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2020年4月14日火曜日

新型コロナが証明した「独立国家」台湾―【私の論評】台湾が独力で中国ウイルス封じ込めに成功したことは、その後の世界に大きな影響を与える(゚д゚)!



flickerより Robin Huang 台湾国旗柄のビキニの女性 写真はブログ管理人挿入 以下同じ 

 今回の新型コロナウイルス禍をめぐる世界の反応を見れば、台湾が中国の一部でないことを世界の人々に認識せしめた意味は極めて大きい。

 台湾においては、2003年のSARS禍の際、84人の死者を出したことが教訓として残されていることもあり、今回の新型コロナウィルス禍の対策においては、初期対応、検査、隔離、治療などの諸措置が透明性を以て極めて効率的に行われた。これによって、諸外国に比べ、感染者数、死者数とも、今のところ、抑えられた状況にある。台湾は、中国、欧州、米国などに比べて、この災禍を見事なまでに制御していると言える。

 これまでのこの台湾の制御策は世界的にも評価されており、この状況から見れば、台湾と中国の違いは一目瞭然である。

 最近、中国外交部の報道官は、自らのツイッターに、この新型コロナウィルス禍の発生源として、米国軍人がウイルスを武漢に持ち込んだ可能性がある、と投稿した。これに対し、米国は、新型コロナウィルス禍の発生源が中国であることは疑いのない事実であり、初期段階における中国の隠ぺい工作の結果、世界各国が犠牲を払わざるをえなくなった、としてこの投稿内容を非難した。トランプ大統領は、これを新型コロナウイルスではなく、「CHINESE VIRUS」(中国ウィルス)と呼んだ。ポンペオ国務長官は「武漢ウイルス」と呼んだ。

 ごく最近、米国下院においても、この中国報道官のツイッター内容を「偽情報」であると非難して、超党派の決議案がまとめられた。

 中国共産党の習近平政権としては、自分たちの過ちを米国に転嫁する必要から、このようなやり方をとったのであろうが、これは米国の識者を憤慨させるものとなっている。中国としては、新型コロナウィルスを拡散したことの責任を曖昧にし、中国自身が被害者であるかのような印象を与えようと躍起になっているように見える。

 台湾の住民たちにとっては、中国における新型コロナウィルス禍の感染拡大、その後の様々な処置を見ていて、中国の一党独裁体制がいかに新型コロナウィルス対策において限界を有するかを改めて認識させられたに違いない。

 日本はこれまで台湾をWHO(世界保健機関)のメンバーに入れるよう支持してきた。しかし、今回のWHOの動きを見れば、中国の実質的な影響下にあるためであろうが、台湾の存在を無視するような態度を取り続けている。そのため、台湾が新型コロナウィルス禍を如何に抑え込んでいるかについての知識、経験が世界に直ちに共有される状況になっていないのは残念なことと言わねばならない。

 では、台湾がいかに、この新型コロナウィルスの危機に対応してきたかを、改めて、ここで共有しておきたい。日本にとっても参考になるはずである。

 台湾は、早い段階で、国境を閉め、中国との行き来を制限した。学校を2週間閉め、その間に消毒を徹底した。学校の再開時には、徹底した検温検査等を行なった。学校の入り口に、テントの待機所を設け、微熱等で感染可能性のある人はそこで控えるようにしてもらった。台湾の保険証のチップには、渡航歴が分かるようになっていて、診察した段階で、中国や日本に行っていた人かが一目でわかる仕組みが出来ていた。病院はもちろん、レストラン、ホテル等の入り口でも、入館者にはアルコール消毒液を噴射して対処した。そうしない人は、中に入れない。マスクは、早い段階で輸出を禁止し、国内で購入する人は、数を制限し、保険証等のチップで管理する。こうする事で、価格の急騰や品不足、買いだめを防止できた。

 これらの国内的対処のみではない。台湾は、小さい国ながら、世界第3の経済大国である日本に、救いの手を差し伸べてくれた。新型コロナウィルスによって国境が封鎖された南米ペルーで足止めされた日本人観光客29人を、台湾政府のチャーター便に乗せてくれた。104人の日本人観光客は旅行会社が手配したチャーター機で出国した。台湾政府は、自ら、遠いペルーまでチャーター機を手配して自国民の出国を助けたが、その恩恵に、日本も預からせてもらった格好だ。

