2016年4月8日金曜日

「民進党はあほ」発言のおおさか維新の足立氏 陳謝するも「事実誤認は見当たらない」―【私の論評】「アホ、馬鹿」とメディアがぶつ切り報道をした足立康史衆院議員の発言はこれだ(゚д゚)!

「民進党はあほ」発言のおおさか維新の足立氏 陳謝するも「事実誤認は見当たらない」



衆院総務委員会は8日の理事懇談会で、委員会で民進党を「あほ」などと評したおおさか維新の会の足立康史衆院議員の発言について協議したが、足立氏は「事実誤認はない」と断言した。

足立氏は7日の総務委員会で、民進党の安全保障関連法の対応をめぐり「安保法廃止法案が対案だと胸を張っているのは、あほじゃないか」「こんな政党は国会の恥だ。あほ、ばか、どうしようもない」などと発言し、民進党が反発していた。

足立氏によると、民進党の委員が理事懇の冒頭、足立氏の懲罰動議を衆院事務局に提出したことを明らかにした上で、「事実誤認がある」「品位を欠いた」などと足立氏の発言を批判した。これに対し、足立氏は「不愉快な思いをさせたとすれば陳謝する」と述べる一方、「(議事録を読み返しても)事実誤認は見当たらない」と強調した。

過去に自民党や民進党の国会議員が同様の発言をした前例があったとも指摘し、「私のケースだけ取り上げて懲罰動議提出に及ぶのは単なる政争だ。懲罰動議という仕組みを政治闘争に使うこと自体があるまじき行為であり、懲罰動議に値する」と述べたという。

【私の論評】「アホ、馬鹿」とメディアがぶつ切り報道をした足立康史衆院議員の発言はこれだ(゚д゚)!

足立康史衆院議員の発言は、テレビなどではぶつ切りにされて、「こんな政党は国会の恥だ。あほ、ばか、どうしようもない」と発言している部分のみが取り上げられ、なぜ足立議員がこのような発言をしたのか、その背景に関しては全く報道しませんでした。新聞報道も似たようなものでした。

上の動画の全部を報道するということになれば、短い放送時間の枠では無理なことはわかります。しかし、「こんな政党は国会の恥だ。あほ、ばか、どうしようもない」の部分だけ切り取るのではなく、なぜこのような発言に至ったのかも報道すべきでした。

上の動画をご覧いただければ、発言の概要はおわかりになると思います。

2016年4月7日足立康史(おおさか維新の会)の上記の発言のあった【衆議院 国会中継 総務委員会】の内容を以下に掲載します。
案件: 
国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を­改正する等の法律案(190国会閣38) 
発言者一覧 
説明・質疑者等(発言順): 開始時刻 所要時間
遠山清彦(総務委員長)  9時 06分  01分
橘慶一郎(自由民主党)  9時 07分  30分
小川淳也(民進党・無所属クラブ)  9時 37分  35分
高井崇志(民進党・無所属クラブ)  10時 12分  35分
田村貴昭(日本共産党)  10時 47分  40分
足立康史(おおさか維新の会)  11時 27分  20分
吉川元(社会民主党・市民連合)  11時 47分  22分
梅村さえこ(日本共産党)  12時 09分  04分 
答弁者等
大臣等(建制順):
高市早苗(総務大臣)
高鳥修一(内閣府副大臣)
牧島かれん(内閣府大臣政務官)
藤丸敏(防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官)
民進党は、本当に何のために存在する党なのでしょうか。国民が馬鹿だと思ってマスコミ対策すれば、自分たちに有利になると考えているようですが、残念ながら左巻きの一部の国民を除ききほとんどの国民が、もうその本質を見ぬいてます。民進党は、統治能力なし、統治の正当性もなしです。

足立議員は、国民の多くのが腹の中で思っていることを国会で代弁したという感じです。民進党は、本当に、安保も駄目のアンポンタン、財政も駄目、金融・雇用も駄目、社会保障も駄目、何もまともに論じられず、日々奇妙奇天烈、摩訶不思議な論理で、全く無意味な議論を繰り返しているだけです。

以下に思いつくだけ、民進党(民主党)の奇妙奇天烈、摩訶不思議ぶりのいくつかをあげておきます。

【雇用】

民主党時代は雇用が30万人減り、安倍政権では100万人増えた。という事実を民進党の人たちは認めたがりません。金子洋一参議院議員などごく一部の議員を除いて、民主党の議員のほとんどは、雇用と金融政策が密接な関係にあることを理解していないし、理解しようともしていません。


【デフレの原因】

民進党には、デフレは人口減少のためだと本気で信じ込んでいる人が大勢います。しかし、そうではないことは、常識的に考えればすぐにわかることです。現在日本で、大規模な自然災害や、核兵器などでも何でも良いですが、いきなり人口が半分にになり、貨幣はそのまま残ったとします。そうなる、どうなりますか。

貨幣はそのままで、人口が半分ということは、これはもう、ものすごいインフレですね。デフレではありませんよ。よって、人口減の原因は人口減少でないことは、小学生にだって理解できます。そもそも、デフレは純然たる貨幣現象であり、人口とは全く関係ありません。民主党の議員の多くは、このようなことが理解できていないようです。

【増税】

そもそも今回の消費増税法は政権交代のときの、民主党の公約になかったのに、財務省が政権運営に不慣れな民主党幹部を籠絡し、野党自民党も抱き込み国会で成立させました。財務省は国民に選ばれた議員による間接民主主義の弱点を知っています。国民すべてを騙すのは難しいのですが、少数の国会議員それも、民主党なら騙しやすかったのです。

【マイナス金利】

民主党政権下で 白川日銀総裁が作り上げた日銀当座預金への0.1%金利は 実質 金融機関への補助金(約2200億)でした。 黒田日銀総裁が決めたゼロ金利政策は その白川による金融機関への利益供与の排除であるにもかかわらず、民主党議員はマイナス金利に関して摩訶不思議な理由でその危険性を強調するばかりでした。

【ブラック企業と既得権益者を利する経済政策】

民主党が主張する経済政策はブラック企業と既得権益者を利するだけだ 安倍政権の方が優れています。 就 民主党は非正規雇用者、新卒者、失業者という「非既得権雇用者」の利益は考えていません。

【安保に無頓着】

「米軍撤退」「核保有容認」トランプ発言によって、安保反対論者である民主党は追い詰められているはずなのに、なぜかそのことについて無頓着な民進党。日本近辺の安保情勢が厳しくなる中、まさか非武装中立などということはできないでしょう。ちなみに自主防衛コストは24~25.5兆円の試算があります。

以上あげると、きりがないのでこの辺りでやめておきます。それにしても、民進党の大部分の幹部や議員は、上記のようなことをほとんど理解していません。このようなことを発信する人も金子洋一参議院議員のように、民進党の中に存在するのですが、ほとんどの人が耳をかそうともせず、日々奇妙奇天烈、摩訶不思議な議論をしています。

民進党の議員らは人とまともなコミュニケーションができないようです。

コミュニケーションというと、経営学の大家ドラッカー氏は以下のように語っています。
 人の心は期待していないものを知覚することに抵抗し、期待しているものを知覚できないことに抵抗する。 
「受け手が期待しているものを知ることなく、コミュニケーションを行うことはできない。期待を知って初めてその期待を利用できる。あるいはまた、受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためのショックの必要を知る」(『エッセンシャル・マネジメント』)
経営学の大家ドラッカー氏
足立議員は、摩訶不思議、奇妙奇天烈な民進党議員などの発言に関して、お前たちはおかしな話をしていると伝えたかったのでしょうが、まともな話し方では通じないと考え、民主党の議員らに対して覚醒のためのショックを与えて、受け手である民主党議員らの期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを認めさせるためわざわざ、あのような発言のような仕方をしたのだと思います。

考え方によっては、足立議員の発言は、民主党の議員らとコミュニケーションをとるための手段であったとも考えられます。

しかし、残念ながら、この発言は無駄に終わることでしょう。民進党議員の大部分は、与党議員とも、国民ともまともなコミュニケーションができずに、日々自分たちの中でだけ通用する摩訶不思議、奇妙奇天烈な論議を繰り返し、破滅への道をたどることでしょう。

かつて日本に存在した社会党という政党 民主党もかつての視野回答のようになる
すでに、民主党の名称は消えた。次は、選挙で大敗して、有名無実になる道が待っている
このブログでも従来から予測している通り、いずれ社会党のように姿を消すことでしょう。もうすでに、民主党の名前は消えました。その次は、次の選挙が衆参同時選挙になろうが、なるまいが、確実に次の選挙では、衆議院も参議院も大敗して、有名無実になることでしょう。

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2016年4月7日木曜日

日米比越4カ国で中国を威嚇 海自護衛艦の“歴史的”寄港で南シナ海「対中包囲網」―【私の論評】マスコミが絶対に国民に知られたくない安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!


