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2019年6月29日土曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 参院選の自民議席、数量分析から予測すると...―【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!


解散恐怖症で党首討論を無為に費やした野党

    2019年6月26日、国会が会期末を迎えた。これで、7月4日公示、21日投開票が確定した。

    今国会での法案提出は新規57本、そのうち54本が成立した。与野党の対決法案は少なく、今国会はいつでも「解散可能」な状態だった。このため、野党はかなりビビった。19日の党首討論でも、解散せよと迫る野党はほぼなく、党首討論で安倍首相が解散しないと確信すると、形式的に内閣不信任決議案を後出しで出す始末だった。

    はっきりいって、党内事情から解散を迫れない野党は、自民党にとってはこわくない。それは、党首討論において安倍首相が余裕綽々だったことからもわかる。

マスコミが年金問題を「煽る」理由

自民党にとって恐ろしいのは世論である。消費増税を10月と決めたので、選挙では逆風もあるだろう。マスコミは消費増税を賛成し軽減税率をほしいので、年金問題が自民党にとって逆風要因と書くだろう。しかし、年金で老後のすべてを面倒見るとは不可能であることを国民は知っている。「年金」と煽っているのは、消費増税を目立たなくしたいマスコミなのだ。

年金問題を煽るマスコミ

ともあれ、消費増税が決まったので、いくらマスコミが書かなくても、国民には不満がたまってくる。実際、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の少し前から、テレビで軽減税率を見込んだCMが出始めた。これから、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがでてくる。実際、21~23日にNHKが実施した世論調査までは、内閣支持率は前回調査より6ポイント減少し42%、自民党支持率は5.1ポイント低下し31.6%になった。

筆者は、数量分析を専門としているので、経済のみならず、外交軍事から感染症流行まで幅広く分析対象としているが、選挙も例外ではない。いわゆる選挙予測である。この分野は、日本では政治評論家が地道に足で調べた結果ばかりである。足で調べたというものの、ごく少ないサンプル調査でしかない。マスコミはそうした人からの「独特の分析」を掲載している。各政党も独自に調査をしているが、はっきりいってコストパフォーマンスはそれほど良くない。筆者はそうした調査を否定する者ではないが、別のアプローチで選挙予測をする。それは、内閣支持率と自民党支持率から統計的に算出するものだ。

「青木方程式」を活用してみる

政界には、「青木方程式」というものがある。自民党の青木幹雄・元参院議員会長の持論で「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ったら、政権は終わり」というものだ。内閣支持率と政党支持率は、過去の国政選挙の自民党の議席獲得率ともかなり密接な関係があるので、それを活用して、選挙予測に使うのだ。

直近の調査でなく前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない。

今週はG20で安倍首相のテレビ露出はかなり大きくなる。ただし、投開票の7月21日まで、消費増税の露出が大きくなる中で、どこまで持ちこたえられるか。補正予算などの追加措置をいうだろうが、となるとなぜ消費増税なのかという不満がさらに増すかもしれない。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「日本の『老後』の正体」(幻冬舎新書)、「安倍政権『徹底査定』」(悟空出版)など。

【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!

国会は26日に会期末を迎えました。25日に野党側から衆議院に提出された内閣不信任決議案は否決されました。与野党の攻防の舞台は7月の参議院選挙に移りました。

今国会に提出された法案を見ると、5月以降はほとんど法案の審議がない状況でした。そのためいつでも解散できるような状態でしたが、結果的に安倍総理はしませんでした。なぜかということは、安倍総理しかわかりません。

ただし推測すると、これは解散するときに消費増税は延期もしくは凍結という話が出るでことになったでしょうが、麻生財務大臣としては、消費増税を実施したいという強い意向があり、これ優先したのだと思います。

結局、安倍総理は、財務省の文書変更、書き換えがあっても、普通ならば大臣の首は飛ぶところですが、それでも安倍総理は麻生財務大臣を守りました。次官のセクハラがあったときも守りました。

昨年の財務省の不祥事と人事をめぐる動き

徹底的に安倍総理は麻生大臣守ったのです。政権運営のためには、麻生大臣は切れなかったのでしょう。財務省もそれをよく熟知し、そこにつけ込みし消費増税の話を仕込んだのではないでしょうか。そう考えないと筋が通りません。

国会開催中でないと衆議院解散はできませんから。国会が終わったら衆議院は開かれないので、解散ができませんから、衆院解散、衆参同時選挙の芽は完全になくなったとみるべきでしょう。

消費増税の内容は、骨太の方針に先週21日に掲載されました。行政手続き論的には、骨太の方針の6月21日に閣議決定して、消費税増税もう決まりです。

その前にそういう動きになっていて、あとは手順だけでした。今回のこの動きは、財務省の影響力がかなり大きいです。

財政審議会の建議というものがあります。昔は財政審の建議が出て、それが経済運営の基本だったのですが、2001年から「骨太の方針」が出て、建議の意味があまりなくなりました。

「骨太の方針」のだいたい3週間くらい前に建議出すことになっていたのです。前に出さないと意味がないですから。いままで最短でも2週間、多くは1ヵ月というときもありましたが、3週間が普通でした。でも今年(2019年)は何と、建議が6月19日でした。そうして、骨太の方針が閣議決定されたのが、21日でした。

21日、19日、これはほとんど同時です。ということは、完全に財務省の官僚が予算のコントロールできて、それを実行したということです。

従来予算編成は財務官僚が完全握っていた時期がありましたが、それを大枠だけでも政治主導でやって行こうというのが「骨太の方針」の趣旨でした。

財務省の財政審の建議が3週間前に行われていたということが、財務省があまりパワーを持っていなかったことの証左でした。ところが、今回は21日と19日、ほぼ同時です。もう完全に財務官僚が予算編成のパワーを持ったということです。

メディアの報道を見ていると、安倍政権は長期政権となり、官邸主導だから行政が歪められているようなことを報道してますが、むしろ逆行してしまいました。2000年からの財政審の建議の日と骨太を見れば、3週間前という綺麗な関係があるのに、今年に限って2日です。こうなってしまうと、消費増税増税も確実に実施されることになります。

麻生氏は、安倍政権のなかの政権運営のための重要人物ですからから、財務大臣である麻生氏を経由して様々なことを財務省ができたのではないでしょうか。

安倍総理と麻生財務大臣

消費増税をして、経済は当然冷え込むだろうと多く人が指摘しています。少しでも冷え込みを回避するために補正予算を組もうと思っても、それすら財務省が緊縮路線ということになるととんでもないことになる可能性もあります。

