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2019年10月15日火曜日

消費税12%への増税は数年内に来る! 海外の“反緊縮”の流れ無視して世論誘導を図る「総動員体制」―【私の論評】仰天電撃解散で、菅内閣樹立!安倍総理は財務大臣となり財務省改革を(゚д゚)!

消費税12%への増税は数年内に来る! 海外の“反緊縮”の流れ無視して世論誘導を図る「総動員体制」

悲願の増税を果たした財務省。これで打ち止めではないのか

  10月から消費税率が10%に引き上げられたが、財務省はこれで満足するはずもない。次の引き上げは、どのような形やタイミングを狙ってくるのか。

 これまでの消費税の歴史は、1989年4月に3%で創設され、97年4月に5%に、2014年4月に8%、そして19年10月に10%となった。30年間で3回、計7%の消費増税である。次は12%への増税を数年のうちに狙ってくるだろう。

 安倍晋三首相は消費税率について「今後10年は上げる必要はない」と述べたが、首相退陣後5年もたてば、その発言の効力はなくなるので、財務省は気にしていないだろう。

 10年くらいのスパンで考えると、自公政権は1度や2度は必ず弱くなり、その間に政権交代もあり得るかもしれない。そのときが財務省の狙い目である。政権運営に不慣れなところをつき、民主党時代の与野党合意による消費増税と同じ夢をもう一度と願っているだろう。

 現在のような長期政権も財務省にとっては増税の狙い目だ。政権運営のためには、財務省の予算作成能力は欠くことのできないものだからだ。

 財務省はマスコミや経済界に対してアメとムチを持っており、その能力を侮ることはできない。安倍政権は、経済産業省の官僚をうまく使うことで財務省の官僚に取り込まれないようにしてきたが、財務省は安倍首相の盟友である麻生太郎財務相を取り込んで、1つの政権下で2回という消費増税を成し遂げた。

 短期政権が続くと、財務省もかなり困るだろう。しかし、今回、軽減税率によってマスコミの頂点に立つ新聞を取り込んだので、マスコミをフル稼働し財政再建・財政緊縮(増税)キャンペーンを続けるだろう。

 財政再建・財政緊縮(増税)の思想は、成功した経営者と親和性があるので、一定の社会的な理解を得やすいだろう。

 ただし、海外では、過度な緊縮思想による経済運営は危険だとの意見が多くなっている。財務省お得意の論法は、「海外ではこうなっている」という事例を用いて世論を誘導することだが、おそらく海外での思想の変化には言及せず、欧州では消費税の税率が20%以上と高くなっていることを強調するだろう。

 そこでは、欧州以外では10%程度の国が多いという事実や、欧州の場合、国土が小さく、国を超えた人の移動が比較的自由なために、所得税では十分に対応できないので、結果として消費税に頼らざるを得ないという事実は無視される。

 こうした財務省の論法のおかしな点が報じられることは少ない。一般的なマスコミで重用されている学者、エコノミストや経済評論家は、税に関する知識などで財務省に依存している人も多いので要注意だ。

 筆者は既存のマスコミへの露出度合は大きくないが、ネット社会では引き続き指摘していくつもりだ。

 しかしながら、財務省は今後、軽減税率を新聞から書籍やネットメディアにも拡大してまでも、こうした自由な言論を抑えてくる恐れもゼロでない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】仰天電撃解散で、菅内閣樹立!安倍総理は財務大臣となり財務省改革を(゚д゚)!

ブログ冒頭の、高橋洋一の記事で「欧州以外では10%程度の国が多いという事実や、欧州の場合、国土が小さく、国を超えた人の移動が比較的自由なために、所得税では十分に対応できないので、結果として消費税に頼らざるを得ないという事実」ということが言われています。

これは、事実ですが、さらにEUと日本の違いがあります。それは、EUでは低所得層に対する支援が行き届いているということがあります。

このことを無視して「ヨーロッパの先進国に比べれば日本の消費税はまだ全然安い」消費税推進派の人たちは、よくこう言います。というより、このことを最大の武器にしてきました。

消費税の最大の欠点は、「低所得者ほど負担が大きくなる」ということです。年収200万円の人は、年収のほとんどを消費に使うので、年収に対する消費税の負担割合は、限りなく10%に近くなります。


一方、年収1億円の人はそのすべてを消費に回すことはあまりありません。2割を消費に回すだけで十分に豊かな生活ができます。2000万円の消費に対する消費税は200万円です。

