flickerより Robin Huang 台湾国旗柄のビキニの女性 写真はブログ管理人挿入 以下同じ |
今回の新型コロナウイルス禍をめぐる世界の反応を見れば、台湾が中国の一部でないことを世界の人々に認識せしめた意味は極めて大きい。
台湾においては、2003年のSARS禍の際、84人の死者を出したことが教訓として残されていることもあり、今回の新型コロナウィルス禍の対策においては、初期対応、検査、隔離、治療などの諸措置が透明性を以て極めて効率的に行われた。これによって、諸外国に比べ、感染者数、死者数とも、今のところ、抑えられた状況にある。台湾は、中国、欧州、米国などに比べて、この災禍を見事なまでに制御していると言える。
これまでのこの台湾の制御策は世界的にも評価されており、この状況から見れば、台湾と中国の違いは一目瞭然である。
最近、中国外交部の報道官は、自らのツイッターに、この新型コロナウィルス禍の発生源として、米国軍人がウイルスを武漢に持ち込んだ可能性がある、と投稿した。これに対し、米国は、新型コロナウィルス禍の発生源が中国であることは疑いのない事実であり、初期段階における中国の隠ぺい工作の結果、世界各国が犠牲を払わざるをえなくなった、としてこの投稿内容を非難した。トランプ大統領は、これを新型コロナウイルスではなく、「CHINESE VIRUS」(中国ウィルス)と呼んだ。ポンペオ国務長官は「武漢ウイルス」と呼んだ。
ごく最近、米国下院においても、この中国報道官のツイッター内容を「偽情報」であると非難して、超党派の決議案がまとめられた。
中国共産党の習近平政権としては、自分たちの過ちを米国に転嫁する必要から、このようなやり方をとったのであろうが、これは米国の識者を憤慨させるものとなっている。中国としては、新型コロナウィルスを拡散したことの責任を曖昧にし、中国自身が被害者であるかのような印象を与えようと躍起になっているように見える。
台湾の住民たちにとっては、中国における新型コロナウィルス禍の感染拡大、その後の様々な処置を見ていて、中国の一党独裁体制がいかに新型コロナウィルス対策において限界を有するかを改めて認識させられたに違いない。
日本はこれまで台湾をWHO(世界保健機関)のメンバーに入れるよう支持してきた。しかし、今回のWHOの動きを見れば、中国の実質的な影響下にあるためであろうが、台湾の存在を無視するような態度を取り続けている。そのため、台湾が新型コロナウィルス禍を如何に抑え込んでいるかについての知識、経験が世界に直ちに共有される状況になっていないのは残念なことと言わねばならない。
では、台湾がいかに、この新型コロナウィルスの危機に対応してきたかを、改めて、ここで共有しておきたい。日本にとっても参考になるはずである。
台湾は、早い段階で、国境を閉め、中国との行き来を制限した。学校を2週間閉め、その間に消毒を徹底した。学校の再開時には、徹底した検温検査等を行なった。学校の入り口に、テントの待機所を設け、微熱等で感染可能性のある人はそこで控えるようにしてもらった。台湾の保険証のチップには、渡航歴が分かるようになっていて、診察した段階で、中国や日本に行っていた人かが一目でわかる仕組みが出来ていた。病院はもちろん、レストラン、ホテル等の入り口でも、入館者にはアルコール消毒液を噴射して対処した。そうしない人は、中に入れない。マスクは、早い段階で輸出を禁止し、国内で購入する人は、数を制限し、保険証等のチップで管理する。こうする事で、価格の急騰や品不足、買いだめを防止できた。
これらの国内的対処のみではない。台湾は、小さい国ながら、世界第3の経済大国である日本に、救いの手を差し伸べてくれた。新型コロナウィルスによって国境が封鎖された南米ペルーで足止めされた日本人観光客29人を、台湾政府のチャーター便に乗せてくれた。104人の日本人観光客は旅行会社が手配したチャーター機で出国した。台湾政府は、自ら、遠いペルーまでチャーター機を手配して自国民の出国を助けたが、その恩恵に、日本も預からせてもらった格好だ。
3月下旬、トランプ大統領は、超党派の支持で成立した「台湾同盟国際保護強化イニシアチブ法(TAIPEI法)」に署名した。この法律は、台湾の外交関係強化についての施策を、国務省が議会に報告することを義務付けるとともに、台湾の安全保障に脅威となる国との係わりを再検討することを政府に義務付けている。
日本も、米国の同盟国として、そして台湾への感謝も含め、今後、台湾との関係をより一層強化すべきであろう。将来的には、日米両国がリードして、国際社会の世論を喚起し、台湾の国際的地位の向上を推進できれば良い。今回の新型コロナウィルスの危機は、台湾が実体として独立した国家であることを証明したのだから。
