2020年6月14日日曜日

世界新冷戦で中国窮地に! 米・英・台湾で香港奪還へ…日本も決断を コロナ影響で欧州各国の「対中感情」は最悪に— 【私の論評】日本はG7のアングロサクソン3カ国とEUの独仏伊を調整し、台湾とも関係を強化し、コロナ後の新世界秩序の中で存在感を増せ!(◎_◎;)


第2の天安門に!?香港デモ

天安門事件追悼集会で「香港独立」の旗が振られた=4日

 ドナルド・トランプ米大統領は、「香港の優遇措置廃止」と、「世界保健機関(WHO)からの脱退」という2つの重大な決断を下した。中国を見限り、英国や台湾を巻き込む「世界新冷戦」の様相だ。国際投資アナリストの大原浩氏は緊急寄稿で、米英など民主主義勢力と反民主主義勢力の二極化が進むなか、日本も決断を迫られていると現実を突きつける。


 トランプ大統領が関税などの優遇措置の廃止の方針を決めるなど、米中対立の舞台の一つが香港だ。問題の発端である1997年の英国から中国への香港返還・再譲渡は、84年に英中両国が北京で連合声明などの草案に署名したことに遡(さかのぼ)る。

 中国側の署名者は趙紫陽首相だったが、署名の場に同席したトウ小平氏が返還を実現した立役者である。英国側の署名を行ったのは「鉄の女」マーガレット・サッチャー首相だったことは少し意外かもしれない。

 サッチャー氏は、地球の裏側のフォークランド諸島がアルゼンチンに侵攻された時には、軍を派遣して守り抜いた。フォークランド諸島は、香港に比べたら経済的・軍事的価値などほとんどないにもかかわらずだ。

 メディアでは「99年間の租借期限」が到来したから返還したと報道されたが、99年間租借していたのは「展拓香港界址専条」という条約で定められた新界地域だけだった。主要部分の香港島は、1842年の南京条約(第一次アヘン戦争の講和条約)によって、清朝から割譲された英国の永久領土なのだ。1860年の北京条約(アロー号戦争の講和条約)によって、九龍半島の南端も英国に割譲された。

 租借部分を返還した後に香港島だけを守ることが戦術的に難しかったために「再譲渡」されたと考えられるが、香港島は英国の永久領土であり、九龍半島の南端も含めて「再譲渡」する必要などなく、当然英国内で大きな議論が巻き起こった。

 そのような事情もあって、中国共産党政府はトウ小平氏が提示した「一国二制度」をもとに、社会主義政策を将来50年(2047年まで)にわたって香港で実施しないことを約束したのだ。つまり、英国側から見れば、香港譲渡は50年間の約束を守れば…という「解除条件付き契約」であったといえる。

 したがって、共産主義中国がお得意の「ねじ曲げ解釈」をいくら駆使しても、英国としては、「一国二制度」という約束が破られれば、香港の再譲渡契約は無効であり、香港が英国領に戻るのは当然である。

 もちろん、英国だけの力で香港を守るために中国と一戦を交えることは難しい。しかし今回、中国の横暴に激怒しているのは英国だけではない。前述のように、米国は強烈な牽制(けんせい)球を投げた。ドイツをはじめ媚中的行動が目立つ欧州大陸の国々も、あからさまに香港の人々の人権が侵されれば声を上げざるを得ない。しかも武漢発のウイルスの影響で国民の対中感情は最悪だ。

 現在の英国首相であるボリス・ジョンソン氏は、サッチャー氏やウィンストン・チャーチル氏のような強烈な個性を持つ。フォークランド紛争、あるいはナチス・ドイツとの戦いと同じように「反民主主義国家・中国」との戦いに踏み切る可能性は十分あるのではないか。

 ■日本も「新世界組織」に参加すべきだ

 第二次世界大戦は、英国とフランスの同盟国だったポーランドをナチスドイツが侵攻したことで始まった。香港は同盟国どころか、「一国二制度」が守られなければ「英国領」に戻るべき存在なのだ。

 トランプ氏は「中国に支配されている」としたWHOからの脱退も表明したが、これも重要な決断だ。台湾は即座に米国が今後立ち上げるであろう「新世界組織」への参加を表明している。日本も後に続くべきだ。米国はWHOだけではなく、「中国に支配されている」国連をも見限っているのである。

 米国が新型コロナウイルスの感染拡大や白人警官による黒人男性暴行死を発端とした抗議デモなどの問題を抱えるなかで、「火事場泥棒」のような中国による香港への「国家安全法」導入は、ますます米英を怒らせる。そして、歴史的に正統な台湾主体の世界再編が米国によって推進されるという大ブーメランとして返ってくるだろう。

 「民主主義勢力」と「反民主主義勢力」の二極に分かれつつある世界で、日本がどちら側につくべきかは明らかだ。共産主義の代表を「国賓招待」する話がいまだに残っているのは言語道断だ。むしろ、台湾の蔡英文総統こそ、国賓として招待すべきではないか。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

【私の論評】日本はG7のアングロサクソン3カ国とEUの独仏伊を調整し、台湾とも関係を強化し、コロナ後の新世界秩序の中で存在感を増せ!(◎_◎;)

香港割譲は中国史上最も大きな損失でしたが、香港がいずれ中国に返還されるとは、当初誰も考えていませんでした。

1842年に結ばれた南京条約で、香港島は英国に割譲されました。第一次アヘン戦争で英国の巨大な軍艦と圧倒的な軍事力の前に敗れた中国(当時は清国)に選択肢はなく、香港島は英国に永久割譲、1860年に九龍半島が割譲されました。

不毛の島である香港島には水が不足していました。そのため英国は1898年、中国から新界を租借し、99年後の1997年に「新界のみ」返還すると約束しました。この時点では、香港島まで返還することは想定外だったのです。

イギリス軍がアルゼンチンに奪われた島を奪還したフォークランド紛争の勝利に沸いていた1984年、当時中国の実質的な最高指導者だった鄧小平と香港の返還交渉を行っていたマーガレット・サッチャー英首相は「なぜ(新界だけでなく)香港を返還しなければならないのか」と周囲に聞いていたそうです。

マーガレット・サッチャー英首相

それは鄧小平が香港島と九龍島の同時返還を求め、軍事介入も辞さない姿勢を見せたからでした。軍事力も指導者も、アルゼンチンとは格が違しまそち。結局サッチャーは、1997年6月末に香港を中国に返還することで同意したのです。

1997年6月30日の夜、雨が降る中でイギリスによる香港の委任統治が終わりました。260の島と世界一美しいスカイラインを持つ香港で、午前0時に警官たちが帽子のバッジを王冠からランに付け替え、英国旗「ユニオン・ジャック」が降ろされました。

香港返還に際し、住民の間には混乱というより不安が漂っていました。イギリはすでに香港住民に対するパスポートの発行を止めていました。完全にストップ、立ち入り禁止でした。EUの拡大でポーランド人労働者がイギリスで働ける時代になったというのに、なぜ香港住民はだめだったのでしょうか。

人々が疑問の声を上げたのは他でもない、もし中国政府が(1989年の天安門事件のように)弾圧に乗り出したときは、イギリスが守ってくれる、受け入れてくれると保証してほしかったからです。

その素朴さは胸を打ちました。当時の香港は世界で最も成功した植民地で、香港総督も人気があったのですが、英国にとってはしょせん植民地でした。重要なのは中国本土のほうで、香港は中国市場に参入するうえで障害になっていました。天安門事件後いちばん最初に北京を訪問した西側首脳も当時のジョン・メージャー英首相でした。英国にとって中国は、商売の相手だったのです。

引き揚げを指揮したのは、最後の第28代香港総督を務めたクリス・パッテンでした。それは香港返還にとどまらず、大英帝国の事実上の終焉でした。

パッテンは、多くの政治家のように成功することでのし上がるのではなく、屈辱的な失敗を成功に変える抜け目のない政治家でした。1992年の英総選挙でメージャー率いる保守党が勝利したとき、幹事長として勝利に貢献したパッテンは、自分の選挙区で労働党の候補に敗れて議席を失いました。

そのニュースが流れた時、保守党本部は大いに盛り上が利ました。多くの保守党議員は、パッテンは左寄り過ぎると思っていたのです。サッチャーにも嫌われ、周囲もそのことを知っていました。

それでもメージャーはパッテンの味方をし、1997年6月30日の香港返還までの香港総督に任命しました。英国政府はこのポストに、中国市場での利益を危険にさらさない無難な人材を望んでいました。選挙に落ちたパッテンは安全な選択肢に見えましたた。よもや総督という特権的地位と年金に満足し、政治には干渉すまいと考えたのです。ところがそうした見方は見事に外れたのです。

パッテンには、羽飾り付きの帽子も、論争は傍観するという総督の伝統的なたしなみも捨てて、論争に参加しました。1992年7月の就任時、パッテンは人権や自由、民主主義などの言葉を口にして中国政府を不快にさせました。

中国だけではありません。英経済界がどれほどパッテンの言動を憂慮していたか、1993年にパッテンが心臓の手術を受けた時に明らかになりました。報道で彼が手術中だと伝わると、ロンドンの株価は高騰。回復に向かっていると発表されると、わずかだが売り注文が増えました。

パッテンには妻と3人の娘がいたが、一家は気さくで、妻が病院や慈善団体を訪問する時もリラックスした雰囲気でしたた。

新聞の風刺漫画にはよく、ウイスキーとソーダというパッテンの愛犬が登場しました。どちらも犬種はノーフォーク・テリアで、中国の政治家のかかとに噛みついたりする場面が描かれました。

パッテンは、上流階級が住む高台ではなく香港の旧市街を散歩しました。どこから見ても彼は人気者でしたた。高齢の婦人から建設現場で働く労働者まで、パッテンを見つければ誰もが握手を求めました。カフェに入れば、中国の政治家が夢にも思わないようなもてなしを受けました。

イギリス統治下の香港には、香港住民の意思を反映させる政治制度がなく、民主主義は存在しませんでした。パッテンはそうした状況を正そうとしたのですが、ビジネス上の重大な関心を優先する地元の大立者や中国政府の頑なな反対にあいました。民主主義を経験したことのない一般大衆も、パッテンが目指した議会の民選化に反対しました。

香港住民は中国政府に立ち向かってくれる香港総督に感謝していましたが、中国政府には強い不信感を抱いていました。立法会を作って選挙を行っても、投票権のある有権者のうち35%しか投票しませんでした。

低い投票率で、パッテンが目指した選挙改革は失敗しました。パッテンが離任するまでに立法会の権限は縮小され、中国政府は民主化を疎かにしても民衆の反感を買うことはなさそうだ、と自信をつけました。

パッテンは1997年に中国政府から繰り返し中傷されましたが(「1000年来の男娼」というのもその1つ)、それ以降、香港のカフェに彼以上に人気がある客は現れていません。

このクリストファー・パッテン英オックスフォード大学名誉総長が、最近英与党・保守党の支持者と草の根保守主義者の言論フォーラム「コンサーバティブホーム」のインタビューに応じています。