海上自衛官「いせ」 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 日米両国が、フィリピンやベトナムとともに、南シナ海で軍事的覇権を強める中国を封じ込める動きを見せている。米原子力空母「ジョン・C・ステニス」が同海に展開するなか、海上自衛隊の護衛艦や潜水艦がフィリピンに寄港したのだ。護衛艦はベトナムにも向かう。海自最大級のヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」も近く、フィリピンに寄港予定で、南シナ海の「航海の自由」を断固守る覚悟といえそうだ。

 海自の護衛艦「ありあけ」「せとぎり」と、練習用潜水艦「おやしお」は3日、南シナ海に面したフィリピン・ルソン島のスービック港に入港した。日本の潜水艦のフィリピン寄港は15年ぶりという。

フィリピンのスービック港に寄港した海上自衛隊の潜水艦「おやしお」(左)、護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」

 スービックは、アジア最大の米海軍基地が1991年まで存在した良港であり、中国は米軍撤退後、フィリピンも領有を主張していたミスチーフ(中国名・美済)礁に勝手に軍事施設を建設した。

 中国による「南シナ海」支配の野望を実感させる港に、海自艦船が寄港したことは、各国メディアも注視している。

 ロイター通信は先月、「艦艇の寄港は受け入れ国と親密な関係にあることを示すことになり、南シナ海でフィリピンと領有権を争う中国への牽制(けんせい)につながる」と事前に報じた。

 AFP通信は3日、「この港は中国とフィリピンが領有権を争うスカボロー(同・黄岩島)礁から200キロの位置にある」としたうえで、フィリピン海軍の報道官の「今回の寄港は、地域の平和や安定の持続的促進および近隣諸国の海軍との協力強化が目的」との発言を伝えた。

 これだけではない、海自が誇るヘリ搭載型護衛艦「いせ」が今月中にも、スービック港に寄港する。同艦は、全長197メートル、全幅33メートル、基準排水量1万3950トン。乗員350人。200メートル近い全通甲板を備え、最大11機のヘリコプターが搭載可能だ。海自護衛艦の中でも屈指の哨戒ヘリ運用能力を持ち、潜水艦への警戒・監視活動に威力を発揮する。

 「いせ」は、今月12~16日の日程でインドネシアのパダンで開かれる多国間共同訓練「コモド」や国際観艦式に参加し、捜索・救難訓練や指揮所訓練などを行う。その後、南シナ海に入り、米海軍とフィリピン海軍との共同訓練を行う方向だ。

 さらに注目すべきは、「ありあけ」と「せとぎり」がフィリピン寄港後、日本の護衛艦として初めてベトナム・カムラン湾に寄港することだ。

 カムラン湾は、中国が覇権を強める南シナ海・パラセル(同・西沙)諸島や、同・スプラトリー(同・南沙)に近い軍事的要衝である。

 海自幹部は「特定の目的で(寄港地を)選んだわけではない」というが、西アジアの安全保障のために、日本と米国が、フィリピンやベトナムと連携して、中国を牽制・包囲する狙いが伝わる。

 世界の最重要シーレーンである南シナ海について、中国の習近平国家主席は昨年9月、オバマ米大統領との米中首脳会談で「南シナ海を軍事拠点化する意図はない」と語っていた。ところが、地対空ミサイルや対艦巡航ミサイルを配備した後に行われた先月31日の同会談では、習氏は「中国の主権を侵害する行為は許さない」と開き直った。

 中国の暴走を止められないのか。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「南シナ海の『航行の自由』が保障されなければ、世界経済の深刻なダメージとなる」といい、続けた。

ジョン・C・ステニス
 「米中首脳会談に合わせて、米国は空母『ジョン・C・ステニス』を派遣して中国に圧力をかけたが、首脳会談は平行線に終わった。海自護衛艦のベトナム寄港は歴史的な出来事だ。日本の安全保障政策は新たなステージ入った。日米とフィリピン、ベトナムの4カ国による『対中包囲網』が形成されるとみていい。これにインドネシアも加わる可能性がある」

【私の論評】マスコミが国民絶対に知られたくない、安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!

このような報道、やはり日本のテレビや、新聞でもほとんど報道しません。これは、何を意味するのか、日本のメディア自身も把握していないのでしょう。情けないことです。

今回の目玉はやはり「いせ」の南シナ海への寄港でしょう。「いせ」は厳密には、空母ではないものの、少し改装でもすれば、すぐにでも空母にもなるような艦艇です。これは、おそらく、戦後初めての南シナ海への空母の派遣ということになります。

米国は日本に対し、南シナ海で、無人有人の偵察機や、探知用のレーダーつきの軍艦、潜水艦などを出して、中国軍の動向について情報する「情報・監視・偵察(ISR)」をやってほしいと要望し続けています。しかし、日本は、まだ日本の領海である南西諸島など東シナ海でのISRを拡大している最中で、まったくの外国である南シナ海でISRを始める余力がない、と米国に返答しててました。

日本は自国周辺のISRについて、長らく米軍に全面依存し、独自の情報収集機能をほとんど持たなかったのですが、冷戦中からソ連に対する対潜哨戒活動を強化し、現状ではその能力は世界のトップクラスになっています。無論中国のそれと比較すると、数段上のレベルにあり、当面中国が追いつけるようなレベルではありません。

しかし、一時的な航行でなく、日本が南シナ海で恒常的に中国軍の動向を把握するISR(軍事諜報活動)を行うとなると、話は全く違ってきます。東シナ海は日本の領土領海なので、そこでのISRは正当な防衛ですが、日本と直接には関係もない南シナ海で日本が恒常的なISR活動を行うことは、南シナ海を中国の領海や経済水域でなく全くの「公海」とみなしたとしても「外国への軍事的影響力の行使」「覇権行為」とみなされることになります。特に、日本国内ではそうです。

ただし、ISRについては、日本はすでに海外の実績があるのも事実です。それは、ソマリア沖の海賊対策として、日本の海上自衛隊はすでに対潜哨戒機を派遣して、海賊の監視活動にあたっており、かなりの成果を収めています。

ソマリア沖の海賊の監視には自衛隊が活躍している
この方面で、自衛隊は、水上部隊は護衛艦(対潜ヘリ搭載ミサイル駆逐艦)2隻、対潜ヘリ4機からなり海保から8名が同乗し海上警察活動をしています。

航空部隊は2機の対潜哨戒機と水上部隊所属機のヘリの整備も行う整備隊など約150名、基地の運営と警備を行う陸自部隊約50名、日本とジブチ間の補給物資の輸送を行う空自の輸送機部隊からなります。

この海賊対策は、多国籍軍によって行われていますが、昨年は海上自衛隊の伊藤弘海将補が昨年の5月末から7月末まで多国籍軍の司令官を勤めました、自衛隊としては初めて多国籍部隊のトップということになりました。

