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2014年12月19日金曜日

経済対策3.5兆円に 27日にも決定 地方支援で規模拡大―【私の論評】8%増税悪影響は甚大、対策を怠れば、デフレからの脱却は遠のく!しかし、最も警戒しなければならないのは昼行灯の似非識者と財務省か(゚д゚)!

経済対策3.5兆円に 27日にも決定 地方支援で規模拡大


 政府は足踏みが続く景気の底上げに向けた緊急経済対策を、3.5兆円規模で編成する方針を固めた。27日にも閣議決定して2014年度補正予算に盛り込む。地方自治体が実施する商品券や旅行券などの発行を補助するほか、自然災害の復旧事業などにも充てる。当初は2兆~3兆円程度を想定していたが、地方の消費喚起や中小企業対策などを上積みする。

財源は今年度税収の上ぶれ分などをあて、新規国債は発行しない。予算案は来年1月下旬に召集予定の通常国会に提出し、2月中旬ごろの成立をめざす。

この記事は要約記事です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】8%増税悪影響は甚大、対策を怠れば、デフレからの脱却は遠のく!しかし、最も警戒しなければならないのは昼行灯の似非識者と財務省か(゚д゚)!

この緊急経済対策、無論実施すること自体には賛成なのですが、それにしても金額があまりにも少なすぎます。これについては、経済評論家の上念司氏も私と同じような考えのようで、以下のようなツイートをしています。
今年4月からの消費増税によって、それまで2%以上だった実質経済成長がマイナスにまで低下してしまいました。このため、年率換算で国内総生産(GDP)は15兆円ほど失われました。これによる税収減は国と地方合わせて3兆円にものぼります。

20年度の均衡化達成を目指すという、財政再建のために、8%増税したにもかかわらず、プライマリーバランスは、前年度の経済成長率でほとんど決まりますから、巷で良く言われているように、10%の消費増税先送りをしたから財政再建計画の達成が難しくなったのではなく、8%の消費増税をしたので難しくなったというのが真実です。

これが、予定どおりに10%増税などしていたら、財政再建はさらに道が険しくなったことでしょう。このことは、このブログでも、増税するずっと前から主張してきたことですが、それが現実のものになったということです。

そうして、消費増税によってGDPギャップ(需要と供給の差)も15兆円ほど生じてしまいました。景気を再度成長軌道に乗せるために景気対策が必要になりましたから、この意味でも財政再建計画を遅らせる要因になっています。

これらのことから、最早増税は、財政再建のために行うものという認識は、全くの間違いであったことが白日のもとに晒されました。

現状では、増税は景気にも悪影響を及ぼすし、財政再建にもマイナスということで、百害あって一利なしということが、もともとはっきりしていたのですが、数字上でもはっきり裏付けられた形となりました。

それにしても、まともなエコノミストの間では、このような議論が行なわれているというのに、とんでもないことを言う大学教授がいます。これも、上念氏がツイートしていました。
この土居教授、慶応大学の経済学部の教授だそうです。経済学とはいっても、様々な分野があり、それこそ、ミクロ経済学もあり、様々な分野があることは知っています。だから、マクロ経済学以外の研究をしている学者も大勢いることは知っています。

しかし、それにしても、一応教授という肩書がついているのであれば、専門馬鹿であってはいけないと思います。少なくとも、そなに詳しくはないまでも、マクロ経済の基本はおさえていて欲しいものです。こういう教授が大学教授、それも一流大学の教授であるということは本当に問題だと思います。

それにしても、この土井教授の発言、選挙後のものだったと思います。まあ、選挙前であれば、財務省への応援のつもりと解釈もできますが、総選挙後で、しかも与党が圧勝した後での発言だとすれば、本当に理解に苦しみます。

この教授野菜の値段を知らないのではとさえ思ってしまいます。キュウリ一本、千円などとか、そのようなことであれば、この教授のいうこともわからないではありませんが、常識で考えれば、どう考えても野菜不足でGDPがあれほど落ちるとは考えられません。

