2015年12月28日月曜日

韓国に慰安婦問題“蒸し返しなし”の確約要求 「最終決着」に“秘策”も―【私の論評】漢字を捨てた韓国に、まともな思考はできない!交渉は頓挫するか蒸し返しに終わるだけ(゚д゚)!


慰安婦問題の最終決着に動いた安倍首相。朴槿恵大統領(右)はどう出てくるのか
安倍政権が慰安婦問題の最終決着に向け、大攻勢をかけている。韓国に慰安婦問題を二度と蒸し返さないよう文書での「確約」を迫っているほか、国際的に決着した事実を確定させるため、米国が日韓の取り組みを評価する公式声明を出す案も浮上している。慰安婦問題を対日外交カードとして活用してきた朴槿恵(パク・クネ)大統領だが、反対に日本の外交攻勢を受けている。

岸田文雄外相は28日、ソウルを訪問し、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相と会談する。岸田氏は、慰安婦問題を二度と蒸し返さないように文書での確約を求め、「最終かつ不可逆」的であることを明言するよう迫る算段だ。韓国の歴代政権が何度も約束を破り、慰安婦問題を政治利用してきた過去を踏まえた“再発防止”策の一環といえる。この提案が受け入れられれば、日本側は元慰安婦への支援を拡充する方針だ。

さらに、日韓の今回の妥結を前提に「第三国」である米国などが公式声明を発表し、国際的な評価を確定させるというアイデアも検討されている。朴氏の執拗な「告げ口外交」に辟易(へきえき)している米国は、日韓の関係改善を強く望んでおり、現実性はありそうだ。

ソウルの在韓日本大使館前の慰安婦像の撤去も日本側の譲れない条件だ。ソウルの慰安婦像撤去は世界中で韓国と手を組んで、反日キャンペーンのために慰安婦像建設を進めている中国をけん制することにもつながる。岸田氏も慰安婦像について会談で言及するとみられる。

なぜ日本はここまで強気に出ているのか。それは経済不振にあえぐ朴政権が、日本との関係を一刻も早く改善したがっているからだ。

さんざん「反日」を国内世論対策に利用して政権を維持してきた朴氏は、中国と手を組んで経済を立て直そうと試みたが、当の中国経済が失速して窮地に陥った。韓国は、今や日本に泣きつくしかないのが現状だ。

だが、朴氏の前には「反日」にこだわる国内世論が立ちはだかる。政権や世論に強い影響力を持つ、元慰安婦を支援する韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)は、あくまで日本の法的責任を要求しており、説得は容易ではない。安倍政権は朴氏の足元をよく見て、揺さぶりをかけながら強気で交渉に臨むはずだ。

それでも、韓国に対する警戒感は依然として根強い。

慰安婦問題に精通する拓殖大の藤岡信勝客員教授は「今回の動きは、安倍晋三首相らしくないのではないか。『河野談話』で決着したはずの慰安婦問題を何度も蒸し返してきたのが韓国だ。文書化してもすぐに約束を破るのは間違いない。韓国を信じてはいけない」と警告し、続けた。

「新たな基金創設といった案も出ているが、そもそも慰安婦問題で日本が一銭たりとも払う道理はない。今からでも岸田氏は訪韓を取りやめて、政府は交渉を中止した方がよい」

【私の論評】漢字を捨てた韓国に、まともな思考はできない!交渉は頓挫するか蒸し返しに終わるだけ(゚д゚)!

安倍総理は、朴槿恵大統領と本日電話会談を行っています。その内容をNHK NEWSWEBから引用します。
日韓首脳が電話会談 おわび表明し関係改善確認
安倍総理大臣は、韓国のパク・クネ(朴槿恵)大統領と電話で会談し、慰安婦問題について、おわびと反省の気持ちを表明したうえで、日韓外相会談での合意を歓迎する考えを伝え、日韓関係の改善を確かなものとしていくことを確認しました。
安倍総理大臣は、日韓外相会談を受けて、韓国のパク・クネ大統領と28日夕方、およそ15分間、電話で会談しました。 
この中で、安倍総理大臣は「元慰安婦の方々の筆舌に尽くしがたい苦しみを思うと心が痛む。日本国の内閣総理大臣として、改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒やし難い傷を負われたすべての方々に、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「慰安婦問題を含め、日韓間の財産・請求権の問題は、1965年の日韓請求権協定で最終的かつ完全に解決済みであるとの、わが国の立場に変わりはないが、今回の合意により、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを歓迎したい」と述べました。  
これに対し、パク大統領は「両国の最終合意がなされてよかった。日韓50周年のことし中に合意ができたことには大きな意味がある。慰安婦被害者たちの名誉と尊厳を回復し、心の傷を癒やす機会にしていかなければならない」と述べました。そのうえで、パク大統領は「すでに合意したように、慰安婦被害者の名誉と尊厳と心の傷を癒やす事業が実施されれば、この問題が再び議論されることはない。この合意が日韓関係を安定的に発展させるための歴史的契機にしたい。来年からは、より未来志向の関係としたい」と述べ、今回の合意を歴史的契機として日韓関係の改善を確かなものとしていくことを確認しました。
皆さんご存知のように、今年は、世界文化遺産の登録で、また韓国に煮え湯を飲まされたばかりの日本です。

そもそも、韓国人の全く誤った歴史観によれば、六六三年の白村江の戦いなどで百済が滅亡し、王族や貴族たちも含め一千人規模の日本への亡命者がいたとされています。当時の日本の推定人口は五百万~六百万人です。これらの事実から韓国の歴史学者は、日本人の主体は朝鮮半島で生きられなくなって日本に渡った敗残の韓民族だそうです。

全く真の歴史を無視した、とんでもない歴史観です。そのため、いまでも韓国では日本人を「倭奴」ないし「犬」と称しているし、これからもずっとそう呼び続けることでしょう。彼らからすれば、「犬」である日本人との合意や約束など、端から守る気がないということなのです。

日本人は犬 ソフトバンクのコマーシャル 社長孫正義氏は韓国人です

そうして、韓国では第二次世界大戦後、伝統となっていた漢字漢文の表記法をやめてしまい、日本人の使う漢字ということで、反日からオールハングルに切り替えました。

ちなみに、ハングル(朝: 한글)は、朝鮮語を表記するための表音文字です。1446年に李氏朝鮮第4代国王の世宗が「訓民正音」(朝: 훈민정음、Hunmin Jeong-eum、略称:正音)の名で公布しました。 意味は「偉大なる(ハン)・文字(グル)」です。

ハングルは、全24文字と漢字よりも圧倒的に少ない文字数で、ひらがなの50音の半分以下という数は覚え易く、本来ならずっと広まって然るべきだと思うのですが、詩歌などの文学作品で散見される以外は使用されることも無く、19世紀にはほぼ死文字化します。

李氏朝鮮はそもそもその成り立ちがすでに明の属国で、国号ですら明から賜ったものです(高麗を倒した李成桂が明に「和寧」「朝鮮」という国名を送り、明に「朝鮮」と決めてもらった)。そんな国が明の文字である漢字を使用せずにいられる訳が無かったのです。

李氏朝鮮末期の1880年に師・福沢諭吉により派遣された井上角五郎は「朝鮮の独立と朝鮮人の啓蒙の為には、朝鮮語による新聞の発行が不可欠」という福沢の教えを実現するためにハングル普及に努めました。そして1886年1月、井上の尽力により発行された「漢城周報」は朝鮮の歴史上、初めてハングルが使われた公文書でした。つまり死に体だったハングルを普及させたのは日本人だった訳です(朝鮮語で最初の辞書を編纂したのも朝鮮総督府)。