伊藤弘海将補
このような実績もあることから、米国が、台湾、フィリピン、南シナ海という一体の地域・海域を日本の自衛隊の活動地域として指定し、台湾とフィリピン、中国、東南アジアがそれを了承したとしたとすれば、日本がソマリア沖のように南シナ海でISRにあたるということは十分にあり得ます。



米軍と自衛隊の艦隊は、昨年10月19日までインドとの3カ国の合同軍事演習(Malabar 2015)に参加したかえり、日米軍が一緒に南シナ海を通った時に、10月28日から2週間ほどの期間で、初めての南シナ海での日米合同軍事演習を行いました。中国を敵に見立て、航行の自由を確保する軍事演習などが行われました。こうした流れから考えると、日本が南シナ海で中国を牽制するようになる日は、意外と近いかもしれません。

なぜかといえば、元々安倍総理は、総理大臣になる直前に、外国のサイトに安全保障のダイヤモンドに関して寄稿しているからです。

これについても、日本のマスコミはほとんど報道しなかったので、日本人でもこの重要な構想については知らない人が多いようです。

これについては、このブロクにも過去に掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
尖閣侵犯、野田内閣“弱腰”で中国エスカレート 曳光弾封印…―【私の論評】知れば知るほど、納得する安倍総理の凄さ!!安全保障のダイヤモンドを知れ!!
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、力による現状変更を目論む中国に対して、周辺諸国が協力して、以下のような安全保障のダイヤモンドを構築して、中国の囲い込みを行うという構想です。
この構想が公表されたのは、安倍総理が総理になる直前の、2012年12月27日のことです。安倍総理は、この頃から今日の南シナ海の状況を予見したともいえます。

安倍総理が総理になってから、全方位外国であらゆる国を訪問し、特に上記のダイヤモンドを形成することになる国々にも訪問して、その都度安全保障のダイヤモンドの実現のため鋭意努力されました。そうして、各国の首脳にこの構想に対して、賛意を評していただいたため、構想事態は間近と見て良いくらいです。

後は、実際に軍事的にも中国を封じ込める体制を整えることになりますが、それに対してもブログ上記の記事にあるように、安倍政権は着々と歩を進めているようです。

南シナ海での海上自衛隊の監視活動、いずれそう遠くない将来に始まると思います。そうして、東シナ海でも鉄壁の防備をすることが、このセキュリティーダイヤモンド構想の完璧な完成ということになります。

オーストラリアは、「そうりゅう型」潜水艦を日本から導入することを検討しているようで、もし「そうりゅう型」を導入しなかったとすれば、中国の影響から抜け切れていないと見るべきとする向きもありますが、いずれの潜水艦に決まったにしても、強固な日米比越の対中国包囲網が出来上がった後では、これに追随せざるを得ないでしょう。

米軍としては、及び腰オバマ大統領の後の大統領になったとき、中国が南シナ海での軍事行動をやめなければ、早期に決着をつけるべきでしょう。無論、爆撃するか、埋め立てられた環礁を包囲して、中国側の補給路を絶つなどして、それで中国の出方をみて、それでも中国が反撃をするなら、攻撃して粉砕するのです。

それで、本格的な戦争になったとしても、中国に米国や、安全保障のダイヤモンドに対抗したとしても勝てる見込みは全くありません。

もし、中国の南シナ海での暴挙をそのまま許しておけば、いずれとんでもないことになります。それこそ、中国は沖縄奪取、日本奪取、フイリピン、インドネシア、ベトナム奪取へと突き進むでしょう。

それは、中国が建国されてからまもなく、チベット、ウィグル、内蒙古に侵略したことからも明らかです。

まずは、手近ですぐにできる、陸続きの軍事的に弱い国々から侵略を開始しましたが、中国の欲望はとどまるところを知らず、今度は海洋においてそれを実践しようとしているのです。

そのようなことだけは、断固として避けなければなりません。その防波堤の役割を果たすのが安全保障のダイヤモンドです。そんなことは、当たり前のことなのに、日本のマスコミは中国の息がかかっているのでしょうか、安全保障のダイヤモンドの存在を絶対に日本国民に知られたくないようです。

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2016年4月6日水曜日

【突破する日本】「偏った」放送を繰り返すテレビ局に電波を独占させる必要はない―【私の論評】遅れた電波行政を正し、無線事業者の競争を促し新産業を興せ(゚д゚)!


テレビ朝日本社
 テレビ朝日「報道ステーション」のキャスターだった古舘伊知郎氏は3月31日の出演最終日、「人間は少なからず偏っている。情熱を持って番組を作れば偏るんです」と語った。放送法第4条の「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に反する放送をしてきたことを、白状したに等しいのではないか。

3月18日には、古舘氏自らドイツで取材したワイマール憲法からナチスの全権委任法へ至った経緯を紹介し、緊急事態条項を盛り込んだ自民党改憲草案を批判した。コメンテーターの早稲田大学の長谷部恭男教授にも自民草案を一方的に批判させた。自民党とナチスを重ね合わせ、「安倍晋三=ヒトラー」の印象操作をしたいらしい。

しかし、ナチスの負の歴史を克服した現在のドイツ憲法(基本法)にも「防衛上の緊急事態」条項(115a~l条)は存在する。緊急時における国家機関の機能を憲法に規定することは立憲主義の要請であり、ドイツ憲法も当初は規定がなく、1968年の改正で追加された。

憲法学者の長谷部氏も知らないはずがなく、あえて伝えないのは「少なからず」ではなく「大いに」偏っていると思う。

テレビなどの放送は、新聞などのプリント・メディアとは根本的に性質が異なる。国民の共有財産である有限の電波の使用免許を得ておこなっている事業だ。電波はテレビ局やキャスターの私物ではない。公共財としての意識を持たなければならない。

今、テレビ各社の上層部が恐れているのは、政府が「電波オークション」や「多チャンネル化」などの規制緩和を打ち出すことだ。

現在、電波、例えば東京周辺のテレビの地上波はNHKと民放キー局が独占している。いずれも昭和20年代から30年代にかけて放送免許を得て今日に至っている。その後の新規参入はない。これを公開入札によって電波の使用領域を決めようというのが「電波オークション」だ。新規参入が可能になる。

民主党政権時にも導入が検討され、格安の電波使用料が問題にされた。放送法制をあからさまに無視する「偏った」放送を繰り返す放送局に、未来永劫(えいごう)電波を独占させる必要はない。

「多チャンネル化」も同様で、デジタル化した今日ではテレビ地上波も技術的には100チャンネルが可能とされる。テレビ局が増えれば、既存のテレビ局はその中の1つでしかなくなる。CMも減る。民放は死活問題だ。

放送の「規制緩和」はテレビ局を震撼(しんかん)させるが、偏向放送を正す起爆剤になるのではないか。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 

【私の論評】遅れた電波行政を正し、無線事業者の競争を促し新産業を興せ(゚д゚)!

