■
国士舘大学名誉教授、日本大学名誉教授・百地章
まとめ
- 選択的夫婦別姓法案の提出: 立憲民主党の野田代表は、来年の通常国会に選択的夫婦別姓法案を提出し、自民党に揺さぶりをかける意向を示している。
- 国民の意見: 国民の6~7割が同姓支持であり、通称使用を認める意見が多数を占めている。内閣府調査では、同姓維持・通称使用が42.2%を占め、別姓支持は20~30%にとどまる。
- 親子別姓の懸念: 選択的夫婦別姓制では、子供には親子別姓が強制されることから、69%の国民が子供に悪影響を及ぼすと懸念している。
- 経団連の提言と家庭視点の欠如: 経団連の提言が夫婦別姓論議を後押ししているが、経済的視点からのみで家庭や家族の視点が欠落していると指摘されている。
- 通称制度の法的強化: 通称制度を法律上の制度に格上げし、旧姓の法的根拠を明確にする必要がある。住民票に旧姓を併記する改正が提案されている。
百地章氏 |
立憲民主党の野田佳彦代表は、来年の通常国会に選択的夫婦別姓法案を提出し、自民党に圧力をかける意向を示している。夫婦別姓法案は平成8年に法制審議会が提案したものであるが、30年近く成立していない。その理由は、国民の多数が同姓を支持しているからである。具体的な調査によると、同姓の維持と通称の使用を支持する声が約70%に達しており、別姓の支持は20~30%にとどまっている。このことは、国民の意見が法案の成立に影響を与える重要な要素である。
さらに、選択的夫婦別姓制では、子供に親子別姓が強制されるため、国民の69%がこの制度が子供に悪影響を与えると考えている。具体的には、友人から親と名字が異なることを指摘されることや、名字の異なる親との関係に違和感や不安感を覚えることが多いとされている。このような意見は、子供の視点から見ても重要である。
また、経団連の提言が夫婦別姓論議を後押ししているが、経団連の提言は主に企業の経済的合理性に焦点を当てており、家庭や家族の視点が欠落していると指摘されている。記者会見では、経団連の幹部が子供への影響の重要性を認めながらも、具体的な対策を考えていないと述べている。
さらに、子供たちの91%が将来同姓を名乗りたいと希望していることも注目すべき点である。これに対して、親の利益が優先され、子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制は、児童の権利条約にも反する可能性がある。
通称制度に関しては、現在の制度の法的根拠を明確にし、使用範囲を拡大することが求められている。現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令に基づいているが、法律上の制度に格上げすることで、社会生活上の不便を解消することが可能である。このような法律の目的は、夫婦同姓制度のもとで通称の法的根拠を明確にし、国や自治体、民間企業に対して使用範囲の拡大を促すことである。具体的には、住民票の記載事項を改正し、旧姓を併記できるようにする方法が考えられている。
さらに、選択的夫婦別姓制では、子供に親子別姓が強制されるため、国民の69%がこの制度が子供に悪影響を与えると考えている。具体的には、友人から親と名字が異なることを指摘されることや、名字の異なる親との関係に違和感や不安感を覚えることが多いとされている。このような意見は、子供の視点から見ても重要である。
また、経団連の提言が夫婦別姓論議を後押ししているが、経団連の提言は主に企業の経済的合理性に焦点を当てており、家庭や家族の視点が欠落していると指摘されている。記者会見では、経団連の幹部が子供への影響の重要性を認めながらも、具体的な対策を考えていないと述べている。
さらに、子供たちの91%が将来同姓を名乗りたいと希望していることも注目すべき点である。これに対して、親の利益が優先され、子供には親子別姓を強制する選択的夫婦別姓制は、児童の権利条約にも反する可能性がある。
通称制度に関しては、現在の制度の法的根拠を明確にし、使用範囲を拡大することが求められている。現在の通称制度は住民基本台帳法の施行令に基づいているが、法律上の制度に格上げすることで、社会生活上の不便を解消することが可能である。このような法律の目的は、夫婦同姓制度のもとで通称の法的根拠を明確にし、国や自治体、民間企業に対して使用範囲の拡大を促すことである。具体的には、住民票の記載事項を改正し、旧姓を併記できるようにする方法が考えられている。
【私の論評】夫婦別姓絶対反対!文化・法的背景と国際的事例から見る家族制度の重要性
- 夫婦同姓の重要性: 約70%の人々が同じ姓を名乗ることが家族の一体感を高めると認識しており、特に子供に安定した環境を提供する。
- 文化的背景: 韓国や中国の文化では姓が家系や血縁を象徴し、夫婦同姓がその象徴と見なされている。
- 法的課題: 夫婦別姓を導入した場合、子供の姓や親子関係に関する混乱が生じる可能性があり、戸籍制度の複雑化も懸念される。
- 国際的な失敗事例: スウェーデンやフランスなどで夫婦別姓が導入されているが、社会的な混乱やアイデンティティの問題が報告されている。
- 結論: 夫婦別姓の議論は単なる姓の選択にとどまらず、家族の絆や伝統、法律上の課題、社会的価値観に深く関わっている。夫婦同姓が家庭や社会における安定を保つための重要な要素であり、「家族の名は、家族の未来そのものである」と言える。
夫婦別姓反対集会 |