岡崎研究所
台湾においては、2003年のSARS禍の際、84人の死者を出したことが教訓として残されていることもあり、今回の新型コロナウィルス禍の対策においては、初期対応、検査、隔離、治療などの諸措置が透明性を以て極めて効率的に行われた。これによって、諸外国に比べ、感染者数、死者数とも、今のところ、抑えられた状況にある。台湾は、中国、欧州、米国などに比べて、この災禍を見事なまでに制御していると言える。
これまでのこの台湾の制御策は世界的にも評価されており、この状況から見れば、台湾と中国の違いは一目瞭然である。
最近、中国外交部の報道官は、自らのツイッターに、この新型コロナウィルス禍の発生源として、米国軍人がウイルスを武漢に持ち込んだ可能性がある、と投稿した。これに対し、米国は、新型コロナウィルス禍の発生源が中国であることは疑いのない事実であり、初期段階における中国の隠ぺい工作の結果、世界各国が犠牲を払わざるをえなくなった、としてこの投稿内容を非難した。トランプ大統領は、これを新型コロナウイルスではなく、「CHINESE VIRUS」(中国ウィルス)と呼んだ。ポンペオ国務長官は「武漢ウイルス」と呼んだ。
ごく最近、米国下院においても、この中国報道官のツイッター内容を「偽情報」であると非難して、超党派の決議案がまとめられた。
中国共産党の習近平政権としては、自分たちの過ちを米国に転嫁する必要から、このようなやり方をとったのであろうが、これは米国の識者を憤慨させるものとなっている。中国としては、新型コロナウィルスを拡散したことの責任を曖昧にし、中国自身が被害者であるかのような印象を与えようと躍起になっているように見える。
台湾の住民たちにとっては、中国における新型コロナウィルス禍の感染拡大、その後の様々な処置を見ていて、中国の一党独裁体制がいかに新型コロナウィルス対策において限界を有するかを改めて認識させられたに違いない。
日本はこれまで台湾をWHO(世界保健機関)のメンバーに入れるよう支持してきた。しかし、今回のWHOの動きを見れば、中国の実質的な影響下にあるためであろうが、台湾の存在を無視するような態度を取り続けている。そのため、台湾が新型コロナウィルス禍を如何に抑え込んでいるかについての知識、経験が世界に直ちに共有される状況になっていないのは残念なことと言わねばならない。
では、台湾がいかに、この新型コロナウィルスの危機に対応してきたかを、改めて、ここで共有しておきたい。日本にとっても参考になるはずである。
台湾は、早い段階で、国境を閉め、中国との行き来を制限した。学校を2週間閉め、その間に消毒を徹底した。学校の再開時には、徹底した検温検査等を行なった。学校の入り口に、テントの待機所を設け、微熱等で感染可能性のある人はそこで控えるようにしてもらった。台湾の保険証のチップには、渡航歴が分かるようになっていて、診察した段階で、中国や日本に行っていた人かが一目でわかる仕組みが出来ていた。病院はもちろん、レストラン、ホテル等の入り口でも、入館者にはアルコール消毒液を噴射して対処した。そうしない人は、中に入れない。マスクは、早い段階で輸出を禁止し、国内で購入する人は、数を制限し、保険証等のチップで管理する。こうする事で、価格の急騰や品不足、買いだめを防止できた。
これらの国内的対処のみではない。台湾は、小さい国ながら、世界第3の経済大国である日本に、救いの手を差し伸べてくれた。新型コロナウィルスによって国境が封鎖された南米ペルーで足止めされた日本人観光客29人を、台湾政府のチャーター便に乗せてくれた。104人の日本人観光客は旅行会社が手配したチャーター機で出国した。台湾政府は、自ら、遠いペルーまでチャーター機を手配して自国民の出国を助けたが、その恩恵に、日本も預からせてもらった格好だ。
3月下旬、トランプ大統領は、超党派の支持で成立した「台湾同盟国際保護強化イニシアチブ法(TAIPEI法)」に署名した。この法律は、台湾の外交関係強化についての施策を、国務省が議会に報告することを義務付けるとともに、台湾の安全保障に脅威となる国との係わりを再検討することを政府に義務付けている。
日本も、米国の同盟国として、そして台湾への感謝も含め、今後、台湾との関係をより一層強化すべきであろう。将来的には、日米両国がリードして、国際社会の世論を喚起し、台湾の国際的地位の向上を推進できれば良い。今回の新型コロナウィルスの危機は、台湾が実体として独立した国家であることを証明したのだから。
岡崎研究所
【私の論評】台湾が独力で中国ウイルス封じ込めに成功したことは、その後の世界に大きな影響を与える(゚д゚)!