漢城周報

日韓併合の1910年以降、日帝は言葉や文字を奪ったという韓国側の言い分は成り立ちからして嘘です。福沢や井上といった日本人がその普及に尽力したのですから。

1921(大正10)年、内​閣​総​理​大​臣・桂​太​郎が朝​鮮​総​督​府に宛てて「朝​鮮​語​(ハングル)を奨​励するよう」に作成した文書が残されています。

ハングルを普及したのが、日本というのが、なんとも皮肉です。しかし、まさか福沢諭吉先生も、韓国が完璧に漢字を捨て去るとは思っていなかったでしょう。しかし、このハングル・オンリーというのが、後々災いをもたらします。

朝鮮語には、同音異義語が多いので、これが教育現場でもかなりの混乱を招いています。そのため、読解力が極端に低く、「文章を声に出して読めても意味が分からない」という人が、小4で71%も存在するという統計もあるくらいです。

これまで45年にわたり続いたハングルだけの教育が生んだ、漢字知識の欠落現象。これが最近はコミュニケーションの際に解釈の混乱を引き起こしています。

特に、若い人ほど漢字知識の欠落は深刻で、時には世代間でコミュニケーション上の混乱あるいは断絶まで引き起こしています。韓国語で発音・表記が全く同じ「義士」と「医師」を勘違いし、「安重根(アン・ジュングン)義士」について「その人は何科を診療していたのか」と質問してみたり、「靖国神社」の「神社」を、発音の同じ「紳士」と誤って解釈するケースなどがその典型例です。

問題はこの「コミュニケーション不能現象」が、さまざまな分野で深刻な誤解と行き違いを招いているという事実で、これは時には特定分野の専門家の間でも発生しています。

ある大学病院に勤務するA教授によると、最近の若い医師たちは「妊婦の陣痛」と言うときに「陣痛」と「鎮痛」を区別できないといいます。「鎮痛」はもちろん「痛みを鎮める」という意味です。このままでは本当に大変なことになりそうです。


大田市のある四年制大学では、学内で発行されている週刊英字新聞発行業務を担当する「主幹教授」のことが「Weekly Professor」と訳されていました。「主幹」と「週刊(Weekly)」はハングルで同じ表記になるからです。

例をあげるときりがないので、このあたりでやめておきます。専門家によると、今のように漢字教育がしっかりと行われていない環境では、時がたつにつれこの種の誤解や混乱がさらに増える恐れがあるといいます。すでに、韓国語の70%を占める漢字語の意味が分からず、文章を理解できない「読解不能現象」が表面化しています。

釜山大学の李炳銑(イ・ビョンソン)名誉教授(国語学)は論文で「『技能』と『機能』、『出家』と『出嫁(嫁に行くこと)』のように、ハングルだけで表記された場合に意味が区別できなくなる漢字の同音異義語は非常に多い」とした上で「漢字教育をしっかりと行わなければ、(子どもたちの)思考力や探究力が弱体化し、語彙の体系が崩壊してそこから思考体系まで崩壊する恐れがある」と指摘しました。

しかし、この指摘はすでに現実のものになっています。多くの韓国人は、ハングルの背後にある漢字語に縛られ、同音異義語を理解できず、文章の単純化を招き、そのため抽象的思考ができずに知性の衰弱に襲われ、頭が硬直化しています。

本来であれば、ハングルに適した新しい言葉を創作するなどのことが行なわれてしかるべきだったと思います。日本人が、明治維新のときに、西洋の言葉を多数取り入れて、漢字で表記するようになったのとは対照的です。

自国の歴史を読むことすらできないので物事を深く考えることもできず、嘘も平気でつき、それを恥とも思わない傾向があります。実際、韓国の歴史観は、とんでもないものです。一般の人だけではなく、知識人もそのような傾向です。

彼らの本心は、まったく合理的ではなく、感情むき出しで、とにかく日本が地べたに頭を擦り付けて謝り続けることを要求しているだけです。その証拠に、あの李明博前大統領は、天皇陛下にまで土下座を要求したではありませんか。

ちなみに、韓国では日本の天皇陛下に対して無礼を働くだけでありません。下の写真をご覧になってください。


これは、韓国の新聞のサイト「中央日報」に掲載されていた写真です。中央日報のこの写真の説明は以下の様なものです。

【写真】フランシスコ法王の訪韓の追憶そのままに 
  フランシスコ法王の銅像除幕式が30日、大田(テジョン)ワールドカップスタジアム西門で開かれた。 
  法王は昨年8月15日、ここで聖母昇天大祭日ミサを執典した。


この説明からみて、特にこの銅像の男性は聖人でもなんでもない韓国のごく普通の男性のようです。この男性に、ローマ法王がひざまづかなければならない理由があったとしたら、得意化に掲載するでしょうし。何よりも、銅像を作る前に、新聞にはその実際シーンの写真を取り上げ大スクープとなったことでしょう。テレビも大々的に報道したことでしょう。

韓国人は口実を付けて異民族を土下座させるのが大好きな人たちのようです。 このように度々同様の行為が行われているのが確認されます。



反対の側面から見ると、これは強烈な劣等感のあらわれとして、見ることができるかもしれません。

しかし今回は銅像を作り半永久的にローマ法王を侮辱するだけに キリスト教諸国の韓国人に対する怒りと憎しみが爆発しそうだです。様々な言い訳をするでしょうが、異民族を跪かせたいという願望の発露であることは間違いがないと思います。

普通の感性を持った人なら考えられないことです。変な趣味の人が戯れで、このような銅像を作ったとしても、新聞がその写真をわざわざサイトに公表するなど全く考えられません。

このような国に賠償がどうの、謝罪がどうのというのは一切無意味です。もはや韓国人は、根本的な精神構造の異常さからくる対応困難な人々とみなすのが妥当です。

今回安倍総理は、慰安婦問題を解決しようとして、尽力しているのでしょうが、相手がまともな精神構造であれば、この尽力も実を結ぶ可能性もありますが、韓国相手では、無理です。

おそらく、途中で頓挫するか、話し合いが成立したにしても、後で必ず蒸し返しがあります。いずれの場合にも、今後は、韓国とは事実上の国交断絶という道を選択するしかなくなります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月27日日曜日

【国内】爆買いやインフラ特需のはずが…東京のGDPなぜマイナス?―【私の論評】官邸は徹底的に財務省を追撃し、殲滅し、財務省を他省庁なみの官庁に叩き落とすべき(゚д゚)!


中国人の爆買いが目立つようになった銀座

 クビをかしげた人も多かったんじゃないのか。東京都が公表した2015年度の都内の実質経済成長率(見込み)。中国人の「爆買い」や、2020年の東京五輪に向けた施設建設やインフラ整備による“特需”でウハウハと思ったら、ナント! 「マイナス0.6%」だったからだ。

 都がGDP(国内総生産)の都内分を推計したもので、マイナス成長は14年度(2.8%減=速報値)に続いて2年連続。「製造業」(5.6%減)や「卸売・小売業」(1.8%減)、「サービス業」(1.4%減)が主な要因とみられるが、内閣府が7月に公表した全国の経済成長率見通し(1.5%増)よりも大幅に下回っているとは驚きだ。

 都内では今も、あちこちで高層マンション建設が見られるし、銀座や秋葉原には大型スーツケースを持った中国人の団体客がウジャウジャいる。それに何といっても、東京五輪だ。過去に五輪招致委員会と都スポーツ振興局が試算した五輪開催に伴う「需要増加額」は、東京だけで約9600億円。GDPを押し上げるプラス要素ばかりなのに、全国よりも“冷え込んでいる”のは不思議だ。

 都に聞くと、「国の数値の発表は7月であり、都は12月です」(統計部調整課)と説明。とはいえ、数値が違い過ぎるだろう。経済ジャーナリストの小林佳樹氏はこう言う。

「金融機関の動向を見ていると、今や地方はメタメタ。地方銀行は東京への足掛かりを模索する動きばかりです。つまり、東京の一極集中がますます進んでいる。不動産価格やオフィスビルの空室率を見ても都内は堅調で、とても全国より“悪い”とは思えません」

 ということは、中国のGDPじゃないが、国が鉛筆をナメナメした可能性は十分ある。大失敗のアベノミクスをごまかすため、国の数値にゲタを履かせた疑いだ。

「最近はGDPの速報値と確定値が大きく違う、なんてことがザラ。統計モデルに何を含めるかによって数値はガラリと変わるのです。印象では堅い数値は都の方ですね」(小林佳樹氏)

 内閣府が新たに公表する数値が見モノだ。

【私の論評】官邸は徹底的に財務省を追撃し、殲滅し、財務省を他省庁なみの官庁に叩き落とすべき(゚д゚)!

