうる。その考え方にたてば、債務超過額は490兆円から290兆円にあるわけだ。このあたりについて、公会計で定説はないと思うが、日銀保有国債分については、国にとって償還も利払いも必要ないので、債務超過額が減ったといってもいいだろう。
さて、政府と日銀の連結、すなわち統合政府の連結決算をすると200兆円もの債務超過額が減ることになります。

何かこのようなことを掲載するとまやかしのようにも思われるかもしれませんが、日銀は日本国の信用があるので、負債の日銀券200兆円を発行できるのです。実際、発行したとしても、現実問題としてインフレなどにはなっていませんし、現実には過去の日本はインフレどころか、デフレでした。

200兆円の債務が減るということは、上で掲載したように、正味の政府の債務超過は490兆ですから、 290兆円になるということです。

これは、まやかしのように思う人もいますが、日銀の200兆円も、他国と比較すれば、突出しています。他国の中央銀行は、米国などを除いてはこのようなことはできません。

おそらく、統合政府の連結決算をしても、日本は他国の統合政府と比較しても、借金が突出して多いということにはなりません。

以上のような考え方をすれば、日本政府は決して他国に比較して、借金まみれではないことが良く理解できると思います。

日本国借金まみれ説は、奇妙奇天烈、摩訶不思議な論理であり、とても受け入れることはできない戯れ言に過ぎないことがわかります。そうして、これを理解すれば、8%増税は必要なかったし、10%増税などとんでもないという結論になります。

それにししても、財務省はこのような戯れ言で、本当に日本借金まみれ説をすべての人に信じこませることができると思ったのでしょうか。私のように経済に疎い人間でも、上記のようにこのような戯れ言は受け入れらないのですから、まともな経済学者などはこのようなことは、すぐに見破るどころか、最初からわかりきったことだと思います。

日本国借金まみれ説は、財務省およびこれに追従する識者が築く馬鹿の壁に過ぎないのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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