テレビやラジオなどの放送局が、国から周波数を割り当てられて行っている許認可事業であることは知られています。しかし、放送局が国に対して「電波利用料」を支払っているということを知っている人は、意外に少ないかもしれないです。また、電波利用料の存在を知っていても、それがどのくらいの額なのか知っている人はもっと少ないでしょう。

総務省は2013年2月末、この電波利用料の詳細を発表していました。その前に公開したのは2008年というのですから、ほとんどの人が知らないのも無理はありません。自民党の河野太郎衆議院議員は総務省に「テレビ局ごとの電波利用料の負担金額を出してほしい」と要求したところ、総務省の担当課長は「個別の負担金額は開示しておりません」と答えていしまた。

さらに河野氏が「どうして出さないのか」と尋ねると、その課長は「テレビ局のプライバシー」だと答えました。その後、自民党が総務省に強く要請し公開が決まったのですが、当時のの発表でわかったこては、テレビ局がボロ儲けしている実態でした。

2013年に発表さた、電波使用料の詳細を以下に掲載します。



テレビ局全体の電波利用料負担は、総計で34億4700万円にしかならないのに対し、営業収益は3兆1150億8200万円もありました。電波の“仕入れコスト”は、営業収益のわずか0.1%に過ぎないということが暴露されてしまいました。

河野太郎氏

これは、とてつもなく低いです。民間企業において、小売業で仕入原価が0.1%とか製造業で原材料費が0.1%などということにでもなれば、それこそ、タダ同然です。これでは、放送局など、よほどバカな真似をしないかぎり、安泰で、潰れようもないです。これでは、競争の原理など働きようもないですし、テレビ局等がなぜ、旧態依然としてしまうのか、納得できます。

電波法や総務省の資料によると、「電波利用共益費用」、つまり「電波の適正な利用の確保に関し無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用」の財源に充てるため、テレビ局やラジオ局、携帯電話会社など無線を利用する者が支払うものとなっています。

要するに、違法電波による混信障害などから電波環境を守るための経費を徴収するという名目でつくられた制度でする。

しかし、電波利用料を支払っているのはテレビ局などの放送局だけではありません。電波を使っている携帯電話会社も支払っていて、全額通話料として携帯電話ユーザーに転嫁されています。具体的には、携帯電話1台につき年200円ですが、携帯の支払い明細書に「電波利用料」という記載がないので、利用者が知らないのも無理はありません。

12年度の電波利用料収入は約715億円でしたが、内訳は携帯電話事業者が72.3%なのに対し、放送事業者はたったの7.2%に過ぎませんでした。NHKは電波利用料を受信料に転嫁していますし、民放は企業が支払うCM料に転嫁しています。つまり、電波利用料のほとんどは、携帯電話を使っている消費者が負担しているといってよいのです。

2011年の地上アナログテレビジョン放送の放送終了
テレビのデジタル化の財源はなんだったのか?

では、その電波利用料を、国は具体的に何に使っていたのでしょうか。

主な内訳は、次のようになっていました。

・地上デジタル放送総合対策:45.0%
・研究開発:18.0%
・総合無線局管理システム:9.8%
・電波監視:8.3%

支出の半分近くを占める地デジ対策費は、実質的には放送局などへの補助金であり、とくに地デジ化の資金繰りに苦しむ地方テレビ局を救済するかたちになっていました。

つまり、携帯電話利用者が支払っている電波利用料で、テレビ局を支えている構図になります。そのテレビ局はといえば、社員の給料が高いのは誰でも知っており、民法キー局の平均年収は軒並み1200万円以上です。公共放送たるNHKの平均年収も1185万円であることが 2013年2月に発表されていました。許認可事業のため事実上新規参入のないテレビ業界が濡れ手で粟というのには、かなりの違和感を感じざるを得ません。
電波オークションについて報じた当時の週刊誌
過去においては、自民党時代から、国民の公共財産ともいうべき電波の周波数を競争入札にかける「電波オークション」を導入しようという話が進んでいました。民主党政権では次回の電波割り当てから入札を実施することを閣議決定し、2012年の国会に電波法改正案を提出していました。

しかし、安倍政権に交代するや、当時の新藤義孝総務相は「今国会に(オークション導入の)法案を提出することはない」と言明し、電波オークションを葬り去ってしまいました。
当時も総務省が裁量で放送局や通信事業者に電波を割り当てて電波利用料を取っているのですが、その当時から利用が進む第4世代携帯電話向け電波などを入札にかければ、数千億円の収入になるとみられていました。

また、民主党政権下で電波オークション導入を提言した大阪大学の鬼木甫名誉教授によれば、当時テレビが占拠していた帯域も含めてすべてをオークションにかけたとすれば、30兆円近くの価値があるとのことでした。

安倍政権は国庫に入るはずだった数千億円に上るオークション収入をフイにしてまで、テレビ局などによるタダ同然の電波使用という利権を維持させることにしたのです。安倍政権がオークションを取りやめた理由として、「大メディアに恩を売りたかった」との見方もありましたが、真相はわかりません。

放送局と通信事業者にすれば、オークションが導入されれば外資など新規業者がライバルとして参入し、新たな脅威になっていたでしょう。それに対抗するには、現在支払っている電波料に加えて、オークションで競り勝つ高額な費用が必要になったはずです。特にテレビ局は、なんとしてもオークションを阻止したかったはずです。

総務省も実は、本音ではオークションをやりたくなかったと言われています。電波利用料は税金ではないため、財務省による再分配の対象とはならず、形の上では一般会計の総務省予算になっています。



ただ、電波法によって使い道が決められている特定財源であり、全額が総務省によって使われることになります。総務省の「隠れ特別会計」との指摘もあり、総務省が自分たちの裁量で使える予算でもあります。もし、オークションが導入されていたら、総務省はこの貯金箱を失い、財源を財務省に取られていたとの声もあります。

先ほど、電波利用料の使途内訳で「研究開発:18%」と掲載しましたが、これなどは天下り先である特殊法人へのばらまきとの指摘もあります。これまでのように電波利用料を握っておくことが、総務省にとってもおいしい話なのです。

電波オークションは世界の常識になりつつあります。OECD加盟国の約3分の2はすでに電波オークションを導入していて、欧米諸国はほぼすべての国で導入しています。アジアでも一般化しつつあり、導入していないのは、モンゴル、北朝鮮、そして日本などだけです。

安倍政権は首相就任後の「ハネムーン期間」と呼ばれる、まだ支持率が高いうちに、電波オークション廃止を打ち出すことで大メディアに大きな恩を売ったのかもしれないのですが、テレビ局側は、その音を仇で返したわけです。

テレビ局などのメディアが偏向しすぎているというのは、前々から指摘されていました。だから、安倍総理としては、テレビ局に対しては、偏向報道がなくならないまでも、各報道局が少なくとも、新聞や雑誌などか用いる姑息な手段でもある、両論併記のような形ぐらいにはするであろうと、期待していたに違いありません。

TBSの典型的な偏向報道

しかし、昨年安保法案審議の過程での、各テレビ局の報道ぶりは、非常に偏っていました。テレビ報道を検証している任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」は今月1日の記者会見で、安保法制を扱ったTBSの昨年9月13~20日の全番組が、法制への「反対」意見の報道に大半の時間を費やしていることを問題視しました。

番組編集に当たっての政治的公平や多角的な論点の提示を義務付けた「放送法4条違反」を指摘し、TBSの見解を求めました。同時に、TBSから「誠意ある」回答を得られなかった場合、スポンサーに調査報告書や提言書を送るなどの注意喚起運動を検討する考えも示しました。

放送法遵守を求める視聴者の会

これに対して、TBSは「自律的に公平・公正な番組作りを行っている」とした上で、スポンサーへの呼びかけを示唆した同会の声明を問題視。同会は8日までの回答を求めていますが、TBS広報部は「回答する考えはない」としています。

TBSが発表したコメント全文は以下の通り。

 「弊社スポンサーへの圧力を公言した団体の声明について」
2016年4月6日 株式会社TBSテレビ 
 弊社は、少数派を含めた多様な意見を紹介し、権力に行き過ぎがないかをチェックするという報道機関の使命を認識し、自律的に公平・公正な番組作りを行っております。放送法に違反しているとはまったく考えておりません。 
 今般、「放送法遵守を求める視聴者の会」が見解の相違を理由に弊社番組のスポンサーに圧力をかけるなどと公言していることは、表現の自由、ひいては民主主義に対する重大な挑戦であり、看過できない行為であると言わざるを得ません。 
 弊社は、今後も放送法を遵守し、国民の知る権利に応えるとともに、愛される番組作りに、一層努力を傾けて参ります。以上
さて、この「放送法遵守を求める視聴者の会」の方々は、この記事で上で述べた電波オークションの日本での状況について無論熟知しているのだと思います。