補正予算でいちばん簡単なのは、国債費を積み増しして、だいたい2兆円くらい余計に積んでいます。それをそのまま使うことです。国債費をたくさん積んでも金利は低いですから、実は不要だと使わなくなるのが普通です。そうなると後で減額修正しなければならなくなります。

減額修正するのだったら、それを補正で使うのが普通のパターンです。これがいちばん簡単なやり方です。ただし、そもそも2兆円では焼け石水ですし、さらに財務省がそうするかどうかはなはだ疑問ですし、もし財務省がそうしなければ、とんでもないことになります。無論経済は悪化し、デフレに舞い戻るのは必至です。

いずれにしても、現在内閣支持率が落ちているところにきて、与党は増税を前提として、参院選を戦わなければならなくなります。そうなると、冒頭の記事にあるとおり、「前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない」ということになりかねないです。

さらに、今後自民党総裁の任期が満了する21年9月末までの間で「解散カード」を切る時期は限られてきます。しかも、これが増税の後に行われることになれば、やはり政権の支持率が落ちかなり不利な情勢になります。

参院選後の10月には消費税率が10%に引き上げられます。党内には「増税前にやらないと難しくなる」(中堅議員)との見方があります。しかし、7月21日投開票の見込みの参院選後には議長をはじめとする参院人事や内閣改造が行われます。

このようなことが予め予想されているのですが、政権運営のためには麻生氏切りで財務省の力を鈍化させることはできないという、ジレンマに安倍総理はさらされているのです。

こうなると、参院選挙後の内閣人事が注目されます。このときに麻生氏が財務大臣にならなければ、安倍政権は何らかの活路を見出して財務省に対して戦いを挑み始めたということです。

何らかのウルトラCで、10月増税を阻止するか、それができなくても、ひよっとして短期間のうちに、10%増税から減税するかもしれません。

仮に、今回の参院選挙後の内閣改造でなくても、その後の内閣改造で、麻生氏が財務大臣にならなければ、その芽はでてきます。そうでないと、経済は悪化の一途をたどり、憲法改正もできず、おそらく安倍内閣はレイムダックになることでしょう。

それと同時に、財務省の実体も最近では一部のメディア様々に報道されるようになってきたため、財務省に対する国民の不満もつのることになるでしょう。最近は、テレビをワイドショーで以前は財務官僚を「リスペクト」すると言っていた、弁護士のコメンテーターが、財務官僚を批判していて、時代の変化を感じました。そのことは、安倍総理が一番知っていることでしょう。なんとかして、安倍総理に活路を見出していただきたいものです。

それにしても、日本では財務省が政治のネックになっていることは確かです。財務省は、本来会社でいえば、財務部のようなものであり、会社の一部門にすぎません。ところが、これが実質的に金の力で、取締役を支配しているような歪な構造になっています。これはいずれ何とかしなければならない最大の課題です。

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2017年12月13日水曜日

税制改正、「官邸vs自民税調・財務省連合」の政治力学 細かな増税重ね緊縮路線へ―【私の論評】警戒せよ、緊縮で日本経済はまた停滞する(゚д゚)!


内部留保の活用をした企業への減税措置を言い出した麻生太郎財務相
 2018年度の税制改正は、年収850万円超の会社員や高収入の年金受給者の控除見直しなどが柱となっている。今回の税制改正で官邸と自民党、財務省の間でどのような力関係がうかがえるのか。

 今の自民党税調は、その主要メンバーは財務省OBなので、ほぼ財務省の意向と同じ方向で行動しているとみていい。ということは、「官邸」対「自民党税調・財務省連合」の政治力学である。


 今回は予算編成の真っ最中に衆院解散・総選挙があった。最大の争点は、トランプ米大統領の訪日・アジア歴訪を控えて、北朝鮮問題への対応で、安倍晋三政権に日本を託すかどうかであった。

 その際、19年の消費増税は予定通りとした。同時に財政再建は棚上げにした。官邸は財務省と交渉して、消費増税はのむが財政再建はのまなかったのだ。

 「増税するがそれを使う」というのは、経済学の立場から見れば、あまり賢いやり方とはいえない。本来は増税なしで歳入をそのままとし、歳出の中身を入れ替えるべきだからだ。

 ところが、政治の世界では、歳出の中身の変更は、カットされる個別分野の利益代表が反対するので難しい。それよりも、増税への反対の方が少ないと判断される場合には、「増税で歳出増」が選択される。今回の場合、経済界が消費増税に賛成なので、「消費増税で財政再建棚上げ」となったのだ。

 財務省は経済界に消費増税を賛成してもらったので、その見返りもあって法人税、租税特別措置には手をつけられない。特に、経団連企業は、租税特別措置で大きな利益を得ているので、この見直しは政治的には不可能に近かった。

 いくら企業の内部留保が大きすぎると指摘されても、それへの課税(実質的には法人税増税)は検討されることはなかった。麻生太郎財務相は、逆に内部留保の活用をした企業への減税措置を言い出す始末だった。

 こうして、消費税も法人税も何も手をつけられないとなれば、消去法として、所得税しか残らない。その結果として、今回の税制改正で所得税に手が付けられたのだ。

 といっても、本格的な所得税改正ではない。税率変更の場合、所得再分配をどうするかという大きな政治問題にもなるが、控除額の増減という「技術論」にとどまっているという印象だ。この段階で、官邸としては自民党税調と財務省におまかせとなる。

 税制中立であればまだ理解できる。だが、最終的な税制改正案が明らかにならないと分からないものの、現段階での筆者の直感では、ネットで結局増税になるのではないかとみている。

 税率変更がないので大改正でないといい、控除額の変更で所得再分配をしたといって、細かな増税の積み重ねで、税収の確保はちゃっかり実行するというのは、いかにも財務省のやりそうな税制改正だ。

 実際、細かな増税策が積み重なると、結局は、財政再建という名の緊縮路線となる恐れもある。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】警戒せよ、緊縮で日本経済はまた停滞する(゚д゚)!
国の借金は1000兆円超え、国民一人当たりに換算すると830万円もの借金を持っている計算になる。子や孫につけ回してはいけない。このままでは財政破綻するので、消費増税やむなし。
このような財務省による理論は、大新聞やテレビのニュースなどでさんざん流されたので、それを鵜呑みにして「増税やむなし」と受け入れている人も多いのではないでしょうか。このブログでは、以前からこの理論がデタラメであることを主張してきました。