クリストファー・パッテン氏

その内容を以下に掲載します。
パッテン氏「1989年6月の天安門事件を知らせる外交公電を見た時、もし仮にそれが、軍が自国民に向けて発砲するということを意味しているのなら、中国共産党指導部の一部による権力の座を保持する絶対的な決意の表れだと考えた」
「香港返還後、全てが変わったのは習近平国家主席が現れてからだ。習氏が選ばれたのは、中国共産党重慶市委員会書記だった薄熙来氏がクーデターを計画(2012年に失脚)していると中国共産党指導部が考えたことが一部にあると私は考えている」
中国共産党の行動原理は中国共産党一党支配という体制をどんな手段を使ってでも守るという防衛本能に基づいているとパッテン氏は考えているようです。胡錦濤時代(2002~12年)にそのタガが大きく緩んだとして、習氏が引き締めのため選ばれたというのです。

パッテン氏が危機感をさらに強めたのは2013年の「第9文書」と呼ばれる内部文書を目にしてからです。この中で7つの危険な西洋的価値が列挙されています。
(1)立憲民主制
(2)自由や民主主義、人権など普遍的価値
(3)市民社会
(4)市場原理を重視する新自由主義
(5)報道の自由
(6)中国共産党による中国建国の歴史に対するニヒリズム
(7)中国独特の社会主義に対する疑問
中国共産党は、体制を維持するために、自分たちを脅かす全ての思想や信条を敵視しています。だから西側陣営の私たちが中国を敵視せず、中国との冷戦を望んでいなかったとしても「中国が私たちを敵とみなしていることが問題を引き起こす」とパッテン氏は断言します。

習体制が自由と民主主義、人権、法の支配、自由経済を、中国共産党支配を脅かす危険な敵だと見ていたら、チベット自治区や新疆ウイグル自治区、天安門事件で起きた悲劇が香港や台湾、南シナ海、そして東シナ海でも繰り返される恐れがあるということです。

「香港は中国共産党が嫌う全てのものを体現している」とパッテン氏は指摘しています。

パッテン氏「中国によるいじめの黄金時代になったのは間違いない。他国と協力しなければならないにしても中国にもっと厳しく対応しなければならない。中国は黄金時代の見返りにイングランド北部や同中部シェフィールドへの巨額投資を約束したが、そんなものは起きなかった」
「駐英中国大使があらゆる機会に略奪やいじめのために英中黄金時代というスローガンを使っただけだ。ドイツが、自国のロボット産業に対する中国の略奪的投資について神経質になっている理由をイギリスも考えた方がいい」
ベルリンにある研究機関、メルカトル中国研究センター(Merics)によると、2000年から昨年にかけ中国が欧州各国に対して行った直接投資(FDI)は次の通りです。
イギリス503億ユーロ(約6兆1200億円)
ドイツ227億ユーロ(約2兆7600億円)
イタリア159億ユーロ(約1兆9300億円)
フランス144億ユーロ(約1兆7500億円)
フィンランド120億ユーロ(約1兆4600億円)
オランダ102億ユーロ(約1兆2400億円)
イギリスとドイツへの投資が大きいのは経済規模が大きい上、投資価値のある企業や技術が多く、市場が開かれていることに関係しています。中国に対して欧州の市場は開かれているのに、中国の市場が同じように開かれているわけではありません。

研究開発力のあるイギリスの大学から軍事転用可能な最先端技術が中国人留学生を通じてリアルタイムで中国に流出しています。

さらに新型コロナウイルス・パンデミックでは感染防護のためのN95マスク一つとっても中国抜きではつくれなくなったことが浮き彫りになりました。中国は世界のサプライチェーンにガッチリと組み込まれています。

英シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティー(HJS)がアングロサクソン5カ国の電子スパイ同盟「ファイブアイズ」のサプライチェーンにおける中国依存度を調べています。例えばラップトップ型PCのサプライチェーンではこんな感じです。

オーストラリア94.3%
ニュージーランド93.1%
アメリカ92.7%
カナダ87.5%
イギリス67.6%
携帯電話のサプライチェーンは以下のような状況です。
カナダ77.6%
オーストラリア74.9%
アメリカ72.5%
ニュージーランド67.3%
イギリス61.2%
30年前の天安門事件の時は西側が中国に対して経済制裁を加えることで中国に西側の自由と人権、法の支配、自由経済に従わせることができました。当時、中国経済の世界に占める割合は2%未満でしたが、現在は約20%まで急拡大しています。

中国はもう西側に気兼ねしないで行動できると考え出しているようです。

パッテン氏「これは英保守党の問題だけではない。あらゆる分野で中国との関係を検討すべきだ。貿易、教育、投資、安全保障、中国がどこでルールをねじ曲げているのかを見ること、サプライチェーン、戦略的産業の独立性を明らかにして、行動する必要がある」
安倍晋三首相は10日の衆院予算委員会で、中国の香港国家安全法導入問題を受け「一国二制度を前提に、声明を発出する考え方の下に先進7カ国(G7)の中で日本がリードしていきたい」と意気込みを述べました。

安倍総理 10日の衆院予算委員会にて
これは、アングロサクソン系の米英加豪と連携した動きだと見られます。
西側諸国を代表するG7はアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊に意見が割れがちで、どちらにも属さない日本が仲を取り持つのは、欧州でドナルド・トランプ米大統領への反発が強まる中、外交上、非常に意義があることです。

西側のプラットフォームであるG7や北大西洋条約機構(NATO)、ファイブアイズをフル活用して中国に対し、香港の「一国二制度」と「高度な自治」を維持するよう働きかけ、新型コロナウイルスのゲノム情報を全て開示し起源の確定に協力するよう迫っていかなければなりません。

中国共産党はあらゆる手段を講じて西側諸国を分断し、揺さぶりをかけて、最後には支配しようとしています。日本でも鼻薬を嗅がされ、知らず知らずのうちに中国共産党の「有益な愚か者」として利用されている政治家、企業家、大学関係者は少なくありません。

自分の利益だけを優先して自由と民主主義、法の支配、人権をないがしろにして良いわけがありません。日本でも超党派の議員で中国が関わる全ての問題を詳らかにして公に議論し、国民に知らせるプラットフォームをつくることが重要です。

日本も、穏健でリベラルな保守主義者パッテン氏の警鐘に耳を閉ざしてはならないです。


そうして、安倍総理自身は、これから新世界秩序の構築に日本としてもこれに乗り遅れることなく、機先を制することには、前向きなようです。

G7のアングロサクソン3カ国と欧州の独仏伊、この二つをまとめ、さらには台湾とも関係を深めコロナ後の新世界秩序の中でリーダー的地位を獲得していただきたいものです。

それと、これは以前もこのブログで述べたことですが、香港はすでに中国の地方都市になったも同然ですから、国際金融センターは、香港から台湾に移すべきです。G7が協調すれば、世界に新たな秩序を構築するとともに、それも十分可能になり、台湾の国際金融センターは世界の繁栄に大きく寄与することになるでしょう。

従来は華僑の人々の力が、中共に都合良く利用されたのですが、台湾に国際金融センターを移すことにより、今度は新社会秩序の構築と、その上で自由な経済活動を活発化させるための大きな力となることでしょう。そうなると、台湾は大きく変貌することになるでしょう。国土は、小さくても経済的には中共を脅かす存在となるでしょう。

金だけで、中共との関係を強化してきた、華僑の人々も、今後の安定した取引を考えれば、台湾の国際金融センターへと乗り換えるでしょう。

ただし、香港の奪還に関しては、諦めることなく、中共がそれを認めざるを得なくなるまで迫るべきです。
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2020年6月13日土曜日

「日本は成功例の先駆け」米国が大絶賛したコロナレポートの衝撃内容— 【私の論評】日本人は「ジャパン・ミラクル」は連帯感によるものと認識するだけではなく、それを誇るべき!(◎_◎;)

「日本は成功例の先駆け」米国が大絶賛したコロナレポートの衝撃内容

まさに「ジャパン・パラドックス」だ

米国から見た日本のコロナ禍対策

ワシントンDCから米国人の目で日本の金融・財政政策を分析・解説する在米金融アナリスト、斎藤ジン氏がパートナーの一人である「OBSERVATORY VIEW」をほぼ毎号、読み参考にしている。

ニューヨークを本拠とする有名なユーラシア・グループのイアン・ブレマー代表が編集・発行する「eg update」も必読のニューズ・レターである。その他にも、DCで政治コンサルタントを務めるカール・アイゼルバーグ氏の「Monitor」も定期送付してもらっている。

本来、いずれも高額な購読料を支払うべきであるが、零細事務所を運営するジャーナリストに免じて贈呈扱いになっている。

日常が戻りつつあるニューヨーク市街地

さて、直近の「OBSERVATORY VIEW」(6月9日付)に斎藤氏が寄稿した「日本公衆衛生政策―コロナ、政治、ジャパン・パラドックス」は日本のコロナ禍対策を分析した秀逸のレポートである。

同レポート冒頭の長文リードは次のように始まっている。

<コロナに関して市場は以下を確認したがっている:(1)金融政策によって確実な信用フローが維持される、(2)財政政策が蒸発した需要を穴埋めする、(3)コロナを封じ込め、経済活動を再開する、この三つだが、現在(3)が最大の不透明要素だ。我々は感染症そのものについては何の付加価値も生み出せない。しかし感染症研究に基づいているとしても、公衆衛生政策は最終的に政治判断である。>

「日本はその成功例の先駆けと言える」

途中のパラグラフを割愛して、リードの最後を紹介する。

<日本は(感染症学分野で)主流派の予言を忠実に守らなかったことから、強い批判に晒されてきたが、その(新型コロナウイルス感染者の)死亡率は0.73と相対的に成功した国の一つだ。そして将来、日本のように政治的な裁量判断を多用する国が増え、社会の様々な側面(=公衆衛生危機、経済コスト、個人の自由とプライバシーに対する懸念など)を政治指導者の政治資本の範囲の中で考えるようになるだろう。日本はその成功例の先駆けと言える。>

レポートの見出しにある「ジャパン・パラドックス」とは、まさに我が国の政治指導者、即ち安倍晋三首相がコロナ危機当初、感染症学の専門家の助言よりも独自の裁量判断を重視するアプローチを追求し、国内外の専門家やコメンテーターから批判されていたが、様々な側面のバランスをどう取るのかと、政治資本の中で考えて優先順位を付けてきたのでコロナ感染者数と死亡者数の低さを得たことを指す。

日本は、韓国や台湾のように個人の自由とプライバシーの侵害の懸念よりもデジタル追跡ツールの使用を優先させ、且つ広範なPCR検査や感染者隔離のために民間施設徴用などが実施できなかった。それ故に、声高に日本のコロナ禍対策は間違っていると断じられたのである。

だがしかし、人口密度が高い大都市圏を抱えるだけでなく、約1億3000万人もの人々が米モンタナ州と同程度の広さの国土に住んでおり、しかも最も高齢化が進んでいる社会である日本の死亡率0.73は韓国(0.53)より若干高く、ドイツ(10.48)を大幅に下回っているのだ。

PCR検査の優先順位が低くなるのは不可避

斎藤氏の指摘はこうだ。確かにラッキーな面があったかも知れない。しかし、日本のアプローチの起点は「限られた能力でできるだけ多くの命を救うために医療崩壊だけは回避しなければならない」ということであり、そこから全ての優先順位付けを行ったと言う。

換言すれば、戦術的優先事項(1)クラスター(感染者集団)を最小限に抑え、(2)一定の症状(持病を含む)を持つ患者を優先的に治療する、の2つであった。であるならば、PCR検査の優先順位は低くなるのは不可避というのである。

斎藤氏の数多い指摘の中でも得心した件があった。<日本は先端医学の分野では決して米国と比肩することは出来ないと考えている。しかし感染症との闘いは結局、トップレベルの「ベスト・アンド・ブライテスト」ではなく、現場の名もない一兵卒の頑張りにかかっている。>