台湾蔡英文総統 |
これに対し、中国外務省の耿爽副報道局長は15日の記者会見で、「中華人民共和国が中国を代表する唯一の合法政府であり、台湾は中国の分割できない一部分だ。『一つの中国』原則は国際社会の普遍的な共通認識だ」と不快感を表明しました。
蔡氏はBBCのインタビューで「台湾独立」に対する見方を問われ、与党・民進党の立場を改めて強調。中台統一のためなら武力行使も辞さない方針を示す中国に対し、「われわれは多大な努力をし、能力を高めてきた。台湾を侵略すれば、非常に大きな代償を払うことになるだろう」とけん制しました。
そうして、現在台湾は、中国の助けを一切借りることなく、独力で中国ウイルス対策を実施し、名実ともに独立国であることを世界に向かって、示すことができました。中国は現在国内の中国ウイルスは終息傾向にあるとして、イタリアなどに医療チームを送る等のいわゆる微笑外交をしていますが、台湾には全くその必要がありません。
新型中国ウイルスへのWHO=世界保健機関の初期対応をめぐり、台湾当局は、去年12月にWHOに送った文書を公表し、中国でヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起きていると警告していたと強調しました。
WHOの対応を批判する米国に歩調をあわせた形です。
米国国務省は10日、WHOについて「台湾から早期に受けた通知を国際社会に示さなかった。公衆衛生より政治を優先した」などと批判しましたが、AFP通信の取材に対しWHOは「台湾からの通知にヒトからヒトへの感染について言及はなかった」と否定しました。
これについて台湾当局は11日、WHOに対して去年12月末に送った通知の全文を公表しました。
文書には「中国の武漢で非定型の肺炎が少なくとも7例出ていると報道されている。現地当局はSARSとはみられないとしているが、患者は隔離治療を受けている」などと書かれています。
台湾の陳時中衛生福利部長は会見で「隔離治療がどのような状況で必要となるかは公共衛生の専門家や医師であれば誰でもわかる。これを警告と呼ばず、何を警告と呼ぶのか」と述べ、文書はヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起きていると警告していたと強調しました。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が台湾から人種差別攻撃があったと主張している問題で、台湾人がインターネット投稿で謝罪しているように中国側が見せかけていると台湾当局が指摘している。
台湾法務部(法務省)調査局は10日の記者会見で、中国のネットユーザーが台湾人を装い、テドロス氏に対する人種差別攻撃について謝っているように見せていると説明。同局情報セキュリティー部門の張尤仁主任によれば、こうした投稿は全て同じ言葉遣いのためフェイク(偽)だと容易に分かるとしています。
投稿は全て「台湾人として、このような悪意のあるやり方でテドロス氏を攻撃したことを極めて恥ずかしく思う。台湾人を代表してテドロス氏に謝り、許しを乞う」というものですが、いずれも中国に拠点を置くアカウントから発せられたようだとしています。
テドロス氏は8日、新型中国ウイルス感染症(COVID19)の対応を巡りオンライン上で3カ月にわたり台湾からの攻撃の標的になっていると述べましたが、台湾の関与を示す証拠は何も示しませんでした。これに対し、台湾の蔡英文総統はテドロス氏の主張に「強い抗議」を表明するとともに、同氏に台湾訪問を呼び掛けました。
台湾はWHOなど国連機関への加盟を長く求めていますが、台湾を領土の一部と見なしている中国が反対し続けています。米ジョンズ・ホプキンス大学によると、台湾は新型中国ウイルスの感染拡大を他のアジア諸国・地域よりうまく封じ込めており、10日時点で確認症例数は約380件です。ちなみに、これを10万人あたりの感染者数でみると,1.59人です。驚異的な少なさです。
中国国務院台湾事務弁公室はウェブサイトに同日掲載した声明で、蔡政権は「うそを並べ憎悪をあおる」ことをやめ、ウイルスとの闘いに焦点を絞るべきだとコメントしました。
これでは、先程も述べたように、中国が台湾に対してマスクや、防護服の提供、医療チームの派遣などで台湾に微笑外交を展開しようとしても全く無理です。逆に「自分の頭の上の蝿を追え」といわれてしまいそうです。