 3月下旬、トランプ大統領は、超党派の支持で成立した「台湾同盟国際保護強化イニシアチブ法(TAIPEI法)」に署名した。この法律は、台湾の外交関係強化についての施策を、国務省が議会に報告することを義務付けるとともに、台湾の安全保障に脅威となる国との係わりを再検討することを政府に義務付けている。

 日本も、米国の同盟国として、そして台湾への感謝も含め、今後、台湾との関係をより一層強化すべきであろう。将来的には、日米両国がリードして、国際社会の世論を喚起し、台湾の国際的地位の向上を推進できれば良い。今回の新型コロナウィルスの危機は、台湾が実体として独立した国家であることを証明したのだから。

岡崎研究所

【私の論評】台湾が独力で中国ウイルス封じ込めに成功したことは、その後の世界に大きな影響を与える(゚д゚)!

本年1月11日の台湾総統選で史上最多得票で再選された台湾の蔡英文総統は英BBC放送のインタビューに応じ、台湾の地位について「独立国家だと宣言する必要性はない。既に独立国家であり、われわれは自らを中華民国、台湾と呼んでいる」と述べました。インタビューは英国時間の14日に公表されました。

台湾蔡英文総統

これに対し、中国外務省の耿爽副報道局長は15日の記者会見で、「中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府であり、台湾は中国の分割できない一部分だ。『一つの中国』原則は国際社会の普遍的な共通認識だ」と不快感を表明しました。

蔡氏はBBCのインタビューで「台湾独立」に対する見方を問われ、与党・民進党の立場を改めて強調。中台統一のためなら武力行使も辞さない方針を示す中国に対し、「われわれは多大な努力をし、能力を高めてきた。台湾を侵略すれば、非常に大きな代償を払うことになるだろう」とけん制しました。

そうして、現在台湾は、中国の助けを一切借りることなく、独力で中国ウイルス対策を実施し、名実ともに独立国であることを世界に向かって、示すことができました。中国は現在国内の中国ウイルスは終息傾向にあるとして、イタリアなどに医療チームを送る等のいわゆる微笑外交をしていますが、台湾には全くその必要がありません。

新型中国ウイルスへのWHO=世界保健機関の初期対応をめぐり、台湾当局は、去年12月にWHOに送った文書を公表し、中国でヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起きていると警告していたと強調しました。

WHOの対応を批判する米国に歩調をあわせた形です。

米国国務省は10日、WHOについて「台湾から早期に受けた通知を国際社会に示さなかった。公衆衛生より政治を優先した」などと批判しましたが、AFP通信の取材に対しWHOは「台湾からの通知にヒトからヒトへの感染について言及はなかった」と否定しました。

これについて台湾当局は11日、WHOに対して去年12月末に送った通知の全文を公表しました。

文書には「中国の武漢で非定型の肺炎が少なくとも7例出ていると報道されている。現地当局はSARSとはみられないとしているが、患者は隔離治療を受けている」などと書かれています。

台湾の陳時中衛生福利部長は会見で「隔離治療がどのような状況で必要となるかは公共衛生の専門家や医師であれば誰でもわかる。これを警告と呼ばず、何を警告と呼ぶのか」と述べ、文書はヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起きていると警告していたと強調しました。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が台湾から人種差別攻撃があったと主張している問題で、台湾人がインターネット投稿で謝罪しているように中国側が見せかけていると台湾当局が指摘している。

台湾法務部(法務省)調査局は10日の記者会見で、中国のネットユーザーが台湾人を装い、テドロス氏に対する人種差別攻撃について謝っているように見せていると説明。同局情報セキュリティー部門の張尤仁主任によれば、こうした投稿は全て同じ言葉遣いのためフェイク(偽)だと容易に分かるとしています。