同氏が言う「現場の名もない一兵卒」とは、各地の保健所に監視と追跡のプロを含む様々な医療専門家で構成される現場の実行部隊であり、彼らがクラスターの特定と感染経路を愚直に追跡した影のヒーローであると讃えている。

そうであっても、コロナウイルスの「第2波」「第3波」は必ず襲来する。そのためにはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)を含めて一連の相対的な成功体験に満足するのではなく、感染症対策の最新技術や医療システムを導入すべきだ。支給するマスクの数やPCR検査件数を競うのではない。いつの日か痛い目に遭って世界の笑いものにならないためにも、それは必要である。

【私の論評】日本人は「ジャパン・ミラクル」は連帯感によるものと認識するだけではなく、それを誇るべき!(◎_◎;)

コロナに限らず病気は、命を保つことができれば克服できます。どれくらいの方が亡くなるか、逆から言えば病気にかかった方のうちどのくらいが生き残るかということがいちばん重大なことです。

客観的な数字として人口100万人当たりで考えると、日本ではコロナ肺炎で亡くなった方は、英国の100分の1です。米国と比べても50分の1以下です。それを考えると、いままでの国民の努力は政府の要請と合致して、大成功していまい。海外の方からは、今回の日本の対応について「ジャパンミラクル」とか「ジャパンミラクル」と言われるのです。


WHOの首脳陣は、テドロス事務局長をはじめ、中国に支配されていると以前から批判しているのですが、現場には非常に優れた方々がいらっしゃいます。日本の方もいらっしゃるのですが、そういう人たちの共通の言葉も「日本の奇跡に学べ」です。

まもなくコロナによる異常事態は終息して行きますから、国民の方々は自信を持たれて、最後の踏ん張りとして、いままでのペースを守っていただきたいと思います。

まだまだ不安であることには変わりはありませんが、不安があってこそ対応策を考えるので、不安そのものにこだわらず、不安があることは自然だと考えていただきたいです。

諸外国と異なり、都市を強制封鎖するなどの強権的なことを行ったわけでもなく、ある意味で国民の連帯によって、ここまで押さえ込んで来たということは、何か日本にだけ特殊なことがあるのでしょうか。

同じアジアでも、韓国は個人情報を追跡してスマホも使い、トレースして行ったのですが、日本はそれすら一切やっていないのです。ではなぜかと言えば、やはり日本人の「連帯感」によるものではないでしょうか。

しかし、このようなことを言うと「いや、そんなはずはない、政府不審の声が溢れかえっていたじゃないか」と言う方も多いかもしれません。確かに、コロナウイルスが引き起こした心の病の1つが政府不審でした。

政府に対する指摘や批判が自由にできることが民主主義なのですが、政府に対する不審が世界的に高まっていることが、中国が引き起こした問題の根底にあります。そのため日本だけで特殊な政府批判が起きているわけではありません。

日本人の連帯は今回のコロナウイルスに対するものが初めてということではありません。2009年に日本列島を襲った新型インフルエンザのことを覚えておいででしょうか。感染力は強く、とりわけ高齢者の致死率が高いとして恐れられました。

当初政府は、新型インフルエンザウイルスの上陸を阻止する水際作戦に力点を置いていました。しかしそうした中で海外渡航歴のない人々の集団感染が判明しました。

過去の空港での水際作戦

その時点で政府の対処方針は、今回のコロナウイルスと同様、水際作戦から重症化を防ぐ作戦へと転換しました。軽症患者には十分な注意と指導を徹底して、地元の病院、或いは自宅で療養してもらい、重い症状の人をふやさないという作戦でした。

当時私も、手洗い、ウガイを励行し、外出時と会社内ではマスクを必ずつけ、自身を守り、周囲の高齢者や弱い存在を守れるよう心掛けました。そしてそれは成功しました。その頃の習慣が残っているため、その時から今まで一度もインフルエンザや風邪を患ったことがありません。

自分の健康と周りの人、他者、さらに社会全体の健康を重ね合わせて考えることが大事なのです。それは連帯意識と助け合いの精神に直結します。

あの3.11の東日本大震災で大地震と大津波に襲われたとき、東北地方の人々を中心に、日本人は全員が助け合いました。自分の身を守ったうえで、自分より弱い人たち、お年寄りを、皆が助けました。
日用品を買い求める人たちの行列=仙台市青葉区で2011年3月20日午前11時8分
一緒に頑張りました。こうした日本人の資質から見ても、やはり「コロナミラクル」は、日本人の連帯に負うとこが間違いなくあります。

今回のコロナでは、政府への不審もありましたが、それを乗り越えて、結局多くの日本人が連帯したことが、今回のジャパンミラクルにつながったと考えるべきでしょう。政府不審で反対の方々も多くは結局は従ったのでしょう。

ブログ冒頭の記事では、「いつの日か痛い目に遭って世界の笑いものにならないためにも」などと第2波、第3波の懸念を表明していますが、第2波、第3波は必ずあります。それがない大きな感染症はありません。

ただし、第1波の経験、100段上り切った経験があります。人の体で喩えれば、どこで膝が痛んだのか、どの人が弱かったのかということを経験しているので、第2波、第3波ではその経験を活かせます。

特に失敗を活かすことで乗り越えやすくなります。備えることは必要ですが、不安を増幅させる必要はありません。それに私は、第2 波、第3波でも、日本人の連帯が十二分に、発揮されることを信じて疑いません。

それと、私達日本人は、「ジャパン・ミラクル」に関して、もっと誇りを持つべきです。日本人の連帯が、コロナ・ウイルス封じ込めに効果があることは、間違い無いと思います。

私自身は、海外の人には、「ジャパン・ミラクル」は日本人の連帯によるものと、話しています。2009年に日本列島を襲った新型インフルエンザの時の日本人の連帯や、東日本大震災の時の日本人の連帯についても話をすると大抵は理解していただけます。

ここで、日本人は過度に謙虚になる必要はないと思います。なぜなら、日本人の連帯が世界に理解されれば、世界は変わるかもしれないからです。世界の国々でも、日本人の連帯が理解され、受けいられれれば、世界の他の国々にも将来また感染症が発生した時にミラクルが起こるかもしれないからです。

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2020年6月12日金曜日

中国共産党が進めるオーストラリア支配計画 目に見えぬ侵略は日本でも始まっている—【私の論評】日本は旗幟を鮮明にし、日米豪同盟を強化せよ!(◎_◎;)

中国共産党が進めるオーストラリア支配計画 目に見えぬ侵略は日本でも始まっている
国際 中国 2020年6月11日掲載




 先月、中国共産党の対オーストラリア工作を明らかにした『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』(飛鳥新社)が出版された。著者はオーストラリアの作家で、チャールズ・スタート大学の教授、クライブ・ハミルトン氏である。地政学者の奥山真司氏が翻訳した問題作。オーストラリアだけでなく世界覇権を目論む中国は、すでに日本にも触手を伸ばしている。オーストラリアの失敗から学ぶべきことは?

 ***

 原著は、出版社と契約を結んでいたが刊行中止。その後も2社から断られた、ようやく出版にこぎつけたいわくつきの書である。英紙フィナンシャル・タイムズは、「販売中止を決めた自粛は自己検閲だ」と批判している。

 公共倫理を専門とするハミルトン氏は2016年8月、労働党のサム・ダスティヤリ上院議員の政治スキャンダルが発覚した際、中国共産党の工作に気づいた。この議員は中国共産党とつながりのある中国人富豪と癒着。これをきっかけにオーストラリアの主要政党にとって、裕福な中国人や中国系オーストラリア人のビジネスマンたちが最大の資金提供者となっていたことが判明したのだ。

 さらにハミルトン氏の調査で、中国共産党は、オーストラリアの連邦政府、企業、主要政党、大学、メディアなどに浸透し、影響を与え、コントロールするための体系的な活動を行なっていることがわかったという。

 中国がオーストラリアにターゲットを定めたのは、2004年8月。世界中に散らばる中国の外交官を北京に集め、秘密会議が開かれた。当時の共産党総書記であった胡錦濤(こきんとう)のもと、党の中央委員会がオーストラリアを中国の周辺地域に組み込むべきであると決定した。中国最大の狙いは、米豪同盟を壊し、オーストラリアを属国化することだったという。

 05年2月には、共産党の外交部副部長であった周文重(しゅうぶんじゅう)がキャンベラを訪れて、在豪中国大使館の高官たちとの会合で中央委員会が決定した戦略を伝えた。ハミルトン氏の取材に応じた在シドニー中国領事館の政務一等書記官だった陳用林氏(ちんようりん‐2005年にオーストラリアに政治亡命)によれば、中国は経済的な手段を使って、オーストラリアに対して軍事関連や人権問題を含む、様々な分野で譲歩を迫り、オーストラリアをアメリカに対してノーと言える西洋の国にしようと画策しているという。

    2002年8月、オーストラリアは中国広州省に天然ガスを供給する契約を結び、有頂天になって喜んだ。しかし、陳用林氏によれば、中国は数カ国を招いて入札を行い、1番安い金額を提示したインドネシアに決めていたが、

北京の共産党中央委員会があえてオーストラリアに決めたのだという。これはいわば中国の対オーストラリア工作の伏線で、オーストラリアを中国の方に振り向かせる狙いがあった。

日米同盟の弱体化

    「中国の対オーストラリア工作は、主に在外華僑を使っています。これを僑務工作と呼んでいます。オーストラリアに移住している中華系住民を使って、政界や財界工作を行うのです。中でも、最も影響力があった富豪実業家のひとりが黄向墨(ほわんしゃんも)でした。彼はオーストラリアの政界、財界、メディアまで大変影響力のあった人物で、シドニー工科大学に豪中関係研究所を設立し、元外相のボブ・カーを所長に据えました。ボブ・カーは、天安門事件が起こった時、中国の一党独裁体制を『滑稽なほど時代遅れ』と批判していました。ところが中国の工作によって、親中派になってしまったのです。そのため、“北京ボブ“という渾名が付いています。2019年、オーストラリア当局は黄向墨と中国共産党とのつながりを調査した結果、永住権を剥奪し、再入国を禁止、市民権申請を却下しました」

 と解説するのは、本書の監訳者で「日本国際戦略研究所」を主宰する山岡鉄秀氏。同氏はオーストラリアに約23年間在住し、オーストラリアの変化を肌で感じていた。

 豪中関係研究所は、表向きは中関係発展のための研究機関となっている。しかし、そのセミナーや出版物の内容を見ると、中国共産党のプロパガンダそのものだという。黄向墨は、冒頭で紹介したサム・ダスティヤリ上院議員に資金提供していた人物でもある。

    「私は、シドニーで大学院生だった頃、中国系の学生たちと仲良くなりました。彼らは、オーストラリアで生まれ育った移民2世、3世で、適度に西洋化され付き合いやすかった。真面目でよく勉強もしていました。ところが最近のオーストラリアの主だった大学は、雰囲気がガラっと変わりましたね。留学生の4割は中国人で、彼らは中国政府の管理下にあります。中国からガチガチの愛国教育を受けています。中国の留学生のミッションには、中国に批判的な個人や団体の監視が含まれます。教師が中国に批判的な発言をしたり、中国政府の見解に合わない資料を使ったりすれば、吊るし上げて謝罪を求める。領事館から大学に直接抗議が入ることもあります」(同)