そうすると年収1億円に対する消費税の負担割合は、2%に過ぎません。つまり、年収200万円の人からは年収の10%を徴収し、年収1億円の人からは年収の2%しか徴収しないのが、消費税なのです。このように間接税というのは、低所得者ほど打撃が大きいのです。

EUの先進国は、間接税の税率は高いですが、低所得者に対する配慮が行き届いています。EUでは、低所得者に対して様々な補助制度があります。

英国では生活保護を含めた低所得者の支援額はGDPの4%程度です。フランス、ドイツも2%程度あります。が、日本では0.4%程度なのです。当然、低所得者の生活状況はまったく違ってきます。

日本では、低所得者の所得援助というと「生活保護」くらいしかありません。しかも、その生活保護のハードルが高く、本当に生活に困っている人でもなかなか受けられるものではありません。

日本では、生活保護基準以下で暮らしている人たちのうちで、実際に生活保護を受けている人がどのくらいいるかという「生活保護捕捉率」は、だいたい20~30%程度とされています。

生活保護というと不正受給ばかりが取り沙汰されますが、本当は「生活保護の不受給」の方がはるかに大きな問題なのです。英国、フランス、ドイツなどの先進国では、要保護世帯の70~80%が所得支援を受けているとされています。

EUの先進国では、片親の家庭が、現金給付、食費補助、住宅給付、健康保険給付、給食給付などを受けられる制度が普通にあります。また失業者のいる家庭には、失業扶助制度というものがあり、失業保険が切れた人や、失業保険に加入していなかった人の生活費が補助されるのです。この制度は、英国、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデンなどが採用しています。

たとえばドイツでは、失業手当と生活保護が連動しており、失業手当をもらえる期間は最長18か月だけれど、もしそれでも職が見つからなければ、社会扶助(生活保護のようなもの)が受けられるようになっているのです。

他の先進諸国でも、失業手当の支給が切れてもなお職が得られない者は、失業手当とは切り離した政府からの給付が受けられるような制度を持っています。

また貧困老人に対するケアも充実しています。たとえばドイツでは年金額が低い(もしくはもらえない)老人に対しては、社会扶助という形でケアされることになっています。

フランスでも、年金がもらえないような高齢者には、平均賃金の3割の所得を保障する制度があり、イギリスにも同様の制度があります。

さらに住宅支援も充実しています。フランスでは全世帯の23%が国から住宅の補助を受けています。その額は、1兆8千億円です。またイギリスでも全世帯の18%が住宅補助を受けています。その額、2兆6千億円です。 日本では、住宅支援は公営住宅くらいしかなく、その数も全世帯の4%に過ぎません。支出される国の費用は、わずか2000~3000億円程度です。先進諸国の1~2割に過ぎないのです。

またヨーロッパ諸国では、軽減税率も細やかな配慮があります。日本でも、今回2019年10月の増税からは、軽減税率が適用されることになっています。が、軽減税率と言っても8%に据え置かれるだけですから、たった2%の軽減しかないのです。

一方、イギリス、フランスなどでは、軽減税率が細かく設定され、食料品や生活必需品は極端に税率が低いなどの配慮がされています。イギリス、フランスの付加価値税の軽減税率は次の通りです。
●英国の付加価値税の税率・標準税率20%
・軽減税率5%  家庭用燃料・電力の供給、高齢者・低所得者を対象とした暖房設備防犯用品等、チャイルドシート、避妊用品など
・軽減税率0% 食料品(贅沢品以外)、上下水道、出版物(書籍・新聞・雑誌)、運賃、処方に基づく医薬品、医療用品、 子ども用の衣料・靴、女性用衛生用品など

●フランスの付加価値税の税率
・標準税率20%
・軽減税率10% 惣菜、レストランの食事、宿泊費、旅費、博物館などの入場料
・軽減税率5.5% 水、非アルコール飲料、食品(菓子、チョコレート、マーガリン、キャビアを除く)、書籍、演劇やコンサート料金、映画館入場料
・軽減税率2.1% 演劇やコンサートの初演(140回目まで)、処方のある医薬品、雑誌や新聞
・非課税  医療、学校教育、印紙や郵便切手
ただし、私自身は、軽減税率には反対です。このような複雑なことをせず、減税、給付金、補助金などで対応すべきと思います。

とはいいながら、このように、軽減税率も含めてEU諸国は低所得者に手厚い配慮をした上での「高い消費税」なのです。しかし、日本では低所得者の配慮などほとんど行わないまま、名ばかりの軽減税率はあるものの、複雑で混乱を生じさせているだけです。