これは、すべて財務省の大嘘です。デタラメなレトリックに騙されるべきではありません。本日はブログ冒頭の記事のような動きもあることから、再度この理論が全くのデタラメであることを掲載します。

日本は財政破綻などしてないことは、中央銀行(日本銀行)保有の国債について政府が返済や利払いをする必要がないことを理解すれば、誰にも理解できるはずです。

国の借金を煽る愚かなグラフ
日銀は政府が55%の株式を握る子会社だからです。現在、日本政府のバランスシートを見てみると、確かに負債の部には1100兆円を超える負債はあります。ところが資産の部には672兆円もあります。しかし、そのことを絶対に財務省は公表しようとはしません。負債の部にある「公債」「政府短期証券」のうち、500兆円は日銀保有です。これは、政府と日銀を連結決算すれば、相殺されてしまうのです。

それでも、政府の負債残高が気になるならば、償還期限が来た日銀保有国債について、新たに発行する「無期限無利子国債」と交換してしまえば良いのです。無期限・無利子国債は、事実上の貨幣です。

政府は日銀が保有する国債と貨幣を交換したことになり、返済負債が名目的にも消えてしまいます。ギリシャの場合はEUに加盟し、ユーロを自国で発行する権限を持っていません。だから破綻しました。

しかし、日本の場合はまったく違います。日本政府の自国通貨建て国債など、その程度の話です。おかしいのは現在、日銀の黒田東彦総裁が財務省の財務官時代に日本の格付けを途上国以下にした外国の格付け会社に対し、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と抗議している、その一方で、日本国民にたいしては財政破綻をの可能性を匂わすのですから、全く矛盾しているのです。

日銀黒田総裁
それに、政府が「プライマリーバランス(以下PB)黒字化目標」という無意味な目標を掲げていることも大問題です。

とにかく、PB黒字化目標が『骨太の方針』において閣議決定されている以上、すべての政策がPB黒字化前提になってしまいます。すなわち、「支出は前年比で削減する。増える場合は他の支出を削るか、若しくは増税する」という前提で予算が組まざるを得ない状況になっているのです。

しかし、デフレから完璧に脱却できていない現状で、増税やら緊縮財政をすることは常識的に考えて全く以上です。本来ならば、減税、積極財政を実施すべきです。

一番良いのは、金融緩和を続けながら政府が財政支出、あるいは減税をすることです。そうすれば、需要が増えて金利が上がります。通常は、公共投資増による公債発行増大に伴う利子率上昇が民間投資を阻害する「クラウディング・アウト」効果が出てしまうのですが、同時に金融緩和も継続すれば、金利上昇を抑えられます。金融緩和で財政政策の効果を強化できるのです。

現在のようにデフレから完璧に脱却していない時期には、本来は日銀が金融緩和を実施し、政府は、「政府最終消費支出(医療費、介護費、教育費、防衛費など)、及び「公的固定資本形」(公共投資から用地費等を除いたもの)を拡大し、デフレキャップを埋める積極財政を実施すべきなのです。

これが過去に効果が確認された唯一の政府のデフレ対策です。ところが、2014年4月に5%から8%に消費増税してしまったばかりに、民間最終消費支出は2013年度から2014年度にかけて、8兆円も減りました。

物価上昇に給料の伸びが追いつかず、実質賃金も下落し、結果的にデフレへと逆戻りしてしまいました。それどころか2015年には介護報酬を2.27%、診療報酬を1.03%カットしてしまいました。現状では、衆院選挙が終わったと共にさらなるカットをほのめかしている状況です。

財務省は、どこまでも緊縮財政路線です。この路線になかなか抗えないのか現在の安倍政権です。かといって、野党もこの路線に抗うことはできないようです。

それどころか、立憲民主党の枝野代表は、財務省を喜ばせるようなことをロイターのインタビューで、語っています。その記事のリンクを以下に掲載します。
インタビュー:政権交代目指す責任、法人増税が必要=枝野・立民代表
立憲民主党代表の枝野氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このンタビューで、枝野代表は立憲民主党には政権交代目指す責任があることと、法人増税が必要であることを述べています。

枝野氏によれば、法人税増税で企業を叩けば再分配で経済が成長するそうです。これでは、これでは、従来も枝野氏が、利上げをすると経済成長すると述べていたのと同じように、経済に関しては完璧に見当外れと言わざるを得ません。

これでは、国民経済のためには全くなりません。上のブログにるように、増税・緊縮路線をめぐる「官邸」対「自民党税調・財務省連合」という争いには、反官邸という立場に立っているのと同じことです。

国民のことを考えるならば、あるいは野党という立場上、労働者のことを考えるならば、本来は「官邸」側に立つか、あるいはそれができないというのならば、独自の減税・積極財政路線、金融緩和路線をとなえ、「自民党税調・財務省連合」と対峙し、さらには経済政策に関しては官邸や政府よりも良いものを打ち出し、政権交代につないでいくべきです。

しかし、枝野氏にはそれはできそうもありません。そうして、これは他の野党もにたりよったりです。目の前に、大きなチャンスが転がっているのに、それを活用したのは、安倍総理だけです。それも、不十分な金融緩和策を実行したに過ぎません。今はまだまだ、日本経済を回復できる政策は十分に実行されていないという状況です。まだまだ金融政策は、出口政策など程遠い状況です。財政政策は出口すら見えない状況です。そのことに野党は気づくべきです。

今の状況では、確かにブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が指摘しているように、「細かな増税策が積み重なると、結局は、財政再建という名の緊縮路線となる恐れ」 が濃厚です。そうして、緊縮財政により日本経済はまた停滞するおそれが濃厚です。

この状況を変えるためには、全国の各地域で、地元選出の議員の先生に、経済を本当に理解してもらうようにすることが必要不可欠だと思います。私はそうするつもりです。皆さんもそのように努力していただきたいです。

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2016年11月8日火曜日

【電通に強制捜査】「この件はわれわれに判断できるレベルでなくなった」と厚労省幹部 安倍政権、高橋まつりさん過労自殺に重大関心―【私の論評】今回の強制捜査は、公取委の出番の前哨戦かもしれない?