実際の東京都の発表を見てみました。これは、以下のサイトからどなたでもご覧になれます。


以下に、その発表そのものをコピペさせていただきます。
都民経済計算(都内総生産等)平成26年度速報・平成27年度見込
平成27年12月21日
総務局 
 都民経済計算の平成25年度年報を基に計算した平成26年度速報及び平成27年度見込がまとまりましたので、お知らせします。都民経済計算では、国内総生産(GDP)の都内分である都内総生産を推計しており、都内の経済活動の規模や動向などを明らかにしていますが、本資料は、これらの速報・見込です。 
※この速報及び見込は、平成27年12月8日までに公表されたデータを基に計算しており、今後、速報値及び見込値は改定されます。 
《平成27年度見込》
都内総生産(名目) 92兆9千億円 
実質経済成長率 0.6%減 
1 都内総生産(名目) 
 平成25年度に93兆1千億円であった都内総生産(名目)は、平成26年度は93兆円、平成27年度は92兆9千億円とほぼ横ばいで推移すると見込まれる。(図1)

2 実質経済成長率 
 (都内総生産(実質)の対前年度増加率)
 平成25年度に1.6%増であった実質経済成長率は、平成26年度は2.8%減、平成27年度は0.6%減となると見込まれる。(図2)
※「実質」…名目値から、価格変動の影響を除去して評価したもの
(注)「全国」の平成27年度は「平成27年度の経済動向について(内閣府年央試算)」(平成27年7月22日)によります。
統計表、解説などの詳しい内容は、「都民経済計算 速報・見込」ホームページに掲載しています。
問い合わせ先 
総務局統計部調整課
 電話 03-5388-2522
都の統計では、マイナスということで、やはり東京都でも、8%増税の悪影響は酷かったのだと納得がいく結果です。ただし、これは速報値なので、 まだなんとも言えませんが、やはり厳しいと言わざるを得ません。

いくら中国人が爆買いをしたからといって、1000万人以上もいる都民が、増税などによって、消費を手控えたら、このような結果になってしまうのも当然かもしれません。何しろ、日本のGDPの60%以上が個人消費によるものです。

一方中国人の爆買いといっても、それを目の前で見ていれば凄いとも思えますが、全体からみれば微々たるものです。そもそも、たとえば中国への輸出が日本のGDPに占める割合は、2%程度に過ぎませんでした。それも、どうしても中国でないと駄目ということもなく、他国への輸出を増やせばすむことです。

観光で一時的に訪れる、少数の中国人と、東京に日々住んで、毎日のように消費をする東京都民と比較して、どちらのほうが影響力が大きいかとといば、それは圧倒的に都民のほうが大きいです。

いくら中国人観光客が爆買いをしたとしても、それは、東京都内の全体の経済からすれば、微々たるものに過ぎません。

とろで、内閣府による、国の2015年の経済成長の予測は、7月時点で、1.5%増ではありましたが、これはあくまで予測ですから、確報ではどうなるかは、まだまだわかりません。

実際、日本の7-9月期の経済成長率は、速報値では、-0.8%と発表され、4-6月期の経済成長率もマイナスであったため、二期連続マイナスで、景気後退局面になったともいわれましたが、実測値では、かろうじてプラスになったという状況でした。

ただし、非常に気になる報道もあります。それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
まるで中国共産党! 財務省の「マイナス成長隠し」が、シャレにならない 日本の「GDP統計」がピンチ―【私の論評】日本の「政治主導の夜明け」は、まるで中国のように政治活動する財務省が壊滅した後に始まる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の元記事の部分のみ以下に引用させていただきます。
「現在の統計では消費の実態を示せていない」 
財務省が突如、GDP統計を算出する際に用いる各種統計を「見直せ」と各省庁に求め、霞が関で波紋を呼んでいる。 
これまで誰も問題視していなかったGDP統計を唐突に見直せとは、あまりにも不自然。財務省は「経済の実態より統計が弱含んでいる」というが、はたして、要求の裏にはどんな思惑が隠されているのか。 
10月16日の経済財政諮問会議で、麻生太郎財務相が見直しを指示した統計は次のとおりだ。 
家計調査(総務省)、毎月勤労統計(厚労省)、消費者物価指数(総務省)、建築着工統計調査(国交省)。 
家計調査は高齢者の消費動向が色濃く反映されているため、消費の数字が低めに出ている。毎月勤労統計は調査対象の入れ替えが頻繁なため、賃金の数字が正しく表せていない。消費者物価指数はインターネットを通じた取引の販売価格が加味されていない。建築着工統計調査はリフォーム・リノベーションがカバーされていない・・・。 
というのが、財務省の主張。要するに、「現在の統計では消費の実態を示せていない。実際はこれほど落ち込んでいない」と、言いたいのだ。 
なぜ、財務省はこれほど強引に統計の見直しを求めているのか。

財務省の「人事パワー」は侮れない 
あれこれ理由をつけているが、「マイナスになりそうな2015年7-9月期のGDPをどうにかしたい」というのが本音だろう。'17年4月に予定される、消費再増税ができなくなることを恐れているのだ。 
'14年4月の消費増税の際、財務省は増税の景気への影響は軽微としていたが、大外れだった。増税後のGDPは2四半期連続のマイナス成長。さらに今年7-9月期もマイナス成長ということになれば、その「負の影響」が現在まで続いていることが、誰の目にも明らかになる。 
それを避けるために、財務省は「そもそもGDPを推計する各種統計が信用できない」と言い出したわけだ。 
この動きは実に滑稽である。だが、恐ろしいのは、財務省の霞が関における「人事パワー」を侮れない、ということだ。 
GDP統計を発表する内閣府の幹部名簿を見ると、事務次官は内閣府プロパーであるが、ナンバー2の内閣府審議官は財務省出身者。局長級の政策統括官にも財務省出身者がいる。 
前述した各種統計を作成する各省庁も同様の有り様。財務省出身者が霞が関を支配している、と言っても過言ではない。 
幸いなことに、「GDP統計の作成部署」は、内閣府プロパーで固められている。経済財政担当相にも、作成に関する事前の説明はほとんど行わないなど、情報管理はしっかりしているという。 
だが各種統計の見直しを指示したということは、作成部署にまで財務省が手を突っ込んでいるとみて間違いないだろう。財務省の焦りは相当なもののようだ。 
お隣中国のGDP統計がかなり怪しく、政府の意向で数字がいくらでも変わると、11月7日号の本誌で書いた。 
だがどうやら、日本の財務省も同じ考え方をもっているようだ。中国共産党と日本財務省の共通点が、人事パワーが強烈で独裁的に政権運営することであるとは、本当に洒落にならない。