投稿は全て「台湾人として、このような悪意のあるやり方でテドロス氏を攻撃したことを極めて恥ずかしく思う。台湾人を代表してテドロス氏に謝り、許しを乞う」というものですが、いずれも中国に拠点を置くアカウントから発せられたようだとしています。

テドロス氏は8日、新型中国ウイルス感染症(COVID19)の対応を巡りオンライン上で3カ月にわたり台湾からの攻撃の標的になっていると述べましたが、台湾の関与を示す証拠は何も示しませんでした。これに対し、台湾の蔡英文総統はテドロス氏の主張に「強い抗議」を表明するとともに、同氏に台湾訪問を呼び掛けました。

台湾はWHOなど国連機関への加盟を長く求めていますが、台湾を領土の一部と見なしている中国が反対し続けています。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、台湾は新型中国ウイルスの感染拡大を他のアジア諸国・地域よりうまく封じ込めており、10日時点で確認症例数は約380件です。ちなみに、これを10万人あたりの感染者数でみると,1.59人です。驚異的な少なさです。

中国国務院台湾事務弁公室はウェブサイトに同日掲載した声明で、蔡政権は「うそを並べ憎悪をあおる」ことをやめ、ウイルスとの闘いに焦点を絞るべきだとコメントしました。

これでは、先程も述べたように、中国が台湾に対してマスクや、防護服の提供、医療チームの派遣などで台湾に微笑外交を展開しようとしても全く無理です。逆に「自分の頭の上の蝿を追え」といわれてしまいそうです。

ちなみに、日本も台湾よりは、感染者数の数は多いですが、それでも10万人あたりに換算(感染者数➗人口✖10万)すると、5.6人(4/11現在)です。台湾は、1.59人です。これは、米中や他の先進国と比較すれば、極端に少ないです。中国は人口も約14億人と多いので、10万人あたりでは、一応6人程度ですが、中国統計は全くあてにならないので、この数字は無意味です。

韓国もひところは、感染者数が拡大してしまいましたが、それでも最近は収束しつつあり、11日時点では、10万人あたりの感染者数は19.4人です。これも、他の先進国から比較するとかなり少ないほうです。

ちなみに、なぜ10万人あたりでみるかといえば、無論人口の多い少ないで、その深刻度は異なってくるからです。10万人あたりでみると、感染者が一番多い都道府県は東京ではなく、福井県です(下表参照)。


北朝鮮はどうなのかは、わかりませんが、いずれにしても、台湾、韓国、日本に関しては、中国は「消防士のふりをする放火犯」のように、中国ウィルス関連で、微笑外交を展開するわけにもいきません。

中国自身は、自国の被害の程度を熟知しているでしょうから、近隣の国々では微笑外交もままならないのです。だかこそ、被害がかなり大きかったEU等で微笑外交を展開しているのでしょう。

もし、台湾や日本がヨーロッパや、米国なみに被害が大きかったとすれば、今頃微笑外交で、台湾、日本、韓国などで、存在感を増していたかもしれません。その後には、様々な方法を駆使して、台湾、日本、韓国を取り込みに走ったかもしれません。恐ろしいことです。

今回の中国ウイルス禍で、台湾がウイルスの封じ込めに成功したことは、台湾国内のみではなく、世界に対して大きな貢献になりました。

もし、台湾が封じ込めに失敗し、中国に助けられるような事態になっていれば、そうして日本も大失敗していれば、何しろ、現状では米国が深刻な感染に悩まされている状況ですから、中国はアジアで大攻勢にでて、中国ウイルス後の新たな世界秩序は大きく中国側に有利なものに傾く可能性がありました。

しかし、台湾は、日米の支援などではなく、独力で封じ込めに成功しました。これは、その後の世界に大きな影響をもたらすことでしょう。

冒頭の記事では、「新型中国ウィルスによって国境が封鎖された南米ペルーで足止めされた日本人観光客29人を、台湾政府のチャーター便に乗せてくれた」とありますが、これは3月29日のことです。

日本もすかさず、台湾におかえしをしています。

新型ウイルスの感染拡大防止のため都市封鎖を実施しているインドから、台湾人12人が現地時間4月1日夜、日本航空(JAL)の臨時便で出国し、2日早朝に東京に到着したことを台湾の外交部が2日、明らかにしました。