この手の流言は、以前にもありました。それは、GDPの低迷は、天候不順によるものとするものでした。これについいては、このブログにも、高橋洋一氏の反論記事を掲載して、論評を加えました。

無論、今年程度の天候不順はほとんどGDPに影響を与えません。だから、天候不順による野菜不足も無論、GDPには、ほとんど影響がありません。

少し、横道にずれてしまいましたが、なぜこのようなことを書いたかといえば、せっかくまともなエコノミストなどがまともに論議をしようとしても、なぜか、たいそうな肩書のついた識者といわれる人々が、全く事実にもとづかないトンチンカンな論議をし、それをメディアが吟味もしないで、報道するので、今の日本では、多くの人々がこれに、幻惑されて正しい判断ができなくなっているということです。

今回の選挙の直前にも、マスコミや識者が盛んに、「予定通り増税すべき」と言い立てていました。はっきり、言いますが、こういう主張をしていた、マスコミや識者は、全く信用できません。これから、彼らの主張はことごとく退けるべきです。

さて、少し脱線しました。話を元に戻します。

現在8%増税の悪影響が続いており、10%増税を見送ったからといって、これが是正されるわけではありません。だから、これに対する経済対策を実行する必要があります。

しかし、ブログ冒頭の記事の3.5兆円だけではどうにもなりません。今の日本は、一刻もはやくデフレからの脱却を成し遂げなければなりません。そのためには、積極的な財政出動をしなければなりません。

そのためには、私は国債を刷っても良いと思います。現在国債を刷ってでも、お金をつくって、経済対策をして、デフレから脱却して、さらに加熱気味になったとき、増税をすれば、今度は税収がかなり増えます。デフレでさえなければ、デフレの現状よりは、はるかに税収が増えて、それで、財政再建は必ずできます。

ちなみに、高橋洋一氏は、国債に頼らなくても、十分財政再建目標は達成できるとしています。それに関する記事のURLを以下に掲載します。
円安による含み益は10兆円以上ではないか 外為特会活用で国民に還元を
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、高橋氏は、経済対策の財源として以下のような提言をしています。
 景気対策などで財政支出を惜しんではいけない。別に国債発行に頼ることもない。いわゆる「埋蔵金」を活用すればいいのだ。今の段階なら、円安で含み益が10兆円以上あると思われる外国為替資金特別会計(外為特会)の活用がいい。もちろん、外為資金百数十兆円すべてが埋蔵金ではなく、あくまで含み益の部分である。
頭を使えば、このようなこともできるわけです。私としては、国債を発行して、さらに、税収上振れ分や、円安含み益や、その他の埋蔵金、たとえば政府資産の売却なども含む、ありとあらゆる手を使って、30兆円規模の経済対策を行うべきと思います。

本来、こういうことを考えるのが、財務省や識者の役割だと思います。そんなこともしないで、ただただ、増税を推進しようとしてみたり、上の土居教授のような馬鹿げた発言ばかりするというのなら、彼らは単なる昼行灯(ひるあんどん 役立たずという意味)とみなすべきです。しかし、この昼行灯にもいろいろいて、土井教授のようにすぐわかる嘘をつくならまだしも、もっともらしいことを様々なことを根拠に述べ立てるので、多くの人は幻惑されやすいです。

現在の日本では、まともな経済対策をするには、こうした昼行灯どもを無力にするしか方法がありません。今回の選挙で、まずは安倍総理がこれらをかなり無力化しました。しかし、これからもこうした無力化をどんどん継続していく必要があります。そうでないと、また奴らが息を吹き返し、とんでもないことをしだすかもしれません。まるでゾンビのような奴らです。

とにかく、桁は一桁ではなく、二桁の経済対策を行なわなければ、焼け石に水で、デフレからの脱却もしていない状況での8%増税というとんでないことをしてしまったことの挽回は不可能だと思います。

そうして、経済対策としては、公共工事の供給制約のある現在では、所得税減税と、給付金が最も良い方法であることは、いうまでもありません。

安倍総理は、総選挙で大勝を収めたのですから、安倍総理はこれらの昼行灯に全く影響を受けることなく、フリーハンドでどんどん新たな経済対策を打っていただきたいと思います。

私は、そう思いますます。皆さんは、どう思われますか?