そうして、今がこのような行動をする最適な時期であると考えておられるのだと思います。安倍自民党政権が電波オークション導入を見送ったにもかかわらず、安保法制のときの報道ぶりは、著しく偏向しており、問題外の報道ぶりでした。偏向どころから、完璧に左巻きでネジが曲がりすぎて、壊れたような報道ぶりでした。これについては、先日もこのブログで指摘したばかりです。

これでは、安倍政権だけではなく、上記で示したように結局高い電波料を負担している国民も、高い料金で偏向番組をみせられるという不利益を被るわけです。

安倍自民党としては、本当に忸怩たる思いをしているに違いありません。この時を逃さずすかさず、行動をおこせば、安倍政権は「電波オークション」導入へと大きく舵を切り替える可能性が大です。

「電波オークション」を導入して、既存のテレビ局には、それ相当の負担をしてもらい、その上で自分たちの思う通りの放送ができるようにすれば良いと思います。実際アメリカなどでは、「電波オークション性を導入しつつ、テレビ局に対して放送内容には一切制限をつけていません。

しかし、テレビの放送局は日本よりはるかに多いですし、ケーブルテレビも加えるとかなりのチャンネル数になります。そうなると、視聴者は自分の見たいチャンネルだけを見て、偏向したチャンネルなど一生見なくても用が足ります。それに、競争の原理が働き、面白くないとか、役に立たないような報道ばかりする放送局は淘汰されることになります。

そのような形が望ましいです。

電波は国民の財産であるはずです。政府が、巨額のオークション収入を得た上で、多くの電波事業者が新規参入し、テレビ局も携帯電話会社も競争状況に入り、国民には新たなサービスや事業者の選択肢が増えるメリットがあります。

携帯電話での通信制限もなくなるかもしれません。最近、" いまどきの女子中学生の音楽を聴く手段はスマホのストリーミングだけ――こんな主旨の投稿がTwitterで話題になりました。あるユーザーがツイートした内容によると、いまどきの中学生は、「月々のデータ通信量に制限があるから自分の好きな音楽を能動的に聴くことはない」そうです。これに対して、従来の音楽プレーヤーに馴染んできた世代は衝撃を受けているそうです。

今時の女子中学生が音楽を聴く手段はストリーミングだけ?

結局、「電波オークション」などが導入されないことにより、まわりわまって、一般ユーザーにつけが回ってきているという構図なのだと思います。

私自身も、自宅ではインターネット回線を導入して、ルーターを設置してWIFIを利用できる環境にしているので、スマホやタブレットはそれを使うので、自宅にては無制限に使えるのでよいのですが、外出時にはwimaxを使用していました。

外出時には、スマホもタブレットも、ノートパソコンもwimax経由でインターネットにつないでいました。このwimaxもwimax2になってから、速度制限がつけられるようになりました。それに伴いwimaxは速度制限はないものの、速度が以前よりも遅くなりました。

ただし、外出時のwimaxは、SNSの閲覧や、ブログの作成、音楽を聴くなどに限られていますので、多少遅くても事が足りますので、wimax2に乗り換えすることなく、そのままwimaxを使用しています。ただし、最近やはり、速度の遅さに不満を感じるので、Yahooモバイルは速度制限がないようなので、これに乗り換えようとも思っています。

結局このような手間や不便を感じるのも、「電波オークション」が導入さていないことにも原因がありそうです。自由競争を原則として、様々な新サービスや新方式の開発を促進させ、それを用いるメデイアには、放送内容は原則として自由にするという方向性が最も良いと思います。

そうでないと、またまた日本は、せっかく良い技術があって、素晴らしい携帯電話を開発にしたにもかかわらず、現在のスマホでは後塵を拝することになってしまいました。

現状のままの電波行政では、政権与党にとっても、国民とって一つも良いことはありません。日本でも、一日はやく「電波オークション」を導入すべきです。

そうして、せっかく導入するのでしたから、国民にとって良いサービスがどんどん生まれるような形で導入すべきと思います。これによって、今までには考えられなかったような、新産業の興隆を促すことも可能だと思います。

そうすれば、旧態依然として、偏向報道を繰り返すような、面白みも何もないようなテレビ曲など競争に負けて自然と淘汰されていくと思います。

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2016年4月5日火曜日

【スクープ最前線】習政権の“転覆”狙う地下組織“暗躍” 知識人、活動家に軍の一部が連携―【私の論評】中国国内の一派閥の統治の正当性を強調するため、尖閣、沖縄、日本奪取もあり得ると心得よ(゚д゚)!


国内外で足元が揺らいでいる習近平国家主席。気が気でないはずだ

 オバマ米大統領が、中国の習近平国家主席に激怒している。ワシントンでの米中首脳会談で、南シナ海やサイバー、人権などの問題を提起したが、習氏は一歩も譲歩せず、米国の要求を突き返したのだ。強硬姿勢の背景には反体制派の存在があるという。中国国内に構築された「地下組織」の実態と、習政権が延命のために仕掛ける軍事危機とは。米国は警戒監視のため原子力空母「ジョン・C・ステニス」を南シナ海に展開させた。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

 「(南シナ海での)『航行と飛行の自由』を口実に、中国の主権を侵害する行為は許さない」「それぞれの核心的利益を尊重すべきだ(=口出しするな)」

 オバマ氏が、中国の国際法を無視した「南シナ海での岩礁の軍事基地化」という暴挙を批判すると、習氏は顔色を変え、オバマ氏をにらみ付けて、米軍の「航行の自由」作戦を批判した-。

 注目された米中首脳会談は3月31日に行われた。両首脳は冒頭、北朝鮮の核実験やミサイル発射などの挑発行為を問題視し、連携を強めることで一致した。だが、その後は違った。オバマ氏は、習氏にすべてを拒絶された。米国にとって屈辱的な米中決裂だった。

 旧知の米政府関係者は「残り任期が1年を切り、オバマ氏の『力』が落ちて中国になめられている」といい、続けた。

 「それ以上に驚いたのは習氏の激変ぶりだ。これまでのソフトムードは皆無だった。米軍が、韓国に配備を予定している最新鋭地上配備型迎撃システム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』について、習氏は『中国の安全に関する利益を損ねる(から止めろ)』と反対した。台湾についても『いかなる独立運動も許さない』といい、米国に『1つの中国』原則を厳守するよう求めた。すべて、けんか腰だった」
 中国がGDP(国内総生産)世界第2位とはいえ、現時点では、米国には経済力でも軍事力でもかなわない。習氏の態度は一体何なのか。

 米政府関係者も「オバマ氏を軽視するというより、習氏には悲壮感すら漂っていた」と明かした。

 驚かないでいただきたい。ここに来て、習氏に対する暗殺テロ、習政権潰しのクーデターの動きが急激に高まっている。

 以下、複数の日米情報当局関係者から得た衝撃情報だ。

 「習政権の失政に怒った知識人らが中心となって、習政権転覆を狙う『地下組織』を結成した。世界の活動家たちと連携して行動を始めた。これに、国内の少数民族や、軍部の一部が接近しつつある。中国情報当局は数百人レベルの特殊チームを結成し、粛清に必死になっている」

 新疆ウイグル自治区などが出資し、昨年秋に発足したニュースサイト「無界新聞ネット」に3月初め、「忠誠なる共産党員」を名乗る人物がメッセージを書き込んだ。経済低迷や言論弾圧、独裁、外交の失敗などを挙げ、「習氏には中国を未来に導く能力がない」と指摘し、共産党総書記の辞任を求めた。

 習氏は激怒した。中国政府はパニック状態で、同サイトの閉鎖が決定された。そして、米中首脳会談直前の3月29日、今度はニュースサイト「明鏡新聞網」系ブログに「171人の中国共産党員」によるメッセージが掲載された。そこには、「習同志の独裁と個人崇拝が党内組織をひどい状態にした」とあり、共産党に「習同志を一切の職務から罷免し、党と党員を救済するよう要求する」と訴えた。