  都市封鎖を実施しているインドから、台湾人12人が現地時間4月1日夜、
  日本航空(JAL)の臨時便で出国し、2日早朝に東京に到着

会見を行った欧江安報道によると、現地に滞在する台湾人から、駐インド代表処(大使館に相当)に対し帰国支援を求める問い合わせがあり、代表処が在インド日本国大使館、日本航空などと調整を行い、日本政府が手配する臨時便に同乗できるようになったとのことで、「外交部として心から感謝する」と日本や関係者に謝意を表明しています。なお、東京に到着した12人は、すでに台湾に帰国されています。

日台が、それぞれ独力で、現時点では中国ウイルスの囲い込みに成功していること、日台のこうした友情が、これからの世界を良い方向に変える原動力になるかもしれません。

後は、米国が一日もはやく中国ウイルスから立ち直り、台湾を強力にサポートし、EUに手を伸ばそうとする中国を牽制していただきたいものです。

そうして、このブログにも何度か掲載したように、米国と比較して、日本の経済対策があまりにお粗末です。今のままでは、リーマン・ショック時に、震源地の米国や、その悪影響を直に被った英国が素早く回復したにもかかわらず、日本だけが一人負けになった状況を繰り返すことになりかねません。

この状況では、中国ウイルス後の世界秩序の大きな変更の先頭に米台と同じスタート地点に立つことができないかもしれません。それは、日本だけの損失ではなく、中国を有利してしまうという大きな損失を招く恐れがあります。

そのようなことにならないように、安倍総理は、減税、追加経済対策、憲法改正などを公約にして、はやく解散総選挙を実施して、大勝利をして、維新の党とともに、中国ウイルス収束後におこる、世界秩序の大変更にリーダーシップを発揮できる体制を築くべきです。そうして、台湾なみに、はやく日本も中国ウイルスを収束させるべきです。

【関連記事】

2015年6月26日金曜日

中国「反腐敗運動」失敗で民衆蜂起危機 敵対勢力も反転攻勢―【私の論評】日本の集団的自衛権を否定する人々は、人権すら認めない中国と同じ穴のムジナか(゚д゚)!


習近平指導部は次なる「虎」を叩けるか。手を緩めると民衆蜂起の危険が迫る
中国の習近平指導部が危険な橋を渡っている。収賄などの罪で周永康・前政治局常務委員に無期懲役の判決を下したが、死刑も予想されたなかでの不可解な裁定だった。「虎もハエも叩く」反腐敗運動で目下、摘発候補として大物の名が複数取り沙汰されているが、周氏への“大甘裁定”が象徴するように今後、運動そのものが弱まっていくとの観測もある。仮にそうなれば、「敵対勢力の反転攻勢や格差に不満を抱く民衆の暴発を招きかねない」(関係筋)。習指導部の足元は意外と危うい。

「予想はしていたが、判決の内容を聞いたときは正直がっかりした。所詮、習氏には『虎退治』はできなかったということだ」

中国の天津市第1中級人民法院(地裁)で11日に下された周氏の判決。その内容を知った高級幹部の子弟「太子党」の関係者はこう吐き捨てた。

今回の裁判は、周氏の不正を暴くのと同時に、「虎もハエも叩く」と習氏が宣言して始まった「反腐敗運動」の方向性を決めるものでもあったという。

1兆5000億円もの不正蓄財と伝えられた周氏には、その膨大な額から死刑は免れないと伝わっていたが、蓋を開けてみると無期懲役という大甘裁定での幕引きとなった。

周氏が“葬られた”いま、次なるターゲットに焦点は集まり、現在、周氏の後ろ盾となっていた「上海閥」を率いる江沢民元国家主席、曽慶紅元国家副主席、電力利権を握る李鵬・元全国人民代表大会常務委員長らの名が取り沙汰されている。だが、周氏への異例の配慮を受けて、追及は尻切れトンボで終わるとの観測もある。

拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が解説する。

「周氏は、罪状として公開された金額(賄賂で約26億円、経済的損害として約300億円)以上の莫大な額の不正に絡んでいたとされる。すべてを明らかにすれば死刑判決を下さざるを得なくなるから、落としどころとして出した金額なのだろう。つまり、これ以上の追及はしないということ。今後、習政権が『虎』をターゲットにすることはなくなるはずだ。運動は収束に向かうのではないか」

過去に党幹部が罪に問われたケースでは、元重慶市トップの薄煕来氏が、2013年に無期懲役の判決を受けた。薄氏の裁判の模様は、現地メディアに公開されたが、周氏の場合は裁判の過程も非公開。この点にも、習氏の不可解な対応が現れている。

中国情勢に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「裁判を公開すれば、中国共産党の構造的な腐敗が暴露される可能性があった。反腐敗運動の旗振り役である王岐山氏のスキャンダル(北京五輪がらみの汚職疑惑)も出てきており、習政権にまで火の粉が及びかねないという危惧があったのだろう」と指摘し、続ける。

「習氏は、自身が過去に在籍した浙江省や福建省のかつての部下らを中心とした派閥作りを進めていた。だが、反腐敗運動による政敵潰しをあまりに性急にし過ぎたために『上海閥』などの守旧派から猛烈な抵抗を食らって、その派閥作りも停滞気味だ。党内での孤立が深まってきたことで攻撃の手を緩めざるを得なくなった」

習氏はこれまで、腐敗撲滅を掲げて民衆の支持を背景に求心力を高めてきた経緯がある。その金看板を下ろすことは、力の源泉を失うことにもなる。

先の太子党関係者は「『反腐敗運動』は民衆のガス抜きの役割も果たしてきた。それが頓挫すれば、格差拡大で生じた民衆の不満が再燃するだろう。政府はインターネットの規制強化や監視カメラの設置などで言論統制を進め、民衆の糾合を防ぐ構えだが、完全に抑えきれるかどうか。民衆蜂起やクーデターの可能性もゼロではない」と声を潜める。

腐敗追及を進めれば党内に敵を作り、緩めれば国内に敵を作る。習指導部は「前門の虎、後門の狼」の状況だ。

【私の論評】日本の集団的自衛権を否定する人々は、人権すら認めない中国と同じ穴のムジナか(゚д゚)!

上の記事、恐ろしい内容だと思います。現在の中国という国は、他国の意思とは全く関係なく、自分たち都合で動く国です。習近平をはじめとする中国の政治家は、本来の意味では政治家ではありません。

彼らは、選挙で選ばれることもなく、使命によって選ばれます。政治家ではなく、官僚です。しかも、選挙によって国民から選ばれた政治家による監督も何もない、官僚であり、それらが直接中央政府な、地方政府を動かすというとんでもない国です。だからこそ、上の記事にも掲載されているようにとんでもない巨額の不正があるのが当たり前です。

そうして、中国には日本でいうところの自衛隊とか、他国でいうところの軍隊も存在しません。人民解放軍は、建前上も、組織的にも軍隊とは全く異なります。どこの国でも、軍隊といえば、国や国民を守ることを建前としていますが、人民解放軍はそうではありません。あくまで、地方の共産党の配下にある私兵です。

こうした地方の共産党の配下にある、人民解放軍が強力な武装をしており、場合によっては核武装もしているという異様な組織です。さらに、もっと異常なのは、こうした地方の共産党の配下である人民解放軍は、各々が自由に様々な事業を展開しており、それはあたかも日本でいうところの商社のような存在です。

中国の人民解放軍は、武装した商社というとんでもない代物だ

だから、人民解放軍には巨大な利権があり、それが不正の温床にもなっています。最近習近平は、それまで人民解放軍は聖域といわれていましたが、習近平は人民解放軍の腐敗撲滅を考えていたようですが、上の記事にも掲載されているように、これは適当なところでやめてしまうような雲行きです。

もし、人民解放軍に手を入れれば、恐ろしいことになるかもしません。何しろ、人民解放軍は強力に武装しています。手の入れ方によっては、恨みを買い、それこそ、本格的な内乱になってしまうかもしれないからです。