 中国は次に日本をターゲットにする可能性もある。ハミルトン氏によれば、中国は、日本をアメリカから引き離すために「エコノミック・ブラックメール」(経済的強迫)を使って政治面での譲渡を迫っている。すでに日本には、北京の機嫌をとる親中派の財界人が多いという。中国は、日米同盟を決定的に弱体化させなければ日本を支配できないことをよく知っているのだ。

    「すでに中国は、日米同盟を弱体化するための手を打っています。米中の貿易戦争が厳しくなっている中、安倍晋三首相が一昨年10月に財界人を伴って訪中しました。中国は、天安門広場に日の丸を掲げて大歓迎。その際経団連の中西宏明会長は、『中国は敵ではなく、我々を求めている』と発言しています」(同)

 コロナ禍でも同様だという。

    「他国が中国全土からの入国を拒否している中、日本はなかなか入国を拒否しませんでした。武漢や浙江省だけ拒否していました。これは習近平の来日が予定されていたこと、中国から「大ごとにしないで欲しい」と言われたことへの配慮だと思われます。政府は国民の安全より中国を優先してしまいました。中国からすれば、まさに思う壺ですよ。日本が米中の狭間で漁夫の利を得ようとして姑息なことを考えれば、破滅につながります。米中が争っているのだから、アメリカの同盟国である日本は、中国に対して毅然とした態度を取るべきです」(同)

週刊新潮WEB取材班

【私の論評】日本は旗幟を鮮明にし、日米豪同盟を強化せよ!(◎_◎;)

クライブ・ハミルトン氏

『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』の著者のハミルトン氏は豪州キャンベラのチャールズ・スタート大学公共倫理学部の教授です。ハミルトン氏は2008年、北京五輪の年、豪州における中国勢力の浸透に不審を抱きました。

聖火が到着したキャンベラに何万人もの中国系学生が集まり、一般のオーストラリア人が中国人たちから蹴られ、殴られました。自分の国で外国人学生の乱暴狼藉をなぜ受けなければならないのでしょうか。そもそも万単位の中国人学生たちは如何にして突如キャンベラに集結したのでしょうか。この疑問が氏の中国研究の始まりでした。

氏の体験は、同じ年、長野市に中国人学生が集結しチベット人や日本人に暴力を振るった事件とほぼ完全に重なります。

本書は日本に対する警告の書でもあります。豪州の人々は中国の侵略の意図など夢にも気づかず国を開きすぎたとハミルトン氏は書いています。

中国の意図は米国の同盟国を米国から分離させ、米国の力を殺ぎ落とし、中華の世界を築き上げることです。『目に見えぬ侵略』は、北京が豪州とニュージーランド(NZ)を米国の同盟国の中の「最弱の鎖」と見ていること、この両国を第二のフランス、つまり「米国にノーと言う国」に仕立て上げたいと考えていること、その為に両国の国全体、社会全体をコントロールし易いように親中的に変えていく政策を、中国政府が採用したことをつきとめています。

これは中国の常套手段と言っても良い手法です。1998年に江沢民国家主席(当時)が国賓として訪日しました。それに先立って中国共産党がまとめた対日政策の中に「日本を支配するには日本人が自ら中国に尽くすように日本人の価値観を変えていくことが重要で、その為に未来永劫歴史問題を活用するのが最上の手段だ」などと書かれています。

豪州全体を親中色に染め上げるべく、北京政府は2000年に試験的に華僑の活用を開始し、11年に完全に制度として確立したとハミルトン氏は断じています。世界に散らばる華僑は2300万人規模、豪州総人口2500万人の内100万人以上が中国系市民で、彼らも北京政府の標的に含まれているといいます。

華僑を大勢力としてまとめる司令塔が僑務弁公室でした。同室は豊かな中国人ビジネスマンの政治献金、選挙時における中国系市民の組織票の動員、中国系候補者当選への支援、政府高官の取り込み、中国を利する政策決定の誘導等、幅広く活動します。

ハミルトン氏は、われわれは「中国共産党は支配のための、考え抜かれた長期的戦略」に従って動いていることを忘れてはならないと強調しています。中国は豪州人の精神を親中国に変えることに加えて、豪州に対する有無を言わさぬ支配権を握るべく工作してきました。そのひとつがインフラの買収です。

数ある事例のひとつが電力です。ビクトリア州の電力供給会社5社と南オーストラリア州唯一の送電会社はすでに、中国国営企業の国家電網公司と香港を拠点とする長江基建集団の所有とな離ました。

豪州西部州の三大電力販売会社のひとつ、エナジーオーストラリアは300万人の顧客を持つ大企業ですが、これも香港に拠点を持ち北京と深い関係にある「中電集団」に買い取られました。豪州最大級のエネルギーインフラ企業、アリンタ・エナジーも香港の大富豪、周大福に40億豪ドルで売却されました。

電力は産業のコメです。安定した供給なしにはその国の産業は成り立ちません。豪州政府が中国の意向に逆らうような政策を打ち出す場合、北京政府は中国系資本所有の電力会社の供給を止めることで豪州を締め上げることができます。

ハミルトン氏は警告しています。豪州の配電網は電信サービス網と融合しているため、前者の所有者は豪州全国民全組織のインターネットと電話のメッセージ機能すべてにアクセス可能になります。豪州政府の情報すべてを中国は文字どおり、手にとって見ることが可能なのです。豪州は政府ごと丸裸にされているということです。

中国はさらに攻勢を強め首都キャンベラや、シドニーを擁するニューサウスウェールズ州の電力インフラ、オースグリッドを99年間租借しようとしました。豪州連邦政府が危うくこれを阻止したのが16年8月でした。

ところが、豪州内の親中勢力はこの政府決定に徹底的に反撃しました。そして奇妙なことが起きました。17年4月に対中警戒レベルを上げていたはずの外国投資監査委員会が突如軟化し、巨大インフラ運用会社「デュエット社」を長江基建を主軸とする中国のコンソーシアムに74.8億豪ドルで売却することを許可したのです。

豪州の国運をかけての戦いは一進一退です。現在、北京はモリソン豪首相が新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を求めたのに対して豪州産農産物の輸入規制で報復中です。

モリソン豪首相

さらに中国は今月、輸入した牛肉の検疫で違反が見つかったとして、オーストラリアの企業4社からの肉製品の輸入を停止していて、新型コロナウイルスをめぐるオーストラリアの対応に反発した措置ではないかという見方も出ています。

中国がオーストラリア産の大麦が不当に安く輸入されているとして関税を上乗せする措置を始めたことについて、オーストラリアのリトルプラウド農相は「控えめに言って失望している。中国の決定に対して冷静かつ系統的に対処し、WTO=世界貿易機関にはかる権利は残しておく」と述べ、WTOを通じた解決も視野に対応を検討していく考えを明らかにしています。

輸出の3割を中国に依存する豪州には大きな痛手ですが、首相支持率は66%、2倍にはね上がりました。

業を煮やした北京政府が特別に甘い言葉をかけ始めたのが日本です。

中国共産党機関紙の環球時報が5月26日、「日本は豪州に非ず」という社説を配信しました。日本は豪州とは異なる、米国側につかず、中国側に来いとして、次のようにも書いていました。

「米中摩擦の中で日本が正義の側(中国側)でなく、同盟国側につくなら、日米同盟を当然の(安全)策として活用することはできない」

米国側につけばただでは措かないという恫喝です。日豪はいま中国の攻勢の真っ只中にあります。共に力を合わせて中国共産党の侵略から国と国民、経済を守り通さなければな離ません。

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2020年6月11日木曜日

消費の落ち込みは当面は続く…安倍政権は消費増税一時停止を! いまこそドイツを見習うとき— 【私の論評】日本では緊縮命のぶったるみドイツのように期間限定の減税ではなく、物価目標を達成するまで減税せよ!(◎_◎;)

消費の落ち込みは当面は続く…安倍政権は消費増税一時停止を! いまこそドイツを見習うときだ

安倍首相と麻生財務大臣

 総務省は5日、4月の家計調査を発表した。それによると、2人以上世帯当たりの消費支出は26万7922円、物価変動を除いた実質では前年同月比11・1%減だった。これは統計が比較可能な2001年以降最大の落ち込みだ。食料などが堅調な一方、外食や飲酒代が大きく落ち込んでいる。こうした消費の落ち込みはいつごろ回復基調となるのか、落ち込みをカバーするための施策はないのか。

 大きく落ち込んだのは、パック旅行費97・1%減、交通73・0%減、外食67・0%減、洋服58・9%減、理美容サービス41・9%減、保健医療サービス14・8%減など。それぞれ3月も減少していたが、4月になってその減少幅が拡大した。これらの多くは外出する人数の減少に伴うものである。

 逆に伸びたものもある。光熱・水道が7・4%増、麺類34・2%増、パソコン72・3%増、保健用消耗品123・9%増など。逆に、これらは外出が減り、家の中にいることで増えた需要だ。

 例えば、外食するかわりに、家で飲食をするので、麺類、生鮮肉、「宅飲み」用アルコール飲料が増えた。もっとも、人はどこかで3食するが、外食の代わりに内食だと、経済活動全体についてはマイナスである。

 新型コロナウイルスは生活様式も変化させてしまった。「3密」回避やソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保により、消費の基本構造も一部は変わった。これまで外食は会話をする意味も大きかったが、これからは食事中の会話そのものを控えるというのであれば、機会は減少してしまうだろう。

 テレワークも意外に使えることが分かったので、これまでのような出張が絶対に必要かというと、そうでもなくなり、出張による人の移動も確実に少なくなるだろう。

 政府の緊急事態宣言を受け全国で外出自粛が広がったが、宣言が解除され外出自粛がなくなった後も、元には戻らない部分が残るだろう。あと半年か1年くらいは、新しい行動様式への調整過程であるので、消費は今一歩の状態が続くのではないか。これが、構造変化に伴う消費減退だ。

 さらに、これから雇用環境が悪化するとともに、可処分所得が落ち込むので、それに伴う消費減退もあるはずだ。こうした雇用・所得環境の変化に伴う消費減退も半年か1年くらいは出てくるだろう。

 消費は国内総生産(GDP)の過半を占めるので、このような消費減退は、GDP成長率にも悪影響である。もともと昨年10月からの消費増税により消費が弱含んでいたのが根本原因であるので、少なくとも昨年の増税分は一時的に止めるべきだ。さらには安倍晋三政権によって引き上げられた14年4月の消費増税分も含めて一時的に停止したらいい。

 財務省周辺は「緊縮財政のドイツを見習うべきだ」と言ってきたが、そのドイツでさえ、今年7月から12月までの期間限定で、付加価値税の税率を19%から16%へ引き下げる消費減税を行う。今こそ、これを見習うべきだ。定額給付金と異なり、すぐに実施でき効果が出る政策だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日本では緊縮命のぶったるみドイツのように期間限定の減税ではなく、物価目標を達成するまで減税せよ!(◎_◎;)

高橋洋一氏は、ドイツを見習えと言っていますが、ドイツはもともとは緊縮財政の権化のような国で本来は見習えるような国ではありませんでした。これについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
メルケル独首相、与党党首再選を断念 首相は継続…後継選び議論加速―【私の論評】「ぶったるみドイツ」の原因をつくったメルケルの敗退は当然(゚д゚)!