 習政権にとっては、驚天動地、前代未聞の政府転覆の宣戦布告だ。情報では、こうした動きは「地下組織」と連動している。衝撃情報はさらに、以下のように続いている。


 「中国国内に、過激組織『イスラム国』(IS)で戦闘訓練を受けた中国人が数百人規模で潜伏している。ISは、ウイグル自治区の住民を弾圧している習氏と政権に復讐(ふくしゅう)を宣言している。『その戦闘員と、現地で確保された数十人の自爆テロ要員が動き出した』という情報がある」

 ご承知の通り、中国では一連の株価暴落で、約9000万人という個人投資家が甚大な損出を被った。この数は共産党員(約8000万人)よりも多い。飛び降り自殺(=跳楼)も急増している。今後、企業の倒産ラッシュ、経済破綻も予想され、人民の怒りは爆発寸前、暴動寸前だ。

 日本の外事警察関係者に情報をぶつけると、「習氏は夜も眠れないはずだ。これまで、習氏は6回の暗殺テロを受けたとされる。犯人は反習一派の軍部だったが、今度は違う。中国の人民が相手だ。これに、政府転覆を狙う地下組織と軍部の一部が連携する。習政権発足以来、最大の危機だ」といい、続けた。

 「追い詰められた習氏が、人民の不満を政権以外に向けさせようと、暴走するかもしれない。南シナ海や沖縄県・尖閣諸島がある東シナ海で軍事衝突を起こす危険性がある。安倍晋三政権が安全保障関連法の成立を急いだのも、こうした緊急事態にそなえるためだ」

 声を大にしていう。日本は一瞬たりとも油断してはならない。

 ■加賀孝英(かが・こうえい)

【私の論評】中国国内の一派閥の統治の正当性を強調するため、尖閣、沖縄、日本奪取もあり得ると心得よ(゚д゚)!

習近平の治世は、もう長くないかもしれません。そもそも、習近平が中国のトップであるかも疑わしいようなことがすでに起こっています。

それは、先日もこのブログに掲載しました。その記事のリンクを掲載します。
【石平のChina Watch】習主席、頓挫した「独裁者」への道 衆人環視の中で目撃された異様な光景 ―【私の論評】刎頚の友で、独裁者になりそこねた習!だが、中共の本質は変わらない(゚д゚)!
習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた王岐山氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事からすでに習近平が中国のトップであるかどうかも疑わしいとみられる根拠を示した部分を以下にコピペします。 
今月4日に開かれた全国政治協商会議(全国政協)の開幕式で、委員たちは異様ともいうべき光景を目撃した。式典が終わって、最高指導部のメンバーたちが順次、ひな壇から退場するとき、党の規律検査委員会の王岐山主任が前を歩く習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけたのである。 
衆人環視の中で、習主席の部下であるはずの王氏が取ったこの「なれなれしい」行動は、主席の権威をないがしろにする「軽薄なる行為」とも映った。その背景には一体何があったのか。 
・・・・・・〈中略〉・・・・・・ 
習主席の就任から3年、その最大の「政治実績」となったのは腐敗摘発であるが、考えてみればそれは全部、規律検査委員会トップの王氏の手柄であった。そして、摘発権という絶大の武器を手にして党内で権勢を振るった結果、いつの間にか、王氏は習主席をしのぐほどの陰の実力者にのし上がったのである。
この出来事により、中国の真の実力者は、王岐山氏もしくは王岐山氏を影で糸をひくものであることがはっきりしました。

ブログ冒頭の記事では、「オバマ氏を軽視するというより、習氏には悲壮感すら漂っていた」とありましたが、習近平としては、国内では真のトップではなくなったのですが、中国の外交のトップは自分であることを強調したかったのだと思います。

習近平としては、未だ中国の真の実力者に返り咲くことを狙っていて、国内向けの示威行動として、オバマに対して一歩も譲らないところを見せつけたのだと思います。このあたりは、日本人にはなかなか理解しがたいところでしょうが、中国は非常に内向きな国ですから、外交も内政と深く結びつけて考えるというのが中国流です。

ただし、習近平は王岐山氏に、急所を握られているのだと思います。もし、習近平が、真の実力者に返り咲こうとすれば、習近平の悪事が暴かれ、表の実力者としての地位も失うことを王岐山氏などから、因果を含められたのだと見えます。その因果とは、腐敗撲滅運動の中止です。

このブログにも以前掲載したことがありますが、腐敗撲滅運動というと聞こえは良いですが、自らも腐敗に手を染めている習近平の行う腐敗撲滅運動の本質は権力闘争です。

まだまだ、中国全体を完璧に統治するだけの、権力を持たない習近平が、腐敗撲滅運動の名を借りた、反対派の掃討というのが実態です。

実際、本日も習近平の悪事について報道されています。
習主席の親族が巨額の資産隠し? 韓国元大統領周辺の名も 衝撃の内部文書
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみ掲載させていただきます。
 中国の習近平国家主席や、ロシアのプーチン大統領、韓国の盧泰愚(ノ・テウ)元大統領らの周辺の人物が、タックスヘイブン(租税回避地)の企業を使って、「巨額の資産隠し」を行っていた可能性があることが明らかになった。世界の報道機関で構成する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が、内部文書の検証結果として公表した。各国で大問題に発展しそうだ。
習近平は、習近平に近い人物の資産隠し疑惑が報じられています。この件については、前から中国では知られていることでした、特に習近平のファミリービジネスには前から疑念が持たれていました。そうして、このことは以前にもICIJと英紙ガーディアンの報道で明らかになっていました。

それについても、このブログに以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
人民解放軍に激震 習政権が軍部のカネの流れを徹底調査 聖域を破壊 ―【私の論評】習の戦いは、中国の金融が空洞化し体制崩壊の危機状況にあることを露呈した(゚д゚)!
この記事は、昨年5月26日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を以下にコピペさせていただきます。
こうしたキャンペーンを実行する中国の習近平国家主席が反腐敗対策を宣言する一方で、当の習主席のファミリーが海外のタックスヘイブン(租税回避地)に蓄財している一端が、昨年のはじめに国際調査報道協会(ICIJ)のジェームズ・ボール記者と英紙ガーディアンの報道で明らかになっています。 
ICIJのボール記者らはタックスヘイブンとして有名なカリブ海の英領バージン諸島の2社から200ギガバイト以上のデータを入手、約2年にわたって分析し、裏付け取材を進めてきたといいます。
英領バージン諸島
第一報で名前が挙げられているのは習、温、李3氏のほか胡錦濤前国家主席、トウ小平、中国人民解放軍創設者の1人、葉剣英、同大将の粟裕、戴相竜・元中国人民銀行総裁、「八大元老」の1人に数えられた王震、彭真・元全国人民代表大会常務委員会委員長のファミリー計13人でした。
これは、両方とも中国ではなく、外国による調査ですが、当然のことながら、中国国内でも周知の事実であると考えられます。

ただし、腐敗撲滅を推進する、習近平も腐敗していることを公に訴えれば、訴えたがわも大なり小なり腐敗しているのですから、声を大にして訴えることができなかっただでしょう。

しかし、そうはいいながら、反習近平派は不正を働いている習近平に腐敗撲滅運動の対象にされるということは、片腹の痛いことだったに相違ありません。

結局、現状は習近平が権力闘争が一旦休止して、小康状態を保っている状況で、おそらく、これから習近平による下位の官僚の摘発はあるかもしれませんが、高官の摘発は鳴りを潜めることでしょう。

王岐山氏が習近平と、反習近平派の間をとりもちコーディネーターのような役割を果たし、中国国内のどの派閥も極端に走らないように、均衡状態を保つものと思います。

しかし、この均衡状態はいつ崩れるかわからない脆いものでもあります。

なぜなら、中国ではどの派閥も中国国内の統治の正当性を声高に主張できません。そもそも、中国共産党は、昨年抗日70周年記念軍事パレードなる滑稽とも思える、大スペクタクルで、中国人民を魅了しました。