日本でいえば、商社が軍隊なみの武装をして、それぞれ地方の共産党の配下にあるということです。とんでもないといえば、とんでもないです。北海道には北海道の強力に武装した商社があり、関東には関東の強力に武装した商社があり、それどころか、全国各地がそのように武装されているという状況は、考えてみれば恐ろしいことです。

中国では、建国以来毎年平均2万件もの暴動がありましたが、2010年あたりからは毎年10万にもなるといわれています。普通の国なら、内乱状況といって良いくらいですが、城管や警察がこれを弾圧・鎮圧し、鎮圧しきれなくなると武装商社がこれを鎮圧し、治安維持をしてきました。

いうまでもなく、中国では、普通の民主国家とは異なり、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がなされていません。中国人民の人権は、先進国と比較すると保証されていません。

武装商社が中国国内で、活動している分には良いですが、最近では尖閣や、南シナ海にも進出しています。儲けのためには、武力を用いるということも十分考えられます。

このような、全く異形で、国とも呼べないような、巨大組織と隣り合わせにある日本。油断をすれば、どういうことになるかわかりません。

習近平と人民解放軍

習近平だって、存立の基盤を脅かされれば、やけっぱちになって何をするかなどわかったものではありません。中国の内部の権力闘争だけに終われば良いですが、いつ自らの保身のために、中国外に打ってでて、海外の利権を自らのものとして、中国内の権力基盤を強化しようなどと考えるかもしれません。

そんなことは、ないだろうなどというのは、単なる希望的観測に過ぎません。

こんな危険な隣国がすぐそばにあるにもかかわらず、最近国会では安全保障法制をめぐって、頓珍漢な議論が繰り返されています。

このブログでは、最近、これについて何度か掲載してきまたが、最近これについて、なぜ国会であのような論議になってしまうのか、その理由に非常に合点のいく内容を発見しましたので、それを以下に掲載します。


詳細は、この動画をご覧いただくものとして、この動画では、実は集団的自衛権とは、もともと自然権だという重要な指摘をしています。

自然権(しぜんけん、ius naturale/jus naturale)とは、人間が、社会の仕組みにたよることなく、自然状態(政府ができる以前の状態、法律が制定される以前の状態)の段階より生まれながらに持つ不可譲の権利です。人権はその代表的なものとされています。

今日の通説では人類の普遍的価値である人間の自由と平等を中心とする基本的人権及びそれを基調とした現代政治理論においてもっとも基本的な概念・原理であるとされています。ただし、その由来については神が個々の人間に付与したとする考えと人間の本性に由来する考えが存在します。

この自然権の中に、集団的自衛権が含まれているのです。だからこそ、他国では、集団的自衛権は当然のこととされているのです。

そうして、昨日もこのブログで紹介したように、国連憲章でも当然の権利とされているのです。

詳細は、昨日のブログをご覧いただくものとして、国連憲章の部分のみ以下に引用しておきます。
国連憲章の最初の部分のみ以下に引用させていただきます。長々と読まれる必要はないと思いますが、以下の赤字の部分だけは見逃さないようにおねがいします。
国際連合の目的は、次のとおりである。 
上記でもお分かりになるように、国際連合憲章では、第1章 目的及び原則の、第1条の第一項、すなわち、憲章本文の最初で、集団的措置すなわち、集団的自衛権を認めているわけです。
国際連合憲章
第1章 目的及び原則
第1条
1.国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整または解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。
このように、集団的自衛権は、当然の権利として国連憲章でも、日本以外の他国でも、憲法典に記載があるなしにかかわらず、当然のこととして認められています。

集団的自衛権とは、人権と同じく自然権として憲法・法律に関係なくもともと、まともな国では当然のことであるとされているのです。

そうして、倉山氏は上の動画でフリップを用いて、以下のような解説を行っています。

クリックする拡大します。
集団的自衛権に関しては、「本来は行使できないものであり、現内閣が憲法解釈によって変えようとしている」という考えは全くの間違いで、正しくは「集団的自衛権は自然権として本来は行使できるものであるにもかかわらず、佐藤内閣が国会対策でできないこととしたものを、安倍内閣が本来の姿に戻そうとしている」という認識が正しいということです。