【電通に強制捜査】「この件はわれわれに判断できるレベルでなくなった」と厚労省幹部 安倍政権、高橋まつりさん過労自殺に重大関心

電通の東京本社に家宅捜索に入る東京労働局の
労働基準監督官ら=7日午前9時27分、東京都港区
7日の朝。東京・汐留の電通本社ビルに東京労働局の担当者約30人が家宅捜索に踏み込んだ。高橋まつりさん=当時(24)=の遺族が過労自殺を公表して1カ月。支社、子会社も含めた立ち入り調査から強制捜査へと畳みかける厚労省の姿勢は強硬そのものだ。

 「この件はもうわれわれのところで判断できるレベルのものではなくなった」。ある厚労省幹部は立件を急ぐ政権の意向をにおわせる。

 国の基準を超える残業時間の上限を労使で合意していた電通。高橋さんのケースでは残業が月約105時間に及んだことも。自己申告に基づく会社の記録では労使協定の上限をぎりぎり下回っており、遺族は「過少申告の指示があった」と主張。違法な残業隠しの有無は捜査の焦点になる。

 安倍晋三首相の周辺は「首相は高橋さんのツイッターに目を通している」と首相の関心の高さを強調。今後働き方改革の議論で過労死防止がさらにクローズアップされそうだ。

【私の論評】今回の強制捜査は、公取委の出番の前哨戦かもしれない?

今回の強制調査は、厚生労働書の範疇など超え、政府、官邸の意向が働いているのは間違いありません。

安倍晋三首相は「働き方改革」を政権の「最大のチャレンジ」と位置付け、9月末に会議の初会合を開いて議論が本格化しています。長時間労働の是正は、「同一労働同一賃金」と並ぶ改革の柱です。

「過労死ライン」とされる労災認定基準(月80時間)を大幅に超える残業は蔓延(まんえん)しています。総務省によると、昨年の基準超え残業は、労働者全体の8%強。特に30代の男性に限ると15%を超えています。

厚労省が今年10月に初めてまとめた「過労死等防止対策白書」によると、昨年度に過労自殺(未遂も含む)で労災認定されたのは93件。勤務問題を原因の一つとする自殺は2159件にも上ります。

問題は、残業時間の上限に法的な“抜け道”があることです。政府内では、残業時間の上限を労働基準法に明記し、それを超過した場合の罰則強化を検討。政府は年度内にも「働き方改革実行計画」に具体案を盛り込み、労基法改正など関連法案を来年の通常国会に提出する方針です。

このような状況での、高橋まつりさん=当時(24)=の遺族が過労自殺を公表わけですから、安倍総理としてもこれは捨て置けません。捨て置けば、「働き方改革」を本気で実行する気があるのかどうかを疑われてしまいます。

高橋まつりさんの遺影と母親の幸美さん=10月7日、東京・霞が関
私には、母親の幸美さんの悔しさがにじみ出た写真のように見えます。
今回は、電通本社だけではなく、各地の支社でも、同様の強制捜査が行われたということからも安倍総理の本気度が感じられます。

労働基準法という法律には、使用者と労働者の間の労働契約の最低限を画する機能(専門用語で「直律的効力」などといいます)があり、たとえば、一日8時間・週40時間を超える労働時間について、残業代を支払わない、という契約をしても、無効となり、労基法通りの残業代を支払わなければなりません。

ただ、労働基準法には、この民事的な効力のみならず、行政取締法規・刑罰法規としての側面があり、いわば、三つの顔を持っているのです。

従前、東京労働局や配下の労基署等が電通に対して「立ち入り調査」を行っていましたが、これは「行政取締法規」としての側面からのものです。金融庁が銀行や証券会社に対してするような意味で、監督官庁として企業に行政指導や調査をしているわけです。
(労働基準監督官の権限) 
第百一条  労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
○2  前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。
昨日の「強制捜査」は、これではなく、さらに踏み込んで、刑事訴訟法に基づいて裁判所に「捜索差押令状」を請求して行った正式の捜査と思われます。いわゆる「ガサ入れ」です。根拠条文は労基法102条です。
第百二条  労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法 に規定する司法警察官の職務を行う。
この条文を読んで頂ければ分かるように、労働者を使用する企業から見た場合、労働基準監督官は、単なる監督官庁ではなく、場合によっては労基法違反を犯罪として捜査をされる警察官でもあるのです。昨日のニュースは、法人としての電通や、場合によっては、使用者個人が、犯罪を犯した(可能性のある)者として、捜査の対象となっている、ということを意味するのです。

労働基準監督官というと、最寄りの労働基準監督署(労基署)にいるイメージが強いですが、各都道府県に、その上級機関である「労働局」があり、ここにも監督官はいます。さらに各都道府県の労働局は厚生労働省の労働基準局の指揮命令を受けています。ここにも、当然、監督官はいます。本省-局-労基署という三層構造になっています。

今回の捜査ですが、東京労働局ばかりが目立ちますが、大阪、京都、名古屋の支社にも強制捜査がはいりました。当然、大阪・京都・名古屋の労働局も動いています。そうすると、厚生労働省の本省が指揮して、各地で一斉捜査をしたことになります。

ここから先は、私の推測ですが、これまでの立ち入り調査の結果、かなり悪質な労基法違反の証拠が見つかった可能性があります。電通は、残業時間は申告制になっているところ、1991年の過労自死事件の後、少なくとも本社については、別途、労働者の在社時間を自動的に測定するためのシステムを導入しているはずです。残業の申告が適正にされていなければ、在社時間と労働時間に大きな差が生まれる可能性があります。また、この間、実際の残業時間と申告された残業時間の差がかなりある、という報道がされています。

労働時間の資料は証拠隠滅できない(3年の保存義務があり、隠滅すると別途犯罪になります。)ので、今回の強制捜査は、立ち入り調査で判明したそれらの証拠(具体的には「三六協定」の上限を超えた違法残業の証拠)を、正式に差押え(押収)するための措置だと考えられます。

よく「書類送検」という言葉が使われますが、実は、捜査機関(今回の場合、労働局と労基署)は、犯罪として捜査した以上は、原則的に、送検する(全件送致主義)のです。ただ、厚労省の本省が乗り出して、強制捜査に入った以上、犯罪として立件できると考えた可能性が高く、犯罪を証明する証拠とともに各地の検察庁に「送検」される可能性が高いでしょう。

重要なのは、実は、その先です。実際に起訴するか否か、と、正式に起訴するのか、略式起訴で罰金刑で終わらせるのかを決めるのは、各地の検察庁です。現状、労働基準法の運用が消極的な理由はいくつかあるのですが、そのうちの一つは、検察庁が、この種の事件について、やる気を出さないためです。