しかし、これは全く真の歴史と全く整合性がありません。そもそも、中国共産党は、日本と正式に戦争をしたことは一度もありません。日本と戦争をしたのは、現台湾の国民党政府です。

国民党政府が日本と戦争をして疲弊した虚をついて、大陸中国を手中におさめ、国民党政府を台湾に追いやったというのが歴史的事実です。

しかし、そんなことでは、中国共産党の中国統治の正当性が多くの人民に疑われることになります。だからこそ、本当は中国共産党は歴史上一度も日本と戦争をしたこともないのに、歴史を修正して、日本とあたかも戦ったかのごとく、抗日70周年記念軍事パレードなる虚妄一大スペクタクルを挙行し、中国人民に中国共産党の統治の正当性をみせつけたのです。

虚妄一大スペクタクル 抗日70周年記念軍事パレードで閲兵する習近平

これは、一時成功したように見えます。しかし、現実には現状の中国では、派閥間抗争が激しく、習近平は権力闘争に完璧に勝利することができずに、現在のもろい均衡状態に陥っているわけです。

このままだと、いずれ習近平がさらなる権力闘争を仕掛けるか、あるいは反習近平派が反撃をする可能性が大です。

さて、いずれの派閥が勝つにしても、最終的に何をしなければならないのか、それは明らかです。それは、いずれかの派閥が中国統治の正当性を主張することです。そうして、その主張が多くの人民に受け入れられることです。

それは、日本のような国であれば、民主化、法治国家化がある程度以上に行われていて、議会制民主主義が根付いていますから、統治の正当性を主張するには、選挙だ大勝すれば良いです。大規模なデモしても、言論活動しても、最終的に選挙で大勝した政党が統治の正当性があるとみなされます。

しかし、中国は違います。そもそも、建国以来一度も選挙が行われたことはありません。では、何によって、統治の正当性を強調するかといえば、大胆な示威行動により、中国が発展することを人民に納得させることです。

現状中国を見回してみると、人民に中国がこれから大発展させることを納得させるには、経済では当面全く見込みがありません。過去の中国はいっとき、急速な経済成長を遂げたため、それによって統治の正当性を主張できましたが、これは当面絶望的です。

では、民主化、政治と経済の分離、法治国家化によって、国力をつける道を選ぶかといえば、現状の一党独裁の中共では、当面無理です。

最後に考えられるのは、大胆な海洋進出です。そうして、中国はその端緒につきましたが、手詰まりです。特に、南シナ海でこれ以上の示威行動をすると、アメリカと本格的に対峙することになり、経済力でも軍事力でもかなり劣る中国にはいままではともかく、これからはとても歯がたちそうにありません。

では、最後に残る、比較的実行しやすいことは何かといえば、尖閣奪取であり、その次には、沖縄奪取であり、その後は日本を奪取することです。

日本を奪取すれば、日本の富や日本の技術力を手に入れることができ、これから中国は大発展すると多くの中国人民に納得させることができます。

そこまで、いかなくても、尖閣を奪取すれば、その方向性に突き進むことを中国人民に約束して、当面統治の正当性を強調することができます。そうして、この統治の正当性を強調できた派閥が中国の真の支配者になるのです。

そうして、真の独裁者の地位を手に入れたい習近平はこれに再挑戦するかもしれません。

しかし、このブログで何度か強調してきたように、日本は軍事力特に海軍力においては、中国より数段上で、物理的には中国は尖閣を奪取することはほとんど不可能です。

ところが、日本には特殊事情があります。自衛隊が外国の武装集団に対抗するにしても、防衛出動以外では国際法規や慣習に基づく軍隊としての実力行使を行えず、国内の泥棒を捕まえる警察法規でしか武器を使用できません。

警察官職務執行法が準用される武器使用は正当防衛や緊急避難などに限られます。相手が攻撃したあとに許される武器使用で、どうして重武装した人民解放軍に立ち向かえるでしょうか。

自衛権の発動である防衛出動もがんじがらめです。「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」かつ「他国による計画的、組織的な武力攻撃」という条件付きです。国ではなく組織的な武力攻撃とはいえない海上民兵などのテロはあてはまりません。

列国の軍隊は国民を守り、不法な主権侵害行為を排除する「平時の自衛権」を持っています。ところが日本はこの当たり前の権限が許されていません。

現状では、憲法第9条は「陸海空軍その他の戦力」保持を認めていないと解釈しているからです。これは、自衛隊を軍隊でも警察でもない、あいまいな「実力組織」と位置付けてきたためでもあります。9条を改正するか、9条の解釈を変更して、自衛隊を軍隊として正当に評価すればよいのですが、当面の方策としては成り立ちません。

日本の自衛隊は軍隊ではない。その身分は「特別職国家公務員」である
このあたりを、中国側に見透かされ、海上民兵などにより、尖閣に上陸され、実行支配され、その後南シナ海のように、軍事基地化され、次の段階で沖縄侵攻の前哨基地にされるというシナリオは十分に考えられます。

まさに、ブログ冒頭の記事の結論でも述べているように、「声を大にしていう。日本は一瞬たりとも油断してはならない」のです。

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2016年4月4日月曜日

米有力紙誌が中国に“死刑”宣告 1~3年以内の債務危機確率1位 韓国も… ―【私の論評】日本政府の債務はGDP比で40%程度、嘘吐き財務官僚らの"うつけ者"どもに騙されるな(゚д゚)!


オバマ米大統領(左端)と会談に臨む中国の習近平国家主席(右端)。
安全保障と並び経済も深刻な懸念を抱える=3月31日、米ワシントン
タイムリミットはあと1年-。米経済誌フォーブス(電子版)で、「今後1~3年以内に債務危機に陥る確率が高い7カ国」が報じられ、1位が中国、4位に香港となり、5位には韓国が入った。米紙ウォールストリート・ジャーナルでは「資本流出にあと1年は耐えられない」と中国の通貨危機に言及するなど、欧米のメディアや研究者が中韓の連鎖危機に強い警戒心を抱いていることがうかがえる。

 「債務危機に最も脆弱(ぜいじゃく)な7カ国」と題した記事をフォーブスに寄稿したのは、オーストラリア出身で英キングストン大教授のスティーブ・キーン氏。

 国際決済銀行(BIS)のデータなどを用いて各国の債務状況などを分析したところ、1~3年以内に債務危機に陥る可能性が高い順に中国、オーストラリア、スウェーデン、香港、韓国、カナダ、ノルウェーを挙げた。

 過去150年間の国家の債務危機に関する研究によると、民間債務が対国内総生産(GDP)比で150%を突破し、さらに過去5年で20%増加した場合、危機が頻繁に発生するとした。

 前出の7カ国・地域の民間債務の対GDP比は、いずれも175%を超え、前年の民間債務の増加額がGDPの10%を上回っているという。

 BISの統計をみると、2015年9月末時点で中国の民間債務の対GDP比は205%と、GDPの2倍を突破。1990年代の日本のバブル崩壊後の水準に近づいた。

 オーストラリアも206%、スウェーデンが236%、香港が285%と高く、韓国が193%に達している。

 ちなみに政府債務は多い日本だが、民間債務の対GDP比率は167%で、記事では全く言及されていない。

 キーン氏は、こうした国々が債務危機に陥る正確なタイミングについては、「民間部門が銀行から金を借りようとする意欲や、銀行部門の貸出意欲がいつ止まるか、さらには国の政策によって変わるため、正確に計ることはできない」とする。

 しかし、危機突入のサインは、貸出資金などの伸び率が低下に転じることだと説明、「中国のような景気刺激策で危機を永遠に回避することはできず、傷ついた経済のリストに名を連ねることになるだろう」と見通しを示している。