このことを安倍内閣もはっきりさせず、野党側も理解しておらず、日々無駄な論議を繰り返しているわけです。

それにしても、上記で解説したような、切迫した中国状況がありながら、与野党ともに、核心に迫る政策論争ができていないということは、全く残念なことです。


それにしても、集団的自衛権が自然権とは、考えてみれば当たり前です。憲法も、法律もない原始時代に力の強いものが、弱い者たちを攻撃して、食料など奪い放題をしているときに、弱いものたちが結束して強いものに対抗して、自分たちの食料を守るという集団的自衛権は、当然のことです。これは、人権と同じく当然の権利です。

本来、人権を強調する人ほど、集団的自衛権を尊重しなければならないはずです。もう馬鹿馬鹿しい、論議はやめて、集団的自衛権は自然権であるという考え方にたって、それこそ、基本的人権という自然権を踏みにじる中国の台頭を許してはならないと思います。そんなことをさせてしまえば、日本国民の自然権が、中国によって踏みにじられることにもなりかねません。そんなことは断じて許すことはできません。

集団的自衛権は、人権と同じく自然権であり、人がこの世に生まれた時から当然あるものとされる権利です。自然権である、集団的自衛権を認めないということは、人権を認めないのと同じ暴挙です。

中国は、自然権である人権を認めない組織です。日本において、日本の集団的自衛権を認めない人たちは、中国と同じく自然権すら認めないというわけで、とんでもないことです。自然権を認めないということでは、中国と同じ穴のムジナということでしょうか。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】






本日の記事に関係の深い、自然権に関する書籍、政治のルールに関する書籍、脱亜論に関する書籍を以下にチョイスしました。
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2015年5月20日水曜日

習近平主席、とんだ赤っ恥 海洋覇権狙う中国を米国が封じ込めへ―【私の論評】及び腰オバマの遅きに失した中国対応!ほくそ笑む習近平の前に立ち塞がる安部総理(゚д゚)!

2015.05.20

影響力拡大を狙う習主席だが米国の包囲網に阻まれている
オバマ大統領率いる米国が、海洋覇権を狙う中国を強く牽制している。米海兵隊が、日本などアジア太平洋諸国の20カ国以上の部隊幹部らをハワイに招き、島しょ防衛能力を向上させる研修会合を始めたのだ。キューバも合意していた中国艦艇の常駐を撤回していた。習近平国家主席としては、赤っ恥をかかされたことになりそうだ。

島しょ防衛強化を目的に、米海兵隊がこれほど多くの同盟国や友好国の部隊関係者と会合を開くのは異例。中国は一部参加国の「対抗国」だとして招待されなかったという。

研修会合は17日から5日間の日程。関係者によると、米海兵隊や米海軍が水陸両用作戦に関する講義や研修を実施するほか、上陸作戦の演習視察や図上演習も予定している。

17日といえば、ケリー米国務長官が北京で、習主席と会談した日にあたる。ケリー氏は会談で、中国による南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島などで中国が進める岩礁の埋め立てへの「懸念」を直接伝え、東南アジア諸国との緊張を緩和するよう自制を求めた。外交手段と並行して、同盟国や友好国の防衛能力を強化することで圧力をかけたといえる。

ロイター通信によると、研修会合に招かれたのは日本の自衛隊のほか、フィリピンやベトナムなど中国と領有権問題を抱える国の軍高官が多い。

こうしたなか、キューバが昨年後半、中国と合意していた中国海軍艦艇のキューバ常駐を撤回していたことが分かった。読売新聞が20日朝刊で報じた。当時、米国と行っていた国交正常化交渉開始に向けた秘密協議に進展があったことが背景にあるとみられる。

中国とキューバは同じ社会主義国で緊密な関係にある。習主席が昨年7月にキューバを訪問した際、艦艇派遣方針を確認。中国は最新鋭ミサイル駆逐艦を常駐される方向で準備を進めていたという。

【私の論評】及び腰オバマの遅きに失した中国対応!ほくそ笑む習近平の前に立ち塞がる安部総理(゚д゚)!