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2014年7月21日月曜日

政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ―【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球かも?

政府月例経済報告に異議あり!消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ

先週14日付の本コラムで「経済指標は軒並み「景気悪化」の兆候!」(→こちら)を書いた。民間消費に加えて、民間設備投資も悪かったからだ。

おさらいのために図だけ再掲しておく。






このように、筆者としては消費税増税の悪影響が出てきていると判断している。ところが、政府見解としては、景気は悪くなっていないと言うのだ。

政府見解は毎月の月例経済報告をみればわかる。先週17日、官邸で月例経済報告等に関する関係閣僚会議が開かれた。これは、毎月一回、経済閣僚、与党政策責任者、日銀総裁らが出席して、政府の景気判断を確定させるものだ(会議の様子は官邸ホームページ→こちら 本文は→こちら)。


では、政府はどのような理由で消費を上方修正するのであろうか。

7月月例では「需要側統計(「家計調査」等)と供給側統計(鉱工業出荷指数等)を合成した消費総合指数は、5月は前月比 1.3%増となった」と書かれている。そして、「最近の動きをみると、「家計調査」(5月)では、実質消費支出は前月比 3.1%減となり、「除く住居等ベース」では同 0.6%増となった」とも書かれている。

要するに、本コラムで指摘した家計調査の数字は悪いが、鉱工業生産指数と併せて見れば、少なくとも前月よりは上がっている、というロジックだ。

この分析は不十分だ。14日付の本コラムで指摘しているが、対前月比で見ると、あまりに近視眼になる。大きく下がった後で少しばかり上がっても、前の水準に戻っていない場合があるからだ。対前月比は、過去のデータをすぐ忘れるマスコミを騙すことはできるが、実態経済の不調は隠せない。だから対前年同月比でも見る必要がある。

政府の言う「除く住居等ベース」では前月比0.6%増だが、対前年同月比でみると、やはり悪い。


需要側(家計調査)が悪くて、供給側(鉱工業出荷等)がそれよりいいというのは、通常の経済分析では黄色信号だ。というのは、需要が弱くて、生産が伸びているというのは、意図せざる在庫が増えている可能性があるからだ。

なお、一部マスコミで、月例経済報告に懐疑的な論調もあるが、それらのマスコミはこれまでの金融政策による景気回復の時でも、金融政策は効果がないという真逆であったので、その理由はまったく信用できない。金融政策無効派の多くは、消費税増税賛成である。このため、月例経済報告に懐疑的であっても、その理由として消費税増税でなく、まったく無関係な理由を挙げ、トンチンカンになっている。

筆者がこれまで言ってきたことを繰り返しておこう。金融緩和は正しくアクセルの役目を果たし、これまでの景気回復の原動力になっていた。しかし、消費税増税はブレーキを踏むことになるので、経済政策としてはまずい。

この記事は、要約です。元記事はこちらから(゚д゚)!


【私の論評】財務省はジレンマに陥っている。安部総理と、そのブレーンは肉を切らせて骨を断つ戦略を実行している(゚д゚)!これこそが隠し球かも?