『週刊現代』2015年11月21日号より
さて、この記事によると、財務省がGDPの計算方法を見なおせと言い出したようですが、計算方法を見直す事自体は、目的がしっかりしていれば、悪いことではないと思います。

しかし、この記事にあるように、「マイナス成長隠し」にそれを実施するというのなら、非常に問題です。

もし、計算方法を見なおしたとしても、過去の統計も同じ計算方法にして、それで比較して成長率を出すというのなら問題はありません。

もし、過去には、そのような統計を出していないので、過去の分に関しては、同じ計算ができないというのら、少なくとも5年間くらいは、従来の計算方法での比較と、現在の計算方法での統計値の二種類を出すようにすべきと思います。

とにかく、現在の統計の計算方式と、過去の統計の計算方式が異なるとすれば、これは同じように比較できないというのは当然のことです。特に、対前年比の計算には役立たないということになります。

こんなことは統計学の常識というより、統計学など学んだことのない人でも、計算方式の違う統計数値を比較するのは間違いであることは誰もが理解できることだと思います。

だから、いかに財務省が「マイナス成長隠し」を企んだにしても、このようなバカマネをしてしまえば、すぐに露見すると思います。露見してしまえば、財務省の幹部の責任は免れません。だから、財務省もそんな危険なことはしないで、他の方法で、「マイナス成長隠し」をすると思います。

GDPの計算方法の見直しについては、実際に検討されているようです。それについては、以下のリンクをご覧になってください。
来年のGDP、15兆円アップ?…計算方法見直しにつき
朝日新聞デジタル 


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみコピペします。
 国の経済規模を示す国内総生産(GDP)の計算方法が来年、日本で変わる。日本のGDPに算入されていない企業の研究開発費などが、2016年7~9月期の2次速報から新たに算入される見通し。名目GDPは現在の約500兆円から3%以上、金額にして15兆円以上増える見込みだ。
 目的としては、「国際比較」をしやすくするためのようですが、この目的が本当にそうであれば、大歓迎です。

しかし、国際比較をするというならば、国(この国とは政府のことです)の借金「1000兆円」というのも国際比較をしてわかりやすくしてもらいたいものです。

そもそも、これは、政府の負債です。ところが、日本国政府は世界で一番多く金融資産を有しており、特別会計に積み上げたり、政府の外郭団体に大量に貸し付けたりしています。

このようなことから、借金が1000兆円というのは、そのままでは諸外国とは比較できません。日本政府の金融資産を負債から差し引いた数値で比較すべきです。

しかし、そんなことをすると、そもそも増税の根拠が薄弱になってしまうため、財務省は絶対にそんなことはしないでしょう。

ところが一方「8%増税によるマイナス隠し」をしたいということになれば、話が矛盾します。マイナス隠しということは、プラスであるかのように演出することです。

しかし、プラスにしすぎれば、今度は増税の必要性なしということになります。この匙かげん、財務省はどうするつもなのでしょうか。

今までのところ、財務省は、さすがに統計数値を改ざんするようなことはしてきませんでした。しかし、統計数値を財務省の都合の良いように解釈したものを流布することによって、省益を維持しようと努力してきました。

一方では、「マイナス成長隠し」による経済成長プラス演出によって、8%増税、ひいては10%増税の正当性を主張し、一方では国の借金1000兆円説により、増税の正当性を主張してきました。

しかし、通常のマクロ経済的見方からすれば、大幅なプラス成長ともなれば、そもそも増税は必要ないということになります。大幅なマイナス成長であれば、本当は増税できないということになります。そんなことよりも、本当は経済成長が必要であり、そのためには減税などの積極財政が必要なはずです。

マクロ経済の原則を無視した、財務省は、このような詭弁をいつまで継続するつもりなのでしょうか。

大蔵省時代の官僚は解体される少し前までは、それなり頭も良かったし、天下国家のことを考えて行動していましたが、ここ20年の財務省は全くそうではなくなりました。天下国家は脇においておいて、省益だけを最優先するようになり、省益を追求するために、マクロ経済の原則などを曲げて様々な奇妙奇天烈、摩訶不思議な論理に創作し、増税の正当性を主張してきました。

あまりに長い間、そんなことを続けてきたせいでしょうか、最近の財務省の官僚も他省庁なみに頭の悪い、融通の効かないバカ頭に成り果てたようです。

衆院解散増税見送り選挙になったときの財務省幹部の発言
もうそろそろ、綻びがでてきました。そうです、軽減税率を巡る、官邸サイドと財務省サイドのバトルです。このバトルで財務省は、大敗北を喫しました。

そろそろ、財務省も詭弁を繰り返すことはできなくなることでしょう。来年の選挙が、衆参同時選挙となり、安倍自民党が選挙公約の中に「10%増税の経済が回復するまで、無期限延期」を掲げて、大勝利をしたとしたら、これはまさしく、官邸側の財務省に対する追撃戦であり、追撃戦に負けた後の財務省は、すっかり権力を失うことになります。

そうなると、財務省解体や、日銀法改正も意外と近いかもしれません。

2015年の経済成長の統計値の実測値はでていません、これが出る頃には、財務省が「マイナス成長隠し」のためにどのような行動に出るのか、官邸側は予め作戦を立てています。そうして、その作戦は無論追撃戦になります。なぜなら、すでに財務省は安倍総理に、増税見送りと、軽減税率のバトルで2敗、8%増税で1勝と、完璧に負け越しているので、官邸側としては、追撃戦になります。

戦いで最も楽しいのは心躍り、華々しいのは、追撃戦です。ここで保守の人達は仏心を出しますが阿修羅の心で財務省をやっつけましょう。徹底的に追撃し、徹底的に殲滅し、財務省を他省庁なみの官庁に叩き落とすべきです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月26日土曜日

【ニッポンの新常識】SEALDsだからおかしい、との主張に私は与しない―【私の論評】誰が正しい間違いという考え方は、そもそも大間違い!成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論せよ(゚д゚)!


ケント・ギルバート氏
今年、最後のコラムである。昨年11月に夕刊フジの集中連載「反撃せよ! ニッポン」を担当し、2月にこの連載がスタートした。その後、「産経新聞」や「正論」「Voice」「新潮45」「WiLL」など、2015年は数多くの活字メディアに私の記事が掲載された。

 共著を含む書籍は4冊刊行され、『まだGHQの洗脳に縛られている日本人』(PHP研究所)は12刷に突入した。各関係者には、この場を借りてお礼を申し上げたい。

 在日米国人の視点が新鮮だったのだろうか。それとも、「憲法9条こそが憲法違反」のような発言が目立ったせいだろうか。ツイッターを中心に賛否両論、数多くの批評やご意見をいただいた。反応してくださった方々にもお礼を言いたい。

 少し気になる反応が2種類あった。

 1つ目は、学生グループ「SEALDs(シールズ)」や、女優の吉永小百合さんの話題を取り上げたとき、私の主張に賛同する側に多かったのだが、「何も分からない学生(芸能人)が、政治や軍事の問題に口を出すな!」という趣旨の反応である。私はこれに賛同しない。

 発言者の職業や肩書、学歴、年齢、性別などの属性を気にする人は、自分の中に明確な判断基準を持っていない可能性が高い。有識者の主張は無条件で受け入れるなど、流されやすく、プロパガンダにだまされやすい。「誰の主張か?」ではなく、「主張内容は合理的か?」を検証すべきだ。

 2つ目は、主に私の主張に賛同しない側の意見だが、「昔のケントはあんなことは言わなかった」という反応である。

 私がテレビに出始めたのは1983年、TBS系「サンデーモーニング」のレギュラー出演終了が97年だから、「昔のケント」とは、最低でも15年以上昔の私のことだろう。

 この15年で、世間はどれほど変化したのか。「9・11米同時多発テロ」や「アフガン戦争」「拉致被害者の帰国」「イラク戦争」「中国での反日暴動」「民主党政権誕生」「尖閣諸島の国有化」「東日本大震災」「第2次安倍晋三内閣発足」「朝日新聞による慰安婦大誤報の取り消し」「自称イスラム国(IS)台頭」「中国による南シナ海の岩礁埋め立て」「抗日戦争勝利70周年の軍事パレード」「パリ同時多発テロ」など…。

 インド独立の父、マハトマ・ガンジーは「明日死ぬつもりで生きろ。永遠に生きるつもりで学べ」との名言を残した。学習や変化、進歩を拒むのは個人の自由だが、私はさび付いた常識に基づいて生きるつもりはない。

 ということで、来年もよろしくお願いします。

 ■ケント・ギルバート 

【私の論評】誰が正しい間違いという考え方は、そもそも大間違い!成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論せよ(゚д゚)!