対外的に何もできない、何もしない及び腰オバマ

オバマは以上のような対応を少なくとも2〜3年前に、できれば5年くらい前に実施しておくべきだったと思います。何もせずに、グタグタしていたから、アジアにおいては近年中国がつけあがり問題を複雑化させてしまいました。

ウクライナ問題もそうですし、ISISへの対応もそうです。少し早めに手を打っておけば、プーチンや、テロリストどもをつけあがらせて、今日のような事態を招かなくともすんだはずです。

アメリカは、今でも正解唯一の超大国です。今のロシアなどかつてのソ連の最盛期と比較すれば、とるに足らない存在であり、単なる後進国にすぎません。国境紛争くらいならまだしも、本格的に戦争をする能力などありません。GDPも日本の1/5に過ぎません。今やインド以下ですし、人口も、日本より2000万人多いほど1億4千万人に過ぎません。

今のロシアは、アメリカには全く太刀打ち出来ない小国に過ぎないものに、あのように振り回されたのはオバマの大失態です。ウクライナ問題が起こる前に、ロシアに対して厳しい措置をとり、場合によっては戦火を交える覚悟を示せば、ウクライナ問題はおこりませんでした。

アフガニスタンに進駐したソ連軍
ISISの問題もそうです。早期に軍隊を派遣するか、派遣する姿勢を見せていれば、あのように複雑化することもありませんでした。それをグズグズして、何もせず、切羽詰まってから、軍事顧問団を派遣する程度でお茶を濁していたのでとんでもないことになりました。

アジアにおいても、そうです。このブログでは、尖閣問題に関してはもしオバマがはやめに、「尖閣は日本固有の領土であり、日中間に領土問題は存在しない。中国が一方的に領土問題があると言うのなら、アメリカにも覚悟がある」とはっきり意思表示をして、そのときにブログ冒頭のような行動をとっていれば、中国がつけあがることもなく、尖閣問題は早期に解決し、南シナ海の南沙諸島における現状の中国のバカ真似は未然に防ぐことができたはずです。


アメリカは、軍事手にも経済的にも、中国とは比べ物にならないほど、大きく、特に軍事力で、中国はアメリカの足元にも及びません。海軍力、空軍力など日本の自衛隊にも劣る状況です。アメリカが本気をみせれば、中国は今でもすごすごと引き下がるしかありません。

ブログ冒頭の記事では、「習近平国家主席としては、赤っ恥をかかされたことになりそうだ」などとしていますが、大赤恥をかきどおしかいているがオバマです。

もう、オバマは対外的に何もしないしできません。上の記事では、さも中国牽制のために、米海兵隊が、日本などアジア太平洋諸国の20カ国以上の部隊幹部らをハワイに招き、島しょ防衛能力を向上させる研修会合を始めたようなことを掲載していますが、私はそうではないと思っています。


オバマが何を考えているかといえば、キューバとの国交回復のみです。すでに、レームダック化しているオバマにおいては、もはや対外的に成果を残せそうなのは、キューバとの国交回復だけです。今回の研修会合は完璧に、キューバとの国交回復のための、地ならしにすぎないものと私は思います。

もし、中国への牽制なら、実施する場所が間違えています。中国を牽制するというのなら、日本か韓国、台湾かフィリピンで実施すべきものです。

このニュースに接して、習近平は赤っぱじをかいたと思うどころか、オバマのあいかわらずの、及び腰に、「こいつはまだまだ」いけると、ほくそ笑んでいることでしょう。

しかしながら、習近平の心中も、穏やかではないでしょう。日本にはオバマとは全く正反対の安倍総理が控えています。安倍総理は、米国議会での演説で、日米同盟をより確かなものにしました。

オバマは駄目でも、アメリカの多くの議員を味方につけることができましたし、最近では集団的自衛権行使に対する積極的な行動に打ってでています。

安部総理と習近平
習近平が最も恐れているのは、尖閣や日本の近海から、日本が軍事力を使って、中国を一掃することです。

及び腰オバマで、習近平の中国の覇権をさらに拡大できるとの目論見は、安部総理に崩されつつあります。

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