しかし、ここまで大規模な捜査が行われたのと官邸の意向も働いている以上、潮目は変わった、と見るべきです。東京地検を始め、検察庁が、この件をどこまで本気で取り組むかも、問われます。悪質な実態が証拠で裏付けられた場合には、使用者個人への懲役刑の適用も含め、労基法の積極的な運用が期待されると言えるでしょう。

東京地検 得総本部の査察風景
また、労働基準監督官の活躍の一方で、こういう電通に対して大量に業務を発注していると思われる政府の姿勢も問われてくると思います。違法残業を立件する一方で、違法残業の元となる業務を発注していたのでは、政府がマッチポンプをやっているようなものです。

この政府のマッチポンプですが、現状ではそうせざるを得ない理由もあります。

電通は表面上は一広告代理店にすぎませんが、実は「電通」は単体では世界最大の約1兆4千億円の年間売上高を誇る広告代理店であり、日本では圧倒的な支配力を誇っています。社員約5700人を抱え、メディア・政財界に巨大な影響力をもっています。日本の大企業のほとんどが電通に広告を任せています。

電通1社で4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告市場のシェアは5割に及びます。日本の広告業界は、電通と博報堂を合わせて2社で7割を超えるという異常な状況になっています。

企業団体の宣伝広告費は新聞社やテレビ局にとって貴重な収入の柱となっており、新聞やテレビ等の主要マスコミは広告収入がなければ、成り立ちません。

これは、日本の主要マスコミに対する広告代理店の影響は絶大であるということであり、生殺与奪の権を握っているといっても過言ではありません。


このように電通が独占企業として広告業界に君臨しているため、電通はマスコミを事実上の支配下に置くことが可能となっているのです。現在のマスコミの報道がかなり偏向しているにはこのような背景もあります。

電通は日本のメディアを牛耳り、思いのままに操っているのです。その結果として、日本政治に対しても絶大な影響力を行使しているのです。

電通がこのようなビジネスモデルを築いた背景については、以前このブログでも説明したので、これに関してはその記事に譲るものとして、とにかく現状の電通が巨大な影響力を行使しているのは間違いないです。

以下に当該記事のリンクを掲載します。
電通東大卒女性社員自殺 一般家庭出身社員へのしわ寄せ―【私の論評】日本人を駄目にする悪魔企業電通は使うな、入るな、入れさせるな(゚д゚)!
電通本社ビル
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分を掲載します。 
悪魔企業電通を弱体化するために、私達としては、日本人を駄目にする悪魔企業電通は、広告媒体としてなるべく使うな、雇用先として最悪の電通には入るな、入れさせるなという方針を貫くべきでしょう。 
広告媒体として使わないということは、現在では大企業には無理なのかもしれません。しかし、大企業の日本に占める割合は数%にすぎません。その他多くの星の数ほどある中堅企業や中小企業などは電通など直接にも間接的にもつかわずに、新興インターネット媒体などを使うべきです。 
就職を考える学生やその親たちも、絶対に電通を就職先に選ぶべきでもないし、選ばせるべきではありません。一般家庭出身の人であれば、電通に入ってしまえば、奴隷のように働かされるだけです。
電通に師弟を入れた著名有名人・社会的地位の高い人達は、来高畑淳子のようにの臍を噛むかも
著名・有名人・社会的地位の高い人達の師弟も、電通に入るべきではありません。入って、10年もすれば、他社では使いものにならなくなってしまいます。単なる馬鹿に成り果てて、社会に不適応な人間になるだけです。 
自分たちの子どもや孫を電通に入れるべきではありません。電通に子どもを人質にとられると、自分の仕事や事業に支障がでるかもしれません。何よりも、自分たちのこどもが、いわゆるバカ息子、バカ娘になる可能性が高まり、バカ息子にはバカ嫁が、バカ娘にはバカ婿が来ることになり将来に大きな禍根を残すことになります。 
このようなことを地道に続けていけば、電通はやがて姿を消すか、姿を消さないまでも、悪魔ではなくなり、普通の企業になることでしょう。電通が普通の企業になり、まともにイノベーションできる組織になれば、それはそれで良いことです。しかし、今のままでは日本人にとって良いことは一つもありません。
この結論で、私は日本人を駄目にする悪魔企業電通は広告媒体として使わないこと、また新卒などはこの会社にはいるべきでないこと、親などは自分の子どもをこの会社に入れさせるなと主張しました。

しかし、電通の市場独占状態とそれによる実質上のマスコミ支配をやめさせるには、これだけでは随分長い間時間がかかってしまいます。

しかし、これにはもう一つ非常に短期間で効果的に電通の市場独占状況をやめさせる方法があります。

独占といえば、これは当然のことながら、公正取引委員会のことが頭に浮かぶのが当然のことと思います。

しかし、公取委は過去においては、電通を追求することはありませんでした。

2012年当時でも、テレビのプライムタイム(19~23時)で電通は番組CMの49%(取扱い秒数シェア)を占めていました。CM枠への新規参入が極めて難しいことが、公正取引委員会などの調査で判明していました。

この調査報告書は以下のリンクから入手できます。
広告業界の取引実態に関する調査報告書
ところが公取委は、広告業界の寡占にメスを入れませんでした。背景を探ると、2002年まで公取委員長を務めた根来泰周氏が、電通に恥ずかしげもなく天下っていたのです。就任期間は2003~2010年でした。

根来氏は同時に、大日本印刷や三菱ウェルファーマといった公取委の職務権限が及ぶ巨大企業の役員に渡るなどして荒稼ぎしていました。その他歴代公取委員長も、資生堂や旧新日本石油などに再就職していました。

電通は、人脈重視の経営戦略をとっています。カレル・ヴァン・ウォルフレンは著書『日本・権力構造の謎』の中で、以下のように指摘しています。
電通が、これほど無敵の存在になれたのはその人脈のおかげである。同社の社員採用方針でつねに目指してきたのは、テレビ界や出版界のトップ・クラスの管理者や幹部役員、および特別な広告主、プロの黒幕などの息子たちや近親者からなる人材プールを維持拡充することであった。このような人脈人事がクライアントや政府機関、放送会社や出版社との非公式なつながりを強化するのに、いかに有益だと会社が考えているかが判る。
 電通は、さまざまな団体と「非公式なつながりを強化する」戦略を前提に人員採用の方針が打ち出されているというのです。この本が出版されたのは1989年です。

公職にあったものが、退任後、民間企業の幹部に就任することを「天下り」と言います。天下りの受け入れは、ウォルフレンも指摘するように「非公式なつながりを強化する」ことが目的である場合が多いです。