上の記事で高橋洋一氏は、「金融緩和は正しくアクセルの役目を果たし、これまでの景気回復の原動力になっていた。しかし、消費税増税はブレーキを踏むことになるので、経済政策としてはまずい」と語っています。そんなことは、増税前から多くの人々が理解していたと思います。

そうして、上の記事のタイトルの一部には「消費税増税の悪影響を認めたくない政府に騙される政治家とマスコミ」と書かれています。

確かに、政治家もマスコミも高橋洋一氏のようなことは一言もいいません。しかし、これはマスコミも、政治家もそのほとんどが財務省主導の増税キャンペーンに踊らされて、増税一色で走ってしまったため、いまさら景気が落ち込んでいるなどとは、言い出しにくい状況にあります。

それをしてしまえば、自らが、マクロ経済音痴であったことを公にするようなものです。それは、財務省も同じことでしょう。だから、マスコミ・政治家が経済がかなり落ち込むかもしれないなどと今更、大声をたてることは出来ないのだと思います。

しかし、最近私は不思議な現象を体験しています。高橋洋一氏の言うようなことは、日銀のりフレ派や、リフレの論客であるまともな評論家や、リフレ派政治家などは、すべてお見通しのはずです。しかし、彼らも口を堅く閉じて何も言いません。これは、一体どうしたことでしょうか。

私が、インターネットで検索してみた範囲では、直近で、経済がかなり悪化しそうなことを語っているのは、影響力のあるメデイアは皆無であり、個人では高橋洋一氏と、三橋貴明氏くらいなものです。

三橋貴明氏は、以下のようなコメントをしています。
三橋貴明の「新」日本経済新聞   [三橋実況中継]想定外の悪影響
ちなみに、今回の消費税増税の悪影響が過去のケースよりも酷いことは、政府は普通に把握しています。例えば、総務省は6月27日の時点で以下の資料を公表しているのです。 
過去の消費税導入時等との比較(平成2 6 年6 月2 7 日 総務省統計局)


消費支出(季節調整済実質指数)の推移を見ると、消費税導入時(89年)と一度目の増税時(97年時)は、かなり似た動きの「消費の落ち込み」となっています。それに対し、今回は4月の消費の落ち込みが89年時、97年時よりも激しく、しかも5月は更に悪化してしまっています。 
明らかに「想定外」な悪影響が出ているのですが、政府は相変わらず「想定の範囲内」を繰り返しています。消費税増税の影響よりも、むしろこの「想定の範囲内」の方がはるかに問題であり、危険だと考えるのです。何しろ、想定の範囲内である以上、補正予算等の対策は打たれません。 
何と言いますか、現在の安倍政権(官僚含む)は、猛烈な反対の中で消費税増税を断行した結果、自分の間違いを認めることができず、懸命に「大丈夫なところ」を探し求める状態、すなわち認知的不協和に陥っているように思えてならないのです。認知的不協和に陥っていた場合、 
「確かに消費や賃金の落ち込みは前と比べても酷いけど、○○は良いから・・・」
と、懸命に一部の情報をクローズアップさせ、自分を安心させようとすることになります。結果的に、問題を問題として認識することができなくなり、対策を打てなくなります。 
しかも、今回は政権がもう一度、12月に再度の増税を判断しなければならないという、極めて政治的に複雑な時期です。安倍政権が認知的不協和に陥っており、懸命に「ちょっといい数字」を探し出し、それを理由に再増税の決断をされたら目も当てられません。だからこそ、現時点で「想定外の悪影響」を政権に認めさせる必要があると思うのです。
このような事実は、経済には素人の私にでも十分理解できます。というより、多少経済の知識がある人は、誰もがこんなことは最初から予測していたと思います。

なにしろ、今回の増税は、デフレの最中での増税です。前二回の増税は、少なくとも日本経済はデフレではありませんでした。デフレではなかったので、少なくとも賃金が下がりつつある中での増税ではなかったということです。

しかし、今回は賃金が全体では下がりつつあるなかでの増税です。これは、財務省やマスコミがいくら屁理屈をつけても、かなり大きな悪影響が出ることは最初から明らかでした。

にもかかわらず、もともな経済学者や、リフレの論客たちが、沈黙を守っているというのはどういうことなのでしょうか?