この記事は、2018年10月のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。この記事ではドイツの緊縮財政についてまとめて記した部分があるので、まずはその部分を引用します。
ドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)の主力戦闘機「ユーロ・ファイター」のほぼ全機に“深刻な問題”が発生し、戦闘任務に投入できない事態となっています。現地メディアによれば全128機のうち戦闘行動が可能なのはわずか4機とも。原因は絶望的な予算不足にあり、独メルケル政権は防衛費の増額を約束したが、その有効性は疑問視されるばかりです。 
ドイツは“緊縮予算”を続けており、その煽りを受けてドイツの防衛費不足は切迫しています。空軍だけではなくドイツ陸軍においても244輌あるレオパルト2戦車のうち、戦闘行動可能なのは95輌などといった実態も報告されています。 
こうした状況に追い込まれた原因の一つとして、ドイツを含む欧州連合(EU)には、財政赤字が対GDP比で3%、債務残高が対GDPで60%を超えないこととする「マーストリヒト基準」があり、財政健全化を重視しすぎるとの声が経済専門家の間にはあります。
ドイツの主力戦車「レオパルド2」
昨年(ブログ管理人注:2017年)10月15日、ドイツ潜水艦U-35がノルウェー沖で潜航しようとしたところ、x字形の潜航舵が岩礁とぶつかり、損傷が甚大で単独帰港できなくなったのです。 
ドイツ国防軍広報官ヨハネス・ドゥムレセ大佐 Capt. Johannes Dumrese はドイツ国内誌でU-35事故で異例の結果が生まれたと語っています。
ドイツ海軍の通常動力型潜水艦212型。ドイツが設計 建造しドイツの優れた造艦技術と
最先端科学の集大成であり、世界で初めて燃料電池を採用したAIP搭載潜水艦である。
紙の上ではドイツ海軍に高性能大気非依存型推進式212A型潜水艦6隻が在籍し、各艦は二週間以上超静粛潜航を継続できることになっています。ところがドイツ海軍には、この事故で作戦投入可能な潜水艦が一隻もなくなってしまったというのです。 
Uボートの大量投入による潜水艦作戦を初めて実用化したのがドイツ海軍で、連合国を二回の大戦で苦しめました。今日のUボート部隊はバルト海の防衛任務が主で規模的にもに小さいです。 
212A型は水素燃料電池で二週間潜航でき、ディーゼル艦の数日間から飛躍的に伸びました。理論上はドイツ潜水艦はステルス短距離制海任務や情報収集に最適な装備で、コストは米原子力潜水艦の四分の一程度です。 
ただし、同型初号艦U-31は2014年から稼働不能のままで修理は2017年12月に完了予定ですが再配備に公試数か月が必要だとされています。
日本でも財務省の緊縮財政により、一方ではF35などの装備品を新規購入されているなどのこともありながら、その他の自衛隊の予算が減らされており、トイレットペーパーの節約が励行されたり、陸自では実弾を用いた訓練が減らされ、米国の軍楽隊よりも、実弾訓練がなされていないということを聞いたことがありますが、それにしてもドイツのように酷い状態ではありせん。

ドイツの軍事的脅威といえば、まずはロシアでしょうが、ロシアのGDPは東京都並みであり、しかも現状では、最大の財源である原油価格はコロナ以前から低迷して世界的な需要減になっています。だから、軍事的脅威はあまり感じていないのかもしれません。日本は、中国や北朝鮮に隣接しているという特殊事情がありますから、ドイツのようなわけにはいかないのかもしれません。それにしても、ドイツでは、なぜこのように緊縮財政がまかり通るのか、不思議というほかありません。

08年の世界金融危機はアングロ・サクソン型の資本主義が作り出したものだとドイツ人は考えているようです。しかし、自分たちは別の道を歩んでいると考えているようです。確かにドイツは英米とは同じではありません。例えば、ドイツは労働規制が厳しく、労働時間は世界最短です。

しかし、こうした考え方は欺瞞です。実際、ドイツ銀行は強欲さにおいてウォール街に決して引けを取りません。市場の自由と規律を重んじるドイツ政府は、計画経済とケインズ主義に反対し、他国に緊縮財政を押しつけています。ドイツ連邦銀行を模範として作られた欧州中央銀行は物価安定に固執しています。

ギリシャなど危機に陥った国は外部からの助けを必要とし、ドイツに大きな期待が寄せられていました。ところが、ドイツは覇権国として弱小国を助ける力と意思を持っていないようです。逆に準覇権国として、弱小国に緊縮と構造改革を押しつけたのです。これが危機を悪化させ、ヨーロッパを分裂させました。

しかし、ドイツ人から見れば、こうした行動は防衛的なものなのでしょう。その意味で、現在の「ドイツ帝国」は覇権を強化し、他国に侵略し続けたナチス時代の第三帝国とは異なるようです。

破壊はたやすく、建設は難しいです。現在のドイツは、中東、世界環境、貿易などの問題で、秩序を建設する力も意思もないようですが、破壊するための力と意思は有り余っているようです。

このようなドイツの財政政策が日本の参考になるはずもありません。見習うべきは、米英の財政・金融政策だと思います。金融政策にいては、ドイツはEUに属しており、EUの中央銀行がこれを定めるので、これも日本には参考になりません。

しかし、そのドイツの財政政策を高橋洋一氏が見習うべきと言うには、それなりの理由があります。それは緊縮大好きのドイツでさえ、今年7月から12月までの期間限定で、付加価値税の税率を19%から16%へ引き下げる消費減税を行うからです。

何しろ定額給付金と異なり、すぐに実施でき効果が出る政策です。実施しない手はありません。

ドイツではさらに、大きな動きがあります。

ドイツのメルケル首相(右)とショルツ財務相( 左)

ドイツのショルツ財務相は大規模な景気刺激策の資金調達のために追加で最大500億ユーロ(568億ドル)の借り入れを検討しているそうです。協議に詳しい政府高官がロイターに話したそうです。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気への打撃に対処するため、これまで緊縮財政派だったドイツが域内で最も支出が大きい国の一つに政策を転換する動きとなりそうです。

高官によると、メルケル政権は1300億ユーロの景気刺激策を賄うため第2次補正予算案を17日に承認させる計画。別の高官も、政権が17日に補正予算を可決させたい意向だと話したそうです。ドイツ財務省は借り入れ規模が当初想定の250億ー300億ユーロを上回るとみているといます。

高官2人によると、財務省は下半期に起き得る予想外の状況に対し、財政的な余裕を広げたい意向だそうです。

ドイツでは3月、国債発行による1560億ユーロの補正予算が成立。追加で最大500億ユーロを発行した場合、今年の新規発行額はドイツの国内総生産(GDP)の約6%に当たる2000億ユーロを超える可能性があります。

財務省の報道官は追加の国債発行について明確な数字を明らかにしませんでした。 政府は今年の債務残高がGDP比で75%を超えるとみています。大規模な景気刺激策を導入した10年以上前の世界金融危機以来の高水準です。2019年は60%をやや下回る水準でした。

緊縮大好きドイツが、このように域内で最も支出が大きい国の一つに政策を転換しそうな状況になってきました。

一方日本はどうなのでしょうか。日本では、昨年の消費税を10%に引き上げたことによって、日本経済はかなり低迷していました。そこにさらに今回のコロナ禍が追い打ちをかけました。

安倍首相は増税前に「リーマン級の経済悪化がない限り増税」と言っていました。今回のコロナ禍は、間違いなくリーマン級の経済悪化を超えるものになります。さらに、あの緊縮大好きのドイツでさえ、減税と、支出を大幅に増やすと言っているのですから、これ以上の減税の口実はないかもしれません。

これで、財務省を説得して、減税に踏み切るか、財務省を説得できないなら、解散総選挙の公約にしてでも、減税を実施すべきです。

その動きは、もうあります。例えば、安倍晋三首相は10日午後、麻生太郎副総理兼財務相と官邸で約1時間会談しました。麻生氏は安倍首相の「相談相手」として知られますが、平日の日中に、これほど長時間話し合うのは異例です。

新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を受けて国内外に難題が山積するなか、今後の政権運営について協議したとみられ、さまざまな臆測を呼んでいます。

国会会期末(17日)を前に、第2次補正予算を成立させた後、第3次補正予算を編成すべきかなどを話し合った可能性があります。第2次補正の財源では、かなりの国債を充てているものの、それでも国債の金利が上がることもなく、まだまだ国債を刷り増し、日銀による買取で、第3次補正にも十分に資金が割り当てられる余地があることも確認したかもしれません。

経済政策では、「消費税減税」を求める声があります。「消費税減税」と「衆院解散」は検討課題になった可能性があります。

私も減税は賛成です。ただし、緊縮大好きのドイツを見習うべきでない点もあります。それは、ドイツが今年7月から12月までの期間限定で、減税を行う点です。さすがドイツです。どこまでも、緊縮が大好きなようです。

本来は、期間限定ではなく、物価目標や雇用目標を定めて、その目標が達成されるまで、財政政策や、金融政策を継続すべきなのです。

日本では、ドイツ方式ではなく、物価目標2%を実現してもすぐに消費税を元に戻すのではなく、明らかにインフレになった時に元に戻すべきです。物価目標が達成できないなら、最初は8%への減税から、それで物価目標が達成できないのなら5%に、それでもまだ駄目なら0%にして、物価目標が達成できるまで、続けるべきです。

それで令和時代は、平成時代の負の遺産であるデフレときっぱりと決別できます。

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2020年6月10日水曜日

中国に隠ぺい新疑惑! 武漢市で新型コロナ感染“昨夏拡大”か 米ABCニュース「中国がWHOと結託、解明を困難にしている」— 【私の論評】昨年の夏にすでに武漢ウイルスの蔓延の事実があれば、世界の世論は激昂する!(◎_◎;)

中国に隠ぺい新疑惑! 武漢市で新型コロナ感染“昨夏拡大”か 米ABCニュース「中国がWHOと結託、解明を困難にしている」


中国・武漢の病院窓口に並ぶ市民ら。新型コロナウイルスは早くから拡大していたのか=1月31日

 新型コロナウイルスが、中国湖北省武漢市で昨年夏から広がり始めていた可能性があるという研究結果が発表された。米ハーバード大学医学部のチームが、衛星画像とインターネット検索のデータをもとに分析したという。中国政府は7日に公表した新型コロナウイルスの白書に「武漢市で昨年12月27日に『原因不明の肺炎』を確認し、今年1月3日に世界保健機関(WHO)に報告した」と記載しているが、事実はまったく違うのか。ノンフィクション作家の河添恵子氏による緊急寄稿第16弾-。


 「2019年夏、(武漢市で)起きたのかもしれない」

 こう語ったのは、ハーバード大学医学部のジョン・ブラウンスタイン教授である。ボストン小児病院のイノベーション責任者でもあり、医療センターの計算疫学研究所長も務める人物だ。

 注目の調査結果は、米ABCニュースが8日、「衛星データは、コロナウイルスが以前、中国を襲った可能性を示唆している」とのタイトルで報じた。米CNN(日本語版)も9日、「武漢市の新型コロナ、昨夏にすでに感染拡大か」と伝えている。

 ブラウンスタイン氏の研究チームはまず、18年と19年の商業衛星の画像を解析した。昨年夏の終わりから秋にかけて、武漢市にある5カ所の主要な病院周辺で、交通量が大幅に急増していた、という。

 昨年10月、武漢科技大学天祐医院の駐車場の車両数は前年同月と比べて、何と67%も多かった。華中科技大学同済医学院付属の湖北省婦幼保健院の交通量も昨年9月にピークを記録していた。