そうして、消費税をガンガン上げています。 最近、国際機関から「日本の貧困率、貧富の格差は先進国で最悪のレベル」という発表が時々されます。それは、こういう日本のお粗末な政策が数値としてはっきり示されているのです。

「日本の場合は深刻な少子高齢化社会になっているので、イギリス、フランス、ドイツなどとは状況が違う」と思っている人もいるでしょう。ところが、実は少子化という現象は、日本だけのものではありません。むしろ、欧米の方が先に少子化になっていたのです。日本の少子化というのは1970年代後半から始まりました。一方、欧米では1970年代前半から少子化が始まっていました。

そして1975年くらいまでは、欧米の方が日本よりも出生率は低かったのです。つまり、40年以上前から少子高齢化というのは、先進国共通の悩みだったのです。

ところが、この40年の間、欧米諸国は子育て環境を整えることなどで、少子化の進行を食い止めてきました。1970年代の出生率のレベルを維持してきたのです。だから、日本ほど深刻な少子高齢化にはなっていません。

一方、日本では、待機児童問題が20年以上も解決されないなど、少子化対策をまったくおざなりにしてきました。そのために、1970年代から出生率はどんどん下がり続け、現在、深刻な少子高齢化社会となっているのです(下グラフ参照)。これを見ても、日本の経済政策がいかに愚かだったかわかるはずです。



そんなところに、安倍政権が出現して、いっときは3本の矢の政策を打ち出し、増税も二度も先送りして、日本経済は随分回復しました。特に、雇用はかなり改善しまた。しかし、14年の8%増税に続き、今年10月には10%増税が実行されてしまいしました。

これでは、また日本はデフレだった頃の昔の日本に戻ることになってしまいます。 こういう愚かな日本の政治状況を、何の改革もせずに、ただただ消費税を上げるだけでは、日本は完全に壊れてしまうはずです。

それを財務省は実行しようとしているのです。そのような財務省の暴走はいずれ誰かが止めなければなりません。

今後、日本がデフレに舞い戻り、経済がかなり悪化した場合には、内閣支持率が下がり、今後の選挙では議席数をかなり減らし、安倍総理の念願である改憲どころではなくなるかもしれません。

このままだと、安倍政権は、民主党よりはましな政権として、そうして安倍総理は消費税を二度増税した総理として歴史に刻まれることになってしまいます。そうして、政権は完璧にレームダックになってしまうでしょう。

では、今後安倍政権はどうすべきなのでしょうか。一つのシナリオを考えてみます。

安倍首相が消費税の5%への減税を宣言します。さらには、 軽減税率の適用をやめ、低所得層への補助金・給付金制度を打ち出します。そうして、総辞職。電撃的に自民党総裁選を行い、一気に菅内閣を樹立。

菅官房長官が総理に?

そうして、その後の組閣で、麻生氏は財務大臣以外の大臣となり、安倍総理は、財務大臣に就任して、本格的な財務省改革を行うことを宣言するのです。

人心一新、過去の増税の単なる延期等ではなく財務省改革、景気回復までの政策を公約に総選挙を断行するのです。そうすれば大勝もありえます。ここまでやるシナリオなら多くの支持を集めることができるでしょう。経済も良くなり、憲法改正もできます。安倍晋三氏は偉大な宰相として、歴史に名を留めることになるでしょう。

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2019年6月29日土曜日

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 参院選の自民議席、数量分析から予測すると...―【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!


解散恐怖症で党首討論を無為に費やした野党

    2019年6月26日、国会が会期末を迎えた。これで、7月4日公示、21日投開票が確定した。

    今国会での法案提出は新規57本、そのうち54本が成立した。与野党の対決法案は少なく、今国会はいつでも「解散可能」な状態だった。このため、野党はかなりビビった。19日の党首討論でも、解散せよと迫る野党はほぼなく、党首討論で安倍首相が解散しないと確信すると、形式的に内閣不信任決議案を後出しで出す始末だった。

    はっきりいって、党内事情から解散を迫れない野党は、自民党にとってはこわくない。それは、党首討論において安倍首相が余裕綽々だったことからもわかる。

マスコミが年金問題を「煽る」理由

自民党にとって恐ろしいのは世論である。消費増税を10月と決めたので、選挙では逆風もあるだろう。マスコミは消費増税を賛成し軽減税率をほしいので、年金問題が自民党にとって逆風要因と書くだろう。しかし、年金で老後のすべてを面倒見るとは不可能であることを国民は知っている。「年金」と煽っているのは、消費増税を目立たなくしたいマスコミなのだ。