この謎紐解くには、昨日のこのブログの記事が多いに参考になると思います。
天下の財務省夏の人事は「増税人事」―【私の論評】やすやすと、10%増税がなされ、日本が再度デフレスパイラルのどん底に沈み、安倍総理が辞任を余儀なくされることが、朝日新聞の描く日本の望ましい近未来だ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとしてこの記事では、結論として以下のようなことを掲載しました。
やすやすと、10%増税がなされ、日本が再度デフレスパイラルのどん底に落ち込み、無党派層が完璧に与党から離れ、またぞろ安倍おろしがはじまり、安倍総理が辞任を余儀なくされることだけは、絶対に避けなければなりません。 
これが、マスコミが狙っている近未来の日本です。安倍政権と、経済この両者が密接に結びついていることを知る人は、未だ少ないです。
デフレから脱却していないうちに、来年の4月から10%増税が決まってしまえば、またぞろ日本は、デフレ・スパイラルのどん底に落ち込むことは明らかです。

しかし、現状で強力な経済対策を打つことにでもなれば、昨年のように10月時点では、様々な景気指標が回復したり、上向き、それこそ増税派にとって増税を主張しやすい、都合の良い状況になってしまう可能性がかなり高いです。

昨年は安部総理が増税を決意する前から、マスコミは総理
が増税を、決断し終わったかのように、執拗に報道を続けた

しかし、現状では、新たな経済対策を打つ動きは全くありません。おそらく、現状では公共工事の供給制約がありますからこれは効果が薄いです。そのため、デフレの今日では、再配分的な所得税減税や給付政策を大々に実施すれば、かなり効果をあげることができます。再配分的というのは、所得の少ない人には厚く支援をするということです。

これを実施すれば、デフレの最中にある低所得層は、減税分や給付分を速やかに支出することになります。だから、その効果は金融緩和などと比較すればかなり即効性があります。

これを速やかに実行すれば、9月、10月あたりにはかなり経済が回復すると思います。

しかし、そうなるとまた昨年の財務省主導のマスコミ、政治家こぞっての大増税キャンペーンの再現ということになってしまい、直近で経済状況が良いのだから、増税は当然という主張をして、やすやすと増税が決定されてしまう恐れがかなり濃厚です。

このようなことをしては、リフレ派論客としては敵に塩をおくるようなことになってしまう可能性も大です。

安倍総理や、そのブレーンたちも、そのことは良く理解しているのだと思います。

だからこそ、小数派の安部総理やそのブレーンたちも、今のところは口をつぐんているのだと思います。政府月例報告など、所詮は役人の作文に過ぎません。黙っていれば、そのまま公にされるものです。

今後安倍政権には、二つの道があります。

一つ目の道としては、景気対策をすぐに推進することです。確かに、国民のことを考えると、景気を良くしたほうが良いに決まっています。しかし、今すぐそれを実行してしまえば、10月に増税派に格好の増税推進の大義名分を与えてしまうことにもなりかねません。

そうして、来年の4月から10%増税が、なされてしまえば、来年は今年よりもさらに景気が落ち込み、日本はとんでもないことになります。失われた20年が、40年になってしまう可能性も高いです。

第ニの道としては、直近の経済が悪くても、来年の増税を今度こそ阻止し、その後に先程述べた、再配分的な所得税減税や、給付政策を実行して、経済を上向かせるという道です。

これにより、日本経済はデフレから脱却できる可能性が高まることになります。おそらく、これを実行すれば、市場関係者も好感して、最初は株価もあがり、かなり経済指標も良くなり、丁度安倍政権が誕生したときの、衆議院議員選挙の直前のときのように安倍政権にとって追い風となることでしょう。