 一方、ウォールストリート・ジャーナルは「中国に迫り来る通貨危機」と題する寄稿を掲載した。中国の金融調査会社創業者と英資産運用会社最高投資責任者の2人が執筆したもので、「昨年の中国の資本流出額は約1兆ドル(約112兆円)で、うち外貨準備の取り崩し分は5126億6000万ドル(約57兆4000億円)。このペースの資本流出に1年は耐えられないだろう」と分析した。

 「中国には、資本不足時の経済運営について知識が乏しく、手立てもほとんどない。不動産価格は50%下落し、人々は職を失うことになるだろう」と警告。人民元の下落は避けられず、「中国の物語が幕を閉じるのは目前に迫っている」としている。

 中国などの債務危機と通貨危機を危惧する論考が相次いだが、2つの危機は連鎖していると解説するのは、週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏だ。

 「中国の債務は雪だるま式に増え続けているが、ここにきて上海など一部の都市で住宅バブルを再燃させるなど、新たな債務を増やそうとしている。こうした状況を警戒して資本流出が加速すると、通貨危機を招き、自国通貨建ての債務がさらに拡大する事態を招く。中国政府は介入で人民元相場を維持してきたが、もはや持ちこたえられない。債務危機と通貨危機は中国経済にとって死刑宣告のようなものだ」

【私の論評】日本政府の債務はGDP比で40%程度、嘘吐き財務官僚らの"うつけ者"どもに騙されるな(゚д゚)!

世界には、ブロク冒頭の記事のように、中国をはじめとして債務危機に陥りそうな国々がありますが、日本はそうではありません。それに関しては以下で解説します。

さて、上の各国の借金グロスでみたものなのか、ネットでみたものなか、きちんと表示されていません。

上の記事では、「ちなみに政府債務は多い日本だが、民間債務の対GDP比率は167%で、記事では全く言及されていない」とあります。

日本政府の債務は、グロス(債務だけみて債務残高とする方式)では、確かにGDP比率で167%あり、これは中国ほどでないにしても、とんでもない比率です。しかし、米フォーブスの記事ではこれは、何も述べられていないということですから、おそらく米フォーブスの見方は、債務をグロスで見ているわけではないのだと思います。

私自身は、米フォーブスの元記事を見ていないので、何ともいえないところがあるのですが、しかし、おそらく政府債務をネット(正味で見る方式、金融債務から金融資産を引き算した値)で見ているのではないかと思います。

借金をみるときには、このような見方が正しいです。あるサラリーマンが1000万円借金しているとして、一方で、資産を500万円持っているとすれば、このサラリーマンの借金は1000万(グロス)とみるのではなく、500万円(ネット)と見るのが妥当でしょう。このような見方をしなければ、このサラリーマンの負債状況など正しく見ることはできません。
個人の借金も国の借金もグロスで見ていては、真実を見失う、ネットで見なければならない
日本の現状をいえば、グロスの債務残高は1100兆円程度ですが、ネットでみれば500兆円で、GDP比で100%程度です。

さらに、日銀も含めた連結ベース(経済学でいえば統合政府ベース)の債務は200兆円、GDP比では40%程度である。この程度であれば、先進各国と比較しても、それほど悪い数字ではありません。というより、他国と比較すれば、良いくらいです。

統合政府は、政府+中央銀行+政府による事業主体 図では便宜上政府と、中央銀行だけにしている

これも当然の見方です。ある世帯において、お父さんが1000万円借金をしているものの、この家には、お父さん以外にお母さんや、子どもたちがいて、この一家は、一つの会社を運営していて、お母さんも子供たちもその企業の役員であるとします。そうして、お母さんは400万円の資産を持ち、子どもたちは200万円の資産をもっていたとしたら、この世帯の借金は、お父さんの借金1000万円がこの会社の借金とするのはおかしいです。

当然のことながら、1000万円からお母さんの400万円、子どもたちの200万円を引いた、400万円がこの会社の借金であるとみるべきです。この会社にお金を貸す銀行は、そのように見ることでしょう。

 ちなみに米国ではネットでみてGDP比80%程度、統合政府ベースでみれば65%程度。英国ではネットで見てGDP比80%程度、統合政府ベースで見て60%程度である。

 こうした基礎データが頭に入っていないとしたら、高度な議論をしているようにみえても上滑りになってしまいます。上の米フォーブスの記事では、少なくともネットで見ているのは間違いないようです。ひよつとしたら、連結ベースでも見ているのかもしれません。

だからこそ、日本政府の借金など、さほどの問題ではなく、中国、オーストラリア、スウェーデン、香港、韓国、カナダ、ノルウェーなどを問題があるとして、挙げつつ日本についての言及はないのだと思います。

テレ朝「ワイドスクランブル」(2015/7/17)でのトンデモ報道
そうでなければ、上の謎は解けません。

米国の経済誌フォーブスが、そのような見方をして、日本政府の借金は問題にしていないにもかかわらず、日本では、政府の借金をグロスだけでみて、1100兆円もあって、大変だ、大変だと大騒ぎしている愚か者たちが大勢存在します。


それは、誰かって、そうです、まずは財務省です。そうして、多くの経済アナリストや識者たちです。

これらのうつけ者どもは、このグロスの借金で大騒ぎして、国民一人あたり、赤ん坊も含めて、一人あたり、1000万円も借金があると嘘八百を言いふらし、あろうことか、「税と社会保障の一体改革」などという虚構をつくりあげ、増税しないととんでもないことになるとの虚妄を流布しました。

ここには、さらに大嘘があります。彼らは、国民1人あたり1000万円もの借金があるというのも、全くの大嘘のデタラメです。日本政府借金のかなりの部分は、国債で賄わています。この国債のほんどは、日本の銀行などの金融機関の機関投資家が購入しています。

銀行などは、国民から預かったお金で、国債を購入します。これって、いってみれば、大部分は間接的ではありますが、政府は国民から借金をしているということです。途中に金融機関などが絡んでいますから、多くの国民は、政府に金を貸し付けているという感覚はないでしょうが、それにしても、国民の定期預金などからこの資金が賄われているのは事実です。

2013年の日テレのニュース そもそも国の借金という表現も間違いだ

となると、国民1人あたり1000万円もの借金があるというのは、真っ赤な嘘であり、日本では赤ん坊も含めて、国民一人あたり1000万を政府に貸しているということです。

借金とは、金融負債のことです。貸した金は、債権といいます。日本国民は赤ん坊も含めて、一人あたり政府に1000万円もの債権があるということです。

こんな国が、借金まみれであるはずもなく、だかこそ、米フォーブスも、米紙ウォールストリート・ジャーナルも、日本政府の借金など全く問題にしていないのです。

さらにこれらうつけ者どもは、8%増税のときには、増税しても日本経済に与える影響は軽微としていました。ところが、実際蓋を開け見れば、かなりの悪影響があったことは、周知の事実です。

うつけ者どもや、うつけ者どもの言説を利用する野党など、これをもって、アベノミクスはおしまいのようなことをしたり顔で語っています。しかし、これも完璧な間違いです。本来のアベノミクスは、金融緩和と、積極財政をと、成長戦略を実行するはずでした。

金融緩和については、予定どおり実行されましたが、積極財政に関しては実行されないどころか、8%増税の実施により、緊縮財政が実施されてしまいました。これでは、アベノミクスの本来の力が発揮できるはずもありません。

8%増税の影響は軽微とした、うつけ者熊谷
安倍総理としては、本来実施されるはずだった、積極財政をなるべくはやい時期に実行すべきです。そうして、積極財政というと、なにやらすぐに経済対策ということで、大量の資金を投入することばかりが論議されているようですが、一番簡単なのは、減税です。

もう、10%増税などすべきでないということは、明々白々です。うつけ者どもがいくら騒ごうと、奇妙奇天烈、摩訶不思議な経済理論を弄り回そうと、増税はしないのは当然で、次の政治課題は、減税です。

増税で、失敗したものは、減税で取り返すということで、これこそ、最もシンプルでわかりやすいやり方だと思います。皆さんは、どう思われますか?

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