 さらに同時期、中国の検索エンジン「百度(バイドゥ)」において、「せき」「下痢」などのキーワードで検索する回数が激増していた。「せき」や「下痢」は現在、「武漢肺炎」の典型的な症状として認識されている。

 これらのデータと新型コロナウイルスの関係を直接証明できないが、研究チームは「呼吸器疾患は、地域で特定の行動パターンにつながる」「行動パターンを示す衛星画像は、患者が当時、重大な問題に気づいていなくても、何かが起きていたことを説明するのに役立つ」という視点で調査・分析した。

 ブラウンスタイン教授は「新型コロナウイルス大流行の始まりとされる以前から、明らかに社会的混乱が起きていた」「この研究が、新型コロナウイルスの『起源の謎』の中で、重要かつ新しいデータポイントになった」と総括している。

 実は、日本でも昨秋、医師が「なかなか治らない不可解な肺炎が流行っている」と語っていたのを、筆者も聞いている。また、葬儀関係者が「昨秋から年末にかけて肺炎死が激増した」とオフレコで語ってくれた。

     武漢市には約200社の日本企業が進出しており、人々の行き来は頻繁だった。日本にも同時期、武漢ウイルスが入ってきていた可能性は捨てきれない。

 前出のABCニュースは「世界の一流科学者、専門家が新型コロナウイルスの秘密を明らかにするため競争している。だが、中国当局がWHOと結託し、西側社会との完全なる協力体制を拒否していることが、その解明を困難にしている」と報じていた。

 欧州一の発行部数を誇るドイツの週刊誌「デア・シュピーゲル」最新号では、WHO名誉事務局長のグロ・ハーレム・ブルントラント氏がインタビューに応じ、「中国共産党の報告の遅れが流行拡大の原因」「ヒトへの感染経路は1月1日には明確だったが、中国共産党は1月20日まで公に確認しなかった」と批判した。

習近平
習近平政権の「人命無視」の隠蔽体質を、世界は決して放置しないはずだ。

 ■河添恵子(かわそえ・けいこ) ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)、『覇権・監視国家-世界は「習近平中国」の崩壊を望んでいる』(ワック)など。

【私の論評】昨年の夏にすでに武漢ウイルスの蔓延の事実があれば、世界の世論は激昂する!(◎_◎;)

私はこのブログで以前米国はウイルスの発生源がどこであるかなどを突き止めることに労力を費やすよりは、武漢の中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中共がこれを隠蔽したことが後にパンデミックを招いたことこそ詳細に調査するべきであると主張しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国が言い張るコロナ「市場起原説」は覆されるのか―【私の論評】中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中共がこれを隠蔽したことが後にパンデミックを招いたことこそ詳細に調査するべき(゚д゚)!

武漢にある中国政府のウイルス研究機関(手前) 
これは、今年4月19日の記事です。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 この記事から一部を引用します。
中国ウイルスの発生源がいずれであろうと、それが生物兵器であろうとなかろうと、それに米国などが資金援助をしていたかどうかなどとは、別にして、 少なくとも一人、あるいは複数の高名な医師が、十分に世界が、そうして当の中国が、中国ウイルスに対応できる時間がある段階でこのウイルスを突き止めたにもかかわらず、中国政府は対応する措置を取る代わりに情報の隠蔽を試み、そうした声、良識ある声を黙殺し、情報を抑え込んだことは事実です。
米国やフランスも、「中国・武漢の生物研究所から流出」「中国政府による発生源の情報隠蔽」などを追求することも実施できるならすべきですが、中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中国政府がこれを隠蔽、それが後のパンデミックにつながったことこそ、時系列的に整理し、詳細を調査するべきです。
それなしに、他の調査を詳細に行ったところで、それが今後中共がパンデミックスを起こすことを防ぐための端緒にはならないどころか、中国に格好の隠れ蓑を与える結果になってしまいかねません。
そうして、詳細を調査し、さらに具体的な改善点を指摘し、それを中共に実施させるべきです。そうして、実施したか否かを模擬的に試験などをして、調査すべきです。
そうして、もし中国がそうした要請に応じないというのなら、世界の国々は、中国を自分たちの社会から隔離すべきです。これは、厳しい措置にみえるかもしれませんが、曖昧にしたまま、中国を隔離しなければ、次に何か中国発でウイルスとなども含めて、危険なことが発生した場合、また危機が世界に及ぶこと可能性は否定できないどころか、かなりの高い確率で発生しうるからです。
なぜこのような主張をしたかと言えば、発生源を辿ることは学問的に意義があることですが、政治的にはほとんど意味がないどころか、中共に格好の隠蓑を提供することになる懸念があったからです。私は感染学という学問の立場からの研究まで、否定するつもりは毛頭ありません。

米国などが、政治的意図で、発生源が中国国内でないと突き止めた場合は、中国はそれを格好の宣伝材料に用い、今回のパンデミックは、中国も被害者であり、発生源になった国を糾弾すべきとの、プロパガンダを打つことでしょう。

発生源が明らかにならなくても、あるいは中国であることが明らかになっても、中国はこれをプロパガンダに用いる可能性は、十分にあります。米国などが、これを立証できない場合、中共が証拠を捏造し、発生源は中国ではないし、中国は被害者であると主張する可能性が十分あります。

米国などが、発生源にこだわり、学術的な探索ではなく、政治的な目的で、発生源調査をして、それなりの時間をかけてると、中共にこれを利用され、発生源は米国であるとか、日本であるとのでっちあげをされて、数十年後には、「武漢ウィルス」や「美國(中国語で米国の意味)ウィルス」になってしまっているかもしれません。

日本はすでに、そのような被害を受けています。日本軍による南京虐殺30万人などは、その典型です。中共はまともな総力戦を、戦ったことが一度もないので、そのような話をでったあげ、人民に信じ込ませることができました。

30万人を殺すという作業がとてつもない手間と労力であることを彼らは認識していないようです。これと同じように、武漢ウイルスを米国起源とすることなど、彼らは躊躇もなくやってしまう可能性は十分あります。

それが事実であろうが、なかろうが、どうでも良いのです。ただ、中国の人民が信じれば、それで良いのです。それによって、中共の統治の正統性が高まれば、それで良いのです。中国の人民の他に、他国の左翼などがそれを信じこみ、米国を糾弾すれば、さらに自分たちに有利になり、さらに彼らにとっては、良いことです。

南京虐殺記念館 壁に各国の言葉で「犠牲者30万人」と刻まれている

そんなことは絶対に避けるべきなのです。だからこそ、私は、米国が政治的意図を持って、武漢ウイルスの調査をするなら、中国人医師らが、ウイルスの存在を突き止めた段階で、中国政府がこれを隠蔽、それが後のパンデミックにつながったことこそ、時系列的に整理し、詳細を調査するべきと主張したのです。

しかし、うえの新たな情報は、発生源に関するものではなく、「武漢市の新型コロナ、が昨夏にすでに感染拡大していた」可能性を示唆するものです。

これが明らかになれば、習近平政権の「人命無視」の隠蔽体質を露わにし、多くの人命を失った世界、特に先進国はこれを許さないことでしょう。

中国がこれを一切認めず、南シナ海の実行支配を国際司法裁判所の裁定で無効とされた後でも、実効支配を続けたように、被害者面を続け何も改めようとしなかった場合、世界は中国に対処するため、国境封鎖などの厳しい措置に出ることも十分予想されます。

中国はそれでも、南シナ海の実効支配の経験があるので、米国は結局何もできないだろうと、たかを括っているかもしれませんが、今度ばかりはそうはいかないでしょう。

特に甚大な被害を被った米国世論は、激昂するでしょう。

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ノーベル賞作家、中国が「独裁国家」でなければ事態は違った 新型コロナ―【私の論評】中国に対する怨嗟の声が世界中から沸き上がり世界は大きく変わる(゚д゚)!



2020年6月9日火曜日

【日本の選択】習主席の「国賓」来日“事実上の白紙”は朗報 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない — 【私の論評】日本の経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」から解き放たれ、自由に羽ばたくことができるようになる!(◎_◎;)

【日本の選択】習主席の「国賓」来日“事実上の白紙”は朗報 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない 
米中貿易戦争

安倍首相(右)と、トランプ大統領は「共通の価値観」を共有している。

   中国の習近平国家主席の「国賓」来日が、事実上の白紙となったようだ。新型コロナウイルスの世界的感染拡大(パンデミック)を受け、日中両政府は今春の来日を延期していたが、無期延期状態が継続しそうだというのだ。習氏率いる中国共産党政府には、「死のウイルス」の初動対応や、「高度な自治」を無視した香港への強硬姿勢をめぐり、米国をはじめ世界各国で批判が高まっている。「米中新冷戦」も指摘されるなかで「日本の選択」とは。新進気鋭の政治学者、岩田温氏が斬り込む。


 コロナ禍があぶり出したのは冷厳な事実だ。

 「リベラル」と称する人々は、国家の存在を軽んじ、「国家の時代は終わった」などと安易に主張していた。だが、パンデミックという世界的な危機に際して、適切な対応を取ることが可能だったのは国家だけであった。

 もちろん、国家間の協調が重要であることは言をまたないが、国家を超越した組織が国家以上に機能することはなかった。あくまで現代政治の基本単位は国家なのである。

 空想を排し、冷静に現実を眺めてみると、必然的にわが国の進むべき道がみえてくる。

 コロナ以前から既に「米中対立の時代」に入っていたが、コロナの問題を機にますます対立は深まっていくだろう。それは現実政治において米中が対立するだけでなく、「あるべき国家とは何か」という理念上の対立にまで発展する。

 ドナルド・トランプ米大統領は名指しで中国を批判し、中国も米国を強く非難している。だが、こうした表面的な批判の応酬以上に重要なのが理念としての国家のあり方なのである。

 ◇

 コロナ禍があぶり出したのは冷厳な事実だ。

 「リベラル」と称する人々は、国家の存在を軽んじ、「国家の時代は終わった」などと安易に主張していた。だが、パンデミックという世界的な危機に際して、適切な対応を取ることが可能だったのは国家だけであった。

 もちろん、国家間の協調が重要であることは言をまたないが、国家を超越した組織が国家以上に機能することはなかった。あくまで現代政治の基本単位は国家なのである。

 空想を排し、冷静に現実を眺めてみると、必然的にわが国の進むべき道がみえてくる。

 コロナ以前から既に「米中対立の時代」に入っていたが、コロナの問題を機にますます対立は深まっていくだろう。それは現実政治において米中が対立するだけでなく、「あるべき国家とは何か」という理念上の対立にまで発展する。

 ドナルド・トランプ米大統領は名指しで中国を批判し、中国も米国を強く非難している。だが、こうした表面的な批判の応酬以上に重要なのが理念としての国家のあり方なのである。
    米国が最も重視するのは「自由と民主主義」だ。これは米国の一貫した理念であり続けている。

 これに対して、中国が掲げるのは「共産党によって強力に指導された政治体制」だ。中国が武漢におけるウイルスを封じ込めたと喧伝した際、中国共産党の強力な指導体制を誇った。これは単純に共産党をたたえているのではなく、「自由民主主義社会は自分たちの理念ではない」ことを暗に世界に示したのだ。

 危機の際、自由民主主義社会の対応が遅れがちになるのは事実だ。なぜなら、自由民主主義社会においては効率以上に「国民の基本的人権」や「自由」を尊重するからだ。国民の権利や自由など全く意に介することなく、ひたすら効率を追い求める非・自由民主主義社会の方が迅速な対応を取ることが可能である。