私としては、安倍総理および、そのブレーンたちは、第二の道を選んでいるのだと思います。

まさに、安倍総理は、「肉を切らせて骨を断つ戦略」を実行しつつあるのだと思います。だからこそ、リフレの論客たちもこのことを理解して、現状では様子見をしているのだと思います。

「肉を切らせて骨を断つ」という戦法は日本で古から知られているものである

これが、8月から9月あたりになれば、一斉に決戦の火蓋を切り、論戦を開始しはじめると思います。しかも、昨年の財務省キャンペーンには負けていますからかなり周到に準備をしていると思います。

今は、リフレの論客たちや、安部総理とそのブレーンたちは、財務省や、政治家などにこれを邪魔されたくないので、静かに動静を見守り、準備を整えているのだと思います。

増税を推進した、政治家、マスコミ、財務省は、まずは、自分たちの面子や、世間体が重要なので、経済対策をすぐにでも打つべきなどとは言えないと思います。ただし、財務省あたりは、何とか9月~10月あたりに数字が良くなるような手を打つか、手が打てないなら、増税の悪影響は軽微であるとする屁理屈を考えているのだと思います。

これには、早い時期からその動きがありました。これについては、このブログにも掲載したことが、ありますので、以下のそのURLを掲載します。
異例の予算前倒し要請、麻生財務相「景気下振れに万全期す」―【私の論評】増税の悪影響は最初から懸念されていたこと、いまさら遅い!公共工事の供給制約が明らかになった今一体何をどうするというの?
予算前倒しを養成した麻生財務大臣

これは、3月の時点の記事ですが、財務官僚などは、この前倒しで、9月、10月あたりの景気指標を良くしようとの腹だったと思います。そうして、これはうまくいくものと思い込んでいたに違いありません。なにしろ、利権に群がる官僚は、もとより政治家もかなり存在します。

だから、やすやすとこれは出来るとたかをくくっていたかもしれません。しかし、この時点では、公共工事の供給制約など、一部の識者は指摘してましたし、実際にこの時点でも、供給制約がありました。しかし、現状では供給制約ははっきりと顕在化しています。

現在全国で、公共工事の落札ができないという状況にあります。そうなると、公共工事などにより、9月、10月の経済指標を良くすることは不可能です。

だからといって、増税した直後に、所得税減税や、給付を実行するということになれば、自ら増税実施は間違いであることを認めることになってしまい、これは、様々な人達から、批判を受けることになります。

そもそも、デフレのときに増税をして、経済が良くなった事例など古今東西いずれにもありません。これは、断言できます。疑問に感じる方は、実際に検索してみてください。短期的には、そんなこともあるかもしれません。しかし、それで経済がよくなったとしても、それは、他の原因によるものです。それに、長期的にみれば、成功事例など一つもありません。

昨年の財務省主導による増税キャンヘーンは、単に「黒を白」と言っているだけのことで、最初からかなり無理があります。

黒を白というようでは、オセロゲームも成り立たない


まさに、財務省はジレンマに陥っているのです。そうして、財務省をジレンマに陥らせることこそ、安部総理の隠し球なのかもしれません。

意外と、高橋洋一氏もこのことを理解していて、ブログ冒頭の記事は、事実を述べているだけではなく、観測気球的な意味合いがあるのかもしれません。あのような記事を書いて、財務相や、政治家、マスコミなどの動静を探るという意味があるのかもしれません。三橋氏に関しては、そこまでは考えてはいないと思います。

そういう私も、何やら財務省やマスコミにヒントを与えるような記事を掲載しているわけですが、とはいいつつ、財務省や、増税推進派の政治家たちも、おそらくすぐに、彼らが9月、10月の指標を良くするために、所得税減税や、給付金政策に走ることはできないと睨んでいます。