ケント・ギルバート氏のブログ冒頭記事における、2つの主張に私は全面的に賛成です。第一の主張である、誰のいうことだから正しくないというような反応には、賛同しないというものです。

これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
民主など 首相の大阪でのテレビ出演に抗議―【私の論評】最初から誰が正しいか何が受け入れられるかで意思決定するな!すれば与野党ともドツポにはまる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、いわゆる安倍嫌いの人々が、陥る意思決定のまずさについて掲載しました。

結論からいうと、意思決定の過程において、SEALsが言っているからとか、吉永小百合が言っているからとか、安倍総理が言っているから正しいとか、間違いとか、○○であるとの結論を出すことはそもそも、大間違いです。

誰が発言しようと、正しい場合もあるし、間違いの場合もあるのです。要は、誰の発言が正しいか、間違いかということを考えるのは不毛であり、何が正しいか、何が間違いかを考えることこそ、結果として正しい判断ができるということです。

この記事より、それに関連する部分を以下にコピペします。
最初から誰が正しいか何が受け入れられるかで決定してはならない 
この言葉の意味は重要です。この言葉を良く理解すれば、なぜ今の国会審議があれほどまでに、空虚で意味のないものになっているのかを良く理解できます。 
ドラッカー氏は、『経営者の条件』という書籍で以下のように述べています。 
意思決定の過程においては、まずは「誰が正しくて、誰が間違いか」などという論議すべきではなく、あくまで「何が正しくて、何が間違いか」という議論をすべきであって、そうでなければ、全く不毛な論議となってしまい、まともな意思決定ができなくなってしまうということです。 
いわゆる「安倍嫌い」は、最初から「誰が正しくて、誰が間違いか」という主張をしているに過ぎません。要するに、上のTweetで田中氏が述べているように、「自分と意見違うものはリンチという徹底した態度」ではまともな論議ができず、まともな意思決定もでなきないということてず。 
そのためでしょうか、国会での最近の安保法制の議論など、全くまともな議論になっておらず、国民にとっても理解しがたいものになっています。 
しかも、大方の政治家は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思うものです。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考えてしまいます。 
妥協には昔から知られているように2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づくものです。 
前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。しかし、半分の赤ん坊では妥協にもなりません。
 「決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない」
ラファエロ作『ソロモンの審判』
『ソロモンの審判とは、』旧約聖書に出てくる話であり、イスラエルの賢王ソロモンが、いかにも当時の絶対専制君主らしく、子を剣で半分に切って女二人で分けよと審判します。このような妥協ならしないほうがずっとましです。 
民主党などの野党は、とにかく「安倍嫌い」の立場から、安倍総理の主張は全く間違いであり、自分たちが正しいものとして、物事を考えているようです。そうして、そのスタンスで安倍総理に対峙するものですから、とにかく憲法解釈の変更による集団的自衛権に関わる、安保法制は違法として、安倍総理に対峙しようとします。 
そのため、全く話が噛み合いません。そうして、いずれ妥協の段階に入るとは思いますが、安倍総理の立場からすれば、民主党などの言うとおりに妥協してしまえば、まともな「戦争抑止法案」とはなりえず、それこそソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招いてしまい、とんでもないことになってしまうため、妥協はできません。そのため、無意味な審議は長引くばかりです。
ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れるとしています。
以上のように、誰が正しいか、誰が間違いかを議論するのは、全くの間違いです。本当にやるべきは、何が正しくて、何が間違いかを議論することです。

だから、SEALDsが言っているからどうの、吉永小百合さんが言っているからどうの、安倍総理が言っているからどうのというのではまともな議論にならないのです。

しかし、世の中にはこれが理解できない人が、上下左右を問わず数多く存在するようです。

SEALsが言っているから間違いとか、安倍総理が言っているから最悪などという人達はそもそも、最初から意思決定を避けているようなものです。

本来は、SEALsの言っている「○○という主張は△△だから間違い」とか、安倍総理の語る「○○という主張は□□だから間違い」などと、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)をあげながら、議論をしたり、意見を述べるならまともな議論になると思いますが、そうでなければ全く不毛です。

このように考えると、 SEALsの言う「安倍政治を許さない」なども全く不毛ですし、いきなり「戦争法案」というのも飛躍のしすぎで、お話にならないです。

SEALDsが言っているから、おかしいなどという言い方も全くお話にならないわけです。

そうして、このような議論をする人たちは、先にも示したように、いつも議論が十分でないため、妥協するにしても、「半分のパン」の妥協をするのではなく、「半分の赤ん坊」の妥協をすることになるため、いつも閉塞感に苛まされることになるのだと思います。

それともう一つ、意見の不一致のない意思決定は非常危険だということがあります。これについても、以前このブログに掲載したことがあります。
成功は対立の中にある。自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論をする価値―【私の論評】ドラッカーも昔から主張する意思決定のための意見の不一致!増税決定の意思決定のように、皆が賛成する意思決定にはろくなものがない(゚д゚)!

"
ドラッカーは、上記のようなことをすでに数十年も前から主張しています。
 成果をあげる者は、意図的に意見の不一致をつくりあげる。そのようにして、もっともらしいが間違っている意見や、不完全な意見によってだまされることを防ぐ」(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)
ドラッカーは、意思決定の過程では意見の不一致が必要だといいます。理由は三つあります。
 第一に、組織の囚人になることを防ぐためです。組織では、あらゆる者が、あらゆる決定から何かを得ようとします。特別のものを欲し、善意の下に、都合のよい決定を得ようとします。 
 そのようなことでは、小さな利害だけで決定が行なわれます。問題の理解抜きでのそのような決定の仕方は、きわめて危険です。
 第二に、選択肢、つまり代案を得るためです。決定には、常に間違う危険が伴います。 
 最初から間違っていることもあれば、状況の変化によって間違うこともあります。決定のプロセスにおいて他の選択肢を考えてあれば、次に頼るべきものとして、十分に考えたもの、検討ずみのもの、理解ずみのものを持つことができます。 
 逆に、全員一致で決めていたのでは、その決められたものしか案がないことになります。
 第三に、想像力を刺激するためです。理論づけられ、検討し尽くされ、かつ裏づけられている反対意見こそ、想像力にとって最も効果的な刺激剤となります。すばらしい案も生まれます。 
 明らかに間違った結論に達している者は、自分とは違う現実を見て、違う問題に気づいているに違いないと考えなければなりません。 
 もし、彼の意見が知的かつ合理的であるとするならば、彼はどのような現実を見ているのかを考えなければなりません。意見の不一致こそが宝の山です。意見の不一致が問題への理解をもたらしてくれます。 
 いかなる問題であれ、意見の不一致が皆無などということは、奇跡です。いわんや、四六時中奇跡を起こしているなどありえないと心得るべきです。それでは、社長が一人いればよいことになります。 
 後で不祥事となった行動の多くが、ろくに議論もされずに決められていることは偶然ではありません 
 「成果をあげる者は、何よりも問題の理解に関心をもつ」(『経営者の条件』)
 意見の不一致のない、意思決定は非常に危険です。それは企業内の意思決定についても同じです。無論、企業などの組織では、職位の高い人の意見が優先するのは当たり前のことです。しかし、職位の一番高い社長や会長の意見と、それ以下の人たちの意見がいつも一致するというようなことがあれば、それは全く異常なことです。何かが間違えています。