年金問題を煽るマスコミ

ともあれ、消費増税が決まったので、いくらマスコミが書かなくても、国民には不満がたまってくる。実際、政府が正式に消費増税を決めた6月21日の閣議の少し前から、テレビで軽減税率を見込んだCMが出始めた。これから、10月から消費増税だからと、その前に買ったほうがいいというCMも出るはずだ。

そうなると、国民の怒りがでてくる。実際、21~23日にNHKが実施した世論調査までは、内閣支持率は前回調査より6ポイント減少し42%、自民党支持率は5.1ポイント低下し31.6%になった。

筆者は、数量分析を専門としているので、経済のみならず、外交軍事から感染症流行まで幅広く分析対象としているが、選挙も例外ではない。いわゆる選挙予測である。この分野は、日本では政治評論家が地道に足で調べた結果ばかりである。足で調べたというものの、ごく少ないサンプル調査でしかない。マスコミはそうした人からの「独特の分析」を掲載している。各政党も独自に調査をしているが、はっきりいってコストパフォーマンスはそれほど良くない。筆者はそうした調査を否定する者ではないが、別のアプローチで選挙予測をする。それは、内閣支持率と自民党支持率から統計的に算出するものだ。

「青木方程式」を活用してみる

政界には、「青木方程式」というものがある。自民党の青木幹雄・元参院議員会長の持論で「内閣支持率と政党支持率の合計が50%を切ったら、政権は終わり」というものだ。内閣支持率と政党支持率は、過去の国政選挙の自民党の議席獲得率ともかなり密接な関係があるので、それを活用して、選挙予測に使うのだ。

直近の調査でなく前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない。

今週はG20で安倍首相のテレビ露出はかなり大きくなる。ただし、投開票の7月21日まで、消費増税の露出が大きくなる中で、どこまで持ちこたえられるか。補正予算などの追加措置をいうだろうが、となるとなぜ消費増税なのかという不満がさらに増すかもしれない。

++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「日本の『老後』の正体」(幻冬舎新書)、「安倍政権『徹底査定』」(悟空出版)など。

【私の論評】次内閣改造で麻生氏が財務大臣にならなければ、官邸は財務省に挑戦し始めたとみなせ(゚д゚)!

国会は26日に会期末を迎えました。25日に野党側から衆議院に提出された内閣不信任決議案は否決されました。与野党の攻防の舞台は7月の参議院選挙に移りました。

今国会に提出された法案を見ると、5月以降はほとんど法案の審議がない状況でした。そのためいつでも解散できるような状態でしたが、結果的に安倍総理はしませんでした。なぜかということは、安倍総理しかわかりません。

ただし推測すると、これは解散するときに消費増税は延期もしくは凍結という話が出るでことになったでしょうが、麻生財務大臣としては、消費増税を実施したいという強い意向があり、これ優先したのだと思います。

結局、安倍総理は、財務省の文書変更、書き換えがあっても、普通ならば大臣の首は飛ぶところですが、それでも安倍総理は麻生財務大臣を守りました。次官のセクハラがあったときも守りました。

昨年の財務省の不祥事と人事をめぐる動き

徹底的に安倍総理は麻生大臣守ったのです。政権運営のためには、麻生大臣は切れなかったのでしょう。財務省もそれをよく熟知し、そこにつけ込みし消費増税の話を仕込んだのではないでしょうか。そう考えないと筋が通りません。

国会開催中でないと衆議院解散はできませんから。国会が終わったら衆議院は開かれないので、解散ができませんから、衆院解散、衆参同時選挙の芽は完全になくなったとみるべきでしょう。

消費増税の内容は、骨太の方針に先週21日に掲載されました。行政手続き論的には、骨太の方針の6月21日に閣議決定して、消費税増税もう決まりです。

その前にそういう動きになっていて、あとは手順だけでした。今回のこの動きは、財務省の影響力がかなり大きいです。

財政審議会の建議というものがあります。昔は財政審の建議が出て、それが経済運営の基本だったのですが、2001年から「骨太の方針」が出て、建議の意味があまりなくなりました。

「骨太の方針」のだいたい3週間くらい前に建議出すことになっていたのです。前に出さないと意味がないですから。いままで最短でも2週間、多くは1ヵ月というときもありましたが、3週間が普通でした。でも今年(2019年)は何と、建議が6月19日でした。そうして、骨太の方針が閣議決定されたのが、21日でした。

