2008年1月4日金曜日

御節とは?-原点を探ってみよう!!


上は、おせち料理を元旦に食べる様子の動画です。こういう姿は、日本からだんだん消えつつあるようです。いゃ、お正月というと昔は銘々膳でたべていたものですが、その習慣もなくなってしまいました。テーブルで御節とは、日本じゃないですね。最近はは、アメリカ人が日本酒を飲み、日本のお正月らしい料理を食べている人もいます。それに相手を思いやり、人間関係を重視する人が増えてきています。それに比較すると、日本人はコミュニケーション下手になり、人間関係が希薄化し、まるで私を含めて一昔前のつまらない、アホなアメリカ人のようになってきています。お正月くらいは、日本人らしく過ごしたいものだと思います。

さて、昨日は最近は御節に定番でついてくる伊勢海老の殻の活用方法を書きました。あのような内容を書くきっかけになったのは、周りの人特に若い人を中心に御節のことをきいたみたからです。現代の若い人は、御節は食べないようです。というより、御節が何なのかも判っていないようです。最近ライフスタイルが変わってきているので仕方のないことなのでしょうが、日本人として日本の文化としての御節に関して知っておくべきではないかと思い、今日は御節に関してその意味など掲載させいただきます。

お節とは?


 おせちを漢字で書くと『御節』という字になります。御節という言葉を耳にして、みなさんは何を思い浮かべますか? 私を含め、多くの日本人は、お正月に食べる重箱に詰まった豪華料理を思い浮かべるのではないかと思います。

 が、しかし。そもそも御節とはどのような意味があるのでしょうか? 今回、おせち料理を特集するにあたって、どうせなら‥‥と、思い、色々と語源やらその他の情報を調べてみたので紹介します。

 先ず、小学館発行の大辞泉という辞典で「御節」を調べてみると、次のような説明が書いてありました。

 [1] 節(せつ)の日に特につくる料理やお供えの餅。
 [2] 正月や五節句などの節日(せちにち)の事。

 このことからもわかる通り、元々は『御節』=『正月料理』の意味ではないようです。
 では、「おせち」という言葉が、私たちの中で、特にお正月に食べる料理を指す標準語のようになったのは、いつ頃からなのでしょう? 食の文化史(著:大 塚滋/中公新書)によれば、御節が重箱に詰めた正月料理を指すようになったのは、第二次世界大戦後の話しなのだそうです。なんでも、デパートでお正月料理 の箱詰めを売り出す際に、「おせち」という言葉を使ったため、日本中に「御節」=「正月料理」というイメージが広まったのだそうです。以外と歴史が浅くて ビックリ。

では、「御節」の語源は?

 「御節」=「正月料理」という歴史は短いにしろ、昔からお雑煮以外にも正月料理はあったはず。そう考えてお節の語源を調べた所、「おせち」とは、古代より朝廷で使われている「御節供」(おせちく)の略だという事がわかりました。
 「御節供」(おせちく)とは、朝廷の節日に行われる宴‥‥節会(せちえ)の席で振舞われる御馳走の事で、平安時代には、1月1日に元日節会(がんじつの せちえ)、1月7日に白馬節会(あおうまのせちえ)、3月3日に上巳祓(じょうしのはらえ)、5月5日に端午節会(たんごのせちえ)、6月晦日に六月祓 (みなづきはらえ)、7月7日に乞巧奠(きっこうてん)などの節日がありました。この節日に神に供えたり、お客さまに出された「御節供」(おせちく)が、 「おせち」と略され、主に正月料理を意味するようになり、又、「お節句」と文字を変えて、3月3日のひな祭りと、5月5日の端午の節句をあらわすように なったのだそうです。

ならば、庶民は正月料理をどう呼んだのか?

 「御節供」(おせちく)が朝廷の言葉であるなら、庶民は重箱に詰めた正月料理を何と呼んでいたのか、という疑問が浮かびあがってきます。そこで、先ず始めに「歌舞伎の演目」の中に何かヒントはないか、「歌舞伎の世界/著:藤波隆之」という本で調べてみました。

 歌舞伎のお正月の演目、といえば『春興鏡獅子/しゅんきょうかがみじし』という有名な演目があります。これは長い白髪のようなカツラを被った歌舞伎役者 さん(獅子の精)が、頭をぐるぐる回すシーンが見どころの演目で、舞台は江戸城大奥の新春祝賀会である鏡曳きの宴会の最中、という設定になっています。宴 会の余興で踊る人に、獅子の精が乗り移り、舞い狂うという筋のお話。
 ‥‥‥が、しかし残念。期待していたのですが、この歌舞伎の演目は、初演が明治26年との事で、さほど古く無いですし食べ物を食べるシーンも見あたらないので、ヒントにはなりませんでした。

 では、と言う事で気を取り直し、版画などの絵をパラパラめくった所「大江戸物知り図鑑/主婦と生活社」の中で、歌舞伎役者の家の正月風景を描いた「絵本 吾妻抉/重政画」を発見。絵の中に海老と橙(だいだい)が飾ってありました。(興味がある場合は大江戸物知り図鑑のp268を見てね)

 これは何であろうか? 海老と橙(だいだい)と言えば、お節料理に使われている食材です。続いて調べた「俳句歳事記」。こちらの中に、それらしきものが ありました。歳事記には、正月を現す季語として「蓬莢」(ほうらい)や「食積」(くいつみ)という言葉が紹介されています。

 (例)蓬莢に聞かばや伊勢の初便り‥‥松尾芭蕉
    食積を飾れる妻の老いしかな‥‥小合一保

 絵に書かれていた海老と橙(だいだい)はたぶん、「蓬莢」(ほうらい)や「食積」(くいつみ)に違い無い。そう思って語意を調べてみたら大当たりだったのです。(^-^)/やった~。

 「蓬莢」(ほうらい)とは、元を正せば関西方面で新年の祝儀に使っていた飾り物の1つ、との事。さかのぼると歴史は古く、平安時代から祝儀の席や宴会で の飾り付けに使われていたようです。室町時代になると、この「蓬莢」(ほうらい)は、主にお正月の飾りとされるようになり、飾りとしてだけでなく、実際に お客さまへ出して食べていたらしい。

 具体的にどのような物かと言えば、三方の盤の上に白米を盛り、熨斗鮑(のしあわび)、搗ち栗(かちぐり)、昆布、野老(ところ)、馬尾藻(ほんだわら)、橙(だいだい)、海老などを盛って飾ったもので、貯蔵品が主になっています。

 「食積」(くいつみ)とは、年賀の客をもてなすための料理を箱詰めにしたものを言いますが、「蓬莢」(ほうらい)飾りの江戸での呼び方なのだそうです。つまりは、「蓬莢」(ほうらい)や「食積」(くいつみ)というのが、昔でいうおせち料理を指す言葉でした。

では、なんでデパートは「おせち」で売り出したのか?

 上記からもわかる通り、庶民の間では、お正月料理を「蓬莢」(ほうらい)「食積」(くいつみ)と呼んでいたのに、何故、デパートでは「おせち」という名 前で正月料理を売り出したのでしょうか? この疑問について調べてみたのですが、資料が見当たらず、結果としては良くわかりませんでした。ただ、想像する に、デパートはイメージを大切にしている所があるので、高級感を出すために、本来は朝廷言葉であった「おせち」を利用したのではないかな? と思いまし た。また、お節料理を箱詰めにしたのも、デパートが最初のようです。これらについて詳しく知っている方がるなら、ぜひお聞きしたいのでどうぞ宜しく。

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