最終的に職位の最も高い人の意見に従うということにはなりますが、それでも職位の低い人も意見は述べるべきでしょう。上の事例では、意見の不一致があったときに、相手がどのような現実を見ているのかを知るべきとしています。

この場合、無論全く異なる現実を見ている場合もありますが、実は同じ現実みているにもかかわらよず、意見の不一致があるという場合もあります。

・・・・・・・・・〈略〉・・・・・・・・・

ドラッカーの著書にもGMの会長だったアルフレッド・スローンが、会議で反対意見が全くなかった場合は、この議論はまだまだ醸成されらおらず、よって次の機会にまた話し合うことにするとして、反対意見がでることを助長していたことが掲載されていました。

いつも会議で満場一致のようになる企業・政府などの組織、全くおかしいです。こんなことになるのは、独裁的であるか、あるいは無責任な経営者や政治家の集まりの組織以外にあり得ません。

意思決定において、反対意見が全くないとか、反対意見を言えるような雰囲気ではないという状況は最悪です。この面からみても、自民党の増税の意思決定は大失敗だったと思います。

憲法改正などの意思決定においても、たとえば、民主党、社民党、共産党の反対意見は、重要です。彼らのお花畑的な考えで、憲法解釈などしていたら、この日本というという国がとんでもないことになってしまうことが、目に見えるように理解できるので、ますます自信を深めることができます。

とにかく、どのようなことにでも、意思決定においては、意見の不一致は重要です。意見不一致が表面化しないような意思決定はまともなものではありません。私たちは、これを前提として、重要な意思決定をすべきです。
"

今年の安保法案の国会審議に関しては、おおいに反対意見が出ました。いや、というより、反対意見ばかりが多すぎでした。野党側など、ほとんど反対一辺倒だったというのも、非常に問題です。

何からなにまで反対で、「戦争法案」というレッテル貼りをしたということは本当に問題だったと思います。

それにしても、様々な反対意見が出ていたので、私自身にとっては安全保障についていろいろ考えるきっかけとなって良かったと思います。

特に、憲法学における京都学派の憲法解釈に巡り会えたのは大きな収穫だったと思います。それについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
井沢元彦氏がSEALDsに意見 「9条を守れ」の主張は人権侵害―【拡散希望】主流派憲法学者の解釈を踏襲するな!京都学派の解釈に従えば、ほとんど現実世界と矛盾しない(゚д゚)!
井沢元彦氏(写真左)今年1月

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事の元記事で、井沢氏は「9条を守れ」の主張は人権侵害になる場合もあることを主張しています。

「9条を守れ」という主張が人権侵害にあたることを主張している部分のみ以下に掲載します。
 軍隊の必要性を認めた上で「憲法九条を守れ」と主張することは、極めて重大な人権侵害であることに君たちは気がついているのか? 「必要ない」と言うなら仕方がないが「必要」ならば、自衛隊及び自衛隊員は法治国家日本において正式な存在であるべきだ、しかし憲法九条は法律がなんと言おうと彼等の存在を否定している。だから憲法九条を守るということは、実は自衛隊員の地位と権利を正式なものとしては絶対に認めないということになる。 
これもわかりやすく時代劇にたとえようか。 
ある旗本の家、そこが突然武装強盗に襲われた。先代の嫡男である当主が撃退しようとしたが日ごろから武芸にはうとく、危うく殺されそうになった。そこへ颯爽と登場したのが側室の生んだ次男、つまり当主の弟である。次男の命をかけた奮闘で賊は撃退された。そして、あそこには強い用心棒がいるという評判が立ち賊も敬遠するようになった。何もかも弟のおかげである。 
ところが兄は感謝するどころかこう言う。「メカケの子のくせに図に乗るな、お前はあくまで日陰の存在だ。メシは食わせてやるが、名誉も地位も求めるな!」。 
どうです? ひどい兄だとは思いませんか? 人間のクズと言っても過言ではないだろう。 
しかし「憲法九条を守れ」と言うのは実はこれと同じことで、「自衛隊員よ、お前たちはあくまでメカケの子だ、引っ込んでいろ」と言っているに等しい。そのことに君たちは気がついているのだろうか? 
たぶん気がついてはいないのだろう。気がついているならばこんな態度をとるわけがない。瀬戸内寂聴さんや大江健三郎さんのような日本の良心と言われている人たちも気がついていないのだから仕方がない。本当の日本の歴史を知らないからだ。
 確かに、井沢氏の言うとおり、憲法9条が、すべての武力を保持することや、武力を行使するものという解釈をするなら、井沢氏の言うことは全く正しいです。

このブログでは、京都学派の憲法解釈にしたがって、憲法を解釈するとこのような矛盾ははなから存在しないことも掲載しました。

その部分を以下に掲載します。
佐々木惣一氏(ブログ管理人注:京都学派の重鎮)は、憲法9条は、国際紛争を解決する手段として武力を用いることを否定しているのであって、これ以外の自衛戦争まで禁じているわけではないと解釈しています。例えば、わが国が突如他国の侵略を受けることがあって、わが国を防衛するために、その他国に武力を以て対抗して、戦争をすることは、明らかにこれにこれを禁じているわけではないとしています。 
そんなこと憲法典(文書として書かれた憲法)には、一つも書かれてはいないから、それは詭弁にすぎないという人もいるかもしれません。しかし、憲法9条を端から端まで何度読んでみても、明らかに防衛戦争を否定するとは、はっきりとは書かれていません。 
このようなことをいうと、書かれていないからといって、書かれていないことが、なんでもできたらとんでもないこになてしまうから、そんなのは詭弁だというかもしれません。 
しかし、そんなことはありません。世界の多くの国々の憲法典でも、自衛権に関してはっきり明記しているものは多くはないです。それは、自然権であり、当然の権利であり、わざわざ記載する必要もないということなのだと思います。 
この事実からも、憲法典に書かれていない事柄は、やってはいけいことなどという解釈は成り立たないことが理解できます。であれば、佐々木惣一氏の日本憲法典の解釈は、突飛でも、詭弁でもないことが理解できます。 
ブログ冒頭の記事を書いた井沢元彦氏は、おそらく改憲派だと思うのですが、それにしても、佐々木惣一氏らの京都学派による憲法解釈はご存知ないのではないかと思います。確かに、日本主流の憲法学者らの解釈によれば、外国にいる日本人の生命がおびやかされても、日本は何もできないということになってしまいます。

しかし、京都学派の解釈なら、自衛隊そのものはそもそも違憲ではないし、場合によっては、日本人の生命を守るために海外に自衛隊を送っても何ら憲法違反にはならないことになります。
私は、このような憲法解釈こそ、様々な矛盾を解消する素晴らしい解釈だと思います。ただし、この解釈は、日本では左派系はもとより、右派系、保守系の人々もほとんど知らないようです。

このような憲法解釈を私が知ることができたのは、安保法案に関する反対意見のみがあまりに多く、かなり違和感を感じたため、私なりに調べてみた結果わかったことです。そうして自分の考えをはっきりとまとめることができました。

そうして、今後は、事あるごとに京都学派の憲法解釈を多くの人々に語っていきたいと思います。

誰が正しい、間違いという考え方は、そもそも大間違いです。私は、成功は対立の中にあると思います。そうして、私は、自分と違う意見の人を見つけて、あえて議論していこうと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月25日金曜日

「日本は核武装を狙っている」 中国が進める日本悪魔化計画―【私の論評】米国の中国対応の鈍さ!本当は20年以上前にこのようなことを言わなければならなかった(゚д゚)!