21日、19日、これはほとんど同時です。ということは、完全に財務省の官僚が予算のコントロールできて、それを実行したということです。

従来予算編成は財務官僚が完全握っていた時期がありましたが、それを大枠だけでも政治主導でやって行こうというのが「骨太の方針」の趣旨でした。

財務省の財政審の建議が3週間前に行われていたということが、財務省があまりパワーを持っていなかったことの証左でした。ところが、今回は21日と19日、ほぼ同時です。もう完全に財務官僚が予算編成のパワーを持ったということです。

メディアの報道を見ていると、安倍政権は長期政権となり、官邸主導だから行政が歪められているようなことを報道してますが、むしろ逆行してしまいました。2000年からの財政審の建議の日と骨太を見れば、3週間前という綺麗な関係があるのに、今年に限って2日です。こうなってしまうと、消費増税増税も確実に実施されることになります。

麻生氏は、安倍政権のなかの政権運営のための重要人物ですからから、財務大臣である麻生氏を経由して様々なことを財務省ができたのではないでしょうか。

安倍総理と麻生財務大臣

消費増税をして、経済は当然冷え込むだろうと多く人が指摘しています。少しでも冷え込みを回避するために補正予算を組もうと思っても、それすら財務省が緊縮路線ということになるととんでもないことになる可能性もあります。

補正予算でいちばん簡単なのは、国債費を積み増しして、だいたい2兆円くらい余計に積んでいます。それをそのまま使うことです。国債費をたくさん積んでも金利は低いですから、実は不要だと使わなくなるのが普通です。そうなると後で減額修正しなければならなくなります。

減額修正するのだったら、それを補正で使うのが普通のパターンです。これがいちばん簡単なやり方です。ただし、そもそも2兆円では焼け石水ですし、さらに財務省がそうするかどうかはなはだ疑問ですし、もし財務省がそうしなければ、とんでもないことになります。無論経済は悪化し、デフレに舞い戻るのは必至です。

いずれにしても、現在内閣支持率が落ちているところにきて、与党は増税を前提として、参院選を戦わなければならなくなります。そうなると、冒頭の記事にあるとおり、「前月の調査結果から、予測される議席数は50台の半ばだったが、今は40台の後半にまで落ち込んでいる。これから、消費増税がさらに露出すると、さらに獲得議席は落ち込む可能性も否定できない」ということになりかねないです。

さらに、今後自民党総裁の任期が満了する21年9月末までの間で「解散カード」を切る時期は限られてきます。しかも、これが増税の後に行われることになれば、やはり政権の支持率が落ちかなり不利な情勢になります。

参院選後の10月には消費税率が10%に引き上げられます。党内には「増税前にやらないと難しくなる」(中堅議員)との見方があります。しかし、7月21日投開票の見込みの参院選後には議長をはじめとする参院人事や内閣改造が行われます。

このようなことが予め予想されているのですが、政権運営のためには麻生氏切りで財務省の力を鈍化させることはできないという、ジレンマに安倍総理はさらされているのです。

こうなると、参院選挙後の内閣人事が注目されます。このときに麻生氏が財務大臣にならなければ、安倍政権は何らかの活路を見出して財務省に対して戦いを挑み始めたということです。

何らかのウルトラCで、10月増税を阻止するか、それができなくても、ひよっとして短期間のうちに、10%増税から減税するかもしれません。

仮に、今回の参院選挙後の内閣改造でなくても、その後の内閣改造で、麻生氏が財務大臣にならなければ、その芽はでてきます。そうでないと、経済は悪化の一途をたどり、憲法改正もできず、おそらく安倍内閣はレイムダックになることでしょう。

それと同時に、財務省の実体も最近では一部のメディア様々に報道されるようになってきたため、財務省に対する国民の不満もつのることになるでしょう。最近は、テレビをワイドショーで以前は財務官僚を「リスペクト」すると言っていた、弁護士のコメンテーターが、財務官僚を批判していて、時代の変化を感じました。そのことは、安倍総理が一番知っていることでしょう。なんとかして、安倍総理に活路を見出していただきたいものです。

それにしても、日本では財務省が政治のネックになっていることは確かです。財務省は、本来会社でいえば、財務部のようなものであり、会社の一部門にすぎません。ところが、これが実質的に金の力で、取締役を支配しているような歪な構造になっています。これはいずれ何とかしなければならない最大の課題です。

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