財務省としては、まさに壁にぶち当たっているわけです。財務省の異例の夏の人事は、この壁を克服するための慣例を全く無視した、命がけの人事だったのかもしれません。

安部総理や、そのブレーンたちも、この「肉を切らせて骨を断つ戦略」を着々と実行しつつあるのかもしれません。財務省に対する懐柔政策も始まっているのかもしれません。

私自身も多くのリフレ論者たちも、何も永遠に増税すべきでないなどと思っているわけではありません。経済対策がうまくいき、その後経済が加熱し、インフレが過度に進めば、その時には増税すれば良いのです。そうすれば、過度のインフレ懸念は、払拭することができます。

永遠に増税、永遠に減税をし続けるなどということはありません。マクロ経済対策は要は、その時々でのバランスが重要なのです。

何も、いますぐ、増税してとんでもないことにしなくても、いずれ増税すべきときは必ずやってきます。その時に増税すれば、何も無理な増税キャンペーンをしなくても、楽にできるはずです。

何も、デフレ時に増税して、国民を塗炭の苦しみに追いやり、心底恨まれるよりは、すべきときに実施して、国民から信頼される道を選べば、それで良いではありませんか。

それにしても、以上のすべては、ひょっとしたら私の妄想かもしれません。しかしながら、リフレ論客たちがあまり現状の経済の落ち込みを批判しないということは、以上で述べたような論評があてはまっていないければ、なかなかすっきりと説明できるものではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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2014年3月28日金曜日

異例の予算前倒し要請、麻生財務相「景気下振れに万全期す」―【私の論評】増税の悪影響は最初から懸念されていたこと、いまさら遅い!公共工事の供給制約が明らかになった今一体何をどうするというの?

異例の予算前倒し要請、麻生財務相「景気下振れに万全期す」

麻生財務大臣
 
 3月28日、麻生財務相は、安倍首相とともに2014年度予算を早期実施するよう各省庁に要請する異例の対応に踏み切った。写真は昨年6月、都内で撮影(2014年 ロイター/Issei Kato)

[東京 28日 ロイター] -麻生太郎財務相は28日の閣議で、安倍晋三首相とともに2014年度予算を早期実施するよう各省庁に要請する異例の対応に踏み切った。

4月1日の消費増税に伴って景気が下振れるリスクを最小限に食い止める狙いからだ。

政府が念頭に置く14年度予算の執行目標は今年6月末までに4割以上、9月末までに6割以上を「実施済み」にするというもの。公共工事や備品購入などに基金事業を加え、14年度予算では早期実施対象を12兆円と想定。財務省幹部によると2月に示した13年度補正予算の早期実施分(3.4兆円)を合わせると、その対象は15.4兆円に上る。

麻生財務相は閣議後に記者会見し、「予算執行に具体的な目標をつくることで早期実施を強力に進め、来年度前半に景気が下ぶれするリスクに万全を期す」と語った。

【私の論評】増税の悪影響は最初から懸念されていたこと、いまさら遅い!公共工事の供給制約が明らかになった今一体何をどうするというの?

安倍財務大臣といえは、財務省の考えを代表しているものと考えられます。だからこそ、増税に関しては、このブログでも掲載したように、安倍総理が決断する前から、増税に前向きと受けら取られる発言をしてきました。それについては、このブログでも掲載したことがあります。

しかし、実際に増税することになって、蓋をあけてみたら、景気が下ぶれすることは間違いないどころか、かなり経済に悪影響を与えることが、明るみに出てきたため、あわてて、上記のような発言になったものと思います。これに関しては、少し内容が違いますが、やはり増税の悪影響を恐れた財務省による財務省が公共事業予算繰越を促すという前代未聞の事柄が発生しています。

これは、どういうことかといえば、とにかく公共工事予算なるものは、年内のものは年内に使い切らないと駄目だということがあり、毎年3月あたりになる全国で、あまり実施する必要もない工事が結構行われている光景を目にしたのですが、財務省がこんなことをしなくても、予算を次年度に繰り延べて実行しても良いということを言い出したわけです。