悪魔といってもいろいろあるが、中国の日本悪魔化計画の悪魔はどんなものか?

 「アメリカを超える大国」を目指す中国は、その大目標の邪魔になる日本を貶める動きを加速させている。その試みは欧米の識者から日本の「悪魔化」と呼ばれ、警戒されている。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が、中国による日本の「悪魔化」の現実をレポートする。

 * * *

 中国共産党政権が日本をことさら悪として断じ、その善や和の特徴をあえて無視する実態は私自身も1998年から2年余、産経新聞中国総局長として北京に駐在した時期から、いやというほど体験してきた。

 小中高校用の歴史教科書は日本について戦時の「残虐行為」だけを誇張して教え、戦後の平和主義、民主主義の特徴はなにも教えない。日本が賠償の意味もこめて中国に供与した巨額の政府開発援助(ODA)など戦後の対中友好外交も教えない。

 官営メディアは抗日戦争での日本軍の「侵略と虐殺」の歴史を繰り返し、ドラマも同様に悪逆非道の日本人ばかりが登場する。この反日宣伝の実例は自著の『日中再考』(産経新聞社刊)などで詳述した。

中国の歴史教科書の記載

 さてこの中国の「日本悪魔化」戦略はアメリカでも中国軍事研究の最高権威によって指摘されていた。1970年代のニクソン政権時代から一貫して国防総省の高官として中国の軍事動向を研究してきたマイケル・ピルズベリー氏の指摘であり、警告だった。

 同氏は2015年2月刊行の著書『100年のマラソン=アメリカに替わりグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』(日本語版の書名は『China2049』)で日本悪魔化戦略を明らかにした。

マイケル・ピルズベリー氏
 ピルズベリー氏は中国語に堪能で共産党や人民解放軍の軍事戦略関連文書を読みこなす一方、中国軍首脳との親密な交流を保ってきた。同氏はこの新著でアメリカ歴代政権の対中政策は間違っていたとして「中国を豊かにすれば、やがて国際社会の健全な一員となるという米側の期待に反し、中国は当初から建国の1949年からの100年の長期努力でアメリカを圧することを狙ってきた」と述べた。その世界覇権への長期の闘争を中国自身が「100年のマラソン」と呼ぶのだという。

 同氏は中国のこのアメリカ凌駕の長期戦略の重要部分が「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作なのだと明言している。日本の悪魔イメージを国際的さらには日本国内にも投射して日本を衰退させ、日米同盟やアメリカ自体までの骨抜きにつなげる一方、「軍国主義の日本との闘争」を中国共産党の一党独裁永遠統治の正当性ともする狙いだという。

 逆にいえば、習氏にとって日本がいま平和、民主のままで国際的な影響力を強めれば、共産党統治の正当性を失いかねない。さらには中国の最大脅威であるアメリカのパワーをアジアで支えるのはやはり日本そして日米同盟であり、その両者が強くなることは中国の対外戦略全体を圧することにもなる。だから習氏はいまの日本をいかにも恐れるような異様な工作を進めるのだろう。ピルズベリー氏はその日本悪魔化工作の例証として以下の諸点を列記している。

 ◆習近平氏が愛読する書『中国の夢』(劉明福・人民解放軍大佐著)は「日本は常に中国を敵視するから中国が軍事的に日本と戦い、屈服させることが対米闘争でもきわめて有効だ」と強調している。

 ◆清華大学の劉江永教授は最近の論文で「日本の首相の靖国神社参拝は中国への再度の軍事侵略への精神的国家総動員のためだ」と断言した。

 ◆李鵬・元首相に近い学者の何新・社会科学院研究員は一連の論文で「日本は中国の植民地化を一貫した国策とし、今後もそのために中国を分割し、孤立させようとする」と警告している。

 ◆多数の中国の軍人たちが「日本は中国攻撃のための軍事能力を整備しており、日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のため、プルトニウム保有は核兵器製造のためだ」と主張している。
 
 私はピルズベリー氏とは30年以上も交流があり、今回の彼の本についても対談する機会を得たが、氏によれば、これらの主張はほぼすべて事実に反するものの、現実には中国首脳部への真剣なインプットとなっているという。

 日本はこの中国の「悪魔化」プロパガンダに対して常にその害悪を意識して正面から反撃し、論争を挑むことが不可欠だろう。

 ※SAPIO2016年1月号

【私の論評】米国の中国対応の鈍さ!本当は20年以上前にこのようなことを言わなければならなかった(゚д゚)!

『100年のマラソン=アメリカに替わりグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』については、ごく最近このブログでも取り上げたばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
スクープ最前線】米機接近は「誤り」ではなく中国恫喝だった 南シナ海“威圧”に米激怒―【私の論評】今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の感受性の鈍さが、アジアの平和を脅かした(゚д゚)!
激怒するオバマ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事元記事では、以下のような事実を提示していました。
米軍の戦略爆撃機B52が10日朝、南シナ海上空を偵察任務中、中国がスプラトリー(南沙)諸島に建設した人工島に接近した。中国が『領海』と主張する12カイリ(約22キロ)以内どころではなく、2カイリ(約3・7キロ)内への侵入だった。ほぼ真上といえる。米国防総省は『意図的ではない。悪天候のため、誤って飛行した』と説明した。
そうして、この元記事では、これは誤りではなく、アメリカの意図して意識した、中国への恫喝だとしています。そうして、なぜこのような恫喝をしたかといえば、中国の傍若武神な振る舞いに対して、激怒したためとしています。

この見方は、全く正しいものと思います。これに対して、『100年のマラソン』を引き合いに出して、私は以下のように論評しました。 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結論部分のみ以下に掲載させていただきます。
以上のようなことから、「100年のマラソン」など最初からわかり切ったことであり、これに関して今更脅威を感じるなどとは、はっきり言わせてもらえれば、あまりにも感受性が鈍いとしか言いようがありません。 
感受性が鈍った原因として、アメリカの世論は、90%がリベラルで、わずか10%が保守であり、かつ親中派、媚中派も多かったため、中国の成長幻想の集団催眠にかかり、中国はいずれ大国となり、米国と対等のビジネスパートナーになると思い込んだためです。 
しかし、異質の中国は、とても米国の考えているようなビジネス・パートナーとはなりえません。まずは、経済は破綻しかけています、そのいきつく先は、中進国の罠にどっぷりとはまり抜け出せなくなることです。そうなれば、今後中国の経済が発展することもありません。 
軍事的にも本格的にアメリカと南シナ海で対峙することになれば、数時間で負けます。そもそも、中国の「100年のマラソン」は、中国の中華思想からでてきたものであり、根拠も何もありません。 
もともと、中国は第二次世界大戦後に独立した国であり、大東亜戦争時には日本と戦ったこともありません。直接先進国と本格的な戦争などしたことはありません。だから、戦争の悲惨さなど知りません。さらに、毛沢東施政下においては、大躍進や文革で数千万人にものぼる死者を出した国です。もともと、人命は尊重しない国です。 
このような国が本格的に超大国妄想を抱いて、それに突き進めば、それが成就されることはないにしても、アジアに様々な災いをもたらすのは明らかです。
アメリカは、このような妄想を打ち砕き、中国に対して身の丈を知らしめるべきです。そうすることにより、アジアの平和と安定がより確かなものになります。 
いずれ中国はいくつかの国々に分裂し、ほとんど国が特に珍しくもないありふれた、アジアの独裁国家の一つに成り果てます。ひょっとする、そのうち一国くらいが、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現して、中間層を増やしこれらに活発な経済・社会活動を行わせるようになり、驚異的に発展するかもしれません。 
しかし、そのときは、今の中国のように身の丈知らずの妄想をいだくことなく、まともな国になるかもしれません。 
今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の対応の遅れが、アジアの安定と平和を脅かしたと言えそうです。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
『100年のマラソン』など、もうすでに野望をむき出しにした中国の態度から、もうすでに10年以上前から多くの人が理解していたことです。それに日本「悪魔化計画」は、1980年代から江沢民による組織的、体系的反日教育で、すでに1990年代から始まっています。