電通について言えば、同社は公取委委員長を6年にわたって務めた人物を、監査役として在籍させていました。その人物こそ根来泰周氏です。

参考までに、根来氏以外の歴代委員長の天下り先も紹介しておきます。

■小粥正巳(1992年9月24日-1996年8月27日)

 ※日本開発銀行総裁
 ※日本政策投資銀行総裁
 ※日本経済研究所会長
 ※資生堂

■梅澤節男 (1987年9月24日-1992年9月23日)

 ※みずほコーポレート銀行
 ※旧新日本石油(現・JX日鉱日石エネルギー )

小粥氏が再就職した資生堂は、化粧品業界では言わずと知れたトップ企業です。梅澤氏の天下り先である2社も、それぞれの業界のトップ企業です。たとえばJX日鉱日石エネルギーの売り上げは、業界で第1位です。

つまり、元公取委委員長らは、独禁法を常に意識しなければならない企業に受け入れられているのです。その最も典型的な例のひとつが、根来氏が天下った広告業界の巨塔、評論家から政治家までひれ伏す電通なのです。

しかし、公取委員長を務めた根来泰周氏が電通を退任してから、すでに6年もの月日が流れています。

さらに、最近は、公取委も変わってきています。たとえば、新聞発行本社が販売店に余分な新聞を買わせる「押し紙」をめぐり、今年3月末朝日新聞社は、公正取引委員会から「注意」を受けていました。

これについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
発行部数を「水増し」してきた朝日新聞、激震! 業界「最大のタブー」についに公取のメスが入った―【私の論評】朝日はペット便所紙、引っ越し緩衝材、着火剤に最適!他に使い道なし(゚д゚)!
新聞販売店に山積みになった「押し紙」(偽装部数) 写真はブログ管理人挿入
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、押し紙は、独占禁止法の特殊指定で明確に禁止されているにもかかわらず、新聞業界では長年にわたり行われてきました。大手新聞で、押し紙を廃止したのは産経新聞だけです。

新聞業界「最大のタブー」と言われる押し紙問題に公正取引委員会が踏み込むのは異例のことで、朝日新聞社が今後どのような販売政策を実行していくのか、業界の先例として注目に値します。

この新聞業界「最大のタブー」ともいわれた、領域に踏み込んだ公取委です。電通の寡占状態についても、メスをいれる可能性は十分にあると思います。

電通1社で4媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)の広告市場のシェアは5割に及ぶという状況は異常ですし、それに大手企業に限っていえば、ほとんど100%が電通、博報堂が占めています。

平成20年には業界首位の電通がネット広告大手のオプトへの出資比率を引き上げ。さらに平成21年7月、ネット広告大手のサイバー・コミュニケーションズを完全子会社化。平成25年3月には英イージスグループを買収し、海外展開も加速しています。

また、業界2位の博報堂DYホールディングスはアサツーディ・ケイとの合弁で設立したネット広告大手のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムを連結子会社化。さらに同子会社の博報堂は平成21年2月、PRエージェンシーであるケッチャム(米)と業務提携を結びました。

業界首位の電通と2位の博報堂による再編は活発化しており、このままでは、業界における2社の寡占化は今後も進むものとみられます。

本来の公取委の機能からすれば、これを放置しておくわけにはいかないはずです。政府・官邸もこれには危機感を抱いてると思います。

私自身は、今回の厚労省による電通本社・支社に対する強制捜査は、実は公取委による審査の前哨戦ではないかと思っています。

そもそも、電通が市場を寡占して、さらには寡占を強化するためのさまざまな団体と「非公式なつながりを強化する」戦略を前提に人員採用の方針が採用されていなければ、過労死などの問題など起こらなかったはずです。

寡占により、仕事は無尽蔵といつても良いほどあり、同じ社員でも「非公式なつながりを強化する」ための人材はあまり仕事をせず、そうではない人材にしわ寄せが行くことが過労死の原因だからです。

この構造を壊さなければ、問題は根本的に解決されません。私は、電通をいくつかに分割するのが一番良い方策だと思います。それによって、電通の寡占状況がなくなり、それによって労務環境が改善されるとともに、マスコミの偏向も是正されると思います。

どう考えても、電通の寡占状態は良いことではありません。やはり、早急に公取委が審査すべきものと思います。

そうして、官邸、安倍総理は当然のことながら、このようなことを視野に入れていると思います。

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2015年12月27日日曜日

【国内】爆買いやインフラ特需のはずが…東京のGDPなぜマイナス?―【私の論評】官邸は徹底的に財務省を追撃し、殲滅し、財務省を他省庁なみの官庁に叩き落とすべき(゚д゚)!


中国人の爆買いが目立つようになった銀座

 クビをかしげた人も多かったんじゃないのか。東京都が公表した2015年度の都内の実質経済成長率(見込み)。中国人の「爆買い」や、2020年の東京五輪に向けた施設建設やインフラ整備による“特需”でウハウハと思ったら、ナント! 「マイナス0.6%」だったからだ。

 都がGDP(国内総生産)の都内分を推計したもので、マイナス成長は14年度(2.8%減=速報値)に続いて2年連続。「製造業」(5.6%減)や「卸売・小売業」(1.8%減)、「サービス業」(1.4%減)が主な要因とみられるが、内閣府が7月に公表した全国の経済成長率見通し(1.5%増)よりも大幅に下回っているとは驚きだ。

 都内では今も、あちこちで高層マンション建設が見られるし、銀座や秋葉原には大型スーツケースを持った中国人の団体客がウジャウジャいる。それに何といっても、東京五輪だ。過去に五輪招致委員会と都スポーツ振興局が試算した五輪開催に伴う「需要増加額」は、東京だけで約9600億円。GDPを押し上げるプラス要素ばかりなのに、全国よりも“冷え込んでいる”のは不思議だ。

 都に聞くと、「国の数値の発表は7月であり、都は12月です」(統計部調整課)と説明。とはいえ、数値が違い過ぎるだろう。経済ジャーナリストの小林佳樹氏はこう言う。

「金融機関の動向を見ていると、今や地方はメタメタ。地方銀行は東京への足掛かりを模索する動きばかりです。つまり、東京の一極集中がますます進んでいる。不動産価格やオフィスビルの空室率を見ても都内は堅調で、とても全国より“悪い”とは思えません」

 ということは、中国のGDPじゃないが、国が鉛筆をナメナメした可能性は十分ある。大失敗のアベノミクスをごまかすため、国の数値にゲタを履かせた疑いだ。

「最近はGDPの速報値と確定値が大きく違う、なんてことがザラ。統計モデルに何を含めるかによって数値はガラリと変わるのです。印象では堅い数値は都の方ですね」(小林佳樹氏)

 内閣府が新たに公表する数値が見モノだ。

【私の論評】官邸は徹底的に財務省を追撃し、殲滅し、財務省を他省庁なみの官庁に叩き落とすべき(゚д゚)!