これに関しては、下の動画で三橋氏が、述べていますので、これをご覧になってください。


2014年度予算を早期実施をしようが、2013年度の公共事業予算繰越をしようが、大勢は変わりません。今になって、ようやっと財務省にも、増税の悪影響が目に見えてわかってきたということだと思います。

今回増税すると、消費がまたかなり冷え込み、消費税も思ったほどには増えず、所得税、法人税などがかなり減り、全体としては税収は増えないということになることでしょう。これは、前回のと前々回の増税でもそういうことになりました。しかし、前回と前々回では、デフレの最中で景気が悪いなか増税というとんでもないことをしでかしてしまいました。

今回、ご存知のように昨年から異次元の金融緩和を実施しつつの増税ですが、そうはいっも、デフレから脱却もしていないうちに増税するのですから、とんでもないといわざるをえません。

それに今回は、20年間にもわたり公共工事を減らし続けたということで、建築・土木業界は疲弊し、公共工事が増えても、それをこなしていけいない状況である、公共工事の供給制約があります。

これについては、以前このブログでも掲載しましたので、その記事のURLを以下に掲載します。

【日本の解き方】高く評価できる黒田日銀の1年目 懸念は増税による成長率下振れ―【私の論評】財政政策にも限りが、追加財政政策をしたとしても、公共工事の供給制約がある(゚д゚)!

詳細は、この記事をごらんいただくものとして、この記事では、以下のグラフを示しながら、公共工事の供給制約について説明しまた。その部分を以下にコピペします。
 以下のグラフは公的固定資本形成(公共事業費)と建設業許可業者数の推移です。
公的固定資本形成の増減に対して、建設業者数が遅れて追従しているのが分かります。
大体5年くらいの遅れでしょうか。国土強靭化により公共事業を拡大しても供給能力が元に戻るには5年くらいの時間がかかってしまうという事です。
要するに、公共工事を実施するのは、無論のこと民間建築業・土木業ですが、それが20年にもわたって、公共工事が減らされてきたため、弱いところから淘汰されてしまい、いくら公共工事が増えたにしても、大々的に工事ができるようになるには少なくとも5年はかかりそうだということです。

金融緩和政策は、間違いなく効き目はありますが、その効果が末端にまで効果を及ぼすようになるまでは、少なくとも2年~3年のタイムラグがあります。これに比較すると、財政政策としての公共工事はかなり即効性があります。大々な公共工事を実施すれば、半年くらいで効き目がでてきます。それも、公共工事の従事者にたいする賃金としてすぐに効果がでてきます。

ただし、安定低的長期にわたって効果が持続するということはありません。それに比較して、金融政策は、長期わたり効果が持続します。だから、両者をうまく組み合わせて、経済対策を行うのがベストなのですが、残念ながら日本では、包括的な金融緩和というアクセスをふかしながら、増税でブレーキを踏むというようなとんでも対策を行うわけです。

これは、本当にとんでもないことです。本来公共工事の供給制約があるなかで、公共工事はじょじょに増やしていくこととし、それに変わる手段としては、現在ならびに効果のある給付ということになるはずです。

しかし、政府は反対に舵を切ってしまい、4月からは増税です。新度予算を早期実施をしようが、20本年度の公共事業予算繰越しようが、ほとんど経済に影響は及ぼしません。

消費税増税が決まっていて、動かせないというのなら、所得税の大幅減税、配偶者控除の拡大、経済に即効性の期待できる給付金の拡大など、一刻も早く実施していくべきです。経済対策としては、法人税減税そのものは、あまり意味がないどころか、悪いほうに傾く可能性が大です。減税しても、景気が悪ければ、企業は余剰資金を溜め込むだけです。そんなことをするくらいなら、企業に対しては、雇用を拡大したり、雇用訓練をしたり、賃金を増加したら、何らかの給付をするというほうが余程効果があると思います。

私は、そう思います。皆さんは、:どう終われますか?

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