「南京虐殺30万人説」など、悪魔化計画が実行されて何十年もたって中国ではもう既成事実になっています。アメリカでも信じる馬鹿が多いです。今更、「悪魔化計画」などというキーワードを持ちださなくても、このようなことは中国が随分時間をかけて、実行してきたことです。

そうして、何のためにやってきたかということも、はっきりしています。それは、日本を悪魔に仕立てなければ、中国共産党政府の正当性を主張できないからです。確かに、日本という悪魔がいなければ、中国共産党は存立の基盤を失ってしまいます。

日本と戦争したこともない中国共産党、建国してから毎年平均2万件もの暴動が発生していたとされる中国、それも2010頃からは毎年10万件もの暴動がある中国、現在の共産幹部の先祖をたどれば、ほんどとどこの誰かもわからない、馬の骨である中国共産党幹部。

それでも、本当に抗日戦争を戦って、人民を開放したという事実でもあれば、自分たちを正当化できますが、そんな事実はありません。そのような事実がないのであれば、中国共産党政府が、中国を統治する正当性を何とか主張しなければなりません。しかし、残念ながら、中国共産党政府には何もそれがありません。だから、日本を悪魔にしたてて、歴史を改ざんして、悪魔の日本から人民を開放したという妄想を人民に信じさせなければならないのです。

このような背景を知ってか、知らずか、日本の尖閣問題や南シナ海の問題に関して、アメリカの世論はあまりに幼稚で無邪気ですらありました。

そもそも、アメリカは戦後体制の最大の戦勝国であるはずです。大東亜戦争中は、日本は米国の最大の敵です。日本の戦略のまずさから、多大な被害を被りながらも米国はからくも大東亜戦争に勝利することができました(日本が最初から無謀な戦争をしたというのは、戦後のアメリカの刷り込みに過ぎません)。

そうして、アメリカを頂点とした、戦後体制を築きました。日本もその枠組みの中にとりこまれ、その枠内での活動をしてきしまた。他のアジアの国々も同じことです。戦後体制の盟主として、それなりの利益を得るというのなら、この体制を守るという義務がアメリカにはあるはずです。

権利があれば、同時に義務があるのも当然のことで、義務を果たさなければ、戦後体制の盟主であるという統治の正当性に疑義が生じるのも当然のことです。

しかし、中国が最初に海洋進出をはじめてから、ごく最近まで、アメリカは言葉で抗議はしたものの、その他はほとんど何もしませんでした。

今から、37年前の1978年10月23日、日中平和友好条約の批准書交換のため訪日していた中国の鄧小平国務院常務副総理は、日本記者クラブで行われた会見の席上で、

尖閣諸島を中国では釣魚島と呼ぶ。名前からして違う。確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国はこれに触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉でも同じように触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない、というのは、この問題に触れるとはっきり言えなくなる。こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう。
と述べています。当時、この問題を軽く考えて、日本政府が放置したことが後々の尖閣問題につながっています。このときに、日中関係が冷え込んでも「日中双方に領土問題は存在しない」とはっきりさせるべきでした。

今から21年前の、1994年にフィリピンが実効支配していたミスチーフ礁(中国名: 美済礁)を中国が占拠して建造物を構築したことを、1995年2月フィリピン政府が公表しました。

当初は、建造物を構築するとはいっても、中国は今日のような埋め立ての技術を持っていなかったので、上記のようなものでした。

この両方の出来事に関して、当時のアメリカははっきりした態度を示しませんでした。本来であれば、サンフランシスコ講和条約にもとづき、日本と中国の間には領土問題は存在しないと、アメリカの意図をはっきりと中国に伝えるべきだったでしょう。

フィリピンの中国の建造物に関しても、戦後体制の秩序を乱すものとして、徹底的に糾弾すべきだったでしょう。

その後、尖閣での中国の領空・領海侵犯をしたときにも結局米国も煮え切らない態度で、特に中国を強く非難もせず、軍事的行動もとりませんでした。

フィリピンも同じことです。結局すこしずつ埋め立てて、拡張していたのを放置しておき、最近になって大掛かりにやり初めてから、はじめて強く非難し、軍事的行動に出ました。

米国は、以上のようなことは、日本やフイリピンのことであることから、独立国である日本や、フィリピンの主権を重んじたつもりなのでしょうが、ひとつ忘れていたことがあります。それは、米国は戦後体制の立役者として、戦後体制を脅かすものがあれば、それに徹底的に対峙して、守りぬく責務があります。

そのことをすっかり忘れていて、中国のやりたい放題を許容してしまいました。これでは、米国は戦後体制を守りぬく決意がないと中国側にみなされても仕方ないところがあります。

そうして、いまさらながら「100年のマラソン」に脅威を感じるような、感受性の鈍さは、何も今に始まったことではありません。第二次世界大戦直後には、当時のソ連が、米国とともにドイツと戦ったということで、当時のトルーマン大統領はソ連やスターリンを友人と思っていました。本当の世界の敵は、ヒトラーであり、スターリンであるということをすっかり忘れていました。

しかし、そうではなかったことが、その後の東西冷戦が示しています。

米国が、これからも戦後体制を守ることに消極的だというなら、日本も安全保証を根本から見直す必要があります。

それこそ、核武装なども自前でし、中国の言う悪魔にならなければならないです。とはいつつ、中国の論理は完全に破綻しています。

そもそも、中国は核保有国ではありませんか。自分で核を保有することは、普通で、日本が核武装すると「悪魔」になるというのでは、完全に論理が破綻した、ダブルスタンダードです。しかし、日本の核保有は中国にとっては、かなりの脅威なのでしょう。もし日本が核武装した場合、中国の想定は根本から覆され、「100年のマラソン」も見直しを迫られることになります。

「100年のマラソン」ではなく、「1000年のマラソン」になります。というより、事実上不可能になります。アメリカが戦後体制を守りぬくという確かな決意があり、中国がアジアで核を用いれば、アメリカも必ず報復するというのなら、中国は最初から「1000年のマラソン」に挑むということになり、そもそも最初から「100年のマラソン」などに挑戦しなかったことでしょう。

それに、中国では未だ民主化、政治と経済の分離、法治国家化が十分になされていません。そうして、このような近代化の遅れから、国内では、臓器売買や、ありとあらゆる弾圧行為やら、それこそ、悪魔的なことが今でも手広く行われています。これでは、共産党政府の正当性の根拠が疑われても仕方ありません。

そうして、人民の多くも、中国共産党の統治の正当性など本当は心の底では信じていません。

このような悪魔のような国中国の本質に気づき、アメリカは戦後体制を本気で守る気があるのでしょうか。今回の南シナ海では、武力対立も辞さないとい態度で臨むなら、その気があると見て良いでしょう。

しかし、あいかわらず、感受性が鈍く、危機感がないというのなら、日本は日本で、安全保障の問題を根本から見直すべきと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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