 だが、効率のみを追求する社会において、人々は幸せに生きることができるのだろうか。

 現在、香港で「国家安全法」が導入されようとしており、多くの市民が怒りの声をあげている。なぜ、彼らは必死に戦うのか。それは、「自由民主主義社会こそが、最も人間らしく生きることができる」という確信があるからだ。

 天安門事件(1989年6月4日)を思い返せば分かるように、中国は「経済の自由化」は認めても「政治の自由化」は認めない。なぜなら、政治の自由化は中国共産党による支配を根底から覆す可能性が高いからだ。

 一度、香港の自由が失われれば、自由を復活させることは困難だ。「表現の自由」「思想信条の自由」などの自由が奪われ、生きづらい社会が到来する。

 ■習主席の「国賓」来日「事実上の白紙」は朗報

 米中対立の時代に、わが国はどうあるべきなのか。

 多くの日本国民は、その重要性を閑却(かんきゃく=いい加減にしておくこと)しがちだが、われわれもまた自由を享受して生きており、そうした体制の下における生を望んでいるのだ。「リベラル」を自称する人々は「安倍独裁」などというが、テレビで堂々と政権批判をしても何も問題とならないわが国が独裁政治であるはずがない。

 習主席の「国賓」来日が「事実上の白紙」となったとの報道があった(産経新聞6日朝刊)。朗報というべきだ。香港への「国家安全法」の導入決定問題を厳しく論ずるべきときに、習主席の鼻息を仰ぐような態度をとるべきではないからだ。

 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない。もちろん、中国との対立を激化させる必要はない。しかし、理念が異なる国家であることを忘れずに堂々と批判すべきときには批判すべきなのだ。基本的人権を無視し、国民の自由を蹂躙(じゅうりん)する国家に阿諛追従(あゆついしょう=気に入られようとして、媚びへつらうこと)してはならない。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部政治行政学科准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。

【私の論評】日本の経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」から解き放たれ、自由に羽ばたくことができるようになる!(◎_◎;)

安倍晋三首相も、基本的人権を無視し、国民の自由を蹂躙する国家に阿諛追従するつもりはないようです。

安倍晋三首相は9日の衆院予算委員会の国民民主党の渡辺周氏への答弁で、中国の習近平国家主席の国賓来日に関し、日程調整を当面行わない考えを表明しました。新型コロナウイルス感染症に触れ「状況を収束させることが何よりも重要だ。日中間で意思疎通を続けるが、少なくとも今は具体的な日程調整をする段階にはない」と述べました。

9日の衆院予算委員会の国民民主党の渡辺周氏への答える安倍総理

中国による香港への国家安全法制導入決定を巡り「情勢を深く憂慮している。香港は一国二制度の下、自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展することが重要だ」と改めて強調しました。

当然といえば、当然の反応です。そうして、政府としては、これからの世界がどのように変わっていくのか、見通しをもって今後の政策を遂行していくべきです。

これからの世界は、どのように変わっていくのでしょうか。コロナ禍による社会隔離措置の結果として、全世界的に、サービス消費に関わる産業の多くが世界的に壊滅的な打撃を受けています。

一方、巣ごもり消費やリモートワーク等の恩恵を受ける分野では代替需要と特需が発生していることも、見逃されるべきではありません。経済全体に対しては良くない影響がありながら、それとともに、勝ち組と負け組を二極化させることもまた、「コロナ共生の時代」の特徴として捉えておくべきです。

もちろん、コロナ狂騒曲はいずれ終焉を迎えます。その後、「コロナ共生の時代」の優劣が続くとは限らないです。しかし産業構造が「コロナ以前」の時代へと再び回帰するかと問われれば、それも難しいといわざるを得ないです。

なぜなら、コロナ以前の時代から始まっていた国際政治経済の変化がコロナ禍を触媒として加速しているからです。これが最終的に受容されることになれば、社会構造の変化が言わば「コロナ遺産」として残され、「コロナ後の時代」における経済産業構造を規定することにります。

コロナ以前から既に始まっていた国際政治経済の一つの潮流が「主権国家の逆襲」もしくは、グローバルガバナンスの修正でした。国家は「国家主権」「民主主義」「(ハイパー)グローバリゼーション」の三つのうち、少なくとも一つを放棄せざるを得ません。

ダニ・ロドリックが提唱した、この有名な「国際政治経済のトリレンマ」になぞらえれば、冷戦終結を契機として西側諸国は国家主権を限定することと引き換えにグローバリゼーションを進展させてきたとも言えます。

しかし進み過ぎたグローバリゼーションは深刻な問題を露呈させました。第一は、「底辺への競争」と「再分配機能の低下」に伴う(国内)格差の拡大です。これは戦間期(第一次大戦終結から第二次大戦開始まで)としばしば重ねられる現象でもあります。グローバリゼーションの恩恵にあやかるべく、各国は競って(法人)所得減税・関税減免・規制緩和に励む。その財源は、(輸出に有利な)付加価値税の増税です。

結果として資本効率は高まるのですが、他方で実質的な労働所得は抑制されることになります。わかりやすくはっきり言えば、資本家と労働者の格差が拡大します。トマ・ピケティの議論を持ち出すまでもなく、トランプ現象にせよ、サンダース旋風にせよ、英国のEU離脱にせよ、大陸欧州で深刻化するネオナチ運動にせよ、通底しているものは皆、ルサンチマンが導くグローバリゼーションに対する反発だったのかもしれません。

露呈した第二の問題は、中国共産党の台頭に伴う「(サミュエル・ハンチントンが指摘するところの)文明の衝突」リスクの顕在化です。グローバリゼーションの進展が中国経済の躍進に機会を与えたことは言うまでもないのですが、中国の台頭は通信・航空技術など軍事関連分野でもリープフロッグ型発展を促し、西側諸国の安全保障を脅かすに至りました。米中冷戦の底流にこの問題が存在していることもまた、論をまたないでしょう。

これらへの対処こそが、「ポスト・コロナ時代」への伏線だった、とは考えられないでしょうか。第一の問題への処方箋として検討されていたのが「ベーシックインカムに代表される所得再分配制度の再設計」、および「過度なグローバリゼーションの是正(と国家主権の回復)」です。

第二の問題への処方箋としては、「経済のブロック化と内製化の進展」、「軍事関連技術への国家的介入」などが検討・実施されてきました。無論、グローバリゼーションによる経済的恩恵を放棄しながら上述したような政策を行うためには、莫大な財源確保を必要とします。この財源問題を克服するに当たって一部で検討されていたのがシニョレッジ(通貨発行益)の議論でもありました。

上述したような処方箋の多くが、主流派の経済学者・政治学者らの目には荒唐無稽な発想に写ったに違いないです。しかし翻って現在、コロナ禍への対応を口実として、前述した対策と近しい政策が矢継ぎ早に実行に移されていることは否定できないです。

国際移動は半ば強制的にシャットダウンされました。内製化およびサプライチェーンの再構築に向けて、国家を挙げた対策が講じられています。ボーイング等に代表される軍需関連産業の保護は早急に進められています。

リモートワーク推進等を奇貨として、中国共産党が近年進めてきたことと全く同様に、仮想空間における監視強化と通信技術の発展が志向されることになるかもしれません。緊急事態宣言により国民主権は一部制限されることになりますが、他方で、一時的とはいえベーシックインカムに近しい現金給付が行われ、一定水準の生活が保障されます。そして政府支出の増加は中央銀行の量的緩和によって一旦ファイナンスされます。

かつて荒唐無稽と一笑に付されてきた「グローバルガバナンスの修正」に向けた過激な政策が、コロナ禍を触媒として予定調和的に進められているのが現状だとと見做すこともできるかもしれません。

もしそうだとすれば、コロナ制圧後の人類は新たな世界秩序を受容するのでしょうか。それとも、コロナ以前の世界を希求するのでしょうか。この社会選択が「ポスト・コロナ時代」における経済産業の「ゲームのルール」を強力に規定することになるでしょう。

コロナ制圧後の世界秩序はまだどうなるかは、わかりませんが、中国は一党独裁のため、民主化ができず、グローバリゼーションと国家主権に拘泥しようとするのですが、ある程度民主化しなければ、世界の大きなプレイヤーである日米などの先進国と貿易ができなくなるでしょう。

かといって、先進国とは別の経済圏を作ったにしても、結局は旧ソ連と同じで、その経済圏が発展することもなく、ソ連と同じで衰退していくことになるでしょう。米国は中国が体制を変えない限り、制裁をさらに加速します。

そうして中国はソ連と同じ運命を辿り、崩壊するか、今の体制のまま、経済が衰退して世界に対して影響力を及ぼすことができなくなるでしょう。

日本については、グローバリゼーションの度合いを減らすことにより、自給自足型経済で“V字回復”し、黄金時代を迎えることになるでしょう。

コロナ禍の前は、明らかに人手不足傾向でしたが、コロナ禍により、一時的に雇用がダメージを受けるかもしれませんが、反グローバル化で、自給自足型経済を推進すれば、また人手不足の状況に戻り、それが日本の大繁栄の基礎となるでしょう。

恒常的人手不足により、誰もが普通に働けば生活に困ることなく、普通に努力すれば、応分に報いられる社会に変容していくことでしょう。ただし、リーダーといわれる人々には大変な時代となります。

利害が対立しがちな部門同士の調整をするとか、カリスマ性を発揮するなどの従来型のリーダーシップから真のリーダーシップを発揮することが求められるようになるでしょう。

これについては、すでにこのブログで解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
自給自足型経済で“V字回復”日本の黄金時代到来へ! 高い衛生観念でコロナ感染・死者数抑え込みにも成功―【私の論評】今後も続く人手不足が、日本を根底から変える。普通の人が普通に努力すれば応分に報いられる時代がやってくる(゚д゚)!



詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を掲載します。
常に人手不足にさらされるこれからの時代には、合理性を無視した極端な緊縮財政や極端な金融引締は回避されるのではないかと思います。であれば、日本は黄金時代を迎えるのは、間違いないと思います。
ただ、日銀や財務省は、国民による厳しい監視を続け、昨年の増税などの非合理な動きをしたときには、厳しく糾弾していく必要性は、ここしばらくはありそうです。
日本が反グローバル化の波に乗り、ある程度は自由貿易をしつつも、自給自足型の経済に戻れば、 間違いなく黄金期を迎えます。

ただし、日銀や財務省が政策を間違え、それを政治家が正せないようなら、黄金期を迎えることはできないかもしれません。日本が黄金期を迎えられるか否かは、日本が軍事的脅威にさられる以外は、国外の事情とはあまり関係ありません。

一重に、国内の財政政策と金融政策が問題です。これらが、まともに遂行されれば、日本は黄金期を迎えます。財務省や日銀が誤った政策を実施しても、それを政治家が修正できなければ、平成時代と同じく、デフレが続くことになります。

そうして、日本が黄金期を迎えれば、日本の社会は変わります。「国際政治経済のトリレンマ」でいうところの、「(ハイパー)グローバリゼーション」を捨て去り、日本は黄金期を迎えるわけですから、「国家主権」「民主主義」のいずれを強めても成り立つわけです。

そうなると、これらの両方を強化をすべきです。今の日本で、「国家主権」と「民主主義」のいずれが、強化できる余地があるかといえば、言わずもがなの「国家主権」です。

ただし、民主主義も欠けている面などは、補いつつも、国家主権を強化すべきです。そうして、黄金期を迎えた、日本ではそれ比較的容易になるはずです。

今でも、現在コロナ対策の二次補正予算はバラマキなどとのたまう、政治的にも経済的にも物差しが狂った野党はほとんど相手にされなくなっているでしょう。まともな野党だけが、多くの国民に支持されることになります。

そうなると、憲法改正などの「国家主権」に関わる分野は、かなり是正できることになります。その頃には、中国はかなり弱体化しており、その影響力もほとんどなくなり、日本は「国家主権」を強化することが容易になるはずです。

これには、米国の議会も大統領も賛成することでしょう。彼らも、戦後長期にわたって、平和主義を貫いてきた日本が、よもや中国のように米国を脅かす存在になることはなく、頼りになるパートナーが生まれることを期待するようになるでしょう。

日本経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」からも解き放たれて、自由に羽ばたくことができるようになるでしょう。

黄金期を迎える日本の将来を信じて、政府はそれを目指して、戦略を立てるべきです。私たちも、その未来が来ることを信じて、まずは目の前の私たちの責務を果たしていこうではありませんか!