夫婦別姓に反対する立場には、文化的、社会的、法的な理由に加え、戸籍制度や皇族への影響、さらには夫婦別姓が導入された国での失敗事例も重要な要素として位置づけられる。以下に、具体的なエビデンスやエピソードを交えながら、深く掘り下げていくことにする。
まず、夫婦同姓が家族の一体感を強化するという観点がある。日本の調査によれば、約70%の回答者が「同じ姓を名乗ることが家族の一体感を高める」と回答している。これは家族のアイデンティティを強化し、特に子供に安定した環境を提供することに寄与するのだ。
まず、夫婦同姓が家族の一体感を強化するという観点がある。日本の調査によれば、約70%の回答者が「同じ姓を名乗ることが家族の一体感を高める」と回答している。これは家族のアイデンティティを強化し、特に子供に安定した環境を提供することに寄与するのだ。
実際、夫婦同姓を選んだカップルの中には、子供が「家族の一員である」と強く感じることができたというエピソードが多く寄せられている。こうした実情は、家族が一つの姓を共有することの重要性を物語っている。
次に、伝統的な家族制度の維持が重要な理由として挙げられる。多くの文化において、姓は家系や血縁を象徴する重要な要素である。特に韓国や中国の儒教文化では、家族名を守ることが非常に重要視され、夫婦同姓はその象徴と見なされている。韓国の家庭では、結婚後に妻が夫の姓を名乗ることで家族の名を継承し、子供たちにとっても誇りとなる。このような文化的背景は、家族の安定性を支える重要な要素であると言える。
次に、伝統的な家族制度の維持が重要な理由として挙げられる。多くの文化において、姓は家系や血縁を象徴する重要な要素である。特に韓国や中国の儒教文化では、家族名を守ることが非常に重要視され、夫婦同姓はその象徴と見なされている。韓国の家庭では、結婚後に妻が夫の姓を名乗ることで家族の名を継承し、子供たちにとっても誇りとなる。このような文化的背景は、家族の安定性を支える重要な要素であると言える。
法律や制度の整備が不十分であることも反対の理由として挙げられる。選択的夫婦別姓を導入した場合、子供の姓や親子関係の扱いについて混乱が生じる可能性が高い。2017年の研究では、姓が異なることで子供が学校でのアイデンティティに悩むケースが報告されている。姓の違いによる社会的な孤立やいじめのリスクが指摘されており、これは子供の心理的な安定に大きな影響を与えるものだ。
[附録第六号 戸籍の記載のひな型(第33条関係)] |
さらに、戸籍の観点からも反対の意見がある。日本の戸籍制度では、夫婦は同じ姓を名乗ることで家族としての一体性が明確に示される。戸籍は家族の法的な身分を示す重要な文書であり、夫婦同姓を通じて家族の構成が明確になる。夫婦別姓が普及すると、戸籍における家族の構成や法的な関係が複雑化し、特に子供の姓や親権に関する問題が生じる可能性がある。このような混乱は、法律的なトラブルを引き起こす要因ともなる。
夫婦別姓が進むことで、社会全体の価値観や家族への認識が変化し、個人主義が強まることに対する不安もある。ある社会学者の研究によれば、家族の一体感が強いほど地域社会における結束力が高まるとされる。地域コミュニティでは、家族が同じ姓を持つことが地域のイベントや協力活動において重要視されており、姓の共有が地域社会の絆を強化している事例が多く存在する。
皇族に関しては、夫婦同姓の制度が特に重要視される。日本の皇族では、血統や家系の継承が極めて重要であり、同じ姓を持つことが家族の一体感や血統の明確さを保つために不可欠である。皇族の婚姻では姓の統一が家系の存続や社会的な安定に寄与すると考えられており、夫婦別姓が普及することで皇族の伝統や家系の継承に悪影響を及ぼす可能性があると懸念されている。
さらに、夫婦別姓を導入した国の中には、制度が期待通りの結果をもたらさなかった事例が数多く存在する。例えば、スウェーデンでは夫婦別姓が一般的だが、姓の選択が家族間での混乱を引き起こすことがある。子供が両親の姓を持たない場合、学校でのアイデンティティの問題や社会的な孤立を経験することがある。また、フランスでも夫婦別姓が認められているが、多くの夫婦が結婚後に夫の姓を選ぶ傾向があり、姓の選択が必ずしも女性の地位向上に繋がるとは限らない。
イタリアやカナダ、オーストラリアでも同様の問題が指摘されている。夫婦別姓が導入されると、家庭内での姓の不一致が問題となり、社会的な混乱を招くことが多い。これらの事例は、夫婦同姓が家庭や社会における安定性を保つための重要な要素であることを示している。
また、中国と韓国の夫婦別姓についても触れておく。中国では、夫婦別姓が法的に認められているが、伝統的には結婚後に女性が夫の姓を名乗ることが一般的である。1950年に施行された「婚姻法」において、夫婦は姓を自由に選ぶことができるとされているが、実際には多くの女性が夫の姓を選ぶ傾向が強い。一方、韓国では、1958年に施行された民法により、結婚後に夫婦が同じ姓を名乗ることが義務付けられており、現在、夫婦別姓を選択することはできない状況にある。
結論として、夫婦別姓の議論は単なる姓の選択にとどまらず、家族の絆や伝統、法律上の課題、社会的価値観に深く関わっている。夫婦同姓が家庭や社会における安定を保つための重要な要素であることを考えると、「家族の名は、家族の未来そのものである」と言える。これこそが、家族の絆を守るための道であり、私たちが未来に向けて選ぶべき選択肢なのだ。
【関連記事】
0 件のコメント:
コメントを投稿