実際の東京都の発表を見てみました。これは、以下のサイトからどなたでもご覧になれます。


以下に、その発表そのものをコピペさせていただきます。
都民経済計算(都内総生産等)平成26年度速報・平成27年度見込
平成27年12月21日
総務局 
 都民経済計算の平成25年度年報を基に計算した平成26年度速報及び平成27年度見込がまとまりましたので、お知らせします。都民経済計算では、国内総生産(GDP)の都内分である都内総生産を推計しており、都内の経済活動の規模や動向などを明らかにしていますが、本資料は、これらの速報・見込です。 
※この速報及び見込は、平成27年12月8日までに公表されたデータを基に計算しており、今後、速報値及び見込値は改定されます。 
《平成27年度見込》
都内総生産(名目) 92兆9千億円 
実質経済成長率 0.6%減 
1 都内総生産(名目) 
 平成25年度に93兆1千億円であった都内総生産(名目)は、平成26年度は93兆円、平成27年度は92兆9千億円とほぼ横ばいで推移すると見込まれる。(図1)

2 実質経済成長率 
 (都内総生産(実質)の対前年度増加率)
 平成25年度に1.6%増であった実質経済成長率は、平成26年度は2.8%減、平成27年度は0.6%減となると見込まれる。(図2)
※「実質」…名目値から、価格変動の影響を除去して評価したもの
(注)「全国」の平成27年度は「平成27年度の経済動向について(内閣府年央試算)」(平成27年7月22日)によります。
統計表、解説などの詳しい内容は、「都民経済計算 速報・見込」ホームページに掲載しています。
問い合わせ先 
総務局統計部調整課
 電話 03-5388-2522
都の統計では、マイナスということで、やはり東京都でも、8%増税の悪影響は酷かったのだと納得がいく結果です。ただし、これは速報値なので、 まだなんとも言えませんが、やはり厳しいと言わざるを得ません。

いくら中国人が爆買いをしたからといって、1000万人以上もいる都民が、増税などによって、消費を手控えたら、このような結果になってしまうのも当然かもしれません。何しろ、日本のGDPの60%以上が個人消費によるものです。

一方中国人の爆買いといっても、それを目の前で見ていれば凄いとも思えますが、全体からみれば微々たるものです。そもそも、たとえば中国への輸出が日本のGDPに占める割合は、2%程度に過ぎませんでした。それも、どうしても中国でないと駄目ということもなく、他国への輸出を増やせばすむことです。

観光で一時的に訪れる、少数の中国人と、東京に日々住んで、毎日のように消費をする東京都民と比較して、どちらのほうが影響力が大きいかとといば、それは圧倒的に都民のほうが大きいです。

いくら中国人観光客が爆買いをしたとしても、それは、東京都内の全体の経済からすれば、微々たるものに過ぎません。

とろで、内閣府による、国の2015年の経済成長の予測は、7月時点で、1.5%増ではありましたが、これはあくまで予測ですから、確報ではどうなるかは、まだまだわかりません。

実際、日本の7-9月期の経済成長率は、速報値では、-0.8%と発表され、4-6月期の経済成長率もマイナスであったため、二期連続マイナスで、景気後退局面になったともいわれましたが、実測値では、かろうじてプラスになったという状況でした。

ただし、非常に気になる報道もあります。それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
まるで中国共産党! 財務省の「マイナス成長隠し」が、シャレにならない 日本の「GDP統計」がピンチ―【私の論評】日本の「政治主導の夜明け」は、まるで中国のように政治活動する財務省が壊滅した後に始まる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の元記事の部分のみ以下に引用させていただきます。
「現在の統計では消費の実態を示せていない」 
財務省が突如、GDP統計を算出する際に用いる各種統計を「見直せ」と各省庁に求め、霞が関で波紋を呼んでいる。 
これまで誰も問題視していなかったGDP統計を唐突に見直せとは、あまりにも不自然。財務省は「経済の実態より統計が弱含んでいる」というが、はたして、要求の裏にはどんな思惑が隠されているのか。 
10月16日の経済財政諮問会議で、麻生太郎財務相が見直しを指示した統計は次のとおりだ。 
家計調査(総務省)、毎月勤労統計(厚労省)、消費者物価指数(総務省)、建築着工統計調査(国交省)。 
家計調査は高齢者の消費動向が色濃く反映されているため、消費の数字が低めに出ている。毎月勤労統計は調査対象の入れ替えが頻繁なため、賃金の数字が正しく表せていない。消費者物価指数はインターネットを通じた取引の販売価格が加味されていない。建築着工統計調査はリフォーム・リノベーションがカバーされていない・・・。 
というのが、財務省の主張。要するに、「現在の統計では消費の実態を示せていない。実際はこれほど落ち込んでいない」と、言いたいのだ。 
なぜ、財務省はこれほど強引に統計の見直しを求めているのか。

財務省の「人事パワー」は侮れない 
あれこれ理由をつけているが、「マイナスになりそうな2015年7-9月期のGDPをどうにかしたい」というのが本音だろう。'17年4月に予定される、消費再増税ができなくなることを恐れているのだ。 
'14年4月の消費増税の際、財務省は増税の景気への影響は軽微としていたが、大外れだった。増税後のGDPは2四半期連続のマイナス成長。さらに今年7-9月期もマイナス成長ということになれば、その「負の影響」が現在まで続いていることが、誰の目にも明らかになる。 
それを避けるために、財務省は「そもそもGDPを推計する各種統計が信用できない」と言い出したわけだ。 
この動きは実に滑稽である。だが、恐ろしいのは、財務省の霞が関における「人事パワー」を侮れない、ということだ。 
GDP統計を発表する内閣府の幹部名簿を見ると、事務次官は内閣府プロパーであるが、ナンバー2の内閣府審議官は財務省出身者。局長級の政策統括官にも財務省出身者がいる。 
前述した各種統計を作成する各省庁も同様の有り様。財務省出身者が霞が関を支配している、と言っても過言ではない。 
幸いなことに、「GDP統計の作成部署」は、内閣府プロパーで固められている。経済財政担当相にも、作成に関する事前の説明はほとんど行わないなど、情報管理はしっかりしているという。 
だが各種統計の見直しを指示したということは、作成部署にまで財務省が手を突っ込んでいるとみて間違いないだろう。財務省の焦りは相当なもののようだ。 
お隣中国のGDP統計がかなり怪しく、政府の意向で数字がいくらでも変わると、11月7日号の本誌で書いた。 
だがどうやら、日本の財務省も同じ考え方をもっているようだ。中国共産党と日本財務省の共通点が、人事パワーが強烈で独裁的に政権運営することであるとは、本当に洒落にならない。