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2020年6月8日月曜日

【新型コロナと米中新冷戦】中国共産党「全正面同時攻撃」の“粗雑” 『超限戦』著者は「米国に絞って対決せよ」と主張 — 【私の論評】コロナで変わった世界で、米中対立は短くて2年、長くて4年で決着がつく‼︎

【新型コロナと米中新冷戦】中国共産党「全正面同時攻撃」の“粗雑” 『超限戦』著者は「米国に絞って対決せよ」と主張 
米中貿易戦争

中国全人代に出席した習近平国家主席(左)と、李克強首相=5月22日、北京の人民大会堂


     新型コロナ禍における中国共産党が採用した措置について、私は「実に『超限戦』的だ」と思ってきた。『超限戦』(角川新書)は、1999年に出版されて世界的なベストセラーになった本だ。同書は、「目的のためには手段を選ばない。制限を加えず、あらゆる手段を活用して目的を達成せよ」と主張している。

 中国共産党は現在、米国やNATO諸国、台湾、香港の反中国勢力など、多くの国・組織・個人を敵に回す「全正面同時攻撃」を展開している。

 具体的には、沖縄県・尖閣諸島周辺や、南シナ海での中国海警局の不法行動、インド国境付近での国境争い、台湾軍事統一の脅し、香港国家安全法を制定しようという動きなどだ。そして、外交における「戦狼外交」だ。

     5月末に、中国共産党の権威主義を示す2つのイベントがあった。同月28日に、香港に「国家安全法」を直接導入する方針が決定し、翌29日に「反国家分裂法」の制定15周年を記念する式典があった。

 式典に参加した人民解放軍の李作成総参謀長は「台湾との平和的な再統一の可能性がなくなった場合、必要なあらゆる手段を用いる」「われわれは武力行使を放棄すると約束しておらず、台湾海峡の状況安定と制御のために必要なあらゆる選択肢を持っている」と台湾に警告した。

     一方、『超限戦』の著者である喬良・退役空軍少将は、中国共産党とは違う主張をしている。

喬良・退役空軍少将


 例えば、喬氏は「主敵である米国に集中すべきだ」「ギャングの抗争においては、まず最も強い相手(ボス)を倒すことに集中するのが原則だ。ボスを倒してしまえば、雑魚は怖がる。まず、強敵に対処すべきで、その他の弱い相手にかまうべきではない。台湾が本当に独立の行動を起こさない限り、台湾を相手にすべきではない」「米国との力比べ(腕相撲)に集中すべきだ」「香港国家安全法は不可欠であり、香港問題はローカルな問題ではなく、米中対立の第一線だ。米国の抑圧をかわす重要な戦場だ」「中国が米国の包括的な抑圧に抵抗できれば、香港も抵抗できる。結局、香港問題は中米の競争問題なのだ」と主張している。

     つまり、喬氏の考えでは、現在、台湾よりも危険なのは香港であり、香港が米中対立の最前線になるという判断だ。

 軍事のセオリーでは、「全正面同時攻撃」は圧倒的な力がないと失敗に終わる。中国共産党が行っている「中国の意に沿わない国家・組織・個人をすべて攻撃する」やり方は粗雑だ。喬氏が主張する「米国に焦点を絞って対決せよ」は間違っていない。喬氏は手ごわい。

 ■渡部悦和(わたなべ・よしかず) 元陸上自衛隊東部方面総監、元ハーバード大学アジアセンター・シニアフェロー。1955年、愛媛県生まれ。78年東京大学卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後、外務省安全保障課出向、ドイツ連邦軍指揮幕僚大学留学、第28普通科連隊長(函館)、防衛研究所副所長、陸上幕僚監部装備部長、第2師団長、陸上幕僚副長を経て2011年に東部方面総監。13年退職。著書・共著に『中国人民解放軍の全貌』(扶桑社新書)、『台湾有事と日本の安全保障』(ワニブックスPLUS新書)など。

【私の論評】コロナで変わった世界で、米中対立は短くて2年、長くて4年で決着がつく‼︎

ルトワック氏

毎日新聞2018年10月14日付に、世界一の戦略家ルトワックのインタビューに関する記事が出ていました。その内容を以下に紹介します。
米国防総省のアドバイザーなどを務め、戦略論研究で知られるエドワード・ルトワック氏が来日し、毎日新聞のインタビューに応じました。貿易や知的財産権などを巡る米中対立について「長期間に及ぶことになる。対立は中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう」と語りました。そうして、米政界における親中派はもはや「壊滅状態」と指摘しました。(毎日新聞)
米国の「親中派」はこの時点で「壊滅状態」だったのです。驚くべきことです。米国は、ニクソンの時代から、基本的に一貫して「親中」でした。キッシンジャーは、70年代から「米中は事実上の同盟関係にある」と宣言していました。
中国が急成長をつづけることができたのは、米国(と日本)から資金と技術を好きなだけ受け取ることができたからです。レーガンもブッシュ(父)もクリントンもブッシュ(子)もオバマも、基本的には皆親中でした(オバマは、2015年3月のAIIB事件以降、反中)。ところが当時から「親中派は壊滅状態」だというのです。

当時から軍需産業や外交ロビーに加え、シリコンバレーなどのハイテク企業も対中圧力を求めるようになり、米政府の「締め付けが始まっている」と強調していました。
トランプ政権の発足直後、ハイテク産業は「自分たちのビジネスに干渉しないでくれという姿勢だった」が、中国による知的財産権の侵害事案が相次ぎ、現在は「ワシントンに来て、助けが必要だと要請するようになっている」というのです。(毎日新聞)
何と、シリコンバレーも「反中」に転じていたのです。米国は、「挙国体制」になったのです。
米中両国が核兵器保有国であることから「米中が軍事衝突する可能性はない」とも強調。ただ、その結果、かえって対立は長引き、共産党支配が終わる「レジーム・チェンジ(体制変革)」まで収束しないと予測しました。(毎日新聞)
これに関しては、このブログでは何度か掲載したことがあります。ルトワック氏は、米中共に、両国ばかりか地球を破壊できる量の核をもっています。だから大戦争(大戦闘)にはなりにくいです。主戦場は、「経済戦争」に移行しているのです。そうして、共産党支配が終わる「レジーム・チェンジ(体制変革)」まで収束しないと予測したのです。

そうして、このルトワック私の説は日本にとって 何を意味するのでしょうか。
1.安全保障面では、大きなプラス

皆さんご存知のように、中国は明確な「日本破壊戦略」をもっています。中国、ロシア、韓国で、「反日統一共同戦線」をつくる。 中ロ韓で、日本の領土要求を断念させる。 日本に断念させる領土とは、北方4島、竹島、尖閣・沖縄のことです。
 日本には、沖縄の領有権はない。 反日統一共同戦線には、米国も入れなければならない。

中国の現政権は、「日本壊滅」を願い、実際積極的に行動しているのです。ですから中共政権がなくなるのは、日本にとっては良いことです。
2.経済では悪影響のはずがコロナで状況は変わった
米国とソ連の冷戦時代、2つのシステム間には、ほとんど経済交流がありませんでした。それで、冷戦時代、日本は問題なく経済成長することができた。しかし、米中冷戦は、事情が違います。中国は、世界経済に完璧に組み込まれています。

冷戦下のソ連での軍事パレード

というわけで、米中貿易戦争の悪影響から、日本は逃れることができないでしょう。昨年は消費税増税、今年は、コロナが日本も直撃し、現在そこから、回復すべく日本は努力しています。
これによって日本では、マスク不足など過度な中国依存の弊害が明るみに出て、中国依存をやめようという動きが広がっています。この動きは日本だけではなく、全世界に広まっています。
米国など先進国は、中国をサプライチェーンから引き離そうとしています。そうなると、かつての米国とソ連の冷戦時代、に2つのシステム間には、ほとんど経済交流がなかった時代のようになるかもしれません。
そうなると、日本はまた、経済的に大発展するかもしれません。それについては、このブログでも掲載したことがあります。
3.日本の針路

日本は、習近平首席を国賓待遇で招くという話があります、安倍総理は「米国の敵国の大将」を招くのだという自覚をはっきりもっていただきたいと思います。

日中両政府が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期した中国の習近平国家主席の国賓としての来日について、年内の実施を見送ることが5日、分かっています。
習氏の来日は来年以降も無期延期状態が継続するとみられ、事実上、白紙となる公算が大きいようです。中国のコロナ対応や香港問題などへの強硬姿勢をめぐっては、米国をはじめ世界各国で批判が高まっており、政府高官は「習氏は来日できないし、来ないだろう」との見通しを明らかにしました。
米中貿易戦争で『歴史的岐路』に立つ日本としては、中国は負ける側であることをしっかり認識すべきです。日本は前回、負けるナチスドイツと同盟を組み、破滅しました。今回は、すでに「勝つ側」と「同盟関係」にあります。日本としては、しっかりと現状を維持すべきです

コロナによって、世界は随分変わりました。コロナ以前には、5年から10年かかった世界の変化が、コロナ後には1年から2年で変わるであろうことをイアンブレマー氏が語っていました。
私も、そう思います。私は、米中対立は中共が体制を変えるか、中共が体制を変えることを拒むなら、経済的に弱体化して世界に大きな影響を及ぼせなくなるまで続くだろうと見ています。そうして、コロナ前には、短くても10年、長けば20年継続するだろうと考えていました。
この長丁場の中では、『超限戦』の著者である喬良・退役空軍少将が主張するように、米国だけを相手にするとか、超限戦を挑むということも意味があったかもしれません。
しかし、金融制裁や資産凍結なども含むありとあらゆる手段で中国を潰そうとする米国に対抗するのは難しいです。しかも、コロナ禍により、他国も中国に対して硬化しています。いくら中国が米国だけを相手にしようとしても、他の国々がそれを許さないでしょう。
コロナ後の世界では、中国VS米国等の国々の対立は、短くて2年、  長くても4 年で決着がつきそうです。5年後には、中共は姿を消し、現在の中国を姿を消し、新たな国が生まれているかもしれません。その時には、チベットやウイグル、内蒙古や旧満州も別な国になっているかもしれません。

日本は、このような展望に立脚し、中国への経済ての依存を断ち切り、冷戦下の時のように、内需を拡大して、令和時代は、平成時代とは一線を画して、経済的にも黄金時代を迎え、国際的にも、米国と並んでリーダー的な地位を勝ち得るように努力すべきです。
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