ちなみに、日本も台湾よりは、感染者数の数は多いですが、それでも10万人あたりに換算(感染者数➗人口✖10万)すると、5.6人(4/11現在)です。台湾は、1.59人です。これは、米中や他の先進国と比較すれば、極端に少ないです。中国は人口も約14億人と多いので、10万人あたりでは、一応6人程度ですが、中国統計は全くあてにならないので、この数字は無意味です。
韓国もひところは、感染者数が拡大してしまいましたが、それでも最近は収束しつつあり、11日時点では、10万人あたりの感染者数は19.4人です。これも、他の先進国から比較するとかなり少ないほうです。
ちなみに、なぜ10万人あたりでみるかといえば、無論人口の多い少ないで、その深刻度は異なってくるからです。10万人あたりでみると、感染者が一番多い都道府県は東京ではなく、福井県です(下表参照)。
北朝鮮はどうなのかは、わかりませんが、いずれにしても、台湾、韓国、日本に関しては、中国は「消防士のふりをする放火犯」のように、中国ウィルス関連で、微笑外交を展開するわけにもいきません。
中国自身は、自国の被害の程度を熟知しているでしょうから、近隣の国々では微笑外交もままならないのです。だかこそ、被害がかなり大きかったEU等で微笑外交を展開しているのでしょう。
もし、台湾や日本がヨーロッパや、米国なみに被害が大きかったとすれば、今頃微笑外交で、台湾、日本、韓国などで、存在感を増していたかもしれません。その後には、様々な方法を駆使して、台湾、日本、韓国を取り込みに走ったかもしれません。恐ろしいことです。
今回の中国ウイルス禍で、台湾がウイルスの封じ込めに成功したことは、台湾国内のみではなく、世界に対して大きな貢献になりました。
もし、台湾が封じ込めに失敗し、中国に助けられるような事態になっていれば、そうして日本も大失敗していれば、何しろ、現状では米国が深刻な感染に悩まされている状況ですから、中国はアジアで大攻勢にでて、中国ウイルス後の新たな世界秩序は大きく中国側に有利なものに傾く可能性がありました。
しかし、台湾は、日米の支援などではなく、独力で封じ込めに成功しました。これは、その後の世界に大きな影響をもたらすことでしょう。
冒頭の記事では、「新型中国ウィルスによって国境が封鎖された南米ペルーで足止めされた日本人観光客29人を、台湾政府のチャーター便に乗せてくれた」とありますが、これは3月29日のことです。
日本もすかさず、台湾におかえしをしています。
都市封鎖を実施しているインドから、台湾人12人が現地時間4月1日夜、
日本航空(JAL)の臨時便で出国し、2日早朝に東京に到着
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会見を行った欧江安報道によると、現地に滞在する台湾人から、駐インド代表処(大使館に相当)に対し帰国支援を求める問い合わせがあり、代表処が在インド日本国大使館、日本航空などと調整を行い、日本政府が手配する臨時便に同乗できるようになったとのことで、「外交部として心から感謝する」と日本や関係者に謝意を表明しています。なお、東京に到着した12人は、すでに台湾に帰国されています。
日台が、それぞれ独力で、現時点では中国ウイルスの囲い込みに成功していること、日台のこうした友情が、これからの世界を良い方向に変える原動力になるかもしれません。
後は、米国が一日もはやく中国ウイルスから立ち直り、台湾を強力にサポートし、EUに手を伸ばそうとする中国を牽制していただきたいものです。
そうして、このブログにも何度か掲載したように、米国と比較して、日本の経済対策があまりにお粗末です。今のままでは、リーマン・ショック時に、震源地の米国や、その悪影響を直に被った英国が素早く回復したにもかかわらず、日本だけが一人負けになった状況を繰り返すことになりかねません。
この状況では、中国ウイルス後の世界秩序の大きな変更の先頭に米台と同じスタート地点に立つことができないかもしれません。それは、日本だけの損失ではなく、中国を有利してしまうという大きな損失を招く恐れがあります。
そのようなことにならないように、安倍総理は、減税、追加経済対策、憲法改正などを公約にして、はやく解散総選挙を実施して、大勝利をして、維新の党とともに、中国ウイルス収束後におこる、世界秩序の大変更にリーダーシップを発揮できる体制を築くべきです。そうして、台湾なみに、はやく日本も中国ウイルスを収束させるべきです。
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