『週刊現代』2015年11月21日号より
さて、この記事によると、財務省がGDPの計算方法を見なおせと言い出したようですが、計算方法を見直す事自体は、目的がしっかりしていれば、悪いことではないと思います。

しかし、この記事にあるように、「マイナス成長隠し」にそれを実施するというのなら、非常に問題です。

もし、計算方法を見なおしたとしても、過去の統計も同じ計算方法にして、それで比較して成長率を出すというのなら問題はありません。

もし、過去には、そのような統計を出していないので、過去の分に関しては、同じ計算ができないというのら、少なくとも5年間くらいは、従来の計算方法での比較と、現在の計算方法での統計値の二種類を出すようにすべきと思います。

とにかく、現在の統計の計算方式と、過去の統計の計算方式が異なるとすれば、これは同じように比較できないというのは当然のことです。特に、対前年比の計算には役立たないということになります。

こんなことは統計学の常識というより、統計学など学んだことのない人でも、計算方式の違う統計数値を比較するのは間違いであることは誰もが理解できることだと思います。

だから、いかに財務省が「マイナス成長隠し」を企んだにしても、このようなバカマネをしてしまえば、すぐに露見すると思います。露見してしまえば、財務省の幹部の責任は免れません。だから、財務省もそんな危険なことはしないで、他の方法で、「マイナス成長隠し」をすると思います。

GDPの計算方法の見直しについては、実際に検討されているようです。それについては、以下のリンクをご覧になってください。
来年のGDP、15兆円アップ?…計算方法見直しにつき
朝日新聞デジタル 


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみコピペします。
 国の経済規模を示す国内総生産(GDP)の計算方法が来年、日本で変わる。日本のGDPに算入されていない企業の研究開発費などが、2016年7~9月期の2次速報から新たに算入される見通し。名目GDPは現在の約500兆円から3%以上、金額にして15兆円以上増える見込みだ。
 目的としては、「国際比較」をしやすくするためのようですが、この目的が本当にそうであれば、大歓迎です。

しかし、国際比較をするというならば、国(この国とは政府のことです)の借金「1000兆円」というのも国際比較をしてわかりやすくしてもらいたいものです。

そもそも、これは、政府の負債です。ところが、日本国政府は世界で一番多く金融資産を有しており、特別会計に積み上げたり、政府の外郭団体に大量に貸し付けたりしています。

このようなことから、借金が1000兆円というのは、そのままでは諸外国とは比較できません。日本政府の金融資産を負債から差し引いた数値で比較すべきです。

しかし、そんなことをすると、そもそも増税の根拠が薄弱になってしまうため、財務省は絶対にそんなことはしないでしょう。

ところが一方「8%増税によるマイナス隠し」をしたいということになれば、話が矛盾します。マイナス隠しということは、プラスであるかのように演出することです。

しかし、プラスにしすぎれば、今度は増税の必要性なしということになります。この匙かげん、財務省はどうするつもなのでしょうか。

今までのところ、財務省は、さすがに統計数値を改ざんするようなことはしてきませんでした。しかし、統計数値を財務省の都合の良いように解釈したものを流布することによって、省益を維持しようと努力してきました。

一方では、「マイナス成長隠し」による経済成長プラス演出によって、8%増税、ひいては10%増税の正当性を主張し、一方では国の借金1000兆円説により、増税の正当性を主張してきました。

しかし、通常のマクロ経済的見方からすれば、大幅なプラス成長ともなれば、そもそも増税は必要ないということになります。大幅なマイナス成長であれば、本当は増税できないということになります。そんなことよりも、本当は経済成長が必要であり、そのためには減税などの積極財政が必要なはずです。

マクロ経済の原則を無視した、財務省は、このような詭弁をいつまで継続するつもりなのでしょうか。

大蔵省時代の官僚は解体される少し前までは、それなり頭も良かったし、天下国家のことを考えて行動していましたが、ここ20年の財務省は全くそうではなくなりました。天下国家は脇においておいて、省益だけを最優先するようになり、省益を追求するために、マクロ経済の原則などを曲げて様々な奇妙奇天烈、摩訶不思議な論理に創作し、増税の正当性を主張してきました。

あまりに長い間、そんなことを続けてきたせいでしょうか、最近の財務省の官僚も他省庁なみに頭の悪い、融通の効かないバカ頭に成り果てたようです。

衆院解散増税見送り選挙になったときの財務省幹部の発言
もうそろそろ、綻びがでてきました。そうです、軽減税率を巡る、官邸サイドと財務省サイドのバトルです。このバトルで財務省は、大敗北を喫しました。

そろそろ、財務省も詭弁を繰り返すことはできなくなることでしょう。来年の選挙が、衆参同時選挙となり、安倍自民党が選挙公約の中に「10%増税の経済が回復するまで、無期限延期」を掲げて、大勝利をしたとしたら、これはまさしく、官邸側の財務省に対する追撃戦であり、追撃戦に負けた後の財務省は、すっかり権力を失うことになります。

そうなると、財務省解体や、日銀法改正も意外と近いかもしれません。

2015年の経済成長の統計値の実測値はでていません、これが出る頃には、財務省が「マイナス成長隠し」のためにどのような行動に出るのか、官邸側は予め作戦を立てています。そうして、その作戦は無論追撃戦になります。なぜなら、すでに財務省は安倍総理に、増税見送りと、軽減税率のバトルで2敗、8%増税で1勝と、完璧に負け越しているので、官邸側としては、追撃戦になります。

戦いで最も楽しいのは心躍り、華々しいのは、追撃戦です。ここで保守の人達は仏心を出しますが阿修羅の心で財務省をやっつけましょう。徹底的に追撃し、徹底的に殲滅し、財務省を他省庁なみの官庁に叩き落とすべきです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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